JP5362433B2 - 感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法 - Google Patents

感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば電子写真装置(複写機、プリンタ、ファクシミリ等)のOPC感光ドラム基体などに用いられる感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法、及び、感光ドラム基体用アルミニウム管の製造装置に関する。
なお、この明細書及び特許請求の範囲において、「アルミニウム」の語は、特に示さない限り、純アルミニウムとアルミニウム合金との双方を含む意味で用いる。
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置の感光ドラムの基体に用いられるアルミニウム管は、その表面(詳述するとその外周面)に厚さが均一なOPC(有機光導電体)塗膜を形成させる必要があるため、鏡面に近い表面状態であることが要求される。
従来は、アルミニウム管の表面を切削することによって表面について鏡面仕上げが行われていたが、切削用刃具の調整や管理が容易でない上に切削作業に熟練を要することから、大量生産には適さないという難点があった。
そこで、近年では、アルミニウム圧延板をしごき加工して得られたDI管、アルミニウム押出素管をしごき加工して得られたEI管、アルミニウム押出素管を引抜加工して得られたED管などの無切削管が、感光ドラム用基体として多く用いられるようになってきている。中でも、ED管は、他の無切削管とは異なり、10本以上の管を1加工で生産できるので大量生産に適しており、市場拡大に伴う大量消費に対応し得るものとして注目されている。
このED管は、まずアルミニウム製のビレットを押出加工してアルミニウム押出素管を得た後、該押出素管を所定長さに切断し、これを引抜加工することによって外径、内径、肉厚が所定値に規定されたアルミニウム管を得、次いで切断、端部の面取り加工、洗浄を順次行い、さらに寸法及び外観の検査を経て製造されている。
而して、上記感光ドラム用基体は、高度の表面平滑性と寸法精度を有していることが求められる。しかしながら、ED管は、ビレットの成分、押出素管の外径、肉厚、硬度、表面粗さ、表面汚れ等の多くのバラツキ要素を含んでいる。そのため、感光ドラム用基体がED管からなる場合には、表面平滑性と寸法精度を高めることは容易ではない。しかも、ED管は無切削管であることから、ED管からなる基体の表面には、押出加工時に押出素管の表面に付着した微小なアルミニウム片が引抜加工で偏平化することで発生する鱗状欠陥、押出加工のダイスラインに起因したスジ状欠陥、引抜加工の潤滑油押込みに起因したオイルピット等の微細な表面欠陥が発生している。
とりわけ、鱗状欠陥においては、鱗状欠陥(詳述すると鱗状欠陥の鱗部)が超音波洗浄によって又はOPC塗工時の熱の影響等によって立ち上がり、ササクレ状凸欠陥に転化し易かった。このようなササクレ状凸欠陥が感光ドラム用基体の表面に存在すると、感光ドラムが一様帯電した際にササクレ状凸欠陥がリーク(漏電)の起点になって画像の劣化を生じ易いという問題があった。
このようなササクレ状凸欠陥の発生を防止する技術として、特開平8−267122号公報(特許文献1)は、押出ダイスのベアリング部の粗さを規定することにより、ササクレ状凸欠陥の原因となる微小なアルミニウム片の押出素管表面への付着を抑制する方法を開示している。
また、特開平6−330393号公報(特許文献2)は、鱗状欠陥が立ち上がらないようにするため、ED管の表面に陽極酸化被膜を形成する方法を開示している。
また、特開2006−159288号公報(特許文献3)は、押出素管を引抜加工する前に、押出素管の表面に付着した微小なアルミニウム片をこすり落として除去する方法を開示している。
また、特開平8−82939号公報(特許文献4)は、ED管からなる基体の表面に下引き層を塗布する前に、基体の表面を布、紙、スポンジ又は研磨テープで拭く方法を開示している。
また、特開平10−142824号公報(特許文献5)は、ED管をアルカリ性溶解液中に浸漬した状態で、ED管に超音波を照射することにより、ED管の表面の鱗状欠陥を立ち上がらせて溶解除去する方法を開示している。
特開平8−267122号公報 特開平6−330393号公報 特開2006−159288号公報 特開平8−82939号公報 特開平10−142824号公報
しかしながら、上記特許文献1の方法によれば、ED管の表面のササクレ状凸欠陥の発生をある程度は抑制できるが、ササクレ状凸欠陥の発生を確実に防止できるまでには至っていない。
上記特許文献2の方法によれば、陽極酸化被膜によってOPC塗膜の塗工条件を従前の塗工条件から変更しなければならないことがあるという難点があった。
上記特許文献3と4の方法によれば、微小なアルミニウム片がED管の表面に一体化している場合にはアルミニウム片を除去するのが困難であった。
上記特許文献5の方法によれば、鱗状欠陥が立ち上がげられて形成されたササクレ状凸欠陥の発生をある程度は抑制できるが、ササクレ状凸欠陥の発生を確実に防止できるまでには至っていない。その原因について、本発明者が研究調査したところ、次のような知見を得た。すなわち、アルカリ性溶解液中にアルミニウムED管を浸漬すると、アルミニウムED管の表面が溶解して反応ガスが溶解液中に拡散するとともに、反応生成物であるゲル状の水酸化アルミニウムが溶解液中に浮遊分散する。これらの影響によって超音波の伝播が阻害されて、鱗状欠陥が十分に立ち上がらず、ササクレ状凸欠陥が溶解除去され難かったものとの知見を得た。
