JP7295490B2 - 超音波処理方法及び超音波処理装置 - Google Patents

超音波処理方法及び超音波処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、超音波処理方法及び超音波処理装置に関する。
一般に、鋼板や鋼管といった各種の金属体の製造工程において、金属体の表面に存在する汚れやスケール等を除去するために、薬液(例えば、アルカリ脱脂剤、界面活性剤、硫酸溶液等)やリンス等が保持された洗浄槽に対して金属体を浸漬することで洗浄を行う洗浄処理方法が、広く採用されている。このような洗浄処理方法を実施する洗浄処理装置としては、例えば、高圧気流噴射ノズルを利用した処理装置や、超音波を利用した超音波処理装置がある。
ここで、鋼板や鋼管などのような大型材に対する、洗浄処理をはじめとする各種の表面処理に際して、超音波の伝導性及び均一性を向上するために、以下の特許文献1のように振動子を移動させながら超音波を印加したり、以下の特許文献2のように超音波の反射部材を処理槽に対して設けたりすることが、行われている。
特開平9-143767号公報 国際公開第2018/169050号
表面処理の更なる効率化を図るために、複数の被処理物をまとめて集合体とし、この集合体に対して処理を施すことが考えられる。この場合、集合体の内部に位置する被処理物への超音波の印加度合いは、集合体の外縁部に位置する被処理物よりも低くなると考えられる。そのため、上記特許文献1及び特許文献2に開示されている技術を用いたとしても、集合体の内部に位置する被処理物と集合体の外縁部に位置する被処理物とで、表面処理の処理度合いが相違してしまう可能性がある。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、複数の被処理物からなる集合体に対して表面処理を施す際に、複数の被処理物に対してより確実に超音波を伝播させて、表面処理のより一層の均一化を図ることが可能な、超音波処理装置及び超音波処理方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討を行った結果、複数の被処理物からなる集合体の内部に、超音波を反射させる反射部材を設け、かつ、かかる反射部材といくつかの被処理物とを、適度な間隙を保持しながら接触させることに着想した。本発明者らは、かかる着想に基づき更なる検討を行った結果、反射部材と被処理物とを、適度な間隙を保持しながら接触させるための条件を見出すことができた。
かかる知見に基づき完成された本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)断面形状が略同一である長軸を有し、超音波印加機構が設けられた処理槽に、処理液が満たされ、前記処理液中に長手方向に延伸する複数の被処理物が浸された状態において、前記被処理物に対して超音波を印加しながら表面処理を施す超音波処理方法であって、前記被処理物のそれぞれが、1又は複数の他の前記被処理物と、少なくとも2つの箇所で互いに接触するように配置され、処理槽内の前記被処理物の集合体の内部に、処理液に浸漬された状態で、長手方向に延伸する1又は複数の中空の反射振動体が、前記処理槽の内壁から離して配置され、前記反射振動体のそれぞれが、少なくとも2つの箇所で、他の前記被処理物に接触するように配置され、前記被処理物の長手方向に垂直な断面における外径の最大値をDsとし、前記反射振動体の長手方向に垂直な断面における外径の最大値をDrとしたときに、外径比Dr/Dsは、0.2~6.0であり、前記反射振動体の固有音響インピーダンスZrは、1×10~2×10kg・m-2・sec-1であり、前記反射振動体の中空部は、前記固有音響インピーダンスZrとは異なる固有音響インピーダンスZiの液体又は気体で満たされている、超音波処理方法。
(2)前記反射振動体の中空部は、固有音響インピーダンスの比Zi/Zrが1×10-3以下となる気体で満たされている、(1)に記載の超音波処理方法。
(3)前記反射振動体の厚さtrは、0.2~3.0mmである、(2)に記載の超音波処理方法。
(4)前記処理液は、溶存気体量が飽和溶存気体量の80%以上であり、前記反射振動体の中空部は、溶存気体量が飽和溶存気体量の50%未満である液体で満たされている、(1)に記載の超音波処理方法。
(5)前記反射振動体の中空部は、前記処理液で満たされている、(1)に記載の超音波処理方法。
(6)前記反射振動体の厚さtrは、3.0~20.0mmである、(4)又は(5)に記載の超音波処理方法。
(7)前記被処理物は、前記被処理物の長手方向の長さをLsとし、前記反射振動体の長手方向の長さをLrとしたときに、長さの比Lr/Lsは、0.7≦Lr/Ls≦3.0の関係を満足する、(1)~(6)の何れか1つに記載の超音波処理方法。
(8)前記反射振動体の外表面には、フランジ部が設けられている、(1)~(7)の何れか1つに記載の超音波処理方法。
(9)前記フランジ部が設けられた部分の前記反射振動体の断面の大きさをDfとしたときに、断面の大きさの比Df/Drは、1.1≦Df/Dr≦3.0の関係を満足する、(8)に記載の超音波処理方法。
(10)前記フランジ部は、横弾性係数Gが15~250GPaである、(8)又は(9)に記載の超音波処理方法。
(11)前記フランジ部の厚みtfは、前記反射振動体の厚みtrの2.0~10.0倍である、(8)~(10)の何れか1つに記載の超音波処理方法。
(12)前記フランジ部は、前記被処理物の長手方向に沿って前記被処理物の長さ5mの範囲内で、前記被処理物と少なくとも1箇所接触するように設けられる、(8)~(11)の何れか1つに記載の超音波処理方法。
(13)長手方向に延伸する複数の被処理物と、前記被処理物を浸漬するための処理液と、が収納された、断面形状が略同一である長軸を有する処理槽と、前記処理液に対して超音波を印加する超音波印加機構と、を備えた超音波処理装置であって、前記被処理物のそれぞれが、1又は複数の他の被処理物と、少なくとも2つの箇所で互いに接触するように配置され、処理槽内の前記被処理物の集合体の内部に、処理液に浸漬された状態で、長手方向に延伸する1又は複数の中空の反射振動体が、前記処理槽の内壁から離して配置され、前記反射振動体のそれぞれが、少なくとも2つの箇所で、他の前記被処理物に接触するように配置され、前記被処理物の長手方向に垂直な断面における外径の最大値をDsとし、前記反射振動体の長手方向に垂直な断面における外径の最大値をDrとしたときに、外径比Dr/Dsは、0.2~6.0であり、前記反射振動体の固有音響インピーダンスZiは、1×10~2×10kg・m-2・sec-1であり、前記反射振動体の中空部は、前記固有音響インピーダンスZiとは異なる固有音響インピーダンスZrの液体又は気体で満たされている、超音波処理装置。
以上説明したように本発明によれば、複数の被処理物からなる集合体に対して表面処理を施す際に、複数の被処理物に対してより確実に超音波を伝播させて、表面処理のより一層の均一化を図ることが可能となる。
