JP6609951B2 - ポリエステル樹脂の製造方法及びそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

ポリエステル樹脂の製造方法及びそれを用いた電子写真感光体 Download PDF

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Description

本発明は、ポリエステル樹脂の製造方法、詳しくは溶液重合又は溶融重合により得られるオリゴマーを用いて界面重合によりポリエステル樹脂を製造する方法であり、更にはそれを用いて得られたポリエステルを使用した電子写真感光体に関するものである。
機械的強度に優れ、非晶性であるエンジニアリングプラスチックの一つとして、ポリエステル樹脂が知られている。このポリエステル樹脂の構造に関しては、これまで求められる特性に対して様々な構造が提案されている。近年、電気、電子分野などで透明性、耐摩耗性に優れた塗布膜用樹脂の要求が高まっており、その中でも電子写真分野においては、有機感光体のバインダー樹脂として、様々な構造のポリエステル樹脂の利用が検討されている。
電子写真感光体は、電子写真プロセス、即ち、帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電等のサイクルで繰り返し使用され、その間様々なストレスを受け劣化する。このような劣化としては、例えば、帯電器として普通用いられるコロナ帯電器から発生する強酸化性のオゾンやNOxが感光層に与える化学的なダメージ、像露光で生成したキャリアー(電流)が感光層内を流れること、トナーを紙へ転写するための帯電による電気的なダメージ、除電光又は外部からの光による感光層組成物の分解等の化学的、電気的劣化がある。これらの劣化が電子写真感光体寿命の原因となるため、感光層にはこれら劣化に対する耐久性が要求される。
電子写真感光体へのポリエステル樹脂の展開として、市販されているポリエステル樹脂である「U−ポリマー」を感光層のバインダー樹脂として用いることにより、多くの電子写真感光体に使用されているポリカーボネート樹脂を用いる場合と比較して感度が向上することが報告されている(特許文献1参照)。しかしながら、このポリエステル樹脂を溶解して調製した塗布液の安定性が低く、塗布製造が困難な場合があった。この問題に対し、特定構造の2価フェノール成分を用いたポリエステル樹脂をバインダー樹脂とすることで、電子写真感光体を製造する際に用いる塗布溶液の安定性の向上、及び電子写真感光体の機械的強度、耐摩耗性の改良が報告されている(特許文献2〜特許文献5参照)。
これら電子写真感光体に使用されるポリエステルの製造は、有機層と水層の2相系を混合し相関移動触媒を用いた界面重合が一般的である。界面重合法は、アルカリ水溶液に2価フェノールを溶解させるため、有機溶剤に溶解しづらい2価フェノールを使用することができ、さらに高分子量のポリエステル樹脂が得られるなどの利点がある。一方で、強アルカリ性の水溶液を使用するため、反応性の低い2価脂肪族アルコールを使用できない、2価フェノールが酸化しやすい、エステル結合を有する2価フェノールをモノマーにすると加水分解されるため使用できないなどの欠点があり、得られる重合体の構造は限られていた。この欠点に対し、例えば、特許文献6、特許文献7では大量の酸化防止剤を用い界面重合を行うことにより、酸化しやすい2価フェノールのビフェノールやレソルシノール等を導入したポリエステルが得られている。一方、溶融重合法を脂肪族アルコールの導入や酸化しやすい2価フェノールをポリエステル樹脂内に導入することが可能である。
特開昭56−135844号公報 特開平3−6567号公報 特開平9−22126号公報 特開平9−319129号公報 特開2006−290959号公報 特開2008−214541号公報 特開2010−83986号公報
しかしながら、特許文献6、特許文献7に記載の技術では、大量に酸化防止剤を用いるため得られた樹脂に酸化防止剤が残留し電気特性等の特性が劣化する場合がある。また、溶融重合では、溶融時の粘度が高すぎると取扱いが困難になるため、通常得られるポリエステルの粘度平均分子量は20,000前後であり、耐久性が不十分な場合がある。特に電子写真分野では、近年100,000枚以上印刷するような高寿命・高速ハイエンド機種が登場し、高い機械強度が必要であるため、高分子量のポリエステル樹脂が求められる。
本発明は、酸化しやすい2価フェノール、反応性の悪い2価アルコール、エステル結合を有する2価フェノールなどを含有しながら高分子量化できるポリエステル樹脂の製造方法を提供することが目的であり、さらに、該ポリエステル樹脂製造方法から得られるポリエステル樹脂を電子写真感光体のバインダー樹脂として用いることで、電気特性及び耐久性に優れた感光体を得ることを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決しうるポリエステル樹脂の製造について鋭意検討を行なった結果、1段階目に溶液重合や溶融重合等によりエステルオリゴマーを製造した後に、2段階目に1段階目で得られたエステルオリゴマーを原料として使用し、界面重合等でポリエステル樹脂を製造することにより、酸化しやすい2価フェノール、反応性の悪い2価アルコール、エステル結合を有した2価フェノールなどを導入した高分子量ポリエステル樹脂が得られることを見出し、さらに得られたポリエステル樹脂が電子写真感光体の特性を改良できることを見出し、本発明に至った。即ち、本発明の要旨は、以下<1>〜<9>に存する。
<1>ポリエステル樹脂の製造方法であって、少なくとも1種類のエステルオリゴマーを原料とすることを特徴とする、ポリエステル樹脂の製造方法。
<2>前記エステルオリゴマーが、溶液重合法又は溶融重合法により得られることを特徴とする、<1>に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
<3>少なくとも1種類のエステルオリゴマーを原料として、界面重合法により重合することを特徴とする、<1>又は<2>に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
<4>少なくとも2種類のジカルボン酸クロライドを使用することを特徴とする、<1>〜<1>のいずれか1つに記載のポリエステル樹脂の製造方法。
<5>少なくとも2種類の2価フェノール、又は2価アルコールを使用することを特徴とする、<1>〜<4>のいずれか1つに記載のポリエステル樹脂の製造方法。
<6>前記ポリエステル樹脂の粘度平均分子量が15,000〜100,000となるように重合することを特徴とする、<1>〜<5>のいずれか1つに記載のポリエステル製造方法。
<7>ポリエステルポリカーボネート樹脂の製造方法であって、少なくとも溶融重合法で製造された1種類のカーボネートオリゴマー又はポリカーボネート樹脂を原料とし、界面重合法により重合することを特徴とする、ポリエステルポリカーボネート樹脂の製造方
法。
<8>前記ポリエステルポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が30,000〜150,000となるように重合することを特徴とする、<7>に記載のポリエステルポリカーボネート樹脂の製造方法。
<9>導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が<1>〜<8>のいずれか1つに記載の製造方法によって製造されたポリエステル樹脂又はポリエステルポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする、電子写真感光体。
本発明によれば、酸化しやすい2価フェノール、反応性が悪い2価アルコール、エステル結合を有した2価フェノールなどを含有させた高分子量ポリエステル樹脂を製造することが可能であり、さらに、該ポリエステル樹脂製造方法から得られるポリエステル樹脂を電子写真感光体のバインダー樹脂として用いることで、電気特性及び耐久性に優れた感光体を得られる。
本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の一実施例を示す概念図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明のポリエステル樹脂を製造する方法は、原料として少なくとも1つのエステルオリゴマー、カーボネートオリゴマー又はポリカーボネート樹脂を使用し、ポリエステル樹脂を得る方法である。以下にポリエステル樹脂の製造法の一例を説明する。
なお、本発明においてエステルとはカルボン酸残基とフェノール残基又はアルコール残基から構成されるエステル結合のことを示し、カーボネートはフェノール残基とカルボニル基から構成されるカーボネート結合のことを示す。また、エステルオリゴマーは、2価カルボン酸と2価フェノール及び/又は2価アルコールが反応した生成物を示し、ポリマーとの明確な境界線は無いが、1個又は数個の構成単位を除去することによりその性質が変化するような分子であり、本発明中においては例えば、粘度平均分子量(Mv)が800〜20,000程度の化合物が挙げられる。なお、粘度平均分子量が上記範囲を超える場合においても、同等効果の製造方法であれば本発明の範囲を超えない。また、本発明において、フェノールとは芳香族アルコールのことを示し、アルコールとはアルキルアルコールのことを示す。
≪エステルオリゴマーの製造方法≫
エステルオリゴマーを製造する方法としては、溶液重合、溶融重合、界面重合が挙げられる。これらの中で、ビスフェノールの酸化防止、2価アルコールの反応性、モノマー中のエステル結合の安定性などの観点から、溶液重合及び溶融重合が好ましい。さらに、製造の簡便さから、溶液重合が特に好ましい。
エステル結合を有する2価フェノールを用いる場合、エステルオリゴマー製造時に用いることが好ましい。電子写真感光体用ポリエステルを製造する場合に一般的な界面重合法では、アルカリ塩となった2価フェノールが水層に溶解した際に、水酸化物イオン等の求核剤により速やかにエステル結合が加水分解され、重合が進行しない。そこで、溶液重合法や溶融重合法によりエステルオリゴマー中にエステル結合を有する2価フェノールを導
入することにより、水溶液に溶解しづらくなり加水分解されることなく、下記のポリエステル製造に使用することが可能となる。
酸化されやすい2価フェノールを用いる場合、エステルオリゴマー製造時に用いることが好ましい。酸化されやすい2価フェノールは、アニオンになった際に、特に酸化されやすくなる。そのため、界面重合法では、強アルカリ水溶液によりアニオンとなり速やかに酸化され重合が進行しなくなる。そこで、アニオンを形成しない溶液重合法や溶融重合法により、エステルオリゴマー中に酸化されやすい2価フェノールをあらかじめ導入することにより、下記のポリエステル製造に使用することが可能となる。
溶液重合法による製造の場合は、例えば、2価フェノール化合物及び/又は2価アルコール化合物、ジカルボン酸クロライド化合物を溶媒に溶解させ、トリエチルアミン等の塩基を添加することで重合することができる。重合温度は−10℃〜40℃の範囲、重合時間は0.5時間〜10時間の範囲であるのが生産性の点で好ましい。重合終了後、有機相中に溶解しているオリゴマーを、洗浄、回収することにより、目的とするオリゴマーが得られる。また、回収せずに洗浄したオリゴマー溶液を次のポリエステル重合にそのまま使用してもよい。
溶液重合法で用いられる塩基としては、例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジプロピルエチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N,N−ジメチルイソプロピルアミン、N,N−ジエチルイソプロピルアミン、N,N,N´,N´−テトラメチルジエチルアミン、1,4-ジアザビシク
ロ[2,2,2]オクタンなどの3級アミンや、ピリジン、4-メチルピリジンなどのピリ
ジン類及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]‐7‐ウンデセンなどの有機塩基が挙げ
られる。また、フォスファゼン塩基、無機塩基などエステル化反応に使用されるような塩基ならば特に制限されない。これらの塩基の中で、エステル化反応の反応性及び入手の簡便性の観点からトリエチルアミン、N,N−ジプロピルエチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、ピリジンが好ましく、酸クロリドの分解抑制や洗浄における除去の容易さの観点からトリエチルアミンが特に好ましい。塩基の使用量としては、反応系中に含まれるカルボン酸クロライド基の1.01倍当量〜2倍当量の範囲が好ましい。
溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素化合物、トルエン、アニソール、キシレン等の芳香族炭化水素化合物、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素化合物、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン等のエーテル化合物、酢酸エチル、安息香酸メチル、酢酸ベンジル等のエステル化合物、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物、などが挙げられる。また、ピリジンを塩基かつ溶媒として使用してもよい。これらの中で、モノマーや生成するオリゴマーの溶解性及びエステル化反応の反応性の観点から、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエ
タン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジンが好ましい。さらに洗浄効率及び電気特性の観点からジクロロメタンが特に好ましい。
溶液重合法においてオリゴマーを製造する場合、2価フェノール及び/又は2価アルコールとジカルボン酸クロライドの比率は特に決まりがないが、以下に示すポリエステルの製造に使用するためにどちらかを過剰にする必要がある。カルボン酸クロライド末端よりもフェノール末端の方が、空気中及び溶液中の保存安定性が高いため、2価フェノール及び/又は2価アルコールがジカルボン酸クロライドよりも過剰にすることが好ましい。2価フェノール及び/又は2価アルコールがジカルボン酸クロライドよりも過剰とする場合
