JP2005099791A - 電子写真感光体 - Google Patents

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Abstract

【目的】 繰り返し使用した際にも化学的、電気的劣化が小さく、優れた電気特性を維持可能で、且つ、現像装置、現像剤または紙との接触等による感光層表面の摩耗や傷の発生、膜の剥がれ等を起こしにくく、機械的特性にも優れた、高性能且つ超寿命の電子写真感光体を提供する。
【構成】 導電性基体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が下記式(1)で表される二価フェノール残基と、下記式(2)で表される芳香族ジカルボン酸残基とからなる繰り返しエステル構造を有するポリエステル樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。
Figure 2005099791

(式(1)中、R1〜R4は各々独立に水素原子もしくはアルキル基を表し、R5はアルキ
ル基を表す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は電子写真感光体に関する。詳しくは、耐摩耗性、表面滑り性、塗布液調製時の溶解性および塗布液の保存安定性に優れ、且つ、電気的応答性の良好な電子写真感光体用樹脂を含有する電子写真感光体に関するものである。
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られることなどから、複写機、各種プリンターなどの分野で広く使われている。
電子写真技術の中核となる感光体については、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電物質を使用した感光体が使用されている。
有機系の光導電材料を用いた感光体としては、光導電性微粉末をバインダー樹脂中に分散させたいわゆる分散型感光体、電荷発生層および電荷移動層を積層した積層型感光体が知られている。積層型感光体は、それぞれ効率の高い電荷発生物質、および電荷移動物質を組み合わせることにより高感度な感光体が得られること、材料選択範囲が広く安全性の高い感光体が得られること、また感光層を塗布により容易に形成可能で生産性が高く、コスト面でも有利なことから感光体の主流であり、鋭意開発され実用化されている。
電子写真感光体は、電子写真プロセスすなわち帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電等のサイクルで繰り返し使用されるためその間様々なストレスを受け劣化する。このような劣化としては例えば帯電器として普通用いられるコロナ帯電器から発生する強酸化性のオゾンやNOxが感光層に化学的なダメ−ジを与えたり、像露光で生成したキャリアー(電流)が感光層内を流れることや除電光、外部からの光によって感光層組成物が分解するなどによる化学的、電気的劣化がある。またこれとは別の劣化としてクリ−ニングブレ−ド、磁気ブラシなどの摺擦や現像剤、紙との接触等による感光層表面の摩耗や傷の発生、膜の剥がれといった機械的劣化がある。特にこのような感光層表面に生じる損傷はコピ−画像上に現れやすく、直接画像品質を損うため感光体の寿命を制限する大きな要因となっている。すなわち高寿命の感光体を開発するためには電気的、化学的耐久性を高めると同時に機械的強度を高めることも必須条件である。
表面保護層などの機能層を持たない一般的な感光体の場合、このような負荷を受けるのは感光層である。感光層は、通常バインダー樹脂と光導電性物質からなっており、実質的に強度を決めるのはバインダー樹脂であるが、光導電性物質のドープ量が相当多いため十分な機械強度を持たせるには至っていない。
また、高速印刷の要求の高まりから、より高速の電子写真プロセス対応の材料が求められている。この場合、感光体には高感度、高寿命であることの他に、露光されてから現像されるまでの時間が短くなるために応答性がよいことも必要となる。感光体の応答性は電荷移動層、なかでも電荷移動物質により支配されるがバインダー樹脂によっても大きく変わることが知られている。
また、これらの電子写真感光体を構成する各層は、通常、支持体上に光導電性物質、バインダー樹脂等を含有する塗布液を、浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等により塗布して形成される。これらの層形成方法では、層に含有させる物質を溶剤に溶解させて得られる塗布液として、塗布するなどの公知の方法が適用されている。そして多くの工程では、予め塗布液を調整し、それを保存することが行われている。そのため、バインダー樹脂には、塗布工程に用いられる溶剤に対し、溶解性が優れることおよび溶解後の塗布液の安定性も必要となる。
感光層のバインダー樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、またはその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や、種々の熱硬化性樹脂が用いられている。数あるバインダー樹脂のなかではポリカーボネート樹脂が比較的優れた性能を有しており、これまで種々のポリカーボネート樹脂が開発され実用に供されている(例えば、特許文献1〜4 参照)。
一方、商品名「U−ポリマー」として市販されているポリアリレート樹脂をバインダーとして用いた電子写真用感光体の技術が開示され、その中でポリカーボネートに比して特に感度が優れていることが示されている(例えば、特許文献5 参照)。
また、特定構造の二価フェノール成分を用いたポリアリレート樹脂をバインダー樹脂として用いた電子写真用感光体の技術が開示され、感光体製造時の溶液安定性が向上すること、機械的強度、特に耐磨耗性が優れていることが知られている(例えば、特許文献6および7 参照)。
しかしながら、従来の感光体は、トナーによる現像、紙との摩擦、クリーニング部材(ブレード)による摩擦など実用上の負荷によって表面が摩耗してしまったり、表面に傷が生じてしまうなどの欠点を有しているため、実用上は限られた印刷性能にとどまっているのが現状である。
特開昭50−98332号公報 特開昭59−71057号公報 特開昭59−184251号公報 特開平5−21478号公報 特開昭56−135844号公報 特開平3−6567号公報 特開平10−288845号公報
従前知られたバインダー樹脂を用いた電子写真感光体では、強度等は向上するものの、電気的特性に関して不十分なものであったり、感光層形成用塗布液としたときに安定性に乏しく、白濁したり、ゲル化したりすることがあった。
本発明の目的は、感光層形成用塗布液の安定性が高く、電気的特性に優れ、しかも機械的強度が高く、トナーによる現像、紙との摩擦、クリーニング部材(ブレード)による摩擦など実用上の負荷によっても表面が摩耗し難く、傷つき難い、電子写真感光体を提供することを目的とする。
本発明者らは、感光層に特定のポリエステル樹脂を含有させることにより、十分な機械的特性を有し、感光層形成用塗布液に用いる溶媒に対して高い溶解性および優れた塗布液安定性を有し、且つ、電気特性に優れる感光体を得ることができることを見いだし、本発明に至った。
すなわち本発明の要旨は、導電性基体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、下記式(1)で表される二価フェノール残基と、下記式(2)で表される芳香族ジカルボン酸残基とからなる繰り返しエステル構造を有するポリエステル樹脂を、含有することを特徴とする電子写真感光体に存する。
Figure 2005099791
(式(1)中、R1〜R4は各々独立に水素原子もしくはアルキル基を表し、R5はアルキル基を表す。)
本発明によれば、その感光層に本発明の特定のポリエステル樹脂を含有することにより、感光層形成用塗布液の安定性が高く、電気的特性に優れ、しかも機械的強度が高く、トナーによる現像、紙との摩擦、クリーニング部材(ブレード)による摩擦など実用上の負荷によっても表面が摩耗し難く、傷つき難い、電子写真感光体を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。
本発明の電子写真感光体の感光層は、下記式(1)で表される二価フェノール残基と、下記式(2)で表される芳香族ジカルボン酸残基とからなる繰り返しエステル構造を有するポリエステル樹脂を含有する。
Figure 2005099791
(式(1)中、R1〜R4は各々独立に水素原子もしくはアルキル基を表し、R5はアルキ
ル基を表す。)
本発明の電子写真感光体の感光層は前記ポリエステル樹脂を含有し、該樹脂は感光体の導電性支持体上に設けられる感光層中のバインダー樹脂として用いられる。
本発明の感光層の具体的な構成として
・導電性支持体上に電荷発生物質を主成分とする電荷発生層、電荷輸送物質およびバインダ−樹脂を主成分とした電荷輸送層をこの順に積層した積層型感光体。
・導電性支持体上に、電荷輸送物質およびバインダ−樹脂を主成分とした電荷輸送層、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層をこの順に積層した逆二層型感光体。
・導電性支持体上に電荷輸送物質およびバインダ−樹脂を含有する層中に電荷発生物質を分散させた分散型(単層型)感光体。
のような例が挙げられ、本発明において該ポリエステル樹脂は、通常、電荷輸送物質を含有する層に用いられ、好ましくは積層型感光層の電荷輸送層に用いられる。
本発明に係るポリエステル樹脂は、他の樹脂と混合して電子写真感光体に用いることも可能である。ここで併用される他の樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、およびその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルポリカーボネート、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂などが挙げられる。これら樹脂のなかでもポリカーボネート樹脂またはポリエステルポリカーボネート樹脂が好ましい。
併用する他の樹脂の量は、どのような割合であっても構わないが、本発明に係るポリエステル樹脂を含有する層中において、本発明に係るポリエステル樹脂の量を超えないことが好ましく、より好ましくは本発明に係るポリエステル樹脂に対して20重量%以下である。併用する他の樹脂の量が多すぎると、本発明のポリエステル樹脂の効果が小さくなり好ましくない。
<ポリエステル樹脂>
本発明の電子写真感光体の感光層は、式(1)で表される残基と、式(2)で表される残基とからなる繰り返しエステル構造を有するポリエステル樹脂を含有するが、該ポリエステル樹脂は、電子写真感光体に使用可能な他の樹脂の有する繰り返し構造との共重合体
であっても構わない。この場合の他の繰り返し構造として、ポリカーボネート樹脂の繰り返し構造、またはポリエステル樹脂の繰り返し構造が挙げられる。より具体的には、ポリカーボネート樹脂の繰り返し構造との共重合体であるポリエステルポリカーボネート樹脂や、本発明のポリエステル樹脂の有するものとは異なる、他のポリエステル樹脂の繰り返し構造との共重合体であっても構わない。これらの中では、ポリエステル樹脂の共重合体が好ましい。この場合、本発明に係るポリエステル樹脂が有するのと同じ、芳香族ジカルボン酸残基を有する繰り返し構造との共重合体が好ましい。
本発明に係るポリエステル樹脂が、ポリエステル樹脂の共重合体である場合、式(1)で表される残基と式(2)で表される残基からなる繰り返しエステル構造が、共重合体のポリエステル樹脂全体の10重量%以上であることが好ましく、より好ましくは20重量%以上、特に好ましくは30重量%以上である。
式(1)中、R1〜R4は各々独立に水素原子もしくはアルキル基を表し、R5はアルキ
ル基を表す。これらのアルキル基の炭素数に特に制限はないが、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、特には炭素数1または2が好ましい。これは、感光層を結着するバインダー樹脂としての特性を向上させるためである。
1〜R4のいずれか1つはアルキル基であることが好ましく、より好ましくはR1およ
びR3が各々独立のアルキル基であって、R1およびR3が各々独立にメチル基であること
が特に好ましい。これは、感光層形成用塗布液に対する溶解性を向上するためである。
