JP2003233204A - 電子写真感光体の製造方法およびそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体の製造方法およびそれを用いた電子写真感光体

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JP2003233204A
JP2003233204A JP2002031255A JP2002031255A JP2003233204A JP 2003233204 A JP2003233204 A JP 2003233204A JP 2002031255 A JP2002031255 A JP 2002031255A JP 2002031255 A JP2002031255 A JP 2002031255A JP 2003233204 A JP2003233204 A JP 2003233204A
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cleaning
khz
electrophotographic photosensitive
photosensitive member
substrate
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JP2002031255A
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Koji Yoshioka
孝司 吉岡
Masayuki Sakamoto
雅遊亀 坂元
Satoshi Katayama
聡 片山
Makoto Kurokawa
誠 黒川
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Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基体材料として純度の低い安価なアルミニウ
ム材料を用いても、潤滑油、ダスト、切り粉だけでな
く、アルミニウム材料中の晶出物等に起因するバリ等の
欠陥要因も効果的に除去でき、画像欠陥の少ない電子写
真感光体を効率よく容易に低コストで製造する。 【解決手段】 洗浄槽中に入れた基体1を超音波の作用
下で浸漬洗浄した後、基体上に感光層を形成する電子写
真感光体の製造方法において、少なくとも3つの洗浄槽
11、21、31を用い、超音波発信器17、24、3
4を用いて、各洗浄槽に互いに異なる周波数の超音波を
照射する電子写真感光体の製造方法である。好適には、
超音波発信器17、24および34を用いて、第1の洗
浄槽11に周波数28kHz±2kHzの超音波、第2
の洗浄槽21に周波数45kHz±2kHzの超音波、
第3の洗浄槽31に周波数100kHz±2kHzの超
音波34をそれぞれ照射する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、複写機、プリンタ
等に用いられる電子写真感光体の製造方法およびそれを
用いた電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在実用化されている電子写真感光体
は、無機系感光材料を用いた感光体と有機系感光材料を
用いた感光体に大別できる。代表的な無機系感光材料と
しては、アモルファスセレン(a−Se)、アモルファ
スセレンヒ素(a−As2Se3)等のセレン系;色素増
感した酸化亜鉛(ZnO)や、硫化カドミウム(Cd
S)を結着剤中に分散させたもの;アモルファスシリコ
ン(a−Si)等がある。また、代表的な有機系感光材
料としては、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノ
ン(TNF)とポリ−N−ビニルカルバゾール(PV
K)との電荷移動錯体等がある。
【0003】これらの感光体は、多くの長所を有すると
同時に欠点も有している。無機系の感光体では、例え
ば、セレン系およびCdS樹脂分散系を用いた感光体
は、耐久性、保存安定性に問題があり、また毒性も有す
るために簡単に廃棄することができず、回収しなければ
ならないという制約もあった。ZnO樹脂分散系を用い
た感光体は、低感度および耐久性のなさから、現在では
殆ど使用されていない。a−Siを用いた感光体は、高
感度、高耐久性という優れた長所を有するものの、その
製造プロセスの複雑さに起因する高製造コスト、成膜時
の欠陥に起因する画像欠陥等の問題がある。
【0004】一方、有機系の感光体では、有機系感光材
料が多種存在し、合成により多様のアレンジも可能なた
め、それらを適宜選択することにより、保存安定性、毒
性等の問題を回避することができ、また低コストで製造
することも可能なことなら、種々の感光体が提案されて
いる。
【0005】有機系の感光体には、単層型と、感光層
が、光を照射した時に電荷担体を発生する電荷発生物質
を含む電荷発生層と、電荷発生層で発生した電荷担体を
受け入れそれを輸送する電荷輸送物質を含む電荷輸送層
とからなる積層型がある。積層型の感光体は、優れた増
感性を示すことから、現在実用化されている有機系感光
体の大部分を占めている。また、近年の耐久性向上に対
する要求から、感光材料の改良によって感光体ライフが
伸びてきている。
【0006】積層型の感光体の場合、基体上に、直接ま
たは下引き層を介して電荷発生層と電荷輸送層が順次積
層される。この下引き層は、帯電性の改善、基体からの
不要な電荷注入の阻止、基体上の欠陥の被覆、ピンホー
ル発生の防止、感光層の接着性改善等を図るものであ
る。
【0007】下引き層、電荷発生層および電荷輸送層の
形成は、各層の構成成分を有機溶剤に溶解または分散さ
せて塗布液を調製し、これを基体の外周上に、浸漬塗布
法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、ブレ
ード法、リング法等の方法で塗布、乾燥することにより
行われる。これらの方法の中でも、比較的簡単で生産性
に優れ、製造コストが安価であることから、塗布液に基