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、無切削アルミニウム管から形成された感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法であって、ササクレ状等の凸欠陥が少ない感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法、及び、該方法に用いられる感光ドラム基体用アルミニウム管の製造装置を提供することにある。
本発明は以下の手段を提供する。
[1] 無切削アルミニウム管から形成された感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法であって、
無切削アルミニウム管を浸漬液中に浸漬した状態で前記管に超音波を照射することにより、前記管の表面の鱗状欠陥を立ち上げる超音波照射工程と、
前記超音波照射工程の後で、前記管の表面の凸欠陥を酸性又はアルカリ性の溶解液で溶解除去する溶解除去工程と、
前記溶解除去工程の後で、前記管を超音波洗浄する超音波洗浄工程と、
を含むことを特徴とする感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法。
[2] 前記超音波照射工程で用いる超音波の周波数が、前記超音波洗浄工程で用いる超音波の周波数よりも小さく設定されている前項1記載の感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法。
[3] 前記超音波照射工程で用いる超音波は、前記超音波洗浄工程で用いる超音波よりも前記鱗状欠陥の立上げ力が強く設定されている前項1又は2記載の感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法。
[4] 前記超音波照射工程で用いる超音波の周波数が15kHz以上50kHz未満に設定されており、
前記超音波洗浄工程で用いる超音波の周波数が50kHz以上500kHz未満に設定されている前項2又は3記載の感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法。
[5] 前記超音波照射工程では、超音波の照射により前記浸漬液中に生じた超音波の定在波における音圧の腹を、前記管に対して相対的に前記管の長さ方向に連続的に移動させながら、前記管に超音波を照射する前項1〜4のいずれかに記載の感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法。
[6] 前記超音波照射工程では、超音波を放射する超音波振動子と前記管との相対位置を連続的に変化させながら、前記管に超音波を照射する前項1〜5のいずれかに記載の感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法。
[7] 前記超音波照射工程では、超音波の周波数を連続的に変化させながら、前記管に超音波を照射する前項1〜6のいずれかに記載の感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法。
[8] 前記超音波照射工程では、前記浸漬液は、pHが4.5以上8.0未満の水である前項1〜7のいずれかに記載の感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法。
[9] 無切削アルミニウム管から形成された感光ドラム基体用アルミニウム管の製造装置であって、
浸漬液中に浸漬された無切削アルミニウム管に超音波を照射することにより、前記管の表面の鱗状欠陥を立ち上げる超音波照射手段と、
前記超音波照射手段により鱗状欠陥が立ち上げられた前記管の表面の凸欠陥を酸性又はアルカリ性の溶解液で溶解除去する溶解除去手段と、
前記溶解除去手段により凸欠陥が溶解除去された前記管を超音波洗浄する超音波洗浄手段と、
を含むことを特徴とする感光ドラム基体用アルミニウム管の製造装置。
[10] 前記超音波照射手段により照射される超音波の周波数は、前記超音波洗浄手段の超音波の周波数よりも小さく設定されている前項9記載の感光ドラム基体用アルミニウム管の製造装置。
本発明は以下の効果を奏する。
[1]の発明によれば、超音波照射工程を行うことにより、無切削アルミニウム管の表面の鱗状欠陥を立ち上げることができる。このように鱗状欠陥が立ち上げられることにより、管の表面には鱗状欠陥が転化されてなるササクレ状凸欠陥が発生する。その後、溶解除去工程を行うことにより、凸欠陥を酸性又はアルカリ性の溶解液で溶解除去することができる。その後、超音波洗浄工程を行うことにより、管の表面に付着した付着物(残渣や溶解液等)を洗浄除去することができる。これにより、凸欠陥が少ない感光ドラム基体用アルミニウム管を製造することができる。
[2]の発明によれば、超音波照射工程で用いる超音波の周波数が、超音波洗浄工程で用いる超音波の周波数よりも小さく設定されているので、超音波照射工程時に立ち上がらなかった鱗状欠陥が超音波洗浄工程時に立ち上げられるという問題は発生せず、つまり超音波洗浄工程時に凸欠陥が新たに発生しない。したがって、凸欠陥が非常に少ない感光ドラム基体用アルミニウム管を製造することができる。
[3]の発明によれば、超音波照射工程で用いる超音波は、その鱗状欠陥の立上げ力が超音波照射工程で用いる超音波よりも強く設定されているので、超音波照射工程時に鱗状欠陥を確実に立ち上げることができる。これにより、超音波洗浄工程時に凸欠陥が新たに発生する問題を確実に防止できる。
[4]の発明によれば、超音波照射工程で用いる超音波の周波数と超音波洗浄工程で用いる超音波の周波数とが、それぞれ所定の範囲に設定されていることにより、超音波照射工程時に鱗状欠陥を更に確実に立ち上げることができる。これにより、超音波洗浄工程時に凸欠陥が新たに発生する問題を更に確実に防止できる。
