JP2008031347A - 被膜形成用樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐摩耗性に優れることに加えて、被膜としてコンデンサや電子写真感光体などの電子部品に適用すれば、長期間の使用においても金属の腐食が抑制され、優れた電気特性を維持することができる被膜形成用樹脂を提供する。
【解決手段】ビフェニル、ジフェニルエーテルまたはシクロヘキサン環の残基を有する二価カルボン酸の残基と二価フェノールの残基とから構成されるポリエステルを主成分とする被膜形成用樹脂であって、遊離の二価カルボン酸を0.01〜300ppm含有していることを特徴とする被膜形成用樹脂。
【選択図】なし

Description

本発明は、腐食性が低く、カルボキシル酸価の変動が小さく、電気特性に優れた被膜形成用樹脂に関する。
二価フェノール残基を構成中に含むポリエステル樹脂は、その芳香環のために耐熱性に優れ、二価フェノールの残基とテレフタル酸およびイソフタル酸の残基とからなる非晶性ポリエステル(以下、「フタル酸ポリエステル」と略称する。)や、二価フェノール残基とホスゲン残基とからなるポリカーボネートは、エンジニアリングプラスチックとして知られている。
フタル酸ポリエステルは、耐熱性や機械的強度が高く、寸法安定性や透明性に優れていることから、その成形品は電気・電子、自動車、機械などの分野に幅広く応用されている。特に絶縁性、誘電特性等の電気的特性や、可視光線領域での透明性に優れていることから、コンデンサ用フィルム等の電子部品、液晶表示装置の各種フィルム、被膜を形成するためにコーティング樹脂といった用途への応用がおこなわれている(特許文献1、2など)。
また、フタル酸ポリエステルやポリカーボネートを電子写真感光体のバインダー用樹脂に適用する検討も、以前からおこなわれていた。(特許文献3〜5など)
また、近年ではジフェニルエーテルジカルボン酸残基やジフェニルジカルボン酸残基から構成されるポリエステルが知られている(特許文献6、7など)。これらの構造を有するポリエステルは、電子写真感光体に適用した場合、耐摩耗性、溶解性、電気応答性に優れることが示されている。
特開2004−277642号公報 特開2003−292756号公報 特開2005−92064号公報 特開平10−20517号公報 特開平8−278641号公報 特許第3785019号公報 特開2006−53549号公報
ビフェニル、ジフェニルエーテル、シクロヘキサン環等の構造を有する二価カルボン酸残基からなるポリエステル樹脂は、コンデンサや電子写真感光体などの電子材料の用途へ適用すると、フタル酸残基よりなるポリエステル樹脂に比べて、長期間使用していると、このポリエステル樹脂周辺の金属部分が腐食しやすいという問題があった。金属部分が腐食すると、誘電率などの電気特性の変動や微細形状の変形などの問題点が生じ、電子部品の寿命が短くなる。
また、別の問題として、樹脂のカルボキシル酸価が使用環境中で変動しやすいといった問題点もあった。カルボキシル酸価が変動すると、例えばコンデンサに適用したときには誘電率や誘電損失などが変動したり、電子写真感光体に適用したときには残留電位や帯電能などが変動したりすることがあった。そのため、これらポリエステルを、主にコンデンサや電子写真感光体など電子部品の被膜形成用樹脂として、工業的に実施するには課題があった。
これらポリエステル樹脂は、一般には溶液系の製造工程で得られ、また、電子部品として加工される際も溶剤に溶解し塗布する工程を経ることが多い。
本発明者らは、このような工程において、フタル酸ポリエステルの場合には、構成成分であるフタル酸が樹脂溶液中に残存する量は極僅かであるのに対し、特定構造の二価カルボン酸の残基を構造中に有するポリエステル中には遊離の二価カルボン酸が残存しやすいことを見出し、さらに、二価カルボン酸の含有量を一定量の範囲に制御すると、カルボキシル酸価の絶対量には大きく影響しないが、樹脂のカルボキシル酸価が変動しにくく、コンデンサや電子写真感光体に適用したときに電気特性を安定化することができることを見出した。
すなわち、本発明の要旨は、次の<1>〜<7>の通りである。
<1> 下記式(I)を有する二価カルボン酸の残基と二価フェノールの残基とから構成されるポリエステルを主成分とする被膜形成用樹脂であって、遊離の二価カルボン酸を0.01〜300ppm含有していることを特徴とする被膜形成用樹脂。
(式(I)中、Rはビフェニル、ジフェニルエーテル、シクロヘキサン環から選ばれる二価の残基であり、アルキル基、ハロゲン基から選ばれる置換基を有していても構わない。)
<2> 式(I)で示される二価カルボン酸が、下記式(II)〜(IV)から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする<1>記載の被膜形成用樹脂。
<3> 式(II)で示される二価カルボン酸が、4,4’−ビフェニルジカルボン酸である<2>記載の被膜形成用樹脂。
<4> 式(III)で示される二価カルボン酸が、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸である<2>記載の被膜形成用樹脂。
<5> 式(IV)で示される二価カルボン酸が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である請求項2記載の被膜形成用樹脂。
<6> 二価フェノールが、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタンおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンからなる群から選ばれる1種以上の二価フェノールであることを特徴とする<1>〜<5>記載の被膜形成用樹脂。
<7> <1>〜<6>いずれか記載の被膜形成用樹脂からなる樹脂被膜。
本発明の被膜形成用樹脂は、耐摩耗性に優れることに加えて、腐食性が少なく、カルボキシル酸価の変動が少ない。そのため、被膜としてコンデンサや電子写真感光体などの電子部品に適用すれば、長期間の使用においても金属の腐食が抑制され、優れた電気特性を維持することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の被膜形成用樹脂は、下記式(I)を有する二価カルボン酸の残基と二価フェノールの残基とから構成されるポリエステルを主成分とする。
