JP2006039093A - 電子写真感光体、その製造方法、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射で硬化した架橋層であることを特徴とする電子写真感光体。
【選択図】 なし
Description
感光層の耐摩耗性を改良する技術としては、(1)表面層に硬化性バインダーを用いたもの(例えば、特許文献1参照)、(2)高分子型電荷輸送物質を用いたもの(例えば、特許文献2参照)、(3)表面層に無機フィラーを分散させたもの(例えば、特許文献3参照)等が挙げられる。これらの技術の内、(1)の硬化性バインダーを用いたものは、電荷輸送物質との相溶性が悪いためや重合開始剤、未反応残基などの不純物により残留電位が上昇し画像濃度低下が発生し易い傾向がある。また、(2)の高分子型電荷輸送物質を用いたもの、及び(3)の無機フィラーを分散させたものは、ある程度の耐摩耗性向上が可能であるものの、有機感光体に求められている耐久性を十二分に満足させるまでには至っていない。さらに(3)の無機フィラーを分散させたものは、無機フィラー表面に存在するトラップにより残留電位が上昇し、画像濃度低下が発生し易い傾向にある。これら(1)、(2)、(3)の技術では、有機感光体に求められる電気的な耐久性、機械的な耐久性をも含めた総合的な耐久性を十二分に満足するには至っていない。
さらに、この感光体は、具体的には高分子バインダーを含有した状態でモノマーを反応させるため、硬化が充分に進行しないことや、硬化物とバインダー樹脂との相溶性の問題があり、硬化時に相分離による表面凹凸が生じクリーニング不良を引き起こす傾向が見られた。
(1)導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射で硬化した架橋層であることを特徴とする電子写真感光体。
(2)導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射で硬化した架橋層であり、さらに該感光体表面層のユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上であることを特徴とする電子写真感光体。
(4)導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射で硬化した架橋層であり、さらに該感光体表面層のユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上であることを特徴とする電子写真感光体。
(6)導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有せず且つ官能基がアクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基である3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射で硬化した架橋層であり、さらに該感光体表面層のユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上であることを特徴とする電子写真感光体。
(8)導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有し且つ官能基がアクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であるラジカル重合性化合物を10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射で硬化した架橋層であり、さらに該感光体表面層のユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上であることを特徴とする電子写真感光体。
(10)導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとトリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物を10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射で硬化した架橋層であり、さらに該感光体表面層のユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上であることを特徴とする電子写真感光体。
(16)導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層として少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を、10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射により硬化した架橋層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
(17)導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層として少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を、10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射により硬化して、ユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上である架橋層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
(19)導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層として少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を、10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射により硬化して、ユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上である架橋層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
(21)導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層として少なくとも電荷輸送性構造を有せず且つ官能基がアクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基である3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を、10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射により硬化して、ユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上である架橋層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
(23)導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層として少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有し且つ官能基がアクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であるラジカル重合性化合物を、10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射により硬化して、ユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上である架橋層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
(25)導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層として少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとトリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物を、10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射により硬化して、ユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上である架橋層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
(27)導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層として少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと前記一般式(1)又は(2)の一種以上のラジカル重合性化合物を、10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射により硬化して、ユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上である架橋層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
