JP4277321B2 - 電子写真感光体の浸漬塗布方法及びそれを用いて作製された電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被塗布物を塗布液中に浸漬することにより塗布することにより層を形成する電子写真感光体の浸漬塗布方法に関するものであり、また、その電子写真感光体の浸漬塗布方法を利用した電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、筒体等の被塗布物に塗布液を塗布するには、浸漬塗布方法及び垂直型塗布方法等の種々の方法が知られているが、特に、電子写真感光体のように、形成される塗膜の平滑性が重視される被塗布物の塗布には、通常、浸漬塗布方法が使用されている。
【0003】
従来、浸漬塗布方法において回収タンクや塗布槽に塗布液を供給するには、まず、それらの回収タンクや塗布槽の内部に、供給しようとする塗布液に含まれる溶剤を循環させて洗浄処理することにより、塗布液の循環経路の内部に残留している、先に用いた塗布液、その塗布液の固化物及び塵等を取り除いた後、塗布に用いる塗布液を回収タンクや塗布槽に供給する方法が採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、浸漬塗布方法においては、塗布液の供給が上記のように行われると、回収タンク、塗布槽及びそれらを連結する配管の内部に洗浄に用いた溶剤が残存し、その溶剤がその後に供給される塗布液と徐々に混ざり合って、塗布液の粘度及び塗布液組成の均一性が保持できなくなり、その結果、形成される塗膜の膜厚安定性が損なわれ、また、塗膜には表面欠陥が発生するという問題があった。また、溶剤を循環させる洗浄処理が行われないと、循環経路中に残存している塗布液、その固化物及び塵等が塗布液に混入して、塗膜欠陥が発生するという問題を引き起していた。
【0005】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、表面欠陥を少なくするとともに、膜厚安定性に優れた均一な塗膜を形成できる電子写真感光体の浸漬塗布方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、浸漬塗布方法による塗膜形成について鋭意研究を重ねた結果、回収タンクや塗布槽に塗布液を供給する際に、あらかじめ塗布液が循環する塗布液の循環経路の内部を前処理することにより、上記した目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の浸漬塗布方法は、被塗布物を、塗布液の回収タンクから循環経路を介して塗布槽に供給される塗布液中に浸漬し、次いで、その塗布液から引き上げて塗布することで層を形成する電子写真感光体の浸漬塗布方法において、該塗布液を回収タンク及び塗布槽に供給するに先立って、あらかじめ、塗布液に含まれる溶剤を循環して洗浄させ、次いで、該塗布液又はその塗布液の主要成分を含む溶液を、回収タンク又は塗布槽に導入して循環させた後に除去する前処理を行うことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明は、少なくとも塗布槽と、塗布液の供給、回収及び貯蔵等を行う塗布液の回収タンクと、それらを連結して塗布液を循環させる連結管を備えて、塗布液が循環するように設置された塗布装置に、塗布槽内の塗布液に被塗布物を浸漬して塗布する電子写真感光体の浸漬塗布方法(以下、単に浸漬塗布法と称する)において、塗布槽又は回収タンクに塗布液を供給するよりも前に、あらかじめ、塗布液に含まれる溶剤を循環して洗浄させ、次いで、塗布液が循環する経路に、塗布液又はその塗布液の主要成分を含む溶液を循環させる前処理工程を設けるものである。また、本発明においては、まず、塗布液に含まれる溶剤を、回収タンク又は塗布槽に導入して塗布装置内を循環させて洗浄し、除去した後に、上記前処理工程を実施することが好ましい。
【0009】
本発明における上記の前処理工程に使用される「塗布液」とは、被塗布物の塗布に使用する塗布液と同一の成分からなるものであるが、塗布用の塗布液とは別に循環用の塗布液として準備されたものであり、また、同じく「その主要成分を含む溶液」とは、使用される塗布液に含まれる溶剤及び固形分等の塗布液中の主な成分を含有する溶液を意味する。以下、本発明に用いる2種の塗布用液を区別できるようにするため、塗布液Aと異なる成分からなる塗布用液を塗布液Bとして示す。
【0010】
一般に、浸漬塗布方法において、塗布液Aが循環するように塗布装置の回収タンクや塗布槽に供給するケースとしては、被塗布物の塗装を繰り返すことにより消費される塗布液Aを単に補充するほかに、(1)先の塗布液Bを異なる成分の塗布液Aに切り替えるとき、(2)同一成分の塗布液Aを何らかの理由で取り出し、再び塗布液Aを供給するとき及び(3)新しい回収タンクや塗布槽に、初めて塗布液Aを供給するときに大別される。
