JP4688718B2 - 電子写真感光体とその製造方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ - Google Patents
電子写真感光体とその製造方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ Download PDFInfo
- Publication number
- JP4688718B2 JP4688718B2 JP2006112933A JP2006112933A JP4688718B2 JP 4688718 B2 JP4688718 B2 JP 4688718B2 JP 2006112933 A JP2006112933 A JP 2006112933A JP 2006112933 A JP2006112933 A JP 2006112933A JP 4688718 B2 JP4688718 B2 JP 4688718B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- photosensitive member
- substituent
- electrophotographic photosensitive
- polymerizable compound
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Discharging, Photosensitive Material Shape In Electrophotography (AREA)
- Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
- Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)
Description
前者は、画像形成において帯電や露光が繰り返し行われることにより感光体の疲労が進行し、それによって引き起こされる帯電電位の低下もしくは露光部電位の上昇が画像品質の低下を引き起こす。特に、帯電電位の低下は導電性支持体からの電荷のリークによる影響をさらに増大し、地汚れを顕在化しやすくさせる。
後者においては、感光体の表面層がクリーニング部材などの擦察により摩耗され、それにより感光体表面層の膜厚が減少すると、電界強度の上昇や感光体表面の傷の増加等により画像品質の低下を引き起こす。特に、膜厚減少によって電界強度が上昇すると地汚れの発生を顕著に増加させる。
このように、感光体の耐摩耗性を高めることによって電界強度の経時変動を少なくできることから、地汚れの抑制に対しては高い効果が得られる。
したがって、上記(i)、(ii)、(iii)の技術では、地汚れ抑制に有効な場合があっても、残留電位やクリーニング性等に不具合があり、それによって生じる画像欠陥の影響から、耐久性を十分に満足するには至っていない。
しかし、この感光体においては、感光層上に設けた保護層にこの多官能のアクリレートモノマー硬化物を含有させる旨の記載があるものの、この保護層においては電荷輸送物質を含有せしめてもよいことが記載されているのみで具体的な記載はなく、しかも、単に架橋型電荷輸送層に低分子の電荷輸送物質を含有させた場合には、上記硬化物との相溶性の問題があり、これにより、低分子電荷輸送物質の析出、白濁現象が起こり、露光部電位の上昇により画像濃度が低下するばかりでなく機械強度も低下してしまうことがあった。さらに、この感光体は、具体的には高分子バインダーを含有した状態でモノマーを反応させるため、3次元網目構造の形成が十分に進行せず、架橋結合密度が希薄となるために飛躍的な耐摩耗性を発揮するまでには至っていない。
このバインダー樹脂は電荷発生層と硬化型電荷輸送層の接着性を向上させ、さらに厚膜硬化時の膜の内部応力を緩和させる役割を果たしていると考えられ、炭素−炭素二重結合を有し、上記電荷輸送物質に対して反応性を有するものと、上記二重結合を有さず反応性を持たないものに大別される。この感光体は耐摩耗性と良好な電気的特性を両立しており注目されるが、バインダー樹脂として反応性を有していないものを使用した場合においては、バインダー樹脂と、上記モノマーと電荷輸送物質との反応により生成した硬化物との相溶性が悪く、架橋型電荷輸送層中で層分離が生じ、傷やトナー中の外添剤および紙粉の固着の原因となることがある。また、3次元網目構造が十分に進行せず、架橋結合密度が希薄となるため飛躍的な耐摩耗性を発揮できるまでに至っていない。加えて、この感光体において使用される上記モノマーとして記載されているものは2官能性のものであり、これらの点で耐摩耗性の点では未だ満足するには至らなかった。また、反応性を有するバインダーを使用した場合においても、硬化物の分子量は増大するものの分子間架橋結合数は少なく、上記電荷輸送物質の結合量と架橋密度との両立は難しく、電気特性および耐摩耗性も十分とは言えないものであった。
この感光体は保護層中にバインダー樹脂を含有していないため、3次元網目構造が十分に進行し、架橋結合密度が非常に大きくなることから、飛躍的な耐摩耗性を発揮することが可能となる。さらに、電気輸送物質が架橋されるため、耐摩耗性と電気特性の両立が可能となる。
前記感光体は、導電性支持体上に少なくとも感光層と表面層を有し、該表面層が、電荷輸送性構造を持たない3官能以上のラジカル重合性化合物と、1官能以上の電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物との架橋結合により形成された硬化樹脂からなると共に、該硬化樹脂中における架橋結合した電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物の濃度が表面から内部に向けて小さくなることを特徴とする電子写真感光体である。
導電性支持体上に少なくとも感光層と表面層とを順次形成することよりなり、該表面層の形成時に、電荷輸送性構造を持たない3官能以上のラジカル重合性化合物と、1官能以上の電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物を含有し、該電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物の濃度が異なる少なくとも2種類以上の塗工液を用い、溶液塗工法により塗工液の種類を変えて順次塗布することで、該1官能以上の電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物の濃度が、表面から内部に向けて小さくなる表面層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
本発明の電子写真感光体の製造方法によれば、例えば、電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物の濃度が、表面層の膜厚深さ方向における表面から内部に向けて小さくなるように勾配をつけることが容易となり、製造された電子写真感光体は上記機能を発揮することができる。
本発明の画像形成装置および画像形成方法によれば、摩耗や静電疲労などに対して優れた電子写真感光体を備えているため、高線速、高転写バイアスなどへの対応が可能であり、長期間にわたって安定した高品質の画像形成を行うことができる。
また、本発明の画像形成用プロセスカートリッジは、相対的な位置精度が高い構成であり、画像品質の向上、短時間の交換(メンテナンス性向上)が可能で、画像形成装置に搭載すれば、メンテナンス性向上、コストダウンなどを図ることができる。
前記感光体は、導電性支持体上に少なくとも感光層と表面層を有し、該表面層が、電荷輸送性構造を持たない3官能以上のラジカル重合性化合物と、1官能以上の電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物との架橋結合により形成された硬化樹脂からなると共に、該硬化樹脂中における架橋結合した電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物の濃度が表面層の膜厚深さ方向で異なることを特徴とするものである。
〔電子写真感光体〕
本発明における電子写真感光体は、その材質、形状、構造、大きさ等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、導電性支持体(支持体)と、支持体上に少なくとも感光層と表面層をこの順に積層してなる構造を有すると共に、表面層が、電荷輸送性構造を持たない3官能以上のラジカル重合性化合物と、1官能以上の電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物との架橋結合により形成された硬化樹脂からなり、該硬化樹脂中における架橋結合した電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物の濃度が表面層の膜厚深さ方向で異なるように構成されている。
