JP6354506B2 - 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
電子写真感光体へのポリアリレート樹脂の展開として、市販されているポリアリレート樹脂であるU−ポリマー(商品名)を感光層のバインダー樹脂として用いることにより、多くの電子写真感光体に使用されているポリカーボネート樹脂を用いる場合と比較して感度が向上することが報告されている(特許文献1参照)。しかしながら、このポリアリレート樹脂を溶解して調製した塗布液の安定性が低く、塗布製造が困難な場合があった。この問題に対し、特定構造の2価フェノール成分を用いたポリアリレート樹脂をバインダー樹脂とすることで、電子写真感光体を製造する際に用いる塗布溶液の安定性の向上、及び電子写真感光体の機械的強度、耐摩耗性の改良が報告されている(特許文献2〜5参照)。
時的に一定に保ち、かつ画像全面に渡って濃度を均一にすることが重要になってきている。例えば、現像器のトナー等に含まれる水分が、画像形成プロセスの静止中に対向する感光体の現像器対向部分の感度に影響を与え、画像のバンドむらを起こす問題が挙げられる。従来電荷発生物質として広く使われてきたチタニルフタロシアニンの中で、最高感度を示すY型の結晶型を有するチタニルフタロシアニンは、電気特性の湿度依存性が大きいことで知られる。それに代え、より湿度依存性の小さいガリウムフタロシアニンが使用されるようになっている。中でも、高感度を発現する、特定の結晶型のヒドロキシガリウムフタロシアニンが提案されている(特許文献8、9)。しかし、上記のようなポリアリレート樹脂における2価フェノール成分中の副生成物と、前記ヒドロキシガリウムフタロシアニンを用いた場合の電子写真感光体における電気特性、および画像特性への影響は、報告例が無い。
ポリアリレート樹脂の重合に用いられる原料モノマーの純度、及び原料モノマー中に含有
される特定構造の副生成物について鋭意検討を行った。その結果、原料モノマーの副生物
の含有量を一定範囲内に制御することにより、重合して製造された当該ポリアリレート樹
脂を積層型電子写真感光体の電荷輸送層に使用し、かつヒドロキシガリウムフタロシアニ
ンを電荷発生層に用いた場合、当該副生物量を当該範囲内に制御されていない原料モノマ
ーを使用して生成したポリアリレート樹脂を用いた場合と比較して、電気特性及び画像特
性を改良できることを見い出し、本発明に至った。即ち、本発明の趣旨は、以下<1>〜
<8>に存する。
感光体において、当該電荷発生層中にヒドロキシガリウムフタロシアニンを含有し、該電
荷輸送層中に、ポリアリレート樹脂を含有し、該ポリアリレート樹脂が、式(1)、式(
3)´及び式(4)´で表される繰り返し構造を有し、該ポリアリレート樹脂が、式(3
)´で表される繰り返し構造を、式(1)の部分構造である式(2)´及び式(3)´で
表される繰り返し構造の合計に対して、0.2%以上1%以下含有し、式(4)´で表さ
れる繰り返し構造を、式(2)´、式(3)´及び式(4)´で表される繰り返し構造の
合計に対して、10ppm以下含有することを特徴とする電子写真感光体。
レン基、p−フェニレン基、又は2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2
価の基から選ばれる少なくとも1つの2価の基を示す。nは繰り返し数を表す。Xは各々
、単結合、―CR1R2−、O、CO、Sを示す。またR1、R2は各々独立に、水素原
子、メチル基、もしくはエチル基を示し、又は、R1及びR2は、R1とR2とが結合し
て形成されるシクロヘキシリデン基を示す。)
<2>前記式(3)´で表される繰り返し構造が式(3a)´で表される繰り返し構造
であることを特徴とする<1>に記載の電子写真感光体。
2は各々独立に、水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示し、又は、R1及びR2は
、R1とR2とが結合して形成されるシクロヘキシリデン基を示す。)
<3>前記式(3)´で表される繰り返し構造が、式(2)´及び式(3)´で表され
る繰り返し構造の合計に対して、0.3%以上0.8%以下であることを特徴とする<1
>又は<2>に記載の電子写真感光体。
ブラッグ角(2θ±0.2)が28.3゜に強い回折ピークを示すヒドロキシガリウムフ
タロシアニン結晶であることを特徴とする、<1>〜<3>のいずれかに記載の電子写真
感光体。
クロロナフタレンの含有量が、0.1ng/cm2以下であることを特徴とする、<1>
〜<4>のいずれかに記載の電子写真感光体。
れる少なくとも1つ以上の電荷輸送物質を含有することを特徴とする、<1>〜<5>の
いずれかに記載の電子写真感光体。
カートリッジ。
<8><1>〜<6>のいずれかに記載の電子写真感光体を使用した、画像形成装置。
≪1.ポリアリレート樹脂≫
<ポリアリレート樹脂の構造>
本発明のポリアリレート樹脂は、式(1)で表される繰り返し構造を有しており、式(2)で表されるビスフェノールを含む原料モノマーを重合させて得ることができる。
