JP4246113B2 - 電子写真感光体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ Download PDF

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本発明は高硬度かつ強靭な架橋表面層を有する感光体で、耐摩耗性が非常に高く、さらに架橋表面層の電気特性の変動が殆どないために、高品質の画像形成を長期間にわたり実現した電子写真感光体に関する。また、それらの長寿命、高性能感光体を使用した画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジに関する。
近年、有機感光体(OPC)は良好な性能、様々な利点から、無機感光体に代わり複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ及びこれらの複合機に多く用いられている。この理由としては、例えば(1)光吸収波長域の広さ及び吸収量の大きさ等の光学特性、(2)高感度、安定な帯電特性等の電気的特性、(3)材料の選択範囲の広さ、(4)製造の容易さ、(5)低コスト、(6)無毒性、等が挙げられる。
一方、最近画像形成装置の小型化から感光体の小径化が進み、機械の高速化やメンテナンスフリーの動きも加わり感光体の高耐久化が切望されるようになってきた。この観点からみると、有機感光体は、表面層が低分子電荷輸送材料と不活性高分子を主成分としているため一般に柔らかく、電子写真プロセスにおいて繰り返し使用された場合、現像システムやクリーニングシステムによる機械的な負荷により摩耗が発生しやすいという欠点を有している。加えて高画質化の要求からトナー粒子の小粒径化に伴いクリーニング性を上げる目的でクリーニングブレードのゴム硬度の上昇と当接圧力の上昇が余儀なくされ、このことも感光体の摩耗を促進する要因となっている。この様な感光体の摩耗は、感度の劣化、帯電性の低下などの電気的特性を劣化させ、画像濃度低下、地肌汚れ等の異常画像の原因となる。また摩耗が局所的に発生した傷は、クリーニング不良によるスジ状汚れ画像をもたらす。現状では感光体の寿命はこの摩耗や傷が律速となり、交換に至っている。
したがって、有機感光体の高耐久化においては前述の摩耗量を低減することが不可欠であり、これが当分野でもっとも解決が迫られている課題である。
感光層の耐摩耗性を改良する技術としては、(1)表面層に硬化性バインダーを用いたもの(特許文献1参照)、(2)高分子型電荷輸送物質を用いたもの(特許文献2参照)、(3)表面層に無機フィラーを分散させたもの(特許文献3参照)等が挙げられる。これらの技術の内、(1)の硬化性バインダーを用いたものは、電荷輸送物質との相溶性が悪いために均一な硬化膜の形成が出来ないことや、未反応残基などの不純物により残留電位が上昇し、画像濃度低下が発生し易い傾向がある。また、(2)の高分子型電荷輸送物質を用いたもの、及び(3)の無機フィラーを分散させたものは、ある程度の耐摩耗性向上が可能であるものの、有機感光体に求められている耐久性を十二分に満足させるまでには至っていない。更に(3)の無機フィラーを分散させたものは、無機フィラー表面に存在するトラップにより残留電位が上昇し、画像濃度低下が発生し易い傾向にある。これら(1)、(2)、(3)の技術では、有機感光体に求められる電気的な耐久性、機械的な耐久性をも含めた総合的な耐久性を十二分に満足するには至っていない。
更に、(1)の耐摩耗性を改良するために硬化型ウレタンアクリレートを含有させた感光体も知られている(特許文献4参照)。しかし、この感光体においては、感光層にこの硬化型ウレタンアクリレートを含有させる旨の記載があるものの、この感光層においては電荷輸送物質を含有せしめてもよいことが記載されているのみで具体的な記載はなく、しかも、単に感光層に低分子の電荷輸送物質を含有させた場合には、上記硬化物との相溶性の問題があり、これにより、低分子電荷輸送物質の析出、クラックの発生が起こり、機械強度も低下してしまうことがあった。また相溶性向上のためにポリカーボネート樹脂を含有させる記載もあるが、硬化型ウレタンアクリレートの含有量が減少し、結果的には十分な耐摩耗性を達成できていないのが現状である。
これらに代わる感光層の耐摩耗技術として、炭素─炭素二重結合を有するモノマーと、炭素─炭素二重結合を有する電荷輸送物質及びバインダー樹脂からなる塗工液を用いて形成した電荷輸送層を設けることが知られており(特許文献5参照)、このバインダー樹脂には、炭素─炭素二重結合を有し、上記電荷輸送物質に対して反応性を有するものと、上記二重結合を有せず反応性を有しないものが含まれる。この感光体は耐摩耗性と良好な電気的特性を両立しており注目されるが、バインダー樹脂として反応性を有しないもの、例えばアクリル重合体、スチレン重合体、アクリル─スチレン共重合体、ポリエステル、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂等を使用した場合においては、炭素─炭素二重結合を有するモノマーと炭素─炭素二重結合を有する電荷輸送物質との結合量が低下し、感光層全体として十分な架橋密度が得られない。さらにバインダー樹脂自身に強靭性がないことから、満足できる耐摩耗性を達成できていない。
また、同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を硬化した化合物を含有する感光層も知られている(特許文献6参照)。しかし、この感光層は嵩高い正孔輸送性化合物が二つ以上の連鎖重合性官能基を有するため硬化物中に歪みが発生し内部応力が高くなり、表面層の荒れや経時におけるクラックが発生しやすい場合があり、十分な耐久性を有していない。
以上のようなことから、これら従来技術における電荷輸送性構造有する化合物を化学結合させた架橋感光層を有する感光体においても、現状では充分な総合特性を有しているとは言えない。
特開昭56−48637号公報 特開昭64−1728号公報 特開平4−281461号公報 特許第2578548号公報 特許第3194392号公報 特開2000−66425号公報
本発明の課題は高硬度かつ強靭な架橋表面層を有する感光体で、耐摩耗性が非常に高く、さらに電気特性の変動が殆どない架橋表面層を用いることにより、優れた耐久性と同時に、高安定な電気特性及び高品質の画像形成を長期間にわたり実現した電子写真感光体を提供することであり、また、それらの長寿命、高性能感光体を使用した画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジを提供することである。
本発明者らは導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくともラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーと電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を硬化することで形成されることにより、前記課題が達成できることを発見して本発明を成すに至った。
すなわち、上記課題は、下記の本発明により解決される。
(1)導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくともラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーと電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物とを硬化することにより形成される架橋表面層であり、該表面層の弾性仕事率が41%以上で、かつ、ユニバーサル硬度が200N/mm 2 以上であることを特徴とする電子写真感光体。
(2)前記表面層が3官能以上の電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性化合物を含む
ことを特徴とする前記第(1)項記載の電子写真感光体。
)前記表面層に含有されるラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーおよび電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性化合物のラジカル重合性官能基が、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする前記第(1)又は()項のいずれかに記載の電子写真感光体。
)前記ラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーの粘度が50000mPa・s以下であることを特徴とする前記第(1)〜()項のいずれかに記載の電子写真感光体。
)前記表面層に含有される全固形分に対する前記ラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーの重量比が10〜80%であることを特徴とする前記第(1)〜()項のいずれかに記載の電子写真感光体。
)前記表面層に用いられる電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする前記第(1)〜()項のいずれかに記載の電子写真感光体。
)前記表面層に用いられる電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物の電荷輸送構造が、トリアリールアミン構造であることを特徴とする前記第(1)〜()項のいずれかに記載の電子写真感光体。
) 前記表面層に用いられる電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物が、下記一般式(1)又は(2)で表わされる化合物の一種以上であることを特徴とする前記第(1)〜(7)項のいずれかに記載の電子写真感光体。
Figure 0004246113

Figure 0004246113

(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR7(R7は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR89(R8及びR9は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar1、Ar2は置換もしくは無置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar3、Ar4は置換もしくは無置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。)
