JP2000225381A - 電子写真感光体用基体の洗浄方法及びその洗浄装置 - Google Patents

電子写真感光体用基体の洗浄方法及びその洗浄装置

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JP2000225381A
JP2000225381A JP11027982A JP2798299A JP2000225381A JP 2000225381 A JP2000225381 A JP 2000225381A JP 11027982 A JP11027982 A JP 11027982A JP 2798299 A JP2798299 A JP 2798299A JP 2000225381 A JP2000225381 A JP 2000225381A
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cleaning
substrate
tank
aqueous solution
washing
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JP11027982A
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English (en)
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Kazuya Suzuki
一矢 鈴木
Hisayoshi Goto
久義 後藤
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 洗浄液が水溶液系であって、且つ超音波処理
とか、高圧洗浄液等の衝撃外力や、摺擦処理を併用せず
に、しかも処理コストが低廉で且つ容易な方法で感光体
用基体面を高度に清浄化させる洗浄方法及びその洗浄装
置を提供することである。 【解決手段】 電子写真感光体用基体面を洗浄するに際
して、前記基体を界面活性剤を含有するアルカリ水溶液
洗浄槽に浸漬処理させた後、更に逆浸透膜処理水を用い
て濯ぎ槽、水洗槽及び温水槽中に順次に浸漬処理させ、
且つ前記アルカリ水溶液洗浄槽での洗浄を、前記アルカ
リ水溶液中の固形分濃度1〜6重量%下で浸漬処理させ
て、前記基体面を高度に清浄化させる電子写真感光体用
基体の洗浄方法及びこれに用いる洗浄装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体用
基体の洗浄方法に関し、更に詳しくは、導電性基体面に
下引き層や、感光層等を積層形成されている電子写真感
光体の性能・品質は、これらの積層物を形成する前の基
体面の清浄さに大きく影響されることから、取り扱い性
に優れている水溶液洗浄材を使用して、単純で、容易な
処理方法で、且つ処理コストが低廉で、しかも、基体面
を高度に清浄化できる電子写真感光体用基体の洗浄方法
及びそれに用いる洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、電子写真感光体が、複写機、
プリンター、ファクシミリ等の電子写真画像形成装置に
使用されている。これらの感光体は、一般にアルミニウ
ム等の導電性基体面に下引き層や、電荷を発生・輸送さ
せる感光層等を積層形成させてなり、通常、この感光層
は有機顔料の電荷発生材及び電荷輸送材をバインダー樹
脂で基体面に積層形成されている、いわゆる有機感光体
といわれているものが、一般的に多く使用されている。
また、最近は、特にその画像形成の性能も著しく向上
し、ますます感光体に対して高い性能・品質が求められ
ているのが実状である。
【0003】このような感光体の性能・品質は、その積
層物がその支持体である導電性基体面に、均一な塗膜と
して、密着形成されていることが重要である。そこで、
感光体に使用される導電性基体は、通常、機械的な工程
で製造されるためその製造過程で、切削油、微細な金属
の切粉、錆、ゴミ・埃等の微細な異物が多く付着してい
るために、これらを除去して十分清浄な面にしない限
り、密着性及び均一性に優れた感光層を形成させること
はできない。不十分な清浄度の基体を用いて感光層を形
成させると、密着不良、形成膜の不均一性等による欠陥
を感光層に生じ、形成される画像に画像欠陥(黒ポチ、
白ポチ、画像ムラ)を発生させて画像品質を著しく損ね
る。また、感光体にクリーニング不良を生じさせたりし
て、このような電子写真感光体は、とても実用に供せら
れるものではない。
【0004】従って、導電性基体の金属面を高度に、清
浄な面にすることが不可欠であり、そのために、従来か
ら、有機溶剤系による洗浄、中性及びアルカリ性界面活
性剤系による水溶液洗浄等による浸漬処理及び/又は超
音波下での浸漬洗浄、又はシャワーリングしながらブラ
シやスポンジ等で摺擦洗浄及び溶剤を高圧で噴射させる
ジェット洗浄等を単独又は組み合わせて行う洗浄方法が
知られている。
【0005】しかしながら、近年、地球温暖化、オゾン
層破壊等の環境破壊や、環境ホルモン等の問題から、こ
れまで脱脂性、洗浄性、速乾性に優れているトリクロロ
エチレン、トリクロロエタン、ジクロロメタン、1,1,1
−トリクロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素
系溶剤や、フロン−112 、フロン−113 等のフッ素系溶
剤又はベンゼン、トルエン、キシレン、エタノール、メ
タノール、IPA等の石油系炭化水素溶剤等を用いる洗
浄方法の代替化が急がれている。
【0006】このような状況下に、界面活性剤含有の水
溶液系による洗浄が種々提案され、その中でも、比較的
に脱脂力に優れている界面活性剤を含有するアルカリ性
水溶液を洗浄剤とする洗浄方法が多用されるようになっ
ている。例えば、特開平1−130160号、特開平3
