JP4134540B2 - 電子写真感光体の製造システム、製造方法、及び該製造方法で製造された電子写真感光体 - Google Patents
電子写真感光体の製造システム、製造方法、及び該製造方法で製造された電子写真感光体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する利用分野】
本発明は、電子写真感光体の製造システムに関するものであり、詳しくは、円筒状の電子写真感光体の塗布装置、液溜まり除去装置を連続して構成する製造システムに関するものであり、該製造システム用いた電子写真感光体の製造方法、該製造方法で作製された電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電子写真感光体は、アルミニウム等の円筒状基体上浸漬塗布装置などによって感光体材料の塗布液を塗布する等の工程を経て製造される。この電子写真感光体の全体の製造システムは円筒状基体の表面加工装置、洗浄装置、塗布装置、乾燥装置等から構成されている。これらの構成装置の中で、塗布装置と乾燥装置は塗布乾燥を中断することの不利益が大きいことから、即ち塗布後、乾燥を中断すると乾燥ムラや膜厚ムラが発生しやすいことから、通常連続したシステムが構成されている。例えば塗布装置で塗布した感光体をそのまま、搬送装置を代えないで、乾燥装置に搬送し、乾燥装置の搬送台に感光体を設置するまで連続した搬送を行っている。
【0003】
一方、円筒状基体(以後、単に基体とも云う)に感光層等の塗布液を塗布した感光体は塗布直後、塗布液が尚、流動性を有している時間内に、重力の影響を受け、基体下端部に塗布液が流下し、いわゆる液溜まり部を形成する。この液溜まり部をそのまま乾燥すると、感光体端部に凸状に隆起した感光層を形成し、膜剥がれやクリーニング不良の原因となるので、この下端部液溜まり部は除去することが好ましい。
【0004】
この液溜まり部の除去方法としては感光体乾燥後に溶媒を含浸させたテープ等で除去する方法、溶媒中で除去する方法等が知られている。しかしながら、一旦乾燥した感光層等への溶媒の浸透には十分な時間が必要なため、この方法は大量の感光体の製造、或いは多品種の感光体の製造には適していない。
【0005】
そこで、より液溜まり部を容易に除去する方法として、感光層等の塗布液を塗布直後に液溜まり部を除去する方法が用いられている。例えば、図1に示されるような液溜まり除去方法の一例が提案されている。図1の(a)は円筒状基体aに感光層PLが塗布された状態を示している。感光層下端部は塗布膜が流下し、液溜まり部Eが発生している。図1の(b)では、感光体下端部の液溜まり部Eを剥離溶媒21Eで満たした剥離溶媒タンク21に浸し、液溜まり部を剥離溶媒21Eで膨潤させて拭き取り部材22により剥離する方法が提案されている。この液溜まり除去方法は塗布層が乾燥される前に用いると短時間で液溜まり部を除去することができる。
【0006】
ところが、基体上に塗布液が塗布され塗布膜の流動性が高い内に感光体下端部を剥離溶媒タンクに浸した場合には、下端部の拭き取り跡がギザギザの形状となりそのまま乾燥した場合、端部がギザギザとなって膜はがれの原因になることが判った。この原因は、塗布膜が流動状態で剥離溶媒に浸したのでは、剥離溶媒が塗布膜の下端部から塗布膜上部に浸透し、塗布膜の流動が止まらないことが原因と考えられる。
【0007】
そこで、基体上に塗布膜を形成した後、塗布膜の流動性を止めて前記液溜まり除去工程に入る製造方法、製造システムの開発が必要になってきた。即ち、図2に示すように従来の塗布装置1(塗布工程)から乾燥装置3(乾燥工程)迄を、各装置間を同一の塗布昇降機6で基体を搬送していたのでは、塗布工程終了後すぐに液溜まり除去工程に入ることとなり、液溜まり部の拭き取り跡が膜剥がれの原因となりやすいという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記のような課題を解決し、即ち液溜まり除去装置を有する電子写真感光体の製造システムを提供することであり、更に詳しくは塗布装置と液溜まり除去装置を連動させ、膜剥がれを発生させない高生産性の電子写真感光体の製造システムを提供することであり、該製造システムを用いた電子写真感光体の製造方法、該製造方法で形成された電子写真感光体を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、以下の構成を取ることにより達成される。
【0010】