体を浸漬した後、一定速度または任意に変化させた速度
で引上げる浸漬塗布法がよく採用されている。ここで行
なう浸漬塗布法としては、特に制限はなく、公知の方法
が使用できる。
【0008】基体としては、導電性を有するもの、例え
ば、アルミニウム、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステン
レス、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、
チタン、金、白金等の金属またはそれらの合金からなる
材料を円筒状または円柱状に加工したものが挙げられる
が、浸漬塗布法で塗布する場合には円筒状であるのがよ
い。上記の材料の中でも、導電性、非磁性等の性能面や
コスト面、加工に適し、またリサイクルしやすい点か
ら、アルミニウムおよびその合金が一般的である。後述
する切削加工用のアルミニウム系材料としては、純アル
ミニウム系、Al−Mn系合金、Al−Mgn系合金、
Al−Mg−Si系合金等が挙げられるが、その中でも
特に加工性に優れた純アルミニウム系合金を改良したも
のが用いられることが多い。しかし、純度管理のためア
ルミニウム溶解時のフィルタリング等の品質管理が重要
となり、一般のアルミニウム材料と比べてコスト高とな
る。
【0009】円筒状基体は、その表面に、各感光体特性
に合わせるべく粗度を設定した切削加工が施される。切
削加工は、加工治具としてダイヤモンドバイトまたは所
望する表面粗度によっては焼結ダイヤモンドバイトを用
い、旋盤にて加工される。この際、切削加工をスムーズ
に行なうため潤滑油として主に炭化水素系溶剤が使用さ
れる。
【0010】切削加工された基体表面には、潤滑油、切
り粉(加工屑)、ダストが付着しており、このままでは
下引き層や感光層の形成はできない。また、特に基体が
アルミニウム材料からなる場合、切削加工時に晶出物や
不純物によるバリ等の発生もあり、これらは画像欠陥を
もたらす。従って、切削加工後は、基体表面を洗浄して
清浄化および平滑化を図る必要がある。
【0011】洗浄方法としては、従来、塩素系溶剤によ
る浸漬洗浄が一般的であったが、環境汚染等の問題か
ら、現在では、水系溶媒による洗浄が主流となってい
る。この洗浄工程は、概ね6槽からなり、1槽目では、
界面活性剤含有水溶液に浸漬し、所定の超音波によるキ
ャビテーションを利用して基体表面に付着する切り粉、
ダスト、潤滑油等を除去する。2槽目以降では、キャビ
テーションにより除去できなかった欠陥要因を物理的に
除去するために、ブラシ等で基体を摺接するのが一般的
である。ブラシの替わりに、高圧水流を基体表面に噴射
させるジェット洗浄も採用できる。また、超音波洗浄
を、周波数を基準周波数を中心とした一定範囲内で常に
規則的に変動させて行う提案もある(特開平7−516
44号公報参照)。洗浄後は、基体表面を市水および純
水でリンスし、次いで基体表面の水分を乾燥炉で蒸発さ
せる。このように洗浄された基体に、浸漬塗布法により
下引き層や感光層が形成される。
【0012】浸漬塗布法により形成する場合、基体表面
の洗浄が不十分であると、その表面に潤滑油、ダスト、
切り粉や、晶出物等に起因するバリ等が残っているた
め、塗布の際にハジキ、シミ等の塗布欠陥の原因とな
る。このような電子写真感光体上に発生した欠陥は、そ
れを用いた複写機の複写画像に黒ポチ、白ポチ、ハーフ
トーン画像のむら等となって現れ、画像品質に悪影響を
及ぼすため、このような電子写真感光体は実用に適さな
い。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記したような感光体
の製造においても、コストダウンの要求は年々大きくな
ってきている。感光体に占める基体材料のコストの割合
は大きいものがある。 従来は、感光体に使用される基体
材料に制限が多く、特に基体材料内の晶出物等の不純物
の含有量の少ないアルミニウム材料が多く用いられてき
た。
【0014】しかし、コスト低減を図るため純度を落と
したアルミニウム材料を使用した場合は、上述したよう
に、切削加工時に、潤滑油、ダスト、切り粉だけでな
く、アルミニウム材料中の晶出物等に起因するバリ等の
欠陥要因も発生する。特に積層型感光体の場合に電荷発
生層の膜厚が薄く設計されているため、これらの欠陥に
よりその膜厚が大きく変化し、画像欠陥をもたらす。ア
ナログ感光体の場合は、黒ベタ画像に対して白く抜ける
画像欠陥として発生していたため、目立ちにくかった
が、デジタルの場合は、反転現像となるので、白ベタ画
像に対し黒い画像欠陥となって発生するため、非常に目
立ちやすくなる。
【0015】また、膜厚以上にバリが大きい場合には、
電荷をリークさせる事もある。 これを回避するため下引
き層を厚くする方法もあるが、作業コストおよび材料コ
ストが高くなる。
【0016】洗浄時に超音波以外の物理的手段、例え
ば、ブラシ洗浄、高圧ジェット等を併用して行うこと
は、洗浄工程でのバリ対策として有効である。しかし、
ブラシ洗浄の場合、ブラシと基体とを回転および圧接さ
せる機構が複雑となる。高圧ジェットの場合も同様に装
置としての機構が複雑となり、設備費用のコストアップ
になる。
【0017】一方、コスト低減を目的として、小径の感
光体を作製する時には、大径の場合と比べて一度に多数
の感光体を処理することが可能である。 しかし、上記の
ようにブラシ、高圧ジェット等を洗浄に用いた場合に
は、それぞれの洗浄装置を切り替え時に変更しなけばな
らない事になる。
【0018】さらに、1槽のみの洗浄槽にて洗浄を行な
うと、全ての欠陥要因が単一の洗浄液に集中し、洗浄液
の汚濁の進行が早まるため、洗浄液の交換回数も多くな
り作業効率が悪くなる。
【0019】本発明は、かかる実情に鑑みてなされたも
のであって、基体材料として純度の低い安価なアルミニ
ウム材料を用いても、潤滑油、ダスト、切り粉だけでな
く、アルミニウム材料中の晶出物等に起因するバリ等の
欠陥要因も効果的に除去でき、画像欠陥の少ない電子写
真感光体を効率よく容易に低コストで製造することを課
題とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記課題に対し、従来の
方法によるブラシ洗浄に代わる洗浄について鋭意検討し
た結果、複数の洗浄槽を用い、これら洗浄槽に作用させ
る超音波の周波数を洗浄槽毎に変えることにより、複数
の欠陥要因を洗浄槽毎に除去できることを見出し、発明
を完成するに至った。
【0021】即ち、本発明は、洗浄槽中に入れた基体を
超音波の作用下で浸漬洗浄した後、基体上に感光層を形
成する電子写真感光体の製造方法において、少なくとも
3つの洗浄槽を用い、各洗浄槽に互いに異なる周波数の
超音波を照射することを特徴とする電子写真感光体の製
造方法である。
【0022】これにより、基体に付着する複数の欠陥要
因のそれぞれを、洗浄槽に作用させる超音波の周波数に
応じて、洗浄槽毎に効果的に除去することが可能とな
り、従って、画像欠陥の少ない電子写真感光体を製造す
ることができる。また、本発明では、洗浄は超音波によ
る洗浄のみで行い、ブラシ洗浄等の物理的手段のための
複雑な機構を設ける必要がないため、設備コストの大幅
ダウンとなる。また、ブラシ等が不要になることで、洗
浄槽スペースの効率のよい利用を図ることができるの
で、大径の基体の洗浄から、小径の多数本の基体の同時
洗浄まで可能となる。
【0023】本発明においては、周波数は10kHz〜
200kHzの範囲内から選ばれ、および/または、各
周波数は互いに10kHz以上異なるのが好適である。
これにより、より効果的に、複数の欠陥要因のそれぞれ
を洗浄槽毎に除去できる。
【0024】また、各洗浄槽における超音波の照射時間
は0.5〜10分間であるのが好適である。これによ
り、より効果的にかつ生産性よく、複数の欠陥要因のそ
れぞれを洗浄槽毎に除去できる。
【0025】さらに、本発明においては、周波数は洗浄
槽毎に順次高くなるのがより好適である。これにより、
さらにより効果的に、複数の欠陥要因のそれぞれを洗浄
槽毎に除去できる。
【0026】さらにまた、本発明においては、洗浄槽は
3つであって、第1の洗浄槽に周波数28kHz±2k
Hzの超音波、第2の洗浄槽に周波数45kHz±2k
Hzの超音波および第3の洗浄槽に周波数100kHz
±2kHzの超音波を照射するのが特に好適である。こ
れにより、特に効果的に、複数の欠陥要因のそれぞれを
洗浄槽毎に除去でき、かつブラシ洗浄と同等あるいはそ
れ以上の洗浄効果が得られる。
【0027】本発明においては、基体は、材料中の不純
物が0.5%以上である切削加工アルミニウム材であっ
てもよい。これにより、基体材料についてコストダウン
が可能となる。また、一度に複数本の基体を洗浄しても
よく、これにより、生産性が向上する。
【0028】本発明においては、洗浄された基体上に、
少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を有する積層型の感
光層を形成してもよく、感光層は、有機系材料の塗工に
より形成されてもよい。また、感光層の形成前に、洗浄
された基体上に下引き層を形成してもよい。
【0029】また、本発明の電子写真感光体は、上記の
製造方法により製造されてなるものである。この電子写
真感光体は、デジタル方式による複写機用またはレーザ
ープリンター用であってもよい。
【0030】
【発明の構成】以下、本発明の実施の形態を図面を参照
して説明する。なお、本発明に係わるプロセスは以下に
掲載の内容に限定されるものではない。
【0031】本発明の電子写真感光体の製造方法は、超
音波の作用下による基体の浸漬洗浄を、少なくとも3つ
の洗浄槽を用い、各洗浄槽に互いに異なる周波数の超音
波を照射することにより行い、乾燥後、基体上に感光層
を形成するものである。
【0032】図1は、電子写真感光体の製造方法に用い
る洗浄装置の一構成例の概略を示している。この洗浄装
置においては、4つの洗浄槽からなり、第1〜第3の洗
浄槽では、超音波の作用下での浸漬洗浄が行われ、第4
の洗浄槽ではリンスが行われる。
【0033】切削加工された基体1は、搬送レール3に
配置された搬送ロボット2に支持されている。 第1の洗
浄槽11には、洗浄液18として、純水、イオン交換
水、あるいは界面活性剤が溶解した純水またはイオン交
換水で満たされており、この洗浄液18はヒーター16
により40〜60℃に加熱されており、かつ洗浄槽11
底部には超音波発振器17が具備され、基体1の浸漬時
に超音波が発振するようになっている。 洗浄槽11に
は、パイプ12から洗浄液18がタンク(図示省略)よ
り定常的に送り込まれている。 洗浄によって基体1の表
面から除去された油分、ダスト、切り粉が分散している
洗浄液18は、配管19からポンプ14によりフィルタ
ー15を経て循環し、ダスト、切り粉等はフィルター1
5に捕捉される。 基体1の浸漬によりオーバーフローす
る洗浄液18は、廃液管13から排出される。 排出され
た洗浄液18は、排液処理装置(図示省略)により処理
される。
【0034】第2の洗浄槽21底部には超音波発振機2
4が具備され、また、第3の洗浄槽31底部にも超音波
発振機34が具備されて、それぞれ、基体1の浸漬時に
超音波が発振するようになっている。
【0035】第2の洗浄槽21および第3の洗浄槽31
には、洗浄液25、35として、それぞれ純水、イオン
交換水、あるいは界面活性剤が溶解した純水またはイオ
ン交換水の洗浄液25、35が満たされており、第4の
洗浄槽41には、洗浄液45として純水またはイオン交
換水が満されている。各洗浄槽21、31、41の洗浄
液25、35、45は、それぞれ配管26、36、46
からポンプ22、32、42によりフィルター23、3
3、43を経て循環し、これらのフィルター23、3
3、43によって、主にバリ、ダスト等が捕捉される。
第4の洗浄槽41の洗浄液45はタンク60より洗浄槽
41に供給され、第4の洗浄槽41からのオーバーフロ
ーにより、第3の洗浄槽31に洗浄液35が供給され、
第3の洗浄槽31からのオーバーフローにより、第2の