は、2価フェノール及び/又は2価アルコール:ジカルボン酸クロライドの比率は、モル比率で、10:1〜1.1:1であることが好ましい。
エステルオリゴマーの製造に2価アルコールを用いる場合、アルコールがオリゴマーの末端になると、その水酸基反応性は低いため、以下に示すポリエステルの製造方法には使用することができない場合がある。そのため、2価のアルコール残基をエステルオリゴマーの構造に導入するためには、2価フェノールと共重合する必要がある。本共重合方法としては、あらかじめ2価アルコールとジカルボン酸クロライドを反応させた後に、2価フェノールを添加、反応させることで、末端がフェノール水酸基である共重合体オリゴマーを得ることができる。2価アルコールとジカルボン酸クロライドの比率は、モル比率で1:10〜1:1.1とジカルボン酸クロライドを過剰に使用することが好ましい。
また、エステルオリゴマーの製造において、溶媒に対する溶解性の悪い2価フェノールを使用する場合、2価のカルボン酸クロライドと反応した際に析出し、反応溶液の白濁、オリゴマー化の阻害となる場合がある。そのため、溶解性の悪い2価フェノールをエステルオリゴマーに導入する場合は、溶解性の良い2価フェノール及び/又は2価アルコールとの共重合体とすることが好ましい。さらに溶解性を向上させるため、あらかじめ溶解性の良い2価フェノール及び/又は2価アルコールと2価ジカルボン酸クロライドを反応させた後に、溶解性の悪い2価フェノールを添加、反応させることがより好ましい。上記溶解性の悪いモノマーとしては、例えば、ヒドロキノン、4,4‘−ビフェノール、4―ヒドロキシ安息香酸4―ヒドロキシフェニルなど剛直性の芳香族化合物等が挙げられる。
エステルオリゴマーの製造には、分子量調節剤を使用することができる。又は、以下に示すポリエステル製造時に使用することも可能である。分子量調節剤としては、例えば、フェノール、o,m,p−クレゾール、o,m,p−エチルフェノール、o,m,p−プロピルフェノール、o,m,p−(tert−ブチル)フェノール、ペンチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、2,6−ジメチルフェノール誘導体、2−メチルフェノール誘導体等のアルキルフェノール類;o,m,p−フェニルフェノール等の1官能性のフェノール;酢酸クロライド、酪酸クロライド、オクチル酸クロライド、塩化ベンゾイル、ベンゼンスルホニルクロライド、ベンゼンスルフィニルクロライド、スルフィニルクロライド、ベンゼンホスホニルクロライドやそれらの置換体等の1官能性酸ハロゲン化物等が挙げられる。また、メタノール、エタノール、プロパノール等の1官能脂肪族アルコールや、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート等のアクリル類を有する1官能アルコール、1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−1−n−オクタノール、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロ−1−デカノール等のパーフルオロアルキルを有する1官能アルコール、シロキサンを有する1官能アルコール等が挙げられる。これら分子量調節剤の中でも、分子量調節能が高く、かつ溶液安定性の点で好ましいのは、o,m,p−(tert−ブチル)フェノール、2,6−ジメチルフェノール誘導体、2−メチルフェノール誘導体である。特に好ましくは、p−(tert−ブチル)フェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノールである。
エステルオリゴマーの粘度平均分子量(Mv)は、通常800以上である。また、通常20,000以下であり、好ましくは15,000以下である。粘度平均分子量が800未満であると以下に示す界面重合によるポリエステル製造時にアルカリ水溶液中に溶解してしまいエステル結合が分解してしまう場合がある。20,000を超えると製造効率の低下や、以下に示すポリエステル製造時に粘度平均分子量を狙い通りに調整することが困難となる場合がある。
また、2価フェノールを酸化させないために、重合反応中や洗浄液中に酸化防止剤を添
加することができる。酸化防止剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイト(次亜硫酸ナトリウム)、二酸化硫黄、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、酸化防止の効果及び環境負荷の低減からもハイドロサルファイトが特に好ましい。酸化防止剤の使用量としては、全2価フェノールに対して、通常0.01質量%以上、酸化防止の観点から、好ましくは0.1質量%以上である。通常10.0質量%以下であり、電気特性の観点から、5質量%以下が好ましい。
エステルオリゴマーの重合後の洗浄方法は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意の方法を用いることができるが、例えば、エステルオリゴマーの溶液を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ水溶液;塩酸、硝酸、リン酸等の酸水溶液;水等で洗浄した後、静置分離、遠心分離等により分液する方法が挙げられる。洗浄後のエステルオリゴマーは、エステルオリゴマーが不溶の水、アルコールその他有機溶媒中に析出させるか、エステルオリゴマーの溶液を温水又はポリエステル樹脂が不溶の分散媒中で溶媒を留去するか、加熱、減圧等により溶媒を留去することにより取り出してもよいし、スラリー状で取り出した場合は遠心分離器、濾過器とうにより固体を取り出すこともできる。また、エステルオリゴマーは洗浄後に取り出さず、溶液として以下のポリエステル樹脂製造にそのまま使用してもよい。
エステルオリゴマーを取り出した場合は、通常エステルオリゴマーの分解温度以下の温度で乾燥するが、好ましくは20℃以上、エステルオリゴマーの溶融温度以下で乾燥することができる。このとき減圧下で乾燥することが好ましい。乾燥時間は残存溶媒等の不純物の純度が一定以下になるまでの時間以上行うことが好ましく、具体的には、残存溶媒が通常1000ppm以下、好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下になる時間以上乾燥する。
エステルオリゴマー製造時に使用した塩基は、以下に示すポリエステル製造に反応の阻害や、ジカルボン酸クロライドの分解などの悪影響を与える可能性があるため、塩基の残存量は通常50,000ppm以下、好ましくは10,000ppm以下、更に好ましくは5,000ppm以下である。
≪カーボネートオリゴマー、ポリカーボネート樹脂の製造方法≫
本発明で使用するカーボネートオリゴマー又はポリカーボネート樹脂は、溶融重合による製造のものである。溶融重合で製造されるカーボネートオリゴマー又はポリカーボネートは、多くのフェノール末端を有しているため、下記に示すポリエステルの製造時にカルボン酸クロライドと反応し、簡便に共重合体を得ることが可能である。カーボネートオリゴマー及びポリカーボネートの末端に存在するOH基量は、通常30μ当量/g以上、好ましくは50μ当量/g以上である。末端OH基量が上記範囲を超えないと、下記ポリエステル樹脂の製造時に十分反応せず、共重合体が得られない可能性がある。
≪ポリエステルの製造方法≫
前記エステルオリゴマー、カーボネートオリゴマー、ポリカーボネート樹脂の少なくとも1つを使用し、ポリエステル樹脂を製造する際、溶液重合法又は界面重合法が好ましい。特に、製造されるポリエステル樹脂の分子量調整の簡便さ及び電気特性の観点から、界面重合法が特に好ましい。
界面重合法による製造の場合は、例えば、アルカリ水溶液と、前記エステルオリゴマーと芳香族ジカルボン酸クロライド化合物を溶解したハロゲン化炭化水素又は芳香族炭化水素の溶液とを混合する。この際、触媒として、4級アンモニウム塩もしくは4級ホスホニウム塩を存在させることも可能である。重合温度は0℃〜40℃の範囲、重合時間は2時間〜20時間の範囲であるのが生産性の点で好ましい。重合終了後、水相と有機相とを分
離し、有機相中に溶解しているポリマーを公知の方法で、洗浄、回収することにより、目的とする樹脂が得られる。界面重合による製造の際、必要によっては、アルカリ水溶液に別途2価フェノールを添加することも可能である。
界面重合法で用いられるアルカリ成分としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等を挙げることができる。アルカリ成分の使用量としては、反応系中に含まれるフェノール性水酸基の1.01倍当量〜3倍当量の範囲が好ましい。
ハロゲン化炭化水素としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン等が挙げられる。
触媒として用いられる4級アンモニウム塩もしくは4級ホスホニウム塩としては、例えば、トリブチルアミンやトリオクチルアミン等の3級アルキルアミンの塩酸、臭素酸、ヨウ素酸等の塩;ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリエチルオクタデシルホスホニウムブロマイド、N−ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルピコリニウムクロライド等が挙げられる。
また、界面重合法では、分子量調節剤を使用することができる。分子量調節剤としては、例えば、フェノール、o,m,p−クレゾール、o,m,p−エチルフェノール、o,m,p−プロピルフェノール、o,m,p−(tert−ブチル)フェノール、ペンチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、2,6−ジメチルフェノール誘導体、2−メチルフェノール誘導体等のアルキルフェノール類;o,m,p−フェニルフェノール等の1官能性のフェノール;酢酸クロライド、酪酸クロライド、オクチル酸クロライド、塩化ベンゾイル、ベンゼンスルホニルクロライド、ベンゼンスルフィニルクロライド、スルフィニルクロライド、ベンゼンホスホニルクロライドやそれらの置換体等の1官能性酸ハロゲン化物等が挙げられる。これら分子量調節剤の中でも、分子量調節能が高く、かつ溶液安定性の点で好ましいのは、o,m,p−(tert−ブチル)フェノール、2,6−ジメチルフェノール誘導体、2−メチルフェノール誘導体である。特に好ましくは、p−(tert−ブチル)フェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノールである。
2価フェノールをアルカリ溶液中で酸化させないために、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイト(次亜硫酸ナトリウム)、二酸化硫黄、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、酸化防止の効果及び環境負荷の低減からもハイドロサルファイトが特に好ましい。酸化防止剤の使用量としては、全2価フェノールに対して、0.01質量%以上、10.0質量%以下が好ましい。さらに好ましくは0.1質量%以上、5質量%以下である。含有量が少なすぎると酸化防止効果が不十分の可能性があり、多すぎるとポリエステル中に残存してしまい電気特性に悪影響する場合がある。
ポリエステル樹脂の重合後の精製方法は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意の方法を用いることができるが、例えば、ポリエステル樹脂の溶液を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ水溶液;塩酸、硝酸、リン酸等の酸水溶液;水等で洗浄した後、静置分離、遠心分離等により分液する方法が挙げられる。
また、他の精製方法としては、例えば、生成したポリエステル樹脂の溶液を、ポリエステル樹脂が不溶の溶媒中に析出させる方法、ポリエステル樹脂の溶液を温水中に分散させ
溶媒を留去する方法、又はポリエステル樹脂溶液を吸着カラム等に流通させる方法等により精製してもよい。
精製後のポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂が不溶の水、アルコールその他有機溶媒中に析出させるか、ポリエステル樹脂の溶液を温水又はポリエステル樹脂が不溶の分散媒中で溶媒を留去するか、加熱、減圧等により溶媒を留去することにより取り出してもよいし、スラリー状で取り出した場合は遠心分離器、濾過器とうにより固体を取り出すこともできる。得られたポリエステル樹脂は、通常ポリエステル樹脂の分解温度以下の温度で乾燥するが、好ましくは20℃以上、樹脂の溶融温度以下で乾燥することができる。このとき減圧下で乾燥することが好ましい。
乾燥時間は残存溶媒等の不純物の純度が一定以下になるまでの時間以上行うことが好ましく、具体的には、残存溶媒が通常1000ppm以下、好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下になる時間以上乾燥する。
なお、本発明中のポリエステルポリカーボネート樹脂の製造は、上記ポリエステル製造と同等の条件を適用できる。
≪ポリエステル樹脂≫
本発明により製造されるポリエステル樹脂の構造は、特に限定されないが、溶解性、機械物性、電気特性等の観点から以下に示す構造を有するポリエステル樹脂が好ましい。少なくとも2種類のジカルボン酸クロライドを使用するか、少なくとも2種類の2価フェノール又は2価アルコールを使用する場合に、上記ポリエステル樹脂の製造方法が有効である。ここで言う種類とは、分子構造で区別するものであり、位置異性体、立体異性体等も区別して1種類とする。
(2価カルボン酸残基)
ポリエステル樹脂として下記式(1)〜(4)で表される2価カルボン酸残基を少なくとも1つ有することが好ましい。
Figure 0006609951
