JP3558147B2 - 電子写真プロセス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体及びそれを用いた電子写真プロセスに関し、より詳しくは長寿命電子写真感光体及び電子写真感光体上に静電潜像を形成し、該感光体表面側に静電記録体を接触させ、該感光体と静電記録体の間に電圧を印加して静電記録体上に該感光体に対応した静電潜像を転写した後、該静電記録体上の静電潜像を可視化する潜像転写方式を用いた電子写真プロセスに関する。
【0002】
本発明の電子写真感光体及びそれを用いた電子写真プロセスは、複写機、ファクシミリ、レーザプリンタ、ダイレクトデジタル製版機等に応用される。
【0003】
【従来の技術】
電子写真方法としては、カールソンプロセスやその種々の変形プロセスが知られており、複写機やプリンタなどに広く使用されている。このような電子写真方法に用いられる感光体の中でも、有機系の感光材料を用いたものが、安価、大量生産性、無公害性などをメリットとして、近年使用され始めている。
【0004】
有機系の電子写真感光体には、PVK(ポリビニルカルバゾール)に代表される光導電性樹脂、PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体型、フタロシアニン−バインダーに代表される顔料分散型、電荷発生物質と電荷輸送物質とを組み合わせて用いる機能分離型の感光体などが知られており、特に機能分離型の感光体が注目されている。
【0005】
この機能分離型の感光体における静電潜像形成のメカニズムは、感光体を帯電した後光照射すると、光は透明な電荷輸送層を通過し、電荷発生層中の電荷発生物質により吸収され、光を吸収した電荷発生物質は電荷担体を発生し、この電荷担体は電荷輸送層に注入され、帯電によって生じている電界にしたがって電荷輸送層中を移動し、感光体表面の電荷を中和することにより静電潜像を形成するものである。機能分離型感光体においては、主に紫外部に吸収を持つ電荷輸送物質と、主に可視部に吸収を持つ電荷発生物質とを組み合わせて用いることが知られており、かつ有用である。
【0006】
電荷輸送物質は、多くが低分子化合物として開発されているが、低分子化合物は単独で成膜性がないため、通常、不活性高分子に分散・混合して用いられる。しかるに低分子電荷輸送物質と不活性高分子からなる電荷輸送層は一般に柔らかく、カールソンプロセスにおいては繰り返し使用による膜削れを生じやすいという欠点がある。
【0007】
さらに、この構成の電荷輸送層は電荷移動度に限界があり、カールソンプロセスの高速化あるいは小型化の障害となっていた。これは通常低分子電荷輸送物質の含有量が50重量%以下で使用されることに起因している。すなわち低分子電荷輸送物質の含有量を増すことで確かに電荷移動度は上げられるが、このとき逆に製膜性が劣化するためである。
【0008】
この点を克服するために高分子型の電荷輸送物質が注目され、例えば、特開昭51−73888号公報、特開昭54−8527号公報、特開昭54−11737号公報、特開昭56−150749号公報、特開昭57−78402号公報、特開昭63−285552号公報、特開平1−1728号公報、特開平1−19049号公報、特開平3−50555号公報等に開示されている。
【0009】
しかしながら、高分子電荷輸送物質からなる電荷輸送層と電荷発生層とを組み合わせた感光体の光感度は、上記の低分子電荷輸送物質を用いた場合に比べ著しく劣っており、この点の改良が強く望まれていた。
【0010】
一方電子写真プロセスとして、上記カールソンプロセス以外の一方法として、潜像転写(Transfer of Electro−Static Image)プロセスが挙げられる。このTESIプロセスは、カールソンプロセスとは異なり、感光体と静電潜像保持が可能な静電記録体の間に電圧を印加することにより、感光体上に形成された静電潜像を静電記録体上に転写した後、転写された静電潜像を可視化するものである。(R、M、シャファート著「電子写真」共立出版、pp.70)
【0011】
潜像転写プロセスは、カールソンプロセスと比較して、記録体として導電層と誘電層が必要であるために、普通紙を用いることができないという欠点がある。しかし感光体上の静電潜像を直接現像する必要がないために、電子写真感光体周りに現像装置、クリーニング装置などを配置する必要がなく、電子写真感光体周りの省スペース化が可能となる。さらに、潜像転写プロセスは、現像後のトナー転写行程が必要でないことから、カールソンプロセスに比べて、トナー飛散等による画像品質の劣化が抑制され、高精細な画像が得られる。
【0012】
潜像転写プロセスに用いられる感光体は、上記カールソンプロセス用の感光体をそのまま転用し、使用することが可能である。
【0013】
このような点から潜像転写プロセス用感光体も、カールソンプロセス用感光体と同様の問題が生じ、高耐久化、高感度化が望まれていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高精細な画像形成を行うことが可能な潜像転写プロセスにおいて、繰り返し使用時の耐摩耗性に優れた高分子電荷輸送物質からなる感光体を用いることにより、長期的に安定した画像形成を行なうことが可能な電子写真感光体プロセスを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明により、電子写真感光体上に静電潜像を形成し、該感光体表面側に静電記録体を接触させ、該感光体と静電記録体の間に電圧を印加して静電記録体上に該感光体に対応した静電潜像を転写した後、該静電記録体上の静電潜像を可視化する静電転写方式の電子写真プロセスにおいて、該電子写真プロセスに用いられる電子写真感光体の支持体から最も離れた最表層に高分子電荷輸送物質が含有された電子写真感光体が用いられることを特徴とする電子写真プロセスが提供される。
【0016】
また、上記潜像転写プロセスで使用される電子写真感光体に含有される高分子電荷輸送物質が、トリアリールアミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボネートであることを特徴とする電子写真プロセスが提供される。
【0017】
また、上記潜像転写プロセスで使用される導電性支持体上に感光層を設けた電子写真感光体において、該感光層に少なくとも1種の一般式2で表わされる高分子電荷輸送物質を含有することを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【0018】
【化13】
〔ただし、式中、R 7 、R 8 は置換若しくは無置換のアリール基、Ar 1 、Ar 2 、Ar 3 は同一又は異なるアリレン基を表し、k、jは組成を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表し、5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、又は下記一般式で表される2価基を表す。
【0019】
【化14】
式中、R101、R102は各々独立して置換若しくは無置換のアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表わす。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表わす。)または、
【0020】
【化15】
(式中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換又は無置換のアルキル基又はアリール基を表わす。)を表わす。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。
【0030】
次に、図面を用いて本発明で用いられる潜像転写プロセス及び電子写真感光体を説明する。
図1は、本発明において用いられる転写同時加熱定着プロセスの断面図であり、感光体(11)とその周りの、帯電装置(12)、露光装置(13)、転写装置(14)、除電装置(15)、現像装置(16)から形成される。
図2は、本発明において用いられる電子写真感光体の断面図であり、導電性支持体(21)上に感光層(23)が形成されたものである。
【0031】
図3は、別の構成を示す断面図であり、導電性支持体(21)上に電荷発生層(31)と電荷輸送層(33)からなる感光層(23)が形成されたものである。
図4は、さらに別の構成を示す断面図であり、導電性支持体(21)と感光層(23)との間に下引き層(25)が形成されたものである。
【0032】
本発明に用いられる潜像転写プロセスの1例を示す。図1においては、最表層に高分子電荷輸送物質を含有する電子写真感光体(11)の周りに帯電装置(12)、光学系を通した原稿像、レーザ光等により露光するための露光装置(13)、静電潜像を静電記録体(17)に転写する転写装置(14)、除電装置(15)が設けられ、さらに静電記録体(17)に転写された潜像にトナーを現像する現像装置(16)が設けられ、これらによってシステムが形成されている。ここで用いられる静電記録体(17)は、潜像を記録する側に順に、誘電層、導電層の少なくとも2層からなるものである。
【0033】
潜像転写プロセスの基本的な一動作を、次に順序立てて説明する。
▲1▼感光体表面に電圧を印加して、表面を一様に帯電させる。
▲2▼感光体に像露光し、静電潜像を形成させる。
▲3▼感光体と静電記録体を、電圧印加した転写装置上で接触させる。
▲4▼転写装置と感光体の電位ギャップにより、感光体上の静電潜像を静電記録体に転写し、静電記録体を感光体から剥離する。
▲5▼静電潜像を転写した静電記録体を、現像装置に送り、トナー等により潜像を可視化する。
▲6▼静電潜像を静電記録体に転写した感光体上の表面電荷を、除電装置で取り除く。
【0034】
転写装置に印加する電圧により、感光層の帯電部が転写されるポジ転写と感光層の非帯電部(あるいは低帯電部)が転写されるネガ転写が選択できる。
【0035】
本発明におけるプロセスは、上記一例に限定されるものではなく、少なくとも高分子電荷輸送物質を含む感光体を用いた潜像転写プロセスであればかまわない。
【0036】
次に、本発明に用いられる高分子電荷輸送物質について述べる。
本発明に用いられる高分子電荷輸送物質としては、公知の高分子電荷輸送材料を用いることができる。
【0037】
例えば、