1〜R4のいずれか1つは水素原子であることが好ましく、特にはR2およびR4が水素原子であることが好ましい。これは、機械的特性、特に耐摩耗性を高めるためである。
式(1)で表される二価フェノール残基を与える二価フェノール成分の具体例としては、
1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、
1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)エタン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エタン、
1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−プロピルフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジプロピルフェニル)エタン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−プロピルフェニル)エタン、
1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−t-ブチルフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルメチルフェニル)エタン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−t-ブチルフェニル)エタン、
1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、
1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−プロピルフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジプロピルフェニル)プロパン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−プロピルフェニル)プロパン、
1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−t-ブチルフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルメチルフェニル)プロパン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−t-ブチルフェニル)プロパン、等が挙げられ、
好ましくは1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、等のR5がメチル基であるものが挙
げられるが、特に好ましくは1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタンである。
本発明で用いられるポリエステル樹脂の繰り返しエステル構造は、式(2)で表される芳香族ジカルボン酸残基を有するが、これらの中でも好ましくは、テレフタロイル残基またはイソフタロイル残基であり、該ポリエステル樹脂は、テレフタロイル残基を有する繰り返しエステル構造、およびイソフタロイル残基を有する繰り返しエステル構造の共重合体でも構わない。テレフタロイル残基およびイソフタロイル残基に対応する芳香属ジカルボン酸としては、テレフタル酸誘導体およびイソフタル酸誘導体が用いられ、より具体的には例えば、テレフタル酸ハライドおよびイソフタル酸ハライドが用いられる。特にはテレフタル酸クロライドおよびイソフタル酸クロライドが好ましく用いられる。また、これらの混合物でも構わない。この場合、テレフタロイル基を有する繰り返しエステル構造、およびイソフタロイル基を有する繰り返しエステル構造のモル比率は、テレフタロイル基を有する繰り返しエステル構造とイソフタロイル基を有する繰り返しエステル構造の和に対して、テレフタロイル基を有する構造の比率が、通常1重量%以上100重量%以下であるが、好ましくは50重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、更には全量がテレフタロイル基からなる繰り返しエステル構造である。テレフタロイル基を有する構造の比率が小さくなると、感光体としたときの電気特性が低下したり、機械的特性が低下したりして好ましくないためである。
前記のように、本発明に係るポリエステル樹脂は、他の繰り返し構造との共重合体のポリエステル樹脂であっても構わないが、この場合、式(1)で表される二価フェノール残基と式(2)で表される芳香族ジカルボン酸残基からなる繰り返しエステル構造、および下記式(3)で表される二価フェノール残基と式(2)で表される芳香族ジカルボン酸残基からなる繰り返しエステル構造を有することが好ましい。
Figure 2005099791
式(1)で表される残基と式(2)で表される残基からなる繰り返しエステル構造と、式(3)で表される残基と式(2)で表される残基からなる繰り返しエステル構造のモル比率は、式(1)で表される残基と式(2)で表される残基からなる繰り返しエステル構造と、式(3)で表される残基と式(2)で表される残基からなる繰り返しエステル構造の和に対して、式(1)で表される残基と式(2)で表される残基からなる繰り返しエステル構造が、通常10%以上、好ましくは20%以上、特に好ましくは50%以上であり、通常90%以下、好ましくは80%以下、特に好ましくは70%以下である。式(1)で表される二価フェノール残基からなる繰り返しエステル構造のモル比率が小さ過ぎると溶媒への溶解性/溶液安定性が悪くなり、該モル比率が大き過ぎると感光体の機械的特性が低下するためである。
また、式(3)で表される二価フェノール残基の中でも、下記式(4),(5)および(6)で表される残基が好ましい。この場合、本発明に係るポリエステル樹脂は、これらの二価フェノール残基と式(2)で表される芳香族ジカルボン酸残基からなる繰り返しエステル構造の群から選ばれる、少なくとも2種類の繰り返しエステル構造を有するものであることが特に好ましい。更には、少なくとも式(4)で表される残基と式(2)で表される残基からなる繰り返しエステル構造を含むものが好ましい。
Figure 2005099791
式(4),(5)および(6)で表される二価フェノール残基に対応する二価フェノール成分としては、それぞれ具体的には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[以下、p,p’−BPFということがある]、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン[以下、o,p’−BPFということがある]およびビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン[以下、o,o’−BPFということがある]が挙げられる。
式(1)で表される残基と式(2)で表される残基からなる繰り返しエステル構造のモル比率をm、式(4)で表される残基と式(2)で表される残基からなる繰り返しエステル構造のモル比率をn、式(5)で表される残基と式(2)で表される残基からなる繰り返しエステル構造のモル比率をo、式(6)で表される残基と式(2)で表される残基からなる繰り返しエステル構造のモル比率をpとしたとき(このとき、m+n+o+p=1である)、m/(m+n+o+p)は、通常0.1以上、好ましくは0.3以上であり、通常0.9以下、好ましくは0.7以下である。n/(m+n+o+p)は、通常0.01以上、好ましくは0.1以上であり、通常0.4以下、好ましくは0.3以下である。o/(m+n+o+p)は、通常0.6以下、好ましくは0.5以下であり、p/(m+n+o+p)は、通常0.3以下、好ましくは0.2以下である。そして、(m+n):(o+p)は、通常3:7〜95:5の範囲であるが、5:5〜9:1の範囲であることがより好ましい。
式(1)で表される残基と式(2)で表される残基からなる繰り返しエステル構造のモル比率が大きすぎると、機械的特性が低下したりして好ましくなく、また、小さ過ぎると、感光層形成用塗布液に通常用いる有機溶媒への溶解性や塗布液の安定性が悪くなり好ましくない。また、式(4)で表される残基と式(2)で表される残基からなる繰り返しエステル構造のモル比率が大きすぎると、感光層形成用塗布液に通常用いる有機溶媒への溶解性や塗布液の安定性が悪くなり好ましくなく、小さすぎると、感光体の機械的特性が低下し好ましくない。そして、式(5)で表される残基と式(2)で表される残基からなる繰り返しエステル構造のモル比率が大きすぎると、樹脂を重合する際の反応性が低下し、分子量制御が困難であったり、高分子量体を得ることが困難であり好ましくなく、式(6)で表される残基と式(2)で表される残基からなる繰り返しエステル構造のモル比率が大きすぎると、感光体の機械的特性、特に耐摩耗性が低下し好ましくない。
式(1)で表される残基と式(2)で表される残基からなる繰り返しエステル構造および式(4)で表される残基と式(2)で表される残基からなる繰り返しエステル構造の和と、式(5)で表される残基と式(2)で表される残基からなる繰り返しエステル構造および式(6)で表される残基と式(2)で表される残基からなる繰り返しエステル構造の和の比率は、樹脂合成の容易さ、電気特性良否、機械特性の良否などの、各性能、特性のバランスに影響する。
<電子写真感光体用樹脂の製造方法>
本発明の電子写真感光体用樹脂の製造方法として、公知の重合方法を用いることができる。例えば界面重合法、溶融重合法、溶液重合法などが挙げられる。
例えば、界面重合法による製造の場合は、二価フェノール成分をアルカリ水溶液に溶解した溶液と、芳香族ジカルボン酸クロライド成分を溶解したハロゲン化炭化水素の溶液とを混合する。この際、触媒として、四級アンモニウム塩もしくは四級ホスホニウム塩を存在させることも可能である。重合温度は0〜40℃の範囲、重合時間は2〜12時間の範囲であるのが生産性の点で好ましい。重合終了後、水相と有機相を分離し、有機相中に溶解しているポリマーを公知の方法で、洗浄、回収することにより、目的とする樹脂を得られる。
ここで用いられるアルカリ成分としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等を挙げることができる。アルカリの使用量としては、反応系中に含まれるフェノール性水酸基の1.01〜3倍当量の範囲が好ましい。
また、ここで用いられる、ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロルベンゼンなどを挙げることができる。
触媒として用いられる四級アンモニウム塩もしくは四級ホスホニウム塩としては、トリブチルアミンやトリオクチルアミン等の三級アルキルアミンの塩酸、臭素酸、ヨウ素酸等の塩、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリエチルオクタデシルホスホニウムブロマイド、N−ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルピコリニウムクロライドなどが挙げられる。
また、この重合の際に分子量調節剤として、フェノール、o,m,p−クレゾール、o,m,p−エチルフェノール、o,m,p−プロピルフェノール、o,m,p−tert−ブチルフェノール、ペンチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、2,6−ジメチルフェノール誘導体または2−メチルフェノール誘導体等のアルキルフェノール類、o,m,p−フェニルフェノール等の一官能性のフェノール類、酢酸クロリド、酪酸クロリド、オクチル酸クロリド、塩化ベンゾイル、ベンゼンスルフォニルクロリド、ベンゼンスルフィニルクロリド、スルフィニルクロリド、ベンゼンホスホニルクロリドやそれらの置換体等の一官能性の酸ハロゲン化物類を存在させても良い。これら分子量調節剤の中でも2−メチルフェノール誘導体が分子量調節能が高く好ましい。2−メチルフェノール誘導体の具体例としては、o−クレゾール、2,5−ジメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,4,5−トリメチルフェノール、2,3,4,5−テトラメチルフェノール、2,5−ジメチル−4−t−ブチルフェノール、2,5−ジメチル−4−ノニルフェノール、2,5−ジメチル−4−アセチルフェノール、α―トコフェロールなどが揚げられる。これらの中でも2,3,5−トリメチルフェノールが、生成したポリマーの溶液安定性の点で好ましい。
