JP3349851B2 - スラッジ抑制性に優れたアルミニウム含有金属材料用表面処理組成物および表面処理方法 - Google Patents

スラッジ抑制性に優れたアルミニウム含有金属材料用表面処理組成物および表面処理方法

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JP3349851B2
JP3349851B2 JP32054594A JP32054594A JP3349851B2 JP 3349851 B2 JP3349851 B2 JP 3349851B2 JP 32054594 A JP32054594 A JP 32054594A JP 32054594 A JP32054594 A JP 32054594A JP 3349851 B2 JP3349851 B2 JP 3349851B2
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    • C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C22/00—Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals
    • C23C22/05—Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using aqueous solutions
    • C23C22/06—Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using aqueous solutions using aqueous acidic solutions with pH less than 6
    • C23C22/34—Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using aqueous solutions using aqueous acidic solutions with pH less than 6 containing fluorides or complex fluorides
    • C23C22/36—Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using aqueous solutions using aqueous acidic solutions with pH less than 6 containing fluorides or complex fluorides containing also phosphates
    • C23C22/361—Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using aqueous solutions using aqueous acidic solutions with pH less than 6 containing fluorides or complex fluorides containing also phosphates containing titanium, zirconium or hafnium compounds

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム含有金属
材料を塗装する前に、該表面に優れた耐食性と塗膜密着
性を付与する化成皮膜を形成する表面処理組成物および
表面処理方法に関するものである。この組成物の水溶液
は溶出したアルミニウムを含有しても、沈澱固形物を生
成しにくい透明な溶液である。本発明が特に効果的に適
用される分野はアルミニウムＤＩ缶の表面処理である。
アルミニウム合金板を絞りしごき加工（Drawing & Iron
ing)することにより形成されるアルミニウムＤＩ缶に対
し、その塗装・印刷前に、本発明の表面処理液による表
面処理を施すことにより、スラッジが装置に固着するこ
とを抑制し、それとともにその表面にすぐれた耐食性お
よび塗膜密着性を付与することができる。
【０００２】
【従来の技術】アルミニウムＤＩ缶のボトム外面は塗装
されずに高温殺菌される。この際に当該部分の耐食性が
低いとアルミニウムが酸化して黒く変色し外観が悪くな
る。この現象は一般に黒変と言われている。このため表
面処理により形成される化成皮膜自身（未塗装）に高い