(a)主鎖及び/又は側鎖にカルバゾール環を有する重合体
例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾールの重合体、特開昭50−82056号公報開示のN−アクリルアミドメチルカルバゾールの重合体、特開昭54−9632号公報記載のハロゲン化ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭54−11737号公報記載のポリ−N−アクリルアミドメチルカルバゾール及びポリ−N−アクリルアミドメチルカルバモイルアルキルカルバゾール、特開平4−183719号公報に記載のカルバゾール構造を有する特定のジヒドロキシ化合物即ちビス[N−ヒドロキシアリール(又は−ヒドロキシヘテロ)−N−アリール]アミノ置換カルバゾールを或いはこれとビスフェノール化合物とを炭酸エステル形成性化合物と反応させることにより得られるカルバゾール系ポリカーボネート、化合物等が例示される。
【0038】
(b)主鎖及び/又は側鎖にヒドラゾン構造を有する重合体
例えば、特開昭57−78402号公報記載の、クロルメチル化ポリスチレンと4−ヒドロキシベンジリデンベンジルフェニルヒドラゾンとの脱塩酸縮合により生成されるヒドラゾン構造を有するポリスチレン、特開平3−50555号公報に記載のポリ(4−ホルミルスチレン)と1,1−ジアリールヒドラジンとの脱水縮合により生成される4−ヒドラゾン側鎖構造を有するポリスチレン化合物等が例示される。
【0039】
(c)ポリシリレン重合体
例えば、特開昭63−285552号公報記載のポリ(メチルフェニルシリレン)、ポリ(n−プロピルメチルシリレン)−1−メチルフェニルシリレン又はポリ(n−プロピルメチルシリレン)、特開平5−19497号公報記載の−(Si(R1)(R2))−、又は
【0040】
【化25】
の繰り返し単位を有するポリシラン化合物(R1、R2、R3、R4はH、ハロゲン、エーテル基、置換アルキル基等)の化合物等が例示される。
(d)主鎖及び/又は側鎖に第3級アミン構造を有する重合体
例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−13061号公報、及び特開平1−19049号公報記載の一般式
【0041】
【化26】
を有するアリールアミン樹脂化合物
(ここでAr、Ar’はアリール、Zはカルバゾール−4,7−ジイル基、フルオレニン基、フェニレン基、ピレンジイル基、4,4’−ビフェニレン基等の2価の不飽和環式基、R及びR’は個々に−CH2−、−(CH2)2−、−(CH2)3−及び−(CH2)4−、R”は−CO−又は−CO−O−C6H4−Y−C6H4−O−CO−(Yは−O−、−CH2−、−S−、−C(Me)2−等)、mは0又は1、nは5〜5000を表わす。)、特開平1−1728号公報記載のR−[O−A−O−CH2−CH(OR)−CH2−O−B−O−CH2−CH(OR)−CH2]m−(RはH、−Me、−Et、mは4〜1000、Aは−Ar−N(Ar’)−[Z]−[N(Ar’)−Ar]n−(Zはカルバゾール−4,7−ジイル基、フルオニレン基、フェニレン基、ピレンジイル基、4,4’−ビフェニレン基等の2価の不飽和環式基、Ar、Ar’はアリール基)、BはAと同じ意味か又は−Ar−V−Ar(Vは−CH2−、−O−、−S−、−C(Me)2−等)を表わす。)を有するアリールアミン含有ポリヒドロキシエーテル樹脂、特開平5−66598号公報記載の
【0042】
【化27】
(n1は1〜10、n2は0〜4、n3は0〜5、mは0〜1)の構造を有する(メタ)アクリル酸エステルの(共)重合体、特開平5−40350号公報に記載の、構造単位
【0043】
【化28】
(R1、R2はアルキル、アリール、アラルキル、Ar1、Ar2、Ar3は2価の芳香族残基、lは0以上の整数、mは1以上の整数、nは2以上の整数、pは3〜6の整数)を有する化合物等が例示される。
(e)その他の重合体
例えば、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報記載の、6−ビニルインドロ[2,3−b]キノキサリン誘導体の重合物、特開昭56−150749号公報に記載の、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパンのホルムアルデヒド縮合樹脂化合物等が例示される。
【0044】
本発明に使用される電子供与性基を有する重合体は、上記重合体だけでなく、公知単量体の共重合体や、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマーや、又、例えば特開平3−109406号公報に開示されているような、
【0045】
【化29】
電子供与性基を有する架橋重合体等を用いることも可能である。
【0046】
また本発明における高分子電荷輸送物質として、主鎖及び/又は側鎖にトリアリールアミン構造を有するポリカーボネートが有効に使用される。更に、下記一般式1〜10で表わされる高分子電荷輸送物質を用いることにより、本発明の効果はよりいっそう顕著なものとなる。一般式1〜10で表わされる高分子電荷輸送物質を以下に例示し、具体例を示す。
【0047】
【化30】
式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して置換若しくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、R4は水素原子又は置換若しくは無置換のアルキル基、R5、R6は置換若しくは無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成を表わし、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表わし5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、又は下記一般式で表わされる2価基を表わす。
【化31】
式中、R101、R102は各々独立して置換若しくは無置換のアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表わす。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表わす。)又は、
【0048】
【化32】
(式中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換又は無置換のアルキル基又はアリール基を表わす。)を表わす。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。
【0049】
一般式1の具体例
R1、R2、R3はそれぞれ独立して置換若しくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子を表わすが、その具体例としては以下のものを挙げることができ、同一であっても異なってもよい。
【0050】
アルキル基として好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基はさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基、又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基若しくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を含有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−エトキシエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
【0051】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
R4は水素原子又は置換若しくは無置換のアルキル基を表わすが、そのアルキル基の具体例としては上記のR1、R2、R3と同様のものが挙げられる。
R5、R6は置換若しくは無置換のアリール基(芳香族炭化水素基及び不飽和複素環基)を表わすが、その具体例としては以下のものを挙げることができ、同一であっても異なってもよい。
【0052】
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、縮合多環基としてナフチル基、ピレニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニル基、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテニリデンフェニル基、非縮合多環基としてビフェニリル基、ターフェニリル基などが挙げられる。
複素環基としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基などが挙げられる。
【0053】
上記のアリール基は以下に示す基を置換基として有してもよい。
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)アルキル基。アルキル基としては、上記のR1、R2、R3と同様のものが挙げられる。
【0054】
(3)アルコキシ基(−OR105)。アルコキシ基(−OR105)としては、R105が上記(2)で定義したアルキル基であるものが挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基。アリールオキシ基としては、アリール基としてフェニル基、ナフチル基を有するものが挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェニノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
【0055】
(5)置換メルカプト基又はアリールメルカプト基。置換メルカプト基又はアリールメルカプト基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)アルキル置換アミノ基。アルキル置換アミノ基としては、アルキル基が前記(2)で定義したアルキル基のものが挙げられ、具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−プロピルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