また、本発明に係る感光層が有する、式(1)で表される残基と、式(2)で表される残基とからなる繰り返しエステル構造を有するポリエステル樹脂において、上述した分子量調整剤など、分子鎖末端に存在する基は繰り返し単位に含まれるものではない。
本発明の感光層が有する、式(1)で表される残基と、式(2)で表される残基とからなる繰り返しエステル構造を有するポリエステル樹脂は、粘度平均分子量が、通常10,000以上、好ましくは15,000以上、さらに好ましくは20,000以上であり、通常300,000以下、好ましくは100,000以下、より好ましくは50,000以下である。粘度平均分子量が10,000未満であると樹脂の機械的強度が低下し実用的でなく、300,000以上であると、適当な膜厚に塗布する事が困難である。
<電子写真感光体>
上述した本発明の樹脂は電子写真感光体に用いられ、該感光体の導電性支持体上に設けられる感光層中のバインダー樹脂として用いられる。
<支持体>
導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料やアルミニウム、ニッケル、ITO(インジウム−スズ酸化物)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙などが主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のため、適当な抵抗値を持つ導電性材料を塗布したものでも良い。
導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化処理、化成皮膜処理等を施してから用いても良い。陽極酸化処理を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴中で、陽極酸化処理することにより陽極酸化被膜が形成されるが、硫酸中での陽極酸化処理がより良好な結果を与える。硫酸中での陽極酸化の場合、硫酸濃度は100〜300g/l、溶存アルミニウム濃度は2〜15g/l、液温は15〜30℃、電解電圧は10〜20V、電流密度は0.5〜2A/dm2の範囲内に設定されるのが好ましいが、前記条件に限定され
るものではない。
このようにして形成された陽極酸化被膜に対して、封孔処理を行うことは好ましい。封孔処理は、公知の方法で行われればよいが、例えば、主成分としてフッ化ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる低温封孔処理、あるいは主成分として酢酸ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる高温封孔処理が施されるのが好ましい。
上記低温封孔処理の場合に使用されるフッ化ニッケル水溶液濃度は、適宜選べるが、3〜6g/lの範囲で使用された場合、より好ましい結果が得られる。また、封孔処理をスムーズに進めるために、処理温度としては、25〜40℃、好ましくは30〜35℃で、また、フッ化ニッケル水溶液pHは、4.5〜6.5、好ましくは5.5〜6.0の範囲で処理するのがよい。pH調節剤としては、シュウ酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、アンモニア水等を用いることが出来る。処理時間は、被膜の膜厚1μmあたり1〜3分の範囲で処理することが好ましい。なお、被膜物性を更に改良するためにフッ化コバルト、酢酸コバルト、硫酸ニッケル、界面活性剤等をフッ化ニッケル水溶液に添加しておいてもよい。次いで水洗、乾燥して低温封孔処理を終える。前記高温封孔処理の場合の封孔剤としては、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル−コバルト、硝酸バリウム等の金属塩水溶液を用いることが出来るが、特に酢酸ニッケルを用いるのが好ましい。酢酸ニッケル水溶液を用いる場合の濃度は5〜20g/lの範囲
内で使用するのが好ましい。処理温度は80〜100℃、好ましくは90〜98℃で、また、酢酸ニッケル水溶液のpHは5.0〜6.0の範囲で処理するのが好ましい。ここでpH調節剤としてはアンモニア水、酢酸ナトリウム等を用いることが出来る。処理時間は10分以上、好ましくは20分以上処理するのが好ましい。なお、この場合も被膜物性を改良するために酢酸ナトリウム、有機カルボン酸、アニオン系、ノニオン系界面活性剤等を酢酸ニッケル水溶液に添加してもよい。次いで水洗、乾燥して高温封孔処理を終える。平均膜厚が厚い場合には、封孔液の高濃度化、高温・長時間処理により強い封孔条件を必要とする。従って生産性が悪くなると共に、被膜表面にシミ、汚れ、粉ふきといった表面欠陥を生じやすくなる。このような点から、陽極酸化被膜の平均膜厚は通常20μm以下、特に7μm以下で形成されることが好ましい。
支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。
<下引き層>
導電性支持体と感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。
下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子が挙げられる。一種類の粒子のみを用いても良いし複数の種類の粒子を混合して用いても良い。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタンまたは酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
また、金属酸化物粒子の粒径としては、種々のものが利用できるが、中でも特性および液の安定性の面から、平均一時粒径として10nm以上100nm以下が好ましく、特に好ましいのは、10nm以上50nm以下である。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、フェノキシ、エポキシ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等が単独あるいは硬化剤とともに硬化した形で使用できるが、中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は良好な分散性、塗布性を示し好ましい。
バインダー樹脂に対する無機粒子の添加比は任意に選べるが、10wt%から500wt%の範囲で使用することが、分散液の安定性、塗布性の面で好ましい。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、感光体特性および塗布性から0.1μmから20μmが好ましい。また下引き層には、公知の酸化防止剤等を添加しても良い。
<電荷発生層>
本発明の電子写真感光体が積層型感光体である場合、その電荷発生層に使用される電荷発生材料としては例えばセレンまたはその合金、硫化カドミウム、その他無機系光導電材料、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料などの有機顔料等各種光導電材料が使用でき、特に有機顔料、更にフタロシアニン顔料、またはアゾ顔料が好ま
しい。これらの微粒子をたとえばポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテルなどの各種バインダー樹脂で結着した形で使用される。この場合の使用比率はバインダー樹脂100重量部に対して30から500重量部の範囲より使用され、その膜厚は通常0.1μmから1μm、好ましくは0.15μmから0.6μmが好適である。
電荷発生物質としてフタロシアニン化合物を用いる場合、具体的には、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム等の金属、またはその酸化物、ハロゲン化物等の配位したフタロシアニン類が使用される。3価以上の金属原子への配位子の例としては、上に示した酸素原子、塩素原子の他、水酸基、アルコキシ基などがあげられる。特に感度の高いX型、τ型無金属フタロシアニン、A型、B型、D型等のチタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン等が好適である。なお、ここで挙げたチタニルフタロシアニンの結晶型のうち、A型、B型についてはW.HellerらによってそれぞれI相、II相として示されており(Zeit.Kristallogr.159(1982)173)、A型は安定型として知られているものである。D型は、CuKα線を用いた粉末X線回折において、回折角2θ±0.2゜が27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とする結晶型である。フタロシアニン化合物は単一の化合物のもののみを用いても良いし、いくつかの混合状態でも良い。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態に置ける混合状態として、それぞれの構成要素を後から混合して用いても良いし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じせしめたものでも良い。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。
<電荷輸送層>
電荷輸送層に含まれる電荷輸送材剤としては、2,4,7−トリニトロフルオレノンなどの芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン類などの電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、チアジアゾール誘導体などの複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン化合物、これらの化合物が複数結合されたもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体などの電子供与性物質が挙げられる。これらの中でもカルバゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体及びこれらの誘導体が複数結合されたものが好ましく、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体の複数結合されてなるものが好ましい。
具体的には、下記式(7)で表される構造を有するものが好ましく用いられる。
Figure 2005099791
(式(7)中、Ar1〜Ar4は各々独立して、置換基を有してもよいアリーレン基または置換基を有してもよい2価の複素環基を表す。m1,m2は各々独立して0または1を表す。m1=0の時のAr5,m2=0の時のAr6は、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよい1価の複素環基を表し、m1=1の時のAr5,m2=1の時のAr6は、それぞれ置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、または置換基を有してもよい2価の複素環基を表す。Qは直接結合または2価の残基を表す。R6〜R13は各々独立して水素原
子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよい複素環基を表す。n1〜n4は各々独立して0〜4の整数を表す。また、Ar1〜Ar6は互いに結合して環状構造を形成してもよい。)
式(7)中、R6〜R13は各々独立して水素原子、置換基を有していても良いアル
キル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアラルキル基、置換基を有していても良い複素環基を表す。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、これらの内炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。アルキル基がアリール置換基を有する場合は、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられ、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましい。