なお、硬化樹脂とする場合の架橋結合は、光エネルギーの照射により形成することができる。そして、光エネルギーの照射は、ラジカル重合可能な波長領域の光を照射できる光源(例えば、メタルハライドランンプなど)を有する光エネルギー照射手段であれば何れの装置でも使用できる。
上記電子写真感光体の感光層が単層構造の場合には、電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する感光層が設けられる。一方感光層が積層構造の場合には、電荷発生機能を有する電荷発生層と、電荷輸送物機能を有する電荷輸送層とが順次積層された感光層が設けられる。なお電子写真感光体の各層構成の詳細については後述する。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以後ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは単独または2種類以上を併用しても差し支えない。
官能基割合が250より大きい場合、架橋表面層は柔らかく、耐摩耗性が幾分低下するため、上記例示したモノマー等中、EO、PO、カプロラクトン等の変性基を持つモノマーにおいては、極端に長い変性基を持つものを単独で使用することは好ましくはない。
本発明に用いられる1官能以上の電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物とは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を持つ電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しており、且つラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。このラジカル重合性官能基としては、前述のラジカル重合性モノマーで示したものが挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。
つまり、2官能以上の電荷輸送性化合物を用いた場合は複数の結合により架橋構造中に固定され、その際に電荷輸送性構造が非常に嵩高いため、硬化樹脂中に歪みが発生して架橋表面層の内部応力が高くなり、剥離摩耗を引き起こしやすくする。
前記一般式(1)、(2)において、R1の置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていてもよい。R1の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、およびナフタセニル基等が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、およびチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
(2)アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基またはハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR2)であり、R2は(2)で定義したアルキル基を表す。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)下記式(f)
アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基またはナフチル基が挙げられ、これらはC1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4アルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R3およびR4は共同で環を形成してもよい。
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(8)置換または無置換のスチリル基、置換または無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
具体的には、メチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは未置換のアルキレン基としは、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基としては、前記Xのアルキレンエーテル基の2価基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル2価基としては、カプロラクトン変性2価基が挙げられる。
このように、1官能性の電荷輸送構造を持つラジカル重合性化合物が、主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、主鎖または架橋鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、主鎖または架橋鎖部分に直接結合していない。したがって、主鎖または架橋鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため、立体的な位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能である。そのため、分子内の構造的歪みが少なく、また、電子写真感光体の表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。
先ず、本発明における1官能の電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物の具体例を下記に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールA−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
上記ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。
これらの重合開始剤は1種または2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性を持つ総含有物100重量部に対し、0.5〜40重量部、好ましくは1〜20重量部である。
これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分に対し20重量%以下、好ましくは10%以下に抑えられる。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を持つポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分に対し3重量%以下が適当である。
先ず、アルミシリンダー等の導電性支持体上に、必要により下引き層を設け、下引き層上に感光層〔単層型、もしくは積層型(電荷発生層と電荷輸送層を順次積層)〕を形成し、この感光層上に、予め電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物の溶液濃度を変えて調製した複数の架橋表面層用塗工液を用いて、順次スプレー等で塗布し、その後、光エネルギー照射手段によって、塗布膜中の電荷輸送性構造を持たない3官能以上のラジカル重合性化合物と、1官能以上の電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物を架橋結合させ硬化した架橋表面層を形成する。硬化終了後は、残留溶媒低減のため100〜150℃で10〜30分加熱して、本発明の電子写真感光体を得る。
図1は、本発明における電子写真感光体の層構造の一例を示す断面図である。
図1の層構造では、導電性支持体(31)上に、下引き層(32)、電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する単層構造の感光層(33)、架橋表面層(34)が設けられている。
図2は、本発明における電子写真感光体の層構造の別例を示す断面図である。
図2の層構造では、導電性支持体(31)上に、下引き層(32)、電荷発生機能を有する電荷発生層(35)と電荷輸送物機能を有する電荷輸送層(37)とが積層された積層構造の感光層(33)、架橋表面層(34)が設けられている。
以下、各構成層について説明する。
導電性支持体(31)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に記載されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体(31)として用いることができる。
この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。
上記塗工された導電性層は、導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