式(1)中、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン基、又はベンジル基を表し、nは、0〜4の整数である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、シクロヘキソキシ基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、クロロメチル基、フッ化アルキル基等が挙げられる。ハロゲン基としては、フッ素基、クロロ基、ブロモ基等が挙げられる。耐摩耗性の観点から、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基である。nは各々独立に、0〜4の整数であり、製造上の簡便性の観点から、好ましくは、n=0である。式(1)で表される2価カルボン酸残基を誘導する2価カルボン酸化合物の具体例としては、例えば、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。これらの中でも、耐摩耗性の観点から、イソフタル酸、テレフタル酸が特に好ましい。
Figure 0006609951
式(2)中、R、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン基、又はベンジル基を表し、m、lは、0〜4の整数であり、Xは単結合又は酸素原子を表す。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、シクロヘキソキシ基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、クロロメチル基、フッ化アルキル基等が挙げられる。ハロゲン基としては、フッ素基、クロロ基、ブロモ基が挙げられる。耐摩耗性の観点から、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基である。m、lは各々独立に、0〜4の整数であり、製造上の簡便性の観点から、好ましくは、m=l=0である。
式(2)で表される2価カルボン酸残基を誘導する2価カルボン酸化合物の具体例としては、例えば、ジフェニルエーテル−2,2´−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4´−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸、4,4´-ジフ
ェニルジカルボン酸、2,2´−ジフェニルジカルボン酸、2,4´−ジフェニルジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、製造上の簡便性及び耐摩耗性の観点から、ジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸、4,4´-ジフェニルジカルボン酸が特に好
ましい。
Figure 0006609951
式(3)中、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基を表す。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。耐摩耗性の観点から、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基である。pは各々独立に、0〜10の整数であり、製造上の簡便性の観点から、好ましくは、p=0である。
式(3)で表される2価カルボン酸残基を誘導する2価カルボン酸化合物の具体例としては、例えば、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、cis−1,4−シク
ロヘキサンジカルボン酸、trans−1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、cis−1
,3−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、製造上の簡便性及び耐摩耗性の観点から、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、cis−1,
4−シクロヘキサンジカルボン酸が特に好ましい。
Figure 0006609951
式(4)中、Yは単結合、炭素数1〜14のアルキレン基、p−フェニレン基、m−フェニレン基、又は4,4‘−ビフェニル基を表す。アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘキサンジメチル基等が挙げられる。式(4)で表される2価カルボン酸残基を誘導する2価カルボン酸化合物の具体例としては、マロン酸、こはく酸、2,2−ジメチルこはく酸、グルタン酸、アゼライン酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,4−フェニレンジ酢酸等が挙げられる。
必要に応じて上記ジカルボン酸残基を組み合わせて用いることも可能である。特に、式(3)、式(4)のジカルボン酸残基をポリエステル樹脂に含む場合は、耐摩耗性、溶解性等の観点から、上記式(1)、(2)のジカルボン酸残基と共重合することが好ましい。
(2価フェノール残基、2価脂肪族アルコール残基)
ポリエステル樹脂として下記式(5)〜(12)で表される2価フェノール及び/又は2価アルコールを少なくとも1つ有することが好ましい。
Figure 0006609951
式(5)中、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン基、又はベンジル基を表し、qは、0〜4の整数である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、シクロヘキソキシ基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、クロロメチル基、フッ化アルキル基等が挙げられる。ハロゲン基としては、フッ素基、クロロ基、ブロモ基が挙げられる。耐摩耗性の観点から、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基、である。qは各々独立に、0〜4の整数であり、製造上の簡便性の観点から、好ましくは、n=0、1である。
式(5)で表される2価フェノール残基を誘導する2価フェノール化合物の具体例としては、例えば、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、ブロモヒドロキノン、2,3−ジメチルヒドロキノン、トリメチルヒドロキノン、レソルシノール、2−メチルレソルシノール、5−メチルレソルシノール、5−ブロモレソルシノール、カテコール、4−メチルカテコール等が挙げられる。これらの中でも、製造上の簡便性及び耐摩耗性の観点から、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、レソルシノールが特に好ましい。
Figure 0006609951
式(6)中、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン基、又はベンジル基を表し、rは、0〜6の整数である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、シクロヘキソキシ基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、クロロメチル基、フッ化アルキル基等が挙げられる。ハロゲン基としては、フッ素基、クロロ基、ブロモ基が挙げられる。耐摩耗性の観点から、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基、である。nは各々独立に、0〜4の整数であり、製造上の簡便性の観点から、好ましくは、n=0である。
式(6)で表される2価フェノール残基を誘導する2価フェノール化合物の具体例としては、例えば、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。これらの中でも、製造上の簡便性、溶解性及び耐摩耗性の観点から、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレンが特に好ましい。
Figure 0006609951
式(7)中、Ar、Arはそれぞれ独立に、p−フェニレン基、m−フェニレン基、2価のナフタレン基、又は2価のビフェニル基、Zは炭素数1〜10のアルキレン基、p−フェニレン基、又は下記式(12)を表し、sは0又は1の整数である。
Figure 0006609951
式(12)中、R15〜R18はそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。
式(7)中のアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘキサンジメチル基等が挙げられる。溶解性、耐摩耗性の観点から、好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基であり、特に好ましくはエチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘキサンジメチル基である。
式(12)中のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。溶解性、耐摩耗性、製造上の簡便性から、メチル基が好ましい。
式(7)で表される2価フェノール残基を誘導する2価フェノール化合物の具体例として以下に示す。
Figure 0006609951
Figure 0006609951
式(8)中、Wは、単結合、炭素数1〜16のアルキレン基、炭素数3〜10のパーフルオロアルキレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、2価のビフェニル基、又は2価のナフタレン基を表す。アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、へキシレン基、シクロへキシレン基、オクチレン基等が挙げられる。パーフルオロアルキレン基の具体例としては、ヘキサフルオロ−1,3−プロピレン基、オクタフルオロ−1,4−ブチレン基、ドデカフルオロ−1,6−ヘキシレン基、ヘキサデカフルオロ−1,8−オクチレン基等が挙げられる。溶解性耐摩耗性の観点から、好ましくは、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数3〜8のパーフルオロアルキレン基である。
式(8)で表される2価アルコール残基を誘導する2価アルコール化合物の具体例としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,4−ベンゼンジメタノール、4,4’−ビフェニルジメタノール、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1,8−オクタンジオール、1H,1H,10H,10H−ヘキサデカフルオロ−1,10−デカンジオール等が挙げられる。これらの中でも、製造上の簡便性、溶解性及び耐摩耗性の観点から、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,8−オクタンジオール、1,4−ベンゼンジメタノール、4,4’−ビフェニルジメタノールが特に好ましい。
Figure 0006609951
式(9)中、R、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数1〜10のアルコキシル基を表し、t、uは、それぞれ0〜10の整数である。Aは、単結合、−CR10−を示す。R、R10はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又はRとR10が互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成する基を表す。vは、0又は1の整数である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、シクロヘキソキシ基等が挙げられる。耐摩耗性の観点から、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基、である。t、uは各々独立に、0〜10の整数であり、製造上の簡便性の観点から、好ましくは、t=u=0である。
式(9)で表される2価アルコール残基を誘導する2価アルコール化合物の具体例としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、2,2−ビス(4―ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、4,4−ビシクロヘキサノール等が挙げられる。
Figure 0006609951
式(10)で表される2価アルコール残基を誘導する2価アルコール化合物の具体例としては、例えば、イソマンニド、イソソルバイド等が挙げられる。
Figure 0006609951
式(11)中、R11〜R14は、各々独立に、水素原子、又はメチル基を表す。Vは、単結合、―CR1516−、O、CO、又はSを表す。またR15、R16は各々独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基、もしくは、R15及びR16は、R15とR16とが結合して形成されるシクロペンチル基又はシクロヘキシリデン基を表す。
式(11)で表されるポリエステル樹脂のビスフェノール残基として具体的に例示すると、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキー3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキー3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキー3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、4,4´−ビフェノール、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェノール、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ビフェノール、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3´−ジメチル−4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。この中でも、2価フェノール成分の製造の簡便性及び溶解性、電気特性を考慮すれば、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキー3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4´−ビフェノール、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェノール、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ビフェノール、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテルが好ましい。さらに機械物性を考慮すれば、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキー3−メチルフェニル)プロパン、4,4´−ビフェノール、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェノール、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ビフェノールがより好ましい。