耐食性が要求されている。
【０００３】現在、アルミニウムＤＩ缶の表面処理に
は、６価のクロムを含有するりん酸クロメート処理液、
又はジルコニウム系のノンクロメート処理液が主に使用
されている。ノンクロメートタイプの表面処理液の代表
的なものとしては、特公昭５６−３３４６８号に開示の
表面処理液が挙げられる。この表面処理液は、ジルコニ
ウム、チタン、あるいはこれらの混合物と、ホスフエー
トとおよびフッ化物とを含有し、且つpHが１．５〜４．
０の酸性の水性コーティング溶液である。
【０００４】この酸性ノンクロメート処理液は、有効フ
ッ化物を含有し沈殿傾向を有する固形物生成成分を含有
しないことを特徴としているが、現実には次の述べる大
きな欠点を有するものである。すなわち、このノンクロ
メートタイプ処理液は、有毒物質である６価クロムを含
有しないという利点から、現在アルミニウムＤＩ缶用の
表面処理剤として広く利用されているが、通常、製缶ラ
インで従来の表面処理液を使用する場合、アルミニウム
ＤＩ缶にスプレーしている時間は１５〜３０秒程度であ
り、この様な短い時間でアルミニウムＤ１缶の様な形状
物にスプレー処理を施した場合、各部位で液の流速およ
び処理面と処理液との接触状態に差異が生じるため、生
成する皮膜が不均一となり耐食性能上の安定性にかける
という問題がある。
【０００５】逆に耐食性能を安定化させるために、缶の
ボトム外面部に化成皮膜を多く生成させようとすると、
塗装後に加工を受けるフランジ部あるいは、ネッキング
部の化成皮膜量が過度に多くなってしまい、塗装後に塗
膜剥離という問題を引き起こす。特に表面処理液が老化
して、溶液中に溶出蓄積したアルミニウムの濃度が高く
なった場合、上記の各部位における皮膜量のバラツキに
より顕著となる。
【０００６】このため、工業的に上記従来の表面処理液
を適用する場合には、上記の欠点をカバーするために、
本来一定に管理しなければならない有効フッ素濃度を実
際には目標から外れた低めの条件で使用しなければなら
ないという重大な欠点があった。
【０００７】このため、沈殿傾向の高い固形物生成成分
を含有しないことを特徴としている上記表面処理液も、
実際にはアルミニウムイオンが溶出混入した場合、沈殿
が発生し装置汚染やノズル詰まりなどの問題を引き起こ
しているのが現状である。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術の有
する、上記問題点を解決するためのものである。すなわ
ち、本発明は、アルミニウム含有金属材料表面上に優れ
た耐食性と塗膜密着性を有する化成皮膜を形成するだけ
でなく、この化成皮膜の均一性、およびスラッジ抑制
性、ひいては操業安定性にも優れたアルミニウム含有金
属材料用表面処理液および該溶液を用いた表面処理方法
を提供しようとするものである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者らは、従
来技術の前記問題点を解決するための手段について、鋭
意検討した。その結果、りん酸化合物と、ジルコニウム
化合物とを含有し、１．５〜４．０のpHを有する表面処
理液に、酸化剤を添加し、さらに所定値の〔ＨＦ〕濃度
を付与するフッ化水素供給源化合物を含有させることに
より、透明な処理液外観を維持し得ること、および該処
理液をアルミニウム含有金属材料表面に０．５〜６０秒
間、接触させて化成皮膜を形成することにより、当該表
面に優れた耐食性および塗膜密着性を付与し得ること、
および、化成皮膜の均一性がすぐれており、スラッジの
抑制性にも優れていることを新たに見出し、これに基づ
いて本発明を完成させた。
【００１０】本発明に係るスラッジ抑制性に優れたアル
ミニウム含有金属材料用表面処理組成物は、アルミニウ
ム含有金属材料の表面に化成皮膜を形成する水系表面処
理液であって、 下記成分： （Ａ）りん酸化合物、（Ｂ）ジルコニウム化合物、
（Ｃ）酸化剤、および（Ｄ）水溶液においてフッ化水素
を、０．０００１〜０．２ｇ／リットルの濃度で発生す
る量のフッ化水素供給源化合物を含有し、かつ１．５〜
４．０のpHを有することを特徴とするものである。
【００１１】本発明の表面処理組成物において、前記フ
ッ化水素供給源化合物がフッ化水素酸、およびフッ化ア
ンモニウムから選ばれることが好ましい。
【００１２】本発明の表面処理組成物において、前記酸
化剤が、過酸化水素、亜硝酸、オルガノパーオキサイ
ド、およびこれらの塩から選ばれた少なくとも１種から
