JP3571923B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関し、詳しくは表面層が特定の硬度を有する電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方法は、米国特許第2297691号公報に示される様に画像露光の間に受けた照射量に応じて電気抵抗が変化し、かつ暗所では絶縁性の物質をコーティングした支持体よりなる光導電性材料を用いる。この光導電性材料を用いた電子写真感光体に要求される基本的な特性としては、(i)暗所で適当な電位に帯電できること、(ii)暗所において電位の逸散が少ないこと、(iii)光照射によって速やかに電荷を逸散せしめること等が挙げられる。
【0003】
従来より電子写真感光体としてはセレン、酸化亜鉛、硫化カドミウム等の無機光導電性化合物を主成分とする感光層を有する無機感光体が広く使用されてきた。しかしこれらは前記(i)〜(iii)の条件は満足するが熱安定性、耐湿性、耐久性、生産性等において必ずしも満足できるものではなかった。
【0004】
無機感光体の欠点を克服する目的で、様々な有機光導電性化合物を主成分とする電子写真感光体の開発が近年盛んに行われている。例えば米国特許3837851号公報には、トリアリルピラゾリンを含有する電荷輸送層を有する感光体、米国特許3871880号公報には、ペリレン顔料の誘導体からなる電荷発生層と3−プロピレンとホルムアルデヒドの縮合体からなる電荷輸送層とからなる感光体等が公知である。
【0005】
これら有機光導電性化合物を用いた電子写真感光体は、電気的、機械的双方の特性を満足させるために電荷輸送層と電荷発生層を積層させた機能分離型の感光体として利用される場合が多い。一方当然のことながら、電子写真感光体には適用される電子写真プロセスに応じた感度や電気的特性、更には光学的特性を傭えていることが要求される。
【0006】
特に繰り返し使用される電子写真感光体においては、その電子写真感光体表面にはコロナ又は直接帯電、画像露光、トナー現像、転写工程、表面クリーニング等の電気的・機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性も要求される。具体的には、帯電時のオゾン及び窒素酸化物による化学的劣化、帯電時の放電やクリーニング部材の摺擦によって表面が摩耗したり傷が発生したりする機械的劣化、電気的劣化等に対する耐久性が求められている。
【0007】
機械的劣化は、特に無機感光体と異なり物質的に柔らかいものが多い有機感光体には、機械的劣化に対する耐久性が劣り、耐久性向上は特に切望されているものである。また、感光体は機械的劣化により、その表面の粗度が上がり、微視的に見ると膜厚差が生じてしまう。これは、微少範囲で感光体容量に変化をもたらし、感度の均一性にも影響を及ぼす。
【0008】
更に、表面の粗度が大きくなり凸凹の間隔がある範囲になると、像露光光が表面で乱反射してしまう恐れもある。これは特に、像露光光の光源がレーザー光のような場合、実用上の画像をプリントした時の感光体表面の粗れ方によっては、ビーム径が60μm以下であると感光体表面の粗れにより乱反射の影響を受け易くなる。また、表面粗れによる凸凹部に紙粉や現像剤等が付着(以下、トナー融着と呼ぶ)し、これが画像劣化の原因となり問題になっている。以上、有機感光体表面の機械的強度の増加は以前に増して望まれている。
【0009】
ところで、ある材料の機械的な劣化の度合を知る一つの尺度として硬度がある、この定義は圧子の押し込みに対する材料からの応力とみなされている。そこで、この硬度を表面膜強度を知る物理的なパラメーターとして用いて、機械的強度を定量的に数値化することが試みられている。その例として、従来から多く用いられている引っ掻き硬度試験、鉛筆硬度試験やビッカース硬度試験等は広く知られている。
【0010】
しかし、いずれの測定手段においても、有機物の様な弾性のある膜の強度を測定する時には一長一短があった。例えば、ビッカース硬度測定は膜についた圧痕の長さを測定して硬度としており、有機物のような弾性変形をするものには不適である。この様に有機物の膜に対する硬度は、圧子による膜の塑性変形と弾性変形を加えた値で評価できることが望まれる。
【0011】
一方、従来から表面層に用いられているビスフェノールAを骨格とするポリカーボネート樹脂が注目されているが、前述した様な問題点が全て解決できるわけではない。最近ポリマーの構造単位として嵩高いシクロヘキシレン基を有するポリカーボネートZ樹脂やビスフェノールZやビスフェノールC等と共重合させることにより、上記問題を解決することが試みられている。
【0012】
【発明が解決しようとしている課題】
本発明の目的は、耐摩耗性に優れ、耐久による電位の均一性を上げ、トナー融着を生じにくくさせ、良好な画像を供給できる電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、導電性支持体、及び有機感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体の表面層の、25℃で湿度50%環境下で表面皮膜硬度試験を行い、その時用いる圧子をビッカース四角錐ダイヤモンド圧子とし、最大荷重が5mN〜300mNの間で得られたユニバーサル硬さ値(Hu)が230N/mm2≦Hu≦700N/mm2であり、かつ該圧子による該表面層の塑性変形率が下記式(1)を満足し、かつ該表面層中に下記構造式(1)で示される構成単位を有する重合体を含有するか、又は該表面層中に下記構造式(2)又は(3)で示される構成単位を有する重合体を含有することを特徴とする電子写真感光体、この電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジが提供される。