本発明のポリエステル樹脂を製造する場合において、上記式(5)〜(10)の2価フェノール又は2価アルコールを1つでも使用する場合、溶解性、樹脂の分子量、機械物性の観点から、式(11)の2価フェノールと共重合することが好ましい。式(11)の含有量は特に規定しないが、全2価フェノール及び2価アルコールの5モル%以上であることが好ましく、より好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上である

前記エステルオリゴマー製造時に使用した塩基は、以下に示すポリエステル製造に反応の阻害や、ジカルボン酸クロライドの分解などの悪影響を与える可能性があるため、塩基の残存量は通常20,000ppm以下、好ましくは5,000ppm以下、更に好ましくは1,000ppm以下である。
前記エステルオリゴマー中に含まれる全窒素量(T−N量)は、5,000ppm以下が好ましく、2,500ppm以下であることがさらに好ましく、1,000ppm以下であることが特に好ましい。全窒素量が5,000ppmを超えると以下に示すポリエステル製造に反応の阻害や、ジカルボン酸クロイドの分解などの悪影響を与える可能性がある。
≪ポリエステルポリカーボネート樹脂≫
ポリエステルポリカーボネート樹脂に含まれるポリエステル部位については、ジカルボン酸、2価フェノール及び/又は2価アルコールについては、上記ポリエステル樹脂と同等のものが好ましい。カーボネートオリゴマー及びポリカーボネート樹脂については式(13)が好ましい。
Figure 0006609951
式(13)中、R19〜R22は、各々独立に、水素原子、メチル基を表す。Qは、単結合、―CR2324−、O、CO、Sを表す。またR23、R24は各々独立に、水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示し、又は、R22及びR23は、R22とR23とが結合して形成されるシクロペンチル基又はシクロヘキシリデン基を示す。耐摩耗性、製造上の簡便性から、R19=R21=水素原子、メチル基、R20=R22=水素原子であることが好ましい。また、R23、R24は、それぞれ水素原子、メチル基が好ましい。
≪樹脂の物性≫
本発明の製造方法により製造されるポリエステル樹脂、ポリエステルポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、機械的強度の観点から、通常15,000以上であり、好ましくは20,000以上である。また、塗布性の観点から通常150,000以下であり、好ましくは100,000以下である。
また、本発明におけるポリエステル樹脂の末端に存在するカルボン酸クロライド基量は、通常0.1μ当量/g以下、好ましくは0.05μ当量/g以下である。末端カルボン酸クロライド基量が上記範囲を超えると、ポリエステル樹脂を電子写真感光体用塗布液とした際の保存安定性が低下する傾向がある。
本発明におけるポリエステル樹脂の末端に存在するOH基量は、通常100μ当量/g以下、好ましくは50μ当量/g以下である。末端OH基量が上記範囲を超えると、ポリエステル樹脂を電子写真感光体とした際の電気特性が悪化する可能性がある。
本発明におけるポリエステル樹脂の末端に存在するカルボン酸基量は、通常200μ当量/g以下、好ましくは100μ当量/g以下である。末端カルボン酸基量が上記範囲を
超えると、ポリエステル樹脂を電子写真感光体とした際の電気特性が悪化する可能性がある。
前記ポリエステル樹脂に含まれる全窒素量(T−N量)は、3,000ppm以下が好ましく、1,000ppm以下であることがさらに好ましく、500ppm以下であることが特に好ましい。全窒素量が3,000ppmを超えると電気特性が悪化する場合がある。
≪電子写真感光体用塗布液≫
本発明のポリエステル樹脂は、電子写真感光体用塗布液に好適に用いられる。この電子写真感光体用塗布液は、通常、電子写真感光体における感光層の形成に用いられ、特に感光層が積層型感光層である場合における電荷輸送層の形成に用いられることが好ましい。
電子写真感光体用塗布液において、上記ポリエステル樹脂は、通常、バインダー樹脂として用いられ、電子写真感光体用塗布液中には、上記ポリエステル樹脂以外に、例えば電荷発生物質や電荷輸送物質等、電子写真感光体用塗布液の用途等に応じて、適宜必要な材料が含有される。このような電荷発生物質や電荷輸送物質等については、後述する電子写真感光体の項で説明する材料と同様とすることができる。
また、電子写真感光体用塗布液中には、本発明による製造方法から製造されたポリエステル樹脂と他の樹脂とを混合して用いることも可能である。ここで混合される他の構造を有する樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体又はその共重合体;ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂又は種々の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら樹脂の中でもポリカーボネート樹脂又はポリエステル樹脂が好ましい。
前記他の構造を有する樹脂の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知のバインダー樹脂を混合して用いてもよい。
Figure 0006609951
≪電子写真感光体≫
本実施の形態が適用される電子写真感光体は、導電性支持体上に設けた感光層を有し、感光層が、前記ポリエステル樹脂を含有するものである。感光層の具体的な構成としては、例えば、導電性支持体上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層と電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層とを積層した積層型感光体;導電性支持体上に、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を含有する層中に電荷発生物質を分散させた感光層を有する分散型(単層型)感光体等が挙げられる。前記ポリエステル樹脂は、通常、電荷輸送物質を含有する層に用いられ、好ましくは積層型感光体の電荷輸送層に用いられる。
本実施の形態が適用される電子写真感光体に使用される感光層の具体的な構成としては、例えば、積層型感光体の場合は電荷輸送物質及びバインダー樹脂を含有し、静電荷を保持して露光により発生した電荷を輸送する電荷輸送層と、電荷発生物質を含有し、露光により電荷対を発生する電荷発生層と、を有する。また、その他にも必要に応じて、例えば、導電性支持体からの電荷注入を阻止する電荷阻止層、レーザー光等の光を拡散させて干渉縞の発生を防止する光拡散層等を有する場合がある。分散型(単層型)感光体の場合は、感光層は、電荷移動物質及び電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散されている。
<導電性支持体>
導電性支持体について特に制限は無いが、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。更には、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いてもよい。
また、導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いてもよい。陽極酸化被膜を施した場合には、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
支持体表面は、平滑であってもよいし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていてもよい。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでもよい。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
<下引き層>
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けてもよい。下引き層としては、樹脂、及び樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。また、下引き層は、単一層からなるものであっても、複数層からなるものであってもよい。下引き層には、公知の酸化防止剤等、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させて用いてもよい。その膜厚は、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、繰り返し特性、及び製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子等が挙げられる。これらは一種類の粒子を単独で用いてもよいし、複数の種類の粒子を混合して用いてもよい。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていてもよい。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていてもよい。特性及び液の安定性の点から、その平均一次粒径は、10nm以上100nm以下が好ましく、特に10nm以上50nm以下が好ましい。この平均一次粒径は、TEM写真等から得ることができる。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン
、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタンアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知のバインダー樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層に用いられるバインダー樹脂に対する無機粒子の使用比率は任意に選ぶことが可能であるが、分散液の安定性、塗布性の観点から、バインダー樹脂に対して、通常は10質量%以上、500質量%以下の範囲で使用することが好ましい。
<感光層>
感光層の形式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された単層型と、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二層からなる機能分離型(積層型)とが挙げられるが、何れの形式であってもよい。
また、積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能であるが、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
<積層型感光層>
[電荷発生層]
積層型感光体(機能分離型感光体)の場合、電荷発生層は、電荷発生物質をバインダー樹脂で結着することにより形成される。その膜厚は通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは0.6μm以下の範囲である。
電荷発生物質としては、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシドなどの配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類などが使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
また、これらフタロシアニンの中でも、A型(別称β型)、B型(別称α型)、及び粉末X線回折の回折角2θ(±0.2゜)が27.1゜、もしくは27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とするD型(Y型)チタニルフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型及び28.1゜に最も強いピークを有すること、また26.2゜にピークを持たず28.1゜に明瞭なピークを有し、かつ25.9゜の半値幅Wが0.1゜≦W≦0.4゜であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等が特に好ましい。これらの中でも、D型(Y型)チタニルフタロシアニンが良好な感度を示すため好ましい。
フタロシアニン化合物は単一の化合物のものを用いてもよいし、幾つかの混合又は混晶状態のものを用いてもよい。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態に置ける混合状態としては、それぞれの構成要素を後から混合したものを用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じさせたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報記載のように、2種類の結晶を混合後に機械的に磨砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。
