JP2016133795A - 電子写真感光体、画像形成装置、及びポリエステル樹脂 - Google Patents

電子写真感光体、画像形成装置、及びポリエステル樹脂 Download PDF

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Abstract

【課題】感光層形成用塗布液の安定性に優れ、耐摩耗性及び電気特性に優れた電子写真感光体を提供する。
【解決手段】感光層は、下記式(1)、特定式で表される構造を有するポリエステル樹脂を含有し、式(1)及び特定式で表される2価のカルボン酸残基量が全カルボン酸残基に対して70モル%以上であり、且つ式(1)で表される2価のカルボン酸残基の含有量が、モル比率で0.3≦(1)/((1)+(2))≦0.9を満たす。
Figure 2016133795

【選択図】なし

Description

本発明は電子写真感光体に関し、より詳しくは、耐摩耗性が良好な電子写真感光体に関する。
電子写真感光体は、電子写真プロセス、即ち、帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電等のサイクルで繰り返し使用されるため、その間の様々なストレスを受けて劣化する。このような劣化としては、例えば、帯電器として普通用いられるコロナ帯電器から発生する強酸化性のオゾンやNOxが感光層に与える化学的なダメージ、像露光で生成したキャリアー(電流)が感光層内を流れること、又は除電光及び外部からの光に起因する感光層組成物の分解等の化学的、電気的劣化がある。さらに、クリーニングブレード、磁気ブラシ等の摺擦、現像剤、紙との接触等による感光層表面の摩耗、傷の発生、膜の剥がれ等の機械的劣化がある。このような機械的劣化による損傷は画像上に現れやすく、直接画像品質を損なうため感光体の寿命を制限する大きな要因となっている。
表面保護層等の機能層を設けない一般的な感光体の場合、特に感光層がこのような負荷を受け易い。感光層は、通常、バインダー樹脂と光導電性物質とからなり、実質的に強度を決めるのはバインダー樹脂であるが、光導電性物質のドープ量が相当多いため充分な機械強度を持たせるには至っていない。
近年、感光層のバインダー樹脂として、感度や耐摩耗性に優れているポリエステル樹脂が使用されている。(特許文献1〜特許文献3参照)。さらに、ポリエステル樹脂のジカルボン酸成分にジフェニルエーテルジカルボン酸やジフェニルジカルボン酸成分を用いることで、感光体の機械的強度が一段と向上することが報告されている(特許文献4〜特許文献7参照)。
特開平3−6567号公報 特開平9−22126号公報 特開2004−294750号公報 特開平10−20514号公報 特開2001−265021号公報 特開2006−53549号公報 特開2008−293006号公報
しかしながら、本発明者の検討によると、前記特許文献1〜7に記載の技術のポリエステル樹脂を使用した感光体では、100,000枚以上印刷するような高寿命・高速ハイエンド機種においては、機械強度は充分なものではなかった。また、ジフェニルジカルボン酸が高含有量である樹脂を使用する場合には、非ハロゲン溶剤を使用して感光層形成用塗布液を製造すると析出が起こるため安定性に欠ける場合があった。
また、前記特許文献ではジフェニルエーテルジカルボン酸及びジフェニルジカルボン酸の両成分を含むポリエステル樹脂の記載がなく、これら両成分を組み合わせることによる機械物性の向上は考えられていなかった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、非ハロゲン溶
剤を使用した場合にも感光層形成用塗布液は安定性に優れ、実用上の負荷に対する耐摩耗性及び電気特性に優れた電子写真感光体を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決しうる電子写真感光体について鋭意検討を行なった結果、感光層に特定の化学構造を有するポリエステル樹脂を含有させることにより、優れた機械的特性を有し、感光層形成用塗布液に用いる溶媒に対して高い溶解性及び優れた塗布液安定性を有し、且つ、電気特性に優れた電子写真感光体を得ることができることを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成させるに至った。
即ち、請求項1に係る発明は、導電性支持体と、前記導電性支持体上に形成された感光層とを有し、前記感光層は、下記式(1)で表される2価カルボン酸残基、下記式(2)で表される2価カルボン酸残基、及び下記式(3)で表される2価フェノール残基の繰り返し構造を有するポリエステル樹脂を含有し、前記ポリエステル樹脂の下記式(1)及び下記式(2)で表される2価のカルボン酸残基量が全カルボン酸残基に対して70モル%以上であり、且つ式(1)で表される2価のカルボン酸残基の含有量が、モル比率で0.3≦(1)/((1)+(2))≦0.9を満たすことを特徴とする、電子写真感光体である。
Figure 2016133795
(式(1)中、R、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、又はベンジル基を示し、n、mは、0〜4の整数を示す。)
Figure 2016133795
(式(2)中、R、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、又はベンジル基を示し、p、qは、0〜4の整数を示す。)
Figure 2016133795
(式(3)中、R〜Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、ベンジル基、又はアリール基、X1は単
結合、アルキレン基、−CR10−、酸素原子、又は硫黄原子を示す。R、R10はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、又はRとR10が互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成する基を示す。)
請求項2に係る発明は、前記ポリエステル樹脂において、式(1)で表される2価のカルボン酸残基の含有量が、モル比率で0.5≦(1)/((1)+(2))≦0.8を満たす、請求項1に記載の電子写真感光体である。
請求項3に係る発明は、前記ポリエステル樹脂において、前記式(1)で表される2価のカルボン酸残基が、下記式(4)で表されるジカルボン酸及び式(2)で表される2価のカルボン酸残基が下記式(5)で表されるジカルボン酸である、請求項1又は2に記載の電子写真感光体である。
Figure 2016133795
請求項4に係る発明は、前記ポリエステル樹脂において、前記式(3)で表される2価フェノール残基が下記式(6)で表される2価フェノール残基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体である。
Figure 2016133795
(式(6)中、Xは単結合、アルキレン基、又は−CR1112−を示す。R11,R12はそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
請求項5に係る発明は、非ハロゲン溶媒を含む塗布液を用いて前記感光層が形成されたものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体である。
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
請求項7に係る発明は、2価カルボン酸残基及び2価フェノール残基の繰り返し構造を有するポリエステル樹脂において、上記式(1)で表される2価カルボン酸残基、上記式(2)で表される2価カルボン酸残基、及び上記式(3)で表される2価フェノール残基の繰り返し構造を有し、上記式(1)及び上記式(2)で表される2価のカルボン酸残基量が全カルボン酸残基に対して70モル%以上であり、且つ式(1)で表される2価のカルボン酸残基の含有量が、モル比率で0.3≦(1)/((1)+(2))≦0.9を満たすことを特徴とする、ポリエステル樹脂である。
前記ポリエステル樹脂は、感光層形成用塗布液に用いる溶媒に対して高い溶解性及び優れた塗布液安定性を有し、それを用いた本発明の感光体は耐摩耗性や電気特性等の諸特性に優れたものとなる。この耐摩耗性の向上の理由については明らかではないが、上記式(1)のようなエーテル結合を有する2価カルボン酸残基を含有させることでポリエステル樹脂が程よく柔軟になる一方で、上記式(2)のような2価カルボン酸残基を含有させることで樹脂鎖が剛直となり、ポリエステル樹脂が適度な剛性と靭性を有することができるためと考えられる。
本発明によれば、耐摩耗性に特に優れ、且つ、電気特性・密着性に優れた電子写真感光体が得られる。
本発明の画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
≪ポリエステル樹脂≫
