JP4584061B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真感光体の製造方法に関し、特に、膜表面性が良好で、耐摩耗性が高く、表面層内部が均一に硬化し、電気的特性が良好な感光層を用いることにより、高耐久性で、長期間にわたり高画質化を実現する電子写真感光体の製造方法に関する。
近年、有機感光体(OPC:organic photo-sensitizer)は良好な性能を有し、かつ様々な利点から、無機感光体に代わり、複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ及びこれらの複合機に多く用いられている。この様な利点として、例えば(1)光吸収波長域の広帯域化及び光吸収量の増大等の光学特性、(2)高感度、安定な帯電特性等の電気的特性、(3)材料の選択範囲の広さ、(4)製造の容易さ、(5)低コスト、(6)無毒性、等が挙げられる。
一方、最近画像形成装置の小型化から、感光体(感光ドラムなど)の小径化が進み、機械の高速化やメンテナンスフリーの動きもさらに加わり、感光体の高耐久化も切望されるようになってきた。
有機感光体は、表面層が低分子電荷輸送材料と不活性高分子を主成分としているため、一般に柔らかい。このため、電子写真プロセスにおいて繰り返し使用された場合、現像システムやクリーニングシステムによる機械的な負荷により、摩耗が発生しやすいという欠点を有している。加えて高画質化の要求から、トナー粒子の小粒径化に伴いクリーニング性を向上させる目的でクリーニングブレードのゴム硬度の上昇と当接圧力の上昇による磨耗の頻度の上昇が余儀なくされることとなり、このことも感光体の摩耗を促進する要因となっている。
この様な感光体の摩耗は、感度の劣化、帯電性の低下などの電気的特性を劣化させ、画像濃度低下、地肌汚れ等の異常画像の原因となる。また摩耗が局所的に生じることにより発生した傷は、クリーニング不良によるスジ状汚れの画像発生をもたらす。現状では感光体の寿命は、この摩耗や傷が律速となっておりこれによって感光体の交換に至っているのが現状である。
したがって、有機感光体の高耐久化において、前述の摩耗量を如何に低減するかが、当分野で最も解決を迫られている課題の1つである。
感光層の耐摩耗性を改良する技術としては、(1)表面層に硬化性バインダーを用いた技術(例えば、特許文献1参照。)、(2)高分子型電荷輸送物質を用いた技術(例えば、特許文献2参照。)、(3)表面層に無機フィラーを分散させた技術(例えば、特許文献3参照。)等が挙げられる。
これらの技術の内、上記した(1)の硬化性バインダーを用いた技術は、電荷輸送物質との相溶性が悪いためや重合開始剤、未反応残基などの不純物により残留電位が上昇するなどにより、画像濃度低下が発生し易い傾向がある。
また、上記した(2)の高分子型電荷輸送物質を用いた技術、及び(3)の無機フィラーを分散させた技術は、ある程度の耐摩耗性向上が可能であるものの、有機感光体に求められている耐久性を十二分に満足させるまでには至っていない。
さらに上記した(3)の無機フィラーを分散させた技術は、無機フィラー表面に存在するトラップにより残留電位が上昇するなどにより、画像濃度低下が発生し易い傾向にある。これら上記した(1)、(2)、(3)の全ての技術では、有機感光体に求められる電気的な耐久性、機械的な耐久性をも含めた総合的な耐久性を十分に満足するには至っていないという問題点があった。
更に、上記した(1)の耐摩耗性と耐傷性を改良するために、多官能のアクリレートモノマーの硬化物を含有させた感光体も知られている(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、この感光体においては、感光層上に設けた保護層にこの多官能のアクリレートモノマー硬化物を含有させる旨の記載があるものの、この保護層においては電荷輸送物質を含有せしめてもよい旨の記載されているのみで具体的にどのようにするのかという記載はない。しかも、単に表面層に低分子の電荷輸送物を含有させたとしても、上記硬化物と低分子の電荷輸送物との相溶性(相分離)の問題があり、その結果、低分子電荷輸送物質の析出、白濁現象の発生、さらに機械強度の低下の発生があった。
さらに、この感光体は、具体的には高分子バインダーを含有した状態でモノマーを反応させるため、硬化が充分に進行しないことや、硬化物とバインダー樹脂との相溶性の問題があり、硬化時に相分離による表面凹凸が生じクリーニング不良を引き起こす傾向が見られた。
これらに代わる感光層の耐摩耗技術として、炭素−炭素二重結合を有するモノマーと、炭素−炭素二重結合を有する電荷輸送材及びバインダー樹脂からなる塗工液を用いて形成した電荷輸送層を設けることが知られており(例えば、特許文献5参照。)、このバインダー樹脂には、炭素−炭素二重結合を有し、上記電荷輸送剤に対して反応性を有するものと、上記二重結合を有せず反応性を有しないものが含まれる。
この感光体は耐摩耗性と良好な電気的特性を両立しており注目されるが、バインダー樹脂として反応性を有しないものを使用した場合においては、バインダー樹脂と、上記モノマーと電荷輸送剤との反応により生成した硬化物との相溶性が悪く、層分離から架橋時に表面凹凸が生じ、クリーニング不良を引き起こす傾向が見られた。また、上記のように、この場合バインダー樹脂がモノマーの硬化を妨げるほか、この感光体において使用される上記モノマーとして具体的に記載されているものは2官能性のものであり、この2官能性モノマーでは官能基数が少なく充分な架橋密度が得られず、これらの点で耐摩耗性の点では未だ満足するには至らなかった。また、反応性を有するバインダーを使用した場合においても、上記モノマーおよび上記バインダー樹脂に含有される官能基数の低さから、上記電荷輸送物質の結合量と架橋密度との両立は難しく、電気特性及び耐摩耗性も充分とは言えないものであった。
また、同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を硬化した化合物を含有する感光層も知られている(例えば、特許文献6参照。)。
しかしながら、この感光層は嵩高い正孔輸送性化合物が二つ以上の連鎖重合性官能基を有するため硬化物中に歪みが発生し内部応力が高くなり、表面層の荒れや経時におけるクラックが発生しやすい場合があり、十分な耐久性を有していない。
このようなことから本発明者らは、鋭意検討した結果、表面層を少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とを硬化させて形成した架橋樹脂層とすることにより、電気特性及び耐摩耗性が向上することを見出した。
しかしこの架橋樹脂層は、長期的な使用において、十分な耐久性を有しているとは言えず、また架橋条件により、表面性が大きく変化し、表面凹凸が大きくなりやすいことが判明した。そのためにクリーニング不良が発生しやすく、長期的に使用した場合、クリーニングブレードが局所的に欠け、クリーニング不良が発生し、スジ状の異常画像が発生することが明らかになった。
特開昭56−48637号公報 特開昭64−1728号公報 特開平4−281461号公報 特許第3262488号公報 特許第3194392号公報 特開2000−66425号公報
本発明は上述した実情を考慮してなされたものであって、本発明は、表面層内部にわたって耐摩耗性及び耐傷性が高く安定であり、且つ電気的特性が良好であり、長期間にわたり高画質化を実現した電子写真感光体の製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、導電性支持体上に感光層と表面層とを順次積層して形成する電子写真感光体の製造方法であって、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物と、第一の光重合開始剤と、を含む混合物を塗布する工程と、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物と、前記第一の光重合開始剤とは吸収波長が異なる第二の光重合開始剤と、を含む混合物を塗布する工程と、前記第一の光重合開始剤及び前記第二の光重合開始剤の吸収波長それぞれに対応した光エネルギーを照射する工程と、を順次行い前記表面層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記第一の光重合開始剤の吸収波長は、前記第二の光重合開始剤の吸収波長よりも長波長であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記感光層中に電荷発生物質としてチタニルフタロシアニンを含有することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記チタニルフタロシアニンがCu−Kα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θの主要ピークが、少なくとも9.6°±0.2°、24.0°±0.2°および27.2°±0.2°にある結晶型を有することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記ラジカル重合性モノマーは、電荷輸送性構造を有せず且つ官能基がアクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする。

