JP4885014B2 - 像担持体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
したがって、有機感光体の高耐久化においては前述の摩耗量を低減することが不可欠であり、これが当分野で最も解決が迫られている課題である。
また、(2)の高分子型電荷輸送物質を用いたものは、ある程度の耐摩耗性向上が可能であるものの、有機感光体に求められている耐久性を十二分に満足させるまでには至っていない。また、高分子型電荷輸送物質は材料の重合、精製が難しく高純度なものが得にくいため材料間の電気的特性が安定しにくい。更に塗工液が高粘度となる等の製造上の問題を起こす場合もある。
(3)の無機フィラーを分散させたものは、通常の低分子電荷輸送物質を不活性高分子に分散させた感光体に比べ高い耐摩耗性が発揮されるが、無機フィラー表面に存在するトラップにより残留電位が上昇し、画像濃度低下が発生し易い傾向にある。また、感光体表面の無機フィラーとバインター樹脂の凹凸が大きい場合には、クリーニング不良が発生し、トナーフィルミングや画像流れの原因となることがある。
従って、上記(1)、(2)、(3)の技術では、有機感光体に求められる電気的な耐久性、機械的な耐久性をも含めた総合的な耐久性を十二分に満足するには至っていない。
また後者では、2官能のアクリロイルオキシ基を有する正孔輸送性化合物と3官能のアクリルモノマーを用い電子線硬化した電荷輸送層の例が記載されているが、これにより架橋密度の向上は望めるものの、嵩高い正孔輸送性化合物が複数の結合で架橋結合中に固定されるため歪みが大きく、表面層の凹凸やクラック、膜剥がれが発生しやすいという問題があった。これらの問題を回避するためには組成材料、その割合及び硬化条件などの細かな制御が必要であり、このため材料や条件の自由度が制限されるばかりでなく、同一の品質を有する感光体を安定して製造することが困難であった。
このようなことから、今後さらに硬化樹脂の架橋密度を高くし、耐摩耗性を向上するばかりでなく、光エネルギー照射量を少なくし、効率的な架橋反応が可能な重合開始剤が望まれている。
前記感光層は、表面層を備え、該表面層は、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有する1官能以上のラジカル重合性化合物と、光重合開始能を有するオキシムエステル化合物と該オキシムエステル化合物のほかにさらにチオキサントン化合物またはアセトフェノン化合物とから光エネルギー照射により形成された架橋構造からなる硬化樹脂層であることを特徴とする像担持体により解決する。
本発明の画像形成方法によれば、耐摩耗性と静電特性の優れた電子写真感光体を備えているため、高速においても長期間にわたって安定した画像形成を行うことができる。
本発明の画像形成装置によれば、耐摩耗性と静電特性の優れた像担持体を備えているため、高速においても長期間にわたって安定した画像形成(例えば、高速で繰り返し使用した際にも摩耗などに対して高耐久性を維持し、地汚れなどによる異常画像の発生がなく、安定した状態で画像を出力)することができる。また、装置の小型化が図れるため、例えば、フルカラープリントが可能なフルカラーレーザープリンタやフルカラーデジタル複写機等に適用することができる。
本発明のプロセスカートリッジによれば、各プロセス手段と像担持体が一体となり、相対的な位置精度が高い構成とされるために画像品質の向上が図れ、しかも電子写真感光体やその他プロセス手段の交換を短時間で容易に行うことができる。
本発明のプロセスカートリッジを搭載した画像形成装置によれば、交換を短時間で容易に行うことができるので、メンテナンス性が向上すると共に、コストダウンにつながる。
前述のように本発明における像担持体は、導電性支持体上に少なくとも感光層を有する像担持体において、 前記感光層は、表面層を備え、該表面層は、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有する1官能以上のラジカル重合性化合物と、光重合開始能を有するオキシムエステル化合物とから光エネルギー照射により形成された架橋構造からなる硬化樹脂層であることを特徴とするものである。
なお、後述するように、本発明における表面層は、単層構造または積層構造の感光層の上に設けられる。以降、「表面層」を「架橋表面層」と表現することがある。
本発明における表面層の形成においては、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物(以降、「電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー」と表現することがある。)を組成分の一つとして用いるものであり、これによって光エネルギー照射した際に3次元の網目構造が発達し、架橋度が非常に高い硬化樹脂層、いわゆる高硬度の表面層が得られ、高い耐摩耗性が達成される。
更に、含有される高分子材料とラジカル重合性組成物(ラジカル重合性モノマーやラジカル重合性官能基を有する電荷輸送性化合物)の反応より生じた硬化物との相溶性が悪く、相分離を生じて表面平滑性の低下や局部的な摩耗、傷が発生しやすくなる。
これに対し、官能基を有しない低分子電荷輸送物質を架橋表面層中に含有させた場合、その相溶性の低さから低分子電荷輸送物質の析出や白濁現象が起こり、これにより架橋表面層の機械的強度が低下する。
上記架橋表面層の形成に当り、構成組成分として電荷輸送性構造を有する1官能以上のラジカル重合性化合物を含有するため、この電荷輸送性構造部位による光エネルギー吸収により、通常の光重合開始剤を用いた場合には光重合開始剤で吸収される光量が極端に低下し、ラジカル発生量が少なくなる。このため、表面層を光エネルギー照射により形成する際に、長時間または高強度の光照射が必要となり、これが原因で電荷輸送構造の分解、特性劣化を引き起こす。また、ラジカル発生量を増加させるためには光重合開始剤の含有量を増加する方法も可能であるが、この場合には架橋表面層のラジカル重合性モノマーや電荷輸送性化合物の含有量が実質的に減少し、耐摩耗性の低下、残留電位の上昇を招く原因となる。
なお、光エネルギーの照射は、ラジカル重合可能な波長領域の光を照射できる光源(例えば、メタルハライドランンプなど)を有する光エネルギー照射手段であれば何れの装置でも使用できる。
以下に、本発明の表面層塗工液の構成材料について説明する。
本発明に用いられる電荷輸送性を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとは、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、且つラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
