JP4463129B2 - 電子写真感光体、製造方法、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
一方、最近画像形成装置の小型化から感光体の小径化が進み、機械の高速化やメンテナンスフリーの動きも加わり感光体の高耐久化が切望されるようになってきた。この観点からみると、有機感光体は、表面層が低分子電荷輸送材料と不活性高分子を主成分としているため一般に柔らかく、電子写真プロセスにおいて繰り返し使用された場合、現像システムやクリーニングシステムによる機械的な負荷により摩耗が発生しやすいという欠点を有している。加えて高画質化の要求からトナー粒子の小粒径化に伴いクリーニング性を挙げる目的でクリーニングブレードのゴム硬度の上昇と当接圧力の上昇が余儀なくされ、このことも感光体の摩耗を促進する要因となっている。
この様な感光体の摩耗は、感度の劣化、帯電性の低下などの電気的特性を劣化させ、画像濃度低下、地肌汚れ等の異常画像の原因となる。また摩耗が局所的に発生した傷は、クリーニング不良によるスジ状汚れ画像をもたらす。現状では感光体の寿命はこの摩耗や傷が律速となり、交換に至っている。
したがって、有機感光体の高耐久化においては前述の摩耗量を低減することが不可欠であり、これが当分野でもっとも解決が迫られている課題である。
さらに、この感光体は、具体的には高分子バインダーを含有した状態でモノマーを反応させるため、硬化が充分に進行しないことや、硬化物とバインダー樹脂との相溶性の問題があり、硬化時に相分離による表面凹凸が生じクリーニング不良を引き起こす傾向が見られた。
また、同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を硬化した化合物を含有する感光層も知られている(例えば、特許文献6参照。)。
しかし、この感光層は嵩高い正孔輸送性化合物が二つ以上の連鎖重合性官能基を有するため硬化物中に歪みが発生し内部応力が高くなり、表面層の荒れや経時におけるクラックが発生しやすい場合があり、十分な耐久性を有していない。
しかしこの架橋樹脂層は、長期的な使用においては、十分な耐久性を有しているとは言えない。特に表面層全体にわたって均一に硬化しておらず、表面層内部では硬化が不十分である。
また架橋条件により、表面性が大きく変化し、表面凹凸が大きくなりやすいことが判明した。そのためにクリーニング不良が発生しやすく、長期的に使用した場合、クリーニングブレードが局所的に欠け、クリーニング不良が発生し、スジ状の異常画像が発生する。
また、現像剤に用いられるトナーの粒径に関しては、近年、高画質に対する要望に応えるために小粒径化する傾向にある。特に、デジタル処理により潜像がドット化されているような場合には、ドットの再現性や鮮鋭度を得ることが重要となることを考慮して、小粒径のトナーが用いることが多い。
また、画像を得る際の問題の一つであるエッジ効果現象に対しては、5μm以下のトナーを用いた場合に顕著となるが、5μm以上の粒径のトナーの含有個数%を規定することにより解決することができる。このような前提に立ち、平均粒径が5μm以下で、60〜80個数%とした場合、高精細および高解像度を得ることができる反面、以下に説明するようにクリーニング不良が発生しやすくなる虞がある。
しかし、この構成を小粒径トナーを用いた場合に適用すると次のような理由により適切なトナー除去を行うことができず、画像不良を招く虞があった。現像に用いられるトナーには母体となる樹脂材料の他にも様々な添加剤が様々な目的で付与されている。また転写紙にもトナーと同様に様々な添加剤が付与されている。これら添加剤は、各々の目的には有効な効果を発揮するものの、経時的にトナーや転写紙から遊離すると感光体に付着してしまう。
図8(A)に示すように、感光体Aの表面に当接しているクリーニングブレードBによって掻き取られなかったトナーTや転写紙から遊離する添加剤などの微粒子Pを基点として小粒径のトナーTが累積されやすくなる。累積したトナーは添加剤等の微粒子Pによって堰き止められてブロックされた状態となり、クリーニングブレードBによる掻き取り力が作用しても剥落させにくくなり、完全な除去が行えない場合がある。
完全に除去されずに感光体Aにトナーが残ってしまうと、そのトナーを核として経時的にトナーの堆積が徐々に進行し、結果としてトナーが固着した塊ができてしまう。トナー塊が生じた箇所では露光光の透過が良好に行われなくなり、結果として、図8(B)に示すように、感光体Aの表面では、地肌部などの画像白部において周方向に沿って間欠的(符号aで示す間隔)な画像汚れ部に相当する部分(メダカ汚れ)Zが発生してしまい、黒スジ状の模様を生じた不良画像が得られることになる。
トナーの小粒径化による別の問題として、一粒当たりの電荷量が高くなる。このため、感光体との間での付着力が高まることによりクリーニングブレードによりトナーを掻き取ることが困難になりがちとなり、経時的にブレードを通過したトナーにより地肌部に黒いスジ状の汚れが生じた異常画像が得られやすくなるという問題がある。
本発明の第2は、前記(ロ)の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、1官能性のものである請求項1記載の電子写真感光体に関する。
本発明の第3は、前記(イ)の電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーにおける官能基がアクリロイルオキシ基および/またはメタクリロイルオキシ基を含むものである請求項1または2記載の電子写真感光体に関する。
本発明の第4は、前記(ロ)の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物における官能基が、アクリロイルオキシ基および/またはメタクリロイルオキシ基を含むものである請求項1〜3いずれか記載の電子写真感光体に関する。
本発明の第5は、前記(ロ)の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物を含有するものである請求項1〜4いずれか記載の電子写真感光体に関する。
本発明の第6は、前記(ロ)のラジカル重合性化合物が、下記一般式(1)および/または一般式(2)で示される化合物を含有するものである請求項1〜5いずれか記載の電子写真感光体に関する。
本発明の第7は、前記(ロ)の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、下記一般式(3)で示される化合物を含有するものである請求項1〜6いずれか記載の電子写真感光体に関する。
本発明の第8は、前記電荷発生層中に電荷発生物質として機能できるチタニルフタロシアニンを含有するものである請求項1〜7いずれか記載の電子写真感光体に関する。
本発明の第9は、前記チタニルフタロシアニンがCu−Kα線に対するX線回折スペクトルにおいてブラッグ角2θの主要ピークが少なくとも9.6°±0.2°、24.0°±0.2°および27.2°±0.2°にある結晶型を有するものである請求項8記載の電子写真感光体に関する。
本発明の第10は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、表面層を有する電子写真感光体を製造する方法において、前記電荷輸送層が
(i)電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物と結着樹脂を含む電荷輸送層形成用塗工液を塗布して電荷輸送層を形成し、硬化、架橋させる処理を行わず、
さらに前記電荷輸送層上に、