本発明の実施形態に係る超音波処理装置の全体構成の一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る超音波処理装置の全体構成の一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る超音波処理装置における超音波印加機構について説明するための説明図である。 同実施形態に係る超音波処理装置における超音波印加機構について説明するための説明図である。 同実施形態に係る反射振動体について説明するための模式図である。 同実施形態に係る反射振動体について説明するための模式図である。 同実施形態に係る反射振動体について説明するための模式図である。 同実施形態に係る反射振動体について説明するための模式図である。 同実施形態に係る反射振動体について説明するための模式図である。 実験例1における超音波処理の実施状態を示した説明図である。 実験例1における超音波処理の実施状態を示した説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<超音波処理装置の全体構成>
まず、図1A及び図1Bを参照しながら、本発明の実施形態に係る超音波処理方法に用いられる超音波処理装置の全体的な構成について、簡単に説明する。図1A及び図1Bは、本実施形態に係る超音波処理装置の全体的な構成の一例を模式的に示した説明図である。なお、図中の各部材の大きさは、説明を容易とするため適宜強調されており、実際の寸法、部材間の比率を示すものではない。
本実施形態に係る超音波処理装置1は、複数の被処理物に対して所定の処理を施す処理液に加えて超音波を併用し、被処理物の表面(処理液に接している部位)に対して所定の処理を施す装置である。かかる超音波処理装置1は、鋼材等に代表される各種の金属体や、プラスチック樹脂製部材等に代表される各種の非金属体等の被処理物に対して、例えば洗浄等の各種の処理を施す際に利用することができる。例えば、鋼管、形鋼、棒鋼、鋼線材等といった、所定の長手方向に延伸する各種の金属体を被処理物とし、本実施形態に係る超音波処理装置1を用いることで、これらの金属体に対して、酸洗処理や脱脂処理、更には洗浄処理を行うことができる。また、本実施形態に係る超音波処理装置1は、酸洗処理後の水洗処理を実施する際に対しても、用いることが可能である。
ここで、酸洗処理とは、金属体の表面に熱処理や熱加工等により形成された酸化物スケールを、酸性溶液を用いて除去する処理であり、脱脂処理とは、有機溶剤、界面活性剤を含む水溶液、又は、アルカリ系の脱脂液を用いて、加工処理等に用いる潤滑剤や加工油等の油分を除去する処理である。これらの酸洗処理及び脱脂処理は、表面仕上げ処理(金属被覆処理、化成処理、塗装処理等)を金属体に対して施すに先だって実施される前処理である。かかる酸洗処理によって、地の金属の一部を溶解させることもある。また、表面仕上げ品質を向上させるためのエッチングによる金属体の溶解にも、かかる酸洗処理は用いられている。また、酸洗処理の前段に脱脂処理が設けられている場合もあり、脱脂処理における脱脂性能が、その後の酸洗処理のスケールの除去に影響を及ぼすこともある。更には、脱脂処理は、最終製品の仕上げ品質としての油分管理指標である濡れ性の改善にも、使用される。
更に、以下で詳述する本実施形態に係る超音波処理装置1は、上記のような製造ラインにおける洗浄工程以外にも、使用済み配管や定期的もしくは不定期に汚れ除去を必要とする配管などの洗浄等に対しても用いることが可能である。
このように、本実施形態に係る超音波処理方法で用いられる超音波処理装置1は、所定の長手方向に沿って延伸する長尺体のような被処理物の各種表面処理に適用可能であり、表面処理皮膜(例えば、各種の酸化皮膜やめっき皮膜、表面処理仕上げ処理後の塗膜等)が表面に生成した長尺体を被処理物とすることも可能である。更に、本実施形態に係る超音波処理装置1は、上記のような意図的に形成した各種の皮膜以外にも、例えば、酸化物スケールや油分等の意図しない表面付着物が膜状に付着した長尺体を被処理物とすることも可能である。
以下では、処理液の保持されている処理槽が存在し、かかる処理槽の内部に、複数の長尺体が集合体となって浸漬される場合を例に挙げて、詳細に説明を行う。この場合、複数の長尺体の集合体は、クレーン等の上下動が可能な駆動機構(図示せず。)によって、処理液の保持された処理槽の内部に浸漬される。また、複数の長尺体の集合体は、未図示のワイヤーやネット等によって束状に纏められた状態で、処理槽に浸漬されてもよい。
以下では、便宜的に、図1A及び図1Bに示した座標系を適宜利用して、説明を行う。
本実施形態に係る超音波処理装置1は、図1Aに例示したように、被処理物Sの一例である複数の長尺体の集合体が収容される処理槽10と、超音波印加機構20と、を有している。処理槽10の長軸方向(y軸方向)に垂直な断面形状は、略同じ断面形状である。各被処理物Sは、図1Aに模式的に示したように、y軸方向に沿って延伸している鋼管等の管状体や棒鋼等の長尺物であり、1又は複数の他の被処理物Sと、少なくとも2つの箇所で互いに接触するように配置されている。また、本実施形態に係る超音波処理装置1では、図1Bに模式的に示したように、少なくとも2つの箇所で被処理物Sと接触するように、長手方向に延伸する1又は複数の反射振動体30が設けられている。
なお、反射振動体30は、少なくとも2つ箇所での被処理物Sと接触するような状態となっていれば、被処理物Sの集合体の内部にあってもよく、又は、反射振動体30が、被処理物Sの集合体から露出している、つまり集合体Sの外側にあってもよい。また、反射振動体30が複数の場合、一部の反射振動体30が集合体の内部にあり、かつ、一部の反射振動体30が集合体の外側にあってもよい。
なお、複数の被処理物Sではなく、ただ一つの被処理物Sが浸漬されている場合、この被処理物Sに反射振動体30が少なくとも2つ箇所で接触すれば、被処理物Sに対して超音波を伝播させることが可能である。このため、本実施形態においては、被処理物Sの数は1つでもよい。しかしながら、一つの被処理物Sが1つで、かつ、反射振動体30が1つの場合、2つの箇所で互いに接触することは容易でなく、複数の反射振動体30が必要となる場合が多い。このため、被処理物Sの数は2以上であることが好ましい。被処理物Sの数は、多ければ多いほどよく、その上限値は特に規定するものではない。被処理物Sの数の上限値は、処理槽10の寸法と被処理物Sの寸法などにより自ずと決まる。例えば、被処理物Sの数の上限を1000又は100としてもよい。
ここで、図1Aでは、処理槽10の内壁面に対して、y軸方向に略平行な内壁面については各面6個の超音波印加機構20が設けられ、x軸方向に略平行な内壁面については各面2個の超音波印加機構20が設けられている。ただし、かかる超音波印加機構20の個数及び設置状態については、図1Aに示した例に限定されるものではない。超音波印加機構20の個数については、処理槽10の形状や大きさ等に応じて、適宜設定すればよい。また、超音波印加機構20の配置状態についても、例えば、なるべく対称となるように設置する、千鳥配置とする等、処理槽10の形状や大きさ等に応じて、各種の配置方法を適用することが可能である。
