JP4584061B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents
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Description
有機感光体は、表面層が低分子電荷輸送材料と不活性高分子を主成分としているため、一般に柔らかい。このため、電子写真プロセスにおいて繰り返し使用された場合、現像システムやクリーニングシステムによる機械的な負荷により、摩耗が発生しやすいという欠点を有している。加えて高画質化の要求から、トナー粒子の小粒径化に伴いクリーニング性を向上させる目的でクリーニングブレードのゴム硬度の上昇と当接圧力の上昇による磨耗の頻度の上昇が余儀なくされることとなり、このことも感光体の摩耗を促進する要因となっている。
しかしながら、この感光体においては、感光層上に設けた保護層にこの多官能のアクリレートモノマー硬化物を含有させる旨の記載があるものの、この保護層においては電荷輸送物質を含有せしめてもよい旨の記載されているのみで具体的にどのようにするのかという記載はない。しかも、単に表面層に低分子の電荷輸送物を含有させたとしても、上記硬化物と低分子の電荷輸送物との相溶性(相分離)の問題があり、その結果、低分子電荷輸送物質の析出、白濁現象の発生、さらに機械強度の低下の発生があった。
しかしながら、この感光層は嵩高い正孔輸送性化合物が二つ以上の連鎖重合性官能基を有するため硬化物中に歪みが発生し内部応力が高くなり、表面層の荒れや経時におけるクラックが発生しやすい場合があり、十分な耐久性を有していない。
しかしこの架橋樹脂層は、長期的な使用において、十分な耐久性を有しているとは言えず、また架橋条件により、表面性が大きく変化し、表面凹凸が大きくなりやすいことが判明した。そのためにクリーニング不良が発生しやすく、長期的に使用した場合、クリーニングブレードが局所的に欠け、クリーニング不良が発生し、スジ状の異常画像が発生することが明らかになった。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記第一の光重合開始剤の吸収波長は、前記第二の光重合開始剤の吸収波長よりも長波長であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記感光層中に電荷発生物質としてチタニルフタロシアニンを含有することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記チタニルフタロシアニンがCu−Kα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θの主要ピークが、少なくとも9.6°±0.2°、24.0°±0.2°および27.2°±0.2°にある結晶型を有することを特徴とする。
本発明は、導電性支持体上に少なくとも感光層、さらに電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物をUV照射して共重合させた表面層を積層させて作製される電子写真感光体であって、前記表面層を上層と下層の2層構成とし、それぞれの層に吸収波長の異なる光重合開始剤を含有させ、かつ、それぞれの層に含有させる光重合開始剤の吸収波長に発光エネルギーを有する複数のUVランプによりUV光を照射し、硬化させることで、表面層内部にわたって耐摩耗性及び耐傷性が高く、クリーニング特性に優れ、かつ長期間にわたり高画質化を実現する電子写真感光体が達成される。
本発明の表面層には3官能以上のラジカル重合性モノマーを用いており、これにより3次元の網目構造が発達し、架橋度が非常に高い高硬度の架橋表面層が得られるため、高い耐摩耗性が達成される。これに対し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーのみを用いた場合は、3官能以上のラジカル重合性モノマーを用いた架橋体に比して、架橋表面層中の架橋結合が希薄となり、飛躍的な耐摩耗性向上が達成されない。架橋表面層に高分子材料が含有されている場合には、3次元網目構造の発達が阻害され、すなわち架橋度の低下が起こり、本発明に比べ充分な耐摩耗性が得られない。
更に、含有される高分子材料とラジカル重合性組成物(ラジカル重合性モノマーや電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物)の反応の結果生じた硬化物との相溶性が悪く(すなわち相分離しやすい)、相分離から局部的な摩耗が生じ、表面の傷となって現れる。
本発明に用いられる電荷輸送性を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、あるいは例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送性を有する構造を有しておらず、且つ前記モノマーは、ラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。
CH2=CH−X2− 式(10)
ただし、式(10)中、X2は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R36)−基(R36は、水素、またはメチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−S−基を表す。
これらの置換基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
CH2=C(Y4)−X3−
なお、これらX2、X3、Y4についての置換基にさらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
前記一般式(1)、(2)において、R1の置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。
置換もしくは未置換のAr3、Ar4はアリール基であり、アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が挙げられる。
式(5)中、R3及びR4は各々独立に水素原子、前記(2)で定義したアルキル基、またはアリール基を表わす。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R3及びR4は共同で環を形成してもよい。