1.円筒状基体への塗布液の塗布装置と塗布後の円筒状基体下端部の液溜まり除去装置を有する電子写真感光体の製造システムにおいて、前記各装置が独立した円筒状基体の搬送装置により動作し、各装置間の円筒状基体の受け渡しが、受け保持台を兼ねた液溜まり除去装置の該受け保持台を経由して行われることを特徴とする電子写真感光体の製造システム。
2.前記受け保持台は液溜まり除去装置の基体保持台を剥離タンク液面上に出して受け保持台としたことを特徴とする前記1に記載の電子写真感光体の製造システム。
【0011】
3.前記受け保持台は円筒状基体の下端部を接地させない把持手段を有することを特徴とする前記1又は2に記載の電子写真感光体の製造システム。
【0012】
4.円筒状基体上への塗布液の塗布工程と塗布後の円筒状基体下端部の液だまり除去工程を有する電子写真感光体の製造方法において、前記各工程を独立した搬送装置により行い、各工程間の円筒状基体の受け渡しが、受け保持台を兼ねた液溜まり除去装置の該受け保持台を経由して行われることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
【0014】
以下、本発明を実施の形態に基づき詳細に説明する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の電子写真感光体の製造システムの実施の形態を図面に基づいて説明する。図3は、本発明に係る電子写真感光体の製造システム(以下、製造システムとも云う)の要部を示す概念図である。
【0016】
本発明の製造システムは塗布装置(塗布工程)1、液溜まり除去工程2等から構成されている。塗布装置は塗布槽4と塗布液を満たした該塗布液タンク41に基体を浸漬するために上下動する塗布昇降機6の基体搬送装置を有する。液溜まり除去工程2は液溜まり除去装置5及び拭き取り昇降機7の基体搬送装置を有する。
【0017】
液溜まり部除去工程の後の工程は、乾燥工程であってもよいし、次の塗布工程であってもよい(図3では乾燥工程の場合を示している)。前記塗布装置1と液溜まり除去装置5の間の基体の搬送には、図3の如く塗布装置1と液溜まり除去装置5の間に、基体の受け保持台9が置かれ、これらの保持台を通して、塗布装置と液溜まり除去装置間の基体の受け渡しを行い、且つこの間に基体上の塗布膜の流動性を止める為の乾燥時間が持たれる。
【0018】
以下、図3の製造システムの一連の動作を記載する。
即ち、基体aを把持した入口受け台8が、塗布昇降機6の真下に搬送され、停止する。次に塗布昇降機が降下してきて、入口受け台8上の基体aを塗布昇降機下端の基体把持手段により、受け取る。基体を渡した入口受け台8は塗布層上面から移動する。
【0019】
前記塗布槽4は、図3に示すように塗布液タンク41、塗布液供給管42、オーバーフロー液回収装置43等から構成されている。この塗布液タンクに塗布昇降機6が下降し、懸垂されている基体aが塗布液タンク中の塗布液に浸漬する。基体aに塗布液が十分浸漬された後、再び塗布昇降機6が上昇し、基体aは引き上げられて基体上に塗布膜(感光層等)が形成される。
【0020】
続いて、受け保持台9が塗布昇降機の下に移動し、停止する。塗布昇降機6が下降してきて、受け保持台9に基体aを移動させる。塗布昇降機6が上昇開始すると、受け保持台9は液溜まり除去工程の拭き取り昇降機7の真下に移動し、停止する。続いて拭き取り昇降機7が下降してきて拭き取り昇降機上の基体aを拭き取り昇降機下端の基体把持手段により受け取る。拭き取り昇降機が上昇を開始すると基体を渡した受け保持台9は塗布装置と液溜まり除去装置の中間の定位置に移動する。次に拭き取り昇降機7が再び降下してきて、前記の図3に示した液溜まり除去装置5に基体を設置し、液溜まり除去装置の基体保持台54の回転運動(モーター駆動等による回転)により、基体を回転させ、液溜まり除去装置5の拭き取り部材で液溜まり部を除去する。液溜まり除去が完了すると再び、拭き取り昇降機7は上昇し、停止する。次に出口受け台10が拭き取り昇降機7の真下に移動し、停止する。次に拭き取り昇降機7が再び下降し、出口受け台10に基体aを移す。拭き取り昇降機が上昇を開始すると、基体aを把持した出口受け台10は次の工程に移動する。出口受け台は乾燥工程のベルトコンベア11上に停止する。次に出口受け台上の基体は基体把持手段を有する基体把持機(図示せず)を用いて、出口受け台上の基体をベルトコンベアに移動させ乾燥室に基体を運ぶ。ベルトコンベアにより運ばれて乾燥工程の乾燥室に移動してきた基体は、そのままベルトコンベア上で乾燥した後、乾燥室の出口へ移動する。その後、乾燥室の出口では基体把持機を用いてベルトコンベア上の基体を製品保存箱に保管して、全ての工程が終了する。
