JP2006221197A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体 Download PDF

Info

Publication number
JP2006221197A
JP2006221197A JP2006129442A JP2006129442A JP2006221197A JP 2006221197 A JP2006221197 A JP 2006221197A JP 2006129442 A JP2006129442 A JP 2006129442A JP 2006129442 A JP2006129442 A JP 2006129442A JP 2006221197 A JP2006221197 A JP 2006221197A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
general formula
photosensitive member
polyester resin
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006129442A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoshi Kato
聡 加藤
Yuuta Kumano
勇太 熊野
Akiteru Fujii
章照 藤井
Mamoru Rin
護 臨
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2006129442A priority Critical patent/JP2006221197A/ja
Publication of JP2006221197A publication Critical patent/JP2006221197A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】耐摩耗性および滑り性がともに優れた電子写真感光体を提供する。
【解決手段】構造式中に下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含み、粘度平均分子量が1万〜10万であることを特徴とするポリエステル樹脂を、感光層のバインダー樹脂として用いる。
Figure 2006221197

(上記一般式(1)において、Xは、単結合、硫黄原子、酸素原子、スルホニル基、シクロアルキル基、または−CR910−を表し、Wは、置換されていても良い二価の芳香族基または置換されていても良い二価の炭化水素基を表す。R1〜R10はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、またはアルコキシル基を表す。ただし、R1〜R10のうち少なくとも一つは、炭素数2〜9の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の構造を有するポリエステル樹脂を感光層のバインダーとして用いた電子写真感光体に関するものである。
電子写真技術は、高品質の画像が即時に得られることから、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンターの分野にも広く応用されている。
この電子写真技術に用いられる感光体(電子写真感光体)は、電子写真プロセス、すなわち、帯電,露光,現像,転写,クリーニング,除電等のサイクルで繰り返し使用されるため、その間に様々なストレスを受けて劣化する。この様な劣化としては、例えば、帯電器として普通に用いられているコロナ帯電器から発生する強酸化性のオゾンやNOxが感光層に化学的なダメージを与えたり、像露光で生成したキャリアー(電流)が感光層内を流れたり、除電光や外部からの光によって感光層組成物が分解されたりすることによる、化学的,電気的,光学的な劣化が挙げられる。また、別の例として、クリーニングブレードや磁気ブラシなどによる摺擦や、現像剤や紙との接触等による、感光層表面の摩耗,傷の発生,膜の剥がれといった機械的な劣化がある。
特に、後者のような感光層表面に生じる損傷等の機械的劣化は、コピ−画像上に影響を及ぼしやすく、画像品質を直接損なうことになるため、感光体の寿命を制限する大きな要因となっている。従って、高寿命の感光体を開発するためには、化学的,電気的,光学的な耐久性を高めることに加えて、機械的な負荷に対する強度を高めることが必須条件となる。
積層型感光体の場合、一般にこうした機械的な負荷を受けるのは、電荷移動層(以下、電荷輸送層と呼ぶ場合もある)である。電荷移動層は通常、バインダー樹脂と電荷移動物質(以下、電荷輸送物質と呼ぶ場合もある)とから構成されており、実質的にはバインダー樹脂が機械的な負荷に対する強度を決めることになる。
しかし、電荷移動層に対する電荷移動物質の添加量は相当多いため、適切なバインダー樹脂を選択して感光体に十分な機械的強度を持たせることは容易ではない。
従来、電子写真感光体の電荷移動層のバインダー樹脂としては、ポリメチルメタクリレート,ポリスチレン,ポリ塩化ビニル等のビニル重合体およびその共重合体,ポリカーボネート,ポリエステル,ポリスルホン,フェノキシ,エポキシ,シリコン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂が用いられている。
こうした数あるバインダー樹脂のなかでは、ポリカーボネート樹脂が比較的優れた性能を有しており、これまで種々のポリカーボネート樹脂が開発され、実用に供されている。例えば、特許文献1にはビスフェノールPタイプのポリカーボネートが、特許文献2にはビスフェノールZタイプのポリカーボネートが、特許文献3にはビスフェノールPおよびビスフェノールAの共重合タイプのポリカーボネートが、特許文献4にはビス(4ーヒドロキシフェニル)ケトンタイプの構造を含むポリカーボネート共重合体が、それぞれバインダー樹脂として開示されている。
ところが、こうしたポリカーボネート樹脂をバインダー樹脂に用いた感光体を含め、従来の有機感光体の多くは、トナーによる現像,紙による摩擦,クリーニング部材(ブレード)による摺擦等の実用上の負荷によって、表面が摩耗したり表面に傷を生じたりする欠点を有しているため、現状では限られた印刷性能にとどまっている。
一方、感光体の機械的強度を高めるために、芳香族ポリエステルをバインダー樹脂として用いた例もある。例えば、特許文献5には、商品名「U−ポリマー」として市販されているポリアリレート(芳香族ポリエステル)樹脂をバインダーとして用いた電子写真用感光体の技術が開示され、その中でポリカーボネートに比して特に感度が優れていることが示されている。また、特許文献6では、ビスフェノール成分にテトラメチルビスフェノールFおよびビスフェノールAを使用した構造のポリアリレート(芳香族ポリエステル)共重合体を含有することを特徴とする電子写真感光体が開示されている。さらに、特許文献7には、ビスフェノールCをビスフェノールとして用いたポリアリレート(芳香族ポリエステル)を含有することを特徴とした電子写真感光体が示されている。
しかし、これらの芳香族ポリエステルを感光層のバインダーとして用いる技術によれば、感光層の塗布溶媒に対する溶解性や溶液の安定性が不良であったり、これら電気特性が悪化したりするという欠点がある。特に、上述の特許文献5に記載の技術では、耐摩耗性,感度の面で若干の向上が見られるものの、その塗布液の安定性が悪いために、塗布製造が不可能か、可能な場合でも滑り性が不良である。また、上述の特許文献6に記載の技術では、耐摩耗性の面では従来のポリカーボネートに比べて向上が見られるが、滑り性の面ではポリカーボネートに比べ優位性が認められない。さらに、上述の特許文献7に記載の技術では、やはり耐摩耗性の面では従来のポリカーボネートに比べて向上が見られ、感光体の寿命が延びるという利点を有するものの、電気特性、特に応答性の面で、ポリカーボネート樹脂を用いた場合に比べ劣っている。
その他にも、感光体の機械的強度を高めるために、例えばオーバーコート層を設ける方法(特許文献8)、耐摩耗性の高いバインダーポリマーを使用する方法(特許文献9,特許文献10)等が提案されているが、いずれも効果が十分でなかったり、電気特性等の特性に悪影響を及ぼすなどの問題を含んだりしているのが現状である。
すなわち、上述した従来の技術はいずれも、電子写真感光体における充分な耐磨耗性(耐擦傷性)および表面滑り性の双方を同時に満足するものではない。そのため、電子写真感光体用のバインダー樹脂の材質として、耐摩耗性および滑り性がともに優れた物質が望まれている。
特開昭50−98332号公報 特開昭59−71057号公報 特開昭59−184251号公報 特開平5−21478号公報 特開昭56−135844号公報 特開平3−6567号公報 特開平7−333911号公報 特開昭61−72256号公報 特開昭63−148263号公報 特開平3−221962号公報
本発明の目的は、上記課題を解決し、耐摩耗性および滑り性にともに優れたポリエステル樹脂を感光層に使用した電子写真感光体を提供することにある。
そこで本発明者らは、感光層に使用するバインダー樹脂について詳細に検討した結果、炭素数2〜9の脂肪族炭化水素基を有する特定構造の繰り返し単位を共重合または単独重合することにより製造したポリエステル樹脂が、非常に優れた滑り性および高い耐摩耗性を有する上に、非ハロゲン系溶媒にも高い溶解性を示すので塗布液の保存安定性も良好であることを見いだして、本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨は、導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、構造式中に下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含み、粘度平均分子量が1万〜10万であるポリエステル樹脂を含むことを特徴とする、電子写真感光体に存する。