) 前記表面層に用いられる電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物が、下記一般式(3)で表わされる化合物の一種以上であることを特徴とする前記第(1)〜(8)のいずれかに記載の電子写真感光体。
Figure 0004246113

(式中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、
Figure 0004246113

を表す。)
10前記表面層がフィラーを含有することを特徴とする前記第(1)〜(9)項のいずれかに記載の電子写真感光体。
(11) 前記表面層の硬化手段が加熱又は光エネルギー照射手段であることを特徴とする前記第(1)〜(10)項のいずれかに記載の電子写真感光体。
(12) 前記感光層が支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の積層構成であり、電荷輸送層の表面部分に架橋表面層が形成されていることを特徴とする前記第(1)〜(11)項のいずれかに記載の電子写真感光体。
(13)前記第(1)〜(12)項のいずれかに記載の電子写真感光体を用いて、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行なうことを特徴とする画像形成方法。
(14)前記第(1)〜(12)項のいずれかに記載の電子写真感光体を有することを特徴とする画像形成装置。
(15)前記第(1)〜(12)項のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を有するものであって、画像形成装置本体に着脱可能としたことを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
本発明において、感光層の表面層に架橋層を構成させる樹脂成分として反応性の官能基を有する化合物、より具体的にはラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマー及び電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性モノマーを混合し、同時に硬化させ、弾性仕事率が41%以上の架橋樹脂層とすることで、耐摩耗性が高く、良好な電気特性を有する感光体が実現された。したがってこの感光体を用いることで、より高画質な画像を長期にわたり提供できる高性能で且つ信頼性の高い画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジが提供できる。
以下本発明について詳細に記載する。
本発明は以下の基本的思想に基づくものである。本発明の感光体は、表面層にラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーを用いている。ウレタンオリゴマーは基本的にはソフトセグメントとハードセグメントから構成されており、その結合単位であるウレタン基同士の強固な水素結合により強く凝集したハードセグメントと、フレキシブルなソフトセグメントのバランスにより、柔軟性と強靱性、弾性を兼ね備えている。これを用いることによりウレタン結合の特徴である強靭性と同時に3次元の網目構造が発達し、架橋密度が非常に高い高硬度架橋表面層が得られ、高い耐摩耗性が達成される。また本発明の感光体は架橋表面層中に高分子材料が含有されておらず、3次元網目構造の発達が阻害されない。したがって十分な架橋密度の向上が達成され、高い耐摩耗性が実現された。また架橋表面層中に非反応性の高分子材料を含まないので、ラジカル重合性組成物(ラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマー、電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物)の反応より生じた硬化物の架橋密度が阻害されることなく十分な耐摩耗性を有する感光体が実現できる。
また、本発明の架橋表面層の形成においては、ラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーに加え、電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を含有しており、これらが同時に短時間で硬化され、高硬度の架橋結合を構成し、耐久性の向上が達成された。さらに硬化速度の向上により平滑な表面層の形成が実現可能となり、良好なクリーニング性を長期に渡って維持することが可能となった。更に、硬化速度の速い、ラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーと電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を硬化することで架橋層中に歪みの少ない均一な架橋膜を形成することが可能となり、この結果架橋表面層中において電荷輸送物質の未反応部分が減少し、架橋膜内部の均質性が大きく改善される。また架橋層中に電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物が組み込まれているために安定な電気特性を長期にわたって示す。これに対し、官能基を有しない低分子電荷輸送物質を架橋表面層中に含有させた場合、その相溶性の低さから低分子電荷輸送物質の析出や白濁現象が起こり、架橋表面層の機械的強度も低下する。また2官能以上の電荷輸送性化合物を用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定されるが、電荷輸送性構造が非常に嵩高いため硬化樹脂中に歪みが発生し架橋表面層の内部応力が高くなり、キャリア付着等でクラックや傷の発生が頻発する。また、複数の結合で架橋構造中に固定されるため、電荷輸送時の中間体構造(カチオンラジカル)が安定して保てず、電荷のトラップによる感度の低下、残留電位の上昇が起こる。これらの電気的特性の劣化は、画像濃度低下、文字の細り等の画像として現れる。
更に、本発明の感光体においては、架橋表面層の弾性仕事率が41%以上であり、このときに、先に示した効果が充分に発揮される。弾性仕事率が41%未満の場合、現像部やクリーニング部で加えられる応力が、例えば熱エネルギーとして内部に蓄積し、塑性変形をもたらす。この塑性変形は感光体の摩耗につながり耐久性が低下する。
従って、本発明において架橋層を構成させる樹脂成分として反応性の官能基を有する化合物、より具体的にはラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーと電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を同時に重合し、弾性仕事率が41%以上の架橋表面層を形成させることで、耐摩耗性の向上と同時に長期に渡って高画質化を維持出来る電子写真感光体を実現することが可能となった。
次に、本発明の架橋表面層塗布液の構成材料について説明する。
本発明に用いられるラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーの例として、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基のラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーが挙げられる。アクリロイルオキシ基を有するウレタンオリゴマーは、例えばポリイソシアネートにアクリロイルオキシ基を有するポリオールを反応させることで得られる。ポリイソシアネート材料およびポリオール材料としては一般的なものが使用可能であるが、感光体の表面層に含有されるために、経時で着色しないものが好ましい。イソシアネート材料の一例を例示化合物A〜Cに、ポリオール材料の一例を例示化合物D〜Fに示すがこれらに限定されるわけではない。
Figure 0004246113
またアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば水酸基を有する化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、メタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を2個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なっても良い。また塗膜の表面平滑性の観点から塗工液の粘度が高くない方が好ましく、ラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマー自身の70℃における粘度が50000mPa・s以下のもの、より望ましくは30000mPa・s以下のものが有効に使用できる。
ラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーとしては、以下のものが挙げられるが、これらの化合物に限定されるものではない。
U−4HA(新中村化学製)
アクリル官能基数4、粘度20000/25℃(mPa・s/℃)
U−6HA(新中村化学製)
アクリル官能基数6、粘度40000/50℃(mPa・s/℃)
U−15HA(新中村化学製)
アクリル官能基数15、粘度45000/40℃(mPa・s/℃)
KAYARAD DPHA−40H(日本化薬製)
アクリル官能基数2、粘度40000±10000/25℃(mPa・s/℃)
KAYARAD UX−8101(日本化薬製)
アクリル官能基数2、粘度20000±10000/70℃(mPa・s/℃)
また、耐摩耗性、表面平滑性および電気特性等の電子写真特性のバランスからラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーの成分割合は、架橋表面層に含まれる全固形分に対し10〜80重量%、さらに好ましくは20〜70重量%である。
本発明に用いられる電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物とは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しており、且つラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表される官能基が挙げられる。
