JP5835105B2 - 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、および、画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、および、画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、優れた電気特性を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を用いて作製した電子写真感光体カートリッジ、および、画像形成装置に関する。
電子写真技術は、即時性に優れ、高品質の画像が得られることなどから、近年では複写機の分野にとどまらず、各種のプリンター、印刷機の分野でも広く応用されてきている。電子写真技術の中核となる感光体としては、従来、セレニウム、砒素−セレニウム合金、酸化亜鉛といった無機系の光導電材料を使用した感光体が用いられてきたが、最近では、無公害である、成膜・製造が容易である、材料選択・組み合わせの自由度が高い等の利点を有する有機系の光導電材料を使用した感光体が主流となっている。
有機感光体の層構成としては、電荷発生物質をバインダー樹脂中に分散させたいわゆる単層型感光体、電荷発生層及び電荷輸送層を積層した積層型感光体が知られている。積層型感光体は、効率の高い電荷発生物質、及び電荷輸送物質を別々の層に分けて、最適なものを組み合わせることにより高感度かつ安定な感光体が得られること、材料選択範囲が広く特性の調整が容易なことから多く使用されている。
近年、複写機、プリンターは共にモノクロからフルカラー化に向かっている。このフルカラー画像形成方法には主としてタンデム方式、4サイクル方式があり、また印刷媒体への転写方式としては、直接転写方式、転写ドラム方式、中間転写方式、多重現像一括転写方式などがある。これらの中でタンデム方式すなわち各色画像を各別の画像形成ユニットで形成し、逐次転写していくカラー画像形成装置は使用可能な記録材の種類が豊富であり、フルカラーの品質も高く、高速度でフルカラー画像を得ることができることから、すぐれた画像形成方法である。中でも高速でフルカラー画像ができる特質は他の方式にはみられない利点である。
前述したような電子写真プロセスの高速化、フルカラー化に伴い、電子写真感光体の特性として高感度化、高速応答化が必須となっており、それら特性を満たす電子写真感光体を提供するために高移動度かつ露光時に十分の残留電位を示す高機能な電荷輸送物質の開発が必要となっている。そして、それら課題を解決するためにテトラフェニルベンジジン骨格にスチリル基等を置換させπ電子系を拡張させた電荷輸送物質の研究が盛んになされており、多くの報告が行われている。(特許文献1〜4)
有機系材料を用いた電子写真感光体の感光層は、電荷輸送物質、バインダー樹脂などを塗布溶剤に溶解させ、得られた塗布液を塗布、乾燥し得られる。この電子写真感光体を製造する際に電荷輸送物質に求められる点としては、塗布液製造時に用いる塗布溶剤に対する溶解性である。塗布溶剤に対する溶解性が低いと、塗布溶剤に所望する電荷輸送物質の量を溶解させることが出来なかったり、電荷輸送物質を溶解させ塗布液製造後、析出等の塗布液の劣化を起こし易く、また、感光層を塗布後、塗布膜中で結晶析出が発生したり、塗布液・感光体の製造効率の低下を招くことがある。
一般的に分子内でπ電子系を拡張させた化合物は、分子サイズが大きくなるに従い、分子間相互作用が大きくなり、溶解性が低下していく傾向にある。テトラフェニルベンジジン骨格は分子サイズが大きく溶解性が低い傾向にあり、このテトラフェニルベンジジン骨格にスチリル基等を置換させ、分子内でπ電子系を拡張させると、更に分子サイズが大きくなり塗布溶剤に対しての溶解性が更に低くなる。そこで先述した報告の中には、溶解性を確保するために、新たに置換基を導入したり、幾何異性体混合物として取り扱うなどの
工夫がなされている。
特開平7−36203号公報 特開2002−80432号公報 特開2006−8670号公報 特開2008−83105号公報
しかしながら、上記技術のみでは、溶解性改良のために導入した置換基の影響で電荷輸送物質分子内のπ電子の広がりを低下させたり、溶解性を確保するために、所望する構造から意図的に異性化させて幾何異性体混合物にするために、組成物全体としては所望するイオン化ポテンシャルよりも大きくなり、露光後の残留電位が上昇してしまうという問題点があった。
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、高速応答性にすぐれ、十分な残留電位を示す電子写真感光体、電子写真カートリッジ、画像形成装置を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討を行った結果、感光層中に特定構造を有する電荷輸送物質を含有させることにより、高移動度かつ露光時に十分の残留電位を示す電子写真感光体を提供することが可能であることを見出し、以下の本発明の完成に至った。
(1)導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層中に下記式(I)で表される化合物を含有することを特徴する電子写真感光体。
Figure 0005835105
(式(I)中、R〜Rはそれぞれ独立したアルキル基、アリール基、アルコキシ基を表し、R〜Rはそれぞれ独立した水素原子、アルキル基を表し、Ar〜Arはそれぞれ独立した水素原子、置換基を有していてもよいアリール基を表し、Ar〜Arのうちの少なくともひとつ、及びAr〜Arのうちの少なくとも一つは置換基を有していてもよいアリール基である。l、mはそれぞれ独立して0以上2以下、nは1以上3以下、p、qはそれぞれ独立して1以上5以下、r、sはそれぞれ独立して0以上4以下の整数を表す。)
(2)導電性支持体上に少なくとも電荷輸送物質を含有する感光層を有する電子写真感光体において、該電荷輸送物質が下記式(II)で表されることを特徴とする(1)に記載の電子写真感光体。
Figure 0005835105
(式(II)中、R〜Rはそれぞれ独立したアルキル基を表し、R〜Rはそれぞれ独立した水素原子、アルキル基を表し、Ar〜Arはそれぞれ独立した水素原子、置換基を有していてもよいアリール基を表し、Ar〜Arのうちの少なくともひとつ、及びAr〜Arのうちの少なくとも一つは置換基を有していてもよいアリール基である。l、mはそれぞれ独立して0以上1以下、p、qはそれぞれ独立して1以上3以下、r、sはそれぞれ独立して0以上1以下の整数を表す。)
(3)導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層中に式(I)で表される化合物、および、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2゜)が少なくとも24.1°、27.2°に回折ピークを示す結晶型のオキシチタニウムフタロシアニンを含有することを特徴とする(1)ないし(2)に記載の電子写真感光体。
(4)(1)ないし(3)のいずれかに記載の電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置からなる群から選ばれる少なくとも1つ、を備えたことを特徴とする電子写真感光体カートリッジ。
(5)(1)ないし(3)のいずれかに記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、および、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
(6) 前記画像形成装置に用いられる静電荷像現像用トナーのフロー式粒子像分析装置によって測定される平均円形度が、0.940以上1.000以下であることを特徴とする(5)に記載の画像形成装置。
本発明は、特定の構造を有する電荷輸送物質を感光層に含有させることにより、高速応答性に優れ、十分低い残留電位を示し、高品質な画像形成を可能とする電子写真感光体、および電子写真感光体カートリッジ、画像形成装置の提供を可能とする。
本発明の画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。 実施例で用いたオキシチタニウムフタロシアニンのX線回折図である。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。
≪本発明の電荷輸送物質≫
<本発明の電荷輸送物質の構造>
本発明の電荷輸送物質は下記式(I)で表される化合物であればいかなるものであって
もよい。
Figure 0005835105
(式(I)中、R〜Rはそれぞれ独立したアルキル基、アリール基、アルコキシ基を
表し、R〜Rはそれぞれ独立した水素原子、アルキル基を表し、Ar〜Arはそれぞれ独立した水素原子、置換基を有していてもよいアリール基を表し、Ar〜Arのうちの少なくともひとつ、及びAr〜Arのうちの少なくとも一つは置換基を有していてもよいアリール基である。l、mはそれぞれ独立して0以上2以下、nは1以上3以下、p、qはそれぞれ独立して1以上5以下、r、sはそれぞれ独立して0以上4以下の整数を表す。)
通常、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を表し、具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、及びシクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられ、アリール基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖上アルコキシ基、イソプロポキシ基、エチルヘキシロキシ基等の分岐状アルキル基、及びシクロヘキシロキシ基が挙げられる。これらの中でも、製造原料の汎用性から炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、製造時の取扱性の面から、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面から、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましく、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面から、炭素数1〜2のアルキル基が特に好ましい。p、qは通常1以上5以下の整数を表し、製造原料の汎用性の面から、1以上3以下が好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面から1以上2以下がより好ましい。また、前記置換基は電気特性の観点から、パラ位またはオルト位に置換することが好ましく、パラ位及びオルト位に置換基を有し、p、qが2以上3以下である場合が更に好ましい。
