JP3731160B2 - 感光体、感光体の再生方法およびその再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタなどの電子写真装置に使用される電子写真用の感光体、感光体の再生方法およびその再生装置に関し、特には、再生すべき感光体の電荷輸送層を除去して電荷発生層を除去することなしに感光体を再生させ、且つ再塗工すべき電荷輸送層が良好な状態で塗工することができる感光体、感光体の再生方法およびその再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、プリンタなどの電子写真装置に使用される電子写真感光体の一例として、導電性基体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層が順次に積層されている積層タイプの有機半導体が知られる。
【0003】
近年の環境保全への配慮により感光体を再生する方法が検討されている。その一例として、導電性基体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とが順々に積層されてなる電子写真用の感光体において、この感光体における電荷輸送層を有機溶剤を用いて剥離させた後、再度電荷輸送層を形成する感光体の再生方法が記載されている。(例えば、特許文献1参照)
【0004】
一方、積層型の感光体において、電荷発生層と電荷輸送層との間に熱硬化型樹脂をバインダーとする中間層を設けた感光体が知られる。中間層には電荷発生剤及び/又は電荷輸送剤が含有していることが記載されている。(例えば、特許文献2参照)
【0005】
【特許文献1】
特開平5−281757号公報(第1−2頁)
【特許文面2】
特開2000−66430号公報(第1−5頁)
【0006】
上記した特許文献1においては、電荷輸送層を剥離させた後には、電荷輸送層が剥離された感光体を洗浄槽に移動させ、洗浄槽内において回転している感光体に対して有機溶剤を散布して感光体の表面の電荷発生層を洗浄する工程があり、感光体の再生方法の工程数が増加し、また、感光体を洗浄するための装置が必要となってコストの上昇、設置スペースの増加、感光体の再生処理時間の増加などの問題を有する。
【0007】
特許文献2においては、感光体の構成のみの記載であって感光体の再生についての記載はなく、硬化型樹脂により中間層を形成させ、この中間層は、電荷輸送層の塗布液により溶解しない層としている。
【0008】
一方、従来の積層型の感光体において電荷発生層と電荷輸送層とを形成する場合に、電荷発生層と電荷輸送層との密着性が低くなってしまうこと、微少の空気が混入してしまう等の問題を有する。
その原因のひとつとして導電性基体上に塗布した電荷発生層の表面の粗さにある。即ち、電荷発生層の表面を顕微鏡などで拡大して見ると、細かい凹凸が観察される。この凹凸面を電荷輸送物質とバインダー樹脂が溶解されている溶液に浸して電荷輸送層を形成するときに比較的高粘度であるため空気が凹凸面に巻き込まれて微少空気が混入してしまう。
【0009】
また、比較的高粘度に調整されている溶液は、電荷発生層への溶媒の浸透がわずかしか行われず、電荷発生層の凹凸面になじまなく密着性が低下する。
このように電荷発生層と電荷輸送層との密着性を改善するために、電荷輸送層を形成するときに調合塗料液の粘度が重要となるが、ディッピング塗工や浸積塗工等の塗工方法においては電荷輸送層の塗膜を22ミクロン前後に形成するためには、ある程度の粘度を高くしなければならない。
従来の塗工方法にあっては、画像形成における画像の白抜けや濃度ムラなどの画像欠陥が生じやすいという問題を有する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決するため、感光体の再生時に工程が少なくすることができ、また電荷発生層と電荷輸送層との密着性を強固なものとし微少空気の混入がない感光体、感光体の再生方法およびその装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため、導電性基体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とが順次に形成されている感光体の再生方法において、電荷輸送物質およびバインダー樹脂が溶解されている溶液に前記感光体を浸して前記電荷輸送層を溶かす工程と、前記電荷発生層が前記溶液に浸食される前に前記感光体を前記溶液から移動させて前記電荷発生層の上に薄層の電荷輸送層を形成させる工程と、前記薄層の電荷輸送層の上に再度電荷輸送層を形成する工程とを含み、前記溶液の少なくとも電荷輸送物質およびバインダー樹脂の濃度が所定の濃度となるように制御する工程を有することを特徴とする。
【0012】
また、前記溶液に電荷発生物質が含まれていることを特徴とし、前記溶液を撹拌する工程を有することを特徴とする。
【0013】
更に、導電性基体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とが順次に形成されている感光体と、前記電荷輸送層を溶解することが可能な電荷輸送物質およびバインダー樹脂の濃度に調整した溶液と、前記溶液を充填する容器と、前記溶液の少なくとも電荷輸送物質およびバインダー樹脂の濃度が所定の濃度となるように制御する制御装置とを有し、前記感光体を前記容器内の溶液に浸して前記電荷輸送層を溶解させ、前記電荷発生層が前記溶液に浸食される前に前記感光体を前記溶液から移動させ、前記感光体に薄層の電荷輸送層を形成することを特徴とする。
【0014】
更にまた、前記溶液に電荷発生物質が含まれていることを特徴とし、前記溶液を撹拌する工程を有することを特徴とする。
【0015】
特に、電荷輸送物質およびバインダー樹脂が溶解されている溶液に導電性基体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とが順次に形成されている感光体を浸して前記電荷輸送層を溶かす工程と、前記電荷発生層が前記溶液に浸食される前に前記感光体を前記溶液から移動させて前記電荷発生層の上に薄層の電荷輸送層を形成させる工程と、前記溶液の少なくとも電荷輸送物質およびバインダー樹脂の濃度が所定の濃度となるように制御する工程と、前記薄層の電荷輸送層の上に再度電荷輸送層を形成する工程とによって作製したことを特徴とする。
【0016】
更に、前記溶液に電荷発生物質が含まれていることを特徴とする。
【0017】
このような構成によって、低粘度となるように調整された電荷輸送物質およびバインダー樹脂が溶解されている溶液に再生すべき感光体を浸す。この溶液には電荷発生物質が含まれていることが好ましい。
感光体を前記溶液に浸すことにより感光体表面の電荷輸送層が溶け出し、この溶液を撹拌することにより電荷輸送層の溶解時間が短縮される。また、溶かされた電荷輸送層の電荷輸送物質およびバインダー樹脂と、溶液内に予め溶かされている電荷輸送物質およびバインダー樹脂とを撹拌することにより溶液の濃度分布のばらつきがなくなる。
【0018】
次いで、感光体に塗工されている電荷発生層が溶液によって浸食される前に感光体を溶液から所定の移動速度で引き上げる。これにより薄層の電荷輸送層が均一な厚みで電荷発生層の上に塗工される。電荷輸送物質およびバインダー樹脂が僅かに溶けているために低粘度となっている溶液で形成された電荷輸送層は、極めて薄層に塗工され、電荷発生層への溶媒のなじみが十分に行われ電荷発生層との密着性が良好となる。
溶液は、感光体に塗工されている電荷輸送物質およびバインダー樹脂が再生のために溶解されるが、溶液に新たに溶媒を制御装置によって加えて電荷輸送物質およびバインダー樹脂の濃度が所定の濃度となるように制御する。
【0019】
溶液から引き上げた感光体を自然乾燥、あるいは乾燥機による熱風により乾燥させた後、電荷輸送物質およびバインダー樹脂が高濃度で溶解されている溶液に浸漬させて所定の厚みに電荷輸送層を形成する。
所定の厚みに電荷輸送層を形成する工程において、電荷輸送物質およびバインダー樹脂が比較的高濃度で溶解されており粘度が高い状態になっているが、この液に感光体を浸したときに、薄層の電荷輸送層が溶け出すため、液と感光体表面との親和性が良好となり、微少空気が混入することなく所定の厚みの電荷輸送層が塗工される。
【0020】
【実施例】
以下、本発明による感光体、感光体の再生方法およびその装置の実施例を具体的に説明する。
本発明に係る感光体は、導電性基体上に少なくとも電荷発生層および電荷輸送層が順次に形成される積層型の光半導体が好適に使用される。電荷発生層を形成する電荷発生物質の一例として、銅フタロシアニンを用いている。
電荷発生層用の調合液は、結着樹脂としてポリビニルブチラールを電荷発生物質の銅フタロシアニンに対して1対1の割合で、所定の量のメチルエチルケトン、シクロヘキサンに溶解させ、ボールミルなどにより銅フタロシアニンを分散させて調合している。
【0021】
電荷発生層に含有させる電荷発生物質としては、例えば、セレン合金粉末,酸化亜鉛粉末等の無機電荷発生材料、アモルファスシリコン等のシリコン系材料、その他の無機光導電物質、フタロシアニン、アゾ色素、キナクリドン、多環キノン、ピリリウム塩、ペリレン、インジゴ、チオインジゴ、アントアントロン、ピラントロン、シアニン等の各種有機顔料、色素が使用できる。中でも有機顔料が好ましく、特に無金属フタロシアニン、銅、塩化インジウム、塩化ガリウム、シリコン、錫、オキシチタニウム、亜鉛、バナジウム等の金属もしくはこれらの酸化物、塩化物、水酸化物の配位したフタロシアニン類、または、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、ポリアゾ類等のアゾ顔料が望ましい。これらの電荷発生物質は、単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
上記の電荷発生層用の調合液に導電性基体としてのアルミドラムを浸漬塗工方法によって塗工する。乾燥後の電荷発生層の膜厚は、0.1〜0.5ミクロンの範囲が好ましく、実施例においては0.35ミクロンとなるように塗工している。
【0023】
再生する前の感光体に用いる電荷輸送層用の調合液は、電荷輸送物質としてトリフェニルメタン化合物112部乃至150部と、結着樹脂としてポリカーボネート110部乃至139部とをシクロヘキサン、メチルエチルケトンで溶解させ、所定の粘度に調整して、浸漬塗工方法により感光体を電荷輸送層用の調合液に浸けて電荷発生層の上に22乃至24ミクロンの電荷輸送層を形成する。
【0024】
電荷輸送物質としては、上記の物質の他、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリアセナフチレン、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン等の高分子化合物、又は各種ピラゾリン誘導体、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、アリールアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体等の微粒子を使用できる。以上の正孔輸送型電荷輸送剤の他に、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体等の電子輸送物質も必要により用いられる。
【0025】
感光体に形成された電荷発生層用および電荷輸送層用の調合液に使用する有機溶剤としては、電荷輸送層に含まれる電荷輸送材料や結着樹脂を溶解させる一方、電荷発生層における電荷発生材料を溶解させたり、変質させることのないものであれば、どのような組み合わせの有機溶剤であってもよい。
【0026】
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、セロソルブ、カルビトール等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、クロロホルム、ジクロルメタン、ジクロルエタン、四塩化炭素、トリクロルエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類或いはベンゼン、トルエン、キシレン、リグロイン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の芳香族類、シクロヘキサン等の有機溶剤を用いるようにする。
【0027】
上記した感光体は、画像形成装置に装填され、画像形成により電位の低下、摩耗、傷などの要因によって交換しなければならない時期がくる。ここで、本発明の再生方法について図1に基づき説明する。
【0028】
図において、感光体の再生装置1は、再生すべき感光体を支持する感光体支持装置2と、電荷輸送物質およびバインダー樹脂が溶解している溶液3と、溶液を貯留させる溶液槽4と、溶媒を溶液槽に注入する注入管5と、注入管5からの溶媒の注入量を制御する制御装置6と、溶液槽4の溶液を撹拌する撹拌装置7と、溶液槽4からオーバーフローした溶液を回収する溶液オーバーフロー受槽8とを有する。
【0029】
感光体支持装置2は、感光体9の上部を支持し、感光体9を上下方向に移動可能となるように設けられている。感光体9を引き上げるときに薄層の電荷輸送層を形成させるため、所定の移動速度で感光体を移動させている。感光体支持装置2は、再生すべき感光体8に形成されている電荷輸送層の溶解を早めるために感光体9の軸線方向に感光体8を回転可能に設けても良い。
【0030】
再生すべき感光体9の電荷輸送層を溶解させる溶液3としては、シクロヘキサンおよびメチルエチルケトンを溶媒として電荷輸送物質にトリフェニルアミン化合物を用い、濃度で0.03〜3重量%、好ましくは0.05〜1重量%に調合し、バインダー樹脂にポリカーボネートを用い、濃度で0.5〜4重量%、好ましくは1〜3重量%に調合する。このときの溶液の粘度は、5〜50センチポイズの範囲であり、好ましくは10〜20センチポイズとなるように調整することが好ましい。
更に電荷発生物質としての銅フタロシアニンを溶液3に加えることが好ましく、一例として0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下の濃度で調合している。この場合には、注入管から注入する溶媒に分散した電荷発生物質を加えて溶液内の電荷発生物質の濃度を所定の濃度となるように制御することが好ましい。
【0031】
注入管5からは制御装置6によって所定の流量となるように常時、所定の比率に調整されたメチルエチルケトンおよびシクロヘキサンよりなる溶媒を溶液槽4に注入している。あるいは、制御装置6の制御によって感光体9を引き上げる動作以外に溶媒を溶液槽4に所定量注入するようにしても良い。
溶媒の注入により再生すべき感光体9から除去される電荷輸送物質およびバインダー樹脂による溶液の濃度が変化することなく一定の厚みの薄層の電荷輸送層を形成することができる。
【0032】
撹拌装置7は、溶液槽4の溶液3を撹拌するもので、再生すべき感光体9の電荷輸送層の溶解時間を早め、溶解した電荷輸送物質およびバインダー樹脂を溶液に素早く分散させている。また、注入管5から注入される溶媒を溶液に分散させている。
撹拌装置は、常時撹拌しても良いが、撹拌中に溶液3の液面が揺らぐため感光体9を引き上げるときには停止させておくことが好ましい。
【0033】
溶液オーバーフロー受槽8は、溶液3に注入する溶媒により溶液槽4からオーバーフローする溶液を受けるものであり、受けた溶液は、図示しない蒸留装置により、溶媒と、電荷輸送物質と、バインダー樹脂とに分離して再利用することができる。
【0034】
このような構成により感光体の再生方法を説明する。
電荷輸送物質およびバインダー樹脂が溶解されている電荷輸送層除去用の溶液3に感光体9を浸して再生すべき感光体に塗工されている電荷輸送層を溶かす第1の工程と、再生すべき感光体9に塗工されている電荷発生層が溶液3に浸食される前に感光体9を溶液3から移動させて電荷発生層の上に薄層の電荷輸送層を形成させる第2の工程と、薄層の電荷輸送層の上に再度電荷輸送層を形成する第3の工程とを含む。
【0035】
第1の工程は、再生すべき感光体9を感光体支持装置2に固定させ、感光体支持装置2により感光体9を下方に移動させて溶液槽4内の溶液3に浸す。再生すべき感光体に塗工されている電荷輸送層を溶液により溶解させる。このとき撹拌装置7により溶液を撹拌して溶解を早くさせる工程を加えても良い。あるいは感光体支持装置2により感光体9を軸線方向に回転させても良い。
1回前の感光体9の再生により電荷輸送層の電荷輸送物質およびバインダー樹脂が溶解している溶液3に溶媒を注入して濃度を調整しているが、溶媒の注入による溶液の量が増加しているため、感光体9を溶液3に浸したときに余分な溶液3が溶液槽4からオーバーフローして溶液オーバーフロー受槽8に移動する。オーバーフローした溶液は上述したように不図示の蒸留装置で溶媒と固形分に分離され再利用される。
【0036】
第2の工程は、第1の工程により再生すべき感光体9に塗工された電荷輸送層が溶解し、電荷発生層が溶液3に浸食される前に感光体9を溶液3から感光体支持装置2の動作により上方に向かって一定の速度で移動させる。このとき撹拌装置7は停止させていることが好ましい。これにより電荷発生層の上に薄層の電荷輸送層が形成される。薄層の電荷輸送層は、0.1〜1ミクロンの厚みが好ましく、更に好ましくは0.3〜0.5ミクロンの厚みが好ましい。
電荷輸送層を溶解する溶液は、低粘度であり、且つ通常の電荷輸送層の形成用の溶液の濃度より低い濃度であるため、形成された薄層の電荷輸送層は、電荷発生層との密着性に優れ、また、再生すべき電荷輸送層を溶解させた後に薄層の電荷輸送層を形成するため、微少空気の混入がない状態で薄層が形成される。
感光体9は、電荷発生層が溶液によって浸食される前に引き上げており、溶液に用いる有機溶剤としては、電荷発生物質に悪影響を与えないものが好ましく、特には電荷発生物質および電荷発生層に用いたバインダー樹脂に影響を与えないものが好ましい。
【0037】
再生装置において、溶液の少なくとも電荷輸送物質およびバインダー樹脂の濃度が所定の濃度となるように制御する工程を有する。次の再生すべき感光体に塗工されている電荷輸送層が溶液3に溶解することによって溶液の濃度が濃くなるため、制御装置6により注入管5から溶液槽4に溶媒を注入させ溶液の濃度を制御している。溶媒の注入時に撹拌装置を動作させることにより濃度分布が均一となる時間が短縮される。
【0038】
第3の工程は、薄層の電荷輸送層の上に再度電荷輸送層を形成するもので、再生する前の感光体に用いる電荷輸送層用の調合液と同様の溶液を用いて通常の電荷輸送層を形成する方法で行われる。
第2の工程で薄層の電荷輸送層を塗工した感光体9を自然乾燥あるいは乾燥装置で乾燥させる。その後、感光体9を電荷輸送層の再生用の溶液に浸漬塗工方法により浸けて薄層が形成された電荷発生層の上に21乃至24ミクロンの電荷輸送層を形成する。
薄層の電荷輸送層が形成された感光体を電荷輸送層の再生用の溶液に浸けることで、同一の電荷輸送物質およびバインダー樹脂を用いているため薄層の電荷輸送層の一部が電荷輸送層の再生用の溶液に溶解され、相性良くなじみ、微少空気の混入が発生することなく再生用の電荷輸送層が形成される。また、溶解されなかった薄層の電荷輸送層の部分はそのままであるため、電荷発生層との密着性は良好な状態を維持している。
【0039】
尚、実施例において感光体として円筒形状の感光ドラムを用いて説明したが、これに限定はなく、ベルトタイプの感光体であっても良い。
また、アルミドラム上に電荷発生層、電荷輸送層の順に形成した2層構造の積層型の感光体を用いて説明したが、これに限定はなく、アルミドラムと電荷発生層との間にアンダーコート層を設けた構成であっても良い。
更に、上述した実施例においては、第2の工程で再生すべき電荷輸送層を溶液に溶解させるのに短時間で処理できる良好な条件を示したが、これに限定するものではなく、溶液の電荷輸送物質およびバインダー樹脂の濃度をある程度高く調整した場合であっても電荷輸送層が溶けるまでに時間がかかってしまうものであり、且つ薄層が多少厚く形成されるものであり、再生後の感光体の特性に影響がない範囲の電荷輸送物質およびバインダー樹脂の溶液の濃度であれば良い。
【0040】
【発明の効果】
このように、低濃度の電荷輸送物質およびバインダー樹脂を予め溶解させ且つ制御装置によって所定の濃度に制御した溶液を用いて再生すべき感光体の電荷輸送層を溶解させるとともに、薄層の電荷輸送層を形成することにより、微少空気の混入がなく、且つ電荷発生層との密着性が良好な感光体を再生することができる。
また、薄層の電荷輸送層の上に通常の厚みの電荷輸送層を形成することにより微少空気の混入がなく、電荷発生層と電荷輸送層との密着性が良好な感光体を再生することができる。
【0041】
電荷輸送物質およびバインダー樹脂を予め溶解させた溶液に更に電荷発生物質を加えることにより、電荷発生層と通常の厚みの電荷輸送層との間において緩衝剤として作用し、繰り返し特性が良好となり、残留電荷を減少させることができる。
【0042】
感光体を引き上げるとき以外に溶液槽の溶液を撹拌するように撹拌装置を制御することにより、再生すべき感光体の電荷輸送層を溶解させる時間が短くなり、且つ注入管から注入される溶媒と貯留している溶液との混合が短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による再生装置の一例を示す図。
【符号の説明】
1 再生装置
2 感光体支持装置
3 溶液
4 溶液槽
5 注入管
7 撹拌装置
9 感光体
Claims (8)
- 導電性基体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とが順次に形成されている感光体の再生方法において、電荷輸送物質およびバインダー樹脂が溶解されている溶液に前記感光体を浸して前記電荷輸送層を溶かす工程と、前記電荷発生層が前記溶液に浸食される前に前記感光体を前記溶液から移動させて前記電荷発生層の上に薄層の電荷輸送層を形成させる工程と、前記薄層の電荷輸送層の上に再度電荷輸送層を形成する工程とを含み、前記溶液の少なくとも電荷輸送物質およびバインダー樹脂の濃度が所定の濃度となるように制御する工程を有することを特徴とする感光体の再生方法。
- 前記溶液に電荷発生物質が含まれていることを特徴とする請求項1記載の感光体の再生方法。
- 前記溶液を撹拌する工程を有することを特徴とする請求項1または2に記載の感光体の再生方法。
- 導電性基体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とが順次に形成されている感光体と、前記電荷輸送層を溶解することが可能な電荷輸送物質およびバインダー樹脂の濃度に調整した溶液と、前記溶液を充填する容器と、前記溶液の少なくとも電荷輸送物質およびバインダー樹脂の濃度が所定の濃度となるように制御する制御装置とを有し、前記感光体を前記容器内の溶液に浸して前記電荷輸送層を溶解させ、前記電荷発生層が前記溶液に浸食される前に前記感光体を前記溶液から移動させ、前記感光体に薄層の電荷輸送層を形成することを特徴とする感光体の再生装置。
- 前記溶液に電荷発生物質が含まれていることを特徴とする請求項4記載の感光体の再生装置。
- 前記溶液を撹拌する撹拌装置を有することを特徴とする請求項4または5に記載の感光体の再生装置。
- 電荷輸送物質およびバインダー樹脂が溶解されている溶液に導電性基体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とが順次に形成されている感光体を浸して前記電荷輸送層を溶かす工程と、前記電荷発生層が前記溶液に浸食される前に前記感光体を前記溶液から移動させて前記電荷発生層の上に薄層の電荷輸送層を形成させる工程と、前記溶液の少なくとも電荷輸送物質およびバインダー樹脂の濃度が所定の濃度となるように制御する工程と、前記薄層の電荷輸送層の上に再度電荷輸送層を形成する工程とによって作製したことを特徴とする感光体。
- 前記溶液に電荷発生物質が含まれていることを特徴とする請求項7記載の感光体。
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