なることが好ましい。
【００１３】本発明の表面処理組成物において、前記ジ
ルコニウム化合物が、ジルコニウムに換算して０．００
５〜０．５ｇ／リットルの濃度で含まれていることが好
ましい。
【００１４】本発明の表面処理組成物において、前記り
ん酸化合物が、ＰＯ4 イオンに換算して０．００５〜
０．４ｇ／リットルの濃度で含まれていることが好まし
い。
【００１５】本発明の表面処理組成物において、前記酸
化剤が、０．０１〜５．０ｇ／リットルの濃度で含まれ
ていることが好ましい。
【００１６】本発明に係るスラッジ抑制性に優れたアル
ミニウム含有金属表面処理方法は、前記いづれかの表面
処理組成物を含有する処理液を、アルミニウム含有金属
材料の表面に０．５〜６０秒間接触させて化成皮膜を形
成し、その後、当該表面を水洗し、乾燥することを特徴
とするものである。
【００１７】
【作用】すなわち、アルミニウムＤＩ缶の様な形状物
に、従来の反応速度の比較的遅い表面処理剤をスプレー
処理した場合、各部位で液の流速および処理面と処理液
との接触状態に差異が生じるため、生成する化成皮膜は
不均一となり性能上の安定性が低下するという問題を生
ずる。特に表面処理液が老化して、溶液中のアルミニウ
ムイオン濃度が高くなった場合、ジルコニウムのフルオ
ロ錯体からフッ素が消費されるため、ジルコニウムを溶
液中に安定に溶解させておくために、即ち処理液を透明
に維持しようとするためには、さらにフッ素供給源を補
給することが必要となる。このため、缶の各部位におけ
る皮膜量のバラツキは一層顕著となる。
【００１８】この様な形状物の各部位における反応速度
の差による皮膜量のバラツキをなくし、品質を安定化す
るために、ジルコニウムとりん酸と酸化剤の他に〔Ｈ
Ｆ〕を含有させることにより、化成皮膜の形成反応速度
を向上させ、かつ化成皮膜の均一性を向上させ得ること
を本発明者らは見い出した。
【００１９】さらに、処理液が老化してアルミニウムイ
オン濃度が高くなった場合にも、処理液中に含まれるジ
ルコニウムの沈殿を抑制するために、〔ＨＦ〕濃度を
０．０００１〜０．２ｇ／リットルの水準に管理し、そ
れによってスラッジ抑制性が向上することが見い出され
たのである。
【００２０】ジルコニウム含有処理液による処理は、金
属材料と処理液との界面におけるpHの上昇を利用して皮
膜を形成するものである。一方、化成処理液中に含有さ
れるフッ化水素酸並びにアルミニウムのフルオロ錯体
は、処理液のpH値によってその化合物構造が変化するこ
とが知られている。アルミニウムとフッ素からなる酸性
水溶液中では、フリーフッ素（Ｆ- ) 、フッ素水素酸
（ＨＦ）および各種アルミニウムのフルオロ錯体が存在
し、その含有割合は、水溶液のpHの変化により変動す
る。
【００２１】化成皮膜形成反応は界面近傍における〔Ｈ
Ｆ〕濃度の低下によるものである。従って、化成性を高
水準に維持し、かつ処理液の外観を透明に維持するため
には、処理液中の〔ＨＦ〕濃度をコントロールする事が
必要となる。
【００２２】本発明においては、〔ＨＦ〕濃度は下記の
ようにして測定される。市販されているフッ化物イオン
標準液を、市販されているpH・イオン強度調整液で希釈
して、３水準のＦ- 濃度、すなわちＦ- ：１mg／リット
ル、Ｆ- ：１０mg／リットル、およびＦ- ：１００mg／
リットルの標準液を調製し、所定温度に保温し、これら
を用いて、フッ素イオンメーターの測定値を校正する。
【００２３】表面処理液のサンプルを所定温度に保温
し、上記フッ素イオンメーターによって得られるＦ- 濃
度値をモル濃度に換算し、これをもって〔Ｆ- 〕濃度と
する。さらに処理液のpHを測定し、これから〔Ｈ+ 〕濃
度を導き出す。この様にして、実験および計算により得
られた〔ＨＦ〕濃度をｇ／リットル単位で表す。 Ｈ+ ＋Ｆ- ＝ＨＦ， ｌｏｇＫHF＝３．１７ ｐＨ＝ｌｏｇ10〔Ｈ+ 〕
【００２４】本発明の表面処理組成物において、ジルコ
ニウム化合物の濃度は、ジルコニウムに換算して０．０
０５〜０．５ｇ／リットルであることが好ましく、りん
酸化合物の濃度はＰＯ4 イオンに換算して、０．００５
〜０．４ｇ／リットルであることが好ましく、また酸化
剤の濃度は、０．０１〜５ｇ／リットルであることが好
ましい。
【００２５】本発明の表面処理組成物において、りん酸
化合物、ジルコニウム化合物、および酸化剤の濃度が、
それぞれ前記下限値より低い場合は、処理液の化成皮膜
形成性が不十分になり、十分な厚さを有する化成皮膜を
