JP3852812B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機系電子写真感光体に関し、詳しくは、電子写真複写機、プリンタなどに用いられる電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ、ダイレクトデジタル製版機等に応用されている電子写真感光体を用いた電子写真方法とは、少なくとも電子写真感光体に帯電、画像露光、現像の過程を経た後、画像保持体(転写紙)へのトナー画像の転写、定着及び電子写真感光体表面のクリーニングというプロセスよりなる方法である。
電子写真感光体が、この電子写真法において要求される基本的な特性としては▲1▼暗所で適当な電位に帯電できること、▲2▼暗所に於いて電荷の散逸が少ないこと、▲3▼光照射によって速やかに電荷を散逸できること、等が挙げられる。
近年はこれらの特性に加えて、▲4▼低コストであること、▲5▼低公害性であること、▲6▼長期にわたり地汚れや画像欠陥の生じない安定した画像が得られることが非常に強く要求されている。
【0003】
従来、電子写真方式に於いて使用される感光体としては導電性支持体上にセレンないしセレン合金を主体とする光導電層を設けたもの、酸化亜鉛・硫化カドミウム等の無機系光導電材料をバインダー中に分散させたもの、及び非晶質シリコン系材料を用いたもの等が一般的に知られているが、近年ではコストの低さ、感光体設計の自由度の高さ、低公害性等から有機系電子写真感光体が広く利用されるようになってきている。
【0004】
有機系電子写真感光体には、ポリビニルカルバゾール(PVK)に代表される光導電性樹脂、PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体型、フタロシアニン−バインダーに代表される顔料分散型、電荷発生物質と電荷輸送物質とを組み合わせて用いる機能分離型の感光体などが知られており、特に機能分離型の感光体が注目されている。
この機能分離型の感光体における静電潜像形成のメカニズムは、感光体を帯電した後光照射すると、光は透明な電荷輸送層を通過し、電荷発生層中の電荷発生物質により吸収され、光を吸収した電荷発生物質は電荷担体を発生し、この電荷担体は電荷輸送層に注入され、帯電によって生じている電界にしたがって電荷輸送層中を移動し、感光体表面の電荷を中和することにより静電潜像を形成するものである。機能分離型感光体においては、主に紫外部に吸収を持つ電荷輸送物質と、主に可視部に吸収を持つ電荷発生物質とを組み合わせて用いることが知られており、かつ有用である。
【0005】
しかしながら、かかる有機系電子写真感光体においても特に耐久性においては必ずしも満足できるものではなく、近年、電子写真感光体の長寿命化に対する期待が高まる中で、有機系電子写真感光体の帯電安定性を長期にわたって確保することが極めて重要な課題となっている。すなわち、電子写真感光体の帯電性が低下した場合、画像濃度低下をひきおこし、反転現像方式を用いる電子写真プロセスでは地汚れを発生する等の画像品質の低下をひきおこし、ついには使用不能になってしまう。
【0006】
これらの問題を改善するため多くの提案がなされている。
例えば特開昭57−122444号公報、特開昭61−156052号公報に見られるように感光層中へ酸化防止剤を添加する提案がなされている。しかしながら、この技術は充分な帯電安定性が得られるまで酸化防止剤を添加すると残留電位の上昇を伴ってしまうため必ずしも有用な手段であるとは言い難い。
【0007】
特開昭63−135955号公報、特開平2−37359号公報、特開平2−114269号公報、特開平5−53357号公報に見られるように感光層の上に表面保護層としてガスバリアー性樹脂層を設ける提案がなされている。かかる樹脂層は絶縁性の高い高分子材料を単独で用いる場合と金属酸化物を添加する場合がある。しかしながら、高分子材料を単独で用いる場合、樹脂層の膜厚を厚くすると保護層の抵抗が上がり初期の残留電位が上昇し、非画像部に地汚れが現れ画像の低下を招く。また、樹脂層の膜厚を薄くするとガスバリアー効果が不十分となり帯電性の低下、帯電の立ち上がりの遅れなどの電子写真特性の劣化が顕著となる。このように、絶縁性の高い高分子材料を単独で用いる構成では初期の良好な電子写真特性と耐ガス性を同時に満足させることは難しい。
また、表面保護層に金属酸化物を添加し導電性を向上させた場合、残留電位の上昇は低減できるものの感光体の抵抗値が低下することは感光体特性上好ましくない。
【0008】
また、特開昭60−225160号公報では光導電層がポリ−N−ビニルカルバゾール及び水素化トリフェニルを含有することにより、また特開平3−134670号公報では電荷輸送層が有機電荷移動物質、結着物質、及びビフェニル、o−タ−フェニル、m−タ−フェニル、ジフェニルエーテル、安息香酸フェニル、フタル酸ジフェニルから選ばれる化合物の1種を含有することにより光導電性を損なうことなく良好な可塑性を有する感光体を提供している。しかし、ここにはこれらの化合物は感光層の残留応力を低減させるなどの可塑性以外の記述はない。
また、特開平8−297373号、特開平8−320581号公報ではそれぞれ感光層にリン酸エステル化合物、脂肪酸エステル化合物を含有することにより残留電位の蓄積性が小さい感光体を提供している。しかし、ここには残留電位の低減化以外の記述はなく、添加される電荷輸送材料によっては膜削れを促進してしまうものが少なく、必ずしも有用な手段と言えない。
【0009】
更に、有機系電子写真感光体の耐摩耗性を改善することにより画像品質の低下を抑える技術が提案されている。
例えば、有機系電子写真感光体のバインダー樹脂を改良したもの(特開平5−216250号公報)や高分子型の電荷輸送物質(特開昭51−73888号公報、特開昭54−8527号公報、特開昭54−11737号公報、特開昭56−150749号公報、特開昭57−78402号公報、特開昭63−285552号公報、特開昭64−1728号公報、特開昭64−13061号公報、特開昭64−19049号公報、特開平3−50555号公報、特開平4−175337号公報、特開平4−225014号公報、特開平4−230767号公報、特開平5−232727号公報、特開平5−310904号公報等に記載)が注目され開示されている。
上記公報において、電荷輸送層のバインダー樹脂を改良したものは低分子電荷輸送物質の組成分割合から著しい耐摩耗性の向上が見られない。高分子型電荷輸送物質を用いたものは電荷輸送層成分をほとんど高分子化したことにより膜削れの改善が発揮されるが、十分な帯電安定性を示す有機系電子写真感光体は未だ得られていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高性能、長寿命、高信頼性を高いレベルで達成する有機系電子写真用感光体を提供することであり、特に画質再現性、耐摩耗性、帯電安定性に優れた有機系電子写真用感光体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題に対し鋭意検討を重ねた結果、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を順次積層した電子写真感光体において、この電荷輸送層が少なくとも高分子電荷輸送物質を含有し、該高分子電荷輸送物質がトリアリールアミン構造を有するポリカーボネートであり、更にこの電荷輸送層にオレイン酸ブチルおよびトリ−n−ブチリンの少なくとも一種の脂肪酸エステルを含有させることにより、繰り返し乃至長期使用による有機系電子写真感光体の帯電性低下を飛躍的に抑制することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
繰り返し乃至長期使用による有機系電子写真感光体の帯電性低下は感光層の膜削れによる感光層の低抵抗化が主たる原因であると考えられている。また、帯電に伴う酸化性物質の感光体表面層への付着、さらに生じる感光層の劣化によっても感光層の低抵抗化が生じると考えられている。
【0012】
従来の電子写真感光体は、光減衰の感度の制約から低分子電荷輸送物質を高分子樹脂バインダー中に50%程度分散させた電荷輸送層を表層に用いており、このため繰り返し使用における膜削れが生じやすいという欠点を有している。
これに対し、近年高分子電荷輸送物質を電荷輸送層の主成分とする検討がなされてきた。これにより電荷輸送層中に多量の低分子成分(従来の低分子電荷輸送物質)を含有させる必要がなく、電荷輸送層の強度の向上にともなう膜削れの低減がなされた。しかしながら、高分子電荷輸送物質を電荷輸送層(以下、簡単のため、高分子電荷輸送層と称す)とした感光体においても、帯電安定性の改善は必ずしも満足されるものではなかった。
【0013】
