JP2010164646A - 電子写真感光体、及びこれを用いた画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、及びこれを用いた画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、高い耐摩耗性、良好な電気特性を有し、かつトナーのフィルミングがなく、長期間にわたり良好な画像形成を実現できる感光体を提供することを課題とする。また、本発明のもう1つの目的は、上記の高性能感光体を使用した画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用のプロセスカートリッジを提供することにある。
【解決手段】 導電性支持体上に少なくとも感光層および架橋表面層を有する電子写真感光体において、架橋表面層が、(イ)電荷輸送機能を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物と、(ロ)電荷輸送機能を有する1官能のラジカル重合性化合物と、(ハ)重合性官能基を有する表面処理剤によって表面処理されたフィラーとを含有し、これらの混合物を硬化させることによって形成された架橋表面層であることを特徴とする電子写真感光体。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体、及びこれを用いた画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジに関する。
近年、有機感光体(OPC)は良好な性能、様々な利点から、無機感光体に代わり複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ及びこれらの複合機に多く用いられている。この理由としては、例えば(i)光吸収波長域の広さ及び吸収量の大きさ等の光学特性、(ii)高感度、安定な帯電特性等の電気的特性、(iii)材料の選択範囲の広さ、(iv)製造の容易さ、(v)低コスト、(vi)無毒性等が挙げられる。
一方、最近、画像形成装置の小型化から感光体の小径化が進み、機械の高速化やメンテナンスフリーの動きも加わり感光体の高耐久化が切望されるようになってきた。この観点からみると、有機感光体は、表面層が低分子電荷輸送材料と不活性高分子を主成分としているため一般に柔らかく、電子写真プロセスにおいて繰り返し使用された場合、現像システムやクリーニングシステムによる機械的な負荷により摩耗が発生しやすいという欠点を有している。加えて高画質化の要求からトナー粒子の小粒径化に伴いクリーニング性を上げる目的でクリーニングブレードのゴム硬度の上昇と当接圧力の上昇が余儀なくされ、このことも感光体の摩耗を促進する要因となっている。このような感光体の摩耗は、感度の劣化、帯電性の低下等の電気的特性を劣化させ、画像濃度低下、地肌汚れ等の異常画像の原因となる。また摩耗が局所的に発生した傷は、クリーニング不良によるスジ状汚れ画像をもたらす。現状では感光体の寿命はこの摩耗や傷が律速となり、交換に至っている。
したがって、有機感光体の高耐久化においては前述の摩耗量を低減することが不可欠であり、さらに優れたクリーニング性、転写性を付与させるために、良好な表面性を有する有機感光体が必要とされており、これらが当分野でもっとも解決が迫られている課題である。
感光層の耐摩耗性を改良する技術としては、(1)表面層に硬化性バインダーを用いたもの(特許文献1)、(2)高分子型電荷輸送物質を用いたもの(特許文献2)、(3)表面層に無機フィラーを分散させたもの(特許文献3)等が挙げられる。これらの技術の内、(1)の硬化性バインダーを用いたものは、電荷輸送物質との相溶性が悪いためや重合開始剤、未反応残基等の不純物により残留電位が上昇し画像濃度低下が発生しやすい傾向がある。また、(2)の高分子型電荷輸送物質を用いたもの、及び(3)の無機フィラーを分散させたものは、ある程度の耐摩耗性向上が可能であるものの、有機感光体に求められている耐久性を十二分に満足させるまでには至っていない。さらに(3)の無機フィラーを分散させたものは、無機フィラー表面に存在するトラップにより残留電位が上昇し、画像濃度低下が発生しやすい傾向にある。これら(1)、(2)、(3)の技術では、有機感光体に求められる電気的な耐久性、機械的な耐久性をも含めた総合的な耐久性を十二分に満足するには至っていない。
さらに、(1)の耐摩耗性と耐傷性を改良するために多官能の硬化型アクリレートモノマーを含有させた感光体も知られている(特許文献4)。しかし、この感光体においては、感光層上に設けた保護層にこの多官能の硬化型アクリレートモノマーを含有させる旨の記載があるものの、この保護層においては電荷輸送物質を含有せしめてもよいことが記載されているのみで具体的な記載はなく、しかも、単に表面層に低分子の電荷輸送物質を含有させた場合には、上記硬化物との相溶性の問題があり、これにより、低分子電荷輸送物質の析出、クラックの発生が起こり、機械強度も低下してしまうことがあった。また相溶性向上のためにポリカーボネート樹脂を含有させる記載もあるが、硬化型アクリルモノマー含有量が減少し、結果的には十分な耐摩耗性を達成できていない。また表面層に電荷輸送物質を含まない感光体については、露光部電位低下のために表面層を薄膜とする記載があるが、膜が薄いために感光体の寿命が短い。また帯電電位や露光部電位の環境安定性が悪く温湿度環境の影響によりその値は大きく変動し、十分な値を維持するには至っていないのが現状である。
これらにかわる感光層の耐摩耗技術として、炭素−炭素二重結合を有するモノマーと、炭素−炭素二重結合を有する電荷輸送物質及びバインダー樹脂からなる塗工液を用いて形成した電荷輸送層を設けることが知られており(特許文献5)、このバインダー樹脂には、炭素−炭素二重結合を有し、上記電荷輸送物質に対して反応性を有するものと、上記二重結合を有せず反応性を有しないものが含まれる。この感光体は耐摩耗性と良好な電気的特性を両立させており注目されるが、バインダー樹脂として反応性を有しないものを使用した場合においては、バインダー樹脂と、上記モノマーと電荷輸送物質との反応により生成した硬化物との相溶性が悪く、層分離から架橋時に表面凹凸が生じ、クリーニング不良を引き起こす傾向が見られた。また、上記のように、この場合バインダー樹脂がモノマーの硬化を妨げる他、この感光体において使用される上記モノマーとして具体的に記載されているものは2官能性のものであり、この2官能性モノマーでは官能基数が少なく充分な架橋密度が得られず、耐摩耗性の点では未だ満足するには至らなかった。また、反応性を有するバインダーを使用した場合においても、上記モノマー及び上記バインダー樹脂に含有される官能基数の低さから、上記電荷輸送物質の結合量と架橋密度との両立は難しく、電気特性及び耐摩耗性も充分とは言えないものであった。
また、同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を硬化した化合物を含有する感光層も知られている(特許文献6)。しかし、この感光層は嵩高い正孔輸送性化合物が二つ以上の連鎖重合性官能基を有するため硬化物中に歪みが発生し内部応力が高くなり、表面層の荒れや経時におけるクラックが発生しやすい場合があり、十分な耐久性を有していない。
さらに、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を硬化させた架橋型電荷輸送層も知られており(特許文献7、特許文献8、特許文献9)、電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を用い、表面層を硬化することで、機械的及び電気的な耐久性と同時に感光層のクラックを抑制している。また、感光体の表面層にラジカル重合性化合物とフィラーを用いて硬化させた架橋型表面層も知られており(特許文献10)、架橋樹脂膜と高硬度のフィラーにより、より耐摩耗性の高い感光体を形成している。
ところで近年、電子写真プロセスの高画質化に伴い、小粒径の重合トナーがよく使用されるようになった。小粒径の重合トナーを使用した場合、クリーニングブレードを使用したクリーニング工程において、トナーのすり抜けが発生しやすくなる問題があり、これを解消するためにトナーにシリカ等の粉体を添加し、クリーニング性能を高めている。しかし、このような重合トナーを用いた場合、トナーから剥がれ落ちたシリカ粉体が感光体表面に突き刺さり感光体表面に堆積してしまう場合がある。感光体表面にシリカが堆積した部分は現像されず、異常画像を引き起こす。
以上のようなことから、これら従来技術における感光体では、機械的特性、電気特性、に対して優れた総合特性を有しているとは言えない。
本発明は、高い耐摩耗性、良好な電気特性を有し、かつトナーのフィルミングがなく、長期間にわたり良好な画像形成を実現できる感光体を提供することを課題とする。また、本発明のもう1つの目的は、上記の高性能感光体を使用した画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用のプロセスカートリッジを提供することにある。
本発明は、下記(1)〜(13)によって解決される。
(1) 導電性支持体上に少なくとも感光層および架橋表面層を有する電子写真感光体において、架橋表面層が、(イ)電荷輸送機能を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物と、(ロ)電荷輸送機能を有する1官能のラジカル重合性化合物と、(ハ)重合性官能基を有する表面処理剤によって表面処理されたフィラーとを含有し、これらの混合物を硬化させることによって形成された架橋表面層であることを特徴とする電子写真感光体。
(2) 前記(ハ)のフィラーが無機フィラーであることを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体。
(3) 前記フィラーを処理する表面処理剤がシランカップリング剤であることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の電子写真感光体。
(4) 架橋表面層が光エネルギーによる硬化反応で形成されてなることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の電子写真感光体。
(5) 前記(ロ)の電荷輸送性構造が、トリアリールアミン構造であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の電子写真感光体。
(6) 前記(ロ)のラジカル重合性化合物が、アクリロイルオキシ基およびメタクリルイルオキシ基よりなる群から選ばれた官能基を有するものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の電子写真感光体。
(7) 前記(ハ)のフィラーの表面処理剤が、加水分解反応によりフィラーと結合性を有する親水性基叉は加水分解反応により親水性基を生じる親水性基の基と重合性官能基とを有するものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(6)項のいずれかに記載の電子写真感光体。
(8) 前記(イ)の3官能以上のラジカル重合性モノマーが、アクリロイルオキシ基およびメタクリルイルオキシ基よりなる群から選ばれた官能基を3個以上有するものである前記第(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載の電子写真感光体。
(9) 前記第(1)項乃至第(8)項のいずれかに記載の電子写真感光体と、電子写真感光体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と前記静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、電子写真感光体上の転写残トナーを取り除くクリーニング手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
(10) 前記画像形成装置が、電子写真感光体表面に潤滑性付与剤を塗布する潤滑性付与剤塗布手段を有することを特徴とする前記第(9)項に記載の画像形成装置。
(11) 前記潤滑性付与剤が、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム及びステアリン酸カルシウムから選択される少なくとも一種であることを特徴とする前記第(10)項に記載の画像形成装置。