(29)導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層として少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと上記一般式(3)の一種以上のラジカル重合性化合物を、10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射により硬化して、ユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上である架橋層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
また前記課題は、(32)前記(1)〜(15)項のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段および除電手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を有するものであって、画像形成装置本体に着脱可能としたことを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ、により解決される。
本発明は、導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射で硬化した架橋層であることを特徴とする電子写真感光体とすることにより、耐摩耗性及び耐傷性が高く、かつ長期間にわたり高画質化を実現する電子写真感光体が達成されるものである。
本発明の架橋表面層に、3官能以上のラジカル重合性モノマーを用いており、これにより3次元の網目構造が発達し、架橋度が非常に高い高硬度架橋表面層が得られ、高い耐摩耗性が達成される。これに対し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーのみを用いた場合は、架橋表面層中の架橋結合が希薄となり飛躍的な耐摩耗性向上が達成されない。架橋表面層に高分子材料が含有されている場合、3次元網目構造の発達が阻害され架橋度の低下が起こり、本発明に比べ充分な耐摩耗性が得られない。更に、含有される高分子材料とラジカル重合性組成物(ラジカル重合性モノマーや電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物)の反応より生じた硬化物との相溶性が悪く、相分離から局部的な摩耗が生じ、表面の傷となって現れる。
光エネルギー照射量が10J/cm2未満の架橋膜は、架橋密度が十分でなく、実機において使用した場合、非常に摩耗しやすい。またトナーの付着力も大きくなり、クリーニング性が低下する。
本発明では、光エネルギー照射量を紫外線積算光量計UIT150<受光部UVD-S365>(ウシオ電機製)を用いて測定しているが、これと同等の性能を有するいかなる装置で測定された値でもよい。
本発明に用いられる電荷輸送性を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、且つラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
CH2=CH−X2− …(4)
(ただし、式中、X2は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R36)−基(R36は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−S−基を表す。)
これらの置換基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
CH2=C(Y4)−X3− …(5)
(ただし、式中、Y4は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR37基(R37は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR38R39(R38およびR39は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)、また、式(5)におけるX3は上記式(4)のX2と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y4、X3の少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。)
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
また、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、官能基が、2官能以上の多官能のものを使用することが出来るが、膜質及び静電特性的に、1官能であるものが好ましい。これは、2官能以上の電荷輸送性化合物を用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定されるが、電荷輸送性構造が非常に嵩高いため硬化樹脂中に歪みが発生し架橋表面層の内部応力が高くなり、キャリア付着等でクラックや傷の発生を引き起こしやすくなる。5μm以下の膜厚の場合、特に問題とはならないが、5μmを越える膜を形成した場合、前記架橋表面層の内部応力が非常に高くなり、架橋直後にクラックが発生しやすくなる。
前記一般式(1)、(2)において、R1の置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。
R1の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
前記Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C1〜C12、好ましくはC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表わし、アルキレンエーテル基アルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
置換もしくは未置換のアルキレン基としは、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、前記Xのアルキレンエーテル基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル基としては、カプロラクトン変性基が挙げられる。
但し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると架橋表面層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招く。このためこれらのモノマーやオリゴマーの含有量は、3官能以上のラジカル重合性モノマー100重量部に対し50重量部以下、好ましくは30重量部以下に制限される。
これらの重合開始剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性を有する総含有物100重量部に対し、0.5〜40重量部、好ましくは1〜20重量部である。
架橋表面層塗工液に含有される組成物においては、バインダー樹脂を含有させることも感光体表面の平滑性、電気特性、あるいは耐久性を損なわない範囲であれば可能である。しかし塗工液にバインダー樹脂などの高分子材料を含有させると、ラジカル重合性組成物(ラジカル重合性モノマー及び電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物)の硬化反応より生成した高分子との相溶性の悪さから相分離が生じ、架橋表面層表面の凹凸が激しくなる。したがって、バインダー樹脂は使用しない方が好ましい。
次いで、例えば、アルミシリンダー等の支持体上に、下引き層、電荷発生層、上記電荷輸送層を順次積層した感光体上に、上記調製した塗工液をスプレー等により塗布する。その後、比較的低温で短時間乾燥し(25〜80℃、1〜10分間)、光照射し硬化させる。
硬化終了後は、残留溶媒低減のため100〜150℃で10分〜30分加熱して、本発明の感光体を得る。
<電子写真感光体の層構造について>
本発明に用いられる電子写真感光体を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体上に、電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する感光層が設けられた単層構造の感光体である。架橋表面層が感光層全体の場合を示したのが図1−Aであり、架橋表面層が感光層の表面部分である場合を示したのが図1−Bである。
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
次に感光層について説明する。感光層は積層構造でも単層構造でもよい。
積層構造の場合には、感光層は電荷発生機能を有する電荷発生層と電荷輸送機能を有する電荷輸送層とから構成される。また、単層構造の場合には、感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。