式(I)中、Rはビフェニル、ジフェニルエーテル、シクロヘキサン環から選ばれる二価の残基であり、アルキル基、ハロゲン基から選ばれる置換基を有していても構わない。式(I)で示される二価カルボン酸は1種だけ用いても、2種以上併用してもよい。
式(I)で示される二価カルボン酸の具体例としては、Rがビフェニルのものとしては、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルジカルボン酸、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジフェニルジカルボン酸のほか、耐摩耗性の理由から好ましいものとして下記式(II)で表される4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,4−ジフェニルジカルボン酸、ジフェン酸等が挙げられ、4,4’−ジフェニルジカルボン酸が特に好ましい。Rがジフェニルエーテルのものとしては、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸のほか、耐摩耗性の理由から好ましいものとして下記式(III)で表される4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、2,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等が挙げられ、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸が特に好ましい。Rがシクロヘキサン環のものとしては、4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸、5-メチルシクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸、4-メトキシシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸、5-メトキシシクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸のほか、耐摩耗性の理由から好ましいものとして、下記式(IV)で表される1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられ、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が特に好ましい。
なお、本発明の被膜形成用樹脂に用いるポリエステルには、式(I)で示される二価カルボン酸以外の二価カルボン酸の残基が本発明の効果を損なわない範囲で共重合されていてもよく、通常、式(I)で示される二価カルボン酸以外の二価カルボン酸の使用量は、本発明のポリエステルの二価カルボン酸残基単位中、30モル%以下である。
式(I)で示される二価カルボン酸以外の二価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸等が挙げられる。
本発明のポリエステルを構成する二価フェノール残基を与える二価フェノールは、例えば下記一般式(V)のように表される二価フェノールが挙げられる。二価フェノールは1種だけ用いても、2種以上を併用してもよい。
式(V)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜5の炭化水素基、塩素原子又はフッ素原子を表し、p及びqはそれぞれ独立して0〜4の整数を表す。W1は単結合、酸素原子、硫黄原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、枝分かれ状若しくは環状の炭化水素基であってベンゼン環を含んでいてもよい基からなる群より選ばれたものを表す。
また、本発明のポリエステルを構成する二価フェノール残基を与えるニ価フェノールの具体例としては、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−メチル−2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−ビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビスフェノールフルオレン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、4,4’−[1,4−フェニレン−ビス(2−プロピリデン)−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)]、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、2,4’−メチレンビスフェノール、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、テルペンジフェノール、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジsec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチルフェニル)エタン、ビス(3−ノニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチル−6−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス(3ーフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−(p−フルオロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(p−フルオロフェニル)メタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ニトロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラtert−ブチル−4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラフルオロ−4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチルフェニル)エタン、イサチンビスフェノール、イサチンビスクレゾール、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−ビフェノール、ビス(2ーヒドロキシフェニル)メタン、2,4’−メチレンビスフェノール、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2ーヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、1,2−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチルフェニル)メタン、2,2−ビス(3−スチリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(p−ニトロフェニル)エタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’,5,5’−テトラtert−ブチル−2,2’−ビフェノール、2,2’−ジアリル−4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5,5−テトラメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,4−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−エチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロペンタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9、9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、2,4−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどが挙げられる。
上記の二価フェノールの中でも、耐摩耗性に優れている点から、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールC〕、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔TMビスフェノールA〕、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン〔TMビスフェノールF〕、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン〔ビスフェノールZ〕が好ましい。ここで、〔〕カッコ内は各二価フェノールの略称を示している。
本発明の被膜形成用樹脂には、遊離の二価カルボン酸が0.01〜300ppmの範囲で含まれている。遊離の二価カルボン酸量は、100ppm以下であることが好ましく、30ppm以下であることがより好ましい。遊離の二価カルボン酸を300ppmを超えて含有する場合、腐食が起こりやすくなったり、カルボキシル酸価変動の抑制効果が十分ではなくなったり、また被膜にしたときに異物となる場合がある。また、遊離の二価カルボン酸量は0.05ppm以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.1ppm以上である。二価カルボン酸の含有量が0.01ppm未満の場合、酸価変動の抑制効果が十分ではない。遊離の二価カルボン酸量は、後述のHPLC法により測定することができる。
被膜形成用樹脂中の遊離の二価カルボン酸量は、後述するような、樹脂の貧溶媒への析出処理や、樹脂への二価カルボン酸の添加により制御することができる。また、遊離の二価カルボン酸の種類としては、被膜形成用樹脂の主成分であるポリエステルを構成する二価カルボン酸成分と同一種類の二価カルボン酸でもよいし、異なっていてもよい。遊離の二価カルボン酸が、ポリエステルを構成する二価カルボン酸成分と異なる種類の二価カルボン酸である場合には、前記式(I)で表される二価カルボン酸から選ばれることが好ましく、より好ましくは式(III)〜(V)で表される二価カルボン酸から選ばれるたものであり、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸が最も好ましい。
なお、本発明において、被膜形成用樹脂に含有される遊離の二価フェノールについては、その量は特に限定されないが、5000ppm以下が望ましく、500ppm以下が更に望ましく、100ppm以下がさらに望ましい。5000ppmを超えると使用する溶媒によっては異物が生じる場合がある。
本発明の樹脂の分子量は、固有粘度(1,1,2,2−テトラクロロエタン中、25℃で測定)を指標として表すことができ、0.60〜2.5dl/gが好ましく、より好ましくは0.80〜2.0dl/gである。固有粘度が0.60dl/g未満では、樹脂の耐摩耗性が不足する場合や、塗工液としたときの溶液粘度が低すぎて塗工が困難になったり、その結果として塗工した被膜の電気的特性が低下する場合がある。一方、固有粘度が2.5dl/gより高いと、塗工液として用いるときに、曳糸性が生じたり、粘度が上昇して取扱いが困難になる傾向がある。樹脂の分子量は、製造に際して、後述する末端封止剤の添加量によって制御することができる。
樹脂のカルボキシル酸価は、30当量/t以下とすることが好ましく、より好ましくは25当量/t以下であり、最適には20当量/t以下である。カルボキシル酸価が30当量/tを超えると、樹脂の絶縁破壊電圧、耐アーク性や誘電率等の電気的特性が悪化する傾向があり、さらに、樹脂を溶媒に溶解して塗工液としたときの保存安定性が低下する傾向がある。塗工液の保存安定性が低下すると、時間の経過とともに、白濁したり沈澱、不溶物が生じたり、増粘してゲル化したりして、その結果として均一な被膜が形成できなくなり、被膜の機械特性や電気的特性が低下する場合がある。
本発明の樹脂を製造する方法としては、界面重合法、溶液重合法などが挙げられるが、界面重合法によって製造することが最も好ましい。界面重合法とは、水と相溶しない有機溶剤に溶解させた二価カルボン酸ハライドと、アルカリ水溶液に溶解させた二価フェノールとを混合することによってポリエステルを得る重合方法である。界面重合法に関する文献として、W.M.EARECKSON J.Poly.Sci.XL399 1959年や、特公昭40−1959号公報などが挙げられる。界面重合法は溶液重合法と比較すると、反応が速いため、酸ハライドの加水分解を抑えることができ、結果として高分子量の樹脂を得ることができる。
