JP3616943B2 - ポリエーテル樹脂及びこれを用いた電子写真用感光体 - Google Patents

ポリエーテル樹脂及びこれを用いた電子写真用感光体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なポリエーテル樹脂及びこれを用いた電子写真用感光体に関し、詳しくは感光層中に電荷輸送能を有するポリエーテル樹脂を含有した高感度で且つ高耐久の電子写真用感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、有機感光体(OPC)が複写機、プリンタに多く使用されている。有機感光体の代表的な構成例として、導電性基板上に電荷発生層(CGL)、電荷輸送層(CTL)を順次積層した積層感光体が挙げられる。電荷輸送層は低分子電荷輸送材料(CTM)とバインダー樹脂より形成される。しかしながら、低分子電荷輸送材料の含有により、バインダー樹脂が本来有する機械的強度を低下させ、このことが感光体の摩耗性、傷、クラック等の原因となり、感光体の耐久性を損なうものとなっている。
【0003】
光導電性高分子材料としては、古くはポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール等のビニル重合体が電荷移動錯体型の感光体として検討されたが、光感度の点で満足できるものではなかった。一方、前述の積層型感光体の欠点を改良すべく、電荷輸送能を有する高分子材料に関する検討がなされている。例えば、トリフェニルアミン構造を有するアクリル系樹脂[M.Stolka et al,J.Polym.Sci.,Vol21,969(1983)]、ヒドラゾン構造を有するビニル重合体(Japan HardCopy ’89 P.67)及びトリアリールアミン構造を有するポリカーボネート樹脂(米国特許第4,801,517号明細書、同4,806,443号明細書、同4,806,444号明細書、同4,937,165号明細書、同4,959,288号明細書、同5,030,532号明細書、同5,034,296号明細書、同5,080,989号明細書、特開昭64−9964号公報、特開平3−221522号公報、特開平2−304456号公報、特開平4−11627号公報、特開平4−175337号公報、特開平4−18371号公報、特開平4−31404号公報、特開平4−133065号公報等)等であるが、実用化には到っていない。
【0004】
また、M.A.Abkowitzらはテトラアリールベンジジン誘導体をモデル化合物として低分子分散型と、高分子化されたポリカーボネートとの比較を行なっているが、高分子系はドリフト移動度が一桁低いとの結果を得ている。[Physical Review B46,6705(1992)]。この原因については明らかではないが、高分子化することにより機械的強度は改善されるものの、感度、残留電位等電気的特性に課題があることを示唆している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の実情に鑑みてなされたものであって、電荷輸送能を有するポリエーテル樹脂を用いることにより、高感度で且つ高耐久な電子写真用感光体を提供することを、その目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、上記のような課題は「導電性支持体上に下記一般式(I)で示されるポリエーテル樹脂を有効成分として含有した感光層を設けたことを特徴とする電子写真用感光体
【0007】
【化2】
Figure 0003616943
(式中、Ar、Arは芳香族炭化水素若しくは複素環の2価基を、Arは芳香族炭化水素の2価基を、Arは芳香族炭化水素基を、Rは水素原子、置換又は無置換のアルキル基若しくは芳香族炭化水素基を表わし、xは1〜12、nは2〜5000の整数を表わす。)」によって解決される
記のように本発明のポリエーテル樹脂を用いた電子写真用感光体は、樹脂自身が高い電荷輸送能をもち、且つ高い機械的強度を有するため、高感度で且つ高耐久なものである。以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0008】
本発明の電子写真用感光体は上記したように感光層中に少なくとも前記一般式(I)で示されるポリエーテル樹脂を有効成分として含有する感光層を設けたものである。