また、アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ピレニル基等が挙げられ、炭素数6〜12のアリール基が好ましい。
また、複素環基は、芳香族性を有する複素環が好ましく、例えばフリル基、チエニル基、ピリジル基等のが挙げられ、単環の芳香族複素環が更に好ましい。
また、R6〜R13において、最も好ましいものは、メチル基及びフェニル基である。
また、式(7)中、Ar1〜Ar4は各々独立して、置換基を有してもよいアリーレン基または置換基を有してもよい2価の複素環基を表す。m1,m2は各々独立して0または1を表す。m1=0の時のAr5,m2=0の時のAr6は、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよい1価の複素環基を表し、m1=1の時のAr5,m2=1の時のAr6は、それぞれ置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、または置換基を有してもよい2価の複素環基を表すが、アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ピレニル基等が挙げられ、炭素数6〜14のアリール基が好ましく;アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、フェニレン基が好ましく;1価の複素環基としては、芳香族性を有する複素環が好ましく、例えばフリル基、チエニル基
、ピリジル基等のが挙げられ、単環の芳香族複素環が更に好ましく;2価の複素環基としては、芳香族性を有する複素環が好ましく、例えばピリジレン基、チエニレン基等が挙げられ、単環の芳香族複素環が更に好ましい。
これらのうち、最も好ましいものは、Ar1及びAr2はフェニレン基であり、Ar5
びAr6はフェニル基である。
これらR6〜R13およびAr1〜Ar6で表される基のうち、アルキル基、アリール基、
アラルキル基、複素環基はさらに置換基を有していても良いが、その置換基としては、シアノ基;ニトロ基;水酸基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基;メトキシ基,エトキシ基,プロピルオキシ基等のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基;フェノキシ基、トリロキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基,フェネチルオキシ基等のアリールアルコキシ基;フェニル基,ナフチル基等のアリール基;スチリル基,ナフチルビニル基等のアリールビニル基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基等のジアリールアミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基等のジアラルキルアミノ基、ジピリジルアミノ基、ジチエニルアミノ基等のジ複素環アミノ基;ジアリルアミノ基、又、上記のアミノ基の置換基を組み合わせたジ置換アミノ基等の置換アミノ基等が挙げられる。
また、これらの置換基は互いに結合して、単結合、メチレン基、エチレン基、カルボニル基、ビニリデン基、エチレニレン基等を介した環状炭化水素基や複素環基を形成してもよい。
これらの内好ましい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数6〜12のアリールチオ基、炭素数2〜8のジアルキルアミノ基が挙げられ、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基が更に好ましく、メチル基、フェニル基が特に好ましい。
式(7)中、n1〜n4は各々独立して0乃至4の整数を表すが、0乃至2が好ましく、1が特に好ましい。m1、m2は0又は1を表すが、0が好ましい。
式(7)中、Qは、直接結合又は2価の残基を表すが、2価の残基として好ましいものは、16族原子、置換基を有しても良いアルキレン、置換基を有しても良いアリーレン基、置換基を有しても良いシクロアルキリデン基、またはこれらが互いに結合した、例えば[−O−Z−O−]、[−Z−O−Z−]、[−S−Z−S−]、[−Z−Z−]等が挙げられる(但し、Oは酸素原子、Sは硫黄原子、Zは置換基を有しても良いアリーレン基または置換基を有しても良いアルキレン基を表す)。
Qを構成するアルキレン基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、中でもメチレン基及びエチレン基が更に好ましい。また、シクロアルキリデン基としては、炭素数5〜8のものが好ましく、中でもシクロペンチリデン基及びシクロヘキシリデン基が更に好ましい。アリーレン基としては、炭素数6〜14のものがこのましく、中でもフェニレン基及びナフチレン基が更に好ましい。
また、これらアルキレン基、アリーレン基、シクロアルキリデン基は置換基を有してもよいが、好ましい置換基としては、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルケニル基、炭素数6〜14のアリール基が挙げ
られる。
本発明の電子写真感光体が有してもよい具体的な電荷輸送物質としては、特開平9−244278号公報に記載されるアリールアミン系化合物、特開2002−275133号公報に記載されるアリールアミン系化合物が挙げられる。
これら電荷輸送材料は単独で用いても良いし、いくつかを混合して用いてもよい。これらの電荷輸送材料がバインダー樹脂に結着した形で電荷輸送層が形成される。電荷輸送層は、単一の層から成っていても良いし、構成成分あるいは組成比の異なる複数の層を重ねたものでも良い。
バインダー樹脂と電荷輸送物質の割合は、通常、バインダー樹脂100重量部に対して30〜200重量部、好ましくは40〜150重量部の範囲で使用される。また膜厚は一般に5〜50μm、好ましくは10〜45μmがよい。
なお、電荷輸送層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、染料、顔料、レベリング剤などの添加物を含有させても良い。
酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物などが挙げられる。
<分散型(単層型)感光層>
分散型感光層の場合には、上記のような配合比の電荷輸送媒体中に、前出の電荷発生物質が分散される。
その場合の電荷発生物質の粒子径は充分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下より好ましくは0.5μm以下で使用される。感光層内に分散される電荷発生物質の量は少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害があり、例えば好ましくは0.5〜50重量%の範囲で、より好ましくは1〜20重量%の範囲で使用される。
感光層の膜厚は通常5〜50μm、より好ましくは10〜45μmで使用される。またこの場合にも成膜性、可とう性、機械的強度等を改良するための公知の可塑剤、残留電位を抑制するための添加剤、分散安定性向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤、界面活性剤、例えばシリコーンオイル、フッ素系オイルその他の添加剤が添加されていても良い。
感光層の上に、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で保護層を設けても良い。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を軽減する目的で、表面の層にはフッ素系樹脂、シリコーン樹脂等を含んでいても良い。また、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含んでいても良い。
<層形成方法>
これらの感光体を構成する各層は、電子写真感光体の感光層形成方法として公知の、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ノズル塗布法、バーコート法、ロールコート法、ブレード塗布法等により支持体上に塗布して形成される。これらの中でも生産性の高さから浸漬塗布方法が好ましいが、該塗布方法に限るものではない。
各層の形成方法としては、層に含有させる物質を溶剤に溶解または分散させて得られた塗布液を順次塗布するなどの公知の方法が適用できる。
<画像形成装置>
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置2,露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5,クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。図1では帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示しているが、他にもコロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。
なお、電子写真感光体1及び帯電装置2は、多くの場合、この両方を備えたカートリッジ(以下適宜、感光体カートリッジという)として、画像形成装置の本体から取り外し可能に設計されている。そして、例えば電子写真感光体1や帯電装置2が劣化した場合に、この感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することができるようになっている。また、後述するトナーについても、多くの場合、トナーカートリッジ中に蓄えられて、画像形成装置本体から取り外し可能に設計され、使用しているトナーカートリッジ中のトナーが無くなった場合に、このトナーカートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しいトナーカートリッジを装着することができるようになっている。更に、電子写真感光体1,帯電装置2,トナーが全て備えられたカートリッジを用いることもある。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LEDなどが挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光などで露光を行なえばよい。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や、湿式現像方式などの任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄,ステンレス鋼,アルミニウム,ニッケルなどの金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコン樹脂,ウレタン樹脂,フッ素樹脂などを被覆した樹脂ロールなどからなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナ
ーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコン樹脂やウレタン樹脂などの樹脂ブレード、ステンレス鋼,アルミニウム,銅,真鍮,リン青銅などの金属ブレード、又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
トナーTの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法などを用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラ,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなど、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。残留トナーが無いか、極僅かである場合にはクリーニング装置6は無くても構わない。