なお、これらX1、X2、Yについての置換基に更に置換される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であれば、光エネルギーの照射で容易に架橋結合して架橋構造からなる硬化樹脂層を形成し、高速で繰り返し使用した場合でも高耐久性を保持することができる。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO(エチレンオキシ)変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO(プロピレンオキシ)変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH(エピクロロヒドリン)変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
官能基割合が250より大きい場合、架橋表面層は柔らかく耐摩耗性が幾分低下するため、上記例示したモノマー等中、HPA(アルキルレン)、EO(エチレンオキシ)、PO(プロピレンオキシ)等の変性基を有するモノマーにおいては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用することは好ましくない。
[電荷輸送性構造を有する1官能以上のラジカル重合性化合物]
本発明に用いられる電荷輸送性構造を有する1官能以上のラジカル重合性化合物、とは、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しており、且つラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。このラジカル重合性官能基としては、先のラジカル重合性モノマーで示したものが挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。
電荷輸送性構造を有する1官能以上のラジカル重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であれば、光エネルギーの照射で容易に反応し、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物と架橋結合して架橋構造からなる硬化樹脂層が形成され、高速、繰り返し使用においても高耐久性を保持し、高画質の画像形成が達成される。
前記一般式(3)、(4)において、R1の置換基中、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていてもよい。R1の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
(1):ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
(2):アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基またはハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3):アルコキシ基(−OR2)であり、R2は前記(2)で定義したアルキル基を表す。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4):アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5):アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6):下記一般式(11):
アリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4アルキル基又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。
(8):置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等が挙げられる。
さらに好ましくはC1〜C4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。
また、アルキレンオキシカルボニル基としては、カプロラクトン変性基が挙げられる。
[式(5)中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子又はメチル基を表し、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表し、複数の場合は異なってもよい。s、tは0〜3の整数を表す。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、あるいは下記式(6)、(7)、(8)で示される2価基を表す。]
電荷輸送性構造を有する1官能以上のラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
先ず、本発明における電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物の具体例を下記、No.1〜No.160に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
感光層の表面部(例:図1(B)、図2(B))に、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有する1官能以上のラジカル重合性化合物と、光重合開始能を有するオキシムエステル化合物とを組成分として含む塗布液を塗工し、光エネルギー照射により硬化して形成することができる。この際、前記組成分以外に塗工時の粘度調整、架橋表面層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与の目的で、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマー及びラジカル重合性オリゴマーを併用することができる。これらのラジカル重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
すなわち、本発明におけるオキシムエステル化合物は光重合開始能を有しており、ラジカル重合性化合物の反応を促進するものである。
オキシムエステル化合物としては、J.C.S. Perkin II (1979 )1653-1660)、J.C.S.Perkin II (1979)156-162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202-232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報等に記載の化合物が挙げられる。例えば、下記No.384〜No.406に示す構造式の化合物等が例示されるが、これら例示のオキシムエステル化合物に限定されるものではなく、それ以外のオキシムエステル化合物でもかまわない。
その他の光重合開始剤の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン系光重合開始剤、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、などが挙げられる。