[5]の発明によれば、超音波の定在波における音圧の腹を管に対して相対的に管の長さ方向に連続的に移動させながら、管に超音波を照射することにより、管の長さ方向における鱗状欠陥の立上げムラの発生を防止でき、すなわち、鱗状欠陥を管の長さ方向にできる限り均一に立ち上げることができる。これにより、超音波洗浄工程時に凸欠陥が新たに発生する問題を更に確実に防止できる。
[6]の発明によれば、超音波の照射による鱗状欠陥の立上げ力が作用する位置を連続的に変化させることができ、もって鱗状欠陥をできる限り均一に立ち上げることができる。これにより、超音波洗浄工程時に凸欠陥が新たに発生する問題を更に確実に防止できる。
[7]の発明によれば、鱗状欠陥の立上げムラを確実に防止することができる。これにより、超音波洗浄工程時に凸欠陥が新たに発生する問題を更に確実に防止できる。
[8]の発明によれば、浸漬液は、pHが4.5以上8.0未満の水であることにより、浸漬液による管の化学的浸食が確実に抑制される。そのため、浸漬液中における反応生成物(例:水酸化アルミニウム)の浮遊分散により超音波の伝播が阻害されて鱗状欠陥が立ち上がらなくなる不具合を確実に防止できる。これにより、鱗状欠陥を確実に立ち上がらせることができ、もって超音波洗浄工程時に凸欠陥が新たに発生する問題を更に確実に防止できる。
[9]の発明によれば、本発明に係る感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法に用いられる感光ドラム基体用アルミニウム管の製造装置を提供できる。
[10]の発明によれば、凸欠陥が非常に少ない感光ドラム基体用アルミニウム管を製造できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法に用いる製造装置を示す概略断面図である。 図2は、同製造方法の超音波照射工程において、超音波照射手段により管に超音波を照射している状態の概略断面図である。 図3は、同製造方法の各工程の管の表面状態を工程順に示す概略断面図であり、(a)は超音波照射工程前の管の表面状態の拡大断面図、(b)は超音波照射工程後の管の表面状態の拡大断面図、(c)は溶解除去工程後の管の表面状態の拡大断面図、(d)は超音波洗浄工程後の管の表面状態の拡大断面図である。 図4は、同製造方法の超音波照射工程に用いるもう一つの超音波照射手段を示す概略断面図である。 図5は、実施例及び比較例で用いた引抜加工装置の引抜ダイス及び引抜プラグの断面図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。
図1において、50は、本発明の一実施形態に係る感光ドラム基体用アルミニウム管の製造装置である。この製造装置50は、無切削アルミニウム管から形成された感光ドラム基体用アルミニウム管を製造するためのものである。本実施形態では、無切削アルミニウム管は、アルミニウム押出素管を引抜加工して得られた管、即ちED管1である。
この管1の断面形状は円環状である。管1の材質は、Al−Mn系合金、Al−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金、純Al等である。管1の長さは例えば200〜400mm、その直径は例えば16〜40mm、その肉厚は例えば0.5〜1.5mmである。
この管1はED管なので、図3(a)に示すように、この管1の表面1a(詳述すると管1の外周面)には、押出加工時に押出素管の表面に付着した微小なアルミニウム片が引抜加工で偏平化することによって多数の鱗状欠陥2が発生しており、さらに、図示していないがその他の表面欠陥(スジ状欠陥、オイルピット等)も発生している。鱗状欠陥2の一端部(基端部)は管1と一体化されているが、その他端部(先端部)は管1とは一体化されていない。この管1から本実施形態の製造装置50によって所望する感光ドラム基体用アルミニウム管が製造される。
製造装置50は、図1に示すように、超音波照射手段10、溶解除去手段20、超音波洗浄手段30などを具備している。
超音波照射手段10は、図2に示すように、超音波洗浄と同じ要領で、管1を浸漬液12中に浸漬させた状態で管1に超音波を照射することにより、管1の表面1aの鱗状欠陥2(図3(a)参照)を立ち上げるためのものである。そのメカニズムは、超音波の照射により浸漬液12中に発生する微細な空洞(キャビティ)とその破裂とに伴うキャビテーションエネルギーによって鱗状欠陥2が立ち上げられるものと考えられる。このように鱗状欠陥2が立ち上げられることにより、図3(b)に示すように、ササクレ状凸欠陥3が管1の表面1aに形成される。つまり、この凸欠陥3は、鱗状欠陥2が転化してなるものである。
この超音波照射手段10の基本的な主構成は、被洗浄物の洗浄のために一般的に用いられている超音波洗浄装置と同じである。すなわち、図2に示すように、この超音波照射手段10は、超音波が伝播する浸漬液12を貯留する超音波照射槽11、超音波を発生させる超音波発生部13などを備えている。さらに、超音波照射手段10は、管1を揺動させる(詳述すると管1を繰り返し往復移動させる)揺動手段45を備えている。照射槽11内の浸漬液12中には管1全体が浸漬される。なお、同図では、管1は1個だけが照射槽11内の浸漬液12中に浸漬されているが、本発明では、管1が複数個一括して浸漬されても良い。