(7)アシル基。アシル基としては、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
【0056】
前記Xで表わされる構造部分は下記一般式(A)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物をホスゲン法、エステル交換法等を用い重合するとき、下記一般式(B)のジオール化合物を併用することにより主鎖中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネート樹脂はランダム共重合体、又はブロック共重合体となる。また、Xで表わされる構造部分は下記一般式(A)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物と下記一般式(B)から誘導されるビスクロロホーメートとの重合反応によっても繰り返し単位中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネートは交互共重合体となる。
【0057】
【化33】
一般式(B)のジオール化合物の具体例としては以下のものが挙げられる。
1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオールや1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等の環状脂肪族ジオール等が挙げられる。
【0058】
また、芳香環を有するジオールとしては、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルオキシド、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)キサンテン、エチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)、ジエチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)、トリエチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−テトラメチルジシロキサン、フェノール変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0059】
【化34】
式中、R7、R8は置換若しくは無置換のアリール基、Ar1、Ar2、Ar3は同一又は異なるアリレン基を表わす。X、k、j及びnは、一般式1の場合と同じである。
【0060】
一般式2の具体例
R7、R8は置換若しくは無置換のアリール基を表わすが、その具体例としては以下のものを挙げることができ、同一であっても異なってもよい。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、縮合多環基としてナフチル基、ピレニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニル基、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテニリデンフェニル基、非縮合多環基としてビフェニリル基、ターフェニリル基、又は
【0061】
【化35】
(ここで、Wは−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−又は以下の2価基を表わす。)
【0062】
【化36】
【0063】
【化37】
【0064】
【化38】
【0065】
【化39】
を表わす。
【0066】
複素環基としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基などが挙げられる。
また、Ar1、Ar2及びAr3で示されるアリレン基としてはR7及びR8で示したアリール基の2価基が挙げられ、同一であっても異なってもよい。
上述のアリール基及びアリレン基は以下に示す基(1)〜基(7)を置換基として有してもよい。また、これら置換基は上記一般式中のR106、R107、R108と同じ意味を有する。
【0067】
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)アルキル基。アルキル基としては、好ましくはC1〜C12とりわけC1〜C18さらに好ましくはC1〜C4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基はさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基、又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基若しくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を含有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−エトキシエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
【0068】
(3)アルコキシ基(−OR109)。アルコキシ基(−OR109)としては、R109が(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基。アリールオキシ基としては、アリール基としてフェニル基、ナフチル基を有するものが挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
【0069】
(5)置換メルカプト基又はアリールメルカプト基。置換メルカプト基又はアリールメルカプト基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)次式で表わされるアルキル置換アミノ基。
【0070】
【化40】
式中、R110及びR111は各々独立に前記(2)で定義したアルキル基又はアリール基を表わす。アリール基としては例えばフェニル基、ビフェニル基、又はナフチル基が挙げられ、これらはC1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。またアリール基上の炭素原子と共同で環を形成してもよい。このアルキル置換アミノ基としては具体的には、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(pートリル)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ユロリジル基等が挙げられる。
【0071】
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等。
【0072】
前記Xで表わされる構造部分は下記一般式(C)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物をホスゲン法、エステル交換法等を用い重合するとき、下記一般式(B)のジオール化合物を併用することにより主鎖中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネート樹脂はランダム共重合体、又はブロック共重合体となる。また、Xの構造部分は下記一般式(C)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物と下記一般式(B)から誘導されるビスクロロホーメートとの重合反応によっても繰り返し単位中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネートは交互共重合体となる。
【0073】
【化41】
一般式(B)のジオール化合物としては一般式1と同じものが挙げられる。
【0074】
【化42】
式中、R9、R10は置換若しくは無置換のアリール基、Ar4、Ar5、Ar6は同一又は異なるアリレン基を表わす。X、k、j及びnは、一般式1の場合と同じである。
【0075】
一般式3の具体例
R9、R10は置換若しくは無置換のアリール基を表わすが、その具体例としては以下のものを挙げることができ、同一であっても異なってもよい。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、縮合多環基としてナフチル基、ピレニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニル基、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテニリデンフェニル基、非縮合多環基としてビフェニリル基、ターフェニリル基などが挙げられる。
複素環基としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基などが挙げられる。
【0076】
また、Ar4、Ar5及びAr6で示されるアリレン基としてはR9及びR10で示したアリール基の2価基が挙げられ、同一であっても異なってもよい。上述のアリール基及びアリレン基は以下に示す基を置換基として有してもよい。
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)アルキル基。アルキル基としては、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基はさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基、又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基若しくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を含有してもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−エトキシエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
【0077】
(3)アルコキシ基(−OR112)。アルコキシ基(−OR112)としては、R112が上記(2)で定義したアルキル基のものが挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