(ii)電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー(イ)と電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)、さらに電荷輸送層に含まれる電荷輸送物質が溶解可能な溶剤を含む表面層形成用塗工液を塗布して表面層を形成し、
(iii)前記表面層を光エネルギーによって硬化、架橋させることを特徴とする電子写真感光体の製造方法に関する。
本発明の第11は、前記溶媒がテトラヒドロフラン(THF)であることを特徴とする請求項10記載の電子写真感光体の製造方法に関する。
本発明の第12は、請求項1〜9いずれか記載の電子写真感光体を用いて、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を行なうことを特徴とする画像形成方法に関する。
本発明の第13は、請求項1〜9いずれか記載の電子写真感光体を用いたことを特徴とする画像形成装置に関する。
本発明の第14は、請求項1〜9いずれか記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段および除電手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を有するものであって、画像形成装置本体に着脱可能としたことを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジに関する。
本発明の第15は、請求項1〜9いずれか記載の電子写真感光体と体積平均粒径が5〜10μmで、その粒径5μm以下のものが60〜80個数%のトナーを含む現像剤を用いて電子写真感光体上に形成されている静電潜像の可視像処理および可視像の転写工程を行った後、電子写真感光体上の余剰トナーの除去を行うクリーニング工程を実行するクリーニング装置であって、上記トナーの通過を阻止する密度を以て上記電子写真感光体表面に接触可能なファーブラシを備えたクリーニング装置を用いたことを特徴とする画像形成装置に関する。
本発明の第16は、前記ファーブラシは移動可能に設けられ、前記電子写真感光体との接触位置での移動方向が該電子写真感光体の移動方向と反対方向とされていることを特徴とする請求項15記載の画像形成装置に関する。
本発明の第17は、前記ファーブラシは、ループ形状の線材を植毛した基布を回転可能な芯金に一体化した構成とされていることを特徴とする請求項15または16記載の画像形成装置に関する。
本発明の第18は、前記ファーブラシは、少なくともブラシに用いられる線材を基布に対してループ形状に植毛した部分を有するパイルを回転可能な芯金にループ形状が上記電子写真感光体の長手方向に対して概ね平行となるように巻き付けて構成されていることを特徴とする請求項15または16記載の画像形成装置に関する。
本発明の第19は、前記ファーブラシは、ブラシに用いられる線材を少なくとも300ループ/inch2以上の密度にて基布に植毛されたパイルを芯金に巻き付けて構成されていることを特徴とする請求項15〜18のいずれか記載の画像形成装置に関する。
本発明の第20は、前記ファーブラシは、ブラシに用いられる線材の材質として、トナーと同じ極性に摩擦帯電が可能な材質が選択されたパイルを芯金に巻き付けて構成されていることを特徴とする請求項15〜19のいずれか記載の画像形成装置に関する。
本発明の第21は、前記ファーブラシは、電気抵抗が1×108Ω以下に設定されて接地されていることを特徴とする請求項15〜20のいずれか記載の画像形成装置に関する。
本発明の第22は、前記ファーブラシは、少なくとも画像形成時に該ファーブラシ内に進入してくるトナーと反対極性の電圧を上記接地部との間に印加されることを特徴とする請求項21記載の画像形成装置に関する。
本発明の表面層は、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー(イ)を用いており、これにより3次元の網目構造が発達し、架橋度が非常に高い硬度の架橋された表面層が得られ、高い耐摩耗性が達成される。さらに電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)を表面層に含有させることでラジカル重合性モノマーと結合して高い耐摩耗性と同時に高い電荷輸送性が達成される。
感光層が官能基を有しない低分子電荷輸送物質で形成されていた場合には、これら表面層を形成する表面層用塗工液は下層である感光層を溶解させる溶媒を含むため、表面層用塗工液を塗布したと同時に感光層中に含まれる官能基を有しない低分子電荷輸送物質が感光層から表面層に染み出す。
官能基を有しない低分子電荷輸送物質が表面層中に移行することによって、3官能以上のラジカル重合性モノマー(イ)と電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)による3次元網目構造の発達が阻害され、架橋度の低下が起こり、その結果、本発明に比べ充分な耐摩耗性が得られない。
次に、本発明の表面層塗布液の構成材料について説明する。
本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー(イ)としては、電子輸送性構造(例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造や、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環など)を有しておらず、且つラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
CH2=CH−X2−
〔ただし、式中、X2は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CONR36−基、または−S−基を表す(R36は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す)。〕
これらの置換基の具体例を示すと、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表される官能基が挙げられる。
CH2=C(Y4)−X3−
〔ただし、式中、Y4は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基または、−COOR37基を表し、また、X3は上記のX2と同一の基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y4、X3の少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環よりなる群から選ばれた基である。R37は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR38R39(R38およびR39は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)である。〕
なお、これらX2、X3、Y4の基にさらに置換する置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用であり、3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なっても良い。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマー(イ)としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキシド(EO)変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキシド(PO)変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、エピクロロヒドリン(ECH)変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