(12) 前記第(1)項乃至第(8)項のいずれかに記載の電子写真感光体と、電子写真感光体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程と、電子写真感光体上の転写残トナーを取り除くクリーニング手段とを有することを特徴とする画像形成方法。
(13) 静電潜像形成手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段の少なくとも1つと、前記第(1)項乃至第(8)項のいずれかに記載の電子写真感光体とを具備してなることを特徴とするプロセスカートリッジ。
以下の、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明によれば、導電性支持体上に少なくとも感光層及び架橋表面層を有する電子写真感光体において、架橋表面層が、(イ)電荷輸送機能を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物と、(ロ)電荷輸送機能を有する1官能のラジカル重合性化合物と、(ハ)重合性官能基を有する表面処理剤によって表面処理されたフィラーとを含有し、これらの混合物を硬化させることによって形成された架橋表面層であることを特徴とする電子写真感光体により、耐摩耗性、電気特性に優れ、かつトナーのフィルミングがなく、長期間にわたり異常画像のない画像形成を実現した電子写真感光体を提供することができる。また、もう1つの本発明によれば、優れた耐久性をより長期間にわたり実現した画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用のプロセスカートリッジを提供することができる。
本発明の感光体表面例を示す図である。 本発明の電子写真感光体の層構造を示す部分断面図である。 本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。 本発明における潤滑性付与剤塗布手段を示す図である。 本発明における潤滑性付与剤を備えた画像形成装置の一例である。 本発明の画像形成プロセスの一例を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、導電性支持体上に少なくとも感光層及び架橋表面層を有する電子写真感光体において、架橋表面層が、電荷輸送機能を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物と、電荷輸送機能を有する1官能のラジカル重合性化合物と、重合性官能基を有する表面処理剤によって表面処理されたフィラーとを含有し、これらの混合物を硬化させることによって形成された架橋表面層であることを特徴とする電子写真感光体である。本発明の電子写真感光体により、耐摩耗性、電気特性に優れ、かつトナーのフィルミングがなく、長期間にわたり異常画像のない画像形成を実現した電子写真感光体を提供することができる。
この効果については、以下の理由が考えられる。架橋型の表面層を感光体保護層として設けることで、感光体の機械的強度が高くなり、耐摩耗性を大幅に向上できる。さらに架橋表面層中にフィラーを混合させることで、架橋樹脂膜と高硬度のフィラーにより、機械的特性が向上し、耐摩耗性の優れた表面層が形成される。また、架橋表面層中にフィラーが点在することで、図1のような感光体表面に微細な凹凸形状を形成できる。これによりクリーニング工程において、感光体とクリーニングブレードとの接触面積を減らし、摩擦抵抗を抑えることができる。摩擦抵抗を抑えることで、クリーニングブレードの挙動を安定化させトナーすり抜け等の異常画像の発生を低減することができる。しかし、クリーニングブレードと感光体との摩擦によりフィラーが剥がれることがあり、フィラーが剥がれた凹部分にトナーに使われるシリカ粉体等が突き刺さり堆積するフィルミングが発生し、ベタ画像において白斑点等の異常画像を発生させることがあった。このような課題に対し、筆者らが悦意検討した結果、重合性官能基を有する表面処理剤でフィラーを表面処理し、表面層中のラジカル重合性化合物と一緒に硬化させることで、フィラーも化学結合で架橋表面層中に取り込まれ、より強固な保護層が形成されることが分かった。これにより表面層の機械的耐久性は大幅に向上される。また、フィラーが表面層の樹脂と結合しているので、クリーニングブレードによるフィラーの剥がれ落ちがなく、トナーのフィルミングによる異常画像の発生を抑制することができる。
さらに本発明の電子写真感光体は、潤滑性付与剤を塗布する手段を有している画像形成装置においてさらに有効である。本発明の感光体はフィラーを含有することにより、表面に微細な凹凸形状を形成しており、これにより潤滑性付与剤の塗布性が向上し、感光体とクリーニングブレードとの摩擦を軽減することができる。そのことにより、トナーフィルミングを抑制する、クリーニングブレードの摩耗を軽減する、感光体の摩耗を軽減する、クリーニング性が向上する、といった効果が得られる。
<架橋表面層>
本発明の架橋表面層は、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー(イ)と、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)と、(ハ)重合性官能基を有する表面処理剤で表面処理されたフィラーの混合物を硬化させることにより形成された架橋表面層である。表面層塗工液に電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー(イ)を用いることにより3次元の網目構造が発達し、架橋密度が非常に高い高硬度架橋表面層が得られ、高い耐摩耗性が達成される。また、表面層塗工液が電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)を含有することで、これらが同時に短時間で重合、硬化し、高硬度の架橋結合を構成し、耐久性の向上が達成される。さらに、反応性官能基が多く、硬化速度の速い、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー(イ)と電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)を硬化することで架橋層中に歪みの少ない均一な架橋膜を形成することが可能となり、この結果、架橋表面層中において電荷輸送物質の未反応部分が減少し、架橋膜内部の均質性が大きく改善される。これにより耐摩耗性の向上と同時に安定した静電特性及びクラックの発生しない電子写真感光体の両立が実現される。
以下に本発明で用いた、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー(イ)と電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)を含有する架橋表面層塗布液の構成材料について説明する。
―ラジカル重合性モノマー(イ)―
電荷輸構送造を有しない3官能以上のとしては、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾール等の正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環等の電子輸送構造を有しておらず、かつラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(1)で表される官能基が好適に挙げられる。
Figure 2010164646
ただし、前記一般式(1)中、X1は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R30)−基(ただし、R30は、水素原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表わす。)、又は−S−基を表わす。
これらの置換基としては、具体的には、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
1,1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(2)で表される官能基が好適に挙げられる。
Figure 2010164646
ただし、前記一般式(2)中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR31基(ただし、R31は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、)又は−CONR3233(ただし、R32及びR33は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一又は異なっていてもよい。)、また、X2は前記一般式(1)のX1と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表わす。
ただし、Y、X2の少なくともいずれか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。
これらの置換基としては、例えばα−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
なお、これらX、X、Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用であり、3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば、水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なってもよい。
電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー(イ)の具体例としては、以下のものが例示されるが、これらの化合物に限定されるものではない。
本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマー(イ)としては、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、HPA変性(アルキレン変性)トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性(エチレンオキシ変性)トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性(プロピレンオキシ変性)トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性(エピクロロヒドリン変性)グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレート等が挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。前記変性を行なった理由はモノマーの粘度を下げ、扱いやすくするためである。
本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー(イ)は、架橋表面層中に緻密な架橋結合を形成するために、該モノマー中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)は250以下が望ましい。また、この割合が250より大きい場合、架橋表面層は柔らかく耐摩耗性が幾分低下するため、上記例示したモノマー等中、HPA、EO、PO等の変性基を有するモノマーにおいては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用することは好ましくはない。
架橋表面層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー(イ)の成分割合は、架橋表面層全量に対し20〜80質量%、好ましくは30〜70質量%である。モノマー成分が20質量%未満では架橋表面層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成されない。また、80質量%以上では電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じる。使用されるプロセスによって要求される耐摩耗性や電気特性が異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70質量%の範囲が最も好ましい。
―ラジカル重合性化合物(ロ)―