【0078】
(4)アリールオキシ基。アリールオキシ基としては、アリール基としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
【0079】
(5)置換メルカプト基又はアリールメルカプト基。置換メルカプト基又はアリールメルカプト基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
【0080】
(6)アルキル置換アミノ基。アルキル置換アミノ基としては、アルキル基は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−プロピルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
(7)アシル基;具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
【0081】
前記Xで表わされる構造部分は下記一般式(D)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物をホスゲン法、エステル交換法等を用い重合するとき、下記一般式(B)のジオール化合物を併用することにより主鎖中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネート樹脂はランダム共重合体、又はブロック共重合体となる。また、Xの構造部分は下記一般式(D)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物と下記一般式(B)から誘導されるビスクロロホーメートとの重合反応によっても繰り返し単位中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネートは交互共重合体となる。
【0082】
【化43】
一般式(B)のジオール化合物は一般式1と同じものが挙げられる。
【0083】
【化44】
式中、R11、R12は置換若しくは無置換のアリール基、Ar7、Ar8、Ar9は同一又は異なるアリレン基、pは1〜5の整数を表わす。X、k、j及びnは、一般式1の場合と同じである。
【0084】
一般式4の具体例
R11、R12は置換若しくは無置換のアリール基を表わすが、その具体例としては以下のものを挙げることができ、同一であっても異なってもよい。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、縮合多環基としてナフチル基、ピレニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニル基、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテニリデンフェニル基、非縮合多環基としてビフェニリル基、ターフェニリル基などが挙げられる。
複素環基としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基などが挙げられる。
【0085】
また、Ar7、Ar8及びAr9で示されるアリレン基としてはR11及びR12で示したアリール基の2価基が挙げられ、同一であっても異なってもよい。
上述のアリール基及びアリレン基は以下に示す基を置換基として有してもよい。
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)アルキル基。アルキル基としては、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基はさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基、又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基若しくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を含有してもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−エトキシエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
【0086】
(3)アルコキシ基(−OR113)。アルコキシ基(−OR113)としては、R113が上記(2)で定義したアルキル基のものが挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基。アリールオキシ基としては、アリール基としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
【0087】
(5)置換メルカプト基又はアリールメルカプト基。置換メルカプト基又はアリールメルカプト基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)アルキル置換アミノ基。アルキル置換アミノ基としては、アルキル基が上記(2)で定義したアルキル基のものが挙げられ、具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−プロピルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
(7)アシル基。アシル基としては、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
【0088】
前記Xで表わされる構造部分は下記一般式(E)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物をホスゲン法、エステル交換法等を用い重合するとき、下記一般式(B)のジオール化合物を併用することにより主鎖中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネート樹脂はランダム共重合体、又はブロック共重合体となる。また、Xの構造部分は下記一般式(E)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物と下記一般式(B)から誘導されるビスクロロホーメートとの重合反応によっても繰り返し単位中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネートは交互共重合体となる。
【0089】
【化45】
一般式(B)のジオール化合物は一般式1と同じものが挙げられる。
【0090】
【化46】
式中、R13、R14は置換若しくは無置換のアリール基、Ar10、Ar11、Ar12は同一又は異なるアリレン基、X1、X2は置換若しくは無置換のエチレン基、又は置換若しくは無置換のビニレン基を表わす。X、k、j及びnは、一般式1の場合と同じである。
【0091】
一般式5の具体例
R13、R14は置換若しくは無置換のアリール基を表わすが、その具体例としては以下のものを挙げることができ、同一であっても異なってもよい。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、縮合多環基としてナフチル基、ピレニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニル基、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテニリデンフェニル基、非縮合多環基としてビフェニリル基、ターフェニリル基などが挙げられる。
複素環基としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基などが挙げられる。
【0092】
また、Ar10、Ar11及びAr12で示されるアリレン基としてはR13及びR14で示したアリール基の2価基が挙げられ、同一であっても異なってもよい。
上述のアリール基及びアリレン基は以下に示す基を置換基として有してもよい。
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。(2)アルキル基。アルキル基としては、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基はさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基、又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基若しくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を含有してもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−エトキシエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
【0093】
(3)アルコキシ基(−OR114)。アルコキシ基(−OR114)としては、R114が上記(2)で定義したアルキル基のものが挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
【0094】
(4)アリールオキシ基。アリールオキシ基としては、アリール基としてフェニル基、ナフチル基を有するものが挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
【0095】
(5)置換メルカプト基又はアリールメルカプト基。置換メルカプト基又はアリールメルカプト基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
【0096】
(6)アルキル置換アミノ基。アルキル置換アミノ基としては、アルキル基が上記(2)で定義したアルキル基のものが挙げられ、具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−プロピルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
(7)アシル基。アシル基としては、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
【0097】