界面重合法についてさらに詳細に例示する。まず、水相として、二価フェノールのアルカリ水溶液を調製し、続いて、重合触媒を添加する。一方、有機相として、水と相溶せず樹脂を溶解する溶媒に二価カルボン酸のハライドを溶解させ、この溶液を先のアルカリ溶液に混合した後、好ましくは50℃以下の温度で1時間〜8時間撹拌しながら重合反応をおこなうことによって所望の樹脂溶液を得ることができる。
界面重合において二価フェノール水溶液を調製する際に用いられるアルカリとしては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどが挙げられる。
本発明の樹脂の末端は、一価フェノール、一価酸クロライド、一価アルコール、一価カルボン酸などで封止されていてもよい。そのような末端封止剤として用いられる一価フェノールとしては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2−フェニルー2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(「p−(α−クミル)フェノール)」と記すことがある。)2−フェニルー2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−フェニルー2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられ、一価酸クロライドとしては、ベンゾイルクロライド、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメートなどが挙げられ、一価アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールなどが挙げられ、一価カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酢酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−メトキシフェニル酢酸などが挙げられる。
界面重合の重合触媒としては、トリブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムハライドなどの第四級アンモニウム塩や、トリブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラブチルホスホニウムハライド、トリメチルベンジルホスホニウムハライド、トリエチルベンジルホスホニウムハライドなどの第四級ホスホニウム塩が挙げられるが、中でも、重合を促進しやすく、樹脂中に含有する二価カルボン酸量を300ppm以下にしやすい点で、トリブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド、トリブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラブチルホスホニウムハライドが好ましい。
界面重合における有機相の溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族系炭化水素、テトラヒドロフランなどを用いることができる。
重合後に得られた樹脂溶液に酢酸を添加し、重合を終了したあと、樹脂溶液を水で繰返し攪拌・洗浄し、樹脂溶液に含まれるナトリウムやカリウム、および重合触媒などのイオン性成分を除去する。洗浄に使用する水は、酸性であっても、塩基性であっても構わないが、洗浄廃液水が、中性になるまで繰返し洗浄する必要がある。
得られた樹脂溶液を、貧溶媒に滴下することにより、固形分としての樹脂が析出する。樹脂溶液の固形分濃度は3質量%以下が好ましい。また、貧溶媒の体積は樹脂溶液の体積の3倍以上が好ましい。貧溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、アセトニトリル、ヘキサンなどが挙げられる。
樹脂溶液を貧溶媒へ添加することにより、樹脂に含有される遊離の二価カルボン酸量を低減させることができる。二価カルボン酸の含有量を低減するためには、特に、貧溶媒へ析出処理をした後の貧溶媒への浸漬時間を1分以上とすることが好ましい。また、重合触媒として、重合活性の比較的低いトリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムハライドなどを用いたときは、浸漬時間を3分以上とすることが特に好ましい。3分未満で取り出したときは、樹脂からの二価カルボン酸除去が不十分である場合がある。遊離の二価カルボン酸量を減少させるためには、得られた樹脂を再び溶媒に溶解し、貧溶媒へ添加して析出をおこなう上記操作を繰り返してもよい。
樹脂溶液の濃度を下げたとき、貧溶媒量を増やしたとき、貧溶媒への浸漬時間を長くしたとき、あるいは析出処理を繰り返した場合などは、樹脂に含有される遊離の二価カルボン酸量が0.01ppmを下回ることがあるので、析出の都度、得られた樹脂に含まれる二価カルボン酸量を確認することが好ましい。
なお、樹脂中の遊離の二価カルボン酸量の制御方法としては、貧溶媒への析出条件を適宜選択する他に、含有する二価カルボン酸量の少ない樹脂に対して二価カルボン酸を後添加するといった方法なども挙げられる。
上記のようにして得られた樹脂は、汎用溶媒に対して高い溶解性を有しているので、溶媒に溶解させて、容易に本発明の塗工液とすることができる。塗工液とするときに用いる溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、o−、m−,p−ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族系炭化水素、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられ、これらの溶媒を単独で、もしくは混合溶媒として用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例における各評価は次のようにして行った。
(1)樹脂中の遊離の二価カルボン酸量、二価フェノール量:
