JP4887188B2 - 電子写真感光体、その製造方法、それを用いた画像形成方法、画像形成装置および画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
したがって、有機感光体の高耐久化においては前述の摩耗量を低減することが不可欠であり、更に優れたクリーニング性、転写性を付与させるために、良好な表面性を有する有機感光体が必要とされており、これらが当分野でもっとも解決が迫られている課題である。
(1)「導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層が、光エネルギーを照射することにより硬化した架橋表面層であり、該光エネルギー照射時の感光体表面温度の温度上昇幅が15℃以内であり、
前記架橋表面層形成時の感光体表面の初期温度が40℃以下であり、
前記架橋表面層形成時の感光体表面の最高到達温度が43℃以上である電子写真感光体の製造方法」、
(2)「前記架橋表面層が、
(イ)電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、
(ロ)電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物と、
を含むものであり、前記電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーは、トリメチロールプロパントリアクリレートであることを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体の製造方法」。
本発明の電子写真感光体の製造方法は、光エネルギー照射により形成される感光層もしくは表面層の製造方法に関するものである。光エネルギー照射により形成される表面層は、3次元化した架橋表面層の形成が可能となり、電子写真感光体の耐摩耗性を飛躍的に向上させることが可能である。しかし、このような架橋表面層は層内部の未反応基が残存し電荷トラップとなることで電気特性の低下を招くことがある。本発明では、このような光エネルギー照射による架橋表面層中の未反応残基低減を目的としものである。本発明によると、光エネルギー照射時の感光体の表面温度が硬化反応に影響し、特に光エネルギー照射時の初期と終了時の温度幅が感光体の電気特性に影響することが見出された。この理由については、光照射初期の低温時に反応した部分と高温時に反応した部分で特性が異なり、それらの界面が電荷トラップとなることや、低温度反応部分では未反応残基が多く存在し、それらが電荷トラップとなり電荷輸送性に悪影響を与えていると推測される。
本発明は、光エネルギーにより架橋した表面層を持つ感光体の製造方法に関するものである。以下に本発明の光エネルギーの照射方法について説明する。本発明では光エネルギーとして紫外線を使用している。紫外線照射用のランプとしては、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどが挙げられる。感光体表面に光エネルギーが照射されるとその輻射熱により、感光体の表面温度は急激に上昇する。そのときの感光体の表面温度は図1のような温度プロファイルになる。図1の最高到達温度と初期温度の差が本発明の温度上昇幅であり、これを15℃以内とすることを本発明の特徴としている。15℃以内とすることにより、長期の使用による疲労時においても良好な電気特性を有する感光体の実現が可能となる。また、図1の光エネルギー照射時の感光体表面の最高到達温度は高い方が膜の硬化性は高くなり、感光体の耐摩耗性を高くする点から、最高到達温度は40℃以上が好ましい。また、光エネルギー照射前の感光体表面の初期温度は、40℃以下が好ましい。感光体表面の温度上昇幅が15℃以内である場合、膜の体積収縮は小さく、膜上でのしわなどの発生は起こりにくいが、初期温度が40℃より高い場合、モノマーの一部が溶融し膜の表面性が悪化することがある。
架橋表面層が多層構造もしくは単層構造の感光層の表面部分である場合、架橋表面層の膜厚は1〜20μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。1μmより薄いと膜厚ムラによって耐久性がバラツキ、20μmより厚いと電荷輸送層全体の膜厚が厚くなり電荷の拡散から画像の再現性が低下する。また、架橋表面層が感光体の電荷輸送層である場合、架橋表面層の膜厚は、10〜30μmが好ましく、10〜25μmがより好ましい。10μmより薄いと充分な帯電電位が維持できず、30μmより厚いと硬化時の体積収縮により導電性基体または下引き層との剥離が生じやすくなる。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(1)で表わされる官能基が好適に挙げられる。
CH2=CH−X1−・・・・一般式(1)
〔ただし、前記一般式(1)中、X1は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R30)−基(ただし、R30は、水素原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表わす。)、又は−S−基を表わす。〕
これらの置換基としては、具体的には、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基、等が挙げられる。
CH2=C(Y)−X2−・・・・一般式(2)
〔ただし、前記一般式(2)中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR31基(ただし、R31は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、)又は−CONR32R33(ただし、R32及びR33は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表わし、互いに同一又は異なっていてもよい。)、また、X2は前記一般式(1)のX1と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表わす。ただし、Y,X2の少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。〕
