JP2003076042A - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体の製造方法

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JP2003076042A
JP2003076042A JP2001269718A JP2001269718A JP2003076042A JP 2003076042 A JP2003076042 A JP 2003076042A JP 2001269718 A JP2001269718 A JP 2001269718A JP 2001269718 A JP2001269718 A JP 2001269718A JP 2003076042 A JP2003076042 A JP 2003076042A
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coating liquid
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liquid
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JP2001269718A
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Makoto Kurokawa
誠 黒川
Masayuki Sakamoto
雅遊亀 坂元
Satoshi Katayama
聡 片山
Koji Yoshioka
孝司 吉岡
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗膜欠陥の無い均一な感光膜を有する電子写
真感光体を効率良く製造するための製造方法を提供す
る。 【解決手段】 顔料分散系の電荷発生層用の塗布液を満
たした塗布槽に、円筒状基体を浸漬し、最下点で円筒状
基体を一時停止させ、次いで基体を引き上げることによ
り、基体上に感光層を形成する浸漬塗布法において、感
光体用塗布液の液温を室温−3℃乃至室温−10℃の範
囲とすることにより塗膜欠陥のない均一な感光膜を形成
する電子写真感光体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、プリンタ
ー及びファクシミリ等の画像形成装置に用いられる有機
電子写真感光体の製造方法、並びに製造される有機電子
写真感光体に関し、詳しくは、円筒状の導電性基体上に
感光層を形成するすための浸漬塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真感光体に用いられる材料
は、その開発の進歩により、従来から用いられてきた酸
化亜鉛、硫化カドミウム、アモルファスセレン、アモル
ファスシリコン等に代表される無機系の材料から、有機
の光導電性材料(OPC)が多く使用されるようになっ
た。有機系光導電性材料を用いた電子写真感光体は、感
度、耐久性及び環境に対する安定性等に若干の問題は有
るが、毒性、コスト、材料設計の自由度等の点において
無機材料に比べて多くの利点が有る。
【0003】そこで、各社の精力的な検討の中から、従
来より種々の増感方法が提案されている。従来有機電子
写真感光体として、光導電層が単層型のものと積層型の
ものが存在するが、中でも光を照射したときに電荷担体
を発生する物質(以下「電荷発生物質:CGM」と記
す)を含む層(以下「電荷発生層:CGL」と記す)
と、CGLで発生した電荷担体を受け入れそれを輸送す
る物質(以下「電荷輸送物質:CTM」と記す)を主体
とする層(以下「電荷輸送層:CTL」と記す)とから
なる積層型の感光体(以下「機能分離型感光体」と記
す)が優れた増感性を示すことから、現在実用化されて
いる有機感光体構成の大部分を占めてきている。また、
近年の耐久性向上から今後感光体の主流として期待され
ている。
【0004】更に、帯電性改善、導電性基体からの不要
な電荷注入の阻止、導電性基体上の欠陥の被覆、ピンホ
ール発生の防止、感光層の接着性の改善等のために基体
上に下引き層(以下「UCL」と記す)を設けること
で、耐久性も向上してきている。これらの感光層は、各
層を構成するための有機系光導電性材料を結着剤樹脂と
共に、有機溶剤に溶解または分散させて感光材料含有塗
布液を調製し、この感光材料含有塗布液を導電性基体の
上に順次塗布、乾操させることにより製造される。有機
電子写真感光層の塗布方法としては、スプレー法、バー
コート法、ロールコート法、プレード法、リング法、浸
漬塗布法等が挙げられる。ここで、浸漬塗布法は、(感
光材料含有)塗布液を満たした塗布槽に(円筒状)導電
性基体を浸漬した後に、一定速度または任意に変化させ
た速度で引き上げることにより、感光層を形成する方法