本発明者らは以上の原因を検討したところ、高分子電荷輸送層は低分子電荷輸送物質とバインダー樹脂からなる従来型の電荷輸送層(以下、簡単のため、低分子電荷輸送層と称す)と比較して一般にガス透過性が高いことを見出した。更に、繰り返し使用による感光体の帯電劣化の度合いとガス透過性の度合いに相関性が見られることを確認している。すなわち、耐摩耗性に優れた高分子電荷輸送物質を用いた感光体においては充分な帯電安定性が確保できない原因の1つとして、高分子電荷輸送層の高いガス透過性が考えられる。帯電プロセスによって発生する酸化性物質が感光層内へ浸透する度合いが大きくなるほど、感光層の低抵抗化が激しくなることは、容易に推測される。したがって、有機系電子写真感光体の帯電安定性を確保するためには、膜削れを改善することに加え、ガス透過性を低減させることが有効な手段であると考えることができる。
ここで発明者らは、低分子電荷輸送層膜のガス透過性はそのバインダー樹脂単独膜よりも極めて低いという知見を得ている。さらに、低分子電荷輸送物質の含有率が多い電荷輸送層膜ほどガス透過性が低い知見も得ている。これらの知見から、低分子電荷輸送層において、低分子電荷輸送物質は電荷輸送の機能に加え、感光層のガスバリアー性を高める機能を担っていることが考えられる。したがって、低分子化合物を高分子電荷輸送層中へ添加することにより、高い耐摩耗性とガスバリアー性を併せ持つ感光体を得ることが可能となり、上記問題を解決することが推察される。
【0014】
しかしながら、低分子化合物を高分子電荷輸送層に添加することによって耐摩耗性を損なうものや残留電位が上昇するものが多数存在する。更には電荷輸送層に用いられる樹脂との親和性が小さいために添加剤の昇華やブリードアウトが生じてしまい、期待される効果の持続性が得られないものが少なくない。
ところが、本発明者らは低分子化合物のなかでも脂肪酸エステルの内の特にオレイン酸ブチルおよびトリ−n−ブチリンの少なくとも一種の化合物を高分子電荷輸送物質が含有される電荷輸送層膜中ヘ添加することにより該電荷輸送層の耐摩耗性を損なわずにガスバリアー性を向上させることが可能であることを見出した。また、これらの化合物を添加しても残留電位の蓄積が問題とならないことを確認した。すなわち、本発明者らはこれらの化合物を高分子電荷輸送層中へ添加することによって、飛躍的な帯電安定性を発現すると共に添加によって残留電位の蓄積が問題とならない感光体を得ることが可能であることを見出し本発明を完成するに至った。
【0015】
現時点ではかかる全容は不明であるが、これら化合物の化学構造中には、高分子電荷輸送物質に対してアンカー機能を有する適度な極性部を有するため、これらの化合物は膜中への保持性が高く、長期にわたり高いガスバリアー性が維持される。また、初期使用時と比較して繰り返し乃至長期にわたり使用した後の残留電位に大きな変化が見られない理由の一つとして、これらの化合物は化学的に劣化することが少ないためであると推測される。また、これら化合物は汎用プラスチックに対して柔軟性を付与させる目的で用いられることが多い。これは化合物の分子構造中、適度な極性部に加え、膜の柔軟性を付与できる適度な非極性部を併せ持つことに起因するものと思われる。上記化合物を添加することによるプラスチックの柔軟性付与は高分子電荷輸送物質に対しても同様の効果を発現するものと類推される。すなわち、これら化合物は添加によって電荷輸送層膜を脆化することがないため、電荷輸送層膜の耐摩耗性に対して悪影響を及ぼさないと考えられる。
【0016】
以上の化合物を低分子電荷輸送層に適用する場合、既にバインダー樹脂には低分子電荷輸送物質が高濃度に分散されているため、これら化合物の添加量は極めて制限されてしまう。したがって、添加による大きな効果は期待できない。また、低分子電荷輸送層膜は低分子電荷輸送物質が高度に分散されているため、ガラス転移点が低い場合が多く、上記化合物を更に添加するとガラス転移点が機内温度迄低下するものが少なくない。このため、感光層の変形やトナーの融着等を誘発させてしまうため、低分子電荷輸送層に対しては必ずしも有用な手段とは言えない。したがって、本発明において電荷輸送層に高分子電荷輸送物質を含有させることが極めて重要となる。
【0017】
次に、高分子電荷輸送物質について述べる。高分子電荷輸送物質としては、一般的な以下のような高分子物質を用いることができる。
(a)カルバソール環を有する重合体
例えば、ポリ−N−ビニルカルバソール、特開昭50−82056号公報、特開昭54−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−175337号公報、特開平4−183719号公報、特開平6−234841号公報に記載の化合物等が例示される。
(b)ヒドラゾン構造を有する重合体
例えば、特開昭57−78402号公報、特開昭61−20953号公報、特開昭61−296358号公報、特開平1−134456号公報、特開平1−179164号公報、特開平3−180851号公報、特開平3−180852号公報、特開平3−50555号公報、特開平5−310904号公報、特開平6−234840号公報に記載の化合物等が例示される。
(c)ポリシリレン重合体
例えば、特開昭63−285552号公報、特開平1−88461号公報、特開平4−264130号公報、特開平4−264131号公報、特開平4−264132号公報、特開平4−264133号公報、特開平4−289867号公報に記載の化合物等が例示される。
(d)トリアリールアミン構造を有する重合体
例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−134457号公報、特開平2−282264号公報、特開平2−304456号公報、特開平4−133065号公報、特開平4−133066号公報、特開平5−40350号公報、特開平5−202135号公報に記載の化合物等が例示される。
(e)その他の重合体
例えば、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報、特開昭56−150749号公報、特開平6−234836号公報、特開平6−234837号公報に記載の化合物等が例示される。
【0018】
電子供与性基を有する重合体は、上記重合体だけではなく、公知単量体の共重合体や、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマーや、また、例えば特開平3−109406号公報に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体等を用いることも可能である。
高分子電荷輸送物質として更に有用なトリアリールアミン構造を有するポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテルとしては以下に記載の化合物が例示される。例えば、特開昭64−1728号公報、特開昭64−13061号公報、特開昭64−19049号公報、特開平4−11627号公報、特開平4−225014号公報、特開平4−230767号公報、特開平4−320420号公報、特開平5−232727号粉公報、特開平7−56374号公報、特開平9−127713号公報、特開平9−222740号公報、特開平9−265197号公報、特開平9−211877号公報、特開平9−304956号公報等に記載のものがある。
本発明では、これらの内、特にトリアリールアミン構造を有するポリカーボネートを用いる。
【0019】
また、本発明に用いられる高分子電荷輸送物質としてより更に有用なトリアリールアミン構造分岐鎖に有するポリカーボネートとしては以下のようなものが挙げられる。
トリアリールアミン構造を分岐鎖に有するポリカーボネートとは、トリアリールアミン構造の一つのアリール基が何らかの結合基を介して、又は介しないでポリカーボネートの主鎖から分岐している高分子構造を指す。
【0020】
本発明に用いられる高分子電荷輸送物質として、下記一般式1〜6で表わされるトリアリールアミン構造を分岐鎖に有するポリカーボネートが有効に用いられる。
一般式1〜6で表わされる高分子電荷輸送物質を以下に例示し、具体例を示す。
【0021】
【化9】
式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、R4は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R5、R6は置換もしくは無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成を表わし、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表わし5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式で表わされる2価基を表わす。
【0022】
【化10】