Figure 2006221197
(上記一般式(1)において、Xは、単結合、硫黄原子、酸素原子、スルホニル基、シクロアルキル基、または−CR910−を表し、Wは、置換されていても良い二価の芳香族基または置換されていても良い二価の炭化水素基を表す。R1〜R10はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、またはアルコキシル基を表す。ただし、R1〜R10のうち少なくとも一つは、炭素数2〜9の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基である。)
本発明に係る、炭素数2〜9の脂肪族炭化水素基を有する特定構造の繰り返し単位を含むポリエステル樹脂は、優れた耐摩耗性および滑り性を示すとともに、有機溶媒に対する溶解性に優れている。よって、本発明に係るポリエステル樹脂をバインダー樹脂として用いることにより、耐久性に優れるとともに、高画質化に対応可能な電子写真感光体を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明する。勿論、本発明は以下の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、様々な形態に変形して実施することが可能である。
(I) ポリエステル樹脂
本発明の電子写真感光体に用いられるポリエステル樹脂(以下「本発明のポリエステル樹脂」と略称する。)は、構造式中に下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むことを、特徴としている。
Figure 2006221197
上記一般式(1)において、Xは、単結合もしくは二価の連結基を表わす。二価の連結基としては、本発明で目的とするポリエステル樹脂の特性を損なわないものが選択できるが、具体的には、硫黄原子、酸素原子、スルホニル基、シクロアルキル基、または−CR910−が挙げられる。なお、R9およびR10については後述する。
これらのうち、シクロアルキル基としては、1,2−シクロヘキシル基、1,2−シクロペンチル基、1,2−シクロヘプチル基等が挙げられ、−CR910−としては、−CH2−(R9およびR10がともに水素原子)、−C(CH32−(R9およびR10がともにメチル基)、−CHR10−(R9が水素原子)等が挙げられる。中でも、好ましいのは、1,2−シクロヘキシル基、−CH2−、−C(CH32−、および−CHR10−である。
また、上記一般式(1)におけるWは、二価の芳香族基または炭化水素基を表わす。二価の芳香族基または炭化水素基としては、本発明で目的とするポリエステル樹脂の特性を損なわないものが選択できるが、具体的には、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、−(CH2n−(n=1〜8)、−CH=CH−、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも好ましいのは、フェニル基、ナフチル基、およびビフェニル基であり、特に好ましいのはフェニル基である。なお、上述した二価の芳香族基または炭化水素基は、置換されているものであっても良い。
すなわち、Wとして特に好ましいのは、下記一般式(2)で表される二価のフェニル基である。
Figure 2006221197
なお、上記一般式(2)において、R11〜R14は水素原子、炭化水素基、アリール基、ハロゲン基、またはアルコキシル基を表す。ただし、上記一般式(1)のR1〜R10および上記一般式(2)のR11〜R14のうち少なくとも一つは、炭素数2〜9の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基である。
さらに、上記一般式(1)中の2つの芳香環におけるR1〜R8、ならびに、Xが−CR910−である場合のR9およびR10は、それぞれ独立に、水素原子もしくは置換基を表わす。置換基としては、本発明で目的とするポリエステル樹脂の特性を損なわない範囲において、様々な置換基が選択できるが、具体的には、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、またはアルコキシル基が挙げられる。ただし、R1〜R10のうち少なくとも一つは、炭素数2〜9の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基である。
なお、ハロゲン基として、具体的には、塩素原子、フッ素原子、臭素原子等が挙げられ、フェニル基、ナフチル基、メトキシ基、エトキシ基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、iso−ペンチル基、sec−ペンチル基、neo−ペンチル基、2−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、iso−ヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,1−ジエチルエチル基、n−ヘプチル基、シクロヘプチル基、5−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、1−メチルヘキシル基、4,4−ジメチルペンチル基、3,4−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、1,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、1,3−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、1,2−ジメチルペンチル基、1,1−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、1−エチルペンチル基、2,3,3−トリメチルブチル基、1,3,3−トリメチルブチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、1,2,3−トリメチルブチル基、1,1,3−トリメチルブチル基、1,2,2−トリメチルブチル基、1,1,2−トリメチルブチル基、2−エチル−3−メチルブチル基、1−エチル−3−メチルブチル基、2−エチル−2−メチルブチル基、1−エチル−1−メチルブチル基、1−イソプロピルブチル基、1−プロピルブチル基、1,1,2,2,−テトラメチルプロピル基、1―エチル−2,2−ジメチルプロピル基、n−オクチル基、6−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、3,3−ジメチル−5―メチルシクロヘキシル基、7−メチルオクチル基等が挙げられる。
1〜R10のうち、上述した炭素数2〜9の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基以外の基としては、水素原子またはメチル基が好ましい。また、炭素数2〜9の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、sec−ペンチル基、neo−ペンチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、n−ヘプチル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、n−オクチル基、n−ノニル基が好ましく、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、n−オクチル基が特に好ましい。
なお、R1〜R10のうち複数の基が結合して環を形成している場合、その環構造は、上述の炭素数2〜9の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基には含まれない。
1〜R10の組み合わせの中でも、R1〜R9の全てが水素原子且つR10が上述の炭素数2〜9のアルキル基である組み合わせが好ましい。前者の場合において、Wが上記一般式(2)の構造を有する場合には、R11〜R14についても全てが水素原子であることが好ましい。
上記一般式(1)において、R1〜R10が全て水素原子またはメチル基である場合には、本ポリエステル樹脂の有機溶媒に対する溶解性が悪く、また本ポリエステル樹脂を電子写真感光体に使用した場合の電気特性も不良であるため、好ましくない。また、R1〜R10のいずれかが炭素数10以上のアルキル基である場合には、本ポリエステル樹脂を電子写真感光体に使用した場合に、感光体の機械物性、特に耐摩耗性が悪化し、好ましくない。
なお、本発明のポリエステル樹脂は、上記一般式(1)の繰り返し単位以外に、その他の繰り返し単位を含んでいても構わない。この場合、上記一般式(1)で表される繰り返し単位の割合が、本ポリエステル樹脂を構成する全繰り返し単位中、通常は1〜99モル%の範囲、好ましくは10〜90モル%の範囲である。
上記一般式(1)以外の繰り返し単位としては、本発明で目的とするポリエステル樹脂の特性を損なわないものであれば特に限定されないが、以下の一般式(3)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
Figure 2006221197
上記一般式(3)において、X′は、単結合、硫黄原子、酸素原子、スルホニル基、シクロアルキル基、または−CR2324−を表し、Yは、フェニル基、ビフェニレン基、ナフチレン基、またはアルキリデン基を表す。
また、R15〜R24はそれぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、アリール基、ハロゲン基、またはアルコキシル基を表す。なお、R23,R24は互いに結合して環状構造を形成してもよい。
但し、上記一般式(3)は、前記一般式(1)と同一ではないものとする。
なお、上記一般式(3)において、X′は好ましくは−CH2−である。
