JPH06242625A - 感光体及びその製造方法 - Google Patents

感光体及びその製造方法

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JPH06242625A
JPH06242625A JP5485793A JP5485793A JPH06242625A JP H06242625 A JPH06242625 A JP H06242625A JP 5485793 A JP5485793 A JP 5485793A JP 5485793 A JP5485793 A JP 5485793A JP H06242625 A JPH06242625 A JP H06242625A
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JP
Japan
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oxide film
base material
photosensitive layer
layer
producing
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JP5485793A
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Seishiro Ito
征司郎 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、酸化被膜を形成した基材を用いる
ことにより、硬度が高く、しかも光導電材料が強固に酸
化皮膜の表面及び/微細孔に固着されるので著しく耐久
性が高く、感光体の解像度を至極高めることができるの
であり、しかもこのように感光体の解像度を至極高める
ことができるので、増感層の形成が不要になったり、増
感層の厚さを薄くして、コストの低下を実現した感光体
及びその製造方法を提供することを目的とする。 【構成】 本発明は、導電体、又は絶縁体を導電処理し
た基材と、この基材の表面を鏡面加工し、且つこの基材
の表面に形成された酸化皮膜と、この酸化皮膜の表面及
び/又は微細孔に形成された感光層とを備えることを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は基材の表面に酸化被膜が
形成されている感光体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザプリンター、複写機、ファクシミ
リ装置などの電子写真技術を応用した画像形成装置で
は、一様に帯電させた感光体の表面に光源から光信号を
照射し、その照射点の電位を変化させることにより静電
潜像を形成し、この静電潜像にトナーを付着させて現像
し、この現像された画像を感光体から紙、オーバーヘッ
ドプロジェクタ用フィルムなどの記録媒体に転写し、定
着させるというプロセスが採用される。
【0003】光源としては、例えば半導体レーザのよう
に、オンオフの切り替えが俊敏に行え、また、小面積に
集束できる平行性の高い光を出射するものが適してい
る。
【0004】感光体は、一般に、導電性を有する基材
と、これの表面に形成された感光層とを備え、板状或い
は無端帯状に形成されるものもあるが、ドラム状のもの
が多用されている。
【0005】上記基材としては、例えば特開昭64−7
339号公報に開示されているように、アルミニウム合
金が用いられ、表面を機械加工によって鏡面仕上げをし
た後、感光層が塗着される。
【0006】感光層を構成する感光材料は、暗所におけ
る静電荷受容性及び帯電保持性、光照射による表面電位
の急速な減衰(大きな光導電性)、及び所要の波長の光に
対する分光感度を備えることが要求される。
【0007】このような要求を満たす感光材料として
は、セレン、セレンテルル合金などのセレン合金、酸化
亜鉛、硫化カドミウム、アモルファスシリコン、マイク
ロクリスタリンシリコンなどの無機光導電性材料や、ポ
リ−N−ビニルカルバゾールとトリニトロフルオレン、
ビスアゾ系及びトリアゾ系を含むアゾ系色素、フタロシ
アニン系色素、アントラキノン系色素、インジゴ系色素
などの有機光導性材料などが用いられる。
【0008】これらの感光材料のうち、無機光導電性材
料は一般に平滑性に劣り、又、耐久性についても問題が
ある。
【0009】無機光導電材料のうち、特に、セレン、セ
レン合金、硫化カドミウムなどは、本質的に人体に有害
であるので、製造時の安全対策上、製造装置が複雑とな
り、製造コストが高くなるとともに、使用後に安全対策
上、回収する必要が生じ、回収コストが必要になるの
で、高価になるという問題がある。
【0010】また、特に、セレンやセレン合金では結晶
化温度が約65℃と低い特性を有するため、結晶化し易
く、複写や印字を繰り返し行う間に結晶化された部分に
残留電荷を生じ、画像が汚損されることがある。
【0011】更に、酸化亜鉛の場合は、物性的に酸化還
元を生じ易く、温度、湿度などの環境雰囲気の影響を著
しく受けて画質が不安定になり、信頼性に劣るという問
題がある。
【0012】アモルファスシリコン、マイクロクリスタ
リンシリコンなどのシリコン光導電性材料の場合には、
感光層の中に取り込まれる水素原子の量に応じて電気的
特性及び光学的特性が大きく変動するので、感光層形成
時にシラン、ジシラン、希釈用水素などの濃度管理を非
常に厳格に行う必要があり、均一な品質を安定良く得る
ことが困難である。
【0013】一方、有機光導電性(半導体)材料は、こ