形成できないという不都合を生ずることがあり、また、
これらの濃度を前記上限値よりも高くしても、効果が飽
和して、ただコストが高くなるという不都合を生ずるこ
とがある。
【００２６】また、本発明の表面処理組成物において、
フッ化水素供給源化合物の濃度が、ＨＦ（フッ化水素）
に換算して０．０００１ｇ／リットル未満であると、ジ
ルコニウム含有スラッジが発生しやすくなり、またそれ
が０．２ｇ／リットルを超過すると、エッチング効果が
過多になり、化成皮膜を形成することが困難になる。
【００２７】本発明の表面処理方法においては、前記処
理組成物を含む処理液をアルミニウム含有金属材料の処
理すべき表面に接触させて、化成皮膜を形成し、これを
水洗し乾燥する。この処理液と、金属材料表面との接触
はスプレー法、又は浸漬法により連続一段操作、又は間
欠多段操作により行われるが、合計接触時間は０．５〜
６０秒間である。このような本発明方法においては、処
理液の特定成分組成により、スラッジが装置に固着する
ことを抑制することができ、操業安定性に優れ、高い処
理効率を達成することができる。
【００２８】本発明の表面処理液はりん酸イオンとジル
コニウム化合物とフッ化物と酸化剤とを必須成分として
含む酸性処理液である。この処理液中にりん酸イオンを
含有させるには、りん酸、りん酸アンモニウム、および
りん酸アルカリ金属塩を使用することができる。これら
の中でも、スラッジ抑制性を考慮すると、りん酸および
りん酸アンモニウムを用いることが好ましい。その含有
量はりん酸（ＰＯ4 ）イオンに換算して０．００５〜
０．４ｇ／リットルの範囲が好ましく、０．０１〜０．
２０ｇ／リットルの範囲がより好ましい。りん酸イオン
濃度が０．００５ｇ／リットル未満では、反応性が乏し
く皮膜が充分に形成されにくい。またそれが０．４ｇ／
リットルを超えても効果は飽和し、却って処理液のコス
トが高くなり経済的に無駄である。
【００２９】本発明の処理液にジルコニウム化合物を含
有させるには、ジルコニウムの水可溶性化合物、好まし
くは水可溶性フルオロジルコニウム錯体、すなわちジル
コニウムフッ化水素酸（Ｈ2 ＺｒＦ6 ）、またはその塩
類を使用することが最も望ましいが、ジルコニウムの酸
化物、水酸化物、硝酸塩、りん酸塩を用いた場合でも、
ジルコニウムを水可溶性のフルオロ錯体に変成し、沈澱
生成を十分に防止できるだけの量のフッ化水素を供給す
るフッ化物を同時に添加すればよい。ジルコニウム化合
物の含有量は、ジルコニウムに換算して、０．００５〜
０．５ｇ／リットルの範囲が好ましく、０．０１〜０．
１ｇ／リットルの範囲がより好ましい。ジルコニウムの
含有量が０．００５ｇ／リットル未満では皮膜が充分に
形成されないことがあり、またそれが０．５ｇ／リット
ルを超えても効果が飽和し、却ってコストが高くなり経
済的に無駄である。
【００３０】本発明の処理液中にフッ化水素〔ＨＦ〕を
含有させるには、フッ化水素酸、又はフッ化アンモニウ
ムを用いることが最も望ましい。〔ＨＦ〕の最適含有量
は０．０００１〜０．２ｇ／リットルの範囲内にあるこ
とが好ましく、０．０１〜０．１ｇ／リットルの範囲が
より好ましい。
【００３１】本発明の処理液に含まれる酸化剤として
は、過酸化水素、亜硝酸、オルガノパーオキサイド、お
よびそれらの塩類が挙げられるが、本発明方法により発
生する廃水の処理容易性を考慮すると、過酸化水素を用
いることが最も好ましい。酸化剤はジルコニウム皮膜の
生成反応速度を促進させる働きを有している。酸化剤の
含有量は０．０１〜５ｇ／リットルの範囲内にあること
が好ましく、より好ましくは０．１〜１．０ｇ／リット
ルである。酸化剤濃度が０．０１ｇ／リットル未満では
反応促進の効果が不十分になることがあり、またそれが
５ｇ／リットルを超えても問題ないが、効果が飽和し、
却ってコストが高くなり経済的に無駄である。
【００３２】処理液のpHは１．５〜４．０に調整され
る。pHが１．５未満ではエッチング効果が過多になり化
成皮膜を形成することが困難となり、またpH値が４．０
を超えるとエッチング効果が過少となり、耐食性に優れ
た皮膜が形成されにくい。さらに好ましいpHの範囲は
２．３〜３．０である。pHは、りん酸、硝酸、塩酸、な
どの酸と水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸
化ナトリウムなどのアルカリを使用することにより調整
する。好ましいpH調整用酸は、りん酸又は硝酸であり、
アルカリとしてはアンモニウム系アルカリ化合物が用い