これらのポリエーテル樹脂は新規物質であり、以下のような方法によって製造される。
【0009】
下記一般式(II)で示されるジアルデヒド化合物と、下記一般式(III)で示されるホスホン酸エステル化合物を塩基性触媒の存在下、室温から100℃程度の温度において反応させることにより、前記一般式(I)で示される本発明のポリエーテル樹脂が製造できる。
【0010】
【化3】
Figure 0003616943
(式中、Arは、芳香族炭化水素若しくは複素環の2価基を、Arは芳香族炭化水素の2価基を、Arは芳香族炭化水素基を表わし、xは1〜12の整数を表わす。)
【0011】
【化4】
Figure 0003616943
(式中、Arは、芳香族炭化水素若しくは複素環の2価基を、Rは水素原子、置換又は無置換のアルキル基若しくは芳香族炭化水素基を、Rは低級アルキル基を表わす。)
【0012】
上述の反応における塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムアミド、水素化ナトリウム及びナトリウムメチラート、カリウム−t−ブトキサイドなどのアルコラートを挙げることができる。また、反応溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどを挙げることができる。中でも極性溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドが好適である。
【0013】
反応温度は、1)使用する溶媒の塩基性触媒に対する安定性、2)縮合成分[一般式(II)及び一般式(III)の化合物]の反応性、3)前記塩基性触媒の溶媒中における縮合剤としての反応性によって広範囲に選択することができる。例えば極性溶媒を用いるときは、実際には室温から100℃、好ましくは室温から80℃である。しかし、反応時間の短縮又は活性の低い縮合剤を使用する場合には更に高い温度でもよい。
【0014】
一般式(I)のポリエーテル樹脂において、Arとしてはベンゼン、ビフェニル、ターフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、ピレン、スチルベン、9,9−ジメチルフルオレン等の芳香族炭化水素の1価基が挙げられる。上記芳香族炭化水素基の2価基がAr及びArの芳香族炭化水素の例示として挙げられる。Arの複素環としては、チオフェン、ベンゾチオフェン、フラン、ベンゾフラン、カルバゾール、及び2,5−ジフェニル−1,3,4−オキサジアゾール等の2価基が挙げられる。Rの置換又は無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基が挙げられ、芳香族炭化水素基としては、置換又は無置換のフェニル基が挙げられる。上記の芳香族炭化水素は置換基として、アルキル基、アルコキシ基及びハロゲン原子を有してもよい。
【0015】
以下に、一般式(III)で示されるホスホン酸エステル化合物の具体的な例を示す。
【0016】
【表1】
Figure 0003616943
【0017】
以上、本発明の電子写真用感光体に使用される電荷輸送能を有するポリエーテル樹脂の製法、構造について説明してきたが、このものを感光層中に含有させる実施形態について以下に説明する。
本発明の感光体の断面図を図1〜図6に示す。
本発明の感光体は、前記のような電荷輸送能を有するポリエーテル樹脂の1種又は2種以上を感光層(2)、(2’)、(2’’)、(2’’’)、(2’’’’)、(2’’’’’)に含有させたものであり、これらの応用の仕方によって、図1、図2、図3、図4、図5或いは図6に示したごとくに用いることができる。
【0018】
図1における感光体は、導電性支持体(1)上に増感染料及び電荷輸送能を有するポリエーテル樹脂、場合により該ポリエーテル樹脂と結合剤(結着樹脂)よりなる感光層(2)が設けられたものである。ここでのポリエーテル樹脂は光導電性物質として作用し、光減衰に必要な電荷担体の生成及び移動はポリエーテル樹脂を介して行なわれる。しかしながら、ポリエーテル樹脂は光の可視領域においてはほとんど吸収を有していないので、可視光で画像を形成する目的のためには、可視領域に吸収を有する増感染料を添加して増感する必要がある。