本発明のポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールとを構成成分として、これらを共重合させることにより製造することができる。
本発明のポリエステル樹脂を製造する際に、上記一般式(1)の繰り返し単位の構成成分となる、炭素数2〜9の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を有するジオールの具体例を下に示す。製造に使用できるジオールは、勿論、以下のものに限定されるわけではない。
Figure 2006221197
Figure 2006221197
Figure 2006221197
Figure 2006221197
本発明のポリエステル樹脂において、上記一般式(1)以外の繰り返し単位を構成するジオールのうち、芳香族ジオールとしては、ハイドロキノン、レゾルシノール、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン(BPF)、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン(Tmf)、ビス−(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン(BPE)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(BPZ)、ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPQ)、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン(Cof)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン(Ce)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(BPC)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン(Xe)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン(Tma)、ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン(Xf)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)エタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(BPP)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジベンジルメタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル(BPO)、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、フェノールフタルレイン、(1,1′ビフェニル)―4,4′−ジオール、4,4′−(1,5,9,13−テトラメチルテトラデシリデン)ビスフェノール、−4,4′−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、4,4′−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビス[2−メチルフェノール]等が挙げられる。これらの中で好ましい例を以下に示す。
Figure 2006221197
Figure 2006221197
また、上記一般式(1)以外の繰り返し単位を構成するジオールのうち、脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、ペンタメチレンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、ヘキサメチレングリコール、1,5−ヘプタンジオール、ヘプタメチレンジオール、オクタメチレンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカメチレングリコール、1,6−シクロヘキサンジオール等が挙げられるが、好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールが挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂の構成成分となる二価カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、およびこれらの酸塩化物、ならびにこれらのジカルボン酸または酸塩化物の脂肪族炭化水素置換体が挙げられる。これらの中でも、好ましいものとして、テレフタル酸、イソフタル酸、およびこれらの酸塩化物、ならびにこれらの脂肪族炭化水素置換体が挙げられる。ただし、イソフタル酸成分の割合が多すぎると、本ポリエステル樹脂を電子写真感光体に使用した場合に、感光体の電気特性が悪化する傾向にあるので、本発明のポリエステル樹脂中の全ジカルボン酸成分に対するイソフタル酸成分の組成比は、好ましくは50モル%未満、さらに好ましくは30モル%以下、最も好ましくは5モル%以下である。
本発明のポリエステル樹脂の粘度平均分子量は、通常は1万〜10万、好ましくは1.5万〜9万、さらに好ましくは2万〜8万である。粘度平均分子量が小さすぎると耐摩耗性が悪化し、また大きすぎると塗布液の粘度が高くなりすぎて生産性が低下する傾向がある。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法としては、公知の様々な重合方法を用いることが可能であるが、具体的には界面重合法、溶融重合法、溶液重合法等を挙げることができる。
これらのうち、界面重合法を用いて本発明のポリエステル樹脂を製造する場合には、例えば、1種類以上の二官能性フェノール成分もしくはビスフェノール成分をアルカリ水溶液に溶解した溶液と、1種類以上の芳香族ジカルボン酸クロライド成分を溶解したハロゲン化炭化水素の溶液とを混合する。この際、触媒として、四級アンモニウム塩もしくは四級ホスホニウム塩を存在させることも可能である。本ポリエステル樹脂の生産性の観点から、重合温度は通常0〜40℃の範囲、重合時間は通常2〜12時間の範囲が好ましい。重合終了後、水相と有機相とを分離し、有機相中に溶解しているポリマーを公知の方法で洗浄、回収することにより、目的とする樹脂を得られる。
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。アルカリ成分の使用量としては、反応系中に含まれるフェノール性水酸基の1.0〜3.0倍当量の範囲が好ましい。また、ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロルベンゼンなどを挙げることができる。
触媒として用いられる四級アンモニウム塩もしくは四級ホスホニウム塩としては、トリブチルアミンやトリオクチルアミン等の三級アルキルアミンと塩酸、臭素酸、ヨウ素酸等との塩、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリエチルオクタデシルホスホニウムブロマイド、N−ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルピコリニウムクロライドなどが挙げられる。
二官能性フェノール成分もしくはビスフェノール成分の具体例としては、前述の芳香族ジオールなどが挙げられるが、これらの1種もしくは2種以上を混合して用いることも可能である。
また、重合の際に、分子量調節剤として、フェノール、o,m,p−クレゾール、o,m,p−エチルフェノール、o,m,p−プロピルフェノール、o,m,p−tert−ブチルフェノール、ペンチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール等のアルキルフェノール類、o,m,p−フェニルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール等の一官能性のフェノール、酢酸クロリド、酪酸クロリド、オクチル酸クロリド、塩化ベンゾイル、ベンゼンスルフォニルクロリド、ベンゼンスルフィニルクロリド、スルフィニルクロリド、ベンゼンホスホニルクロリドやそれらの置換体等の一官能性酸ハロゲン化物を存在させても良い。
重合後の樹脂の精製方法としては、公知の様々な手法を用いることができる。例えば、得られた樹脂の溶液を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ水溶液、塩酸、硝酸、リン酸等の酸水溶液、水等で洗浄した後、静置分離や遠心分離等を用いて分液する。また、樹脂溶液を樹脂が不溶の溶媒中に析出させる方法、樹脂溶液を温水中に分散させ溶媒を留去する方法、或いは、樹脂溶液を吸着カラム等に流通させる方法等を用いて、樹脂を精製しても良い。
精製後の樹脂は、樹脂が不溶の水、アルコール、その他有機溶媒中に析出させたり、樹脂の溶液を温水または樹脂が不溶の分散媒中で溶媒を留去したり、加熱、減圧等により溶媒を留去したりすることで取り出すことが可能である。生成した樹脂がスラリー状である場合には、遠心分離器、濾過器等により固体として取り出すこともできる。
得られた樹脂は、通常は樹脂の分解温度以下の温度で乾燥するが、好ましくは20℃〜樹脂の溶融温度の範囲内で減圧下で乾燥する。乾燥は残存溶媒等の不純物の純度が一定以下になるまで行なうが、通常は残存溶媒が1000ppm以下、好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下になるまで乾燥する。