洗浄槽21に洗浄液25が供給され、そして、第2の洗
浄槽21からオーバーフローする洗浄液25は廃液管2
7から排出され、排液処理装置(図示省略)で処理され
る。
【0036】図1に示す洗浄装置において、界面活性剤
含有純水の洗浄液で満された洗浄槽は、少なくとも1槽
あれば良い。
【0037】第1の洗浄槽11の洗浄液18のpHは、
6.0〜9.0、特に6.5〜8.0が好ましい。 この
洗浄液のpHを6.0〜9.0に制御すると、アルミニ
ウム基体表面の水酸化物、酸化物、水和物の生成が抑制
され、これら反応生成物によるぬれ性等の物理的特性の
変化が生ずることがないので、塗布の際のハジキ、シ
ミ、塗布ヌケ等の塗布欠陥の発生を防止し得る。また、
洗浄液の排水処理設備等の負担も小さくなり、設備コス
ト、排水処理コストを低下させることが出来るので、製
造コスト・ダウンにつながる。
【0038】本発明で使用する界面活性剤としては、基
体を腐蝕することのないノニオン系界面活性剤および/
またはアニオン系界面活性剤が使用し得る。その具体例
としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレン・ ポリオキシプロピレン・ ブロ
ックコポリマー型およびノニルフェノールポリオキシエ
チレンエーテル等のノニオン系界面活性剤;アルキルベ
ンゼン、高級アルコール、α−オレフィン等の硫酸塩、
ケイ酸塩、炭酸塩またはリン酸塩等のアニオン系界面活
性剤が挙げられ、特にpH6.0〜9.0の洗浄液を形
成するものが好ましい。
【0039】pHが6.0〜9.0の洗浄液を形成する
界面活性剤の具体例としては、ヘンケル白水(株)製の
T−180、ライオン(株)製のFM−10およびライ
オミックスL、ケミック(株)製のCA01、並びに花
王(株)製のクリンスルー750Lが挙げられる。
【0040】本発明においては、洗浄液の界面活性剤の
濃度は、0.5〜30重量%、特に4〜15重量%が好
ましい。
【0041】また、洗浄助剤(ビルダー)として、炭酸
ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カ
リウム、ケイ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム等の無機ビ
ルダー;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロー
ス、有機アミン等の有機ビルダーを洗浄液に添加しても
良い。
【0042】本発明の第1〜第3の洗浄槽の洗浄液によ
る洗浄時間(浸漬時間)は、それぞれ0.5〜10分
間、特に1〜5分間が好ましい。洗浄時間が短すぎる
と、超音波の照射時間も短すぎて、それぞれの欠陥要因
の除去効果があまり得られず、逆に洗浄時間が長すぎる
と、生産性が悪くなるので、好ましくない。また、第4
の洗浄槽における浸漬時間も0.5〜10分間、特に1
〜5分間が好ましい。なお、各洗浄槽に浸漬中には、必
要に応じて、基体を揺動させても良い。
【0043】本発明者らは、複数の欠陥要因のそれぞれ
について、所定の超音波によるキャビテーションを利用
して、特に効果的に除去できる超音波の周波数の範囲が
存在することを見出した。その特に効果的な範囲とは、
周波数が10kHz〜200kHzの範囲内から選ば
れ、互いに10kHz以上異なっていることが好まし
く、具体的には、切り粉や、ダスト、油分の混在により
付着した欠陥に対しては28kHz±2kHz、バリに
対しては45kHz±2kHz、上記以外のその他の微
少なダストに対しては100kHz±2kHzである。
個々の周波数が近すぎると、上記の複数の欠陥要因をそ
れぞれ洗浄槽毎に効果的に除去できないおそれがあり、
好ましくない。
【0044】本発明では、第1〜第3の洗浄槽で照射さ
れる超音波は、周波数が順次高くなる、即ち、順に、2
8kHz±2kHz/45kHz±2kHz/100k
Hz±2kHzの周波数であることが特に好ましく、そ
れぞれ上記の一定時間内に照射される。つまり、第1の
洗浄槽では、周波数28kHz±2kHzの超音波を照
射して、切り粉や、ダスト、油分の混在により付着して
いる欠陥を効果的に除去し、第2の洗浄槽では、周波数
45kHz±2kHzの超音波を照射して、バリを効果
的に除去し、第3の洗浄槽では、周波数100kHz±
2kHzの超音波を照射して、その他の微細なダストを
効果的に除去する。
【0045】このような周波数でかつこのような順で超
音波洗浄を行なうことにより、次のような効果を奏す
る。第1の洗浄槽で切り粉、ダスト、油分を十分に除去
して、第2の洗浄槽以降への切り粉、ダスト、油分の混
入を防止する。第2の洗浄槽では基体表面のバリを十分
に除去し、第3の洗浄槽以降へのバリの混入を防止す
る。そして、第3の洗浄槽では基体表面のその他の微細
なダストを確実に除去する。これにより、次の第4の洗
浄槽への油分の混入を確実に防止し、また、切り粉やバ
リのような大きな欠陥要因を早期に除去して、第4の洗
浄槽の純水の汚染を防止する。
【0046】そして、最後に、第4の洗浄槽(必要に応
じて4〜6槽程度の複数槽)にて純水またはイオン交換
水にてリンスする。
【0047】リンス後、基体表面に付着している水分を
乾燥炉50にて蒸発させて乾燥し、常温まで冷却した
後、基体上に感光層を形成する。
【0048】本発明では、第1〜第3の洗浄槽にて超音
波の作用により欠陥要因を除去するので、従来のよう
な、バリの除去に対して行なっていたブラシ洗浄等によ
る基体表面への物理的な周接が不要になるため、複雑な
機構を設ける必要がなく、設備コストの大幅ダウンとな
る。また、洗浄槽スペースの効率のよい利用が図れ、一
回の洗浄にて処理できる基体本数が飛躍的に向上し、同
一洗浄槽での多数本の基体の同時洗浄が可能となった。
【0049】電子写真感光体に使用する基体材料につい
ては、従来は、晶出物径が5μm以下にて1000個/
mm2以下で純度99.5%以上にコントロールされた
材料を使用して切削加工を行うことにより、切削加工時
に発生する晶出物起因のバリ等の発生を防止してきた