式中、R101、R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表わす。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表わす。)または、
【0023】
【化11】
(式中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表わす。)を表わす。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。
【0024】
一般式1の具体例
R1、R2、R3はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子を表わすが、その具体例としては以下のものを挙げることができ、同一であっても異なってもよい。
アルキル基として好ましくは、C1〜12とりわけC1〜8、更に好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基はさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4アルコキシ基、フェニル基、又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を含有しても良い。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−エトキシエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
【0025】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
R4は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基を表わすがそのアルキル基の具体例としては上記のR1、R2、R3と同様のものが挙げられる。
R5、R6は置換もしくは無置換のアリール基を表わすが、その具体例としては以下のものを挙げることができ、同一であっても異なってもよい。
芳香族炭化水素基。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、縮合多環基としてナフチル基、ピレニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニル基、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテニリデンフェニル基、非縮合多環基としてビフェニリル基、ターフェニリル基などが挙げられる。
複素環基。複素環基としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基などが挙げられる。
【0026】
上述のアリール基は以下に示す置換基として有してもよい。
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)アルキル基。アルキル基としては、上記のR1、R2、R3と同様のものが挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR105)。アルコキシ基(−OR105)としては、R105は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基。アリールオキシ基としては、アリール基としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
(5)置換メルカプト基またはアリールメルカプト基。置換メルカプト基またはアリールメルカプト基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)アルキル置換アミノ基。アルキル置換アミノ基としては、アルキル基は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−プロピルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
(7)アシル基。アシル基としては、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
【0027】
Xは下記一般式(A)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物をホスゲン法、エステル交換法等を用い重合するとき、下記一般式(B)のジオール化合物を併用することにより主鎖中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネート樹脂はランダム共重合体、又はブロック共重合体となる。また、Xは下記一般式(A)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物と下記一般式(B)から誘導されるビスクロロホーメートとの重合反応によっても繰り返し単位中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネートは交互共重合体となる。
【0028】
【化12】
【0029】
【化13】
【0030】
一般式(B)のジオール化合物の具体例としては以下のものが挙げられる。
1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオールや1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等の環状脂肪族ジオールが挙げられる。
【0031】
また、芳香環を有するジオールとして、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルオキシド、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)キサンテン、エチレングリコールービス(4−ヒドロキシベンゾエート)、ジエチレングリコールービス(4−ヒドロキシベンゾエート)、トリエチレングリコールービス(4−ヒドロキシベンゾエート)、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−テトラメチルジシロキサン、フェノール変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0032】
【化14】
式中、R7、R8は置換もしくは無置換のアリール基、Ar1、Ar2、Ar3は同一又は異なるアリレン基を表わす。X、k、jおよびnは、一般式1の場合と同じである。
【0033】
一般式2の具体例
R7、R8は置換もしくは無置換のアリール基を表わすが、その具体例としては以下のものを挙げることができ、同一であっても異なってもよい。
芳香族炭化水素基。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、縮合多環基としてナフチル基、ピレニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニル基、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテニリデンフェニル基、非縮合多環基としてビフェニリル基、ターフェニリル基、または、
【0034】
【化15】
(ここで、Wは、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−C−及び以下の2価基を表わす。)
【0035】
【化16】
【0036】
【化17】
【0037】
【化18】
【0038】
【化19】
で表される基。
【0039】
複素環基。複素環基としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基などが挙げられる。
また、Ar1、Ar2およびAr3で示されるアリレン基としてはR7およびR8で示したアリール基の2価基が挙げられ、同一であっても異なってもよい。
【0040】
上述のアリール基及びアリレン基は以下に示す置換基として有してもよい。また、これら置換基は上記一般式中のR106、R107、R108の具体例として表される。