また、本発明に従って、導電性支持体、及び有機感光層を有する電子写真感光体と、該電子写真感光体上にドット状の静電潜像を形成する露光手段と、を有し、該電子写真感光体の表面層が、25℃で湿度50%の環境下で表面皮膜硬度試験を行い、その時用いる圧子をビッカース四角錐ダイヤモンド圧子とし、最大荷重が5mN〜300mNの間で得られたユニバーサル硬さ値(Hu)が230N/mm 2 ≦Hu≦700N/mm 2 であり、かつ該圧子による該表面層の塑性変形率が下記式(1)を満足し、該露光手段により得られるドット状の静止像における有効現像光領域が60μm以下のスポット径であり、かつ該表面層中に下記構造式(1)で示される構成単位を有する重合体を含有するか、又は該表面層中に下記構造式(2)又は(3)で示される構成単位を有する重合体を含有することを特徴とする電子写真装置が提供される。
【0014】
【数3】
【化5】
式中、Xは−CR3R4−(但し、R3及びR4は各々独立に水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基である)、置換されてもよい炭素数5〜11の1,1−シクロアルキレン基、炭素数2〜10のα,ω−アルキレン基、単結合、−O−、−S−、−SO−、又は−SO2−である。また、R1及びR2は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、置換されてもよいアルキル基、アリール基、アルキレン基であり、a及びbは各々独立に0〜4の整数である。
【化6】
式中、R5及びR6は水素、置換されてもよいアルキル基及びハロゲン原子を示し、x及びyは1以上の整数を示し、m及びnは10以上の整数を示す。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に用いている表面皮膜硬度計は、従来のマイクロビッカース法の様に圧子を試料表面に押し込み、除荷後の残留くぼみを顕微鏡で測定し硬さを求める方法ではなく、圧子に連続的に荷重をかけ荷重下での押し込み深さを直読し、連続的に硬さを求める測定方法である。よって有機薄膜の様な弾性皮膜であっても測定可能である。
【0016】
この表面皮膜硬度計に用いる圧子には、ビッカースダイヤモンド圧子、ヌープ圧子、ベルコビッチ圧子、ボール圧子等がある。それぞれ測定条件の違いにより使い分ける。例えば、粘性の高い有機高分子膜を測定する際は、ボール圧子が適しているといわれている。またユニバーサル硬さ値(Hu)は、ビッカースダイヤモンド圧子による試験荷重下での押し込み深さを測定することにより下記式(2)によって規定される。
【0017】
【数4】
【0018】
また、圧子の荷重を減少させることにより、膜の弾性エネルギー(塑性エネルギー)を解析することもできる。塑性変形率(弾性変形率)は圧子が膜に対して行った仕事量(エネルギー)、すなわち圧子の膜に対する荷重の増減によるエネルギーの変化より求めたものであり、式(1)からその値は求まる。
【0019】
一般に有機高分子膜の外部応力に対する膜の変形には塑性変形と弾性変形があり、全変形量に対するそれぞれの変形の割合により、その膜の物性を性格づけるといわれている。例えば炭素繊維のような剛直さがあるものは、全体に占める塑性変形率が100%に近く、エラストマーのようなゴム状のものは、弾性変形率の割合が大きいといった具合である。
【0020】
ところで、有機電子写真感光体の表面層に早急に求められる性能として従来技術で述べたとおり、機械的劣化に対する耐久性の向上が挙げられる。これを実現するためには、膜の性状として剛直であるが脆かたっり、柔軟性はあるが延性があり過ぎたりしても使いこなしに難点がある。
【0021】
我々は鋭意検討の末、電子写真感光体表面層の硬度と変形率に着目し、表面皮膜硬度計を用いて得られるユニバーサル硬さ値(Hu)と塑性変形率(弾性変形率)の値が、ある範囲の場合に感光体表面層の機械的劣化が起り難くなることを見出した。すなわち、Huが230N/mm2未満の場合、現状の電子写真プロセスにおいては機械的強度の点で不十分であり、また700N/mm2を超える有機高分子膜は現状の有機電子写真感光体にするための製造上におけるハンドリングが著しく悪くなるため実用上困難であり、230N/mm2≦Hu≦700N/mm2の範囲で機械的強度と製造上の制約をクリアーできるのである。
【0022】
また、膜の塑性変形率についても70%以上変形してしまう材料では、クリーニングブレードや紙粉又はトナーに対して膜の弾性力が不足しており、それらが感光体表面に圧着し融着の原因になったり、傷をつけたりしてしまう。一方30%以下であると膜の延伸性が大きくなり過ぎ、クリーニングブレードとの密着性が上がり感光ドラム回転方向にブレードが引き込まれ、その時の応力の蓄積によりブレードがはじかれてしまい、クリーニング不良を生じさせてしまう。
【0023】
ところで、表面皮膜硬度試験に用いる圧子をビッカース四角鍾ダイヤモンド圧子とした場合、この圧子にかける荷重の最大値は5〜300mNの範囲である。これは電子写真感光体表面に対して、5mN未満であると膜の表面の凹凸等の影響を受けて、測定の精度が落ちるためであり、300mNを超える場合、表面層の膜厚にもよるが、圧子が基板の影響を受け易くなるためである。
【0024】