−257456号及び特開平9−6031号等の公報に
は、アルカリ洗浄液とスポンジや、ブラシ等の各種の摺
擦部材とを併用した洗浄方法が記載されている。また、
特開平5−158257号、特開平5−61215号及
び特開平6−118663号及び特開平6−17537
4号等の公報には、界面活性剤含有の水溶液に超音波に
よる衝撃外力を併用する洗浄方法が記載されている。ま
た、特開平5−281758号公報には、PH5以下の
水溶液洗浄剤による洗浄方法が、また特開平6−383
1号公報には、PH7〜9なる水溶液系洗浄液におる洗
浄方法がそれぞれ記載されている。また、特開平4−3
20268号及び特開平6−59463号公報には、1
0μm/cm以下のミクロン低電気電導度水で洗浄する
方法が記載されている。さらに、特開平5−12739
6号公報には、界面活性剤含有水中での浸漬洗浄後、濯
ぎ処理に続いて、温度35〜90℃の純水に浸漬させる
ことからなる洗浄方法が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述するように、従来
の溶剤法の代表例である1,1,1 −トリクロエタン等の代
替洗浄として、上記公報に種々提案されているが、その
洗浄剤の界面活性剤含有の水溶液の洗浄性や、取り扱い
性等が十分に生かされず、代替洗浄法として、未だ十分
に満足される方法でないのが実状である。すなわち、何
れの提案でも高度に清浄化された基体を得るには不十分
であり、また、従来の溶剤系の洗浄力に比べ、水溶液系
の洗浄剤の脱脂性、洗浄性及び乾燥性等が低下して、洗
浄ムラがあったり、また、超音波等の衝撃外力や、ブラ
シ等の各種の摺擦部材を併用する等の洗浄方法であった
りで、騒音の発生及び電力費を高騰させたり、基体面に
摺擦痕を発生させて支障を来したり、また、洗浄処理が
煩雑で、処理コストも高くなる傾向がある。
【0008】従って、本発明の目的は、水溶液系の洗浄
剤を使用して、その処理に従来のような超音波や、洗浄
液のジェット吹きつけ等の衝撃外力、また、摺擦処理等
を必要とせず、良好な作業環境下で、洗浄処理が容易で
単純で、しかも、低コストで有機感光体用基体を高度に
清浄化させる洗浄方法及びそれに用いる洗浄装置を提供
することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑みて、これらの課題を達成すべく鋭意検討した結
果、界面活性剤を含有する水溶液系の洗浄剤を使用し
て、基体をこの水溶液系に浸漬させるこにより、従来の
溶剤法に同等な清浄度を得られることを見出し、本発明
を完成させるに至った。
【0010】すなわち、本発明は、電子写真感光体用基
体面を洗浄するに際して、前記基体を界面活性剤を含有
するアルカリ水溶液洗浄槽に浸漬処理させた後、更に逆
浸透膜処理水を用いて濯ぎ槽、水洗槽及び温水槽中に順
に浸漬処理させ、且つ前記アルカリ水溶液洗浄槽での洗
浄を、前記アルカリ水溶液中の固形分濃度1〜6重量%
下で浸漬処理させることを特徴とする電子写真感光体用
基体の洗浄方法を提供する。
【0011】また、このような水溶液系の洗浄剤及びこ
のような特定の洗浄水を用いて導電性基体面を高度に清
浄化させる洗浄装置として、本発明は、電子写真感光体
用基体を洗浄するに際して、前記基体を界面活性剤を含
有するアルカリ水溶液に浸漬させて洗浄する洗浄槽に続
いて、前記基体を逆浸透膜処理水中に浸漬させて洗浄す
る濯ぎ槽、水洗槽及び温水槽の順に処理する槽を設けて
いることを特徴とする電子写真感光体用基体の洗浄装置
を提供する。
【0012】このように本発明によれば、図1の洗浄装
置の概略図に示す如く、支持具35に保持された感光体
用基体34は、昇降機36及びスライド装置37を駆動
させることにより上述した本発明の洗浄方法に基づい
て、アルカリ水溶液洗浄槽1−濯ぎ槽20−水洗槽12
−温水槽26の順に、移動・浸漬・引き上げ操作を繰り
返されて、浸漬洗浄されて、基体面が清浄化される。そ
こで、上記アルカリ水溶液洗浄槽1には、界面活性剤を
含有するアルカリ水溶液洗浄液が供給ポンプ6により貯
蔵槽4のアルカリ水溶液洗浄液及びこの洗浄槽1からオ
ーバフローするアルカリ水溶液洗浄液をフィールター7
を通して供給される。ここで、洗浄処理中は液面レベル
センサー3によりアルカリ水溶液洗浄槽1の液面は常に
所定のレベルにコントロールされている。
【0013】また、濯ぎ槽20には、水洗槽12からオ
ーバフローする逆浸透膜処理水が両槽の液面段差(両槽
の液面位置エネルギーの落差)によって傾斜パイプ18
を通して供給され、また、水洗槽12には、水道水41
を逆浸透膜13で処理された新鮮な逆浸透膜処理水がポ
ンプ38によって供給される。また、温水槽26には、
同様に逆浸透膜13で処理された新鮮な逆浸透膜処理水
が、所定の温度に加温されてポンプ29によって温水槽
26に供給されている。さらに、この温水槽26にはヒ
ーター24が設けられている。また、温水槽26に付属
させて設けられているポンプ29は、パイプ28を介し
て吸い上げた温水を温水槽26へ供給すると共に、温水
槽26に連通しているパイプ39を介して温水槽26の
温水を、この浸漬処理中に循環させることができるもの
である。このようにして浸漬洗浄された感光体用基体3
4は、次いで、熱風槽32に移動されて、熱風乾燥に処
される。
【0014】以上から、上述した本発明による洗浄方法
及びその洗浄装置を用いることにより、特に製造直後
で、基体面に切削油、微細な金属の切粉、錆、ゴミ・埃
等の微細な異物が多く付着している感光体基体であって
も、後述する実施例1(表1を参照)の事実から明らか
なように、高度に基体は清浄化されて、しかも、乾燥ム
ラ・乾燥シミもなく、得られた基体を用いたその感光体
は、塗膜欠陥がなく、また、得られる画像には黒斑点、
白斑点、ハーフトーン画像のムラ等を発生することな