請求項7に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記ラジカル重合性化合物は、電荷輸送性構造を有し且つ官能基がアクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記ラジカル重合性化合物は、トリアリールアミン構造を有することを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記ラジカル重合性化合物は、下記一般式(1)又は(2)の一種以上であることを特徴とする。
Figure 0004584061
Figure 0004584061
(式中、R1は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR7(R7は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくは−CONR8R9(R8及びR9はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基のいずれか1つを示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)のいずれか1つの原子または基を表わし、Ar1、Ar2は、置換もしくは未置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよく、Ar3、Ar4は、置換もしくは未置換のアリール基を表わし、同一であっても異なっていてもよく、Xは、単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基のいずれかを表わし、Zは、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わし、m、nは、0〜3の整数を表わす。)
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記ラジカル重合性化合物は、下記一般式(3)の一種以上であることを特徴とする。
Figure 0004584061
Figure 0004584061
(式中、o、p、qはそれぞれ独立して、0又は1の整数であり、Raは水素原子またはメチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数存在する場合には、これら複数のRb、Rcは異なっても良く、s、tは0〜3の整数を表わし、Zaは単結合、メチレン基、エチレン基または化学式(4)で表される基のいずれかを表わす。)
また導電性支持体上に少なくとも感光層、さらに電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物をUV照射によって共重合させた表面層を積層することで作製される電子写真感光体において、前記表面層を上層と下層の2層構成とし、それぞれの層が吸収波長の異なる光重合開始剤を含有し、かつ、それぞれの光重合開始剤の吸収波長に発光エネルギーを有する複数のUVランプで硬化した架橋層を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法を用いることにより表面層内部にわたって耐摩耗性が高く、良好な電気特性を有する、高耐久、高性能な感光体が得られる。
以下、図面を参照して、本発明を実施形態により、さらに詳細に説明する。
本発明は、導電性支持体上に少なくとも感光層、さらに電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物をUV照射して共重合させた表面層を積層させて作製される電子写真感光体であって、前記表面層を上層と下層の2層構成とし、それぞれの層に吸収波長の異なる光重合開始剤を含有させ、かつ、それぞれの層に含有させる光重合開始剤の吸収波長に発光エネルギーを有する複数のUVランプによりUV光を照射し、硬化させることで、表面層内部にわたって耐摩耗性及び耐傷性が高く、クリーニング特性に優れ、かつ長期間にわたり高画質化を実現する電子写真感光体が達成される。
この理由としては以下の要因が挙げられる。
本発明の表面層には3官能以上のラジカル重合性モノマーを用いており、これにより3次元の網目構造が発達し、架橋度が非常に高い高硬度の架橋表面層が得られるため、高い耐摩耗性が達成される。これに対し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーのみを用いた場合は、3官能以上のラジカル重合性モノマーを用いた架橋体に比して、架橋表面層中の架橋結合が希薄となり、飛躍的な耐摩耗性向上が達成されない。架橋表面層に高分子材料が含有されている場合には、3次元網目構造の発達が阻害され、すなわち架橋度の低下が起こり、本発明に比べ充分な耐摩耗性が得られない。
更に、含有される高分子材料とラジカル重合性組成物(ラジカル重合性モノマーや電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物)の反応の結果生じた硬化物との相溶性が悪く(すなわち相分離しやすい)、相分離から局部的な摩耗が生じ、表面の傷となって現れる。
また本発明の架橋表面層は、上記3官能性ラジカル重合性モノマーに加え、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含有しており、これが上記3官能以上のラジカル重合性モノマー硬化時に架橋結合中に取り込まれる。これに対し、官能基を有しない低分子電荷輸送物質を架橋表面層中に含有させた場合、その相溶性の低さから低分子電荷輸送物質の析出や白濁現象が起こり、架橋表面層の機械的強度も低下する。
さらに本発明の架橋表面層は、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物をUV照射によって共重合させたものであり、さらに詳細には前記架橋表面層を上層と下層の2層構成とし、それぞれの層に吸収波長の異なる光重合開始剤を含有させ、かつ、それぞれの層に含有させる光重合開始剤の吸収波長に発光エネルギーを有する複数のUVランプによりUV光を照射して硬化することで形成している。
重合を開始させるためにはまず光重合開始剤によってラジカルを発生させるが、そのためには光重合開始剤に光を吸収させなければならず、光重合開始剤の吸収波長に適合する波長の光を照射しなければならない。
UVランプはその種類によって発光波長が異なるため、光重合開始剤の吸収波長に合ったUVランプを選択する必要がある。また、一般にラジカル重合性化合物の架橋反応において、最表面を硬化する場合は波長の短いUVランプが良好なのに対して、内部の硬化はより長波長に発光するUVランプを選択することが良好である。
したがって表面層の最表面から表面層内部まで均一に硬化させるためには最外表面には短波長に吸収をもつ光重合開始剤を含有させ、表面層内部には長波長に吸収を持つ光重合開始剤を含有させて、さらにそれらの光重合開始剤の吸収波長に発光エネルギーを持つ複数のUVランプを用いる必要がある。
次に、本発明の架橋表面層を形成するために使用される架橋表面層塗布液の構成材料について説明する。
本発明に用いられる電荷輸送性を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、あるいは例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送性を有する構造を有しておらず、且つ前記モノマーは、ラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。
これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表される官能基が挙げられる。
CH2=CH−X2− 式(10)
ただし、式(10)中、X2は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R36)−基(R36は、水素、またはメチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−S−基を表す。
これらの置換基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表される官能基が挙げられる。
CH2=C(Y4)−X3−
ただし、式中、Y4は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR37基(R37は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR38R39(R38およびR39は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一であってもよく、また、異なっていてもよい。)、また、X3は上記式(10)のX2と同一の置換基及び単結合、アルキレン基のいずれかを表す。ただし、Y4,X3の少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び一価の芳香族性基である。
これらの置換基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
なお、これらX2、X3、Y4についての置換基にさらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用であり、3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。