本発明の表面層の膜厚は、表面層が用いられる像担持体の層構造によって異なるため、層構造とともに以降に記載する。
本発明における像担持体の製造方法の一例を挙げると、例えば、アルミシリンダー等の支持体上に、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した後、電荷輸送層上に、上記調製した塗工液をスプレー等により塗布する。その後、比較的低温で短時間乾燥し(25〜80℃、1〜10分間)、光エネルギー照射して硬化させる。光エネルギー照射時にはドラム温度が150℃を超えないように制御することが好ましい。硬化終了後は、残留溶媒低減のため100〜150℃で10分〜30分加熱して、本発明の像担持体を得る。
<像担持体の層構造について>
図1は、本発明における像担持体の層構造の一例を示す断面図である。
図1(A)は、導電性支持体(31)上に、表面層34が設けられた単層構造である。この場合に表面層34は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する。
図1(B)は、導電性支持体(31)上に、感光層(33)が設けられ、その感光層(33)の表面部が表面層(34)からなる単層構造である。すなわち、感光層(33)における表面層(34)の下部は、電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。
図2は、本発明における像担持体の層構造の別例を示す断面図である。
図2(A)は、導電性支持体(31)上に、電荷発生機能を有する電荷発生層(35)と、表面層34とが積層された積層構造である。この場合に表面層34は電荷輸送の層として機能する。
図2(B)は、導電性支持体(31)上に、電荷発生機能を有する電荷発生層(35)と、電荷輸送物機能を有する電荷輸送層(37)とが積層され、その電荷輸送層(37)の表面部が表面層(34)からなる積層構造である。すなわち、電荷輸送層(37)における表面層(34)の下部は、電荷輸送物機能を有する電荷輸送層である。
導電性支持体(31)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に記載されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。
このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
次に感光層(33)について説明する。感光層は、図1(A)、(B)、図2(A)、(B)に示すように単層構造でも積層構造でもよい。
前述のように積層構造の場合には、感光層は電荷発生機能を有する電荷発生層と電荷輸送機能を有する電荷輸送層とから構成される。また、単層構造の場合には、感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。以下、積層構造である感光層、及び単層構造である感光層のそれぞれについて説明する。
(電荷発生層)
電荷発生層(35)は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
電荷発生層に併用できる低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
前者の真空薄膜作製法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
電荷輸送層(37)は電荷輸送機能を有する層であり、本発明の電荷輸送性構造を有する表面層(架橋表面層)は、それ自身電荷輸送層として有用に用いられる。
例えば、前記図2(A)で示した構成のように、電荷発生層上に、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有する1官能以上のラジカル重合性化合物と、光重合開始能を有するオキシムエステル化合物を含む塗工液を塗布し、必要に応じて乾燥後、外部エネルギーにより硬化反応を行って表面層を形成することができる。
また、前記図2(B)で示した構成のように、電荷輸送層の表面部が表面層からなる積層構造である場合、先ず表面層の下部である電荷輸送層を、電荷輸送機能を有する電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散した液を電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成し、次いでこの上に、上記本発明の塗工液を塗布し外部エネルギーにより硬化反応を行って架橋表面層を形成することができる。
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送層の下層部分に併用できる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等、一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
電荷輸送層の下層部分の膜厚は、5〜40μm程度が適当であり、好ましくは10〜30μm程度が適当である。
単層構造の感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層で、本発明の電荷輸送性構造を有する表面層は電荷発生機能を有する電荷発生物質を含有させることにより、単層構造の感光層として有用に用いられる。
前述のように、導電性支持体上に表面層を兼ねる感光層を設けた構成(図1(A))、あるいは導電性支持体上に、表面部に表面層を有する感光層を設けた構成(図1(B))とすることができる。
例えば、上記の電荷発生層のキャスティング形成方法において記載したように、電荷発生物質をラジカル重合性組成物を含有する塗工液と共に分散し、電荷発生層上に塗布、必要に応じて乾燥後、外部エネルギーにより硬化反応を開始させ、表面層(架橋表面層)が形成される。
なお、電荷発生物質はあらかじめ溶媒と共に分散した液を本架橋表面層用塗工液に加えてもよい。このとき、架橋表面層の膜厚は、10〜30μm、好ましくは10〜25μmである。10μmより薄いと充分な帯電電位が維持できず、30μmより厚いと硬化時の体積収縮により導電性基体または下引き層との剥離が生じやすくなる。
電荷発生物質の分散方法、それぞれ電荷発生物質、電荷輸送物質、可塑剤、レベリング剤は前記電荷発生層、電荷輸送層において既に述べたものと同様なものが使用できる。結着樹脂としては、先に電荷輸送層の項で挙げた結着樹脂のほかに、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。また、先に挙げた高分子電荷輸送物質も使用可能で、架橋表面層への下層感光層組成物の混入を低減できる点で有用である。かかる感光層の下層部分の膜厚は、5〜30μm程度が適当であり、好ましくは10〜25μm程度が適当である。