【0019】
図2における感光体は、導電性支持体(1)上に、電荷発生物質(3)を電荷輸送能を有するポリエーテル樹脂単独或いは結合剤と併用してなる電荷輸送媒体(4)の中に分散せしめた感光層(2’)が設けられたものである。ここでのポリエーテル樹脂は単独で或いは結合剤との併用で電荷輸送媒体を形成し、一方、電荷発生物質(3)(無機又は有機顔料のような電荷発生物質)が電荷担体を発生する。この場合、電荷輸送媒体(4)は主として電荷発生物質(3)が発生する電荷担体を受入れ、これを輸送する作用を担当している。そして、この感光体にあっては、電荷発生物質とポリエーテル樹脂とが、互いに主として可視領域において、吸収波長域が重ならないというのが基本的条件である。これは、電荷発生物質(3)に電荷担体を効率よく発生させるためには、電荷発生物質表面まで光を透過させる必要があるからである。一般式(I)で表わされる構成単位を含有するポリエーテル樹脂は波長600nm以上の可視領域にほとんど吸収がなく、一般に可視領域から近赤外領域の光線を吸収し電荷担体を発生する電荷発生物質(3)とを合わせた場合、特に有効に電荷輸送物質として働くのがその特徴である。なお、上記電荷輸送媒体(4)中に低分子電荷輸送物質を含有させてもよい。
【0020】
図3における感光体は、導電性支持体(1)上に電荷発生物質(3)を主体とする電荷発生層(5)と、電荷輸送能を有するポリエーテル樹脂を含有する電荷輸送層(4)との積層からなる感光層(2’’)が設けられたものである。この感光体では、電荷輸送層(4)を透過した光が電荷発生層(5)に到達し、その領域で電荷担体の発生が起こり、一方、電荷輸送層(4)は電荷担体の注入を受けその輸送を行なうもので、光減衰に必要な電荷担体の発生は、電荷発生物質(3)で行なわれ、また、電荷担体の輸送は電荷輸送層(4)で行なわれる。こうした機構は図2に示した感光体においてした説明と同様である。なお、電荷輸送層(4)は、本発明の電荷輸送能を有するポリエーテル樹脂単独或いは結合剤との併用で形成される。また、電荷発生効率を高めるために、電荷発生層(5)に本発明のポリエーテル樹脂を含有させてもよい。同様の目的で、感光層(2’’)中に低分子電荷輸送物質を併用してもよい。後述の感光層(2’’’)、(2’’’’)、(2’’’’’)についても同様である。
【0021】
図4における感光体は、電荷輸送層(4)上に保護層(6)を設けたものである。本構成の場合は、電荷輸送層(4)上に本発明のポリエーテル樹脂或いは結合剤との併用で保護層が形成される。当然のことながら、従来多く使用されている低分子分散型電荷輸送層上への形成が効果的である。なお、図2に示した感光層(2’)上へ同様に設けられてもよい。
【0022】
図5における感光体は、図3の電荷発生層(5)と、本発明のポリエーテル樹脂を含有する電荷輸送層(4)の積層順を逆にしたものであり、その電荷担体の発生及び輸送の機構は上記の説明と同様にできる。この場合、機械的強度を考慮し図6のように電荷発生層(5)の上に保護層(6)を設けることもできる。
実際に本発明の感光体を作製するには、図1に示した感光体であれば、電荷輸送能を有するポリエーテル樹脂の1種又は2種以上或いはそれと結合剤と併用して溶解し、更にこれに増感染料を加えた液をつくり、これを導電性支持体(1)上に塗布し、乾燥して感光層(2)を形成すればよい。
【0023】
感光層の厚さは、3〜50μm、好ましくは5〜40μmが適当である。感光層(2)に占めるポリエーテル樹脂の量は、30〜100重量%であり、また、感光層(2)に占める増感染料の量は0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%である。増感染料としては、ブリリアントグリーン、ビクトリアブルーB、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アシッドバイオレット6Bのようなトリアリールメタン染料、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミンGエキストラ、エオシンS、エリトロシン、ローズベンガル、フルオレセインのようなキサンテン染料、メチレンブルーのようなチアジン染料、シアニンのようなシアニン染料が挙げられる。