これらの置換基としては、例えば、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基、等が挙げられる。
なお、これらX1、X2、Yについての置換基に更に置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、などが挙げられる。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマー(イ)としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、HPA変性(アルキレン変性)トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性(エチレンオキシ変性)トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性(プロピレンオキシ変性)トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性(エピクロロヒドリン変性)グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。前記変性を行なった理由はモノマーの粘度を下げ、扱い易くするためである。
R1のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、As−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
該非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、更に好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基には更にフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−ORa)であり、Raは(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)以下の式で表わされる置換基が挙げられる。
(式中、R10及びR11は各々独立に水素原子、前記(2)で定義したアルキル基、またはアリール基を表わす。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R10及びR11は共同で環を形成してもよい。)
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
置換もしくは未置換のアルキレン基としては、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、前記Xのアルキレンエーテル基が挙げられる。アルキレンオキシカルボニル基としては、カプロラクトン変性基が挙げられる。
B1―Ar5―CH=CH―Ar6―B2・・・・一般式(6)
Ar5は置換又は無置換の芳香族炭化水素骨格からなる一価基または二価基を表わす。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、ビフェニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ベンジル基、ハロゲン原子が挙げられる。また、上記アルキル基、アルコキシ基は、さらにハロゲン原子、フェニル基を置換基として有していても良い。
Ar6は、少なくとも1個の3級アミノ基を有する芳香族炭化水素骨格からなる一価基または二価基、もしくは少なくとも1個の3級アミノ基を有する複素環式化合物骨格からなる一価基または二価基を表わすが、ここで、3級アミノ基を有する芳香族炭化水素骨格とは下記一般式(7)で表わされる。
R13、R14の置換もしくは無置換のアルキル基はAr5の置換基で述べたアルキル基と同様である。
R13、R14の置換もしくは無置換のアリール基は、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ピレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基に加えて下記一般式(8)で表わされる基を挙げることができる。
(ここで、R21は、水素原子、Ar5で定義された置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、R13で定義された置換もしくは無置換のアリール基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基を表わし、R22は、水素原子、Ar5定義された置換もしくは無置換のアルキル基、R13で定義された置換もしくは無置換のアリール基を表わし、iは1〜12の整数、jは1〜3の整数を表わす。)]
R21のハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
R21のアミノ基としては、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジベンジルアミノ基、4−メチルベンジル基等が挙げられる。
Ar7のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ピレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基を挙げることができる。
Ar7、R13、R14は、Ar5で定義されたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していても良い。
B1、B2はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基又はビニル基を有するアルキル基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基又はビニル基を有するアルコキシ基を表わす。アルキル基、アルコキシ基は、Ar5で述べたものが同様に適用される。これらB1、B2はどちらか一方のみが存在し、両方の存在は除外される。
式中、R8、R9は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、ハロゲン原子を表わし、Ar7、Ar8は、置換もしくは無置換のアリール基またはアリレン基、置換又は無置換のベンジル基を表わす。アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子は前記Ar5で述べたものが同様に適用される。