感光層は、図1、図2に示すように単層構造でも積層構造でもよい。
積層構造の場合には、感光層は電荷発生機能を有する電荷発生層と電荷輸送機能を有する電荷輸送層とから構成される。また、単層構造の場合には、感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。以下、積層構造である感光層、および単層構造である感光層のそれぞれについて説明する。
(電荷発生層)
電荷発生層(35)は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
前者(AP)の具体的な例としては、特開平01−001728号公報、特開平01−009964号公報、特開平01−013061号公報、特開平01−019049号公報、特開平01−241559号公報、特開平04−011627号公報、特開平04−175337号公報、特開平04−183719号公報、特開平04−225014号公報、特開平04−230767号公報、特開平04−320420号公報、特開平05−232727号公報、特開平05−310904号公報、特開平06−234836号公報、特開平06−234837号公報、特開平06−234838号公報、特開平06−234839号公報、特開平06−234840号公報、特開平06−234841号公報、特開平06−239049号公報、特開平06−236050号公報、特開平06−236051号公報、特開平06−295077号公報、特開平07−056374号公報、特開平08−176293号公報、特開平08−208820号公報、特開平08−211640号公報、特開平08−253568号公報、特開平08−269183号公報、特開平09−062019号公報、特開平09−043883号公報、特開平09−71642号公報、特開平09−87376号公報、特開平09−104746号公報、特開平09−110974号公報、特開平09−110976号公報、特開平09−157378号公報、特開平09−221544号公報、特開平09−227669号公報、特開平09−235367号公報、特開平09−241369号公報、特開平09−268226号公報、特開平09−272735号公報、特開平09−302084号公報、特開平09−302085号公報、特開平09−328539号公報等に記載の電荷輸送性高分子材料が挙げられる。
また、後者(PS)の具体例としては、例えば特開昭63−285552号公報、特開平05−19497号公報、特開平05−70595号公報、特開平10−73944号公報等に記載のポリシリレン重合体が例示される。
電荷発生層(35)に併用できる低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
前者の真空薄膜作製法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
電荷輸送層(37)は電荷輸送機能を有する層である。電荷輸送層は電荷輸送機能を有する電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散した溶液を電荷発生層(35)上に塗布、乾燥することにより形成する。
電荷輸送層に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。電荷輸送層の膜厚は、5〜40μm程度が適当であり、好ましくは10〜30μm程度が適当である。
前述のように、単層構造の感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層であり、電荷発生機能を有する電荷発生物質と電荷輸送機能を有する電荷輸送物質と結着樹脂を適当な溶媒に溶解ないし分散した塗工液を塗布、乾燥することによって形成できる。
塗工液の塗布は、前記電荷発生層のキャスティング形成方法で記載したのと同様に行うことができる。必要により、塗工液に可塑剤やレベリング剤等を添加することもできる。
また、先に挙げた高分子電荷輸送物質も使用可能であり、架橋表面層への下層感光層組成物の混入を低減できる点で有用である。かかる感光層の膜厚は、5〜30μm程度が適当であり、好ましくは10〜25μm程度が適当である。
なお、本発明の電荷輸送性構造を持つ架橋表面層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を含有させることにより、単層構造の感光層としても有用に用いることができる。
本発明の感光体においては、導電性支持体(31)と感光層との間に下引き層(32)を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層(33)を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、表面架橋層、感光層、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して0.01〜10重量%である。
以下、各手段について説明する。
静電潜像形成手段は、帯電手段と露光手段を含むものであり、静電潜像の形成は、前記電子写真感光体の表面を一様に帯電した後、露光することにより行うことができる。すなわち、静電潜像手段としては、前記感光体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記感光体の表面を露光する露光器とを少なくとも備える。
前記現像は、前記静電潜像を、トナーを用いて現像し、可視像を形成することで行われる。現像手段としては、トナーを用いて現像することができれば特に制限はなく、公知のものの中から選択することが可能である。例えば、感光体に形成された静電潜像を現像する手段には、カスケード現像法、噴霧(パウダークラウド)現像法、ファーブラシ現像法、磁気ブラシ現像法などの現像法がある。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により前記トナーが帯電し、回転するマグネットローラーの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。前記マグネットローラーの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって前記感光体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が前記トナーにより現像されて感光体の表面にトナーによる可視像が形成される。
前記トナーは、使用するトナーの帯電特性により、正転現像にも逆転現像にも対応可能である。感光体の帯電極性と逆極性のトナーを使用した場合には正転現像が使用され、同極性のトナーを用いた場合には反転現像によって、静電潜像が現像される。
本発明における転写手段は、前記可視像を感光体に対して正電位を印加して記録媒体に転写する接触方式のものである。
転写手段としては、転写ローラー、もしくは搬送工程も兼ね備えた転写ベルトが好ましく用いられる。また、転写方式としては、感光体上に形成された可視像を転写ローラー、もしくは転写ベルト等により、記録媒体側へ剥離帯電させる接触型が好ましく用いられる。転写ローラー、もしくは転写ベルトに印加される極性は、感光体の帯電極性、トナーの帯電極性、さらにネガポジ現像が主流であることから、転写手段(転写ローラー、転写ベルト)には正電荷が印加される。
前記定着は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着され、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
定着手段(定着装置)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラーと加圧ローラーとの組み合わせ、加熱ローラーと加圧ローラーと無端ベルトとの組み合わせなどが挙げられる。加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
除電手段としては、特に制限はなく、前記感光体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
図3は、本発明における画像形成装置の構成例を示す概略図である。図3において、感光体(1)は、導電性支持体上に少なくとも感光層と、電荷輸送性構造を持たない3官能以上のラジカル重合性化合物と1官能以上の電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物との架橋結合により形成された硬化樹脂からなると共に、該硬化樹脂中における架橋結合した電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物の濃度が表面層の膜厚深さ方向で異なるように構成された表面層を有するものである。
そして、感光体を所定の電位に均一に帯電させる手段として、帯電チャージャ(3)が用いられる。この帯電手段としては、コロトロンデバイス、スコロトロンデバイス、固体放電素子、針電極デバイス、ローラー帯電デバイス、導電性ブラシデバイス等が用いられ、公知の方式が使用可能である。