前記Ar1、Ar2で表わされるアリーレン基としては、前記Ar3、Ar4で表されるアリール基から誘導される2価基である。
R5は水素、アルキル基(前記(2)で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar3、Ar4で表わされるアリール基と同じ)、aは1または2、bは1〜3を表わす。
前記Zは置換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。
アルキレンオキシカルボニル基としては、カプロラクトン変性基が挙げられる。
式(3)中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、化学式(4)の基を表わす。
1官能のラジカルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。
この中でもスプレーコート法はスプレーガンの本数を増やすだけで簡単に多重層にすることが可能であることから、本発明の架橋表面層の塗布方法としては最適である。
例えば、架橋表面層の下層となる電荷輸送層において、電荷輸送物質としてトリアリールアミン系ドナー、及びバインダー樹脂として、ポリカーボネートを使用し、架橋表面層をスプレー塗工により形成する場合、上記塗工液の溶媒としては、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、酢酸エチル等が好ましく、その使用割合は、アクリレート化合物全量に対し3倍量〜10倍量である。
<電子写真感光体の層構造について>
本発明に用いられる電子写真感光体を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体31上に、電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する感光層32が設けられた単層構造の感光体である。架橋表面層が感光層32全体の場合を示したのが図1(a)であり、架橋表面層33が感光層の表面部分である場合を示したのが図1(b)である。
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
次に感光層について説明する。感光層は積層構造でも単層構造でもよい。
積層構造の場合には、感光層は電荷発生機能を有する電荷発生層と電荷輸送機能を有する電荷輸送層とから構成される。また、単層構造の場合には、感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。
<感光層が積層構成のもの>
(電荷発生層)
電荷発生層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
電荷輸送層は電荷輸送機能を有する層で、本発明の電荷輸送性構造を有する架橋表面層は電荷輸送層として有用に用いられる。架橋表面層が電荷輸送層の全体である場合、前述の架橋表面層作製方法に記載したように電荷発生層上に本発明のラジカル重合性組成物(電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー及び電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物;以下同じ)とフィラーを含有する塗工液を塗布、必要に応じて乾燥後、外部エネルギーにより硬化反応を開始させ、架橋表面層が形成される。このとき、架橋表面層の膜厚は、10〜30μm、好ましくは10〜25μmである。10μmより薄いと充分な帯電電位が維持できず、30μmより厚いと硬化時の体積収縮により下層との剥離が生じやすくなる。
単層構造の感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層で、本発明の電荷輸送性構造を有する架橋表面層は電荷発生機能を有する電荷発生物質を含有させることにより、単層構造の感光層として有用に用いられる。上記の電荷発生層のキャスティング形成方法に記載したように、電荷発生物質をラジカル重合性組成物を含有する塗工液と共に分散し、電荷発生層35上に塗布、必要に応じて乾燥後、外部エネルギーにより硬化反応を開始させ、架橋表面層が形成される。なお、電荷発生物質はあらかじめ溶媒と共に分散した液を本架橋表面層用塗工液に加えてもよい。このとき、架橋表面層の膜厚は、10〜30μm、好ましくは10〜25μmである。10μmより薄いと充分な帯電電位が維持できず、30μmより厚いと硬化時の体積収縮により導電性基体または下引き層との剥離が生じやすくなる。
本発明の感光体においては、架橋表面層が感光層の表面部分となる場合、架橋表面層への下層成分混入を抑える又は下層との接着性を改善する目的で中間層を設けることが可能である。この中間層はラジカル重合性組成物を含有する最表面層中に下部感光層組成物の混入により生ずる、硬化反応の阻害や架橋表面層の凹凸を防止する。また、下層の感光層と表面架橋層の接着性を向上させることも可能である。
本発明の感光体においては、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、架橋表面層、感光層、下引き層、中間層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
(フェノール系化合物)
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類などが挙げられる。
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなどが挙げられる。
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなどが挙げられる。
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなどが挙げられる。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して0.01〜10重量%である。
次に図面に基づいて本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置を詳しく説明する。