られる。
【００３３】なお、被処理アルミニウム含有金属材料表
面より溶出した合金成分の銅やマンガン等の金属イオン
により処理液の安定性が著しく低下し、それによりスラ
ッジが生成し、沈澱物が形成され、或はそれが装置など
に固着する場合は、これらを防止するために、これらの
成分をキレートし、安定化するために有機酸およびその
塩、例えばグルコン酸や蓚酸など、およびその塩を添加
してもよい。
【００３４】本発明に係る表面処理液において、ジルコ
ニウム化合物、例えば水可溶性フルオロジルコニウム錯
体とともに、チタンあるいはケイ素等の水可溶性フルオ
ロ錯体を添加してもよい。
【００３５】次に、本発明の表面処理方法の一例につい
て説明する。アルミニウム含有金属材料に対し、例えば
下記工程の処理が施される。 表面清浄：脱脂（酸系、アルカリ系、溶剤系のいず
れでもよい） 水洗 化成皮膜処理（本発明処理液による表面処理） 水洗 脱イオン水洗 乾燥
【００３６】本発明の表面処理液の処理温度には限定は
なく、例えば室温〜９０℃の温度範囲で使用することが
できる。しかし処理液の安定性、作業性および生産性を
勘案すれば、この処理液を２５〜５０℃に加温して使用
することが好ましい。処理時間についても特に制限はな
いが、例えば０．５〜６０秒であることが好ましく、よ
り好ましくは５〜３０秒である。これが０．５秒未満で
は充分に反応せず、耐食性の優れた皮膜は形成されない
ことがあり、またそれが６０秒を超えても処理効果が飽
和し、性能の向上は認められないことがある。
【００３７】
【実施例】本発明の表面処理液および表面処理方法を、
下記実施例によりさらに説明する。下記実施例および比
較例における供試材および性能評価テストは下記の通り
である。
【００３８】（１）供試材 アルミニウム合金（Ａ３００４）の板材およびこれをＤ
Ｉ加工して作ったアルミＤＩ缶を酸性脱脂剤（商標：パ
ルクリーン５００、日本パーカライジング株式会社製）
の加熱水溶液を用いて清浄にした後、表面処理に供し
た。
【００３９】（２）評価方法 （ａ）耐食性と皮膜の均一性 アルミニウムＤＩ缶の耐食性および皮膜の均一性につい
て、耐沸水黒変性によって評価した。耐沸水黒変性につ
いては、表面処理されたアルミニウムＤＩ缶を、沸騰し
た水道水に３０分間浸漬し、それによって発生するアル
ミニウムＤＩ缶の凸部（液の流通が速い部分）と凹部
（液の流速が遅い部分）の変色（黒変）の度合を目視に
より判定した。尚、凸部とは、実際のアルミニウムＤＩ
缶で言うリブ部、およびチャイム部に該当し、凹部と
は、ドーム部に該当する。耐食性の評価は上記試験結果
において「黒変なし」を“○”、「一部黒変」を
“△”、「全面黒変」を“×”で示した。また、皮膜の
均一性は、上記の各部位の耐沸水黒変性において、「各
部位とも黒変なし」を "均一" 、「片方黒変」を "不均
一" として示した。
【００４０】（ｂ）塗膜密着性 表面処理したアルミニウム合金材（Ａ３００４）の表面
にエポキシ尿素系缶用塗料を塗膜厚５〜７μｍに塗装
し、焼き付け乾燥を行った。この塗装板を折り曲げ試験
機を用いて折り曲げ加工を施して試験板を作成し、この
試験板についてセロハンテープによる剥離試験を行っ
た。テスト結果において「剥離なし」を“○”、「剥離
発生」を“×”で示した。
【００４１】（ｃ）液の透明度 下記実施例、および比較例に使用した処理液を４０℃に
設定した恒温槽内に１５日間放置し、その前後の液中の
ジルコニウム量を測定し、その差から沈澱物の有無を判
定した。「沈澱なし」を“○”、「沈澱発生」を“×”
で示した。
【００４２】（ｄ）スラッジ固着確認試験 下記実施例、および比較例に使用した処理液を、４０℃
に設定した小型スプレー装置によるスプレー処理に連続
して１６時間供した。その時に、装置ノズル部における
スラッジ発生状況を目視により評価した。「スラッジ固
着なし」を“○”、「スラッジ固着あり」を“×”で示
した。
【００４３】実施例１ 清浄にしたアルミニウムＤＩ缶およびアルミニウム合金
の板材に対し、下記組成を有し、４０℃に加温された表
面処理液（１）による２０秒間のスプレー処理を施し、
次に水道水で水洗し、さらに脱イオン水で１０秒間スプ
レー洗浄した後、熱風乾燥炉内で乾燥した。この供試材
の耐食性、皮膜の均一性および塗膜密着性を評価した。
尚、処理液を人工的に老化させるためのアルミニウム供
給源として硝酸アルミニウムを使用した。