管1は、次のような保持部材40によって起立状態に保持されている。すなわち、保持部材40の先端部に水平に形成された管載置板部40aには、上方突出状のボス部40bが設けられており、このボス部40bが管1の下端開口内に抜出可能に挿入配置されて管1が管載置板部40a上に載置されることにより、管1が起立状態に取外し可能に保持されている。そして、この管1は、保持部材40によって保持された状態のままで、超音波照射手段10、溶解除去手段20及び超音波洗浄手段30へと順次搬送される。この保持部材40には前記揺動手段45が接続されており、この揺動手段45を作動させることにより、管1が保持部材40に保持された状態のままで保持部材40を介して上下方向及び左右方向のうち少なくとも一方向に揺動されるものとなされている。本実施形態では、管1は上下方向、即ち管1の長さ方向に揺動されるものとなされている。
照射槽11内の浸漬液12は、超音波が伝播可能で且つ管1の表面1aに対して化学的浸食が殆ど生じない液であることが望ましい。具体的には、この浸漬液12として、イオン交換水、RO水、純水等の水が用いられる。水は、有機溶媒に比べて蒸気圧が低いし表面張力が大きいので、キャビテーションで非常に大きな衝撃力を得ることができる。また、予め脱気しておいた水を用いるのが望ましく、これにより、超音波照射工程時に気泡の発生による超音波の伝播が阻害される不具合を防止できる。ただし、管1の表面1aの水との濡れ性が悪いと、表面1aへの気泡付着により超音波の伝播が阻害されるので、濡れ性を高めるために少量の界面活性剤やアルコール等を水に添加しても良い。
特に、浸漬液12は、pH(水素イオン指数)が4.5以上8.0未満の水であることが望ましい。このようなpHに調整された水を用いることにより、浸漬液12による管1の化学的浸食を確実に抑制することができる。これにより、浸漬液12中における反応生成物(例:水酸化アルミニウム)の浮遊分散により超音波の伝播が阻害されて鱗状欠陥2が立ち上がらなくなるという不具合を確実に防止できる。その結果、鱗状欠陥2を確実に立ち上がらせることができる。
超音波発生部13は、発振部13a、周波数可変部13b、超音波振動子13c等を備えている。この超音波発生部13では、発振部13aから発振された高周波交流は、その周波数が周波数可変部13bにより変化され、その後、増幅部(図示せず)により増幅されて超音波振動子13cに入力される。これにより、振動子13cから超音波が放射される。本実施形態では、振動子13cは照射槽11の底部に配置されており、超音波は振動子13cから上方に向けて(即ち照射槽11内の浸漬液12の表面12aに向けて)浸漬液12中に放射される。超音波の周波数は、周波数可変部13bを作動させることより変化させることができる。
溶解除去手段20は、図1に示すように、超音波照射手段10により鱗状欠陥2が立ち上げられた管1の表面1aの凸欠陥3(図3(b)参照)を所定の溶解液22で溶解除去するものである。
この溶解除去手段20は、管1の表面1aの凸欠陥3を溶解する所定の溶解液22を貯留する溶解槽21等を備えている。溶解槽21内の溶解液22中には管1全体が浸漬される。このように溶解液22中に管1を浸漬することにより、図3(c)に示すように、凸欠陥3が溶解されて除去される。なお、同図では、管1は1個だけが溶解槽21内の溶解液22中に浸漬されているが、本発明では、管1が複数個一括して浸漬されても良い。
溶解液22は、酸性又はアルカリ性である。酸性の溶解液22としては、硫酸、塩酸、リン酸等が用いられる。アルカリ性の溶解液22としては、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。
超音波洗浄手段30は、図1に示すように、溶解除去手段20により凸欠陥3が溶解除去された管1を超音波洗浄し、これにより、管1の表面に付着した付着物(残渣や溶解液等)を洗浄除去するものである。
この超音波洗浄手段30の基本的な主構成は、上記の超音波照射手段10と同じであり、すなわち被洗浄物の洗浄のために一般的に用いられている超音波洗浄装置と同じである。この超音波洗浄手段30は、超音波が伝播する洗浄液32を貯留する洗浄槽31、超音波を発生させる超音波発生部33などを備えている。図示していないが、超音波発生部33の構成は、上記の超音波照射手段10の超音波発生部13と同じである。超音波発生部33の超音波振動子33cは、洗浄槽31の底部に配置されており、超音波は振動子33cから上方に向けて(即ち洗浄槽31内の洗浄液32の表面に向けて)洗浄液32中に放射される。洗浄槽31内の洗浄液32中には管1全体が浸漬される。なお、同図では、管1は1個だけが洗浄槽31内の洗浄液32中に浸漬されているが、本発明では、管1が複数個一括して浸漬されても良い。
洗浄槽31内の洗浄液32は、超音波が伝播可能で且つ管1の表面1aに対して化学的浸食が殆ど生じない液である。具体的には、この洗浄液32として、イオン交換水、RO水、純水等の水が通常用いられる。さらに、洗浄液32に、管1の表面1aの水との濡れ性を高めるために少量の界面活性剤やアルコール等を水に添加しても良い。
次に、上記製造装置50を用いた感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法について以下に説明する。
ます、無切削アルミニウム管として、アルミニウム押出素管を引抜加工して得られた管、即ちED管1を準備する。この工程を「無切削アルミニウム管準備工程」という。この管1の表面1aには、図3(a)に示すように、多数の鱗状欠陥2が発生している。
次いで、この管1を保持部材40により起立状態に保持する。この保持状態では管1の長さ方向が上下方向である。そして、揺動手段45を作動させることにより、管1を上下方向、即ち管1の長さ方向に揺動させる。
