JP4804099B2 - 電子写真感光体、該感光体を用いたドラムカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、該感光体を用いたドラムカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4804099B2
JP4804099B2 JP2005301038A JP2005301038A JP4804099B2 JP 4804099 B2 JP4804099 B2 JP 4804099B2 JP 2005301038 A JP2005301038 A JP 2005301038A JP 2005301038 A JP2005301038 A JP 2005301038A JP 4804099 B2 JP4804099 B2 JP 4804099B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
charge transport
photoreceptor
photosensitive member
weight
electrophotographic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005301038A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006139268A (ja
Inventor
由香 長尾
光幸 三森
政行 廣井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2005301038A priority Critical patent/JP4804099B2/ja
Publication of JP2006139268A publication Critical patent/JP2006139268A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4804099B2 publication Critical patent/JP4804099B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Description

本発明は、導電性支持体上に感光層が形成された電子写真感光体に関する。詳しくは、高感度、低残留電位で、応答性にも優れ、しかも感光層中での含有成分の析出などが無い高性能の電子写真感光体に関する。
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られることなどから、近年では複写機の分野に留まらず、各種プリンター、印刷機の分野でも広く使われ、応用されてきている。
電子写真技術の中核となる感光体については、その光導電材料として、従来のセレン、ヒ素−セレン合金、硫化カドミウム、酸化亜鉛といった無機系の光導電材料を使用した感光体(無機感光体)から、最近では、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電材料を使用した感光体(有機感光体)の使用が主流となっている。
有機感光体の主な層構成としては、電荷発生物質をバインダー樹脂中に分散させた、いわゆる単層型感光体と、電荷発生層及び電荷輸送層を積層した積層型感光体とが知られている。積層型感光体は、効率の高い電荷発生物質、及び電荷輸送物質を別々の層に分けて、最適なものを組み合わせることにより高感度かつ安定な感光体が得られること、材料選択範囲が広く特性の調整が容易なことから多く使用されている。単層型感光体は、電気特性面では積層型感光体にやや劣り、材料選択性も狭いものの、感光体表面近傍で電荷発生することにより、高解像度化が可能で、ひいては厚膜にしても画像ボケしないことから、厚膜化による高耐刷化が可能である。また、単層型感光体は塗布工程が少なくて済むこと、導電性基体(支持体)由来の干渉縞、素管欠陥に対して有利で、無切削管等の安価基体が使用できることから、低コスト化が可能であること等の長所を有する。
近年の電子写真プロセスの高速化に伴い、電子写真感光体の高感度化、高速応答化が必須となっている。これらの要求のうち、高感度化の達成のためには、電荷発生物質の最適化だけでなく、電荷発生物質とのマッチングの良好な電荷輸送物質の開発が必要である。そして、バインダー樹脂で結着される有機感光体では、良好な画像を得るために、長期使用においても感光層中に析出物などが見られないことが必要である。さらに、高速応答化の達成のためには、高移動度であり、且つ露光時に十分な低残留電位を示す電荷輸送物質が求められている。
また、有機の電子写真感光体は、通常、感光材料とバインダー樹脂を有機溶媒に分散、または溶解して得られる塗布液を導電性支持体上に塗布乾燥することによって感光層を形成し、製造されるため、電気特性がより優れた感光材料であっても、溶媒に対する溶解性、分散性が悪い場合は、塗布欠陥の発生や塗布液の早期劣化が起こり、実用には至らない。たとえば、製造時に均一であっても保存安定性が悪い塗布液では、塗布後に残った液の再利用が出来ず、コストアップや環境汚染につながるため、塗布液とした際の安定性に優れた電荷輸送物質が要求されている。
電子写真感光体としての電気特性、耐久性、および感光層形成用の塗布液とした際の液特性に優れる電荷輸送物質として、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン類が注目されており、特にベンジジン骨格を有するトリアリールアミン化合物を複数種用いる技術が知られている(例えば、特許文献1〜3 参照)。
特開平03−225345号公報 特開平05−150475号公報 米国特許出願公開第2004/0067427号明細書
しかしながら、高感度、低残留電位、且つ高速応答性能を有し、しかも感光層中で析出することなく、感光層を形成するのに用いる塗布液とした際の安定性に優れた電荷輸送物質は得られておらず、化学的劣化が少なく、電荷発生物質とのマッチングが良好で、高移動度であり、露光時に十分な低残留電位を示し、且つ安定性に優れた塗布液を製造することのできる、優れた電荷輸送物質が求められている。
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、高感度、低残留電位、且つ高速応答性能を有し、しかも安定な感光層を形成することが可能で、その上感光層を形成するのに用いる塗布液とした際の安定性に優れた電荷輸送物質を感光層に含有する電子写真感光体、該感光体を用いたカートリッジ、および該感光体を用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記の要求を満たす電荷輸送物質について鋭意研究した結果、感光層に特定の構造を有する化合物からなる組成物を電荷輸送物質として含有させることにより、電子写真感光体の電気特性、感光層の安定性、および感光層を形成するのに用いる塗布液の安定性が改良されることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第一の要旨は、導電性支持体上に電荷輸送物質を含有する感光層を形成してなる電子写真感光体において、該電荷輸送物質が、下記式(1)で表される化合物群、下記式(2)で表される化合物群、および下記式(3)で表される化合物群の中から選ばれる、2種または3種の化合物からなる組成物であることを特徴とする電子写真感光体に存し、
Figure 0004804099
(式(1)〜(3)中のR〜Rは、炭素数が3以下のアルキル基を表す。)
本発明の第二の要旨は、導電性支持体上に感光層を形成してなる電子写真感光体において、該感光層が、下記式(4)〜(6)で表される化合物中の、少なくとも2種以上を含有することを特徴とする、電子写真感光体に存する。
Figure 0004804099
本発明によれば、高感度、低残留電位、且つ高速応答性能を有し、しかも安定な感光層を形成することが可能で、その上感光層を形成するのに用いる塗布液とした際の安定性に優れた電荷輸送物質を感光層に含有する電子写真感光体、該感光体を用いたカートリッジ、および該感光体を用いた画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体であって、該感光層が特定の組成物からなる電荷輸送物質を含有することを特徴としており、導電性支持体上に、上述した本発明の電子写真感光体に使用される電荷輸送物質(以下、適宜「本発明の電荷輸送物質」と略称する。)を含有する感光層を設けたものであれば、その構造は特に制限されない。