<感光層が積層構成のもの>
(電荷発生層)
電荷発生層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
電荷発生層に併用できる低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
電荷輸送層は電荷輸送機能を有する層で、本発明の電荷輸送性構造を有する架橋表面層は電荷輸送層として有用に用いられる。架橋表面層が電荷輸送層の全体である場合、前述の架橋表面層作製方法に記載したように電荷発生層上に本発明のラジカル重合性組成物(電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー及び電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物;以下同じ)を含有する塗工液を塗布、必要に応じて乾燥後、光エネルギーにより硬化反応を開始させ、架橋表面層が形成される。このとき、架橋表面層の膜厚は、10〜30μm、好ましくは10〜25μmである。10μmより薄いと充分な帯電電位が維持できず、30μmより厚いと硬化時の体積収縮により下層との剥離が生じやすくなる。
電荷輸送物質としては、前記電荷発生層で記載した電子輸送物質、正孔輸送物質及び高分子電荷輸送物質を用いることができる。前述したように高分子電荷輸送物質を用いることにより、表面層塗工時の下層の溶解性を低減でき、とりわけ有用である。
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。但し、高分子電荷輸送物質を用いる場合は、単独でも結着樹脂との併用も可能である。
電荷輸送層の下層部分に併用できる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
電荷輸送層の下層部分の膜厚は、5〜40μm程度が適当であり、好ましくは10〜30μm程度が適当である。
単層構造の感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層で、本発明の電荷輸送性構造を有する架橋表面層は電荷発生機能を有する電荷発生物質を含有させることにより、単層構造の感光層として有用に用いられる。上記の電荷発生層のキャスティング形成方法に記載したように、電荷発生物質をラジカル重合性組成物を含有する塗工液と共に分散し、塗布、光エネルギーにより硬化反応を開始させ、架橋表面層が形成される。なお、電荷発生物質はあらかじめ溶媒と共に分散した液を本架橋表面層用塗工液に加えてもよい。このとき、架橋表面層の膜厚は、10〜30μm、好ましくは10〜25μmである。10μmより薄いと充分な帯電電位が維持できず、30μmより厚いと硬化時の体積収縮により導電性基体または下引き層との剥離が生じやすくなる。
単層構造の感光層中に含有される電荷発生物質は感光層全量に対し1〜30重量%が好ましく、感光層の下層部分に含有される結着樹脂は全量の20〜80重量%、電荷輸送物質は10〜70重量部が良好に用いられる。
本発明の感光体においては、架橋表面層が感光層の表面部分となる場合、架橋表面層への下層成分混入を抑える又は下層との接着性を改善する目的で中間層を設けることが可能である。この中間層はラジカル重合性組成物を含有する最表面層中に下部感光層組成物の混入により生ずる、硬化反応の阻害や架橋表面層の凹凸を防止する。また、下層の感光層と表面架橋層の接着性を向上させることも可能である。
本発明の感光体においては、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、架橋表面層、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、中間層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
(有機燐化合物類)
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して0.01〜10重量%である。
次に図面に基づいて本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置を詳しく説明する。
本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置とは、本発明は平滑な電荷輸送性架橋表面層を有する感光体を用い、例えば少なくとも感光体に帯電、画像露光、現像の過程を経た後、画像保持体(転写紙)へのトナー画像の転写、定着及び感光体表面のクリーニングというプロセスよりなる画像形成方法ならびに画像形成装置である。
場合により、静電潜像を直接転写体に転写し現像する画像形成方法等では、感光体に配した上記プロセスを必ずしも有するものではない。
次に、転写体9を感光体1より分離する手段として分離チャージャ11、分離爪12が用いられる。その他分離手段としては、静電吸着誘導分離、側端ベルト分離、先端グリップ搬送、曲率分離等が用いられる。分離チャージャ11としては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、必要に応じて感光体上の潜像を取り除く目的で除電手段が用いられる。除電手段としては除電ランプ2、除電チャージャが用いられ、それぞれ前記露光光源、帯電手段が利用できる。
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは公知のものが使用できる。
この画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でそれら装置内に組み込まれ、着脱自在としたものであってもよい。プロセスカートリッジの一例を図4に示す。
画像形成装置用プロセスカートリッジとは、感光体101を内蔵し、他に帯電手段102、現像手段104、転写手段106、クリーニング手段107、除電手段(図示せず)の少なくとも一つを具備し、画像形成装置本体に着脱可能とした装置(部品)である。
本発明は、本架橋表面層を有した感光体と帯電、現像、転写、クリーニング、除電手段の少なくとも一つを一体化した画像形成装置用プロセスカートリッジを提供するものである。
本発明における電荷輸送性構造を有する化合物は、例えば特許第3164426号公報記載の方法にて合成される。また、下記にこの一例を示す。
(1)ヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式B)の合成
メトキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式A)113.85g(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138g(0.92mol)にスルホラン240mlを加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99g(0.91mol)を1時間で滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し反応を終了させた。この反応液にトルエン約1.5Lを加え室温まで冷却し、水と炭酸ナトリウム水溶液で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマト処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=20:1)にて精製した。得られた淡黄色オイルにシクロヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして下記構造式Bの白色結晶88.1g(収率=80.4%)を得た。
融点:64.0〜66.0℃
上記(1)で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(構造式B)82.9g(0.227mol)をテトラヒドロフラン400mlに溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4g,水:100ml)を滴下した。この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2g(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌し反応を終了させた。この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマト処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして例示化合物No.54の白色結晶80.73g(収率=84.8%)を得た。
融点:117.5〜119.0℃
したがって、この感光体を用いることにより良好な画像を長期にわたり提供できる高性能で且つ信頼性の高い画像形成プロセス、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジが提供できる。
実施例1
Al製支持体(外径30mmφ)に、下記下引き層塗工液を、乾燥後の膜厚が28μmになるように浸漬法で塗工し、下引き層を形成した。
・下引き層用塗工液
アルキッド樹脂 6部