20gの樹脂に、アセトニトリル500mLを加えて、還流条件下ソックスレー抽出を24時間おこない、アセトニトリル中に二価フェノールあるいは二価カルボン酸を抽出した。この溶液を回収し、エバポレーターで30mLに濃縮した後に、孔径0.45μmのディスクフィルタを用いて不溶物と濾別して、試料溶液とした。さらに、エバポレーターで5mL以下になるまで濃縮し、さらに濾別し、この溶液から、アジレント社製HPLCを用いて、樹脂中に含有される遊離の二価カルボン酸または二価フェノールの同定と定量を行い、二価カルボン酸、二価フェノールのぞれぞれの合計量を算出した。
HPLCの測定条件は次の通りである:カラムとしてWaters Polarity dC18(充填シリカゲル粒径5μm、ステンレスチューブ内径4.6mm、長さ150mm)を用い、溶離液として、アセトニトリルと0.05容量%トリフルオロ酢酸水溶液との混合溶液(体積比50:50)を用いた。流量0.5mL、測定温度40℃とし、210nmの波長を用いて検出した。検出限界は0.003ppmであった。
(2)腐食性:
樹脂10質量部に対し、ジクロロメタンを90質量部加え、25℃で攪拌溶解することにより、濃度10質量%の樹脂溶液を得た。次に、この樹脂溶液を基材としての軟アルミ箔基板(住軽アルミ箔社、厚み80μm)にコーティングした。予め基材表面をアセトンで脱脂した上で、安田精機社製フィルム製膜機542−ABにセットし、ベーカー式アプリケーターで溶液を基材表面に塗布した。この際、温度15℃、湿度30%RHに保たれたクリーンルーム内で作業を行った。塗布した溶液を室温にて30分間風乾し、150℃、0.1Torrにて1週間乾燥を行い、基材上に厚さが約10μmの透明な乾燥被膜を形成させた。
上述のようにして作製した被膜付き金属板について、80℃、相対湿度85%の条件下で、5000時間静置したときの、単位面積当たりの金属板の腐食面積の割合〔%〕を測定した。腐食のないものを合格とした。
(3)カルボキシル酸価:
試験管に樹脂0.15gを精秤し、ベンジルアルコール5mlを加えて加熱溶解した。これにクロロホルム10mlを混合した後、フェノールレッドを指示薬として加え、撹拌しながら0.1N−KOHベンジルアルコール溶液で中和滴定を行なってカルボキシル酸価を求めた。
(4)カルボキシル酸価変動割合:
樹脂を165℃で70時間、0.1Torrの減圧下で熱処理した後のカルボキシル酸価の変化を下記式から求めた。
(酸価変動割合)=(熱処理後のカルボキシル酸価−熱処理前のカルボキシル酸価)
/(熱処理前のカルボキシル酸価)×100(%)
酸価変動割合の少ないほど、安定性に優れていると判断し、酸価変動割合が50%以下のものを合格とした。
(5)熱処理後の遊離の二価カルボン酸、二価フェノール量:
(4)の熱処理の後、(1)と同様の方法で樹脂中の遊離の二価フェノール量あるいは二価カルボン酸量を測定した。なお、熱処理前の樹脂中に含有される二価カルボン酸、二価フェノールの量(すなわち、(1)で測定された量)をそれぞれ、「残留二価カルボン酸1」、「残留二価フェノール1」とし、これに対して、熱処理後の樹脂に含有される両成分をそれぞれ「残留二価カルボン酸2」、「残留二価フェノール2」と表した。
(6)耐摩耗性:
樹脂10質量部にジクロロメタン90質量部を加え、25℃室温で攪拌溶解することにより、樹脂濃度10質量%の溶液を得た。次に、この樹脂溶液を基材としてポリエステルフィルム上にコーティングした。塗布・乾燥した後に、ポリエステルフィルムから剥離した樹脂膜を、150℃、24時間、0.1Torrで乾燥し、厚さが約100μmの透明な被膜を得た。
得られた被膜について、スガ試験機社製スガ摩耗試験機を用い、200gの荷重をかけた摩耗紙上に試料を2500回往復させ、その摩耗量を測定した。
(実施例1)
撹拌装置を備えた反応容器中に二価フェノールである2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールC〕27.30g、末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール(以下、PTBPと略す。)0.48g、水酸化ナトリウム11.24g、重合触媒であるトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライド0.46gを仕込み、純水940mLに溶解して水相を調製した。また別途、ジクロロメタン510mLに、二価カルボン酸として4,4’−ビフェニルジカルボン酸クロライド30.17gを溶解して有機相を調製した。この有機相を先に調製した水相中に強撹拌下で20秒かけて添加し、20℃で重合反応を行なった。2時間後、攪拌を停止・静置した後に水相を分離・除去した。次に、有機相に純水を1000mLと酢酸5mLを添加・攪拌して重合反応を完全に停止した。30分後に攪拌を停止し、水相と有機相を静置して、再び水相を分離した。そして、有機相が中性になるまで純水にて洗浄を繰り返し行った。水洗後の有機相にジクロロメタン1000mL加えた後、2μm孔径のフィルターを通過させ、不溶物を除去した。この樹脂溶液を8000mLのメタノール中に攪拌しながら添加して樹脂を沈殿させ、その状態で30秒間攪拌した。その後、この樹脂を分離し、80℃12時間0.1Torr減圧乾燥させてポリエステル樹脂P−1を得た。
(実施例2〜5)
表1に示すように二価フェノール、酸クロライド、NaOH、重合触媒および末端封止剤の種類および仕込み量を変更した以外は、実施例1と同様の操作を行ってポリエステル樹脂P−2〜P−5を製造した。なお、実施例5では2種類の酸クロライドを使用した。
(実施例6)
撹拌装置を備えた反応容器中にビスフェノールC54.31g、末端封止剤としてPTBP1.07g、水酸化ナトリウム22.43g、重合触媒であるトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライド0.56gを仕込み、純水940mLに溶解して水相を調製した。また別途、ジクロロメタン470mLに、二価カルボン酸として4,4’−ビフェニルジカルボン酸クロライド60.22gを溶解して有機相を調製した。この有機相を、水相中に撹拌下で1時間かけて添加し、添加終了後20℃で5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン780mLを加え、攪拌を7時間続けた。その後、攪拌した状態で酢酸を7.87mL加え、30分後に攪拌を停止した。静置・分相した後に水相を分離・除去した。その後、有機相を0.1N水酸化ナトリウム水溶液940mLにて洗浄を2回、0.1N塩酸940mLにて洗浄を2回、純水940mLにて洗浄を2回おこなった。その後に、この樹脂溶液をメタノール6300mLに添加して、樹脂を沈殿させ、その状態で、3時間攪拌した。その後、この樹脂を分離し、再びジクロロメタン1250mLに溶解させた。再び、この樹脂溶液をメタノール6300mLに添加し、樹脂を析出させた。この状態で30分間攪拌した後、この析出した樹脂を分離した。その後、80℃12時間0.1Torr減圧乾燥させてポリエステル樹脂P−6を得た。