アリール基は、R13、R14で定義されたアリール基と同様である。アリレン基は、そのアリール基から誘導される二価基である。
B1〜B4は、一般式(6)におけるB1、B2と同様である。uは0〜5の整数、vは0〜4の整数を表わす。
ラジカル重合性官能基の数については架橋構造の均一性については官能基数の少ないものが好ましく、耐摩耗性については官能基数の多いものが好ましい。本発明においては両者のバランスから良好に選択して使用することが可能である。
但し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると架橋表面層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招く。このためこれらのモノマーやオリゴマーの含有量は、3官能以上のラジカル重合性モノマー100重量部に対し50重量部以下、好ましくは30重量部以下に制限される。
これらの重合開始剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性を有する総含有物100重量部に対し、0.5〜40重量部、好ましくは1〜20重量部である。
本発明に用いられる電子写真感光体を図面に基づいて説明する。
図2は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体(31)上に、電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する感光層(33)が設けられた単層構造の感光体である。架橋表面層が感光層全体の場合を示したのが図2−Aであり、架橋表面層が感光層の表面部分である場合を示したのが図2−Bである。
図3は、導電性支持体(31)上に、電荷発生機能を有する電荷発生層(35)と、電荷輸送機能を有する電荷輸送層(37)とが積層された積層構造の感光体である。架橋表面層が電荷輸送層全体の場合を示すのが図3−Aであり、架橋表面層が電荷輸送層の表面部分である場合を示すのが図3−Bである。
導電性支持体(31)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体(31)として用いることができる。
この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体(31)として良好に用いることができる。
次に感光層について説明する。感光層は積層構造でも単層構造でもよい。
積層構造の場合には、感光層は電荷発生機能を有する電荷発生層と電荷輸送機能を有する電荷輸送層とから構成される。また、単層構造の場合には、感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。
以下、積層構造の感光層及び単層構造の感光層のそれぞれについて述べる。
(電荷発生層)
電荷発生層(35)は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
また、後者の具体例としては、例えば特開昭63−285552号公報、特開平05−19497号公報、特開平05−70595号公報、特開平10−73944号公報等に記載のポリシリレン重合体が例示される。
電荷発生層(35)に併用できる低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
電荷輸送層(37)は電荷輸送機能を有する層で、本発明の電荷輸送性構造を有する架橋表面層は電荷輸送層として有用に用いられる。架橋表面層が電荷輸送層(37)の全体である場合、前述の架橋表面層作製方法に記載したように電荷発生層(35)上に本発明のラジカル重合性組成物(電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー及びラジカル重合性官能基を有する電荷輸送性化合物;以下同じ)を含有する塗工液を塗布し、光エネルギーにより硬化させ、架橋表面層が形成される。このとき、架橋表面層の膜厚は、10〜30μm、好ましくは10〜25μmである。10μmより薄いと充分な帯電電位が維持できず、30μmより厚いと硬化時の体積収縮により下層との剥離が生じやすくなる。
また、架橋表面層が電荷輸送層(37)の表面部分に形成され、電荷輸送層(37)が積層構造である場合、電荷輸送層の下層部分は電荷輸送機能を有する電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層(35)上に塗布、乾燥することにより形成し、この上に上記本発明のラジカル重合性組成物を含有する塗工液を塗布し、光エネルギーにより架橋硬化させる。
電荷輸送物質としては、前記電荷発生層(35)で記載した電子輸送物質、正孔輸送物質及び高分子電荷輸送物質を用いることができる。前述したように高分子電荷輸送物質を用いることにより、表面層塗工時の下層の溶解性を低減でき、とりわけ有用である。
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。但し、高分子電荷輸送物質を用いる場合は、単独でも結着樹脂との併用も可能である。
電荷輸送層の下層部分に併用できる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
電荷輸送層の下層部分に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
電荷輸送層の下層部分の膜厚は、5〜40μm程度が適当であり、好ましくは10〜30μm程度が適当である。
単層構造の感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層で、本発明の電荷輸送性構造を有する架橋表面層は電荷発生機能を有する電荷発生物質を含有させることにより、単層構造の感光層として有用に用いられる。上記の電荷発生層のキャスティング形成方法に記載したように、電荷発生物質をラジカル重合性組成物を含有する塗工液と共に分散し、電荷発生層(35)上に塗布後、光エネルギーにより硬化反応を開始させ、架橋表面層が形成される。なお、電荷発生物質はあらかじめ溶媒と共に分散した液を本架橋表面層用塗工液に加えてもよい。このとき、架橋表面層の膜厚は、10〜30μm、好ましくは10〜25μmである。10μmより薄いと充分な帯電電位が維持できず、30μmより厚いと硬化時の体積収縮により導電性基体または下引き層との剥離が生じやすくなる。