また、図1Bでは、反射振動体30が1つだけ設けられている場合を図示しているが、用いられる反射振動体30の個数についても特に限定されるものではない。反射振動体30は、被処理物Sの数に応じて適宜設定すればよく、2つ以上の反射振動体30を用いてもよい。
以下に、本実施形態に係る超音波処理方法で用いられる超音波処理装置1の各構成について、より詳細に説明する。
<処理槽10>
処理槽10は、断面形状が略同一である長軸(図1Aの場合、y軸)を有しており、被処理物Sに対して所定の処理を施すために用いられる処理液3や、被処理物Sそのものや、反射振動体30が収容される。これにより、処理槽10内に収容された被処理物Sは、処理液3に浸漬されている。処理槽10に保持される処理液3の種類については、特に限定されるものではなく、被処理物Sに対して行う処理に応じて、各種の処理液を用いることが可能である。このような処理液3として、純水、蒸留水、各種の化合物を含む水溶液、各種の有機溶媒等を挙げることができ、これらの処理液には、被処理物Sから除去された各種物質や不純物が種々の形態で存在していてもよい。また、処理液3は、超音波の伝播効率を高めるために、脱気されていてもよいし、脱気されていなくともよい。また、処理液3中には、気泡径が100μm以下の微細気泡であるファインバブルが存在していてもよい。処理液3中にファインバブルが存在することで、超音波の衝撃波の増大と共に処理効率を更に向上させることが可能となる。また、処理液3の温度は、処理液3を用いて実施する具体的な処理内容にもよるが、例えば、20℃~85℃程度であることが好ましい。
ここで、液体が脱気されている、とは、着目する液体の溶存気体量が、液体の温度によって定まる飽和溶存気体量の50%未満であることを表し、液体が脱気されていない、とは、着目する液体の溶存気体量が、飽和溶存気体量の80%以上であることを表す。
本実施形態に係る処理槽10を形成するために用いられる素材は、特に限定されるものではなく、鉄、鋼、ステンレス鋼板等といった各種の金属材料であってもよいし、繊維強化プラスチック(FRP)やポリプロピレン(PP)等といった各種のプラスチック樹脂であってもよいし、耐酸レンガ等のような各種のレンガであってもよい。すなわち、本実施形態に係る超音波処理装置1を構成する処理槽10として、上記のような素材で形成された処理槽を新たに準備することも可能であるし、各種の製造ライン等における既設の処理槽を利用することも可能である。
また、処理槽10の大きさについても特に限定されるものではなく、液面深さ1~2m程度×全長3~25m程度のような各種形状の大型処理槽であったとしても、本実施形態に係る超音波処理装置1の処理槽10として利用可能である。
<超音波印加機構20>
超音波印加機構20は、処理槽10に設けられており、処理槽10に収容されている処理液3や被処理物Sや反射振動体30に対して、所定周波数の超音波を印加する。超音波印加機構20は、特に限定されるものではなく、超音波発振器に接続された超音波振動子など、公知の各種のものを利用することが可能である。また、図1A及び図1Bでは、超音波印加機構20を処理槽10の壁面に設ける場合について図示しているが、超音波印加機構20の処理槽10への設置位置についても特に限定されるものではなく、処理槽10の壁面や底面に対して、1又は複数の超音波振動子を適宜設置すればよい。なお、処理槽10全体に均一に超音波が伝播されるような条件となれば、個々の超音波振動子の発振負荷のバランスが一様となるため、超音波振動子の個数が複数であったとしても、発生した超音波間で干渉が生じなくなる。
図2A及び図2Bは、本実施形態に係る超音波印加機構20の構成の一例を模式的に示した説明図である。
本実施形態に係る超音波印加機構20は、図2Aに示したように、例えば、超音波発振器201と、超音波振動子203と、で構成されていてもよい。超音波発振器201は、超音波振動子203に所望の出力で電力を供給する装置である。また、超音波振動子203は、超音波発振器201から出力された電力を振動に変換して、発振面から所望の周波数の超音波を発振する。かかる超音波印加機構20のうち超音波振動子203の部分を、処理槽10に対して設置することで、処理液3の液面高さ予定線に対して超音波を発振することが可能となる。
また、本実施形態に係る超音波印加機構20は、図2Bに示したように、例えば、超音波発振器201と、投げ込み型振動子211と、で構成されていてもよい。投げ込み型振動子211は、図2Bに示したように、筐体205の内部に複数の超音波振動子203を配置した上で、各超音波振動子203の発振面を覆うように、超音波を透過する所定の材質からなる部材で筐体205を封止したものである。この場合、各超音波振動子203の発振面を覆うように設けられた部材が、投げ込み型振動子211の発振面となる。投げ込み型振動子211の場合、超音波の出力安定性や発振効率を考慮して、超音波振動子203の間隔及び個数や、発振面の大きさが決定される。
超音波印加機構20から出力される超音波の周波数は、例えば、20kHz~200kHzであることが好ましい。超音波の周波数が20kHz未満である場合には、被処理物Sの表面から発生するサイズの大きな気泡により超音波伝播が阻害され、超音波による処理性向上効果が低下する場合がある。超音波印加機構20から出力される超音波の周波数は、より好ましくは20kHz以上であり、更に好ましくは25kHz以上である。一方、超音波の周波数が200kHzを超える場合には、被処理物Sを処理する際の超音波の直進性が強くなりすぎて、処理の均一性が低下する場合がある。超音波印加機構20から出力される超音波の周波数は、より好ましくは150kHz以下であり、更に好ましくは100kHz以下である。
なお、印加する超音波の周波数は、被処理物Sの種別等に応じて上記範囲内で適切な値を選定することが好ましく、被処理物Sの種類によっては、2種類以上の周波数の超音波を印加してもよい。
また、超音波印加機構20は、ある選択した超音波の周波数を中心として所定の範囲で周波数を掃引しつつ超音波を印加することが可能な、周波数掃引機能を有していてもよい。このような周波数掃引機能によって、以下のような更なる効果を実現することが可能となる。
超音波の一般的な性質として、「超音波の波長が照射物体の厚みに対応する波長の1/4となったときに、照射物体を透過する超音波の透過率が最大となる」という現象が知られている。そこで、周波数を適切な範囲で掃引しながら超音波を印加することで、例えば被処理物Sが管状体等の中空部を有するものであった場合に、管状体内へと透過する超音波を増加させることが可能となり、本実施形態に係る超音波処理装置1の処理効率を更に向上させることが可能となる。
<反射振動体30>
本実施形態に係る反射振動体30は、例えば図1Bに示したように、処理液3に浸漬された状態で、処理液3中に浸漬される複数の被処理物Sの集合体の内部又は外部に設けられる。ここで、被処理物Sの集合体の内部とは、反射振動体30の全てが被処理物Sの集合体に囲まれている状態のみを意味するのではなく、反射振動体30の少なくとも一部が、少なくとも2つの被処理物Sと接触した状態で、被処理物Sに囲まれている状態をも含む。すなわち、反射振動体30は、その少なくとも一部が、複数の被処理物Sの集合体の内部に埋没していればよい。また、反射振動体30は、少なくとも2つの箇所で他の被処理物Sと接触した状態となっているのであれば、被処理物Sの集合体の外部に位置していてもよい。
かかる反射振動体30は、長手方向に沿って延伸した中空部材であり、図1Bに示した例では、反射振動体30はy軸方向に沿って延伸している。この反射振動体30は、印加された超音波を反射させることが可能な素材を用いて形成されている。
以下、図3~図7を参照しながら、本実施形態に係る反射振動体30について、詳細に説明する。図3~図7は、本実施形態に係る反射振動体30について説明するための模式図である。
本実施形態に係る反射振動体30の表面に対し、図3に模式的に示したように、縦波である超音波が到達すると、超音波は反射振動体30の表面で反射される。そのため、本実施形態に係る反射振動体30を用いることで、複数の被処理物Sの集合体の内部まで到達した超音波を反射させて、より多くの被処理物Sに対し超音波を印加することが可能となる。その結果、本実施形態に係る超音波処理装置1では、複数の被処理物Sに対してより確実に超音波を伝播させて、表面処理のより一層の均一化を図ることが可能となる。
また、縦波である超音波が反射振動体30の表面に到達すると、反射振動体30は、図3に模式的に示したように、横波を発生させる。先だって例示したように、本実施形態に係る超音波処理装置1において印加される超音波の周波数は、例えばkHz帯に属するものであるが、反射振動体30により発生する横波の周波数は、超音波の周波数よりも低く、例えば数十~数百Hz程度である。発生した横波は反射振動体30中を伝播していくが、横波は、被処理物Sの接触部位を介して、被処理物Sに対しても伝播する。更に、被処理物S中を伝播している横波は、他の被処理物Sとの接触部位を介して、他の被処理物Sへと伝播していく。このような横波の伝播により、本実施形態に係る超音波処理装置1では、超音波キャビテーションに加えて横波によっても被処理物Sを振動させることが可能となる。その結果、本実施形態に係る超音波処理装置1では、被処理物Sに対して、各種の表面処理をより確実に施すことが可能となる。
ここで、反射振動体30まで到達した超音波を確実に反射させるために、反射振動体30は、固有音響インピーダンスZrが1×10kg・m-2・sec-1~2×10kg・m-2・sec-1である素材により形成される。固有音響インピーダンスZrが上記範囲内である素材を用いて反射振動体30が形成されることで、かかる反射振動体30は、超音波を確実に反射させることが可能となる。また、反射振動体30が、上記のような固有音響インピーダンスZrを有する素材により形成されることで、反射振動体30の中空部は、以下で説明するように、固有音響インピーダンスZrとは異なる固有音響インピーダンスZiの液体又は気体で満たされることとなる。
固有音響インピーダンスが1×10kg・m-2・sec-1~2×10kg・m-2・sec-1である素材としては、例えば、各種の金属又は金属酸化物や、非酸化物セラミックスを含む各種のセラミックス等を挙げることができる。このような素材の具体例としては、例えば、鋼(固有音響インピーダンス[単位:kg・m-2・sec-1]:4.70×10、以下、カッコ内の数値は同様に固有音響インピーダンスの値を表す。)、鉄(3.78×10)、ニッケルクロム鋼(3.98×10)、ステンレス鋼(SUS、4.57×10)、チタン(2.73×10)、亜鉛(3.00×10)、ニッケル(5.35×10)、アルミニウム(1.73×10)、黄銅(4.06×10)、ジュラルミン(1.71×10)、タングステン(1.03×10)、ガラス(1.32×10)、石英ガラス(1.27×10)、グラスライニング(1.67×10)、アルミナ(酸化アルミニウム、3.84×10)、ジルコニア(酸化ジルコニウム、3.91×10)、窒化ケイ素(SiN、3.15×10)、炭化ケイ素(SiC、3.92×10)、炭化タングステン(WC、9.18×10)等がある。本実施形態に係る反射振動体30においては、処理槽10に保持される処理液3の液性や、反射振動体30に求める強度等に応じて、反射振動体30の形成に用いる素材を適宜選択すればよいが、上記のような固有音響インピーダンスを有する各種金属又は金属酸化物を用いることが好ましい。
反射振動体30の断面形状(より詳細には、反射振動体30の長手方向に対して直交する断面の形状)は、図4に例示したように、円形状であってもよいし、楕円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。ただし、円形状に近ければ近いほど、反射波の進行方向に異方性が生じなくなり、また、被処理物Sに対してより接触しやすい状態となるため、反射振動体30の断面形状は円形状であることが好ましい。
ここで、超音波は、媒質である処理液3を介して伝播していく。そのため、超音波を周囲の被処理物Sへと確実に到達させるために、反射振動体30の周囲には、間隙が存在していることが重要である。一方、図3に示したような横波を被処理物Sへと伝播させるためには、反射振動体30の少なくとも一部と被処理物Sの少なくとも一部とが、互いに接触した状態にあることが重要である。このような、被処理物Sとの間で間隙を生じさせつつ、接触状態も実現するための条件について、本発明者らが鋭意検討したところ、被処理物Sの断面の大きさを基準とした、反射振動体30の断面の大きさが満足すべき条件を見出すことができた。以下、かかる条件について説明する。
図4に示したような、反射振動体30の断面形状(より詳細には、長手方向に対して垂直な断面の形状)に着目する。ここで、断面形状が図4左上のように円形状である場合には直径の大きさの最大値を、断面形状が図4右上のように楕円形状である場合には長径の大きさの最大値を、断面形状が図4左下のように多角形状である場合には最も長い対角線の大きさを、反射振動体30の外径の最大値Drとする。また、被処理物Sについても、反射振動体30と同様にして、外径の最大値をDsとする。ここで、後述のように反射振動体にフランジ部33が設けられている場合、フランジ部33を除く部分の外径の最大値をDrとする。
この際、本実施形態に係る超音波処理装置1では、反射振動体30の外径比Dr/Dsは、0.2≦Dr/Ds≦6.0の関係を満足する。外径比Dr/Dsが上記の範囲内となることで、反射振動体30は、被処理物Sとの間で間隙を生じさせつつ、接触状態も実現することが可能となる。