以下の記載では、まず本発明の電子写真感光体に使用される電荷輸送物質について説明した後、続いて本発明の電子写真感光体、カートリッジおよび画像形成装置の説明に移ることにする。
・第一の発明
本発明の電荷輸送物質は、下記式(1)で表される化合物群、下記式(2)で表される化合物群、および下記式(3)で表される化合物群の、全ての群の中から選ばれる、2種または3種の化合物からなる組成物であることを特徴とする。
Figure 0004804099
式(1)〜(3)中のR〜Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、1−メチルヘプチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等の、鎖式または環式のアルキル基を表すが、鎖式のアルキル基が好ましい。鎖式のアルキル基は、枝分かれ鎖を有していても構わない。該アルキル基の、炭素数は20以下であることが好ましく、より好ましくは炭素数が10以下のアルキル基であり、特に好ましくは炭素数3以下のアルキル基である。
本発明の電子写真感光体に係る電荷輸送物質は、式(1)〜式(3)の3種の化合物群の中から選ばれる、2種または3種の化合物からなる組成物である。選択される化合物は、全て同一の化合物群から選ばれる化合物であってもかまわないが、少なくとも1つは、他の化合物の含まれる化合物群とは異なる化合物群から選ばれることが好ましく、3種の化合物からなる組成物である場合には、式(1)〜式(3)の3種の化合物群それぞれから、1種ずつの化合物が選択されることが好ましい
本発明の電子写真感光体に係る電荷輸送物質が、式(1)〜式(3)の3種の化合物群から選ばれる場合、それぞれの化合物の組成比率は、如何なるものであってもかまわないが、選択されたそれぞれの化合物の重量比率がより近いものが好ましく、より好ましくは選択されたそれぞれの化合物の重量比率が等しいものである。また、式(1)で表される化合物群に属する化合物と、式(2)で表される化合物群に属する化合物との和が、式(1)〜式(3)の化合物群から選ばれる全化合物に対して、重量比で過半量であることが好ましく、より好ましくは、式(1)で表される化合物群に属する化合物が、全電荷輸送物質に対して重量比で最大量となることであり、更に好ましくは、式(3)で表される化合物群に属する化合物が、全電荷輸送物質に対して重量比で最小量となることである。
また、本発明の電子写真感光体に係る電荷輸送物質が、2種類である場合、それぞれの化合物の重量比率が、9:1〜1:9であることが好ましく、より好ましくは7:3〜3:7であって、特には1:1であることが好ましい。
本発明の電子写真感光体は、テトラフェニルベンジジン骨格を有する複数の化合物からなる組成物を電荷輸送物質として使用するが、その性能を損なわない限り、テトラフェニルベンジジン以外の骨格を有する公知の電荷輸送物質を併用しても構わない。
・第二の発明
本発明の電子写真感光体に係る感光層は、下記式(4)〜(6)で表される3種の化合物の中から選ばれる、少なくとも2種以上を含有する感光層であるが、これらの中でも、式(4)の化合物の化合物を少なくとも含有することが好ましい。
Figure 0004804099
式(4)〜式(6)の3種の化合物の中から選ばれる、少なくとも2種以上の化合物の、それぞれの含有比率は、如何なるものであってもかまわないが、選択されたそれぞれの化合物の重量比率がより近いものが好ましく、特には選択されたそれぞれの化合物の重量比率が等しいものが好ましい。また、式(4)で表される化合物と、式(5)で表される化合物との和が、式(4)〜式(6)の化合物の和に対して、重量比で過半量であることが好ましい。より好ましくは式(6)で表される化合物を含有しないものである。
そして、式(4)〜式(6)の化合物の和に対して、式(4)で表される化合物が重量比で最大量となることが好ましく、より好ましくは、式(6)で表される化合物が、式(4)〜式(6)の化合物の和に対して重量比で最小量となることである。
さらに、本発明の電子写真感光体に係る電荷輸送物質が、2種類である場合、それぞれの化合物の重量比率が、9:1〜1:9であることが好ましく、より好ましくは7:3〜3:7であって、特には1:1であることが好ましい。
本発明の電子写真感光体の感光層は、その性能を損なわない限り、公知の電荷輸送物質を併用しても構わない。併用する電荷輸送物質の含有量は、如何なるものであっても構わないが、通常、全電荷輸送物質に対して、重量比率で50%以下である。併用可能な電荷輸送物質としては例えば、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリグリシジルカルバゾール、ポリアセナフチレン等の高分子化合物、またはインドール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアジアゾール誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、アリールアミン誘導体等の低分子化合物、もしくはこれらが複数結合されたものが使用でき、これらの中でも、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、アリールアミン誘導体、もしくはこれらが複数結合されたものが好適に用いられる。
<支持体>
導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫合金)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙などが主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のため、適当な抵抗値を持つ導電性材料を塗布したものでもよい。
導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化処理を施してから用いてもよい。陽極酸化処理を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴中で、陽極酸化処理することにより陽極酸化被膜が形成されるが、硫酸中での陽極酸化処理がより良好な結果を与える。硫酸中での陽極酸化の場合、硫酸濃度は100〜300g/l、溶存アルミニウム濃度は2〜15g/l、液温は15〜30℃、電解電圧は10〜20V、電流密度は0.5〜2A/dmの範囲内に設定されるのが好ましいが、前記条件に限定されるものではない。
このようにして形成された陽極酸化被膜に対して、封孔処理を行うことは好ましい。封孔処理は、公知の方法で行なわれればよいが、例えば、主成分としてフッ化ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる低温封孔処理、あるいは主成分として酢酸ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる高温封孔処理が施されるのが好ましい。
上記低温封孔処理の場合に使用されるフッ化ニッケル水溶液濃度は、適宜選べるが、3〜6g/lの範囲で使用された場合、より好ましい結果が得られる。また、封孔処理をスムーズに進めるために、処理温度としては、通常25℃以上、好ましくは30℃以上、また、通常40℃以下、好ましくは35℃以下の範囲で、また、フッ化ニッケル水溶液pHは、通常4.5以上、好ましくは5.5以上、また、通常6.5以下、好ましくは6.0以下の範囲で処理するのがよい。pH調節剤としては、シュウ酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、アンモニア水等を用いることが出来る。処理時間は、被膜の膜厚1μmあたり1〜3分の範囲で処理することが好ましい。なお、被膜物性を更に改良するためにフッ化コバルト、酢酸コバルト、硫酸ニッケル、界面活性剤等をフッ化ニッケル水溶液に添加しておいてもよい。次いで水洗、乾燥して低温封孔処理を終える。前記高温封孔処理の場合の封孔剤としては、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル−コバルト、硝酸バリウム等の金属塩水溶液を用いることが出来るが、特に酢酸ニッケルを用いるのが好ましい。酢酸ニッケル水溶液を用いる場合の濃度は5〜20g/lの範囲内で使用するのが好ましい。処理温度は通常80℃以上、好ましくは90℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは98℃以下の範囲で、また、酢酸ニッケル水溶液のpHは5.0〜6.0の範囲で処理するのが好ましい。ここでpH調節剤としてはアンモニア水、酢酸ナトリウム等を用いることが出来る。処理時間は10分以上、好ましくは20分以上処理するのが好ましい。なお、この場合も被膜物性を改良するために酢酸ナトリウム、有機カルボン酸、アニオン系、ノニオン系界面活性剤等を酢酸ニッケル水溶液に添加してもよい。次いで水洗、乾燥して高温封孔処理を終える。平均膜厚が厚い場合には、封孔液の高濃度化、高温・長時間処理により強い封孔条件を必要とする。従って生産性が悪くなると共に、被膜表面にシミ、汚れ、粉ふきといった表面欠陥を生じやすくなる。このような点から、陽極酸化被膜の平均膜厚は通常20μm以下、特に7μm以下で形成されることが好ましい。