また、本発明のポリエステル樹脂は、他の樹脂と混合して、電子写真感光体等に用いることも可能である。混合される他の樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体およびその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂等が挙げられるが、中でもポリカーボネート樹脂が好ましい。本発明のポリエステル樹脂を他の樹脂と併用して、電子写真感光体の感光層のバインダー樹脂として用いる場合、併用する他の樹脂の量は、全バインダー樹脂に対して通常は50重量%以下、好ましくは30重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。
さらに、本発明のポリエステル樹脂は、実質的に本樹脂の物性を損なわない範囲内で、他の樹脂との共重合体として用いても良い。共重合形式としては、ブロック、グラフト、マルチブロック共重合体のいずれでも良い。共重合される他の樹脂構造としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリケトン、ポリアミド、ポリシロキサン、ポリイミド、ポリスチレン、ポリオレフィン等の種々の樹脂が挙げられるが、特に好ましくはポリカーボネート樹脂である。本発明のポリエステル樹脂を他の樹脂と共重合させて、電子写真感光体の感光層のバインダー樹脂として用いる場合、ポリエステル以外の共重合成分の量は、全共重合体中、通常は50モル%以下、好ましくは30モル%以下、最も好ましくは10モル%以下である。
本発明のポリエステル樹脂は、主に電子写真感光体の感光層のバインダー樹脂に用いられるが、他の用途として、摺動材料、成型材料、光学材料、透明フィルム材料、コーティング材料、耐摩耗性付与剤、光機能性樹脂、レジスト材料等にも用いることができる。
(II) 電子写真感光体
上述した本発明のポリエステル樹脂は、導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、感光層中のバインダー樹脂またはバインダー樹脂の一部として用いた場合に、優れた電子写真特性を発現する。
以下、本発明のポリエステル樹脂の主な用途である電子写真感光体について、詳細に説明する。
<導電性支持体>
導電性支持体としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫合金)等の導電性材料をその表面に蒸着または塗布した樹脂、ガラス、紙などが主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状等のものが用いられる。金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性等の制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を持つ導電性材料を塗布したものでも良い。
導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いる場合、これに陽極酸化処理,化成皮膜処理等を施してから用いても良い。陽極酸化処理を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。
<下引き層>
導電性支持体と感光層との間には、接着性やブロッキング性等の特性改善の目的で、下引き層を設けても良い。
下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の無機粒子を分散したもの等が用いられる。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子が挙げられる。一種類の粒子のみを用いても良いし、複数の種類の粒子を混合して用いても良い。これらの金属酸化物粒子の中でも、酸化チタンおよび酸化アルミニウムが好ましく、酸化チタンが特に好ましい。
酸化チタン粒子を使用する場合は、その表面に酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、またはステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理が施されたものでも良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルックカイト、アモルファス等のいずれの結晶型でも良く、さらには複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
また、金属酸化物粒子の粒径としては、種々のものが利用できるが、特性および液の安定性の観点から、平均一次粒径として10〜100nmの範囲が好ましく、10〜25nmの範囲が特に好ましい。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、フェノキシ、エポキシ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等が単独あるいは硬化剤とともに硬化した形で使用できるが、中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すので好ましい。
バインダー樹脂に対する金属酸化物粒子等の無機粒子の添加比は、任意に選ぶことができるが、分散液の安定性および塗布性の観点から、10〜500重量%の範囲で使用することが好ましい。また、下引き層には、公知の酸化防止剤等を添加しても良い。
下引き層の膜厚は任意に選ぶことができるが、感光体特性および塗布性の観点から、0.1〜20μmの範囲が好ましい。
<感光層>
(1) 層構成
電子写真感光体の感光層の基本構成として、具体的には、
・導電性支持体上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層、および、電荷輸送物質とバインダー樹脂とを主成分とする電荷輸送層を、この順に積層した積層型感光体、
・導電性支持体上に、電荷輸送物質とバインダー樹脂とを主成分とする電荷輸送層、および、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層を、この順に積層した逆二層型感光体、
・導電性支持体上に、電荷輸送物質とバインダー樹脂とを含有する層を積層し、この層中に電荷発生物質を分散させた単層型(分散型)感光体、
等が挙げられる。
(2) 積層型感光層
(2a) 電荷発生層
積層型感光体の場合、その電荷発生層に使用される電荷発生物質としては、例えば、セレニウムおよびその合金、硫化カドミウム、その他無機系光導材料、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等の有機顔料等、各種の光導電材料が使用できるが、有機顔料が好ましく、フタロシアニン顔料やアゾ顔料が特に好ましい。中でも、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、錫、チタニウム、亜鉛、バナジウム等の金属もしくはそれらの酸化物、塩化物の配位したフタロシアニン類、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、ポリアゾ類等のアゾ顔料が好ましい。
電子写真感光体の電荷発生物質としてフタロシアニン化合物を用いる場合、具体的には、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム等の金属またはその酸化物、ハロゲン化物等の配位したフタロシアニン類が使用される。3価以上の金属原子への配位子の例としては、上に示した酸素原子、塩素原子の他、水酸基、アルコキシ基などがあげられる。特に感度の高いX型、τ型無金属フタロシアニン、α型、β型、Y型等のチタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン等が好適である。なお、ここで挙げたチタニルフタロシアニンの結晶型のうち、α型、β型についてはW.HellerらによってそれぞれII相、I相として示されており(Zeit. Kristallogr. 159 (1982) 173)、β型は安定型として知られているものである。最も好ましく用いられるY型は、CuKα線を用いた粉末X線回折において、回折角2θ±0.2゜が27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とする結晶型である。フタロシアニン化合物は単一の化合物のもののみを用いても良いし、いくつかの混合状態でも良い。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態に置ける混合状態として、それぞれの構成要素を後から混合して用いても良いし、合成,顔料化,結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じせしめたものでも良い。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。
これらの電荷発生物質を、例えば、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテル等の各種バインダー樹脂で結着した形で使用する。この場合の電荷発生物質の使用比率は、バインダー樹脂100重量部に対して通常20〜2000重量部、好ましくは30〜500重量部、より好ましくは33〜500重量部の範囲である。
また、必要に応じて、他の有機光導電性化合物,染料色素,電子吸引性化合物を含有しても良い。
電荷発生層の膜厚は、通常は0.05〜5μm、好ましくは0.1〜2μm、より好ましくは0.15〜0.8μmが好適である。
(2b) 電荷輸送層
電子写真感光体の電荷輸送層は、主として電荷輸送物質とバインダー樹脂とから構成される。バインダー樹脂としては、前述したポリエステル樹脂が主として用いられる。