CH2=CH−X1− ・・・・式10
(ただし、式中、X1は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R10)−基(R10は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−S−基を表す。)
これらの置換基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表される官能基が挙げられる。
CH2=C(Y)−X2− ・・・・式11
(ただし、式中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR11基(R11は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR1213(R12およびR13は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)、また、X2は上記式10のX1と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y,X2の少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。)
これらの置換基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
なお、これらX1、X2、Yについての置換基に更に置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。また、電荷輸送性構造としてはトリアリールアミン構造が効果が高い。更に、下記一般式(1)又は(2)の構造で示される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続される。
Figure 0004246113
Figure 0004246113
(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR7(R7は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR89(R8及びR9は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、AR1、AR2は置換もしくは無置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。AR3、AR4は置換もしくは無置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。)
以下に、一般式(1)、(2)の具体例を示す。
前記一般式(1)、(2)において、R1の置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。
1の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
Ar3、Ar4は置換もしくは無置換のアリール基を表わし、アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が挙げられる。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
該非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
また、前記Ar3、Ar4で表わされるアリール基は例えば以下に示すような置換基を有してもよい。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、更に好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基には更にフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR2)であり、R2は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)
Figure 0004246113
(式中、R3及びR4は各々独立に水素原子、前記(2)で定義したアルキル基、またはアリール基を表わす。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R3及びR4は共同で環を形成してもよい。)
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
前記Ar1、Ar2で表わされるアリーレン基としては、前記Ar3、Ar4で表されるアリール基から誘導される2価基である。
前記Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C1〜C12、好ましくはC1〜C8、更に好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基には更にフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C5〜C7の環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基を有していても良い。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表わし、アルキレンエーテル基のアルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
ビニレン基は、
Figure 0004246113
で表わされ、R5は水素、アルキル基(前記(2)で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar3、Ar4で表わされるアリール基と同じ)、aは1または2、bは1〜3の整数を表わす。前記Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。置換もしくは無置換のアルキレン基としは、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基としては、前記Xのアルキレンエーテル基の2価基が挙げられる。アルキレンオキシカルボニル2価基としては、カプロラクトン変性2価基が挙げられる。
また、本発明の1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物として更に好ましくは、下記一般式(3)の構造の化合物が挙げられる。
Figure 0004246113
(式中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、
Figure 0004246113
を表わす。)
上記一般式で表わされる化合物としては、Rb、Rcの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
本発明で用いる上記一般式(1)及び(2)特に(3)の電荷輸送構造を有する1官能のラジカル重合性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、ラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーとの重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)するが、主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少なく、また、電子写真感光体の表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。
本発明に用いる電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
Figure 0004246113
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Figure 0004246113
また、本発明に用いられる電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物は、架橋表面層の電荷輸送性能を付与するために重要で、この成分は架橋表面層全量に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。この成分が20重量%未満では架橋表面層の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの電気特性の劣化が現れる。また、80重量%を超えるとラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーの含有量が低下し、架橋密度の低下を招き高い耐摩耗性が発揮されない。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
本発明の表面層は、少なくともラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマー、電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を同時に硬化させた弾性仕事率が41%以上の架橋表面層であるが、表面層の塗工時の粘度調整、架橋表面層の応力緩和、低表面自由エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与の目的でラジカル重合性モノマー及びラジカル重合性オリゴマーを併用することができる。これらのラジカル重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できるが、架橋密度の向上を図るためには3官能以上のラジカル重合性化合物が望ましい。
3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、以下の3官能以上の電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーが例示されるが、これらの化合物に限定されるものではない。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以後ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