れらの問題を伴わないので、今後、ますます多用される
ものと思われる。
【0014】また、有機光導電性材料を用いる感光層の
構造としては、一層の光導電性材料層で構成される単層
型と、光導電性材料からなるキャリア発生層と、これの
表面に付着される透明キャリア輸送層とで構成される積
層型がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、電子
写真技術において、高解像度、高画質が強く求められる
ようになっており、感光層に形成される潜像の輪郭の鮮
明さまでが問題にされるようになっている。
【0016】従来、潜像の輪郭を鮮明にするためには、
分光感度を高めることが有効であるとされ、例えば単層
型感光体において、色素添加、電荷移動錯体の形成、金
属のドーピング、更に増感層の形成などによって分光感
度を高めることが試みられている。
【0017】キャリアの発生と輸送との機能を分化させ
た積層型にすることも、ある意味では単層型感光体を増
感させることであると考えられる。
【0018】しかしながら、感光層の素材、組成或いは
構造によって分光感度を高めることには、おのずから素
材、組成或いは構造によって与えられる限界が生じるの
であり、また増感層を形成する場合には作業工程数が大
となって生産性が低下し、しかも材料コストの上昇を招
くことになり、この結果、コストが上昇するなどの課題
が生じる。
【0019】本発明は、上記技術的課題を解決するため
に完成されたものであり、酸化被膜を形成した基材を用
いることにより、硬度が高く、しかも光導電材料が強固
に酸化皮膜の表面及び/又は微細孔に固着されるので著
しく耐久性が高く、感光体の解像度を至極高めることが
できるのであり、しかもこのように感光体の解像度を至
極高めることができるので、増感層の形成が不要になっ
たり、増感層の厚さを薄くして、コストの低下を実現し
た感光体及びその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の感光体は、上記
の目的を達成するため、導電体からなる基材、又は絶縁
体を導電処理した基材と、この基材の表面を鏡面加工
し、且つこの基材の表面に形成された酸化皮膜と、この
酸化皮膜の表面及び/又は微細孔に形成された感光層と
を備えることを特徴とする。
【0021】また、本発明の感光体の製造方法は、上記
本発明の感光体を製造するために、導電体からなる基
材、又は絶縁体を導電処理した基材の表面を鏡面加工し
た後、その表面に酸化皮膜を形成し、更に、この表面及
び/又は微細孔に感光層を形成することを特徴とする。
【0022】以下、本発明の感光体及びその製造方法を
詳細に説明する。本発明の基材の形状は特に限定される
ものではなく、例えば公知の感光体の基材と同様に、板
状、無端帯状、或いはドラム状に形成される。
【0023】上記基材は、導電体からなる基材、又は絶
縁体を導電処理した基材が挙げられる。
【0024】この導電体としては、例えばアルミニウム
等の金属或いはアルミニウムを主成分とする合金をその
例として挙げることができる。
【0025】又、上記絶縁体としてはポリエステル、ポ
リカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリプロピ
レン、ガラスなどを挙げることができるが、これら絶縁
体に施される導電処理としては、アルミニウム、銀、
金、鉛などの金属、酸化インジウム、酸化錫、ITOな
どの導電材料の薄膜を蒸着、スパッタリング、イオンプ
レーティングなどの薄膜形成方法によって絶縁体の表面
に形成する処理が代表的である。
【0026】これらの中では、成形性、加工性及び導電
性が優れており、しかも、陽極酸化処理や化成処理によ
って表面に酸化皮膜を簡単に形成できるアルミニウムや
アルミニウムを主成分とする合金(以下、アルミ合金と
しう。)、特に、押出成形に適したアルミ合金が推奨さ
れる。
【0027】押出成形に適したアルミ合金としては、例
えばJIS−H−4100に示される合金番号110
0、1200、2014、2017、2024、300
3、3203、5052、5454、5083、508
6、6061、6N01、6063、7003、7N0
1、7075などがその例として挙げられる。
【0028】これらの中では、強度が高く、押出加工性
及び耐蝕性が特に優れた3000番系や、押出加工性が
一層優れ、耐蝕性及び表面処理性も優れている6000
番系が推奨される。
【0029】上記基材の表面は、画像形成の障害となる
ような傷を無くし、また、表面を物理的に平滑にして画
質を高めるために鏡面仕上げがなされる。この鏡面仕上
げの方法としては、ラッピング、バフィング、超仕上
げ、切削超仕上げなどの公知の方法を採用すればよい。
【0030】更に、鏡面仕上げされた基材の表面に酸化
皮膜が形成されるが、この酸化皮膜の形成方法は、基材
の材質に適した方法を採用すればよく、例えばアルミニ
ウムやアルミ合金の場合には、酸化皮膜の膜厚制御が容
易に行える陽極酸化処理や化成処理を採用することがで
きる。
【0031】陽極酸化処理は、例えば脱脂、水洗、エッ
チング、水洗、中和、水洗などの前処理を行ってから、
基材を所定の温度及び濃度に制御された処理液に浸漬す
るとともに所定の電圧に制御された直流電圧を印加し、
更に水洗することにより形成される。
【0032】陽極酸化処理によって形成される酸化皮膜
の厚さは、用いられる電解質、電解条件に対応して経験
的に求められるものであり、従って、この電解質と電解
条件を適宜、選択することにより簡単に所望の厚さの酸