支持体表面は、平滑であってもよいし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理したりすることにより、粗面化されていてもよい。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものであってもよい。また、安価化のためには切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。特に引き抜き加工、インパクト加工、しごき加工等の非切削アルミニウム支持体を用いる場合、処理により、表面に存在した汚れや異物等の付着物、小さな傷等が無くなり、均一で清浄な支持体が得られるので好ましい。
導電性支持体と感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けてもよい。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子が挙げられる。一種類の粒子のみを用いてもよいし複数の種類の粒子を混合して用いてもよい。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理を施されていてもよい。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスの何れも用いることができる。複数の結晶状態のものが含まれていてもよい。
また、金属酸化物粒子の粒径としては、種々のものが利用できるが、中でも特性及び液の安定性の面から、平均一次粒径として通常1nm以上、特に10nm以上、また、通常100nm以下、特に50nm以下の範囲が好ましい。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、フェノキシ、エポキシ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二以上を任意の組み合わせで用いてもよい。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性・塗布性を示すので好ましい。
下引き層に用いられるバインダー樹脂に対する無機粒子の添加比は任意に選択すればよいが、通常は10重量%以上、500重量%以下の範囲で使用することが、分散液の安定性、塗布性の面で好ましい。
下引き層の膜厚は任意に選ぶことができるが、感光体特性及び塗布性を向上させる観点から、通常は0.1μm以上、20μm以下の範囲が好ましい。また、下引き層には、公知の酸化防止剤等を添加してもよい。
導電性支持体上に形成される感光層の型式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された単層型と、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二層からなる積層型とが挙げられるが、何れであってもよい。一般に電荷輸送物質は、単層型でも積層型でも、電荷輸送機能としては同等の性能を示すことが知られている。
<電荷発生物質>
電荷発生物質としては、例えばセレン及びその合金、硫化カドミウム、その他の無機系光導電材料や、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料などの有機顔料等、各種の光導電材料が使用できる。中でも有機顔料が好ましい。
電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、これらの微粒子を、例えばポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテルなどの各種バインダー樹脂で結着した形で使用する。有機顔料の使用比率は、積層型感光体の場合、バインダー樹脂100重量部に対して通常30重量部以上、500重量部以下の範囲で使用され、その膜厚は通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常1μm以下、好ましくは0.6μm以下の範囲が好適である。また、単層型感光体の場合は、バインダー樹脂100重量部に対して通常0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上、また、通常30重量部以下、好ましくは10重量部以下の範囲で使用される。
電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。フタロシアニン顔料は、比較的長波長のレーザー光に対して高感度の感光体が得られる点で、また、アゾ顔料は、白色光及び比較的短波長のレーザー光に対し十分な感度を持つ点で、それぞれ優れている。
電荷発生物質としてフタロシアニン化合物を用いる場合、具体的には、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム等の金属、又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシド等の配位したフタロシアニン類の各種結晶型が使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型,I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。なお、これらのフタロシアニンの中でも、A型(β型)、B型(α型)及びD型(Y型)チタニルフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等が特に好ましい。
また、フタロシアニン類の中でも、CuKα特性X線に対するX線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)が、27.3°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン、9.3°,13.2°,26.2°及び27.1°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン、9.2,14.1,15.3,19.7,27.1°に主たる回折ピークを有するジヒドロキシシリコンフタロシアニン、8.5°,12.2°,13.8°,16.9°,22.4°,28.4°及び30.1°に主たる回折ピークを示すジクロロスズフタロシアニン、7.5°,9.9°,12.5°,16.3°,18.6°,25.1°及び28.3°に主たる回折ピークを示すヒドロキシカリウムフタロシアニン、並びに、7.4°,16.6°,25.5°及び28.3°に回折ピークを示すクロロガリウムフタロシアニンが好ましい。これらの中でも、27.3°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニンが特に好ましく、この場合、9.5°、24.1°及び27.3°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニンがとりわけ好ましい。
フタロシアニン化合物は単一の化合物のもののみを用いてもよいし、いくつかの混合あるいは混晶状態でもよい。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態に置ける混合状態として、それぞれの構成要素を後から混合して用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じさせたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報記載のように、2種類の結晶を混合後に機械的に摩砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。