【0024】
また、図2に示した感光体を作製するには、1種又は2種以上の電荷輸送能を有するポリエーテル樹脂或いは結合剤を併用し溶解した溶液に電荷発生物質(3)の微粒子を分散せしめ、これを導電性支持体(1)上に塗布し、乾燥して感光層(2’)を形成すればよい。
感光層(2’)の厚さは3〜50μm、好ましくは5〜40μmが適当である。感光層(2’)に占める電荷輸送能を有するポリエーテル樹脂の量は40〜100重量%であり、また、感光層(2’)に占める電荷発生物質(3)の量は0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%である。電荷発生物質(3)としては、例えばセレン、セレン−テルル、硫化カドミウム、硫化カドミウム−セレン、a−シリコンなどの無機材料、有機材料としては例えばCIピグメントブルー25(カラーインデックスCI21180)、CIピグメントレッド41(カラーインデックスCI21200)、CIアシッドレッド52(カラーインデックスCI45100)、CIベーシックレッド3(カラーインデックスCI45210)、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報に記載)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報に記載)、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報に記載)などのアゾ顔料、例えばCIピグメントブルー16(CI74100)などのフタロシアニン系顔料、例えばCIバットブラウン5(CI73410)、CIバットダイ(CI73030)などのインジゴ系顔料、アルゴスカーレットB(バイエル社製)、インダンスレンスカーレットR(バイエル社製)などのペリレン系顔料などが挙げられる。なお、これらの電荷発生物質は単独で用いられても2種以上が併用されてもよい。
【0025】
さらに、図3に示した感光体を作製するには、導電性支持体(1)上に電荷発生物質を真空蒸着するか、或いは電荷発生物質の微粒子(3)を必要によって結合剤を溶解した適当な溶媒中に分散した分散液を塗布し乾燥するかして、更に必要であればバフ研磨などの方法によって表面仕上げ、膜厚調整などを行なって電荷発生層(5)を形成し、この上に1種又は2種以上の電荷輸送能を有するポリエーテル樹脂或いは結合剤と併用し溶解した溶液を塗布し乾燥して電荷輸送層(4)を形成すればよい。
なお、ここで電荷発生層(5)の形成に用いられる電荷発生物質は、前記の感光層(2’)について説明したものと同様のものである。
【0026】
電荷発生層(5)の厚さは5μm以下、好ましくは2μm以下であり、電荷輸送層(4)の厚さは3〜50μm、好ましくは5〜40が適当である。電荷発生層(5)が電荷発生層物質の微粒子(3)を結合剤中に分散させたタイプのものにあっては、電荷発生物質の微粒子(3)の電荷発生層(5)に占める割合は10〜100重量%、好ましくは50〜100重量%程度である。また、電荷輸送層(4)に占める電荷輸送能を有するポリエーテル樹脂の量は40〜100重量%である。
【0027】
なお、図3における感光層(2’’)に低分子電荷輸送物質を含有してもよいことは前述のとおりであるが、ここに用いられる該電荷輸送物質としては下記のものが挙げられる。
オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体(特開昭52−139065号公報、特開昭52−139066号公報等に記載)、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体(特開平3−285960号公報に記載)、ベンジジン誘導体(特公昭58−32372号公報に記載)、α−フェニルスチルベン誘導体(特開昭57−73075号公報に記載)、ヒドラゾン誘導体(特開昭55−154955号公報、特開昭55−156954号公報、特開昭55−52063号公報、特開昭56−81850号公報等に記載)、トリフェニルメタン誘導体(特公昭51−10983号公報に記載)、アントラセン誘導体(特開昭51−94829号公報に記載)、スチリル誘導体(特開昭56−29245号公報、特開昭58−198043号公報等に記載)、カルバゾール誘導体(特開昭58−58552号公報に記載)、ピレン誘導体(特開平2−94812号公報に記載)など。
