JP3558146B2 - 電子写真画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真画像形成装置に関し、詳しくは露光から現像までの時間が短い高速プロセス、或いは露光から現像までの距離をとれない2色の画像形成部を配置した装置を用いたプロセスに必要な高速応答性の感光体を内蔵してなる電子写真画像形成装置に関する。
本発明の電子写真画像形成装置は、複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ、ダイレクトデジタル製版機等に応用される。
【0002】
【従来の技術】
従来の電子写真画像形成装置は、一般にプロセス速度が速くなると、帯電器、現像器なども大きくなるため、感光体の径も大きなものを使用するのが普通であった。したがって、画像露光から現像までの時間はプロセス速度が速くなってもあまり短くならず、0.1秒以上かかっていた。そのため、感光体の光減衰速度は遅くても(電化キャリアの移動度で10−6cm2/V・sec前後のもの)十分に使用できた。つまり露光された感光体が現像部にきたときには、感光体露光部の光減衰は十分に行われており、良好な画像を得ることができる。
【0003】
ただ2色複写機で、黒と第二色目の画像形成部が直列に配置されるものは、露光から現像までの距離が20mm程度あるいはそれ以下の短いものになってしまう。したがって、例えばプロセス速度が240mm(40cpm相当)以上になると、露光から現像までの時間が0.1秒以下(0.83秒以下)になってしまうため、光減衰応答性の高い感光体を組み合わせる必要がある。
【0004】
積層型電子写真感光体の光減衰速度は、電荷輸送層のキャリアの移動度に依存しており、電荷キャリアの移動度(以下単に「移動度」という)が高ければ光減衰速度は速くなる。つまり感光体としての応答速度が速くなる。有機材料を用いた積層型電子写真感光体は、アモルファスセレンを主体とした感光体と比較して、一般に電荷輸送層の移動度は低く、10−6〜10−7cm2/V・sec程度のものであった。しかし、近年の電荷輸送物質の開発において、10−5オーダーの移動度を示す電荷輸送層を実現できる材料が見つかっており、これらを用いた電子写真画像形成装置が特開平8−62862号公報に記載されている。
【0005】
これら電荷輸送物質は多くが低分子化合物として開発されているが、低分子化合物は単独で製膜性がないため、通常、不活性高分子に分散・混合して用いられる。しかるに低分子電荷輸送材料と不活性高分子からなる電荷輸送層は一般に柔らかく、カールソンプロセスにおいては繰り返し使用による膜削れを生じやすいという欠点がある。
【0006】
更に、この構成の電荷輸送層は電荷移動度に限界があり、カールソンプロセスの高速化あるいは小型化の障害となっていた。これは通常低分子電荷輸送物質の含有量が50重量%以下で使用されることに起因している。すなわち低分子電荷輸送物質の含有量を増すことで確かに電荷移動度は上げられるが、このとき逆に製膜性が劣化するためである。
【0007】
この点を克服するために高分子型の電荷輸送物質が注目され、例えば、特開昭51−73888号公報、特開昭54−8527号公報、特開昭54−11737号公報、特開昭56−150749号公報、特開昭57−78402号公報、特開昭63−285552号公報、特開平1−1728号公報、特開平1−19049号公報及び特開平3−50555号公報などに開示されている。
【0008】
しかしながら、高分子電荷輸送物質からなる電荷輸送層と電荷発生層とを組み合わせた感光体の光感度は、上記の低分子電荷輸送物質を用いた場合に比べ著しく劣っており、この点の改良が強く望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記従来技術における問題点を解決し、高耐久性でかつ高速であっても小型な電子写真画像形成装置、或いは高耐久性でかつ2色カラー機能を備えた小型な電子写真画像形成装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、(4)「上記電子写真プロセスで使用される電子写真感光体に含有さ
れる高分子電荷輸送物質が、前記一般式2で表わされる高分子電荷輸送物質であることを
特徴とする電子写真画像形成装置」、(5)「画像形成プロセスの第一色目の画像を形成
する一次帯電、露光、現像各手段、第二色目の画像を形成する一次帯電、露光、現像各手
段とが、前記感光体周囲に順に配置なされていることを特徴とする上記(4)に記載の電
子写真画像形成装置」が提供される。
【0011】
本発明においては、複写機などの小型化に伴う感光体の小径化、或いは2色複写機などで2つの画像形成部が直列に配置されるプロセスのような場合、露光から現像までの距離がかなり短く設計しなければならない。また、プロセスが小型化されてもそれなりのプリント速度が要求されるため、感光体の線速(プロセス速度)はかなり早くなる。このため、露光から現像までの時間はかなり短いものとなる。このような点に鑑み、光減衰応答性の早い感光体を用いることが特開平8−62862号公報に記載されている。
【0012】
しかしながら、近年ではエコロジーなどの観点から感光体の部品化、或いはメンテナンスフリーが提唱されており、プロセス(感光体)の耐久性を高めることは非常に重要な意味を持っている。前述の公知技術では、光減衰応答性の早い感光体を達成するために移動度の大きい電荷輸送層を用いることを提案しており、ここで用いられる電荷輸送層は低分子電荷輸送材料をバインダー樹脂に分散した、所謂分子分散高分子からなるものである。この分子分散高分子からなる電荷輸送層は、設計の自由度の高さから多くの材料・構成のものが開発されているが、前述のとおり、カールソンプロセスのような感光体に当接する部材の多いプロセスでは、繰り返し使用時において膜削れを生じやすいという致命的な欠点を持っている。感光体の膜削れが生じると、感光体の静電特性が変化し様々な不具合を生じ、結果として得られる画像品質が低下してしまう。