化皮膜を形成することができる。
【0033】陽極酸化処理の電解質としては、硫酸、シ
ュウ酸、燐酸、有機酸或いはこれらの中の2種類以上の
混酸、例えば硫酸と有機酸の混酸等が用いられる。
【0034】これらの中では、陽極酸化処理時に発色し
難く、また、いわゆるアルマイト模様が出難い硫酸、或
いは燐酸と有機酸との混酸を用いるのが望ましいが、特
に、燐酸と有機酸との混酸や硫酸と有機酸の混酸を用い
ることにより、陽極酸化皮膜の微細孔の大きさと同時に
バリヤー層の厚さ及び硬度を変えることができるので最
も望ましい。
【0035】このように電解液を用いる場合、電解質の
濃度は2〜30重量%、特に7.5〜25重量%のもの
が用いられる。
【0036】又、電解方法としては、直流、交流、パル
ス、交直重畳方式等、種々の方法が採用されるのであ
り、又、一般に、電解電圧が5〜100V、電流密度が
0.1〜5.0A/dm2、特に1.0〜3.0A/dm2、電
解温度が10〜40℃で行われる。
【0037】酸化皮膜の厚さは用いられる基材によって
も異なるが、要するに所要の光導電材料を保持し得る厚
さであれば特に限定されるものではなく、一般に0.0
1〜20μm、好ましくは1〜15μm、特に好ましくは
3〜10μmとすることが望ましく、0.01μmよりも
薄い場合には、所要の絶縁性が得られなくなるだけでな
く、所要の光導電材料を保持し得なくなって均一な感光
層を得難くなることがあるので好ましくなく、一方、2
0μmよりも分厚い場合には、製造時間が長くなり、生
産性が低下する上、酸化皮膜に割れが生じることがある
ので好ましくない。
【0038】本発明においては、このように光導電材料
を微細孔に保持させた後、封孔処理がなされるが、この
封孔処理は、例えば沸騰水や蒸気中に放置して行っても
よく、また、例えば100〜120℃程度の加熱処理を
することによって行ってもよい。
【0039】上記感光層は、光導電性材料で形成すれば
よく、無機光導電性材料を用いることも可能であるが、
無機光導電性材料よりも平滑性及び耐久性が優れた有機
光導電性材料を用いることが好ましい。
【0040】有機光導電性材料としては、ポリ−N−ビ
ニルカルバゾールにピリリウム塩を加えたもの、ポリ−
N−ビニルカルバゾールとトリニトロフルオレノンをア
クセプターとするもの、ZnOにシアニン系色素、キサ
ンテン系色素、エオシン、ローズベンガル、ローダミン
Bなどを加えたもの、フタロシアニン系色素、ビスアゾ
系及びトリアゾ系を含むアゾ系色素、フタロシアニン
類、ペリレン系色素、アントラキノン系色素、シアニン
系色素、インジゴ系色素などがその例として挙げられ
る。
【0041】具体的には、日本化薬(株)製であって、
着色の可能な水溶性色素と油性色素であるPCシリーズ
の色素が挙げられる。
【0042】この日本化薬(株)製の水溶性色素として
は、PCシリーズの色素、例えばPCYellow 4
2P、PC Magenta 10P、PC Cyan 2
P、PC Red 137P、PC Green FOP及
びPC Blue 43P等の商品名で表示されるもの
が挙げられる。
【0043】この日本化薬(株)製の油性色素としては、
アントラキノン系化合物、ポリメチン系化合物、シアニ
ン系化合物、アミニウム系化合物及びジイモニウム系化
合物が挙げられるのであり、その商品名としてはKay
asorb series(カヤソーブ シリーズ)、例え
ばIR−750、IRG−002、IRG−003、I
R−820B、IRG−022、IRG−023、CY
−2、CY−4及びCY−9等が挙げられる。
【0044】又、他の商品名としてはKayachar
ge series(カヤチャージシリーズ)、例えばT
−2(N)、T−3、T−5、N−1及びN−3等が挙げ
られる。
【0045】本発明で用いられる有機溶剤としては、例
えばアセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、DM
F、クロロホルム、ジクロルエタン、アセトニトリル、
クロロベンゼン、THF、エチルセロソルブ、エチレン
グリコールモノエチルエーテル、ベンゼン、トルエン、
ベンゼン、トルエン、メタノール又はエタノール等が挙
げられる。
【0046】又、本発明においては、キャリヤー生成と
キャリヤー輸送の機能を分離した積層型感光体、つまり
増感層を形成しても良いが、この分光増感の目的に用い
られる積層型感光体の感光層、即ち、キャリア発生層に
用いる有機光導電性材料としては、ポリ−N−ビニルカ
ルバゾールとトリニトロフルオレノンとの錯体、ポリア
セチレンなどと共にクロロフィル、スクアンソン色素、
メタシアニン色素、フタロシアニン類などの色素を添加
したものが有用である。
【0047】そして、有機光導電性材料としては、これ
らの中から照射されるレーザの波長に対して分光感度が
高いものが選択される。
【0048】一般に、レーザは、レーザ作用を行う能動
媒質の種類によってガスレーザ、固体レーザ、半導体レ
ーザ及び色素レーザに分類されている。
【0049】ガスレーザとしては、He−Neレーザに代
表される希ガスレーザ、A+レーザ、K+レーザなどの
イオンレーザ
【0050】
【化1】
【0051】レーザに代表される金属蒸気レーザ、CO
2レーザ、N2レーザ、HCNレーザなどの分子レーザな
どがその例として挙げられる。
【0052】また、固体レーザとしては、ルビーレー
ザ、ガラスレーザ、YAGレーザ、YAlO3レーザなど
が代表的である。
【0053】半導体レーザの種類は数十種類にも及んで