及びRは、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を表し、具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、及びシクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられ、アリール基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖上アルコキシ基、イソプロポキシ基、エチルヘキシロキシ基等の分岐状アルキル基、及びシクロヘキシロキシ基が挙げられる。これらの中でも、製造原料の汎用性から、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、製造時の取扱性の面から、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面から、炭素数1〜2のアルキル基が更に好ましく、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面から、メチル基が特に好ましい。r、sは通常0以上4以下の整数を表し、製造原料の汎用
性の面から、0以上2以下が好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面から0以上1以下がより好ましく、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面から、0が更に好ましい。また、前記置換基は電気特性の観点から、パラ位またはオルト位に置換することが好ましい。
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基を表し、具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、及びシクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられる。これらの中でも、製造原料の汎用性から水素原子、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面からは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、電荷輸送物質の安定性の面からは、炭素数1〜2のアルキル基が更に好ましく、電荷輸送物質としての特性安定性の面から、メチル基が特に好ましい。
nは1以上3以下の整数を表す。nが大きくなると電荷輸送能が低下する傾向にあることから、好ましくは2以下であり、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面から、より好ましくは1である。
Ar〜Arはそれぞれ独立した水素原子、置換基を有していてもよいアリール基を表し、Ar〜Arのうちの少なくともひとつ、及びAr〜Arのうちの少なくとも一つは置換基を有していてもよいアリール基である。アリール基の炭素数としては、30以下、好ましくは20以下、さらに好ましくは15以下である。具体的には、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピレニル基等が挙げられ、製造原料の汎用性から、フェニル基、ナフチル基であることが好ましく、電荷輸送物質の溶解性の面から、フェニル基であることがより好ましい。Ar〜Arが置換基を有していてもよいアリール基である場合、その置換基としては、アルキル基、アルコキシ基等が挙げられ、具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、及びシクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられる。これらの中でも、製造原料の汎用性から水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、製造時の取扱性の面から、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面から、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基が更に好ましく、電荷輸送物質としての耐オゾン特性の面から、水素原子、炭素数1〜2のアルキル基が特に好ましく、メチル基が特により好ましい。l、mは通常それぞれ0以上2以下の整数を表し、製造原料の汎用性の面から、0以上1以下が好ましい。l、mが0以上2以下の場合、通常二重結合部分が幾何異性を有する可能性がある。l、mが0の場合、EZ表記において、電子写真感光体の特性面からE体であることが好ましい。l、mが1以上2以下の場合、複数幾何異性体として存在する可能性があるが、塗布液のポットライフ、電荷輸送物質の溶解性の面から、複数種の幾何異性体からなる組成物であることが好ましい。
以下に本発明に好適な電荷輸送物質の構造を例示する。以下の構造は本発明をより具体的に理解するために例示するものであり、本発明の概念を逸脱しない限りは下記構造に限定されるものではない。
Figure 0005835105
Figure 0005835105
本発明の電荷輸送物質の効果を発揮するためには、バインダー樹脂に対する本発明の式(I)で表される電荷輸送物質の割合の下限が、通常、10重量%以上であり、電子写真感光体の光減衰特性の面から、好ましくは30重量%以上であり、電子写真感光体の高速応答性の面から、より好ましくは50重量%以上であり、特に好ましくは70重量%以上である。上限が、通常、200重量%以下であり、溶解性の面から、好ましくは150重量%以下であり、耐刷性の面から、より好ましくは120重量%以下であり、特に好ましくは100重量%以下である。
≪電子写真感光体≫
以下に、本発明の電子写真感光体の構成について説明する。本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、上述した式(I)で表される化合物を含有する感光層を設けたものであれば、その構造は特に限定されない。電子写真感光体の感光層が後に説明する積層型の場合には、電荷輸送層に、前記式(I)で表される電荷輸送物質、その他に必要に応じてバインダー樹脂、酸化防止剤、レベリング剤、その他添加物を含むものである。また、電子写真感光体の感光層が、後に説明する単層型の場合には、前述の積層型感光体の電荷輸送層に用いられる成分に加えて電荷発生材料、電子輸送材料を用いるのが一般的である。
<導電性支持体>
導電性支持体については特に制限はないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫等の導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用しても良い。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状等のものが用いられる。更には、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性等の制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いても良い。
また、導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いても良い。陽極酸化被膜を施した場合には、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
導電性支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、導電性支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものであっても良い。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
<下引き層>
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、樹脂、または樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。また、下引き層は、単一層からなるものであっても、複数層からなるものであってもかまわない。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子等が挙げられる。これらは一種類の粒子を単独で用いても良いし、複数の種類の粒子を混合して用いても良い。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
また、金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、中でも特性及び液の安定性の点から、その平均一次粒径は、10nm以上100nm以下が好ましく、特に10nm以上50nm以下が好ましい。この平均一次粒径は、TEM写真等から得ることができる。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタンアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知のバインダー樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層に用いられるバインダー樹脂に対する無機粒子の使用比率は任意に選ぶことが可能であるが、分散液の安定性、塗布性の観点から、バインダー樹脂に対して、通常は10質量%以上、500質量%以下の範囲で使用することが好ましい。