また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も前記同様の例えば水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とメタアクリル酸(塩)、メタアクリル酸ハライド、メタアクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させにして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なっても良い。
電荷輸送性構造を有しない3官能以上の具体的なラジカル重合性モノマーとしては、以下のものが例示されるが、これらの化合物に限定されるものではない。すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独で用いてもよく、又、2種類以上を併用してもよい。
また、本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの成分割合は、架橋表面層全量に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。モノマー成分が20重量%未満では架橋表面層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成されない。また、80重量%以上では電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じる。使用されるプロセスによって要求される耐摩耗性や電気特性が異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
本発明に用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しており、且つラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。このラジカル重合性官能基としては、先のラジカル重合性モノマーで示したものが挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。
また、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、官能基が、2官能以上の多官能のものを使用することが出来るが、膜質及び静電特性的に、1官能であるものが好ましい。これは、2官能以上の電荷輸送性化合物を用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定されるが、電荷輸送性構造が非常に嵩高いため硬化樹脂中に歪みが発生し架橋表面層の内部応力が高くなり、キャリア付着等でクラックや傷の発生を引き起こしやすくなる。5μm以下の膜厚の場合、特に問題とはならないが、5μmを越える膜を形成した場合、前記架橋表面層の内部応力が非常に高くなり、架橋直後にクラックが発生しやすくなる。
また静電的特性においても、2官能以上の電荷輸送性化合物を用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定されるため、電荷輸送時の中間体構造(カチオンラジカル)が安定して保てず、電荷のトラップによる感度の低下、残留電位の上昇を起こしやすくなる。これらの電気的特性の劣化は、画像濃度低下、文字の細り等の画像として現れる。このようなことから、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を用い、架橋結合間にペンダント状に固定化することにより、クラックや傷の発生、及び静電的特性の安定化しやすくなる。
また、電荷輸送性構造としてはトリアリールアミン構造の効果が高い。また官能基数が1つであるものが好ましく、さらには前記一般式(1)又は(2)の構造で示される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続される。
式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR7(R7は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR8R9(R8及びR9は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar1、Ar2は置換もしくは未置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar3、Ar4は置換もしくは未置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。
以下に、一般式(1)、(2)の具体例を示す。
前記一般式(1)、(2)において、R1の置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。
R1の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
置換もしくは未置換のAr3、Ar4はアリール基であり、アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が挙げられる。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
該非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。また、前記Ar3、Ar4で表わされるアリール基は例えば以下に示すような置換基を有してもよい。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。(2)アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR2)であり、R2は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。(6)一般式(5)の化合物として、
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式(5)中、R3及びR4は各々独立に水素原子、前記(2)で定義したアルキル基、またはアリール基を表わす。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R3及びR4は共同で環を形成してもよい。
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等が挙げられる。
前記Ar1、Ar2で表わされるアリーレン基としては、前記Ar3、Ar4で表されるアリール基から誘導される2価基である。
前記Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C1〜C12、好ましくはC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C5〜C7の環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基を有していても良い。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表わし、アルキレンエーテル基アルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
ビニレン基は、一般式(6)で表わされ、
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R5は水素、アルキル基(前記(2)で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar3、Ar4で表わされるアリール基と同じ)、aは1または2、bは1〜3を表わす。
前記Zは置換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。
置換もしくは未置換のアルキレン基としては、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、前記Xのアルキレンエーテル基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル基としては、カプロラクトン変性基が挙げられる。
また、本発明の1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物として更に好ましくは、前記一般式(3)の構造の化合物が挙げられる。
式(3)中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、化学式(4)の基を表わす。
上記一般式で表わされる化合物としては、Rb、Rcの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
本発明で用いる上記一般式(1)及び(2)特に(3)の1官能性の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、3官能以上のラジカル重合性モノマーとの重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)するが、主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少なく、また、電子写真感光体の表面層とした場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。