電荷発生物質としてアゾ顔料を使用する場合、具体例としては、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、ポリアゾ類等が挙げられるが、中でも、従来公知の各種のビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が好適に用いられる。
電荷発生物質としてアゾ顔料を使用する場合、本発明に係る感光体を露光する露光光としては、白色光、または380〜700nmの単色光が好適に用いられるが、380〜500nmの単色光を用いた場合に高感度を有するため好ましく、特には380〜450nmの単色光に対して高感度を有するので好ましい。
好ましいアゾ顔料の例を以下に示す。
Figure 0004804099
<バインダー樹脂>
感光層の形成に際しては、膜強度確保のために、バインダー樹脂が使用される。この場合、感光層は上記電荷輸送物質等とバインダーポリマーを溶剤に溶解あるいは分散して得られる塗布液を塗布、乾燥して得ることができる。バインダー樹脂としては、例えばブタジエン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、部分変性ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミド、ポリウレタン、セルロースエーテル、フェノキシ樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。このうちポリカーボネート、ポリアリレートが特に好ましい。なお、これらは適当な硬化剤等を用いて熱、光等により架橋させて用いることもできる。これらのバインダーは2種類以上をブレンドして用いることもできる。
<感光層>
本発明に係る感光層におけるバインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、単層型・積層型ともに、バインダー樹脂100重量部に対して通常20重量部以上、更に残留電位低減の観点から30部以上が好ましく、更に繰り返し使用した際の安定性、電荷移動度の観点から、40部以上がより好ましい。また、一方で感光層の熱安定性の観点から、通常は150重量部以下、更に電荷輸送物質とバインダー樹脂の相溶性の観点から好ましくは110重量部以下、更に耐刷性の観点から80重量部以下がより好ましく、耐傷性の観点からは70重量部以下が最も好ましい。また膜厚は通常5μm以上、通常50μm以下の範囲、長寿命化、画像安定性の観点からは10μm以上、45μm以下の範囲が好ましく、高解像度化の観点からは10μm以上、30μm以下の範囲がより好ましい。
なお、感光層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させるために周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤などの添加物を含有させてもよい。
<酸化防止剤>
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤などのラジカル連鎖反応禁止剤と、紫外線吸収剤、光安定剤、金属不活性化剤及びオゾン劣化防止剤などの連鎖反応開始阻害剤と、硫黄系酸化防止剤及び燐系酸化防止剤などの過酸化物分解剤が挙げられる。
ラジカル連鎖反応禁止剤は、感光体にあたる熱や光、ガスなどの影響で発生したラジカルを補足してラジカルの連鎖反応を止める働きがある。連鎖反応開始阻害剤は、光や熱等の要因で引き起こされる連鎖開始反応を抑える働きがある。過酸化物分解剤は、帯電時に生成するオゾンに起因する過酸化物(パーオキサイド)を不活性な化合物に分解して連鎖反応への寄与を切断する作用をもつ。
ラジカル連鎖反応禁止剤の中でフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ブチル化ヒドロキシアニソ
ール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]グリコ−ルエステル、トコフェロール類などが挙げられる。またその他に、ハイドロキノン類として、2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなどが挙げられる。アミン系酸化防止剤としては、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、トリベンジルアミンなどが挙げられる。
連鎖反応開始阻害剤の中で、紫外線吸収剤及び光安定剤としては、フェニルサリチレート、モノグリコールサリチレート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、レゾルシノールモノベンゾエートなどが挙げられる。金属不活性化剤としては、N−サリシロイル−N’−アルデヒドヒドラジン、N,N’−ジフェニルオキサミドなどが挙げられる。オゾン劣化防止剤としては、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
過酸化物分解剤の中では、硫黄系酸化防止剤として、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾールなどが挙げられる。燐系酸化防止剤しては、トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィン、トリデシルホスフィン、トリオクタデシルホスフィンなどが挙げられる。
これらの酸化防止剤は、2種以上を併用してもよい。酸化防止剤の添加量は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.01から100重量部、好ましくは0.05から30重量部である。
<単層型感光体>
単層型感光体の場合には、上記のような配合比の電荷輸送媒体中に、更に前出の電荷発生物質が分散される。その場合の電荷発生物質の粒子径は充分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下で使用される。感光層内に分散される電荷発生物質の量は、少な過ぎると充分な感度が得られない一方で、多過ぎると帯電性の低下・感度の低下などの弊害があることから、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常10重量%以下、好ましくは8重量%以下の範囲で使用される。単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲である。
<その他の層>
積層型又は単層型の感光層の上に、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けてもかまわない。
なお、感光体の表面に当たる層には、感光体表面の摩擦抵抗や摩耗を軽減する目的で、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂等を含有させてもよい。また、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含有させてもよい。
<層形成方法>
これらの感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により順次塗布して形成される。
塗布液の作製に用いられる溶媒又は分散媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル、等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等があげられ、これらは単独で又は2種以上を併用して用いられる。
なお、塗布液又は分散液の作製において、単層型感光層、及び、積層型感光層の電荷輸送層の場合には、固形分濃度を好ましくは10重量%以上、また、好ましくは40重量%以下、更に好ましくは35重量%以下の範囲とするとともに、粘度を好ましくは50mPa・s以上、また、好ましくは400mPa・s以下の範囲とし、積層型感光層の電荷発生層の場合には、固形分濃度を好ましくは1重量%以上、また、好ましくは15重量%以下、更に好ましくは10重量%以下の範囲とし、粘度を好ましくは0.1mPa・s以上、また、好ましくは10mPa・s以下の範囲とする。
<画像形成装置>
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置2,露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5,クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。図1では帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示しているが、他にもコロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。