下引き層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、繰り返し特性、及び製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合しても良い。画像欠陥防止等を目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させて用いても良い。
<積層型感光層>
[電荷発生層]
積層型感光層(機能分離型感光層)の電荷発生層は、電荷発生材料を含有すると共に、
通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷発生層は、例えば、電荷発生材料及びバインダー樹脂を溶媒又は分散媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)、また、逆積層型感光層の場合には電荷輸送層上に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷発生物質としては、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、中でも特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、特にフタロシアニン顔料またはアゾ顔料が好ましい。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウム等の金属またはその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシド等の配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類等が使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
また、これらフタロシアニンの中でも、金属フタロシアニンが好ましく、A型(別称β型)、B型(別称α型)、および粉末X線回折の回折角2θ(±0.2゜)が27.2゜に明瞭なピークを示すことを特徴とするD型(Y型)チタニルフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型のヒドロキシガリウムフタロシアニン、28.1゜にもっとも強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、または26.2゜にピークを持たず28.1゜に明瞭なピークを有し、かつ25.9゜の半値幅Wが0.1゜≦W≦0.4゜であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等がより好ましく、ガリウム系フタロシアニンの、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型のヒドロキシガリウムフタロシアニン、28.1゜にもっとも強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、または26.2゜にピークを持たず28.1゜に明瞭なピークを有し、かつ25.9゜の半値幅Wが0.1゜≦W≦0.4゜であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等が、湿度依存性の観点から最も好ましい。
本発明におけるCuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルは以下の手法に基づき測定する。
<粉末XRD測定条件>
粉末のX線回折スペクトルを測定するための測定装置は、CuKα線を線源とした集中光学系の粉末X線回折計であるPANalytical社製のPW1700を使用した。
測定条件は、X線出力40kV,30mA、走査範囲(2θ)3〜40°、スキャンステップ幅0.05°、走査速度3.0°/min、発散スリット1.0°、散乱スリット1.0°、受光スリット0.2mmとした。
また、該オキシチタニウムフタロシアニンにおいては、結晶内の塩素含有量が1.5質量%以下であることが好ましい。該塩素含有量は元素分析から求めることができる。
該オキシチタニウムフタロシアニン結晶内においては、下記式[L]で表される塩素化オ
キシチタニウムフタロシアニンの割合が、下記式[M]で表される無置換オキシチタニウム
フタロシアニンに対して、マススペクトル強度比で、0.070以下であるものである。また、好ましくはマススペクトル強度比が0.060以下であり、より好ましくは0.055以下である。製造の際、非晶質化に乾式摩砕法を用いる場合は、0.02以上が好ましく、非晶質化にアシッドペースト法を用いる場合は、0.03以下が好ましい。塩素置換量は、特開2001−115054号公報の手法に基づいて測定する。
Figure 0005835105
本発明に好適な金属含有フタロシアニンであるCuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に主たる明瞭な回折ピークを有すオキシチタニウムフタロシアニンの前駆体となる低結晶性フタロシアニン、アモルファス性フタロシアニンの調整法としては、アシッドペースト法、アシッドスラリー法等の化学的処理法、粉砕、磨砕等の機械的処理法などの公知の調整法を用いることが可能であるが、より均一なアモルファス性フタロシアニン、又は低結晶性フタロシアニンが得られることから、化学的処理法が好ましく、中でもアシッドペースト法がより好ましい。
化学的処理の具体的な例としては、オキシチタニウムフタロシアニンを濃硫酸中に溶解して行うアシッドペースティング法、または硫酸中で分散状態を経るアシッドスラリー法(硫酸塩法)、ジクロロチタニウムフタロシアニンにフェノール、アルコールを付加させた後に脱離させてオキシチタニウムフタロシアニンを得る方法等の化学的処理方法があげられ、より安定的なアモルファス、低結晶性オキシチタニウムフタロシアニンを得るにはアシッドペースト法がより好ましい。
ヒドロキシガリウムフタロシアニンとしては、好ましくは、CuKαのX線回におけるブラッグ角( 2θ±0.2 °)28.1°に、主たる明瞭な回折ピークを有するものである。
また、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの粒径に制限は無いが、通常1.0μm以下、好ましくは0.5μm以下である。さらに、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの塩素含有量にも制限は無いが、通常0.1重量%以下であり、好ましくは塩素を実質上含まないことが好ましい。
該ヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造方法に制限は無いが、例えば、ハロゲン化ガリウムフタロシアニンを処理して含水ヒドロキシガリウムフタロシアニンを得る工程と、前記含水ヒドロキシガリウムフタロシアニンを凍結乾燥して低結晶性ヒドロキシガリウムフタロシアニンとする工程と、前記低結晶性ヒドロキシガリウムフタロシアニンをミリング処理する工程とを有する方法により製造することができる。また、ハロゲン化ガリウ
ムフタロシアニンを処理して含水ヒドロキシガリウムフタロシアニンを得る工程においては、酸ペーストを用いることは、好ましい。
以下、この製造方法について説明する。まず、ハロゲン化ガリウムフタロシアニンを、アシッドペースティング法により処理してペースト状の含水ヒドロキシガリウムフタロシアニンを得る。この際、ハロゲン化ガリウムフタロシアニンとしては、例えば、クロロガリウムフタロシアニン、臭化ガリウムフタロシアニン、ヨウ化ガリウムフタロシアニンなどが使用できる。また、ハロゲン化ガリウムフタロシアニンは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
次に、この含水ヒドロキシガリウムフタロシアニンを凍結乾燥して低結晶性のヒドロキシガリウムフタロシアニンとする。得られた低結晶のヒドロキシガリウムフタロシアニンを、例えば、アセトアミド、N,N − ジメチルホルムアミド、N ,N − ジメチルア
セトアミド、N −メチルホルムアミド、N − メチルアセトアミド、N −メチルプロピオアミド、ホルムアミド等のアミド系溶剤を分散剤として用いてミリング処理を行なうことにより、本発明の結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニンが得られる。ハロゲン化ガリウムフタロシアニンの製造方法は任意であり、例えば、特開平6−93203号公報に記載されている方法によっても得られる。
ここで行うミリング処理とは、例えばガラスビーズ、スチールビーズ、アルミナボール等の分散メディアと共に、サンドミル、ボールミル等のミリング装置を用いて行なう処理である。ミリング処理時間は、使用するミリング装置により異なるため、一概には言えないが、4〜24時間程度が好ましい。あまり長すぎても本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニンはできない。中でも好ましい方法は、1〜3時間おきにサンプルをとりブラッグ角を確認することである。ミリング処理で用いる分散剤の量は、重量基準で低結晶ヒドロキシガリウムフタロシアニンの10〜50倍が好ましい。
上述したヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造方法の特徴の1つは、含水ヒドロキシガリウムフタロシアニンを凍結乾燥する点にある。凍結乾燥工程がないと、通常は、ブラッグ角(2θ±0.2°)28.1°が最大ピーク(主たる回折ピーク) とならない