本発明に用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)としては、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造や、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しており、且つラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。このラジカル重合性官能基としては、先のラジカル重合性モノマー(イ)について説明した基が挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。
また、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)は、官能基が、2官能以上の多官能のものを使用することが出来るが、膜質及び静電特性的に、1官能であるものが好ましい。これは、2官能以上の電荷輸送性化合物を用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定されるが、電荷輸送性構造が非常に嵩高いため硬化樹脂中に歪みが発生し表面層の内部応力が高くなり、キャリア付着等でクラックや傷の発生を引き起こしやすくなる。5μm以下の膜厚の場合、特に問題とはならないが、5μmを越える膜を形成した場合、前記表面層の内部応力が非常に高くなり、架橋直後にクラックが発生しやすくなる。
また静電的特性においても、2官能以上の電荷輸送性化合物を用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定されるため、電荷輸送時の中間体構造(カチオンラジカル)が安定して保てず、電荷のトラップによる感度の低下、残留電位の上昇が起こしやすくなる。これらの電気的特性の劣化は、画像濃度低下、文字の細り等の画像として現れる。このようなことから、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)は、1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を用い、架橋結合間にペンダント状に固定化することにより、クラックや傷の発生防止、及び静電的特性の安定化を容易にする。
前記一般式(1)、(2)において、R1の置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基(メチル基、エチル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等)、フェノキシ基等のアリールオキシ基、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基等)等により置換されていても良い。
R1の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子またはメチル基である。
置換もしくは無置換のAr3、Ar4はアリール基であり、アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が挙げられる。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
また、前記Ar3、Ar4で表わされるアリール基は例えば以下に示すような置換基を有してもよい。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体例を示すとメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR2)であり、R2は(2)で定義したアルキル基を表わす。その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体例としてはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
具体例としては、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等が挙げられる。
前記Ar1、Ar2で表わされるアリーレン基としては、前記Ar3、Ar4で表されるアリール基から誘導される2価基である。
前記Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C5〜C7の環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基を有していても良い。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
前記ビニレン基は、
前記Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わすものであるが、ここにおける置換もしくは無置換のアルキレン基としては、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、前記Xのアルキレンエーテル基が挙げられ、またアルキレンオキシカルボニル基としては、カプロラクトン変性基が挙げられる。
上記一般式で表わされる化合物としては、Rb、Rcの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
本発明の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
本発明の表面層は、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー(イ)と電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)を硬化したものであるが、これ以外に塗工時の粘度調整、表面層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与の目的で1官能及び2官能のラジカル重合性モノマー及びラジカル重合性オリゴマーを併用することができる。これらのラジカル重合性モノマーや、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位:20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。
但し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると表面層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招く。このためこれらのモノマーやオリゴマーの含有量は、3官能以上のラジカル重合性モノマー100重量部に対し50重量部以下、好ましくは30重量部以下に制限される。
重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、などのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、などのチオキサントン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、が挙げられる。また、光重合促進効果を有するものを単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