(実施例7〜8)
表1に示すように二価フェノール、酸クロライド、NaOH、触媒および末端封止剤の使用量および種類を変更した以外は、実施例6と同様の操作を行ってポリエステル樹脂P−7〜P−8を製造した。
(比較例1)
実施例1で得られたP−1をジクロロメタンに溶解させ、この樹脂溶液を再びメタノールに添加し、樹脂を析出させた。この状態で5h攪拌した後、この析出した樹脂を分離した。その後、80℃12時間減圧乾燥させてポリエステル樹脂P−9を得た。この溶解・析出の操作をさらに2回繰り返した。
(比較例2)
撹拌装置を備えた反応容器中にビスフェノールC54.31g、末端封止剤としてPTBP1.07g、水酸化ナトリウム22.43g、重合触媒であるトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライド0.67gを仕込み、純水940mLに溶解して水相を調製した。また別途、ジクロロメタン470mLに、二価カルボン酸として4,4’−ビフェニルジカルボン酸クロライド60.22gを溶解して有機相を調製した。この有機相を、水相中に撹拌下で1時間かけて添加し、添加終了後20℃で5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン780mLを加え、攪拌を7時間続けた。その後、攪拌した状態で酢酸を7.87mL加え、30分後に攪拌を停止した。静置・分相した後に水相を分離・除去した。その後、有機相を0.1N水酸化ナトリウム水溶液940mLにて洗浄を2回、0.1N塩酸940mLにて洗浄を2回、純水940mLにて洗浄を2回おこなった。その後に、この樹脂溶液をメタノール6300mLに添加して、樹脂を沈殿させた後すぐに、この樹脂を分離した。その後、80℃12時間0.1Torr減圧乾燥させてポリエステル樹脂P−10を得た。
(比較例3)
表1に示すように二価フェノール、酸クロライド、NaOH、重合触媒および末端封止剤の種類および仕込み量を変更し、重合時間を2時間にした以外は、実施例1と同様の操作を行ってポリエステル樹脂P−11を製造した。
(比較例4)
表1に示すように二価フェノール、酸クロライド、NaOH、重合触媒および末端封止剤の種類および仕込み量を変更し、重合時間を2時間にした以外は、実施例1と同様の操作をおこなってポリエステル樹脂P−12を製造した。
(実施例9)
比較例1と同様の操作を行って得た樹脂と1.0kgと4,4’−ビフェニルジカルボン酸5mgに、ジクロロメタン6.0Lを加えて溶解し、樹脂溶液を作製した。その後に、ガラス基板上に、この溶液を塗布した後、溶媒を揮発させ、樹脂成分を回収した。この樹脂成分を80℃12時間0.1Torr減圧乾燥させてポリエステル樹脂P−13を得た。
実施例1〜9、比較例1〜4の結果を表2に示す。表2中、残留二価カルボン酸は、全て4,4’−ビフェニルジカルボン酸である。ただし、実施例5は4,4’−ビフェニルジカルボン酸とテレフタル酸の合計量を、比較例4はイソフタル酸とテレフタル酸の合計量をそれぞれ示す。また、NDは検出限界以下であったことを示す。
(実施例10)
撹拌装置を備えた反応容器中にビスフェノールC26.39g、末端封止剤としてPTBP0.46g、水酸化ナトリウム10.86g、重合触媒であるトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライド0.44gを仕込み、純水940mLに溶解して水相を調製した。また別途、ジクロロメタン510mLに、二価カルボン酸として4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロライド30.84gを溶解して有機相を調製した。この有機相を先に調製した水相中に強撹拌下で20秒かけて添加し、20℃で重合反応を行なった。2時間後、攪拌を停止・静置した後に水相を分離・除去した。次に、有機相に純水を1000mLと酢酸5mLを添加・攪拌して重合反応を完全に停止した。30分後に攪拌を停止し、水相と有機相を静置して、再び水相を分離した。そして、有機相が中性になるまで純水にて洗浄を繰り返し行った。水洗後の有機相にジクロロメタン1000mL加えた後、2μm孔径のフィルターを通過させ、不溶物を除去した。この樹脂溶液を8000mLのメタノール中に攪拌しながら添加して樹脂を沈殿させ、その状態で30秒間攪拌した。その後、この樹脂を分離し、80℃12時間0.1Torr減圧乾燥させてポリエステル樹脂P−14を得た。
(実施例11〜14)
表3に示すように二価フェノール、酸クロライド、NaOH、重合触媒および末端封止剤の種類および仕込み量を変更した以外は、実施例10と同様の操作を行ってポリエステル樹脂P−15〜P−18を製造した。なお、実施例14では2種類の酸クロライドを使用した。
(実施例15)
撹拌装置を備えた反応容器中にビスフェノールC52.49g、末端封止剤としてPTBP1.03g、水酸化ナトリウム21.68g、重合触媒であるトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライド0.54gを仕込み、純水940mLに溶解して水相を調製した。また別途、ジクロロメタン470mLに、二価カルボン酸として4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロライド61.55gを溶解して有機相を調製した。この有機相を、水相中に撹拌下で1時間かけて添加し、添加終了後20℃で5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン780mLを加え、攪拌を7時間続けた。その後、攪拌した状態で酢酸を7.87mL加え、30分後に攪拌を停止した。静置・分相した後に水相を分離・除去した。その後、有機相を0.1N水酸化ナトリウム水溶液940mLにて洗浄を2回、0.1N塩酸940mLにて洗浄を2回、純水940mLにて洗浄を2回おこなった。その後に、この樹脂溶液をメタノール6300mLに添加して、樹脂を沈殿させ、その状態で、3時間攪拌した。その後、この樹脂を分離し、再びジクロロメタン1250mLに溶解させた。再び、この樹脂溶液をメタノール6300mLに添加し、樹脂を析出させた。この状態で30分間攪拌した後、この析出した樹脂を分離した。その後、80℃12時間0.1Torr減圧乾燥させてポリエステル樹脂P−19を得た。