電荷発生層に用いるバインダー樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーなどが挙げられる。これらのバインダー樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせで混合して用いてもよい。
電荷発生層において、バインダー樹脂と電荷発生物質との配合比(質量)は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常10質量部以上、好ましくは30質量部以上、また、通常1000質量部以下、好ましくは500質量部以下の範囲である。
[電荷輸送層]
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有するとともに、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。電荷輸送層は、単一の層から成ってもよいし、構成成分あるいは組成比の異なる複数の層を重ねたものでもよい。その膜厚は、通常、5μm〜50μm、好ましくは10μm〜45μmである。
電荷輸送物質の例としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導
体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。これらの電荷輸送物質は単独で用いてもよいし、いくつかを混合してもよい。電荷輸送物質の好適な構造の具体例を以下に示す。
Figure 0006609951
Figure 0006609951
前記ポリエステル樹脂は、電荷輸送層のバインダー樹脂として用いられることが好ましい。前記バインダー樹脂は、前記ポリエステル樹脂とその他の構造を有する樹脂を混合してもよく、他の樹脂としては、前記感光層において混合される他の構造を有する樹脂に記載したものが挙げられる。
前記ポリエステル樹脂と電荷輸送物質との割合は、通常、バインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送物質30質量部〜200質量部、好ましくは、40質量部〜150質量部の範囲で使用される。感光層中のバインダー樹脂全体と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送物質を20質量部以上の比率で使用することが
好ましい。中でも、残留電位低減の観点から30質量部以上がより好ましく、繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から40質量部以上が更に好ましい。一方、感光層の熱安定性の観点から、電荷輸送物質を通常は150質量部以下の比率で使用することが好ましい。中でも、電荷輸送材料とバインダー樹脂との相溶性の観点から110質量部以下がより好ましい。
尚、電荷輸送層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、染料、顔料、レベリング剤等の添加剤を含有させてもよい。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物等が挙げられる。
<単層型感光層>
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質及びバインダー樹脂の種類並びにこれらの使用比率は、積層型感光体の電荷輸送層について説明したものと同様である。これらの電荷輸送物質及びバインダー樹脂からなる電荷輸送媒体中に、さらに電荷発生物質が分散される。
電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を充分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
単層型感光層内に分散される電荷発生物質の量は、少な過ぎると充分な感度が得られない一方で、多過ぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害があることから、単層型感光層全体に対して通常0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常50質量%以下、好ましくは20質量%以下の範囲で使用される。
また、単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、また、通常30質量部以下、好ましくは10質量部以下である。
単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲である。この場合にも成膜性、可とう性、機械的強度等を改良するための公知の可塑剤、残留電位を抑制するための添加剤、分散安定性向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤、界面活性剤、例えばシリコ−ンオイル、フッ素系オイルその他の添加剤が添加されていてもよい。
<その他の機能層>
積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などの添加物を含有させてもよい。また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレン樹脂等、又はこれらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を、表面層に含有させてもよい。或いは、これらの樹脂や粒子を含む層を新たに表面層として形成してもよい。さらに必要に応じて、バリアー層、接着層、ブロッキング層等の中間層、透明絶縁層など、電気特性、機械特性の改良のための層を有していてもよい。
<各層の形成方法>
これらの感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
塗布液の作製に用いられる溶媒又は分散媒に特に制限は無いが、具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。これらの溶剤の中で、環境配慮の観点から非ハロゲン系溶剤が好ましく、溶解性の観点から、トルエン、キシレン、アニソール、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンが特に好ましい。これらは何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。
溶媒又は分散媒の使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
例えば、単層型感光体、及び機能分離型感光体の電荷輸送層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5質量%以上、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を通常10cps以上、好ましくは50cps以上、また、通常500cps以下、好ましくは400cps以下の範囲とする。
また、積層型感光体の電荷発生層の場合には、塗布液の固形分濃度は、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度は、通常0.01cps以上、好ましくは0.1cps以上、また、通常20cps以下、好ましくは10cps以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行なってもよい。
<画像形成装置>
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置2,露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5,クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。帯電装置としては、コロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電装置(接触型帯電装置)帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。直接帯電手段の例としては、帯電ローラ、帯電ブラシ等の接触帯電器などが挙げられる。なお、図1では、帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示している。直接帯電手段として、気中放電を伴う帯電、あるいは気中放電を伴わない注入帯電いずれも可能である。また、帯電時に印可する電圧としては、直流電圧だけの場合、及び直流に交流を重畳させて用いることもできる。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LEDなどが挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光などで露光を行なえばよい。これらの中で380〜500nmの短波長光を用いると解像度が高くなり好ましい。中でも405nmの単色光が好適である。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分絶縁トナー現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や、湿式現像方式などの任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラ,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなど、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。但し、感光体表面に残留するトナーが少ないか、殆ど無い場合には、クリーニング装置6は無くても構わない。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着
部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としてもよい。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。
以下に、本発明の具体的態様を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
[エステルオリゴマーの製造]
製造例1(エステルオリゴマー(1)の合成)
窒素置換した300mL4つ口反応容器にレゾルシノール(3.00g)、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,メチルフェニル)エタン(13.20g)(以下、BP−a)とジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(16.08g)を秤取り、ジクロロメタン(90mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(11.58g)とジクロロメタン(45mL)との混合溶液を0〜5℃へ冷却した反応容器内へ30分かけて滴下した。1時間撹拌を続けた後、脱塩水(100mL)を添加し、10分撹拌した。撹拌後、有機層を分離し、この有機層を0.1規定塩酸(100mL)にて洗浄を2回行い、さらに、脱塩水(100mL)にて洗浄を2回行った。その後、濃縮、乾燥して分
子末端にフェノール基を有するエステルオリゴマー(1)を得た。
製造例2(エステルオリゴマー(2)の合成)
窒素置換した300mL4つ口反応容器にメチルヒドロキノン(3.00g)、BP−a(11.71g)とジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(14.26g)を秤取り、ジクロロメタン(90mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(10.28g)とジクロロメタン(30mL)との混合溶液を0〜5℃へ冷却した反応容器内へ30分かけて滴下した。1時間撹拌を続けた後、脱塩水(100mL)を添加し、10分撹拌した。撹拌後、有機層を分離し、この有機層を0.1規定塩酸(100mL)にて洗浄を2回行い、さらに、脱塩水(100mL)にて洗浄を2回行った。その後、濃縮、乾燥して分子末端にフェノール基を有するエステルオリゴマー(2)を得た。
製造例3(エステルオリゴマー(3)の合成)
窒素置換した300mL4つ口反応容器にBP−a(5.86g)とジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(14.29g)を秤取り、ジクロロメタン(60mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(5.14g)とジクロロメタン(40mL)との混合溶液を0〜5℃へ冷却した反応容器内へ30分かけて滴下した。30分撹拌を続けた後、BP−a(9.10g)とヒドロキノン(1.20g)を反応容器へ加えた。その後、トリエチルアミン(5.14g)とジクロロメタン(20mL)との混合溶液を反応容器内へ30分かけて滴下した。1時間攪拌を続けた後、脱塩水(100mL)を添加し、10分撹拌した。撹拌後、有機層を分離し、この有機層を0.1規定塩酸(100mL)にて洗浄を2回行い、さらに、脱塩水(100mL)にて洗浄を2回行った。その後、濃縮、乾燥して分子末端にフェノール基を有するエステルオリゴマー(3)を得た。
製造例4(エステルオリゴマー(4)の合成)
窒素置換した300mL4つ口反応容器に1,6−ジヒドロキシナフタレン(4.00g)、BP−a(12.10g)とジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(14.74g)を秤取り、ジクロロメタン(80mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(10.62g)とジクロロメタン(45mL)との混合溶液を0〜5℃へ冷却した反応容器内へ30分かけて滴下した。1時間撹拌を続けた後、脱塩水(100mL)を添加し、10分撹拌した。撹拌後、有機層を分離し、この有機層を0.1規定塩酸(100mL)にて洗浄を2回行い、さらに、脱塩水(100mL)にて洗浄を2回行った。その後、濃縮、乾燥して分子末端にフェノール基を有するエステルオリゴマー(4)を得た。