反射振動体30の外径比Dr/Dsが0.2未満である場合には、反射振動体30と被処理物Sとの間の間隙が狭くなりすぎ、処理液3を介して超音波の縦波を伝播させることができず、被処理物Sに超音波を印加することができない。反射振動体30の外径比Dr/Ds)は、好ましくは0.5以上であり、より好ましくは1.0以上である。反射振動体30の外径比Dr/Dsが上記のような好ましい範囲となることで、より確実に、反射振動体30と被処理物Sとの間で間隙を生じさせつつ、接触状態も実現することが可能となる。
一方、反射振動体30の外径比Dr/Dsが6.0を超える場合には、反射振動体30が相対的に大きくなりすぎて、被処理物Sを複数処理するだけのスペースを確保できない場合や、被処理物Sとの接触状態を保持できたとしても、反射振動体30の陰になり超音波が伝播できない場合が生じる。反射振動体30の外径比Dr/Dsは、好ましくは5.0以下であり、より好ましくは4.5以下である。反射振動体30の外径比Dr/Dsが上記のような好ましい範囲となることで、より確実に、反射振動体30と被処理物Sとの間で間隙を生じさせつつ、接触状態も実現することが可能となる。
また、図4に模式的に示したように、反射振動体30の厚み(肉厚)をtrと表し、反射振動体30の固有音響インピーダンスをZrと表し、反射振動体30内の物質(封入有無にかかわらず、反射振動体の内部に存在する液体や気体)の固有音響インピーダンスをZiと表す。この際に、本実施形態では、固有音響インピーダンスの比Zi/Zrが1×10-3以下である場合には、反射振動体30の厚みt[mm]を、0.2≦t≦3.0の範囲内とすることが好ましい。また、固有音響インピーダンスの比Zi/Zrが1×10-3を超える場合には、反射振動体30の厚みtrを、3.0mm<t≦20.0mmの範囲内とすることが好ましい。
ここで、固有音響インピーダンスの比Zi/Zrが1×10-3以下であるということは、反射振動体30の中空内部の物質の固有音響インピーダンスZiと、反射振動体30の固有音響インピーダンスZrとの差が大きく、超音波が反射振動体30と反射振動体30の中空内部の物質との界面で反射しやすい状況となっていることを意味する。また、反射振動体30の固有音響インピーダンスZrが上記の範囲内である場合に、かかる固有音響インピーダンスの比Zi/Zrを実現可能な物質としては、例えば、各種の気体(例えば、空気、酸素、窒素、二酸化炭素、ヘリウムやアルゴン等の不活性ガスなど)が挙げられる。例えば、空気の固有音響インピーダンスは、4.29×10kg・m-2・sec-1である。
この場合に、反射振動体30の厚みtrを0.2mm~3.0mmとすることで、超音波が反射振動体30の中を通過する時間を短くし、更には、通過後反射振動体30の内面まで到達した超音波を、反射振動体30の中空内部に満たされた密閉気体により、より効率的に反射させることが可能となる。反射振動体30の厚みtrが0.2mmよりも薄い場合には、反射振動体30を複数の被処理物の集合体の内部に設けた際の強度が弱く、変形して反射振動体30としての役目を果たせない場合がある。固有音響インピーダンスの比Zi/Zrが1×10-3以下である場合の反射振動体30の厚みtrは、より好ましくは0.3mm以上である。一方、反射振動体30の厚みtrが3.0mmよりも厚くなると、超音波が反射振動体30の中空内部の界面に到達する前に、反射振動体30の中で吸収や散乱、又は、反射振動体30表面での反射が起こり、その結果、超音波の減衰や効率的な反射ができない。固有音響インピーダンスの比Zi/Zrが1×10-3以下である場合の反射振動体30の厚みtは、より好ましくは2.0mm以下である。
一方、固有音響インピーダンスの比Zi/Zrが1×10-3超であるということは、反射振動体30の中空内部の物質の固有音響インピーダンスZiと、反射振動体30の固有音響インピーダンスZrとの差が小さく、超音波が反射振動体30中空内部に伝播した場合、透過しやすい状況となっていることを意味する。また、反射振動体30の固有音響インピーダンスZrが上記の範囲内である場合に、かかる固有音響インピーダンスの比Zi/Zrを実現可能な物質としては、例えば、シリコーンゴム(固有音響インピーダンス:1.0×10kg・m-2・sec-1)等の樹脂などといった各種の固体に加え、純水、蒸留水、各種の化合物を含む水溶液、各種の有機溶媒等の各種の液体が挙げられる。
また、上記のような固有音響インピーダンスの比Zi/Zrが1×10-3超である際に、処理液3が脱気されていない液体である場合に、反射振動体30の中空部は、脱気された状態の液体が満たされた状態で密閉されていてもよい。このように、脱気された状態の液体が封入されることで、超音波の伝搬効率をより向上させ、表面処理の処理性能をより向上させることが可能となる。また、上記のような固有音響インピーダンスの比Zi/Zrが1×10-3超である際に、処理液3の中空部は、処理液3そのもので満たされていてもよい。処理液3の中空部に処理液3を満たすために、反射振動体30の両端部付近に処理液3を密閉するための隔壁等があってもよいが、隔壁等がなくてもよい。なお、固有音響インピーダンスの比Zi/Zrの大きさにかかわらず、反射振動体30の中空部に処理液3と異なる物質が満たされている場合、反射振動体30の両端部付近にこれらの物質を密閉するための隔壁等がある。
固有音響インピーダンスの比Zi/Zrが1×10-3超である場合、反射振動体30の厚みtrを3.0mm~20.0mmとすることで、反射振動体30の表面まで到達した超音波を、反射振動体30の中に透過しにくくし、より効率的に反射振動体30の表面で反射させることが可能となる。反射振動体30の厚みtrが3.0mmよりも薄い場合には、超音波が反射振動体30の中を通過して、表面での反射率が低下してしまい、その結果、被処理物への超音波の伝播が低下する。固有音響インピーダンスの比Zi/Zaが1×10-3超である場合の反射振動体30の厚みtrは、より好ましくは5.0mm以上である。一方、反射振動体30の厚みtrが20.0mmよりも厚くなると、超音波周波数の波長による反射と透過の関係が顕著に現れてくるため、反射振動体30の表面での反射の制御が困難となる。固有音響インピーダンスの比Zi/Zaが1×10-3超である場合の反射振動体30の厚みtrは、より好ましくは20.0mm以下である
被処理物Sの長手方向の長さ(例えば、図5に示したy軸方向の長さ)をLsと表し、反射振動体30の長手方向の長さ(例えば、図5に示したy軸方向の長さ)をLrと表す。このとき、被処理物Sが長手方向に複数並んだ場合は、複数の被処理物Sのそれぞれの長さに対し、以下の式を満たすものとする。この際に、本実施形態に係る反射振動体30において、長さの比Lr/Lsは、0.7≦Lr/Ls≦3.0の関係を満足することが好ましい。長さの比Lr/Lsが0.7よりも小さいと、被処理物Sに接触していない部分が広く存在してしまい、反射の効果を得られない場合がある。長さの比Lr/Lsは、より好ましくは0.7以上であり、更に好ましくは0.8以上あり、より一層好ましくは0.9以上である。一方、長さの比Lr/Lsが3.0よりも大きいと、被処理物Sの無い場所で反射効率があがることで、振動子の故障に繋がる場合がある。反射振動体30と被処理物Sとの長手方向の長さの比Lr/Lsが上記の範囲内となることで、より確実に、反射振動体30と被処理物Sとの間で間隙を生じさせつつ、接触状態も実現することが可能となる。反射振動体30と被処理物Sとの長手方向の長さの比Lr/Lsは、より好ましくは2.0以下であり、更に好ましくは1.5以下である。