また本発明のポリアリレート樹脂は、上記式(1)で表される繰り返し構造をその分子構造中に含んでいればよく、例えば上記式(1)で表される繰り返し構造のみを有するものであってもよいし、また例えば上記式(1)で表される繰り返し構造と、式(1)で表される繰り返し構造以外の繰り返し構造とを有する共重合体であってもよい。このような共重合体の好ましい例として、上記式(1)で表される繰り返し構造と、下記式(1a)で表される繰り返し構造とを含む共重合体等が挙げられる。
本発明のポリアリレート樹脂は、以下の繰り返し単位を有することが好ましい。
ポリアリレート樹脂中の下記式(4)で表されるビスフェノールのガスクロマトグラフを用いて測定したとき水素炎イオン化法(FID)で検出される強度比における含有量は、式(2)、式(3)、式(4)で表されるビスフェノール合計量に対して、上限は15ppm以下が好ましく、より好ましくは10ppm以下、更に好ましくは8ppm以下、特に好ましくは5ppm以下であり、検出されないことが特に好ましい。式(4)で表さ
れるビスフェノールの量は、遊離のビスフェノール及び繰り返し構造中に結合しているビスフェノールの和である。ポリアリレート樹脂中に、式(4)のビスフェノールが少ないことにより、カルボン酸クロライド末端などの末端基を制御することが可能となる上、単純にフェノール成分が減少することにより電荷の蓄積を抑制することで、繰り返し転写メモリーが良好であると考えられる。ポリアリレート樹脂中における、下記式(4)で表されるビスフェノール残基の含有量は、例えば、前記式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂を塩基性あるいは酸性条件下で加水分解を行いモノマー成分へと分解し、中和した後、ガスクロマトグラフにより測定できる。原料モノマー由来のピークの総面積における、各ピークの面積の占める割合を含有量とする。
<原料モノマー>
本発明のポリアリレート樹脂の製造には、式(2)で表される構造のビスフェノールを含有する原料モノマーが用いられる。
式(2)で表されるビスフェノールの具体的構造を以下に例示する。
ここで、本発明において、原料モノマー中における、下記式(3)で表されるビスフェノールのガスクロマトグラフを用いて測定したとき水素炎イオン化法(FID)で検出される強度比における含有量は、上限は、1%以下であり、機械特性の観点から、好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.5%以下である。また、下限は、0.2%以上であり、好ましくは0.3%以上、より好ましくは0.4%以上である。下記式(3)で表されるビスフェノールの含有量が1%を超えて存在する場合には、原料モノマーを重合させて製造したポリアリレートの機械特性や溶解性が悪化する場合がある。一方、含有量が0.2%より少ない場合には、製造したポリアリレート樹脂の電気特性、特に繰り返し使用時の電気特性が悪化する場合がある。式(3)で表されるビスフェノールは、式(2)で表されるビスフェノールよりもオルト位のメチル基が少ないことから、重合時における反応性が高く、製造されるポリアリレート末端基を制御することができるため、溶解性・電気特性が良好になると考えられる。原料モノマー中における、下記式(3)で表されるビ
スフェノールの含有量は、ガスクロマトグラフにより測定できる。原料モノマー由来のピークの総面積における、各ピークの面積の占める割合を含有量とする。
式(3)の中でも、重合性の観点から、式(3a)で表されるビスフェノールであることが好ましい。
式(3)で表されるビスフェノールの具体的構造を以下に例示する。
また、原料モノマー中における、下記式(4)で表されるビスフェノールのガスクロマトグラフを用いて測定したとき水素炎イオン化法(FID)で検出される強度比における含有量は、15ppm以下であることが好ましく、電気特性の観点から、より好ましくは10ppm以下、更に好ましくは5ppm以下、特に好ましくは1ppm以下である。下記式(4)で表されるビスフェノールの含有量が15ppm以下の場合には、原料モノマーを重合させて製造したポリアリレートの電気特性や重合制御性が良好となる。下記式(4)で表されるビスフェノールは、オルト位のメチル基が多いことから、重合時における反応性が低いため、15ppm以下とすることで重合再現性がとれ、製造されるポリアリ
レートにおいて末端基を制御すること容易になるため、電気特性が良好になると考えられる。原料モノマー中における、下記式(4)で表されるビスフェノールの含有量は、ガスクロマトグラフにより測定できる。
式(4)で表されるビスフェノールの具体的構造を以下に例示する。