前記の製造法では、凍結乾燥によって、含水ヒドロキシガリウムフタロシアニンに含まれる水を昇華させることにより、目的とする結晶型を有するヒドロキシガリウムフタロシアニンが得られるものと推察される。したがって、凍結乾燥の条件は水が昇華する条件である。例えば、含水ヒドロキシガリウムフタロシアニンを凍結させて、更に4Torr 以下
に減圧すれば、その後は室温でも昇華する。
前記の製造方法で使用できる装置の例を挙げると、金田理化製の凍結乾燥装置KFD−1に真空ポンプを接続したものを凍結乾燥に用いることができる。この装置では、水のトラップ部の温度を-20〜-110℃の範囲で調整できる。この際、使用する真空ポンプの例を
挙げると、排気量100L/minで、到達真空度は10-4Torrのものを使用することができる。
電荷発生物質として、無金属フタロシアニン化合物、又は金属含有フタロシアニン化合物を用いた場合は比較的長波長のレーザー光、例えば、780nm近辺の波長を有するレーザー光に対して高感度の感光体が得られる。また、モノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料を用いた場合には、白色光、又は660nm近辺の波長を有するレーザー光、もしくは比較的短波長のレーザー光(例えば、380nm〜500nmの範囲の波長を有するレーザー光)に対して十分な感度を有する感光体を得ることができる。
フタロシアニン化合物は単一の化合物のものを用いてもよいし、幾つかの混合又は混晶状態のものを用いてもよい。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態における混
合状態としては、それぞれの構成要素を後から混合したものを用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じさせたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報記載のように、2種類の結晶を混合後に機械的に磨砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。
一方、電荷発生物質としてアゾ顔料を使用する場合には、光入力用光源に対して感度を有するものであれば従前公知の各種のアゾ顔料を使用することが可能であるが、各種のビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が好適に用いられる。
電荷発生物質として、上記例示の有機顔料を用いる場合には、1種を単独で用いてもよいが、2種類以上の顔料を混合して用いてもよい。この場合、可視域と近赤域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の電荷発生物質を組み合わせて用いることが好ましく、中でもジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料とフタロシアニン顔料とを組み合わせて用いることがより好ましい。
積層型感光層を構成する電荷発生層に用いるバインダー樹脂は特に制限されないが、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマー等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせで混合して用いても良い。
電荷発生層は、具体的に、上述のバインダー樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に、電荷発生物質を分散させて塗布液を調整し、これを導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布することにより形成される。
塗布液の作製に用いられる溶剤としては、バインダー樹脂を溶解させるものであれば特に制限されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等の鎖状又は環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状又は環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソ
プロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水等が挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。なお、上述の下引き層を設ける場合には、この下引き層を溶解しないものが好ましい。
電荷発生層において、バインダー樹脂と電荷発生物質との配合比(質量比)は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常10質量部以上、好ましくは30質量部以上、また、通常1000質量部以下、好ましくは500質量部以下の範囲である。電荷発生層の膜厚は通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは0.6μm以下の範囲である。電荷発生物質の比率が高過ぎると、電荷発生物質の凝集等により塗布液の安定性が低下する虞がある。一方、電荷発生物質の比率が低過ぎると、感光体としての感度の低下を招く虞がある。
電荷発生物質を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の公知の分散法を用いることができる。この際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の範囲の粒子サイズに微細化することが有効である。
<電荷輸送層>
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質、バインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質としては、上述した式(I)で表される電荷輸送物質が好ましい。また、
上述した式(I)で表される電荷輸送物質に加えて、公知の他の電荷輸送物質を併用して
もよい。他の電荷輸送物質を併用する場合、その種類は特に制限されないが、例えば、カルバゾール誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、エナミン誘導体、ブタジエン誘導体及びこれらの誘導体が複数結合されたものが好ましい。
上述した式(I)で表される電荷輸送物質に加えて併用することの出来る電荷輸送物質
の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知の電荷輸送物質を用いてもよい。
Figure 0005835105
Figure 0005835105
本発明の電荷輸送物質の効果を発揮するためには、全電荷輸送物質に対する本発明の式(I)で表される電荷輸送物質の割合の下限が、通常、10重量%以上であり、電子写真感光体の光減衰特性の面から、好ましくは30重量%以上であり、電子写真感光体の高速応答性の面から、より好ましくは50重量%以上であり、特に好ましくは70重量%以上である。上限が、通常、100重量%以下であり、溶解性の面から、好ましくは90重量%以下であり、耐刷性の面から、より好ましくは85重量%以下であり、特に好ましくは80重量%以下である。
バインダー樹脂としては、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニ
ル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好適に使用される。このうち、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂、中でも全芳香族ポリエステル樹脂に対する呼称であるポリアリレート樹脂は、弾性変形率を高くすることが可能で、耐摩耗性、耐傷性、耐フィルミング性等の機械物性の観点から最も好ましい。一般に、ポリエステル樹脂は、機械物性の観点からはポリカーボネート樹脂より優れるものの、電気特性、光疲労の観点からはポリカーボネート樹脂に劣る。これは、エステル結合がカーボネート結合よりも極性が大きく、かつアクセプター性が強いことに起因すると考えられる。
まず、ポリエステル樹脂について説明する。一般に、ポリエステル樹脂は、原料モノマーとして、多価アルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の多価カルボン酸成分とを縮重合させて得られる。
多価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2− ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2− ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)
オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水添ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物、芳香族ビスフェノール等が挙げられ、これらの1種以上を含有するものが好ましい。
また、多価カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等のジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、これらの1種以上を含有するものが好ましい。
これらのポリエステル樹脂のうち、好ましいのは下記式(A)で示される構造単位を有する、全芳香族系のポリエステル樹脂(ポリアリレート樹脂)である。
Figure 0005835105