本発明の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例をNO.1〜NO.160に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
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本発明の2官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例をNO.161〜NO.363に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
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本発明の3官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例をNO.364〜NO.382に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
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また、本発明に用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、架橋表面層の電荷輸送性能を付与するために重要で、この成分は架橋表面層全量に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。この成分が20重量%未満では架橋表面層の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの電気特性の劣化が現れる。また、80重量%以上では電荷輸送構造を有しない3官能モノマーの含有量が低下し、架橋結合密度の低下を招き高い耐摩耗性が発揮されない。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
本発明の架橋表面層は、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化したものであるが、これ以外に塗工時の粘度調整、架橋表面層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与の目的で1官能及び2官能のラジカル重合性モノマー及びラジカル重合性オリゴマーを併用することができる。これらのラジカル重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
1官能のラジカルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。
2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位:20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。但し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると架橋表面層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招く。このためこれらのモノマーやオリゴマーの含有量は、3官能以上のラジカル重合性モノマー100重量部に対し50重量部以下、好ましくは30重量部以下に制限される。
また、本発明の表面層は少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を光エネルギー照射により硬化したものであるが、この架橋反応を効率よく進行させるためには架橋表面層中に重合開始剤を使用することが好ましい。また架橋反応をさらに効率よく進行させるためにはUVランプの発光波長に合致した光重合開始剤を選択することが重要である。
重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、などのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、などのチオキサントン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、が挙げられる。また、光重合促進効果を有するものを単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
表面層内部を均一に硬化させるためにこれらの重合開始剤から異なる吸収波長を有する複数の重合開始剤を選択し、表面層の上層と下層にそれぞれ添加する。またこれらの選択した重合開始剤の吸収波長に適合する発光波長を有する複数のUVランプを用いてUV照射を行い硬化する。重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性を有する総含有物100重量部に対し、0.5〜40重量部、好ましくは1〜20重量部である。
更に、本発明の塗工液は必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上の目的)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質などの添加剤が含有できる。これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分に対し20重量%以下、好ましくは10%以下に抑えられる。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分に対し3重量%以下が適当である。
本発明の架橋表面層は、少なくとも電荷輸送構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含有する塗工液を塗布、硬化することにより形成される。かかる塗工液はラジカル重合性モノマーが液体である場合、これに他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。このとき用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよい。溶媒による希釈率は組成物の溶解性、塗工法、目的とする膜厚により変わり、任意である。
架橋表面層の塗布方法としては、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などがあり、どのような塗布方法を用いてもよいが、架橋表面層の上層と下層で光重合開始剤の種類を変える必要性、塗工液の汚染防止などの理由により、スプレーコート、ビードコート、リングコートなどの塗工法が好ましい。
この中でもスプレーコート法はスプレーガンの本数を増やすだけで簡単に多重層にすることが可能であることから、本発明の架橋表面層の塗布方法としては最適である。
本発明の架橋表面層は、かかる塗工液を塗布後、外部から光エネルギーを与え硬化させる。光エネルギーを発生させる光源としては主に紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUVランプを利用する。
UVランプはその種類によって発光波長が決まっており、吸収波長の異なる光重合開始剤を複数使用する場合は、1種類のUVランプでは必要な波長の光エネルギーを得ることが困難である。しかしながら複数のUVランプを用いることで、目的とする波長領域の光を得ることができ、架橋表面層内を均一かつ、高硬度とすることが可能となる。
また、複数のUVランプはそれぞれ別々に照射しても構わないが、その場合、最表面、もしくは内部の硬化速度が異なり、シワ、ざらつき等、膜特性が悪くなることがあるため、複数のUVランプを同時に照射することが好ましい。
照射光量は300mW/cm2以上、1000mW/cm2以下が好ましく、300mW/cm2未満では硬化反応に時間を要する。1000mW/cm2より強いと反応の進行が不均一となり、架橋表面層の荒れが激しくなる。
また光エネルギーにより硬化するときには、酸素による架橋阻害を防止するために、酸素濃度0.001〜2.0%にすることが望ましい。通常の大気では、約21%の酸素濃度であるために、光エネルギー照射槽内に窒素、ヘリウム、アルゴン等のガスを送り、槽内の空気の置換を行う。
これらのガスによる置換を行い、光エネルギー照射中に、酸素濃度0.001〜2.0%の低酸素濃度雰囲気を維持することにより、架橋密度が大きく、表面平滑性の高い膜が形成され、さらに低照射光量でも比較的良好な膜が形成される。
架橋表面層塗工液に含有される組成物においては、バインダー樹脂を含有させることも感光体表面の平滑性、電気特性、あるいは耐久性を損なわない範囲であれば可能である。しかし塗工液にバインダー樹脂などの高分子材料を含有させると、ラジカル重合性組成物(ラジカル重合性モノマー及び電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物)の硬化反応より生成した高分子との相溶性の悪さから相分離が生じ、架橋表面層表面の凹凸が激しくなる。したがって、バインダー樹脂は使用しない方が好ましい。