本発明の浸漬塗布方法における前処理は、同一の塗布装置を用いて被塗布物を塗装する際に、上記した(1)〜(3)のように、使用される塗布液を、他の異なる成分の塗布液に切り替えるとき、同一成分の塗布液に切り替えるとき及び新たに回収タンクや塗布槽内に供給するときのいずれの場合にも実施することが可能である。
【0011】
本発明においては、例えば、上記(1)の方法では、塗布液Aが先の塗布液Bと混合しないように、まず、塗布液Aの循環経路に、供給する塗布液Aに含まれている溶剤と同一の溶剤を導入し、その溶剤を循環させて洗浄しておくことが好ましい。この洗浄を行うことにより、循環経路中に残存している先の塗布液B、その固化物及び塵等を取り除くことができる。次いで、前処理用の塗布液又はその塗布液の主要成分を含む溶液を、回収タンク又は塗布槽内に導入して所定の時間循環させた後、その循環液を除去し、その後、塗布用の塗布液Aを回収タンク又は塗布槽に供給することが好ましい。
【0012】
また、(2)の方法では、同一成分の塗布液Aを除去して一定の時間が経過すると、溶剤の蒸発により残留している塗布液Aは固化する可能性がある。そこでまず、塗布液Aの循環経路に、供給する塗布液Aに含まれている溶剤と同一の溶剤を導入し、その溶剤を循環させて洗浄することが好ましい。この洗浄を行うことにより、塗布液Aの循環経路中に残留している塗布液A、その固化物及び塵等を取り除くことができる。次いで、前処理用の塗布液又はその塗布液の主要成分を含む溶液を、回収タンク又は塗布槽内に導入して所定の時間循環させた後、その循環液を除去し、その後、塗布液Aを回収タンク又は塗布槽に供給することが好ましい。
【0013】
さらに、(3)の方法では、新しい回収タンク及び塗布槽の作製時に使われた機械加工油及び塵等が残存している。そこでまず、塗布液Aの循環経路に、新たに供給しようとする塗布液Aに含まれている溶剤と同一の溶剤を導入して循環させることが好ましい。この溶剤の循環により、塗布液Aの循環経路中に残留している機械加工油及び塵等を取り除くことができる。次いで、前処理用の塗布液を回収タンク又は塗布槽内に導入して所定の時間循環させた後、その循環液を除去し、その後、塗布液Aを回収タンク又は塗布槽に供給することが好ましい。
【0014】
次に、本発明の浸漬塗布方法を用いて電子写真感光体を作製する方法について説明する。
本発明は、上記した浸漬塗布方法により、従来公知の如何なる層構成を有する電子写真感光体も作製することができるが、以下、導電性基体の上に、下引き層、電荷発生層及び電荷輸送層を順次形成する電子写真感光体について述べる。 導電性基体としては、電子写真感光体として使用される公知の如何なるものも使用することができ、また、導電性基体上には下引き層が設けられてもよい。
【0015】
下引き層は、導電性支持体からの不必要な電荷の注入を阻止するために有効なものであり、また、感光層の帯電性を向上させる作用があり、さらに、感光層と導電性基体との密着性を高くする作用も有している。下引き層の構成材料としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、セルロースエーテル類、セルロースエステル類、ポリアミド、ポリウレタン、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉スターチアセテート、アミノ澱粉、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物、有機チタニル化合物、シランカップリング剤等が使用される。これらの溶剤溶液を用いて、下引き層形成用塗布液が調整される。
【0016】
電荷発生層は、主に公知の電荷発生材料及び結着樹脂を用いて形成される。電荷発生材料としては、フタロシアニン系、スクアリリウム系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、アントラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩系等の有機光導電性材料、及び非晶質セレン、結晶性セレン−テルル合金、セレン−ひ素合金等のセレン化合物、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機光導電性材料が使用される。また、電荷発生層に使用される結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができ、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマーから選択される。また、好ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール、ポリアリレート(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の絶縁性樹脂が挙げられる。上記の結着樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に、電荷発生材料を分散させることにより電荷発生層形成用塗布液が調整される。