本実施の形態が適用される電子写真感光体の感光層は、下記式(1)で表される2価カルボン酸残基を有するポリエステル樹脂を含有する。
Figure 2016133795
式(1)中、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、又はベンジル基であり、n、mは、0〜4の整数である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル
基等が挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、シクロヘキソキシ基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、クロロメチル基、フッ化アルキル基等が挙げられる。耐摩耗性の観点から、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基である。n,mは各々独立に、0〜4の整数であり、製造上の簡便性の観点から、好ましくは、n=m=0である。
式(1)で表される2価カルボン酸残基を誘導する2価カルボン酸化合物の具体例としては、例えば、ジフェニルエーテル−2,2´−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4´−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、製造上の簡便性及び耐摩耗性の観点から、ジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸が特に好ましい。
また、前記ポリエステル樹脂は、下記式(2)で表される2価カルボン酸残基を含有する。
Figure 2016133795
式(2)中、R、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、又はベンジル基であり、p、qは、0〜4の整数である。アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン化アルキル基としては、R、Rで挙げたものが適用できる。耐摩耗性の観点から、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基である。p,qは製造上の簡便性の観点から、特に好ましくは、p=q=0である。
式(2)で示される2価カルボン酸残基を誘導する2価カルボン酸化合物の具体例としては、例えば、4,4´-ジフェニルジカルボン酸、2,2´−ジフェニルジカルボン酸
、2,4´−ジフェニルジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、製造上の簡便性及び耐摩耗性の観点から、4,4´-ジフェニルジカルボン酸が特に好ましい。
前記ポリエステル樹脂において、式(1)及び式(2)で表される2価カルボン酸残基の合計含有量は全2価カルボン酸成分に対し70モル%以上である。耐摩耗性の観点から、好ましくは90モル%以上である。
また、式(1)で表される2価カルボン酸残基の含有量は、式(1)及び式(2)で表される2価カルボン酸残基の合計量に対し0.3モル%以上0.9モル%以下である。耐摩耗性及び接着性の観点から、好ましくは、0.8モル%以下、より好ましくは、0.75モル%以下である。また、耐摩耗性の観点から、好ましくは、0.5モル%以上であり、より好ましくは0.6モル%以上である。
前記ポリエステル樹脂は、下記式(3)で表される2価フェノール残基を含有する。
Figure 2016133795
式(3)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、ベンジル基、又はアリール基、X1は単結合、アルキレン基、−CR10−、酸素原子、又は硫黄原子を示す。R
、R10はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、又はRとR10が互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成する基を示す。
〜Rのアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン化アルキル基としては、R、Rで挙げたものが適用できる。R〜Rにおける、アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、トリル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基等が挙げられる。R〜Rは機械物性の観点から、好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。機械物性の観点から、特に好ましくは、水素原子及びメチル基である。
におけるアルキレン基の具体例としては、−(CH−、−(CH−等が挙げられる。R及びR10におけるアルキル基、アリール基はR〜Rで挙げたものが適用できる。R及びR10における、RとR10が互いに結合して置換基を有してもよい環を形成する基の具体例としては、シクロヘキシリデン基等が挙げられる。式(3)中、Xにおいて、機械物性および製造上の簡便性の観点から、好ましくは、−CR10−である。特に、XはXであることが好ましく、Xは、単結合、アルキレン基、又は−CR1112−を示し、R11、R12はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。
具体的には、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキー3−メチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。これらの2価フェノール成分を複数組み合わせて用いることも可能である。
この中でも、2価フェノール成分の製造の簡便性及び機械物性を考慮すれば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンが好ましい。さらに溶解性及び密着性を考慮すると、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンが特に好ましい。
前記ポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、通常、10,000以上、機械的強度の観点から、好ましくは25,000以上である。また、通常、150,000以下、塗布性の観点から、好ましくは、100,000以下である。
前記ポリエステル樹脂のカルボキシル酸価は、100μ当量/g以下とすることが好ましく、より好ましくは50μ当量/g以下である。カルボキシル酸価が100μ当量/gを超えると、感光体の電気的特性が悪化する傾向があり、さらに、樹脂を溶媒に溶解して塗工液としたときの保存安定性が低下する傾向がある。
また、前記ポリエステル樹脂に含まれる遊離の2価カルボン酸量は、その量は特に限定されないが、50ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましい。遊離の2価カルボン酸含有量が50ppmを超える場合、感光体の電気特性が悪化したり、画像評価に現れる異物となったりする場合がある。感光体の電気特性・画像特性の観点からは、遊離の2価カルボン酸量は少ないほどよいが、ポリエステル樹脂の安定性の観点からは、0.01ppm以上であることが好ましく、0.1ppm以上であることが特に好ましい。
さらに、前記ポリエステル樹脂に含有される遊離の2価フェノールについては、その量は特に限定されないが、100ppm以下が好ましい、50ppm以下が更に好ましい。100ppmを超えると電気特性の悪化や着色、使用する溶媒によっては異物が生じる場合がある。感光体の電気特性の観点からは、遊離の2価フェノールは少ないほどよいが、製造の簡便性からは、0.001ppm以上であることが好ましく、0.01ppm以上であることが特に好ましい。
本実施の形態が適用される電子写真感光体における感光層には、接着性、塗布性の観点から前記ポリエステル樹脂と他の樹脂とを混合して用いることも可能である。ここで混合される他の構造を有する樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体及びその共重合体;ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂及び種々の熱硬化性樹脂等及びこれらの共重合体が挙げられる。これら樹脂のなかでもポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂とシリコーン樹脂の共重合体及びポリエステル樹脂とシリコーン樹脂の共重合体が好ましい。また、他の構造を有する樹脂を混合する場合の混合割合は、特に限定されないが、通常、前記ポリエステル樹脂の割合を超えない範囲で併用することが好ましく、具体的には前記ポリエステル樹脂100質量部に対する他の構造を有する樹脂の含有量は、通常50質量部以下、耐摩耗性の観点から、20質量部以下が好ましい。また、通常1質量部以上である。