次に、転写体(9)を感光体(1)より分離する手段として、分離爪(12)が用いられる。その他分離手段としては、静電吸着誘導分離、側端ベルト分離、先端グリップ搬送、曲率分離等が用いられる。
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは公知のものが使用できる。
本発明の電子写真感光体を用いた前記画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でそれら装置内に組み込まれ、着脱自在としたものであってもよい。プロセスカートリッジの一例を図4の概略図に示す。
画像形成装置用プロセスカートリッジとは、感光体(感光体ドラム)(101)を内蔵し、他に帯電手段(102)、現像手段(104)、転写手段(106)、クリーニング手段(クリーニングブレード)(107)、除電手段(図示せず)の少なくとも一つを具備し、画像形成装置本体に着脱可能とした装置(部品)である。
すなわち、感光体(101)は、矢印方向に回転しながら、帯電手段(102)による帯電、露光手段(図示せず)による露光(103)により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成され、この静電潜像は、現像手段(104)でトナー現像され、該トナー現像は転写手段(106)により、転写体(105)に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の感光体表面は、クリーニング手段(107)によりクリーニングされ、さらに除電手段(図示せず)により除電されて、再び以上の操作を繰り返すものである。
(合成例1)
<例示化合物No.54の合成>
例示化合物No.54の合成を以下の手順で実施した。
(1)ヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物の合成:
下記構造式(A)で示されるメトキシ基置換トリアリールアミン化合物113.85g(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138g(0.92mol)にスルホラン240mlを加え、窒素気流中で60℃に加温した。
上記(1)で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物〔構造式(B)〕82.9g(0.227mol)をテトラヒドロフラン400mlに溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4g,水:100ml)を滴下した。この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2g(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌して反応を終了させた。この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマト処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させ、例示化合物No.54の電荷輸送性構造を持つ化合物を得た。
得られた化合物は、80.73g(収率=84.8%)であり、白色結晶で融点が117.5〜119.0℃であった。元素分析の結果を下記表2に示す。実測値と計算値が良く一致しており目的物であることが確認された。
<例示化合物No.105の合成>
例示化合物No.54の合成における合成手順と同様にして、目的とする分子構造のメトキシ基置換トリアリールアミン化合物からヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物を合成し、これとアクリル酸クロライドを反応させて例示化合物No.105の構造を有するトリアリールアミノ基置換アクリレート化合物を合成した。元素分析の結果等から目的物であることが確認された。
(合成例3)
<チタニルフタロシアニン顔料の合成>
1、3−ジイミノイソインドリン292gとスルホラン2000mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド204gを滴下した。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、次にメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶をろ過し、次いで洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキを得た。このウェットケーキを、イオン交換水で徹底的に洗浄した。
得られたチタニルフタロシアニン顔料についてのX線回折スペクトルを以下に示す条件で測定した。
X線管球:Cu、電圧:40kV、電流:20mA
走査速度:1°/分、走査範囲:3°〜40°、時定数:2秒
φ100mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を調製して順次、塗布、乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.3μmの電荷発生層、23μmの電荷輸送層をそれぞれ形成した。この電荷輸送層上に下記組成の架橋表面層用塗工液Aと架橋表面層用塗工液Bを続けてスプレー塗工し、メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:120mm、照射強度:500mW/cm2、照射時間:240秒の条件で光照射を行ない、更に130℃で20分乾燥を加え、架橋表面層用塗工液Aによる架橋膜2μm、架橋表面層用塗工液Bによる架橋膜2μmの総膜厚4μmの表面架橋層を設け、本発明の電子写真感光体を得た。
アルキッド樹脂
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業製): 6部
メラミン樹脂
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製): 4部
酸化チタン: 40部
メチルエチルケトン: 50部
合成例3で合成したチタニルフタロシアニン粉末: 4部
ポリビニルブチラール(エスレックBM−S、積水化学工業): 2部
メチルエチルケトン: 150部
ビスフェノールZ型ポリカーボネート
(パンライトTS−2050、帝人化成製): 10部
下記構造式(D−1)の低分子電荷輸送物質: 7部
テトラヒドロフラン: 100部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液
(KF50−100CS、信越化学工業製): 1部
トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、
日本化薬製; 分子量:296、官能基数:3官能、
分子量/官能基数=99)(*): 15部
合成例1で合成したラジカル重合性化合物(例示化合物No.54)(**): 5部
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
テトラヒドロフラン: 100部
(*)電荷輸送性構造を持たない3官能のラジカル重合性モノマー。
(**)1官能の電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物。
以下、(*)、(**)の説明は同じであるため省略する。
トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、
日本化薬製; 分子量:296、官能基数:3官能、
分子量/官能基数=99)(*): 5部
合成例1で合成したラジカル重合性化合物(例示化合物No.54)(**):15部
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
テトラヒドロフラン: 100部
実施例1において、架橋表面層用塗工液A、Bを下記組成に変えた以外は実施例1と同様にして電荷輸送層上に表面架橋層を設け、本発明の電子写真感光体を得た。
トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、
日本化薬製; 分子量:296、官能基数:3官能、
分子量/官能基数=99)(*): 14部
合成例1で合成したラジカル重合性化合物(例示化合物No.54)(**): 6部
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
テトラヒドロフラン: 100部
トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、
日本化薬製; 分子量:296、官能基数:3官能、
分子量/官能基数=99)(*): 6部