電荷輸送物質としては、2,4,7−トリニトロフルオレノンなどの芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン類などの電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、チアジアゾール誘導体などの複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン化合物、これらの化合物が複数結合されたもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体などの電子供与性物質が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体およびこれらの誘導体が複数結合されたものが好ましく、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体が複数結合されてなるものが特に好ましい。
上の例示に代表される電荷輸送物質は、単独で用いても良く、幾つかを混合して用いてもよい。これらの電荷輸送物質がバインダー樹脂に結着した形で電荷輸送層が形成される。電荷輸送層は、単一の層から成っていても良いし、構成成分あるいは組成比の異なる複数の層を重ねたものでも良い。
電荷輸送層のバインダー樹脂と電荷輸送物質の割合は、通常、バインダー樹脂100重量部に対して電荷輸送物質が20〜200重量部用いられるが、好ましくは40〜150重量部以下、最も好ましくは上限を90重量部とするのが、ポリアリレートの機械特性を維持する上で有利である。電荷輸送物質の割合が少なすぎると、充分な電気特性を得られない傾向にある。また、膜厚は一般に10〜60μm、好ましくは10〜45μm、更に好ましくは27〜40μmである。
電荷輸送層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させる目的で、周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、増感剤等の添加物を含有させても良い。
酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物,ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。
(3)単層型感光層
感光層が単層型である場合には、上述したポリエステル樹脂を主体とする電荷輸送媒体中に、積層型感光体と同様の電荷発生物質および上述した電荷輸送物質が分散される。この場合、電荷発生物質の粒子径は充分に小さい必要があり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下のものが使用される。感光層内に分散される電荷発生物質の量は、少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害があることから、0.5〜50重量%の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜20重量%の範囲で使用することがより好ましい。
単層型感光層の膜厚は、通常は5〜50μm、より好ましくは10〜45μmの範囲が適当である。また、単層型感光層の場合にも、成膜性、可撓性、機械的強度等を改良するための公知の可塑剤、残留電位を抑制するための添加剤、分散安定性向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤、界面活性剤、例えばシリコ−ンオイル、フッ素系オイルその他の添加剤を添加しても良い。
(4)その他の添加剤
電子写真感光体の感光層に場合により添加される染料色素としては、例えばメチルバイオレット,ブリリアントグリーン,クリスタルバイオレット等のトリフェニルメタン染料,メチレンブルーなどのチアジン染料,キニザリン等のキノン染料およびシアニン染料やビリリウム塩,チアビリリウム塩,ベンゾビリリウム塩等が挙げられる。
また、電子吸引性化合物としては、例えばクロラニル、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン、1−ニトロアントラキノン、1−クロロ−5−ニトロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、フェナントレンキノン等のキノン類;4−ニトロベンズアルデヒド等のアルデヒド類;9−ベンゾイルアントラセン、インダンジオン、3,5−ジニトロベンゾフェノン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、3,3′,5,5′−テトラニトロベンゾフェノン等のケトン類;無水フタル酸、4−クロロナフタル酸無水物等の酸無水物;テトラシアノエチレン、テレフタラルマロノニトリル、9−アントリルメチリデンマロノニトリル、4−ニトロベンザルマロノニトリル、4−(p−ニトロベンゾイルオキシ)ベンザルマロノニトリル等のシアノ化合物;3−ベンザルフタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)フタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等のフタリド類等の電子吸引性化合物が挙げられる。
(5)感光層の形成方法
電子写真感光体の感光層は、常法に従って、電荷輸送物質をポリアリレート樹脂を含むバインダー樹脂と共に適当な溶剤中に溶解し、必要に応じて、適当な電荷発生物質,増感染料,電子吸引性化合物,他の電荷輸送物質、あるいは、可塑剤,顔料等の周知の添加剤を添加して得られる塗布液を導電性支持体上に塗布,乾燥して感光層を形成させることにより製造することができる。電荷発生層と電荷輸送層の二層からなる感光層の場合は、電荷発生層の上に上記塗布液を塗布するか、上記塗布液を塗布して得られる電荷輸送層の上に電荷発生層を形成させることにより製造することができる。
塗布液調製用の溶剤としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;酢酸エチル、蟻酸メチル、メチルセロソルブアセテート等のエステル類;ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素などのアミン系化合物を溶解させる溶剤が挙げられる。勿論、これらの中からバインダーを溶解するものを選択する必要がある。
また、電子写真感光体の感光層は、製膜性、可撓性、機械的強度を向上させる目的で、周知の可塑剤を含有していてもよい。そのために上記塗布液中に添加する可塑剤としては、フタル酸エステル,燐酸エステル,エポキシ化合物,塩素化パラフィン,塩素化脂肪酸エステル,メチルナフタレンなどの芳香族化合物などが挙げられる。アリールアミン系化合物を電荷輸送層中の電荷輸送物質として用いる場合の塗布液は前記組成のものでもよいが、光導電性粒子,染料色素,電子吸引性化合物等は除くか、少量の添加でよい。この場合の電荷発生層としては、上記光導電性粒子に加えて、必要に応じ、バインダーポリマーや他の有機光導電性物質、染料色素、電子吸引性化合物等の溶媒に溶解、分散させて得られる塗布液を塗布乾燥した薄層、あるいは前記光導電性粒子を蒸着等の手段により製膜して形成した層が挙げられる。
<その他の保護層>
なお、感光層の上に、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けても良い。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を軽減する目的で、表面の層にはフッ素系樹脂、シリコン樹脂等を含んでいても良い。また、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含んでいても良い。
さらに必要に応じて、バリアー層,接着層,ブロッキング層等の中間層,透明絶縁層など、電気特性,機械特性の改良のための層を有していてもよいことはいうまでもない。
<各層の形成方法>
感光層の塗布方法としては、スプレー塗布法、スパイラル塗布法、リング塗布法、浸漬塗布法等がある。
スプレー塗布法としては、エアスプレー、エアレススプレー、静電エアスプレー、静電エアレススプレー、回転霧化式静電スプレー、ホットスプレー、ホットエアレススプレー等があるが、均一な膜厚を得るための微粒化度、付着効率等を考えると回転霧化式静電スプレーにおいて、再公表平1−805198号公報に開示されている搬送方法、すなわち円筒状ワークを回転させながらその軸方向に間隔を開けることなく連続して搬送することにより、総合的に高い付着効率で膜厚の均一性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
スパイラル塗布法としては、特開昭52−119651号公報に開示されている注液塗布機またはカーテン塗布機を用いた方法、特開平1−231966号公報に開示されている微小開口部から塗料を筋状に連続して飛翔させる方法、特開平3−193161号公報に開示されているマルチノズル体を用いた方法等がある。
以下、浸漬塗布法について説明する。
電荷輸送物質(好ましくは前述の化合物)、ポリアリレート樹脂、溶剤等を用いて、全固形分濃度が通常25〜40%、粘度が通常50〜300センチポアーズ、好ましくは100〜200センチポアーズの電荷輸送層形成用の塗布液を調整する。ここで実質的に塗布液の粘度はバインダーポリマーの種類およびその分子量により決まるが、分子量が低すぎる場合にはポリマー自身の機械的強度が低下するため、これを損わない程度の分子量を持つバインダーポリマーを使用することが好ましい。この様にして調整された塗布液を用いて、浸漬塗布法により電荷輸送層が形成される。
その後塗膜を乾燥させるが、必要且つ充分な乾燥が行なわれる様に、乾燥温度時間を調整すると良い。乾燥温度は通常は100〜250℃、好ましくは110〜170℃、さらに好ましくは120〜140℃の範囲である。乾燥方法としては、熱風乾燥機,蒸気乾燥機,赤外線乾燥機および遠赤外線乾燥機等を用いることができる。