前記他の構造を有する樹脂の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知のバインダー樹脂を混合して用いてもよい。
Figure 2016133795
≪2.ポリエステル樹脂の製造方法≫
次に、本実施の形態が適用される電子写真感光体に使用するポリエステル樹脂の製造方法について説明する。ポリエステル樹脂の製造方法としては、例えば、界面重合法、溶融重合法、溶液重合法等の公知の重合方法を用いることができる。ここでポリエステル樹脂の製造法の一例を説明する。
界面重合法による製造の場合は、例えば、2価フェノール化合物をアルカリ水溶液に溶解した溶液と、芳香族ジカルボン酸クロライド化合物を溶解したハロゲン化炭化水素及び芳香族炭化水素の溶液とを混合する。この際、触媒として、4級アンモニウム塩もしくは4級ホスホニウム塩を存在させることも可能である。重合温度は0℃〜40℃の範囲、重合時間は2時間〜20時間の範囲であるのが生産性の点で好ましい。重合終了後、水相と有機相とを分離し、有機相中に溶解しているポリマーを公知の方法で、洗浄、回収することにより、目的とする樹脂が得られる。
界面重合法で用いられるアルカリ成分としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等を挙げることができる。アルカリ成分の使用量としては、反応系中に含まれるフェノール性水酸基の1.01倍当量〜3倍当量の範囲が好ま
しい。
ハロゲン化炭化水素としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
触媒として用いられる4級アンモニウム塩もしくは4級ホスホニウム塩としては、例えば、トリブチルアミンやトリオクチルアミン等の3級アルキルアミンの塩酸、臭素酸、ヨウ素酸等の塩;ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリエチルオクタデシルホスホニウムブロマイド、N−ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルピコリニウムクロライド等が挙げられる。
また、界面重合法では、分子量調節剤を使用することができる。分子量調節剤としては、例えば、フェノール、o,m,p−クレゾール、o,m,p−エチルフェノール、o,m,p−プロピルフェノール、o,m,p−(tert−ブチル)フェノール、ペンチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、2,6−ジメチルフェノール誘導体、2−メチルフェノール誘導体等のアルキルフェノール類;o,m,p−フェニルフェノール等の1官能性のフェノール;酢酸クロライド、酪酸クロライド、オクチル酸クロライド、塩化ベンゾイル、ベンゼンスルホニルクロライド、ベンゼンスルフィニルクロライド、スルフィニルクロライド、ベンゼンホスホニルクロライドやそれらの置換体等の1官能性酸ハロゲン化物等が挙げられる。これら分子量調節剤の中でも、分子量調節能が高く、かつ溶液安定性の点で好ましいのは、o,m,p−(tert−ブチル)フェノール、2,6−ジメチルフェノール誘導体、2−メチルフェノール誘導体である。特に好ましくは、p−(tert−ブチル)フェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノールである。
2価フェノールをアルカリ溶液中で酸化させないために、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイト(次亜硫酸ナトリウム)、二酸化硫黄、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、酸化防止の効果及び環境負荷の低減からもハイドロサルファイトが特に好ましい。酸化防止剤の使用量としては、全2価フェノールに対して、0.01質量%以上、10.0質量%以下が好ましい。さらに好ましくは0.1質量%以上、5質量%以下である。含有量が少なすぎると酸化防止効果が不十分の可能性があり、多すぎるとポリエステル中に残存してしまい電気特性に悪影響する場合がある。
ポリエステル樹脂の重合後の精製方法は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意の方法を用いることができるが、例えば、ポリエステル樹脂の溶液を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ水溶液;塩酸、硝酸、リン酸等の酸水溶液;水等で洗浄した後、静置分離、遠心分離等により分液する方法が挙げられる。
また他の精製方法としては、例えば、生成したポリエステル樹脂の溶液を、ポリエステル樹脂が不溶の溶媒中に析出させる方法、ポリエステル樹脂の溶液を温水中に分散させ溶媒を留去する方法、又はポリエステル樹脂溶液を吸着カラム等に流通させる方法等により精製してもよい。
精製後のポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂が不溶の水、アルコールその他有機溶媒中に析出させるか、ポリエステル樹脂の溶液を温水及びポリエステル樹脂が不溶の分散媒中で溶媒を留去するか、加熱、減圧等により溶媒を留去することにより取り出してもよいし、スラリー状で取り出した場合は遠心分離器、濾過器とうにより固体を取り出すこと
もできる。得られたポリエステル樹脂は、通常ポリエステル樹脂の分解温度以下の温度で乾燥するが、好ましくは20℃以上、樹脂の溶融温度以下で乾燥することができる。このとき減圧下で乾燥することが好ましい。
乾燥時間は残存溶媒等の不純物の純度が一定以下になるまでの時間以上行うことが好ましく、具体的には、残存溶媒が通常1000ppm以下、好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下になる時間以上乾燥する。
≪3.電子写真感光体≫
本実施の形態が適用される電子写真感光体は、導電性支持体上に設けた感光層を有し、感光層が、前記ポリエステル樹脂を含有するものである。感光層の具体的な構成としては、例えば、導電性支持体上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層と電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層とを積層した積層型感光体、導電性支持体上に、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を含有する層中に電荷発生物質を分散させた感光層を有する分散型(単層型)感光体等が挙げられる。前記ポリエステル樹脂は、通常、電荷輸送物質を含有する層に用いられ、好ましくは積層型感光体の電荷輸送層に用いられる。
本実施の形態が適用される電子写真感光体に使用される感光層の具体的な構成としては、例えば、積層型感光体の場合は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を含有し、静電荷を保持して露光により発生した電荷を輸送する電荷輸送層と、電荷発生物質を含有し、露光により電荷対を発生する電荷発生層と、を有する。また、その他にも必要に応じて、例えば、導電性支持体からの電荷注入を阻止する電荷阻止層、レーザー光等の光を拡散させて干渉縞の発生を防止する光拡散層等を有する場合がある。分散型(単層型)感光体の場合は、感光層は、電荷移動物質及び電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散されている。
<3−1.導電性支持体>
導電性支持体について特に制限は無いが、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。更には、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いてもよい。
また、導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いてもよい。陽極酸化被膜を施した場合には、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
支持体表面は、平滑であってもよいし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていてもよい。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでもよい。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
<3−2.下引き層>