また、本発明に用いられる3官能以上の電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーとしては、架橋表面層中に緻密な架橋結合を形成するために、該モノマー中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)は250以下が望ましい。また、架橋表面層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの成分割合は、架橋表面層全量に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。モノマー成分が20重量%未満では架橋表面層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成されない。また、80重量%を超えると電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じる。使用されるプロセスによって要求される耐摩耗性や電気特性が異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%の範囲が最も好ましい。
また、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマー及びラジカル重合性オリゴマーを併用することができる。これらのラジカル重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
1官能のラジカルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられ、これらは単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールA−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられ、これらは単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したものやラジカル重合性官能基を有する反応性添加剤、例えばPO変性−2−ネオペンチルグリコールジアクリレートのような反応性シリコーン系添加剤も有効に使用出来る。これらの機能性モノマーとしては1種又は2種以上を混合して用いてもよい。機能性モノマーの含有量は、架橋層を形成する塗工液固形分に対して0.01〜30重量%、好ましくは0.05〜20重量%である。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。但し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると架橋表面層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招く。このためこれらのモノマーやオリゴマーの含有量は、ラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマー100重量部に対し150重量部以下、好ましくは100重量部以下に制限される。
また、本発明の表面層は、少なくともラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマー及び電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を同時に硬化させた弾性仕事率が41%以上の架橋表面層であるが、必要に応じてこの架橋反応を効率よく進行させるために重合開始剤を使用してもよい。
熱重合開始剤としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸などのアゾ系開始剤が挙げられる。
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、などのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、などのチオキサントン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、が挙げられる。また、光重合促進効果を有するものを単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
これらの重合開始剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性を有する総含有物100重量部に対し、0.5〜40重量部、好ましくは1〜20重量部である。
本発明の表面層は、少なくともラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマー及び電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を同時に硬化させた弾性仕事率が41%以上の架橋表面層であるが、これ以外に耐摩耗性の向上を目的としてフィラー微粒子を含有させることができる。
フィラ−の平均一次粒径は、0.01〜0.5μmであることが表面層の光透過率や耐摩耗性の点から好ましい。フィラーの平均一次粒径が0.01μm以下の場合は、分散性の低下等を引き起こし、耐摩耗性の向上効果が十分に発揮されず、0.5μmを超える場合には、分散液中においてフィラーの沈降性が促進されたり、トナーのフィルミングが発生したりする可能性がある。表面層中のフィラー材料濃度は、高いほど耐摩耗性が高いので良好であるが、高すぎる場合には残留電位の上昇、表面層の書き込み光透過率が低下し、副作用を生じる場合がある。従って、概ね全固形分に対して、50重量%以下、好ましくは30重量%以下程度である。
また更に、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、更には耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。
表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、フィラー重量に対して3〜30wt%が適しており、5〜20wt%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす。これらフィラ−材料は単独もしくは2種類以上混合して用いられる。
更に、本発明の塗工液は必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上の目的)、レベリング剤などの添加剤が含有できる。これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の全固形分に対し20重量%以下、好ましくは10%以下に抑えられる。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の全固形分に対し3重量%以下が適当である。
架橋表面層塗工液に含有される組成物においては、バインダー樹脂を含有させることも感光体表面の平滑性、電気特性、あるいは耐久性を損なわない範囲であれば可能である。しかし塗工液にバインダー樹脂などの高分子材料を含有させると、ラジカル重合性組成物(ラジカル重合性モノマー及び電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物)の硬化反応より生成した高分子との相溶性の悪さから相分離が生じ、架橋表面層表面の凹凸が激しくなる。したがって、バインダー樹脂は使用しない方が好ましい。
本発明の架橋表面層は、弾性仕事率が41%以上で、少なくともラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマー、電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を含有する塗工液を塗布、硬化することにより形成される。かかる塗工液はラジカル重合性化合物が液体である場合、これに他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。このとき用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよい。溶媒による希釈率は組成物の溶解性、塗工法、目的とする膜厚により変わり、任意である。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
本発明においては、かかる塗工液を塗布後、外部からエネルギーを与え硬化させ、架橋表面層を形成するものであるが、このとき用いられる外部エネルギーとしては熱、光、放射線がある。熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行なわれる。加熱温度は100℃以上、170℃以下が好ましく、100℃未満では反応速度が遅く、完全に反応が終了しない。170℃より高温では反応が不均一に進行し架橋表面層中に大きな歪みが発生する。硬化反応を均一に進めるために、100℃未満の比較的低温で加熱後、更に100℃以上に加温し反応を完結させる方法も有効である。
光のエネルギーとしては主に紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。照射光量は50mW/cm2以上、1000mW/cm2以下が好ましく、50mW/cm2未満では硬化反応に時間を要する。1000mW/cm2より強いと反応の進行が不均一となり、架橋表面層の荒れが激しくなる。放射線のエネルギーとしては電子線を用いるものが挙げられる。これらのエネルギーの中で、反応速度制御の容易さ、装置の簡便さから熱及び光のエネルギーを用いたものが有用である。
本発明は、更に該架橋表面層の弾性仕事率が41%以上であることを特徴としている。
本発明の弾性仕事率は、ダイヤモンド圧子を用いた微小表面硬度計の負荷−除荷試験により測定される。図1に示すように、圧子がサンプルに接触した点(a)から一定負荷速度で圧子を押し込み(負荷過程)、設定荷重に達したときの最大変位(b)で一定時間静止し、更に一定除荷速度で圧子を引き上げ(除荷過程)、最終的に圧子に荷重がかからなくなった点を塑性変位(c)とする。このとき、得られる押し込み深さと荷重の曲線が図2のように記録され、この曲線から圧子が表面層に行った全仕事量(塑性変形の仕事量+弾性変形の仕事量)に対する弾性変形の仕事量の割合を求めることで本発明の弾性仕事率とする。つまり数式であらわすと下記のようになる。