前記X1、X2の構造部分は置換若しくは無置換のエチレン基、置換若しくは無置換のビニレン基を表わし、この置換基としては、シアノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、上記R13、R14のアリール基、上記(2)のアルキル基が挙げられる。
【0098】
前記Xで表わされる構造部分は下記一般式(F)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物をホスゲン法、エステル交換法等を用い重合するとき、下記一般式(B)のジオール化合物を併用することにより主鎖中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネート樹脂はランダム共重合体、又はブロック共重合体となる。また、Xの構造部分は下記一般式(F)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物と下記一般式(B)から誘導されるビスクロロホーメートとの重合反応によっても繰り返し単位中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネートは交互共重合体となる。
【0099】
【化47】
一般式(B)のジオール化合物は一般式1と同じものが挙げられる。
【0100】
【化48】
【0101】
式中、R15、R16、R17、R18は置換若しくは無置換のアリール基、Ar13、Ar14、Ar15、Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y1、Y2、Y3は単結合、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のシクロアルキレン基、置換若しくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わし同一であっても異なってもよい。X、k、j及びnは、一般式1の場合と同じである。
【0102】
一般式6の具体例
R15、R16、R17、R18は置換若しくは無置換のアリール基を表わすが、その具体例としては以下のものを挙げることができ、同一であっても異なってもよい。
【0103】
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、縮合多環基としてナフチル基、ピレニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニル基、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテニリデンフェニル基、非縮合多環基としてビフェニリル基、ターフェニリル基などが挙げられる。
複素環基としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基などが挙げられる。
【0104】
また、Ar13、Ar14、Ar15及びAr16で示されるアリレン基としてはR15、R16、R17、及びR18で示した上記のアリール基の2価基が挙げられ、同一であっても異なってもよい。
【0105】
上述のアリール基及びアリレン基は以下に示す基を置換基として有してもよい。
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)アルキル基。アルキル基としては、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基はさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基、又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基若しくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を含有してもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−エトキシエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
【0106】
(3)アルコキシ基(−OR115)。アルコキシ基(−OR115)としては、R115が上記(2)で定義したアルキル基のものが挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
【0107】
(4)アリールオキシ基。アリールオキシ基としては、アリール基としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
【0108】
前記Y1、Y2、Y3の構造部分は単結合、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のシクロアルキレン基、置換若しくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わし、同一であっても異なっていてもよい。
【0109】
このアルキレン基としては、上記(2)で示したアルキル基より誘導される2価基が挙げられ、具体的には、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、ジフルオロメチレン基、ヒドロキシエチレン基、シアノエチレン基、メトキシエチレン基、フェニルメチレン基、4−メチルフェニルメチレン基、2,2−プロピレン基、2,2−ブチレン基、ジフェニルメチレン基等を挙げることができる。
【0110】
同シクロアルキレン基としては、1,1−シクロペンチレン基、1,1−シクロヘキシレン基、1,1−シクロオクチレン基等を挙げることができる。
【0111】
同アルキレンエーテル基としては、ジメチレンエーテル基、ジエチレンエーテル基、エチレンメチレンエーテル基、ビス(トリエチレン)エーテル基、ポリテトラメチレンエーテル基等が挙げられる。
【0112】
前記Xで表わされる構造部分は下記一般式(G)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物をホスゲン法、エステル交換法等を用い重合するとき、下記一般式(B)のジオール化合物を併用することにより主鎖中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネート樹脂はランダム共重合体、又はブロック共重合体となる。また、Xの構造部分は下記一般式(G)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物と下記一般式(B)から誘導されるビスクロロホーメートとの重合反応によっても繰り返し単位中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネートは交互共重合体となる。
【0113】
【化49】
一般式(B)のジオール化合物は一般式1と同じものが挙げられる。
【0114】
【化50】
式中、R19、R20は水素原子、置換若しくは無置換のアリール基を表わし、R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17、Ar18、Ar19は同一又は異なるアリレン基を表わす。X、k、j及びnは、一般式1の場合と同じである。
【0115】
一般式7の具体例
R19、R20は置換若しくは無置換のアリール基を表わすが、その具体例としては以下のものを挙げることができ、同一であっても異なってもよい。
【0116】
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、縮合多環基としてナフチル基、ピレニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニル基、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテニリデンフェニル基、非縮合多環基としてビフェニリル基、ターフェニリル基などが挙げられる。
複素環基としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基などが挙げられる。
【0117】
また、R19、R20は環を形成する場合、9−フルオリニデン、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘブテニリデンなどが挙げられる。
また、Ar17、Ar18及びAr19で示されるアリレン基としてはR19及びR20で示したアリール基の2価基が挙げられ、同一であっても異なってもよい。
【0118】
上述のアリール基及びアリレン基は以下に示す基を置換基として有してもよい。
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)アルキル基。アルキル基としては、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基はさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基、又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基若しくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を含有してもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−エトキシエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
【0119】
(3)アルコキシ基(−OR116)。アルコキシ基(−OR116)としては、R116が上記(2)で定義したアルキル基のものが挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
【0120】
(4)アリールオキシ基。アリールオキシ基としては、アリール基としてフェニル基、ナフチル基を有するものが挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
【0121】