本発明の架橋表面層においては、電気的特性を維持するため嵩高い電荷輸送性構造を含有させ、且つ高強度化のため架橋結合密度を高める必要がある。このような架橋表面層塗工後の硬化にあたっては、非常に高いエネルギーを外部から加え急激に反応を進めると、硬化が不均一に進行し架橋膜表面の凹凸が激しくなる。このため光の照射強度、重合開始剤量により反応速度制御が可能な光の外部エネルギーを用いたものが好ましい。
本発明の架橋表面層形成材料を用いた場合において、塗工方法について例示すると、例えば、塗工液として、3つのアクリロイルオキシ基を有するアクリレートモノマーと、一つのアクリロイルオキシ基を有するトリアリールアミン化合物を使用する場合、これらの使用割合は7:3から3:7であり、また、重合開始剤をこれらアクリレート化合物全量に対し3〜20重量%添加し、さらに溶媒を加えて塗工液を調製する。
例えば、架橋表面層の下層となる電荷輸送層において、電荷輸送物質としてトリアリールアミン系ドナー、及びバインダー樹脂として、ポリカーボネートを使用し、架橋表面層をスプレー塗工により形成する場合、上記塗工液の溶媒としては、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、酢酸エチル等が好ましく、その使用割合は、アクリレート化合物全量に対し3倍量〜10倍量である。
次いで、例えば、アルミシリンダー等の支持体上に、下引き層、電荷発生層、上記電荷輸送層を順次積層した感光体上に、上記調製した塗工液をスプレー等により塗布する。その後、比較的低温で短時間乾燥し(25〜80℃、1〜10分間)、光エネルギー照射あるいは加熱して硬化させる。
UV照射の場合、高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等を用いるが、照度(365nm)は300mW/cm2以上、1000mW/cm2以下が好ましく、例えば600mW/cm2のUV光を照射する場合、例えば硬化に際し、ドラムを回転して全ての面を均一に45〜360秒程度照射すればよい。硬化終了後は、残留溶媒低減のため100〜150℃で10分〜30分加熱して、本発明の感光体を得る。
以下、本発明をその層構造に従い説明する。
<電子写真感光体の層構造について>
本発明に用いられる電子写真感光体を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体31上に、電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する感光層32が設けられた単層構造の感光体である。架橋表面層が感光層32全体の場合を示したのが図1(a)であり、架橋表面層33が感光層の表面部分である場合を示したのが図1(b)である。
図2は、導電性支持体上に、電荷発生機能を有する電荷発生層35と、電荷輸送物機能を有する電荷輸送層34とが積層された積層構造の感光体である。架橋表面層33が電荷輸送層全体の場合を示すのが図2(a)であり、架橋表面層が電荷輸送層の表面部分である場合を示すのが図2(b)である。
<導電性支持体について>
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
<感光層について>
次に感光層について説明する。感光層は積層構造でも単層構造でもよい。
積層構造の場合には、感光層は電荷発生機能を有する電荷発生層と電荷輸送機能を有する電荷輸送層とから構成される。また、単層構造の場合には、感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。
以下、積層構造の感光層及び単層構造の感光層のそれぞれについて述べる。
<感光層が積層構成のもの>
(電荷発生層)
電荷発生層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。そのなかで特にフタロシアニン類が有用に用いられ、中でもチタニルフタロシアニン、そのなかでも、少なくともCu−Kα線に対するX線回折スペクトルにおいてブラッグ角2θの主要ピークが少なくとも9.6°±0.2°、24.0°±0.2°および27.2°±0.2°にある結晶型を有するチタニルフタロシアニンは高感度材料として特に有効である。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。また、電荷発生層のバインダー樹脂として上述のバインダー樹脂の他に、電荷輸送機能を有する高分子電荷輸送物質、例えば、アリールアミン骨格やベンジジン骨格やヒドラゾン骨格やカルバゾール骨格やスチルベン骨格やピラゾリン骨格等を有するポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン、アクリル樹脂等の高分子材料やポリシラン骨格を有する高分子材料等を用いることができる。
前者の具体的な例としては、特開平01−001728号公報、特開平01−009964号公報、特開平01−013061号公報、特開平01−019049号公報、特開平01−241559号公報、特開平04−011627号公報、特開平04−175337号公報、特開平04−183719号公報、特開平04−225014号公報、特開平04−230767号公報、特開平04−320420号公報、特開平05−232727号公報、特開平05−310904号公報、特開平06−234836号公報、特開平06−234837号公報、特開平06−234838号公報、特開平06−234839号公報、特開平06−234840号公報、特開平06−234841号公報、特開平06−239049号公報、特開平06−236050号公報、特開平06−236051号公報、特開平06−295077号公報、特開平07−056374号公報、特開平08−176293号公報、特開平08−208820号公報、特開平08−211640号公報、特開平08−253568号公報、特開平08−269183号公報、特開平09−062019号公報、特開平09−043883号公報、特開平09−71642号公報、特開平09−87376号公報、特開平09−104746号公報、特開平09−110974号公報、特開平09−110976号公報、特開平09−157378号公報、特開平09−221544号公報、特開平09−227669号公報、特開平09−235367号公報、特開平09−241369号公報、特開平09−268226号公報、特開平09−272735号公報、特開平09−302084号公報、特開平09−302085号公報、特開平09−328539号公報等に記載の電荷輸送性高分子材料が挙げられる。
また、後者の具体例としては、例えば特開昭63−285552号公報、特開平05−19497号公報、特開平05−70595号公報、特開平10−73944号公報等に記載のポリシリレン重合体が例示される。また、電荷発生層には低分子電荷輸送物質を含有させることができる。
電荷発生層に併用できる低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
(電荷輸送層について)
電荷輸送層は電荷輸送機能を有する層で、本発明の電荷輸送性構造を有する架橋表面層は電荷輸送層として有用に用いられる。架橋表面層が電荷輸送層の全体である場合、前述の架橋表面層作製方法に記載したように電荷発生層上に本発明のラジカル重合性組成物(電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー及び電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物;以下同じ)とフィラーを含有する塗工液を塗布、必要に応じて乾燥後、外部エネルギーにより硬化反応を開始させ、架橋表面層が形成される。このとき、架橋表面層の膜厚は、10〜30μm、好ましくは10〜25μmである。10μmより薄いと充分な帯電電位が維持できず、30μmより厚いと硬化時の体積収縮により下層との剥離が生じやすくなる。
また、架橋表面層が電荷輸送層の表面部分に形成され、電荷輸送層が積層構造である場合、電荷輸送層の下層部分は電荷輸送機能を有する電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成し、この上に上記本発明のラジカル重合性組成物とフィラーを含有する塗工液を塗布し、外部エネルギーにより架橋硬化させる。
電荷輸送物質としては、前記電荷発生層で記載した電子輸送物質、正孔輸送物質及び高分子電荷輸送物質を用いることができる。前述したように高分子電荷輸送物質を用いることにより、表面層塗工時の下層の溶解性を低減でき、とりわけ有用である。
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。但し、高分子電荷輸送物質を用いる場合は、単独でも結着樹脂との併用も可能である。
電荷輸送層の下層部分の塗工に用いられる溶媒としては前記電荷発生層と同様なものが使用できるが、電荷輸送物質及び結着樹脂を良好に溶解するものが適している。これらの溶剤は単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。また、電荷輸送層の下層部分の形成には電荷発生層と同様な塗工法が可能である。また、必要により可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