本発明に用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)は、例えばトリアリールアミン構造、ヒドラゾン構造、ピラゾリン構造、カルバゾール構造等の正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環等の電子輸送構造を有しており、かつラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。このラジカル重合性官能基としては、先にラジカル重合性モノマーで示したものが挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。また、電荷輸送性構造としては、トリアリールアミン構造が効果が高い。
さらに、下記一般式(3)又は(4)の構造で示される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続される。
Figure 2010164646
Figure 2010164646
一般式(3)、(4)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR(R及びRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar1、Arは置換もしくは未置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar3、Arは置換もしくは未置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わし、Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わし、mとnは0〜3の整数を表わす。
前記一般式(3)、(4)において、Rにおける、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていてもよい。R1のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
Ar、Arは置換もしくは未置換のアリール基を表わす。本発明においては該アリール基としては、縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基を含むものであり、以下の基が挙げられる。
縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、As−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
Ar、Arで表わされるアリール基は例えば以下に示すような置換基を有してもよい。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基。好ましくは、C〜C12とりわけC〜C、さらに好ましくはC〜Cの直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基には、さらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C〜Cのアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C〜Cのアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR)。Rは(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基。具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)下記式(α)で示す基。
Figure 2010164646
式中、R10及びR11は各々独立に水素原子、前記(2)で定義したアルキル基、またはアリール基を表わす。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC〜Cのアルコキシ基、C〜Cのアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R10及びR11は共同で環を形成してもよい。
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
前記Ar、Arで表わされるアリーレン基としては、前記Ar、Arで表されるアリール基から誘導される2価基である。
Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。
Xにおけるアルキレン基としては、C〜C12、好ましくはC〜C、さらに好ましくはC〜Cの直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基には、さらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C〜Cのアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C〜Cのアルキル基もしくはC〜Cのアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキシエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
Xにおけるシクロアルキレン基としては、C〜Cの環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基等の置換基を有していてもよい。具体的なシクロアルキレン基としてはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
Xにおけるアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表わし、アルキレンエーテル基のアルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
Xにおけるビニレン基は、下記の2つの構造式で表される。
Figure 2010164646
ただし、R12は水素、アルキル基〔前記(2)で定義されるアルキル基と同じ〕、アリール基(前記Ar、Arで表わされるアリール基と同じ)、aは1または2、bは1〜3を表わす。
Zは、置換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、アルキレンオキシカルボニル基を表わす。置換もしくは未置換のアルキレン基としては、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、前記Xのアルキレンエーテル基が挙げられる。アルキレンオキシカルボニル基としては、カプロラクトン変性基が挙げられる。
本発明の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)として、さらに好ましくは、下記一般式(5)の構造の化合物が挙げられる。
Figure 2010164646
式中、p、q、oはそれぞれ0または1の整数、Rは水素原子、メチル基を表わし、R、Rは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なってもよい。s、tは0〜3の整数を表わす。Zは単結合、メチレン基、エチレン基、のいずれかを表わす。
Figure 2010164646
上記一般式(5)で表わされる化合物としては、R、Rの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
本発明で用いる上記一般式(3)及び(4)特に(5)で表される電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、3官能以上のラジカル重合性モノマーとの重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在する(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが、架橋される分子内架橋鎖とがある)が、主鎖中に存在する場合であっても、また架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず、鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため、立体的位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少なく、また電子写真感光体の表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造をとりうるものと推測される。
また本発明においては下記一般式(6)で示した特定のアクリル酸エステル化合物も電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物として良好に用いることができる。
Figure 2010164646
Arは、置換基を持つ又は無置換の芳香族炭化水素骨格からなる一価基、または二価基を表わす。芳香族炭化水素骨格としては、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、ビフェニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ベンジル基、ハロゲン原子が挙げられる。また、上記アルキル基、アルコキシ基は、さらにハロゲン原子、フェニル基を置換基として有していてもよい。
Arは、少なくとも1個の3級アミノ基を有する芳香族炭化水素骨格からなる一価基または二価基、もしくは少なくとも1個の3級アミノ基を有する複素環式化合物骨格からなる一価基または二価基を表わすが、ここで、3級アミノ基を有する芳香族炭化水素骨格とは下記一般式(7)で表される。
Figure 2010164646
式中、R13、R14はアシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表わす。Arはアリール基を表わす。wは1〜3の整数を表わす。
13、R14のアシル基としてはアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
13、R14の置換もしくは無置換のアルキル基は、Arの置換基で述べたアルキル基と同様である。
13、R14の置換もしくは無置換のアリール基は、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ピレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基に加えて下記一般式(8)で表される基を挙げることができる。
Figure 2010164646
式中、Bは−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−及び以下の二価基から選ばれる。
Figure 2010164646
ここで、R21は、水素原子、Arで定義された置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、R13で定義された置換もしくは無置換のアリール基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基を表し、R22は、水素原子、Arで定義された置換もしくは無置換のアルキル基、R13で定義された置換もしくは無置換のアリール基を表し、iは1〜12の整数、jは1〜3の整数を表わす。
21のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
21のハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
21のアミノ基としては、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジベンジルアミノ基、4−メチルベンジル基等が挙げられる。
Arのアリール基としてはフェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ピレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基を挙げることができる。
Ar、R13、R14は、Arで定義されたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい。