定着装置7は、上部定着部材(定着ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73がそなえられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73がそなえられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71,72は、ステンレス,アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にフッ素樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどが公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
以下、本発明を製造例、実施例及び比較例によりさらに詳細に説明する。なお、本発明はここに示した製造例による製造法に限定されるものではない。
<樹脂の製造>
[粘度平均分子量]
樹脂をジクロロメタンに溶解し濃度Cが6.00g/Lの溶液を調整した。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計
を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定した。以下の式に従って粘度平均分子量Mvを算出した。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
製造例1(実施例1の樹脂Aの製造法)
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(25.06g)と脱塩水(845ml)を量り取り、攪拌しながら溶解させた。そこに1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン [以下、BPOCEということがある](57.25g)を添加、攪拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.6258g)および2,3,6トリメチルフェノール(1.1904g)を順次反応槽に添加した。
別途、テレフタル酸クロライド(48.91g)とジクロロメタン(423ml)の混
合溶液を滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(700ml)を加え、撹拌を2時間続けた。その後、酢酸(9.09ml)を加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(850ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(850ml)にて洗浄を2回行い、さらに脱塩水(850ml)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(5600ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂Aを得た。得られた樹脂Aの粘度平均分子量は54,200であった。構造式を以下に示す。
Figure 2005099791
製造例2(実施例2の樹脂Bの製造法)
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(12.76g)と脱塩水(423ml)を量り取り、攪拌しながら溶解させた。この溶液に、BPOCE(14.58g)及びビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン[以下、BPOCFということがある](13.74g)を添加、攪拌・溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.3188g)および2,3,6トリメチルフェノール(0.6063g)を順次反応槽に添加した。
別途、テレフタル酸クロライド(24.91g)とジクロロメタン(211ml)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(350ml)を加え、撹拌を2時間続けた。その後、酢酸(4.63ml)を加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(423ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(423ml)にて洗浄を2回行い、さらに脱塩水(423ml)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2800ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂Bを得た。得られた樹脂Bの粘度平均分子量は66,400であった。構造式を以下に示す。
Figure 2005099791
製造例3(実施例3の樹脂Cの製造法)
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(13.80g)と脱塩水(423ml)を量り取り、攪拌しながら溶解させた。この溶液に、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン[以下、BPEということがある](13.94g)、およびビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[以下、p,p’−BPFということがある]、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン[以下、o,p’−BPFということがある]、ビス(2−ヒドロキシメチルフェニル)メタン[以下、o,o’−BPFということがある]の混合物[本州化学(株)製 BPF−D、混合比率p,p’−BPF:o,p’−BPF:o,o’−BPF=約35:48:17] (13.03g)を添加、攪拌・溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.3446g)および2,3,6トリメチルフェノール(0.6555g)を順次反応槽に添加した。
別途、テレフタル酸クロライド(26.93g)とジクロロメタン(211ml)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(350ml)を加え、撹拌を2時間続けた。その後、酢酸(5.00ml)を加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(423ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(423ml)にて洗浄を2回行い、さらに脱塩水(423ml)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2800ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂Cを得た。得られた樹脂Cの粘度平均分子量は32,900であった。構造式を以下に示す。
Figure 2005099791
各繰り返し構造後の数値はモル比率を表す。
製造例4(実施例4の樹脂Dの製造法)
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(25.92g)と脱塩水(845ml)を量り取り、攪拌しながら溶解させた。この溶液に、BPOCE(41.45g)、およびp,p’−BPF、o,p’−BPFの混合物[混合比率、p,p’−BPF:o,p’−BPF=約40:60] (14.68g)を添加、攪拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.6473g)および2,3,5トリメチルフェノール(1.2311g)を順次反応槽に添加した。
別途、テレフタル酸クロライド(50.59g)とジクロロメタン(423ml)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(700ml)を加え、撹拌を5時間続けた。その後、酢酸(9.40ml)を加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(850ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(850ml)にて洗浄を2回行い、さらに脱塩水(850ml)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(5600ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂Dを得た。得られた樹脂Dの粘度平均分子量は44,800であった。構造式を以下に示す。
Figure 2005099791
製造例5(実施例5の樹脂Eの製造法)
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(27.22g)と脱塩水(845ml)を量り取り、攪拌しながら溶解させた。この溶液に、BPOCE(18.91g)、およびp,p’−BPF、o,p’−BPF、o,o’−BPFの混合物[本州化学(株)製 BPF−D、混合比率;p,p’−BPF:o,p’−BPF:o,o’−BPF=約35:48:17] (36.46g)を添加、攪拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.6710g)および2,3,5トリメチルフェノール(0.3542g)を順次反応槽に添加した。
別途、テレフタル酸クロライド(53.13g)とジクロロメタン(423ml)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(700ml)を加え、撹拌を5時間続けた。その後、酢酸(9.87ml)を加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(850ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(850ml)にて洗浄を2回行い、さらに脱塩水(850ml)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(5600ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂Eを得た。得られた樹脂Eの粘度平均分子量は59,600であった。構造式を以下に示す。
Figure 2005099791
製造例6(比較例1の樹脂Fの製造法)
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(12.08g)と脱塩水(423ml)を量り取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン[以下、BPCということがある] (29.20g)を添加、攪拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.3018g)および2,3,6トリメチルフェノール(0.5741g)を順次反応槽に添加した。
別途、テレフタル酸クロライド(23.59g)とジクロロメタン(211ml)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(350ml)を加え、撹拌を2時間続けた。その後、酢酸(9.09ml)を加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(423ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(423ml)にて洗浄を2回行い、さらに脱塩水(423ml)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2800ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂Fを得た。得られた樹脂Fの粘度平均分子量は52,400であった。構造式を以下に示す。
Figure 2005099791
製造例7(比較例2の樹脂Gの製造法)
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(15.04g)と脱塩水(1122ml)を量り取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[以下、BPAということがある](16.32g)、およびp,p’−BPF、o,p