電荷輸送層の下層部分に併用できる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般に用いられる樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
電荷輸送層の下層部分に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
電荷輸送層の下層部分の膜厚は、5〜40μm程度が適当であり、好ましくは10〜30μm程度が適当である。架橋表面層が電荷輸送層の表面部分である場合、前述の架橋表面層作製方法に記載したように、かかる電荷輸送層の下層部分上に本発明のラジカル重合性組成物を含有する塗工液を塗布、必要に応じて乾燥後、熱や光の外部エネルギーにより硬化反応を開始させ、架橋表面層が形成される。このとき、架橋表面層の膜厚は、1〜20μm、好ましくは2〜10μmである。1μmより薄いと膜厚ムラによって耐久性がバラツキ、20μmより厚いと電荷輸送層全体の膜厚が厚くなり電荷の拡散から画像の再現性が低下する。
<感光層が単層のもの>
単層構造の感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層で、本発明の電荷輸送性構造を有する架橋表面層は電荷発生機能を有する電荷発生物質を含有させることにより、単層構造の感光層として有用に用いられる。上記の電荷発生層のキャスティング形成方法に記載したように、電荷発生物質をラジカル重合性組成物を含有する塗工液と共に分散し、電荷発生層35上に塗布、必要に応じて乾燥後、外部エネルギーにより硬化反応を開始させ、架橋表面層が形成される。なお、電荷発生物質はあらかじめ溶媒と共に分散した液を本架橋表面層用塗工液に加えてもよい。このとき、架橋表面層の膜厚は、10〜30μm、好ましくは10〜25μmである。10μmより薄いと充分な帯電電位が維持できず、30μmより厚いと硬化時の体積収縮により導電性基体または下引き層との剥離が生じやすくなる。
また、架橋表面層が単層構造の感光層の表面部分である場合、感光層の下層部分は電荷発生機能を有する電荷発生物質と電荷輸送機能を有する電荷輸送物質と結着樹脂を適当な溶媒に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤等を添加することもできる。電荷発生物質の分散方法、それぞれ電荷発生物質、電荷輸送物質、可塑剤、レベリング剤は前記感光層において既に述べたものと同様なものが使用できる。結着樹脂としては、先に電荷輸送層の項で挙げた結着樹脂のほかに、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。また、先に挙げた高分子電荷輸送物質も使用可能で、架橋表面層への下層感光層組成物の混入を低減できる点で有用である。かかる感光層の下層部分の膜厚は、5〜30μm程度が適当であり、好ましくは10〜25μm程度が適当である。
架橋表面層が単層構造の感光層の表面部分である場合、前述のようにかかる感光層の下層部分上に本発明のラジカル重合性組成物と電荷発生物質を含有する塗工液を塗布、必要に応じて乾燥後、熱や光の外部エネルギーにより硬化し、架橋表面層を形成する。このとき、架橋表面層の膜厚は、1〜20μm、好ましくは2〜10μmである。1μmより薄いと膜厚ムラによって耐久性のバラツキが生じる。
単層構造の感光層中に含有される電荷発生物質は感光層全量に対し1〜30重量%が好ましく、感光層の下層部分に含有される結着樹脂は全量の20〜80重量%、電荷輸送物質は10〜70重量部が良好に用いられる。
<中間層について>
本発明の感光体においては、架橋表面層が感光層の表面部分となる場合、架橋表面層への下層成分混入を抑える又は下層との接着性を改善する目的で中間層を設けることが可能である。この中間層はラジカル重合性組成物を含有する最表面層中に下部感光層組成物の混入により生ずる、硬化反応の阻害や架橋表面層の凹凸を防止する。また、下層の感光層と表面架橋層の接着性を向上させることも可能である。
中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく一般に用いられる塗工法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
<下引き層について>
本発明の感光体においては、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
<各層への酸化防止剤の添加について>
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、架橋表面層、感光層、下引き層、中間層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
(フェノール系化合物)
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類などが挙げられる。
(パラフェニレンジアミン類)
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
(ハイドロキノン類)
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなどが挙げられる。
(有機硫黄化合物類)
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなどが挙げられる。
(有機燐化合物類)
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなどが挙げられる。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して0.01〜10重量%である。
<画像形成方法及び装置について>
次に図面に基づいて本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置を詳しく説明する。
本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置とは、本発明は平滑な電荷輸送性架橋表面層を有する感光体を用い、例えば少なくとも感光体に帯電、画像露光、現像の過程を経た後、画像保持体(転写紙)へのトナー画像の転写、定着及び感光体表面のクリーニングというプロセスよりなる画像形成方法ならびに画像形成装置である。場合により、静電潜像を直接転写体に転写し現像する画像形成方法等では、感光体に配した上記プロセスを必ずしも有するものではない。
図3は、画像形成装置の一例を示す概略図である。感光体を平均的に帯電させる手段として、帯電チャージャ3が用いられる。この帯電手段としては、コロトロンデバイス、スコロトロンデバイス、固体放電素子、針電極デバイス、ローラー帯電デバイス、導電性ブラシデバイス等が用いられ、公知の方式が使用可能である。
次に、均一に帯電された感光体1上に静電潜像を形成するために画像露光部5が用いられる。この光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
次に、感光体1上に形成された静電潜像を可視化するために現像ユニット6が用いられる。現像方式としては、乾式トナーを用いた一成分現像法、二成分現像法、湿式トナーを用いた湿式現像法がある。感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
次に、感光体上で可視化されたトナー像を転写体9上に転写するために転写チャージャ10が用いられる。また、転写をより良好に行なうために転写前チャージャ7を用いてもよい。これらの転写手段としては、転写チャージャ、バイアスローラーを用いる静電転写方式、粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式、磁気転写方式が利用可能である。静電転写方式としては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、転写体9を感光体1より分離する手段として分離チャージャ11、分離爪12が用いられる。その他分離手段としては、静電吸着誘導分離、側端ベルト分離、先端グリップ搬送、曲率分離等が用いられる。分離チャージャ11としては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、転写後感光体上に残されたトナーをクリーニングするためにファーブラシ14、クリーニングブレード15が用いられる。また、クリーニングをより効率的に行なうためにクリーニング前チャージャ13を用いてもよい。その他クリーニング手段としては、ウェブ方式、マグネットブラシ方式等があるが、それぞれ単独又は複数の方式を一緒に用いてもよい。
次に、必要に応じて感光体上の潜像を取り除く目的で除電手段が用いられる。除電手段としては除電ランプ2、除電チャージャが用いられ、それぞれ前記露光光源、帯電手段が利用できる。その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは公知のものが使用できる。
本発明は、このような画像形成手段に本発明に係る電子写真感光体を用いる画像形成方法及び画像形成装置でもある。この画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でそれら装置内に組み込まれ、着脱自在としたものであってもよい。プロセスカートリッジの一例を図4に示す。