本発明においては、原料モノマー中のこれらの不純物の中でも、フェノールに由来する副生成物の量を制御することで、ポリアリレート樹脂としたときの特性が優れたものとなる。なお、フェノールに由来する副生成物(上記式(3)で表されるビスフェノール)の量は、式(2)で表されるビスフェノールの製造に用いられるオルトクレゾールの製造(精製)法の制御や精製したオルトクレゾールに適量のフェノールを添加する方法などで制御できる。 また、2,6−キシレノールの含有量を制御する観点からは、クロロベンゼンを出発原料として加水分解し合成された混合クレゾールから精留する方法、精製されたオルト−クロロトルエンを加水分解によりオルト−クレゾールを製造する方法が好ましい。分留クレゾールを使用する場合に比較して、クロロベンゼンを出発原料として使用する場合は、クロロベンゼン原料自体にキシレノール不純物を含まないため抑制に効果的である。
本発明のポリアリレート樹脂を製造する方法としては、後述する式(2)で表されるビスフェノールを含有する原料モノマーを重合させることが可能な方法であれば、特に制限
はなく、公知のポリアリレートの重合方法を適用し製造することができる。ポリアリレート樹脂の重合方法としては、例えば、界面重合法、溶融重合法、溶液重合法等を用いることができる。ここでポリアリレート樹脂の製造法の一例を説明する。
ハロゲン化炭化水素としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。
とポリアリレート中に残存してしまい電気特性に悪影響する場合がある。
また他の精製方法としては、例えば、生成したポリアリレート樹脂の溶液を、ポリアリレート樹脂が不溶の溶媒中に析出させる方法、ポリアリレート樹脂の溶液を温水中に分散させ溶媒を留去する方法、又はポリアリレート樹脂溶液を吸着カラム等に流通させる方法等により精製してもよい。
乾燥時間は残存溶媒等の不純物の純度が一定以下になるまでの時間以上行うことが好ましく、具体的には、残存溶媒が通常1000ppm以下、好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下になる時間以上乾燥する。
本発明のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、通常5,000以上であり、好ましくは10,000以上、より好ましくは20,000以上である。また、通常200,000以下であり、好ましくは150,000以下であり、更に好ましくは100,000以下である。粘度平均分子量(Mv)が5,000未満であると機械的強度が不十分で実用的でない場合があり、200,000を超えると、塗布液とした場合に適正な塗布液粘度を得るために固形分濃度を小さくしなければならず、適当な膜厚に均一に塗布することが困難となる場合がある。また、本発明におけるポリアリレート樹脂の末端に存在するカルボン酸クロライド基量は、通常0.1μ当量/g以下、好ましくは0.05μ当量/g以下である。末端カルボン酸クロライド基量が上記範囲を超えると、ポリアリレート樹脂を電子写真感光体用塗布液とした際の保存安定性が低下する傾向がある。
本願の電荷発生層に使用する電荷発生物質としては、高感度を発現する結晶型のヒドロキシガリウムフタロシアニンが好適に使用される。中でも、特許文献8記載のV型のヒドロキシガリウムフタロシアニン、特許文献9記載の、28.1゜にもっとも強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、または26.2゜にピークを持たず28.1゜に明瞭なピークを有し、かつ25.9゜の半値幅Wが0.1゜≦W≦0.4゜であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等がより好ましく、これらのうち、V型のヒドロキシガリウムフタロシアニン、28.1゜にもっとも強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニンが最も好ましい。
点から、非ハロゲン溶媒の使用が好ましく、上記の中ではキノリン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドがより好ましく、ジメチルスルホキシドが最も好ましい。
れるそれらの残留量が異なったり、あるいは反応溶媒自身がクロロガリウムフタロシアニン結晶内に取り込まれた場合の影響の度合いが、反応溶媒種によって異なり、しかも後工程のアシッドペースティング処理やミリング処理を経て、ヒドロキシガリウムフタロシアニンに変換する工程でも、それらの残留物、反応溶媒が完全に除去されず残留するためだと考えられる。
なお、ヒドロキシガリウムフタロシアニンに含有される残留溶媒は、電子写真感光体からも定量可能である。定量手順は、下記の通りである。まず、電荷輸送層等の上層を有機溶剤等で除去した後、電荷発生層成分(100cm2相当分)を分離し、さらにそのうちのバインダー樹脂を溶剤で溶解して、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を単離する。その後、単離した顔料試料をGC/MS(SIM)法で成分の同定と定量を行う。定量は、まず既知濃度の反応溶媒(例えば、α-クロロナフタレン)標品にて検量線(ピーク面積vs.