なお、電子写真感光体1及び帯電装置2は、多くの場合、この両方を備えたカートリッジ(以下適宜、感光体カートリッジという)として、画像形成装置の本体から取り外し可能に設計されている。そして、例えば電子写真感光体1や帯電装置2が劣化した場合に、この感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することができるようになっている。また、後述するトナーについても、多くの場合、トナーカートリッジ中に蓄えられて、画像形成装置本体から取り外し可能に設計され、使用しているトナーカートリッジ中のトナーが無くなった場合に、このトナーカートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しいトナーカートリッジを装着することができるようになっている。更に、電子写真感光体1,帯電装置2,トナーが全て備えられたカートリッジを用いることもある。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LEDなどが挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光などで露光を行なえばよい。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や、湿式現像方式などの任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄,ステンレス鋼,アルミニウム,ニッケルなどの金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコーン樹脂,ウレタン樹脂,フッ素樹脂などを被覆した樹脂ロールなどからなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコーン樹脂やウレタン樹脂などの樹脂ブレード、ステンレス鋼,アルミニウム,銅,真鍮,リン青銅などの金属ブレード、又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
トナーTの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法などを用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラ,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなど、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。但し、感光体表面に残留するトナーが少ないか、殆ど無い場合には、クリーニング装置6は無くてもかまわない。
定着装置7は、上部定着部材(定着ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73がそなえられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73がそなえられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71,72は、ステンレス,アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にテフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどが公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としてもよい。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
実施例1
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(厚み75μm)の表面にアルミニウム蒸着層(厚み70nm)を形成した導電性支持体を用い、その支持体の蒸着層上に、以下の下引き層用分散液をバーコーターにより、乾燥後の膜厚が1.25μmとなるように塗布し、乾燥させ下引き層を形成した。
下引き層用分散液は、次のようにして製造した。即ち、平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエン(重量比7/1/2)の混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式A]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式B]/ヘキサメチレンジアミン[下記式C]/デカメチレンジカルボン酸[下記式D]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式E]の組成モル比率が、75%/9.5%/3%/9.5%/3%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する固形分濃度18.0%の下引き層用分散液とした。
Figure 0004804099
電荷発生物質として、図2に示すCuKα特性X線に対する粉末X線回折スペクトルパターンを有するオキシチタニウムフタロシアニン20重量部と、1,2−ジメトキシエタン280重量部を混合し、サンドグラインドミルで2時間分散処理を行い、分散液を作製した。続いてこの分散液と、10重量部のポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)、253重量部の1,2−ジメトキシエタン、85重量部の4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンとを混合し、更に234重量部の1,2−ジメトキシエタンを混合して電荷発生層用塗布液を作製した。この電荷発生層用塗布液を、前記下引き層上に乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように、ワイヤーバーにより塗布、乾燥して電荷発生層を形成した。
更にこの電荷発生層上に、下記構造をもつ電荷輸送物質(1)25重量部、電荷輸送物質(2)25重量部、下記構造のバインダー樹脂(1)(粘度平均分子量約40,000)100重量部、およびレベリング剤としてシリコーンオイル0.05重量部を、テトラヒドロフラン/トルエン混合溶媒(混合重量比 8/2)640重量部に溶解させた電荷輸送層用塗布液を、乾燥後の膜厚が25μmとなるように塗布し、125℃で20分間乾
燥して電荷輸送層を設け電子写真感光体を作製した。この感光体を感光体1とする。
Figure 0004804099
実施例2
実施例1において用いた電荷輸送物質(2)のかわりに、下記構造の電荷輸送物質(3)を25重量部用いる以外は、実施例1と同様の操作を行い、感光体2を得た。
Figure 0004804099
実施例3
実施例1において用いた電荷輸送物質(1)の量を35重量部、電荷輸送物質(2)の量を15重量部にした以外は、実施例1と同様の操作を行い、感光体3を得た。
実施例4
実施例1において用いた電荷輸送物質(1)の量を35重量部、電荷輸送物質(2)の量を35重量部使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、感光体4を得た。
実施例5
実施例1において用いた電荷輸送物質(2)のかわりに、電荷輸送物質(4)を25重量部使用した以外はすべて同様の操作を行い、感光体5を得た。
Figure 0004804099
実施例6
実施例1において、電荷輸送層の膜厚を30μmとした以外は全て同様の操作を行い、
感光体6を得た。
実施例7
電荷輸送層用塗布液として、実施例1において用いた電荷輸送層用塗布液に下記酸化防
止剤(1)を8重量部添加したものを使用した以外は、実施例1と同様にして感光体7を得た。
Figure 0004804099
実施例8
電荷輸送層用塗布液として、実施例2において用いた電荷輸送層用塗布液に酸化防止剤としてトリベンジルアミンを1重量部添加したものを使用した以外は、実施例2と同様にして感光体8を得た。
比較例1
実施例1において、電荷輸送物質(2)を添加しないで電荷輸送物質(1)のみを50重量部用いて電荷輸送層を形成した以外は全て同様の操作を行い、感光体9を得た。
比較例2