これらの重合開始剤を光源の発光波長に合わせることが架橋反応を効率よく進行させる上で好ましい。重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性を有する総含有物100重量部に対し、0.5〜40重量部、好ましくは1〜20重量部である。
また光エネルギーにより硬化するときには、酸素による架橋阻害を防止するために、酸素濃度2.0%以下、好ましくは0.001〜2.0%にすることが望ましい。通常の大気では、約21%の酸素濃度であるために、光エネルギー照射槽内に窒素、ヘリウム、アルゴン等のガスを送り、槽内の空気の置換を行う。これらのガスによる置換を行い、光エネルギー照射中に、酸素濃度2.0%以下の低酸素濃度雰囲気を維持することにより、架橋密度が大きく、表面平滑性の高い膜が形成され、さらに低照射光量でも比較的良好な膜が形成される。
本発明の表面層においては、電気的特性を維持するため嵩高い電荷輸送性構造を含有させ、且つ高強度化のため架橋結合密度を高める必要がある。この様な表面層塗工後の硬化にあたっては、非常に高いエネルギーを外部から加え急激に反応を進めると、硬化が不均一に進行し膜表面の凹凸が激しくなる。このため光の照射強度、重合開始剤量により反応速度制御が可能な光の外部エネルギーを用いたものが好ましい。
次いで、例えば、アルミシリンダー等の支持体上に、下引き層、電荷発生層、上記電荷輸送層を順次積層した感光体上に、上記調製した塗工液をスプレー等により塗布する。その後、比較的低温で短時間乾燥し(25〜80℃、1〜10分間)、光エネルギー照射あるいは加熱して硬化させる。
硬化終了後は、残留溶媒低減のため100〜150℃で10分〜30分加熱して、本発明の電子写真感光体を得る。
<電子写真感光体の層構造について>
本発明に用いられる電子写真感光体を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体上に、電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する感光層が設けられた単層構造の感光体である。
図2は、導電性支持体上に、電荷発生機能を有する電荷発生層と、電荷輸送性機能を有する電荷輸送層とが積層された積層構造の感光体である。
<導電性支持体について>
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
次に感光層について説明する。感光層は積層構造でも単層構造でもよい。
積層構造の場合には、感光層は電荷発生機能を有する電荷発生層と電荷輸送機能を有する電荷輸送層とから構成される。また、単層構造の場合には、感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。
以下、積層構造の感光層及び単層構造の感光層のそれぞれについて述べる。
<感光層が積層構成のもの>
(電荷発生層)
電荷発生層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。そのなかで特にフタロシアニン類が有用に用いられ、中でもチタニルフタロシアニン、そのなかでも、図5に示すように、少なくともCu−Kα線に対するX線回折スペクトルにおいてブラッグ角2θの主要ピークが少なくとも9.6°±0.2°、24.0°±0.2°および27.2°±0.2°にある結晶型を有するチタニルフタロシアニンは高感度材料として特に有効である。
これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。また、電荷発生層のバインダー樹脂として上述のバインダー樹脂の他に、電荷輸送機能を有する高分子電荷輸送物質、例えば、アリールアミン骨格やベンジジン骨格やヒドラゾン骨格やカルバゾール骨格やスチルベン骨格やピラゾリン骨格等を有するポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン、アクリル樹脂等の高分子材料やポリシラン骨格を有する高分子材料等を用いることができる。
また、後者の具体例としては、例えば特開昭63−285552号公報、特開平05−019497号公報、特開平05−070595号公報、特開平10−073944号公報等に記載のポリシリレン重合体が例示される。
電荷発生層に併用できる低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
電荷輸送層は電荷輸送機能を有する層で、さらにその上に電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を光により架橋させた表面層が形成される。
電荷輸送層は電荷輸送性化合物として表面層で使用される電荷輸送機能を有するラジカル重合性化合物を結着樹脂と共に適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成し、この上に表面層としてラジカル重合性組成物を含有する塗工液を塗布し、光エネルギーにより架橋、硬化させる。電荷輸送層の膜厚は、5〜40μm程度が適当であり、好ましくは10〜30μm程度が適当である。
電荷輸送物質としては、前記表面層塗布液の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を用いる。
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。
電荷輸送層の塗工に用いられる溶媒としては前記電荷発生層と同様なものが使用できるが、電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物及び結着樹脂を良好に溶解するものが適している。これらの溶剤は単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。また、電荷輸送層の形成には電荷発生層と同様な塗工法が可能である。
電荷輸送層に併用できる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
電荷輸送層に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
表面層の膜厚は、1〜20μm、好ましくは2〜10μmである。1μmより薄いと膜厚ムラによって耐久性がバラツキ、20μmより厚いと電荷輸送層全体の膜厚が厚くなり電荷の拡散から画像の再現性が低下する。
単層構造の感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層で、本発明では電荷輸送性化合物として電荷輸送構造を有するラジカル重合化合物を含有した感光層上に、表面層として電荷輸送構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物を光エネルギーによって共重合させることで形成する。
上記の電荷発生層のキャスティング形成方法に記載したように、電荷発生物質と電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物、必要に応じてバインダー樹脂を含有する塗工液と共に分散し、導電性支持体上に塗布、必要に応じて乾燥、その後電荷輸送構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物を光エネルギーによって硬化反応を開始させ、表面層が形成される。このとき、感光層の膜厚は、10〜30μm、好ましくは10〜25μmである。10μmより薄いと充分な帯電電位が維持できず、30μmより厚いと硬化時の体積収縮により導電性基体または下引き層との剥離が生じやすくなる。また表面層の膜厚は1〜20μm、好ましくは2〜10μmである。1μmより薄いと膜厚ムラによって耐久性がバラツキ、20μmより厚いと感光層に表面層を加えた全体の膜厚が厚くなり電荷の拡散から画像の再現性が低下する。