弾性仕事率(%)=
弾性変形の仕事量×100/(塑性変形の仕事量+弾性変形の仕事量)
またユニバーサル硬度については圧子の最大荷重での変位から求めることができ、耐摩耗性の観点から200N/mm2以上である架橋表面層が好ましい。
かかる弾性仕事率測定は、一定温湿度下で行われ、本発明で弾性仕事率とは、温度22℃、相対湿度55%の環境条件下で行なわれた上記試験の測定値を示す。
本発明では、フィッシャーインストルメンツ H−100(フィッシャーインストルメンツ製)、ビッカース圧子を用いて設定荷重9.8mNの条件で測定を行っているが、これと同等の性能を有するいかなる装置で測定された値でもよい。測定においては本発明の架橋表面層を有する感光層をアルミニウムシリンダー上に作製したものを用いた。弾性仕事率は基板のバネ特性の影響を受けるため、基板としては剛直な金属版、スライドガラスなどが適当である。更に、架橋表面層の下層(例えば、電荷輸送層、電荷発生層など)の硬度や弾性の要素も影響するため、これらの影響を減らすように最大変位が架橋表面層膜厚の1/10になるように規定加重を調整した。架橋表面層のみを単独で基板上に作製すると、下層成分の混入、下層との接着性が変わり、必ずしも感光体の表面架橋層を正確に再現できないため、好ましくない。本発明の架橋表面層における弾性仕事率は、様々な条件が相互に関係しているため、一定の弾性仕事率を得るための方向性は一様でないが、(1)架橋表面層用塗工液に含有される組成物、それらの含有割合、(2)塗工液の希釈溶媒、固形分濃度、(3)塗工方法、(4)硬化手段、条件、(5)下層の溶解性、などによって影響を受けることがわかっており、不活性バインダー樹脂や低官能基数のラジカル重合性化合物の多量混入や、架橋膜形成時の外部エネルギーの不足等によって架橋膜内部の架橋密度が十分に上がらない場合に弾性仕事率の値は41%以下となる。
本発明の架橋表面層の膜厚は、架橋表面層が用いられる感光体の層構造によって異なるため、以下の層構造の説明に従い記載する。
<電子写真感光体の層構造について>
本発明に用いられる電子写真感光体を図面に基づいて説明する。
図3は、本発明の電子写真感光体の一例を表わす断面図であり、導電性支持体上に、電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する感光層が設けられた単層構造の感光体である。架橋表面層が感光層全体の場合を示したのが図3−Aであり、架橋表面層が感光層の表面部分である場合を示したのが図3−Bである。
図4は、導電性支持体上に、電荷発生機能を有する電荷発生層と、電荷輸送機能を有する電荷輸送層とが積層された積層構造の感光体である。架橋表面層が電荷輸送層全体の場合を示すのが図4−Aであり、架橋表面層が電荷輸送層の表面部分である場合を示すのが図4−Bである。
<導電性支持体について>
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体として用いることができる。
この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
<感光層について>
次に感光層について説明する。感光層は積層構造でも単層構造でもよい。
積層構造の場合には、感光層は電荷発生機能を有する電荷発生層と電荷輸送機能を有する電荷輸送層とから構成される。また、単層構造の場合には、感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。
以下、積層構造の感光層及び単層構造の感光層のそれぞれについて述べる。
<感光層が積層構成のもの>
1.電荷発生層について
電荷発生層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。また、電荷発生層のバインダー樹脂として上述のバインダー樹脂の他に、電荷輸送機能を有する高分子電荷輸送物質、例えば、アリールアミン骨格やベンジジン骨格やヒドラゾン骨格やカルバゾール骨格やスチルベン骨格やピラゾリン骨格等を有するポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン、アクリル樹脂等の高分子材料やポリシラン骨格を有する高分子材料等を用いることができる。
前者の具体的な例としては、特開平01−001728号公報、特開平01−009964号公報、特開平01−013061号公報、特開平01−019049号公報、特開平01−241559号公報、特開平04−011627号公報、特開平04−175337号公報、特開平04−183719号公報、特開平04−225014号公報、特開平04−230767号公報、特開平04−320420号公報、特開平05−232727号公報、特開平05−310904号公報、特開平06−234836号公報、特開平06−234837号公報、特開平06−234838号公報、特開平06−234839号公報、特開平06−234840号公報、特開平06−234841号公報、特開平06−239049号公報、特開平06−236050号公報、特開平06−236051号公報、特開平06−295077号公報、特開平07−056374号公報、特開平08−176293号公報、特開平08−208820号公報、特開平08−211640号公報、特開平08−253568号公報、特開平08−269183号公報、特開平09−062019号公報、特開平09−043883号公報、特開平09−71642号公報、特開平09−87376号公報、特開平09−104746号公報、特開平09−110974号公報、特開平09−110976号公報、特開平09−157378号公報、特開平09−221544号公報、特開平09−227669号公報、特開平09−235367号公報、特開平09−241369号公報、特開平09−268226号公報、特開平09−272735号公報、特開平09−302084号公報、特開平09−302085号公報、特開平09−328539号公報等に記載の電荷輸送性高分子材料が挙げられる。
また、後者の具体例としては、例えば特開昭63−285552号公報、特開平05−19497号公報、特開平05−70595号公報、特開平10−73944号公報等に記載のポリシリレン重合体が例示される。
また、電荷発生層には低分子電荷輸送物質を含有させることができる。
電荷発生層に併用できる低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
2.電荷輸送層について
電荷輸送層は電荷輸送機能を有する層で、本発明の電荷輸送性構造を有する架橋表面層は電荷輸送層として有用に用いられる。架橋表面層が電荷輸送層の全体である場合、前述の架橋表面層作製方法に記載したように電荷発生層上に本発明のラジカル重合性組成物(ラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーおよび電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物;以下同じ)を含有する塗工液を塗布、必要に応じて乾燥後、外部エネルギーにより硬化反応を開始させ、架橋表面層が形成される。このとき、架橋表面層の膜厚は、10〜30μm、好ましくは10〜25μmである。10μmより薄いと充分な帯電電位が維持できず、30μmより厚いと硬化時の体積収縮により下層との剥離が生じやすくなる。
また、架橋表面層が電荷輸送層の表面部分に形成され、電荷輸送層が積層構造である場合、電荷輸送層の下層部分は電荷輸送機能を有する電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成し、この上に上記本発明のラジカル重合性組成物を含有する塗工液を塗布し、外部エネルギーにより架橋硬化させる。
電荷輸送層の下層部分に用いる電荷輸送物質としては、前記電荷発生層で記載した電子輸送物質、正孔輸送物質及び高分子電荷輸送物質を用いることができる。特に高分子電荷輸送物質を用いることは、表面層塗工時の下層の溶解性を低減効果を示し、とりわけ有用である。
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。但し、高分子電荷輸送物質を用いる場合は、単独でも結着樹脂との併用も可能である。
電荷輸送層の下層部分の塗工に用いられる溶媒としては前記電荷発生層と同様なものが使用できるが、電荷輸送物質及び結着樹脂を良好に溶解するものが適している。これらの溶剤は単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。また、電荷輸送層の下層部分の形成には電荷発生層と同様な塗工法が可能である。
また、必要により可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
電荷輸送層の下層部分に併用できる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
電荷輸送層の下層部分に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
電荷輸送層の下層部分の膜厚は、5〜40μm程度が適当であり、好ましくは10〜30μm程度が適当である。
架橋表面層が電荷輸送層の表面部分である場合、前述の架橋表面層作製方法に記載したように、かかる電荷輸送層の下層部分上に本発明のラジカル重合性組成物を含有する塗工液を塗布、必要に応じて乾燥後、熱や光の外部エネルギーにより硬化反応を開始させ、架橋表面層が形成される。このとき、架橋表面層の膜厚は、1〜20μm、好ましくは2〜10μmである。1μmより薄いと膜厚ムラによって耐久性がバラツキ、20μmより厚いと電荷輸送層全体の膜厚が厚くなり電荷の拡散から画像の再現性が低下する。
<感光層が単層のもの>
単層構造の感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層で、本発明の電荷輸送性構造を有する架橋表面層は電荷発生機能を有する電荷発生物質を含有させることにより、単層構造の感光層として有用に用いられる。上記の電荷発生層のキャスティング形成方法に記載したように、電荷発生物質をラジカル重合性組成物を含有する塗工液と共に分散し、導電性支持体上に塗布、必要に応じて乾燥後、外部エネルギーにより硬化反応を開始させ、架橋表面層が形成される。なお、電荷発生物質はあらかじめ溶媒と共に分散した液を架橋表面層用塗工液に加えてもよい。このとき、架橋表面層の膜厚は、10〜30μm、好ましくは10〜25μmである。10μmより薄いと充分な帯電電位が維持できず、30μmより厚いと硬化時の体積収縮により導電性基体または下引き層との剥離が生じやすくなる。
また、架橋表面層が単層構造の感光層の表面部分である場合、感光層の下層部分は電荷発生機能を有する電荷発生物質と電荷輸送機能を有する電荷輸送物質と結着樹脂を適当な溶媒に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤等を添加することもできる。電荷発生物質の分散方法、それぞれ電荷発生物質、電荷輸送物質、可塑剤、レベリング剤は前記電荷発生層、電荷輸送層において既に述べたものと同様なものが使用できる。結着樹脂としては、先に電荷輸送層の項で挙げた結着樹脂のほかに、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。また、先に挙げた高分子電荷輸送物質も使用可能で、架橋表面層への感光層組成物の混入を低減できる点で有用である。かかる感光層の膜厚は、5〜30μm程度が適当であり、好ましくは10〜25μm程度が適当である。
架橋表面層が単層構造の感光層の表面部分である場合、前述のように形成した感光層の下層部分上に本発明のラジカル重合性組成物と電荷発生物質を含有する塗工液を塗布、必要に応じて乾燥後、熱や光の外部エネルギーにより硬化し、架橋表面層を形成する。このとき、架橋表面層の膜厚は、1〜20μm、好ましくは2〜10μmである。1μmより薄いと膜厚ムラによって耐久性のバラツキが生じる。
単層構造の感光層中に含有される電荷発生物質は感光層全量に対し1〜30重量%が好ましく、感光層の下層部分に含有される結着樹脂は全量の20〜80重量%、電荷輸送物質は10〜70重量部が良好に用いられる。
<中間層について>
本発明の感光体においては、架橋表面層が感光層の表面部分となる場合、架橋表面層と感光層の下層部分との間に中間層を設けることが可能である。この中間層はラジカル重合性組成物を含有する架橋表面層中に感光層組成物の混入により生ずる硬化反応の阻害や架橋表面層の凹凸を防止する。また、感光層と架橋表面層の接着性を向上させることも可能である。
中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく一般に用いられる塗工法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
<下引き層について>
本発明の感光体においては、導電性支持体上に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に架橋表面層、感光層、電荷発生層、または中間層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明において、下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、下引き層には、Al23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
<各層への酸化防止剤の添加について>
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、架橋表面層、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、中間層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
(1)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
(2)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(3)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
(4)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
(5)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して0.01〜10重量%である。
<画像形成方法及び装置について>
次に図面に基づいて本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置を詳しく説明する。
本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置とは、本発明の電荷輸送性架橋表面層を有する感光体を用い、例えば少なくとも感光体に帯電、画像露光、現像の過程を経た後、画像保持体(転写紙)へのトナー画像の転写、定着及び感光体表面のクリーニングというプロセスよりなる画像形成方法ならびに画像形成装置である。
場合により、静電潜像を直接転写体に転写し現像する画像形成方法等では、感光体に配した上記プロセスを必ずしも有するものではない。
図5は、画像形成装置の一例を示す概略図である。感光体を平均的に帯電させる手段として、帯電チャージャ3が用いられる。この帯電手段としては、コロトロンデバイス、スコロトロンデバイス、固体放電素子、針電極デバイス、ローラー帯電デバイス、導電性ブラシデバイス等が用いられ、公知の方式が使用可能である。
次に、均一に帯電された感光体1上に静電潜像を形成するために画像露光部5が用いられる。この光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
次に、感光体1上に形成された静電潜像を可視化するために現像ユニット6が用いられる。現像方式としては、乾式トナーを用いた一成分現像法、二成分現像法、湿式トナーを用いた湿式現像法がある。感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
次に、感光体上で可視化されたトナー像を転写体9上に転写するために転写チャージャ10が用いられる。また、転写をより良好に行なうために転写前チャージャ7を用いてもよい。これらの転写手段としては、転写チャージャ、バイアスローラーを用いる静電転写方式、粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式、磁気転写方式が利用可能である。静電転写方式としては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、転写体9を感光体1より分離する手段として分離チャージャ11、分離爪12が用いられる。その他分離手段としては、静電吸着誘導分離、側端ベルト分離、先端グリップ搬送、曲率分離等が用いられる。分離チャージャ11としては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、転写後感光体上に残されたトナーをクリーニングするためにファーブラシ14、クリーニングブレード15が用いられる。また、クリーニングをより効率的に行なうためにクリーニング前チャージャ13を用いてもよい。その他クリーニング手段としては、ウェブ方式、マグネットブラシ方式等があるが、それぞれ単独又は複数の方式を一緒に用いてもよい。
次に、必要に応じて感光体上の潜像を取り除く目的で除電手段が用いられる。除電手段としては除電ランプ2、除電チャージャが用いられ、それぞれ前記露光光源、帯電手段が利用できる。
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは公知のものが使用できる。
本発明は、このような画像形成手段に本発明に係る電子写真感光体を用いる画像形成方法及び画像形成装置である。
この画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でそれら装置内に組み込まれ、着脱自在としたものであってもよい。プロセスカートリッジの一例を図6に示す。
画像形成装置用プロセスカートリッジとは、感光体101を内蔵し、他に帯電手段102、現像手段104、転写手段106、クリーニング手段107、除電手段(図示せず)の少なくとも一つを具備し、画像形成装置本体に着脱可能とした装置(部品)である。
図6に例示される装置による画像形成プロセスについて示すと、感光体101は、矢印方向に回転しながら、帯電手段102による帯電、露光手段103による露光により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成され、この静電潜像は、現像手段104でトナー現像され、該トナー現像は転写手段106により、転写体105に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の感光体表面は、クリーニング手段107によりクリーニングされ、更に除電手段(図示せず)により除電されて、再び以上の操作を繰り返すものである。
本発明は、特定の架橋表面層を有した感光体と帯電、現像、転写、クリーニング、除電手段の少なくとも一つを一体化した画像形成装置用プロセスカートリッジを提供するものである。
以上の説明から明らかなように、本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができるものである。
<電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物の合成例>
本発明における電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、例えば特許第3164426号公報記載の方法にて合成される。また、下記にこの一例を示す。
1)ヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式B)の合成
メトキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式A)113.85g(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138g(0.92mol)にスルホラン240mlを加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99g(0.91mol)を1時間で滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し反応を終了させた。この反応液にトルエン約1.5Lを加え室温まで冷却し、水と炭酸ナトリウム水溶液で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマト処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=20:1)にて精製した。得られた淡黄色オイルにシクロヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして下記構造式Bの白色結晶88.1g(収率=80.4%)を得た。
融点:64.0〜66.0℃
Figure 0004246113
Figure 0004246113
2)トリアリールアミノ基置換アクリレート化合物(表1中の例示化合物No.54)
上記1)で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(構造式B)82.9g(0.227mol)をテトラヒドロフラン400mlに溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4g,水:100ml)を滴下した。この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2g(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃で3時間撹拌し反応を終了させた。この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマト処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして例示化合物No.54の白色結晶80.73g(収率=84.8%)を得た。
融点:117.5〜119.0℃
Figure 0004246113
次に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中において使用する「部」は、すべて重量部を表わす。
実施例1
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布、乾燥し、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、23μmの電荷輸送層を形成した。
◎下引き層塗工液
・アルキッド樹脂: 6部
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業製)
・メラミン樹脂: 4部
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製)
・酸化チタン: 40部
・メチルエチルケトン: 50部
◎電荷発生層塗工液
・下記構造のビスアゾ顔料: 2.5部
Figure 0004246113
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC製): 0.5部
・シクロヘキサノン: 200部
・メチルエチルケトン: 80部
◎電荷輸送層塗工液
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート: 10部
(パンライトTS−2050、帝人化成製)
・下記構造式の電荷輸送物質: 7部
Figure 0004246113
・テトラヒドロフラン: 100部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液: 1部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
電荷輸送層上に更に、下記構成の架橋表面層塗工液を用いて、スプレー塗工し、メタルハライドランプ、照射強度:500mW/cm2、照射時間:40秒の条件で光照射を行ない、更に130℃で30分乾燥を加え5.0μmの架橋表面層を設け、電子写真感光体を作製した。
◎架橋表面層塗工液
・ラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマー: 95部
(KAYARAD DPHA−40H、日本化薬製、
粘度40000±10000mPa・s)
・電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物: 95部
(例示化合物No.54)
・光重合開始剤: 10部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン:イルガキュア184、
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
・テトラヒドロフラン: 1200部
実施例2
実施例1において架橋表面層塗工液に含有されたラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーを下記のように変更した以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
KAYARAD UX−8101、日本化薬製、
粘度20000±10000mPa・s:80部
実施例3
実施例1において架橋表面層塗工液に含有されたラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーを下記のように変更した以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
U−15HA、新中村化学製、粘度45000mPa・s:120部
実施例4
実施例1において架橋表面層塗工液を下記のものに変更した以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
◎架橋表面層塗工液
・ラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマー: 47.5部
(KAYARAD DPHA−40H、日本化薬製)
・トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、東京化成製):
47.5部
Figure 0004246113
・電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物: 95部
(例示化合物No.54)
・光重合開始剤: 10部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン:イルガキュア184、
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
・テトラヒドロフラン: 1200部
実施例5
実施例4において架橋表面層塗工液に含有されたラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーを下記のものに変更した以外は全て実施例4と同様にして電子写真感光体を作製した。
U−15HA、新中村化学製
実施例6
実施例4において架橋表面層塗工液に含有されたラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーを下記のものに変更した以外は全て実施例4と同様にして電子写真感光体を作製した。
U−6HA、新中村化学製
実施例7
実施例1において架橋表面層塗工液に含有された電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を例示化合物No.16に変更した以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例8
実施例1において架橋表面層塗工液に含有された電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を例示化合物No.24に変更した以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例9
実施例1において架橋表面層塗工液を下記のものに変更した以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
◎架橋表面層塗工液
・ラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマー: 90部
(KAYARAD DPHA−40H、日本化薬製)
・電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物: 90部
(例示化合物No.54)
・光重合開始剤: 20部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン:イルガキュア184、
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
・テトラヒドロフラン: 90部
・フィラー微粒子: 20部
(アルミナフィラー:AA03、住友化学製)
比較例1
実施例1において架橋表面層塗工液に含有されたラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーを無添加とした以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
比較例2
実施例1において架橋表面層塗工液に含有されたラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーを下記の材料に変更した以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
・下記構造式の電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー:95部
Figure 0004246113
(2官能アクリレート:KAYARAD NPGDA、日本化薬製、
分子量:212、官能基数:2官能、分子量/官能基数=106)
比較例3
実施例1において架橋表面層塗工液に含有された電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を無添加とした以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
比較例4