合成例1で合成したラジカル重合性化合物(例示化合物No.54)(**):14部
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
テトラヒドロフラン: 100部
実施例1において、架橋表面層用塗工液A、Bを下記組成に変えた以外は実施例1と同様にして電荷輸送層上に表面架橋層を設け、本発明の電子写真感光体を作製した。
トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、
日本化薬製; 分子量:296、官能基数:3官能、
分子量/官能基数=99)(*): 13部
合成例1で合成したラジカル重合性化合物(例示化合物No.54)(**): 7部
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
テトラヒドロフラン: 100部
トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、
日本化薬製; 分子量:296、官能基数:3官能、
分子量/官能基数=99)(*): 7部
合成例1で合成したラジカル重合性化合物(例示化合物No.54)(**):13部
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
テトラヒドロフラン: 100部
実施例1において、架橋表面層用塗工液A、Bを下記組成に変えた以外は実施例1と同様にして電荷輸送層上に表面架橋層を設け、本発明の電子写真感光体を作製した。
トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、
日本化薬製; 分子量:296、官能基数:3官能、
分子量/官能基数=99)(*): 12部
合成例1で合成したラジカル重合性化合物(例示化合物No.54)(**): 8部
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
テトラヒドロフラン: 100部
トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、
日本化薬製; 分子量:296、官能基数:3官能、
分子量/官能基数=99)(*): 8部
合成例1で合成したラジカル重合性化合物(例示化合物No.54)(**):12部
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
テトラヒドロフラン: 100部
実施例1において、架橋表面層用塗工液A、Bを下記組成の架橋表面層用塗工液Cのみとし、これを電荷輸送層上にスプレー塗工し、実施例1と同様に光照射と加熱乾燥を加えて膜厚4μmの表面架橋層を設け、比較例の電子写真感光体を作製した。
トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、
日本化薬製; 分子量:296、官能基数:3官能、
分子量/官能基数=99)(*): 10部
合成例1で合成したラジカル重合性化合物(例示化合物No.54)(**):10部
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
テトラヒドロフラン: 100部
上記作製した実施例1〜4と比較例1の電子写真感光体を用いて実機通紙試験を行った。
すなわち、リコー製imagio Neo751改造機(感光体線速(プロセス線速):350mm/sec)を用いて、50万枚の実機通紙試験(A4、NBSリコー製MyPaper、スタート時帯電電位−800V)を実施し、摩耗特性、機内電位、画像評価を行った。結果を下記表3、4、5にそれぞれ示す。
摩耗特性、機内電位、画像評価は以下の条件で実施した。
摩耗特性:電子写真感光体の膜厚を測定することで求めた。膜厚測定装置はうず電流式膜厚計(FISHERSCOPE)を用いた。
機内電位:機内電位の暗部電位はグリッド電圧を−900(V)に固定して白ベタ画像を出力したときの表面電位より求めた。表面電位の測定はTREK MODEL344を用いた。露光部電位は暗部電位が−800(V)になるようにグリッド電位を調節して、黒ベタ画像を出力したときの表面電位より求めた。
画像特性:図6の原稿を出力した後、続けてハーフトーン画像を出力して現れるネガ残像(図7)の程度を評価した。画像特性(ネガ残像評価)におけるネガ残像の評価基準は次による。
○→なし、△→わずかに発生、×→はっきり発生
φ100mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布、乾燥することにより、1.0μmの下引き層、0.3μmの電荷発生層、23μmの電荷輸送層をそれぞれ形成した。この電荷輸送層上に下記組成の架橋表面層用塗工液D、E、Fを続けてスプレー塗工し、メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:120mm、照射強度:500mW/cm2、照射時間:240秒の条件で光照射を行ない、更に130℃で20分乾燥を加え、架橋表面層用塗工液Dによる架橋膜1.4μm、架橋表面層用塗工液Eによる架橋膜1.4μm、架橋表面層用塗工液Fによる架橋膜1.4μmの総膜厚4.2μmの表面架橋層を設け、本発明の電子写真感光体を得た。
酸化チタン: 40部
アルコール可溶性ナイロン: 32部
メタノール: 400部
イソプロパノール: 160部
合成例3で合成したチタニルフタロシアニン粉末: 4部
ポリビニルブチラール(エスレックBM−S、積水化学工業): 2部
メチルエチルケトン: 150部
ビスフェノールZ型ポリカーボネート
(パンライトTS−2050、帝人化成製): 10部
下記構造式(D−1)の低分子電荷輸送物質: 7部
テトラヒドロフラン: 100部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液
(KF50−100CS、信越化学工業製): 1部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA、
日本化薬製;分子量:536、官能基数:5.5官能、
分子量/官能基数=97)(***): 15部
合成例2で合成したラジカル重合性化合物(例示化合物No.105)(****): 5部
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
テトラヒドロフラン: 100部
(***)電荷輸送性構造を持たない3官能以上のラジカル重合性モノマー。
(****)1官能の電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物。
以下、(***)、(****)の説明は同じであるため省略する。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA、
日本化薬製;分子量:536、官能基数:5.5官能、
分子量/官能基数=97)(***): 10部
合成例2で合成したラジカル重合性化合物(例示化合物No.105)(****): 10部
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
テトラヒドロフラン: 100部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA、
日本化薬製;分子量:536、官能基数:5.5官能、
分子量/官能基数=97)(***): 5部
合成例2で合成したラジカル重合性化合物(例示化合物No.105)(****): 15部
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
テトラヒドロフラン: 100部
実施例5において、架橋表面層用塗工液D、E、Fを下記組成に変えた以外は実施例5と同様にして電荷輸送層上に表面架橋層を設け、本発明の電子写真感光体を作製した。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA、
日本化薬製;分子量:536、官能基数:5.5官能、
分子量/官能基数=97)(***): 14部
合成例2で合成したラジカル重合性化合物(例示化合物No.105)(****): 6部
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
テトラヒドロフラン: 100部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA、
日本化薬製;分子量:536、官能基数:5.5官能、
分子量/官能基数=97)(***): 10部
合成例2で合成したラジカル重合性化合物(例示化合物No.105)(****): 10部
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
テトラヒドロフラン: 100部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA、