が、本発明では、晶出物径10μm以下にて100個/
mm2および10μm以上にて200個/mm2以下、純
度99.5%以下(JIS 6063)の一般の安価な
アルミニウム素材にて材料コストの低減を図る。
【0050】切削加工に際して使用されるバイトとして
は、焼結ダイヤモンドバイト、人造ダイヤモンドバイ
ト、天然ダイヤモンドバイト等が挙げられ、所望の表面
粗度に適したバイトが使用されるが、本発明では焼結ダ
イヤモンドバイトを使用するのが好ましい。表面切削加
工を行なう時の切り取り量としては、0.025mm〜
0.1mm程度にて切削加工を行なうが、切削量が少な
いと加工回転時の振れ精度により加工残が発生し、表面
被膜が除去しきれず不具合が発生する。好ましくは、
0.05mm程度の加工量にて切削する。
【0051】加工後その表面には、加工時に使用した潤
滑油、切り粉、安価な素材選択による微小なバリ、およ
び移動時に付着するダストが付着しているため、上記の
ような洗浄を行った後、感光層を形成する。
【0052】感光層の構造としては、電荷発生層と電荷
輸送層との2層からなり機能が分離した積層型、およ
び、これらが分離されずに単一層で形成される単層型が
あるが、いずれを用いても良い。また、感光層と基体と
の間に、接着性、バリア性等を目的として下引き層を設
けても良い。積層型の場合、下引き層の上に電荷発生層
が形成される。
【0053】電荷発生層に含有される電荷発生物質とし
ては、クロロダイアンブルー等のビスアゾ系化合物、ジ
ブロモアンサンスロン等の多環キノン系化合物、ペリレ
ン系化合物、キナクリドン系化合物、フタロシアニン系
化合物、アズレニウム塩系化合物等が知られている。レ
ーザー光やLED等の光源を用いて反転現像プロセスに
より画像形成を行う電子写真感光体では、620nm〜
800nmの長波長の範囲に感度を有することが要求さ
れるので、その際に使用される電荷発生材料として、フ
タロシアニン顔料やトリスアゾ顔料が高感度で耐久性に
優れており、従来から検討されている。その中で特にフ
タロシアニン顔料が特に優れた特性を有しており、これ
らの顔料を一種もしくは二種以上併用することも可能で
ある。
【0054】使用されるフタロシアニン顔料は、無金属
フタロシアニン、金属フタロシアニン、およびこれらの
混合物や混晶化合物が挙げられる。金属フタロシアニン
顔料において用いられる金属としては、酸化状態がゼロ
であるもの、またはその塩化物、臭化物等のハロゲン化
金属、あるいはその金属酸化物等が用いられる。好まし
い金属としては、Cu、Ni、Mg、Pb、V、Pd、
Co、Nb、Al、Sn、Zn、Ca、In、Ga、F
e、Ge、Ti、Cr等が挙げられる。これらのフタロ
シアニン顔料の製造方法は種々の手法が提案されている
が、どの様な製造方法を用いても良く、顔料化された後
に、各種精製を行なったものや、結晶型を変換させる為
に種々の有機溶剤で分散処理を行ったものを用いても良
い。本発明においては、非晶型やα型、β型、γ型、δ
型、ε型、χ型、τ型等の結晶型を使用することができ
る。
【0055】これらのフタロシアニン顔料を用いた電荷
発生層の形成方法としては、電荷発生物質、特にフタロ
シアニン顔料を基体上に真空蒸着することによって形成
する方法、および、フタロシアニン顔料をバインダー樹
脂や有機溶媒と混合し分散させて、基体上に塗布する方
法があり、後者の場合、混合する前に予め粉砕機によっ
てフタロシアニン顔料を粉砕処理しても良い。使用され
る粉砕機としては、ボールミル、サンドミル、アトライ
ター、振動ミルおよび超音波分散機等が挙げられる。一
般的に、フタロシアニン顔料をバインダー樹脂溶液中に
分散させた後、塗布する方法が好ましい。
【0056】塗布方法としては、スプレー法、ロールコ
ート法、ブレード法、リング法、浸漬法等が挙げられ
る。特に浸漬法は、感光層用塗布液を満たした塗布槽
に、導電性基体を浸漬した後、一定速度または、逐次変
化する速度で引き上げることにより感光層を形成する方
法であり、比較的簡単で、生産性およびコストの点で優
れているために、電子写真感光体を製造する場合に多く
利用されている。
【0057】バインダー樹脂としては、メラミン樹脂、
エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂、アク
リル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹
脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂等や、二つ以上の
繰り返し単位を含む共重合体樹脂、例えば、塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレ
ン共重合体樹脂等の絶縁性樹脂を挙げることができる
が、これらに限定されるものではなく、一般に用いられ
る全ての樹脂を単独あるいは二種以上混合して使用する
ことができる。
【0058】フタロシアニン顔料やバインダー樹脂と混
合する有機溶媒としては、塩化メチレン、2塩化エタン
等のハロゲン化炭化水素;アセトン、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸
ブチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の
芳香族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶
媒;あるいはこれらの混合溶剤等を用いることができ
る。
【0059】フタロシアニン顔料とバインダー樹脂との
配合比は、フタロシアニン顔料が10〜99重量%の範
囲が好ましい。この範囲より少ない場合は感度が低下
し、多い場合は耐久性が低下するばかりでなく、分散性
が低下する為に粗大粒子が増大することから画像欠陥、
特に黒ポチが多くなる。
【0060】電荷発生層の膜厚は、0.05μm以上5
μm以下、特に0.1μm以上1μm以下の範囲が好ま
しい。
【0061】電荷発生層の上に設けられる電荷輸送層の