検出強度)を作成し、その検量線と、測定サンプルのピーク面積から、溶媒検出量を算出する。また、測定サンプルを単離する前に標準品を添加し、どの程度の回収率があるか確認し、その回収率から、溶媒検出量を補正する。
本実施の形態が適用される電子写真感光体は、導電性支持体上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層と、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層とを少なくとも積層して有する、積層型感光体である。上述した式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂は、電荷輸送層に用いられる。
導電性支持体について特に制限は無いが、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。更には、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いても良い。また、導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いても良い。陽極酸化被膜を施した場合には、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引抜き管をそのまま使用することも可能である。
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、樹脂、又は樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。また、下引き層は、単一層からなるものであっても、複数層からなるものであってもかまわない。下引き層が複数層からなる場合、導電性支持体上に、導電層(干渉縞防止層)及び中間層からなる構成とすることもできる。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタンアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知のバインダー樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、レゾール型フェノール樹脂、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、繰り返し特性、及び製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合しても良い。画像欠陥防止等を目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させて用いても良い。
電荷発生層は、電荷発生物質をバインダー樹脂で結着することにより形成される。電荷発生物質としては、前記のヒドロキシガリウムフタロシアニンが使用される。通常は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生層に用いるバインダー樹脂は特に制限されないが、例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーなどが挙げられる。これらのバインダー樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせで混合して用いても良い。
素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状又は環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水などが挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。なお、上述の下引き層を設ける場合には、この下引き層を溶解しないものが好ましい。
電荷輸送層は、電荷輸送物質、バインダー樹脂と、必要に応じてその他の成分を含有する。このような電荷輸送層は、通常電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質としては特に限定されず、任意の物質を用いることが可能である。電荷輸送物質の例としては、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。電荷輸送物質の好適な構造の具体例を以下に示す。以下具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知の電荷輸送物質を用いてもよい。
また、バインダー樹脂として、前述した式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂と、他の樹脂とを混合して用いることも可能である。ここで混合される他の構造を有する樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体又はその共重合体;ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステルポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂又は種々の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら樹脂のなかでもポリカーボネート樹脂とポリアリレート樹脂が好ましい。
式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対して、電荷輸送物質を通常10質量部以上の比率で使用する。中でも、残留電位低減の観点から20質量部以上が好ましく、更には、繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から30質量部以上がより好ましい。一方、感光層の熱安定性の観点から、電荷輸送物質を通常120質量部以下の比率で使用する。中でも、電荷輸送物質料とバインダー樹脂との相溶性の観点から100質量部以下が好ましく、耐刷性の観点から70質量部以下がより好ましく、耐傷性の観点から50質量部以下が特に好ましい。
尚、電荷輸送層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、染料、顔料、有機/無機粒子等のフィラー、レベリング剤等の添加剤を含有させても良い。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物等が挙げられる。
積層型感光体を構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などの添加物を含有させても良い。