日本化薬製;分子量:536、官能基数:5.5官能、
分子量/官能基数=97)(***): 6部
合成例2で合成したラジカル重合性化合物(例示化合物No.105)(****): 14部
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
テトラヒドロフラン: 100部
実施例5において、架橋表面層用塗工液D、E、Fを下記組成に変えた以外は実施例5と同様にして電荷輸送層上に表面架橋層を設け、本発明の電子写真感光体を作製した。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA、
日本化薬製;分子量:536、官能基数:5.5官能、
分子量/官能基数=97)(***): 13部
合成例2で合成したラジカル重合性化合物(例示化合物No.105)(****): 7部
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
テトラヒドロフラン: 100部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA、
日本化薬製;分子量:536、官能基数:5.5官能、
分子量/官能基数=97)(***): 10部
合成例2で合成したラジカル重合性化合物(例示化合物No.105)(****): 10部
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
テトラヒドロフラン: 100部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA、
日本化薬製;分子量:536、官能基数:5.5官能、
分子量/官能基数=97)(***): 7部
合成例2で合成したラジカル重合性化合物(例示化合物No.105)(****): 13部
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
テトラヒドロフラン: 100部
実施例5において、架橋表面層用塗工液D、E、Fを下記組成に変えた以外は実施例5と同様にして電荷輸送層上に表面架橋層を設け、本発明の電子写真感光体を作製した。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA、
日本化薬製;分子量:536、官能基数:5.5官能、
分子量/官能基数=97)(***): 12部
合成例2で合成したラジカル重合性化合物(例示化合物No.105)(****): 8部
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
テトラヒドロフラン: 100部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA、
日本化薬製;分子量:536、官能基数:5.5官能、
分子量/官能基数=97)(***): 10部
合成例2で合成したラジカル重合性化合物(例示化合物No.105)(****): 10部
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
テトラヒドロフラン: 100部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA、
日本化薬製;分子量:536、官能基数:5.5官能、
分子量/官能基数=97)(***): 8部
合成例2で合成したラジカル重合性化合物(例示化合物No.105)(****): 12部
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
テトラヒドロフラン: 100部
実施例5において、架橋表面層用塗工液D、E、Fを下記組成の架橋表面層用塗工液Gのみとし、これを電荷輸送層上にスプレー塗工し、実施例5と同様に光照射と加熱乾燥を加えて膜厚4.2μmの表面架橋層を設け、比較例の電子写真感光体を作製した。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA、
日本化薬製;分子量:536、官能基数:5.5官能、
分子量/官能基数=97)(***): 10部
合成例2で合成したラジカル重合性化合物(例示化合物No.105)(****): 10部
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;
イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製): 1部
テトラヒドロフラン: 100部
上記作製した実施例5〜8と比較例2の電子写真感光体を用いて実機通紙試験を行った。
すなわち、リコー製imagio Neo1050Pro改造機(感光体線速(プロセス線速):500mm/sec)を用いて、100万枚の実機通紙試験(A4、NBSリコー製MyPaper、スタート時帯電電位−800V)を実施し、摩耗特性、機内電位、画像評価を行った。結果を下記表6、7、8に示す。
摩耗特性、機内電位、画像評価は以下の条件で実施した。
摩耗特性:電子写真感光体の膜厚を測定することで求めた。膜厚測定装置はうず電流式膜厚計(FISHERSCOPE)を用いた。
機内電位:機内電位の暗部電位はグリッド電圧を−900(V)に固定して白ベタ画像を出力したときの表面電位より求めた。表面電位の測定はTREK MODEL344を用いた。露光部電位は暗部電位が−800(V)になるようにグリッド電位を調節して、黒ベタ画像を出力したときの表面電位より求めた。
画像特性:画像特性は図6の原稿を出力したあと、続けてハーフトーン画像を出力して現れるネガ残像(図7)の程度を評価した。画像特性(ネガ残像評価)におけるネガ残像の評価基準は次による。
○→なし、△→わずかに発生、×→はっきり発生
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写紙
10 転写チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
31 導電性支持体
32 下引き層
33 感光層
34 架橋表面層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
101 感光体(感光ドラム)
102 帯電手段
103 露光
104 現像手段
105 転写体
106 転写手段
107 クリーニング手段(クリーニングブレード)
Claims (19)
- 電子写真感光体上に少なくとも静電潜像形成手段、トナーにより可視像を形成する現像手段、前記可視像を感光体に対して正電位を印加して記録媒体に転写する接触方式の転写手段、前記記録媒体に転写された可視像を定着させる定着手段を備えた画像形成装置に配備される、該電子写真感光体であって、
前記感光体は、導電性支持体上に少なくとも感光層と表面層を有し、該表面層が、電荷輸送性構造を持たない3官能以上のラジカル重合性化合物と、1官能以上の電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物との架橋結合により形成された硬化樹脂からなると共に、該硬化樹脂中における架橋結合した電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物の濃度が表面から内部に向けて小さくなることを特徴とする電子写真感光体。 - 前記接触方式の転写手段が、電子写真感光体に対して正電位を印加するローラー方式、もしくはベルト方式であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記1官能以上の電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物が、1官能であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
- 前記1官能以上の電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基および/またはメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送性構造を持たない3官能以上のラジカル重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基および/またはメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
- 前記1官能以上の電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物が、分子中にトリアリールアミン構造を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の電子写真感光体。
- 前記トリアリールアミン構造を含む1官能以上の電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物が、下記一般式(1)または(2)で示されることを特徴とする請求項6に記載の電子写真感光体。