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けてもよい。下引き層としては、樹脂、及び樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。また、下引き層は、単一層からなるものであっても、複数層からなるものであってもよい。下引き層には、公知の酸化防止剤等、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させて用いてもよい。その膜厚は、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、繰り返し特性、及び製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下で
ある。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子等が挙げられる。これらは一種類の粒子を単独で用いてもよいし、複数の種類の粒子を混合して用いてもよい。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていてもよい。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていてもよい。
また、金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、中でも特性及び液の安定性の点から、その平均一次粒径は、10nm以上100nm以下が好ましく、特に10nm以上50nm以下が好ましい。この平均一次粒径は、TEM写真等から得ることができる。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタンアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知のバインダー樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層に用いられるバインダー樹脂に対する無機粒子の使用比率は任意に選ぶことが可能であるが、分散液の安定性、塗布性の観点から、バインダー樹脂に対して、通常は10質量%以上、500質量%以下の範囲で使用することが好ましい。
<3−3.感光層>
感光層の形式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された単層型と、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二層からなる機能分離型(積層型)とが挙げられるが、何れの形式であってもよい。
また、積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能であるが、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
<3−3−1.積層型感光層>
[電荷発生層]
積層型感光体(機能分離型感光体)の場合、電荷発生層は、電荷発生物質をバインダー
樹脂で結着することにより形成される。その膜厚は通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは0.6μm以下の範囲である。
電荷発生物質としては、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生物質として無金属フタロシアニン化合物、金属含有フタロシアニン化合物を用いた場合は比較的長波長のレーザー光、例えば780nm近辺の波長を有するレーザー光に対して高感度の感光体が得られ、またモノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料を用いた場合には、白色光、又は660nm近辺の波長を有するレーザー光、もしくは比較的短波長のレーザー光、例えば450nm、400nm近辺の波長を有するレーザーに対して十分な感度を有する感光体を得ることができる。
電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。フタロシアニン顔料は、比較的長波長のレーザー光に対して高感度の感光体が得られる点で、また、アゾ顔料は、白色光及び比較的短波長のレーザー光に対し十分な感度を持つ点で、それぞれ優れている。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシドなどの配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類などが使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
また、これらフタロシアニンの中でも、A型(別称β型)、B型(別称α型)、及び粉末X線回折の回折角2θ(±0.2゜)が27.1゜、もしくは27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とするD型(Y型)チタニルフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型及び28.1゜に最も強いピークを有すること、また26.2゜にピークを持たず28.1゜に明瞭なピークを有し、かつ25.9゜の半値幅Wが0.1゜≦W≦0.4゜であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等が特に好ましい。これらの中でも、D型(Y型)チタニルフタロシアニンが良好な感度を示すため好ましい。
フタロシアニン化合物は単一の化合物のものを用いてもよいし、幾つかの混合又は混晶状態のものを用いてもよい。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態に置ける混合状態としては、それぞれの構成要素を後から混合したものを用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じさせたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報記載のように
、2種類の結晶を混合後に機械的に磨砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。
電荷発生物質としてアゾ顔料を使用する場合には、各種ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が好適に用いられる。
電荷発生物質として有機顔料を用いる場合には、1種を単独で用いてもよいが、2種類以上の顔料を混合して用いてもよい。この場合、可視域と近赤域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の電荷発生物質を組み合わせて用いることが好ましく、中でもジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料とフタロシアニン顔料とを組み合わせて用いることがより好ましい。
電荷発生層に用いるバインダー樹脂は特に制限されないが、例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーなどが挙げられる。これらのバインダ樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせで混合して用いてもよい。
電荷発生層において、バインダー樹脂と電荷発生物質との配合比(質量)は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常10質量部以上、好ましくは30質量部以上、また、通常1000質量部以下、好ましくは500質量部以下の範囲である。
[電荷輸送層]
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有するとともに、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。電荷輸送層は、単一の層から成ってもよいし、構成成分あるいは組成比の異なる複数の層を重ねたものでもよい。その膜厚は、通常、5μm〜50μm、好ましくは10μm〜45μmである。
電荷輸送物質としては特に限定されず、任意の物質を用いることが可能である。電荷輸送物質の例としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。これらの電荷輸送物質は単独で用いてもよいし、いくつかを混合してもよい。電荷輸送物質の好適な構造の具体例を以下に示す。
Figure 2016133795
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前記ポリエステル樹脂は、電荷輸送層のバインダー樹脂として用いられることが好ましい。前記バインダー樹脂は、前記ポリエステル樹脂とその他の構造を有する樹脂を混合してもよく、他の樹脂としては、前記感光層において混合される他の構造を有する樹脂に記載したものが挙げられる。