【0017】
また、電荷輸送層は、主に公知の電荷輸送材料及び結着樹脂を用いて形成される。電荷輸送材料としては、例えば、アントラセン、ピレン、フェナントレン等の多環芳香族化合物、インドール、カルバゾール、イミダゾール等の含窒素複素環を有する化合物、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、トリフェニルアミン化合物、エナミン化合物、スチルベン化合物等の公知の如何なるものも使用される。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ハロゲン化ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリ−N−ビニルフェニルアセナフチレン、ポリグリシジルカルバゾール、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂等の光導電性ポリマーも使用され、これらはそれ自体で層を形成してもよい。また、結着樹脂としては、上記した電荷発生層に用いられるものと同様な絶縁性樹脂を使用し、その溶剤溶液に上記電荷輸送材料を分散させることにより電荷輸送層形成用塗布液が調整される。
【0018】
本発明は、導電性基体を上記したような層形成用塗布液中に浸漬し、次いでこれを引き上げて乾燥させる方法を繰り返すことにより、所望の各層が順次形成された電子写真感光体を作製することができる。
本発明における浸漬塗布方法による電子写真感光体の生産には、上記(1)、(2)及び(3)のケースは、ともに下引き層、電荷発生層及び電荷輸送層等の各層の形成に有効に利用できるものであり、表面欠陥の少ない、膜厚の安定した各層の形成が可能である。
【0019】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
まず、電子写真感光体の浸漬塗布用の導電性基体は、次のようにして作製したものを用いた。アルミニウム基材として、厚さ1.25mm×直径84.5mm×長さ340mmのアルミニウム管(A1050合金)を用意し、これをダイヤモンドバイトを用いて厚さ1.00mm×直径84mm×長さ340mmに鏡面切削加工した後、表面をRaが0.03〜0.04μmの平滑面に仕上げた。得られたアルミニウムパイプ基体に、液体ホーニング装置を用いて表面の粗面化処理を行った。その粗面化処理には、研磨材18.9kgを水51リットルに懸濁させ、これを21リットル/分の流量でガンに送り込んで、所定の圧縮空気圧(0.1〜0.2MPa)で吹きつけて、基体表面が所望の表面粗さ(Ra:0.1〜0.5μm)を有するアルミニウム管を得た。なお、上記の研磨材には、アルミナビーズ(CB−A30S、粒径27μmの酸化アルミニウム、昭和タイタニウム社製)を用いた。
次に、上記のアルミニウム管に、井戸水を3リットル/分で20秒間吹き付けて、次いで、3リットル/分で水系洗剤を含む純水を吹きかけながらナイロン製ブラシ(線径65μm)をアルミニウム管とともに100rpmで同方向に回転させながら18秒間ブラシにより押しつけ処理を行い、その後純水(導電度0.1〜1.0μS/cm、温度18〜25℃)中で30回/分で揺動させながら1.5分間濯ぎ、次に、温純水(導電度0.1〜1.0μS/cm、温度48〜55℃)中に30秒浸漬した。その後200mm/分でゆっくりと引上げて、135℃の熱風乾燥を3分間行って洗浄することにより、浸漬塗布用のアルミニウム基体を得た。
【0020】
[I]上記のアルミニウム基体上に電荷発生層を形成する際に、先の電荷発生層形成用の塗布液Bを、それと異なる成分の塗布液Aに切り替えて塗布するケース[前記ケース(1)]
塗布装置には、先の電荷発生層用の塗布液Bとして、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体(商品名:VMCH、ユニオンカーバイド社製)の2%シクロヘキサノン溶液(顔料と樹脂の重量比1:1)の混合物を、サンドミルにより3時間分散処理させて得た分散液に、更に酢酸n−ブチルで希釈して調整された塗布液(b)が入っている。
また、上記アルミニウム基体に塗布する電荷発生層用の塗布液Aとしては、無金属X型フタロシアニン顔料と塩化ビニル/酢酸ビニルの共重合体(商品名:VMCH、ユニオンカーバイド社製)の2%シクロヘキサノン溶液(顔料と樹脂の重量比1:1)の混合物を、サンドミルにより3時間分散処理させて得た分散液に、更に酢酸n−ブチルで希釈して調整された塗布液(a)を用いた。
【0021】
参考例1
塗布装置から先の塗布液(b)を取り出した後、循環用の塗布液(a)を回収タンクから塗布槽内に入れて10分間循環させて取り出し、その後、塗布用の塗布液(a)を供給した。次いで、上記アルミニウム基体を、塗布槽内の塗布液(a)中に浸漬し、23℃において塗布速度16cm/分で引き上げて乾燥させることによりアルミニウム基体上に膜厚0.25μmの電荷発生層を形成した。
【0022】
実施例1
塗布装置から先の塗布液(b)を取り出した後、酢酸n−ブチルを回収タンクから塗布槽内に入れて10分間循環させて取り出し、次に、循環用の塗布液(a)を回収タンクから塗布槽内に入れて10分間循環させて取り出し、その後、塗布用の塗布液(a)を供給した。次いで、参考例1と同様にして膜厚0.25μmの電荷発生層を形成した。
【0023】
比較例1:
塗布装置から先の塗布液(b)を取り出した後、直接に塗布用の塗布液(a)を供給した。次いで、参考例1と同様にして膜厚0.25μmの電荷発生層を形成した。
比較例2:
塗布装置から先の塗布液(b)を取り出した後、酢酸n−ブチルを回収タンクから塗布槽内に入れて10分間循環させて取り出し、その後、塗布用の塗布液(a)を供給した。次いで、参考例1と同様にして膜厚0.25μmの電荷発生層を形成した。
【0024】
[II]上記のアルミニウム基体上に電荷輸送層を形成する際に、先の電荷輸送層形成用の塗布液Aを何らかの理由で取り出し、再び同一成分の塗布液Aを供給するケース[前記ケース(2)]
塗布装置には、塗布液Aとして、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(m−トリル)ベンジジン4部及びポリカボーネートZ樹脂6部を、モノクロルベンゼン36部に溶解させた塗布液(c)を用いる。
【0025】
実施例2
前日に塗布装置から塗布液(c)を取り出しておき、当日循環用の塗布液(c)を回収タンクから塗布槽内に入れて1時間循環させて取り出し、その後、塗布用の塗布液(c)を供給した。次いで、上記アルミニウム基体を、塗布槽内の塗布液(c)中に浸漬し、23℃において塗布速度17cm/分で引き上げて115℃で40分間乾燥させることによりアルミニウム基体上に膜厚24μmの電荷輸送層を形成した。
【0026】
実施例3
前日に塗布装置から塗布液(c)を取り出しておき、当日モノクロルベンゼンを回収タンクから塗布槽内に入れて1時間循環させて取り出し、次に、循環用の塗布液(c)を回収タンクから塗布槽内に入れて10分間循環させて取り出し、その後、塗布用の塗布液(c)を供給した。次いで、実施例2と同様にして膜厚24μmの電荷輸送層を形成した。
【0027】
比較例3:
前日に塗布装置から塗布液(c)を取り出しておき、当日塗布用の塗布液(c)を供給した。次いで、実施例2と同様にして膜厚24μmの電荷輸送層を形成した。
比較例4:
前日に塗布装置から塗布液(c)を取り出しておき、当日モノクロルベンゼンを回収タンクから塗布槽内に入れて1時間循環させて取り出し、その後、塗布用の塗布液(c)を供給した。次いで、実施例2と同様にして膜厚24μmの電荷輸送層を形成した。
【0028】
[III]上記のアルミニウム基体上に電荷輸送層を形成する際に、塗布装置内に初めて塗布液Aを供給するケース[前記ケース(3)]
塗布装置には、塗布液Aとして上記の電荷輸送層用の塗布液(c)を用いた。
実施例4
塗布装置の新しい回収タンク及び塗布槽に、塗布液(c)を供給するにあたり、当日循環用の塗布液(c)を回収タンクから塗布槽内に入れて1時間循環させて取り出し、その後、塗布用の塗布液(c)を供給した。次いで、上記アルミニウム基体を、塗布槽内の塗布液(c)中に浸漬し、23℃において塗布速度17cm/分で引き上げて115℃で40分間乾燥させることによりアルミニウム基体上に膜厚24μmの電荷輸送層を形成した。
【0029】
実施例5
塗布装置の新しい回収タンク及び塗布槽に、塗布液(c)を供給するにあたり、当日モノクロルベンゼンを回収タンクから塗布槽内に入れて1時間循環させて取り出し、次に、循環用の塗布液(c)を回収タンクから塗布槽内に入れて1時間循環させて取り出し、その後、塗布用の塗布液(c)を供給した。次いで、実施例4と同様にして膜厚24μmの電荷輸送層を形成した。
【0030】
比較例5:
塗布装置の新しい回収タンク及び塗布槽に塗布液(c)を供給するにあたり、直接回収タンクから塗布槽内に塗布用の塗布液(c)を供給した。次いで、実施例4と同様にして膜厚24μmの電荷輸送層を形成した。
比較例6: 塗布装置の新しい回収タンク及び塗布槽に塗布液(c)を供給するにあたり、当日モノクロルベンゼンを回収タンクから塗布槽内に入れて1時間循環させて取り出し、その後、塗布用の塗布液(c)を供給した。次いで、実施例4と同様にして膜厚24μmの電荷輸送層を形成した。
【0031】
上記した参考例1、実施例1〜5及び比較例1〜6の各条件で、それぞれ100本の感光体ドラムを作製し、それらの表面欠陥の発生状況及び膜厚の安定性について評価を行った。それらの結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
<表面欠陥>
参考例1、実施例1〜5のものは、それぞれ作製した感光体ドラム100本の中で表面欠陥が発生したものは5本以下であり、特に実施例1、3及び5のものは、表面欠陥が0〜1本発生したに過ぎず、特に優れていた。これは塗布液に含まれる溶剤の循環及び塗布液の循環とを併用したことにより、表面欠陥が殆ど発生しなかったものと推定される。これに対して、比較例1〜6の場合には、作製した感光体ドラム100本中で10本以上に表面欠陥を有するものが観察され、特に比較例1、3及び5では30本以上に表面欠陥が認められた。これは回収タンクや塗布槽に、先に使用した塗布液が固化したものや塵等が残存したためと考えられる。
【0034】
<膜厚の安定性>
参考例1実施例1〜5のものは、それぞれ作製した感光体ドラム100本ともに予定どおりの膜厚が得られた。これは事前に、塗布液を用いて循環を行ったため、回収タンクや塗布槽に粘度の異なった溶剤が除去されたことによるものと想定される。ただ、比較例2でも全て同様に予定した膜厚のものが得られたが、これは塗布液に含まれる溶剤が循環経路に残っていても、その溶剤の粘度が塗布液と差異がないために、膜形成に影響を及ぼさなかったものと想定される。また、比較例5でも全て予定どおりの膜厚のものが得られたが、この場合には回収タンクや塗布槽に、溶剤及び先の塗布液の固化物が存在していないことに基づくものと推定される。また、比較例1及び3では、作製したものの中に予定した膜厚を外れたものが存在した。これを塗布順に調べると徐々に膜厚が大きくなっており、その時の塗布液の粘度も上昇していた。このことから、回収タンクや塗布槽に固化していた樹脂が溶解して粘度が上昇し、その結果として膜厚が大きくなったものと推定される。更に、比較例4及び6でも、同じく予定した膜厚を外れるものが存在し、これを塗布順に調べると徐々に膜厚が薄くなっており、その時の塗布液の粘度も下降していた。このことから、回収タンクや塗布槽に残った溶剤が塗布液に溶解して粘度が下降し、その結果として膜厚が薄くなったものと推定される。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、電子写真感光体の浸漬塗布方法において、表面欠陥が少なく、膜厚の安定した塗膜を繰り返し形成することができる。また、本発明の電子写真感光体の浸漬塗布方法を用いることにより、平滑であり、安定した均一な膜厚の層形成ができるから、良好な画像品質が得られると共に、表面欠陥が少ないために製造工程において生産効率が向上して低コストの電子写真感光体の提供が可能である。
Claims (5)
- 被塗布物を、塗布液の回収タンクから循環経路を介して塗布槽に供給される塗布液中に浸漬し、次いで、その塗布液から引き上げて塗布することで層を形成する電子写真感光体の浸漬塗布方法において、該塗布液を回収タンク及び塗布槽に供給するに先立って、あらかじめ、塗布液に含まれる溶剤を循環して洗浄させ、次いで、該塗布液又はその塗布液の主要成分を含む溶液を、回収タンク又は塗布槽に導入して循環させた後に除去する前処理を行うことを特徴とする電子写真感光体の浸漬塗布方法。
- 前処理が、塗布液を異なる成分の塗布液に切り替える際に行われることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の浸漬塗布方法。
- 前処理が、塗布液を同一成分の塗布液に切り替える際に行われることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の浸漬塗布方法。
- 前処理が、塗布液を新たに回収タンク又は塗布槽内に供給する際に行われることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の浸漬塗布方法。
- 前記塗布液が、樹脂と溶剤とを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子写真感光体の浸漬塗布方法。
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