【0013】
このような観点から、高分子電荷輸送物質なる概念・材料(古くはポリビニルカルバゾールなどがある)が提案されてきたが、一般的には電荷発生層と高分子電荷輸送物質からなる電荷輸送層を組み合わせた場合には、分子分散高分子からなる電荷輸送層を用いた場合に比べ、光感度が悪くなるという欠点を持っている。
【0014】
本発明者らは、プロセス(感光体)の耐久性を高めることを第一に考え、高分子電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を用いることを必須と考え、上述した2つの問題点を解決する方法を模索した。その結果、特定の物性値(3×105V/cmの電界下で1×10−5cm2/V/sec以上の移動度)を有する前記一般式(2)の電荷輸送物質を用いることにより、2つの問題点を解決できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
本発明において、上述した2つの問題点が解決できる理由としては、以下の理由が考えられる。第1に高分子電荷輸送物質の高い耐摩耗性が挙げられる。勿論、材料にもよるが分子分散型電荷輸送層に比べ数倍程度の耐摩耗性を得ることが可能である。第2に、電荷輸送サイトの高密度化が挙げられる。これは、分子分散型電荷輸送層では、その機械的強度の点から低分子電荷輸送物質をある濃度以上に添加することができないため(低分子電荷輸送物質濃度が高いほど耐摩耗性が低下する)であり、一方の高分子電荷輸送物質はそれ単独で製膜性があり、かつバインダー樹脂として使用できるほどの耐摩耗性を有しているので、電荷輸送サイト(トリアリールアミン部位など)を限りなく高密度にすることができるためである。このため、高分子電荷輸送物質はポリビニルカルバゾールなどで報告されている構造的なトラップなどが形成されない限りかなりの高移動度が期待できる。第3に電荷輸送層が高分子だけ(場合により各種添加剤は添加されるが、量的な観点から分子分散高分子の比ではない)で形成されるため、高硬度な感光体が形成できることが挙げられる。耐摩耗性の点とは別にプロセス内では感光体に圧力がかかる部位は多く、高硬度な感光体は非常に有利である。
【0016】
上記の理由は、必ずしも全ての高分子電荷輸送物質に達成できるものではないが、上述の物性値(特定の移動度)を満足できるものであれば、ほぼ満足のいく感光体特性及びプロセス特性(良好な画像など)を得ることができる。
【0017】
以下、図面を用いて本発明の電子写真画像形成装置を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る電子写真画像形成装置の概略図であり、感光体(1)の周囲に帯電器(2)、画像露光装置(3)、現像器(4)、転写帯電器(5)、分離帯電器(6)、クリーニング装置(7)が配置された構成になっている。
【0018】
図2は、本発明に係る電子写真画像形成装置の別の概略図であり、感光体(1)の周囲に第一色目の画像を形成する一次帯電(8)、露光(9)、現像(10)の各手段、第二色目の画像を形成する一次帯電(11)、露光(12)、現像(13)の各手段が順に配置され、更に転写帯電器(5)、分離帯電器(6)、クリーニング装置(7)が配置された構成になっている。
【0019】
次に、図面を用いて本発明で用いられる電子写真感光体を説明する。
図3は、本発明において用いられる電子写真感光体の断面図であり、導電性支持体(21)上に、感光層(23)が形成されたものである。
【0020】
図4は、別の構成を示す断面図であり、導電性支持体(21)上に、電荷発生層(31)と電荷輸送層(33)からなる感光層(23)が形成されたものである。
【0021】
図5は、更に別の構成を示す断面図であり、導電性支持体(21)と感光層(23)の電荷発生層(31)との間に下引き層(25)が形成されたものである。
【0022】
次に、本発明に用いられる高分子電荷輸送物質について述べる。
本発明に用いられる高分子電荷輸送物質としては、3×105V/cmの電界下で1×10−5cm2/V・sec以上の移動度を有する高分子電荷輸送物質ならば、いずれの公知の高分子電荷輸送材料を用いることができる。
例えば、
(a)主鎖及び/又は側鎖にカルバゾール環を有する重合体
例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾールの重合体、特開昭50−82056号公報開示のN−アクリルアミドメチルカルバゾールの重合体、特開昭54−9632号公報記載のハロゲン化ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭54−11737号公報記載のポリ−N−アクリルアミドメチルカルバゾール及びポリ−N−アクリルアミドメチルカルバモイルアルキルカルバゾール、特開平4−183719号公報に記載のカルバゾール構造を有する特定のジヒドロキシ化合物即ちビス[N−ヒドロキシアリール(又は−ヒドロキシヘテロ)−N−アリール]アミノ置換カルバゾールを或いはこれとビスフェノール化合物とを炭酸エステル形成性化合物と反応させることにより得られるカルバゾール系ポリカーボネート、化合物等が例示される。
(b)主鎖及び/又は側鎖にヒドラゾン構造を有する重合体
例えば、特開昭57−78402号公報記載の、クロルメチル化ポリスチレンと4−ヒドロキシベンジリデンベンジルフェニルヒドラゾンとの脱塩酸縮合により生成されるヒドラゾン構造を有するポリスチレン、特開平3−50555号公報に記載のポリ(4−ホルミルスチレン)と1,1−ジアリールヒドラジンとの脱水縮合により生成される4−ヒドラゾン側鎖構造を有するポリスチレン化合物等が例示される。
(c)ポリシリレン重合体