前記ポリエステル樹脂と電荷輸送物質との割合は、通常、バインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送物質を30質量部以上、電気特性の観点から、40質量部以上が好ましい。また、通常200質量部以下、耐摩耗性の観点から150質量部以下が好ましい。感光層中のバインダー樹脂全体と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送物質を20質量部以上の比率で使用する。中でも、残留電位低減の観点から30質量部以上が好ましく、繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から40質量部以上がより好ましい。一方、感光層の熱安定性の観点から、電荷輸送物質を通常は150質量部以下の比率で使用する。中でも、電荷輸送材料とバインダー樹脂との相溶性の観点から100質量部以下が好ましい。
尚、電荷輸送層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、染料、顔料、レベリング剤等の添加剤を含有させてもよい。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物等が挙げられる。
<3−3−2.単層型感光層>
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質及びバインダー樹脂の種類並びにこれらの使用比率は、積層型感光体の電荷輸送層について説明したものと同様である。これらの電荷輸送物質及びバインダー樹脂からなる電荷輸送媒体中に、さらに電荷発生物質が分散される。
電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を充分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
単層型感光層内に分散される電荷発生物質の量は、少な過ぎると充分な感度が得られない一方で、多過ぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害があることから、単層型感光層全体に対して通常0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常50質量%
以下、好ましくは20質量%以下の範囲で使用される。
また、単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、また、通常30質量部以下、好ましくは10質量部以下である。
単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲である。この場合にも成膜性、可とう性、機械的強度等を改良するための公知の可塑剤、残留電位を抑制するための添加剤、分散安定性向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤、界面活性剤、例えばシリコ−ンオイル、フッ素系オイルその他の添加剤が添加されていてもよい。
<3−4.その他の機能層>
積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などの添加物を含有させてもよい。また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレン樹脂等、又はこれらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を、表面層に含有させてもよい。或いは、これらの樹脂や粒子を含む層を新たに表面層として形成してもよい。さらに必要に応じて、バリアー層、接着層、ブロッキング層等の中間層、透明絶縁層など、電気特性、機械特性の改良のための層を有していてもよい。
<3−5.各層の形成方法>
これらの感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
塗布液の作製に用いられる溶媒又は分散媒に特に制限は無いが、具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。これらの溶剤の中で、環境配慮の観点から非ハロゲン系溶剤が好ましく、溶解性の観点から、トルエン、キシレン、アニソール、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンが特に好ましい。これらは何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。
溶媒又は分散媒の使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
例えば、単層型感光体、及び機能分離型感光体の電荷輸送層層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5質量%以上、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を通常10cps以上、好ましくは50cps以上、また、通常500cps以下、好ましくは
400cps以下の範囲とする。
また、積層型感光体の電荷発生層の場合には、塗布液の固形分濃度は、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度は、通常0.01cps以上、好ましくは0.1cps以上、また、通常20cps以下、好ましくは10cps以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行なってもよい。
<4.画像形成装置>
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置2,露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5,クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。帯電装置としては、コロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電装置(接触型帯電装置)帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。直接帯電手段の例としては、帯電ローラ、帯電ブラシ等の接触帯電器などが挙げられる。なお、図1では、帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示している。直接帯電手段として、気中放電を伴う帯電、あるいは気中放電を伴わない注入帯電いずれも可能である。また、帯電時に印可する電圧としては、直流電圧だけの場合、及び直流に交流を重畳させて用いることもできる。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LEDなどが挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光などで露光を行なえばよい。これらの中で380〜500nmの短波長光を用いると解像度が高くなり好ましい。中でも405nmの単色光が好適である。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分絶縁トナー現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や、湿式現像方式などの任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ
42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラ,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなど、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。但し、感光体表面に残留するトナーが少ないか、殆ど無い場合には、クリーニング装置6は無くても構わない。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としてもよい。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり
、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。この場合、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
以下に、本発明の具体的態様を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
[ポリエステル樹脂の製造]
製造例1(ポリエステル樹脂(1)の製造法)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(8.32g)とH2O(383ml)を秤取り