また、積層型感光体上に、更に別の層を設け、これを最表面層としてもよい。例えば、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けても良い。保護層は、導電性材料を適当なバインダー樹脂中に含有させて形成するか、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号各公報に記載のトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する化合物を用いた共重合体を用いることができる。
−(m−トリル)ベンジジン)等の芳香族アミノ化合物、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン、酸化アルミ、酸化亜鉛等の金属酸化物などを用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。
保護層に用いるバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、シロキサン樹脂等の公知の樹脂を用いることができ、また、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する骨格と上記樹脂の共重合体を用いることもできる。
さらに必要に応じて、バリアー層、接着層、ブロッキング層等の中間層、透明絶縁層など、電気特性、機械特性の改良のための層を有していてもよいことはいうまでもない。
これらの感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
電荷発生層の場合には、塗布液の固形分濃度は、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度は、通常0.01cps以上、好ましくは0.1cps以上、また、通常20cps以下、好ましくは10cps以下の範囲とする。
、好ましくは10質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を通常10cps以上、好ましくは50cps以上、また、通常500cps以下、好ましくは400cps以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラ,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱
ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。この場合、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
○ヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造
製造例1
1,3−ジイミノイソインドリン34.6gおよび三塩化ガリウム10gをジメチルスルホキシド200ml中に入れ、160℃において4時間反応させた。この反応液を室温まで冷却した後、5.0重量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液4.6gを加えた。この反
応液をろ別し、得られた結晶をメタノール300ml、イオン交換水100mlで洗浄し、その後乾燥することによりクロロガリウムフタロシアニン21.2gを得た。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン2.0gを、ジメチルホルムアミド30ml、ガラスビーズ55gと共に、サンドグランドミルにて、30時間ミリング処理を実施した。ろ別後、メタノール100mlで二回洗浄し、乾燥してV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン(A)1.9gを得た。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン(A)の粉末X線回折パターンを図2に示す。
窒素雰囲気下、o−フタロジニトリル32g、三塩化ガリウム10gをα−クロロナフタレン164g中に入れ、205℃において5時間反応させた。この反応液を150℃まで冷却し、ろ別し、得られた結晶をN−メチルピロリドン150ml、さらにメタノール150mlで洗浄し、その後乾燥することによりクロロガリウムフタロシアニン11.5gを得た。
得られたクロロガリウムフタロシアニンを製造例1と同様に濃硫酸処理およびミリング処理して、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン(B)1.9gを得た。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン(B)の粉末X線回折パターンを図3に示す。
[原料モノマーの分析方法]
実施例等に用いた、ビスフェノールを含む原料モノマーの純度、副生成物量は、以下の方法で測定をした。
原料モノマーの純度測定は各試料を1%アセトン溶液にしてガスクロマトグラフ測定により求めた。原料モノマー由来のピークの総面積における、各ピークの面積の占める割合を含有量とした。
カラム:DB−5(30mx0.25mmφ 0.25μm)
検出器:FID
また、副生成物を同定するためにGC/MSを測定した。
装置:Agilent 6890/5975
カラム:DB−1HT(15mx0.25mmφ 0.1μm)
検出器:MSD SCAN法(EI)
分析・解析結果を表1に示す。
製造例3(ポリアリレート樹脂(1)の製造法)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(6.20g)とH2O(235ml)を秤取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.36g)、原料モノマーBis−C(1){2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン}(16.18g)及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.168g)の順に添加、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を30分かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(196mL)を加え、撹拌を4時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(240mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(240mL)にて洗浄を2回行った。
製造例4(ポリアリレート樹脂(2)の製造法)