なお、図5では、本実施形態に係る反射振動体30が、継ぎ目の存在しない1本の部材であるように図示しているが、本実施形態に係る反射振動体30は、複数の部材が連結された連結構造を有しているものであってもよい。複数の部材を連結させて一体化させる方法については、特に限定されるものではなく、溶接等によって複数の部材を連結させてもよいし、ナット及びボルト等といった各種の連結部材を利用して複数の部材を連結させてもよい。反射振動体30は中空であるが、反射振動体30の両端部付近などに隔壁等が設けられてもよい。特に、反射振動体30の内部に、処理液3と異なる固有音響インピーダンスの物質を満たすためには、反射振動体30の両端部付近の隔壁等が必須である。
本実施形態において、反射振動体30の端部が密閉されずに、処理液3に浸漬された状態の反射振動体30の中空部に、処理液3で満たされた状態となっていてもよいが、反射振動体30の中空部は、密閉された状態となって、処理液3で満たされていない状態でもよい。この場合に、密閉された状態の反射振動体30の中空部は、気体(例えば、空気や不活性ガス等)や液体が充填された状態となっている。反射振動体30がこのような密閉された中空構造を有することで、反射振動体30まで到達した超音波を、より確実に反射させることが可能となる。また、反射振動体30の内部に気体が満たされている場合(つまり、気体が密封されている場合)、密閉された状態の反射振動体30の中空部は、大気圧より-100kPa~-10kPa程度の減圧状態となっていることがより好ましい。密閉された状態の反射振動体30の中空部が上記のような減圧状態となっていることで、反射振動体30まで到達した超音波を、より一層確実に反射させることが可能となる。
本実施形態に係る反射振動体30は、図6に模式的に示したように、外表面にフランジ部33が設けられることが好ましい。このようなフランジ部33を設けることで、超音波によって反射振動体30で発生した横波を、より効率よく被処理物Sに伝播させることが可能となる。なお、反射振動体30にフランジ部33を設ける場合、上述の外径の最大値Drは、フランジ部33以外の部分の外径の最大値とする。
かかるフランジ部33は、反射振動体30と一体化されていることが好ましい。フランジ部33を反射振動体30に一体化させる手段については、特に限定されるものではない。例えば、溶接によりフランジ部33を反射振動体30と一体化させてもよいし、ボルト及びナット等といった各種の連結部材によりフランジ部33を反射振動体30と一体化させてもよい。また、張り出し成形により反射振動体30からフランジ部33を突出形成してもよいし、反射振動体30に対して削り出し成形を施すことで、フランジ部33を形成してもよい。
ここで、図7に模式的に示したように、フランジ部33が設けられた部分の反射振動体30の断面(y軸方向に対して直交する断面)の大きさをDfと表し、フランジ部33が設けられていない部分の反射振動体30の外径の最大値をDrと表す。この場合に、断面の大きさの比Df/Drは、1.1≦Df/Dr≦3.0の関係を満足することが好ましい。断面の大きさの比Df/Drが上記の関係を満足することで、反射振動体30で発生した横波を、強度の減衰を抑制しながら被処理物Sへと伝播させることが可能となる。断面の大きさの比Df/Drは、より好ましくは、1.2以上又は1.4以上であり、2.0以下又は1.6以下である。
また、フランジ部33の厚み(図5に示したy軸方向のフランジ部33の厚みtf)は、反射振動体30の厚みtrと同じか、又は、反射振動体30の厚みtrよりも大きいことが好ましい。これにより、反射振動体30で発生した横波を、強度の減衰を抑制しながら被処理物Sへとより確実に伝播させることが可能となる。フランジ部33の厚みtfは、反射振動体30の厚みtrに対して、より好ましくは2倍~10倍である。
図6では、反射振動体30に対して3つのフランジ部33が設けられる場合について図示しているが、1つの反射振動体30に設けられるフランジ部33の個数は、特に限定されるものではなく、1つ又は2つでもよいし、4つ以上であってもよい。また、隣り合うフランジ部33間の離隔距離(図6における離隔距離p)についても、特に限定されるものではなく、反射振動体30のy軸方向の長さに応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.1m~5.0m程度とすることが好ましい。
かかるフランジ部33は、横弾性係数Gが15~250GPaの範囲内である素材を用いて形成されることが好ましい。横弾性係数(せん断弾性係数ともいう。)Gは、変形のしにくさを表す指標として捉えることができる。超音波により反射振動体30で発生する横波の伝播状態は、横弾性係数に依存し、変形しやすい素材であるほど横波は減衰してしまう。横波は、超音波(疎密波)の進行方向に対して直交する方向に伝播することで、上下の変位を生じさせ、反射振動体30の固体中を横波の振動が伝播していく。このような横波をより確実に伝播させるためには、フランジ部33を形成する素材の横弾性係数Gは、大きい値であることが好ましい。一方で、横弾性係数が大きくなりすぎると反射振動体30との固有音響インピーダンス差が大きくなる場合があり、異質材界面で反射してしまう可能性が高まるため、好ましくない。このような観点から、フランジ部33を形成する素材の横弾性係数Gは、15~250GPaの範囲内であることが好ましい。フランジ部33を形成する素材の横弾性係数Gは、より好ましくは30~100GPaである。
上記のような横弾性係数Gを有する素材としては、例えば、鉄(60GPa)、ステンレス鋼(74GPa)、チタン合金(41GPa)、黄銅(37GPa)、石英(31GPa)、マグネシウム合金(17GPa)、タングステンカーバイド(219GPa)等を挙げることができる。
また、フランジ部33と反射振動体30の本体部との固有音響インピーダンス差が大きくなりすぎると、異材質界面で反射が発生する可能性が高くなる。かかる観点から、フランジ部33は、反射振動体30と同質の素材で形成されることが好ましく、張り出し加工又は削り出し加工により反射振動体30と一体成形されることがより好ましい。