例えば、特開昭63−285552号公報記載のポリ(メチルフェニルシリレン)、ポリ(nープロピルメチルシリレン)−1−メチルフェニルシリレン又はポリ(nープロピルメチルシリレン)、特開平5−19497号公報記載の−(Si(R1)(R2))−、又は
【0023】
【化13】
の繰り返し単位を有するポリシラン化合物(R1、R2、R3、R4はH、ハロゲン、エーテル基、置換アルキル基等)の化合物等が例示される。
(d)主鎖及び/又は側鎖に第3級アミン構造を有する重合体
例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−13061号公報、及び特開平1−19049号公報記載の一般式
【0024】
【化14】
を有するアリールアミン樹脂化合物
(ここでAr、Ar’はアリール、Zはカルバゾール−4,7−ジイル基、フルオレニン基、フェニレン基、ピレンジイル基、4,4’−ビフェニレン基等の2価の不飽和環式基、R及びR’は個々に−CH2−、−(CH2)2−、−(CH2)3−及び−(CH2)4−、R”は−CO−又は−CO−O−C6H4−Y−C6H4−O−CO−(Yは−O−、−CH2−、−S−、−C(Me)2−等)、mは0又は1、nは5〜5000を表わす。)、特開平1−1728号公報記載のR−[O−A−O−CH2−CH(OR)−CH2−O−B−O−CH2−CH(OR)−CH2]m−(RはH、−Me、−Et、mは4〜1000、Aは−Ar−N(Ar’)−[Z]−[N(Ar’)−Ar]n−(Zはカルバゾール−4,7−ジイル基、フルオニレン基、フェニレン基、ピレンジイル基、4,4’−ビフェニレン基等の2価の不飽和環式基、Ar、Ar’はアリール基)、BはAと同じ意味か又は−Ar−V−Ar(Vは−CH2−、−O−、−S−、−C(Me)2−等)を表わす。)を有するアリールアミン含有ポリヒドロキシエーテル樹脂、特開平5−66598号公報記載の
【0025】
【化15】
(n1は1〜10、n2は0〜4、n3は0〜5、mは0〜1)の構造を有する(メタ)アクリル酸エステルの(共)重合体、特開平5−40350号公報に記載の、構造単位
【0026】
【化16】
(R1、R2はアルキル、アリール、アラルキル、Ar1、Ar2、Ar3は2価の芳香族残基、lは0以上の整数、mは1以上の整数、nは2以上の整数、pは3〜6の整数)を有する化合物等が例示される。
(e)その他の重合体
例えば、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報記載の、6−ビニルインドロ[2,3−b]キノキサリン誘導体の重合物、特開昭56−150749号公報に記載の、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパンのホルムアルデヒド縮合樹脂化合物等が例示される。
【0027】
本発明に使用される電子供与性基を有する重合体は、上記重合体だけでなく、公知単量体の共重合体や、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマーや、又、例えば特開平3−109406号公報に開示されているような、
【0028】
【化17】
電子供与性基を有する架橋重合体等を用いることも可能である。
【0029】
また本発明における高分子電荷輸送物質として、主鎖及び/又は側鎖にトリアリールアミン構造を有するポリカーボネートが有効に使用される。更に、下記一般式1〜10で表わされる高分子電荷輸送物質を用いることにより、本発明の効果はよりいっそう顕著なものとなる。一般式1〜10で表わされる高分子電荷輸送物質を以下に例示し、具体例を示す。
【0041】
【化22】
式中、R 7 、R 8 は置換若しくは無置換のアリール基、Ar 1 、Ar 2 、Ar 3 は同一又は異なるアリレン基を表わす。k、jは組成を表わし、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表わし5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、又は下記一般式で表わされる2価基を表わす。
【0042】
【化19】
式中、R 101 、R 102 は各々独立して置換若しくは無置換のアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表わす。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO 2 −、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表わす。)又は、
【0043】
【化20】
(式中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R 103 、R 104 は置換又は無置換のアルキル基又はアリール基を表わす。)を表わす。ここで、R 101 とR 102 、R 103 とR 104 は、それぞれ同一でも異なってもよい。
【0044】
一般式2の具体例
R7、R8は置換若しくは無置換のアリール基を表わすが、その具体例としては以下のものを挙げることができ、同一であっても異なってもよい。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、縮合多環基としてナフチル基、ピレニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニル基、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテニリデンフェニル基、非縮合多環基としてビフェニリル基、ターフェニリル基、又は
【0045】
【化23】
(ここで、Wは−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−又は以下の2価基を表わす。)
【0046】
【化24】
【0047】