また、超音波照射手段10の超音波発生部13を作動させることによって、超音波を振動子13cから照射槽11内の浸漬液12中に放射する。そして、図1に示すように、保持部材40に保持された管1を浸漬液12中に浸漬する。これにより、管1をその長さ方向(上下方向)に揺動させながら管(詳述すると管の表面)に超音波を照射する。すると、浸漬液12中に発生する微細な空洞(キャビティ)とその破裂とに伴うキャビテーションエネルギーによって、図3(b)に示すように、管1の表面1aの鱗状欠陥2が多数立ち上げられる。この工程を「超音波照射工程」という。このように立ち上げられた鱗状欠陥2は、ササクレ状凸欠陥3に転化する。なお、浸漬液12は、上述したように、水であることが望ましく、特に、pHが4.5以上8.0未満の水であることが望ましい。
この超音波照射工程では、図2に示すように、振動子13cから超音波が上方に向けて浸漬液12中に放射されると、超音波は浸漬液12の表面12aで反射される。その結果、超音波の反射波と進行波とが干渉してなる定在波5が浸漬液12中に(詳述すると浸漬液12の表面12aと振動子13cとの間で)発生する。この定在波5において、音圧が最大となる腹5aの位置では最も活発にキャビテーションが発生しており、つまりキャビテーションエネルギーが最も大きい。一方、音圧が最小となる節5bの位置ではキャビテーションが殆ど発生しておらず、つまりキャビテーションエネルギーが非常に小さい。したがって、管1をその長さ方向に揺動させながら管1に超音波を照射すると、該超音波の定在波5における音圧の腹5aが管1に対して相対的に管1の長さ方向に連続的に移動することとなる。これにより、管1の長さ方向における鱗状欠陥2の立上げムラの発生が防止され、すなわち鱗状欠陥2が管1の長さ方向に均一に立ち上げられる。
また、このように管1を揺動させながら管1に超音波を照射することは、振動子13cと管1との相対位置を連続的に変化させながら管1に超音波を照射することと同じである。
なお本発明では、管1を揺動させるのではなく、振動子13cを揺動させても良いし、管1と振動子13cをそれぞれ個別に揺動させても良い。また本発明では、管1(や振動子13c)を必ずしも揺動させる必要はない。しかしながら、本実施形態のように管1(や振動子13c)を揺動させた方が鱗状欠陥2の立上げムラの発生を防止できる点で望ましい。
ここで、浸漬液12中を伝播する超音波の波長をλ、浸漬液12中の音速をc、超音波の周波数をf、超音波の周期をTとすると、波長λは、λ=c/f=cTで与えられる。なお、浸漬液12が20℃の水である場合には、音速cは約1500m/sである。
超音波の周波数は、15kHz以上50kHz未満に設定されるのが望ましい。このような周波数の超音波を用いることにより、超音波照射工程で鱗状欠陥2を確実に立ち上げることができる。
管1の揺動ストロークは、λ/2以上であることが望ましく、特にλに対して1〜5倍の範囲内であることが望ましい。
管1の1min間当たりの揺動回数は、限定されるものではないが、特に15〜60回/minの範囲内に設定されるのが望ましい。
超音波の管1への照射時間は、限定されるものではなく、通常1〜5minの範囲内である。
また本発明では、超音波発生部13の周波数可変部13bを作動させることで超音波の周波数を連続的に変化させながら、管1に超音波を照射しても良い。この場合には、超音波の定在波5の腹5aが管1の長さ方向に連続的に移動することとなる。そのため、上記実施形態と同じくやはり、管1の長さ方向における鱗状欠陥2の立上げムラの発生が防止され、すなわち鱗状欠陥2が管1の長さ方向に均一に立ち上げられる。
超音波照射工程が終了したら、管1を照射槽11内の浸漬液12から引き上げる。そして、図1に示すように、管1を溶解除去手段20の溶解槽21内の溶解液22中に浸漬する。これにより、図3(c)に示すように、管1の表面1aの凸欠陥3を溶解除去する。この工程を[溶解除去工程]という。なお、溶解液22は、上述したように酸性又はアルカリ性のものである。
この溶解除去工程では、管1の溶解液22中への浸漬時間(即ち溶解時間)は、限定されるものではないが、1〜5minの範囲内であることが望ましい。
また、管1は、溶解液22中に浸漬された状態で揺動させることが、凸欠陥3を確実に且つ迅速に溶解除去し得る点で望ましい。管1の1min間当たりの揺動回数は、限定されるものではないが、15〜60回/minの範囲内に設定されるのが望ましい。
なお本発明では、この溶解除去工程時に溶解液22中に浸漬された管1に超音波を照射しても良い。さらに、管1を溶解液22中に浸漬した状態で揺動させることが、凸欠陥3をより迅速に且つムラなく溶解除去できる点で望ましい。
溶解除去工程が終了したら、管1を溶解槽21内の溶解液22から引き上げる。そして、図1に示すように、管1を超音波洗浄手段30の洗浄槽31内の洗浄液32中に浸漬するとともに、超音波を振動子33cから洗浄液12中に放射する。これにより、図3(d)に示すように、管1の表面1aに付着した付着物(残渣や溶解液等)を超音波で洗浄除去する。この工程を[超音波洗浄工程]という。なお、洗浄液32は、上述したように通常、水が用いられる。
この超音波洗浄工程では、超音波照射工程で用いた超音波よりも鱗状欠陥2の立上げ力が弱く設定された超音波が用いられる。換言すると、超音波照射工程では、超音波洗浄工程で用いる超音波よりも鱗状欠陥2の立上げ力が強く設定された超音波が用いられる。その理由は、もし超音波照射工程で用いる超音波が、超音波洗浄工程で用いる超音波よりも鱗状欠陥2の立上げ力が弱く設定されている場合、超音波照射工程時に立ち上がらなかった鱗状欠陥2が超音波洗浄工程時に立ち上がってしまう問題が発生するからである。そこで、この問題を解決するため、超音波照射工程では、超音波洗浄工程で用いる超音波よりも鱗状欠陥2の立上げ力が強く設定された超音波を用い、すなわち、超音波洗浄工程では、超音波照射工程で用いる超音波よりも鱗状欠陥2の立上げ力が弱く設定された超音波を用いる。
