JP3638063B2 - 感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置の感光ドラム基体として用いられるアルミニウム管の製造方法に関する。
【0002】
なお、この明細書において、アルミニウムの語はアルミニウム及びアルミニウム合金の両方を含む意味で用いる。
【0003】
【従来の技術】
上記の感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法として、切削により鏡面仕上げする方法が知られている。また、最近では、押出・しごき工程により製作されるEI管と称されるアルミニウム管や、押出・引抜工程により製作されるED管と称されるアルミニウム管や、しぼり・しごき工程により製作されるDI管と称されるアルミニウム管のような無切削アルミニウム管も提供されている。
【0004】
このようなアルミニウム管は、その製作後表面に感光層を被覆して感光ドラムとなされるが、感光層の被覆前にアルミニウム管の表面を洗浄して付着した汚れを落とすことが行われている。この場合、簡易な工程で高い洗浄効果を得るために、前記の洗浄を超音波洗浄機を用いて行う場合がある。
【0005】
しかしながら、超音波洗浄を施されたアルミニウム管を感光ドラムに用いた場合、感光ドラムを一様帯電させる際にリーク(漏電)が発生し易いという欠点があった。リークが発生すると、印刷時にトナーが付着せず白抜けスポットとなり、印刷品質を低下させるものであった。特に、感光ドラム表面の一様帯電方式として、従来からのコロナ帯電方式がオゾンの発生を伴うことから、コロナ帯電方式に変えてローラー帯電、ブラシ帯電等の直接帯電方式が多く採用されるようになってきているが、かかる直接帯電方式ではコロナ帯電の際に絶縁層として機能していた空気層がなくなるため、感光ドラムへの負荷が大きくなり、益々リークし易いものであった。
【0006】
そこで、感光ドラムの上記リーク原因について調査したところ、次のようなことがわかった。即ち、切削により鏡面仕上げしたアルミニウム管には、周方向の切削目に沿ってワイヤー状またはバリ状の微細な凸状欠陥が存在しており、また無切削アルミニウム管には、押出時のムシレやAlカスの付着等に起因して長さ方向に沿って鱗片状やワイヤー状の微細な凸状欠陥が存在していることがわかった。そして、このような凸状欠陥が、図2(a)に示すように、浮き上がりを阻止されてアルミニウム管(1)の基体と一体に存在している場合はリークの原因とならないが、超音波洗浄によりたたかれて凸状欠陥(2)がアルミニウム管の表面に起き上がることがあり、これがリークの一因となっていることが推測されるものであった。また、このような起上り状の凸状欠陥が存在すると、感光層塗工の下処理として下引層(3)を塗布しても、図2(c)のように凸状欠陥(2)は下引層(3)内に封じ込まれるが、欠陥部分が盛り上がるため完全にリークを解消するには至っていない。殊に、最近では、感光層を電荷発生層と電荷輸送層を有するものに構成した積層型の有機感光体が提供されるとともに、電荷発生層を0.2〜0.5μmの薄膜に塗工することが行われており、起上り状の凸状欠陥の存在による塗工欠陥を生じ易いものであった。
【0007】
このような凸状欠陥を除去する方法の一例として、特開平3−192265号公報にはアルミニウム管の表面をエッチング等により10μm以下の厚さに侵蝕する方法が開示されている。そして、その実施例において、エッチング液として10%水酸化ナトリウム、10%硝酸、75%リン酸−25%硫酸の混酸等の強アルカリ液や強酸液が用いられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような強アルカリや強酸の処理液を用いると、前記凸状欠陥を溶解することができるものの、表面が過度にエッチングされて、表面平滑性が低下したり、さらには寸法精度、特に外径の寸法精度が低下するという欠点があった。
【0009】
この発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたものであって、無切削アルミニウム素管の全体的な表面平滑性や寸法精度を損なうことなく、局部的な凸状欠陥を解消できる感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、発明者は鋭意研究の結果、超音波照射の条件を一定に規定することにより、全体的な表面平滑性や寸法精度を損なうことなく、局部的な起上り状の凸状欠陥を解消し得ることを見出し、この発明を完成した。
【0011】
即ち、この発明は、無切削アルミニウム素管を、pH11〜12の弱アルカリ性処理液に浸漬するとともに、該素管に周波数が20〜100kHzの超音波を10〜120秒照射することにより、前記無切削アルミニウム素管表面の凸状欠陥を起上がらせて溶解除去することを特徴とするものである。
【0012】
この発明において、処理槽における無切削アルミニウム素管への超音波の照射方式は限定されることはない。例えば、図1(a)に示す投げ込み型、(b)の接着型、(c)の振動伝達子型その他各種の照射機を用いれば良い。なお、これらの図において、(10)は処理槽、(20)は被処理物である複数個のアルミニウム素管、(30)は振動子、(40)は振動伝達子、(50)は処理液である。
【0013】
また、処理液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、アミン類等の水溶液を例示でき、これらを所定pHとなるように適宜濃度調整する。処理液は、pH11未満の中性域では汚れに対する洗浄効果はあっても凸状欠陥を溶解することができず、一方pH12を超える強アルカリ性では過度に溶解されて却って表面を荒らすこととなる。