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)アルキル基。アルキル基としては、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C18、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基はさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基、又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を含有してもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−エトキシエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR109)。アルコキシ基(−OR109)としては、R109は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基。アリールオキシ基としては、アリール基としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
(5)置換メルカプト基またはアリールメルカプト基。置換メルカプト基またはアリールメルカプト基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
【0041】
【化20】
式中、R110及びR111は各々独立に(2)で定義したアルキル基またはアリール基を表わし、アリール基としては例えばフェニル基、ビフェニル基、またはナフチル基が挙げられ、これらはC1〜C4のアルコキシ基、、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。またアリール基上の炭素原子と共同で環を形成してもよい。具体的には、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(p−トリル)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ユロリジル基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、またはメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基またはアルキレンジチオ基等が挙げられる。
【0042】
Xは下記一般式(C)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物をホスゲン法、エステル交換法等を用い重合するとき、下記一般式(B)ジオール化合物を併用することにより主鎖中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネート樹脂はランダム共重合体、又はブロック共重合体となる。また、Xは下記一般式(C)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物と下記一般式(B)から誘導されるビスクロロホーメートとの重合反応によっても繰り返し単位中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネートは交互共重合体となる。
【0043】
【化21】
【0044】
【化22】
一般式(B)のジオール化合物は一般式1と同じものが挙げられる。
【0045】
【化23】
式中、R9、R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar4、Ar5、Ar6は同一又は異なるアリレン基を表わす。X、k、jおよびnは、一般式1の場合と同じである。
【0046】
一般式3の具体例
R9、R10は置換もしくは無置換のアリール基を表わすが、その具体例としては以下のものを挙げることができ、同一であっても異なってもよい。
芳香族炭化水素基。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、縮合多環基としてナフチル基、ピレニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニル基、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテニリデンフェニル基、非縮合多環基としてビフェニリル基、ターフェニリル基などが挙げられる。
複素環基。複素環基としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基などが挙げられる。
【0047】
また、Ar4、Ar5、およびAr6で示されるアリレン基としてはR9およびR10で示したアリール基の2価基が挙げられ、同一であっても異なってもよい。上述のアリール基及びアリレン基は以下に示す基を置換基として有してもよい。
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)アルキル基。アルキル基としては、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基はさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基、又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を含有してもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−エトキシエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR112)。アルコキシ基(−OR112)としては、R112は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基。アリールオキシ基としては、アリール基としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
(5)置換メルカプト基またはアリールメルカプト基。置換メルカプト基またはアリールメルカプト基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)アルキル置換アミノ基。アルキル置換アミノ基としては、アルキル基は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−プロピルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
(7)アシル基;具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
【0048】
Xは下記一般式(D)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物をホスゲン法、エステル交換法等を用い重合するとき、下記一般式(B)のジオール化合物を併用することにより主鎖中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネート樹脂はランダム共重合体、又はブロック共重合体となる。また、Xは下記一般式(D)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物と下記一般式(B)から誘導されるビスクロロホーメートとの重合反応によっても繰り返し単位中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネートは交互共重合体となる。
【0049】
【化24】
【0050】
【化25】
一般式(B)のジオール化合物は一般式1と同じものが挙げられる。
【0051】
【化26】
式中、R11、R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar7、Ar8、Ar9は同一又は異なるアリレン基、sは1〜5の整数を表わす。X、k、jおよびnは、一般式1の場合と同じである。
【0052】
一般式4の具体例
R11、R12は置換もしくは無置換のアリール基を表わすが、その具体例としては以下のものを挙げることができ、同一であっても異なってもよい。
芳香族炭化水素基。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、縮合多環基としてナフチル基、ピレニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニル基、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテニリデンフェニル基、非縮合多環基としてビフェニリル基、ターフェニリル基などが挙げられる。
複素環基。複素環基としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基などが挙げられる。
【0053】
また、Ar7、Ar8、およびAr9で示されるアリレン基としてはR11およびR12で示したアリール基の2価基が挙げられ、同一であっても異なってもよい。上述のアリール基及びアリレン基は以下に示す基を置換基として有してもよい。