この超音波洗浄工程では、鱗状欠陥2の立上げ力が弱い超音波として、超音波照射工程で用いる超音波の周波数よりも大きな周波数の超音波が用いられる。換言すると、超音波照射工程では、鱗状欠陥2の立上げ力が強い超音波として、超音波洗浄工程で用いる超音波の周波数よりも小さな周波数の超音波が用いられる。この超音波洗浄工程において、このような周波数の超音波を用いることにより、上記の問題を確実に防止でき、これにより、超音波洗浄工程時において凸欠陥3の新たな発生を確実に防止できる。具体的には、超音波洗浄工程での超音波の周波数は、50kHz以上500kHz未満に設定されるのが望ましい。
管1の洗浄時間は、限定されるものではなく、通常1〜5minの範囲内である。
また、管1を洗浄液32中に浸漬した状態で揺動させることが、管1の表面1aに付着した付着物を確実に洗浄除去できる点で望ましい。
この場合、管1の揺動ストロークは、λ/2以上であることが望ましく、特にλに対して1〜5倍の範囲内であることが望ましい。
管1の1min間当たりの揺動回数は、限定されるものではないが、15〜60回/minの範囲内に設定されるのが望ましい。
超音波洗浄工程が終了したら、管1を洗浄槽31内の洗浄液32から引き上げる。その後、管1は、乾燥工程、検査工程等の後工程へ送られ、もって感光ドラム基体用アルミニウム管が得られる。
上記実施形態の感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法は、次の利点がある。
超音波照射工程を行うことにより、図3(a)と(b)に示すように、管1の表面1aの鱗状欠陥2を立ち上げることができる。その後、溶解除去工程を行うことにより、図3(c)に示すように、凸欠陥3を酸性又はアルカリ性の溶解液22で溶解除去することができる。その後、超音波洗浄工程を行うことにより、図3(d)に示すように、管1の表面1aに付着した付着物(残渣や溶解液等)を洗浄除去することができる。
超音波照射工程で用いる超音波は、その鱗状欠陥2の立上げ力が超音波洗浄工程で用いる超音波よりも強く設定されているので、超音波照射工程時に立ち上がらなかった鱗状欠陥2が超音波洗浄工程時に立ち上げられるという問題は発生せず、つまり超音波洗浄工程時に凸欠陥3が新たに発生しない。したがって、凸欠陥3が非常に少ない感光ドラム基体用アルミニウム管を製造することができる。
さらに、超音波照射工程で用いる超音波の周波数と超音波洗浄工程で用いる超音波の周波数とが、それぞれ所定の範囲に設定されていることにより、超音波照射工程時に鱗状欠陥2を確実に立ち上げることができる。これにより、超音波洗浄工程時に凸欠陥3が新たに発生する問題を確実に防止できる。
さらに、超音波照射工程において、浸漬液12中に生じた超音波の定在波5における音圧の腹5aを、管1に対して相対的に管1の長さ方向に連続的に移動させながら、管1に超音波を照射することにより、管1の長さ方向における鱗状欠陥2の立上げムラの発生を防止でき、すなわち、鱗状欠陥2を管1の長さ方向にできる限り均一に立ち上げることができる。これにより、上記の問題を更に確実に防止できる。
さらに、振動子13cと管1との相対位置を連続的に変化させながら管1に超音波を照射することにより、超音波の照射による鱗状欠陥2の立上げ力が作用する位置を連続的に変化させることができ、もって鱗状欠陥2をできる限り均一に立ち上げることができる。これにより、上記の問題を更に確実に防止できる。
また、超音波の周波数を連続的に変化させながら、管1に超音波を照射する場合には、超音波の定在波5の腹5aが管1の長さ方向に連続的に移動することとなる。そのため、上記実施形態と同じくやはり、管1の長さ方向における鱗状欠陥2の立上げムラの発生を防止でき、すなわち鱗状欠陥2を管1の長さ方向に均一に立ち上げることができる。
さらに、照射槽11内の浸漬液12は、pHが4.5以上8.0未満の水であることにより、浸食液12による管1の化学的浸食が確実に抑制される。そのため、浸漬液12中における反応生成物の浮遊分散により超音波の伝播が阻害されて鱗状欠陥2が立ち上がらなくなる不具合を確実に防止できる。これにより、鱗状欠陥2を確実に立ち上がらせることができる。
以上で本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々に変更可能である。
例えば、本発明では、図4に示すように、超音波照射手段10は、超音波照射槽11の側壁に複数の超音波振動子13cが互いに対向して配置されており、これらの振動子13cから超音波を浸漬液12中に放射することにより、浸漬液12中に浸漬された管(図示せず)に超音波を照射しても良い。この場合には、超音波の定在波5は互いに対向する両振動子13c、13c間に発生する。
また本発明では、図示していないが、超音波照射工程において、複数の振動子から互いに異なる周波数の超音波を照射槽内の浸漬液中に放射することにより、浸漬液中に浸漬された管に超音波を照射しても良い。
次に、本発明の具体的な実施例及び比較例を以下に示す。ただし、本発明は当該実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明文では、実施例及び比較例を理解し易くするため、上記実施形態と同じ符号を用いて説明している。
実施例1〜10及び比較例1〜3で用いた無切削アルミニウム管の製造方法は、以下のとおりである。
<無切削アルミニウム管の製造>
Mn:1.12質量%、Si:0.11質量%、Fe:0.39質量%、Cu:0.16質量%、Zn:0.01質量%、Mg:0.02質量%を含み、残部がAl及び不可避不純物からなるアルミニウム合金製のビレットを、押出温度520℃及び押出速度5m/minの条件で押出加工し、これにより断面円環状の長尺なアルミニウム押出素管を得た。この押出素管の外径は32mm、その肉厚は1.5mmである。また、この押出加工に使用した押出ダイスは、ポートホールダイスである。