3級アミノ基を有する複素環式化合物骨格としては、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、ジオキサゾール、インドール、イソインドール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾイソキサジン、カルバゾール、フェノキサジン等のアミン構造を有する複素環化合物が挙げられる。これらは、Arで定義されたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい。
、Bはアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基又はビニル基を有するアルキル基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基又はビニル基を有するアルコキシ基を表わす。アルキル基、アルコキシ基は、Ar5で述べたものが同様に適用される。これらB、Bはどちらか一方のみが存在し、両方の存在は除外される。
一般式(6)のアクリル酸エステル化合物においてより好ましい構造として下記一般式(9)の化合物を挙げることができる。
Figure 2010164646
式中、R、Rは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、ハロゲン原子を表し、Ar、Arは、置換もしくは無置換のアリール基またはアリレン基、置換又は無置換のベンジル基を表わす。アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子は前記Arで述べたものが同様に適用される。
アリール基は、一般式(7)におけるR13、R14で定義されたアリール基と同様である。アリレン基は、そのアリール基から誘導される二価基である。
〜Bは、一般式(6)におけるB、Bと同様である。uは0〜5の整数、vは0〜4の整数を表わす。
特定のアクリル酸エステル化合物は、次のような特徴を有する。スチルベン型共役構造を有した三級アミン化合物であり、発達した共役系を有している。こういった共役系の発達した電荷輸送性化合物を用いることで、架橋層界面部分での電荷注入性が非常に良好となり、さらに架橋結合間に固定化された場合でも、分子間相互作用が阻害されにくく、電荷移動度に関しても良好な特性を有する。また、ラジカル重合性の高いアクリロイルオキシ基、又はメタクリロイルオキシ基を分子中に有しており、ラジカル重合時に速やかにゲル化するとともに過度な架橋歪を生じない。分子中のスチルベン構造部の二重結合が部分的に重合に参加し、しかもアクリロイルオキシ基、又はメタクリロイルオキシ基よりも重合性が低いために架橋反応に時間差が生じることで歪みを最大に大きくすることがなく、しかも分子中の二重結合を使用するために分子量当りの架橋反応数を上げることができるために、架橋密度を高めることができ、耐摩耗性のさらなる向上が実現可能となった。また、この二重結合は、架橋条件により重合度を調整することができ、容易に最適架橋膜を作製できる。このようなラジカル重合への架橋参加は、アクリル酸エステル化合物の特異的な特徴であり、前述したようなα−フェニルスチルベン型の構造では起こらない。
以上のことから、一般式(6)特に一般式(9)に示したラジカル重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を用いることで良好な電気特性を維持しつつ、かつ、クラック等の発生を起さずに架橋密度の極めて高い膜を形成することができ、それにより感光体の諸特性を満足し、かつシリカ微粒子等が感光体に刺さることを防止し、白斑点等の画像欠陥を減らすことができる。
ラジカル重合性官能基の数については、架橋構造の均一性については官能基数の少ないものが好ましく、耐摩耗性については官能基数の多いものが好ましい。本発明においては、両者のバランスから良好に選択して使用することが可能である。
以下に、本発明において用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
Figure 2010164646
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本発明に用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)は、架橋表面層の電荷輸送性能を付与するために重要で、この成分は架橋表面層全量に対し20〜80質量%、好ましくは30〜70質量%になるように塗工液成分の含有量を調整する。この成分が20質量%未満では架橋表面層の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇等の電気特性の劣化が現れる。また、80質量%を超えると電荷輸送構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの含有量が低下し、架橋結合密度の低下を招き高い耐摩耗性が発揮されない。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なるため一概にはいえないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70質量%の範囲が最も好ましい。
(フィラー)
本発明の架橋型電荷輸送層は、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー及び電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を同時に硬化させた架橋型電荷輸送層であるが、トナーフィルミングの抑制を目的として、重合性官能基を有する表面処理剤で表面処理したフィラー微粒子を含有させる。このフィラー微粒子としては、無機性フィラーと有機性フィラーが使用できる。無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属粉末、酸化珪素、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の金属酸化物、チタン酸カリウム等の無機材料が挙げられる。特に金属酸化物が良好であり、さらには、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタンが有効に使用できる。また、コロイダルシリカやコロイダルアルミナ等の微粒子も有効に使用できる。有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、カーボン微粒子等が挙げられる。表面層の機械的耐久性を向上させる目的から、硬度が高く耐久性のある無機フィラーを用いることが有利である。
架橋型電荷輸送層中のフィラー添加量は、高すぎる場合には残留電位の上昇、架橋型表面層の書き込み光透過率が低下し、副作用を生じる場合がある。したがって、概ね全固形分に対して、50重量%以下、好ましくは30重量%以下程度である。
さらにこれらのフィラーは、親水性基又は親水性の基前駆基体と重合性官能基(疎水性基)とを有する表面処理剤で表面処理させる。表面処理剤は1種でも複数添加してもよい。重合性官能基を有する表面処理剤としては、無機フィラー表面と接着する親水性基(前駆体基を含む)と重合性官能基(疎水性基)とを持つものであれば、いかなるものでもよい。重合性官能基(疎水性基)を有する表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤や不飽和の高級脂肪酸等が挙げられる。
フィラーの表面処理方法は使用するフィラーや表面処理剤によって適切な方法をとる必要がある。一般に、表面処理剤としてシランカップリング剤を用いた場合、加水分解反応によってフィラーとシランカップリング剤が結合するので、水が含まれた溶媒中にフィラーとシランカップリング剤を混合し、攪拌することで表面処理することができる。表面処理剤として高級脂肪酸を使用する場合、有機溶媒中にフィラーと表面処理剤を添加し、攪拌することで表面処理することができる。
また、表面処理剤の重合性官能基としては、ビニル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、エポキシ基、イソシアネート基等が有効である。エポキシ基及びイソシアネート基の場合は、通常、これら基と反応して重合体を生じる活性水素基含有材料を併用する。活性水素基としては、アミノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基等が有効で、活性水素基含有材料はこれら活性水素基を2以上有するものが好ましい。
表面処理剤の量は、用いるフィラーの比表面積や表面処理剤の最小被覆面積によって異なるが、フィラーに対して0.1〜10wt%が適しており、0.5〜5wt%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないと表面処理剤の被覆が十分でなく、架橋表面層とフィラーとの結合が不十分となる場合があり、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす。
また、フィラーは、ボールミル、アトライター、サンドミル、超音波等の従来方法を用いて分散、表面処理することもできる。使用されるメディアの材質については、従来使用されているジルコニア、アルミナ、メノウ等のメディアを使用することができる。分散時のメディアの摩耗粉は、感光体の残留電位の上昇を引き起こすため、メディアの摩耗の小さい高硬度のものを使用することが好ましい。
フィラーを表面処理後は、フィラーを架橋表面層塗工液として使用するため、場合によってはフィラー分散液を溶媒置換する必要がある。溶媒置換はいかなる方法でもよいが、エバポレーターや遠心分離機等で、フィラーと溶媒の分離を複数回繰り返すことで置換可能である。
また、フィラーの分散性を向上させる目的で、重合性官能基を有する表面処理剤と同時に重合性官能基を持たない表面処理剤を加えてもよい。この場合、先に重合性官能基を有する表面処理剤でフィラーを処理しておき、その後、別の表面処理剤で表面処理することが好ましい。
フィラーを表面処理後は、フィラー分散液を架橋表面層用塗工液に添加し、十分に攪拌してから電荷輸送層上に塗布し、硬化することで本発明の架橋表面層を形成することができる。電荷輸送層上に他の層が設けられている場合には、この層上に塗布する。
本発明で用いられる架橋表面層は、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー(イ)と電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(ロ)を反応させて硬化することにより形成されるが、これ以外に塗工時の粘度調整、架橋表面層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減等の機能付与の目的で1官能及び2官能のラジカル重合性モノマー、機能性モノマー及びラジカル重合性オリゴマーを併用することができる。これらのラジカル重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
1官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマー等が挙げられる。
2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールA−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等が挙げられる。
機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレート等のフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位:20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチル等のポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。
1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると架橋表面層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招くことがある。このためこれらのモノマーやオリゴマーの含有量は、3官能以上のラジカル重合性モノマー100質量部に対し、50質量部以下、好ましくは30質量部以下に制限することが好ましい。