製造例3の原料モノマーBis−C(1)(16.18g)を原料モノマーBis−C(1)(11.33g)および原料モノマーBis−C(2)(4.85g)の混合物に変更した以外は、同様の操作で合成を行い、ポリアリレート樹脂(2)を得た。得られたポリアリレート樹脂(2)の分析値を表2に示す。
製造例3の原料モノマーBis−C(1)を原料モノマーBis−C2)に変更した以外は、同様の操作で合成を行い、ポリアリレート樹脂(4)を得た。得られたポリアリレート樹脂(4)の分析値を表2に示す。
製造例3の原料モノマーBis−C(1)を(16.18g)を原料モノマーBis−C(1)(4.85g)および原料モノマーBis−C(2)(11.33g)の混合物に変更した以外は、同様の操作で合成を行い、ポリアリレート樹脂(4)を得た。得られたポリアリレート樹脂(4)の分析値を表2に示す。
得られた各ポリアリレート樹脂の粘度平均分子量、カルボン酸クロライド末端基量、OH末端基量及びカルボン酸末端基量、ポリアリレートの加水分解およびビスフェノールの純度は、下記の方法で測定した。
ポリアリレート樹脂をジクロロメタンに溶解し濃度Cが6.00g/Lの溶液を調製した。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定した。以下の式に従って粘度平均分子量(Mv)を算出した。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
ポリアリレート約1.5gを精秤し、塩化メチレン20mLを加えて溶解した。これに4−(p−ニトロベンジル)ピリジンの1%塩化メチレン溶液2mLを加え、全量を25mLに調整した。30分間かけて発色させたのち、分光光度計((株)島津製作所製、UV−1200)を用い450nmの波長での吸光度を測定した。別に、ベンゾイルクロライドの塩化メチレン溶液を用い、吸光係数を求め、樹脂中のCF基量を定量した。
ポリアリレート約0.2gを精秤し、塩化メチレン10mLに溶解した。これに5%酢酸/塩化メチレン溶液を5mL加え、更に四塩化チタン溶液(*1)10mLを添加して発色させたのち、全液量を25mLに調整した。この溶液を分光光度計((株)島津製作所製、UV−1200)を用い480nmの波長の吸光度を測定した。(*1:塩化メチレン200mL、5%酢酸/塩化メチレン溶液22mL、塩化チタン5.5mLの混合溶液)。
別途、測定するポリアリレート樹脂と同組成のビスフェノール化合物(組成物)の塩化メチレン溶液を用いて吸光係数を求め、樹脂中のOH基量を定量した。
トールビーカーに約0.4gのポリアリレート樹脂を精秤し、ベンジルアルコール25mL加え、195℃のオイルバスにて加熱溶解させた。完全溶解を確認の上、オイルバスから取り出し溶液を冷却した。冷却後エチルアルコール2mLをトールビーカーの壁を伝わせ静かに入れた。この溶液を、自動滴定装置(GT100、三菱化学製)を用い、0.01N−NaOHベンジルアルコール溶液で滴定した。別途、溶媒のベンジルアルコールのみを0.01N−NaOHベンジルアルコール溶液で滴定しブランク値を求めた。また、0.01N−NaOHベンジルアルコール溶液のファクターは、下記の方法で求めた。
(2)それぞれにベンジルアルコール25mL、エチルアルコール2mLを加える。
(3)自動滴定装置(GT100、三菱化学製)を用い、0.01N−NaOHベンジルアルコール溶液で滴定した。
(4)計算:(1)の塩酸調整液量(X軸)に対するNaOHベンジルアルコール滴定液量(Y軸)をプロットし、その傾きをSとする。
0.01N−NaOHベンジルアルコール溶液のファクターF=FHCL/S
・COOH基={(A−B)×F×10}/W(μ当量/g)
A:測定滴定量(mL)
B:ブランク滴定量(mL)
F:0.01N NaOHベンジルアルコール液のファクター
W:ポリアリレート樹脂量(g)
ポリアリレート約0.1gを秤量し、メタノール4.9gを添加した。これに28%ナトリウムメトキシド/メタノール溶液(和光純薬製)を0.1g加えた後、50℃で7時間撹拌し、加水分解反応を行った。続いて、室温に冷却した後に、酢酸を0.05〜0.1g添加し中和した。上記の加水分解後の溶液をガスクロマトグラフ測定によりビスフェノール純度を求めた。ビスフェノールモノマー由来のピークの総面積における、各ピークの面積の占める割合を含有量とした。ビスフェノールモノマー由来のピークは、原料ビスフェノールの分析結果より同定を行った。
カラム:DB−5(30mx0.25mmφ 0.25μm)
検出器:FID
[実施例1]
下引き層用分散液は以下のように作製した。平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールのボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表される化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表される化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表される化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表される化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表される化合物]の組成モル比率が、75%/9.5%/3%/9.5%/3%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行うことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの質量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを質量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層分散液とした。
タン280部とを混合し、サンドグラインドミルで1時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いてこの微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10部を、1,2−ジメトキシエタンの255部と4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの85部との混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して電荷発生層形成用塗布液を調製した。
表される化合物40質量部、及び下記式(CT2)で表される化合物40質量部と、製造例