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)アルキル基。アルキル基としては、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基はさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基、又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を含有してもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−エトキシエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR113)。アルコキシ基(−OR113)としては,R113は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基。アリールオキシ基としては、アリール基としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
(5)置換メルカプト基またはアリールメルカプト基。置換メルカプト基またはアリールメルカプト基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)アルキル置換アミノ基。アルキル置換アミノ基としては、アルキル基は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的にはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−プロピルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
(7)アシル基。アシル基としては、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
【0054】
Xは下記一般式(E)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物をホスゲン法、エステル交換法等を用い重合するとき、下記一般式(B)ジオール化合物を併用することにより主鎖中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネート樹脂はランダム共重合体、又はブロック共重合体となる。また、Xは下記一般式(E)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物と下記一般式(B)から誘導されるビスクロロホーメートとの重合反応によっても繰り返し単位中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネートは交互共重合体となる。
【0055】
【化27】
【0056】
【化28】
一般式(B)のジオール化合物は一般式1と同じものが挙げられる。
【0057】
【化29】
式中、R15、R16、R17、R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13、Ar14、Ar15、Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y1、Y2、Y3は単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わし同一であっても異なってもよい。X、k、jおよびnは、一般式1の場合と同じである。
【0058】
一般式5の具体例
R15、R16、R17、R18は置換もしくは無置換のアリール基を表わすが、その具体例としては以下のものを挙げることができ、同一であっても異なってもよい。
芳香族炭化水素基。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、縮合多環基としてナフチル基、ピレニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニル基、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテニリデンフェニル基、非縮合多環基としてビフェニリル基、ターフェニリル基などが挙げられる。
複素環基。複素環基としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基などが挙げられる。
【0059】
また、Ar13、Ar14、Ar15およびAr16で示されるアリレン基としてはR15、R16、R17およびR18で示した上記のアリール基の2価基が挙げられ、同一であっても異なってもよい。
上述のアリール基及びアリレン基は以下に示す基を置換基として有してもよい。
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)アルキル基。アルキル基としては、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基はさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基、又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を含有してもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−エトキシエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR115)。アルコキシ基(−OR115)としては、R11 5は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基。アリールオキシ基としては、アリール基としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
【0060】
Y1、Y2、Y3は単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基、を表わし同一であっても異なってもよい。
アルキレン基としては、上記(2)で示したアルキル基より誘導される2価基を表わす。具体的には、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、ジフルオロメチレン基、ヒドロキシエチレン基、シアノエチレン基、メトキシエチレン基、フェニルメチレン基、4−メチルフェニルメチレン基、2,2−プロピレン基、2,2−ブチレン基、ジフェニルメチレン基等を挙げることができる。
シクロアルキレン基としては、1,1−シクロペンチレン基、1,1−シクロヘキシレン基、1,1−シクロオクチレン基等を挙げることができる。
アルキレンエーテル基としては、ジメチレンエーテル基、ジエチレンエーテル基、エチレンメチレンエーテル基、ビス(トリエチレン)エーテル基、ポリテトラメチレンエーテル基等が挙げられる。
【0061】
Xは下記一般式(G)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物をホスゲン法、エステル交換法等を用い重合するとき、下記一般式(B)ジオール化合物を併用することにより主鎖中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネート樹脂はランダム共重合体、又はブロック共重合体となる。また、Xは下記一般式(G)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物と下記一般式(B)から誘導されるビスクロロホーメートとの重合反応によっても繰り返し単位中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネートは交互共重合体となる。
【0062】
【化30】
【0063】
【化31】
一般式(B)のジオール化合物は一般式1と同じものが挙げられる。
【0064】
【化32】
式中、R22、R23、R24、R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24、Ar25、Ar26、Ar27、Ar28は同一又は異なるアリレン基を表わす。X、k、jおよびnは、一般式1の場合と同じである。
【0065】
一般式6の具体例
R22、R23、R24、R25は置換もしくは無置換のアリール基を表わすが、その具体例としては以下のものを挙げることができ、同一であっても異なってもよい。
芳香族炭化水素基。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、縮合多環基としてナフチル基、ピレニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニル基、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテニリデンフェニル基、非縮合多環基としてビフェニリル基、ターフェニリル基などが挙げられる。