本発明で用いた架橋表面層は、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を含有する単量体混合物の塗工液を塗布し、これを重合、硬化することにより形成されるものであるが、必要に応じてこの架橋反応を効率よく進行させるために該塗工液中に重合開始剤(例えば熱重合開始剤や光重合開始剤)を使用してもよい。
熱重合開始剤としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸等のアゾ系開始剤が挙げられる。
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、等のアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、等のベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、等のベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、等のチオキサントン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、が挙げられる。また、光重合促進効果を有するものを単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
これらの重合開始剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性を有する総含有物100質量部に対し、0.5〜40質量部、好ましくは1〜20質量部である。
さらに、本発明における塗工液は必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上の目的)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質等の添加剤が含有できる。これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分に対し20質量%以下、好ましくは10質量%以下に抑えられる。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分に対し3質量%以下が適当である。
本発明で用いた架橋表面層の塗工方法としては、スプレー塗工法、浸漬塗工法、リングコート法、ビードコート法等が挙げられる。このとき、塗工液は溶媒により希釈して塗布することも可能である。このとき、用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテル等のエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ系等が挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよい。溶媒による希釈率は組成物の溶解性、目的とする膜厚により変わり、任意である。
架橋表面層の膜厚は、1μm〜10μm、好ましくは3μm〜7μmである。1μmより薄い場合には作像プロセスでの使用により表面層が剥離する可能性がる。また、10μmより厚い場合、残留電位が増大し、画像濃度低下を引き起こす場合がある。
(硬化方法)
本発明の表面層は、架橋表面層の塗工液を塗布後、外部からエネルギーを与え、硬化させ、形成するものである。このとき、用いられる外部エネルギーとしては熱、光、放射線がある。熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素等の気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行なわれる。加熱温度は、100℃以上170℃以下が好ましく、100℃未満では反応速度が遅く、完全に反応が終了しない。170℃より高温では反応が不均一に進行し、架橋表面層中に大きな歪みが発生する。硬化反応を均一に進めるために、100℃未満の比較的低温で加熱後、さらに100℃以上に加温し反応を完結させる方法も有効である。光のエネルギーとしては主に紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプ等のUV照射光源が利用できるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。照射光量は50mW/cm以上、好ましくは500mW/cm以上、より好ましくは1000mW/cm以上である。1000mW/cmより強い照度の照射光を用いることで、重合反応の進行速度が大幅に大きくなり、より均一な架橋表面層を形成することが可能となる。放射線のエネルギーとしては電子線を用いるものが挙げられる。これらのエネルギーの中で、反応速度制御の容易さ、装置の簡便さから熱及び光のエネルギーを用いたものが有用である。
紫外線または放射線により架橋表面層を硬化した場合は、硬化後に残留溶媒を除去するため、乾燥を行うことが好ましい。乾燥の温度及び時間は、架橋表面層の塗工液に用いられた溶媒の沸点により任意に選択できるが、概ね100℃〜150℃、10分〜30分程度が好ましい。
<電子写真感光体の層構造>
本発明で製造される電子写真感光体を図2に基づいて説明する。
図2は、電子写真感光体の層構造を表わす部分断面図である。図2−Aは導電性支持体(31)上に、電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する感光層(32)が設けられた単層構造の感光層に、表面層が積層した感光体である。図2−Bは、導電性支持体(31)上に、電荷発生機能を有する電荷発生層(33)と、電荷輸送物機能を有する電荷輸送層(34)とが積層された積層構造の感光層に、表面層が積層した感光体である。
(導電性支持体)
導電性支持体(31)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板及びそれらを押し出し、引き抜き等の工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩等の表面処理を施した管等を使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体(31)として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体(31)として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体等が挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエン等に分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)等の素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体(31)として良好に用いることができる。
(感光層)
次に、感光層について説明する。
感光層は、積層構造でも単層構造でもよい。積層構造の場合には、感光層は電荷発生機能を有する電荷発生層と電荷輸送機能を有する電荷輸送層とから構成される。また、単層構造の場合には、感光層は電荷発生機能と、電荷輸送機能を同時に有する層である。
以下、積層構造の感光層及び単層構造の感光層のそれぞれについて述べる。
<積層構造の感光層>
(電荷発生層)
電荷発生層(33)は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料等が挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層(33)に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。また、電荷発生層のバインダー樹脂として上述のバインダー樹脂の他に、電荷輸送機能を有する高分子電荷輸送物質、例えば、アリールアミン骨格やベンジジン骨格やヒドラゾン骨格やカルバゾール骨格やスチルベン骨格やピラゾリン骨格等を有するポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン、アクリル樹脂等の高分子材料やポリシラン骨格を有する高分子材料等を用いることができる。
前者の具体的な例としては、特開平01−001728号公報、特開平01−009964号公報、特開平01−013061号公報、特開平01−019049号公報、特開平01−241559号公報、特開平04−011627号公報、特開平04−175337号公報、特開平04−183719号公報、特開平04−225014号公報、特開平04−230767号公報、特開平04−320420号公報、特開平05−232727号公報、特開平05−310904号公報、特開平06−234836号公報、特開平06−234837号公報、特開平06−234838号公報、特開平06−234839号公報、特開平06−234840号公報、特開平06−234841号公報、特開平06−239049号公報、特開平06−236050号公報、特開平06−236051号公報、特開平06−295077号公報、特開平07−056374号公報、特開平08−176293号公報、特開平08−208820号公報、特開平08−211640号公報、特開平08−253568号公報、特開平08−269183号公報、特開平09−062019号公報、特開平09−043883号公報、特開平09−71642号公報、特開平09−87376号公報、特開平09−104746号公報、特開平09−110974号公報、特開平09−110976号公報、特開平09−157378号公報、特開平09−221544号公報、特開平09−227669号公報、特開平09−235367号公報、特開平09−241369号公報、特開平09−268226号公報、特開平09−272735号公報、特開平09−302084号公報、特開平09−302085号公報、特開平09−328539号公報等に記載の電荷輸送性高分子材料が挙げられる。
後者の具体例としては、例えば特開昭63−285552号公報、特開平05−19497号公報、特開平05−70595号公報、特開平10−73944号公報等に記載のポリシリレン重合体が例示される。
電荷発生層(33)には低分子電荷輸送物質を含有させることができる。電荷発生層(33)に併用できる低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体、ジスチリル誘導体等、挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層(33)を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。
真空薄膜作製法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
溶液分散系からのキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法等を用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
<電荷輸送層>
電荷輸送層(34)は電荷輸送機能を有する層であり、電荷輸送機能を有する電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層(33)上に塗布、乾燥することにより形成する。電荷輸送物質としては、前記電荷発生層(33)で記載した電子輸送物質、正孔輸送物質及び高分子電荷輸送物質を用いることができる。
これらの中でも、本発明においてはジスチリル誘導体が有効に用いられる。ジスチリル誘導体とは、スチリル基を2つ有する材料を示す。これらの材料はπ共役が大きく、高移動であることから電荷の移動が起こりやすい。その結果、同等のイオン化ポテンシャルを有する正孔輸送物質に比べ、明部電位の上昇を抑制する効果があると考えられる。
さらにジスチリル誘導体の中でも一般式(10)で表されるジスチリルベンゼン誘導体が特に好ましい。一般式(10)で表されるジスチリルベンゼン誘導体は、電荷輸送機能の高いトリアリールアミン構造を複数有する上、構造式中央の芳香環基を介したπ共役が大きい特徴を有する。また、分子骨格が大きくトリアリールアミン構造が互いに離れているため、分子間で電荷移動が起こりやすい。
Figure 2010164646