【化25】
【0048】
【化26】
【0049】
【化27】
を表わす。
【0050】
複素環基としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基などが挙げられる。
また、Ar1、Ar2及びAr3で示されるアリレン基としてはR7及びR8で示したアリール基の2価基が挙げられ、同一であっても異なってもよい。
上述のアリール基及びアリレン基は以下に示す基(1)〜基(7)を置換基として有してもよい。また、これら置換基は上記一般式中のR106、R107、R108と同じ意味を有する。
【0051】
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)アルキル基。アルキル基としては、好ましくはC1〜C12とりわけC1〜C18さらに好ましくはC1〜C4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基はさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基、又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基若しくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を含有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、nープロピル基、iープロピル基、tーブチル基、sーブチル基、nーブチル基、iーブチル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−エトキシエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
【0052】
(3)アルコキシ基(−OR109)。アルコキシ基(−OR109)としては、R10 9が(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、nープロポキシ基、iープロポキシ基、tーブトキシ基、nーブトキシ基、sーブトキシ基、iーブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基。アリールオキシ基としては、アリール基としてフェニル基、ナフチル基を有するものが挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
【0053】
(5)置換メルカプト基又はアリールメルカプト基。置換メルカプト基又はアリールメルカプト基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、pーメチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)次式で表わされるアルキル置換アミノ基。
【0054】
【化28】
式中、R110及びR111は各々独立に前記(2)で定義したアルキル基又はアリール基を表わす。アリール基としては例えばフェニル基、ビフェニル基、又はナフチル基が挙げられ、これらはC1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。またアリール基上の炭素原子と共同で環を形成してもよい。このアルキル置換アミノ基としては具体的には、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(pートリル)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ユロリジル基等が挙げられる。
【0055】
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等。
【0056】
前記Xで表わされる構造部分は下記一般式(C)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物をホスゲン法、エステル交換法等を用い重合するとき、下記一般式(B)のジオール化合物を併用することにより主鎖中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネート樹脂はランダム共重合体、又はブロック共重合体となる。また、Xの構造部分は下記一般式(C)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物と下記一般式(B)から誘導されるビスクロロホーメートとの重合反応によっても繰り返し単位中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネートは交互共重合体となる。
【0057】
【化29】
一般式(B)のジオール化合物としては一般式1と同じものが挙げられる。
【0140】
導電性支持体(21)としては、体積抵抗1010Ω以下の導電性を示すもの、例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金、鉄などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの酸化物を蒸着又はスパッタリングによりフィルム状若しくは円筒状のプラスチック、紙等に被覆したもの、或るいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらをD.I.、I.I.、押出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研磨などで表面処理した管などを使用することができる。
【0141】
本発明における感光層(23)は、単層型でも積層型でもよいが、ここでは説明の都合上、まず積層型について述べる。