感光層、及び表面層では必要により可塑剤やレベリング剤等を添加することもできる。電荷発生物質の分散方法および電荷発生物質、電荷輸送物質、可塑剤、レベリング剤のそれぞれの説明は前記電荷発生層、電荷輸送層において既に述べたことが、そのまま援用できる。結着樹脂としては、先に電荷輸送層の項で挙げた結着樹脂のほかに、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。
単層構造の感光層中に含有される電荷発生物質は感光層全量に対し1〜30重量%が好ましく、感光層中に含有される結着樹脂は全量の20〜80重量%、電荷輸送物質は全量の20〜80重量%が好ましい。また感光層の上に形成される表面層に含有される電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物は10〜70重量%、電荷輸送構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物は30〜90重量%が良好に用いられる。
本発明の感光体においては、下層との接着性を改善する目的で中間層を設けることが可能である。
中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく一般に用いられる塗工法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
<下引き層について>
本発明の感光体においては、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、表面層、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、中間層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
(フェノール系化合物)
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3′−ビス(4′−ヒドロキシ−3′−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェロール類など。
(パラフェニレンジアミン類)
N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジメチル−N,N′−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(ハイドロキノン類)
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
(有機硫黄化合物類)
ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3′−チオジプロピオネートなど。
(有機燐化合物類)
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して0.01〜10重量%である。
次に図面に基づいて本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置を詳しく説明する。
本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置とは、本発明は平滑な電荷輸送性表面層を有する感光体を用い、例えば少なくとも感光体に帯電、画像露光、現像の過程を経た後、画像保持体(転写紙)へのトナー画像の転写、定着及び感光体表面のクリーニングというプロセスよりなる画像形成方法ならびに画像形成装置である。
図3は、画像形成装置の一例を示す概略図である。感光体を平均的に帯電させる手段として、帯電チャージャ3が用いられる。この帯電手段としては、コロトロンデバイス、スコロトロンデバイス、固体放電素子、針電極デバイス、ローラー帯電デバイス、導電性ブラシデバイス等が用いられ、公知の方式が使用可能である。
次に、均一に帯電された感光体1上に静電潜像を形成するために画像露光部5が用いられる。この光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
次に、感光体上で可視化されたトナー像を転写体9上に転写するために転写チャージャ10が用いられる。また、転写をより良好に行なうために転写前チャージャ7を用いてもよい。これらの転写手段としては、転写チャージャ、バイアスローラーを用いる静電転写方式、粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式、磁気転写方式が利用可能である。静電転写方式としては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、転写体9を感光体1より分離する手段として分離チャージャ11、分離爪12が用いられる。その他分離手段としては、静電吸着誘導分離、側端ベルト分離、先端グリップ搬送、曲率分離等が用いられる。分離チャージャ11としては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、転写後感光体上に残されたトナーをクリーニングするためにファーブラシ14、クリーニングブレード15が用いられる。また、クリーニングをより効率的に行なうためにクリーニング前チャージャ13を用いてもよい。その他クリーニング手段としては、ウェブ方式、マグネットブラシ方式等があるが、それぞれ単独又は複数の方式を一緒に用いてもよい。
次に、必要に応じて感光体上の潜像を取り除く目的で除電手段が用いられる。除電手段としては除電ランプ2、除電チャージャが用いられ、それぞれ前記露光光源、帯電手段が利用できる。
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは公知のものが使用できる。
この画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でそれら装置内に組み込まれ、着脱自在としたものであってもよい。プロセスカートリッジの一例を図4に示す。
画像形成装置用プロセスカートリッジとは、感光体ドラム101を内蔵し、他に帯電手段102、現像手段104、転写手段106、クリーニング手段107、除電手段(図示せず)の少なくとも一つを具備し、画像形成装置本体に着脱可能とした装置(部品)である。
図4に例示される装置による画像形成プロセスについて示すと、感光体101は、矢印方向に回転しながら、帯電手段102による帯電、露光手段103による露光により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成され、この静電潜像は、現像手段104でトナー現像され、前記トナー現像は転写手段106により、転写体105に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の感光体表面は、クリーニング手段107によりクリーニングされ、さらに除電手段(図示せず)により除電されて、再び以上の操作を繰り返すものである。
本発明は、表面層を有した感光体と帯電、現像、転写、クリーニング、除電手段の少なくとも一つを一体化した画像形成装置用プロセスカートリッジを提供するものである。
以上の説明から明らかなように、本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならずレーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができるものである。