この様にして得られる電子写真用感光体は、高感度で、残留電位が低く、帯電性が高く、かつ、繰返しによる変動が小さく、特に、画像濃度に影響する帯電安定性が良好であることから、高耐久性感光体として用いることができる。また、750〜850nmの領域の感度が高いことから、特に半導体レーザープリンター用感光体に適している。
<電子写真装置>
本発明の電子写真感光体を使用する複写機・プリンター等の電子写真装置は、少なくとも帯電、露光、現像、転写の各プロセスを含むが、いずれのプロセスについても、通常用いられる任意の方法を用いて構わない。以下具体的に述べると、帯電方法(帯電器)としては、例えばコロナ放電を利用したコロトロンあるいはスコロトロン帯電,導電性ローラーあるいはブラシ、フィルムなどによる接触帯電などの通常の方法のうち、いずれを用いても良い。このうち、コロナ放電を利用した帯電方法では、暗部電位を一定に保つためにスコロトロン帯電が用いられることが多い。また、現像方法としては、磁性あるいは非磁性の一成分現像剤,二成分現像剤などを接触あるいは非接触させて現像する一般的な方法が用いられる。転写方法としては、コロナ放電による方法,転写ローラーあるいは転写ベルトを用いた方法等、いずれでもよい。転写方法としては、紙やOHP用フィルム等に対して直接行なっても良いし、一旦中間転写体(ベルト状あるいはドラム状)に転写したのちに、紙やOHP用フィルム上に転写しても良い。
通常、転写の後、現像剤を紙などに定着させる定着プロセスが用いられ、定着手段としては一般的に用いられる熱定着、圧力定着などを用いることができる。
これらのプロセスのほかに、通常用いられるクリーニング,除電等のプロセスを有しても良い。
以下に、本発明の具体的態様を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではなく、その要旨を越えない限り、様々な形態で実施することが可能である。
(1) ポリエステル樹脂
・実施例1
[ポリエステル樹脂の製造]
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(4.69g)とH2O(400ml)を秤取り、窒素バブリングしながら攪拌し溶解させた。そこに4−tert−ブチルフェノール(0.1947g)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.0587g)、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン[TmBPF=B−1](5.66g)、下記構造を有するビスフェノール化合物[A−1](6.28g)の順に添加、攪拌した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。
Figure 2006221197
別途、テレフタル酸クロライド(9.15g)をジクロロメタン(200ml)に溶解し、滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに3時間攪拌を続けた後、酢酸(1.46ml)、ジクロロメタン(100ml)、水(50ml)を加え30分攪拌した。その後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(540ml)中に注ぎ攪拌後分液して洗浄を行ない、次に0.1N塩酸(540ml)にて洗浄を2回行ない、さらにH2O(540ml)にて洗浄を2回行なった。
洗浄後の有機層に塩化メチレン200mlを加えて希釈し、メタノール(1500ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂を得た。得られた実施例1のポリエステル樹脂の構造を以下に示す。
Figure 2006221197
[粘度平均分子量の測定]
実施例1のポリエステル樹脂をジクロロメタンに溶解し、濃度Cが6.00g/Lの溶液を調製した。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定した。測定した流下時間tを用い、以下の数式に従って、実施例1のポリエステル樹脂の粘度平均分子量Mvを算出したところ、72,800であった。
a=0.438×ηsp+1 〔但し、ηsp=t/t0−1〕
b=100×ηsp/C 〔但し、C=6.00(g/L)〕
η=b/a
Mv=3207×η1.205
・実施例2〜8、比較例1〜6
表1に示す共重合組成と同じ組成でビスフェノールとジカルボン酸を仕込み、上述の実施例1と同様の製造方法にて、実施例2〜8および比較例1〜6のポリエステル樹脂をそれぞれ製造し、実施例1と同様の測定方法にてそれぞれの粘度平均分子量を測定した。得られた実施例2〜8および比較例1〜6のポリエステル樹脂の粘度平均分子量を、後述する表1に示す。
(2) 電子写真感光体
・実施例1
[電荷発生層の製造]
下記構造を有するβ型オキシチタニウムフタロシアニン10重量部を、4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2 150重量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行なった。
Figure 2006221197
また、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名デンカブチラール#6000C)の5% 1,2−ジメトキシエタン溶液100部、および、フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名PKHH)の5% 1,2−ジメトキシエタン溶液100部を混合して、バインダー溶液を作製した。
先に作製した顔料分散液160重量部に、上で得られたバインダー溶液100重量部、および、適量の1,2−ジメトキシエタンを加え、最終的に固形分濃度4.0%の分散液を調製した。
この様にして得られた分散液を、表面にアルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム上に、膜厚が0.4μmとなるように塗布して、電荷発生層を設けた。
[電荷輸送層の製造]
次に、このフィルム上に、下記構造の電荷輸送材料[1](但し、左側のフェニルブタジエン鎖は括弧内の左側の2つのベンゼン環のいずれかに、右側のフェニルブタジエン鎖は括弧内の右側の2つのベンゼン環のいずれかに、それぞれ結合している。)50部、および上述の手順で得られた実施例1のポリエステル樹脂を100部、およびレベリング剤としてシリコーンオイル0.03部をトルエン/テトラヒドロフラン(重量比2/8)の混合溶媒に溶解させた液を塗布し、125℃で20分間乾燥し、乾燥後の膜厚が20μmとなるように電荷輸送層を設けた。このときポリエステル樹脂の溶解性は良好であった。こうして得られた感光体で以下の評価を行なった。
Figure 2006221197
[電気特性]
電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404−405頁記載)を使用し、上記感光体をアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体のアルミニウム基体との導通を取った上で、ドラムを一定回転数で回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行なった。その際、初期表面電位を−700Vとし、露光は780nm、除電は660nmの単色光を用い、780nmの光を2.4μJ/cm2照射した時点の表面電位(VL)を測定した。VL測定に際しては、露光−電位測定に要する時間を139msとした。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%以下(N/N)とした。測定結果を後述の表1に示す。この表面電位(VL)の値の絶対値が小さいほど、応答性が良いことを示す。
[摩耗試験]
感光体フィルムを直径10cmの円形に切断し、テーバー摩耗試験機(東洋精機社製)を用いて摩耗評価を行なった。試験条件は、23℃、50%RHの雰囲気下、摩耗輪CS−10Fを用いて、荷重なし(摩耗輪の自重)で1000回回転させた上で、試験前後の感光体フィルムの重量を比較することにより摩耗量を測定した。測定結果を後述の表1に示す。
・実施例2〜8、比較例1〜6
上記実施例1の感光体の製造(電荷輸送層の製造)において用いたポリエステル樹脂に替えて、表1に示す共重合組成のポリエステル樹脂(先に作成した、実施例2〜8および比較例1〜6のポリエステル樹脂)をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様の操作を行ない感光体を製造した。得られた感光体の各々について、実施例1と同様の方法および条件により、摩耗試験および電気特性の評価を行なった。評価結果を後述の表1に示す。
Figure 2006221197
上の表1に挙げた化合物A−1〜A−6およびB−1〜B−5の構造は、先に前記一般式(1)の繰り返し単位を形成する炭素数2以上10未満の直鎖状または分岐鎖状アルキル基を有するジオールの具体例、および、前記一般式(1)以外の繰り返し単位を形成するジオールの具体例として、同一の符号を付して例示した構造と同一である。
また、上の表1における各項目の記載は、以下の通りである。
TPA:テレフタル酸、
IPA:イソフタル酸、
溶解性:AはTHF/トルエン(8/2 重量比)に溶解、
BはTHF/トルエン(8/2)に不溶、
1,2−ジクロロエタンに溶解、
CはTHF/トルエン(8/2)に不溶、
1,2−ジクロロエタンに不溶、
摩耗試験:テーバー摩耗試験における1000回転後の重量減少、
電気特性:VL値が小さい程電気特性良好
(NN:25℃,50%RH、 LL:5℃,10%RH)。
以上の結果から、本発明のポリエステル樹脂は、有機溶媒への溶解性が良好であるとともに、本ポリエステル樹脂を電荷輸送層のバインダーとして用いることにより、耐磨耗性および電気特性がともに優れた電子写真感光体を得られることが分かる。