電荷輸送層の電荷輸送物質として、ジスチリル誘導体を用いることにより、優れた電気特性を持つ。ジスチリル誘導体とは、単一分子内にスチリル基を2つ有する材料を示す。これらの材料はπ共役が大きく、高移動であることから電荷の移動が起こりやすい。その結果、同等のイオン化ポテンシャルを有する電荷輸送物質に比べ、明部電位を低減させる効果があると考えられる。
さらにジスチリル誘導体の中でも、一般式(10)で現される誘導体は、電荷輸送機能の高いトリアリールアミン構造を複数有する上、構造式中央の芳香環基を会したπ共役が大きく、さらに、分子骨格が大きくトリアリールアミン構造が互いに離れているため、分子間で電荷移動がおこりやすい。
しかし、ジスチリル誘導体を用いた場合、1分子あたりの分子量が大きく平面性が高いため、π−πスタッキングにより凝集を起こしやすくなる。その結果、樹脂と十分に相溶しておらず、また、内部応力が高い状態で膜形成をしているため、ジスチリル誘導体を用いた電荷輸送層の上に、膜強度の弱い熱可塑性樹脂を表面層とした場合電荷輸送層から亀裂が入ってしまう場合がある。
この問題に対して、表面層として架橋密度が高く、膜強度の非常に強い架橋型表面層を用いることにより強固に電荷輸送層を押さえつけることができるため、クラックを防止することができる。この効果は、架橋型表面層中にフィラーを含有させることにより、さらに強いものとなる。この理由は定かではないが、フィラーを含有させることにより表面層と電荷輸送層における界面の接触面積が増加するため、合計の接着力がより強固になるためだと考える。
以下に、本発明において有効な一般式(10)で表されるジスチリルベンゼン誘導体の一例を挙げる。ただし、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 2010164646
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(結着樹脂)
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送物質の量は結着樹脂100質量部に対し、20〜300質量部、好ましくは40〜150質量部が適当である。ただし、高分子電荷輸送物質を用いる場合は、単独でも結着樹脂との併用も可能である。
電荷輸送層の塗工に用いられる溶媒としては、前記電荷発生層と同様なものが使用できるが、電荷輸送物質及び結着樹脂を良好に溶解するものが適している。これらの溶剤は単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。また、電荷輸送層の形成には電荷発生層(33)と同様な塗工法が可能である。
(その他の添加剤)
電荷輸送層には、必要により可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。電荷輸送層に併用できる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂100質量部に対して0〜30質量部程度が適当である。
電荷輸送層に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、結着樹脂100質量部に対して0〜1質量部程度が適当である。
電荷輸送層の膜厚は、5〜40μm程度が適当であり、好ましくは10〜30μm程度が適当である。
<単層構造の感光層>
単層構造の感光層(32)は、電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層であり、感光層は電荷発生機能を有する電荷発生物質と電荷輸送機能を有する電荷輸送物質と結着樹脂を適当な溶媒に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤等を添加することもできる。電荷発生物質の分散方法、それぞれ電荷発生物質、電荷輸送物質、可塑剤、レベリング剤は前記電荷発生層(33)、電荷輸送層(34)において既に述べたものと同様なものが使用できる。結着樹脂としては、先に電荷輸送層(34)の説明で挙げた結着樹脂の他に、電荷発生層(33)で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。単層構造の感光層中に含有される電荷発生物質は、感光層全量に対し1〜30質量%が好ましく、感光層に含有される結着樹脂は、全量の20〜80質量%、電荷輸送物質は、10〜70質量%が良好に用いられる。また、かかる感光層の膜厚は、5〜30μm程度が適当であり、好ましくは10〜25μm程度が適当である。
<下引き層>
本発明の感光体の製造方法においては、導電性支持体(31)と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。さらに本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO2、TiO2、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。この他にも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は、0〜5μmが適当である。
(酸化防止剤)
本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、表面架橋層、感光層、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、中間層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
(フェノール系化合物)
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェロール類等。
(パラフェニレンジアミン類)
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミン等。
(ハイドロキノン類)
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノン等。
(有機硫黄化合物類)
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネート等。
(有機燐化合物類)
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィン等。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類等の酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総質量に対して0.01〜10質量%である。
<画像形成方法及び画像形成装置>
次に図3に基づいて本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置を詳しく説明する。本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置とは、上述の本発明の製造方法で製造した感光体を用い、例えば少なくとも感光体に帯電、画像露光、現像の過程を経てトナー画像を形成した後、画像保持体(転写紙)へのトナー画像の転写、定着及び必要に応じて感光体表面のクリーニングというプロセスよりなる画像形成方法、並びにこれらの工程を実現する手段を備えた画像形成装置である。場合により、静電潜像を直接転写体に転写し現像する画像形成方法等では、感光体に配した上記プロセスを必ずしも有するものではない。
図3は、画像形成装置の一例を示す概略図である。感光体(1)を平均的に帯電させる手段として、帯電チャージャーや帯電ローラー等がある。この帯電手段としては、コロトロンデバイス、スコロトロンデバイス、固体放電素子、針電極デバイス、ローラー帯電デバイス、導電性ブラシデバイス等が用いられ、公知の方式が使用可能である。
特に本発明の画像形成装置の構成は、接触帯電方式又は非接触近接配置帯電方式のような帯電手段からの近接放電により感光体組成物が分解する様な帯電手段を用いた場合に有効である。ここでいう接触帯電方式とは、感光体に帯電ローラー、帯電ブラシ、帯電ブレード等が直接接触する帯電方式である。一方の近接帯電方式とは、例えば帯電ローラーが感光体表面と帯電手段との間に200μm以下の空隙を有するように非接触状態で近接配置したタイプのものである。この空隙は、大きすぎた場合には帯電が不安定になりやすく、また、小さすぎた場合には、感光体に残留したトナーが存在する場合に、帯電部材表面が汚染されてしまう可能性がある。したがって、空隙は10〜200μm、好ましくは10〜100μmの範囲が適当である。
次に、均一に帯電された感光体(1)上に静電潜像を形成するために画像露光部5が用いられる。この光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもできる。
次に、感光体(1)上に形成された静電潜像を可視化するために現像ユニット(6)が用いられる。現像方式としては、乾式トナーを用いた一成分現像法、二成分現像法、湿式トナーを用いた湿式現像法がある。感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
次に、感光体上で可視化されたトナー像を転写体(9)上に転写するために転写チャージャ(10)が用いられる。また、転写をより良好に行なうために転写前チャージャ(7)を用いてもよい。これらの転写手段としては、転写チャージャ、バイアスローラーを用いる静電転写方式、粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式、磁気転写方式が利用可能である。静電転写方式としては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、転写体(9)を感光体(1)から分離する手段として分離チャージャ(11)、分離爪(12)が用いられる。その他、分離手段としては、静電吸着誘導分離、側端ベルト分離、先端グリップ搬送、曲率分離等が用いられる。分離チャージャ(11)としては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、転写後感光体上に残されたトナーをクリーニングするためにクリーニングブラシ(14)、クリーニングブレード(15)が用いられる。また、クリーニングをより効率的に行なうためにクリーニング前チャージャ(13)を用いてもよい。その他、クリーニング手段としては、ウェブ方式、マグネットブラシ方式等があるが、それぞれ単独又は複数の方式を一緒に用いてもよい。
さらに、画像形成装置において、電子写真感光体表面に潤滑性付与剤を塗布する潤滑性付与剤塗布手段を備えることによって、クリーニングブレードに対する電子写真感光体表面の摩擦係数を長期間にわたって低減することができ、上記不具合を解消することができる、画像形成装置、及び画像形成方法を得ることができる。
図4は、潤滑性付与剤(113)を棒状にした固形物をクリーニングブラシ(114)に押し当てており、該クリーニングブラシ(114)が回転する際に潤滑性付与剤を掻き取り、ブラシに付着した潤滑性付与剤が感光体表面に塗布される仕組みとなっている。前記潤滑性付与剤は固形である必要はなく、液体や粉体、半練り状でも、感光体表面に塗布することができ、電子写真特性を満たすものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記潤滑性付与剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸;カルナウバ、ラノリン、木ろう等のワックス類;シリコーンオイル等の潤滑性オイル;等が挙げられる。これらの中でも、棒状に加工することが比較的容易で、潤滑性付与効果が高い点から、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウムが特に好ましい。
図4に示す潤滑性付与剤塗布手段をクリーニングユニット(117)に備えることで、ドラム周りのレイアウト設計が容易になったり、装置を簡略化することができる等のメリットがある反面、クリーニングされたトナーに潤滑性付与剤が多量に混入するためトナーリサイクルが困難になったり、ブラシのクリーニング効率が低下する等の不具合が発生する場合もある。また、図示を省略しているが、潤滑性付与剤塗布手段を有した塗布ユニットをクリーニングユニットと別に独立して設けることで、上記不具合を解消することもできる。その場合、塗布ユニットは、クリーニングユニットの下流に設けることが好ましい。さらに、塗布ユニットを複数箇所に設け、それらを同時、又は順次働かせることで、潤滑性付与剤の塗布効率を高めたり、消費量をコントロールする等の効果を持たせることができる。図4の潤滑性付与剤塗布手段を備えたクリーニングユニットは図5のように画像形成装置に搭載され使用される。