く、極めて良好であることが分かる。また、本発明によ
れば、特に、従来のように超音波や、洗浄液の高圧ジェ
ット吹きつけ等の衝撃外力、また、摺擦処理等を必要と
せず、良好な作業環境下で、容易且つ単純な処理で、し
かも、低コストで高度に清浄化させる有機感光体用基体
の洗浄方法及びそれに用いる洗浄装置を提供することが
できる。
【0015】
【発明の実施の形態】既に上述したように、本発明によ
る感光体用基体の洗浄方法は、アルカリ水溶液による浸
漬洗浄において、そのアルカリ水溶液中の界面活性剤及
びアルカリ剤からなる固形分濃度を1〜6重量%に特定
し、且つ、その後に連続して従来のイオン交換水に代え
て逆浸透膜処理水を用いて濯ぎ、水洗及び温水洗等の浸
漬洗浄を施すことが大きな特徴である。
【0016】以下に、図1に示す本発明の洗浄装置の概
略図を参照しながら、有機感光体に用いられる導電性基
体面を高度に清浄化させる本発明の洗浄方法及びその洗
浄装置の実施の形態について詳細に説明する。
【0017】そこで、洗浄槽1で洗浄液として用いるア
ルカイ性水溶液には、界面活性剤が含有され、本発明に
おいては、従来から公知のアニオン性界面活性剤及びノ
ニオン性界面活性剤の何れか1種又はこれらを組み合わ
せた混合界面活性剤等を適宜に使用することができる。
これらの界面活性剤としては、例えば、ポチオキシエチ
レンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・
ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー型及びノニ
ルフェノールポリオキシエチレンエーテルのノニオン系
界面活性剤、アルキルベンゼン、高級アルコール、α−
オレフィンの硫酸、ケイ酸、リン酸及び炭酸等のオキシ
酸塩のアニオン系界面活性剤を挙げるこができる。
【0018】また、本発明の目的は、水溶液系の洗浄液
で基体面を高度に清浄化させるためから、特に、基体面
に付着する切削油などの油分を完全に脱脂させることが
重要であり、従って、本発明においては、界面活性剤を
含有する洗浄液が、強アルカリ性の水溶液であことが好
適であり、その界面活性剤もアルカリ性水溶液中での安
定性の観点から、好ましくは、アニオン性界面活性剤を
使用すた方が、より好適である。
【0019】この洗浄槽1で行う浸漬洗浄での界面活性
剤の働きが、基体面から剥ぎ取られて水溶液中に移行し
た油分が、水溶液中に微細なミセル粒子として安定化さ
れるビルダー効果の観点から、併用されるアルカリ剤と
して、好ましくは、従来から公知の炭酸ナトリウム、珪
酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリンン
酸ナトリウム等が好適に使用される。本発明において、
これらのアルカリ剤の1種又は2種以上を組み合わせ
て、適宜に使用され、また、必要に応じて、その他の洗
浄助剤(ビルダー)として、硼酸ナトリウム、硫酸ナト
リウム、硼珪酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロー
ス、メチルセルロースや、更には、消泡剤等を加えて洗
浄性を高めることもできる。
【0020】そこで、このように洗浄槽1で使用する洗
浄液は、界面活性剤及びアルカリ剤を含有するアルカリ
性水溶液であり、既に上述するように、その固形分濃度
として、1〜6重量%範囲にあることが、浸漬処理する
うえで好適である。この固形分が、下限値未満では、特
に、基体面に付着する油分が除去されず清浄化されな
い。また、上限値を超えても、それに見合う清浄化効果
が得られず、水洗・温水洗を困難にさるだけで経済的に
不利になり、特に、アルカリ分が高めで、pHが高くな
ると、例えば、基体面がアルミニウムである場合には、
活性化されて水酸化物等の皮膜を形成される傾向から、
このような基体を用いた感光体は、この皮膜がバリアー
層となって、感光体の電気特性として、例えば、電位立
ち上がりの遅れ現象を発生させる(表1に示す試料5を
参照)。
【0021】また、これらの固形分濃度に係わり、その
固形分中のアルカリ分及びその塩基度の違いより、洗浄
層1に用いるアルカリ水溶液のpHとして、本発明にお
いては、好ましくは、10〜13、更に好ましくは、1
0〜12であることが好適であり、この上記するpH範
囲から外れると、固形分に係わって上述したと同様に十
分な効果が得られない(表3に示す試料14〜16を参
照)。
【0022】また、本発明において、洗浄槽1におい
て、しかも、洗浄液として使用するアルカリ水溶液中の
上記固形分濃度及びpHを上記条件下にすることによ
り、この洗浄槽1での基体の浸漬洗浄は、好ましくは、
100〜700秒間、より好ましくは、100〜600
秒間にわたって行うことが好適である。この時間が下限
値未満では、単なる浸漬処理だけでは、基体面は十分に
清浄化されず、また、上限を超えての浸漬では、その固
形分及びアルカリ分にもよるが、次の濯ぎ槽20及び水
洗槽12での洗浄効率を著しく低下させることになり、
その結果、特に、感光体の電気特性である電位立ち上が
りの遅れ現象を発生させる(表2の試料12を参照)。
【0023】このように洗浄槽1で浸漬洗浄された、基
体を、本発明では濯ぎ槽20−水洗槽19−温水槽26
の順に浸漬させて洗浄する。ここで洗浄槽1での洗浄
後、引き上げられた基体面には、洗浄液のアルカリ水溶
液分が付着しており、これを本発明では逆浸透膜処理水
を使用して、上記する濯ぎ・水洗・温水洗で効率よく洗
浄除去させ、基体面を高度に清浄化させるのである。ま
た、通常、このような洗浄に使用される洗浄水は、特に
低導電率であることが必要条件である。本発明において
も、逆浸透膜処理水を使用することにより、この条件を
達成され、しかも、従来のイオン交換水のようにイオン