いるが、ほとんど大部分がII−VI族化合物、III−V族化
合物、或いはその他の直接遷移形に属する半導体結晶を
用いている。また、発振波長は紫外部から赤外部まで及
んでいる。
【0054】これらの半導体レーザの中では、特に高速
応答性が優れており、パルス動作に適したGaAs注入形
レーザ及び(AlGa)As異種接合レーザが商品化されて
いる。
【0055】このGaAs注入形レーザは、半導体レーザ
の草分け的存在であり、発振波長は0.83〜0.91
μm(830〜910nm)である。また、(AlGa)As異種
接合レーザはGaAs注入形レーザの低閾値化を図る研究
の過程で発明されたものであり、低閾値化を図ることに
より室温連続発振を可能にしている。
【0056】この(AlGa)As異種接合レーザの発振波
長は0.62〜0.91μm(620〜910nm)であ
る。なお、これらのGaAs注入形レーザ及び(AlGa)A
s異種接合レーザの光量分布は780nm程度で最大とな
る。
【0057】上記の各レーザの中では、小型、堅牢、簡
易な励起、高速応答及び長寿命という長所を有する半導
体レーザが電子写真技術において今後、益々多用される
ものと思われる。
【0058】従って、本発明においては、この半導体レ
ーザ、特にGaAs注入形レーザ及び(AlGa)As異種接
合レーザの発振波長領域、即ち、可視領域から近赤外領
域にわたる波長領域、特に光量分布が最大となる近赤外
領域、特に又780nm付近に分光感度を有する感光材料
を用いることが推奨される。
【0059】このような波長或いは波長領域に分光感度
を有する有機光導電体としては、上記の有機光導電材料
のうち、バナジルフタロシアニンなどのフタロシアニン
系色素、スクワリリウム色素、アントラキノン系色素、
インジゴ系色素、シアン系色素などがその例として挙げ
られる。
【0060】感光層の形成方法としては特に限定される
ものではないが、例えば吹き付け、静電吹き付け、浸
漬、電気泳動、感光性インキを製造し、この感光性イン
キを用い、ナセン等種々の方法によって酸化皮膜の表面
及び/又は微細孔に形成させる。
【0061】この感光層の形成方法としては特に限定さ
れるものではないが、例えば封孔前の酸化皮膜の表面に
形成したり又は封孔前の酸化皮膜の微細孔に形成したり
或いは封孔前の酸化皮膜の表面及び微細孔に形成しても
良い。
【0062】又、他の形成方法としては、浸漬や電気泳
動等の上述の方法で、封孔前の酸化皮膜の表面に形成し
たり、封孔前の酸化皮膜の微細孔に形成したり、封孔前
の酸化皮膜の表面及び微細孔に形成し、拭きとって封孔
したり、封孔してから拭きとったり、加熱して拭きとる
等の方法が採用される。
【0063】更に、他の方法としては、例えば封孔後の
酸化皮膜の表面に形成したり又は封孔前の酸化皮膜の微
細孔に形成し、その後封孔したり或いは封孔前の酸化皮
膜の表面及び微細孔に形成し、その後封孔しても良い。
【0064】酸化皮膜の表面及び/又は微細孔に感光層
を形成するに当たり、光導電材料の形成量は経験的に決
定されるが、具体的には、一般に、0.001〜0.5mg
/cm2程度とすることが好ましい。
【0065】この光導電材料の吸着量が0.001mg/cm
2よりも少ない場合には、暗所における静電荷受容性及
び帯電保持性が不足し、鮮明な潜像の形成が困難になる
ので好ましくない。一方、光導電材料の吸着量が0.5m
g/cm2を超えることは技術的に困難を伴う上、意味がな
いだけでなく、経済的にも不利であり、しかも感光層内
での光の拡散及び干渉によるノイズが発生する恐れが生
じるので好ましくない。
【0066】本発明において、積層型の感光層を形成す
ることは何ら妨げるものではなく、従って、感光層の表
面に透明のキャリア輸送層を積層することができる。
【0067】このキャリア輸送層は、光導電体からなる
キャリア発生層(感光層)が発生するキャリア(普通は正
孔)の注入を受け、表面に運ぶ役割を果たすものであ
り、キャリア発生層からのキャリア注入効率が高いこと
が必要である。この特性を得るためには電子供与基を持
つアミン類が有効である。
【0068】また、キャリア輸送層はその内部でのキャ
リアの移動度が大きいこと、光源からの光を十分にキャ
リア発生層に到達させるために、吸収スペクトルがキャ
リア発生層と重ならないことが必要とされている。
【0069】実際には、共役アミン類が有用で広く用い
られるが、他機能色素の典型的なターゲットともいうべ
きピラゾリン誘導体を用いることも可能である。
【0070】キャリア輸送層の厚さは例えば0.1〜1
5μm程度、好ましくは1〜12μm、特に好ましくは3
〜12μmとすることが好ましい。この膜厚が0.1μm
よりも薄い場合には、キャリア輸送効果が著しくなるの
で好ましくなく、一方、15μmを超える場合には、内
部で光の拡散や干渉が発生する恐れが生じる上、意味が
ないだけでなく、経済的にも不利であるので好ましくな
い。
【0071】
【作用】鏡面仕上げされた基材の表面の平滑度は光学距
離的に無視できる数μm程度以下になり、この表面を0.
01〜20μm程度酸化することにより形成される酸化
皮膜は多孔層になる。
【0072】光導電性材料は、この酸化皮膜の表面及び
/又は微細孔に吸着され、いわゆるアンカー効果やファ
スナー効果によって強固に且つ離脱不能に基材に固着さ
れるので、かくして得られた感光層の剥離が発生し難く
なり、しかも基材の表面硬度が著しく高くなって感光体
の耐久性が著しく高められる。
【0073】また、酸化皮膜を形成する前の基材の表面
にはAl−Fe−Mn、Al−Fe−Si等の晶出物が露出し
ており、その周囲のα相アルミとの間に電位差を生じる
のに対して、陽極酸化処理や化成処理により形成された
酸化皮膜は晶出物が除去された均一な酸化アルミニウム
層となり、晶出物の存在によって局部的に電気的な平滑
性が損なわれる恐れがなくなり、電気的な特異点による
ノイズが発生する恐れもなくなる。
【0074】この酸化皮膜に形成される微細孔の平均直
径は例えば0.017μm程度であり、またその分布数は
例えば1μm2当たり114個程度であり、開口率は3%
程度に過ぎない。従って、直径20〜80μm程度のレ
ーザスポットに対しては表面の鏡面性が損なわれること
はなく、感光層への入射光を反射して光利用率を増幅す
ることができ、感光部と未感光部とのコントラストを明
確にできる。
【0075】また、感光層は、所定の波長ないし波長領
域に分光感度を有しているので、異なる波長領域の光に
よるノイズには感応し難く、乱光によるノイズの少ない
鮮明な潜像が形成される。
【0076】しかも、感光層の背面に位置する酸化皮膜
は電気絶縁性が高いので、未感光の電位の高い部分から
基材を経て感光により電位が低下した部分に電荷が移動
することを確実に阻止することができ、電荷の移動によ
って潜像の輪郭がぼやけることを防止でき、一層鮮明な
潜像が形成される。
【0077】
【実施例】以下、本発明の実施例に係る感光体及びその
製造方法を図面に基づいて具体的に説明するが、本発明
はこの実施例に限定されるものではなく、後述するよう
に、種々の変形ないし修正された態様で実施することが
可能である。
【0078】図1の断面模式図に示すように、本発明の
一実施例に係る感光体は、基材1とこれの表面に形成さ
れた酸化皮膜2と、その表面及び微細孔2aに形成され
た感光層3とを備えている。
【0079】上記基材1の形状は、板状或いは無端帯状
に形成することができるが、ここでは最も多用されてい
る円筒(ドラム)状に形成されている。
【0080】この基材1の材質としては、導電体、また
は絶縁体を導電処理したものが挙げられるが、この実施
例では、特に押出加工性が最も優れ、耐蝕性及び表面処
理性も優れている代表的な押出成形用アルミ合金で形成
された、JIS−H−4100に示される6000番系
が用いられている。
【0081】図2のフロー図に示すように、基材1は押
出工程(S1)と裁断工程(S2)とを経て作られる。
【0082】この押出工程(S1)では、アルミ押出成形
機で上記合金を外形寸法が30〜240mmの円筒形に押
出成形されるが、この実施例では外形30mmの円筒形に
押出成形されている。
【0083】押出成形された基材1は裁断工程(S2)で
所定の寸法に裁断される。裁断寸法は画像を形成する用
紙の寸法に対応して適宜決定される。
【0084】この後、鏡面仕上げ工程(S3)で、基材1
の表面が平滑度数μm程度以下の鏡面に仕上げられる。
この鏡面仕上げの方法としては、ラッピング、バフィン
グ、超仕上げ、切削超仕上げなどの公知の方法が採用さ
れる。
【0085】この鏡面仕上げをすることにより、画像形
成の障害となるような傷が除去され、また、表面を物理
的に平滑にして画像の歪みの発生が防止されるととも
に、表面で入射光を反射させることにより光の利用効率
が高められる。
【0086】鏡面仕上げ工程の後、酸化皮膜形成工程
(S4)で基材1の表面に酸化皮膜2が形成され、更に、
感光層形成工程(S5)で酸化皮膜2の表面に感光層3が
形成され、封孔される。
【0087】次いで、更に、この表面に、公知の下塗り
層4を介して感光層30が形成されている。
【0088】酸化皮膜形成工程(S4)の酸化皮膜の形成
方法は、基材の材質に適した方法を採用すればよく、基
材1の素材としてアルミ合金を使用するこの実施例の場
合には、化成処理によって酸化皮膜2を形成することが
できるが、膜厚制御が容易に行える陽極酸化処理によっ
て酸化皮膜2が形成される。
【0089】陽極酸化処理(S47)は、図3のフロー図
に示すように、脱脂(S41)、水洗(S42)、エッチン
グ(S43)、水洗(S44)、中和(S45)、水洗(S4
6)などの前処理を行ってから、基材1を所定の温度及
び濃度に制御された処理液に浸漬するとともに所定の電
圧に制御された直流電圧を印加することにより行われ
る。
【0090】処理液の電解質の種類、濃度、処理温度、
印加電流の電流密度、処理時間などの電解条件は経験的
に求められており、従って、電解質と電解条件を適当に
選択することにより簡単に所望の厚さの陽極酸化皮膜を
形成することができる。
【0091】この陽極酸化皮膜の厚さは用いられる基材
によっても異なるが、要するに所要の光導電材料を保持
し得る厚さであれば特に限定されるものではなく、一般
に0.01〜20μm、好ましくは1〜15μm、特に好
ましくは3〜10μmとすることが望ましく、0.01μ
mよりも薄い場合には、所要の絶縁性が得られなくなる
だけでなく、所要の光導電材料を保持し得なくなって均
一な感光層を得難くなることがあるので好ましくなく、
一方、20μmよりも分厚い場合には、製造時間が長く
なり、生産性が低下する上、酸化皮膜に割れが生じるこ
とがあるので好ましくない。
【0092】上記電解質としては、硫酸、しゅう酸、燐
酸、有機酸或いはこれらの中の2種類以上の混酸などが
用いられるが、この実施例では、陽極酸化処理時に発色
し難く、また、いわゆるアルマイト模様がで難い硫酸が
用いられる。
【0093】即ち、この実施例では、硫酸の濃度を10
重量%、処理温度は20〜24℃、電流密度1.0〜3.
0A/dm2で処理して膜厚7μmの陽極酸化皮膜からなる
酸化皮膜2を形成した。
【0094】この酸化皮膜2は、いわば障壁層の崩壊生
成物で多くの穴があり、その穴は表面に近いほど広がっ
ている。
【0095】また、酸化皮膜を形成する前の基材の表面
にはAl−Fe−Mn、Al−Fe−Si等の晶出物が露出し
ており、その周囲のα相アルミとの間に電位差を生じる
のに対して、陽極酸化処理(S47)により形成された酸
化皮膜2は晶出物が除去された均一な酸化アルミニウム
層となるので、晶出物の存在によって局部的に電気的な
平滑性が損なわれる恐れがなくなり、電気的な特異点に
よるノイズが発生する恐れもなくなる。
【0096】更に、この酸化皮膜に形成される微細孔の
平均直径は例えば0.017μm程度であり、またその分
布数は例えば1μm2当たり114個程度であり、開口率
は3%程度に過ぎない。従って、直径20〜80μm程
度のレーザスポットに対しては表面の鏡面性が損なわれ
ることはなく、感光層への入射光を反射して光利用率を
増幅することができ、感光部と未感光部とのコントラス
トを明確にできる。
【0097】陽極酸化処理(S47)の後、水洗(S48)
をしてから、感光層形成工程(S5)を経て封孔工程(S
6)が行われる。
【0098】本発明においては、このように光導電材料
を微細孔に保持させた後、封孔処理がなされるが、この
封孔処理は、例えば沸騰水や蒸気中に放置して行っても
よく、また、例えば100〜120℃程度の加熱処理を
することによって行ってもよい。
【0099】上記感光層形成工程(S5)では、光導電材
料が吹き付け塗装、静電塗装、浸漬、焼付け塗装、電気
泳動法、感光性インキを製造し、この感光性インキを用
い、ナセン等種々の方法によって酸化皮膜2の表面及び
/又は微細孔に形成される。
【0100】光導電材料は、この酸化皮膜2の微細孔2
aに吸着され、いわゆるアンカー効果やファスナー効果
によって強固に基材に付着するだけでなく、封孔によっ
て離脱不能に固着されるので、かくして得られた感光層
3の剥離が発生し難くなり、しかも基材の表面硬度が著
しく高くなって感光体の耐久性が著しく高められる。
【0101】上記感光層3は、光導電性材料で形成すれ
ばよく、無機光導電材料を用いることも可能であるが、
無機光導電材料よりも平滑性及び耐久性が優れた有機光
導電性材料を用いることが好ましい。
【0102】有機光導電材料としては、ポリ−N−ビニ
ルカルバゾールにピリリウム塩を加えたもの、ポリ−N
−ビニルカルバゾールとトリニトロフルオレノンをアク
セプターとするもの、ZnOにシアニン系色素、キサン
テン系色素、エオシン、ローズベンガル、ローダミンB
などを加えたもの、フタロシアニン系色素、ビスアゾ系
及びトリアゾ系を含むアゾ系色素、フタロシアニン類、
ペリンゾ系色素、アントラキノン系色素、シアニン系色
素、インジゴ系色素などがその例として挙げられる。
【0103】そして、有機光導電材料としては、これら
の中から照射されるレーザの波長に対して分光感度が高
いものが選択される。
【0104】この実施例では、現在まで実用化が進んで
いるGaAs注入形レーザ及び更に今後広く実用化されそ
うな(AlGa)As異種接合レーザの発振波長は0.62
〜0.91μm(620〜910nm)に対して分光感度の
高い有機光導電材料を用いることにした。
【0105】このような有機光導電材料としては、例え
ばバナジルフタロシアニンなどのフタロシアニン系色
素、スクワリリウム色素などが知られているが、この実
施例では、フタロシアニン系色素、具体的には、着色剤
として日本化薬株式会社から市販されている商品名PC
Yellow42Pの5g/1水溶液を用い、温度50±2℃
の温浴中に約10分間浸漬することにより、この色素
(着色剤)を酸化皮膜2に含浸させて感光層3を形成し
た。
【0106】なお、着色剤水溶液の水素イオン濃度は酸
性領域からアルカリ領域(PH3〜10)では良好な結果
が得られるが、それよりも強度のアルカリ性領域では酸
化皮膜2の腐食が発生するので好ましくなく、それより
も強度の酸性領域では、酸化皮膜2が更に成長して割れ
が発生するので好ましくない。最も良好な結果が得られ
た着色剤水溶液の水素イオン濃度はPH6.5〜9.5の
範囲である。
【0107】また、浸漬処理の温度条件も室温〜80℃
の範囲で良好な結果が得られ、これよりも低温では着色
剤水溶液が凍結して酸化皮膜2に浸透しなくなるので好
ましくなく、一方、これよりも高温になると熱で酸化皮
膜2の封孔が生じて着色剤(色素)が酸化皮膜2に浸透
し難くなるので好ましくない。
【0108】感光層3は、酸化皮膜2への含浸深さを別
にして、酸化皮膜2の表面及び/又は微細孔に光導電材
料を0.001〜0.5mg/cm2程度吸着させることによっ
て形成されるが、この吸着量が0.001mg/cm2よりも
少ない場合には暗所における静電荷受容性及び帯電保持
性が不足し、鮮明な潜像の形成が困難になるので好まし
くない。一方、光導電材料の吸着量が0.5mg/cm2を超
えることは技術的に困難を伴う上、意味がないだけでな
く、経済的にも不利であり、しかも感光層3内での光の
拡散及び干渉によるノイズが発生する恐れが生じるので
好ましくない。
【0109】感光層形成工程(S5)の後の封孔工程(S
6)では、約120℃の高温加熱が行なわれ、感光層3
の耐薬品性及び耐久性が大幅に高められるとともに、加
熱により酸化皮膜2が封孔され、酸化皮膜2の耐蝕性が
高められることになる。
【0110】上記の感光層形成工程(S5)では、水溶性
浸漬により感光層が形成されているが、この水溶性浸漬
に代えて電着塗装或いは焼付け塗装により感光層を形成
する場合には同様の手順が採用される。
【0111】この実施例では、酸化皮膜2の表面に形成
された感光層3上に、公知の下塗り層4を介して感光層
30が形成されている。
【0112】この場合、有機光導電性材料として、日本
化薬(株)製 PCシリーズの色素、例えばPC Yell
ow 42P、PC Magenta 10P、PC Cy
an2P、PC Red 137P及びPC Green
FOPを用いた。
【0113】このPC Yellow 42Pでドラムに
感光層を形成したものの反射率を東京電色(株)製 商品
名 TC−1800で測定した結果を図4に示す。
【0114】このPC Magenta 10Pでドラム
に感光層を形成したものの反射率を東京電色(株)製 商
品名 TC−1800で測定した結果を図5に示す。
【0115】このPC Cyan 2Pでドラムに感光層
を形成したものの反射率を東京電色(株)製 商品名 T
C−1800で測定した結果を図6に示す。
【0116】このPC Red 137Pでドラムに感光
層を形成したものの反射率を東京電色(株)製 商品名
TC−1800で測定した結果を図7に示す。
【0117】このPC Green FOPでドラムに感
光層を形成したものの反射率を東京電色(株)製 商品名
TC−1800で測定した結果を図8に示す。
【0118】図4〜図8に示す結果より、これらの感光
層は優れた反射率特性を示すことが認められる。
【0119】ところで、本発明においては、積層型の感
光層を形成することは何ら妨げるものではなく、従っ
て、感光層の表面に透明のキャリア輸送層を積層するこ
とができる。
【0120】このキャリア輸送層は、光導電体からなる
キャリア発生層(感光層)が発生するキャリア(普通は正
孔)の注入を受け、表面に運ぶ役割を果たすものであ
り、キャリア発生層からのキャリア注入効率が高いこと
が必要である。この特性を得るためには電子供与基を持
つアミン類が有効であることが知られている。
【0121】また、キャリア輸送層はその内部でのキャ
リアの移動度が大きいこと、光源からの光を十分にキャ
リア発生層に到達させるために、吸収スペクトルがキャ
リア発生層と重ならないことが必要とされている。
【0122】実際には、共役アミン類が有用で広く用い
られるが、他機能色素の典型的なターゲットともいうべ
きピラゾリン誘導体を用いることも可能である。
【0123】キャリア輸送層の厚さは例えば2〜20μ
m程度とすることが好ましい。この膜厚が2μmよりも薄
い場合には、キャリア輸送効果が著しくなるので好まし
くなく、一方、20μmよりも分厚い場合には、内部で
光の拡散や干渉が発生する恐れが生じるので好ましくな
い。
【0124】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の感光体
の製造方法によれば、基材の表面を鏡面仕上げした後、
酸化皮膜を形成してから感光層を形成するので、本発明
の感光体、即ち、導電体または絶縁体を導電処理した基
材と、表面を鏡面加工された基材の表面に形成される酸
化皮膜と、この酸化皮膜の表面に付着された感光層とを
備える感光体を得ることができる。
【0125】本発明の感光体の製造方法において、特に
感光層の表面に透明のキャリア輸送層を付着する場合に
は、感光層で発生したキャリアをキャリア輸送層の表面
に移動させることにより、感光層内の未感光部と感光部
との電位差を拡大することができ、これにより、コント
ラストを高めて画像を鮮明にすることができる。
【0126】本発明の感光体の製造方法において、特に
アルミニウムを主成分とする合金からなる基材を用い、
陽極酸化処理または化成処理によって基材の表面に酸化
皮膜を形成する場合には、基材の成形、鏡面仕上げなど
の加工が容易になる上、簡単に、安価に、しかも、正確
に膜厚制御された酸化皮膜を形成できるので、コストダ
ウンを図る上で有利であるとともに、製品の品質に対す
る信頼性を高めることができる。
【0127】また、この場合、硫酸浴或いは燐酸と有機
酸との混酸浴による陽極酸化処理を行うことにより、光
源の光の波長に対して吸収性が低く、また、いわゆるア
ルマイト模様のない酸化皮膜を形成できるので、光源光
の利用効率を損なったり、帯電むらによる画像むらの発
生を防止でき、画質を著しく高めることができる。
【0128】更に、本発明の感光体の製造方法におい
て、特に酸化皮膜が厚さ0.01〜20μmに形成される
場合には、所要の絶縁性が得られるとともに、感光層を
均一に付着させることができ、また、製造時間を短くし
て生産性を高めることができるとともに酸化皮膜に割れ
が発生することを防止できるので、製品の特性ないし品
質に対する信頼性を一層確保することができる。
【0129】加えて、本発明の感光体の製造方法におい
て、特に感光層を有機光導電材料で構成する場合は、無
機光導電材料で感光層を構成する場合に比べて平滑性及
び耐久性を高めることができるので有利である。
【0130】また、本発明の感光体の製造方法におい
て、特に感光層を可視ないし近赤外領域、特に近赤外線
に分光感度を有する光導電材料を付着することにより感
光層を形成する場合には、GaAs注入形レーザ及び(Al
Ga)As異種接合レーザなどの半導体レーザに最適の感
光体を得ることができる。
【0131】本発明の感光体の製造方法において、特に
感光層の表面に透明のキャリア輸送層を付着する場合に
は、キャリア輸送層のキャリア輸送機能によって、感光
部の電位低下が助長され、感光体と未感光部との電位差
が拡大されるので、静電潜像のコントラストが高めら
れ、その輪郭の鮮明さを一層高めることができる。
【0132】本発明の感光体において、酸化皮膜を形成
した基材の表面に感光層が付着されているので、感光体
の付着強度がいわゆるアンカー効果やファスナー効果に
よって高められ、感光体の耐久性を高めることができ
る。
【0133】また、本発明の感光体においては、基材の
表面が鏡面仕上げされた後に酸化皮膜を形成されるの
で、表面の鏡面性が損なわれることなく、入射光を感光
層に反射して光の利用効率を高めることができ、これに
より未感光部と感光部との電位差を増幅して、画像のコ
ントラストを高めて静電潜像の輪郭を鮮明にすることが
できる。
【0134】更に、本発明の感光体においては、酸化皮
膜を設けることにより基材の表面のAl−Fe−Mn、Al
−Fe−Si等の晶出物を除去することができるので、晶
出物の存在によって局部的に電気的な平滑性が損なわれ
る恐れがなくなり、電気的な特異点によるノイズが発生
する恐れもなくなり、画質を高めることができる。
【0135】その上、本発明の感光体においては、酸化
皮膜を設けることにより基材の表面の電気絶縁性が高め
られ、感光層の感光部から基材を経て未感光部に電荷が
移動することが確実に防止されるので、電荷の移動によ
り感光部と未感光部との境界で電位差が小さくなって輪
郭がぼけることを防止でき、静電潜像の輪郭を一層鮮明
にすることができる。