(5)置換メルカプト基又はアリールメルカプト基。置換メルカプト基又はアリールメルカプト基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)アルキル置換アミノ基。アルキル置換アミノ基としては、アルキル基が上記(2)で定義したアルキル基のものが挙げられ、具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−プロピルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
(7)アシル基。アシル基としては、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
【0122】
前記Xの構造部分は下記一般式(H)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物をホスゲン法、エステル交換法等を用い重合するとき、下記一般式(B)のジオール化合物を併用することにより主鎖中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネート樹脂はランダム共重合体、又はブロック共重合体となる。また、Xの構造部分は下記一般式(H)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物と下記一般式(B)から誘導されるビスクロロホーメートとの重合反応によっても繰り返し単位中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネートは交互共重合体となる。
【0123】
【化51】
一般式(B)のジオール化合物は一般式1と同じものが挙げられる。
【0124】
【化52】
式中、R21は置換若しくは無置換のアリール基、Ar20、Ar21、Ar22、Ar23は同一又は異なるアリレン基を表わす。X、k、j及びnは、一般式1の場合と同じである。
【0125】
一般式8の具体例
R21は置換若しくは無置換のアリール基を表わすが、その具体例としては以下のものを挙げることができ、同一であっても異なってもよい。
【0126】
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、縮合多環基としてナフチル基、ピレニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニル基、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテニリデンフェニル基、非縮合多環基としてビフェニリル基、ターフェニリル基などが挙げられる。
複素環基としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基などが挙げられる。
【0127】
また、Ar20、Ar21、Ar22及びAr23で示されるアリレン基としてはR21で示したアリール基の2価基が挙げられ、同一であっても異なってもよい。
上述のアリール基及びアリレン基は以下に示す基を置換基として有してもよい。
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
【0128】
(2)アルキル基。アルキル基としては、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基はさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基、又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基若しくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を含有してもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−エトキシエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
【0129】
(3)アルコキシ基(−OR117)。アルコキシ基(−OR117)としては、R117が上記(2)で定義したアルキル基のものが挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
【0130】
(4)アリールオキシ基。アリールオキシ基としては、アリール基としてフェニル基、ナフチル基を有するものが挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
【0131】
(5)置換メルカプト基又はアリールメルカプト基。置換メルカプト基又はアリールメルカプト基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
【0132】
(6)アルキル置換アミノ基。アルキル置換アミノ基としては、アルキル基が上記(2)で定義したアルキル基のものを表わす。具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−プロピルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
(7)アシル基。アシル基としては、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
【0133】
前記Xの構造部分は下記一般式(J)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物をホスゲン法、エステル交換法等を用い重合するとき、下記一般式(B)のジオール化合物を併用することにより主鎖中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネート樹脂はランダム共重合体、又はブロック共重合体となる。また、この構造部分Xは下記一般式(J)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物と下記一般式(B)から誘導されるビスクロロホーメートとの重合反応によっても繰り返し単位中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネートは交互共重合体となる。
【0134】
【化53】
一般式(B)のジオール化合物は一般式1と同じものが挙げられる。
【0135】
【化54】
式中、R22、R23、R24、R25は置換若しくは無置換のアリール基、Ar24、Ar25、Ar26、Ar27、Ar28は同一又は異なるアリレン基を表わす。X、k、j及びnは、一般式1の場合と同じである。
【0136】
一般式9の具体例
R22、R23、R24、R25は置換若しくは無置換のアリール基を表わすが、その具体例としては以下のものを挙げることができ、同一であっても異なってもよい。
【0137】
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、縮合多環基としてナフチル基、ピレニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニル基、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテニリデンフェニル基、非縮合多環基としてビフェニリル基、ターフェニリル基などが挙げられる。
複素環基としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基などが挙げられる。
【0138】
また、Ar24、Ar25、Ar26、Ar27、及びAr28で示されるアリレン基としては、R22、R23、R24、及びR25で示したアリール基の2価基が挙げられ、同一であっても異なってもよい。
上述のアリール基及びアリレン基は以下に示す基を置換基として有してもよい。
【0139】
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)アルキル基。アルキル基としては、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基はさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基、又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基若しくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を含有してもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−エトキシエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
【0140】
(3)アルコキシ基(−OR118)。アルコキシ基(−OR118)としては、R118が上記(2)で定義したアルキル基のものが挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
【0141】
(4)アリールオキシ基。アリールオキシ基としては、アリール基としてフェニル基、ナフチル基を有するものが挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
【0142】
(5)置換メルカプト基又はアリールメルカプト基。置換メルカプト基又はアリールメルカプト基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
【0143】
(6)アルキル置換アミノ基。アルキル置換アミノ基としては、アルキル基が上記(2)で定義したアルキル基のものが挙げられ、具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−プロピルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
(7)アシル基。アシル基としては、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
【0144】