である。この浸漬塗布法は比較的簡単で、生産性及びコ
ストの点で優れているため、電子写真感光体を製造する
場合に多く利用されている。
【0005】浸漬塗布に使用される装置の一例を図1に
示す。塗布槽4には、感光体材料を含む塗布液5が収容
され、チラーユニット12で調整された液体を冷却槽1
1に還流させて、塗布液が温度コントロールされる。こ
の塗布槽4内の塗布液5中に、チヤッキング装置8によ
って基体(支持体)上端部を密閉保持された円筒状の導
電性基体(支持体)1が浸漬される。浸漬にあたってチ
ャッキング装置8は、モーター3を備える昇降機2によ
って下降され、基体1が塗布液5に浸漬される。充分浸
漬を行った後に、チャッキング装置8は、昇降機2によ
って上昇し、基体上に塗布膜が形成される。昇降機2は
モーター3の回転量を制御・確認することによつて、所
望の深さだけ基体1を塗布槽4に浸漬することができ
る。本例では基体が昇降するが、塗布槽が昇降して塗布
を行ってもよい。浸漬にあたり槽4からオーバーフロー
した液はオーバーフロー受け槽10を介し補助タンク
(塗布液供給タンク)7に回収され、塗布液の粘度が一
定になるよう調整・攪拌して、液中の異物をフィルター
9を介して濾過しながらポンプ6によって塗布槽4に戻
され、塗布槽4を再び塗布液5で満たした後に、次の塗
布を行う。
【0006】上記の様な塗布装置で得られる感光体は、
画像欠陥の原因となる塗布ムラ等の塗布欠陥が無いこと
が望まれる。しかし、感光体用塗布液の場合、一般的に
揮発性の高い有機溶剤が使用されているため、塗布膜形
成の際、有機溶剤蒸発時の気化熱により基板表面に温度
ムラができ、塗布膜の乾燥にムラが生じ均一な感光層が
得られない等の問題が発生する。これを解決する方法と
して塗布液の温度を基体の温度より高く設定する方法
が、特開平11−202508号公報で提案されてい
る。この方法の場合塗布液の温度を上げると表面張力が
下がり、塗れ性は向上し又、気化熱の温度の影響も少な
くなり、均一な感光層が得られる。この方法は、10μ
m以上の厚膜の感光層、例えば、電荷輸送層の様な厚膜
に対しては有効であるが、塗布液が顔料分散系である5
μm以下の薄膜の感光層、例えば、電荷発生層の様な場
合、塗布液の温度を上げると、塗布液の粘度が下がり塗
布液中で顔料が自由に永動し再凝集が起こり易くなるた
め、顔料の2次凝集による塗布ムラが発生し易くなる。
又、塗布液の温度を上げて使用するため、塗布していな
い時でも溶剤の蒸発量が多くなり、塗布液中の溶剤比率
が変化し、塗布液物性が不安定となり安定生産が困難と
なる。又、溶剤蒸気の飛散量が増えることにより作業環
境悪化等の弊害も発生する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、塗膜
欠陥の無い均一な感光膜を有する電子写真感光体を効率
良く製造するための製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第1及び第2に
よれば、顔料分散系の塗布液を満たした塗布槽に、円筒
状基体を浸漬し、次いで基体を引き上げることにより、
感光層を形成する浸漬塗布法において、感光体用塗布液
の液温度を、室温−3℃乃至室温−10℃の範囲にする
ことにより、顔料の2次凝集に起因する塗布ムラの抑
制、及び塗布液の溶剤蒸発量を抑え塗布液の安定化が図
れる。
【0009】顔料分散系塗布液の液温を、室温−3℃乃
至室温−10℃の範囲にすることで、塗布液の粘度が上
がり、塗布液中の顔料の再凝集が抑制され、顔料の2次
凝集による塗布膜欠陥が解消される。又、塗布液の温度
を下げることで、塗布液中の溶剤蒸発量を抑制し塗布液
物性の安定化が図れ、安定生産が可能となり、溶剤蒸気
の飛散畳も低減するため、作業環境の改善も図ることが
できる。顔料分散系塗布液の液温を、室温−10℃未満
に低くすると、塗布膜の乾燥速度が遅くなり塗布膜が下
方にタレてしまうため、感光体の上部と下部とで膜厚差
が生じてしまい、良好な画像特性を得ることができな
い。又、塗布膜の風乾時間が遅くなり、浸漬塗布直後に
感光体を移動できないため、タクトタイムが長くなり、
生産性に支障を来たす。一方、塗布液の液温を、室温−
3℃超えて高くすると、塗布液の粘度が下がり塗布液中
の顔料の2次凝集が促進され、ガサ付いた塗布膜となり
良好な画像特性が得られない。又、塗布していない時に
も溶剤の蒸発量が多くなり、塗布液中の溶剤比率が変化
し、塗布液物性が不安定となり、安定生産が困難とな
る。また、溶剤蒸気の飛散量が増えるため、作業環境悪
化等の弊害も発生する。
【0010】本発明の第3によれば、浸漬塗布法におい
て、円筒状基体の浸漬速度を3mm/sec乃至30m
m/secの範囲にすることで、基体浸漬時のオーバー
フローの均一化と、塗布槽内の塗布液の乱流を抑制し、
均一な感光層を有する感光体を得ることが可能となる。