Claims (10)

  1. 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、
    該感光層が、構造式中に下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含み、粘度平均分子量が1万〜10万であるポリエステル樹脂を含む
    ことを特徴とする、電子写真感光体。
    Figure 2006221197
    (上記一般式(1)において、Xは、単結合、硫黄原子、酸素原子、スルホニル基、シクロアルキル基、または−CR910−を表し、Wは、置換されていても良い二価の芳香族基または置換されていても良い二価の炭化水素基を表す。R1〜R10はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、またはアルコキシル基を表す。ただし、R1〜R10のうち少なくとも一つは、炭素数2〜9の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基である。)
  2. 上記一般式(1)中、Wが下記一般式(2)で表される
    ことを特徴とする、請求項1記載の電子写真感光体。
    Figure 2006221197
    (上記一般式(2)において、R11〜R14は水素原子、炭化水素基、アリール基、ハロゲン基、またはアルコキシル基を表す。ただし、上記一般式(1)のR1〜R10および上記一般式(2)のR11〜R14のうち少なくとも一つは、炭素数2〜9の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基である。)
  3. 該ポリエステル樹脂を構成する全ジカルボン酸成分中のイソフタル酸成分の割合が50モル%未満である
    ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 上記一般式(1)において、Xが−CR910−であるとともに、R9およびR10の少なくとも1つが水素原子である
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 上記一般式(1)において、Xが−CR910−であるとともに、R9およびR10がともに水素原子またはメチル基である
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 上記一般式(1)において、Xが−CR910−であるとともに、R1〜R9の全てが水素原子且つR10が上述の炭素数2〜9のアルキル基である
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 上記一般式(1)において、R1〜R8のうち少なくとも一つが、エチル基である
    ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  8. 上記一般式(1)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位が、以下の一般式(3)で表される
    ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
    Figure 2006221197
    (上記一般式(3)において、X′は、単結合、硫黄原子、酸素原子、スルホニル基、シクロアルキル基、または−CR2324−を表し、Yは、フェニル基、ビフェニレン基、ナフチレン基、またはアルキリデン基を表す。R15〜R24はそれぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、アリール基、ハロゲン基、またはアルコキシル基を表す。また、R23,R24は互いに結合して環状構造を形成してもよい。但し、上記一般式(3)は前記一般式(1)とは同一ではない。)
  9. 上記一般式(3)において、X′が−CH2−で表される
    ことを特徴とする、請求項8記載の電子写真感光体。
  10. 上記一般式(1)で表される繰り返し単位の割合が、該ポリエステル樹脂を構成する全繰り返し単位中、10〜90モル%である
    ことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
JP2006129442A 2001-06-29 2006-05-08 電子写真感光体 Pending JP2006221197A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006129442A JP2006221197A (ja) 2001-06-29 2006-05-08 電子写真感光体