、攪拌しながら溶解させた。そこに、2,3,5−トリメチルフェノール(0.57g)、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン(20.47g)(以下、BP1)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.23g)の順に添加、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。別途、ジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボニルクロリド(17.94g)(以下、DC1)、4,4‘-ジフェ
ニルジカルボニルクロリド(7.27g)(以下、DC2)とジクロロメタン(215mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(286mL)を加え、撹拌を9時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(380mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(380mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層に塩化メチレン500mlを加えて希釈し、メタノール(4000ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(1)を得た。得られたポリエステル樹脂(1)の粘度平均分子量は46,600であった。得られたポリエステル樹脂(1)の構造式を以下に示す。
Figure 2016133795
[粘度平均分子量の測定]
ポリエステル樹脂をジクロロメタンに溶解し濃度Cが6.00g/Lの溶液を調製した。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計
を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定した。以下の式に従って粘度平均分子量(Mv)を算出した。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
製造例2(ポリエステル樹脂(2)の製造法)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(4.19g)とH2O(188ml)を秤取り
、攪拌しながら溶解させた。そこに、2,3,5−トリメチルフェノール(0.26g)、BP1(10.33g)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.11g)の順に添加、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。別途、DC1(6.48g)、DC2(6.16g)とジクロロメタン(107mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(143mL)を加え、撹拌を9時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(188mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(188mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層に塩化メチレン200mlを加えて希釈し、メタノール(1800ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(2)を得た。得られたポリエステル樹脂(2)の粘度平均分子量は46,000であった。得られたポリエステル樹脂(2)の構造式を以下に示す。
Figure 2016133795
製造例3(ポリエステル樹脂(3)の製造法)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(4.04g)とH2O(190ml)を秤取
り、攪拌しながら溶解させた。そこに、2,3,5−トリメチルフェノール(0.28g)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(10.52g)(以下、BP2)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.11g)の順に添加、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
別途、DC1(8.71g)、DC2(3.53g)とジクロロメタン(107mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(143mL)を加え、撹拌を9時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(188mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(188mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層に塩化メチレン200mlを加えて希釈し、メタノール(1800ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(3)を得た。得られたポリエステル樹脂(3)の粘度平均分子量は40,600であった。得
られたポリエステル樹脂(3)の構造式を以下に示す。
Figure 2016133795
製造例4(ポリエステル樹脂(4)の製造法)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(4.22g)とH2O(202ml)を秤取
り、攪拌しながら溶解させた。そこに、2,3,5−トリメチルフェノール(0.29g)、BP1(10.38g)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.11g)の順に添加、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。別途、DC1(3.90g)、DC2(8.60g)とジクロロメタン(188mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(85mL)を加え、撹拌を9時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(205mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(205mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層に塩化メチレン210mlを加えて希釈し、メタノール(2000ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(4)を得た。得られたポリエステル樹脂(4)の粘度平均分子量は52,000であった。得られたポリエステル樹脂(4)の構造式を以下に示す。
Figure 2016133795
製造例5(ポリエステル樹脂(5)の製造法)
製造例4において、DC1(3.90g)、DC2(8.60g)をDC2(12.42g)に変更した。それ以外は、製造例4と同様にして、ポリエステル樹脂(5)を得た。得られたポリエステル樹脂(5)の粘度平均分子量は55,600であった。得られたポリエステル樹脂(5)の構造式を以下に示す。
Figure 2016133795
製造例6(ポリエステル樹脂(6)の製造法)
特開2006−53549号公報の実施例6に記載の方法により下記に示す構造を有するポリエステル樹脂(6)(粘度平均分子量36,200)を製造した。
Figure 2016133795
製造例7(ポリエステル樹脂(7)の製造法)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(5.71g)とH2O(235ml)を秤取
り、攪拌しながら溶解させた。そこに、2,3,5−トリメチルフェノール(0.36g)、BP1(14.08g)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.15g)の順に添加、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。別途、DC1(8.80g)、テレフタル酸クロリド(3.03g)(以下、DC3)、イソフタル酸クロリド(3.03g)(以下、DC4)とジクロロメタン(118mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(195mL)を加え、撹拌を9時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(235mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(235mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層に塩化メチレン300mlを加えて希釈し、メタノール(2400ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(7)を得た。得られたポリエステル樹脂(7)の粘度平均分子量は41,100であった。得られたポリエステル樹脂(7)の構造式を以下に示す。