以上説明したような反射振動体30のフランジ部33は、被処理物Sの長手方向に沿って5m以内の間隔で、被処理物Sと少なくとも1か所接触するように設けられることが好ましい。上記のような位置関係が満たされるように反射振動体30を設けることで、複数の被処理物Sからなる集合体に対して表面処理を施す際に、複数の被処理物に対してより一層確実に超音波を伝播させることが可能となる。フランジ部33は、被処理物Sの長手方向に沿って5m以内の間隔で、被処理物Sと2か所以上接触するように設けられることが、より好ましい。また、接触箇所を多く設ける場合、接触間隔が0.1m以上空いていることが、より好ましい。フランジ部33の接触間隔が0.1mよりも小さくなると、反射した超音波が閉鎖空間のみで多重反射を繰り返してしまい、フランジ部33での減衰を招いてしまう場合がある。
以上、本実施形態に係る超音波処理方法で用いられる超音波処理装置1について、詳細に説明した。
<超音波処理方法について>
本実施形態に係る超音波処理方法は、以上説明したような超音波処理装置1を用いて実現される。かかる超音波処理装置1を用いて実現される超音波処理方法は、断面形状が略同一である長軸を有し、超音波印加機構が設けられた処理槽に、処理液が満たされ、処理液中に長手方向に延伸する複数の被処理物を浸された状態において、被処理物に対して超音波を印加しながら表面処理を施すものである。この際に、被処理物のそれぞれが、1又は複数の他の被処理物と、少なくとも2つの箇所で互いに接触するように配置され、処理槽内に、処理液に浸漬された状態で、長手方向に延伸する1又は複数の中空の反射振動体が配置され、反射振動体のそれぞれが、少なくとも2つの箇所で、他の被処理物に接触するように配置される。また、被処理物の長手方向に垂直な断面における外径の最大値をDsとし、反射振動体の長手方向に垂直な断面における外径の最大値をDrとしたときに、外径比Dr/Dsは、0.2~6.0であり、反射振動体の固有音響インピーダンスZrは、1×10~2×10kg・m-2・sec-1であり、反射振動体の中空部は、固有音響インピーダンスZrとは異なる固有音響インピーダンスZiの液体又は気体で満たされている。
また、本実施形態に係る超音波処理方法における、好ましい条件については、本実施形態に係る超音波処理装置の説明において記載した通りであり、以下では詳細な説明は省略する。
以上、本実施形態に係る超音波処理方法について、簡単に説明した。
以下に、実施例及び比較例を示しながら、本発明に係る超音波処理方法及び超音波処理装置について、具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、あくまでも本発明に係る超音波処理方法及び超音波処理装置の一例にすぎず、本発明に係る超音波処理方法及び超音波処理装置が下記に示す例に限定されるものではない。
(実験例)
図8A及び図8Bは、鋼管の水洗(リンス)を模した、実験例1における超音波処理の実施状態を示した説明図である。処理槽10は、外壁がSUS製で、幅1.0×長さ15.0×0.6mの容量9.0mのものを用いた。この処理槽10を利用して、酸洗後の管内外に残存している酸化スケールの付着した被処理物S(鋼管又は黄銅管)を所定時間浸漬する水洗で、検証を行った。処理液3として機能する洗浄液としては、温度20℃の脱気されていない状態の水(固有音響インピーダンス:1.50×10kg・m-2・sec-1)を用い、酸洗液が持ち込まれるため酸性条件pH4~7での洗浄液を用いた。
超音波印加機構20の超音波発振器は、出力が1200Wであり、超音波振動子は、図2Bに示したようなSUS製投げ込み型振動子を10台用いた。また、超音波の周波数は、35kHzとした。処理槽10の壁面には、被処理物Sが傷つかないように緩衝部材(図示せず。)を設置した。
被処理物Sと共に接触するように設置する反射振動体30は、大きさ、形状、長さ、密閉構造、接触条件を変化させて比較を行った。ここで、反射振動体30として用いる素材(フランジ含む。)は、ステンレス鋼(固有音響インピーダンスZr:4.57×10kg・m-2/sec-1)ジュラルミン材(固有音響インピーダンスZr:1.71×10kg・m-2・sec-1)、ニッケルクロム鋼(固有音響インピーダンスZr:3.98×10kg・m-2・sec-1)、黄銅(固有音響インピーダンスZr:4.06×10kg・m-2・sec-1)、又は、ポリエチレン(固有音響インピーダンスZr:1.75×10kg・m-2・sec-1)とした。また、フランジ部33の素材として、ステンレス鋼(横弾性係数G:74GPa)、石英(G:31GPa)、タングステンカーバイト(G:219GPa)、黄銅(G:37GPa)又は、ポリスチレン(G:1.4GPa)を用いた。
なお、以下の表1の「封入物質」の欄において、脱気水との記載は、脱気した状態の水を意味している。また、以下の表1の「密封有無」の欄において無と記載され、且つ、「封入物質」の欄において非脱気水と記載している例は、「反射振動体30の両端付近に隔壁等がなく、反射振動体30の内部に処理液3(すなわち、脱気されていない水)が満たされていることを意味している。
本実験例では、処理槽10内の中央に、複数の被処理物Sの一例として外径50mm×長さ3~10mの鋼管又は黄銅管を10本束にして配置し、これら鋼管又は黄銅管と接触するように反射振動体30を設けた上で、超音波強度及び振動加速度を測定するとともに、以下の基準に即して洗浄評価を行なった。ここで、Lr/Lsは、最長の被処理物Sの長さに対する反射振動体長さの比とした。なお、以下に示す比較例4では、なるべく重ならないように鋼管を平置きにした後、反射振動体30が鋼管の束に対して1箇所のみ接触するように、鋼管の束の端部に反射振動体30を設置した。
超音波強度に関して、超音波レベルモニター(カイジョー製19001D)を用いて、処理槽に保持した被処理物Sの1点(例えば、図8Aに示した側面図における位置1)と、被処理物Sではない処理槽内の1点(図8Bにおける位置2)の超音波強度(mV)の測定を行い、相対超音波強度(比較例1の測定結果、すなわち、反射振動体30を設置せず、鋼管のみを設置した場合における測定超音波強度を1としたときの相対強度)を算出して、被処理物S及び槽内への伝搬性を比較した。
また、3軸加速度センサー(ローツェ製デバッグスコープ)を用いて、反射振動体30と、その反射振動体30に接触した被処理物Sそれぞれの加速度測定を行った。3軸加速度センサーは、液に触れないように、測定対象物を液面から少し出すことで測定することとした。以下の表1において、「測定A」が反射振動体30の測定結果であり、「測定B」が反射振動体30に接触した被処理物Sの測定結果である。
本実験例では、管内面の酸化スケール除去率を測定し、測定した除去率を水洗性能として評価した。より詳細には、各被処理物Sについて、管端部より1mの位置から、更に、管軸方向の内側に向かって5cmまでの管内周面の領域を評価領域(評価面積:約70cm)とし、かかる評価領域が含まれるように、水洗前後のそれぞれで管内表面を撮像した。得られた画像を二値化することで得られる二値化画像から、酸化スケール除去率を算出した。水洗前の酸化スケール残存量に対し、各条件で除去できた酸化スケール除去量の割合を、酸化スケール除去率とした。なお、1つの被処理物Sにおいて、2箇所の評価領域が存在することから、2箇所×10本分=20箇所での平均値を、酸化スケール除去率とした。下記表2における水洗性能の評価基準階下の通りである。
酸化スケール残存皮膜の除去率
100%以下~95%以上:A
95%未満~90%以上:B
90%未満~80%以上:C
80%未満~60%以上:D
60%未満~40%以上:E
40%未満 :F
すなわち評価A及び評価Bは、水洗性能が非常に良好であったことを意味し、評価Cは、水洗性能が良好であったことを意味し、評価Dは、水洗性能にやや難があったことを意味し、評価E及び評価Fは、水洗性能が不良であったことを意味する。評価A~評価Dとなったものを、合格とした。
得られた結果を、以下の表1にまとめて示した。
Figure 0007295490000001
まず、比較例を見ると、本発明に係る反射振動体30を処理槽10に保持しなかった比較例1と、被処理物Sとの断面比が0.2に満たない、又は、6.0を超える反射振動体30を設けた比較例2~3では、水洗性能が不良又は水洗不足となる領域が発生した。この結果は、相対超音波強度と振動加速度が比較例1の値とほぼ変わらないという測定結果とも一致しており、比較例2~3の反射振動体30の超音波の反射効率が上がらずに、反射振動体の効果を発揮できていないことが分かった。また、反射振動体30を1本の鋼管のみに接触させた比較例4では、振動加速度は接触している鋼管に伝播しているものの、相対超音波強度は比較例1とほぼ同じ値となっている。これは、反射振動体30の接触箇所が少ないことから、反射振動体30による効果が発現できていないことを示している。また、ポリエチレン製の反射振動体を用いた比較例5では、振動加速度が鋼管にうまく伝播せず、反射振動体の効果を発揮できていないことが分かった。
一方、本発明に係る反射振動体を設け、形状、被処理物Sとの断面比、長さ比を変えた実施例1~36は、水洗性能が良好であることが確認された。特に、密閉構造とした実施例5~13において、優れた水洗性能が確認された。また、フランジを設けた実施例20~35においても、優れた水洗性能が確認された。これら水洗性能と、超音波強度及び振動加速度とは、相関が得られた。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 超音波処理装置
3 処理液
10 処理槽
20 超音波印加機構
30 反射振動体
33 フランジ部
201 超音波発振器
203 超音波振動子
205 筐体
211 投げ込み型振動子
S 被処理物

Claims (13)

  1. 断面形状が略同一である長軸を有し、超音波印加機構が設けられた処理槽に、処理液が満たされ、前記処理液中に長手方向に延伸する複数の被処理物が浸された状態において、前記被処理物に対して超音波を印加しながら表面処理を施す超音波処理方法であって、
    前記被処理物のそれぞれが、1又は複数の他の前記被処理物と、少なくとも2つの箇所で互いに接触するように配置され、
    処理槽内の前記被処理物の集合体の内部に、処理液に浸漬された状態で、長手方向に延伸する1又は複数の中空の反射振動体が、前記処理槽の内壁から離して配置され、
    前記反射振動体のそれぞれが、少なくとも2つの箇所で、他の前記被処理物に接触するように配置され、
    前記被処理物の長手方向に垂直な断面における外径の最大値をDsとし、前記反射振動体の長手方向に垂直な断面における外径の最大値をDrとしたときに、外径比Dr/Dsは、0.2~6.0であり、
    前記反射振動体の固有音響インピーダンスZrは、1×10~2×10kg・m-2・sec-1であり、
    前記反射振動体の中空部は、前記固有音響インピーダンスZrとは異なる固有音響インピーダンスZiの液体又は気体で満たされている、超音波処理方法。
  2. 前記反射振動体の中空部は、固有音響インピーダンスの比Zi/Zrが1×10-3以下となる気体で満たされている、請求項1に記載の超音波処理方法。
  3. 前記反射振動体の厚さtrは、0.2~3.0mmである、請求項2に記載の超音波処理方法。
  4. 前記処理液は、溶存気体量が飽和溶存気体量の80%以上であり、前記反射振動体の中空部は、溶存気体量が飽和溶存気体量の50%未満である液体で満たされている、請求項1に記載の超音波処理方法。
  5. 前記反射振動体の中空部は、前記処理液で満たされている、請求項1に記載の超音波処理方法。
  6. 前記反射振動体の厚さtrは、3.0~20.0mmである、請求項4又は5に記載の超音波処理方法。
  7. 前記被処理物は、前記被処理物の長手方向の長さをLsとし、前記反射振動体の長手方向の長さをLrとしたときに、長さの比Lr/Lsは、0.7≦Lr/Ls≦3.0の関係を満足する、請求項1~6の何れか1項に記載の超音波処理方法。
  8. 前記反射振動体の外表面には、フランジ部が設けられている、請求項1~7の何れか1項に記載の超音波処理方法。
  9. 前記フランジ部が設けられた部分の前記反射振動体の断面の大きさをDfとしたときに、断面の大きさの比Df/Drは、1.1≦Df/Dr≦3.0の関係を満足する、請求項8に記載の超音波処理方法。
  10. 前記フランジ部は、横弾性係数Gが15~250GPaである、請求項8又は9に記載の超音波処理方法。
  11. 前記フランジ部の厚みtfは、前記反射振動体の厚みtrの2.0~10.0倍である、請求項8~10の何れか1項に記載の超音波処理方法。
  12. 前記フランジ部は、前記被処理物の長手方向に沿って前記被処理物の長さ5mの範囲内で、前記被処理物と少なくとも1箇所接触するように設けられる、請求項8~11の何れか1項に記載の超音波処理方法。
  13. 長手方向に延伸する複数の被処理物と、前記被処理物を浸漬するための処理液と、が収納された、断面形状が略同一である長軸を有する処理槽と、
    前記処理液に対して超音波を印加する超音波印加機構と、
    を備えた超音波処理装置であって、
    前記被処理物のそれぞれが、1又は複数の他の被処理物と、少なくとも2つの箇所で互いに接触するように配置され、
    処理槽内の前記被処理物の集合体の内部に、処理液に浸漬された状態で、長手方向に延伸する1又は複数の中空の反射振動体が、前記処理槽の内壁から離して配置され、
    前記反射振動体のそれぞれが、少なくとも2つの箇所で、他の前記被処理物に接触するように配置され、
    前記被処理物の長手方向に垂直な断面における外径の最大値をDsとし、前記反射振動体の長手方向に垂直な断面における外径の最大値をDrとしたときに、外径比Dr/Dsは、0.2~6.0であり、
    前記反射振動体の固有音響インピーダンスZrは、1×10~2×10kg・m-2・sec-1であり、
    前記反射振動体の中空部は、前記固有音響インピーダンスZrとは異なる固有音響インピーダンスZiの液体又は気体で満たされている、超音波処理装置。
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