前記Xで表わされる構造部分は下記一般式(L)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物をホスゲン法、エステル交換法等を用い重合するとき、下記一般式(B)のジオール化合物を併用することにより主鎖中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネート樹脂はランダム共重合体、又はブロック共重合体となる。また、この構造部分Xは下記一般式(L)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物と下記一般式(B)から誘導されるビスクロロホーメートとの重合反応によっても繰り返し単位中に導入される。この場合、製造されるリカーボネートは交互共重合体となる。
【化55】
一般式(B)のジオール化合物は一般式1と同じものが挙げられる。
【0145】
【化56】
式中、R26、R27は置換若しくは無置換のアリール基、Ar29、Ar30、Ar31は同一又は異なるアリレン基を表わす。X、k、j及びnは、一般式1の場合と同じである。
【0146】
一般式10の具体例
R26、R27は置換若しくは無置換のアリール基を表わすが、その具体例としては以下のものを挙げることができ、同一であっても異なってもよい。
【0147】
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、縮合多環基としてナフチル基、ピレニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニル基、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテニリデンフェニル基、非縮合多環基としてビフェニリル基、ターフェニリル基などが挙げられる。
複素環基としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基などが挙げられる。
【0148】
また、Ar29、Ar30、及びAr31で示されるアリレン基としては、R26及びR27で示したアリール基の2価基が挙げられ、同一であっても異なってもよい。
上述のアリール基及びアリレン基は以下に示す基を置換基として有してもよい。
【0149】
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)アルキル基。アルキル基としては、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基はさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基、又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基若しくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を含有してもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−エトキシエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
【0150】
(3)アルコキシ基(−OR119)。アルコキシ基(−OR119)としては、R119が上記(2)で定義したアルキル基のものが挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
【0151】
(4)アリールオキシ基。アリールオキシ基としては、アリール基としてフェニル基、ナフチル基を有するものが挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
【0152】
(5)置換メルカプト基又はアリールメルカプト基。置換メルカプト基又はアリールメルカプト基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)アルキル置換アミノ基。アルキル置換アミノ基としては、アルキル基が上記(2)で定義したアルキル基のものが挙げられ、具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−プロピルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
(7)アシル基。アシル基としては、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
【0153】
前記Xの構造部分は下記一般式(M)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物をホスゲン法、エステル交換法等を用い重合するとき、下記一般式(B)のジオール化合物を併用することにより主鎖中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネート樹脂はランダム共重合体、又はブロック共重合体となる。また、この構造部分Xは下記一般式(M)のトリアリールアミノ基を有するジオール化合物と下記一般式(B)から誘導されるビスクロロホーメートとの重合反応によっても繰り返し単位中に導入される。この場合、製造されるポリカーボネートは交互共重合体となる。
【0154】
【化57】
一般式(B)のジオール化合物は一般式1と同じものが挙げられる。
【0155】
導電性支持体(21)としては、体積抵抗1010Ω以下の導電性を示すもの、例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金、鉄などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの酸化物を蒸着又はスパッタリングによりフィルム状若しくは円筒状のプラスチック、紙等に被覆したもの、或るいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらをD.I.、I.I.、押出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研磨などで表面処理した管などを使用することができる。
【0156】
本発明における感光層(23)は、単層型でも積層型でもよいが、ここでは説明の都合上、まず積層型について述べる。
はじめに、電荷発生層(31)について説明する。電荷発生層(31)は、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
【0157】
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0158】
電荷発生層(31)に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが用いられる。これらのバインダー樹脂は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。また、電荷発生層のバインダー樹脂として上述のバインダー樹脂の他に、先述の高分子電荷輸送物質を用いることができる。更に、必要に応じて低分子電荷輸送物質を添加してもよい。
【0159】
電荷発生層(31)に併用できる低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
【0160】
電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ[1,2−b]チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0161】
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0162】
電荷発生層(31)を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
【0163】
また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系若しくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
【0164】
次に、電荷輸送層(33)について説明する。
電荷輸送層(33)は、高分子電荷輸送物質を主成分とする層であり、高分子電荷輸送物質を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。高分子電荷輸送物質は3×105V/cmの電界下で1×10−5cm2/V・sec以上の移動度を有する高分子電荷輸送物質ならば、いずれの公知材料を用いることができるが、主鎖及び/又は側鎖にトリアリールアミン構造を有するポリカーボネートが有効に使用される。前記一般式1〜10の高分子電荷輸送物質が特に良好に使用される。また、必要により適当なバインダー樹脂、低分子電荷輸送物質、可塑剤やレベリング剤を添加することもできる。
【0165】
電荷輸送層(33)に併用できるバインダー樹脂としては、ポリカーボネート(ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZタイプ)、ポリエステル、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリスチレン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、アルキッド樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらのバインダーは、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0166】
電荷輸送層(33)に併用できる低分子電荷輸送物質は、電荷発生層(31)の説明において記載したものと同じものを用いることができる。電荷輸送層(33)の膜厚は、20μm以下が適当であり、好ましくは15μm以下である。この理由としては、先述のように静電潜像の解像性(原稿の再現性)の改良があげられ、20μm以上の膜厚では解像性が低下することによる。解像度に関しては、膜厚が薄い方が良好な結果が得られるが、感光層の摩耗は静電疲労特性にも影響を及ぼすため、あらかじめ実験的に設定できる膜厚の下限値を調べることにより、上記範囲のうちで任意に設定できる。
また、本発明において電荷輸送層(33)中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。
【0167】
可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー或いはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