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001198241 2001-06-29
JP2006129442A JP2006221197A (ja) 2001-06-29 2006-05-08 電子写真感光体

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001381742A Division JP2003082078A (ja) 2001-06-29 2001-12-14 ポリエステル樹脂およびそれを用いた電子写真感光体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006221197A true JP2006221197A (ja) 2006-08-24

Family

ID=36983521

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006129442A Pending JP2006221197A (ja) 2001-06-29 2006-05-08 電子写真感光体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006221197A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3249471A1 (en) * 2016-05-27 2017-11-29 Canon Kabushiki Kaisha Electrophotographic photosensitive member, process cartridge, and electrophotographic apparatus

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3249471A1 (en) * 2016-05-27 2017-11-29 Canon Kabushiki Kaisha Electrophotographic photosensitive member, process cartridge, and electrophotographic apparatus
CN107436541A (zh) * 2016-05-27 2017-12-05 佳能株式会社 电子照相感光构件、处理盒和电子照相设备
US10067432B2 (en) 2016-05-27 2018-09-04 Canon Kabushiki Kaisha Electrophotographic photosensitive member, process cartridge, and electrophotographic apparatus
CN107436541B (zh) * 2016-05-27 2020-12-29 佳能株式会社 电子照相感光构件、处理盒和电子照相设备

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3781268B2 (ja) ポリエステル樹脂及びその製造方法、並びにそれを用いた電子写真感光体
JP5625231B2 (ja) 液体現像用画像形成装置及び画像形成方法
JP4371568B2 (ja) 電子写真感光体
JP4246621B2 (ja) 電子写真感光体
JP4132640B2 (ja) 電子写真感光体
JP2003082078A (ja) ポリエステル樹脂およびそれを用いた電子写真感光体
JP4054541B2 (ja) 電子写真感光体用ポリエステル樹脂およびそれを用いた電子写真感光体
JP3891791B2 (ja) 電子写真感光体
JP4084933B2 (ja) ポリエステル樹脂およびそれを用いた電子写真感光体
JP2002214807A (ja) 電子写真感光体
JP4154873B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP3926093B2 (ja) 電子写真感光体
JP4835668B2 (ja) 電子写真感光体
JP4298190B2 (ja) 電子写真感光体
JP2004294750A (ja) 電子写真感光体
JP4527265B2 (ja) 電子写真感光体
JP2006221197A (ja) 電子写真感光体
JP4973196B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ及び画像形成装置
JP4661575B2 (ja) 電子写真感光体、該感光体を用いる電子写真カートリッジ、及び該感光体を用いる画像形成装置
JP4449481B2 (ja) 電子写真感光体
JP2006113612A (ja) 電子写真感光体
JP4487997B2 (ja) 電子写真感光体
JP4151428B2 (ja) 電子写真感光体
JP4107135B2 (ja) 電子写真感光体
JP4151427B2 (ja) 電子写真感光体

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080208

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080304

A02 Decision of refusal

Effective date: 20080701

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02