JP2004126357A - 画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【課題】逆バイアスのダメージによる微小黒ポチを含むカブリ等の画像欠陥がなく、繰り返して画像形成を行っても高品質の画像を安定に供給でき、NOxやオゾン等の発生も少なく、エコロジー的にも有利な画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供すること。
【解決手段】帯電部材から感光体に電荷を直接注入させる注入帯電手段、露光手段、該感光体にトナー像を形成する現像手段、該トナー像を中間転写体を介して又は介さずに転写材に転写する転写手段、転写手段と注入帯電手段の間に該感光体に接触配置され、注入帯電の逆バイアスを印加する補助帯電手段を備え、転写手段後に該感光体上に残留したトナーを注入帯電手段及び/又は現像手段において回収させ、該感光体を繰り返して画像形成に使用する画像形成装置において、該感光体がガリウムフタロシアニン化合物を含有する感光層及び電荷注入層である保護層を有する画像形成装置及びプロセスカートリッジ。
【選択図】 なし
【解決手段】帯電部材から感光体に電荷を直接注入させる注入帯電手段、露光手段、該感光体にトナー像を形成する現像手段、該トナー像を中間転写体を介して又は介さずに転写材に転写する転写手段、転写手段と注入帯電手段の間に該感光体に接触配置され、注入帯電の逆バイアスを印加する補助帯電手段を備え、転写手段後に該感光体上に残留したトナーを注入帯電手段及び/又は現像手段において回収させ、該感光体を繰り返して画像形成に使用する画像形成装置において、該感光体がガリウムフタロシアニン化合物を含有する感光層及び電荷注入層である保護層を有する画像形成装置及びプロセスカートリッジ。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気的潜像を現像転写定着する画像形成装置及びプロセスカートリッジに関し、詳しくは、注入帯電手段によって帯電後、潜像形成を行う画像形成方法に使用される画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方法においては、例えば、セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、アモルファスシリコン又は有機光導電体等を用いた電子写真感光体に、帯電、露光、現像、転写、定着等の基本的なプロセスを行うが、このことにより、画像を得る際、その帯電プロセスは、従来より、殆どが金属ワイヤーに高電圧(DC5〜8kV)を印加し、発生するコロナにより、帯電を行っている。しかし、この方法では、コロナ発生時に、オゾンやNOx等のコロナ生成物により電子写真感光体表面を変質させ、画像ボケや劣化を進行させたり、ワイヤーの汚れが画像品質に影響し、画像白抜けや黒スジを生じる等の問題があった。
【0003】
特に、感光層が有機光導電体を主体をして構成される電子写真感光体は、他のセレン電子写真感光体やアモルファスシリコン電子写真感光体に比べて、化学的安定性が低く、コロナ生成物に晒されると、化学反応(主に酸化反応)が起こり、劣化し易い傾向にある。従って、コロナ帯電下で、繰り返し使用した場合には、前述の劣化による画像ボケや感度の低下、残留電位増加によるコピー濃度薄が起こり、耐印刷(耐複写)寿命が短くなる傾向にあった。
【0004】
また、コロナ帯電では、電力的にも、電子写真感光体に向かう電流が、その5〜30%に過ぎず、ほとんどがシールド板に流れ帯電手段として効率の悪いものであった。更に、コロナ帯電による電子写真プロセスを繰り返すことにより、オゾン濃度が増加するので、快適な使用環境を提供する上で、甚だ問題となっていた。そこで、このような問題点を補うために、例えば、特許文献1〜特許文献5等に開示されているように、コロナ放電器を利用しないで、接触・帯電させる方法が研究されている。これを具体的に述べれば、外部より1〜2kV程度の直流電圧を印加した、導電性弾性ローラー等の帯電用部材を、電子写真感光体表面に接触させることにより、電子写真感光体表面を所定の電位に帯電させる方式なのである。
【0005】
しかしながら、この直接帯電方式は、コロナ帯電方式に比べて、帯電の不均一性、及び、直接、電圧を印加する際の放電による電子写真感光体の絶縁破壊の発生といった点で不利である。ここでは、帯電の不均一性により、被帯電面の移動方向に対して、直角な方向に、長さ2〜200mm、幅0.5mm以下の程度で、スジ状の帯電ムラを生じてしまうもので、正現像方式の場合に起こる白スジ(ベタ黒又はハーフトーン画像に白いスジが現れる現象)や、反転現像方式の場合に起こる黒スジといった画像欠陥となる。
【0006】
このような問題点を解決して、帯電の均一性を向上させるために、直流電圧に交流電圧を重畳して、帯電部材に印加する方法が特許文献6等に開示されている。この帯電方法は、直流電圧(Vdc)の交流電圧(Vac)を重畳することによって、脈動電圧を得て、これを印加して、均一な帯電を行うものである。
【0007】
この場合、帯電の均一性を保持して、正現像方式における白ポチ、反転現像方式における黒ポチ、カブリといった画像欠陥を防ぐためには、重畳する交流電圧が、パッシェンの法則に従う放電開始電圧Vthの2倍以上のピーク間電位差(Vpp)を持っていることが必要である。
【0008】
ところが、画像欠陥を防ぐために、重畳する交流電圧を上げていくと、脈流電圧の最大印加電圧によって、電子写真感光体内部のわずかな欠陥部位において、放電により絶縁破壊が起こってしまう。特に、電子写真感光体が絶縁耐圧の低い有機光導電体の場合には、この絶縁破壊が著しい。この場合、正現像方式においては、接触部分の長手方向に(記録材の幅方向)に沿って、画像が白ヌケし、また、反転現像方式においては、黒スジが発生してしまう。また、微小空隙における放電であるため、電子写真感光体に与えるダメージが大きく、電子写真感光体の削れが大きく、耐久性が劣るという問題点があった。
【0009】
これらの問題点を解決するために、本発明者らによって、電荷を電子写真感光体上に直接電荷を注入して、帯電を行うプロセスが検討されている。更に、電荷の直接注入のプロセスにおいても、AC電圧を重畳することにより、DC電圧のみの印加の場合より帯電が更に安定することも知見された。
【0010】
また、最近の市場では、中間転写体を使用した画像形成装置を有するフルカラー複写機やフルカラープリンター等が普及してきている。中間転写体を使用した画像形成装置は、カラー画像情報や多色画像情報の複数の成分色画像を順次積層転写してカラー画像や多色画像を合成再現した画像形成物を出力するカラー画像形成装置や多色画像形成装置、もしくはカラー画像形成機能や多色画形成機能を具備させた画像形成装置として有効であり、各成分色画像の重ね合わせズレ(色ズレ)のない画像を得ることが可能である。中間転写体を用いた画像形成装置を有するフルカラー画像形成装置は、従来の技術である転写ドラム上に被転写体を張り付け又は吸着せしめ、そこへ電子写真感光体上から画像を転写する画像形成装置を有したフルカラー画像形成装置が、例えば特許文献7中で述べられた転写方法よりは、以下の点で優れている。
【0011】
すなわち、各色のトナー画像の重ね合わせ時の色ズレが少ない。次に、被転写体になんら加工、制御(例えばグリッパーに把持する、吸着する、曲率を持たせる等)を必要とせずに中間転写体から画像を転写することができるため、被転写体を多種多様に、例えば、封筒、はがき、カード等に至るまで選択することができる。また、中間転写体の剛性が優れているため、繰り返しの使用によってへこみ、ひずみ、変形等の寸法精度の狂いが生じにくいため、当該中間転写体の交換頻度を少なくすることができる。
【0012】
近年、電子写真感光体のトナー像を転写手段によって被転写体に転写した後に電子写真感光体上に残留したトナー粒子を回収するクリーニング手段を転写手段と帯電手段の間に持たないシステム、一般的にいうクリーナーレスプロセスが注目されている。このシステムは、転写後の電子写真感光体上の転写残トナーを電子写真感光体の帯電工程及び/あるいは現像工程において、帯電手段である帯電装置及び/あるいは現像手段である現像装置に回収させ、再利用する技術である。特に、排トナーを出さずエコロジー的に優れ、また、排トナー容器も不用のため、小型化・軽量化でき、コスト面でも有利である。しかしながら、残トナーが帯電器の上流に残留しているため、その残像が帯電後も存在しゴースト画像を形成するといった問題があった。このようなゴースト画像を防止するために特許文献8及び特許文献9に、転写と帯電工程の間に電子写真感光体にファーブラシを接触させて、該ファーブラシに帯電バイアスの極性とは逆極性の電圧を印加し、プラス、マイナスが混在した転写残トナーの極性を帯電バイアスの極性とは逆極性に揃え、帯電器上流側で静電気力により一旦、転写残トナーを磁気ブラシ帯電器内に取り込むことで、磁気ブラシと電子写真感光体との接触部分での電子写真感光体への帯電が転写残トナーにより阻害されることがなくなることから、残像パターンによる帯電状態の違いが生じず、取り込まれた転写残トナーは磁気ブラシとの摺擦により正規な極性に制御されたトナーとなって残像パターンを残すことなく均一に吐き出されゴースト画像を防止する画像形成方法が開示されている。
【0013】
【特許文献1】
特開昭57−178267号公報
【特許文献2】
特開昭56−104351号公報
【特許文献3】
特開昭58−40566号公報
【特許文献4】
特開昭58−139156号公報
【特許文献5】
特開昭58−150975号公報
【特許文献6】
特開昭63−149668号公報
【特許文献7】
特開昭63−301960号公報
【特許文献8】
特開平6−325578号公報
【特許文献9】
特開平11−305521号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような補助帯電器を設置した帯電プロセスで、中間転写体を用いて画像形成を行ったところ、電子写真感光体の帯電前に逆バイアスを繰り返し印加するため、電荷発生材料がそのダメージを受け易く、それが原因で微小黒ポチを含むカブリ等の画像欠陥になる場合があった。これは、逆バイアスの電荷が補助帯電器より電子写真感光体に注入され、感光層中に該電荷が蓄積されてしまうことに起因すると考えられる。すなわち、補助帯電器と実際に接触しているミクロ部位の電荷発生材料がダメージを受け、該当部位の暗部電位が低下することにより、微小黒ポチを含むカブリ等の画像欠陥となる。この現象は、中間転写体を用いずに画像形成を行った場合も同様に発生した。
【0015】
本発明の目的は、逆バイアスのダメージによる微小黒ポチを含むカブリ等の画像欠陥がなく、繰り返して画像形成を行っても高品質の画像を安定に供給でき、更に、NOxやオゾン等の発生も少なく、エコロジー的にも有利な画像形成装置及びプロセスカートリッジを供給することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、電子写真感光体に接触配置された帯電部材から該電子写真感光体に電荷を直接注入させる注入帯電手段、露光手段、該電子写真感光体にトナー像を形成する現像手段、該トナー像を中間転写体を介して、又は介さずに転写材に転写する転写手段、転写手段と注入帯電手段の間に該電子写真感光体に接触配置され、注入帯電の逆バイアスを印加する補助帯電器を有する補助帯電手段を備え、転写手段下流で該電子写真感光体上に残留したトナーを注入帯電手段、現像手段の一方又は両方において回収させ、該電子写真感光体を繰り返して画像形成に使用する画像形成装置において、該電子写真感光体が少なくともガリウムフタロシアニン化合物を含有する感光層及び電荷注入層である保護層を有することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0017】
すなわち、本発明では、中間転写体の有無に関わらず、注入帯電、補助帯電及びクリーナーレスという新しいプロセスにおいて、感光層が電荷発生材料としてガリウムフタロシアニン化合物を含み、かつ感光層の上に電荷注入層である保護層が設けられることにより、微小黒ポチを含むカブリ等の画像欠陥を効果的に抑えることができると考えられる。
【0018】
よって、本発明は、注入帯電方式で、かつ転写手段と帯電器の間にクリーナー手段を持たない、いわゆるクリーナーレスプロセスであり、かつクリーナーレスプロセスをより安定させるための補助帯電手段を有し、該補助帯電手段の印加する電圧が注入帯電の逆バイアスであっても安定した高品質の画像を供給できる画像形成装置及びプロセスカートリッジである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
電子写真感光体に対し、帯電部材を接触させ帯電を行う直接帯電法は、従来の場合は電子写真感光体と帯電用部材との接触部近傍の微小空間における放電によって行われる。従って、直接帯電法においても帯電は空気中の分子をイオン化し、このイオンが電子写真感光体表面に流れることによって帯電が行われ、帯電部材から電子写真感光体表面への直接の注入は行われることは少ない。このような帯電機構における帯電は、当然ながら帯電部材及び電子写真感光体の表面形状によって大きく左右され、各々の表面の粗れによって帯電ムラが生じる。また、微小空間における放電であるため、強電界中をイオンが動くために電子写真感光体に与えるダメージが大きく、電子写真感光体の削れ量が多くなり、耐久性が低下する。更に、コロナ帯電に比べれば、桁違いに少ないが、それでもオゾンやNOx等の発生により画像ボケが発生することもある。これに対し、本発明者らは導電性粒子を樹脂に分散させた層を電子写真感光体の保護層にすることにより、電子写真感光体表面に電荷を直接注入することを可能にした。これによって放電で見られた帯電ムラがなくなり、また電子写真感光体に与えるダメージが減少し耐久性が向上した。更に、オゾンやNOx等の発生がほとんどなく、画像ボケ等の発生もなくなり、問題点が大きく改善された。
【0021】
近年、エコロジーや低コスト化の観点から、電子写真感光体のトナー像を転写手段によって被転写材に転写した後に電子写真感光体上に残留したトナー粒子を回収するクリーニング手段を転写手段と帯電手段の間に持たないシステム、一般的にいうクリーナーレスプロセスが注目されている。しかしながら、残トナーが帯電器より上流に残留するため、その像が帯電後も存在しゴーストとなる場合があり、種々の検討の結果、転写手段と帯電手段との間に電子写真感光体に接し、該帯電の逆バイアスを印加する補助帯電器を有することで、この残トナーによるゴーストの問題に大変有効であることがわかった。しかしながら、帯電前に逆バイアスを繰り返し印加するため、電荷発生材料がそのダメージを受け易く、微小黒ポチを含むカブリ等の画像欠陥になるという問題があった。これは、逆バイアスの電荷が補助帯電器より電子写真感光体に注入され、感光層中に該電荷が蓄積されてしまうことに起因している。
【0022】
すなわち、補助帯電器と実際に接触しているミクロ部位の電荷発生材料がダメージを受け、該当部位の暗部電位が低下することにより、微小黒ポチを含むカブリ等の画像欠陥となる。このような問題を解決するためにも、電子写真感光体には電荷注入層としての役割を持つと同時に、該電子写真感光体表面への逆バイアスの電荷注入を緩和させるための保護層が必要になる。更に、該電子写真感光体の感光層が逆バイアスのダメージを受け難いガリウムフタロシアニン化合物を同時に有していることも前記画像欠陥に対し、有効であることが見出された。
【0023】
図1は、本発明の画像形成装置の基本構成を示す。帯電用部材2は、電子写真感光体1と接触配置しており、接続されている外部電源から印加される電圧により、電子写真感光体1に対して帯電を行う。1aはオーバーコート層(注入層)、1bは感光層、1cは導電性支持体である。本発明で使われる帯電用部材の形状としては、図1に示すような磁気ブラシの他、ファーブラシ等いずれの形状をとってもよく、ローラーや平板等の画像形成装置の仕様や形態に合わせて選択可能である。また、この磁気ブラシは、Zn−Cuフェライト等の各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。
【0024】
また、ファーブラシの材質としては、カーボン、硫化銅、金属及び金属酸化物により導電処理されたファーを、金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり張り付けたりすることで帯電器とする。補助帯電器6に関しても、該帯電器と同様の構成とすることができる。
【0025】
次に、中間転写体について説明する。
【0026】
中間転写体は少なくとも弾性層と最外層となる保護層とを有し、2層又は2層以上の多層構成からなる。コスト面からは弾性層と保護層との2層構成が好ましい。
【0027】
弾性層に用いる材料としては、電子写真感光体や転写ローラーとのニップ幅を安定化させる観点からゴムやエラストマーが主に用いられているが、弾性層単独で中間転写体を形成する場合は電子写真感光体汚染という問題が発生する。中間転写体と接触する第一の画像担持体である電子写真感光体の表面には、光透過性の確保のためにアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の非晶性樹脂が使用されているが、前記弾性層成分のブリードにより電子写真感光体表面を汚染又は変質させ電子写真感光体の円周長さのピッチで横スジとなる画像不良を発生してしまう。中間転写体の弾性層には前述したように、第一の画像担持体である例えば電子写真感光体との環境でニップ幅の安定化を満たす必要があり、ゴムやエラストマーを用いた構成をとる。
【0028】
使用されるゴムやエラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエンゴム、ハイスチレンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、ニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム及びノルボルネンゴム等が挙げられる。
【0029】
保護層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロロアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂及びこれらの共重合体や混合物が挙げられる。
【0030】
中間転写体の形状には、特に制限はないが、ローラー形状やベルト形状が好ましく、導電性支持体上に弾性層、保護層を順次積層した構成をとる。また、中間転写体の厚さは、50〜200μmであることが好ましい。
【0031】
次に、電子写真感光体について説明する。本発明に用いる電子写真感光体の層構成は、電荷発生材料と電荷輸送材料の双方を同一の層に含有する単層型と、電荷発生層と電荷輸送層を有する積層型に大別されるが、電子写真特性的には積層型が好ましい。本発明に用いる電子写真感光体の層構成は、それらのどちらでもよく、ここでは積層型について説明する。図2(a)の電子写真感光体は、導電性支持体24の上に電荷発生層23、電荷輸送層22が順に設けており、更に最表面に注入層21を設けている。また、図2(b)及び(c)の様に導電性支持体と電荷発生層の間に、結着層25、更には干渉縞防止等を目的とする下引き層26を設けてもよい。
【0032】
導電性支持体24としては、支持体自身が導電性を持つもの、例えばアルミニウム、アルミニウム合金又はステンレス等を用いることができ、その他にアルミニウム、アルミニウム合金又は酸化インジウム−酸化スズ合金等を真空蒸着によって被膜形成された層を有する前記導電性支持体やプラスチック、導電性微粒子(例えばカーボンブラック、酸化スズ、酸化チタン及び銀粒子等)を適当なバインダーと共にプラスチックや紙に含浸した支持体、導電性バインダーを有するプラスチック等を用いることができる。
【0033】
また、導電性支持体と感光層の間には、バリアー機能と接着機能を持つ結着層(接着層)を設けることができる。結着層は感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良及び感光層の電気的破壊に対する保護等のために形成される。結着層にはカゼイン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド、変性ポリアミド、ポリウレタン、ゼラチン又は酸化アルミニウム等によって形成できる。結着層の膜厚は、5μm以下が好ましく、0.2〜3μmがより好ましい。
【0034】
電荷発生材料としては、デジタル用電子写真感光体の場合、赤外領域や可視光領域のレーザーへの対応において、波長への感光依存性の広さから、フタロシアニン系が多く使用されており、更にフタロシアニン系の中でも、ガリウムフタロシアニン化合物がその感度の高さと安定性の点で特に優れている。ガリウムフタロシアニン化合物は、置換基の種類や結晶系の違いにより、感度等の電子写真特性が著しく異なることがわかっている。本発明のガリウムフタロシアニンとしては、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.4°及び28.2°に強いピークを有する結晶型のヒドロキシガリウムフタロシアニン(例えば特開平5−263007号公報に記載)や7.4°、16.6°、25.5°及び28.2°に強いピークを有する結晶型のクロロガリウムフタロシアニン(例えば特開平5−98181号公報に記載)等を用いることができる。更に、ガリウムフタロシアニンの中でも上記結晶型のヒドロキシガリウムフタロシアニンは、特に電子写真特性的に高感度かつ安定であるばかりでなく、結晶としての安定性にも優れていることから、本発明の電子写真感光体に使用する電荷発生材料として好ましい。
【0035】
電荷発生層23は、前記の電荷発生材料を0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤と共に、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター又はロールミル等の方法で十分に分散し、塗布、乾燥されて形成される。その厚みは、5μm以下が好ましく、特には0.01〜1μmの範囲が好ましい。電荷発生層用塗料に用いる結着樹脂は、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独、混合あるいは共重合体ポリマーとして1種又は2種以上用いることができる。
【0036】
電荷発生層用塗料に用いる溶剤は、使用する樹脂や電荷発生材料の溶解性や分散安定性から選択されるが、有機溶剤としてはアルコール類、スルホキシド類、ケトン類、エーテル類、エステル類、脂肪族ハロゲン化炭化水素類又は芳香族化合物等を用いることができる。この溶液を塗布する際には、例えば浸漬コーティング法、スプレーコーティング法及びスピンナーコーティング法等のコーティング法を用いることができ、乾燥は10℃〜200℃が好ましく、より好ましくはは20℃〜150℃の範囲の温度で、5分〜2時間の範囲で送風乾燥又は静止乾燥下で行うことができる。
【0037】
電荷輸送材料としては、ヒドラゾン系化合物、ピラゾリン系化合物、スチリル系化合物、オキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、トリアリールメタン系化合物又はポリアリールアルカン系化合物等を用いることができる。
【0038】
電荷輸送層22は、一般的には前記の電荷輸送材料と結着樹脂を溶剤に溶解し、塗布して形成する。電荷輸送材料と結着樹脂との混合割合は2:1〜1:2程度である。溶剤としては、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチルや酢酸エチル等のエステル類、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン、クロロホルム及び四塩化炭素等の塩素系炭化水素類等が用いられる。この溶液を塗布する際には、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法及びスピンナーコーティング法等のコーティング法を用いることができ、乾燥は10℃〜200℃が好ましく、より好ましくは20℃〜150℃の範囲の温度で、5分〜5時間が好ましく、より好ましくは10分〜2時間の時間で送風乾燥又は静止乾燥下で行うことができる。
【0039】
電荷輸送層22を形成するのに用いられる結着樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリフェニレンオキシド、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂及び不飽和樹脂等から選ばれる樹脂が好ましい。特に好ましい樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネート樹脂及びジアリルフタレート樹脂が挙げられる。また、電荷輸送層の膜厚は、5〜40μmが好ましく、特には10〜30μmであることが好ましい。
【0040】
また、電荷発生層あるいは電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、潤滑剤等の種々の添加剤を含有させることができる。
【0041】
次に、抵抗値を1010〜1015Ω・cmに調整するために抵抗調整剤として導電性粒子を分散したオーバーコート層である保護層について説明する。
【0042】
本発明において、保護層に用いられる導電性粒子としては、金属及び金属酸化物等が挙げられる。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀及びステンレス等、又はこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ及びアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらは単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着の形にしてもよい。
【0043】
本発明において用いられる導電性粒子の平均粒径は、保護層の透明性の点で0.3μm以下が好ましく、特には0.1μm以下が好ましい。また、本発明においては、上述した導電性粒子の中でも透明性の点で金属酸化物を用いることが好ましい。
【0044】
結着樹脂としては、ブチラール樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂及びアルキド樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
結着樹脂と導電性粒子との割合は、直接的に保護層の抵抗を決定する値であり、保護層の抵抗は1010〜1015Ω・cmの範囲になるように設定する。膜強度的には、通常、導電性粒子の量が増えれば増えるほど弱くなるため、導電性粒子の量は、保護層の抵抗及び残留電位が許容できる範囲において、少なくする方が好ましい。
【0046】
本発明の保護層は、電子写真感光体上のトナー像を中間転写体あるいは被転写体へ転写する際の転写効率が不十分で、画像濃度ムラが発生する場合があるため、トナーの離型性、滑り性等の表面性の改質のために潤滑性粒子を含有することが好ましく、特にはフッ素原子含有樹脂粒子、シリカ粒子、シリコン粒子及びアルミナ粒子が好ましく、更に好ましくはフッ素原子含有樹脂粒子である。更に、これらを2種以上混合してもよい。
【0047】
フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂及びこれらの共重合体のなかから1種あるいは2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に、四フッ化エチレン樹脂及びフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。樹脂粒子の分子量や粒子の粒径は適宜選択することができ、特に制限されるものではない。
【0048】
また、シリコン粒子やアルミナ粒子等の無機粒子は、粒子単独としては潤滑性粒子として働かないかもしれないが、これらを分散、添加することにより、表面保護層の表面粗さが大きくなり、結果的に表面保護層の潤滑性が増すことが、本発明者等の検討で明らかになっている。ここでいう潤滑性粒子とは、潤滑性を付与する粒子を含めて表している。
【0049】
このフッ素原子含有樹脂粒子と導電性粒子が共に、樹脂溶液中で相互の粒子を凝集させないように、フッ素原子含有化合物を導電性粒子の分散時に添加したり、また、導電性粒子の表面をフッ素原子含有化合物で表面処理するとよい。フッ素原子含有化合物を添加又は導電性粒子に表面処理を行うことにより、フッ素原子含有化合物の無い場合に比べて、樹脂溶液中での導電性粒子とフッ素原子含有樹脂粒子の分散性及び分散安定性が格段に向上した。また、フッ素原子含有化合物を添加し導電性粒子を分散した液、又は表面処理を施した導電性粒子を分散した液に、フッ素原子含有樹脂粒子を分散することによって分散粒子の二次粒子の形成もなく、経時的にも非常に安定した分散性の良好な塗工液が得られる。
【0050】
フッ素原子含有化合物としては、含フッ素シランカップリング剤、フッ素変性シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。好ましい化合物例を表1〜表3に挙げるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
導電性粒子の表面処理方法としては、導電性粒子と表面処理剤とを適当な溶剤中で混合、分散し、表面処理剤を導電性粒子表面に付着させる。分散の方法としては、ボールミルやンドミル等の通常の分散手段を用いることができる。次に、この分散溶液から溶剤を除去し、表面処理剤を導電性粒子表面に固着させればよい。また、必要に応じて、この後に更に熱処理を行ってもよい。また、処理液中には反応促進のための触媒を添加することもできる。更に、必要に応じて表面処理後の導電性粒子に更に粉砕処理を施すことができる。
【0055】
導電性粒子に対するフッ素原子含有化合物の割合は、粒子の粒径にも影響を受けるが、表面処理後の導電性粒子の全質量を基準にして、1〜65質量%であることが好ましく、1〜50質量%であることがより好ましい。
【0056】
以上のように、フッ素原子含有化合物を添加した後導電性粒子を分散する、又は、フッ素原子含有化合物によって表面処理された導電性粒子を用いることにより、フッ素原子含有樹脂粒子の分散が安定し、滑り性及び離型性に優れた表面保護層を形成することができる。
【0057】
更に、より環境安定性のある表面保護層とするために、下記式(I)で示されるシロキサン化合物を導電性粒子の分散時に添加したり、又は、予め表面処理を施した導電性粒子を混合することにより、更に環境安定性により優れた表面保護層を得ることができた。
【0058】
【化1】
【0059】
式中、Aは水素原子又はメチル基であり、かつ、Aの全部における水素原子の割合は、0.1〜50%の範囲、nは0以上の整数である。
【0060】
好ましくは、このシロキサン化合物を添加後に分散した塗工液、又は、これを表面処理した導電性粒子を溶剤と共に分散し、更にバインダーを添加することによって、分散粒子の二次粒子の形成もなく、経時的にも安定した分散性の良好な塗工液が得られ、更にこの塗工液より形成した表面保護層は透明性が高く、耐環境性に特に優れた膜が得られた。更に、表面保護層に用いる硬化型樹脂の種類によっては、表面保護層の膜厚又はその他の条件により、スジ状のムラになったりセルを形成したりする場合も見られるが、前述のシロキサン化合物を添加、又はこれを表面処理した導電性粒子を用いることにより、スジ状のムラやセルの形成を抑制することができ、レベリング剤の効果という予期せぬ効果もあった。
【0061】
式(I)で示されるシロキサン化合物の分子量は特に制限されるものではないが、表面処理をする場合は、その容易さからは粘度が高過ぎない方がよく、重量平均分子量で数百〜数万程度が適当である。
【0062】
表面処理の方法としては、湿式と乾式の二通りがある。湿式では導電性粒子と式(I)で示されるシロキサン化合物とを溶剤中で分散し、シロキサン化合物を粒子表面に付着させる。分散の手段としては、ボールミルやサンドミル等の一般の分散手段を使用することができる。次に、この分散溶液を導電性粒子表面に固着させる。この熱処理においては、シロキサン中のSi−H結合が熱処理過程において空気中の酸素によって水素原子の酸化が起こり、新たなシロキサン結合ができる。その結果、シロキサンが3次元構造にまで発達し、導電性粒子表面がこの網状構造で包まれる。このように表面処理は、シロキサン化合物を導電性粒子表面に固着させることによって完了するが、必要に応じて処理後の粒子に粉砕処理を施してもよい。乾式処理においては、溶剤を用いずにシロキサン化合物と導電性粒子とを混合し混練を行うことによってシロキサン化合物を粒子表面に付着させる。その後は、湿式処理と同様に熱処理と粉砕処理を施して表面処理を完了する。
【0063】
導電性粒子に対するシロキサン化合物の割合は、粒子の粒径やシロキサン中のメチル基と水素原子の比率等に依存するが、1〜50質量%が好ましく、特には3〜40質量%が好ましい。
【0064】
保護層に用いられる分散液の分散溶媒としては、上記結着樹脂を十分に溶解し、導電性粒子の分散性が良好であるほかに、本発明で用いることのできるフッ素原子含有化合物、フッ素原子含有樹脂粒子、シロキサン化合物との相溶性又は処理性が良好で、更に、保護層の塗料と接触する電荷輸送層に悪影響を与えない溶剤が好ましい。従って、溶剤としてはメタノール、エタノール及び2−プロパノール等のアルコール類、アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル及び酢酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン及びジクロロメタン等のハロゲン系炭化水素類等が使用可能である。
【0065】
導電性粒子の上記分散溶媒における分散方法としては、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター及びロールミル等の方法が挙げられる。
【0066】
結着樹脂を溶解させる方法としては、導電性粒子の分散前に分散溶媒に溶解させる方法、導電性微粒子の分散終了後に分散液に溶解させる方法等があるが、本発明においては後者の方が好ましい。
【0067】
保護層の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法及びブレードコーティング法等の一般的な塗布方法を用いることができる。上記方法のいずれかで塗布、乾燥されて作製された保護層の膜厚は、薄過ぎると電子写真感光体の耐久性を損ない、厚過ぎると保護層を設けたことによる残留電位が上昇するため、適度な厚さにすることが好ましい。具体的には0.1μm〜10μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5μm〜7μmの範囲である。
【0068】
本発明においては、前記保護層中に、帯電時に発生するオゾンやNOx等の活性物質の付着による保護層の劣化等を防止する目的で、酸化防止剤を加えてもよい。その他に、必要に応じて、レベリング剤や紫外線吸収剤等の添加剤も加えることができる。
【0069】
次に、画像形成プロセスについて説明する。本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の具体例を図3に示す。この装置は、電子写真感光体1の周面上に磁気ブラシ注入帯電用部材2、露光手段3、現像手段4、中間転写ベルト5、ファーブラシ補助帯電手段6が配置されている。画像形成の方法は、まず、電子写真感光体1上に接触配置されている帯電用部材2に電圧を印加し、電荷の注入により電子写真感光体1表面を帯電し、露光手段3によって原稿に対応した画像を電子写真感光体1表面に露光し、静電潜像を形成する。
【0070】
次に、現像手段4中のトナーを電子写真感光体1に付着させることにより電子写真感光体1上の静電潜像を現像(可視像化)する。更に、電子写真感光体1上に形成されたトナー像を中間転写ベルト5に一次転写し、中間転写ベルト5上のトナー像を一括して紙等の被転写体上に転写し、中間転写ベルト5に転写されずに電子写真感光体1上に残った残トナーを補助帯電手段6により極性をプラス側に変え、帯電部材2で一時的に回収される。帯電部材2に回収されたトナーは、帯電極性が整えられて逐次に帯電部材2から電子写真感光体1上に電気的に吐き出される。吐き出されたトナーは、現像手段4と電子写真感光体1との対向部である現像領域に持ち運ばれて現像手段4に回収され、再利用される。
【0071】
このクリーニングは、電子写真感光体1上の転写残トナーを次工程以降の電子写真感光体現像時にかぶり取りバイアス(現像装置の現像部材に印加する直流成分と電子写真感光体の表面電位問の電位差であるかぶり取り電位差Vback)によって回収する方法である。帯電部材2から電子写真感光体1上への逐次吐き出しトナーは、通常、量的には少量で、均一散布状態の極く薄い層状態であり、次の露光工程に実質的に悪影響を及ぼすことはない。
【0072】
この画像形成装置において、露光手段3の光源はハロゲン光、蛍光灯又はレーザー光等を用いることができる。
【0073】
また、必要に応じて他の補助プロセスを加えてもよい。また、その他の画像形成装置の例として、4色の現像器、すなわち、ブラック現像器、シアン現像器、マゼンタ現像器及びイエロー現像器が、中間転写体に対して並列に配置され、電子写真感光体、帯電手段及び露光手段とが、前記4色の現像器の横に計4組配置されているようなフルカラー画像形成装置においても、上述の図3に示す画像形成装置と同様に画像形成を行うことができる。なお、本発明の画像形成装置は、これらの装置に限定されるものではない。
【0074】
更に、電子写真感光体、注入帯電手段、現像手段及び補助帯電手段等の構成要素のうち、選択される複数の要素を一体に結合し、画像形成装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジとして画像形成を行うこともできる。
【0075】
【実施例】
以下に実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は質量部を意味する。
【0076】
(実施例1)
まず、電子写真感光体について説明する。φ30mm×260.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体として、この上にポリアミド樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ製)の5質量%メタノール溶液を浸漬法で塗布し、膜厚が0.5μmの下引き層を設けている。
【0077】
次に、下記式(1)で示される電荷発生材料で、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.4°及び28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料4部、ポリビニルブチラール樹脂BX−1(積水化学(株)製)2部及びシクロヘキサノン90部を、φ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で、4時間ほど分散した。その後、酢酸エチル130部で希釈し、電荷発生層用塗料とした。この分散液を先の下引き層の上に浸浸法で塗布し、膜厚が0.18μmの電荷発生層を設けた。
【0078】
【化2】
式中、X1、X2、X3及びX4は塩素原子又は臭素原子であり、r、s、t及びuは0〜4の整数を示す。
【0079】
次に、下記式(2)で示される電荷輸送材料7.5部、
【0080】
【化3】
及びビスフェノールZ型ポリカーボネート(商品名:Z−200、三菱ガス化学製)10部を、モノクロロベンゼン100部に溶解した。この溶液を、前記電荷発生層上に塗布し、105℃で1時間をかけて熱風乾燥して、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
【0081】
次に、保護層として、下記式(3)で示されるアクリル系モノマー25部、
【0082】
【化4】
下記式(4)で示されるフッ素原子含有化合物(商品名:LS−1090、信越シリコーン(株)製)で表面処理した(処理量7%)アンチモンドープ酸化スズ超微粒子50部、
【0083】
【化5】
エタノール150部を、サンドミルにて、66時間かけて分散を行い、更に、ポリテトラフルオロエチレン微粒子(平均粒径0.18μm)20部を加えて分散を行った。その後、光重合開始剤として、2−メチルチオキサンソン3部を溶解し、調合液とした。
【0084】
この調合液を用いて、先の電荷輸送層上に浸漬塗布法により、膜を形成し、高圧水銀灯にて、800mW/cm2で60秒間照射し光硬化を行い、その後、120℃の温度で2時間熱風乾燥して保護層を得た。この時、得られた保護層の膜厚は3μmであった。また、保護層調合液の分散性は良好で、膜表面はムラのない均一な面であった。
【0085】
次に、画像形成装置について説明する。評価装置としては、電子写真感光体と帯電手段を一体に支持するプロセスカートリッジを有し、レーザーを光源とする日本ヒューレットパッカード(HP)製Laser Jet 8100を用意し、図3の装置になるように改造を行った。
【0086】
まず、帯電器部分を前述のような磁気ブラシ注入帯電器に換えた。帯電部材の磁性粒子としては、ポリスチレン樹脂にマグネタイト100部を入れて混練、粉砕したもので、粒子径30μm、抵抗値は106Ωであった。磁気ブラシの抵抗値は、上記の構成の磁気ブラシに対してアルミニウムドラムを当接させ、100VのDC電圧を印加したときの抵抗値で定義してある。
【0087】
マグネットを内包したスリーブ上にこのような磁性粒子を厚さ1mmでコートして、電子写真感光体との間に幅約5mmの帯電ニップを形成した。スリーブは電子写真感光体表面の周速に対して1倍の速さで逆方向に摺接するように回転されており、電子写真感光体と磁気ブラシが均一に接触するようにした。
【0088】
この磁気ブラシにDCバイアス−650Vを印加し、更にVpp=650V、Vf=1000HzのACバイアスを重畳することにより電子写真感光体に電荷注入し、−630Vの表面電位を得た。レーザーの光量を調整し明部電位が−200Vになるようにした。
【0089】
また、現像装置は、2成分磁気ブラシ現像器であり、現像スリーブ、現像スリーブ内に固定配置されたマグネットローラー、現像剤を撹拌させながら現像スリーブ上に搬送する撹拌スクリュー、現像スリーブ上の現像剤を薄層形成させるための規制ブレード等から構成した。重合法で作製した平均円形度0.965の非磁性トナーとフェライトキャリアによる2成分現像を行う構成とした。現像スリーブは、少なくとも現像時において、電子写真感光体に対し最近接領域が約500μmになるように配置し、現像剤が電子写真感光体に対して接触する状態で現像できるように設定した。現像スリーブには電源から直流電圧及び交流電圧が印加され、本実施例では直流電圧として−550V、交流電圧としてVpp=1500V、Vf=2100Hzを印加した。
【0090】
転写装置は、中間転写体を装備した転写ユニットに交換し、それに伴って給紙ユニットにも改造を加えた。中間転写体としては、ポリカーボネート樹脂とカーボンブラックとを溶融混練し、インフレーション成形により、厚さ150μmの継ぎ目のない樹脂チューブを作製し、これを所定の幅に切断した後に端部補強テープとリブを取り付けた樹脂ベルトを使用した。
【0091】
更に、クリーナレスプロセスとするためにクリーナユニットを取り外し、この位置に補助帯電器として導電ブラシを設置した。このブラシは、長さ5mmのカーボン分散ナイロンの繊維の芯金にロール状に植毛したものを用い、芯金には電圧が印加できるようにした。電圧は+550Vを印加した。
【0092】
上記電子写真感光体の評価として、高温高湿(温度30℃/湿度85%)の環境下で10000枚の耐久試験を行った。評価画像は、以下の2種類とした;
(評価画像1)紙上の全面がベタ白
(評価画像2)紙上で画像先端がベタ黒で、画像後半がベタ白
【0093】
本発明の画像評価としては、カブリ量を反射式濃度計(TOKYO DENSHOKU CO.,LTD社製REFLECTOMETER ODEL TC−6DS)を用いて測定した。すなわち、プリント後の白地部反射濃度最悪値をDs、プリント前の用紙の反射濃度平均値をDrとした時のDs−Drをカブリ量とした。カブリ量3%以下は実質的にカブリの無い良好な画像であり、3%を超えるとカブリの目立つ画像となる。画像評価結果は、以下のように分類した;
良好:ベタ白部分のカブリが1%未満
やや良好:ベタ白部分のカブリが1〜3%
やや不良:ベタ白部分のカブリが3〜5%
不良:ベタ白部分のカブリが5%を超える
【0094】
結果を表4に示す。
【0095】
(実施例2)
実施例1において、電荷発生材料をCuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.4°、16.6°、25.5°及び28.2°に強いピークを有するクロロガリウムフタロシアニンに代えた以外は、実施例1と全く同様にして作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0096】
(実施例3)
実施例1において、上記式(4)で示される化合物で表面処理した(処理量7%)アンチモンドープ酸化スズ微粒子を20部に代え、下記式(5)で示されるメチルハイドロジェンシリコーンオイル(商品名:KF99、信越シリコーン(株)製)で表面処理した(20%)アンチモンドープ酸化スズ微粒子30部を更に添加分散した以外は、実施例1と全く同様にして作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0097】
【化6】
式中、Aは水素原子又はメチル基であり、かつAの全部における水素原子の割合は0.1〜50%の範囲、nは0以上の整数である。
【0098】
(実施例4)
実施例3において、電荷発生材料を実施例2のクロロガリウムフタロシアニンに代えた以外は、実施例3と全く同様にして作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0099】
(実施例5)
実施例3において、試験の評価機として、中間転写体を装着していない転写装置に代えた画像形成装置を使用した以外は、実施例3と全く同様にして作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0100】
(実施例6)
実施例4において、試験の評価機として、中間転写体を装着していない転写装置に代えた画像形成装置を使用した以外は、実施例4と全く同様にして作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0101】
(比較例1)
実施例1において、電荷発生層用塗料の作製条件を下記のように代えた以外は、実施例1と全く同様に行った。すなわち、下記式(6)で示されるビスアゾ顔料4部
【0102】
【化7】
ポリビニルブチラール樹脂(商品名:BX−1、積水化学(株)製)2部及びシクロヘキサノン60部を、φ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で、24時間分散した。その後、シクロヘキサノン90部を加えて2時間分散し、更にシクロヘキサノンで希釈し、固形分が1.9%の電荷発生層用塗料とした。結果を表4に示す。
【0103】
(比較例2)
実施例2において、電荷発生層用塗料の作製条件を比較例1と同一条件にした以外は、実施例2と全く同様にして作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0104】
(比較例3)
実施例1において、電荷発生材料をX型無金属フタロシアニンに代えた以外は実施例1と全く同様にして作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0105】
(比較例4)
実施例5において、電荷発生材料をX型無金属フタロシアニンに代えた以外は実施例5と全く同様にして作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0106】
【表4】
【0107】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、電子写真感光体に接触配置された帯電部材から該電子写真感光体に電荷が直接注入される注入帯電工程、露光工程、該電子写真感光体にトナー像を形成する現像工程、該トナー像を中間転写体を介して、又は介さずに転写材に転写する転写工程、転写工程と注入帯電工程の間に該電子写真感光体に接触配置され、注入帯電の逆バイアスを印加する補助帯電器を有する補助帯電工程を有し、転写工程後に該電子写真感光体上に残留したトナーを注入帯電工程及び/あるいは現像工程において回収させ、該電子写真感光体を繰り返して画像形成に使用する画像形成装置において、逆バイアスのダメージによる微小黒ポチを含むカブリ等の画像欠陥がなく、高品質のコピー画像を安定に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の注入帯電方式の画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】電子写真感光体のそれぞれ異なる層構成を示す図である。
【図3】本発明の中間転写体を搭載した注入帯電方式の画像形成装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体
2 帯電手段
3 露光光
4 現像手段
5 中間転写ベルト
6 補助帯電手段
7 一次転写手段
8 中間転写体クリーナー手段
9 二次転写手段
10 被転写体(記録媒体)
11 被転写体搬送ベルト
12 定着器
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気的潜像を現像転写定着する画像形成装置及びプロセスカートリッジに関し、詳しくは、注入帯電手段によって帯電後、潜像形成を行う画像形成方法に使用される画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方法においては、例えば、セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、アモルファスシリコン又は有機光導電体等を用いた電子写真感光体に、帯電、露光、現像、転写、定着等の基本的なプロセスを行うが、このことにより、画像を得る際、その帯電プロセスは、従来より、殆どが金属ワイヤーに高電圧(DC5〜8kV)を印加し、発生するコロナにより、帯電を行っている。しかし、この方法では、コロナ発生時に、オゾンやNOx等のコロナ生成物により電子写真感光体表面を変質させ、画像ボケや劣化を進行させたり、ワイヤーの汚れが画像品質に影響し、画像白抜けや黒スジを生じる等の問題があった。
【0003】
特に、感光層が有機光導電体を主体をして構成される電子写真感光体は、他のセレン電子写真感光体やアモルファスシリコン電子写真感光体に比べて、化学的安定性が低く、コロナ生成物に晒されると、化学反応(主に酸化反応)が起こり、劣化し易い傾向にある。従って、コロナ帯電下で、繰り返し使用した場合には、前述の劣化による画像ボケや感度の低下、残留電位増加によるコピー濃度薄が起こり、耐印刷(耐複写)寿命が短くなる傾向にあった。
【0004】
また、コロナ帯電では、電力的にも、電子写真感光体に向かう電流が、その5〜30%に過ぎず、ほとんどがシールド板に流れ帯電手段として効率の悪いものであった。更に、コロナ帯電による電子写真プロセスを繰り返すことにより、オゾン濃度が増加するので、快適な使用環境を提供する上で、甚だ問題となっていた。そこで、このような問題点を補うために、例えば、特許文献1〜特許文献5等に開示されているように、コロナ放電器を利用しないで、接触・帯電させる方法が研究されている。これを具体的に述べれば、外部より1〜2kV程度の直流電圧を印加した、導電性弾性ローラー等の帯電用部材を、電子写真感光体表面に接触させることにより、電子写真感光体表面を所定の電位に帯電させる方式なのである。
【0005】
しかしながら、この直接帯電方式は、コロナ帯電方式に比べて、帯電の不均一性、及び、直接、電圧を印加する際の放電による電子写真感光体の絶縁破壊の発生といった点で不利である。ここでは、帯電の不均一性により、被帯電面の移動方向に対して、直角な方向に、長さ2〜200mm、幅0.5mm以下の程度で、スジ状の帯電ムラを生じてしまうもので、正現像方式の場合に起こる白スジ(ベタ黒又はハーフトーン画像に白いスジが現れる現象)や、反転現像方式の場合に起こる黒スジといった画像欠陥となる。
【0006】
このような問題点を解決して、帯電の均一性を向上させるために、直流電圧に交流電圧を重畳して、帯電部材に印加する方法が特許文献6等に開示されている。この帯電方法は、直流電圧(Vdc)の交流電圧(Vac)を重畳することによって、脈動電圧を得て、これを印加して、均一な帯電を行うものである。
【0007】
この場合、帯電の均一性を保持して、正現像方式における白ポチ、反転現像方式における黒ポチ、カブリといった画像欠陥を防ぐためには、重畳する交流電圧が、パッシェンの法則に従う放電開始電圧Vthの2倍以上のピーク間電位差(Vpp)を持っていることが必要である。
【0008】
ところが、画像欠陥を防ぐために、重畳する交流電圧を上げていくと、脈流電圧の最大印加電圧によって、電子写真感光体内部のわずかな欠陥部位において、放電により絶縁破壊が起こってしまう。特に、電子写真感光体が絶縁耐圧の低い有機光導電体の場合には、この絶縁破壊が著しい。この場合、正現像方式においては、接触部分の長手方向に(記録材の幅方向)に沿って、画像が白ヌケし、また、反転現像方式においては、黒スジが発生してしまう。また、微小空隙における放電であるため、電子写真感光体に与えるダメージが大きく、電子写真感光体の削れが大きく、耐久性が劣るという問題点があった。
【0009】
これらの問題点を解決するために、本発明者らによって、電荷を電子写真感光体上に直接電荷を注入して、帯電を行うプロセスが検討されている。更に、電荷の直接注入のプロセスにおいても、AC電圧を重畳することにより、DC電圧のみの印加の場合より帯電が更に安定することも知見された。
【0010】
また、最近の市場では、中間転写体を使用した画像形成装置を有するフルカラー複写機やフルカラープリンター等が普及してきている。中間転写体を使用した画像形成装置は、カラー画像情報や多色画像情報の複数の成分色画像を順次積層転写してカラー画像や多色画像を合成再現した画像形成物を出力するカラー画像形成装置や多色画像形成装置、もしくはカラー画像形成機能や多色画形成機能を具備させた画像形成装置として有効であり、各成分色画像の重ね合わせズレ(色ズレ)のない画像を得ることが可能である。中間転写体を用いた画像形成装置を有するフルカラー画像形成装置は、従来の技術である転写ドラム上に被転写体を張り付け又は吸着せしめ、そこへ電子写真感光体上から画像を転写する画像形成装置を有したフルカラー画像形成装置が、例えば特許文献7中で述べられた転写方法よりは、以下の点で優れている。
【0011】
すなわち、各色のトナー画像の重ね合わせ時の色ズレが少ない。次に、被転写体になんら加工、制御(例えばグリッパーに把持する、吸着する、曲率を持たせる等)を必要とせずに中間転写体から画像を転写することができるため、被転写体を多種多様に、例えば、封筒、はがき、カード等に至るまで選択することができる。また、中間転写体の剛性が優れているため、繰り返しの使用によってへこみ、ひずみ、変形等の寸法精度の狂いが生じにくいため、当該中間転写体の交換頻度を少なくすることができる。
【0012】
近年、電子写真感光体のトナー像を転写手段によって被転写体に転写した後に電子写真感光体上に残留したトナー粒子を回収するクリーニング手段を転写手段と帯電手段の間に持たないシステム、一般的にいうクリーナーレスプロセスが注目されている。このシステムは、転写後の電子写真感光体上の転写残トナーを電子写真感光体の帯電工程及び/あるいは現像工程において、帯電手段である帯電装置及び/あるいは現像手段である現像装置に回収させ、再利用する技術である。特に、排トナーを出さずエコロジー的に優れ、また、排トナー容器も不用のため、小型化・軽量化でき、コスト面でも有利である。しかしながら、残トナーが帯電器の上流に残留しているため、その残像が帯電後も存在しゴースト画像を形成するといった問題があった。このようなゴースト画像を防止するために特許文献8及び特許文献9に、転写と帯電工程の間に電子写真感光体にファーブラシを接触させて、該ファーブラシに帯電バイアスの極性とは逆極性の電圧を印加し、プラス、マイナスが混在した転写残トナーの極性を帯電バイアスの極性とは逆極性に揃え、帯電器上流側で静電気力により一旦、転写残トナーを磁気ブラシ帯電器内に取り込むことで、磁気ブラシと電子写真感光体との接触部分での電子写真感光体への帯電が転写残トナーにより阻害されることがなくなることから、残像パターンによる帯電状態の違いが生じず、取り込まれた転写残トナーは磁気ブラシとの摺擦により正規な極性に制御されたトナーとなって残像パターンを残すことなく均一に吐き出されゴースト画像を防止する画像形成方法が開示されている。
【0013】
【特許文献1】
特開昭57−178267号公報
【特許文献2】
特開昭56−104351号公報
【特許文献3】
特開昭58−40566号公報
【特許文献4】
特開昭58−139156号公報
【特許文献5】
特開昭58−150975号公報
【特許文献6】
特開昭63−149668号公報
【特許文献7】
特開昭63−301960号公報
【特許文献8】
特開平6−325578号公報
【特許文献9】
特開平11−305521号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような補助帯電器を設置した帯電プロセスで、中間転写体を用いて画像形成を行ったところ、電子写真感光体の帯電前に逆バイアスを繰り返し印加するため、電荷発生材料がそのダメージを受け易く、それが原因で微小黒ポチを含むカブリ等の画像欠陥になる場合があった。これは、逆バイアスの電荷が補助帯電器より電子写真感光体に注入され、感光層中に該電荷が蓄積されてしまうことに起因すると考えられる。すなわち、補助帯電器と実際に接触しているミクロ部位の電荷発生材料がダメージを受け、該当部位の暗部電位が低下することにより、微小黒ポチを含むカブリ等の画像欠陥となる。この現象は、中間転写体を用いずに画像形成を行った場合も同様に発生した。
【0015】
本発明の目的は、逆バイアスのダメージによる微小黒ポチを含むカブリ等の画像欠陥がなく、繰り返して画像形成を行っても高品質の画像を安定に供給でき、更に、NOxやオゾン等の発生も少なく、エコロジー的にも有利な画像形成装置及びプロセスカートリッジを供給することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、電子写真感光体に接触配置された帯電部材から該電子写真感光体に電荷を直接注入させる注入帯電手段、露光手段、該電子写真感光体にトナー像を形成する現像手段、該トナー像を中間転写体を介して、又は介さずに転写材に転写する転写手段、転写手段と注入帯電手段の間に該電子写真感光体に接触配置され、注入帯電の逆バイアスを印加する補助帯電器を有する補助帯電手段を備え、転写手段下流で該電子写真感光体上に残留したトナーを注入帯電手段、現像手段の一方又は両方において回収させ、該電子写真感光体を繰り返して画像形成に使用する画像形成装置において、該電子写真感光体が少なくともガリウムフタロシアニン化合物を含有する感光層及び電荷注入層である保護層を有することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0017】
すなわち、本発明では、中間転写体の有無に関わらず、注入帯電、補助帯電及びクリーナーレスという新しいプロセスにおいて、感光層が電荷発生材料としてガリウムフタロシアニン化合物を含み、かつ感光層の上に電荷注入層である保護層が設けられることにより、微小黒ポチを含むカブリ等の画像欠陥を効果的に抑えることができると考えられる。
【0018】
よって、本発明は、注入帯電方式で、かつ転写手段と帯電器の間にクリーナー手段を持たない、いわゆるクリーナーレスプロセスであり、かつクリーナーレスプロセスをより安定させるための補助帯電手段を有し、該補助帯電手段の印加する電圧が注入帯電の逆バイアスであっても安定した高品質の画像を供給できる画像形成装置及びプロセスカートリッジである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
電子写真感光体に対し、帯電部材を接触させ帯電を行う直接帯電法は、従来の場合は電子写真感光体と帯電用部材との接触部近傍の微小空間における放電によって行われる。従って、直接帯電法においても帯電は空気中の分子をイオン化し、このイオンが電子写真感光体表面に流れることによって帯電が行われ、帯電部材から電子写真感光体表面への直接の注入は行われることは少ない。このような帯電機構における帯電は、当然ながら帯電部材及び電子写真感光体の表面形状によって大きく左右され、各々の表面の粗れによって帯電ムラが生じる。また、微小空間における放電であるため、強電界中をイオンが動くために電子写真感光体に与えるダメージが大きく、電子写真感光体の削れ量が多くなり、耐久性が低下する。更に、コロナ帯電に比べれば、桁違いに少ないが、それでもオゾンやNOx等の発生により画像ボケが発生することもある。これに対し、本発明者らは導電性粒子を樹脂に分散させた層を電子写真感光体の保護層にすることにより、電子写真感光体表面に電荷を直接注入することを可能にした。これによって放電で見られた帯電ムラがなくなり、また電子写真感光体に与えるダメージが減少し耐久性が向上した。更に、オゾンやNOx等の発生がほとんどなく、画像ボケ等の発生もなくなり、問題点が大きく改善された。
【0021】
近年、エコロジーや低コスト化の観点から、電子写真感光体のトナー像を転写手段によって被転写材に転写した後に電子写真感光体上に残留したトナー粒子を回収するクリーニング手段を転写手段と帯電手段の間に持たないシステム、一般的にいうクリーナーレスプロセスが注目されている。しかしながら、残トナーが帯電器より上流に残留するため、その像が帯電後も存在しゴーストとなる場合があり、種々の検討の結果、転写手段と帯電手段との間に電子写真感光体に接し、該帯電の逆バイアスを印加する補助帯電器を有することで、この残トナーによるゴーストの問題に大変有効であることがわかった。しかしながら、帯電前に逆バイアスを繰り返し印加するため、電荷発生材料がそのダメージを受け易く、微小黒ポチを含むカブリ等の画像欠陥になるという問題があった。これは、逆バイアスの電荷が補助帯電器より電子写真感光体に注入され、感光層中に該電荷が蓄積されてしまうことに起因している。
【0022】
すなわち、補助帯電器と実際に接触しているミクロ部位の電荷発生材料がダメージを受け、該当部位の暗部電位が低下することにより、微小黒ポチを含むカブリ等の画像欠陥となる。このような問題を解決するためにも、電子写真感光体には電荷注入層としての役割を持つと同時に、該電子写真感光体表面への逆バイアスの電荷注入を緩和させるための保護層が必要になる。更に、該電子写真感光体の感光層が逆バイアスのダメージを受け難いガリウムフタロシアニン化合物を同時に有していることも前記画像欠陥に対し、有効であることが見出された。
【0023】
図1は、本発明の画像形成装置の基本構成を示す。帯電用部材2は、電子写真感光体1と接触配置しており、接続されている外部電源から印加される電圧により、電子写真感光体1に対して帯電を行う。1aはオーバーコート層(注入層)、1bは感光層、1cは導電性支持体である。本発明で使われる帯電用部材の形状としては、図1に示すような磁気ブラシの他、ファーブラシ等いずれの形状をとってもよく、ローラーや平板等の画像形成装置の仕様や形態に合わせて選択可能である。また、この磁気ブラシは、Zn−Cuフェライト等の各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。
【0024】
また、ファーブラシの材質としては、カーボン、硫化銅、金属及び金属酸化物により導電処理されたファーを、金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり張り付けたりすることで帯電器とする。補助帯電器6に関しても、該帯電器と同様の構成とすることができる。
【0025】
次に、中間転写体について説明する。
【0026】
中間転写体は少なくとも弾性層と最外層となる保護層とを有し、2層又は2層以上の多層構成からなる。コスト面からは弾性層と保護層との2層構成が好ましい。
【0027】
弾性層に用いる材料としては、電子写真感光体や転写ローラーとのニップ幅を安定化させる観点からゴムやエラストマーが主に用いられているが、弾性層単独で中間転写体を形成する場合は電子写真感光体汚染という問題が発生する。中間転写体と接触する第一の画像担持体である電子写真感光体の表面には、光透過性の確保のためにアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の非晶性樹脂が使用されているが、前記弾性層成分のブリードにより電子写真感光体表面を汚染又は変質させ電子写真感光体の円周長さのピッチで横スジとなる画像不良を発生してしまう。中間転写体の弾性層には前述したように、第一の画像担持体である例えば電子写真感光体との環境でニップ幅の安定化を満たす必要があり、ゴムやエラストマーを用いた構成をとる。
【0028】
使用されるゴムやエラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエンゴム、ハイスチレンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、ニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム及びノルボルネンゴム等が挙げられる。
【0029】
保護層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロロアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂及びこれらの共重合体や混合物が挙げられる。
【0030】
中間転写体の形状には、特に制限はないが、ローラー形状やベルト形状が好ましく、導電性支持体上に弾性層、保護層を順次積層した構成をとる。また、中間転写体の厚さは、50〜200μmであることが好ましい。
【0031】
次に、電子写真感光体について説明する。本発明に用いる電子写真感光体の層構成は、電荷発生材料と電荷輸送材料の双方を同一の層に含有する単層型と、電荷発生層と電荷輸送層を有する積層型に大別されるが、電子写真特性的には積層型が好ましい。本発明に用いる電子写真感光体の層構成は、それらのどちらでもよく、ここでは積層型について説明する。図2(a)の電子写真感光体は、導電性支持体24の上に電荷発生層23、電荷輸送層22が順に設けており、更に最表面に注入層21を設けている。また、図2(b)及び(c)の様に導電性支持体と電荷発生層の間に、結着層25、更には干渉縞防止等を目的とする下引き層26を設けてもよい。
【0032】
導電性支持体24としては、支持体自身が導電性を持つもの、例えばアルミニウム、アルミニウム合金又はステンレス等を用いることができ、その他にアルミニウム、アルミニウム合金又は酸化インジウム−酸化スズ合金等を真空蒸着によって被膜形成された層を有する前記導電性支持体やプラスチック、導電性微粒子(例えばカーボンブラック、酸化スズ、酸化チタン及び銀粒子等)を適当なバインダーと共にプラスチックや紙に含浸した支持体、導電性バインダーを有するプラスチック等を用いることができる。
【0033】
また、導電性支持体と感光層の間には、バリアー機能と接着機能を持つ結着層(接着層)を設けることができる。結着層は感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良及び感光層の電気的破壊に対する保護等のために形成される。結着層にはカゼイン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド、変性ポリアミド、ポリウレタン、ゼラチン又は酸化アルミニウム等によって形成できる。結着層の膜厚は、5μm以下が好ましく、0.2〜3μmがより好ましい。
【0034】
電荷発生材料としては、デジタル用電子写真感光体の場合、赤外領域や可視光領域のレーザーへの対応において、波長への感光依存性の広さから、フタロシアニン系が多く使用されており、更にフタロシアニン系の中でも、ガリウムフタロシアニン化合物がその感度の高さと安定性の点で特に優れている。ガリウムフタロシアニン化合物は、置換基の種類や結晶系の違いにより、感度等の電子写真特性が著しく異なることがわかっている。本発明のガリウムフタロシアニンとしては、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.4°及び28.2°に強いピークを有する結晶型のヒドロキシガリウムフタロシアニン(例えば特開平5−263007号公報に記載)や7.4°、16.6°、25.5°及び28.2°に強いピークを有する結晶型のクロロガリウムフタロシアニン(例えば特開平5−98181号公報に記載)等を用いることができる。更に、ガリウムフタロシアニンの中でも上記結晶型のヒドロキシガリウムフタロシアニンは、特に電子写真特性的に高感度かつ安定であるばかりでなく、結晶としての安定性にも優れていることから、本発明の電子写真感光体に使用する電荷発生材料として好ましい。
【0035】
電荷発生層23は、前記の電荷発生材料を0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤と共に、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター又はロールミル等の方法で十分に分散し、塗布、乾燥されて形成される。その厚みは、5μm以下が好ましく、特には0.01〜1μmの範囲が好ましい。電荷発生層用塗料に用いる結着樹脂は、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独、混合あるいは共重合体ポリマーとして1種又は2種以上用いることができる。
【0036】
電荷発生層用塗料に用いる溶剤は、使用する樹脂や電荷発生材料の溶解性や分散安定性から選択されるが、有機溶剤としてはアルコール類、スルホキシド類、ケトン類、エーテル類、エステル類、脂肪族ハロゲン化炭化水素類又は芳香族化合物等を用いることができる。この溶液を塗布する際には、例えば浸漬コーティング法、スプレーコーティング法及びスピンナーコーティング法等のコーティング法を用いることができ、乾燥は10℃〜200℃が好ましく、より好ましくはは20℃〜150℃の範囲の温度で、5分〜2時間の範囲で送風乾燥又は静止乾燥下で行うことができる。
【0037】
電荷輸送材料としては、ヒドラゾン系化合物、ピラゾリン系化合物、スチリル系化合物、オキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、トリアリールメタン系化合物又はポリアリールアルカン系化合物等を用いることができる。
【0038】
電荷輸送層22は、一般的には前記の電荷輸送材料と結着樹脂を溶剤に溶解し、塗布して形成する。電荷輸送材料と結着樹脂との混合割合は2:1〜1:2程度である。溶剤としては、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチルや酢酸エチル等のエステル類、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン、クロロホルム及び四塩化炭素等の塩素系炭化水素類等が用いられる。この溶液を塗布する際には、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法及びスピンナーコーティング法等のコーティング法を用いることができ、乾燥は10℃〜200℃が好ましく、より好ましくは20℃〜150℃の範囲の温度で、5分〜5時間が好ましく、より好ましくは10分〜2時間の時間で送風乾燥又は静止乾燥下で行うことができる。
【0039】
電荷輸送層22を形成するのに用いられる結着樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリフェニレンオキシド、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂及び不飽和樹脂等から選ばれる樹脂が好ましい。特に好ましい樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネート樹脂及びジアリルフタレート樹脂が挙げられる。また、電荷輸送層の膜厚は、5〜40μmが好ましく、特には10〜30μmであることが好ましい。
【0040】
また、電荷発生層あるいは電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、潤滑剤等の種々の添加剤を含有させることができる。
【0041】
次に、抵抗値を1010〜1015Ω・cmに調整するために抵抗調整剤として導電性粒子を分散したオーバーコート層である保護層について説明する。
【0042】
本発明において、保護層に用いられる導電性粒子としては、金属及び金属酸化物等が挙げられる。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀及びステンレス等、又はこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ及びアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらは単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着の形にしてもよい。
【0043】
本発明において用いられる導電性粒子の平均粒径は、保護層の透明性の点で0.3μm以下が好ましく、特には0.1μm以下が好ましい。また、本発明においては、上述した導電性粒子の中でも透明性の点で金属酸化物を用いることが好ましい。
【0044】
結着樹脂としては、ブチラール樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂及びアルキド樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
結着樹脂と導電性粒子との割合は、直接的に保護層の抵抗を決定する値であり、保護層の抵抗は1010〜1015Ω・cmの範囲になるように設定する。膜強度的には、通常、導電性粒子の量が増えれば増えるほど弱くなるため、導電性粒子の量は、保護層の抵抗及び残留電位が許容できる範囲において、少なくする方が好ましい。
【0046】
本発明の保護層は、電子写真感光体上のトナー像を中間転写体あるいは被転写体へ転写する際の転写効率が不十分で、画像濃度ムラが発生する場合があるため、トナーの離型性、滑り性等の表面性の改質のために潤滑性粒子を含有することが好ましく、特にはフッ素原子含有樹脂粒子、シリカ粒子、シリコン粒子及びアルミナ粒子が好ましく、更に好ましくはフッ素原子含有樹脂粒子である。更に、これらを2種以上混合してもよい。
【0047】
フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂及びこれらの共重合体のなかから1種あるいは2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に、四フッ化エチレン樹脂及びフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。樹脂粒子の分子量や粒子の粒径は適宜選択することができ、特に制限されるものではない。
【0048】
また、シリコン粒子やアルミナ粒子等の無機粒子は、粒子単独としては潤滑性粒子として働かないかもしれないが、これらを分散、添加することにより、表面保護層の表面粗さが大きくなり、結果的に表面保護層の潤滑性が増すことが、本発明者等の検討で明らかになっている。ここでいう潤滑性粒子とは、潤滑性を付与する粒子を含めて表している。
【0049】
このフッ素原子含有樹脂粒子と導電性粒子が共に、樹脂溶液中で相互の粒子を凝集させないように、フッ素原子含有化合物を導電性粒子の分散時に添加したり、また、導電性粒子の表面をフッ素原子含有化合物で表面処理するとよい。フッ素原子含有化合物を添加又は導電性粒子に表面処理を行うことにより、フッ素原子含有化合物の無い場合に比べて、樹脂溶液中での導電性粒子とフッ素原子含有樹脂粒子の分散性及び分散安定性が格段に向上した。また、フッ素原子含有化合物を添加し導電性粒子を分散した液、又は表面処理を施した導電性粒子を分散した液に、フッ素原子含有樹脂粒子を分散することによって分散粒子の二次粒子の形成もなく、経時的にも非常に安定した分散性の良好な塗工液が得られる。
【0050】
フッ素原子含有化合物としては、含フッ素シランカップリング剤、フッ素変性シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。好ましい化合物例を表1〜表3に挙げるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
導電性粒子の表面処理方法としては、導電性粒子と表面処理剤とを適当な溶剤中で混合、分散し、表面処理剤を導電性粒子表面に付着させる。分散の方法としては、ボールミルやンドミル等の通常の分散手段を用いることができる。次に、この分散溶液から溶剤を除去し、表面処理剤を導電性粒子表面に固着させればよい。また、必要に応じて、この後に更に熱処理を行ってもよい。また、処理液中には反応促進のための触媒を添加することもできる。更に、必要に応じて表面処理後の導電性粒子に更に粉砕処理を施すことができる。
【0055】
導電性粒子に対するフッ素原子含有化合物の割合は、粒子の粒径にも影響を受けるが、表面処理後の導電性粒子の全質量を基準にして、1〜65質量%であることが好ましく、1〜50質量%であることがより好ましい。
【0056】
以上のように、フッ素原子含有化合物を添加した後導電性粒子を分散する、又は、フッ素原子含有化合物によって表面処理された導電性粒子を用いることにより、フッ素原子含有樹脂粒子の分散が安定し、滑り性及び離型性に優れた表面保護層を形成することができる。
【0057】
更に、より環境安定性のある表面保護層とするために、下記式(I)で示されるシロキサン化合物を導電性粒子の分散時に添加したり、又は、予め表面処理を施した導電性粒子を混合することにより、更に環境安定性により優れた表面保護層を得ることができた。
【0058】
【化1】
【0059】
式中、Aは水素原子又はメチル基であり、かつ、Aの全部における水素原子の割合は、0.1〜50%の範囲、nは0以上の整数である。
【0060】
好ましくは、このシロキサン化合物を添加後に分散した塗工液、又は、これを表面処理した導電性粒子を溶剤と共に分散し、更にバインダーを添加することによって、分散粒子の二次粒子の形成もなく、経時的にも安定した分散性の良好な塗工液が得られ、更にこの塗工液より形成した表面保護層は透明性が高く、耐環境性に特に優れた膜が得られた。更に、表面保護層に用いる硬化型樹脂の種類によっては、表面保護層の膜厚又はその他の条件により、スジ状のムラになったりセルを形成したりする場合も見られるが、前述のシロキサン化合物を添加、又はこれを表面処理した導電性粒子を用いることにより、スジ状のムラやセルの形成を抑制することができ、レベリング剤の効果という予期せぬ効果もあった。
【0061】
式(I)で示されるシロキサン化合物の分子量は特に制限されるものではないが、表面処理をする場合は、その容易さからは粘度が高過ぎない方がよく、重量平均分子量で数百〜数万程度が適当である。
【0062】
表面処理の方法としては、湿式と乾式の二通りがある。湿式では導電性粒子と式(I)で示されるシロキサン化合物とを溶剤中で分散し、シロキサン化合物を粒子表面に付着させる。分散の手段としては、ボールミルやサンドミル等の一般の分散手段を使用することができる。次に、この分散溶液を導電性粒子表面に固着させる。この熱処理においては、シロキサン中のSi−H結合が熱処理過程において空気中の酸素によって水素原子の酸化が起こり、新たなシロキサン結合ができる。その結果、シロキサンが3次元構造にまで発達し、導電性粒子表面がこの網状構造で包まれる。このように表面処理は、シロキサン化合物を導電性粒子表面に固着させることによって完了するが、必要に応じて処理後の粒子に粉砕処理を施してもよい。乾式処理においては、溶剤を用いずにシロキサン化合物と導電性粒子とを混合し混練を行うことによってシロキサン化合物を粒子表面に付着させる。その後は、湿式処理と同様に熱処理と粉砕処理を施して表面処理を完了する。
【0063】
導電性粒子に対するシロキサン化合物の割合は、粒子の粒径やシロキサン中のメチル基と水素原子の比率等に依存するが、1〜50質量%が好ましく、特には3〜40質量%が好ましい。
【0064】
保護層に用いられる分散液の分散溶媒としては、上記結着樹脂を十分に溶解し、導電性粒子の分散性が良好であるほかに、本発明で用いることのできるフッ素原子含有化合物、フッ素原子含有樹脂粒子、シロキサン化合物との相溶性又は処理性が良好で、更に、保護層の塗料と接触する電荷輸送層に悪影響を与えない溶剤が好ましい。従って、溶剤としてはメタノール、エタノール及び2−プロパノール等のアルコール類、アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル及び酢酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン及びジクロロメタン等のハロゲン系炭化水素類等が使用可能である。
【0065】
導電性粒子の上記分散溶媒における分散方法としては、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター及びロールミル等の方法が挙げられる。
【0066】
結着樹脂を溶解させる方法としては、導電性粒子の分散前に分散溶媒に溶解させる方法、導電性微粒子の分散終了後に分散液に溶解させる方法等があるが、本発明においては後者の方が好ましい。
【0067】
保護層の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法及びブレードコーティング法等の一般的な塗布方法を用いることができる。上記方法のいずれかで塗布、乾燥されて作製された保護層の膜厚は、薄過ぎると電子写真感光体の耐久性を損ない、厚過ぎると保護層を設けたことによる残留電位が上昇するため、適度な厚さにすることが好ましい。具体的には0.1μm〜10μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5μm〜7μmの範囲である。
【0068】
本発明においては、前記保護層中に、帯電時に発生するオゾンやNOx等の活性物質の付着による保護層の劣化等を防止する目的で、酸化防止剤を加えてもよい。その他に、必要に応じて、レベリング剤や紫外線吸収剤等の添加剤も加えることができる。
【0069】
次に、画像形成プロセスについて説明する。本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の具体例を図3に示す。この装置は、電子写真感光体1の周面上に磁気ブラシ注入帯電用部材2、露光手段3、現像手段4、中間転写ベルト5、ファーブラシ補助帯電手段6が配置されている。画像形成の方法は、まず、電子写真感光体1上に接触配置されている帯電用部材2に電圧を印加し、電荷の注入により電子写真感光体1表面を帯電し、露光手段3によって原稿に対応した画像を電子写真感光体1表面に露光し、静電潜像を形成する。
【0070】
次に、現像手段4中のトナーを電子写真感光体1に付着させることにより電子写真感光体1上の静電潜像を現像(可視像化)する。更に、電子写真感光体1上に形成されたトナー像を中間転写ベルト5に一次転写し、中間転写ベルト5上のトナー像を一括して紙等の被転写体上に転写し、中間転写ベルト5に転写されずに電子写真感光体1上に残った残トナーを補助帯電手段6により極性をプラス側に変え、帯電部材2で一時的に回収される。帯電部材2に回収されたトナーは、帯電極性が整えられて逐次に帯電部材2から電子写真感光体1上に電気的に吐き出される。吐き出されたトナーは、現像手段4と電子写真感光体1との対向部である現像領域に持ち運ばれて現像手段4に回収され、再利用される。
【0071】
このクリーニングは、電子写真感光体1上の転写残トナーを次工程以降の電子写真感光体現像時にかぶり取りバイアス(現像装置の現像部材に印加する直流成分と電子写真感光体の表面電位問の電位差であるかぶり取り電位差Vback)によって回収する方法である。帯電部材2から電子写真感光体1上への逐次吐き出しトナーは、通常、量的には少量で、均一散布状態の極く薄い層状態であり、次の露光工程に実質的に悪影響を及ぼすことはない。
【0072】
この画像形成装置において、露光手段3の光源はハロゲン光、蛍光灯又はレーザー光等を用いることができる。
【0073】
また、必要に応じて他の補助プロセスを加えてもよい。また、その他の画像形成装置の例として、4色の現像器、すなわち、ブラック現像器、シアン現像器、マゼンタ現像器及びイエロー現像器が、中間転写体に対して並列に配置され、電子写真感光体、帯電手段及び露光手段とが、前記4色の現像器の横に計4組配置されているようなフルカラー画像形成装置においても、上述の図3に示す画像形成装置と同様に画像形成を行うことができる。なお、本発明の画像形成装置は、これらの装置に限定されるものではない。
【0074】
更に、電子写真感光体、注入帯電手段、現像手段及び補助帯電手段等の構成要素のうち、選択される複数の要素を一体に結合し、画像形成装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジとして画像形成を行うこともできる。
【0075】
【実施例】
以下に実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は質量部を意味する。
【0076】
(実施例1)
まず、電子写真感光体について説明する。φ30mm×260.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体として、この上にポリアミド樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ製)の5質量%メタノール溶液を浸漬法で塗布し、膜厚が0.5μmの下引き層を設けている。
【0077】
次に、下記式(1)で示される電荷発生材料で、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.4°及び28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料4部、ポリビニルブチラール樹脂BX−1(積水化学(株)製)2部及びシクロヘキサノン90部を、φ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で、4時間ほど分散した。その後、酢酸エチル130部で希釈し、電荷発生層用塗料とした。この分散液を先の下引き層の上に浸浸法で塗布し、膜厚が0.18μmの電荷発生層を設けた。
【0078】
【化2】
式中、X1、X2、X3及びX4は塩素原子又は臭素原子であり、r、s、t及びuは0〜4の整数を示す。
【0079】
次に、下記式(2)で示される電荷輸送材料7.5部、
【0080】
【化3】
及びビスフェノールZ型ポリカーボネート(商品名:Z−200、三菱ガス化学製)10部を、モノクロロベンゼン100部に溶解した。この溶液を、前記電荷発生層上に塗布し、105℃で1時間をかけて熱風乾燥して、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
【0081】
次に、保護層として、下記式(3)で示されるアクリル系モノマー25部、
【0082】
【化4】
下記式(4)で示されるフッ素原子含有化合物(商品名:LS−1090、信越シリコーン(株)製)で表面処理した(処理量7%)アンチモンドープ酸化スズ超微粒子50部、
【0083】
【化5】
エタノール150部を、サンドミルにて、66時間かけて分散を行い、更に、ポリテトラフルオロエチレン微粒子(平均粒径0.18μm)20部を加えて分散を行った。その後、光重合開始剤として、2−メチルチオキサンソン3部を溶解し、調合液とした。
【0084】
この調合液を用いて、先の電荷輸送層上に浸漬塗布法により、膜を形成し、高圧水銀灯にて、800mW/cm2で60秒間照射し光硬化を行い、その後、120℃の温度で2時間熱風乾燥して保護層を得た。この時、得られた保護層の膜厚は3μmであった。また、保護層調合液の分散性は良好で、膜表面はムラのない均一な面であった。
【0085】
次に、画像形成装置について説明する。評価装置としては、電子写真感光体と帯電手段を一体に支持するプロセスカートリッジを有し、レーザーを光源とする日本ヒューレットパッカード(HP)製Laser Jet 8100を用意し、図3の装置になるように改造を行った。
【0086】
まず、帯電器部分を前述のような磁気ブラシ注入帯電器に換えた。帯電部材の磁性粒子としては、ポリスチレン樹脂にマグネタイト100部を入れて混練、粉砕したもので、粒子径30μm、抵抗値は106Ωであった。磁気ブラシの抵抗値は、上記の構成の磁気ブラシに対してアルミニウムドラムを当接させ、100VのDC電圧を印加したときの抵抗値で定義してある。
【0087】
マグネットを内包したスリーブ上にこのような磁性粒子を厚さ1mmでコートして、電子写真感光体との間に幅約5mmの帯電ニップを形成した。スリーブは電子写真感光体表面の周速に対して1倍の速さで逆方向に摺接するように回転されており、電子写真感光体と磁気ブラシが均一に接触するようにした。
【0088】
この磁気ブラシにDCバイアス−650Vを印加し、更にVpp=650V、Vf=1000HzのACバイアスを重畳することにより電子写真感光体に電荷注入し、−630Vの表面電位を得た。レーザーの光量を調整し明部電位が−200Vになるようにした。
【0089】
また、現像装置は、2成分磁気ブラシ現像器であり、現像スリーブ、現像スリーブ内に固定配置されたマグネットローラー、現像剤を撹拌させながら現像スリーブ上に搬送する撹拌スクリュー、現像スリーブ上の現像剤を薄層形成させるための規制ブレード等から構成した。重合法で作製した平均円形度0.965の非磁性トナーとフェライトキャリアによる2成分現像を行う構成とした。現像スリーブは、少なくとも現像時において、電子写真感光体に対し最近接領域が約500μmになるように配置し、現像剤が電子写真感光体に対して接触する状態で現像できるように設定した。現像スリーブには電源から直流電圧及び交流電圧が印加され、本実施例では直流電圧として−550V、交流電圧としてVpp=1500V、Vf=2100Hzを印加した。
【0090】
転写装置は、中間転写体を装備した転写ユニットに交換し、それに伴って給紙ユニットにも改造を加えた。中間転写体としては、ポリカーボネート樹脂とカーボンブラックとを溶融混練し、インフレーション成形により、厚さ150μmの継ぎ目のない樹脂チューブを作製し、これを所定の幅に切断した後に端部補強テープとリブを取り付けた樹脂ベルトを使用した。
【0091】
更に、クリーナレスプロセスとするためにクリーナユニットを取り外し、この位置に補助帯電器として導電ブラシを設置した。このブラシは、長さ5mmのカーボン分散ナイロンの繊維の芯金にロール状に植毛したものを用い、芯金には電圧が印加できるようにした。電圧は+550Vを印加した。
【0092】
上記電子写真感光体の評価として、高温高湿(温度30℃/湿度85%)の環境下で10000枚の耐久試験を行った。評価画像は、以下の2種類とした;
(評価画像1)紙上の全面がベタ白
(評価画像2)紙上で画像先端がベタ黒で、画像後半がベタ白
【0093】
本発明の画像評価としては、カブリ量を反射式濃度計(TOKYO DENSHOKU CO.,LTD社製REFLECTOMETER ODEL TC−6DS)を用いて測定した。すなわち、プリント後の白地部反射濃度最悪値をDs、プリント前の用紙の反射濃度平均値をDrとした時のDs−Drをカブリ量とした。カブリ量3%以下は実質的にカブリの無い良好な画像であり、3%を超えるとカブリの目立つ画像となる。画像評価結果は、以下のように分類した;
良好:ベタ白部分のカブリが1%未満
やや良好:ベタ白部分のカブリが1〜3%
やや不良:ベタ白部分のカブリが3〜5%
不良:ベタ白部分のカブリが5%を超える
【0094】
結果を表4に示す。
【0095】
(実施例2)
実施例1において、電荷発生材料をCuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.4°、16.6°、25.5°及び28.2°に強いピークを有するクロロガリウムフタロシアニンに代えた以外は、実施例1と全く同様にして作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0096】
(実施例3)
実施例1において、上記式(4)で示される化合物で表面処理した(処理量7%)アンチモンドープ酸化スズ微粒子を20部に代え、下記式(5)で示されるメチルハイドロジェンシリコーンオイル(商品名:KF99、信越シリコーン(株)製)で表面処理した(20%)アンチモンドープ酸化スズ微粒子30部を更に添加分散した以外は、実施例1と全く同様にして作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0097】
【化6】
式中、Aは水素原子又はメチル基であり、かつAの全部における水素原子の割合は0.1〜50%の範囲、nは0以上の整数である。
【0098】
(実施例4)
実施例3において、電荷発生材料を実施例2のクロロガリウムフタロシアニンに代えた以外は、実施例3と全く同様にして作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0099】
(実施例5)
実施例3において、試験の評価機として、中間転写体を装着していない転写装置に代えた画像形成装置を使用した以外は、実施例3と全く同様にして作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0100】
(実施例6)
実施例4において、試験の評価機として、中間転写体を装着していない転写装置に代えた画像形成装置を使用した以外は、実施例4と全く同様にして作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0101】
(比較例1)
実施例1において、電荷発生層用塗料の作製条件を下記のように代えた以外は、実施例1と全く同様に行った。すなわち、下記式(6)で示されるビスアゾ顔料4部
【0102】
【化7】
ポリビニルブチラール樹脂(商品名:BX−1、積水化学(株)製)2部及びシクロヘキサノン60部を、φ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で、24時間分散した。その後、シクロヘキサノン90部を加えて2時間分散し、更にシクロヘキサノンで希釈し、固形分が1.9%の電荷発生層用塗料とした。結果を表4に示す。
【0103】
(比較例2)
実施例2において、電荷発生層用塗料の作製条件を比較例1と同一条件にした以外は、実施例2と全く同様にして作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0104】
(比較例3)
実施例1において、電荷発生材料をX型無金属フタロシアニンに代えた以外は実施例1と全く同様にして作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0105】
(比較例4)
実施例5において、電荷発生材料をX型無金属フタロシアニンに代えた以外は実施例5と全く同様にして作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0106】
【表4】
【0107】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、電子写真感光体に接触配置された帯電部材から該電子写真感光体に電荷が直接注入される注入帯電工程、露光工程、該電子写真感光体にトナー像を形成する現像工程、該トナー像を中間転写体を介して、又は介さずに転写材に転写する転写工程、転写工程と注入帯電工程の間に該電子写真感光体に接触配置され、注入帯電の逆バイアスを印加する補助帯電器を有する補助帯電工程を有し、転写工程後に該電子写真感光体上に残留したトナーを注入帯電工程及び/あるいは現像工程において回収させ、該電子写真感光体を繰り返して画像形成に使用する画像形成装置において、逆バイアスのダメージによる微小黒ポチを含むカブリ等の画像欠陥がなく、高品質のコピー画像を安定に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の注入帯電方式の画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】電子写真感光体のそれぞれ異なる層構成を示す図である。
【図3】本発明の中間転写体を搭載した注入帯電方式の画像形成装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体
2 帯電手段
3 露光光
4 現像手段
5 中間転写ベルト
6 補助帯電手段
7 一次転写手段
8 中間転写体クリーナー手段
9 二次転写手段
10 被転写体(記録媒体)
11 被転写体搬送ベルト
12 定着器
Claims (8)
- 電子写真感光体に接触配置された帯電部材から該電子写真感光体に電荷を直接注入させる注入帯電手段、露光手段、該電子写真感光体にトナー像を形成する現像手段、該トナー像を中間転写体を介して、又は介さずに転写材に転写する転写手段、転写手段と注入帯電手段の間に該電子写真感光体に接触配置され、注入帯電の逆バイアスを印加する補助帯電器を有する補助帯電手段を備え、転写手段下流で該電子写真感光体上に残留したトナーを注入帯電手段、現像手段の一方又は両方において回収させ、該電子写真感光体を繰り返して画像形成に使用する画像形成装置において、該電子写真感光体が少なくともガリウムフタロシアニン化合物を含有する感光層及び電荷注入層である保護層を有することを特徴とする画像形成装置。
- 電子写真感光体に含有されるガリウムフタロシアニン化合物が、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.4°及び28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニンである請求項1に記載の画像形成装置。
- 電子写真感光体の保護層が金属又は金属酸化物粒子である導電性粒子を含有する請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 電子写真感光体の保護層がフッ素原子含有樹脂粒子を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
- 電子写真感光体の保護層がフッ素原子含有化合物、シロキサン化合物の少なくとも一方を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
- フッ素原子含有化合物が含フッ素シランカップリング剤、フッ素変性シリコーンオイル及びフッ素系界面活性剤からなる群より選択される請求項5に記載の画像形成装置。
- 中間転写体がベルト状又はローラー状の中間転写体である請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置が具備する電子写真感光体と、注入帯電手段、現像手段及び補助帯電手段からなる群より選ばれる少なくとも一つの手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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- 2002-10-04 JP JP2002292497A patent/JP2004126357A/ja active Pending
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