はじめに、電荷発生層(31)について説明する。電荷発生層(21)は、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
【0142】
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0143】
電荷発生層(31)に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが用いられる。これらのバインダー樹脂は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。また、電荷発生層のバインダー樹脂として上述のバインダー樹脂の他に、先述の高分子電荷輸送物質を用いることができる。更に、必要に応じて低分子電荷輸送物質を添加してもよい。
【0144】
電荷発生層(31)に併用できる低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
【0145】
電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ[1,2−b]チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0146】
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(pージエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0147】
電荷発生層(31)を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
【0148】
また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系若しくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
【0149】
次に、電荷輸送層(33)について説明する。
電荷輸送層(33)は、高分子電荷輸送物質を主成分とする層であり、高分子電荷輸送物質を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。高分子電荷輸送物質は3×105V/cmの電界下で1×10−5cm2/V・sec以上の移動度を有する高分子電荷輸送物質ならば、いずれの公知材料を用いることができるが、主鎖及び/又は側鎖にトリアリールアミン構造を有するポリカーボネートが有効に使用される。前記一般式1〜10の高分子電荷輸送物質が特に良好に使用される。また、必要により適当なバインダー樹脂、低分子電荷輸送物質、可塑剤やレベリング剤を添加することもできる。
【0150】
電荷輸送層(33)に併用できるバインダー樹脂としては、ポリカーボネート(ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZタイプ)、ポリエステル、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリスチレン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、アルキッド樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらのバインダーは、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0151】
電荷輸送層(33)に併用できる低分子電荷輸送物質は、電荷発生層(31)の説明において記載したものと同じものを用いることができる。電荷輸送層(33)の膜厚は、5〜100μm程度が適当であり、好ましくは、10〜40μm程度が適当である。
また、本発明において電荷輸送層(33)中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。
【0152】
可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー或いはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
【0153】
次に、感光層(23)が単層構成の場合について述べる。
キャスティング法で単層感光層を設ける場合、多くは電荷発生物質と低分子並びに高分子電荷輸送物質よりなる機能分離型のものが挙げられる。即ち、電荷発生物質並びに電荷輸送物質には、前出の材料を用いることができる。
また、必要により可塑剤やレベリング剤を添加することもできる。更に、必要に応じて用いることのできるバインダー樹脂としては、先に電荷輸送層(33)で挙げたバインダー樹脂をそのまま用いる他に、電荷発生層(31)で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。単層感光体の膜厚は、5〜100μm程度が適当であり、好ましくは、10〜40μm程度が適当である。
【0154】
本発明に用いられる電子写真感光体には、導電性支持体(21)と感光層(23)[積層タイプの場合には、電荷発生層(31)]との間に下引き層(25)を設けることができる。下引き層(25)は、接着性を向上する、モワレなどを防止する、上層の塗工性を改良する、残留電位を低減するなどの目的で設けられる。下引き層(15)は一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤でもって塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、或るいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えてもよい。これらの下引き層は、前述の感光層の場合と同様、適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。