(実施例16〜17)
表3に示すように二価フェノール、酸クロライド、NaOH、触媒および末端封止剤の使用量および種類を変更した以外は、実施例15と同様の操作を行ってポリエステル樹脂P−20〜P−21を製造した。
(比較例5)
実施例10で得られたP−14をジクロロメタンに溶解させ、この樹脂溶液を再びメタノールに添加し、樹脂を析出させた。この状態で5h攪拌した後、この析出した樹脂を分離した。その後、80℃12時間減圧乾燥させてポリエステル樹脂P−22を得た。この溶解・析出の操作をさらに2回繰り返した。
(比較例6)
撹拌装置を備えた反応容器中にビスフェノールC52.49g、末端封止剤としてPTBP1.03g、水酸化ナトリウム21.68g、重合触媒であるトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライド0.65gを仕込み、純水940mLに溶解して水相を調製した。また別途、ジクロロメタン470mLに、二価カルボン酸として4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロライド61.55gを溶解して有機相を調製した。この有機相を、水相中に撹拌下で1時間かけて添加し、添加終了後20℃で5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン780mLを加え、攪拌を7時間続けた。その後、攪拌した状態で酢酸を7.87mL加え、30分後に攪拌を停止した。静置・分相した後に水相を分離・除去した。その後、有機相を0.1N水酸化ナトリウム水溶液940mLにて洗浄を2回、0.1N塩酸940mLにて洗浄を2回、純水940mLにて洗浄を2回おこなった。その後に、この樹脂溶液をメタノール6300mLに添加して、樹脂を沈殿させた後すぐに、この樹脂を分離した。その後、80℃12時間0.1Torr減圧乾燥させてポリエステル樹脂P−23を得た。
(比較例7)
表3に示すように二価フェノール、酸クロライド、NaOH、重合触媒および末端封止剤の種類および仕込み量を変更し、重合時間を2時間にした以外は、実施例10と同様の操作を行ってポリエステル樹脂P−24を製造した。
(実施例18)
比較例5と同様の手法で得られたポリエステル樹脂1.0kgと4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸5mgに、ジクロロメタン6.0Lを加えて溶解し、樹脂溶液を作製した。その後に、ガラス基板上に、この溶液を塗布した後、溶媒を揮発させ、樹脂成分を回収した。この樹脂成分を80℃12時間0.1Torr減圧乾燥させてポリエステル樹脂P−25を得た。
実施例10〜18、比較例5〜7の結果を表4に示す。表4中、残留二価カルボン酸は、全て4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸である。ただし、実施例14は4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸とイソフタル酸の合計量を示す。また、NDは検出限界以下であったことを示す。
(実施例19)
撹拌装置を備えた反応容器中にビスフェノールC32.58g、末端封止剤としてPTBP0.29g、水酸化ナトリウム13.31g、重合触媒であるトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライド0.54gを仕込み、純水940mLに溶解して水相を調製した。また別途、ジクロロメタン510mLに、二価カルボン酸として4,4’−シクロヘキサンジカルボン酸クロライド26.51gを溶解して有機相を調製した。この有機相を先に調製した水相中に強撹拌下で20秒かけて添加し、20℃で重合反応を行なった。2時間後、攪拌を停止・静置した後に水相を分離・除去した。次に、有機相に純水を1000mLと酢酸5mLを添加・攪拌して重合反応を完全に停止した。30分後に攪拌を停止し、水相と有機相を静置して、再び水相を分離した。そして、有機相が中性になるまで純水にて洗浄を繰り返し行った。水洗後の有機相にジクロロメタン1000mL加えた後、2μm孔径のフィルターを通過させ、不溶物を除去した。この樹脂溶液を8000mLのメタノール中に攪拌しながら添加して樹脂を沈殿させ、その状態で30秒間攪拌した。その後、この樹脂を分離し、80℃12時間0.1Torr減圧乾燥させてポリエステル樹脂P−26を得た。
(実施例20〜23)
表5に示すように二価フェノール、酸クロライド、NaOH、重合触媒および末端封止剤の種類および仕込み量を変更した以外は、実施例19と同様の操作を行ってポリエステル樹脂P−27〜P−30を製造した。なお、実施例23では2種類の酸クロライドを使用した。
(実施例24)
撹拌装置を備えた反応容器中にビスフェノールC64.96g、末端封止剤としてPTBP0.59g、水酸化ナトリウム26.57g、重合触媒であるトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライド0.66gを仕込み、純水940mLに溶解して水相を調製した。また別途、ジクロロメタン470mLに、二価カルボン酸として4,4’−シクロヘキサンジカルボン酸クロライド52.92gを溶解して有機相を調製した。この有機相を、水相中に撹拌下で1時間かけて添加し、添加終了後20℃で5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン780mLを加え、攪拌を7時間続けた。その後、攪拌した状態で酢酸を7.87mL加え、30分後に攪拌を停止した。静置・分相した後に水相を分離・除去した。その後、有機相を0.1N水酸化ナトリウム水溶液940mLにて洗浄を2回、0.1N塩酸940mLにて洗浄を2回、純水940mLにて洗浄を2回おこなった。その後に、この樹脂溶液をメタノール6300mLに添加して、樹脂を沈殿させ、その状態で、3時間攪拌した。その後、この樹脂を分離し、再びジクロロメタン1250mLに溶解させた。再び、この樹脂溶液をメタノール6300mLに添加し、樹脂を析出させた。この状態で30分間攪拌した後、この析出した樹脂を分離した。その後、80℃12時間0.1Torr減圧乾燥させてポリエステル樹脂P−31を得た。