3で製造したポリアリレート樹脂(1)を100質量部、酸化防止剤(チバスペシャルティーケミカルズ社製、商品名イルガノックス1076)8質量部、シリコーンオイル(信越化学株式会社製、商品名KF96)0.05質量部をテトラヒドロフラン/トルエン混合溶媒(テトラヒドロフラン80質量%、トルエン20質量%)640質量部に混合し、電荷輸送層用塗布液を調液した。
さらに、前記のようにして得られた電荷発生層形成用塗布液を、上記下引層上に、乾燥後の膜厚が約0.3μmになるように塗布し、室温で乾燥して電荷発生層を設けた。
続いて、上記の電荷輸送層形成用塗布液を、上記電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、125℃で20分間乾燥して電荷輸送層を形成して、感光体シートを作製した。
実施例1において、電荷発生物質を、製造例2で製造したヒドロキシガリウムフタロシアニン(B)に変更した以外は、実施例1と同様に感光体シートを作製した。
実施例1において、ポリアリレート樹脂(1)をポリアリレート樹脂(3)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[比較例2]
実施例2において、ポリアリレート樹脂(1)をポリアリレート樹脂(3)に変えた以外は実施例2と同様にして、感光体シートを作製した。
実施例1において、電荷発生物質(A)に代えて、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示す、Y型(別称D型)オキシチタニウムフタロシアニン(C)を使用した以外は、実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
実施例1において、電荷輸送物質(CT1)40質量部及び電荷輸送物質(CT2)40質量部に代えて、電荷輸送物質(CT1)70質量部及び下記の電荷輸送物質(CT3)10質量部に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
実施例1において、電荷輸送物質(CT1)40質量部及び電荷輸送物質(CT2)40質量部に代えて、下記の電荷輸送物質(CT4)50質量部を使用した以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404−405頁記載)を使用し、上記感光体シートをアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体のアルミニウム基体との導通を取った上で、ドラムを一定回転数で回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行った。その際、初期表面電位を−700Vとし、露光は780nm、除電は660nmの単色光を用い、露光光を0.92μJ/cm2照射した時点の明電位(VL)を測定した。VL測定に際しては、露光から電位測定に要する時間を139msとした。また、表面電位が初期表面電位の半分(−350V)となる時の照射エネルギー(半減露光エネルギー:μJ/cm2)を感度(E1/2)
として測定した。VLの値の絶対値が小さいほど電気特性が良好であることを示し、E1
/2の値が小さいほど高感度であることを示す。測定環境は、温度25℃、相対湿度50
%下(N/N)で行った。結果を表−3に示す。
電子写真学会測定標準に従って製造された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基
礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)を使用し、上記感光体シートを直径80mmのアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体シートのアルミニウム基体との導通を取った上で、ドラムを一定回転数60rpmで回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルを30000回繰り返し、前後の特性を評価した。その際、試験当初に感光体の初期表面電位が約−700Vになるように帯電(スコロトロン帯電器)条件を固定し、観測される表面電位(V0)の差(ΔV0)を測定した。ΔV0の絶対値が小さいほど繰り返し使用時の帯電性が良好であることを示す。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%で行なった。測定結果を表−3に示す。
上記の初期電気特性試験実施後、除電部を取り外し、代わりに+6.5kVを印加したコロトロンを、転写負荷をシミュレートするために設置した。この状態で帯電−露光−転写負荷のサイクルを4000回繰返した後、再度前記のVLを測定し、初期との差異ΔVLを求めた。測定環境は25℃,50%RHで行なった。結果を表−3に示す。ΔVLの絶対値が小さいほど、転写メモリーが良好であることを示す。
<感光体ドラムの製造>
表面が粗切削仕上げされ、清浄に洗浄された外径30mm、長さ376mm、肉厚0.75mmのアルミニウム製シリンダー上に、実施例1の感光体製造に使用した下引き層形成用塗布液、電荷発生層形成用塗布液、電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法により順次塗布、乾燥し、乾燥後の膜厚がそれぞれ、1.3μm、0.4μm、25μmとなるように、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、感光体ドラムを製造した。なお、電荷輸送層の乾燥は、125℃で20分間行なった。
上記感光体ドラムをアセトン中に浸漬し、電荷輸送層中のアセトン可溶成分を溶解し、不溶分および膨潤したバインダー樹脂を剥離除去する。続いて、電荷発生層100cm2相当分を1,2−ジメトキシエタン中に浸漬して超音波処理して、電荷発生層の分散液とし、溶解したポリビニルブチラール樹脂をろ別して、不溶分であるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を単離した。単離した顔料試料をGC/MS(SIM)法で成分の同定と定量を行った。定量は、まず既知濃度のα-クロロナフタレン標品にて検量線(ピーク面積vs.
検出強度)を作成し、その検量線と、測定サンプルのピーク面積から、α-クロロナフタ
レンを算出した。なお、測定サンプルを単離する前に標準品を添加し、どの程度の回収率があるか確認し、その回収率から、溶媒検出量を補正した。上記の電荷発生層のヒドロキシガリウムフタロシアニンからは、残留α−クロロナフタレンは検出されなかった。
画像試験は、乾式現像系電子写真方式で、印刷速度243mm/s、非磁性一成分現像、帯電ローラー、搬送ベルトによる感光体から紙への直接転写方式の、沖データ社製タンデムフルカラープリンターMICROLINE9800を用いて行った。