複素環基。複素環基としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基などが挙げられる。
【0066】
また、Ar24、Ar25、Ar26、Ar27、およびAr28で示されるアリレン基としてはR22、R23、R24およびR25で示した上記のアリール基の2価基が挙げられ、同一であっても異なってもよい。
上述のアリール基及びアリレン基は以下に示す基を置換基として有してもよい。
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)アルキル基。アルキル基としては、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基はさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基、又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を含有してもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−エトキシエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR118)。アルコキシ基(−OR118)としてはR118は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基が挙げられる。
(4)アリールオキシ基。アリールオキシ基としては、アリール基としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
(5)置換メルカプト基またはアリールメルカプト基。置換メルカプト基またはアリールメルカプト基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)アルキル置換アミノ基。アルキル置換アミノ基としては、アルキル基は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的にはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−プロピルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
(7)アシル基。アシル基としては、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
【0067】
Xは下記一般式(L)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物をホスゲン法、エステル交換法等を用い重合するとき、下記一般式(B)ジオール化合物を併用することにより主鎖中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネート樹脂はランダム共重合体、又はブロック共重合体となる。また、Xは下記一般式(L)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物と下記一般式(B)から誘導されるビスクロロホーメートとの重合反応によっても繰り返し単位中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネートは交互共重合体となる。
【0068】
【化33】
【0069】
【化34】
一般式(B)のジオール化合物は一般式1と同じものが挙げられる。
【0070】
その他、トリアリールアミン構造を分岐鎖に有するポリカーボネートとしては、特開平6−234838号公報、特開平6−234839号公報、特開平6−295077号公報、特開平7−325409号公報、特開平9−297419号公報、特開平9−80783号公報、特開平9−80784号公報、特開平9−80772号公報、特開平9−265201号公報等に記載の化合物が例示される。
【0071】
本発明において、感光層中に含まれる脂肪酸エステルには、オレイン酸ブチルおよびトリ−n−ブチリンの少なくとも1種の化合物が用いられる。
【0072】
本発明における上記に記載された脂肪酸エステル化合物の添加量は、添加量が少なすぎると帯電安定性に対する大きな効果が得られにくいことから高分子電荷輸送物質100重量部に対して0.1重量部以上であることが好ましい。一方、添加量が多すぎると初期使用時の残留電位が高くなってしまい、更には感度劣化を伴ってしまうため、好ましくは高分子電荷輸送物質100重量部に対して50重量部以下、更に好ましくは30重量部以下が適当である。
【0073】
【発明の実施の形態】
以下図面に沿って本発明で用いられる電子写真感光体を詳細に説明する。
図1は、本発明の電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図であり、導電性支持体(21)上に電荷発生層(22)と電荷輸送層(23)との積層からなる感光層(24)が設けられている。
図2は、他の構成の電子写真感光体を模式的に示す断面図であり、導電性支持体(21)と感光層(24)の間に下引き層(25)が設けられている。
図3は、別の構成の電子写真感光体を模式的に示す断面図であり、感光層(24)上に保護層(26)が設けられている。
図4は、さらに別の構成の電子写真感光体を模式的に示す断面図であり、導電性支持体(21)と感光層(24)の間に下引き層(25)が設けられ、感光層(24)の上に保護層(26)が設けられている。
【0074】
導電性支持体(21)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金、鉄などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの酸化物を、蒸着またはスパッタリングによりフィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙等の被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらをD.I.,I.I.,押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研磨などで表面処理した管などを使用することができる。
【0075】
次に、電荷発生層(22)について説明する。電荷発生層(22)は、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0076】
電荷発生層(22)に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが用いられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。また、電荷発生層のバインダー樹脂として上述のバインダー樹脂の他に、先述の高分子電荷輸送物質を用いることができる。更に、必要に応じて低分子電荷輸送物質を添加してもよい。
【0077】
電荷発生層(22)に併用できる低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。たとえば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンゾイミダール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0078】
電荷発生層(22)を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
【0079】
次に電荷輸送層(23)について説明する。
電荷輸送層(23)は、高分子電荷輸送物質同時にフタル酸エステル、脂肪酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、二価アルコールエステル、オキシ酸エステル、および芳香族カルボン酸エステルから選ばれた少なくとも一種の化合物を有する層であり、高分子電荷輸送物質と上記化合物を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。高分子電荷輸送物質、および上記化合物は前述の化合物が使用される。また、必要により適当な低分子電荷輸送物質やレベリング剤を添加することもできる。
電荷輸送層(23)に併用できる低分子電荷輸送物質は、電荷発生層(22)の説明に記載したものと同じものを用いることができる。低分子電荷輸送物質の使用量は、高分子電荷輸送物質100重量部に対して0〜50重量部である。