(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR7(R7は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基もしくはCONR8R9(R8およびR9は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表し、Ar1、Ar2は置換もしくは未置換のアリーレン基を表し、同一であっても異なってもよい。Ar3、Ar4は置換もしくは未置換のアリール基を表し、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表す。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基またはアラルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表す。mは0〜3の整数を表す。)
(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR7(R7は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基もしくはCONR8R9(R8およびR9は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表し、Ar2は置換もしくは未置換のアリーレン基を表し、同一であっても異なってもよい。Ar3、Ar4は置換もしくは未置換のアリール基を表し、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表す。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基またはアラルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表す。nは0〜3の整数を表す。) - 前記硬化樹脂における架橋結合が、光エネルギーの照射により形成されたものであることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の電子写真感光体。
- 前記感光層中に電荷発生物質としてチタニルフタロシアニンを含有することを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の電子写真感光体。
- 前記チタニルフタロシアニンが、Cu−Kα線に対するX線回折スペクトルにおいてブラッグ角2θの主要ピークが少なくとも9.6°±0.2°、24.0°±0.2°および27.2°±0.2°にある結晶型を有するものであることを特徴とする請求項10に記載の電子写真感光体。
- 電子写真感光体上に少なくとも静電潜像形成手段、トナーにより可視像を形成する現像手段、前記可視像を感光体に対して正電位を印加して記録媒体に転写する接触方式の転写手段、前記記録媒体に転写された可視像を定着させる定着手段を備えた画像形成装置に配備される、該電子写真感光体の製造方法であって、
導電性支持体上に少なくとも感光層と表面層とを順次形成することよりなり、該表面層の形成時に、電荷輸送性構造を持たない3官能以上のラジカル重合性化合物と、1官能以上の電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物を含有し、該電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物の濃度が異なる少なくとも2種類以上の塗工液を用い、溶液塗工法により塗工液の種類を変えて順次塗布することで、該1官能以上の電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物の濃度が、表面から内部に向けて小さくなる表面層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。 - 前記溶液塗工法が、スプレー塗工であることを特徴とする請求項12に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記塗工液中の電荷輸送性構造を持たない3官能以上のラジカル重合性化合物と、1官能以上の電荷輸送性構造を持つラジカル重合性化合物の含有濃度の異なる塗工液を用いて順次スプレー塗布を複数回行い表面層を形成することを特徴とする請求項12または13に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 請求項1〜11の何れかに記載の電子写真感光体を少なくとも備えたことを特徴とする画像形成装置。
- 前記電子写真感光体の線速が300mm/sec以上であることを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
- 請求項1〜11の何れかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段の少なくとも一つを具備し、画像形成装置本体と着脱自在に構成されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項17に記載の前記プロセスカートリッジを搭載したことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1〜11の何れかに記載の電子写真感光体を用い、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を行うことを特徴とする画像形成方法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006112933A JP4688718B2 (ja) | 2006-04-17 | 2006-04-17 | 電子写真感光体とその製造方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ |
EP08168551.3A EP2017676B1 (en) | 2006-04-17 | 2007-04-17 | Image forming apparatus, image forming method, and process cartridge |
EP07106311A EP1847881B1 (en) | 2006-04-17 | 2007-04-17 | Image forming apparatus, image forming method, and process cartridge |
US11/736,258 US8335456B2 (en) | 2006-04-17 | 2007-04-17 | Image forming apparatus, image forming method, and process cartridge |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006112933A JP4688718B2 (ja) | 2006-04-17 | 2006-04-17 | 電子写真感光体とその製造方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007286306A JP2007286306A (ja) | 2007-11-01 |
JP4688718B2 true JP4688718B2 (ja) | 2011-05-25 |
Family
ID=38758139
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006112933A Expired - Fee Related JP4688718B2 (ja) | 2006-04-17 | 2006-04-17 | 電子写真感光体とその製造方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4688718B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5477625B2 (ja) | 2009-09-10 | 2014-04-23 | 株式会社リコー | 電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ |
JP2013041241A (ja) * | 2011-07-19 | 2013-02-28 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体とその製造方法 |
JP5994707B2 (ja) | 2013-03-26 | 2016-09-21 | 富士ゼロックス株式会社 | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 |