【0168】
次に、感光層(23)が単層構成の場合について述べる。
キャスティング法で単層感光層を設ける場合、多くは電荷発生物質と低分子並びに高分子電荷輸送物質よりなる機能分離型のものが挙げられる。即ち、電荷発生物質並びに電荷輸送物質には、前出の材料を用いることができる。
また、必要により可塑剤やレベリング剤を添加することもできる。更に、必要に応じて用いることのできるバインダー樹脂としては、先に電荷輸送層(33)で挙げたバインダー樹脂をそのまま用いる他に、電荷発生層(31)で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。単層感光体の膜厚は、5〜100μm程度が適当であり、好ましくは、10〜40μm程度が適当である。
【0169】
本発明に用いられる電子写真感光体には、導電性支持体(21)と感光層(23)[積層タイプの場合には、電荷発生層(31)]との間に下引き層(25)を設けることができる。下引き層(25)は、接着性を向上する、モワレなどを防止する、上層の塗工性を改良する、残留電位を低減するなどの目的で設けられる。下引き層(25)は一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤でもって塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、或るいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えてもよい。これらの下引き層は、前述の感光層の場合と同様、適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。
【0170】
さらに、本発明における感光体の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用して、例えばゾル−ゲル法等により形成した金属酸化物層も有用である。
この他に、本発明の下引き層にはAl2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシレン(パリレン)等の有機物や、SiO、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0171】
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤は、有機物を含む層ならばいずれに添加してもよいが、電荷輸送物質を含む層に添加すると良好な結果が得られる。
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
【0172】
モノフェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなど。
【0173】
ビスフェノール系化合物
2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)など。
【0174】
高分子フェノール系化合物
1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェノール類など。
【0175】
パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
【0176】
ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
【0177】
有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
【0178】
有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
【0179】
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品として容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、電荷輸送物質100重量部に対して0.1〜100重量部、好ましくは2〜30重量部である。
【0180】
【実施例】
次に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例において、使用する部は全て重量部を表わし、使用された高分子電荷輸送物質の繰り返し単位nは、いずれの例においても、重量平均分子量から算出して100±20の範囲であった。
【0181】
参考例1
φ80mmのアルミニウムドラム上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層を形成して、本発明における電子写真感光体を得た。
【0182】
[下引き層用塗工液]
アルキッド樹脂 6部
(ベッコゾール 1307−60−EL、大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂 4部
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製)
酸化チタン 40部
メチルエチルケトン 200部
[電荷発生層用塗工液]
下記構造のトリスアゾ顔料 2.5部
【0183】
【化58】
ポリビニルブチラール(UCC社製:XYHL) 0.25部
シクロヘキサノン 200部
メチルエチルケトン 80部
【0184】
[電荷輸送用塗工液]
下記構造の高分子電荷輸送物質 10部
【0185】
【化59】
塩化メチレン 100部
【0186】
実施例1
参考例1における電荷輸送層に用いた高分子電荷輸送物質を以下の構造のものに変えた以外は参考例1と全く同様に本発明における電子写真感光体を作成した。
【0187】
【化60】
【0188】
参考例2
参考例1における電荷輸送層に用いた高分子電荷輸送物質を以下の構造のものに変えた以外は参考例1と全く同様に本発明における電子写真感光体を作製した。
【0189】
【化61】
【0190】
参考例3
参考例1における電荷輸送層に用いた高分子電荷輸送物質を以下の構造のものに変えた以外は参考例1と全く同様に本発明における電子写真感光体を作製した。
【0191】
【化62】
【0192】
参考例4
参考例1における電荷輸送層に用いた高分子電荷輸送物質を以下の構造のものに変えた以外は参考例1と全く同様に本発明における電子写真感光体を作製した。
【0193】
【化63】
【0194】
参考例5
参考例1における電荷輸送層に用いた高分子電荷輸送物質を以下の構造のものに変えた以外は参考例1と全く同様に本発明における電子写真感光体を作製した。
【0195】
【化64】
【0196】
参考例6
参考例1における電荷輸送層に用いた高分子電荷輸送物質を以下の構造のものに変えた以外は参考例1と全く同様に本発明における電子写真感光体を作製した。
【0197】
【化65】
【0198】
参考例7
参考例1における電荷輸送層に用いた高分子電荷輸送物質を以下の構造のものに変えた以外は参考例1と全く同様に本発明における電子写真感光体を作製した。
【0199】
【化66】
【0200】
参考例8
参考例1における電荷輸送層に用いた高分子電荷輸送物質を以下の構造のものに変えた以外は参考例1と全く同様に本発明における電子写真感光体を作製した。
【0201】
【化67】
【0202】
参考例9
参考例1における電荷輸送層に用いた高分子電荷輸送物質を以下の構造のものに変えた以外は参考例1と全く同様に本発明における電子写真感光体を作製した。
【0203】
【化68】
【0204】
比較例1
参考例1における電荷輸送層用塗工液を以下の構造のものに変更した以外は、参考例1と全く同様に作成した。
[電荷輸送層用塗工液]
ビスフェノールA型ポリカーボネート 10部
(帝人:パンライトK1300)
下記構造の低分子電荷輸送物質 10部
【0205】
【化69】
塩化メチレン 100部
【0206】
以上のように作製した実施例1、参考例1〜9及び比較例1の電子写真感光体を実装用にした後、図1に示すような潜像転写プロセスを組み込んだ複写機に搭載し、10万枚のランニングテストを行ない、画像及び摩耗膜厚の評価を行なった。評価結果を表1に示す。
【0207】
【表1】
【0208】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的に説明したように、本発明により、電子写真感光体上に静電潜像を形成し、該感光体表面側に静電記録体を接触させ、該感光体と静電記録体の間に電圧を印加して静電記録体上に該感光体に対応した静電潜像を転写した後、該静電記録体上の静電潜像を可視化する静電転写方式の電子写真プロセスにおいて、該電子写真プロセスに用いられる電子写真感光体の支持体から最も離れた最表層に高分子電荷輸送物質が含有された電子写真感光体とすることにより、安価で、長期的に安定した高精細な画像形成を行なうことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真プロセスの一例を示す模式図である。
【図2】本発明の電子写真プロセスに用いる電子写真感光体の構成を示す断面図である。
【図3】本発明の電子写真プロセスに用いる電子写真感光体の別の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の電子写真プロセスに用いる電子写真感光体の更に別の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
11 感光体
12 帯電装置
13 露光装置
14 転写装置
15 除電装置
16 現像装置
17 静電記録体
21 導電性支持体
23 感光層
25 下引き層
31 電荷発生層
33 電荷輸送層
Claims (1)
- 電子写真感光体上に静電潜像を形成し、該感光体表面側に静電記録体を接触させ、該感光体と静電記録体上に該感光体に対応した静電潜像を転写した後、該静電潜像を可視化する静電転写記録方式の電子写真プロセスにおいて、該電子写真プロセスに用いられる電子写真感光体の支持体から最も離れた最表層に下記一般式(2)の高分子電荷輸送材料が含有された電子写真感光体が用いられることを特徴とする電子写真プロセス。
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