(式(A)中、Ar〜Arはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Xは単結合、酸素原子、硫黄原子、又はアルキレン基を表す。vは0以上2以下の整数を表す。Yは、単結合、酸素原子、硫黄原子、又はアルキレン基を表す)。
上記式(A)中、Ar〜Arは、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリーレン基を表す。アリーレン基が有する炭素数としては、通常6以上、好ましくは7以上、また、その上限は、通常20以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である。炭素数が多すぎる場合、製造コストが高くなり、電気特性も悪化する恐れがある。
Ar〜Arの具体例としては、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基等が挙げられる。中でも、アリーレン基としては、電気特性の観点から、1,4−フェニレン基が好ま
しい。アリーレン基は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
また、Ar〜Arの置換基の具体例を挙げると、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、アルコキシ基等が挙げられる。中でも、感光層用のバインダー樹脂としての機械的特性と感光層形成用塗布液に対する溶解性とを勘案すれば、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましく、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、ハロゲン基としてフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が好ましい。なお、置換基がアルキル基である場合、そのアルキル基の炭素数は通常1以上、また、通常10以下、好ましくは8以下、より好ましくは2以下である。
より詳しくは、Ar及びArは、それぞれ独立に置換基の数は0以上2以下が好ましく、接着性の観点から置換基を有することがより好ましく、中でも、耐磨耗性の観点から置換基の数は1個であることが特に好ましい。また、置換基としてはアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
一方、Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基の数は0以上2以下が好ましく、耐磨耗性の観点から置換基を有さないことがより好ましい。
また、上記式(A)において、Yは、単結合、酸素原子、硫黄原子、又はアルキレン基である。アルキレン基としては、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、シクロヘキシレンが好ましく、より好ましくは、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、シクロヘキシレンであり、特に好ましくは−CH−、−CH(CH)−である。
また、上記式(A)において、Xは単結合、酸素原子、硫黄原子、またはアルキレン基であって、中でも、Xは、酸素原子であることが好ましい。その際、vは0か1であることが好ましく、1であることが特に好ましい。
vが1の場合に好ましいジカルボン酸残基の具体的としては、ジフェニルエーテル−2,2'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−2,3'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−2,4'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−3,3'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−3,4'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸残基等が挙げられる。これらの中でも、ジカルボン酸成分の製造の簡便性を考慮すれば、ジフェニルエーテル−2,2'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル
−2,4'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸残基がより好ましく、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸残基が特に好ましい。
vが0の場合のジカルボン酸残基の具体例としては、フタル酸残基、イソフタル酸残基、テレフタル酸残基、トルエン−2,5−ジカルボン酸残基、p−キシレン−2,5−ジカルボン酸残基、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸残基、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸残基、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸残基、ビフェニル−2,2'−ジカルボ
ン酸残基、ビフェニル−4,4'−ジカルボン酸残基が挙げられ、好ましくは、フタル酸
残基、イソフタル酸残基、テレフタル酸残基、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸残基、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸残基、ビフェニル−2,2'−ジカルボン酸残基、ビ
フェニル−4,4'−ジカルボン酸残基であり、特に好ましくは、イソフタル酸残基、テ
レフタル酸残基であり、これらのジカルボン酸残基を複数組み合わせて用いることも可能である。
前記バインダー樹脂の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知のバインダー樹脂を用いてもよい。
Figure 0005835105
次に、ポリカーボネート樹脂について説明する。一般に、ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノール類とホスゲンとを溶液中で反応させる、界面法(界面重縮合法)や溶液法のような溶剤法で製造されたものや、ビスフェノールと炭酸ジエステルとをエステル交換反応により重縮合反応させる溶融法が、安価な製法として広く用いられている。ビスフェノール類としては、下記の化合物が好適に用いられる。なお、ポリカーボネート樹脂としては、一種のビスフェノール類からなるホモポリマーだけでなく、二種以上のビスフェノール類を共重合させて製造されるコポリマーも用いられる。
Figure 0005835105
上記のうち、好ましいのは下記式(B)で示される構造単位を有するポリカーボネートである。
Figure 0005835105
(一般式(B)中、置換基R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、置換基は結合して環を形成しても良い。置換基R及びR10は、
それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、j及びkは0〜4を表す。W は、単結合、酸素原子、-CR1112-を表し、置換基R11及びR12
、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基を表す。但し、t
とuのユニットは異なる構造をとる。)
アルキル基の炭素数としては、通常6以下であり、4以下が好ましく、3以下が特に好ましい。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等の直鎖のアルキル基、イソプロピル基、tertブチル基、イソブチル基等の分岐のアルキル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等の環状アルキル基が挙げられるが、この中でも合成の観点から、メチル基が特に好ましい。また、置換基が相互に結合して環を形成していても良い。
アリール基の炭素数としては、通常30以下、好ましくは20以下、さらに好ましくは15以下である。具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ピレニル基等が挙げられ、合成の観点からフェニル基又はナフチル基が好ましく、耐クラック性の観点からはナフチル基が特に好ましく、製造の容易さの観点からはフェニル基が特に好ましい。
前記バインダー樹脂の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知のバインダー樹脂を用いてもよい。
Figure 0005835105
本発明で用いられるバインダー樹脂の粘度平均分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、好ましくは10,000以上、より好ましくは20,000以上、また、その上限は、好ましくは150,000以下、より好ましくは120,000以下、更に好ましくは100,00以下であることが望ましい。粘度平均分子量の値が小さすぎる場合、感光体の機械的強度が不足する可能性があり、大き過ぎる場合、感光層形成のための塗布液の粘度が高すぎて生産性が低下する可能性がある。
なお、上記ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、他のバインダー樹脂を混合して使用しても良い。混合して使用しても良いバインダー樹脂としては、例えば、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂
、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送物質を10質量部以上の比率で使用する。中でも、残留電位低減の観点から20質量部以上が好ましく、更には、繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から30質量部以上がより好ましい。一方、感光層の熱安定性の観点から、電荷輸送物質を通常は120質量部以下の比率で使用する。中でも、電荷輸送材料とバインダー樹脂との相溶性の観点から100質量部以下が好ましく、耐刷性の観点から90質量部以下がより好ましく、耐傷性の観点から80質量部以下が最も好ましい。
電荷輸送層の膜厚は特に制限されないが、長寿命、画像安定性の観点、更には帯電安定性の観点から、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、一方、通常50μm以下、好ましくは45μm以下、更には40μm以下の範囲で、高解像度化の観点からは35μm以下が最も好適に用いられる。
<単層型感光層>
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質およびバインダー樹脂の種類並びにこれらの使用比率は、積層型感光体の電荷輸送層について説明したものと同様である。これらの電荷輸送物質およびバインダー樹脂からなる電荷輸送媒体中に、さらに電荷発生物質が分散される。
電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を十分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
また、単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、また、通常30質量部以下、好ましくは10質量部以下の範囲とする。単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲である。
<その他の添加物>
感光層又には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、有機微粒子、無機微粒子、レベリング剤等の添加物を含有させても良い。
<その他の機能層>
また、感光層の損耗を抑制して耐久性を高めたり、トナー成分や紙粉等の付着を抑制したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けてもよい。
保護層の電気抵抗は、通常10Ω・cm以上、1014Ω・cm以下の範囲とする。電気抵抗が該範囲より高くなると、残留電位が上昇しカブリの多い画像となってしまう一方、前記範囲より低くなると、画像のボケ、解像度の低下が生じてしまう。また、保護層
は像露光の際に照射される光の透過を実質上妨げないように構成されなければならない。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリーコン樹脂、ポリエチレン樹脂等、又はこれらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含有させても良い。或いは、これらの樹脂や粒子を含む層を新たに表面層として形成しても良い。
<各層の形成方法>
上記した感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解または分散させて得られた塗布液を、導電性支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
塗布液の作製に用いられる溶媒または分散媒に特に制限は無いが、具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。また、これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の組み合わせおよび種類で併用してもよい。
溶媒または分散媒の使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
電荷輸送層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を使用時の温度において通常10mPa・s以上、好ましくは50mPa・s以上、また、通常500mPa・s以下、好ましくは400mPa・s以下の範囲とする。
電荷発生層の場合には、塗布液の固形分濃度は、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度は、使用時の温度において、通常0.01mPa・s以上、好ましくは0.1mPa・s以上、また、通常20mPa・s以下、好ましくは10mPa・s以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、リングコーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
塗布液の乾燥は、室温における放置乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行っても良い。
≪画像形成装置≫
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1、帯電装置2、露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5、クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。帯電装置としては、コロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電装置(接触型帯電装置)等がよく用いられる。直接帯電装置の例としては、帯電ローラ、帯電ブラシ等が挙げられる。なお、図1では、帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示している。直接帯電手段として、気中放電を伴う帯電、あるいは気中放電を伴わない注入帯電いずれも可能である。また、帯電時に印可する電圧としては、直流電圧だけの場合、及び直流に交流を重畳させて用いることもできる。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行って電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LED等が挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行うようにしてもよい。露光を行う際の光は任意であるが、例えば、波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光等で露光を行えばよい。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分絶縁トナー現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像等の乾式現像方式や、湿式現像方式等の任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジ等の容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル等の金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等を被覆した樹脂ロール等からなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコン樹脂やウレタン樹脂等の樹脂ブレード、ステンレス鋼、アル
ミニウム、銅、真鍮、リン青銅等の金属ブレード、又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
トナーTの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法等を用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。中でも、使用するトナーの平均円形度は、好ましくは0.95以上であり、より好ましくは0.96以上であり、より更に好ましくは0.98以上である。
<平均円形度の測定方法と定義>
本発明における「平均円形度」は、以下のように測定し、以下のように定義する。すなわち、トナー母粒子を分散媒(アイソトンII、ベックマンコールター社製)に、5720〜7140個/μLの範囲になるように分散させ、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社(旧東亜医用電子社)製、FPIA2100)を用いて、以下の装置条件にて測定を行い、その値を「平均円形度」と定義する。本発明においては、同様の測定を3回行い、3個の「平均円形度」の相加平均値を、「平均円形度」として採用する。
・モード :HPF
・HPF分析量 :0.35μL
・HPF検出個数:2000〜2500個
以下は、上記装置で測定され、上記装置内で自動的に計算されて表示されるものであるが、「円形度」は下記式で定義される。
[円形度]=[粒子投影面積と同じ面積の円の周長]/[粒子投影像の周長]
そして、HPF検出個数である2000〜2500個を測定し、この個々の粒子の円形度の算術平均(相加平均)が「平均円形度」として装置に表示される。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写等の静電転写法、圧力転写法、粘着転写法等、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー、転写ローラ、転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙、媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナー等、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。但し、感光体表面に残留するトナーが少ないか、殆ど無い場合には、クリーニング装置6は無くても構わない。