円筒状基体の浸漬速度を3mm/sec以上にすること
で、基体浸漬時の塗布液オーバーフローの均一が図れ、
又、基体浸漬速度を30m/sec以下にすることで、
基体浸漬時の塗布槽内での塗布液の乱流が抑制でき、良
好な感光層を得ることができる。
【0011】円筒状基体の浸漬速度が3mm/secを
超えて遅くなると、基体浸漬時の塗布液のオーバーフロ
ー量が少なくなり、塗布槽開口部の一方向から塗布液が
流れ出てしまい、基体浸漬中に基体表面の一方向に添っ
て、塗布液の流れが生じ、その流れに起因した塗布欠陥
が発生する。又、30mm/secより早くなると、塗
布液オーバーフロー時に塗布液の流速が早くなりすぎる
ため、塗布槽内で塗布液の乱流が起こり、塗布液の乱流
に起因した塗布欠陥が発生する。
【0012】本発明の第4及び第5によれば、円筒状基
体を浸漬して、次いで基体を引き上げる際、最下点で基
体を一次停止させることで、基体浸漬時の塗布液オーバ
ーフローによる塗布層表面付近での、塗布液の流動によ
る影響を受けることなく塗布が行え、均一な感光層を有
する感光体を得ることが可能となる。円筒状基体を浸漬
して次いで基体を引き上げる際に、最下点で基体を、一
時停止させることで、基体浸漬時の塗布液オーバーフロ
ーによる塗布槽表面付近での、塗布液の流動を安定させ
てから、塗布を開始するため、感光層上部に発生する塗
布ムラが解消される。又、停止時間を20sec以下に
する事で、基体引き上げる際に基体内部の溶剤蒸気圧の
変化により発生する気泡が抑制できる。基体の停止時間
が1sec未満と短くなると、塗布槽表面付近の塗布液
が、不安定な状態で塗布を開始する為、感光体上部に塗
布ムラが発生する。又、停止時間を20secを超えて
長くすると、基体内部に溜まった溶剤蒸気が基体を引き
上げる際、蒸気圧の変化により、基体の下端部から気泡
が発生し、塗布膜欠陥を引き起こしてしまう。
【0013】次いで、一般的に用いられる有機電子写真
感光体の材料について説明する。尚、本発明に係る感光
体材料は、以下に記載の内容に限定されるものではな
い。支持体としては導電性を有するもの、例えば、アル
ミニウム、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス、ク
ロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、
金、白金等の金属及び合金材料を用いることができ、そ
の他にアルミニウム、アルミニウム合金、酸化錫、金や
酸化インジウム等を蒸着または塗布したポリエステルフ
ィルム、紙及び金属フィルム、導電性粒子を含有したプ
ラスチックや紙、ならびに導電性ポリマーを含有するプ
ラスチック等を円筒状にしたものを用いることができ
る。
【0014】次に積層型感光体の構成について説明す
る。感光層の形成にあたり、導電性基体の傷及び凸凹の
被覆、繰り返し使用時の帯電性の劣化防止、低温/低湿
環境下での帯電特性の改善等の理由により、導電性基体
と電荷発生層/電荷輸送層との間に下引き層を設ける場
合がある。下引き層の材料としては従来より、ポリアミ
ド、共重合ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリウレ
タン、ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、
カゼイン、セルロース、ゼラチン等が知られており、特
にアルコール可溶性の共重合ナイロンが多く用いられ
る。これらを水及び各種有機溶剤、特に水、メタノー
ル、エタノール、ブタノールの単独溶剤、または水/ア
ルコール類、2種類以上のアルコール類の混合溶剤、ま
たはアセトン、ジオキソラン等/アルコール類との混合
溶剤、または、ジクロロエタン、クロロホルム、トリク
ロロエタン等の塩素系溶剤/アルコール類との混合溶剤
に分散し、例えば前述の図1にある浸漬塗布装置等を用
いて導電性基体表面に塗布する。
【0015】また必要に応じて、特に下引き層の体積抵
抗率の調節、低温/低湿環境下での繰り返しエージング
特性の改善等の理由で、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化
錫、酸化インジウム、シリカ、酸化アンチモン等の無機
顔料をボールミル、ダイノーミル、超音波発振機等の分
散機を用いて分散含有させることが知られている。下引
き層中の無機顔料の割合は、30〜95重量%の範囲が
好ましく、膜厚は0.1〜5μm程度になるように塗布
される。
【0016】電荷発生層は、光照射により電荷を発生す
る電荷発生材料を主成分とし、必要に応じて公知の結着
樹脂、可塑剤、増感剤を含有する。電荷発生材料として
は、ペリレンイミド、ペリレン酸無水物等のペリレン系
顔料、キナクリドン、アントラキノン等の多環キノン系
顔料、金属及び無金属フタロシアニン、ハロゲン化無金