比較例1において、電荷輸送物質(1)のかわりに電荷輸送物質(2)を50重量部用いた以外は全て同様の操作を行い、感光体10を得た。
比較例3
実施例1において、電荷輸送物質(2)のかわりに下記構造の電荷輸送物質(5)25重量部を用いた以外は全て同様の操作を行い、感光体11を得た。
Figure 0004804099
比較例4
実施例1において、電荷輸送物質(2)のかわりに下記構造の電荷輸送物質(6)25重量部を用いた以外は全て同様の操作を行い、感光体12を得た。
Figure 0004804099
比較例5
実施例1において、電荷輸送物質(2)のかわりに下記構造の電荷輸送物質(7)25重量部を用いた以外は全て同様の操作を行い、感光体13を得た。
Figure 0004804099
実施例9
実施例1で用いた下引き層用分散液を、表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ351mm、肉厚0.75mmのアルミニウム製シリンダー外表面に、浸漬塗布方法によりその乾燥後の膜厚が2μmとなるように塗布し、乾燥して下引き層を設けた。次に、実施例1で用いた電荷発生層用塗布液を、前記アルミニウム製シリンダー外表面に形成した下引き層上に、浸漬塗布方法によりその乾燥後の膜厚が0.3μmとなるように塗布し、乾燥して電荷発生層を設けた。次に、実施例1で用いた電荷輸送層用塗布液を、前記電荷発生層上に、浸漬塗布方法によりその乾燥後の膜厚が25μmになるように塗布し、乾燥して電荷輸送層を設けた。このようにして得られた感光体を感光体14とする。
比較例6
実施例9において用いた電荷輸送層用塗布液を、比較例1において用いたものに変えた以外は、実施例9と同様にして感光体15を得た。
<感光体の表面状態>
得られた感光体1〜15の表面状態を目視により観察し、その結果を表1に示した。
<感光体の電気特性評価>
得られた感光体1〜13を電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の評価を行った。温度25℃、相対湿度50%の条件下で、感光体の初期表面電位が−700Vとなるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを照射して、表面電位が−350Vとなる時の照射エネルギー(μJ/cm)を求め、これを感度とした。また、除電光に660nmのLED光を用いて、該除電光照射後の残留電位(以下、Vrということがある)を測定し、その結果を表1に示す。
Figure 0004804099
本発明に係る電子写真感光体は、表面状態が良好で、しかも残留電位が低く優れている。
実施例10
電荷発生層用塗布液として、下記構造の電荷発生物質(1)1.5重量部と、1,2−ジメトキシエタン30重量部とを混合し、サンドグラインドミルで8時間粉砕し、微粒化分散処理を行った。続いて、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)0.75重量部、フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製品、PKHH)0.75重量部を1,2−ジメトキシエタン28.5重量部に溶解したバインダー溶液と混合し、最後に1,2−ジメトキシエタンと4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの混合液13.5重量部を加えて、1,2−ジメトキシエタンと4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの重量比が9対1であって、固形分濃度4.0重量%の電荷発生層塗布液を調整した。この塗布液を、乾燥後の膜厚が0.4μmとなるようにワイヤーバーで塗布して乾燥し、電荷発生層を形成した。
Figure 0004804099
を表す。)
更にこの電荷発生層上に、電荷輸送層用塗布液として、実施例4において用いた電荷輸送層用塗布液に下記構造の酸化防止剤(2)を2重量部添加したものを使用した以外は、実施例2と同様にして感光体16を得た。
Figure 0004804099
酸化防止剤(2)
<感光体16の電気特性評価>
得られた感光体16を、露光光としてハロゲンランプの光を干渉フィルターで427nmの単色光としたものを用い、除電光に約30lxの白色光を用いた以外は、感光体1〜13の電気特性評価を行ったのと同様にして電気特性の評価を行った。また、感光体1〜15の表面状体を評価したのと同様にして表面状態を評価した。これらの結果を下記表2に示す。
Figure 0004804099
実施例11
図2に示すCuKα線による粉末X線スペクトルパターンを有するオキシチタニウムフタロシアニン5重量部と、トルエン70重量部とを混合し、サンドグラインドミルで2時間分散処理を行い、分散液Aを得た。分散液Aにおいて用いたオキシチタニウムフタロシアニン5重量部の代わりに下記構造の化合物(2)8重量部を用い、トルエンの量を112重量部とした以外は、分散液Aと同様にして分散液Bを得た。
次に、前記電荷輸送物質(1)30重量部、および前記電荷輸送物質(2)30重量部を、実施例1で用いたバインダー樹脂(1)100重量部とともに、トルエン420重量部に溶解し、この溶液に前記分散液Aおよび前記分散液Bを混合した。得られた混合液をホモジナイザーにより均一になるように混合して得られた感光層形成用塗布液を、実施例1で用いたのと同様の支持体上に、乾燥後の膜厚が25μmになるように塗布し、125℃で20分間乾燥して単層型の電子写真感光体17を得た。
Figure 0004804099
比較例7
実施例11において用いた電荷輸送物質(1)および電荷輸送物質(2)の代わりに、下記構造の電荷輸送物質(8)60重量部を用いた以外は、実施例11と同様にして感光体18を得た。
Figure 0004804099
<単層型感光体の評価>
実施例11および比較例7の感光体の感度および残留電位をElectrostatic Paper Analyzer(川口電機製、モデル:EPA−8100)により測定した。まず、暗所でコロナ電流が50μAになるように印加電圧を設定したコロナ放電器により感光体を、約+800Vに帯電させ、この感光体を0.055μW/cmの強度の600nm単色光により露光した。表面電位が、+700Vから+350Vになるのに要した光の照射エネルギー(μJ/cm)を求め、これを感度とし、同じ光を10秒間露光した後の表面電位を求め、残留電位とした。結果を下記表3に示す。
Figure 0004804099
<感光体の応答性評価>
次に感光体1、感光体9、および感光体10を、電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる応答速度のテストを行った。温度5℃、相対湿度10%の条件下で、感光体の初期表面電位が−700Vとなるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光とした0.56μJ/cmの光を照射して表面電位を測定した。この際、露光から電位測定までの時間を153ミリ秒とした時の表面電位Vaと、該時間を34ミリ秒とした時の表面電位Vbの差、Vb−Vaを求めた。結果を下記表4に示す。
Figure 0004804099
この結果から、本発明に係る電子写真感光体は、露光後34ミリ秒後の電位と、露光後153ミリ秒後の電位の差が小さく、露光後の応答時間が短く高速応答性に優れることが分かる。
<画像評価>
実施例9の感光体14、および比較例6の感光体15を、それぞれ市販のレーザープリンター(沖データ製 Microline 3050c)用のブラックカートリッジに組み込み、該カートリッジを前記レーザープリンターに装着し、黒色ハーフトーン画像、および黒色ベタ画像を形成して画像評価を行った。
感光体15を使用した時の画像では、黒色ハーフトーン画像、黒色ベタ画像の何れの場合でも、ドラム上の析出物に由来すると思われる白点欠陥がみられたが、感光体14を使用した時の画像は均一で、何れの場合でも白点欠陥は見られなかった。
プリンター、ファクシミリ、複写機等の電子写真装置、または該装置に装着して使用するカートリッジに適用可能な、電子写真感光体を提供することができる。
本発明の電子写真感光体を備えた画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。 実施例で用いられるオキシチタニウムフタロシアニンのX線回折スペクトルである。
符号の説明
1 感光体
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙、媒体)