単層構造の感光層中に含有される電荷発生物質は感光層全量に対し1〜30重量%が好ましく、感光層の下層部分に含有される結着樹脂は全量の20〜80重量%、電荷輸送物質は10〜70重量部が良好に用いられる。
本発明の像担持体においては、架橋表面層が感光層の表面部分となる場合、架橋表面層への下層成分混入を抑えたり又は下層との接着性を改善する目的で中間層を設けることが可能である。この中間層はラジカル重合性組成物を含有する最表面層中に下部感光層組成物の混入により生ずる、硬化反応の阻害や架橋表面層の凹凸を防止する。また、下層の感光層と架橋表面層の接着性を向上させることも可能である。
本発明の像担持体においては、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、架橋表面層、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、中間層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して0.01〜10重量%である。
次に図面に基づいて本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置を詳しく説明する。
本発明の画像形成方法は、前述の像担持体を用いて、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行なうことを特徴とするものである。また、本発明の画像形成装置は、前述の像担持体を少なくとも備えたことを特徴とするものである。
すなわち、本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置とは、前記平滑な電荷輸送性架橋表面層を有する像担持体を用い、例えば、少なくとも像担持体に帯電、画像露光、現像の過程を経た後、画像保持体(転写紙)へのトナー画像の転写、定着及び像担持体表面のクリーニングというプロセスからなるものであるが、場合により、静電潜像を直接転写体に転写し現像する画像形成方法等では、像担持体に配した上記プロセスを必ずしも有するものではない。
図3は、本発明における画像形成装置の構成例を示す概略図である。図3において、像担持体(1)は、導電性支持体上に少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有する1官能以上のラジカル重合性化合物と、光重合開始能を有するオキシムエステル化合物とから光エネルギー照射により形成された架橋構造からなる表面層(硬化樹脂層)を有するものである。
そして、像担持体を平均的に帯電させる手段として、帯電チャージャ(3)が用いられる。この帯電手段としては、コロトロンデバイス、スコロトロンデバイス、固体放電素子、針電極デバイス、ローラー帯電デバイス、導電性ブラシデバイス等が用いられ、公知の方式が使用可能である。
以上の説明から明らかなように、本発明の像担持体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができるものである。
(合成例1)
<1官能の電荷輸送性構造を有する化合物の合成例;例示化合物No.54の合成>
例示化合物No.54の合成を以下の手順で実施した。
(1)ヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物の合成:
下記構造式(A)で示されるメトキシ基置換トリアリールアミン化合物113.85g(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138g(0.92mol)にスルホラン240mlを加え、窒素気流中で60℃に加温した。
上記(1)で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物〔構造式(B)〕82.9g(0.227mol)をテトラヒドロフラン400mlに溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4g,水:100ml)を滴下した。この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2g(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌して反応を終了させた。この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマト処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させ、例示化合物No.54の電荷輸送性構造を持つ化合物を得た。
得られた化合物は、80.73g(収率=84.8%)であり、白色結晶で融点が117.5〜119.0℃であった。元素分析の結果を下記表2に示す。実測値と計算値が良く一致しており目的物であることが確認された。
Al製支持体(外径30mmφ)に、下引き層用塗工液を用いて乾燥後の膜厚が3.6μmになるように浸漬法で塗工し、下引き層を形成した。
アルキッド樹脂
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業製): 6部
メラミン樹脂
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製): 4部
酸化チタン(CR−EL:石原産業): 40部
メチルエチルケトン: 50部
下記構造式(C)のビスアゾ顔料: 2.5部
ポリビニルブチラール(XYHL、UCC製): 0.5部
シクロヘキサノン: 200部
メチルエチルケトン: 80部
ビスフェノールZ型ポリカーボネート: 10部
下記構造式(D)の低分子電荷輸送物質: 10部
テトラヒドロフラン: 80部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液
(KF50、信越化学工業製): 0.2部
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー[
トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、
日本化薬製): 9部
電荷輸送性構造を有する1官能以上のラジカル重合性化合物[合成例1で
合成したラジカル重合性化合物(例示化合物No.54) ]: 9部
光重合開始剤[1−フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(0-エトキシ
カルボニル)オキシム〔Quantacure PDO、ACETO製〕]:2部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
テトラヒドロフラン: 80部
実施例1において、架橋表面層塗工液中の光重合開始剤を下記構造式(E)のオキシムエステル化合物(PAI−101、みどり化学社製)とすること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、本発明の像担持体を作製した。