’−BPF、o,o’−BPFの混合物[本州化学(株)製 BPF−D、混合比率p,p’−BPF:o,p’−BPF:o,o’−BPF=約35:48:17](14.31g)を添加、攪拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.1862g)およびp−t−ブチルフェノール(0.4294g)を順次反応槽に添加した。
別途、テレフタル酸クロライド(29.35g)とジクロロメタン(560ml)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を30分かけて滴下した。さらに4時間攪拌を続けた。その後、酢酸(4.96ml)を加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(560ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(560ml)にて洗浄を2回行い、さらに脱塩水(560ml)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2800ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂Gを得た。得られた樹脂Gの粘度平均分子量は39,100であった。構造式を以下に示す。
Figure 2005099791
製造例8(比較例3の樹脂Hの製造法)
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(12.62g)と脱塩水(423ml)を量り取り、攪拌しながら溶解させた。この溶液に、BPC(21.35g)、およびp,p’−BPF、o,p’−BPF、o,o’−BPFの混合物[本州化学(株)製 BPF−D、混合比率;p,p’−BPF:o,p’−BPF:o,o’−BPF=約35:48:17](7.15g)を添加、攪拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.3152g)および2,3,5トリメチルフェノール(0.5996g)を順次反応槽に添加した。
別途、テレフタル酸クロライド(24.64g)とジクロロメタン(211ml)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(350ml)を加え、撹拌を2時間続けた。その後、酢酸(4.58ml)を加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(423ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(423ml)に
て洗浄を2回行い、さらに脱塩水(423ml)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(2800ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂Hを得た。得られた樹脂Hの粘度平均分子量は40,900であった。構造式を以下に示す。
Figure 2005099791
製造例9(比較例4の樹脂Iの製造法)
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(12.64g)と脱塩水(423ml)を量り取り、攪拌しながら溶解させた。ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン[以下、Tm−BPFということがある](21.39g)およびp,p’−BPF、o,p’−BPF、o,o’−BPFの混合物[本州化学(株)製 BPF−D、混合比率;p,p’−BPF:o,p’−BPF:o,o’−BPF=約35:48:17] (7.16g)を添加、攪拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。次いでベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.3158g)、2,3,6−トリメチルフェノール(0.600g)を順次反応槽に添加した。
別途、テレフタル酸クロライド(24.56g)とジクロロメタン(211ml)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(350ml)を加え、撹拌を5時間続けた。その後、酢酸(4.59ml)を加え30分攪拌した。その後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(423ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(423ml)にて洗浄を2回行い、さらに脱塩水(423ml)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(3000ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂Iを得た。得られた樹脂Iの粘度平均分子量は49,000であった。構造式を以下に示す。
Figure 2005099791
製造例10(実施例6の樹脂Jの製造法)
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(12.99g)と脱塩水(423ml)を量り取り、攪拌しながら溶解させた。該水溶液と、BPE(13.12g)、BPOCE(14.84g)を混合し、攪拌・溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。次いでベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.3244g)、p−tert−ブチルフェノール(0.681g)を順次反応槽に添加した。
別途、テレフタル酸クロライド(25.35g)をジクロロメタン(211ml)に溶解し滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(350ml)を加え、撹拌を2時間続けた。その後、酢酸(5.10ml)を加え30分攪拌した。その後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(423ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(423ml)にて洗浄を2回行い、さらに脱塩水(423ml)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(3000ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の芳香族ポリエステル樹脂Jを得た。得られた樹脂の粘度平均分子量は69,500であった。構造式を以下に示す。
Figure 2005099791
製造例11(実施例7の樹脂Kの製造法)
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(13.72g)と脱塩水(423ml)を量り取り、攪拌しながら溶解させた。BPOCE(6.27g)、p,p’−BPFとo,p’−BPFの混合物[p,p’:o,p’=約40:60](20.73g)を添加、攪拌・溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。次いでベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.3427g)、p−tert−ブチルフェノール(0.719g)を順次反応槽に添加した。
別途、テレフタル酸クロライド(26.78g)をジクロロメタン(211ml)に溶解し滴下ロート内に移した。以降、製造例10と同様の操作をして、目的の芳香族ポリエ
ステル樹脂Kを得た。得られた樹脂の粘度平均分子量は40,900であった。構造式を以下に示す。
Figure 2005099791
製造例12(実施例8の樹脂Lの製造法)
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(13.95g)と脱塩水(423ml)を量り取り、攪拌しながら溶解させた。BPOCE(3.23g)、p,p’−BPFとo,p’−BPFの混合物[p,p’:o,p’=約40:60](24.02g)を添加、攪拌・溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。次いでベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.3438g)、p−tert−ブチルフェノール(0.182g)を順次反応槽に添加した。
別途、テレフタル酸クロライド(27.22g)をジクロロメタン(211ml)に溶解し滴下ロート内に移した。以降製造例10と同様の操作をして、目的の芳香族ポリエステル樹脂Lを得た。得られた樹脂の粘度平均分子量は43,900であった。構造式を以下に示す。
Figure 2005099791
製造例13(実施例9の樹脂Mの製造法)
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(13.72g)と脱塩水(423ml)を量り取り、攪拌しながら溶解させた。1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン[以下、PHOCEということがある](8.86g)、p,p’−BPFとo,p’−BPFの混合物[p,p’:o,p’=約40:60] (18.14g)を添加、攪拌・溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。次いでベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.3427g)、p−tert−ブチルフェノール(0.719g)を順次反応槽に添加した。
別途、テレフタル酸クロライド(26.78g)をジクロロメタン(211ml)に溶解し滴下ロート内に移した。以降製造例10と同様の操作をして、目的の芳香族ポリエステル樹脂Mを得た。得られた樹脂の粘度平均分子量は32,700であった。構造式を以下に示す。
Figure 2005099791
製造例14(実施例7〜9に用いる芳香族ポリエステルポリカーボネート樹脂Nの製造法)
・ポリカーボネートオリゴマーの製造
BPCを100重量部、水酸化ナトリウムを37.8重量部、水568重量部、ハイドロサルファイトナトリウム0.284重量部、ジクロロメタン446重量部の混合物を撹拌機付き反応槽に仕込み、撹拌した。反応槽の温度を0〜10℃の間に保ち、これにホスゲン94.3重量部を約5時間で吹き込み反応を行った。反応終了後ポリカーボネートオリゴマーを含有するジクロロメタン溶液のみを捕集した。得られたオリゴマーの塩化メチレン溶液の分析結果は下記の通りであった。
オリゴマー濃度(注1):16.8重量%
末端クロロホーメート基濃度(注2):0.479規定
末端フェノール性水酸基濃度(注3):0.250規定
(注1):溶液を蒸発乾固させて測定した。
(注2):アニリンと反応させて得られるアニリン塩酸塩を0.2規定水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定した。
(注3):ジクロロメタン、四塩化チタン、酢酸溶液に溶解させた時の発色を546nmにおいて比色定量した。
・芳香族ポリエステルポリカーボネート樹脂の製造
100mLビーカーに、水酸化ナトリウム(4.39g)、脱塩水(87.9ml)、BPC(7.421g)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.3957g)を入れ、攪拌・溶解しアルカリ水溶液を調整した。
次いで、撹拌機を備えた2L反応槽に、先に製造したポリカーボネートオリゴマー(209.52ml)、ジクロロメタン(42ml)を仕込み、200rpmで撹拌しながら重合槽の外温を20℃に保った。次いで先に調整したアルカリ水溶液を順次添加して重合反応した。3時間撹拌を続けた後、脱塩水200mlを添加し撹拌を停止した。この時、生成しているポリカーボネートブロックの粘度平均分子量を測定するためにジクロロメタン層を5mlサンプリングした。サンプリングしたジクロロメタン溶液に脱塩水5ml、35%塩酸0.2mlを加え撹拌後静置した。