製造例5(エステルオリゴマー(5)の合成)
窒素置換した300mL4つ口反応容器に1,5−ジヒドロキシナフタレン(1.50g)、BP−a(12.86g)とジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(12.28g)を秤取り、ジクロロメタン(80mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(8.84g)とジクロロメタン(40mL)との混合溶液を0〜5℃へ冷却した反応容器内へ30分かけて滴下した。1時間撹拌を続けた後、脱塩水(100mL)を添加し、10分撹拌した。撹拌後、有機層を分離し、この有機層を0.1規定塩酸(100mL)にて洗浄を2回行い、さらに、脱塩水(100mL)にて洗浄を2回行った。その後、濃縮、乾燥して分子末端にフェノール基を有するエステルオリゴマー(5)を得た。
製造例6(エステルオリゴマー(6)の合成)
窒素置換した500mL4つ口反応容器にBP−a(7.00g)とジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(17.05g)を秤取り、ジクロロメタン(1
60mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(6.14g)とジクロロメタン(20mL)との混合溶液を0〜5℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下した。5分撹拌を続けた後、BP−a(11.90g)と4―ヒドロキシ安息香酸4―ヒドロキシフェニル(2.00g)を反応容器へ加えた。その後、トリエチルアミン(6.14g)とジクロロメタン(20mL)との混合溶液を反応容器内へ20分かけて滴下した。1時間攪拌を続けた後、0.1規定塩酸(170mL)を添加し、30分撹拌した。撹拌後、有機層を分離し、この有機層を0.1規定塩酸(170mL)にて洗浄を2回行い、さらに、脱塩水(170mL)にて洗浄を2回行った。その後、濃縮、乾燥して分子末端にフェノール基を有するエステルオリゴマー(6)を得た。
製造例7(エステルオリゴマー(7)の合成)
窒素置換した500mL4つ口反応容器にBP−a(18.54g)とtrans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸クロライド(イハラニッケイ化学工業製)(8.00g)を秤取り、ジクロロメタン(160mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(8.52g)とジクロロメタン(30mL)との混合溶液を0〜5℃へ冷却した反応容器内へ30分かけて滴下した。1時間撹拌を続けた後、脱塩水(150mL)を添加し、10分撹拌した。撹拌後、有機層を分離し、この有機層を0.1規定塩酸(150mL)にて洗浄を2回行い、さらに、脱塩水(150mL)にて洗浄を2回行った。その後、濃縮、乾燥して分子末端にフェノール基を有するエステルオリゴマー(7)を得た。
製造例8(エステルオリゴマー(8)の合成)
窒素置換した500mL4つ口反応容器にBP−a(17.31g)と1,4−フェニレン二酢酸ジクロライド(イハラニッケイ化学工業製)(10.00g)を秤取り、ジクロロメタン(150mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(9.19g)とジクロロメタン(65mL)との混合溶液を0〜5℃へ冷却した反応容器内へ1時間かけて滴下した。1時間撹拌を続けた後、脱塩水(150mL)を添加し、10分撹拌した。撹拌後、有機層を分離し、この有機層を0.1規定塩酸(150mL)にて洗浄を2回行い、さらに、脱塩水(150mL)にて洗浄を2回行った。その後、濃縮、乾燥して分子末端にフェノール基を有するエステルオリゴマー(8)を得た。
製造例9(エステルオリゴマー(9)の合成)
窒素置換した500mL4つ口反応容器に1,4−ベンゼンジメタノール(3.00g)とジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(12.81g)を秤取り、ジクロロメタン(130mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(4.61g)とジクロロメタン(20mL)との混合溶液を0〜5℃へ冷却した反応容器内へ30分かけて滴下した。2時間撹拌を続けた後、BP−a(10.52g)を反応容器へ加えた。その後、トリエチルアミン(4.61g)とジクロロメタン(20mL)との混合溶液を反応容器内へ30分かけて滴下した。1時間攪拌を続けた後、脱塩水(150mL)を添加し、10分撹拌した。撹拌後、有機層を分離し、この有機層を0.1規定塩酸(150mL)にて洗浄を2回行い、さらに、脱塩水(150mL)にて洗浄を2回行った。その後、濃縮、乾燥して分子末端にフェノール基を有するエステルオリゴマー(9)を得た。
製造例10(エステルオリゴマー(10)の合成)
窒素置換した300mL4つ口反応容器にイソソルビド(4.00g)とテレフタル酸クロライド(11.11g)を秤取り、ジクロロメタン(90mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(5.82g)とジクロロメタン(26mL)との混合溶液を0〜5℃へ冷却した反応容器内へ30分かけて滴下した。3時間撹拌を続けた後、BP−a(13.26g)を反応容器へ加えた。その後、トリエチルアミン(5.82g)とジクロロメタン(20mL)との混合溶液を反応容器内へ30分かけて滴下した。1時間攪拌を
続けた後、脱塩水(100mL)を添加し、10分撹拌した。撹拌後、有機層を分離し、この有機層を0.1規定塩酸(100mL)にて洗浄を2回行い、さらに、脱塩水(100mL)にて洗浄を2回行った。その後、濃縮、乾燥して分子末端にフェノール基を有するエステルオリゴマー(10)を得た。
製造例11(エステルオリゴマー(11)の合成)
窒素置換した300mL4つ口反応容器に4,4‘−ビフェニルジメタノール(4.50g)とジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(12.04g)を秤取り、ジクロロメタン(120mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(4.67g)とジクロロメタン(30mL)との混合溶液を0〜5℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下した。反応容器を20℃へと昇温し、1時間撹拌を続けた後、BP−a(10.18g)を反応容器へ加えた。反応容器を0〜5℃へ冷却した後、トリエチルアミン(4.67g)とジクロロメタン(30mL)との混合溶液を反応容器内へ20分かけて滴下した。1時間攪拌を続けた後、0.1規定塩酸(150mL)を添加し、30分撹拌した。撹拌後、有機層を分離し、この有機層を0.1規定塩酸(150mL)にて洗浄を2回行い、さらに、脱塩水(150mL)にて洗浄を2回行った。その後、濃縮、乾燥して分子末端にフェノール基を有するエステルオリゴマー(11)を得た。
実施例1(ポリエステル樹脂(1)の製造)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(1.57g)とHO(188ml)を秤取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.21g)、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.11g)を添加し、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
別途、製造例1で合成したエステルオリゴマー(1)(16.13g)及びジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸クロライド(4.87g)とジクロロメタン(107mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(166mL)を加え、撹拌を9時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(205mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(205mL)にて洗浄を2回行った。洗浄後の有機層にジクロロメタン(100ml)を加えて希釈し、メタノール(1800ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(1)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は44,200であった。ポリエステル樹脂(1)の構造式を以下に示す。
Figure 0006609951
[粘度平均分子量(Mv)の測定]
ポリエステル樹脂をジクロロメタンに溶解し濃度Cが6.00g/Lの溶液を調製した。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計
を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定した。以下の
式に従って粘度平均分子量(Mv)を算出した。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
実施例2(ポリエステル樹脂(2)の製造)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(1.55g)とH2O(188ml)を秤取
り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.21g)、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.11g)を添加し、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
別途、製造例2で合成したエステルオリゴマー(2)(16.18g)及びジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸クロライド(4.81g)とジクロロメタン(107mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(166mL)を加え、撹拌を9時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(205mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(205mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層にジクロロメタン(100ml)を加えて希釈し、メタノール(1800ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(2)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は54,200であった。ポリエステル樹脂(2)の構造式を以下に示す。
Figure 0006609951
実施例3(ポリエステル樹脂(3)の製造)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(1.87g)とHO(235ml)を秤取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.32g)、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.14g)を添加し、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
別途、製造例3で合成したエステルオリゴマー(3)(20.33g)及びジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸クロライド(5.78g)とジクロロメタン(134mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(200mL)を加え、撹拌を9時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(250mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(250mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層にジクロロメタン(150ml)を加えて希釈し、メタノール(2000ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(3)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は43,500であった。ポリエステル樹脂(3)の構造式を以下に示す。
Figure 0006609951
実施例4(ポリエステル樹脂(4)の製造)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(1.52g)とHO(188ml)を秤取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.24g)、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.11g)を添加し、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