【0155】
さらに、本発明における感光体の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用して、例えばゾルーゲル法等により形成した金属酸化物層も有用である。
この他に、本発明の下引き層にはAl2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシレン(パリレン)等の有機物や、SiO、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0156】
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤は、有機物を含む層ならばいずれに添加してもよいが、電荷輸送物質を含む層に添加すると良好な結果が得られる。
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
【0157】
モノフェノール系化合物
2,6−ジ−tーブチル−pークレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tーブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tーブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなど。
【0158】
ビスフェノール系化合物
2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tーブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tーブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−tーブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−tーブチルフェノール)など。
【0159】
高分子フェノール系化合物
1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tーブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tーブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tーブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−tーブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェノール類など。
【0160】
パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−pーフェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−pーフェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−pーフェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−pーフェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−tーブチル−pーフェニレンジアミンなど。
【0161】
ハイドロキノン類
2,5−ジ−tーオクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−tーオクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
【0162】
有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
【0163】
有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
【0164】
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品として容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、電荷輸送物質100重量部に対して0.1〜100重量部、好ましくは2〜30重量部である。
【0165】
【実施例】
次に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例において、使用する部は全て重量部を表わし、使用された高分子電荷輸送物質の繰り返し単位nは、いずれの例においても、重量平均分子量から算出して100±20の範囲であった。
【0166】
参考例1
φ80mmのアルミニウムドラム上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層を形成して、本発明における電子写真感光体を得た。
【0167】
[下引き層用塗工液]
アルキッド樹脂 6部
(ベッコゾール 1307−60−EL、大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂 4部
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製)
酸化チタン 40部
メチルエチルケトン 200部
【0168】
[電荷発生層用塗工液]
下記構造のジスアゾ顔料 2.5部
【0169】
【化46】
ポリビニルブチラール(UCC社製:XYHL) 0.5部
シクロヘキサノン 200部
メチルエチルケトン 80部
【0170】
[電荷輸送層用塗工液]
下記構造の高分子電荷輸送物質 10部
【0171】
【化47】
塩化メチレン 100部
【0172】
実施例1