【００４４】 表面処理液（１） りん酸 ＰＯ4 イオンとして３０ppm フルオロジルコニウム酸 Ｚｒとして３０ppm 過酸化水素 Ｈ2 Ｏ2 として１００ppm 硝酸アルミニウム Ａｌとして１００ppm pH：３．０（アンモニア水で調整） 〔ＨＦ〕：１１ppm （フッ化水素酸により調整） テスト結果を表１に示す。
【００４５】実施例２ 清浄にしたアルミニウムＤＩ缶およびアルミニウム合金
の板材に対し、下記組成を有し、４０℃に加温された表
面処理液（２）により４０秒間のスプレー処理を施し、
水道水で水洗し、さらに１０秒間スプレー洗浄した後、
熱風乾燥炉内で乾燥した。この供試材の耐食性、皮膜の
均一性および塗膜密着性を評価した。
【００４６】 表面処理液（２） りん酸 ＰＯ4 イオンとして２０ppm フルオロジルコニウム酸 Ｚｒとして１０ppm 過酸化水素 Ｈ2 Ｏ2 として３００ppm 硝酸アルミニウム Ａｌとして５０ppm pH：２．７（アンモニア水で調整） 〔ＨＦ〕：９ppm （フッ化水素酸により調整） テスト結果を表１に示す。
【００４７】実施例３ 清浄にしたアルミニウムＤＩ缶およびアルミニウム合金
の板材に対し、下記組成を有し、４０℃に加温された表
面処理液（３）により１５秒間のスプレー処理を施し、
水道水で水洗し、さらに、脱イオン水で１０秒間スプレ
ー洗浄した後、熱風乾燥炉内で乾燥した。この供試材の
耐食性、皮膜の均一性および塗膜密着性を評価した。
【００４８】 表面処理液（３） りん酸 ＰＯ4 イオンとして４０ppm フルオロジルコニウム酸 Ｚｒとして４０ppm 過酸化水素 Ｈ2 Ｏ2 として２００ppm 硝酸アルミニウム Ａｌとして２００ppm pH：２．３（アンモニア水で調整） 〔ＨＦ〕：１５ppm （フッ化水素酸により調整） テスト結果を表１に示す。
【００４９】実施例４ 清浄にしたアルミニウムＤＩ缶およびアルミニウム合金
の板材に対し、下記組成を有し、３０℃に加温された表
面処理液（４）により１０秒間の浸漬処理を施し、水道
水で水洗し、さらに脱イオン水で１０秒間スプレー洗浄
した後、熱風乾燥炉内で乾燥した。この供試材の耐食
性、皮膜の均一性および塗膜密着性を評価した。
【００５０】 表面処理液（４） りん酸 ＰＯ4 イオンとして１５０ppm フルオロジルコニウム酸 Ｚｒとして１００ppm 過酸化水素 Ｈ2 Ｏ2 として４００ppm 硝酸アルミニウム Ａｌとして３００ppm pH：２．５（アンモニア水で調整） 〔ＨＦ〕：７０ppm （フッ化水素酸により調整） テスト結果を表１に示す。
【００５１】実施例５ 清浄にしたアルミニウムＤＩ缶およびアルミニウム合金
の板材に対し、下記組成を有し、３０℃に加温された表
面処理液（５）により５秒間のスプレー処理を施し、水
道水で水洗し、さらに脱イオン水で１０秒間スプレー洗
浄した後、熱風乾燥炉内で乾燥した。この供試材の耐食
性、皮膜の均一性および塗膜密着性を評価した。
【００５２】 表面処理液（５） りん酸 ＰＯ4 イオンとして４００ppm フルオロジルコニウム酸アンモニウム Ｚｒとして２００ppm 過酸化水素 Ｈ2 Ｏ2 として５００ppm 硝酸アルミニウム Ａｌとして５００ppm pH：２．５（アンモニア水で調整） 〔ＨＦ〕：１００ppm （フッ化水素酸により調整） テスト結果を表１に示す。
【００５３】実施例６ 清浄にしたアルミニウムＤＩ缶およびアルミニウム合金
の板材に対し、下記組成を有し、４０℃に加温された表
面処理液（６）により１５秒間のスプレー処理を施し、
水道水で水洗し、さらに脱イオン水で１０秒間スプレー
洗浄した後、熱風乾燥炉内で乾燥した。この供試材の耐
食性、皮膜の均一性および塗膜密着性を評価した。
【００５４】 表面処理液（６） りん酸 ＰＯ4 イオンとして５０ppm 酸化ジルコニウム Ｚｒとして３０ppm 過酸化水素 Ｈ2 Ｏ2 として２００ppm 硝酸アルミニウム Ａｌとして２００ppm pH：２．３（アンモニア水で調整） 〔ＨＦ〕：１３ppm （フッ化水素酸により調整） テスト結果を表１に示す。
【００５５】実施例７ 清浄にしたアルミニウムＤＩ缶およびアルミニウム合金
の板材に対し、下記組成を有し、４０℃に加温された表
面処理液（７）により１５秒間のスプレー処理を施し、
水道水で水洗し、さらに脱イオン水で１０秒間スプレー
洗浄した後、熱風乾燥炉内で乾燥した。この供試材の耐
食性、皮膜の均一性および塗膜密着性を評価した。
【００５６】 表面処理液（７） りん酸 ＰＯ4 イオンとして５０ppm 酸化ジルコニウム Ｚｒとして３０ppm 過酸化水素 Ｈ2 Ｏ2 として２００ppm 硝酸アルミニウム Ａｌとして１００ppm pH：３．５（アンモニア水で調整） 〔ＨＦ〕：７ppm （フッ化水素酸により調整） テスト結果を表１に示す。