別途、製造例4で合成したエステルオリゴマー(4)(16.22g)及びジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸クロライド(4.70g)とジクロロメタン(107mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(176mL)を加え、撹拌を9時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(210mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(210mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層にジクロロメタン(100ml)を加えて希釈し、メタノール(1800ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(4)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は39,000であった。ポリエステル樹脂(4)の構造式を以下に示す。
Figure 0006609951
実施例5(ポリエステル樹脂(5)の製造)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(1.47g)とHO(188ml)を秤取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.25g)、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.11g)を添加し、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
別途、製造例5で合成したエステルオリゴマー(5)(16.32g)及びジフェニル
エーテル−4,4´−ジカルボン酸クロライド(4.56g)とジクロロメタン(107mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(176mL)を加え、撹拌を9時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(210mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(210mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層にジクロロメタン(100ml)を加えて希釈し、メタノール(1800ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(5)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は41,300であった。ポリエステル樹脂(5)の構造式を以下に示す。
Figure 0006609951
実施例6(ポリエステル樹脂(6)の製造)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(1.78g)とHO(188ml)を秤取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.26g)、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.08g)を添加し、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
別途、製造例6で合成したエステルオリゴマー(6)(20.57g)及びジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸クロライド(5.53g)とジクロロメタン(135mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(179mL)を加え、撹拌を9時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(235mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(235mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層にジクロロメタン(180ml)を加えて希釈し、メタノール(2000ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(6)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は51,000であった。ポリエステル樹脂(6)の構造式を以下に示す。
Figure 0006609951
実施例7(ポリエステル樹脂(7)の製造)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(2.31g)とHO(188ml)を秤取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.25g)、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.17g)を添加し、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
別途、製造例7で合成したエステルオリゴマー(7)(14.37g)及びジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸クロライド(7.16g)とジクロロメタン(107mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(160mL)を加え、撹拌を9時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(200mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(200mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層にジクロロメタン(100ml)を加えて希釈し、メタノール(1800ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(7)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は35,300であった。ポリエステル樹脂(7)の構造式を以下に示す。
Figure 0006609951
実施例8(ポリエステル樹脂(8)の製造)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(2.26g)とHO(188ml)を秤取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.25g)、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.17g)を添加し、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
別途、製造例8で合成したエステルオリゴマー(8)(14.50g)及びジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸クロライド(6.99g)とジクロロメタン(107mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロ
ロメタン(160mL)を加え、撹拌を9時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(200mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(200mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層にジクロロメタン(100ml)を加えて希釈し、メタノール(1800ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(8)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は20,200であった。ポリエステル樹脂(8)の構造式を以下に示す。
Figure 0006609951
実施例9(ポリエステル樹脂(9)の製造)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(2.72g)とHO(188ml)を秤取り、攪拌しながら溶解させた。そこにBP−a(4.64g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.26g)、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.20g)を添加し、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
別途、製造例9で合成したエステルオリゴマー(9)(8.76g)及びジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸クロライド(8.43g)とジクロロメタン(107mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(160mL)を加え、撹拌を9時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(200mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(200mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層にジクロロメタン(100ml)を加えて希釈し、メタノール(1800ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(9)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は33,200であった。ポリエステル樹脂(9)の構造式を以下に示す。
Figure 0006609951
実施例10(ポリエステル樹脂(10)の製造)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(1.77g)とHO(188ml)を秤取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.25g)
、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.13g)を添加し、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
別途、製造10で合成したエステルオリゴマー(10)(15.62g)及びジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸クロライド(5.50g)とジクロロメタン(107mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(143mL)を加え、撹拌を9時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(190mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(190mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層にジクロロメタン(100ml)を加えて希釈し、メタノール(1800ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(10)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は22,500であった。ポリエステル樹脂(10)の構造式を以下に示す。
Figure 0006609951
実施例11(ポリエステル樹脂(11)の製造)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(1.45g)とHO(188ml)を秤取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.20g)、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.07g)を添加し、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
別途、製造11で合成したエステルオリゴマー(11)(16.42g)及びジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸クロライド(4.62g)とジクロロメタン(94mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(156mL)を加え、撹拌を9時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(190mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(190mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層にジクロロメタン(100ml)を加えて希釈し、メタノール(1800ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(11)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は40,200であった。ポリエステル樹脂(11)の構造式を以下に示す。
Figure 0006609951
実施例12(ポリエステルポリカーボネート樹脂(12)の製造)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(4.16g)とHO(234ml)を秤取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.34g)、BP−a(10.15g)、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.11g)を添加し、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