参考例1における電荷輸送層に用いた高分子電荷輸送物質を以下の構造のものに変えた以外は参考例1と全く同様にして実施例1の電子写真感光体を作製した。
【0173】
【化48】
【0174】
参考例2
参考例1における電荷輸送層に用いた高分子電荷輸送物質を以下の構造のものに変えた以外は参考例1と全く同様にして参考例2の電子写真感光体を作製した。
【0175】
【化49】
【0176】
参考例3
参考例1における電荷輸送層に用いた高分子電荷輸送物質を以下の構造のものに変えた以外は参考例1と全く同様にして参考例3の電子写真感光体を作製した。
【0177】
【化50】
【0178】
参考例4
参考例1における電荷輸送層に用いた高分子電荷輸送物質を以下の構造のものに変えた以外は参考例1と全く同様にして参考例4の電子写真感光体を作製した。
【0179】
【化51】
【0180】
参考例5
参考例1における電荷輸送層に用いた高分子電荷輸送物質を以下の構造のものに変えた以外は参考例1と全く同様にして参考例5の電子写真感光体を作製した。
【0181】
【化52】
【0182】
参考例6
参考例1における電荷輸送層に用いた高分子電荷輸送物質を以下の構造のものに変えた以外は参考例1と全く同様にして参考例6の電子写真感光体を作製した。
【0183】
【化53】
【0184】
参考例7
参考例1における電荷輸送層に用いた高分子電荷輸送物質を以下の構造のものに変えた以外は参考例1と全く同様にして参考例7の電子写真感光体を作製した。
【0185】
【化54】
【0186】
参考例8
参考例1における電荷輸送層に用いた高分子電荷輸送物質を以下の構造のものに変えた以外は参考例1と全く同様にして参考例8の電子写真感光体を作製した。
【0187】
【化55】
【0188】
参考例9
参考例1における電荷輸送層に用いた高分子電荷輸送物質を以下の構造のものに変えた以外は参考例1と全く同様にして参考例9の電子写真感光体を全く同様に作製した。
【0189】
【化56】
【0190】
比較例1
参考例1における電荷輸送層用塗工液を以下の構造に変えた以外は、参考例1と全く同様に作製した。
[電荷輸送層用塗工液]
下記構造の高分子電荷輸送物質 10部
【0191】
【化57】
塩化メチレン 100部
【0192】
比較例2
参考例1における電荷輸送層用塗工液を以下の構造に変えた以外は、参考例1と全く同様に作製した。
[電荷輸送層用塗工液]
ビスフェノールA型ポリカーボネート 8部
(帝人:パンライトK1300)
下記構造の低分子電荷輸送物質 10部
【0193】
【化58】
塩化メチレン 110部
【0194】
比較例3
比較例1における低分子電荷輸送物質を以下の構造に変えた以外は、比較例2と全く同様に作製した。
【0195】
【化59】
【0196】
比較例4
比較例1における低分子電荷輸送物質を以下の構造に変えた以外は、比較例2と全く同様に作製した。
【0197】
【化60】
【0198】
比較例5
比較例1における低分子電荷輸送物質を以下の構造に変えた以外は、比較例2と全く同様に作製した。
【0199】
【化61】
【0200】
さらに、実施例1、参考例1〜9及び比較例1〜5に用いた電荷輸送層用塗工液を用い、ITO膜を形成したガラス基板上に約10μmの電荷輸送層を形成し、次いで対向電極として金を約30Å蒸着し、移動度測定用のサンプルとした。
【0201】
以上のように作製した実施1、参考例1〜9及び比較例1〜5の電子写真感光体を実装用にした後、図1に示す構成で画像露光光源の光量が可変の装置に搭載し、感光体線速を変化させ、地汚れが発生した場合には、露光光量を増加し、その程度が変化しなかった画像コピーの画像品質を評価した。また、それぞれの感光体について、露光開始から現像終了までの時間を100msecに固定した条件で、1万サイクルの繰り返しテストを実施し、1万枚目の画像コピーの画像品質をも評価した。更に、移動度測定用のサンプルを用いて、光源として窒素レーザー(337.1nm)を用いたタイムオブフライト法により、電界強度が3×105V/cmでの電荷輸送層の移動度を測定した。すべての結果を表1に併せて示す。
【0202】
【表1−1】
【0203】
【表1−2】
【0204】
【表1−3】
【0205】
【表1−4】
【0206】
【表1−5】
【0207】
【表1−6】
【0208】
【表1−7】
【0209】
参考例10
参考例1における電荷発生層用塗工液を以下の構造のものに変えた以外は参考例1と全く同様にして参考例10の感光体を作製した。
【0210】
[電荷発生層用塗工液]
下記構造のトリスアゾ顔料 2.5部
【0211】
【化62】
ポリビニルブチラール(UCC:XYHL) 0.5部
シクロヘキサノン 200部
メチルエチルケトン 80部
【0212】
実施例2
参考例1における電荷発生層用塗工液を参考例10に使用したものに変更した以外は実施例1と全く同様にして実施例2の感光体を作製した。
【0213】
参考例11
参考例2における電荷発生層用塗工液を参考例10に使用したものに変更した以外は参考例2と全く同様にして参考例11の感光体を作製した。
【0214】
参考例12
参考例3における電荷発生層用塗工液を参考例10に使用したものに変更した以外は参考例3と全く同様にして参考例12の感光体を作製した。
【0215】
参考例13
参考例4における電荷発生層用塗工液を参考例10に使用したものに変更した以外は参考例4と全く同様にして参考例13の感光体を作製した。
【0216】
参考例14
参考例5における電荷発生層用塗工液を参考例10に使用したものに変更した以外は参考例5と全く同様にして参考例14の感光体を作製した。
【0217】
参考例15
参考例6における電荷発生層用塗工液を参考例10に使用したものに変更した以外は参考例6と全く同様にして参考例15の感光体を作製した。
【0218】
参考例16
参考例7における電荷発生層用塗工液を参考例10に使用したものに変更した以外は参考例7と全く同様にして参考例16の感光体を作製した。