【0028】
図4に示した感光体を作成するには、図3に示した感光体上に本発明の電荷輸送能を有するポリエーテル樹脂を単独で或いは結合剤と併用して溶解し塗布し、乾燥して、保護層(6)が設けられる。保護層の厚さは0.15〜10μmが好ましい。保護層(6)中に占める本発明のポリエーテル樹脂の量は40〜100重量%である。
【0029】
図5に示した感光体を作成するには、導電性支持体(1)上に電荷輸送能を有するポリエーテル樹脂或いは結合剤と併用し溶解した溶液を塗布し、乾燥して電荷輸送層(4)を形成したのち、この電荷輸送層の上に電荷発生層物質の微粒子を必要によって結合剤を溶解した溶媒中に分散した分散液をスプレー塗工等の方法で塗布乾燥して電荷発生層(5)を形成すればよい。電荷発生層或いは電荷輸送層の量比は図3で説明した内容と同様である。
このようにして得られた感光体の電荷発生層(5)の上に前述の保護層(6)を形成することにより図6に示す感光体を作成できる。
なお、これらのいずれの感光体製造においても、導電性支持体(1)には、アルミニウムなどの金属板又は金属箔、アルミニウムなどの金属を蒸着したプラスチックフィルム、或いは導電処理を施した紙などが用いられる。
【0030】
また、結合剤としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネートなどの縮合樹脂や、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドのようなビニル重合体などが用いられるが、絶縁性で且つ接着性のある樹脂はすべて使用できる。必要により可塑剤が結合剤に加えられているが、そうした可塑剤としてはハロゲン化パラフィン、ジメチルナフタリン、ジブチルフタレートが例示できる。また、必要に応じて酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、滑剤などの添加剤を加えることができる。
さらに、以上のようにして得られる感光体には、導電性支持体と感光層の間に必要に応じて接着層又はバリア層を設けることができる。これらの層に用いられる材料としては、ポリアミド、ニトロセルロース、酸化アルミニウム、酸化チタンなどであり、また膜厚は1μm以下が好ましい。
本発明の感光体を用いて複写を行なうには、感光面に帯電、露光を施した後、現像を行ない必要によって紙などへ転写を行なう。
本発明の感光体は感度が高く、また耐久性に優れている。
【0031】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
実施例1
下記構造の第3級アミノ基を有するジアルデヒド化合物を出発物質として用いた。
【0032】
【化5】
Figure 0003616943
乾燥DMF100mlに上記アルデヒド6.61g(0.01モル)と、下記ホスホン酸エステル(II)5.07g(0.01モル)を溶解した。
この溶液中に、KOC(CHを2.69g(0.024モル)徐々に加え、さらに2時間室温にて撹拌した。そして、ターミネーターとしてベンズアルデヒド1.06g(0.01モル)を加えた。
反応物を水1000mlにあけ、酢酸で中和し析出物をろ別後、水洗した。そして、塩化メチレン200mlに溶解し、5%NaOH水溶液、2%HCl水溶液、純水で洗浄した後、メタノールへ再沈し、析出物をろ過、洗浄し、黄色粉末7.24g(収率82.6%)(III)を得た。
【0033】
【化6】
Figure 0003616943
【0034】
【化7】
Figure 0003616943
この物の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したところ、ポリスチレン換算の分子量は以下のようであった。
Mn=3190
Mw=6708
この物の赤外線吸収スペクトルを図7に示す。
元素分析結果は下記のようであった。
【0035】
【表2】
Figure 0003616943
【0036】
実施例2