【0014】
また、前記無切削アルミニウム素管に照射する超音波は、凸状欠陥を十分に起き上がらせるとともに、欠陥の溶解を促進するために、周波数を20〜100kHz以上とする必要がある。20kHz未満では十分に凸状欠陥を起き上がらせることはできないため、凸状欠陥が選択的に溶解されない。一方、100kHzを超えると製品表面の正常部分をも荒らすおそれがある。好ましい周波数の下限値は、25kHzである。
【0015】
超音波照射時間は、10〜120秒で短時間に行う必要がある。照射時間が10秒未満では欠陥が十分に溶解されず、一方120秒を超えると無切削アルミニウム素管の欠陥のない正常な部分まで過度に溶解され、却って表面粗さが悪くなるためである。超音波照射時間の好ましい下限値は20秒、好ましい上限値は90秒である。
【0016】
なお、前記処理液は弱アルカリ性であり、脱脂効果も有する。そのため、従来脱脂や切り粉除去を目的として中性液中でを行っていた洗浄作業は、この発明の超音波照射による凸状欠陥の除去作業と兼ねて同時に行うことができる。勿論、従来の洗浄作業後に、本発明の方法を実施しても良い。
【0017】
【作用】
無切削アルミニウム素管表面に存在する凸状欠陥は、処理液中で周波数が20〜100kHzの超音波を照射することにより、そのキャビテーション効果により起上がる。そして、起上がったことにより、前記凸状欠陥は素管本体よりも強くキャビテーション効果を受けるとともに、凸状欠陥に接触する洗浄液はより広い範囲で入れ替わり、溶解したアルミニウムの高濃度状態が速やかに解消されるため、凸状欠陥は素管本体よりも溶解されやすい状態となっている。また、処理液がpH11〜12という弱アルカリ性であるため溶解力が穏やかであり、かつ超音波照射時間が10〜120秒の短時間であるために、管表面の欠陥のない正常部分は過度に溶解されない。従って、無切削アルミニウム素管の全体的な表面平滑性や寸法精度が損なわれることなく、起上がった凸状欠陥が選択的に溶解除去される。
【0018】
【実施例】
図1(a)に示す投げ込み型の超音波照射機を用い、その処理槽に表1に示す成分およびpHの各処理液を充填した。そして、振動子の上方に、感光ドラム基体用無切削アルミニウム素管が位置するように、各1本のアルミニウム素管を処理液中に浸漬した。前記素管としては、いずれも無切削のED管を使用し、振動子と無切削アルミニウム素管との距離は5〜40cmに設定した。
【0019】
そして、表1に示す周波数の超音波を所定時間照射した。
【0020】
次に、上記の超音波照射を行ったアルミニウム素管の表面状態を観察した。
【0021】
さらに、無切削アルミニウム素管を乾燥したのち、各無切削アルミニウム素管に電荷発生層と電荷輸送層とを有する感光層を以下のようにして被覆形成して、感光ドラムを作製した。即ち、電荷発生層は、無金属フタロシアニンをテトラヒドロフランにて4%に希釈して、膜厚が約0.3μmになるように塗工し乾燥して形成した。次に、CT剤(ヒドラゾン化合物)とCT樹脂(ポリカーボネート)を1:2の比率で塩化メチレンに溶解して、膜厚が20μmになるように塗工し乾燥して電荷輸送層とした。
【0022】
次に、これら感光ドラムを、ローラー帯電器を用いた直接帯電方式によって−1000Vの電圧で帯電させ、リークの発生状況を調べた。
【0023】
表面状態およびリークの発生の評価結果、ならびに総合的な判定を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
上記表1の結果からわかるように、本発明実施品は、表面平滑性に優れ、リークの発生も少ないものであった。
【0026】
【発明の効果】
この発明は、上述の次第で、無切削アルミニウム素管を、pH11〜12の弱アルカリ性処理液に浸漬するとともに、該素管に周波数が20〜100kHzの超音波を10〜120秒照射するものであるから、前記無切削アルミニウム素管表面の全体的な表面平滑性や寸法精度が損なうことなく、凸状欠陥を選択的に溶解除去できる。ひいては前記凸状欠陥に起因して生じていた感光ドラムのリークを防止し、印刷品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は超音波照射機の一例を示す断面図、(b)は他の例を示す断面図、(c)はさらに他の例を示す一部切り欠き斜視図である。
【図2】(a)はアルミニウム素管表面の凸状欠陥が無切削アルミニウム素管と一体に寝ている状態を示す断面図、(b)は起上がった状態を示す断面図、(c)は下引層を塗布した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1…無切削アルミニウム素管
2…凸状欠陥
Claims (1)
- 無切削アルミニウム素管を、pH11〜12の弱アルカリ性処理液に浸漬するとともに、該素管に周波数が20〜100kHzの超音波を10〜120秒照射することにより、前記無切削アルミニウム素管表面の凸状欠陥を起上がらせて溶解除去することを特徴とする感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法。
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JP30015796A JP3638063B2 (ja) | 1996-11-12 | 1996-11-12 | 感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法 |
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