次に、必要に応じて感光体上の潜像を取り除く目的で除電手段が用いられる。除電手段としては除電ランプ(2)、除電チャージャが用いられ、それぞれ前記露光光源、帯電手段が利用できる。
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは公知のものが使用できる。
本発明は、このような画像形成手段に本発明に係る電子写真感光体を用いる画像形成方法及び画像形成装置である。この画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でそれら装置内に組み込まれ、着脱自在としたものであってもよい。プロセスカートリッジの一例を図6に示す。
画像形成装置用プロセスカートリッジとは、感光体(101)を内蔵し、他に帯電手段(102)、現像手段(104)、転写手段(106)、クリーニング手段(107)、除電手段(図示せず)の少なくとも一つを具備し、画像形成装置本体に着脱可能とした装置(部品)である。図6に例示される装置による画像形成プロセスについて示すと、感光体(101)は、矢印方向に回転しながら、帯電手段(102)による帯電、露光手段(103)による露光により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成され、この静電潜像は、現像手段(104)でトナー現像され、該トナー現像は転写手段(106)により、転写体(105)に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の感光体表面は、クリーニング手段(107)によりクリーニングされ、さらに除電手段(図示せず)により除電されて、再び以上の操作を繰り返すものである。
以上の説明から明らかなように、本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができるものである。
<電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の合成例>
本発明における電荷輸送性構造を有する化合物は、例えば特許第3164426号公報記載の方法にて合成される。下記に電荷輸送性構造を有する化合物の製造方法の一例を示す。
(トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物の合成)
(1)ヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式B)の合成
メトキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式A)113.85g(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138g(0.92mol)にスルホラン240mlを加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99g(0.91mol)を1時間で滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し反応を終了させた。この反応液にトルエン約1.5Lを加え室温まで冷却し、水と炭酸ナトリウム水溶液で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマト処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=20:1)にて精製した。得られた淡黄色オイルにシクロヘキサンを加え、結晶を析出させた。このようにして下記構造式Bの白色結晶88.1g(収率=80.4%、融点:64.0〜66.0℃、元素分析値(%):表13に示す。)を得た。
Figure 2010164646
Figure 2010164646
Figure 2010164646
(2)トリアリールアミノ基置換アクリレート化合物(化合物No.54)の合成。
上記(1)で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(構造式B)82.9g(0.227mol)をテトラヒドロフラン400mlに溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4g,水:100ml)を滴下した。この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2g(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌し反応を終了させた。この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマト処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させた。このようにして例示化合物NO.54の白色結晶80.73g(収率=84.8%、融点:117.5〜119.0℃)を得た。元素分析結果(%)を以下に示す。
Figure 2010164646
(アクリル酸エステル化合物の合成例)
(1)2−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルの調製
かき混ぜ装置、温度計、滴下漏斗をつけた反応容器に、2−ヒドロキシベンジルアルコール(東京化成品製)38.4g、o−キシレン80mlを入れ、窒素気流下、亜リン酸トリエチル(東京化成品製)62.8gを80℃でゆっくり滴下し、さらに同温度で1時間反応を行った。その後、減圧蒸留により、生成したエタノール、溶媒のo−キシレン、未反応の亜リン酸トリエチルを除去し、66gの2−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルを得た(沸点 120.0℃/1.5mmHg)(収率90%)。
(2)2−ヒドロキシ−4’−(N,N−ビス(4−メチルフェニル)アミノ)スチルベンの調製
かき混ぜ装置、温度計、滴下漏斗をつけた反応容器に、カリウム−tert−ブトキサイド14.8g、テトラヒドロフラン50mlを入れ、窒素気流下、2−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル9.90gと4−(N,N−ビス(4−メチルフェニル)アミノ)ベンズアルデヒド5.44gとをテトラヒドロフランに溶解させた溶液を室温でゆっくり滴下し、その後、同温度で2時間反応させた。その後、水冷下、水を加え、次いで2規定の塩酸水溶液を加えて酸性化したのち、テトラヒドロフランをエバポレーターにより除き、粗生成物をトルエンで抽出した。トルエン相を水、炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて脱水した。ろ過後、トルエンを除いてオイル状の粗収物を得、さらにシリカゲルによりカラム精製を行った後、ヘキサン中で晶析させ、5.09gの2−ヒドロキシ−4’−(N,N−ビス(4−メチルフェニル)アミノ)スチルベンを得た(収率72%、融点136.0〜138.0℃)。
(3)4’−(N,N−ビス(4−メチルフェニル)アミノ)スチルベン−2−イルアクリレートの調製
かき混ぜ装置、温度計、滴下漏斗をつけた反応容器に、2−ヒドロキシ−4’−(N,N−ビス(4−メチルフェニル)アミノ)スチルベン14.9g、テトラヒドロフラン100ml、12%濃度の水酸化ナトリウム水溶液21.5gを入れ、窒素気流下、5℃でアクリル酸クロリド5.17gを30分かけて滴下した。その後、同温度で3時間反応させた。反応液を水にあけ、トルエンで抽出した後、濃縮してシリカゲルによるカラム精製を行った。得られた粗収物をエタノールで再結晶し、黄色針状晶の4’−(N,N−ビス(4−メチルフェニル)アミノ)スチルベン−2−イルアクリレート(例示化合物NO.109)13.5gを得た。(収率79.8%、融点104.1〜105.2℃)元素分析(%)結果を以下に示す。
Figure 2010164646
以上の様に、2−ヒドロキシベンジルホスホン酸エステル誘導体と種々のアミノ置換ベンズアルデヒド誘導体を反応させることにより数多くの2−ヒドロキシスチルベン誘導体を合成し、そのアクリル化またはメタクリル化を行なうことで種々のアクリル酸エステル化合物を合成することができる。
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中において使用する「部」は、特に断らない限りすべて質量部を表わす。
φ40mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布、乾燥することにより、3.0μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成した。
[下引き層用塗工液]
アルキッド樹脂: 6部
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂: 4部
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製)
酸化チタン: 40部
メチルエチルケトン: 50部
[電荷発生層用塗工液]
下記構造式(I)のチタニルフタロシアニン顔料: 1.5部
ポリビニルブチラール(XYHL、UCC製): 1.0部
メチルエチルケトン: 80部
Figure 2010164646
[電荷輸送層用塗工液]
ビスフェノールZポリカーボネート: 10部
(パンライトTS−2050、帝人化成製)
下記構造式(II)の低分子電荷輸送物質: 10部
テトラヒドロフラン: 100部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液: 0.2部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
Figure 2010164646
[架橋表面層用塗工液]
―フィラーの表面処理―
フィラー、表面処理剤には以下のものを使用し、水とエタノールの混合溶媒18部(水:エタノール=2:8)にフィラー2部と表面処理剤0.05部添加し、30分攪拌することで表面処理を行った。表面処理後はフィラー分散液を遠心分離機にてTHFに溶媒置換を3回行い、10wt%のフィラー分散液を作製した。
フィラー: 2部
シリカ微粒子(アエロジルOX50、日本アエロジル製)
表面処理剤:
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503 信越シリコーン製)
電荷輸送層上には、下記構成の架橋表面層塗工液を使用した。
電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物: 10部
例示化合物No.143(分子量:447、官能基数:1官能)
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー: 10部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製、分子量:296、官能基数:3官能)
光重合開始剤: 1部
イルガキュア184(日本化薬製、分子量:204)
フィラー分散液(10wt%): 20部
溶媒: 120部
テトラヒドロフラン
本発明では架橋表面層塗工液はスプレーにより塗工した。本発明では、スプレーガンとしてオリンポス製PC308を用い、膜厚5μmとなるように塗工した。
架橋表面層塗工液塗工後、紫外線照射装置Fusion製UVランプシステムを用い、支持体を30rpmで回転させながら紫外線照射を行い、硬化させた。紫外線照射のランプにはVバルブを使用し、紫外線ランプと感光体表面の距離を53mm、照射強度を500mW/cmとし、60秒間の紫外線照射を行い、塗布膜を硬化させた。紫外線照射後は、130℃20分の乾燥を加え、膜厚5μmの表面層を設け、本発明の電子写真感光体を作製した。
実施例1において、表面処理剤を以下のものに変更した以外は全て実施例1と同様にして表面層を設け、本発明の電子写真感光体を作製した。
表面処理剤:3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103 信越シリコーン製)