画像形成装置用プロセスカートリッジとは、感光体101を内蔵し、他に帯電手段102、現像手段104、転写手段106、クリーニング手段107、除電手段(図示せず)の少なくとも一つを具備し、画像形成装置本体に着脱可能とした装置(部品)である。
図4に例示される装置による画像形成プロセスについて示すと、感光体101は、矢印方向に回転しながら、帯電手段102による帯電、露光手段103による露光により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成され、この静電潜像は、現像手段104でトナー現像され、該トナー現像は転写手段106により、転写体105に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の感光体表面は、クリーニング手段107によりクリーニングされ、さらに除電手段(図示せず)により除電されて、再び以上の操作を繰り返すものである。
本発明は、本架橋表面層を有した感光体と帯電、現像、転写、クリーニング、除電手段の少なくとも一つを一体化した画像形成装置用プロセスカートリッジをも提供するものである。
以上の説明から明らかなように、本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができるものである。
<電荷輸送性構造を有する化合物の合成例>
本発明における電荷輸送性構造を有する化合物は、例えば特許第3164426号公報記載の方法にて合成される。また、下記にこの一例を示す。(1)ヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式B)の合成
メトキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式A)113.85g(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138g(0.92mol)にスルホラン240mlを加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99g(0.91mol)を1時間で滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し反応を終了させた。この反応液にトルエン約1.5Lを加え室温まで冷却し、水と炭酸ナトリウム水溶液で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマト処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=20:1)にて精製した。得られた淡黄色オイルにシクロヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして下記構造式Bの白色結晶88.1g(収率=80.4%)を得た。元素分析値を表1に示す。融点:64.0〜66.0℃
Figure 0004584061
Figure 0004584061
Figure 0004584061
(2)トリアリールアミノ基置換アクリレート化合物(化学式(8)中の例示化合物No.54)
上記(1)で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(構造式B)82.9g(0.227mol)をテトラヒドロフラン400mlに溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4g,水:100ml)を滴下した。この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2g(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌し反応を終了させた。この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマト処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして例示化合物No.54の白色結晶80.73g(収率=84.8%)を得た。元素分析値を表2に示す。またこの白色の結晶は、融点:117.5〜119.0℃であった。
Figure 0004584061
[実施例]
次に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中において使用する「部」は、すべて重量部を表わす。
まず、実施例に用いるチタニルフタロシアニン顔料の具体的な合成例を述べる。
(合成例1)
1、3−ジイミノイソインドリン292gとスルホラン2000mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド204gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶をろ過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキを得た。このウェットケーキを、洗浄液からイオンが検出できなくなるまで、イオン交換水で徹底的に洗浄した。
得られたウェットケーキ20gを1,2−ジクロロエタン200gに投入し、4時間撹拌を行なった。これにメタノール1000gを追加して、1時間撹拌を行った後、濾過を行い、乾燥して、チタニルフタロシアニン粉末を得た(これを顔料1と称する)。
得られたチタニルフタロシアニン顔料についてのX線回折スペクトルを以下に示す条件で測定した。
X線管球 Cu 電圧40 kV 電流 20mA 走査速度1°/分
走査範囲 3°〜40° 時定数 2秒
合成例1により得られたチタニルフタロシアニン顔料のX線回折スペクトルを第5図に示す。得られたチタニルフタロシアニン顔料はブラッグ角2θの主要ピークが少なくとも9.6°±0.2°、24.0°±0.2°および27.2°±0.2°にある結晶形を有していることが分かる。
Al製支持体(外径30mmφ)に、乾燥後の膜厚が3.5μmになるように浸漬法で塗工し、下引き層を形成した。
下引き層用塗工液
アルキッド樹脂 6部
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂 4部
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製)
酸化チタン 40部 (CR−EL:石原産業)
メチルエチルケトン 50部
この下引き層上にチタニルフタロシアニン顔料を含む電荷発生層塗工液に浸漬塗工し、加熱乾燥させ、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
電荷発生層用塗工液
合成例1で作製されたチタニルフタロシアニン顔料 2.5部
ポリビニルブチラール(BX-1、積水化学社) 0.5部
メチルエチルケトン 280部
この電荷発生層上に下記構造の電荷輸送層用塗工液を用いて、浸積塗工し、加熱乾燥させ、膜厚22μmの電荷輸送層とした。
電荷輸送層用塗工液
ビスフェーノルZ型ポリカーボネート 10部
下記構造式Cの低分子電荷輸送物質 10部
Figure 0004584061
テトラヒドロフラン 80部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 0.2部
(KF50、信越化学工業製)
電荷輸送層上に下記に示す2種類の架橋表面層塗工液(A液、B液)を用いて、A液をスプレー塗布してまず下層を形成し、その後、B液をスプレー塗布して上層を形成した。A液、B液をスプレー塗布後、光エネルギー照射槽内に感光体ドラムを取り付け、2本のUVランプを同時に発光させて光照射を行った。光照射はFusion社製UV照射装置を用い、UVランプには200〜280nmに強い発光エネルギーを持つHバルブと350〜400nmに強い発光エネルギーを持つDバルブの2本のUVランプを用いて、それぞれ入力電力:240W/cm、照射時間:60秒の条件で光照射を行ない、更に130℃で30分乾燥を加え、下層の膜厚が2.5μm、上層の膜厚が2.5μm、合わせて5.0μmの架橋表面層を設け、本発明の電子写真感光体を得た。
架橋表面層塗工液
[A液]
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 5部
KAYARAD TMPTA(日本化薬製)
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 5部
KAYARAD DPCA120(日本化薬製)
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部
(例示化合物No.54)
下記構造式Dの光重合開始剤 (380nmに吸収あり) 0.5部
Figure 0004584061
[B液]
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 5部
KAYARAD TMPTA(日本化薬製)
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 5部
KAYARAD DPCA120(日本化薬製)
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部
(例示化合物No.54)
下記構造式Eの光重合開始剤 (250nmに吸収あり) 0.5部