交換樹脂に係わるメンテナンス費を含むトータルコスト
の観点からすると、本発明においては、逆浸透膜処理水
を使用することによる経済的な波及効果も得られるので
ある。また、この逆浸透膜処理水は、従来から、一般的
に使用されている通常の逆浸透膜で水道水を処理するこ
とにより得られ、例えば、ELGA LTD製の装置名
RO−5’S’HFや、寿化工株製のOR膜等を挙げる
ことができる。
【0024】そこで、本発明において、濯ぎ槽20にお
いて、その処理水は、好ましくは、電導率31μS/c
m以上であることが好適である。その詳細は不明である
が、後述する表4に示す事実から明らかなように、電導
率31μS/cm以下の試料18、17にあっては、基
体面の清浄度に係わって、塗膜欠陥(黒斑点)、電気特
性(電位立ち上がり遅れ)とも電導率31μS/cm以
上の試料19、20に比べて著しく劣化している。
【0025】また、濯ぎ槽20における浸漬洗浄は、好
ましくは、200〜350秒間、より好ましくは、20
0〜300秒間にわたって浸漬させることが、好適であ
る。この時間が下限値未満では、基体面は十分に清浄化
されず良好な塗膜が形成されない(表5に示す試料21
を参照)。また、上限を超えての浸漬では、逆に水洗槽
12中に移行している固形分及びアルカリ分が再付着す
るのか、良好な塗膜が形成されない(表5に示す試料2
4を参照)。
【0026】また、次の水洗槽12において、その処理
水は、好ましくは、電導率11〜30μS/cmの範囲
にある逆浸透膜処理水であることが好適である。その詳
細も不明であるが、後述する表6に示す事実から明らか
なように、この導電率が下限値未満では、前工程の濯ぎ
水やアルカリ分が残り、基体面は十分に清浄化されず良
好な塗膜が形成されず、また、上限を超えると、前工程
での実験的事実として上述したと同様に皮膜が形成され
る傾向にあり、その結果、感光体の電気特性において、
電位立ち上がりの遅れ現象が起こる。
【0027】また、この水洗槽12における浸漬洗浄
は、好ましくは、200〜480秒間にわたって浸漬さ
せることが、好適である。この時間が下限値未満では、
前工程の濯ぎ水が十分に水洗されず基体面の清浄化不足
から、良好な塗膜が形成されず(表7に示す試料31を
参照)、また、上限を超えての浸漬では、逆に水洗槽1
2中に移行している固形分及びアルカリ分が再付着する
のか、良好な塗膜が形成されない(表7に示す試料35
を参照)。
【0028】次いで、上記のように濯ぎ槽20−水洗槽
12での浸漬洗浄後、本発明において、この基体を温水
槽26に浸漬させるに、好ましくは、40〜90℃、よ
り好ましくは、50〜80℃の逆浸透膜処理温水である
ことが好適である。さらに、使用する逆浸透膜処理温水
の電導率は、本発明の浸漬洗浄において、最後の仕上げ
の洗浄であることから、好ましくは、可能な限り、低電
導率水であることがよく、本発明においては、少なくと
も11μS/cm以上であれば好適である。また、この
温水浸漬の処理時間は、特に、その基体を用いた感光体
の電気特性から、上記の条件を満たす範囲において、5
分以上であれば好適である。
【0029】ここで、水溶液系での処理であることか
ら、基体に付着する洗浄水は、従来の溶剤法で使用され
ていた、例えば、1,1,1 −トリクロエタンのような溶剤
に比べて、揮発性が劣ることから、通常、乾燥処理時
に、その空気中の埃等を抱えて乾燥シミや、乾燥ムラを
来す傾向にある。
【0030】従って、本発明において、このように洗浄
槽−濯ぎ槽−水洗槽−温水槽での浸漬洗浄で、十分に清
浄化された基体を乾燥させるに当たり、特に、基体に乾
燥後、残留熱歪みを起こさせないことから、乾燥温度を
むやみに高くすることができない。そこで、本発明にお
いて、好ましくは、温度45〜99℃、より好ましく
は、90℃以下であって、しかも、可能な限り、乾燥時
間を短くして、例えば、清浄面に空気中の埃、塵等の付
着を極力避けることからも、短時間で乾燥させることが
好適である。ところが、本発明では、上記するように浸
漬洗浄の最後が、温水槽であることが幸いして、乾燥系
に基体を移す前に、基体は予め余熱されており、少なく
とも40〜90℃の温度範囲にあり、乾燥を上記する温
度範囲でも、後述する表12に示す事実からも明らかな
ように、比較的に短時間で乾燥され、その時間は、好ま
しくは、60秒以下でよいことが分かる。また、本発明
において、このような乾燥方法としては、特に限定され
ないが、比較的に低温度でも乾燥効率に優れている、例
えば、従来から公知の熱風乾燥を好適に使用することが
できる。
【0031】このように洗浄槽−濯ぎ槽−水洗槽−温水
槽による水溶液系の浸漬洗浄及び熱風乾燥槽等によるの
乾燥処理によって、その表面が高度に清浄化された感光
体用の基体を得ることができる。このような本発明の洗
浄方法に供せられる基体としては、その形状は、円筒状
でも、ベルト状でも、プレート状でも、特に限定されな
いが、好ましくは、円筒状基体が好適にこの処理に供せ
られる。また、その材料としては、その基体面が導電性
であって、且つ水溶液系の浸漬処理に十分耐えられる耐
水性(例えば、溶解、膨潤、剥離)である観点から、例
えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル及びチタン等
の金属及びその合金、又は、プラスチック、ガラス及び
アルミナ等のセラミックス等の絶縁体面に、アルミニウ
ム、銅、金、銀、ニッケル、白金、パラジウム、ニッケ
ル−クロム及び銅−インジウム等の金属又は酸化インジ
ウム、酸化錫等の導電性金属酸化物等を蒸着させるか、
金属箔をラミネートさせるか、更には、導電性のカーボ
ンブラック、金属粉、金属酸化物粉及びヨウ化銅粉等を
分散させた導電性樹脂塗料を塗布した等の導電性基体で
あれば適宜に本発明による洗浄に供せられる。
【0032】このようにして清浄化された基体を用い
て、この基体面に、下引き層、及び感光層を積層形成さ
せることにより、電子写真画像形成用の有機感光体とす
るこができる。この下引き層に用いられる樹脂として
は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル
樹脂、メタサクリル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、酢酸ビニル樹脂、
フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ア
ルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリビ
ニルアセタール、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー等
が挙げられ、また、その膜厚として、通常、0.01〜
10μm、好ましくは、0.3〜7μmである。また、
この下引き層を形成させるには、従来から公知のブレー
ドコーティング法、ワイヤーコーティング法、スプレー
コーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティ
ング法、エアーナイフコーティング法及びカーテングコ
ーティング法等を適宜使用することができる。
【0033】また、通常、感光層は、上記した下引き層
に電化発生層を形成させ、その上に電化輸送層を積層形
成させたものが感光層である。その電化発生層には、例
えば、モノアジ色素、ジスアゾ色素、トリアスアゾ色素
等のアゾ系色素、ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミド
等のペリレン系色素、インジゴ、チオインジゴ等のイン
ジゴ系色素、アンスラキノン、ピレンキノン、フラパン
スロン類等の多環キノン類、キナグリドン系色素、ビス
ベンゾイミダゾール系色素、インダスロン系色素、クエ
アリリウム系色素、金属フタロシアニン、無金属フタロ
シアニン等のフタロシアニン系色素、ピリリウム塩色素
とポリカーボネートとの共晶昨錯体等の電化発生物質が
挙げられ、通常、これら何れか単独又は2種以上の組み
合わせ、又は必要に応じて、電化輸送物質とをバインダ
ー樹脂と共に溶媒に分散させる。分散方法としては、例
えば、ボールミル、アトライター、サンドミル等を用い
て、これらの電化発生物質を、体積平均粒径で、5μm
以下、好ましくは、2μm以下、さらに好ましくは、
0.5μm以下の粒子とすることが好適である。
【0034】これらの溶媒としては、例えば、メタノー
ル、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、
ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソ
ルブ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロ
ピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサ
ン、酢酸メチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メ
チレンクロライド、クロロホルム1,2−ジクロロエタ
ン、モノクロロベンゼン、キシレン等を挙げることがで
き、通常、これら何れか単独又は2種以上を混合させて
使用することができる。また、上記する下引き層に、こ
の電化発生層は、通常、0.1〜5μm、好ましくは、
0.2〜2μmの膜厚で形成されている。
【0035】また、この電化発生層上に積層させる電化
輸送層は、電化輸送物質をバインダー樹脂と共に溶剤に
分散させた樹脂塗料として用いられる。その電化輸送物
質としては、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミ
ノフェノール)−1,3,4−オキサジアゾール等のオ
キサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピ
ラゾリン、1−〔ピリジル−(2)〕−3−(p−ジエ
チルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェ
ニル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニル
アミン、スチエリルトリフェニルアミン、ジベンジルア
ニリン等の芳香族第3級アミン化合物、N,N’−ジフ
ェニル−N、N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,
1−ビフェニル−4,4’−ジアミン等の芳香族第3級
ジアミン化合物、3−(4’−ジメチルアミノフェニ
ル)−5,4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,
1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−
フェニル−4−スチリル−キンゾリン等の誘導体、6−
ヒドロキシ−2,3−ジ(P−メトキシフェニル)−ベ
ンゾフラン等の誘導体、P−(2,2−ジフェニルビニ
ル)−n、N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン
誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導
体、ポリ−N−ビニルカルバゾール等のポリ−N−ビニ
ルカルバゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリ
ルエチルグルタナート及びその誘導体、ピレン、ポリビ
ニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアク
リジン、ポリ−9−ビフェニルアントラセン、ピレン−
ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアル
デヒド樹脂等の電化輸送物質が挙げられ、通常、これら
何れか単独又は2種以上を組み合わせて用いることがで
きる。
【0036】また、これらに用いられるバインダー樹脂
としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、
メタアクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポ
リ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルアセテー
ト、ブチレン−ブタジエンコポリマー、塩化ビニリデン
−アクリロニトリルコポリマー、塩化ビニル−酢酸ビニ
ルコポリマー、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン
酸コポリマー、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹
脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−ア
ルキッド樹脂、ポリ−Nビニルカルバゾール等の樹脂を
挙げることができ、通常、これら何れか単独又は2種以
上を組み合わせて用いることができる。また、これらの
電化輸送物質とバインダー樹脂との配合は、通常、重量
比で10:1〜1:5の割合で用いられ、電化輸送層と
して、通常、5〜50μm、好ましくは、10〜30μ
mの膜厚で積層されている。また、この樹脂塗料に使用
されている溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、
アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、
クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族系炭
化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環
状若しくは直鎖状のエーテル類等を挙げることができ、
通常、これら何れか単独又は2種以上を混合させて使用
することができる。
【0037】
【実施例】以下に、本発明を実施例により、さらに詳し
く説明するが、本発明は、これらに限定されるものでは
ない。 (参考例1)本発明によって清浄化させた基体を使用し
て有機感光体を作製するために、この基体上に積層形成
させる下引き層、及び感光層としての電荷発生層及び電
荷輸送層用の樹脂塗布液(又は樹脂塗料)をそれぞれ調
製した。 1.下引き層用塗布液 東レ製の可溶性ナイロン(アラミンCM−8000)を
メタノ−ルに加えて下引き層に用いる塗布液を調製し
た。 可溶性ナイロン 5重量部 メタノール 95重量部
【0038】2.電荷発生層用塗布液 下記(1)に示す構造式を有する電荷発生剤、ポリビニ
ルブチラール及びテトラヒドロフラン(THF)を下記
の配合量で、ボールミルに入れ、72時間粉砕・混合
(ミリング)した後、更にTHFを200重量部を加え
て、約1時間分散処理を行なった。次いで、塗布に好適
な所定の粘度に調整するために、更にTHFを加えて、
希釈させて電荷発生層用塗布液を調製した。 電荷発生剤〔下記(1)式〕 10重量部 ポリビニルブチラール 7重量部 THF 145重量部
【0039】
【化1】
【0040】3.電荷輸送層用塗布液 ジクロルメタンに下記(2)に示す構造式を有する電荷
輸送剤及び帝人化成製のポリカーボネート(PC)を溶
解させて、電荷輸送層用塗布液を調製した。 電荷輸送剤〔下記(2)式〕 7重量部 PC 10重量部 ジクロルメタン 83重量部
【0041】
【化2】
【0042】(実施例1)製造直後でその表面が未だ未
清浄(未洗浄処理)である感光体用の外径100mm、
長さ360mmのアルミニウム製の円筒状基体を、図1
の洗浄槽1で浸漬洗浄するために、その洗浄液として使
用する界面活性剤を含有するアルカリ水溶液〔(株)ア
イソレート化学研究所製のアイソレートAX300〕
を、表1に示すようにそのアルカリ水溶液の固形分濃度
を0.5〜9重量%の範囲でそれぞれ変化させて浸漬洗
浄を行った。また、その時の浸漬時間は300秒で、ア
ルカリ水溶液のpHは11であって、それぞれ表面の清
浄度の異なる基体試料1〜5を得た。なお、このように
清浄化させるための洗浄処理は、図1に示す洗浄装置を
使用して、上記洗浄層1における浸漬洗浄後、下記する
その他の条件で、濯ぎ層20、水洗層12及び温水層2
6の順で浸漬洗浄を行った後、その基体を熱風乾燥槽3
2に入れて乾燥させたものである。 その他の条件 濯ぎ槽 浸漬時間 200秒 処理水の導電率 48μS/cm 水洗槽 浸漬時間 300秒 処理水の導電率 20μS/cm 温水槽 浸漬時間 5分 処理水の導電率 16μS/cm 温度 65℃ 熱風乾燥 時間 30秒 温度 50℃
【0043】また、濯ぎ層、水洗層及び温水層に供給し
た逆浸透膜水は、水道水をELGALTD製の装置名R
O−5’S’HFの逆浸透膜を通して得られた水を使用
した。次いで、これらの基体に、参考例1で調製した塗
布液を用いて、各基体面に下引き層、感光層(電荷発生
層及び電荷輸送層)を積層形成させて、有機感光体試料
とした。なお、下引き層は、通常の浸漬塗工法で行い、
塗布後100℃で10分間乾燥させて、厚さ0.3μm
の下引き層を形成させた。更に、同様の浸漬塗工法で、
電荷発生層及び電荷輸送層の順で、積層形成させた。な
お、それぞれ引き上げ速度をコントロールしながら、乾
燥膜厚0.2μmの電荷発生層、乾燥膜厚28μmの電
荷輸送層を形成させた。得られた感光体を用いて画像形
成を行い、それぞれの画像から黒斑点の個数を調べて、
塗膜欠陥を評価し、また、その電気特性として電位立ち
上がりの遅れ(pF/cm2 )をそれそれ測定して、そ
の結果を、表1にそれぞれの基体の洗浄条件であるアル
カリ洗浄液の固形分濃度に対比させて示した。
【0044】
【表1】
【0045】その結果、表1から明らかなように、本発
明による固形分濃度を満たしたものは、何れも塗膜欠陥
及びん電気特性(電位立ち上がり)とも良好であること
が分かると共に、基体の表面は良好な清浄度であったこ
とも分かる。
【0046】(実施例2)実施例1において、洗浄槽1
での浸漬時間を70〜700秒の範囲で変化させた以外
は、全て実施例1と同様の条件で基体面の清浄化を行
い、清浄度の異なる基体試料6〜12を得て、更に実施
例1と同様にして感光体を作製して、その結果を表2に
示した。その結果、表2から明らかなように、洗浄槽1
での浸漬時間が100〜600秒の処理では、塗膜欠
陥、電位立ち上がりとも良好であることが分かる。
【0047】
【表2】
【0048】(実施例3)実施例1において、洗浄槽1
で使用したアルカリ水溶液の固形分濃度を3重量%で、
浸漬時間を300秒で、そのアルカリ水溶液のPHを9
〜13の範囲で変化させた以外は、全て実施例1と同様
の条件で基体面の清浄化を行い、清浄度の異なる基体試
料13〜16を得て、更に実施例1と同様にして感光体
を作製して、その結果を表3に示した。その結果、表3
から明らかなように、洗浄槽1でのアルカリ水溶液のP
H10〜13、好ましくはPH10〜12の条件での処
理では、塗膜欠陥、電位立ち上がりとも良好であること
が分かる。
【0049】
【表3】
【0050】(実施例4)実施例1において、洗浄層1
のアルカリ水溶液の固形分濃度を3重量%で、PH11
で、その浸漬時間を300秒で、濯ぎ槽20で使用した
逆浸透膜処理水の電導率を20〜60(μS/cm)の
範囲で変化させた以外は、全て実施例1と同様の条件で
基体面の清浄化を行い、清浄度の異なる基体試料17〜
20を得て、更に実施例1と同様にして感光体を作製し
て、その結果を表4に示した。但し、試料18は電導率
31(μS/cm)のイオン交換樹脂によるイオン交換
水を使用したものである。その結果、表4から明らかな
ように、試料18、19に示した如く、同じ導電率の水
でも、その詳細は不明であるが、処理水が本発明による
逆浸透膜処理水の試料19では、画像欠陥、電気特性も
良好であったが、処理水がイオン交換樹脂による試料1
8では、ハーフトーン上黒斑点が発生した。
【0051】
【表4】
【0052】(実施例5)実施例1において、洗浄層1
のアルカリ水溶液の固形分濃度を3重量%で、PH11
で、その浸漬時間を300秒で、濯ぎ槽20での浸漬時
間を100〜350秒の範囲で変化させた以外は、全て
実施例1と同様の条件で基体面の清浄化を行い、清浄度
の異なる基体試料21〜24を得て、更に実施例1と同
様にして感光体を作製して、その結果を表5に示した。
その結果、表5から明らかなように、濯ぎ槽での浸漬時
間が200〜350秒、好ましくは200〜300秒の
範囲では、塗膜欠陥上ほぼ良好であった。
【0053】
【表5】
【0054】(実施例6)実施例1において、洗浄層1
のアルカリ水溶液の固形分濃度を3重量%で、PHが1
1で、その浸漬時間を300秒で、水洗槽12で使用し
た逆浸透膜処理水の電導率を5〜50(μS/cm)の
範囲で変化させた以外は、全て実施例1と同様の条件で
基体面の清浄化を行い、清浄度の異なる基体試料25〜
30を得て、更に実施例1と同様にして感光体を作製し
て、その結果を表6に示した。但し、試料25は電導率
5(μS/cm)のイオン交換樹脂によるイオン交換水
を使用したものである。その結果、表6から明らかなよ
うに、試料25の処理水がイオン交換水では電気特性の
電位の立ち上がりが劣るものの、塗膜欠陥、電気特性が
おおむね良好であった。
【0055】
【表6】
【0056】(実施例7)実施例1において、洗浄層1
のアルカリ水溶液の固形分濃度を3重量%で、PH11
で、その浸漬時間を300秒で、水洗槽12での浸漬時
間を100〜50秒の範囲で変化させた以外は、全て実
施例1と同様の条件で基体面の清浄化を行い、清浄度の
異なる基体試料31〜35を得て、更に実施例1と同様
にして感光体を作製して、その結果を表7に示した。そ
の結果、表5から明らかなように、水洗槽12での浸漬
時間が200〜400秒の範囲では、塗膜欠陥はおおむ
ね良好であった。
【0057】
【表7】
【0058】(実施例8)実施例1において、洗浄層1
のアルカリ水溶液の固形分濃度を3重量%で、PHが1
1で、その浸漬時間を300秒で、温水槽26で使用し
た逆浸透膜処理水の電導率を5〜11(μS/cm)の
範囲で変化させた以外は、全て実施例1と同様の条件で
基体面の清浄化を行い、清浄度の異なる基体試料36〜
39を得て、更に実施例1と同様にして感光体を作製し
て、その結果を表8に示した。但し、試料38は電導率
11(μS/cm)のイオン交換樹脂によるイオン交換
水を使用したものである。その結果、表8から明らかな
ように、温水槽26に使用する逆浸透膜処理水の電導率
11(μS/cm)以上では、塗膜欠陥がおおむね良好
であった。
【0059】
【表8】
【0060】(実施例9)実施例1において、洗浄層1
のアルカリ水溶液の固形分濃度を3重量%で、PH11
で、その浸漬時間を300秒で、温水槽26での浸漬時
間を5〜15分の範囲で変化させた以外は、全て実施例
1と同様の条件で基体面の清浄化を行い、清浄度の異な
る基体試料40〜42を得て、更に実施例1と同様にし
て感光体を作製して、その結果を表9に示した。その結
果、表9から明らかなように、温水槽26での浸漬時間
が10分以上であれば電気特性はおおむね良好であっ
た。
【0061】
【表9】
【0062】(実施例10)実施例1において、洗浄層
1のアルカリ水溶液の固形分濃度を3重量%で、PH1
1で、その浸漬時間を300秒で、温水槽26での処理
温水の温度を35〜90℃の範囲で変化させた以外は、
全て実施例1と同様の条件で基体面の清浄化を行い、清
浄度の異なる基体試料43〜46を得て、更に実施例1
と同様にして感光体を作製して、その結果を表10に示
した。その結果、表10から明らかなように、温水槽で
の温度が45〜90℃、好ましくは50〜80℃であれ
ば電気特性はおおむね良好であった。
【0063】
【表10】
【0064】(実施例11)実施例1において、洗浄層
1のアルカリ水溶液の固形分濃度を3重量%で、PH1
1で、その浸漬時間を300秒で、熱風乾燥槽32の熱
風温度を37〜99℃の範囲で変化させた以外は、全て
実施例1と同様の条件で基体面の清浄化を行い、清浄度
の異なる基体試料47〜49を得て、更に実施例1と同
様にして感光体を作製して、その結果を表11に示し
た。その結果、表11から明らかなように、熱風の温度
が45〜99℃であれば塗膜欠陥はおおむね良好であっ
た。
【0065】
【表11】
【0066】(実施例12)実施例1において、洗浄層
1のアルカリ水溶液の固形分濃度を3重量%で、PH1
1で、その浸漬時間を300秒で、熱風乾燥槽32での
熱風温度を90℃で、その乾燥時間を10〜70秒の範
囲で変化させた以外は、全て実施例1と同様の条件で基
体面の清浄化を行い、清浄度の異なる基体試料50〜5
3を得て、更に実施例1と同様にして感光体を作製し
て、その結果を表12に示した。その結果、表12から
明らかなように、熱風乾燥による時間として10〜60
秒であれば、塗膜欠陥を損ねることはない。
【0067】
【表12】
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、本発明による洗浄方法
及びその洗浄装置で処理することにより、特に製造直後
で、基体面に切削油、微細な金属の切粉、錆、ゴミ・埃
等の微細な異物が多く付着している感光体用基体であっ
ても、pH10〜12の界面活性剤含有するアルカリ水
溶液による浸漬洗浄及び逆浸透膜処理水中で行う濯ぎ・
水洗・温水洗等の単純で、容易な浸漬洗浄を施すことに
より、従来の水溶液系の洗浄では、達成し難い高度に清
浄化された感光体用の導電性基体が得られる。
【0069】また、最終浸漬洗浄を温水とすることが加
味され、乾燥ムラ・乾燥シミもなく、得られた基体を用
いたその感光体は、塗膜欠陥がなく、また、得られる画
像に黒斑点、白斑点、ハーフトーン画像のムラ等を発生
することなく、極めて良好な感光体が得られる。
【0070】また、本発明によれば、特に、従来のよう
に超音波や、洗浄液の高圧ジェット吹きつけ等の衝撃外
力、更には、特に摺擦処理等を必要とせず、良好な作業
環境下で、しかも、低コストで高度に清浄化させる有機
感光体用基体の洗浄装置を提供することができ、しか
も、高価な溶剤系の洗浄液を必要としないことから、従
来に比べて、処理及び生産コストを顕著に低下させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電子写真感光体用基体面を清浄化
させる高度洗浄処理を行う洗浄装置の概念図である。
【符号の説明】
1 アルカリ水溶液洗浄槽 3、23 液面レベルセンサー 4 アルカリ洗浄液貯蔵槽 6、29、38 供給ポンプ 7 フィルター 12 水洗槽 13 逆浸透膜 14、21 逆浸透膜処理水 20 濯ぎ槽 24 ヒーター 25 逆浸透膜処理温水 26 温水槽 30 スライド装置 32 熱風乾燥槽 33 熱風吹き出し口 34 感光体用基体 35 基体支持具 36 昇降装置 41 水道水

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子写真感光体用基体面を洗浄するに際
    して、前記基体を界面活性剤を含有するアルカリ水溶液
    洗浄槽に浸漬処理させた後、更に逆浸透膜処理水を用い
    て濯ぎ槽、水洗槽及び温水槽中に順に浸漬処理させ、且
    つ前記アルカリ水溶液洗浄槽での洗浄を、前記アルカリ
    水溶液中の固形分濃度1〜6重量%下で浸漬処理させる
    ことを特徴とする電子写真感光体用基体の洗浄方法。
  2. 【請求項2】 前記固形分が、アニオン及び/又はノニ
    オン界面活性剤とアルカリ剤とである請求項1に記載す
    る電子写真感光体用基体の洗浄方法。
  3. 【請求項3】 前記アルカリ水溶液のpHが、10〜1
    3である請求項1に記載する電子写真感光体用基体の洗
    浄方法。
  4. 【請求項4】 前記濯ぎ槽の逆浸透膜処理水が、電導率
    31μS/cm以上である請求項1に記載する電子写真
    感光体用基体の洗浄方法。
  5. 【請求項5】 前記水洗槽の逆浸透膜処理水が、電導率
    11〜30μS/cmである請求項1に記載する電子写
    真感光体用基体の洗浄方法。
  6. 【請求項6】 前記温水槽の逆浸透膜処理水が、30〜
    90℃の温度である請求項1に記載する電子写真感光体
    用基体の洗浄方法。
  7. 【請求項7】 電子写真感光体用基体を洗浄するに際し
    て、前記基体を界面活性剤を含有するアルカリ水溶液に
    浸漬させて洗浄する洗浄槽に続いて、前記基体を逆浸透
    膜処理水中に浸漬させて洗浄する濯ぎ槽、水洗槽及び温
    水槽の順に処理する槽を設けていることを特徴とする電
    子写真感光体用基体の洗浄装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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