単層構造の感光層中に含有される電荷発生物質は感光層全量に対し1〜30重量%が好ましく、感光層の下層部分に含有される結着樹脂は全量の20〜80重量%、電荷輸送物質は10〜70重量部が良好に用いられる。
本発明の感光体においては、架橋表面層が感光層の表面部分となる場合、架橋表面層への下層成分混入を抑える又は下層との接着性を改善する目的で中間層を設けることが可能である。この中間層はラジカル重合性組成物を含有する最表面層中に下部感光層組成物の混入により生ずる、硬化反応の阻害や架橋表面層の凹凸を防止する。また、下層の感光層と表面架橋層の接着性を向上させることも可能である。
中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく一般に用いられる塗工法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
本発明の感光体においては、導電性支持体(31)と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、表面架橋層、感光層、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、中間層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して0.01〜10重量%である。
次に図面に基づいて本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置を詳しく説明する。
本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置とは、本発明は平滑な電荷輸送性表面架橋層を有する感光体を用い、例えば少なくとも感光体に帯電、画像露光、現像の過程を経た後、画像保持体(転写紙)へのトナー画像の転写、定着及び感光体表面のクリーニングというプロセスよりなる画像形成方法ならびに画像形成装置である。
場合により、静電潜像を直接転写体に転写し現像する画像形成方法等では、感光体に配した上記プロセスを必ずしも有するものではない。
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは公知のものが使用できる。
この画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でそれら装置内に組み込まれ、着脱自在としたものであってもよい。プロセスカートリッジの一例を図5に示す。
以上の説明から明らかなように、本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができるものである。
本発明における電荷輸送性構造を有する化合物は、例えば特許第3164426号公報記載の方法にて合成される。また、下記にこの一例を示す。
・トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物の合成例
(1)ヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式B)の合成
メトキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式A)113.85g(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138g(0.92mol)にスルホラン240mlを加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99g(0.91mol)を1時間で滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し反応を終了させた。この反応液にトルエン約1.5Lを加え室温まで冷却し、水と炭酸ナトリウム水溶液で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマト処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=20:1)にて精製した。得られた淡黄色オイルにシクロヘキサンを加え、結晶を析出させた。このようにして下記構造式Bの白色結晶88.1g(収率=80.4%、融点:64.0〜66.0℃)を得た。元素分析結果を以下に示す。
上記(1)で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(構造式B)82.9g(0.227mol)をテトラヒドロフラン400mlに溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4g,水:100ml)を滴下した。この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2g(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌し反応を終了させた。この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマト処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させた。このようにして例示化合物NO.54の白色結晶80.73g(収率=84.8%、融点:117.5〜119.0℃)を得た。元素分析結果を以下に示す。
(1)2−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルの調製
かき混ぜ装置、温度計、滴下漏斗をつけた反応容器に、2−ヒドロキシベンジルアルコール(東京化成品製)38.4g、o−キシレン80mlを入れ、窒素気流下、亜リン酸トリエチル(東京化成品製)62.8gを80℃でゆっくり滴下し、さらに同温度で1時間反応を行なった。その後、減圧蒸留により、生成したエタノール、溶媒のo−キシレン、未反応の亜リン酸トリエチルを除去し、66gの2−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルを得た。(沸点:120.0℃/1.5mmHg)(収率90%)