実施例1において、架橋表面層塗工液中の光重合開始剤を下記構造式(1)のオキシムエステル化合物(OXE01、チバスペシャルケミカルズ製)とすること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、本発明の像担持体を作製した。
実施例1において、架橋表面層塗工液中の光重合開始剤を下記構造式(2)のオキシムエステル化合物(OXE02、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)とすること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、本発明の像担持体を作製した。
実施例1において、架橋表面層塗工液中の光重合開始剤を、実施例3で用いたオキシムエステル化合物 (OXE01、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)と下記構造式(F)のチオキサントン化合物(東京化成製)とを混合比(重量):1/1で混合して使用すること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、本発明の像担持体を作製した。
実施例1において、架橋表面層塗工液中の光重合開始剤を、実施例4で用いたオキシムエステル化合物 (OXE02、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)と実施例5で用いたチオキサントン化合物(東京化成製)とを混合比(重量):1/1で混合して使用すること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、本発明の像担持体を作製した。
実施例1において、架橋表面層塗工液中の光重合開始剤を、実施例3で用いたオキシムエステル化合物 (OXE01、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)と下記構造式(G)のアセトフェノン化合物(I−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)とを混合比(重量):1/1で混合して使用すること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、本発明の像担持体を作製した。
実施例1において、架橋表面層塗工液中の光重合開始剤を、実施例4で用いたオキシムエステル化合物 (OXE02、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)と実施例7で用いたアセトフェノン化合物(I−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)とを混合比(重量):1/1で混合して使用すること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、本発明の像担持体を作製した。
実施例1において、架橋表面層塗工液中の電荷輸送性構造を有する1官能以上のラジカル重合性化合物を例示化合物NO.182とすること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、本発明の像担持体を作製した。
実施例1において、架橋表面層塗工液中の電荷輸送性構造を有する1官能以上のラジカル重合性化合物を例示化合物NO.364とすること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、本発明の像担持体を作製した。
実施例2の架橋表面層塗工液を用い、スプレー塗工し、光照射時間を30秒とすること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、本発明の像担持体を作製した。
実施例2の架橋表面層塗工液を用い、スプレー塗工し、光照射時間を60秒とすること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、本発明の像担持体を作製した。
実施例2の架橋表面層塗工液を用い、スプレー塗工し、光照射時間を120秒とすること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、本発明の像担持体を作製した。
実施例3の架橋表面層塗工液を用い、スプレー塗工し、光照射時間を30秒とすること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、本発明の像担持体を作製した。
実施例3の架橋表面層塗工液を用い、スプレー塗工し、光照射時間を60秒とすること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、本発明の像担持体を作製した。
実施例3の架橋表面層塗工液を用い、スプレー塗工し、光照射時間を120秒とすること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、本発明の像担持体を作製した。
実施例4の架橋表面層塗工液を用い、スプレー塗工し、光照射時間を30秒とすること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、本発明の像担持体を作製した。
実施例4の架橋表面層塗工液を用い、スプレー塗工し、光照射時間を60秒とすること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、本発明の像担持体を作製した。
実施例4の架橋表面層塗工液を用い、スプレー塗工し、光照射時間を120秒とすること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、本発明の像担持体を作製した。
実施例1において、架橋表面層塗工液中の光重合開始剤を、実施例5で用いたチオキサントン化合物とすること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、像担持体を作製した。
実施例1において、架橋表面層塗工液中の光重合開始剤を、実施例7で用いたアセトフェノン化合物とすること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、像担持体を作製した。
実施例1において、架橋表面層塗工液中の光重合開始剤を、下記構造式(H)のミヒラーズケトン化合物(4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン:東京化成製)とすること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、像担持体を作製した。
実施例1において、架橋表面層塗工液中の光重合開始剤を、下記構造式(I)のヒドロキシケトン化合物(I−127:チバ・スペショリティ・ケミカルズ製)とすること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、像担持体を作製した。