電荷輸送層(23)に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
電荷輸送層(23)の膜厚は、5〜100μm程度が適当であり、好ましくは、10〜40μm程度が適当である。
【0080】
本発明に用いられる電子写真感光体には、導電性支持体(21)と感光層(24)との間に下引き層(25)を設けることができ下引き層(25)は、接着性を向上する、モワレなどを防止する、上層の塗工性を改良する、残留電位を低減する、導電性支持体からの電荷注入を防止するなどの目的で設けられる。下引き層(25)は一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂は、その上に感光層を溶剤でもって塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン、等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えてもよい。これらの下引き層(25)は、前述の感光層のごとく適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。
更に本発明の下引き層(25)として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用して、例えばゾルーゲル法等により形成した金属酸化物層も有用である。
この他に、本発明の下引き層(25)には、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物や、SiO、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0081】
本発明の電子写真感光体には、感光層保護の目的で、保護層(26)が感光層(24)の上に設けられることもある。これに使用される材料としては、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、AS樹脂、AB樹脂、BS樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
【0082】
保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的で、ポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂およびこれらの樹脂に酸化チタン、酸化スズ、チタン酸カリウム等の無機材料を分散したもの等を添加することができる。
保護層(26)の形成法としては、通常の塗布法が採用される。なお、保護層の厚さは、0.5〜10μm程度が適当である。また、以上のほかに真空薄膜作製法にて形成したi−C、a−SiCなど公知の材料も保護層として用いることができる。
【0083】
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤は、有機物を含む層ならばいずれに添加してもよいが、電荷輸送層に添加すると良好な結果が得られる。
【0084】
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
(a)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]グリコールエステル、トコフェロール類など。
【0085】
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’ジ−ブチル−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
【0086】
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
【0087】
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
【0088】
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
【0089】
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、高分子電荷輸送物質100重量部に対して0.1〜30重量部である。
【0090】
【実施例】
次に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中使用する部は、すべて重量部を表わす。
実施例1(参考例)
φ30mmのアルミニウムドラム上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、30±1μmの電荷輸送層を形成して、本発明の電子写真感光体を得た。
【0091】
【0092】
【化35】
【0093】
実施例2
実施例1におけるフタル酸ジ−2−エチルヘキシルをオレイン酸ブチル(東京化成工業製)に変えた以外は全く同様にして感光体を作製した。
【0094】
実施例3(参考例)
実施例1におけるフタル酸ジ−2−エチルヘキシルをセバシン酸ジ−2−エチルヘキル(東京化成工業製)に変えた以外は全く同様にして感光体を作製した。
【0095】
実施例4(参考例)
実施例1におけるフタル酸ジ−2−エチルヘキシルをジエチレングリコールジベンゾエート(東京化成工業製)に変えた以外は全く同様にして感光体を作製した。
【0096】
実施例5(参考例)
実施例1におけるフタル酸ジ−2−エチルヘキシルをブチルフタリルブチルグリコレート(東京化成工業製)に変えた以外は全く同様にして感光体を作製した。
【0097】
実施例6(参考例)
実施例1におけるフタル酸ジ−2−エチルヘキシルをトリメリット酸トリオクチル(東京化成工業製)に変えた以外は全く同様にして感光体を作製した。
【0098】
比較例1
実施例1の電荷輸送塗工液を以下のように変更した以外は実施例1と全く同様にして感光体を作製した。
〔電荷輸送層用塗工液〕
高分子電荷輸送物質(重量平均分子量:Mw=120000): 10部
実施例1と同じ構造のトリアリールアミン構造を分岐鎖に有する
ポリカーボネート樹脂
塩化メチレン 70部
【0099】
比較例2
実施例1におけるフタル酸ジ−2−エチルヘキシルを下記構造式を示す低分子電荷輸送物質に変えた以外はと全く同様にして感光体を作製した。
低分子電荷輸送物質:
【0100】
【化36】
【0101】
比較例3
実施例1におけるフタル酸ジ−2−エチルヘキシルをリン酸トリフェニル(東京化成工業製)に変えた以外は全く同様にして感光体を作製した。
【0102】
比較例4
実施例1におけるフタル酸ジ−2−エチルヘキシルをビフェニル(東京化成工業製)に変えた以外は全く同様にして感光体を作製した。
【0103】
実施例7(参考例)
実施例1の電荷輸送塗工液を以下のように変更した以外は実施例1と全く同様にして感光体を作製した。
〔電荷輸送層用塗工液〕
高分子電荷輸送物質(重量平均分子量:Mw=120000): 6部
実施例1と同じ構造の高分子電荷輸送物質
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(東京化成工業製) 4部
塩化メチレン 70部
【0104】
比較例5
実施例1の電荷輸送塗工液を以下のように変更した以外は実施例1と全く同様にして感光体を作製した。
【0105】
実施例8
実施例1の電荷輸送塗工液を以下のように変更した以外は実施例1と全く同様にして感光体を作製した。
〔電荷輸送層用塗工液〕
高分子電荷輸送物質(重量平均分子量:Mw=120000): 9部
【0106】
【化37】
オレイン酸ブチル(東京化成工業製): 1部
塩化メチレン 70部
【0107】
実施例9
実施例1の電荷輸送塗工液を以下のように変更した以外は実施例1と全く同様にして感光体を作製した。
〔電荷輸送層用塗工液〕
高分子電荷輸送物質(重量平均分子量:Mw=120000): 9部
【0108】
【化38】
オレイン酸ブチル(東京化成工業製): 1部
塩化メチレン 70部
【0109】
実施例10
実施例1の電荷輸送塗工液を以下のように変更した以外は実施例1と全く同様にして感光体を作製した。
〔電荷輸送層用塗工液〕
高分子電荷輸送物質(重量平均分子量:Mw=115000): 9部
【0110】
【化39】
オレイン酸ブチル(東京化成工業製): 1部
塩化メチレン 70部
【0111】
比較例6
実施例1の電荷輸送塗工液を以下のように変更した以外は実施例1と全く同様にして感光体を作製した。
【0112】
比較例7
実施例9の電荷輸送塗工液を以下のように変更した以外は実施例1と全く同様にして感光体を作製した。
【0113】
比較例8
実施例10の電荷輸送塗工液を以下のように変更した以外は実施例1と全く同様にして感光体を作製した。
【0114】