かき混ぜ装置、温度計、滴下漏斗をつけた反応容器に、カリウム−tert−ブトキサイド14.8g、テトラヒドロフラン50mlを入れ、窒素気流下、2−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル9.90gと4−(N,N−ビス(4−メチルフェニル)アミノ)ベンズアルデヒド5.44gとをテトラヒドロフランに溶解させた溶液を室温でゆっくり滴下し、その後、同温度で2時間反応させた。その後、水冷下、水を加え、次いで2規定の塩酸水溶液を加えて酸性化したのち、テトラヒドロフランをエバポレーターにより除き、粗生成物をトルエンで抽出した。トルエン相を水、炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて脱水した。ろ過後、トルエンを除いてオイル状の粗収物を得、さらにシリカゲルによりカラム精製を行なった後、ヘキサン中で晶析させ、5.09gの2−ヒドロキシ−4’−(N,N−ビス(4−メチルフェニル)アミノ)スチルベンを得た。(収率72%、融点136.0〜138.0℃)
かき混ぜ装置、温度計、滴下漏斗をつけた反応容器に、2−ヒドロキシ−4’−(N,N−ビス(4−メチルフェニル)アミノ)スチルベン14.9g、テトラヒドロフラン100ml、12%濃度の水酸化ナトリウム水溶液21.5gを入れ、窒素気流下、5℃でアクリル酸クロリド5.17gを30分かけて滴下した。その後、同温度で3時間反応させた。反応液を水にあけ、トルエンで抽出した後、濃縮してシリカゲルによるカラム精製を行なった。得られた粗収物をエタノールで再結晶し、黄色針状晶の4’−(N,N−ビス(4−メチルフェニル)アミノ)スチルベン−2−イルアクリレート(例示化合物NO.109)13.5gを得た。(収率79.8%、融点104.1〜105.2℃)元素分析結果を以下に示す。
φ100mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、浸積塗布法により塗工し、乾燥することにより、3.0μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成した。
・アルキッド樹脂:6部
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業製)
・メラミン樹脂:4部
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製)
・酸化チタン:40部
・メチルエチルケトン:50部
・下記構造式(I)のチタニルフタロシアニン顔料:15部
・ポリビニルブチラール(BX−1:積水化学製):10部
・2−ブタノン:280部
・ビスフェノールZポリカーボネート:10部
(パンライトTS−2050、帝人化成製)
・下記構造式(II)の低分子電荷輸送物質:7部
・テトラヒドロフラン:100部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液:0.2部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
・電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物:10部
〔例示化合物NO.54(分子量:419、官能基数:1官能)〕
・電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー:10部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(日本化薬製、KAYARAD TMPTA、分子量:296、官能基数:3官能)
・光重合開始剤:1部
イルガキュア184(日本化薬製、分子量:204)
・溶媒:120部
テトラヒドロフラン(沸点:66℃、飽和蒸気圧:176mmHg/25℃)
実施例1の紫外線照射時において、支持体内部に循環させる水の温度を37℃とし、さらに感光体に15℃の冷風を当てながら紫外線を照射し、感光体表面の初期温度を37℃、最高到達温度を48℃とし、温度上昇幅を11℃とした以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1の紫外線照射時において、支持体内部に循環させる水の温度を37℃とし、さらに感光体に10℃の冷風を当てながら紫外線を照射し、感光体表面の初期温度を37℃、最高到達温度を45℃とし、温度上昇幅を8℃とした以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1の紫外線照射時において、紫外線の照射強度を600mW/cm2に変更し、感光体表面の初期温度を37℃、最高到達温度を47℃とし、温度上昇幅を10℃とした以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1の紫外線照射時において、紫外線の照射強度を500mW/cm2に変更し、感光体表面の初期温度を37℃、最高到達温度を43℃とし、温度上昇幅を6℃とした以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1の紫外線照射時において、紫外線の照射強度を650mW/cm2、支持体内部に循環させる水の温度を25℃に変更し、感光体に冷風を当てずに紫外線を照射し、感光体表面の初期温度を25℃、最高到達温度を37℃とし、温度上昇幅を12℃とした以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
参考例1において、架橋表面層用塗工液に含有した電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を、例示化合物No.109(分子量:445、官能基数:1官能)に変更した。さらに紫外線照射時において、支持体内部に循環させる水の温度を40℃とし、感光体表面の初期温度を40℃、最高到達温度を52℃とし、温度上昇幅を12℃とした以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