形成方法としては、バインダー樹脂溶液中に電荷輸送物
質を溶解させた電荷輸送用塗布液を調製し、これを塗布
して成膜する方法が一般的である。電荷輸送層に含有さ
れる電荷輸送物質としては、ヒドラゾン系化合物、ピラ
ゾリン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、トリフ
ェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、オキサジ
アゾール系化合物等が知られており、一種もしくは二種
以上併用することも可能である。バインダー樹脂として
は、前記の電荷発生層用のバインダー樹脂を一種もしく
は二種以上混合して使用することができる。電荷輸送層
の塗布方法としては、電荷発生層と同様の方法が挙げら
れる。
【0062】電荷輸送層の膜厚は、5μm以上50μm
以下、特に10μm以上40μm以下の範囲が好まし
い。
【0063】感光層が単層型の場合には、感光層の膜厚
は、5μm以上50μm以下、特に10μm以上40μ
m以下の範囲が好ましい。単層型感光層の形成方法とし
ては、フタロシアニン顔料と、電荷輸送物質を溶解させ
たバインダー樹脂溶液とを混合して分散し、これを基体
上に塗布することにより行われる。その際使用される有
機溶媒やバインダー樹脂は前記に示したものが用いら
れ、分散方法および塗布方法も同様に前記の公知の方法
が使用することができる。
【0064】なお、単層型、積層型いずれの感光層の場
合でも、下引き層が導電性基体からのホール注入に対し
て障壁となり、さらに、高感度、高耐久性を有するため
には、負帯電性の感光層が好ましい。
【0065】また、感度の向上、残留電位や繰り返し使
用時の疲労低減等を目的として、感光層に少なくとも一
種以上の電子受容性物質を添加することができる。例え
ば、パラベンゾキノン、クロラニル、テトラクロロ−
1,2−ベンゾキノン、ハイドロキノン、2,6−ジメ
チルベンゾキノン、メチル−1,4−ベンゾキノン、α
−ナフトキノン、β−ナフトキノン等のキノン系化合
物;2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、1,
3,6,8−テトラニトロカルバゾール、p−ニトロベ
ンゾフェノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フ
ルオレノン、2−ニトロフルオレノン等のニトロ化合
物;テトラシアノエチレン、7,7,8,8−テトラシ
アノキノジメタン、4−(p−ニトロベンゾイルオキ
シ)−2’,2’−ジシアノビニルベンゼン、4−(m
−ニトロベンゾイルオキシ)−2’,2,−ジシアノビ
ニルベンゼン等のシアノ化合物等を挙げることができ
る。これらのうち、フルオレノン系、キノン系化合物
や、Cl、CN、NO2等の電子吸引性置換基を有する
ベンゼン誘導体が特に好ましい。また、安息香酸、スチ
ルベン化合物やその誘導体、並びに、トリアゾール化合
物、イミダゾール化合物、オキサジアゾール化合物、チ
アゾール化合物およびそれらの誘導体等の含窒素化合物
類等のような紫外線吸収剤や酸化防止剤を含有させるこ
ともできる。
【0066】さらに、必要であれば、感光層表面を保護
するために保護層を設けても良い。表面保護層には、熱
可塑性樹脂や、光または熱硬化性樹脂を用いることがで
きる。保護層中に、前記紫外線防止剤や酸化防止剤、お
よび、金属酸化物等の無機材料、有機金属化合物、電子
受容性物質等を含有させることもできる。また感光層お
よび表面保護層には、必要に応じて、二塩基酸エステ
ル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステ
ル、塩素化パラフィン等の可塑剤を混合させて、加工性
および可とう性を付与し、機械的物性の改良を施しても
良く、また、シリコン樹脂等のレベリング剤を使用する
こともできる。
【0067】感光層の塗布後、乾燥し端面処理を行な
い、感光基体駆動用フランジを取り付ける。フランジの
取り付けは接着または圧入方式を用いる。接着方式で
は、フランジを接着剤により感光体内部に固定させる。
また、圧入方式では、感光体基体の内径よりやや大きめ
に外形を設定した弾性体フランジを圧力をかけて挿入
(以下圧入と記す)し、圧入後は弾性を利用して感光体
内部に固定させる。
【0068】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてより詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0069】実施例1 純度99.5%以下(JIS 6063)のアルミニウ
ム円筒状素管を、下記条件にて切削加工して基体を形成
した。
【0070】 ・回転数 2500rpm ・送りスピード 0.175mm/rpm ・加工バイト 焼結ダイヤモンドバイト(旭ダイヤモンド社製) ・切取り量 50μm 加工後の基体は、下記手順にて洗浄を行った。
【0071】洗浄方法としては、図1に示すような、第
1〜第4の洗浄槽からなり、第1〜第3の洗浄槽に所定
の超音波発生装置を具備する洗浄装置を使用し、所定の
超音波によるキャビテーションを利用して、基体表面の
切り粉、ダスト、油分、バリ等の欠陥要因を除去した。
【0072】第1の洗浄槽では、洗浄液として、界面活
性剤FM−10(ライオン株式会社製)を含有する水溶
液を使用し、濃度を7重量%に設定した。また、超音波
の周波数を28kHz±2kHz、浸漬洗浄時間を60
秒にそれぞれ設定した。
【0073】第2の洗浄槽では、洗浄液として第1の洗
浄槽と同じ界面活性剤含有水溶液を使用した。また、超
音波の周波数を45kHz±2kHz、浸漬洗浄時間を
60秒にそれぞれ設定した。
【0074】第3洗浄槽では、洗浄槽では、洗浄液とし
て第1の洗浄槽と同じ界面活性剤含有水溶液を使用し
た。また、超音波の周波数を100kHz±2kHz、
浸漬洗浄時間を60秒にそれぞれ設定した。
【0075】第4の洗浄槽では、基体表面を純水にてリ
ンスした。浸漬洗浄時間を100秒に設定した。