本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置とは、本発明は平滑な電荷輸送性架橋表面層を有する感光体を用い、例えば少なくとも感光体に帯電、画像露光、現像の過程を経た後、画像保持体(転写紙)へのトナー画像の転写、定着及び感光体表面のクリーニングというプロセスよりなる画像形成方法ならびに画像形成装置である。場合により、静電潜像を直接転写体に転写し現像する画像形成方法等では、感光体に配した上記プロセスを必ずしも有するものではない。
本発明における電荷輸送性構造を有する化合物は、例えば特許第3164426号公報記載の方法にて合成される。また、下記にこの一例を示す。(1)ヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式B)の合成
メトキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式A)113.85g(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138g(0.92mol)にスルホラン240mlを加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99g(0.91mol)を1時間で滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し反応を終了させた。この反応液にトルエン約1.5Lを加え室温まで冷却し、水と炭酸ナトリウム水溶液で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマト処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=20:1)にて精製した。得られた淡黄色オイルにシクロヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして下記構造式Bの白色結晶88.1g(収率=80.4%)を得た。元素分析値を表1に示す。融点:64.0〜66.0℃
上記(1)で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(構造式B)82.9g(0.227mol)をテトラヒドロフラン400mlに溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4g,水:100ml)を滴下した。この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2g(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌し反応を終了させた。この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマト処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして例示化合物No.54の白色結晶80.73g(収率=84.8%)を得た。元素分析値を表2に示す。またこの白色の結晶は、融点:117.5〜119.0℃であった。
次に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中において使用する「部」は、すべて重量部を表わす。
(合成例1)
1、3−ジイミノイソインドリン292gとスルホラン2000mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド204gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶をろ過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキを得た。このウェットケーキを、洗浄液からイオンが検出できなくなるまで、イオン交換水で徹底的に洗浄した。
X線管球 Cu 電圧40 kV 電流 20mA 走査速度1°/分
走査範囲 3°〜40° 時定数 2秒
下引き層用塗工液
アルキッド樹脂 6部
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂 4部
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製)
酸化チタン 40部 (CR−EL:石原産業)
メチルエチルケトン 50部
この下引き層上にチタニルフタロシアニン顔料を含む電荷発生層塗工液に浸漬塗工し、加熱乾燥させ、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
合成例1で作製されたチタニルフタロシアニン顔料 2.5部
ポリビニルブチラール(BX-1、積水化学社) 0.5部
メチルエチルケトン 280部
この電荷発生層上に下記構造の電荷輸送層用塗工液を用いて、浸積塗工し、加熱乾燥させ、膜厚22μmの電荷輸送層とした。
ビスフェーノルZ型ポリカーボネート 10部
下記構造式Cの低分子電荷輸送物質 10部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 0.2部
(KF50、信越化学工業製)
[A液]
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 5部
KAYARAD TMPTA(日本化薬製)
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 5部
KAYARAD DPCA120(日本化薬製)
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部
(例示化合物No.54)
下記構造式Dの光重合開始剤 (380nmに吸収あり) 0.5部
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 5部
KAYARAD TMPTA(日本化薬製)
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 5部
KAYARAD DPCA120(日本化薬製)
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部
(例示化合物No.54)
下記構造式Eの光重合開始剤 (250nmに吸収あり) 0.5部
Dバルブを除いてHバルブのみで光照射を2分行った以外は実施例1と同様に作製した。
Hバルブを除いてDバルブのみで光照射を2分行った以外は実施例1と同様に作製した。
架橋表面層塗工液として[A液]のみを用いて架橋表面層を5μm形成した以外は実施例1と同様に作製した。