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂 4部
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製)
酸化チタン 40部
(CR−EL:石原産業)
メチルエチルケトン 50部
・電荷発生層用塗工液
下記構造のビスアゾ顔料 2.5部
シクロヘキサノン 200部
メチルエチルケトン 80部
・電荷輸送層用塗工液
ビスフェーノルZ型ポリカーボネート 10部
下記構造の低分子電荷輸送物質 10部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 0.2部
(KF50、信越化学工業製)
・架橋表面層塗工液
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 10部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 9部
(例示化合物No.54)
光重合開始剤 2部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン 80部
光エネルギー量として、21J/cm2とすること以外は全て実施例1と同じにして電子写真感光体を作製した。
実施例3
光エネルギー量として、35J/cm2とすること以外は全て実施例1と同じにして電子写真感光体を作製した。
実施例4
光エネルギー量として、47J/cm2とすること以外は全て実施例1と同じにして電子写真感光体を作製した。
実施例5
光エネルギー量として、53J/cm2とすること以外は全て実施例1と同じにして電子写真感光体を作製した。
実施例6
光エネルギー量として、60J/cm2とすること以外は全て実施例1と同じにして電子写真感光体を作製した。
光エネルギー量として、8J/cm2とすること以外は全て実施例1と同じにして電子写真感光体を作製した。
比較例2
光エネルギー量として、5J/cm2とすること以外は全て実施例1と同じにして電子写真感光体を作製した。
比較例3
光エネルギー量として、71J/cm2とすること以外は全て実施例1と同じにして電子写真感光体を作製した。
比較例4
光エネルギー量として、84J/cm2とすること以外は全て実施例1と同じにして電子写真感光体を作製した。
実施例1の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物として例示化合物No.363を用い、光エネルギー量として、22J/cm2とすること以外は全て実施例1と同じにして電子写真感光体を作製した。
実施例8
光エネルギー量として、54J/cm2とすること以外は全て実施例7と同じにして電子写真感光体を作製した。
比較例5
光エネルギー量として、6J/cm2とすること以外は全て実施例7と同じにして電子写真感光体を作製した。
光エネルギー量として、68J/cm2とすること以外は全て実施例7と同じにして電子写真感光体を作製した。
比較例7
架橋表面層を設けない事以外は全て実施例1と同じにして電子写真感光体を作製した。
作製した電子写真感光体について、表面皮膜物性試験機フィッシャースコープH−100V(フィッシャーインストルメンツ製)を用いて測定し、We/Wt値を求めた。結果を表3に示す。
作製した電子写真感光体について、リコー製IPSiO Color CX8200を用いて、10万枚の実機通紙試験(A4、スタート時帯電電位−700V)を実施し、摩耗特性、機内電位評価を行った。結果を表4、5に示す。
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写体
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
101 感光体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 転写体
106 転写手段
107 クリーニング手段
Claims (32)
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射で硬化した架橋層であることを特徴とする電子写真感光体。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射で硬化した架橋層であり、さらに該感光体表面層のユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上であることを特徴とする電子写真感光体。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射で硬化した架橋層であることを特徴とする電子写真感光体。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射で硬化した架橋層であり、さらに該感光体表面層のユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上であることを特徴とする電子写真感光体。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有せず且つ官能基がアクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基である3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射で硬化した架橋層であることを特徴とする電子写真感光体。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有せず且つ官能基がアクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基である3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射で硬化した架橋層であり、さらに該感光体表面層のユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上であることを特徴とする電子写真感光体。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有し且つ官能基がアクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であるラジカル重合性化合物を10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射で硬化した架橋層であることを特徴とする電子写真感光体。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有し且つ官能基がアクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であるラジカル重合性化合物を10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射で硬化した架橋層であり、さらに該感光体表面層のユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上であることを特徴とする電子写真感光体。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとトリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物を10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射で硬化した架橋層であることを特徴とする電子写真感光体。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとトリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物を10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射で硬化した架橋層であり、さらに該感光体表面層のユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上であることを特徴とする電子写真感光体。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと下記一般式(1)又は(2)の一種以上のラジカル重合性化合物を10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射で硬化した架橋層であることを特徴とする電子写真感光体。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと前記一般式(1)又は(2)の一種以上のラジカル重合性化合物を10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射で硬化した架橋層であり、さらに該感光体表面層のユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上であることを特徴とする電子写真感光体。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと前記一般式(3)の一種以上のラジカル重合性化合物を10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射で硬化した架橋層であり、さらに該感光体表面層のユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上であることを特徴とする電子写真感光体。