比較例9
実施例1の電荷輸送塗工液を以下のように変更した以外は実施例1と全く同様にして感光体を作製した。
【化40】
【0115】
比較例10
実施例1における電荷輸送層用塗工液を以下のものに変更した以外は実施例1と全く同様に感光体を作製した。
【0116】
実施例11(参考例)
実施例1の電荷輸送塗工液を以下のように変更した以外は実施例1と全く同様にして感光体を作製した。
〔電荷輸送層用塗工液〕
高分子電荷輸送物質(重量平均分子量:Mw=80000): 9部
【0117】
【化41】
ジエチレングリコールジベンゾエート−2−エチルブチラート: 1部
塩化メチレン 70部
【0118】
実施例12(参考例)
実施例1の電荷輸送塗工液を以下のように変更した以外は実施例1と全く同様にして感光体を作製した。
〔電荷輸送層用塗工液〕
高分子電荷輸送物質(重量平均分子量:Mw=120000): 9部
【0119】
【化42】
フタル酸ジトリデシル(東京化成工業製): 1部
塩化メチレン 70部
【0120】
実施例13
実施例1の電荷輸送塗工液を以下のように変更した以外は実施例1と全く同様にして感光体を作製した。
〔電荷輸送層用塗工液〕
高分子電荷輸送物質(重量平均分子量:Mw=120000): 9部
【0121】
【化43】
トリ−n−ブチリン(東京化成工業製): 1部
塩化メチレン 70部
【0122】
実施例14(参考例)
実施例1の電荷輸送塗工液を以下のように変更した以外は実施例1と全く同様にして感光体を作製した。
〔電荷輸送層用塗工液〕
高分子電荷輸送物質(重量平均分子量:Mw=120000): 9部
【0123】
【化44】
アジピン酸ジブチル: 1部
塩化メチレン 70部
【0124】
実施例15(参考例)
実施例1の電荷輸送塗工液を以下のように変更した以外は実施例1と全く同様にして感光体を作製した。
〔電荷輸送層用塗工液〕
高分子電荷輸送物質(重量平均分子量:Mw=118000): 9部
【0125】
【化45】
アセチルクエン酸トリブチル(三建化工製): 1部
塩化メチレン 70部
【0126】
比較例11
実施例11の電荷輸送塗工液を以下のように変更した以外は実施例1と全く同様にして感光体を作製した。
【0127】
比較例12
実施例12の電荷輸送塗工液を以下のように変更した以外は実施例1と全く同様にして感光体を作製した。
【0128】
比較例13
実施例13の電荷輸送塗工液を以下のように変更した以外は実施例1と全く同様にして感光体を作製した。
【0129】
比較例14
実施例14の電荷輸送塗工液を以下のように変更した以外は実施例1と全く同様にして感光体を作製した。
【0130】
比較例15
実施例15の電荷輸送塗工液を以下のように変更した以外は実施例1と全く同様にして感光体を作製した。
【0131】
以上のようにして作製した実施例1〜15および比較例1〜15の電子写真感光体を実装用にした後、以下のようにして評価を行った。
[実機ランニング特性評価方法]
一部改造した複写機(リコー製:イマジオMF200)に搭載し、それぞれの感光体について10万枚までの通紙試験を行った。通紙試験中及び通紙試験後に感光体の電位特性、画像品質特性、感光層摩耗量の評価を適時行った。
表中に記載した暗部電位、明部電位、画像品質、および摩耗量は以下に説明する内容を表わす。
暗部電位:一次帯電の後、現像部位置まで移動したの際の感光体表面電位
明部電位:一次帯電後、画像露光(ベタ露光)を受け、現像部位置まで移動した際の感光体表面電位
画像品質:ベタ濃度、細線再現性、異常画像等総合的に評価
摩耗量:実機ランニングによる感光層膜厚減少量
評価結果を表1に示す。
【0132】
【表1】
注)実施例1、3〜7、11、12、14、15は参考例である。
【0133】
表1より明らかなように、実施例1〜15(実施例1、3〜7、11、12、14、15は参考例)の電子写真感光体は、繰り返し使用による帯電安定性が極めて優れており、高画質のハードコピーを長期間安定して得られることが判る。
比較例2〜4の電子写真感光体に着目すると、電荷輸送層として高分子電荷輸送物質と共に用いる化合物の中には繰り返し使用による感光層の削れを促進してしまうものや効果の持続性に欠けるものが存在することが認められる。高分子電荷輸送物質と共に用いる化合物としては、フタル酸エステル、脂肪酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、二価アルコールエステル、オキシ酸エステル、および芳香族カルボン酸エステルが好適であることが判る。なお本発明における該化合物はオレイン酸ブチルおよびトリ−n−ブチリンの少なくとも一種の脂肪酸エステルである。更に、実施例1(参考例)、実施例7(参考例)および比較例5から、本発明において高分子電荷輸送物質と共に用いられる化合物は高分子電荷輸送物質100重量部に対して50重量部以下の範囲で含有されることが好適であることが判る。
また、比較例9および比較例10からフタル酸エステル、脂肪酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、二価アルコールエステル、オキシ酸エステル、および芳香族カルボン酸エステルは電荷輸送層中に高分子電荷輸送物質と共に含有されることが重要であることが判る。従来型の低分子電荷輸送物質とバインダー樹脂からなる電荷輸送層にこれらの化合物を含有した場合、バインダー樹脂に対する低分子化合物の添加量が過剰となり膜の脆化を促してしまうことが考えられる。また、実施例2および実施例8〜実施例10から、本発明において用いられる高分子電荷輸送物質はトリアリールアミン構造を有する高分子化合物の中でもポリカーボネート樹脂であるものが有効であり、更に有効な高分子電荷輸送物質としてはトリアリールアミン構造を分岐鎖に有するポリカーボネート樹脂であることが判る。
従って、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を順次積層した電子写真感光体において、この電荷輸送層がトリアリールアミンがトリアリールアミン構造を分岐鎖に有するポリカーボネート樹脂からなる高分子電荷輸送物質を含有させ、且つ電荷輸送層にフタル酸エステル、脂肪酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、二価アルコールエステル、オキシ酸エステル、および芳香族カルボン酸エステルから選ばれた少なくとも一種の化合物を高分子電荷輸送物質100重量部に対して50重量部以下の範囲で含有させることにより、帯電安定性が極めて優れた長寿命、高信頼性を達成する電子写真感光体を提供することが可能となる。
【0134】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明により帯電安定性に優れた長寿命、高信頼性の電子写真感光体を得ることができるという極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の一構成例を示す断面図である。
【図2】本発明の電子写真感光体の別の構成例を示す断面図である。
【図3】本発明の電子写真感光体の更に別の構成例を示す断面図である。
【図4】本発明の電子写真感光体の更に別の構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
21 導電性支持体
22 電荷発生層感光層
23 電荷輸送層下引き層
24 感光層
25 下引き層
26 保護層
Claims (9)
- 導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を順次積層した電子写真感光体において、この電荷輸送層が少なくとも高分子電荷輸送物質を含有し、該高分子電荷輸送物質がトリアリールアミン構造を有するポリカーボネートであり、更にこの電荷輸送層にオレイン酸ブチルおよびトリ−n−ブチリンの少なくとも一種の脂肪酸エステルを含有させることを特徴とする電子写真感光体。
- 上記高分子電荷輸送物質がトリアリールアミン構造を分岐鎖に有するポリカーボネートであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 上記高分子電荷輸送物質と共に電荷輸送層中に含有する脂肪酸エステルが上記高分子電荷輸送物質100重量部に対して50重量部以下の範囲で含有されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 上記高分子電荷輸送物質が、下記一般式1で表わされるトリアリールアミン構造を分岐鎖に有するポリカーボネートであることを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体。
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