【0219】
参考例17
参考例8における電荷発生層用塗工液を参考例10に使用したものに変更した以外は参考例8と全く同様にして参考例17の感光体を作製した。
【0220】
参考例18
参考例9における電荷発生層用塗工液を参考例10に使用したものに変更した以外は参考例9と全く同様にして参考例18の感光体を作製した。
【0221】
比較例6
比較例1における電荷発生層用塗工液を参考例10に使用したものに変更した以外は比較例1と全く同様に感光体を作製した。
【0222】
比較例7
比較例2における電荷発生層用塗工液を参考例10に使用したものに変更した以外は比較例2と全く同様に感光体を作製した。
【0223】
比較例8
比較例3における電荷発生層用塗工液を参考例10に使用したものに変更した以外は比較例3と全く同様に感光体を作製した。
【0224】
比較例9
比較例4における電荷発生層用塗工液を参考例10に使用したものに変更した以外は比較例4と全く同様に感光体を作製した。
【0225】
比較例10
比較例5における電荷発生層用塗工液を参考例10に使用したものに変更した以外は比較例5と全く同様に感光体を作製した。
【0226】
上記実施例2、参考例10〜18及び比較例6〜10の電子写真感光体を実装用にした後、図2に示す構成で第2色目の画像露光光源の光量が可変の反転現像方式の装置に搭載し、感光体線速を変化させ、第2色目の画像濃度が飽和するまで露光光量を増加し、得られた画像の画像濃度を評価した。また、それぞれの感光体について、露光開始から現像終了までの時間を100msecに固定した条件で、1万サイクルの繰り返しテストを実施し、1万枚目の画像コピーの画像品質をも評価した。結果を表2に示す。
【0227】
【表2−1】
【0228】
【表2−2】
【0229】
【表2−3】
【0230】
【表2−4】
【0231】
【表2−5】
【0232】
【表2−6】
【0233】
【発明の効果】
感光体の電荷輸送層の移動度は光減衰に大きな影響を与えており、特にシステム線速が大きく露光から現像までの時間が短くなると、移動度の小さな感光体では、露光光量を増加させても、現像部では十分な光減衰が行われておらず、良好な画像が得られず、また、移動度の大きな電荷輸送層でも、低分子電荷輸送物質をバインダー樹脂に分散した所謂分子分散高分子で電荷輸送層を構成した場合、システム内における繰り返し使用時の耐久性(特に耐摩耗性)に劣る場合がある。
しかしながら、本明細書中で詳細かつ具体的に説明したように、移動度の大きな高分子電荷輸送物質で電荷輸送層が構成された感光体を用いる本発明より、露光開始から現像終了までの短い電子写真装置において、良好な画像を得ることができるという著しい効果が発揮される。そしてこの効果は、繰り返し使用時においてもかなりの時間継続される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真画像形成装置の一例を模式的に説明する図である。
【図2】本発明の電子写真画像形成装置の別の一例を模式的に説明する図である。
【図3】本発明の電子写真画像形成装置に用いる電子写真感光体の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の電子写真画像形成装置に用いる電子写真感光体の別の構成を示す断面図である。
【図5】本発明の電子写真画像形成装置に用いる電子写真感光体のさらに別の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 感光体
2 帯電器
3 画像露光装置
4 現像器
5 転写帯電器
6 分離帯電器
7 クリーニング装置
8 第一色目用一次帯電器
9 第一色目用画像露光手段
10 第一色目用現像器
11 第一色目用一次帯電器
12 第二色目用画像露光手段
13 第二色目用現像器
21 導電性支持体
23 感光層
25 下引き層
31 電荷発生層
33 電荷輸送層
Claims (2)
- 導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質と3×105V/cmの電
界下で1×10−5cm2/V・sec以上のキャリア移動度を有する高分子電荷輸送物
質を含有してなる感光層を設けた電子写真感光体を内蔵してなることを特徴とする、露光
開始から現像終了までの時間が0.1秒以下の画像形成プロセスに用いられる電子写真画
像形成装置であって、上記電子写真感光体に含有される高分子電荷輸送物質が、下記一般
式2で表わされる高分子電荷輸送物質であることを特徴とする上記装置。
又は異なるアリレン基を表わす。k、jは組成を表わし、0.1≦k≦1、0≦j≦0.
9、nは繰り返し単位数を表わし5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状
脂肪族の2価基、又は下記一般式で表わされる2価基を表わす。
基又はハロゲン原子を表わす。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12
の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO 2 −
、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表わす。)または
、
無置換のアルキル基又はアリール基を表わす。)を表わす。ここで、R 101 とR 102
、R 103 とR 104 は、それぞれ同一でも異なってもよい。〕 - 画像形成プロセスの第一色目の画像を形成する一次帯電、露光、現像
各手段、第二色目の画像を形成する一次帯電、露光、現像各手段とが、前記感光体周囲に
順に配置なされていることを特徴とする請求項1に記載の電子写真画像形成装置。
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