定着装置7は、上部定着部材(定着ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73が備えられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73が備えられた例を示す。上部及び下部
の各定着部材71,72は、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にテフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シート等公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着等、任意の方式による定着装置を設けることができる。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行われる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行う。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像試験は以下のようにして行うことができる。
<画像試験>
上記の電子写真感光体を、ヒューレットパッカード社製タンデムフルカラープリンターLaserJet4650の感光体カートリッジに装着して、気温25℃、相対湿度50%下において、印字率5%で、10000枚の連続印字を行って、画像濃度(濃度が十分か否か)、クリーニングブレード由来の異音発生の有無、クリーニング不良の有無、感光体上のトナー付着(フィルミング)の発生度合、画像メモリー発生の有無、耐ガス性(画像ボケ、白抜け等)を調べる。
画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行うことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行うことで電子写真感光体の除電を行う工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程等の工程を行うことができる構成としたり、オフセット印刷を行う構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリ
ーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。この場合、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。なお、以下の実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明はその趣旨に反しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<式(1)で表される電荷輸送物質の製造>
(製造例1:例示化合物CT−7)
例示化合物CT−7を下記スキーム1に従って製造した。
Figure 0005835105
フルオレン環を有する化合物A20gをDMF200ml中に仕込み60℃に昇温させた。昇温後、オキシ塩化リン21.0gを70℃以下で滴下し、滴下終了後4h、60℃〜70℃の範囲で反応させた。反応終了後、室温まで降温し、反応液を水300ml/トルエン300mlの混合液へ放出し、加水分解を行った。加水分解後、有機層を分取し、有機層を水酸化ナトリウム水溶液、及び水で有機層が中性になるまで洗浄し、有機層を濃縮した。そして、濃縮残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより、ホルミル基を有する化合物Bを13.9g得た。(収率63.4%)
THF100ml中に、前記ホルミル化合物B4.3gとリン酸エステル誘導体である化合物Cを3.9g仕込み、溶解させた。溶解後、t−ブトキシカリウム1.8gを添加し、室温にて30分撹拌し反応させた。反応終了後、反応液を水に放出し、トルエンで抽出後、有機層を濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより目的物質である電荷輸送物質CT−7を4.5g得た。(収率82.2%)
(製造例2:例示化合物CT−18)
製造例1で用いたリン酸エステル化合物Cを下記リン酸エステル化合物D、に変更した以外は、製造例1と同様の操作を行うことにより、目的の電荷輸送物質であるCT−18を4.1g得た。(収率65.6%)
Figure 0005835105
(製造例3:例示化合物CT−13)
製造例1で合成したホルミル化合物B3.0gをTHF100ml中に溶解させた。溶解後、トリフェニルホスホニウム塩E4.3を添加し、溶液の温度を0℃以下に冷却後、28%ナトリウムメトキシド溶液2.2gをゆっくりと滴下した。滴下終了後、0℃以下で30分撹拌し反応させた。反応終了後、反応液を水に放出し、トルエンで抽出後、有機層を濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより目的物質である電荷輸送物質CT−13を2.8g得た。(収率70.8%)
Figure 0005835105
(実施例1〜6、比較例1〜6:電子写真感光体の評価)
<電子写真感光体作成方法>
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(厚み75μm)の表面にアルミニウム蒸着膜(厚み70nm)を形成した導電性支持体上を用い、その支持体の蒸着層上に、以下の下引き層用分散液をバーコーターにより、乾燥後の膜厚が1.25μm以下となるように塗布し、乾燥させ下引き層を形成した。
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールのボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表される化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表される化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表される化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表される化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表される化合物]の組成モル比率が、75%/9.5%/3%/9.5%/3%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行うことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層分散液とした。
Figure 0005835105
(電荷発生層の形成)
電荷発生物質として、オキシチタニウムフタロシアニン結晶(図2に示すようにCuKα特性X線に対するX線回折スペクトルにおいてブラック角(2θ±0.2°)に27.2°に主たる回折ピークを示す。)を用いた。このオキシチタニウムフタロシアニン結晶を20重量部を用い、これを1,2−ジメトキシエタン280重量部と混合し、サンドグラインドミルで1時間粉砕して微粒化分散処理を行って微細化処理液を得た。また、1,2−ジメトキシエタン253重量部及び4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン85重量部の混合液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)社製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10重量部を溶解させて、バインダー液を調製した。
上述の微粒化分散処理により得られた微細化処理液、上述のバインダー液、及び1,2−ジメトキシエタン230重量部を混合して、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を、前記導電性支持体上の下引き層上に、バーコーターにより、乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように塗布し、乾燥させて電荷発生層を形成した。
(電荷輸送層の形成)
バインダー樹脂としては、以下に示す2,2−ビス(4―ヒドロキシ−3―メチルフェニル)プロパンを芳香族ジオール成分とする繰り返し単位(下記式(PA)で表わされる単位)51モル%と、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンを芳香族ジオール成分とする繰り返し単位(下記式(PB)で表わされる単位)49モル%と、からなり、p−t−ブチルフェノールに由来する末端構造を有するポリカーボネート樹脂(Mv=30,500)を用いた。そして、電荷輸送物質50重量部、バインダー樹脂100重量部、下記式(AOX1)の構造を有する酸化防止剤8部、及びレベリング剤としてシリコーンオイル0.03重量部を、テトラヒドロフラン/トルエン(重量比8/2)混合溶媒640重量部に溶解させて電荷輸送層用塗布液を調整した。
Figure 0005835105
得られた電荷輸送層用塗布液を上述の電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるように塗布し、積層型感光層を有する電子写真感光体を得た。
以上の工程を得て、積層型感光層を有する電子写真感光体(感光体番号:感光体A〜C、感光体RA〜RD)をそれぞれ製造した。各感光体に用いた電荷輸送物質は下記の通りである。
感光体A(実施例1:製造例1で製造したCT−7を電荷輸送物質として使用)
感光体B(実施例2:製造例2で製造したCT−18を電荷輸送物質として使用)
感光体C(実施例3:製造例3で製造したCT−13を電荷輸送物質として使用)
感光体RA(比較例1:下記構造式(RC1)の電荷輸送物質使用)
Figure 0005835105
感光体RB(比較例2:特開平7−36203号公報 製造例1に基づいて合成した、下記構造式(RC2)の電荷輸送物質使用)