アルミ板上にメタノール/ブタノール混合溶媒に溶解したポリアミド樹脂(CM−8000:東レ社製)溶液をドクターブレードで塗布し、自然乾燥して0.3μmの中間層を設けた。この上に電荷発生物質として下記式で表わされるビスアゾ化合物をシクロヘキサノンと2−ブタノンの混合溶媒中でボールミルにより粉砕し、得られた分散液をドクターブレードで塗布し、自然乾燥して0.5μmの電荷発生層を形成した。
【0037】
【化8】
Figure 0003616943
次に、電荷輸送物質として実施例1で得られたポリエーテル樹脂をジクロロメタンに溶解し、この溶液を前記電荷発生層上にドクターブレードで塗布し、自然乾燥し、次いで120℃で20分間乾燥して厚さ20μmの電荷輸送層を形成して感光体を作製した。
このようにして作製された感光体について市販の静電複写紙試験装置((株)川口電機製作所製SP428型)を用いて、暗所で−6KVのコロナ放電を20秒間行なって帯電せしめた後、感光体の表面電位V(V)を測定し、更に20秒間暗所に放置した後、表面電位V(V)を測定した。次いで、タングステンランプ光を感光体表面での照度が4.5luxになるように照射して、Vが1/2になるまでの時間(秒)を求め、露光量E1/2(lux・sec)を算出した。結果は下記の通りであった。
=−1100V
=−720V
1/2=0.51lux・sec
【0038】
実施例3
実施例2と同様にして電荷発生層を形成した後、電荷輸送物質として実施例1で得られたポリエーテル樹脂2部、ポリカーボネト樹脂(帝人化成製:パンライトTS−2050)2部をジクロロメタンに溶解し、この溶液を前記電荷発生層上にドクターブレードで塗布し、自然乾燥し、次いで120℃で20分間乾燥して厚さ20μmの電荷輸送層を形成して感光体を作製した。
この感光体について実施例2と同様に測定して下記の結果を得た。
=−1351V
=−1010V
1/2=0.92lux・sec
【0039】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的に説明したように、本発明により、下記一般式(I)で表わされる新規なポリエーテル樹脂が提供される。
【0040】
【化9】
Figure 0003616943
(式中、Ar、Arは芳香族炭化水素若しくは複素環の2価基を、Arは芳香族炭化水素の2価基を、Arは芳香族炭化水素基を、Rは水素原子、置換又は無置換のアルキル基若しくは芳香族炭化水素基を表わし、xは1〜12、nは2〜5000の整数を表わす。)
この新規ポリエーテル樹脂は、高い電荷輸送能をもち、波長600nm以上の可視領域にほとんど吸収がなく、且つ機械的強度が高く、OPC型電子写真感光体における電荷輸送物質として極めて有用であり、このポリエーテル樹脂を用いた電子写真用感光体は高感度で高耐久性を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電子写真用感光体の構成例を説明する図である。
【図2】本発明による電子写真用感光体の別の構成例を説明する図である。
【図3】本発明による電子写真用感光体の更に別の構成例を説明する図である。
【図4】本発明による電子写真用感光体のまた更に別の構成例を説明する図である。
【図5】本発明による電子写真用感光体のまた更に別の構成例を説明する図である。
【図6】本発明による電子写真用感光体のまた更に別の構成例を説明する図である。
【図7】本発明のポリエーテル樹脂の1例についての赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【符号の説明】
1 導電性支持体
2 感光層
2’ 感光層
2’’ 感光層
2’’’ 感光層
2’’’’ 感光層
2’’’’’ 感光層
3 電荷発生物質
4 電荷輸送層
5 電荷発生層
6 保護層

Claims (1)

  1. 導電性支持体上に下記一般式(I)で示されるポリエーテル樹脂を有効成分として含有した感光層を設けたことを特徴とする電子写真用感光体
    Figure 0003616943
    (式中、Ar、Ar は芳香族炭化水素若しくは複素環の2価基を、Ar は芳香族炭化水素の2価基を、Ar は芳香族炭化水素基を、Rは水素原子、置換又は無置換のアルキル基若しくは芳香族炭化水素基を表わし、xは1〜12、nは2〜5000の整数を表わす。)
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