この押出素管を切断機で長さ2.2mに多数本に切断した。これらの押出素管の表面を倍率10倍のルーペで観察し、これらの中から表面に微小なアルミニウム片が付着しているものを選んだ。
次いで、選んだ押出素管を図5に示した引抜加工装置60を用いて以下の条件で引抜加工し、これにより、無切削アルミニウム管として、表面に鱗状欠陥2が発生したアルミニウムED管1を得た。このED管1の外径は24mm、その肉厚は0.8mmである。
引抜加工装置60の引抜ダイス61は、アプローチ角θ1が15°、ベアリング長さL1が15mmである。引抜加工装置60の引抜プラグ63は、アプローチ角θ2が7°、ベアリング長さL2が2mmである。
引抜速度は30m/min、引抜回数は2回である。1回の引抜加工での管の外径減少率は16%であり、1回の引抜加工での管の断面積減少率は32%である。引抜加工用潤滑油の動粘度(40℃)は、1.4×10-42/s(140cSt)である。
Figure 0005362433
<実施例1〜10、比較例1〜3>
実施例1〜10及び比較例3では、上記のED管1について表1に示す条件で超音波照射工程、溶解除去工程及び超音波洗浄工程を順次行うことにより、感光ドラム基体用アルミニウム管を製造した。なお、この超音波照射工程時に使用した超音波照射手段10は、図2に示したものである。
比較例1及び2では、上記のED管1について表1に示す条件で超音波照射工程のみを行うことにより、感光ドラム基体用アルミニウム管を製造した。なお、この超音波照射工程時に使用した超音波照射手段10は、図2に示したものである。
[超音波照射工程]
表1中の超音波照射工程において、浸漬液12は、純水(pH=7)に硫酸又は苛性ソーダを添加するかあるいは添加しないことにより、pHを調整したものである。なお浸漬液12は、管1の浸漬前に予め脱気している。
超音波照射工程における「超音波の周波数」欄には、管1に照射した超音波の周波数が記載されている。
超音波照射工程における「管の揺動」欄では、超音波照射工程時に管1を揺動した場合には「有」を記載し、管1を揺動しなかった場合には「なし」を記載した。管1を揺動した場合、管1の揺動ストロークは50mm、管1の揺動回数は30回/minである。
超音波照射工程における「照射時間」欄には、超音波の管1への照射時間が記載されている。
超音波照射工程における「鱗状欠陥の形態変化」欄では、鱗状欠陥2が立ち上がって凸欠陥3に転化した場合には「有」を記載し、一方、鱗状欠陥2が立ち上がらなくて凸欠陥3に転化していない場合には「なし」を記載した。なお、鱗状欠陥2の形態変化は、管1の表面1aを倍率10倍のルーペで観察することにより、調べた。
超音波照射工程における「凸欠陥」欄の符号の意味は次のとおりである。
○:凸欠陥3が発生していなかった。
×:凸欠陥3が少数発生していた。
××:凸欠陥3が多数発生していた。
[溶解除去工程]
表1中の溶解除去工程において、溶解液22は、純水(pH=7)に硫酸又は苛性ソーダを添加するかあるいは添加しないことにより、pHを調整したものである。
溶解除去工程における「超音波の周波数」欄では、溶解除去工程時に超音波を管1に照射した場合には、その超音波の周波数を記載し、一方、超音波を照射しなかった場合には「なし」を記載した。
溶解除去工程における「管の揺動」欄では、溶解除去工程時に管1を揺動した場合には「有」を記載し、管1を揺動しなかった場合には「なし」を記載した。管1を揺動した場合、管1の揺動ストロークは50mm、管の揺動回数は30回/minである。
溶解除去工程における「浸漬時間」欄には、管1の溶解液22への浸漬時間が記載されている。
溶解除去工程における「鱗状欠陥の形態変化」欄では、凸欠陥3が溶解除去された場合には「有」を記載し、一方、凸欠陥3が溶解除去されていなかった場合には「なし」を記載した。なお、鱗状欠陥2の形態変化は、管1の表面1aを倍率10倍のルーペで観察することにより、調べた。ここで、実施例5では「なし」が記載されているが、詳述すると、鱗状欠陥2は立ち上がっていないが鱗状欠陥2の周辺部が若干溶解していた。
溶解除去工程における「凸欠陥」欄の符号の意味は次のとおりである。
○:凸欠陥3が溶解除去されて存在していなかった。
△:凸欠陥3が非常に少数残存していた。
×:凸欠陥3が少数残存していた。
××:凸欠陥3が多数残存していた。
[超音波洗浄工程]
表1中の超音波洗浄工程において、洗浄液32は、純水(pH=7)を用いた。なお、洗浄液32は、管1の洗浄前に予め脱気している。
超音波洗浄工程における「超音波の周波数」欄には、超音波洗浄工程で用いた超音波の周波数が記載されている。
超音波洗浄工程における「管の揺動」欄では、超音波洗浄工程時に管1を揺動した場合には「有」を記載し、管1を揺動しなかった場合には「なし」を記載した。管1を揺動した場合、管1の揺動ストロークは50mm、管の揺動回数は30回/minである。
超音波洗浄工程における「洗浄時間」欄には、管1の超音波洗浄時間が記載されている。
超音波洗浄工程における「鱗状欠陥の形態変化」欄では、凸欠陥3が新たに発生した場合には「有」を記載し、一方、凸欠陥3が新たに発生しなかった場合には「なし」を記載した。なお、鱗状欠陥2の形態変化は、管1の表面1aを倍率10倍のルーペで観察することにより、調べた。
超音波洗浄工程における「凸欠陥」欄の符号の意味は次のとおりである。
○:凸欠陥3が存在していなかった。
△:凸欠陥3が非常に少数存在していた。
×:凸欠陥3が少数存在していた。
××:凸欠陥3が多数存在していた。
[総合判定]
以上の工程を経た管1の表面1aの凸欠陥3についての総合判定を、表1中の「総合判定」欄に示した。この「総合判定」欄中の「凸欠陥」欄の符号の意味は次のとおりである。
○:凸欠陥3が存在していなかった。
△:凸欠陥3が非常に少数存在していた。