Claims (4)

  1. 導電性支持体上に電荷輸送物質を含有する感光層を形成してなる電子写真感光体において、該電荷輸送物質が、下記式(1)で表される化合物群、下記式(2)で表される化合物群、および下記式(3)で表される化合物群の中から選ばれる、2種または3種の化合物からなる組成物であることを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0004804099
    (式(1)〜(3)中のR〜Rは、炭素数3以下のアルキル基を表す。)
  2. 導電性支持体上に感光層を形成してなる電子写真感光体において、該感光層が、下記式(4)〜(6)で表される化合物中の、少なくとも2種以上を含有することを特徴とする、電子写真感光体。
    Figure 0004804099
  3. 請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電部、帯電した該電子写真感光体を露光させ静電潜像を形成する露光部、および該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像部のうち、少なくとも一つとを備えることを特徴とする、カートリッジ。
  4. 請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電部、帯電した該電子写真感光体を露光させ静電潜像を形成する露光部、および該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像部のうち、少なくとも一つとを備えることを特徴とする、画像形成装置。
JP2005301038A 2004-10-15 2005-10-14 電子写真感光体、該感光体を用いたドラムカートリッジ及び画像形成装置 Expired - Fee Related JP4804099B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005301038A JP4804099B2 (ja) 2004-10-15 2005-10-14 電子写真感光体、該感光体を用いたドラムカートリッジ及び画像形成装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004301284 2004-10-15
JP2004301284 2004-10-15
JP2005301038A JP4804099B2 (ja) 2004-10-15 2005-10-14 電子写真感光体、該感光体を用いたドラムカートリッジ及び画像形成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006139268A JP2006139268A (ja) 2006-06-01
JP4804099B2 true JP4804099B2 (ja) 2011-10-26