【0021】
上記の各工程間の基体の受け渡しに用いる保持台は、前工程で作業終了した基体を搬送機より受け取り、次工程の搬送機に渡す機能を有し、各工程を独立に作業させると同時に、相互に結びつけ、塗布工程、液溜まり部除去工程の作業を効果的に進める機能を有する。本発明に用いられる保持台としては平板状の木版、プラスチック板、金属板等のものが用いられ、例えば図7のように平板上に基体を把持する把持手段を有するものが好ましい。
【0022】
図7は基体を内面で把持する基体把持手段を有する受け保持台の例である。図7の受け保持台9はSUS等の金属板上に基体把持手段91が設けられており、該基体把持手段91は基体aを内面で把持する風船チャック92を有している。搬送機により基体aが保持台上に搬送され、該風船チャック92を基体aの内部に入れて停止したとき、該風船チャック92の風船がふくらみ基体aを塗布液が付着していない基体内面で保持できるような構造を有している。このように受け保持台9上の基体把持手段91が基体内部を把持して、基体下端部を接地させない構造を持つことにより、基体a下端部の塗布液が受け保持台9上に付着することを防止でき、且つ受け保持台9上の汚れが塗布膜に付着することを防止できる。尚、上記風船チャックはスパイラルチューブ93からの空気の出し入れにより、基体aの把持及び把持からの解放を作動させることができる。又、上記受け保持台9自体の移動は受け保持台に付属した搬送機(例えばボールネジの駆動手段を有する)94により、水平移動を行い、移動させることができる。
【0023】
図3の基体昇降機、即ち塗布昇降機6又は拭き取り昇降機7に付帯している基体把持手段61、71も上記保持台の把持手段と同様に基体aを内部から把持することが好ましい。このような把持手段としては公知のOリングチャック、エアピッカチャック等を用いてもよい。
【0024】
上記のように塗布装置と液溜まり除去装置の基体の受け渡しを受け保持台を用いて行うことにより、各工程を連続して作動させ、しかも受け保持台上で塗布膜の流動性を止めることにより液溜まり部除去後の塗布膜端部がなだらかに仕上がり、膜剥がれのない電子写真感光体を作ることができる。
【0025】
図4は本発明の製造システムの他の一例の概念図である。図4の製造システムでは液溜まり除去装置5が基体の受け保持台を兼ねた構成(図5に示す)を有する。即ち、図4の製造システムでは基体aに塗布膜が形成され、塗布昇降機6が塗布槽の上に上昇した後、液溜まり除去装置5の真上に移動する。その後、塗布昇降機6は下降し、液溜まり除去装置5に基体を設置する。ここで、液溜まり除去装置5は図5に示すように受け保持台を兼ねた構成を有する。図5の液溜まり除去装置5は剥離溶媒タンク51、液溜まり拭き取り部材55、スポンジ状の基体保持部材541、基体保持台(受け保持台を兼ねる)54、及び基体保持台54の上下移動装置等から構成されている。図5の(a)では液溜まり除去装置5は、基体aの基体保持台がシリンダー542の回転により、剥離タンク液面上に上昇している。
【0026】
このように基体保持台54が液面から出た状態で塗布後の基体を基体保持台54上に設置する。
【0027】
この基体設置後、塗布昇降機6は図4のように上昇し、さらに塗布工程に移動する。つづいて拭き取り昇降機7が液溜まり除去装置5の上に移動し、下降してきて、液溜まり除去装置の基体を把持手段71により把持する。この間に塗布膜の流動性が止まり、その後、図5のシリンダー542の回転により基体保持台54が剥離タンクの中に図5(b)のように浸漬し、基体保持台54を回転させて、基体下端部の液溜まり部を除去する。液溜まり除去が完了すると、図4に示されるように再び拭き取り昇降機7は上昇し、出口受け台10の上に移動した後下降して、出口受け台10に基体aを移動させる。以後の乾燥工程は図3と同じである。
【0028】
このような保持台を兼ねた液溜まり除去装置を用いると図3で示した受け保持台9は、使用する必要がなくなる。
【0029】
即ち、液溜まり除去装置の基体保持台54を剥離タンクの内外に移動できる構造とすることにより、受け保持台と液溜まり除去装置を兼ねた構造とすることができる。
【0030】