JP7150485B2 (ja) * | 2018-05-31 | 2022-10-11 | キヤノン株式会社 | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001175016A (ja) * | 1999-12-13 | 2001-06-29 | Canon Inc | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 |
JP2001312083A (ja) * | 1999-12-13 | 2001-11-09 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体および電子写真方法、電子写真装置ならびに電子写真装置用プロセスカートリッジ |
JP2002207308A (ja) * | 2000-11-10 | 2002-07-26 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体、その製造方法、電子写真方法及び電子写真装置 |
JP2004302451A (ja) * | 2003-03-20 | 2004-10-28 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ |
JP2005189821A (ja) * | 2003-12-01 | 2005-07-14 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ |
-
2006
- 2006-04-17 JP JP2006112933A patent/JP4688718B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001175016A (ja) * | 1999-12-13 | 2001-06-29 | Canon Inc | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 |
JP2001312083A (ja) * | 1999-12-13 | 2001-11-09 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体および電子写真方法、電子写真装置ならびに電子写真装置用プロセスカートリッジ |
JP2002207308A (ja) * | 2000-11-10 | 2002-07-26 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体、その製造方法、電子写真方法及び電子写真装置 |
JP2004302451A (ja) * | 2003-03-20 | 2004-10-28 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ |
JP2005189821A (ja) * | 2003-12-01 | 2005-07-14 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007286306A (ja) | 2007-11-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4266859B2 (ja) | 電子写真感光体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ | |
JP4497969B2 (ja) | 電子写真感光体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ | |
JP4248483B2 (ja) | 電子写真感光体、その製造方法、それを使用した画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ | |
EP2017676B1 (en) | Image forming apparatus, image forming method, and process cartridge | |
JP2006010757A (ja) | 電子写真感光体、その製造方法、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ | |
JP4249681B2 (ja) | 画像形成装置及びプロセスカートリッジ | |
JP4883787B2 (ja) | 電子写真感光体、その製造方法、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ | |
JP4885014B2 (ja) | 像担持体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ | |
JP4796519B2 (ja) | 像担持体、それを用いた画像形成装置、プロセスカートリッジおよび画像形成方法 | |
JP4463129B2 (ja) | 電子写真感光体、製造方法、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ | |
JP4584061B2 (ja) | 電子写真感光体の製造方法 | |
JP4688718B2 (ja) | 電子写真感光体とその製造方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ | |
JP4440175B2 (ja) | 静電潜像担持体及びその製造方法、並びに画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジ | |
JP4195418B2 (ja) | 電子写真感光体、その製造方法、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ | |
JP5032278B2 (ja) | 画像形成装置用像担持体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ | |
JP5038839B2 (ja) | 像担持体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ | |
JP4440176B2 (ja) | 静電潜像担持体及びその製造方法、並びに画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジ | |
JP2008070553A (ja) | 画像形成装置及び画像形成用プロセスカートリッジ | |
JP2008070540A (ja) | 画像形成装置及び画像形成方法、並びにプロセスカートリッジ | |
JP2008107491A (ja) | 電子写真感光体とその製造方法、画像形成装置、プロセスカートリッジおよび画像形成方法 | |
JP5106194B2 (ja) | 電子写真感光体、製造方法、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ | |
JP2006038978A (ja) | 電子写真感光体、その製造方法、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ | |
JP2012098639A (ja) | 電子写真感光体、それを用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジ | |
JP5102852B2 (ja) | 電子写真感光体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ | |
JP4771976B2 (ja) | 画像形成装置用像担持体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090225 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100824 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100831 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20101025 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110201 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110215 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 4688718 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140225 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |