JP3792750B2 - 電子写真装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は電子写真装置及びプロセスカートリッジに関し、詳しくは電子写真感光体に接触配置された帯電手段を有する電子写真装置及びプロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方法において、例えばセレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、アモルファスシリコン、有機光導電体等の電子写真感光体に帯電、露光、現像、転写、定着及びクリーニング等の基本的プロセスを行うことにより画像を得る際、帯電プロセスは従来より殆ど金属ワイヤーに高電圧(DC5〜8KV)を印加し発生するコロナにより帯電を行っている。しかし、この方法ではコロナ発生時にオゾンやNOX等のコロナ生成物により感光体表面を変質させ画像ボケや劣化を進行させたり、ワイヤーの汚れが画像品質に影響し、画像白抜けや黒スジを生じることがある等の問題があった。特に感光層が有機光導電体を主体として構成される電子写真感光体は、他のセレン感光体やアモルファスシリコン感光体に比べて化学的安定性が低く、コロナ生成物にさらされると化学反応(主に酸化反応)が起こり劣化しやすい傾向にある。従って、コロナ帯電下で繰り返し使用した場合には前述の劣化による画像ボケや感度の低下によるコピー濃度薄が起こり耐印刷寿命が短くなる傾向にあった。
【0003】
また、コロナ帯電では電力的にも感光体に向かう電流がその5〜30%にすぎず、殆どがシールド板に流れてしまうので帯電手段としては効率の悪いものであった。
【0004】
このような問題点をなくすために、コロナ放電器を利用しないで特開昭57−178267号公報、特開昭56−104351号公報、特開昭58−40566号公報、特開昭58−139156号公報及び特開昭58−150975号公報等に提案されているように、感光体表面に接触配置された感光体表面に電圧を印加することにより感光体表面を帯電させる方法が研究されている。
【0005】
具体的には、感光体表面に1〜2KV程度の直流電圧を外部より印加した導電性弾性ローラー等の帯電部材を接触させることにより感光体表面を所定の電位に帯電させるものである。
【0006】
しかしながら、この帯電方法は多数の提案があるにもかかわらず、市場実績はまだわずかである。その理由としては帯電の不均一性や感光体の絶縁破壊の発生等が原因として挙げられる。
【0007】
帯電の不均一性は、感光体表面の各部に均一な帯電がなされず斑点状の帯電ムラを生じてしまうもので、正現像方式の場合に起こる白ポチ(ベタ黒画像に白い斑点が現れる現象)、または反転現像方式の場合に起こるかぶり、といった画像欠陥になる。
【0008】
このような問題点を解決して帯電の均一性を向上させるために、直流電圧に交流電圧を重畳して帯電用部材に印加する方法が提案されている(特開昭63−149668号公報)。この帯電方法は、直流電圧(VDC)に交流電圧(VAC)を重畳した脈流電圧を印加することによって均一な帯電を行うものである。
【0009】
この場合、帯電の均一性を保持して、正現像方式における白ポチ、反転現像方式における黒ポチ、かぶりといった画像欠陥を防ぐためには、重畳する交流電圧が、直流電圧の2倍以上のピーク間電位差(VP−P)をもっていることが必要である。
【0010】
しかしながら、画像欠陥を防ぐために、重畳する交流電圧を上げるに伴い、脈流電圧の最大印加電圧も上がるので、感光体内部のわずかな欠陥部位において絶縁破壊が起こり易くなってしまう。特に感光体が絶縁耐圧が比較的低い有機光導電体を用いた電子写真感光体の場合には、この傾向が強い。感光体の絶縁破壊が生じると、正現像方式においては接触部分の長手方向にわたって画像が帯状に白ヌケし(白オビ)、反転現像方式においては黒オビが発生してしまう。さらに感光層にピンホールがある場合も、そこの部位が導通路となって電流がリークし、印加された電圧が降下し、白オビや黒オビが発生してしまうという問題があった。
【0011】
また、直接帯電法において脈流電圧を印加した場合には、帯電部材と感光体間の振動によって、印加電圧の周波数に応じた騒音が発生し、この騒音は交流のピーク間電位VPP及び周波数に呼応して大きくなる傾向にあり、これも重要な問題点であった。
【0012】
一方、特開昭61−57958号公報には、感光体として樹脂中に導電性粒子を分散し抵抗値をコントロールした保護層を有する感光体を用い、この感光体に導電性微粒子を接触させ、この導電性微粒子に直接電圧を印加して保護層中に直接に電荷の注入を行い、均一な帯電を行う方法が提案されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
この方法では、保護層中に分散する導電性粒子として銅、アルミニウム、ニッケル等の金属及び酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化チタン等の金属酸化物が挙げられている。これらの導電性粒子の分散性は電荷注入の均一性を大きく左右し、導電性粒子の分散性が悪いと電荷の注入が不均一となり、帯電性の低下や帯電ムラを引き起こしてしまうため、導電性粒子を均一に分散することはこの方法では特に重要となる。
【0014】
しかしながら、通常金属粒子及び金属酸化物粒子は樹脂や樹脂溶液中において凝集する傾向があり、均一に分散しにくく、いったん分散しても二次凝集や沈殿が起こりやすいので、これらの導電性粒子を良好に分散することは非常に困難であり、特に、帯電均一性を向上させる観点から、導電性粒子としては粒径の小さい微粒子(一次粒径0.3μm以下)、さらには超微粒子(一次粒径0.1μm以下)を分散することが好ましいが、この様な微粒子の分散性、分散安定性は更に悪くなる傾向にあった。そのため、導電性粒子の分散不良に起因する電荷注入性の低下による帯電性の低下や帯電ムラや耐久時の帯電性低下を引き起こし、画像濃度ムラ、画像濃度低下及びかぶりといった画像劣化の問題があった。
【0015】
特に、近年の高画質化(潜像自体のシャープネス化やトナーの小粒径化)に伴い、より均一な帯電を行うことができる電子写真装置及びプロセスカートリッジが検討されている。
【0016】
本発明の目的は、帯電の不均一による画像濃度ムラ、画像濃度低下、白ポチ、感光体リーク及びかぶり等の画像欠陥の発生が無く、高品質のコピー画像を安定して供給できる電子写真装置及びプロセスカートリッジを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体に接触配置された帯電部材を有する帯電手段、像露光手段、現像手段及び転写手段を有する電子写真装置であって、該帯電手段が該電子写真感光体の表面層中に含有される導電性粒子に直接に電荷の注入を行う手段であり、該帯電部材が帯電磁気ブラシである電子写真装置において、
該電子写真感光体の表面層がフッ素原子含有化合物によって表面処理された導電性粒子及び結着樹脂を含有し、該フッ素原子含有化合物がシランカップリング剤であることを特徴とする電子写真装置である。
【0018】
また、本発明は、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体 に接触配置された帯電部材を有する帯電手段、並びに、現像手段及び転写手段の少なくとも一方の手段を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジであって、該帯電手段が該電子写真感光体の表面層中に含有される導電性粒子に直接に電荷の注入を行う手段であり、該帯電部材が帯電磁気ブラシであるプロセスカートリッジにおいて、
該電子写真感光体の表面層がフッ素原子含有化合物によって表面処理された導電性粒子及び結着樹脂を含有し、該フッ素原子含有化合物がシランカップリング剤であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0019】
本発明において前述したような効果を導くことができた要因として、
(1)表面処理により導電性粒子の分散均一性が向上し、ストラクチャリングが起こりにくくなり、均一帯電を達成できた。
(2)表面処理により導電性粒子の形状を滑らかにすることができ、形状に起因する電界の集中を防ぎ、均一帯電を達成できた。
等が考えられるが、支配的要因や感光体に接触配置された帯電部材を用いた帯電との相関に対するメカニズムについてはよく分かってはいない。
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】
本発明に用いられる導電性粒子としては、金属、金属酸化物、導電性ポリマー及びカーボンブラック等が挙げられる。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、ステンレス及び銀等、またはこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ及び酸化ジルコニウム等が挙げられる。導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン、ポリチオフェン及びポリピロール等が挙げられる。これらは単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。2種類以上を組み合わせて用いる場合には、単に混合しても、固溶体や融着の形にしてもよい。
【0022】
また、本発明に用いられるこの導電性粒子の平均粒径は、光散乱を防止するという点から、0.3μm以下であることが好ましく、特に0.1μm以下であることが好ましい。また、透明度の点から金属酸化物がより好ましい。
【0023】
本発明における導電性粒子に対するフッ素原子含有化合物の割合は、粒子の粒径にも影響を受けるが、1〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜40重量%である。
【0024】
本発明において導電性粒子を表面処理する際に用いることのできる表面処理剤はシランカップリング剤であり、導電性粒子の分散性及び分散安定性の点から、フッ素原子含有化合物である。以下に好ましい化合物を例示するが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0025】
含フッ素シランカップリング剤の好ましいものとしては
CF3CH2CH2Si(OCH3)3,
C4F9CH2CH2Si(OCH3)3,
C6F13CH2CH2Si(OCH3)3,
C8F17CH2CH2Si(OCH3)3,
C8F17CH2CH2Si(OCH2CH2OCH3)3,
C10F21(OCH3)3,
C6F13CONHSi(OCH3)3,
C8F17CONHSi(OCH3)3,
C7F15CONHCH2CH2CH2Si(OCH3)3,
C7F15CONHCH2CH2CH2Si(OC2H5)3,
C7F15COOCH2CH2CH2Si(OCH3)3,
C7F15COSCH2CH2CH2Si(OCH3)3,
C8F17SO2NHCH2CH2CH2Si(OC2H5)3,
【0026】
【外3】
C8F17CH2SCH2CH2Si(OCH3)3,
C10F21CH2CH2SCH2CH2Si(OCH3)3,
【0027】
【外4】
等が挙げられる。
【0028】
以上示した化合物例の中でも、下記一般式(1)で示される化合物は特に効果が大きい。
【0029】
【外5】
(式中、nは0以上の整数を示し、R1、R2及びR3は塩素原子、メチル基、メトキシ基またはエトキシ基を示す。)
【0030】
導電性粒子の表面処理方法は、以下の通りである。まず導電性粒子とフッ素原子含有化合物とを適当な溶剤中で混合、分散し、フッ素原子含有化合物を導電性粒子表面に付着させる。分散の手段としてはボールミルや、サンドミル等の通常の分散手段を用いることができる。次に、この分散溶液から溶剤を除去し、導電性粒子表面にフッ素原子含有化合物を固着させればよい。また、必要に応じてこの後更に熱処理を行ってもよい。また、処理液中には反応促進のための触媒を添加してもさしつかえない。更に、必要に応じて表面処理後の導電性粒子に更に粉砕処理を施してもよい。
【0031】
本発明に用いられる表面層用の結着樹脂としてはアクリル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、エポキシ、シリコーン、メラミン樹脂、フッ素樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及びポリ塩化ビニル等が挙げられる。これらの樹脂の中でも、表面層の表面硬度の表面硬度、耐摩耗性、更に導電性粒子の分散性、分散後の安定性の点から硬化性樹脂を用いることが好ましい。即ち、熱または光によって硬化するモノマーまたはオリゴマーを含有する溶液に前述の表面処理を施した導電性粒子を分散させて保護層用の塗工液とし、この溶液を感光層上に塗工、硬化させて形成した表面層は透明性、硬度及び耐摩耗性等の点でより好ましい。
【0032】
樹脂と表面処理された導電性粒子との割合は表面層の抵抗を決定する主な要因のひとつであり、表面層全重量に対し、10〜70重量%であることが好ましい。表面層の電気抵抗としては感光体としての電子写真特性の安定化からの制約もあるため電荷注入という点のみからは最適値は求めることができないが、1014〜109Ω・cmであることが好ましく、特には1×1013〜1×1010Ω・cmが最適である。また、膜厚は膜の電気抵抗にも依存するが、0.1〜10μmであることが好ましく、特には0.5〜5μmであることが好ましい。
【0033】
本発明においては、表面層中に、分散性、結着性及び耐候性等を向上させる目的でカップリング剤や酸化防止剤等の添加物を加えることができ、更には電子写真特性を向上させる目的で電荷輸送物質を加えることもである。
【0034】
次に、感光層について説明する。本発明の電子写真用感光体の感光層の構成は電荷発生物質と電荷輸送物質の双方を同一の層に含有する単層型と電荷発生層と電荷輸送層を有する積層型に大別される。本発明においては、感光層が積層型であることが好ましく、特には電荷発生層上に電荷輸送層を有するものが好ましい。
【0035】
感光層が積層型の場合、電荷発生層は、セレン、セレン−テルル及びアモルファスシリコン等の無機系電荷発生物質、ピリリウム系染料、チアピリリウム系染料、アズレニウム系染料、チアシアニン系染料及びキノシアニン系染料等のカチオン染料;スクエアリウム塩系顔料;フタロシアニン系顔料;アントアントロン系顔料、ジベンズピレンキノン系顔料及びピラントロン系顔料等の多環キノン顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料及びアゾ系顔料等の有機系電荷発生物質から選ばれた材料を単独ないしは組み合わせて用いることができ、真空蒸着装置によって蒸着層として形成したり、あるいは結着樹脂に分散塗工液を塗布、乾燥することによって塗布層として形成することができる。
【0036】
結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択でき、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマーから選択できる。好ましくは、ポリビニルブチラール、ポリアレート、(ビスフェノールAとフタル酸の縮重合体等)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド、ポリアミド、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリビニルアルコール等の樹脂を挙げることができる。電荷発生層中に含有される樹脂は、80重量%以下であることが好ましく、特には40重量%以下であることが好ましい。
【0037】
電荷発生層の膜厚は5μm以下が好ましく、特には、0.01〜1μmが好ましい。
【0038】
電荷輸送層は、主鎖または側鎖にビフェニレン、アントラセン、ピレン及びフェナントレン等の構造を有する多環芳香族化合物、インドール、カルバゾール、オキサジアゾール及びピラゾリン等の含窒素環化合物、ヒドラゾン化合物及びスチリル化合物等の電荷輸送物質を結着樹脂に溶解した塗工液を塗布、乾燥することにより形成される。
【0039】
用いることのできる結着樹脂としては、例えばポリアリレート、ポリスルホン、ポリアミド、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタンあるいは共重合体、例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマーまたはスチレン−マレイン酸コポリマー等を挙げることができる。また、このような絶縁性樹脂の他にポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセンやポリビニルピレン等の有機光導電性樹脂も使用することができる。結着樹脂と電荷輸送物質との配合割合は、結着樹脂100重量部当たり電荷輸送物質を10〜500重量部とすることが好ましい。
【0040】
電荷輸送層の膜厚は、5〜40μmであることが好ましく、特には10〜30μmであることが好ましい。
【0041】
感光層が単層型の場合、前記の電荷発生物質及び電荷輸送物質を前記の結着樹脂に分散及び溶解した塗工液を塗布、乾燥することにより形成される。
【0042】
その膜厚は5〜40μmであることが好ましく、特には10〜30μmであることが好ましい。
【0043】
本発明においては、表面層と感光層の間に中間層を設けることもできる。このような中間層は表面層と感光層の接着性を高め、あるいは電荷のバリアー層として機能させることを目的とする。中間層としては例えばエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂等の樹脂材料が使用可能である。
【0044】
また、本発明においては、導電性支持体と感光層の間にバリアー機能と接着機能をもつ層、所謂、下引層を設けることもできる。下引層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、アルコール可溶アミド、ポリアミド、ポリウレタン、カゼイン、ニカワ及びゼラチン等が挙げられる。
【0045】
これらは適当な溶剤に溶解して導電性支持体上に塗布される。その膜厚は5μm以下、特には0.2μm〜0.3μmが好ましい。
【0046】
上述した各種層の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、ビームコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法及びブレードコーティング法等が挙げられる。
【0047】
導電性支持体としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、バナジウム、モリブデン、クロム、チタン、ニッケル、インジウム、金及び白金等が用いられる。またこうした金属あるいは合金を真空蒸着法によって被膜形成したプラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート及びアクリル樹脂等)や導電性粒子(例えばカーボンブラック及び銀粒子等)を適当な結着樹脂と共に上記のようなプラスチック、金属または合金の支持体上に被覆した支持体あるいは導電性粒子をプラスチックや紙に含浸した支持体等を用いることができる。
【0048】
支持体の形状としてはドラム状、シート状及びベルト状等が挙げられるが、適用される電子写真装置に最も適した形状にすることが好ましい。
【0049】
一方、本発明における帯電手段が有する帯電部材は、電子写真感光体の表面層に接触して、該表面層中に分散された導電性微粒子に直接に電荷の注入を行うことが可能な導電性を有する、帯電磁気ブラシである。
【0050】
帯電磁気ブラシ方式は、磁気力によりフェライト等の磁性粉体の穂を形成し、この穂立ちした磁性粉体を高密度に集めたブラシ状にし、電圧を印加することで帯電部材の役割を担わせたものである。この穂は、かなり高密度化させることができ、より微細化された均一帯電を達成することができる。
【0051】
磁気ブラシと感光体の間に周速差を設けない場合には、磁気ブラシ自体は物理的な復元力を持たないため、感光体のフレや偏心等で磁気ブラシが押しのけられた場合、磁気ブラシのニップ幅を確保できなくなってしまい帯電不良を引き起こす。このため若干の周速差を持たせる必要はあったが、感光体表面への物理的アタックによる摺擦傷が懸念された。しかし、磁気ブラシの穂は穂単体の剛性が小さく、ソフトに接触させることができるため、維持ブラシ方式よりも感光体に傷が入りにくく、特に問題とはならなかった。また、繊維ブラシは磁気ブラシに比較して繰り返し使用するに従って毛倒れが生じ易かった。
【0052】
本発明において、帯電部材に印加する電圧は、直流成分として感光体目標表面電位に対して1〜1.5倍が適当であり、さらなる帯電均一性を付与するために交流成分を付与した脈流電圧を印加してもよい。交流成分としては目標帯電電位に対して2倍以下、最適には1.5倍以下であることが好ましい。
【0053】
図1に本発明のプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の例を示す。
【0054】
図1中、1は電子写真感光体を示し、2は帯電磁気ブラシを示し、2aはマグネットを内包したスリーブを示し、Lは走査露光光(レーザー光)を示し、3は現像手段を示し、3aは現像スリーブを示し、4は接触転写手段(転写ローラー)を示し、5は定着手段を示し、6はクリーニング手段を示し、Pは転写材を示し、7はプロセスカートリッジの枠体を示し、S1〜S3は高圧電源を示す。このように、本発明においては、電子写真感光体、帯電手段、並びに、現像手段及びクリーニング手段の少なくとも一方の手段を一体に支持してプロセスカートリッジとし、電子写真装置本体に着脱自在な構成にしてもよい。
【0055】
本発明の電子写真装置及びプロセスカートリッジは、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができる。
【0056】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明する。
【0057】
実施例1
アルミニウムシリンダー(φ30mm×260mm)上に、アルコール可溶性ポリアミド樹脂(アミランCM−8000、東レ(株)社製)10部(重量部、以下同様)、メトキシメチル化6ナイロン樹脂(トレジンEF−30T、帝国科学(株)社製)30部をメタノール150部、ブタノール150部の混合溶媒中に溶解した調合液を浸漬塗工し、90℃で10分間乾燥させ、膜厚1μmの下引層を形成した。
【0058】
次に、下記式
【0059】
【外6】
【0060】
で示されるジスアゾ顔料4部、ブチラール樹脂(エスレックBL−S、積水化学(株)社製)2部及びシクロヘキサノン100部をサンドミル装置にて48時間分散した後、テトラヒドロフラン(THF)100部を加えて電荷発生層用の分散液を調合した。この分散液を前記下引層上に浸漬塗工し、80℃で15分間乾燥させて、膜厚0.15μmの電荷発生層を形成した。
【0061】
次に、下記式
【0062】
【外7】
【0063】
で示されるヒドラゾン化合物10部及びポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ−200、三菱ガス化学(株)社製)10部をジクロルメタン20部、モノクロルベンゼン60部の混合溶媒中に溶解し、この溶液を前記の電荷発生層上に浸漬塗布し、120℃で60分間乾燥させ、膜厚18μmの電荷輸送層を形成した。
【0064】
次に、表面層用の調合液を下記の手順により作成した。
【0065】
平均粒径0.02μmのアンチモン含有酸化スズ微粒子(T−1、三菱マテリアル(株)社製)100部、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン(チッソ(株)製)10部、エタノール300部を攪拌装置で48時間攪拌した後、溶液を濾過・洗浄後、乾燥し、さらに150℃、2時間熱処理を行い、導電性粒子の表面処理を行った。
【0066】
次に、下記式
【0067】
【外8】
【0068】
で示されるアクリル系モノマー50部、光重合開始剤としての2−メチルチオキサントン2部、前記表面処理を行った導電性微粒子40部、エタノール300部を混合してサンドミル装置で96時間分散し、表面層用の調合液を作成した。
【0069】
この調合液を用いて前記電荷輸送層上に浸漬塗工にて成膜し、乾燥後メタルハライドランプにて250mW/cm2の光強度で60秒間紫外線照射して膜厚3μmの表面層を形成し、感光体を得た。
【0070】
図1に帯電が帯電磁気ブラシ方式による本発明のプロセスカートリッジを有する電子写真装置である帯電−露光−現像−転写−クリーニングのプロセスを繰り返すレーザービームプリンターを示す。ここで用いられている帯電磁気ブラシについて以下に詳細に述べる。
【0071】
帯電磁気ブラシは非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロール、スリーブ上の磁性導電性粒子によって構成され、マグネットロールは固定、スリーブ表面が感光ドラムの周速方向と逆に移動するように回転される。
【0072】
磁気ブラシの抵抗値は、上記の構成の磁気ブラシに対してアルミニウムドラムを当接させ、100VのDC電圧を印加したときの抵抗値で定義してある。
【0073】
磁性導電性粒子は・樹脂とマグネタイト等の磁性粉体を混練して粒子に成型したもの、もしくはこれに抵抗値調節のための導電カーボン等を混ぜたもの・燒結したマグネタイト、フェライト、もしくはこれらを還元処理して抵抗値を調節したもの・またはこれらの磁性粒子をメッキ処理して抵抗値を適当な値にしたものなどが使用可能であるが、本実施例では以下に述べるような磁性粒子を用いた。
【0074】
ポリスチレン樹脂にマグネタイトを100部入れて混練、粉砕したもので、粒子径30μm、抵抗値は1×106Ωである。この抵抗値は、ほぼマグネタイト自身のもつ固有抵抗値であり、これ以上抵抗値を上げる場合には、マグネタイトの混入量を減らす。また、下げたい場合にはカーボンブラックを粒子表面に外添することで所望の抵抗値を得ることができる。
【0075】
このような導電性粒子をスリーブ上に厚さ1mmでコートして感光体との間に幅約2mmの帯電ニップを形成する。スリーブは感光体表面の周速に対して1倍の早さで逆方向に摺接するように回転されており、感光体と磁気ブラシが均一に接触するようになっている。
【0076】
以下に評価内容と、その結果について示す。
【0077】
上記構成内容の図1のレーザービームプリンターに、先述した手法で作成した電子写真感光体を組み込んだ。プロセススピードは100mm/secである。
【0078】
そして、このプリンターを20℃、湿度50%の常温常湿下(N/N)、10℃、15%の低温低湿下(L/L)及び35℃、85%の高温高湿下(H/H)での画像評価を行い、更に常温常湿下で10万枚の繰り返し画像出し耐久試験を行った。その結果、後述の比較例1に示す導電性粒子の表面処理なしの場合の表面層と比較して、ポチやかぶりのない画像を得ることができた。しかも10万枚の繰り返し画像出し耐久試験においても安定して良好な画像を保つことができた。その結果を表1に示す。
【0079】
実施例2
実施例1で用いた表面層用の調合液を下記のように変えた他は実施例1と同様にして感光体を作成し、評価を行った。
【0080】
平均粒径0.02μmのアンチモン含有酸化スズ微粒子(T−1、三菱マテリアル(株)社製)100部、(6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル)トリメトキシシラン(信越化学(株)製)5部、ブタノール300部を攪拌装置で48時間攪拌した後、溶液を濾過・洗浄後、乾燥し、180℃、2時間の加熱処理によって導電性粒子の表面処理を行った。
【0081】
次に、下記式
【0082】
【外9】
【0083】
で示されるアクリル系モノマー20部、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(重量平均分子量20000)20部、光重合開始剤としての2−メチルチオキサントン20部、前記表面処理を行った導電性粒子40部、エタノール300部を混合してサンドミル装置で96時間分散し、表面層用の調合液を作成した。
【0084】
実施例3
実施例1で用いた表面層用の調合液を下記のように変えて表面層を形成した他は実施例1と同様にして感光体を作成し、評価を行った。
【0085】
平均粒径0.02μmのスズ含有酸化インジウム微粒子(ITO三菱マテリアル(株)社製)100部、(10,10,10,9,9,8,8,7,7,6,6,5,5,4,4,3,3−ヘプタデカアルオロデカニル)トリメトキシシラン(信越化学(株)製)30部、トルエン300部を攪拌装置で60時間攪拌した後、溶液を濾過・洗浄後、乾燥し、150℃、3時間の加熱処理により導電性粒子の表面処理を行った。
【0086】
次に、メチルトリメトキシシラン45部、トルエン300部を混合してサンドミル装置で96時間分散し、表面層用の調合液を作成した。
【0087】
この調合液を用いて、スプレー塗工によって塗工後、160℃、1時間加熱して3μmの表面層を形成した。
【0088】
比較例1
実施例1において表面層に用いた導電性粒子の表面処理を行わないこと以外は実施例1と同様にして感光体を作成し、同様の評価を行った。
【0089】
その結果、表1に示すように初期の電子写真特性で微細なポチ、かぶりが若干確認されたので、耐久試験は行わなかった。
【0090】
比較例2
実施例1におけるレーザービームプリンターの帯電部材に、繊維ブラシを用いること以外は実施例1と同様にして感光体を作成し、評価を行った。
【0091】
その結果、表1に示すように初期の電子写真特性で微細なポチ、かぶりは確認されなかった。
【0092】
【表1】
【0093】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、高品質のコピー画像を安定して供給できる電子写真装置及びプロセスカートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【符号の説明】
1 本発明の電子写真感光体
2 帯電磁気ブラシ
2a スリーブ
L 走査露光光(レーザー光)
3 現像手段
3a 現像スリーブ
4 接触転写手段(転写ローラー)
5 定着手段
6 クリーニング手段
P 転写材
7 プロセスカートリッジの枠体
S1,S2,S3 高圧電源
Claims (6)
- 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体に接触配置された帯電部材を有する帯電手段、像露光手段、現像手段及び転写手段を有する電子写真装置であって、該帯電手段が該電子写真感光体の表面層中に含有される導電性粒子に直接に電荷の注入を行う手段であり、該帯電部材が帯電磁気ブラシである電子写真装置において、
該電子写真感光体の表面層がフッ素原子含有化合物によって表面処理された導電性粒子及び結着樹脂を含有し、該フッ素原子含有化合物がシランカップリング剤であることを特徴とする電子写真装置。 - 前記結着樹脂が硬化性樹脂である請求項1または2に記載の電子写真装置。
- 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体に接触配置された帯電部材を有する帯電手段、並びに、現像手段及び転写手段の少なくとも一方の手段を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジであって、該帯電手段が該電子写真感光体の表面層中に含有される導電性粒子に直接に電荷の注入を行う手段であり、該帯電部材が帯電磁気ブラシであるプロセスカートリッジにおいて、
該電子写真感光体の表面層がフッ素原子含有化合物によって表面処理された導電性粒子及び結着樹脂を含有し、該フッ素原子含有化合物がシランカップリング剤であることを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 前記結着樹脂が硬化性樹脂である請求項4または5に記載のプロセスカートリッジ。
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