参考例1において、架橋表面層用塗工液に含有した電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーを下記材料(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)に変更した。さらに紫外線照射時において、支持体内部に循環させる水の温度を43℃とし、感光体表面の初期温度を43℃、最高到達温度を55℃とし、温度上昇幅を12℃とした以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(ヘキサアクリレート(a=5、b=1)とペンタアクリレート(a=6、b=0)の質量比1:1混合物)
(日本化薬社製、KAYARAD DPHA)
(官能基数:5官能化合物と6官能化合物(質量比1:1))
実施例1において、架橋表面層用塗工液に含有した電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーを下記材料(カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)に変更した。それ以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
・カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(日本化薬社製、KAYARAD DPCA−120)
(官能基数:6官能)
実施例1において、紫外線照射時に当てる冷風を30℃に変更し、初期温度を37℃、最高到達温度を54℃とし、温度上昇幅を17℃とした以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1において、感光体に冷風を当てずに紫外線を照射し、初期温度を37℃、最高到達温度を60℃とし、温度上昇幅を23℃とした以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1において、支持体内部に1.0mmのゴムシートを密着させた状態で37℃の循環水を流し、感光体に冷風を当てずに紫外線を照射し、初期温度を37℃、最高到達温度を65℃とし、温度上昇幅を28℃とした以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1において、紫外線の照射強度を1000mW/cm2に変更し、初期温度を37℃、最高到達温度を55℃とし、温度上昇幅を18℃とした以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1において、支持体内部に循環させる水の温度を30℃、紫外線照射時に当てる冷風を30℃に変更し、初期温度を30℃、最高到達温度を47℃とし、温度上昇幅を17℃とした以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1において、支持体内部に循環させる水の温度を20℃に変更し、感光体表面に当てる冷風を無くし、初期温度を30℃、最高到達温度を47℃とし、温度上昇幅を17℃とした以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1において、紫外線の照射強度を650mW/cm2に変更し、支持体内部に0.5mmのゴムシートを密着させ、循環する水を25℃にし、初期温度を25℃、最高到達温度を42℃とし、温度上昇幅を17℃とした以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1において、紫外線の照射強度を650mW/cm2に変更し、支持体内部に0.5mmのゴムシートを密着させ、循環する水を40℃にし、初期温度を40℃、最高到達温度を57℃とし、温度上昇幅を17℃とした以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1において、支持体内部に水を流さず、さらに冷風も当てずに紫外線を照射し、初期温度を20℃、最高到達温度を68℃とし、温度上昇幅を48℃とした以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1において、支持体内部に水を流さず、さらに感光体に当てる冷風を20℃に変更し、初期温度を20℃、最高到達温度を52℃とし、温度上昇幅を31℃とした以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1において、電荷輸送層の膜厚を28μmにし、架橋表面層を設けずに電子写真感光体を作製した。
また、本発明の感光体を用いた画像形成プロセス、画像形成装置および画像形成装置用プロセスカートリッジが高性能、高信頼性を有していることが明らかとなった。
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写紙
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
101 感光ドラム
102 帯電装置
103 露光
104 現像装置
105 転写体
106 転写装置
107 クリーニングブレード
Claims (2)
- 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層の表面層が、光エネルギーを照射することにより硬化した架橋表面層であり、該光エネルギー照射時の感光体表面温度の温度上昇幅が15℃以内であり、
前記架橋表面層形成時の感光体表面の初期温度が40℃以下であり、
前記架橋表面層形成時の感光体表面の最高到達温度が43℃以上である電子写真感光体の製造方法。 - 前記架橋表面層が、
(イ)電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、
(ロ)電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物と、
を含むものであり、前記電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーは、トリメチロールプロパントリアクリレートであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
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