別途、特開2012−185206号公報の製造例1に記載の溶融重合法で製造した下記式(13)のポリカーボネート樹脂(Mv26,000、末端OH量63.8μ当量/g)(4.81g)及びジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸クロライド(12.86g)とジクロロメタン(117mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(195mL)を加え、撹拌を9時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(235mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(235mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層にジクロロメタン(150ml)を加えて希釈し、メタノール(2300ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステルポリカーボネート樹脂(12)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は40,100であった。ポリエステル樹脂(12)の構造式を以下に示す。
Figure 0006609951
Figure 0006609951
比較例1(ポリエステル樹脂(3)の界面重合による製造)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(4.23g)とHO(188ml)を秤取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.26g)、BP−a(10.15g)、ヒドロキノン(0.47g)、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.12g)を添加し、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸クロライド(13.08g)とジクロロメタン(94mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(156mL)を加え、撹拌を9時間続けた。しかしながら、重合中にヒドロキノンが酸化され水層が茶色に変色し、2価のフェノールが足りなくなったため、十分に伸長した重合体が得られなかった。
比較例2(ポリエステル樹脂(6)の界面重合による製造)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(4.13g)とHO(188ml)を秤取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.26g)、BP−a(9.16g)、4―ヒドロキシ安息香酸4―ヒドロキシフェニルエーテル(0.97g)、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.12g)を添加し、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸クロライド(12.75g)とジクロロメタン(94mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(156mL)を加え、撹拌を9時間続けた。しかしながら、重合中に4―ヒドロキシ安息香酸4―ヒドロキシフェニルエーテルが加水分解され、ヒドロキノンとなり酸化され水層が茶色に変色し、2価のフェノールが足りなくなったため、十分に伸長した重合体が得られなかった。
比較例3(ポリエステル樹脂(11)の界面重合による製造)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(4.14g)とHO(188ml)を秤取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.26g)、BP−a(6.93g)、4,4‘−ビフェニルジメタノール(3.02g)、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.12g)を添加し、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸クロライド(12.97g)とジクロロメタン(94mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(156mL)を加え、撹拌を9時間続けた。しかしながら、4,4’−ビフェニルジメタノールの水酸基は、反応性が悪いため、十分に伸長した重合体が得られなかった。
<感光体シートの作製>
[実施例13]
10質量部のオキシチタニウムフタロシアニンと、150質量部の4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンとを混合し、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い顔料
分散液を製造した。尚、オキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)9.3゜、10.6゜、13.2゜、15.1゜、15.7゜、16.1゜、20.8゜、23.3゜、26.3゜、27.1゜に強い回折ピークを示す。
この顔料分散液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業株式会社製、商品名デンカブチラール♯6000C)の5質量%1,2−ジメトキシエタン溶液を50質量部、フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド株式会社製、商品名PKHH)の5質量%1,2−ジメトキシエタン溶液を50質量部混合し、更に、適量の1,2−ジメトキシエタンを加え、固形分濃度4.0%の電荷発生層形成用塗布液を調製した。この電荷発生層形成用塗布液を、表面にアルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートシート上に、乾燥後の膜厚が0.4μmになるように塗布、乾燥して電荷発生層を設けた。
次に、電荷輸送物質として、下記に示す構造を主成分とする、幾何異性体の化合物群からなる、特開2002−080432号公報の実施例1に記載の方法で製造した混合物(CTM−1)を50質量部、実施例1で製造したポリエステル樹脂(1)を100質量部、酸化防止剤(イルガノックス1076)8質量部、レベリング剤としてシリコーンオイル0.05質量部を、テトラヒドロフランとトルエンとの混合溶媒(テトラヒドロフラン80質量%、トルエン20質量%)640質量部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
Figure 0006609951
この電荷輸送層形成用塗布液を上述の電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、125℃で20分間乾燥して電荷輸送層を形成して、感光体シートを作製した。
[実施例14]
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(2)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[実施例15]
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(3)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[実施例16]
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(4)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[実施例17]
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(5)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[実施例18]
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(6)に変えた以外は実施例1と同様にし
て、感光体シートを作製した。
[実施例19]
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(7)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[実施例20]
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(8)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[実施例21]
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(9)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[実施例22]
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(10)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[実施例23]
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(11)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[実施例24]
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(12)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[参考例1]
ポリエステル樹脂(1)を特開2006−53549号公報の実施例6に記載の方法により製造した下記に示す構造を有するポリエステル樹脂(14)(粘度平均分子量36,200)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
Figure 0006609951
[電気特性評価]
電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404−405頁記載)を使用し、上記感光体をアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体のアルミニウム基体との導通を取った上で、ドラムを一定回転数で回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行った。その際、初期表面電位を−700Vとし、露光は780nm、除電は660nmの単色光を用い、露光光を2.4μJ/cm2照射した時点の表面電位(VL)を測定した。VL測定に際しては、露光から電位測定に要する時間を139msとした。また、表面電位が初期表面電位の半分(−350V)となる時の照射エネルギー(半減露光エネルギー:μJ/cm2)を感度(E1/2)として
測定した。VLの値の絶対値が小さいほど電気特性が良好であることを示し、E1/2の値が小さいほど高感度であることを示す。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%下(N/N)で行った。結果を表−1に示す。
Figure 0006609951
[摩耗試験]
感光体フィルムを直径10cmの円状に切断しテーバー摩耗試験機(東洋精機社製)により、摩耗評価を行った。試験条件は、25℃、50%RHの雰囲気下、摩耗輪CS−10Fを用いて、荷重500gで1000回回転後の摩耗量を試験前後の質量を比較することにより測定した。結果を表−2に示す。
Figure 0006609951
以上から、本発明により酸化されやすい、加水分解されやすいといった問題があった2価フェノールや、反応性の悪い2価アルコールを導入したポリエステル樹脂を製造できることを明らかとした。本方法により、感光体に求められる高分子量のポリエステル樹脂が製造できることも明らかとした。また、ポリエステルポリカーボネート樹脂においても簡便に製造できることを明らかとした。さらに、本発明により製造されたポリエステル樹脂から提供される感光体は、電気特性が良好であり、耐摩耗性等の特性も良好であることを明らかとした。
1 感光体
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙

Claims (7)

  1. ポリエステル樹脂の製造方法であって、2価カルボン酸と2価フェノール及び/又は2
    価アルコールを溶液重合させてなる少なくとも1種類のフェノール末端を有するエステル
    オリゴマーを、界面重合法により重合することを特徴とする、ポリエステル樹脂の製造方
    法。
  2. 少なくとも2種類のジカルボン酸クロライドを使用することを特徴とする、請求項1に
    記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  3. 少なくとも2種類の2価フェノール、又は2価アルコールを使用することを特徴とする
    、請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  4. 前記ポリエステル樹脂の粘度平均分子量が15,000〜100,000となるように
    重合することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂の
    造方法。
  5. 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、
    価カルボン酸と2価フェノール及び/又は2価アルコールを溶液重合させてなる少なくと
    も1種類のフェノール末端を有するエステルオリゴマーを、界面重合させてなるポリエス
    テル樹脂を含有することを特徴とする、電子写真感光体。
  6. 請求項5に記載の電子写真感光体を有する電子写真感光体カートリッジ。
  7. 請求項5に記載の電子写真感光体を有する画像形成装置。
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