即ち、本製造システムの特徴は塗布工程、液溜まり除去工程と続く連続した電子写真感光体の製造方法において、前記各工程を独立した装置で構成し、それぞれの装置間を独立の搬送装置を用いて基体を搬送し、前記装置間の基体の移動に受け保持台を介在させて行うことにより、液溜まり除去後の膜剥がれを防止でき、且つ各工程の生産速度を独立に調整でき、多品種少量生産の生産形態を構成することが出来る。
【0031】
以下、本発明の製造システムに用いられる各装置の詳細について記載する。本発明の塗布装置は塗布槽4と塗布昇降機6等から構成される。塗布槽は公知の浸漬塗布槽を用いることが出来るが、本発明の製造システムの特徴を生かせる塗布槽としては、多数本が同時に塗布可能な塗布槽が好ましい。図3、図4では、塗布液タンクは基体1本毎に独立しているが多数本を同一の塗布液タンクに浸漬する多数本取りの塗布液タンクを用いてもよい。
【0032】
次に、液溜まり除去工程の装置構成は液溜まり除去装置5と拭き取り昇降機7等から構成される。図6は液溜まり除去装置5の全体構成図である。
【0033】
液溜まり除去装置5は剥離溶媒タンク51、溶媒オーバーフロー室52、補給タンク53、基体保持台54、液溜まり拭き取り部材55、溶媒循環パイプ56、ポンプ57、フィルター58、拭き取り昇降機7等から構成されている。
【0034】
基体保持台54には液溜まり拭き取り部材55が取り付けられており、基体aを固定すると同時に液溜まり除去装置5の基体保持台54の回転により感光体が回転すると、感光体下端の液溜まり部を拭き取り、除去する。尚、図6に示されているように基体保持台54は液溜まり拭き取り部材55と共に剥離溶媒タンク51の溶媒中に浸っており、この為、感光体下端液溜まり部は溶媒で膨潤しながら、拭き取り部材で拭き取られるので、容易に剥離される。
【0035】
又、剥離溶媒タンク中の溶媒は、補給タンク53から溶媒循環パイプ56を経由して常に順環しており、溶媒が液溜まり部の塗布膜を十分溶解できるように、順環パイプの途中にフィルターを設けて、塗布膜成分は除去されている。
【0036】
本発明の製造システムは各種装置を一体として動作させる為に、システム全体を一括して制御出来る中央演算処理装置を有する制御部と各装置を連結し、各装置を動かすプログラムに基づいた指示を該制御部から出すことにより、このシステム全体を制御するのが好ましい。図3の製造システムを動かす制御フローチャートの一例を図8、図9に示す。図8と図9は連絡したフローチャートであり、図8の*は図9の*に連結する。
【0037】
本発明の製造システムを用いて製造できる電子写真感光体は浸漬塗布により、製膜する円筒形状の電子写真感光体なら、どのような感光体にも適用できるが、最も好ましい電子写真感光体としては、円筒形状の有機感光体である。
【0038】
前記有機感光体とは電子写真感光体を構成する電荷発生物質及び電荷輸送物質の少なくともいずれか一方を有機化合物を用いて構成された感光体を云う。以下本発明に用いられる円筒状の有機感光体について説明する。
【0039】
導電性基体(導電性支持体)
本発明の感光体に用いられる導電性支持体として円筒状の導電性支持体が用いられる。該円筒状導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できることが必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0040】
導電性の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0041】
中間層
本発明の感光体に用いられる中間層(UCL)は導電性支持体と前記感光層との接着性改良、或いは該支持体からの電荷注入を防止するために、該支持体と前記感光層の間に設けられるが、該中間層の材料としては、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位の中の2つ以上を含む共重合体樹脂が挙げられる。これら樹脂の中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さくできる樹脂としてはポリアミド樹脂が好ましい。又、これら樹脂を用いた中間層の膜厚は0.01〜0.5μmが好ましい。
【0042】
又、本発明に最も好ましく用いられる中間層はシランカップリング剤、チタンカップリング剤等の有機金属化合物を熱硬化させた硬化性金属樹脂を用いた中間層が挙げられる。硬化性金属樹脂を用いた中間層の膜厚は、0.1〜2μmが好ましい。
【0043】
又、別の好ましい中間層としては酸化チタンとバインダ樹脂を含有し、酸化チタンをバインダ樹脂溶液中に分散、塗布したものが挙げられる。酸化チタンを用いた中間層の膜厚は、0.1〜15μmが好ましい。