作製した感光体ドラム(同等品4本)をシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック各色用の電子写真感光体カートリッジに装着し、25℃,50%RHの環境下で、A4用紙を縦送りで1000枚印刷した。その後、A4用紙を横送りし、全面ハーフトーン画像を印刷したが、感光体両端部相当部分の濃度低下等の画像欠陥は観測されなかった。また、試験環境を25℃,10%RHに変更して全面ハーフトーン印刷を行ったが、濃度低下は観測されなかった。
<感光体ドラムの製造>
塗布液を実施例2の感光体製造に使用した塗布液に変更した以外は、実施例5と同様に感光体ドラムを製造した。電荷発生層のヒドロキシガリウムフタロシアニンからは、0.2ng/cm2の残留α−クロロナフタレンが検出された。
上記の感光体ドラム(同等品4本)を、実施例5同様に、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック各色用の電子写真感光体カートリッジに装着し、25℃,50%RHの環境下で、A4用紙を縦送りで1000枚印刷した。その後、A4用紙を横送りし、全面ハーフトーン画像を印刷したが、端部の濃度段差等の画像欠陥は問題にならない程度のごく僅かしか観測されなかった。また、試験環境を25℃,10%RHに変更して全面ハーフトーン印刷を行ったが、濃度低下は観測されなかった。
<感光体ドラムの製造>
塗布液を比較例1の感光体製造に使用した塗布液に変更した以外は、実施例5と同様に感光体ドラムを製造した。電荷発生層のヒドロキシガリウムフタロシアニンからは、残留α−クロロナフタレンは検出されなかった。
上記の感光体ドラム(同等品4本)を、実施例5同様に、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック各色用の電子写真感光体カートリッジに装着し、25℃,50%RHの環境下で、A4用紙を縦送りで1000枚印刷した。その後、A4用紙を横送りし、全面ハーフトーン画像を印刷したところ、端部の転写負荷を繰返し強く受けた部分に濃度低下が観測され、濃度段差の画像欠陥が観測された。また、試験環境を25℃,10%RHに変更し
て全面ハーフトーン印刷を行ったが、それによる濃度低下は観測されなかった。
<感光体ドラムの製造>
塗布液を比較例2の感光体製造に使用した塗布液に変更した以外は、実施例5と同様に感光体ドラムを製造した。電荷発生層のヒドロキシガリウムフタロシアニンからは、0.3ng/cm2の残留α−クロロナフタレンが検出された。
上記の感光体ドラム(同等品4本)を、実施例5同様に、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック各色用の電子写真感光体カートリッジに装着し、25℃,50%RHの環境下で、A4用紙を縦送りで1000枚印刷した。その後、A4用紙を横送りし、全面ハーフトーン画像を印刷したところ、端部の転写負荷を繰返し強く受けた部分に濃度低下が観測され、濃度段差の画像欠陥が観測された。また、試験環境を25℃,10%RHに変更して全面ハーフトーン印刷を行ったが、それによる濃度低下は観測されなかった。
<感光体ドラムの製造>
塗布液を比較例3の感光体製造に使用した塗布液に変更した以外は、実施例5と同様に感光体ドラムを製造した。
上記の感光体ドラム(同等品4本)を、実施例5同様に、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック各色用の電子写真感光体カートリッジに装着し、25℃,50%RHの環境下で、A4用紙を縦送りで1000枚印刷した。その後、A4用紙を横送りし、全面ハーフトーン画像を印刷したところ、端部の転写負荷を繰返し強く受けた部分に濃度低下が観測され、濃度段差の画像欠陥が観測された。また、試験環境を25℃,10%RHに変更して全面ハーフトーン印刷を行ったところ、全面に渡って濃度低下が観測された。
以上より、本願の構成の感光体を使用した電子写真カートリッジ、画像形成装置では、転写負荷、湿度変動に対しても、安定した画像を継続して得られることが分かる。
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙
Claims (8)
- 導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を有する積層型電子写真感光体
において、当該電荷発生層中にヒドロキシガリウムフタロシアニンを含有し、該電荷輸送
層中に、ポリアリレート樹脂を含有し、該ポリアリレート樹脂が、式(1)、式(3)´
及び式(4)´で表される繰り返し構造を有し、該ポリアリレート樹脂が、式(3)´で
表される繰り返し構造を、式(1)の部分構造である式(2)´及び式(3)´で表され
る繰り返し構造の合計に対して、0.2%以上1%以下含有し、式(4)´で表される繰
り返し構造を、式(2)´、式(3)´及び式(4)´で表される繰り返し構造の合計に
対して、10ppm以下含有することを特徴とする電子写真感光体。
レン基、p−フェニレン基、又は2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2
価の基から選ばれる少なくとも1つの2価の基を示す。nは繰り返し数を表す。Xは各々
、単結合、―CR1R2−、O、CO、Sを示す。またR1、R2は各々独立に、水素原
子、メチル基、もしくはエチル基を示し、又は、R1及びR2は、R1とR2とが結合し
て形成されるシクロヘキシリデン基を示す。) - 前記式(3)´で表される繰り返し構造が、式(2)´及び式(3)´で表される繰り
返し構造の合計に対して、0.3%以上0.8%以下であることを特徴とする請求項1又
は2に記載の電子写真感光体。 - 前記ヒドロキシガリウムフタロシアニンが、CuKα線によるX線回折においてブラッ
グ角(2θ±0.2)が28.3゜に強い回折ピークを示すヒドロキシガリウムフタロシ
アニン結晶であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光
体。 - 前記電荷発生層から単離されたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料中のα−クロロ
ナフタレンの含有量が、0.1ng/cm2以下であることを特徴とする、請求項1〜4
のいずれか1項に記載の電子写真感光体。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真感光体を使用した、電子写真感光体カー
トリッジ。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真感光体を使用した、画像形成装置。
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