実施例1において架橋表面層塗工液に含有された電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を下記の材料に変更した以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
・下記構造式の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物:95部
Figure 0004246113
比較例5
実施例1において架橋表面層塗工液に含有された電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を下記の材料に変更した以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
・下記構造式の電荷輸送物質: 10部
Figure 0004246113
比較例6
実施例1において架橋表面層を設けず、電荷輸送層の膜厚を28μmとした以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
比較例7
実施例1において架橋表面層塗工液に含有されたラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーを下記の材料とした以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
・ラジカル重合性官能基を有するエポキシオリゴマー: 95部
(KAYARAD EAM―2160、日本化薬製)
比較例8
実施例1において表面層架橋時の光照射時間を10秒とした以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
以上のように作製した電子写真感光体を、電子写真プロセス用カートリッジに装着し、帯電方式をDC接触ローラ方式、画像露光光源を655nmの半導体レーザーを用いたリコー製imagio MF2200改造機にて暗部電位700(−V)に設定した後、連続してトータル5万枚の実機通紙試験を行い、摩耗特性、機内電位、画像評価を行った。結果を表3に示す。さらに実施例1〜9及び比較例2、4、6、8の感光体について表面性評価を行った。評価方法としてはフィッシャーインストルメンツ製表面皮膜物性試験機フィッシャースコープH−100を使用して弾性仕事率およびユニバーサル硬度を測定し、東京精密製表面粗さ形状測定機サーフコム1400Dを使用して十点平均粗さ(Rz)を測定した。結果を表4に示す。また実施例1、3、4、8及び比較例2、4、5について感光層のクラック促進試験を行った。評価方法としては電子写真感光体の表面に指油を付着させ、50℃常圧下で3日間放置した後、感光層の表面状態を観察した。結果を表5に示す。
Figure 0004246113
Figure 0004246113
Figure 0004246113
表3の結果からも明らかなように、架橋表面層にラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成され、弾性仕事率が41%以上の架橋表面層を有する電子写真感光体において飛躍的な耐摩耗性の向上と同時に安定した電気特性が実現されており、長期にわたる高画質画像出力の維持が実現されたが、比較例においてはいずれも長期にわたる耐摩耗性向上と高品質な画像の維持を両立することが出来なかった。また表4から本発明の感光体において高い硬度特性と平滑な表面性が実現されており、表5から本発明の感光体においてクラックが発生しておらず、架橋膜中の電荷輸送性構造を有する化合物が均一に架橋膜中に取り込まれていることがわかる。
本発明の弾性仕事率測定用の微小硬度計圧子模式図を示す図である。 本発明の弾性仕事率測定用の押し込み深さ−荷重曲線を示した図である。 本発明の電子写真感光体の一例の断面図のである。 本発明の電子写真感光体の他の例の断面図のである。 本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。 本発明の画像形成装置用プロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
符号の説明
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写紙
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
101 感光ドラム
102 帯電装置
103 露光
104 現像装置
105 転写体
106 転写装置
107 クリーニングブレード

Claims (15)

  1. 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくともラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーと電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物とを硬化することにより形成される架橋表面層であり、該表面層の弾性仕事率が41%以上で、かつ、ユニバーサル硬度が200N/mm 2 以上であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記表面層が3官能以上の電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  3. 前記表面層に含有されるラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーおよび3官能以上の電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性化合物のラジカル重合性官能基が、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の電子写真感光体。
  4. 前記ラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーの粘度が50000mPa・s以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体。
  5. 前記表面層に含有される全固形分に対する前記ラジカル重合性官能基を有するウレタンオリゴマーの重量比が10〜80%であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体。
  6. 前記表面層に用いられる電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物の官能基が、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体。
  7. 前記表面層に用いられる電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物の電荷輸送構造が、トリアリールアミン構造であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体。
  8. 前記表面層に用いられる電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物が、下記一般式(1)又は(2)で表わされる化合物の一種以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体。
    Figure 0004246113

    Figure 0004246113

    (式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR7(R7は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR89(R8及びR9は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar1、Ar2は置換もしくは無置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar3、Ar4は置換もしくは無置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。)
  9. 前記表面層に用いられる電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物が、下記一般式(3)で表わされる化合物の一種以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体。
    Figure 0004246113

    (式中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、
    Figure 0004246113

    を表す。)
  10. 前記表面層がフィラーを含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の電子写真感光体。
  11. 前記表面層の硬化手段が加熱又は光エネルギー照射手段であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真感光体。
  12. 前記感光層が支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の積層構成であり、電荷輸送層の表面部分に架橋表面層が形成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の電子写真感光体。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の電子写真感光体を用いて、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行なうことを特徴とする画像形成方法。
  14. 請求項1〜12のいずれかに記載の電子写真感光体を有することを特徴とする画像形成装置。
  15. 請求項1〜12のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を有するものであって、画像形成装置本体に着脱可能としたことを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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