本発明による電子写真感光体は、表面層を形成する樹脂により特に優れた機械的強度を持つことができ、また微視的な電位ムラがなくなり、特にハーフトーン画像で均一な濃度となり、トナー融着等のない良好な画像得られるものである。また本発明による電子写真装置のうち、ドット状の静電潜像を形成する露光手段により得られる静止像のスポット径が60μm以下であるような小さな径であっても、電子写真感光体の表面の粗れが小さいために乱反射せず、画像ムラになり難い。
【0025】
本発明に用いられる樹脂群の一つとして、ポリアリレート樹脂の構成単位の具体例を表1で示すが、これらに限られるものではない。
【0026】
【表1】
【0027】
本発明において用いられる式(1)で示される構成単位を有する重合体は、下記式(4)で示されるビスフェノールをテレフタル酸塩化物/イソフタル酸塩化物の混合物とアルカリの存在下で溶媒/水系中にて混合し、界面重合を行うことにより作成される。テレフタル酸塩化物とイソフタル酸塩化物の比率は、その重合体の溶解性を考慮して決定されるもので定説はない。但し、いずれかの塩化物が30mol%以下になると、合成した重合体の溶解性が極端に低下するので注意が必要である。通常は1/1の比率で合成するのが好ましい。
【0028】
【化7】
【0029】
式中、Xは−CR3R4−(但し、R3及びR4は各々独立に水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜6のメチル、エチル等のアルキル基、又は炭素数6〜12のフェニル、ナフチル等のアリール基である)、置換されてもよい炭素数5〜11の1,1−シクロアルキレン基、炭素数2〜10のα,ω−アルキレン基、単結合、−O−、−S−、−SO−、又は−SO2−である。また、R1及びR2は各々独立に水素原子、ヨウ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、置換されてもよいメチル、エチル等のアルキル基、フェニル、ナフチル等のアリール基、エチレン、プロピレン等のアルキレン基であり、a及びbは各々独立に0〜4の整数である。
【0030】
本発明の電子写真感光体において、は式(1)で示される構成単位が同一のもので構成される重合体でも、2種類以上の式(1)で示される別種の構成単位からなる共重合体でもよい。好ましい例としては構成単位例1−1、1−2、1−7が挙げられ、構成単位が同一のもので構成される重合体の場合には構成単位例1−1からなる重合体が特に好ましく、2種類以上の式(1)で示される別種の構成単位からなる共重合体の場合には、構成単位例1−1と構成単位例1−2からなる共重合体が特に好ましい。
【0031】
更に、本発明に用いる樹脂群として下記式(2)又は(3)
【0032】
【化8】
【0033】
【化9】
【0034】
式中、R5及びR6は水素、置換されてもよいメチル、エチル等のアルキル基及びヨウ素、臭素、塩素等のハロゲン原子を示し、x及びyは1以上の整数を示し、m及びnは10以上の整数で示される構成単位を有するフェニレン構造を用いた。具体例を表2で示すが、これらに限られるものではない。
【0035】
【表2】
【0036】
本発明の電子写真感光体においては、式(2)又は(3)で示される構成単位が同一のもので構成される重合体でも、2種類以上の式(2)及び(3)で示される別種の構成単位からなる共重合体でもよい。好ましい例としては構成単位例2−1、2−2、2−6、2−7が挙げられ、構成単位が同一のもので構成される重合体の場合には構成単位例2−1からなる重合体が特に好ましく、2種類以上の式(2)及び(3)で示される別種の構成単位からなる共重合体の場合には、構成単位例2−1と構成単位例2−6からなる共重合体が特に好ましい。
【0037】
以下、本発明に用いる電子写真感光体の構成について説明する。本発明における電子写真感光体は、感光層が電荷輸送材料と電荷発生材料を同一の層に含有する単層型であっても、電荷輸送層と電荷発生層に分離した積層型でもよいが電子写真特性的には積層型が好ましい。
【0038】
使用する導電性支持体は導電性を有するものであればよく、アルミニウム、ステンレス等の金属、あるいは導電層を設けた金属、紙、プラスチック等が挙げられ、形状はシート状、円筒状等が挙げられる。
【0039】
支持体の傷を被覆することを目的とした導電層を設けてもよい。これはカーボンブラック、金属粒子等の導電性粉体をバインダー樹脂に分散させて形成することができる。導電層の膜厚は、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましく適当である。
【0040】
その上に接着機能を有する中間層を設ける。中間層の材料としてはポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、カゼイン、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン等が挙げられる。これらは適当な溶剤に溶解して塗布される。中間層の膜厚は0.05〜5μmが好ましく、0.3〜1μmがより好ましく適当である。
【0041】
中間層の上には、電荷発生層が形成される。本発明に用いられる電荷発生材料としてはセレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、フタロシアニン、アントアントロン、ジベンズピレンキノン、トリスアゾ、シアニン、ジスアゾ、モノアゾ、インジゴ、キナクリドン及び非対称キノシアニン系顔料が挙げられ、これらをバインダー樹脂と混合し、溶剤中に分散させた塗料を塗工乾燥して形成する。