【００５７】比較例１ 清浄にしたアルミニウムＤＩ缶およびアルミニウム合金
の板材に対し、下記組成を有し、４０℃に加温された表
面処理液（８）により１０秒間のスプレー処理を施し、
水道水で水洗し、さらに脱イオン水で１０秒間スプレー
洗浄した後、熱風乾燥炉内で乾燥した。この供試材の耐
食性、皮膜の均一性および塗膜密着性を評価した。
【００５８】 表面処理液（８）（酸化剤なし） りん酸 ＰＯ4 イオンとして３０ppm フルオロジルコニウム酸 Ｚｒとして３０ppm 硝酸アルミニウム Ａｌとして２００ppm pH：３．０（アンモニア水で調整） 〔ＨＦ〕：１５ppm （フッ化水素酸により調整） テスト結果を表１に示す。
【００５９】比較例２ 清浄にしたアルミニウムＤＩ缶およびアルミニウム合金
の板材に対し、下記組成を有し、５０℃に加温された表
面処理液（９）により１０秒間のスプレー処理を施し、
水道水で水洗し、さらに脱イオン水で１０秒間スプレー
洗浄した後、熱風乾燥炉内で乾燥した。この供試材の耐
食性、皮膜の均一性および塗膜密着性を評価した。
【００６０】 表面処理液（９）（ジルコニウム化合物なし） りん酸 ＰＯ4 イオンとして５０ppm フッ化水素酸 Ｆとして２２０ppm 過酸化水素 Ｈ2 Ｏ2 として５００ppm 硝酸アルミニウム Ａｌとして１００ppm pH：２．５（アンモニア水で調整） 〔ＨＦ〕：１0 ppm （フッ化水素酸により調整） テスト結果を表１に示す。
【００６１】比較例３ 清浄にしたアルミニウムＤＩ缶およびアルミニウム合金
の板材に対し、下記組成を有し、３５℃に加温された表
面処理液（１０）により２０秒間のスプレー処理を施
し、水道水で水洗し、さらに脱イオン水で１０秒間スプ
レー洗浄した後、熱風乾燥炉内で乾燥した。この供試材
の耐食性、皮膜の均一性および塗膜密着性を評価した。
【００６２】 表面処理液（１０） フルオロジルコニウム酸 Ｚｒとして４０ppm 過酸化水素 Ｈ2 Ｏ2 として５００ppm 硝酸アルミニウム Ａｌとして２００ppm pH：３．０（アンモニア水で調整） 〔ＨＦ〕：５０ppm （フッ化水素酸により調整） テスト結果を表１に示す。
【００６３】比較例４ 清浄にしたアルミニウムＤＩ缶およびアルミニウム合金
の板材に対し、下記組成を有し、４０℃に加温された表
面処理液（１１）により１５秒間のスプレー処理を施
し、水道水で水洗し、さらに脱イオン水で１０秒間スプ
レー洗浄した後、熱風乾燥炉内で乾燥した。この供試材
の耐食性、皮膜の均一性および塗膜密着性を評価した。
【００６４】 表面処理液（１１） りん酸 ＰＯ4 イオンとして５０ppm フルオロジルコニウム酸 Ｚｒとして５０ppm 過酸化水素 Ｈ2 Ｏ2 として３００ppm 硝酸アルミニウム Ａｌとして２００ppm pH：２．７（アンモニア水で調整） 〔ＨＦ〕：０．０５ppm （フッ化水素酸により調整） テスト結果を表１に示す。
【００６５】比較例５ 清浄にしたアルミニウムＤＩ缶およびアルミニウム合金
の板材に対し、下記組成を有し、４０℃に加温された表
面処理液（１２）により１０秒間のスプレー処理を施
し、水道水で水洗し、さらに脱イオン水で１０秒間スプ
レー洗浄した後、熱風乾燥炉内で乾燥した。この供試材
の耐食性、皮膜の均一性および塗膜密着性を評価した。
【００６６】 表面処理液（１２） りん酸 ＰＯ4 イオンとして４０ppm 酸化ジルコニウム Ｚｒとして４０ppm 過酸化水素 Ｈ2 Ｏ2 として３００ppm 硝酸アルミニウム Ａｌとして２００ppm pH：２．８（アンモニア水で調整） 〔ＨＦ〕：０．０１ppm （フッ化水素酸により調整） テスト結果を表１に示す。
【００６７】比較例６ 清浄にしたアルミニウムＤＩ缶およびアルミニウム合金
の板材に対し、下記組成を有し、４０℃に加温された表
面処理液（１３）による１５秒間のスプレー処理を施
し、次に水道水で水洗し、さらに脱イオン水で１０秒間
スプレー洗浄した後、熱風乾燥炉内で乾燥した。この供
試材の耐食性、皮膜の均一性および塗膜密着性を評価し
た。
【００６８】 表面処理液（１３） りん酸 ＰＯ4 イオンとして４０ppm フルオロジルコニウム酸 Ｚｒとして４０ppm 硝酸アルミニウム Ａｌとして３００ppm pH：３．０（アンモニア水で調整） 〔ＨＦ〕：１５ppm （フッ化水素酸により調整） テスト結果を表１に示す。