【0076】リンス後の基体は、表面に付着した水分を
乾燥炉50にて蒸発させ、乾燥後、常温まで冷却させた
後、基体表面に、浸漬塗布法により、下引き層、電荷発
生層亜、電荷輸送層を順次形成して、感光体を製造し
た。
【0077】下引き層用塗布液として、メチルアルコー
ル55.5重量部と1,3−ジオキソラン37重量部と
の混合溶媒に、樹枝状の酸化チタン(石原産業製:TT
O−D−1)3.75重量部とバインダー樹脂として共
重合ナイロン樹脂(東レ製:CM8000)3.75重
量部を混合し、これをペイントシェーカーにて8時間分
散し、固形分量7.5重量%となるよう調整した。この
下引き層用塗布液に、乾燥終了後の基体を浸漬し乾燥し
て、膜厚が約0.9μmの下引き層を形成した。
【0078】次に、電荷発生層用塗布液として、オキソ
チタニルフタロシアニン顔料1.5重量部とボリビニル
ブチラール樹脂(積水化学社製:エスレックBM−S)
1重量部と1,3−ジオキソラン97.5重量部を混合
し、これをペイントシェーカーで10時間分散し、固形
分量2.5重量%になるよう調整した。この電荷発生層
用塗布液に、下引き層を形成した基体を浸漬し乾燥し
て、膜厚が約0.4μmの電荷発生層を形成した。
【0079】続いて、電荷輸送層用塗布液として、下記
【0080】
【化1】
【0081】の電荷輸送物質9重量部、ビスフェノール
Zタイプのポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学株式会
社製:Z−400)14重量部およびシリコーン系レベ
リング剤(信越化学工業製:KF−96)0.02重量
部を、76重量部のテトラヒドロフランに加えて完全に
溶解させ、固形分量23重量%となるように調整した。
この電荷輸送層用塗布液に、電荷発生層を形成した基体
を浸漬し、110℃にて1時間乾燥して、膜厚が23μ
mの電荷輸送層を形成した。
【0082】このような下引き層、電荷発生層および電
荷輸送層の形成により、実施例1の積層型電子写真感光
体ドラムを作製した。
【0083】比較例l〜4および実施例2〜6 実施例1と同一素管でかつ同一加工条件にて加工した基
体を使用し、表1に示す方法にて洗浄を行った。その
後、実施例1と同様の手順にて下引き層、電荷発生層お
よび電荷輸送層を順次形成し、比較例1〜4および実施
例2〜6の積層型電子写真感光体ドラムを作製した。
【0084】
【表1】
【0085】実施例1〜6および比較例1〜4の洗浄後
のそれぞれの基体について、目視により各欠陥を数え
た。また、実施例1〜6および比較例1〜4のそれぞれ
の電子写真感光体ドラムを、ARN200に搭載し、画
像評価を行った。画像評価方法としては、ハーフトーン
画像に表れる黒ぽち欠陥を数えた。判定基準としては、
電子写真感光体ドラムの一周の表面積に対しφ0.5m
m以上の物が3個以上発生すれば画像不良と判断した。
これらの実験結果を表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】比較例5 純度99.5%のアルミニウム円筒状素管を使用し、実
施例1と同様に加工して基体を形成した。この基体は、
ブラシを使用せず、単一周波数28kHz±2kHzの
みの超音波洗浄を行い、リンスおよび乾燥工程以降は、
実施例1と同様にして電子写真感光体ドラムを作製し
た。
【0088】比較例6 純度99.7%のアルミニウム円筒状素管を使用し、実
施例1と同様に加工して基体を形成した。この基体は、
ブラシを使用せず、単一周波数28kHz±2kHzの
みの超音波洗浄を行い、リンスおよび乾燥工程以降は、
実施例1と同様にして電子写真感光体ドラムを作製し
た。
【0089】実施例7 純度99.7%のアルミニウム円筒状素管を使用した以
外は、実施例1と同様に電子写真感光体ドラムを作製し
た。
【0090】実施例1、実施例7、比較例5および比較
例6の洗浄後のそれぞれの基体について、目視により各
欠陥を数えた。また、実施例1、実施例7、比較例5お
よび比較例6のそれぞれの電子写真感光体ドラムを、A
RN200に搭載し、画像評価を行った。画像評価方法
としては、ハーフトーン画像に表れる黒ぽち欠陥を数え
た。判定基準としては、電子写真感光体ドラムの一周の
表面積に対しφ0.5mm以上の物が3個以上発生すれ
ば画像不良と判断した。これらの実験結果を表3に示
す。
【0091】
【表3】
【0092】実施例1〜6では、第1〜第3の洗浄槽に
対して、各洗浄槽に互いに10kHz以上異なる周波数
の超音波を照射することにより、基体の洗浄を行なっ
た。比較例1〜4では、第1の洗浄槽のみに対して超音
波を照射し、さらに比較例1では第2の洗浄槽でブラシ
により周接した。
【0093】表2から明らかなように、99.5%以下
という低い純度のアルミニウム素管を用いても、実施例
1〜6で洗浄された基体は、比較例2〜4で洗浄された
基体と比較して、切り粉、バリ、ダストの除去効果が高
く、特に切り粉、バリについてはほぼ完全に除去でき、
従って、画像欠陥の少ない電子写真感光体ドラムが得ら
れた。
【0094】実施例1〜6の中でも、第1の洗浄槽を2
8kHz±2kHz、第2の洗浄槽を45kHz±2k
Hz、第3の洗浄槽を100kHz±2kHzの周波数
でそれぞれ洗浄した実施例1の基体は、ダストについて
も十分に除去されており、従って、画像欠陥が全くない
電子写真感光体ドラムが得られた。
【0095】なお、第1〜第3の洗浄槽について、照射
する超音波の周波数の順を入れ替えた実施例2〜6の基
体は、ダストの除去がやや不十分であり、また油分も完
全には除去されなかったため、電子写真感光体ドラムに
僅かに画像欠陥が見られた。また、実施例2〜6では、
油分が第4の洗浄槽である純水リンス槽に僅かに混入し
たため、この純水リンス槽の汚染が僅かに見られた。
【0096】なお、比較例1で洗浄された基体は、切り
粉、バリ、ダストが十分に除去されて、画像欠陥がない
電子写真感光体ドラムが得られたが、ブラシによる周接
を行なっているため、装置が複雑でコスト高となり、ま