【0042】
機能分離型の場合、電荷発生層は前記電荷発生材料をバインダー樹脂及び溶剤と共にホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アドライダー、ロールミル及び液衝突型高速分散機等の方法でよく分散する。
【0043】
ここで用いるバインダー樹脂としては例えばポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、塩化ビニルテン、ポリビニルベンザール樹脂、ボリブチラール樹脂等が主として用いられる。バインダー樹脂と顔料の比率は1/10〜10/1が好ましく、より好ましくは1.5/1〜3/1である。分散液を塗布、乾燥させて形成される。電荷発生層の膜厚は5μm以下が好ましく、0.01〜2μmがより好ましく適当である。
【0044】
電荷輸送層は主として、電荷輸送材料と本発明からなるバインダー樹脂とを溶剤中に溶解させた塗料を塗工、乾燥して形成する。用いられる電荷輸送材料としてはトリアリールアミン系化合物、ヒドラジン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン系化合物、オキサゾール系化合物、トリアリルメタン系化合物、チアゾール系化合物等が挙げられる。これらは0.5〜2倍量のバインダー樹脂と組み合わされ塗工、乾燥し電荷輸送層を形成する。電荷輸送層の膜厚は5〜50μmが好ましく、15〜35μmがより好ましく適当である。
【0045】
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。図1において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の像露光手段(不図示)からの画像露光光4を受ける。こうして感光体1の周面に静電潜像が順次形成されていく。
【0046】
この様にして得られた潜像のうちドット状に形成されたものは、近年デジタル画像形成装置へと応用されている。この系においては、ドット状の静止像における有効現像領域を絞れば、シャープな潜像が得られ、孤立ドットのトナーによる現像性が向上するものと考えられる。
【0047】
形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は、不図示の給紙部から感光体1と転写手段6との間に感光体1の回転と同期取り出されて給紙された転写材7に、転写手段6により順次転写されていく。
【0048】
像転写を受けた転写材7は、感光体面から分離されて像定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。像転写後の感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0049】
本発明においては、上述の電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。例えば、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9の少なくとも一つを感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール12等の案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ11とすることができる。
【0050】
また、画像露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動及び液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
【0051】
本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができる。
【0052】
【実施例】
以下実施例に従って説明する。実施例中、「部」は重量部を表す。
【0053】
(実施例1)
φ30mm、長さ357.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体とし、それに、以下の材料より構成される塗料を支持体上に浸漬法で塗布し、140℃で30分熱硬化して、15μmの導電層を形成した。
【0054】
導電性顔料:SnO2コート処理硫酸バリウム 10部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部
バインダー樹脂:フェノール樹脂 6部
レベリング材:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール/メトキシプロパノール 0.2/0.8 20部
【0055】
次に、この上にN−メトキシメチル化ナイロン3部及び共重合ナイロン3部をメタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を浸漬法で塗布し、0.5μmの中間層を形成した。
【0056】
次に、CuKα特性X線回折のブラック角(2θ±0.2°)の9.0°、14.2°、23.9°、及び27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン(TiOPc)4部とポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM2、積水化学製)2部及びシクロヘキサノン60部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、メチルエチルケトン100部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。これを浸漬法で塗布し、0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0057】