- 前記感光層が支持体側から電荷発生層、電荷輸送層、表面層の積層構成であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層として少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を、10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射により硬化した架橋層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層として少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を、10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射により硬化して、ユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上である架橋層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層として少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を、10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射により硬化した架橋層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層として少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を、10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射により硬化して、ユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上である架橋層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層として少なくとも電荷輸送性構造を有せず且つ官能基がアクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基である3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を、10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射により硬化した架橋層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層として少なくとも電荷輸送性構造を有せず且つ官能基がアクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基である3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を、10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射により硬化して、ユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上である架橋層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層として少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有し且つ官能基がアクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であるラジカル重合性化合物を、10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射により硬化した架橋層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層として少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有し且つ官能基がアクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であるラジカル重合性化合物を、10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射により硬化して、ユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上である架橋層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層として少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとトリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物を、10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射により硬化した架橋層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層として少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとトリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物を、10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射により硬化して、ユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上である架橋層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層として少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと前記一般式(1)又は(2)の一種以上のラジカル重合性化合物を、10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射により硬化した架橋層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層として少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと前記一般式(1)又は(2)の一種以上のラジカル重合性化合物を、10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射により硬化して、ユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上である架橋層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層として少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと前記一般式(3)の一種以上のラジカル重合性化合物を、10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射により硬化した架橋層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層として少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと上記一般式(3)の一種以上のラジカル重合性化合物を、10J/cm2以上60J/cm2以下の光エネルギー照射により硬化して、ユニバーサル硬さ試験におけるWe/Wt値が43%以上である架橋層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 請求項1〜15のいずれか一項に記載の電子写真感光体を用いて、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行なうことを特徴とする画像形成方法。
- 請求項1〜15のいずれか一項に記載の電子写真感光体を有することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1〜15のいずれか一項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段および除電手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を有するものであって、画像形成装置本体に着脱可能としたことを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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