実施例1において、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを以下のものに変更した以外は、全て実施例1と同様にして表面層を設け、本発明の電子写真感光体を作製した。
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー: 10部
ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート
(KAYARAD DPCA−120、日本化薬製、分子量:1947、官能基数:6官能)
実施例1において、フィラーを以下のものに変更した以外は全て実施例1と同様にして表面層を設け、本発明の電子写真感光体を作製した。
フィラー:アルミナ微粒子(AA03、住友化学製)
実施例4において、表面処理剤を以下のものに変更した以外は全て実施例1と同様にして表面層を設け、本発明の電子写真感光体を作製した。
表面処理剤:ビニルトリメトキシシラン(KBM−1003 信越化学製)
実施例1において、フィラーを以下のものに変更した以外は全て実施例1と同様にして表面層を設け、本発明の電子写真感光体を作製した。
フィラー:酸化チタン微粒子(CR97、石原チタン工業社製)
実施例6において、表面処理剤を以下のものに変更し、光重合開始剤を以下の熱重合開始剤に変更し、架橋表面層塗工液を塗工後は紫外線照射を行わず、130℃30分の乾燥を行った以外は全て実施例1と同様にして表面層を設け、本発明の電子写真感光体を作製した。
表面処理剤:3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103 信越シリコーン製)
熱重合開始剤: 1部
2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ)プロパン
(パーカドックス 12−EB20 化薬アクゾ製)
(比較例1)
実施例1において、表面処理剤を使用せずに実施例1と同様にして表面層を設け、電子写真感光体を作製した。
(比較例2)
実施例1において、表面処理剤として重合性官能基を持たない以下のものに変更した以外は全て実施例1と同様にして表面層を設け、電子写真感光体を作製した。
表面処理剤:ジメチルジメトキシシラン(KBM−22 信越シリコーン製)
(比較例3)
実施例4において、表面処理剤として重合性官能基を持たない以下のものに変更した以外は、全て実施例1と同様にして表面層を設け、電子写真感光体を作製した。
表面処理剤:酸基を含むブロック共重合物のアルキルアンモニウム塩(DISPERBYK−180 BYK製)
(比較例4)
実施例4において、表面処理剤として重合性官能基を持たない以下のものに変更した以外は全て実施例1と同様にして表面層を設け、電子写真感光体を作製した。
表面処理剤:ジメチルジメトキシシラン(KBM−22 信越シリコーン製)
(比較例5)
実施例6において、表面処理剤として重合性官能基を持たない以下のものに変更した以外は全て実施例1と同様にして表面層を設け、電子写真感光体を作製した。
表面処理剤:ポリカルボン酸のアルキルアミン塩(Anti−Terra−203 BYK製)
(比較例6)
実施例1において、フィラーを添加せずに架橋表面層塗工液を作製し、硬化させた以外は全て実施例1と同様にして表面層を設け、電子写真感光体を作製した。
(比較例7)
実施例1と同様にして電荷輸送層まで設けた。表面層には下記構成の熱可塑性表面層の塗工液を作製し、電荷輸送層上にスプレーで塗工し、150℃20分の乾燥を経て、膜厚5μmの表面層を設け、電子写真感光体を作製した。
フィラー: 2部
アルミナ微粒子(AA03 住友化学工業製)
下記構造式の電荷輸送物質 4部
Figure 2010164646
ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成製) 6部
テトラヒドロフラン 220部
シクロヘキサノン 80部
(比較例8)
実施例1において、電荷輸送層の膜厚を25μmとし、表面層を設けずに電子写真感光体を作製した。
(トナーフィルミング評価)
トナーフィルミング評価は、リコー製imagio MP C4500改造機のブラック用電子写真用プロセスカートリッジに前記電子写真感光体を装着し、10℃15%環境下において画像濃度100%の画像で10000枚を通紙した。紙は、NBSリコー製MyPaperA4を使用し、トナーは純正品の重合トナー(IPSIOトナー タイプ 9800)を使用した。
通紙後、画像評価を行った。また、キーエンス製レーザー顕微鏡VK8500にて感光体の表面観察を行い、トナーフィルミングの発生有無の確認を行った。
トナーフィルミング評価の結果を示す。
Figure 2010164646
本発明の実施例1〜7の感光体はトナーフィルミングの発生はなく、画像も良好であった。表面処理剤に重合製官能基を有さないものを使用した比較例1〜5は一部にトナーフィルミングが観察され、その部分で白斑点が発生していた。表面層にフィラーを添加しなかった比較例6、熱可塑性の表面層を設けた比較例7、表面層を設けなかった比較例8においても、一部または全体にトナーフィルミングが発生し、画像にも白斑点が発生していた。
(実施例8)
実施例1の電子写真感光体を電子写真用プロセスカートリッジに装着し、リコー製imagio MP C4500改造機を用いて、10万枚の実機通紙試験(A4、NBSリコー製MyPaper、スタート時帯電電位−750V)を実施し、摩耗量測定、画像評価を行った。摩耗量測定はランニング10万枚終了後に感光体を取り出し、ランニング試験前後の感光体の膜厚の差から、摩耗量を測定した。膜厚測定は、渦電流式膜厚計フィッシャースコープMMS(フィッシャー製)を用い、中央部軸方向に10mm間隔で20点を周方向90°間隔に4個所測定し、それらの平均値を膜厚とした。その結果、10万枚通紙後においても異常画像はなく、摩耗量は0.08μmであり、高い耐摩耗性を有していた。
(実施例9)
実施例4の電子写真感光体を用いて、実施例8と同様の通紙試験を行った。その結果、10万枚通紙後においても異常画像はなく、摩耗量は0.05μmであり、高い耐摩耗性を有していた。
(実施例10)
実施例7の電子写真感光体を用いて、実施例8と同様の通紙試験を行った。その結果、10万枚通紙後においても異常画像はなく、摩耗量は0.11μmであり、高い耐摩耗性を有していた。
以上より、本発明の導電性支持体上に少なくとも感光層上に、架橋表面層を有する電子写真感光体において、架橋表面層が、(イ)電荷輸送機能を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物と、(ロ)電荷輸送機能を有する1官能のラジカル重合性化合物と、(ハ)重合性官能基を有する表面処理剤によって表面処理されたフィラーとを含有し、重合性官能基を有する表面処理剤によって表面処理されたフィラーを含有し、これらの混合物を硬化させることによって形成された架橋表面層であることを特徴とする電子写真感光体により、トナーフィルミングがなく、優れた耐久性及び電気特性を有していることが分かった。また、本発明の感光体を用いた画像形成プロセス、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジが高性能、高信頼性を有していることが明らかとなった。
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
9 転写体
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャー
14 クリーニングブラシ
15 クリーニングブレード
16 潤滑性付与剤
21 導電性支持体
22 感光層
23 架橋表面層
24 フィラー
31 導電性支持体
32 感光層
33 電荷発生層
34 電荷輸送層
101 感光体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 転写体
106 転写手段
107 クリーニング手段
113 潤滑性付与剤
114 クリーニングブラシ
115 クリーニングブレード
117 クリーニングユニット
特開昭56−48637号公報 特開昭64−1728号公報 特開平4−281461号公報 特許第3262488号公報 特許第3194392号公報 特開2000−66425号公報 特開2004−302450号公報 特開2004−302451号公報 特開2004−302452号公報 特開2005−99688号公報

Claims (13)

  1. 導電性支持体上に少なくとも感光層および架橋表面層を有する電子写真感光体において、架橋表面層が、(イ)電荷輸送機能を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物と、(ロ)電荷輸送機能を有する1官能のラジカル重合性化合物と、(ハ)重合性官能基を有する表面処理剤によって表面処理されたフィラーとを含有し、これらの混合物を硬化させることによって形成された架橋表面層であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記(ハ)のフィラーが無機フィラーであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記フィラーを処理する表面処理剤がシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 架橋表面層が光エネルギーによる硬化反応で形成されてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体。
  5. 前記(ロ)の電荷輸送性構造が、トリアリールアミン構造であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体。
  6. 前記(ロ)のラジカル重合性化合物が、アクリロイルオキシ基およびメタクリルイルオキシ基よりなる群から選ばれた官能基を有するものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体。
  7. 前記(ハ)のフィラーの表面処理剤が、加水分解反応によりフィラーと結合性を有する親水性基叉は加水分解反応により親水性基を生じる親水性基の基と重合性官能基とを有するものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体。
  8. 前記(イ)の3官能以上のラジカル重合性モノマーが、アクリロイルオキシ基およびメタクリルイルオキシ基よりなる群から選ばれた官能基を3個以上有するものである請求項1乃至7のいずれかに記載の電子写真感光体。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の電子写真感光体と、電子写真感光体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と前記静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、電子写真感光体上の転写残トナーを取り除くクリーニング手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
  10. 前記画像形成装置が、電子写真感光体表面に潤滑性付与剤を塗布する潤滑性付与剤塗布手段を有することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
  11. 前記潤滑性付与剤が、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム及びステアリン酸カルシウムから選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 請求項1乃至8のいずれかに記載の電子写真感光体と、電子写真感光体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程と、電子写真感光体上の転写残トナーを取り除くクリーニング手段とを有することを特徴とする画像形成方法。
  13. 静電潜像形成手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段の少なくとも1つと、請求項1乃至8のいずれかに記載の電子写真感光体とを具備してなることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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