Figure 0005835105
感光体RC(比較例3:特開2002−80432号公報 実施例1に基づいて合成した、下記構造式(RC3)の電荷輸送物質使用)
Figure 0005835105
感光体RD(比較例4:下記構造式(RC4)の電荷輸送物質使用)
Figure 0005835105
<電子写真感光体の評価>
実施例1〜3、比較例1〜4で得られた電子写真感光体を、電子写真学会標準に従って作製された電子写真特性評価装置(「続電子写真技術の基礎と応用」、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、以下の手順に従って帯電、露光、電位測定、除電のサイクルを実施することにより、電気特性の評価を行なった。
温度25℃、湿度50%の条件下、感光体の初期表面電位が−700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを照射して、表面電位が−350Vとなる時の照射エネルギー(半減露光エネルギー)を感度として測定した(単位:μJ/cm)。また、感光体の初期表面電位が−700Vになるように帯電させ、0.6μJ/cmの照射エネルギーで露光後に測定した表面電位(単位:−V)を残留電位とした。測定結果を、表-1に示す。
Figure 0005835105
感光体D(実施例4)
前記<電子写真感光体作成方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を下記構造式(PC)を有するポリアリレート樹脂(Mv=40,500)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、感光体Dを製造した。
Figure 0005835105
感光体E(実施例5)
前記<電子写真感光体作成方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を前記構造式(PC)を有するポリアリレート樹脂(Mv=40,500)に変更した以外は、実施例2と同様の操作を行うことにより、感光体Eを製造した。
感光体F(実施例6)
前記<電子写真感光体作成方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を前記構造式(PC)を有するポリアリレート樹脂(Mv=40,500)に変更した以外は、実施例3と同様の操作を行うことにより、感光体F製造した。
比較感光体RE(比較例5)
前記<電子写真感光体作成方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を前記構造式(PC)を有するポリアリレート樹脂(Mv=40,500)に変更した以外は、比較例1と同様の操作を行うことにより、感光体RE製造した。
比較感光体RF(比較例6)
前記<電子写真感光体作成方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を前記構造式(PC)を有するポリアリレート樹脂(Mv=40,500)に変更した以外は、比較例2と同様の操作を行うことにより、感光体RF製造した。
比較感光体RG(比較例7)
前記<電子写真感光体作成方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を前記構造式(PC)を有するポリアリレート樹脂(Mv=40,500)に変更した以外は、比較例3と同様の操作を行うことにより、感光体RG製造した。
比較感光体RH(比較例8)
前記<電子写真感光体作成方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を前記構造式(PC)を有するポリアリレート樹脂(Mv=40,500)に変更した以外は、比較例4と同様の操作を行うことにより、感光体RH製造した。
実施例4〜6、比較例5〜8で得られた電子写真感光体を、前記<電子写真感光体の評価>に従って評価を行った結果を、表-2に示す。
Figure 0005835105
感光体G(実施例7)
前記<電子写真感光体作成方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を下記構造式(PD)を有するポリカーボネート樹脂(Mv=39,500)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、感光体Gを製造した。
Figure 0005835105
感光体H(実施例8)
前記<電子写真感光体作成方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を前記構造式(PD)を有するポリカーボネート樹脂(Mv=39,500)に変更した以外は、実施例2と同様の操作を行うことにより、感光体Hを製造した。
感光体I(実施例9)
前記<電子写真感光体作成方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を前記構造式(PD)を有するポリカーボネート樹脂(Mv=39,500)に変更した以外は、実施例3と同様の操作を行うことにより、感光体I製造した。
比較感光体RI(比較例9)
前記<電子写真感光体作成方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を前記構造式(PD)を有するポリカーボネート樹脂(Mv=39,500)に変更した以外は、比較例1と同様の操作を行うことにより、感光体RG製造した。
比較感光体RJ(比較例10)
前記<電子写真感光体作成方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を前記構造式(PD)を有するポリカーボネート樹脂(Mv=39,500)に変更した以外は、比較例2と同様の操作を行うことにより、感光体RI製造した。
比較感光体RK(比較例11)
前記<電子写真感光体作成方法>中の電荷輸送層用塗布液のバインダー樹脂を前記構造式(PD)を有するポリカーボネート樹脂(Mv=39,500)に変更した以外は、比較例3と同様の操作を行うことにより、感光体RK製造した。
実施例7〜9、比較例9〜11で得られた電子写真感光体を、前記<電子写真感光体の評価>に従って評価を行った結果を、表−3に示す。
Figure 0005835105
以上の結果から、本発明範囲内である電荷輸送物質を用いた場合に、電荷輸送層に用い
るバインダー樹脂に依存することなく、高感度であり、かつ低い残留電位を示す高機能な感光体を提供することが可能であることが明らかとなった。
1 感光体(電子写真感光体)
2 帯電装置(帯電ローラ;帯電部)
3 露光装置(露光部)
4 現像装置(現像部)
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙,媒体)

Claims (6)

  1. 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層中に下記式(I)で表される化合物を含有することを特徴する電子写真感光体。
    Figure 0005835105
    (式(I)中、R〜Rはそれぞれ独立したアルキル基、アリール基、アルコキシ基を表し、R〜Rはそれぞれ独立した水素原子、アルキル基を表し、Ar〜Arはそれぞれ独立した水素原子、置換基を有していてもよいアリール基を表し、Ar〜Arのうちの少なくともひとつ、及びAr〜Arのうちの少なくとも一つは置換基を有していてもよいアリール基である。l、mはそれぞれ独立して0以上2以下、nは1以上3以下、p、qはそれぞれ独立して1以上5以下、r、sはそれぞれ独立して0以上4以下の整数を表す。)
  2. 導電性支持体上に少なくとも電荷輸送物質を含有する感光層を有する電子写真感光体において、該電荷輸送物質が下記式(II)で表されることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
    Figure 0005835105
    (式(II)中、R〜Rはそれぞれ独立したアルキル基を表し、R〜Rはそれぞれ独立した水素原子、アルキル基を表し、Ar〜Arはそれぞれ独立した水素原子、置換基を有していてもよいアリール基を表し、Ar〜Arのうちの少なくともひとつ、及びAr〜Arのうちの少なくとも一つは置換基を有していてもよいアリール基である。l、mはそれぞれ独立して0以上1以下、p、qはそれぞれ独立して1以上3以下、r、sはそれぞれ独立して0以上1以下の整数を表す。)
  3. 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層中に式(I)で表される化合物、および、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2゜)が少なくとも24.1°、27.2°に回折ピークを示す結晶型のオキシチタニウムフタロシアニンを含有することを特徴とする請求項1ないし2記載の電子写真感光体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、
    及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置からなる群から選ばれる少なくとも1つ、を備えたことを特徴とする電子写真感光体カートリッジ。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、および、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  6. 前記画像形成装置に用いられる静電荷像現像用トナーのフロー式粒子像分析装置によって測定される平均円形度が、0.940以上1.000以下であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
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