Family

ID=36620098

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005301038A Expired - Fee Related JP4804099B2 (ja) 2004-10-15 2005-10-14 電子写真感光体、該感光体を用いたドラムカートリッジ及び画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4804099B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20150040281A (ko) 2012-07-31 2015-04-14 미쓰비시 가가꾸 가부시키가이샤 전자 사진 감광체, 전자 사진 감광체 카트리지, 화상 형성 장치, 및 트리아릴아민 화합물
WO2014021340A1 (ja) * 2012-07-31 2014-02-06 三菱化学株式会社 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置
JP6160370B2 (ja) * 2012-09-27 2017-07-12 三菱ケミカル株式会社 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、画像形成装置、及びトリアリールアミン化合物

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2705089B2 (ja) * 1988-04-08 1998-01-26 富士ゼロックス株式会社 電子写真感光体
JPH05150475A (ja) * 1991-11-26 1993-06-18 Fuji Xerox Co Ltd 電子写真感光体
JPH10246970A (ja) * 1997-03-04 1998-09-14 Hitachi Chem Co Ltd 電子写真感光体及び電荷輸送層用塗液

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006139268A (ja) 2006-06-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5577722B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真カートリッジ、及び画像形成装置
JP4735421B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、および画像形成装置
JP6662111B2 (ja) 正帯電用単層型電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置
JP4804099B2 (ja) 電子写真感光体、該感光体を用いたドラムカートリッジ及び画像形成装置
JP4779850B2 (ja) 電子写真感光体および画像形成装置
JP5655490B2 (ja) 電子写真感光体、該感光体を用いた画像形成装置、および電子写真カートリッジ
JP4640154B2 (ja) 電子写真感光体、該感光体を用いた画像形成装置、および該感光体を用いた電子写真カートリッジ
JP4661617B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成方法および画像形成装置
JP2014123114A (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置
JP4466414B2 (ja) 電子写真感光体、該感光体を用いた画像形成装置、およびカートリッジ
JP2005055888A (ja) 電子写真感光体
JP4462123B2 (ja) 電子写真感光体
JP5553125B2 (ja) 電子写真感光体、該感光体を用いるプロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP4720527B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成方法及び画像形成装置
JP5460957B2 (ja) 電子写真感光体
JP5556327B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置
JP4513686B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真用カートリッジ、画像形成装置、および画像形成方法
JP6387649B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置
JP6102639B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真カートリッジ、及び画像形成装置
JP4252023B2 (ja) 感光層形成用塗布液の製造方法、該方法による塗布液を塗布してなる感光体、および該感光体を用いる画像形成装置
JP2009186967A (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ及び画像形成装置
JP6354255B2 (ja) 電子写真感光体、及び画像形成装置
JP4720531B2 (ja) 画像形成装置
JP5453783B2 (ja) 電子写真感光体、該電子写真感光体を備える感光体カートリッジ及び画像形成装置
JP2006285119A (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ及び画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080422

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20090703

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100420

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100604

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100720

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100907

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20101008

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20101029

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110809

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4804099

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140819

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees