JP2535924B2 - 電子写真用感光体 - Google Patents

電子写真用感光体

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JP2535924B2
JP2535924B2 JP62165172A JP16517287A JP2535924B2 JP 2535924 B2 JP2535924 B2 JP 2535924B2 JP 62165172 A JP62165172 A JP 62165172A JP 16517287 A JP16517287 A JP 16517287A JP 2535924 B2 JP2535924 B2 JP 2535924B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、電子写真用感光体に関し、特に、感光層に
非晶質ケイ素を用いた電子写真用感光体に関する。
従来の技術 電子写真法は、感光体に帯電、像露光により静電潜像
を形成し、この潜像を現像剤で現像後、転写紙にトナー
像を転写し定着して複写物を得る方法として知られてい
る。この電子写真法に用いられる感光体は、基本構成と
して導電性基板上に感光層を積層して成る。しかして、
従来より、感光層を構成する材料としては、セレン或い
はセレン合金、硫化カドミウム、酸化亜鉛等の無機感光
材料、或いは、ポリビニルカルバゾール、トリニトロフ
ルオレノン、ビスアゾ顔料、フタロシアニン、ピラゾリ
ン、ヒドラゾン等の有機感光材料が知られており、感光
層を単層或いは積層にして用いられている。しかしなが
ら、従来より用いられているこれらの感光層は、耐久
性、耐熱性、光感度等において未だ解決すべき問題点を
有している。
近年、この感光層として非晶質ケイ素(アモルファス
シリコン、a−Si)を用いた感光体が知られ、種々その
改善が試みられている。この非晶質ケイ素を用いた感光
体は、シラン(SiH4)ガスをグロー放電分解法等により
ケイ素の非晶質膜を導電性基板上に形成したものであっ
て、非晶質ケイ素膜中に水素原子が組込まれて光導電性
を呈するものである。この非晶質ケイ素感光体は、感光
層の表面硬度が高く傷つきにくく、磨耗にも強く、耐熱
性も高く、機械的強度においても優れている。更に、非
晶質ケイ素は、分光感度域が広く、高い光感度を有する
ごとく感光特性も優れている。
発明が解決しようとする問題点 しかしながら反面、非晶質ケイ素を用いた電子写真感
光体は、暗減衰が大きく、帯電しても十分な帯電電位が
得られないという欠点を有する。即ち、非晶質ケイ素感
光体を帯電し、像露光して静電潜像を形成し、次いで現
象する際、感光体上の表面電荷が像露光工程まで、或い
は現像工程までの間に光照射を受けなかった部分の電荷
までも減衰してしまい、現像に必要な帯電電位が得られ
ない。このような帯電電位の暗減衰の大きな感光体を用
いて複写物を作成すると、画像濃度が低く、又、中間調
の再現性に乏しい複写物となる。
この暗減衰の大きいことによる帯電電位の低下に対す
る対策として、一般に、感光層と導電性基板との界面に
電荷注入阻止層(+帯電の場合p型a−Si層、−帯電の
場合n型a−Si層)を設ける方法をとっている。しか
し、この場合、帯電性を向上させるために、電荷注入阻
止層を比較的厚めに設けたり、電荷注入阻止層中の不純
物濃度をあげる等の措置が必要であり、この措置は成膜
時間の増加、或いは使用ガス(ドーピングガス)量の増
加といった製造上の欠点を有するものである。
更に又、非晶質ケイ素を用いた感光体は、基板との接
着性の上で次の欠点を有する。すなわち、非晶質ケイ素
を用いた感光体において、アルミニウム基板と非晶質ケ
イ素感光層との接着性が悪いと、感光層の成膜中、或い
は成膜後放置中、場合によっては感光体として繰り返し
使用中に、感光層の基板からの剥離が発生し、極めて重
大な画像欠陥を引起こす場合がある。又、この基板から
の感光層の剥離は、前記の帯電特性改善のためにp型ア
モルファスシリコン層を導入した場合、特にその層中の
ホウ素濃度が高い場合に発生し易く、帯電特性向上を図
る上での一つの障害となっている。
これ等の欠点を解消するための方法として、アルミニ
ウム基板上に直接陽極酸化処理を施すことによって、陽
極酸化皮膜を形成することが試みられている。(例えば
特開昭58−219564、59−36256、57−104938、57−17714
7、57−177149号公報等) しかしながら、この場合、陽極酸化処理により形成さ
れる陽極酸化皮膜の漏れ電流(leak current)の値が
減少し難く、したがって皮膜の絶縁性が悪い。このた
め、電荷注入阻止性が不充分であり、上記の非晶質ケイ
素を用いた感光体の帯電特性改善に対して、その効果は
充分でなかった。又、陽極酸化皮膜上の非晶質ケイ素感
光層の接着性(着膜安定性)が未だ充分でなく、感光層
が剥離する現象がしばしば見られた。
本発明の目的は、従来の技術における上記の欠点を解
消した非晶質ケイ素を用いる電子写真用感光体を提供す
ることにある。
本発明の目的は、非晶質ケイ素を用い、しかも、帯電
電位の暗減衰が極めて小さい電子写真用感光体を提供す
ることにある。
本発明の他の目的は、帯電特性が外部環境の雰囲気の
変化によって影響を受けない電子写真用感光体を提供す
ることにある。
又、本発明の他の目的は、繰返し使用されても画像品
質の優れた電子写真用感光体を提供することにある。
本発明の他の目的は、基板と感光層との密着性に優れ
た電子写真用感光体を提供することにある。
本発明の他の目的は、可視光域から赤外域までの広範
囲な波長の光に対して光感度の高められた電子写真用感
光体を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、耐熱性、化学安定性が高
く、かつ、機械的強度が高く、耐摩耗性に優れた電子写
真用感光体を提供することにある。
問題点を解決するための手段 本発明者は、感光体に使用されるアルミニウム基板の
陽極酸化処理について鋭意検討した結果、実質的に感光
層に手を加えることなく、感光体に使用されるアルミニ
ウム基板の陽極酸化処理に先立って、純水沸騰中煮沸処
理又は加熱水蒸気処理を行うことによって、上記目的が
達成されることを見出だし、本発明を完成するに至っ
た。
即ち、本発明の上記目的は、純水沸騰水中煮沸処理又
は加熱水蒸気処理を行ってアルミニウム水和酸化物皮膜
(以下、「水和酸化物皮膜」という。)を形成した後
に、陽極酸化処理を施して陽極酸化アルミニウム皮膜
(以下、「陽極酸化皮膜」という。)を形成してなるア
ルミニウム基板と非晶質ケイ素感光層とを有することを
特徴とする電子写真用感光体を提供することによって達
成することができる。
以下、本発明について詳述する。
本発明の電子写真用感光体の最も基本的な構成の例を
添付図面の第1図に示す。第1図中、1はアルミニウム
基板であり、2はアルミニウムの水和酸化物皮膜であ
り、3は陽極酸化皮膜であり、4は非晶質ケイ素感光層
である。
本発明において、良好な特性の陽極酸化皮膜を得るた
めのアルミニウム基板1としては、純Al系の材料の他
に、Al−Mg系、Al−Mg−Si系、Al−Mg−Mn系、Al−Mn
系、Al−Cu−Mg系、Al−Cu−Ni系、Al−Cu系、Al−Si
系、Al−Cu−Zn系、Al−Cu−Ni系、Al−Cu−Si系等のア
ルミニウム合金材料の中から適宜選択して形成された基
板を挙げることができる。
本発明において、陽極酸化処理に先立って行われる純
水沸騰水中煮沸処理又は加熱水蒸気処理は、次のように
行われる。表面を鏡面切削仕上げし、所望の形状に加工
されたアルミニウム基板を、有機溶剤、あるいはフロン
溶剤中で超音波洗浄し、続いて、純水中で、超音波洗浄
する。特に、アルミニウム基板が円筒形状である場合
は、円筒の内・外面を清浄化する。この洗浄処理が不十
分であると所望の特性を満たす良質な水和酸化物皮膜及
び陽極酸化皮膜を形成することができない。
引き続いて、純水沸騰水中煮沸処理又は加熱水蒸気処
理により、アルミニウム基板上にアルミニウムの水和酸
化物皮膜を形成する。即ち、ステンレス鋼又は硬質ガラ
ス等で作成された容器中に、純水を所定の液面になるま
で入れ、電熱器、投げ込みヒーター、ガスバーナーなど
の加熱手段を用いて、純水を加熱し、又は水蒸気化させ
る。次いで、アルミニウム基板をこの加熱した純水中に
浸漬して煮沸するか、又は、加熱水蒸気中にさらし、そ
れによってアルミニウム基板上にアルミニウムの水和酸
化物皮膜を形成させる。純水沸騰水中煮沸処理又は加熱
水蒸気処理の時間は、通常0.1秒〜180分、好ましくは20
秒〜60分である。
加熱純水中に浸漬することにより水和酸化物皮膜を形
成する場合、加熱純水の温度は100℃(沸騰水)である
ことが、皮膜の特性上、又、液温制御の容易さの点から
望ましいが、50℃〜100℃の間において、適宜に設定し
てもよい。本発明で用いる純水としては、蒸溜水又はイ
オン交換水等を用いることが可能であるが、特に塩素分
等の不純物が充分に取り除かれていることが、水和酸化
物皮膜及び陽極酸化皮膜の腐食やピンホール発生防止の
ために必要不可欠である。このようにして形成される水
和酸化物皮膜は、おおむね、Al2O3・nH2O(n=1〜
4)の化学式で表すことができる。
引き続いて、上記水和酸化物皮膜が形成されたアルミ
ニウム基板上に陽極酸化皮膜を形成する。ステンレス鋼
あるいは硬質ガラス等で作製された電解槽(陽極酸化
槽)中に電解質溶液(陽極酸化溶液)を所定の液面まで
満たす。電解質溶液として純水中に、ホウ酸、しゅう
酸、硫酸、燐酸、或いはこれ等の混酸を添加した溶液を
用いることができる。
純水中へのこれ等の酸の添加割合は、常温常圧で固体
の酸の場合は、0.1〜60重量%であり、より好ましくは
1〜50重量%である。又、常温常圧で液体の酸の場合
は、0.1〜80体積%であり、より好ましくは1〜60体積
%である。
次いで、この電解質溶液の中に陽極(Anode)として
電子写真感光体用アルミニウム基板を、又、陰極(Cath
ode)としてステンレス鋼板あるいはアルミニウム板を
ある一定の電極間距離を隔てて浸漬する。この際の電極
間距離は0.1cm〜100cmの間において適宜に設定される。
直流電源装置を用意し、その正(プラス)端子とアルミ
ニウム基板及び負(マイナス)端子と陰極板とをそれぞ
れ結線し、電解質溶液中の陽極、陰極両電極間に通電す
る。この通電により、陽極アルミニウム基板上に陽極酸
化皮膜が形成される。陽極酸化中の電流と電圧の関係の
例を添付図面の第2図に示す。第2図における領域Aに
おいて定電流下で電圧を上昇させていくと、その電圧に
対応した厚さの皮膜が形成される。(10〜14Å/V)。次
いで、領域Bにおいて定電圧に保持すると、電流は時間
と共に減少する。領域AとBを合わせて、最終的にある
厚さを持った陽極酸化皮膜が形成されることとなる。
陽極酸化実施時の電流密度(領域A)は通常0.0001〜
10A/cm2、好ましくは0.0005〜1A/cm2である。また陽極
酸化電圧(領域B)は通常0〜1000V、好ましくは0〜7
00Vである。又、電解質溶液の液温は室温〜100℃、好ま
しくは室温〜90℃に設定される。陽極酸化時間は、必要
な皮膜厚さを得るための時間及び皮膜の所望の絶縁性を
得るための時間、即ち、添付図面の第2図の領域Bにお
ける所要の電流の減少値(漏れ電流)を得るための時間
によって適宜に決定される。
以上の手順により添付図面の第1図におけるアルミニ
ウム基板1上に水和酸化物皮膜2及び陽極酸化皮膜3が
形成される。陽極酸化皮膜の表面は、必要に応じて、封
孔処理を施してもよい。このようにして形成されたアル
ミニウム基板上の水和酸化皮膜及び陽極酸化皮膜は、必
要に応じて純水による洗浄等の措置が取られた後、乾燥
される。陽極酸化皮膜の膜厚は、0.001〜20μm、好ま
しくは0.005〜10μmである。
次いで、添付図面の第1図に示す非晶質ケイ素(a−
Si:アモルファスシリコン)感光層4が形成される。非
晶質ケイ素感光層4としては、ケイ素を主成分として構
成されているのが好ましく用いられる。このようなケイ
素を主成分として構成される非晶質ケイ素感光層は、グ
ロー放電法、スパッタリング法、イオンプレーティング
法、真空蒸着法等によりアルミニウム基板上に形成する
ことができる。これらの膜形成方法は、目的に応じて適
宜選択されるがプラズマCVD法によりシラン(SiH4)ガ
スをグロー放電分解する方法(グロー放電法)が好まし
く、この方法によれば、膜中に適量の水素を含有した比
較的暗抵抗が高く、かつ、光感度も高い電子写真等の感
光体として好適な特性を有する非晶質ケイ素感光層を得
ることができる。以下、プラズマCVD法を例にあげて説
明する。
ケイ素を主成分とする非晶質ケイ素感光層を作成する
ための原料としては、シラン、ジシランをはじめとする
シラン類等がある。又、非晶質ケイ素感光層を形成する
際、必要に応じて各種混合ガス、例えば、水素、ヘリウ
ム、アルゴン、ネオン等のキャリアガスを用いることも
可能である。又、感光層の暗抵抗の制御、あるいは帯電
極性の制御を目的として、更に上記のガス中にジボラン
(B2H6)ガス、ホスフィン(PH3)ガス等のドーパント
ガスを混入させ、光導電層膜中へのホウ素(B)あるい
はリン(P)等の不純物元素の添加(ドーピング)を行
うこともできる。又、更には、暗抵抗の増加、光感度の
増加、あるいは帯電能(単位膜当たりの帯電能力あるい
は帯電電位)の増加を目的として、感光層中にハロゲン
原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子等を含有してもよ
い。更に又、長波長域感度の増加を目的として、感光層
中にゲルマニウム(Ge)等の元素を添加することも可能
である。特に、感光層は、ケイ素を主成分とし、少量の
元素周期律表第III族元素(好ましくはホウ素)を添加
してなるi形半導体層であるのが好ましい。上記種々の
元素を感光層中に添加含有させるためには、プラズマCV
D装置内に、主原料であるシランガスとともに、それら
の元素を含む物質のガス化物を導入してグロー放電分解
を行えばよい。
上記ケイ素を主成分とする感光層の膜厚は、任意に設
定できるが、1μm〜100μm、特に5μm〜50μmの
範囲に設定するのが望ましい。
又、本発明の電子写真用感光体は、必要に応じて上記
ケイ素を主成分とする非晶質ケイ素感光層の上部あるい
は下部に隣接して、他の層を形成してもよい。これらの
層としては、例えば次ぎのものがあげられる。
電荷注入阻止層として、例えばアモルファスシリコン
に元素周期律表第III族あるいはV族元素を添加してな
るp形半導体層、n形半導体層、あるいは絶縁層が、ま
た長波長増感層として、例えば、アモルファスシリコン
にゲルマニウム、錫を添加してなる層が、更に又、接着
層としてアモルファスシリコンに窒素、炭素、酸素等を
添加してなる層、その他、元素周期律表第III B族元
素、V族元素を同時に含む層等、感光体の電気的及び画
像的特性を制御できる層があげられる。これらの各層の
膜厚は任意に決定できるが、通常0.01μm〜10μmの範
囲に設定して用いられる。
本発明においては、非晶質ケイ素感光層とアルミニウ
ム基板上に形成された陽極酸化皮膜との間に、p型非晶
質ケイ素層を有する場合、帯電特性などの特性向上が最
も顕著に発揮されるのである。
上記の非晶質ケイ素感光層及びその他の層は、ブラズ
マCVD法により形成することができるが、上記不純物元
素が添加された非晶質ケイ素感光層は、上記不純物元素
を含む物質のガス化物をシランガスと共にプラズマCVD
装置内に導入してグロー放電分解を行って形成する。こ
のプラズマCVD法によりシラン(SiH4)ガスがグロー放
電分解される。ケイ素を主成分とする非晶質ケイ素感光
層及びその上部下部に隣接して設けられる各層の膜形成
においては、交流放電及び直流放電のいずれにおいて
も、有効な膜形成手段として採用することができるが、
交流放電の場合を例にとると、次の通りである。即ち、
周波数は、通常0.1〜30MHz、好ましくは5〜20MHz、放
電時の真空度は0.1〜5Torr(13.3〜66.7Pa)、基板加熱
温度は100〜400℃である。
作用 本発明においては、陽極酸化処理に先立って、アルミ
ニウム基板に純水沸騰水中煮沸処理又は加熱蒸気処理を
行うことを特徴とするが、この処理を行うと、次の陽極
酸化処理に際して、第2図における、領域Aにおける電
圧の上昇時間及び領域Bにおける電流の減少時間が共に
短くなる。即ち、陽極酸化皮膜形成のために外部から印
加する電気量が少なくてすみ、節電に多大の効果を発揮
する。更に、上記効果に加えて、領域Bにおける電流の
減少到達値(漏れ電流)が低くなり、皮膜の絶縁性が向
上する。この皮膜の絶縁性の向上が、本発明における帯
電性の増加、暗減衰量の減少という効果として現れるの
である。
実施例 次に実施例によって本発明を詳細に説明する。
実施例1 表面を鏡面切削仕上げした外径121mmφの円筒形状の
高純度(4N)Al−Mg合金基板(以下、Al基板という)
を、アセトンを用いて室温で10分間超音波洗浄した後、
続いて、室温の純水中で10分間超音波洗浄した。引き続
いて、純水沸騰水中煮沸処理を10分間実施し、Al基板上
にAlの水和酸化物皮膜を形成した。
この基板に対して、純水中にホウ酸10重量%及びホウ
砂1重量%を加えた溶液を用いて陽極酸化処理を実施し
た。そのときの陽極酸化条件は、液温85℃、電流密度2m
A/cm2及び陽極酸化時間45分であった。
このときの第2図領域Bにおける電流(陽極酸化電
流)の減少後の到達値(漏れ電流)は0.15mA/cm2であっ
た。
処理されたAl基板を陽極酸化溶液から取り出し、純水
中で10分間超音波洗浄し、その後乾燥させた。このよう
にして得られたAl基板上の陽極酸化皮膜の厚さは約0.3
μmであった。次に上記の陽極酸化皮膜が形成されたAl
基板を、円筒状基板上へのアモルファスシリコン膜の生
成が可能な容量結合型プラズマCVD装置内の所定の位置
に配置した。引き続いてシラン(SiH4)ガスとジボラン
(B2H6)ガスの混合ガスをグロー放電分解することによ
り、上記の水和酸化物皮膜及び陽極酸化皮膜を形成した
Al基板上に、水素とホウ素を含むいわゆるp型の非晶質
ケイ素膜を生成した。このときの非晶質ケイ素膜の生成
条件は次のようであった。
プラズマCVD装置の反応室内の所定の位置に円筒状Al
基板を設置し、基板温度を所定の温度である250℃に維
持し、反応室内に100%シラン(SiH4)ガスを毎分200c
c、水素稀釈の100ppmジボラン(B2H6)ガスを毎分200cc
で流入させ、反応槽内を0.5Torr(66.7N/m2)の内圧に
維持した後、13.56MHzの高周波電力を投入して、グロー
放電を生じせしめ、高周波電源の出力を100Wに維持し
た。このようにして水和酸化物皮膜と陽極酸化皮膜を設
けたAl基板上に厚さ0.4μmの水素とホウ素を含むいわ
ゆるp型の非晶質ケイ素層を形成した。
続いてシラン(SiH4)ガスとジボラン(B2H6)ガスの
混合ガスをグロー放電分解することにより、上記のp型
の非晶質ケイ素層の上に水素と微量のホウ素を含む比較
的高暗抵抗でいわゆるi型の非晶質ケイ素膜を生成し
た。このときの非晶質ケイ素膜の生成条件は次のようで
あった。
プラズマCVD装置の反応室内の所定の位置に円筒型Al
基板を設置し、基板温度を所定の温度である250℃に維
持し、反応室内に100%シラン(SiH4)ガスを毎分280c
c、水素稀釈の100ppmジボラン(B2H6)ガスを毎分3cc、
更に、100%水素(H2)ガスを毎分250ccで流入させ、反
応槽内を1.5Torr(200.0N/m2)の内圧に維持した後、1
3.56MHzの高周波電力を投入して、グロー放電を生じせ
しめ、高周波電源の出力を350Wに維持した。このように
して厚さ23μmの水素と極微量のホウ素を含む高暗抵抗
でいわゆるi型の非晶質ケイ素感光層を得た。
以上の手順により純水沸騰水中煮沸処理及び陽極酸化
処理を施したAl基板上にp型の非晶質ケイ素層及びi型
の非晶質ケイ素感光層とを有する感光体を作製した。
得られた電子写真用感光体に対して、正帯電特性を測
定したところ、感光体流入電流10μA/cmの場合、コント
ラスト電位(帯電電位−残留電位)は790V、又、暗減衰
率は26%/secであった。更にAl基板と非晶質ケイ素感光
層の接着性は安定で良好なものであった。
比較のために、純水沸騰水中煮沸処理を行っていない
Al基板上に、上記と同一方法、同一条件により陽極酸化
処理を行った。このときの第2図領域Bにおける電流
(陽極酸化電流)の減少後の到達値(漏れ電流)は、0.
3mA/cm2であった。引き続いて、この基板上に上記と同
一方法、同一条件によりp型の非晶質ケイ素層及びi型
の非晶質ケイ素感光層を有する感光体を作製した。この
電子写真用感光体に対して同様な方法で正帯電特性を測
定したところ、感光体流入電流10μA/cmの場合、コント
ラスト電位(帯電電位−残留電位)は700V、又、暗減衰
率は31%/secであった。また、非晶質ケイ素感光層の一
部にAl基板からの剥離がみられた。
さらに、比較のために、純水沸騰水中煮沸処理及び陽
極酸化処理を行っていないAl基板上に、上記と同一方
法、同一条件によりp型の非晶質ケイ素層及びi型の非
晶質ケイ素感光層を有する感光体を作製した。この電子
写真用感光体に対して同様な方法で正帯電特性を測定し
たところ、感光体流入電流10μA/cmの場合、コントラス
ト電位(帯電電位−残留電位)は505V、又、暗減衰率は
60%/secであった。また、非晶質ケイ素感光層の一部に
Al基板からの剥離がみられた。
以上の結果から、本発明の電子写真用感光体は、暗減
衰率が減少し、帯電特性が向上したものであること、及
び基板と非晶質ケイ素感光層との接着性に優れるもので
あることが分った。
実施例2 表面を鏡面切削仕上げした外径121mmφの円筒形状の
高純度(4N)Al−Mg合金基板を、アセトンを用いて室温
で10分間超音波洗浄した後、続いて、室温の純水中で10
分間超音波洗浄した。引き続いて、純水沸騰水中煮沸処
理を10分間実施し、Al基板上にAlの水和酸化物皮膜を形
成した。
この基板に対して、純水中にホウ酸10重量%及びホウ
砂1重量%を加えた溶液を用いて陽極酸化処理を実施し
た。そのときの陽極酸化条件は、液温85℃、電流密度1.
5mA/cm2及び陽極酸化時間45分であった。
このときの第2図領域Bにおける電流(陽極酸化電
流)の減衰後の到達値(漏れ電流)は0.12mA/cm2であっ
た。
処理されたAl基板を陽極酸化溶液から取り出し、純水
中で10分間超音波洗浄し、その後乾燥させた。このよう
にして得られたAl基板上の陽極酸化皮膜の厚さは約0.25
μmであった。次に上記の陽極酸化皮膜が形成されたAl
基板を、円筒状基板上へのアモルファスシリコン膜の生
成が可能な容量結合型プラズマCVD装置内の所定の位置
に配置した。引き続いてシラン(SiH4)ガスとジボラン
(B2H6)ガスの混合ガスをグロー放電分解することによ
り、上記の水和酸化物皮膜及び陽極酸化皮膜を形成した
Al基板上に、水素と微量のホウ素を含む比較的高暗抵抗
でいわゆるi型の非晶質ケイ素膜を生成した。このとき
の非晶質ケイ素膜の生成条件は次のようであった。
プラズマCVD装置の反応室内の所定の位置に円筒型Al
基板を設置し、基板温度を所定の温度である250℃に維
持し、反応室内に100%シラン(SiH4)ガスを毎分240c
c、水素稀釈の100ppmジボラン(B2H6)ガスを毎分2.5c
c、更に、100%水素(H2)ガスを毎分200ccで流入さ
せ、反応槽内を1.0Torr(133.4N/m2)の内圧に維持した
後、13.56MHzの高周波電力を投入して、グロー放電を生
じせしめ、高周波電源の出力を300Wに維持した。このよ
うにして水和酸化物皮膜及び陽極酸化皮膜を設けたAl基
板上に厚さ20μmの水素と極微量のホウ素を含む高暗抵
抗でいわゆるi型の非晶質ケイ素感光層を有する感光体
を得た。
得られた電子写真用感光体に対して、正帯電特性を測
定したところ、感光体流入電流10μA/cmの場合、コント
ラスト電位(帯電電位−残留電位)は680V、又、暗減衰
率は34%/secであった。さらに、Al基板と非晶質ケイ素
感光層との接着性は安定で良好なものであった。
比較のために、純水沸騰水中煮沸処理を行っていない
Al基板上に、上記と同一方法、同一条件により陽極酸化
処理を行った。
このときの第2図領域Bにおける電流(陽極酸化電
流)の減少後の到達値(漏れ電流)は0.28mA/cm2であっ
た。引き続いて、このAl基板上に上記と同一方法、同一
条件によりi型の非晶質ケイ素感光層を有する感光体を
作製した。この電子写真用感光体に対して同様な方法で
正帯電特性を測定したところ、感光体流入電流10μA/cm
の場合、コントラスト電位(帯電電位−残留電位)は63
5V、又、暗減衰率は39%/secであった。また、非晶質ケ
イ素感光層の一部にAl基板からの剥離がみられた。
さらに比較のために、純水沸騰水中煮沸処理及び陽極
酸化処理を行っていないAl基板上に、上記と同一方法、
同一条件によりi型の非晶質ケイ素感光層を有する感光
体を作製した。この電子写真用感光体に対して同様な方
法で正帯電特性を測定したところ、感光体流入電流10μ
A/cmの場合、コントラスト電位(帯電電位−残留電位)
は370V、又、暗減衰率は69%/secであった。また、非晶
質ケイ素感光層の一部のAl基板からの剥離がみられた。
以上の結果から、本発明の電子写真用感光体は、暗減
衰率が減少し、帯電特性が向上したものであること、及
びAl基板と非晶質ケイ素感光層との接着性に優れるもの
であることが分った。
実施例3 表面を鏡面切削仕上げした外径121mmφの円筒形状の
高純度(4N)Al−Mg合金基板を、フロン溶剤を用いて室
温で20分間超音波洗浄した後、続いて、室温の純水中で
10分間超音波洗浄した。引き続いて、加熱水蒸気処理を
15分間実施し、Al基板上にAlの水和酸化物皮膜を形成し
た。
このAl基板に対して、純水中にホウ酸10重量%及びホ
ウ砂0.8重量%を加えた溶液を用いて陽極酸化処理を実
施した。そのときの陽極酸化条件は、液温85℃、電流密
度3mA/cm2及び陽極酸化時間50分であった。
このときの第2図領域Bにおける電流(陽極酸化電
流)の減少後の到達値(漏れ電流)は0.31mA/cm2であっ
た。
処理されたAl基板を陽極酸化溶液から取り出し、純水
中で10分間超音波洗浄し、その後乾燥させた。このよう
にして得られたAl基板上の陽極酸化皮膜の厚さは約0.3
μmであった。次に上記の陽極酸化皮膜が形成されたAl
基板を、円筒状基板上へのアモルファスシリコン膜の生
成が可能な容量結合型プラズマCVD装置内の所定の位置
に配置した。引き続いてシラン(SiH4)ガスとジボラン
(B2H6)ガスの混合ガスをグロー放電分解することによ
り、上記の水和酸化物皮膜及び陽極酸化皮膜を形成した
Al基板上に、水素とホウ素を含むいわゆるp型の非晶質
ケイ素膜を生成した。このときの非晶質ケイ素膜の生成
条件は次のようであった。
プラズマCVD装置の反応室内の所定の位置に円筒型Al
基板を設置し、基板温度を所定の温度である250℃に維
持し、反応室内に100%シラン(SiH4)ガスを毎分400c
c、水素稀釈の100ppmジボラン(B2H6)ガスを毎分600cc
で流入させ、反応槽内を0.5Torr(66.7N/m2)の内圧に
維持した後、13.56MHzの高周波電力を投入して、グロー
放電を生じせしめ、高周波電源の出力を150Wに維持し
た。このようにして水和酸化物皮膜と陽極酸化皮膜を設
けたAl基板上に厚さ0.4μmの水素とホウ素を含むいわ
ゆるp型の非晶質ケイ素層を形成した。
続いてシラン(SiH4)ガスとジボラン(B2H6)ガスの
混合ガスをグロー放電分解することにより、上記のp型
の非晶質ケイ素層の上に水素と微量のホウ素を含む比較
的高暗抵抗でいわゆるi型の非晶質ケイ素膜を生成し
た。このときの非晶質ケイ素膜の生成条件は次のようで
あった。
プラズマCVD装置の反応室内の所定の位置に円筒型Al
基板を設置し、基板温度を所定の温度である250℃に維
持し、反応室内に100%シラン(SiH4)ガスを毎分400c
c、水素稀釈の10ppmジボラン(B2H6)ガスを毎分100c
c、更に、100%水素(H2)ガスを毎分300ccで流入さ
せ、反応槽内を0.5Torr(66.7N/m2)の内圧に維持した
後、13.56MHzの高周波電力を投入して、グロー放電を生
じせしめ、高周波電源の出力を200Wに維持した。このよ
うにして厚さ20μmの水素と極微量のホウ素を含む高暗
抵抗でいわゆるi型の非晶質ケイ素感光層を得た。
以上の手順により加熱水蒸気処理及び陽極酸化処理を
施したAl基板上にp型の非晶質ケイ素層及びi型の非晶
質ケイ素感光層とを有する感光体を作製した。
得られた電子写真用感光体に対して、正帯電特性を測
定したところ、感光体流入電流10μA/cmの場合、コント
ラスト電位(帯電電位−残留電位)は750V、又、暗減衰
率は27%secであった。更にAl基板と非晶質ケイ素感光
層の接着性は安定で良好なものであった。
比較のために、加熱水蒸気処理を行っていないAl基板
上に、上記と同一方法、同一条件により陽極酸化処理を
行った。このときの第2図領域Bにおける電流(陽極酸
化電流)の減少後の到達値(漏れ電流)は、0.45mA/cm2
であった。引き続いて、このAl基板上に上記と同一方
法、同一条件によりp型の非晶質ケイ素層及びi型の非
晶質ケイ素感光層を有する感光体を作製した。この電子
写真用感光体に対して同様な方法で正帯電特性を測定し
たところ、感光体流入電流10μA/cmの場合、コントラス
ト電位(帯電電位−残留電位)は705V、又、暗減衰率は
31%/secであった。また、非晶質ケイ素感光層の一部に
Al基板からの剥離がみられた。
さらに、比較のために、加熱水蒸気処理及び陽極酸化
処理を行っていないAl基板上に、上記と同一方法、同一
条件によりp型の非晶質ケイ素層及びi型の非晶質ケイ
素感光層を有する感光体を作製した。この電子写真用感
光体に対して同様な方法で正帯電特性を測定したとこ
ろ、感光体流入電流10μA/cmの場合、コントラスト電位
(帯電電位−残留電位)は480V、又、暗減衰率は64%/s
ecであった。また、非晶質ケイ素感光層の一部にAl基板
からの剥離がみられた。
以上の結果から、本発明の電子写真用感光体は、暗減
衰率が減少し、帯電特性が向上したものであること、及
びAl基板と非晶質ケイ素感光層との接着性に優れるもの
であることが分った。
実施例4 表面を鏡面切削仕上げした外径121mmφの円筒形状の
高純度(4N)Al−Mg合金基板を、アセトンを用いて室温
で10分間超音波洗浄した後、続いて、室温の純水中で10
分間超音波洗浄した。引き続いて、純水沸騰水中煮沸処
理を15分間実施し、Al基板上にAlの水和酸化物皮膜を形
成した。
このAl基板に対して、純水中にシュウ酸3.5重量%を
加えた溶液を用いて陽極酸化処理を実施した。そのとき
の陽極酸化条件は、液温75℃、電流密度4mA/cm2及び陽
極酸化時間15分であった。
このときの第2図領域Bにおける電流(陽極酸化電
流)の減少後の到達値(漏れ電流)は1mA/cm2であっ
た。
処理されたAl基板を陽極酸化溶液から取り出し、純水
中で10分間超音波洗浄し、その後乾燥させた。このよう
にして得られたAl基板上の陽極酸化皮膜の厚さは約0.04
μmであった。次に上記の陽極酸化皮膜が形成されたAl
基板を、円筒状基板上へのアモルファスシリコン膜の生
成が可能な容量結合型プラズマCVD装置内の所定の位置
に配置した。引き続いてシラン(SiH4)ガスとジボラン
(B2H6)ガスの混合ガスをグロー放電分解することによ
り、上記の水和酸化物皮膜及び陽極酸化皮膜を形成した
Al基板上に、水素とホウ素を含むいわゆるp型の非晶質
ケイ素膜を生成した。このときの非晶質ケイ素膜の生成
条件は次のようであった。
プラズマCVD装置の反応室内の所定の位置に円筒型Al
基板を設置し、基板温度を所定の温度である250℃に維
持し、反応室内に100%シラン(SiH4)ガスを毎分200c
c、水素稀釈の100ppmジボラン(B2H6)ガスを毎分200cc
で流入させ、反応槽内を0.5Torr(66.7N/m2)の内圧に
維持した後、13.56MHzの高周波電力を投入して、グロー
放電を生じせしめ、高周波電源の出力を150Wに維持し
た。このようにして水和酸化物皮膜と陽極酸化皮膜を設
けたAl基板上に厚さ0.4μmの水素とホウ素を含むいわ
ゆるp型の非晶質ケイ素層を形成した。
続いてシラン(SiH4)ガスとジボラン(B2H6)ガスの
混合ガスをグロー放電分解することにより、上記のp型
の非晶質ケイ素層の上に水素と微量のホウ素を含む比較
的高暗抵抗でいわゆるi型の非晶質ケイ素膜を生成し
た。このときの非晶質ケイ素膜の生成条件は次のようで
あった。
プラズマCVD装置の反応室内の所定の位置に円筒型Al
基板を設置し、基板温度を所定の温度である250℃に維
持し、反応室内に100%シラン(SiH4)ガスを毎分350c
c、水素稀釈の100ppmジボラン(B2H6)ガスを毎分3cc、
更に、100%水素(H2)ガスを毎分250ccで流入させ、反
応槽内を1.0Torr(133.4N/m2)の内圧に維持した後、1
3.56MHzの高周波電力を投入して、グロー放電を生じせ
しめ、高周波電源の出力を350Wに維持した。このように
して厚さ18μmの水素と極微量のホウ素を含む高暗抵抗
でいわゆるi型の非晶質ケイ素感光層を得た。
以上の手順により、純水沸騰水中煮沸処理及び陽極酸
化処理を施したAl基板上に、p型の非晶質ケイ素層及び
i型の非晶質ケイ素感光層とを有する感光体を作製し
た。
得られた電子写真用感光体に対して、正帯電特性を測
定したところ、感光体流入電流10μA/cmの場合、コント
ラスト電位(帯電電位−残留電位)は、665V、また、暗
減衰率は30%/secであった。さらに、Al基板と非晶質ケ
イ素感光層との接着性は安定で良好なものであった。
比較のために、純水沸騰水中煮沸処理を行っていない
Al基板上に、上記と同一方法、同一条件により陽極酸化
処理を行った。
このときの第2図領域Bにおける電流(陽極酸化電
流)の減少後の到達値(漏れ電流)は1.8mA/cm2であっ
た。引き続いて、このAl基板上に上記と同一方法、同一
条件によりp型の非晶質ケイ素感光層及びi型の非晶質
ケイ素感光層を有する感光体を作製した。この電子写真
用感光体に対して同様な方法で正帯電特性を測定したと
ころ、感光体流入電流10μA/cmの場合、コントラスト電
位(帯電電位−残留電位)は630V、又、暗減衰率は36%
/secであった。また、非晶質ケイ素感光層の一部にAl基
板からの剥離がみられた。
さらに比較のために、純水沸騰水中煮沸処理及び陽極
酸化処理を行っていないAl基板上に、上記と同一方法、
同一条件によりp型の非晶質ケイ素感光層及びi型の非
晶質ケイ素感光層を有する感光体を作製した。この電子
写真用感光体に対して同様な方法で正帯電特性を測定し
たところ、感光体流入電流10μA/cmの場合、コントラス
ト電位(帯電電位−残留電位)は415V、又、暗減衰率は
67%/secであった。また、非晶質ケイ素感光層の一部に
Al基板からの剥離がみられた。
以上の結果から、本発明の電子写真用感光体は、暗減
衰率が減少し、帯電特性が向上したものであること、及
び基板と非晶質ケイ素感光層との接着性に優れるもので
あることが分った。
実施例5 表面を鏡面切削仕上げした外径121mmφの円筒形状の
高純度(4N)Al−Mg合金基板を、アセトンを用いて室温
で10分間超音波洗浄した後、続いて、室温の純水中で10
分間超音波洗浄した。引き続いて、純水沸騰水中煮沸処
理を10分間実施し、Al基板上にAlの水和酸化物皮膜を形
成した。
このAl基板に対して、純水中に硫酸20体積%を加えた
溶液を用いて陽極酸化処理を実施した。そのときの陽極
酸化条件は、液温45℃、電流密度3mA/cm2及び陽極酸化
時間15分であった。
このときの第2図領域Bにおける電流(陽極酸化電
流)の減少後の到着値(漏れ電流)は0.8mA/cm2であっ
た。
処理されたAl基板を陽極酸化溶液から取り出し、純水
中で10分間超音波洗浄し、その後乾燥させた。このよう
にして得られたAl基板上の陽極酸化皮膜の厚さは約0.03
μmであった。次に上記の陽極酸化皮膜が形成されたAl
基板を、円筒状基板上へのアモルファスシリコン膜の生
成が可能な容量結合型プラズマCVD装置内の所定の位置
に配置した。引き続いてシラン(SiH4)ガスとジボラン
(B2H6)ガスの混合ガスをグロー放電分解することによ
り、上記の水和酸化物皮膜及び陽極酸化皮膜を形成した
Al基板上に、水素と微量のホウ素を含む比較的高暗抵抗
でいわゆるi型の非晶質ケイ素膜を生成した。このとき
の非晶質ケイ素膜の生成条件は次のようであった。
プラズマCVD装置の反応室内の所定の位置に円筒型Al
基板を設置し、基板温度を所定の温度である250℃に維
持し、反応室内に100%シラン(SiH4)ガスを毎分300c
c、水素稀釈の100ppmジボラン(B2H6)ガスを毎分10c
c、更に、100%水素(H2)ガスを毎分200ccで流入さ
せ、反応槽内を1.0Torr(133.4N/m2)の内圧に維持した
後、13.56MHzの高周波電力を投入して、グロー放電を生
じせしめ、高周波電源の出力を300Wに維持した。このよ
うにして水和酸化物皮膜及び陽極酸化皮膜を設けたAl基
板上に厚さ22μmの水素と極微量のホウ素を含む高暗抵
抗でいわゆるi型の非晶質ケイ素感光層を有する感光体
を得た。
得られた電子写真用感光体に対して、正帯電特性を測
定したところ、感光体流入電流10μA/cmの場合、コント
ラスト電位(帯電電位−残留電位)は590V、又、暗減衰
率は37%/secであった。さらに、Al基板と非晶質ケイ素
感光層との接着性は安定で良好なものであった。
比較のために、純水沸騰水中煮沸処理を行っていない
Al基板上に、上記と同一方法、同一条件により陽極酸化
処理を行った。
このときの第2図領域Bにおける電流(陽極酸化電
流)の減少後の到達値(漏れ電流)は1.5mA/cm2であっ
た。引き続いて、この基板上に上記と同一方法、同一条
件によりi型の非晶質ケイ素感光層を有する感光体を作
製した。この電子写真用感光体に対して同様な方法で正
帯電特性を測定したところ、感光体流入電流10μA/cmの
場合、コントラスト電位(帯電電位−残留電位)は530
V、又、暗減衰率は41%/secであった。また、非晶質ケ
イ素感光層の一部のAl基板からの剥離がみられた。
さらに比較のために、純水沸騰水中煮沸処理及び陽極
酸化処理を行っていないAl基板上に、上記と同一方法、
同一条件によりi型の非晶質ケイ素感光層を有する感光
体を作製した。この電子写真用感光体に対して同様な方
法で正帯電特性を測定したところ、感光体流入電流10μ
A/cmの場合、コントラスト電位(帯電電位−残留電位)
は305V、又、暗減衰率は73%/secであった。また、非晶
質ケイ素感光層の一部にAl基板からの剥離がみられた。
以上の結果から、本発明の電子写真用感光体は、暗減
衰率が減少し、帯電特性が向上したものであること、及
び基板と非晶質ケイ素感光層との接着性に優れるもので
あることが分った。
発明の効果 以上の結果からも明らかなように、本発明の非晶質ケ
イ素感光層を有する電子写真用感光体は、純水沸騰水中
煮沸処理又は加熱水蒸気処理を行った後に陽極酸化処理
を施してなる、酸化物水和皮膜及び陽極酸化皮膜を有す
るアルミニウム基板を用いて構成されたものであるか
ら、基板と感光層との接着性、密着性は極めて高い。
又、本発明の電子写真用感光体は、暗減衰が小さくて
極めて帯電性が高く、且つ、帯電特性が外部環境の雰囲
気の変化によって影響を受けず、常時安定した高い画像
濃度を得ることができる。又、可視光域から赤外域の広
範囲な波長の光に対して光感度の優れたもので、半導体
レーザービームプリンタ用感光体としても適用できる。
更に、本発明の電子写真用感光体は、耐熱性、化学安
定性が高く、かつ、機械的強度が高く、耐摩耗性に優
れ、繰返し使用しても優れた画質の画像を与える。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の電子写真感光体の基本的構成を示す模
式図、第2図は陽極酸化中の電流と電圧の関係を示すグ
ラフである。 1……アルミニウム基板、2……水和酸化物皮膜、 3……陽極酸化皮膜、4……非晶質ケイ素感光層。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】純水沸騰水中煮沸処理又は加熱水蒸気処理
    を行ってアルミニウム水和酸化物皮膜を形成した後に、
    陽極酸化処理を施して陽極酸化アルミニウム皮膜を形成
    してなるアルミニウム基板と、非晶質ケイ素感光層とを
    有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】感光層がi型非晶質ケイ素層からなること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の電子写真用
    感光体。
  3. 【請求項3】感光層とアルミニウム基板上に形成された
    アルミニウム水和酸化物皮膜及び陽極酸化アルミニウム
    皮膜との間にp型非晶質ケイ素層を設けてなることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項に記載の電子写真用感光
    体。
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