クリーニングローラ7Bは、表面に後述する構成を備えたファーブラシ7B1を備えており、感光体ドラム72と接触する位置でファーブラシ7B1が相対する方向に移動できる回転方向が設定されている。ファーブラシ7B1は、図7(A)に示すように、基布7B2にループ形状の線材基端が植毛されて構成されており、図7(B)に示すように、基布7B2がクリーニングローラ7Bの芯金7B3に巻き付けられて一体化されている。
本実施形態では、ファーブラシ7B1の植毛方向が、図7(B)および(C)に示すように、基布7B2が芯金7B3に巻き付けられる方向で得られる角度(θ)に対応させてあり、さらに、植毛間隔が小粒径のトナーの通過を阻止できる密度とされている。本実施形態におけるブラシ線材の植毛密度は、少なくとも300ループ/inch2以上となる密度に設定され、さらに線材の材質としては、トナーと同じ極性の摩擦帯電が可能な材質が選択されている。
ファーブラシ7B1は、基布7B2に対してループ形状に植毛した部分を有するパイルが、回転可能な芯金7B3に対してループ形状が感光体ドラム72の長手方向(軸線方向)に対して概ね平行となるように巻き付けられ、植毛される基端と反対側の端部が感光体ドラム72に接触した際に図7(D)に示すように、感光体ドラム72の表面で感光体ドラム72の長手方向に概ね平行することができる撓み剛性が得られる長さおよび線径とされたパイルが用いられる。
ループ形状が感光体ドラム72の長手方向(軸線方向)と概ね平行する用に巻き付けられた線材を用いたパイルにより構成されているファーブラシ7B1は、上述した材質の選択に際して、電気抵抗が1×108Ω以下のものが選択されて接地され、さらに画像形成時には、進入してくるトナーと反対極性の電圧が接地部との間に印加されるようになっている。
感光体ドラム72に接触するファーブラシ7B1は、感光体ドラム72と相対する方向に回転しながら感光体ドラム72との接触位置で相対する方向に移動することができる。しかも、接触した際には線材の先端側が感光体ドラム72の長手方向と概ね平行する状態となるので、感光体ドラム72の表面に対して垂直に接触することにより1本当たりの線材の接触面積が拡充され、しかも、隣り合う線材同士の間隔がトナーの通過を阻止できるように設定されているので、感光体ドラム72の表面で長さ方向に沿ってほぼ連続した接触が可能となる。
感光体ドラム72の移動方向に対して相対する方向に移動するファーブラシ7B1は、線速差による摩擦力によって感光体ドラム72の表面を摺擦し、しかも、線材の撓み剛性により常時感光体ドラム72の表面に圧接する状態が維持されるので感光体ドラム72の表面に残留する小粒径のトナーや転写紙に含まれる添加剤を逃すことなく除去することができる。
特に、ファーブラシ7B1の線材は芯金7B3の回転により連続して感光体ドラム72の表面を摺擦するので、その回転速度を調整することにより感光体ドラム72の表面の任意の位置が移動する過程で複数回の摺擦が可能となり、効率よく不純物の除去が行える。
本実施形態では、ファーブラシ7B1に設定されている密度、および電気的特性、つまり、トナーと同じ極性に摩擦帯電することおよび電気抵抗が1×108Ω以下で接地され、画像形成時にトナーと反対極性の電圧を印加することにより、トナーや感光体ドラム72から可視像の転写を受ける転写紙に含まれる添加剤が感光体ドラム72の表面から遊離した場合でもそれらを通過させることなく掻き取ることができ、さらには、トナーの細粒径化によるトナー自体の帯電量が増加する傾向であっても、その帯電量を低下させるとともに感光体ドラム72上の残留電荷を除去できることにより、感光体ドラム72からのトナーの遊離を促進してファーブラシ7B1による掻き取り効率を向上させることができる。
本実施形態では、ファーブラシ7B1に加えてクリーニングブレード7Cが設けられているので、仮にファーブラシ7B1によって掻き取られなかった不純物が存在していてもクリーニングブレード7Cにより掻き取られるようになっているので、クリーニング装置77を通過した感光体ドラム72の表面には殆ど不純物が存在していない状態とすることができる。
さらに導電性支持体上に少なくとも電荷輸送性化合物を含有する電荷輸送層を有する電子写真感光体を製造する方法において、前記電荷輸送層が
(i)電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含む感光層形成用塗工液を塗布して電荷輸送層を形成し、硬化、架橋させる処理を行うことなく、
さらに前記電荷輸送層上に、
(ii)電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物、さらに電荷輸送層に含まれる電荷輸送物質が溶解可能な溶剤を含む表面層形成用塗工液を塗布して表面層を形成し、
(iii)前記表面層を光エネルギーによって硬化、架橋させる
ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法を用いることにより、表面層内部にわたって耐摩耗性が高く、良好な電気特性を有する、高耐久、高性能な感光体が得られる。
したがって、この感光体を用いることにより良好な画像を長期にわたり提供できる高性能で且つ信頼性の高い画像形成プロセス、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジが提供できる。
更に上記感光体と、本発明のクリーニング手段を備えた画像形成装置を用いることで、小粒径のトナーを用いた際もクリーニング不良による異常画像の発生を防止することが可能な画像形成装置が提供できる。
<電荷輸送性構造を有する化合物の合成例>
本発明における電荷輸送性構造を有する化合物は、例えば特許第3164426号公報記載の方法にて合成される。また、下記にこの一例を示す。
(1)ヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式B)の合成
メトキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式A)113.85g(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138g(0.92mol)にスルホラン240mlを加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99g(0.91mol)を1時間で滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し反応を終了させた。この反応液にトルエン約1.5Lを加え室温まで冷却し、水と炭酸ナトリウム水溶液で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマト処理(吸着媒体;シリカゲル、展開溶媒;トルエン:酢酸エチル=20:1)にて精製した。得られた淡黄色オイルにシクロヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして下記構造式Bの白色結晶88.1g(収率=80.4%)を得た。
融点:64.0〜66.0℃
上記(1)で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(構造式B)82.9g(0.227mol)をテトラヒドロフラン400mlに溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4g,水:100ml)を滴下した。この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2g(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌し反応を終了させた。この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマト処理(吸着媒体;シリカゲル、展開溶媒;トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして例示化合物No.54の白色結晶80.73g(収率=84.8%)を得た。