(実施例25〜26)
表1に示すように二価フェノール、酸クロライド、NaOH、触媒および末端封止剤の使用量および種類を変更した以外は、実施例24と同様の操作を行ってポリエステル樹脂P−32〜P−33を製造した。
(比較例8)
実施例19で得られたP−26をジクロロメタンに溶解させ、この樹脂溶液を再びメタノールに添加し、樹脂を析出させた。この状態で5h攪拌した後、この析出した樹脂を分離した。その後、80℃12時間0.1Torr減圧乾燥させてポリエステル樹脂P−34を得た。この溶解・析出の操作をさらに2回繰り返した。
(比較例9)
撹拌装置を備えた反応容器中にビスフェノールC64.96g、末端封止剤としてPTBP0.59g、水酸化ナトリウム26.57g、重合触媒であるトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライド0.79gを仕込み、純水940mLに溶解して水相を調製した。また別途、ジクロロメタン470mLに、二価カルボン酸として4,4’−シクロヘキサンジカルボン酸クロライド52.92gを溶解して有機相を調製した。この有機相を、水相中に撹拌下で1時間かけて添加し、添加終了後20℃で5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン780mLを加え、攪拌を7時間続けた。その後、攪拌した状態で酢酸を7.87mL加え、30分後に攪拌を停止した。静置・分相した後に水相を分離・除去した。その後、有機相を0.1N水酸化ナトリウム水溶液940mLにて洗浄を2回、0.1N塩酸940mLにて洗浄を2回、純水940mLにて洗浄を2回おこなった。その後に、この樹脂溶液をメタノール6300mLに添加して、樹脂を沈殿させた後すぐに、この樹脂を分離した。その後、80℃12時間0.1Torr減圧乾燥させてポリエステル樹脂P−35を得た。
(比較例10)
表5に示すように二価フェノール、酸クロライド、NaOH、重合触媒および末端封止剤の種類および仕込み量を変更し、重合時間を2時間にした以外は、実施例19と同様の操作を行ってポリエステル樹脂P−36を製造した。
(実施例27)
比較例8と同様の操作で得られたポリエステル樹脂1.0kgと1,4−シクロヘキサンジカルボン酸5mgに、ジクロロメタン6.0Lを加えた樹脂溶液を作製した。その後に、ガラス基板上に、この溶液を塗布した後、溶媒を揮発させ、樹脂成分を回収した。この樹脂成分を80℃12時間0.1Torr減圧乾燥させてポリエステル樹脂P−35を得た。
実施例19〜27、比較例8〜10の結果を表6に示す。表6中、残留二価カルボン酸は、全て1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である。ただし、実施例23は1,4シクロヘキサンジカルボン酸とイソフタル酸の合計量を示す。また、NDは検出限界以下であったことを示す。
実施例1〜27では、いずれも耐摩耗性が高く、腐食性が低い被膜形成用樹脂が得られた。これらの樹脂は酸価変動割合が低いため、コンデンサや電子写真感光体などの電子部品に適用すれば、長期間の使用においても金属の腐食が抑制され、優れた電気特性を維持することができる。
これに対して、各比較例では耐摩耗性には問題がなかったが、次のような問題が生じた。比較例1、4、5、8では、樹脂中に含有する二価カルボン酸が少なかったため、酸価変動割合が大きかった。また、比較例2、3、6、7、9、10では、樹脂中に含有する二価カルボン酸が多く、腐食がおこった。
比較例1、5、8では貧溶媒中で樹脂を析出する操作を繰返しおこなったため、残留二価カルボン酸量が0.01ppmを下回った。比較例3、7、10では、活性の低い触媒を用いたことに加えて重合時間が短かったために、残留二価カルボン酸量が多かった。
また、実施例、比較例いずれにおいても、遊離の二価カルボン酸、二価フェノールの含有量に関して、二価フェノールについては熱処理前後での数値の変化がほとんど見られなかったのに対し、二価カルボン酸量については減少傾向であった。しかし、これらの現象と本発明の効果との相関は推認できなかった。

Claims (7)

  1. 下記式(I)を有する二価カルボン酸の残基と二価フェノールの残基とから構成されるポリエステルを主成分とする被膜形成用樹脂であって、遊離の二価カルボン酸を0.01〜300ppm含有していることを特徴とする被膜形成用樹脂。
    (式(I)中、Rはビフェニル、ジフェニルエーテル、シクロヘキサン環から選ばれる二価の残基であり、アルキル基、ハロゲン基から選ばれる置換基を有していても構わない。)
  2. 式(I)で示される二価カルボン酸が、下記式(II)〜(IV)から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の被膜形成用樹脂。
  3. 式(II)で示される二価カルボン酸が、4,4’−ビフェニルジカルボン酸である請求項2記載の被膜形成用樹脂。
  4. 式(III)で示される二価カルボン酸が、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸である請求項2記載の被膜形成用樹脂。
  5. 式(IV)で示される二価カルボン酸が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である請求項2記載の被膜形成用樹脂。
  6. 二価フェノールが、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタンおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンからなる群から選ばれる1種以上の二価フェノールであることを特徴とする請求項1〜5記載の被膜形成用樹脂。
  7. 請求項1〜6いずれかの被膜形成用樹脂からなる樹脂被膜。
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