【００６９】比較例７ 清浄にしたアルミニウムＤＩ缶およびアルミニウム合金
の板材に対し、下記組成を有し、４０℃に加温された表
面処理液（１４）により３０秒間のスプレー処理を施
し、水道水で水洗し、さらに１０秒間スプレー洗浄した
後、熱風乾燥炉内で乾燥した。この供試材の耐食性、皮
膜の均一性および塗膜密着性を評価した。
【００７０】 表面処理液（１４） りん酸 ＰＯ4 イオンとして１００ppm フルオロジルコニウム酸 Ｚｒとして１００ppm 硝酸アルミニウム Ａｌとして３００ppm pH：３．０（アンモニア水で調整） 〔ＨＦ〕：２０ppm （フッ化水素酸により調整） テスト結果を表１に示す。
【００７１】
【表１】
【００７２】表１の結果より明らかなように本発明の表
面処理液および表面処理方法を用いた実施例１〜７にお
いては、得られた化成皮膜の耐食性、および塗膜密着性
はともに優れており、化成皮膜の均一性に優れ、また表
面処理液も透明に維持され、さらにスラッジ固着が十分
に抑制されたことがわかる。一方、本発明以外の表面処
理液を用いた比較例１〜５においては、上記耐食性、塗
膜密着性、化成皮膜の均一性、処理液の透明性、および
スラッジ固着抑制性のすべてを満足したものはなく、総
合的に性能が不十分であった。
【００７３】
【発明の効果】本発明に係る表面処理組成物および表面
処理方法は、塗装前のアルミニウム含有金属材料の表面
に、優れた耐食性と塗膜密着性とを付与し、化成皮膜の
均一性、処理液の透明性、およびスラッジ固着抑制性が
高いという優れた効果を示すものである。従って、本発
明のアルミニウム含有金属材料表面処理液および表面処
理方法は、ともに実用上極めて有用なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平７−310189（ＪＰ，Ａ) 特開 昭54−24232（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−246370（ＪＰ，Ａ) 特開 昭52−131937（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−297585（ＪＰ，Ａ) 特表 平９−511548（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) C23C 22/00 - 22/86

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 アルミニウム含有金属材料の表面に化成
    皮膜を形成する水系表面処理液であって、 下記成分： （Ａ）りん酸化合物、 （Ｂ）ジルコニウム化合物、 （Ｃ）酸化剤、および （Ｄ）水溶液においてフッ化水素を、０．０００１〜
    ０．２ｇ／リットルの濃度で発生する量のフッ化水素供
    給源化合物 を含有し、かつ１．５〜４．０のpHを有することを特徴
    とする、スラッジ抑制性に優れたアルミニウム含有金属
    材料用表面処理組成物。
  2. 【請求項２】 前記フッ化水素供給源化合物がフッ化水
    素酸、およびフッ化アンモニウムから選ばれる請求項１
    に記載の表面処理組成物。
  3. 【請求項３】 前記酸化剤が、過酸化水素、亜硝酸、オ
    ルガノパーオキサイド、およびこれらの塩から選ばれた
    少なくとも１種からなる、請求項１に記載の表面処理組
    成物。
  4. 【請求項４】 前記ジルコニウム化合物が、ジルコニウ
    ムに換算して０．００５〜０．５ｇ／リットルの濃度で
    含まれている、請求項１に記載の表面処理組成物。
  5. 【請求項５】 前記りん酸化合物が、ＰＯ4 イオンに換
    算して０．００５〜０．４ｇ／リットルの濃度で含まれ
    ている、請求項１に記載の表面処理組成物。
  6. 【請求項６】 前記酸化剤が、０．０１〜５．０ｇ／リ
    ットルの濃度で含まれている、請求項１に記載の表面処
    理組成物。
  7. 【請求項７】 請求項１〜６のいづれか１項に記載の表
    面処理組成物を含有する処理液を、アルミニウム含有金
    属材料の表面に、０．５〜６０秒間接触させて化成皮膜
    を形成し、その後、当該表面を水洗し、乾燥することを
    特徴とする、スラッジ抑制性に優れたアルミニウム含有
    金属表面処理方法。
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