架橋表面層塗工液として[B液]のみを用いて架橋表面層を5μm形成した以外は実施例1と同様に作製した。
アルコール可溶性ナイロン 5部
(CM−8000、東レ製)
メタノール 50部
ブタノール 20部
この下引き層上にチタニルフタロシアニン顔料を含む電荷発生層塗工液に浸漬塗工し、加熱乾燥させ、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
合成例1で作製されたチタニルフタロシアニン顔料 2.5部
ポリビニルブチラール(BX-1、積水化学社製) 0.5部
メチルエチルケトン 280部
この電荷発生層上に下記構造の電荷輸送層用塗工液を用いて、浸積塗工し、加熱乾燥させ、膜厚22μmの電荷輸送層とした。
ビスフェーノルZ型ポリカーボネート 10部
前記構造式Cの低分子電荷輸送物質 10部
テトラヒドロフラン 80部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 0.2部
(KF50、信越化学工業製)
[C液]
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 5部
KAYARAD TMPTA(日本化薬製)
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 5部
KAYARAD DPHA(日本化薬製)
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部
(例示化合物No.109)
下記構造式Gの光重合開始剤 (420nmに吸収あり) 0.5部
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 5部
KAYARAD TMPTA(日本化薬製)
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 5部
KAYARAD DPHA(日本化薬製)
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部
(例示化合物No.109)
前記構造式Eの光重合開始剤 (250nmに吸収あり) 0.5部
Vバルブを除いてHバルブのみで光照射を2分行った以外は実施例3と同様に作製した。
Hバルブを除いてVバルブのみで光照射を2分行った以外は実施例3と同様に作製した。
架橋表面層塗工液として[C液]のみを用いて架橋表面層を5μm形成した以外は実施例3と同様に作製した。
架橋表面層塗工液として[D液]のみを用いて架橋表面層を5μm形成した以外は実施例3と同様に作製した。
作製した電子写真感光体を、リコー製imagio Neo270(画像露光光源として780nmの半導体レーザー)を用いて、10万枚の実機通紙試験(A4、NBSリコー製MyPaper、スタート時帯電電位-700V)を実施し、摩耗特性、機内電位、画像評価を行った。結果を表3、4、5に示す。
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写紙
Claims (10)
- 導電性支持体上に感光層と表面層とを順次積層して形成する電子写真感光体の製造方法であって、
電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物と、第一の光重合開始剤と、を含む混合物を塗布する工程と、
電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物と、前記第一の光重合開始剤とは吸収波長が異なる第二の光重合開始剤と、を含む混合物を塗布する工程と、
前記第一の光重合開始剤及び前記第二の光重合開始剤の吸収波長それぞれに対応した光エネルギーを照射する工程と、を順次行い前記表面層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。 - 前記第一の光重合開始剤の吸収波長は、前記第二の光重合開始剤の吸収波長よりも長波長であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記感光層中に電荷発生物質としてチタニルフタロシアニンを含有することを特徴とする請求項1または2記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記チタニルフタロシアニンがCu−Kα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θの主要ピークが、少なくとも9.6°±0.2°、24.0°±0.2°および27.2°±0.2°にある結晶型を有することを特徴とする請求項3記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記ラジカル重合性モノマーは、電荷輸送性構造を有せず且つ官能基がアクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記ラジカル重合性化合物は、電荷輸送性構造を有し且つ官能基がアクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記ラジカル重合性化合物は、トリアリールアミン構造を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記ラジカル重合性化合物は、下記一般式(1)又は(2)の一種以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
〔一般式(1)又は(2)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR7(R7は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR8R9(R8及びR9は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar1、Ar2は置換もしくは未置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar3、Ar4は置換もしくは未置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。〕
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