【0136】本発明の感光体において、特に、基材がア
ルミニウムを主成分とする合金で構成される場合には、
基材の成形、鏡面仕上げなどの加工、酸化皮膜の形成が
容易になり、コストダウンを図る上で有利なる。
【0137】また、本発明の感光体において、特に、基
材がアルミニウムを主成分とする合金で構成され、酸化
皮膜が陽極酸化処理または化成処理により形成されたも
のである場合には、酸化皮膜の形成が安価にできるとと
もに、その膜厚制御を正確にできるので、製品に対する
信頼性を一層高めることができる。
【0138】ここで、特に酸化皮膜が厚さ0.01〜2
0μmに形成される場合には、所要の絶縁性が得られる
とともに、感光層を均一に付着させることができ、ま
た、製造時間を短くして生産性を高めることができると
ともに酸化皮膜に割れが発生することを防止できるの
で、製品の特性ないし品質に対する信頼性を確保するこ
とができる。
【0139】更に、本発明の感光体において、特に感光
層が有機光導電材料で構成される場合には、無機光導電
材料で感光層を構成する場合に比べて平滑性及び耐久性
を高められる。
【0140】加えて、本発明の感光体において、特に光
導電材料が可視ないし近赤外領域、特に近赤外線に分光
感度を有するものである場合には、今後多用されると思
われるGaAs注入形レーザ、(AlGa)As異種接合レー
ザなどの半導体レーザに最適の感光体を得ることができ
る。
【0141】本発明の感光体において、特に感光層の表
面にキャリア輸送層を積層する場合には、感光層の感光
部と未感光部との電位差を拡大して静電潜像のコントラ
ストを高めることができ、これにより、静電潜像の輪郭
の鮮明さを一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例に係る感光体の断面模
式図である。
【図2】図2は本発明の一実施例に係る感光体の製造方
法のフロー図である。
【図3】図3は図2の酸化皮膜処理工程のフロー図であ
る。
【図4】図4は本発明の一実施例に係る感光体の特性図
である。
【図5】図5は本発明の一実施例に係る他の感光体の特
性図である。
【図6】図6は本発明の一実施例に係る他の感光体の特
性図である。
【図7】図7は本発明の一実施例に係る他の感光体の特
性図である。
【図8】図8は本発明の一実施例に係る他の感光体の特
性図である。
【符号の説明】
1 基材 2 酸化皮膜 2a 微細孔 3 感光層 30 感光層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03G 5/00 101 9221−2H

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電体からなる基材、又は絶縁体を導電
    処理した基材と、この基材の表面を鏡面加工し、且つこ
    の基材の表面に形成された酸化皮膜と、この酸化皮膜の
    表面及び/又は微細孔に形成された感光層とを備えるこ
    とを特徴とする感光体。
  2. 【請求項2】 基材がアルミニウムを主成分とする合金
    で構成されている請求項1に記載の感光体。
  3. 【請求項3】 酸化皮膜が陽極酸化処理により形成され
    たものである請求項2に記載の感光体。
  4. 【請求項4】 酸化皮膜が化成処理により形成されたも
    のである請求項2に記載の感光体。
  5. 【請求項5】 酸化皮膜が厚さ0.01〜20μmに形
    成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の感光
    体。
  6. 【請求項6】 感光層が有機光導電性材料を用いて形成
    されている請求項1ないし5のいずれかに記載の感光
    体。
  7. 【請求項7】 感光層の表面に透明キャリア輸送層が設
    けられている請求項1ないし6のいずれかに記載の感光
    体。
  8. 【請求項8】 有機光導電性材料が可視ないし近赤外領
    域に分光感度を有する請求項6又は7に記載の感光体。
  9. 【請求項9】 有機光導電性材料が近赤外線に分光感度
    を有する請求項6ないし8のいずれかに記載の感光体。
  10. 【請求項10】 導電体からなる基材、又は絶縁体を導
    電処理した基材の表面を鏡面加工した後、その表面に酸
    化皮膜を形成し、更に、この表面及び/又は微細孔に感
    光層を形成することを特徴とする感光体の製造方法。
  11. 【請求項11】 感光層の表面に透明キャリア輸送層が
    設けられている請求項10に記載の感光体の製造方法。
  12. 【請求項12】 アルミニウムを主成分とする合金から
    なる基材を用い、陽極酸化処理によって基材の表面に酸
    化皮膜を形成する請求項10又は11に記載の感光体の
    製造方法。
  13. 【請求項13】 硫酸浴によって陽極酸化処理が形成さ
    れている請求項12に記載の感光体の製造方法。
  14. 【請求項14】 燐酸と有機酸との混酸浴によって陽極
    酸化処理が形成されている請求項12に記載の感光体の
    製造方法。
  15. 【請求項15】 化成処理によって基材の表面に酸化皮
    膜が形成されている請求項10又は11に記載の感光体
    の製造方法。
  16. 【請求項16】 酸化皮膜が厚さ0.01〜20μmに形
    成されている請求項10ないし15のいずれかに記載の
    感光体の製造方法。
  17. 【請求項17】 可視ないし近赤外領域に分光感度を有
    する有機光導電性材料を設けることにより感光層が形成
    されている請求項10ないし16のいずれかに記載の感
    光体の製造方法。
  18. 【請求項18】 近赤外線に分光感度を有する有機光導
    電性材料が設けられていることによって感光層が形成さ
    れている請求項17に記載の感光体の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001051437A (ja) * 1998-11-27 2001-02-23 Canon Inc 電子写真感光体の製造方法

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