融点:117.5〜119.0℃
まず、実施例に用いるチタニルフタロシアニン顔料の具体的な合成例を述べる。
合成例
1,3−ジイミノイソインドリン292gとスルホラン2000mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド204gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶をろ過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキを得た。このウェットケーキをイオン交換水で洗浄した。
得られたウェットケーキ20gを1,2−ジクロロエタン200gに投入し、4時間撹拌を行なった。これにメタノール1000gを追加して、1時間撹拌を行った後、濾過を行い、乾燥して、チタニルフタロシアニン粉末を得た(これを顔料1と称する)。
得られたチタニルフタロシアニン顔料についてのX線回折スペクトルを以下に示す条件で測定した。
X線管球 Cu
電圧 40kV
電流 20mA
走査速度 1°/分
走査範囲 3°〜40°
時定数 2秒
合成例により得られたチタニルフタロシアニン顔料のX線回折スペクトルを図5に示す。得られたチタニルフタロシアニン顔料はブラッグ角2θの主要ピークが少なくとも9.6°±0.2°、24.0°±0.2°および27.2°±0.2°にある結晶型を有していることが分かる。
Al製支持体(外径30mmφ)に、乾燥後の膜厚が3.5μmになるように浸漬法で塗工し、下引き層を形成した。
<下引き層用塗工液>
アルキッド樹脂 6部
(ベッコゾール 1307−60−EL、大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂 4部
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製)
酸化チタン 40部
(CR−EL:石原産業)
メチルエチルケトン 50部
この下引き層上にチタニルフタロシアニン顔料を含む電荷発生層塗工液に浸漬塗工し、加熱乾燥させ、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
<電荷発生層用塗工液>
合成例1で作製されたチタニルフタロシアニン顔料 2.5部
ポリビニルブチラール(BX−1、積水化学社製) 0.5部
メチルエチルケトン 280部
この電荷発生層上に下記構造の電荷輸送層用塗工液を用いて、浸積塗工し、加熱乾燥させ、膜厚22μmの電荷輸送層とした。
<電荷輸送層用塗工液>
ビスフェーノルZ型ポリカーボネート 10部
1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物 10部
(例示化合物No.54)
テトラヒドロフラン 80部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 0.2部
(KF50、信越化学工業製)
電荷輸送層上に下記構成の表面層形成用塗工液を用いて、スプレー塗工した。光エネルギー照射槽内に感光体ドラムを取り付け、光照射を行った。光照射はFusion製UV照射装置を用い、光源には200〜280nmに強い発光エネルギーを持つHバルブを用いて、入力電力:240mW/cm2、照射時間:120秒の条件で光照射を行い、更に130℃で30分乾燥を加え5.0μmの表面層を設け、本発明の電子写真感光体を得た。
<表面層形成用塗工液>
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 5部
KAYARAD TMPTA(日本化薬製)
KAYARAD DPCA120(日本化薬製)
(例示化合物No.54)
下記光重合開始剤 0.5部
電荷輸送層塗工液と表面層形成用塗工液で使用する1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物を共に例示化合物No.54から例示化合物No.53に代えた以外はすべて実施例1と同様に作製した。
電荷輸送層塗工液で使用する1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物を下記ラジカル官能基を持たない低分子電荷輸送性化合物に代えた以外は実施例1と同様に作製した。
Alシリンダー表面に陽極酸化を行った後、封孔処理を行った支持体(外径30mmφ)に、乾燥後の膜厚が0.5μmになるように浸漬法で塗工し、下引き層を形成した。
<下引き層用塗工液>
アルコール可溶性ナイロン 5部
(CM−8000、東レ製)
メタノール 50部
ブタノール 20部
この下引き層上にチタニルフタロシアニン顔料を含む電荷発生層塗工液に浸漬塗工し、加熱乾燥させ、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
<電荷発生層用塗工液>
合成例1で作製されたチタニルフタロシアニン顔料 2.5部
ポリビニルブチラール(BX−1、積水化学社製) 0.5部
メチルエチルケトン 280部
この電荷発生層上に下記の電荷輸送層用塗工液を用いて、浸積塗工し、加熱乾燥させ、膜厚22μmの電荷輸送層とした。
<電荷輸送層用塗工液>
ビスフェーノルZ型ポリカーボネート 10部
1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物 10部
(例示化合物No.109)
テトラヒドロフラン 80部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 0.2部
(KF50、信越化学工業製)
電荷輸送層上に下記構成の表面層形成用塗工液を用いて、スプレー塗工した。光エネルギー照射槽内に感光体ドラムを取り付け光照射を行った。光照射はFusion製UV照射装置を用い、光源には200〜280nmに強い発光エネルギーを持つHバルブを用いて、入力電力:240mW/cm2、照射時間:120秒の条件で光照射を行ない、更に130℃で30分乾燥を加え5.0μmの表面層を形成し、本発明の電子写真感光体を得た。
<表面層形成用塗工液>
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 5部
KAYARAD TMPTA(日本化薬製)
KAYARAD DPHA(日本化薬製)
(例示化合物No.109)
下記光重合開始剤 0.5部
電荷輸送層塗工液と表面層形成用塗工液で使用する1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物を共に例示化合物No.109から例示化合物No.105に代えた以外はすべて実施例3と同様に作製した。
電荷輸送層塗工液で使用する1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物を下記ラジカル官能基を持たない低分子電荷輸送性化合物に代えた以外は実施例3と同様に作製した。
作製した電子写真感光体を、リコー製imagio Neo270(画像露光光源として780nmの半導体レーザー)を用いて、10万枚の実機通紙試験(A4、NBSリコー製MyPaper、スタート時帯電電位−700V)を実施し、摩耗特性、機内電位、画像評価を行った。結果を表3、表4、表5に示す。
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写体
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
101 感光体ドラム
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 転写体
106 転写手段
107 クリーニング手段
72 感光体ドラム
77 クリーニング装置
7A ハウジング
7B クリーニングローラ
7B1 ファーブラシ
7B2 基布
7B3 クリーニングローラの芯金
7C クリーニングブレード
7D フリッカーバン
7E クリーニングシール
A 感光体
B クリーニングブレード
T トナー
P 添加剤などの微粒子
Z 画像汚れ部に相当する部分(メダカ汚れ)
a 間隔
D ブラシ外径
d 芯金外形
Claims (22)
- 導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、表面層を有する電子写真感光体において、前記表面層が電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー(イ)と電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)を光エネルギーによって共重合させてなる表面層であり、前記電荷輸送層が電荷輸送性化合物として電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)と結着樹脂を含有し、かつ電荷輸送層に含まれる電荷輸送物質が溶解可能な溶剤を含む表面層形成用塗工液を塗布して表面層が形成されることを特徴とする電子写真感光体。
- 前記(ロ)の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、1官能性のものである請求項1記載の電子写真感光体。
- 前記(イ)の電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーにおける官能基がアクリロイルオキシ基および/またはメタクリロイルオキシ基を含むものである請求項1または2記載の電子写真感光体。
- 前記(ロ)の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物における官能基が、アクリロイルオキシ基および/またはメタクリロイルオキシ基を含むものである請求項1〜3いずれか記載の電子写真感光体。
- 前記(ロ)の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物を含有するものである請求項1〜4いずれか記載の電子写真感光体。
- 前記(ロ)のラジカル重合性化合物が、下記一般式(1)および/または一般式(2)で示される化合物を含有するものである請求項1〜5いずれか記載の電子写真感光体。
- 前記(ロ)の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、下記一般式(3)で示される化合物を含有するものである請求項1〜6いずれか記載の電子写真感光体。
- 前記電荷発生層中に電荷発生物質として機能できるチタニルフタロシアニンを含有するものである請求項1〜7いずれか記載の電子写真感光体。
- 前記チタニルフタロシアニンがCu−Kα線に対するX線回折スペクトルにおいてブラッグ角2θの主要ピークが少なくとも9.6°±0.2°、24.0°±0.2°および27.2°±0.2°にある結晶型を有するものである請求項8記載の電子写真感光体。
- 導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、表面層を有する電子写真感光体を製造する方法において、前記電荷輸送層が
(i)電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物と結着樹脂を含む電荷輸送層形成用塗工液を塗布して電荷輸送層を形成し、硬化、架橋させる処理を行わず、
さらに前記電荷輸送層上に、
(ii)電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー(イ)と電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)、さらに電荷輸送層に含まれる電荷輸送物質が溶解可能な溶剤を含む表面層形成用塗工液を塗布して表面層を形成し、
(iii)前記表面層を光エネルギーによって硬化、架橋させることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。 - 前記溶媒がテトラヒドロフラン(THF)であることを特徴とする請求項10記載の電子写真感光体の製造方法。
- 請求項1〜9いずれか記載の電子写真感光体を用いて、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を行なうことを特徴とする画像形成方法。
- 請求項1〜9いずれか記載の電子写真感光体を用いたことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1〜9いずれか記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段および除電手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を有するものであって、画像形成装置本体に着脱可能としたことを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
- 請求項1〜9いずれか記載の電子写真感光体と体積平均粒径が5〜10μmで、その粒径5μm以下のものが60〜80個数%のトナーを含む現像剤を用いて電子写真感光体上に形成されている静電潜像の可視像処理および可視像の転写工程を行った後、電子写真感光体上の余剰トナーの除去を行うクリーニング工程を実行するクリーニング装置であって、上記トナーの通過を阻止する密度を以て上記電子写真感光体表面に接触可能なファーブラシを備えたクリーニング装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
- 前記ファーブラシは移動可能に設けられ、前記電子写真感光体との接触位置での移動方向が該電子写真感光体の移動方向と反対方向とされていることを特徴とする請求項15記載の画像形成装置。
- 前記ファーブラシは、ループ形状の線材を植毛した基布を回転可能な芯金に一体化した構成とされていることを特徴とする請求項15または16記載の画像形成装置。
- 前記ファーブラシは、少なくともブラシに用いられる線材を基布に対してループ形状に植毛した部分を有するパイルを回転可能な芯金にループ形状が上記電子写真感光体の長手方向に対して概ね平行となるように巻き付けて構成されていることを特徴とする請求項15または16記載の画像形成装置。
- 前記ファーブラシは、ブラシに用いられる線材を少なくとも300ループ/inch2以上の密度にて基布に植毛されたパイルを芯金に巻き付けて構成されていることを特徴とする請求項15〜18のいずれか記載の画像形成装置。
- 前記ファーブラシは、ブラシに用いられる線材の材質として、トナーと同じ極性に摩擦帯電が可能な材質が選択されたパイルを芯金に巻き付けて構成されていることを特徴とする請求項15〜19のいずれか記載の画像形成装置。
- 前記ファーブラシは、電気抵抗が1×108Ω以下に設定されて接地されていることを特徴とする請求項15〜20のいずれか記載の画像形成装置。
- 前記ファーブラシは、少なくとも画像形成時に該ファーブラシ内に進入してくるトナーと反対極性の電圧を上記接地部との間に印加されることを特徴とする請求項21記載の画像形成装置。
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