比較例2の架橋表面層塗工液を用い、スプレー塗工し、光照射時間を30秒とすること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、像担持体を作製した。
比較例2の架橋表面層塗工液を用い、スプレー塗工し、光照射時間を60秒とすること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、像担持体を作製した。
比較例2の架橋表面層塗工液を用い、スプレー塗工し、光照射時間を120秒とすること以外はすべて実施例1と同じにして電荷輸送層上に表面層を設け、像担持体を作製した。
実施例1の架橋表面層を設けずに、電荷輸送層膜厚を31μmとすること以外はすべて実施例1と同じにして像担持体を作製した。
上記作製した実施例1〜19と比較例1〜8の像担持体を用いて実機通紙試験を行った。
すなわち、作製した像担持体を、リコー製imagio Neo270改造機(画像露光光源として655nmの半導体レーザー)を用いて、温度22℃、湿度55%環境で画像面積1%のA4横チャート30万枚の実機通紙試験(A4、NBSリコー製MyPaper、スタート時帯電電位-700V)を実施し、摩耗特性、機内電位、画像評価を行った。
摩耗特性、機内電位、画像評価は以下の条件で実施した。
摩耗量評価は、渦電流式膜厚計(FischerScpoe MMS膜厚計)を用いて、初期からの膜厚減少量を示す。比較例5、比較例6、比較例8は、摩耗量が大きかったため、通紙試験途中で評価を中止した。摩耗特性において各種重合開始剤の光エネルギー照射時間依存性を図5に示す。
<機内電位>
表面電位計(Trek MODEL344)を実機内に組み込み、評価を行った。
<画像評価>
像担持体及び複写機を温度30℃、相対湿度90%の環境に移し、ハーフトーン画像出力を行い初期画像との比較を実施した。すなわち、画像評価は、ハーフトーン画像を出力し、目視にて評価を行った。評価基準は以下による。
良好:○ 、局所的にムラが発生:△、全体的にムラが発生:×
以上から明らかなように、本発明の像担持体によれば、耐摩耗性が高く、電気的特性も良好であるため、高速で繰り返し使用した場合でも、長期にわたって高耐久性を維持し、感度低下や残留電位上昇などを招くことがなく、地汚れなどによる異常画像の発生もなく、解像度の高い画像を出力することができる。
したがって、本発明の像担持体を画像形成方法、画像形成装置、画像形成装置用のプロセスカートリッジに用いれば、高線速への対応や小径化などの要求に応えることができ、フルカラー化と高速化を両立することが可能である。
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写体(転写紙)
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
31 導電性支持体
33 感光層
34 表面層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
101 像担持体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 転写体
106 転写手段
107 クリーニング手段
Claims (13)
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する像担持体において、
前記感光層は、表面層を備え、該表面層は、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有する1官能以上のラジカル重合性化合物と、光重合開始能を有するオキシムエステル化合物と該オキシムエステル化合物のほかにさらにチオキサントン化合物またはアセトフェノン化合物とから光エネルギー照射により形成された架橋構造からなる硬化樹脂層であることを特徴とする像担持体。 - 前記電荷輸送性構造を有する1官能以上のラジカル重合性化合物の官能基数が、1官能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の像担持体。
- 前記電荷輸送性構造を有する1官能以上のラジカル重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の像担持体。
- 前記電荷輸送性構造を有する1官能以上のラジカル重合性化合物が、分子中にトリアリールアミン構造を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の像担持体。
- 前記トリアリールアミン構造を含む電荷輸送性構造を有する1官能以上のラジカル重合性化合物が、下記一般式(3)又は(4)で示される一種以上のラジカル重合性化合物であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の像担持体。
[式(3)、(4)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR7(R7は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基もしくはCONR8R9(R8及びR9は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表し、Ar1、Ar2は置換もしくは未置換のアリーレン基を表し、同一であっても異なってもよい。Ar3、Ar4は置換もしくは未置換のアリール基を表し、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表す。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表す。m、nは0〜3の整数を表す。] - 前記電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の像担持体。
- 請求項1乃至9のいずれかに記載の像担持体を用いて、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行なうことを特徴とする画像形成方法。
- 請求項1乃至9のいずれかに記載の像担持体を少なくとも備えたことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1乃至9のいずれかに記載の像担持体と、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を具備し、画像形成装置本体と着脱自在に構成されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項12に記載のプロセスカートリッジを搭載したことを特徴とする画像形成装置。
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