次に下記構造式の電荷輸送材10部
【0058】
【化10】
及び表3の条件1記載の重合体10部をモノクロロベンゼン30部/ジクロロメタン70部の混合溶媒に溶解した。
【0059】
この重合体は、所定ビフェノール(0.01mol)を水酸化ナトリウム(0.8g)、塩化テトラメチルアンモニウム(1g)を水100mlに溶かし1リットルのミキサー中に投入しこれに1,2−ジクロロエタン(30mol)にテレフタル酸塩化物(0.005mol)、イソフタル酸塩化物(0.005mol)を溶かしたものを攪拌しながら投入し、10分高速攪拌し2時間放置後、1,2−ジクロロエタン液を回収しこれに大量のヘキサンを投入し、ポリマーとして回収したものである。なお回収後に水洗浄、クロロホルム溶解、メタノール滴下による精製工程を行ったものを用いた。この塗料を浸漬法で塗布し、120℃で2時間乾燥し、18μmの電荷輸送層を形成した。
【0060】
次に評価について説明する。表面皮膜硬度測定には(株)フィッシャー・インストルメンツ製、フィッシャースコープH−100Vを用いて行い、ユニバーサル硬さ(Hu)と塑性変形率を求めた。この時の測定条件は、25℃で湿度50%環境下で最大荷重を100mNとし、荷重時間を20秒とした。
【0061】
次にキヤノン製GP55を光学系の改造を行い評価に用いた。作成した電子写真感光体をこの装置で、28℃で湿度90%RH環境下で通紙耐久を行った。シーケンスは連続耐久モードとした。耐久初期と10000枚において、電子写真感光体に対して微少表面電位計により、微少ポイントにおける電位を測定した。同時のハーフトーン画像を取り濃度ムラの有無を見た。
【0062】
また、感光体一回転でクリーニングができずに付着物として、感光体表面に観察された融着が10個以上ついた時の枚数を調べた。トナーが無くなったならば補給し、画像で問題が出るまで耐久した。更に、研磨テープを用いたテーバー摩耗試験機を用い、15分摩耗させそのときの重量減少分を測定した。その結果を表4に示す。
【0063】
(実施例2〜12)
電荷輸送層のバインダーに、表3の条件2〜12のものを用いた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作成し評価した。その結果を表4に示す。
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
(実施例13〜24)
電荷輸送層のバインダーに、表5の条件13〜24のものを用いた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作成し評価した。その結果を表6に示す。
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
(比較例1〜5)
電荷輸送層のバインダー樹脂に表7の条件1〜3のものを用いた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作成し評価した。その結果を表8に示す。
【0070】
【表7】
【0071】
【表8】
【0072】
【発明の効果】
以上、本発明により、耐摩擦性に優れ、耐久による電位の均一性を上げ、トナー融着を生じにくくさせ、良好な画像を供給できる電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
Claims (3)
- 導電性支持体、及び有機感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体の表面層の、25℃で湿度50%環境下で表面皮膜硬度試験を行い、その時用いる圧子をビッカース四角錐ダイヤモンド圧子とし、最大荷重が5mN〜300mNの間で得られたユニバーサル硬さ値(Hu)が230N/mm2≦Hu≦700N/mm2であり、かつ該圧子による該表面層の塑性変形率が下記式(1)
又は該表面層中に下記構造式(2)又は(3)で示される構成単位を有する重合体を含有することを特徴とする電子写真感光体:
- 導電性支持体、及び有機感光層を有する電子写真感光体と、該電子写真感光体上にドット状の静電潜像を形成する露光手段と、を有し、該電子写真感光体の表面層が、25℃で湿度50%の環境下で表面皮膜硬度試験を行い、その時用いる圧子をビッカース四角錐ダイヤモンド圧子とし、最大荷重が5mN〜300mNの間で得られたユニバーサル硬さ値(Hu)が230N/mm2≦Hu≦700N/mm2であり、かつ該圧子による該表面層の塑性変形率が下記式(1)を満足し、該露光手段により得られるドット状の静止像における有効現像光領域が60μm以下のスポット径であり、
又は該表面層中に下記構造式(2)又は(3)で示される構成単位を有する重合体を含有することを特徴とする電子写真装置:
- 請求項1に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選ばれた少なくとも一つの手段と、を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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