Figure 2016133795
製造例8(ポリエステル樹脂(8)の製造法)
製造例7において、DC1をDC2同当量に変更した。それ以外は、製造例7と同様にして、ポリエステル樹脂(8)を得た。得られたポリエステル樹脂(8)の粘度平均分子量は52,100であった。得られたポリエステル樹脂(8)の構造式を以下に示す。
Figure 2016133795
<感光体シートの作製>
[実施例1]
10質量部のオキシチタニウムフタロシアニンと、150質量部の4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンとを混合し、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い顔料分散液を製造した。尚、オキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)9.3゜、10.6゜、13.2゜、15.1゜、15.7゜、16.1゜、20.8゜、23.3゜、26.3゜、27.1゜に強い回折ピークを示す。
この顔料分散液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業株式会社製、商品名デンカブチラール♯6000C)の5質量%1,2−ジメトキシエタン溶液を50質量部、フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド株式会社製、商品名PKHH)の5質量%1,2−ジメトキシエタン溶液を50質量部混合し、更に、適量の1,2−ジメトキシエタンを加え、固形分濃度4.0%の電荷発生層形成用塗布液を調製した。この電荷発生層形成用塗布液を、表面にアルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートシート上に、乾燥後の膜厚が0.4μmになるように塗布、乾燥して電荷発生層を設けた。
次に、電荷輸送物質として、下記に示す構造を主成分とする、幾何異性体の化合物群からなる、特開2002−080432号公報の実施例1に記載の方法で製造した混合物(CTM−1)を50質量部、製造例1で製造したポリエステル樹脂(1)を100質量部、酸化防止剤(イルガノックス1076)8質量部、レベリング剤としてシリコーンオイル0.05質量部を、テトラヒドロフランとトルエンとの混合溶媒(テトラヒドロフラン80質量%、トルエン20質量%)640質量部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
Figure 2016133795
この電荷輸送層形成用塗布液を上述の電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、125℃で20分間乾燥して電荷輸送層を形成し
て、感光体シートを作製した。
[実施例2]
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(2)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[実施例3]
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(3)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[実施例4]
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(4)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[比較例1]
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(5)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[比較例2]
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(6)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[比較例3]
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(7)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[比較例4]
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(8)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[電気特性評価]
電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404−405頁記載)を使用し、上記感光体をアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体のアルミニウム基体との導通を取った上で、ドラムを一定回転数で回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行った。その際、初期表面電位を−700Vとし、露光は780nm、除電は660nmの単色光を用い、露光光を4.6μJ/cm2照射した時点の表面電位(VL)を測定した。VL測定に際しては、露光から電位測定に要する時間を139msとした。また、表面電位が初期表面電位の半分(−350V)となる時の照射エネルギー(半減露光エネルギー:μJ/cm2)を感度(E1/2)として
測定した。VLの値の絶対値が小さいほど電気特性が良好であることを示し、E1/2の値が小さいほど高感度であることを示す。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%下(N/N)で行った。結果を表−1に示す。
[摩耗試験]
感光体フィルムを直径10cmの円状に切断しテーバー摩耗試験機(東洋精機社製)により、摩耗評価を行った。試験条件は、25℃、50%RHの雰囲気下、摩耗輪CS−10Fを用いて、荷重1500gで1000回回転後の摩耗量を試験前後の質量を比較することにより測定した。結果を表−1に示す。
Figure 2016133795
<感光体ドラムの作製>
[実施例5]
下引き層用分散液は以下のように作製した。平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールのボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表される化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表される化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表される化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表される化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表される化合物]の組成モル比率が、75%/9.5%/3%/9.5%/3%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混
合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行うことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの質量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを質量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層分散液とした。
Figure 2016133795
電荷発生層形成用塗布液は以下のように作製した。電荷発生物質として、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示す、Y型(別称D型)オキシチタニウムフタロシアニン20部と1,2−ジメトキシエタン280部とを混合し、サンドグラインドミルで1時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いてこの微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10部を、1,2−ジメトキシエタンの255部と4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの85部との混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して電荷発生層形成用塗布液βを調製した。
電荷輸送層用塗布液は以下のように作製した。前記電荷輸送物質(CTM−1)を主成分とする異性体混合物よりなる電荷輸送物質75質量部と、製造例1で製造したポリエステル樹脂(1)を100質量部、酸化防止剤(イルガノックス1076)4質量部、シリコーンオイル(信越化学株式会社製、商品名KF96)0.05質量部をテトラヒドロフラン/トルエン混合溶媒(テトラヒドロフラン80質量%、トルエン20質量%)640質量部に混合し、電荷輸送層用塗布液を調液した。
続いて、表面が粗切削された外径30mm、長さ248mm、肉厚0.75mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーを、陽極酸化処理を行い、その後酢酸ニッケルを主成分とする封孔剤によって封孔処理を行うことにより、約6μmの陽極酸化被膜(アルマイト被膜)を形成した。得られたシリンダーに、前記のように得られた下引き層形成用塗布液、電荷発生層形成用塗布液、電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法により順次塗布、乾燥し、乾燥後の膜厚がそれぞれ、1.5μm、0.4μm、32μmとなるように、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、感光体ドラムを製造した。なお、電荷輸送層の乾燥は、125℃で24分間行ない、感光体ドラムD1を作製した。
<画像試験>
得られた感光体を、Samsung社製モノクロプリンタSCX−6555Nの感光体カートリッジに搭載して、気温25℃、相対湿度50%下において、印字率5%で、300,000枚の連続印刷を行った。耐刷後の電荷輸送層の膜厚を測定し、耐刷前後の電荷輸送層の膜厚比較することにより膜減り量を確認し、耐刷性を評価した。結果を表−2に
示す。
<電子写真感光体の評価>
得られた電子写真感光体を、電子写真学会標準に従って作製された電子写真特性評価装置(「続電子写真技術の基礎と応用」、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、以下の手順に従って帯電、露光、電位測定、除電のサイクルを実施することにより、電気特性の評価を行なった。
温度25℃、湿度50%の条件下、感光体の初期表面電位が−800Vになるように帯電後、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光とした光を1.0μJ/cm2の照射エネルギーで露光し、露光して97msec後に測定した表面電位(VL)を残留電位とした。結果を表−2に示す。
[比較例5]
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(5)に変えた以外は実施例5と同様にして、感光体ドラムD2を作製した。
Figure 2016133795
表−1及び表−2に示す結果から、本発明範囲内にあるポリエステル樹脂は非ハロゲン溶剤においても十分な溶解性を示し、また、提供される感光体は、電気特性、耐摩耗性及び密着性が良好であることが明らかとした。
1 感光体
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙

Claims (7)

  1. 導電性支持体と、前記導電性支持体上に形成された感光層とを有し、前記感光層は、下記式(1)で表される2価カルボン酸残基、下記式(2)で表される2価カルボン酸残基、及び下記式(3)で表される2価フェノール残基の繰り返し構造を有するポリエステル樹脂を含有し、前記ポリエステル樹脂の下記式(1)及び下記式(2)で表される2価のカルボン酸残基量が全カルボン酸残基に対して70モル%以上であり、且つ式(1)で表される2価のカルボン酸残基の含有量が、モル比率で0.3≦(1)/((1)+(2))≦0.9を満たすことを特徴とする、電子写真感光体。
    Figure 2016133795
    (式(1)中、R、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、又はベンジル基を示し、n、mは、0〜4の整数を示す。)
    Figure 2016133795
    (式(2)中、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、又はベンジル基を示し、p、qは、0〜4の整数を示す。)
    Figure 2016133795
    (式(3)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、ベンジル基、又はアリール基、X1は単結合、アルキレン基、−CR10−、酸素原子、又は硫黄原子を示す。R
    、R10はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、又はRとR10が互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成する基を示す。)
  2. 前記ポリエステル樹脂において、式(1)で表される2価のカルボン酸残基の含有量が、モル比率で0.5≦(1)/((1)+(2))≦0.8を満たす、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記ポリエステル樹脂において、前記式(1)で表される2価のカルボン酸残基が、下記式(4)で表されるジカルボン酸及び式(2)で表される2価のカルボン酸残基が下記式(5)で表されるジカルボン酸である、請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体

    Figure 2016133795
  4. 前記ポリエステル樹脂において、前記式(3)で表される2価フェノール残基が下記式(6)で表される2価フェノール残基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
    Figure 2016133795
    (式(6)中、Xは単結合、アルキレン基、又は−CR1112−を示す。R11,R12はそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
  5. 非ハロゲン溶媒を含む塗布液を用いて前記感光層が形成されたものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置、を備えたことを特徴とする画像形成装置
  7. 2価カルボン酸残基及び2価フェノール残基の繰り返し構造を有するポリエステル樹脂において、下記式(1)で表される2価カルボン酸残基、下記式(2)で表される2価カルボン酸残基、及び下記式(3)で表される2価フェノール残基の繰り返し構造を有し、下記式(1)及び下記式(2)で表される2価のカルボン酸残基量が全カルボン酸残基に対して70モル%以上であり、且つ式(1)で表される2価のカルボン酸残基の含有量が、モル比率で0.3≦(1)/((1)+(2))≦0.9を満たすことを特徴とする、ポリエステル樹脂。
    Figure 2016133795
    (式(1)中、R、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜
    10のアルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、又はベンジル基を示し、n、mは、0〜4の整数を示す。)
    Figure 2016133795
    (式(2)中、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、又はベンジル基を示し、p、qは、0〜4の整数を示す。)
    Figure 2016133795
    (式(3)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、ベンジル基、又はアリール基、X1は単結合、アルキレン基、−CR10−、酸素原子、又は硫黄原子を示す。R
    、R10はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、又はRとR10が互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成する基を示す。)
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