た槽内スペースが少なく同時に多数本の基体の洗浄がで
きないため、生産効率が劣るものであった。
【0097】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
では、超音波の作用下による基体の浸漬洗浄を、少なく
とも3つの洗浄槽を用い、各洗浄槽に互いに異なる周波
数の超音波を照射することにより行うが、これにより以
下の効果を奏する。
【0098】基体に付着する複数の欠陥要因のそれぞれ
を、洗浄槽に作用させる超音波の周波数に応じて、洗浄
槽毎に効果的に除去することが可能となる。従って、コ
スト低減のために、基体材料として純度の低い安価なア
ルミニウム材料を用いても、画像欠陥の少ない電子写真
感光体を得ることができる。また、本発明では、洗浄は
超音波による洗浄のみで行い、ブラシ洗浄等の物理的手
段のための複雑な機構を設ける必要がないため、設備コ
ストの大幅ダウンとなる。また、ブラシ等が不要になる
ことで、洗浄槽スペースの効率のよい利用が図れ、大径
の基体の洗浄から、小径の多数本の基体の同時洗浄まで
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の製造方法で使用する
洗浄装置の一例の全体構成の概略を示す図である。
【符号の説明】
1 基体 2 搬送ロボット 3 搬送レール 11 第1の洗浄槽 12 パイプ 13 廃液管 14 循環ポンプ 15 循環フィルター 16 ヒーター 17 超音波発振器 18 洗浄液 19 循環用配管 21 第2の洗浄槽 22 循環ポンプ 23 循環フィルター 24 超音波発信器 25 洗浄液 26 循環用配管 27 廃液管 31 第3の洗浄槽 32 循環ポンプ 33 循環フィルター 34 超音波発信器 35 洗浄液 36 循環用配管 41 第4の洗浄槽 42 循環ポンプ 43 循環フィルター 45 洗浄液 46 循環用配管 50 乾燥炉 60 タンク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片山 聡 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 黒川 誠 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2H068 AA21 AA32 AA41 AA52 AA54 CA32 EA05 EA07 EA12 FB01 FB07

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 洗浄槽中に入れた基体を超音波の作用下
    で浸漬洗浄した後、基体上に感光層を形成する電子写真
    感光体の製造方法において、 少なくとも3つの洗浄槽を用い、各洗浄槽に互いに異な
    る周波数の超音波を照射することを特徴とする電子写真
    感光体の製造方法。
  2. 【請求項2】 周波数が10kHz〜200kHzの範
    囲内から選ばれる、請求項1記載の電子写真感光体の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 各周波数が互いに10kHz以上異な
    る、請求項1または2記載の電子写真感光体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 各洗浄槽における超音波の照射時間が
    0.5〜10分間である、請求項1〜3のいずれかに記
    載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 【請求項5】 周波数が洗浄槽毎に順次高くなる、請求
    項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 洗浄槽が3つであり、かつ第1の洗浄槽
    に周波数28kHz±2kHzの超音波、第2の洗浄槽
    に周波数45kHz±2kHzの超音波および第3の洗
    浄槽に周波数100kHz±2kHzの超音波を照射す
    る、請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体用
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 基体が、材料中の不純物が0.5%以上
    である切削加工アルミニウム材である、請求項1〜6の
    いずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  8. 【請求項8】 一度に複数本の基体を洗浄する、請求項
    1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  9. 【請求項9】 洗浄された基体上に、少なくとも電荷発
    生層と電荷輸送層を有する積層型の感光層を形成する、
    請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真感光体の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 感光層が有機系材料の塗工により形成
    される、請求項1〜9のいずれかに記載の電子写真感光
    体の製造方法。
  11. 【請求項11】 感光層の形成前に、洗浄された基体上
    に下引き層を形成する、請求項1〜10のいずれかに記
    載の電子写真感光体の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれかの製造方法
    により製造されてなる電子写真感光体。
  13. 【請求項13】 デジタル方式による複写機用またはレ
    ーザープリンター用である、請求項12記載の電子写真
    感光体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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