Figure 0004584061
テトラヒドロフラン 80部
構造式Eの光重合開始剤Eを下記構造式Fの光重合開始剤(250nmに吸収あり)に代えた以外はすべて実施例1と同様に作製した。
Figure 0004584061
[比較例1]
Dバルブを除いてHバルブのみで光照射を2分行った以外は実施例1と同様に作製した。
[比較例2]
Hバルブを除いてDバルブのみで光照射を2分行った以外は実施例1と同様に作製した。
[比較例3]
架橋表面層塗工液として[A液]のみを用いて架橋表面層を5μm形成した以外は実施例1と同様に作製した。
[比較例4]
架橋表面層塗工液として[B液]のみを用いて架橋表面層を5μm形成した以外は実施例1と同様に作製した。
Alシリンダー表面に陽極酸化を行った後、封孔処理を行った支持体(外径30mmφ)に、乾燥後の膜厚が0.5μmになるように浸漬法で塗工し、下引き層を形成した。
下引き層用塗工液
アルコール可溶性ナイロン 5部
(CM−8000、東レ製)
メタノール 50部
ブタノール 20部
この下引き層上にチタニルフタロシアニン顔料を含む電荷発生層塗工液に浸漬塗工し、加熱乾燥させ、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
電荷発生層用塗工液
合成例1で作製されたチタニルフタロシアニン顔料 2.5部
ポリビニルブチラール(BX-1、積水化学社製) 0.5部
メチルエチルケトン 280部
この電荷発生層上に下記構造の電荷輸送層用塗工液を用いて、浸積塗工し、加熱乾燥させ、膜厚22μmの電荷輸送層とした。
電荷輸送層用塗工液
ビスフェーノルZ型ポリカーボネート 10部
前記構造式Cの低分子電荷輸送物質 10部
テトラヒドロフラン 80部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 0.2部
(KF50、信越化学工業製)
電荷輸送層上に下記構成の架橋表面層塗工液を用いて、スプレー塗工した。光エネルギー照射槽内に感光体ドラムを取り付け、2本のUVランプを同時に発光させて光照射を行った。光照射はFusion製UV照射装置を用い、UVランプには200〜280nmに強い発光エネルギーを持つHバルブと405〜425nmに強い発光エネルギーを持つVバルブの2本のUVランプを用いて、それぞれ入力電力:240W/cm、照射時間:60秒の条件で光照射を行ない、更に130℃で30分乾燥を加え5.0μmの架橋表面層を設け、本発明の電子写真感光体を得た。
架橋表面層塗工液
[C液]
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 5部
KAYARAD TMPTA(日本化薬製)
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 5部
KAYARAD DPHA(日本化薬製)
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部
(例示化合物No.109)
下記構造式Gの光重合開始剤 (420nmに吸収あり) 0.5部
Figure 0004584061
テトラヒドロフラン 80部
[D液]
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 5部
KAYARAD TMPTA(日本化薬製)
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 5部
KAYARAD DPHA(日本化薬製)
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部
(例示化合物No.109)
前記構造式Eの光重合開始剤 (250nmに吸収あり) 0.5部
光重合開始剤Gを下記構造式Hの光重合開始剤(420nmに吸収あり)に代えた以外はすべて実施例3と同様に作製した。
Figure 0004584061
[比較例5]
Vバルブを除いてHバルブのみで光照射を2分行った以外は実施例3と同様に作製した。
[比較例6]
Hバルブを除いてVバルブのみで光照射を2分行った以外は実施例3と同様に作製した。
[比較例7]
架橋表面層塗工液として[C液]のみを用いて架橋表面層を5μm形成した以外は実施例3と同様に作製した。
[比較例8]
架橋表面層塗工液として[D液]のみを用いて架橋表面層を5μm形成した以外は実施例3と同様に作製した。
(実機通紙試験)
作製した電子写真感光体を、リコー製imagio Neo270(画像露光光源として780nmの半導体レーザー)を用いて、10万枚の実機通紙試験(A4、NBSリコー製MyPaper、スタート時帯電電位-700V)を実施し、摩耗特性、機内電位、画像評価を行った。結果を表3、4、5に示す。
Figure 0004584061
Figure 0004584061
Figure 0004584061
本発明の電子写真感光体の断面図の一例である。 本発明の電子写真感光体の断面図の他の例である。 本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。 本発明の画像形成装置用プロセスカートリッジの一例を示す概略図である。 本発明のチタニルフタロシアニン顔料のX線回折スペクトルの説明図である。
符号の説明
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写紙

Claims (10)

  1. 導電性支持体上に感光層と表面層とを順次積層して形成する電子写真感光体の製造方法であって、
    電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物と、第一の光重合開始剤と、を含む混合物を塗布する工程と、
    電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物と、前記第一の光重合開始剤とは吸収波長が異なる第二の光重合開始剤と、を含む混合物を塗布する工程と、
    前記第一の光重合開始剤及び前記第二の光重合開始剤の吸収波長それぞれに対応した光エネルギーを照射する工程と、を順次行い前記表面層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記第一の光重合開始剤の吸収波長は、前記第二の光重合開始剤の吸収波長よりも長波長であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記感光層中に電荷発生物質としてチタニルフタロシアニンを含有することを特徴とする請求項1または2記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記チタニルフタロシアニンがCu−Kα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θの主要ピークが、少なくとも9.6°±0.2°、24.0°±0.2°および27.2°±0.2°にある結晶型を有することを特徴とする請求項3記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 前記ラジカル重合性モノマーは、電荷輸送性構造を有せず且つ官能基がアクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  7. 前記ラジカル重合性化合物は、電荷輸送性構造を有し且つ官能基がアクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  8. 前記ラジカル重合性化合物は、トリアリールアミン構造を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  9. 前記ラジカル重合性化合物は、下記一般式(1)又は(2)の一種以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
    Figure 0004584061

    Figure 0004584061

    〔一般式(1)又は(2)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR7(R7は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR8R9(R8及びR9は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar1、Ar2は置換もしくは未置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar3、Ar4は置換もしくは未置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。〕
  10. 前記ラジカル重合性化合物は、下記一般式(3)の一種以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
    Figure 0004584061

    Figure 0004584061

    〔一般式(3)中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、化学式(4)の基を表わす。〕
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