次いで、別途1000mlビーカーに、水酸化ナトリウム(15.98g)、脱塩水(600ml)、p,p’−BPF、o,p’−BPF 、o,o’−BPFの混合物[本州化学(株)製 BPF−D;p,p’:o,p’:o,o’=約35:48:17](29.43g)、p−tert−ブチルフェノール(0.441g)を添加、攪拌・溶解した後、このアルカリ水溶液を反応槽に添加した。次いで、200rpmで撹拌しながら、ジクロロメタン200mlを追加した。
別途、テレフタル酸クロライド(31.19g)をジクロロメタン(150ml)に溶解し滴下ロート内に移した。
反応槽内の溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を30分かけて滴下した。さらに3時間300rpmで攪拌を続けた後、ジクロロメタン(400ml)を加え、撹拌を3.5時間続けた。その後、酢酸(5.79ml)を加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(940ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(940ml)にて洗浄を2回行い、さらに脱塩水(940ml)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(4900ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の芳香族ポリエステルポリカーボネート樹脂Nを得た。得られた樹脂の粘度平均分子量は57,900であった。また、途中でサンプリングしたジクロロメタン溶液を脱塩水で一度洗い、有機層をメタノール(30ml)に注いで得られた沈殿物を濾過、乾燥してポリカーボネートブロックを得た。得られたポリカーボネートブロックの粘度平均分子量は12,900であった。
製造例にて製造された樹脂の組成と粘度平均分子量(Mv)を纏めれば、下記表1のようになる。
Figure 2005099791
<感光体の製造>
実施例1
CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)9.3゜、10.6゜、13.2゜、15.1゜、15.7゜、16.1゜、20.8゜、23.3゜、26.3゜、27.1゜に強い回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン10重量部と、4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2 150重量部を混合し、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い顔料分散液を製造した。この顔料分散液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名デンカブチラール#6000C)の5重量% 1,2−ジメトキシエタン溶液50重量部、およびフェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名PKHH)の5重量% 1,2−ジメトキシエタン溶液50重量部を混合し、更に適量の1,2−ジメトキシエタンを加えて最終的に固形分濃度4.0%の分散液を調製した。
このようにして得られた電荷発生層形成用塗布液を、表面にアルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム上に、乾燥後の膜厚が0.4μmになるように塗布、乾燥して電荷発生層を設けた。
この電荷発生層上に、以下に示す電荷輸送物質(1)を主成分とする異性体からなる電荷輸送物質50重量部、
Figure 2005099791
製造例1で製造した樹脂A100重量部、酸化防止剤(イルガノックス1076)8重量部、レベリング剤としてシリコーンオイル0.03重量部、およびテトラヒドロフランとトルエンの混合溶媒(テトラヒドロフラン80重量%、トルエン20重量%)640重量部を混合してなる電荷輸送層形成用塗布液を、乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗布し、125℃で20分間乾燥して電荷輸送層を形成して、感光体Aを製造した。このとき、樹脂Aのテトラヒドロフランとトルエンの混合溶媒に対する溶解性は、良好であった。また、電荷輸送層形成用塗布液は、室温で1週間放置後も固化等の変化は見られなかった。
実施例2
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Aを、樹脂Bにした以外は、実施例1と同様にして感光体Bを製造した。電荷輸送層形成用塗布液は、室温で1週間放置後も固化等の変化は見られなかった。
実施例3
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Aを、樹脂Cに、テトラヒドロフランとトルエンの混合溶媒をジクロロエタンにした以外は、実施例1と同様にして感光体Cを製造した。電荷輸送層形成用塗布液は、室温で1週間放置後も固化等の変化は見られなかった。
実施例4,5
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Aを、樹脂D,Eにした以外は、実施例1と同様にして感光体D,Eを製造した。電荷輸送層形成用塗布液は、室温で1週間放置後も固化等の変化は見られなかった。
実施例6
実施例1の電荷輸送層用塗布液に用いた樹脂Aと電荷輸送物質(1)を、製造例10で製造した樹脂Jと下記電荷輸送物質(2)にした以外は、実施例1と同様にして感光体J
を製造した。この電荷輸送層用塗布液は、室温で1週間放置後も固化等の変化はみられなかった。摩耗試験、電気特性測定の結果を表2に示す。
Figure 2005099791
実施例7
実施例6の電荷輸送層用塗布液用いた樹脂Jを、製造例11で製造した樹脂Kを90重量部と製造例14で製造した樹脂Nを10重量部の混合物にした以外は、実施例6同様にして感光体Kを製造した。また、電荷輸送層用塗布液は室温で1週間放置後も固化等の変化はみられなかった。摩耗試験、電気特性測定の結果を表2に示す。
実施例8
実施例7の電荷輸送層用塗布液用いた樹脂Kを、製造例12で製造した樹脂Lにした以外は、実施例7同様にして感光体Lを製造した。また、電荷輸送層用塗布液は室温で1週間放置後も固化等の変化はみられなかった。摩耗試験、電気特性測定の結果を表2に示す。
実施例9
実施例7の電荷輸送層用塗布液用いた樹脂Kを、製造例13で製造した樹脂Mにした以外は、実施例7同様にして感光体Mを製造した。また、電荷輸送層用塗布液は室温で1週間放置後も固化等の変化はみられなかった。摩耗試験、電気特性測定の結果を表2に示す。
比較例1,2
実施例3の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Cを、樹脂F,Gにした以外は、実施例3と同様にして感光体F,Gを製造した。
比較例3,4
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Aを、樹脂H,Iにした以外は、実施例1と同様にして感光体H,Iを製造した。
得られた感光体A〜Mについて、以下の評価を行った。
[電気特性]
電子写真学会測定標準に従って製造された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)を使用し、上記感光体をアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体のアルミニウム基体との導通を取った上で、ドラムを一定回転数で回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行った。その際、初期表面電位を−700Vとし、露光光として780nm、除電光として660nmの単色光を用い、露光光を2.4μJ/cm2照射した時点の表面電位(以下、VLと言うことがある)を測定した。
VL測定に際しては、露光から電位測定に要する時間を139msとした。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%(以下、NN環境と言うことがある)および、温度5℃、相対湿度10%(以下、LL環境と言うことがある)で行った。VLの値の絶対値が小さいほど応答性が良いことを示す。結果を表2に示す。
[摩耗試験]
感光体フィルムを直径10cmの円状に切断しテーバー摩耗試験機(東洋精機社製)により、摩耗評価を行った。試験条件は、23℃、50%RHの雰囲気下、摩耗輪CS−10Fを用いて、荷重なし(摩耗輪の自重)で1000回回転後の摩耗量を試験前後の重量を比較することにより測定した。結果を表2に示す。
Figure 2005099791
以上の結果より、本発明のポリエステル樹脂は、電荷輸送層形成用塗布液に通常用いる溶媒に対して、高い溶解性および塗布液安定性を示し、且つ、該ポリエステル樹脂を含有する電子写真感光体は、機械物性、耐磨耗性および電気特性に優れることがわかる。
[感光体ドラムの製造]
<下引き層用分散液の製造>
酸化チタン(石原産業(株)製:商品名TTO55N(平均一次粒子径約40nm))と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシランを、該酸化チタンに対して2重量倍のメタノールとともに混合して得られたスラリーを、乾燥後、120℃〜140℃で30分間熱処理し、更にメタノールで洗浄、乾燥して得られた疎水性処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノール=7/3の混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール(重量比7/3)の混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式A]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式B]/ヘキサメチレンジアミン[下記式C]/デカメチレンジカルボン酸[下記式D]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式E]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する固形分濃度16重量%の下引き層用分散液を製造した。
Figure 2005099791
<電荷発生層用分散液の製造>
CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)9.3゜、10.6゜、13.2゜、15.1゜、15.7゜、16.1゜、20.8゜、23.3゜、26.3゜、27.1゜に強い回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン10部を、1,2−ジメトキシエタン150部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い、顔料分散液を製造した。
ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名デンカブチラール#6000C)5部を1,2−ジメトキシエタン95部に溶解し、固形分濃度5%のバインダー溶液1を製造した。
フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名PKHH)5部を1,2−ジメトキシエタン95部に溶解し、固形分濃度5%のバインダー溶液2を製造した。
先に製造した顔料分散液160部に、バインダー溶液1を50部、バインダー溶液2を50部、適量の1,2−ジメトキシエタンと、適量の4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2を加え固形分濃度4.0%、1,2−ジメトキシエタン:4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2=9:1の電荷発生層用分散液αを調製した。
CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)27.3゜に最大回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン10部を、1,2−ジメトキシエタン150部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い、顔料分散液を製造した。
この顔料分散液160部に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名デンカブチラール#6000C)5部を1,2−ジメトキシエタン95部に溶解した、固形分濃度5%のバインダー溶液100部と、適量の1,2−ジメトキシエタン、適量の4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2を加え、固形分濃度4.0%、1,2−ジメトキシエタン:4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2=9:1の電荷発生層用分散液β1を製造した。
CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)9.3゜、10.6゜、13.2゜、15.1゜、15.7゜、16.1゜、20.8゜、23.3゜、26.3゜、27.1゜に強い回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン10部を、1,2−ジメトキシエタン150部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い、顔料分散液を製造した。
この顔料分散液160部に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名デンカブチラール#6000C)5部を1,2−ジメトキシエタン95部に溶解した、固形分濃度5%のバインダー溶液100部と、適量の1,2−ジメトキシエタン、適量の4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2を加え、固形分濃度4.0%、1,2−ジメトキシエタン:4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2=9:1の電荷発生層用分散液β2を製造した。
電荷発生層用分散液β1と電荷発生層用分散液β2を8:2の割合で混合し、電荷発生層用分散液βを調製した。
実施例10
表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ285mm、肉厚1.0mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーの表面に、陽極酸化処理を行い、その後酢酸ニッケルを主成分とする封孔剤によって封孔処理を行うことにより、約6μmの陽極酸化被膜(アルマイト被膜)を形成した。このシリンダーに、先に製造した電荷発生層用分散液αを浸漬塗布し、その乾燥後の膜厚が、約0.3μmとなるように電荷発生層を形成した。
次に、この電荷発生層を形成したシリンダーを、前記電荷輸送物質(2)50部と、電荷輸送層用バインダー樹脂として製造例1で製造した樹脂Aを100部、シリコーンオイル(信越化学社製、商品名KF96)0.05部をテトラヒドロフラン:トルエン=80:20の混合溶媒に溶解させた液に浸漬塗布することにより、乾燥後の膜厚20μmの電荷輸送層を設けた。このようにして得られた感光体ドラムをA1とする。
実施例11
電荷輸送層用バインダー樹脂として、製造例4で製造した樹脂Dを用いたこと以外は、実施例10と同様にして感光体ドラムD1を得た。
実施例12
電荷輸送層用バインダー樹脂として、製造例5で製造した樹脂Eを用いたこと以外は、実施例10と同様にして感光体ドラムE1を得た。
比較例7
電荷輸送層用バインダー樹脂として、製造例9で製造した樹脂Iを用いたこと以外は、実施例10と同様にして感光体ドラムI1を得た。
実施例13
表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ254mm、肉厚0.75mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーを、先に調製した下引き層用分散液に浸漬塗布し、膜厚約1.3μmの下引き層を形成した。このシリンダーに、先に製造した電荷発生層用分散液βを浸漬塗布し、その乾燥後の膜厚が約0.3μmとなるように電荷発生層を形成した。
次に、この電荷発生層を形成したシリンダーを、前記電荷輸送物質(2)50部と、電荷輸送層用バインダー樹脂として製造例1で製造したポリアリレート樹脂Aを100部、シリコーンオイル(信越化学社製、商品名KF96)0.05部をテトラヒドロフラン:トルエン=80:20の混合溶媒に溶解させた液に浸漬塗布することにより、乾燥後の膜厚25μmの電荷輸送層を設けた。このようにして得られた感光体ドラムをA2とする。実施例14
電荷輸送層用バインダー樹脂として、製造例4で製造した樹脂Dを用いたこと以外は、実施例13と同様にして感光体ドラムD2を得た。
実施例15
電荷輸送層用バインダー樹脂として、製造例5で製造した樹脂Eを用いたこと以外は、実施例13と同様にして感光体ドラムE2を得た。
比較例8
電荷輸送層用バインダー樹脂として、製造例9で製造した樹脂Iを用いたこと以外は、実施例13と同様にして感光体ドラムI2を得た。
実施例16
表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ346mm、肉厚1.0mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーの表面に、陽極酸化処理を行い、その後酢酸ニッケルを主成分とする封孔剤によって封孔処理を行うことにより、約6μmの陽極酸化被膜(アルマイト被膜)を形成した。このシリンダーを、先に調製した下引き層用分散液に浸漬塗布し、膜厚約1.3μmの下引き層を形成した。このシリンダーに、先に製造した電荷発生層用分散液β1を浸漬塗布し、その乾燥後の膜厚が約0.3μmとなるように電荷発生層を形成した。
次に、この電荷発生層を形成したシリンダーに、前記電荷輸送物質(2)30部と、電荷輸送層用バインダー樹脂として製造例4で製造した樹脂Dを100部、酸化防止剤(イルガノックス1076)4部、シリコーンオイル(信越化学社製、商品名KF96)0.03部をテトラヒドロフラン:トルエン=80:20の混合溶媒に溶解させた液を浸漬塗布することにより、乾燥後の膜厚25μmの電荷輸送層を設けた。このようにして得られた感光体ドラムをD3とする。
実施例17
電荷輸送層用バインダー樹脂として、製造例5で製造した樹脂Eを用いたこと以外は、実施例16と同様にして感光体ドラムE3を得た。
比較例9
電荷輸送層用バインダー樹脂として、製造例9で製造した樹脂Iを用いたこと以外は、実施例16と同様にして感光体ドラムI3を得た。
[耐刷試験による膜減り測定]
次に感光体ドラムA1、D1、E1、I1を市販のカラーレーザープリンター(エプソン社製 LP3000C)に装着して常温常湿環境下においてモノクロ(黒)モードで24000枚の画像形成を行った。
この際、画像形成する前の感光層の膜厚、24000枚画像形成後の膜厚を測定し、画像形成10,000枚あたりの膜減り量を計算した。結果を表3に示す。
次に、感光体ドラムA2、D2、E2、I2を市販のモノクロレーザープリンター(レックスマーク社製、Optra S2450、A4縦送りで24枚/分、直流電圧印加のローラー帯電、ローラー転写)に装着して常温常湿下において30,000枚の画像形成を行った。画像形成前後の膜厚の差から10,000枚あたりの膜減り量を計算した。結果を表3に示す。
次に、感光体ドラムD3、E3、I3を市販のデジタル複写機(松下電器社製、ワーキオDP3200)に装着して常温常湿下において30,000枚の画像形成を行った。画像形成前後の膜厚の差から10,000枚あたりの膜減り量を計算した。結果を表3に示す。
Figure 2005099791
何れの画像形成装置においても、10000枚画像形成後の感光層膜の削れ量は、比較例の感光体に比し実施例の感光体の方が小さく、本発明の感光体は耐摩耗性能に優れることが分かる。
プリンター、ファクシミリ、複写機等の電子写真装置に適用可能な電子写真感光体を提供することができる。
本発明の電子写真感光体を備えた画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。
符号の説明
1 感光体
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙、媒体)

Claims (8)

  1. 導電性基体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が下記式(1)で表される二価フェノール残基と、下記式(2)で表される芳香族ジカルボン酸残基とからなる繰り返しエステル構造を有するポリエステル樹脂を、含有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 2005099791
    (式(1)中、R1〜R4は各々独立に水素原子もしくはアルキル基を表し、R5はアルキ
    ル基を表す。)
  2. 式(2)で表される芳香族ジカルボン酸残基が、テレフタロイル基であることを特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 式(1)中、R1,R3およびR5がメチル基であることを特徴とする、請求項1または請
    求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記ポリエステル樹脂が、式(1)で表される二価フェノール残基と式(2)で表される芳香族ジカルボン酸残基とからなる繰り返しエステル構造、および、下記式(3)で表される二価フェノール残基と式(2)で表される芳香族ジカルボン酸残基とからなる繰り返しエステル構造を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体。
    Figure 2005099791
  5. 式(3)で表される二価フェノール残基が、下記式(4)、(5)および(6)で表される構造から選ばれるものであって、該二価フェノール残基と式(2)で表される芳香族ジカルボン酸残基とからなる繰り返しエステル構造を少なくとも2種類有することを特徴とする、請求項4に記載の電子写真感光体。
    Figure 2005099791
  6. 式(3)で表される二価フェノール残基との少なくとも一つが、式(4)で表される構造であることを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の電子写真感光体。
  7. ポリエステル樹脂の、粘度平均分子量が15,000〜100,000である事を特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。
  8. 感光層が、下記式(7)で表される化合物を含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体。
    Figure 2005099791
    (式(7)中、Ar1〜Ar4は各々独立して、置換基を有してもよいアリーレン基または置換基を有してもよい2価の複素環基を表す。m1,m2は各々独立して0または1を表す。m1=0の時のAr5,m2=0の時のAr6は、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよい1価の複素環基を表し、m1=1の時のAr5,m2=1の時のAr6は、それぞれ置換基を有してもよいアルキ
    レン基、置換基を有してもよいアリーレン基、または置換基を有してもよい2価の複素環
    基を表す。Qは直接結合または2価の残基を表す。R6〜R13は各々独立して水素原子、
    置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を
    有してもよい複素環基を表す。n1〜n4は各々独立して0〜4の整数を表す。また、Ar1 〜Ar6は互いに結合して環状構造を形成してもよい。)
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