【0044】
以下、本発明の有機感光体の好ましい感光層構成について記載する。
感光層
本発明の感光体の感光層構成は前記下引層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では下引き層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電用感光体構成である。
【0045】
以下に機能分離負帯電用感光体の感光層構成について説明する。
《電荷発生層》
本発明の電荷発生層は、電荷発生物質とバインダ樹脂を含有し、電荷発生物質をバインダ樹脂溶液中に分散、塗布して形成する。
【0046】
電荷発生物質は、公知のフタロシアニン化合物を用いることができる。好ましくはチタニルフタロシアニン化合物及びヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物である。更にはチタニルフタロシアニンのY型、A型(β型)等、Cu−Kα特性X線(波長1.54Å)に対するブラッグ角2θの主要ピークが特徴的なチタニルフタロシアニン化合物が良い。これらオキシチタニルフタロシアニンについては特開平10−069107号公報に記載されている。又、これらの電荷発生物質は単独で使用しても、2種以上例えばY型とA型を混合して使用しても良く、多環キノン例えばペリレン顔料と混合して用いても良い。
【0047】
電荷発生層のバインダ樹脂としては、公知の樹脂を用いることが出来、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の中で、2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)及びポリ−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0048】
電荷発生層の形成は、バインダ樹脂を溶剤で溶解した溶液中に分散機を用いて電荷発生物質を分散して塗布液を調製し、塗布液を塗布機で一定の膜厚に塗布し、塗布膜を乾燥して作製することが好ましい。
【0049】
電荷発生層に使用するバインダ樹脂を溶解し塗布するための溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等を挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0050】
電荷発生物質の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用出来るがこれらに限定されるものではない。
【0051】
電荷発生層を形成する塗布機としては浸漬塗布機、リングコーター等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0052】
バインダ樹脂に対する電荷発生物質の混合割合は、バインダ樹脂100質量部に対して電荷発生物質1〜600部(以下、部とは質量部)が好ましく、さらに好ましくは50〜500部である。電荷発生層の膜厚は、電荷発生物質の特性、バインダ樹脂の特性及び混合割合等により異なるが好ましくは0.01〜5μmである。
【0053】
《電荷輸送層》
本発明の電荷輸送層は、電荷輸送物質とバインダ樹脂を含有し、電荷輸送物質をバインダ樹脂溶液中に溶解、塗布して形成される。
【0054】
電荷輸送物質は、特願2000−360998号の明細書の一般式で挙げられる電荷輸送物質の他、例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン及びポリ−9−ビニルアントラセン等を2種以上混合して使用してもよい。
【0055】
電荷輸送層用のバインダ樹脂は、公知の樹脂を用いることが出来、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂及びスチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられるが、ポリカーボネートが好ましい。更にはBPA、BPZ、ジメチルBPA、BPA−ジメチルBPA共重合体等がクラック、耐摩耗性、帯電特性の点で好ましい。
【0056】
電荷輸送層の形成は、バインダ樹脂と電荷輸送物質を溶解して塗布液を調製し、塗布液を塗布機で一定の膜厚に塗布し、塗布膜を乾燥して作製することが好ましい。
【0057】
上記バインダ樹脂と電荷輸送物質を溶解するための溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0058】
バインダ樹脂に対する電荷輸送物質の混合割合は、バインダ樹脂100質量部に対して電荷輸送物質10〜500部(以下、部とは質量部)が好ましく、さらに好ましくは20〜100部である。
【0059】
電荷輸送層の膜厚は、電荷輸送物質の特性、バインダ樹脂の特性及び混合割合等により異なるが好ましくは10〜100μmで、さらに好ましくは15〜40μmである。
【0060】
更に電荷輸送層中にはAO剤、EA剤、安定剤等を添加しても良い。AO剤については特願平11−200135号、EA剤は特開昭50−137543号公報、特開昭58−76483号公報に記載のものが良い。
【0061】
《保護層》
耐久性をアップする為に、電荷輸送層上に保護層を設けても良い。特開平9−190004号、特開平10−095787号、特開2000−171990号の各公報に記載のシロキサン系樹脂を用いた保護層は耐摩耗性を改良し、好ましい。上記では本発明の最も好ましい有機感光体の層構成を例示したが、本発明では上記以外の層構成でも良い。
【0062】
【発明の効果】
以上説明した様に、塗布装置と液溜まり除去装置間を円筒状基体の受け渡しに用いる受け保持台を経由して、基体の搬送を行う製造システムを取ることにより、液溜まり除去後の乾燥塗布膜の膜剥がれを防止し、各工程の製造能力を十分に発揮させ、全体の生産効率を高めることが出来る。又、本発明の製造システムは製造品種により、各工程を独立に最適化出来ることから、少量多品種の生産に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】液溜まり除去方法の一例を示す図である。
【図2】各装置間を同一の基体搬送機で基体を搬送している図である。
【図3】本発明に係る電子写真感光体の製造システムの要部を示す概念図である。
【図4】本発明の製造システムの他の一例の概念図である。
【図5】液溜まり除去装置が基体の受け保持台を兼ねた構成を示す図である。
【図6】液溜まり除去装置の全体構成図である。
【図7】基体を内面で把持する基体把持手段を有する受け保持台の例。
【図8】図3の製造システムを動かす制御フローチャートの一例。
【図9】図3の製造システムを動かす制御フローチャートの一例。
【符号の説明】
a 基体
E 液溜まり部
1 塗布装置(塗布工程)
2 液溜まり除去工程
3 乾燥装置(乾燥工程)
4 塗布槽
5 液溜まり除去装置
6 塗布昇降機
7 拭き取り昇降機
8 入口受け台
9 受け保持台
10 出口受け台
11 ベルトコンベア
21、51 剥離溶媒タンク
21E 剥離溶媒
22 拭き取り部材
41 塗布液タンク
42 塗布液供給管
43 オーバーフロー液回収装置
52 溶媒オーバーフロー室
53 補給タンク
54 基体保持台
55 液溜まり拭き取り部材
56 溶媒循環パイプ
61 基体把持手段
71 基体把持手段
91 基体把持手段
92 風船チャック
93 スパイラルチューブ
94 搬送機
541 基体保持部材
542 シリンダー
Claims (4)
- 円筒状基体への塗布液の塗布装置と塗布後の円筒状基体下端部の液溜まり除去装置を有する電子写真感光体の製造システムにおいて、前記各装置が独立した円筒状基体の搬送装置により動作し、各装置間の円筒状基体の受け渡しが、受け保持台を兼ねた液溜まり除去装置の該受け保持台を経由して行われることを特徴とする電子写真感光体の製造システム。
- 前記受け保持台は液溜まり除去装置の基体保持台を剥離タンク液面上に出して受け保持台としたことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造システム。
- 前記受け保持台は円筒状基体の下端部を接地させない把持手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体の製造システム。
- 円筒状基体上への塗布液の塗布工程と塗布後の円筒状基体下端部の液だまり除去工程を有する電子写真感光体の製造方法において、前記各工程を独立した搬送装置により行い、各工程間の円筒状基体の受け渡しが、受け保持台を兼ねた液溜まり除去装置の該受け保持台を経由して行われることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
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