×:凸欠陥3が少数存在していた。
××:凸欠陥3が多数存在していた。
また、「備考」欄の符号の意味は次のとおりである。
※1:良好。
※2:管1の表面1aに光沢ムラがあった。
※3:管1の表面1aに溶け残りの凸欠陥3があった。
※4:管1の表面1aの鱗状欠陥2が未立上りであり、そのためOPC塗工時に鱗状欠陥2が立ち上がる虞がある。
※5:超音波洗浄工程時に管1の表面1aに凸欠陥3が新たに非常に少数発生した。
※6:管1の表面1aに凸欠陥3が多数存在していた。
※7:特開平10−142824号公報(特許文献5)記載の方法。
※8:管1の表面1aの凸欠陥3が溶解しなかった。
以上のように、無切削アルミニウム管としてのED管について、超音波照射工程、溶解除去工程及び超音波洗浄工程を順次行うことにより、凸欠陥3が少ない感光ドラム基体用アルミニウム管を製造することができることを確認し得た。
特に、実施例1〜4、6〜9では、超音波照射工程で用いた超音波の周波数が、超音波洗浄工程で用いた超音波の周波数よりも小さく設定されているため、凸欠陥が非常に少ない感光ドラム基体用アルミニウム管を製造することできた。
本発明は、例えば電子写真装置(複写機、プリンタ、ファクシミリ等)のOPC感光ドラム基体などに用いられる感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法、及び、感光ドラム基体用アルミニウム管の製造装置に利用可能である。
1:管
2:鱗状欠陥
3:凸欠陥
5:超音波の定在波
5a:定在波の音圧の腹
10:超音波照射手段
12:浸漬液
13:超音波発生部
13c:超音波振動子
20:溶解除去手段
22:溶解液
30:超音波洗浄手段
32:洗浄液
33:超音波発生部
33c:超音波振動子
40:保持部材
45:揺動手段
50:感光ドラム基体用アルミニウム管の製造装置

Claims (10)

  1. 無切削アルミニウム管から形成された感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法であって、
    無切削アルミニウム管を浸漬液中に浸漬した状態で前記管に超音波を照射することにより、前記管の表面の鱗状欠陥を立ち上げる超音波照射工程と、
    前記超音波照射工程の後で、前記管の表面の凸欠陥を酸性又はアルカリ性の溶解液で溶解除去する溶解除去工程と、
    前記溶解除去工程の後で、前記管を超音波洗浄する超音波洗浄工程と、
    を含むことを特徴とする感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法。
  2. 前記超音波照射工程で用いる超音波の周波数が、前記超音波洗浄工程で用いる超音波の周波数よりも小さく設定されている請求項1記載の感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法。
  3. 前記超音波照射工程で用いる超音波は、前記超音波洗浄工程で用いる超音波よりも前記鱗状欠陥の立上げ力が強く設定されている請求項1又は2記載の感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法。
  4. 前記超音波照射工程で用いる超音波の周波数が15kHz以上50kHz未満に設定されており、
    前記超音波洗浄工程で用いる超音波の周波数が50kHz以上500kHz未満に設定されている請求項2又は3記載の感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法。
  5. 前記超音波照射工程では、超音波の照射により前記浸漬液中に生じた超音波の定在波における音圧の腹を、前記管に対して相対的に前記管の長さ方向に連続的に移動させながら、前記管に超音波を照射する請求項1〜4のいずれかに記載の感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法。
  6. 前記超音波照射工程では、超音波を放射する超音波振動子と前記管との相対位置を連続的に変化させながら、前記管に超音波を照射する請求項1〜5のいずれかに記載の感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法。
  7. 前記超音波照射工程では、超音波の周波数を連続的に変化させながら、前記管に超音波を照射する請求項1〜6のいずれかに記載の感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法。
  8. 前記超音波照射工程では、前記浸漬液は、pHが4.5以上8.0未満の水である請求項1〜7のいずれかに記載の感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法。
  9. 無切削アルミニウム管から形成された感光ドラム基体用アルミニウム管の製造装置であって、
    浸漬液中に浸漬された無切削アルミニウム管に超音波を照射することにより、前記管の表面の鱗状欠陥を立ち上げる超音波照射手段と、
    前記超音波照射手段により鱗状欠陥が立ち上げられた前記管の表面の凸欠陥を酸性又はアルカリ性の溶解液で溶解除去する溶解除去手段と、
    前記溶解除去手段により凸欠陥が溶解除去された前記管を超音波洗浄する超音波洗浄手段と、
    を含むことを特徴とする感光ドラム基体用アルミニウム管の製造装置。
  10. 前記超音波照射手段により照射される超音波の周波数は、前記超音波洗浄手段の超音波の周波数よりも小さく設定されている請求項9記載の感光ドラム基体用アルミニウム管の製造装置。
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