属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、スクエア
リウム色素、アズレニウム色素、チアピリリウム色素、
及びカルバゾール骨格、スチリルスチルベン骨格、トリ
フェニルアミン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、オキサ
ジアゾール骨格、フルオレノン骨格、ビススチルベン骨
格、ジスチリルオキサジアゾール骨格またはジスチリル
カルバゾール骨格を有するアゾ顔料等が挙げられる。特
に高い電荷発生能を有する顔料としては、無金属フタロ
シアニン顔料、オキソチタニルフタロシアニン顔料、ガ
リウム(クロル)フタロシアニン顔料および金属フタロ
シアニンと無金属フタロシアニンの混晶、フローレン環
及びフルオレノン環を含有するビスアゾ顔料、芳香族ア
ミンからなるビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が挙げら
れ、高い感度を有する感光体を提供することができる。
【0017】また、結着樹脂としては、メラミン樹脂、
エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂、アク
リル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合樹脂、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル−ポリビニルアルコール共重合樹脂、
ポリカーボネート樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹
脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂、
ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられ、これ
らの樹脂を溶解させる溶剤としては、アセトン、メチル
エチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エ
チル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、ジオキソラン、ジメトキシエタン等の
エーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族
炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチル
スルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等を用いること
ができる。
【0018】電荷発生層用塗布液の作成は、結着樹脂と
溶剤中へ電荷発生物質を混合し、ボールミル、ダイノー
ミル、超音波発信機等の分散機を用いて分散し作成され
る。電荷発生層中の電荷発生材料の割合は30〜90重
量%の範囲が好ましい。電荷発生層の膜厚は0.05〜
5μm、好ましくは0.1〜2.5μmの範囲である。
【0019】電荷発生層の上に設けられる電荷輸送層
は、電荷発生材料が発生した電荷を受け入れこれを輸送
する能力を有する電荷輸送材料、結着樹脂、必要に応じ
て公知の可塑剤、増感剤等を含有する。電荷輸送物質と
しては、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導
体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート及びそ
の誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘
導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、
オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダ
ゾール誘導体、9−(p−ジェチルアミノスチリル)ア
ントラセン、1,1−ビス(4−ジペンジルアミノフェ
ニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラ
ゾリン、ビラゾリン誘導体、フェニルヒドラゾン類、ヒ
ドラゾン誘導体、トリフェニルアミン系化合物、トリフ
ェニルメタン系化合物、スチルペン系化合物、3−メチ
ル−2−ペンゾチアゾリン環を有するアジン化合物等の
電子供与性物質、或いはフルオレノン誘導体、ジペンゾ
チオフェン誘導体、インデノチオフェン誘導体、フェナ
ンスレンキノン誘導体、インデノピリジン誘導体、チオ
キサントン誘導体、ペンゾ[c]シンノリン誘導体、フ
ェナジンオキサイド誘導体、テトラシアノエチレン、テ
トラシアノキノジメタン、プロマニル、クロラニル、ベ
ンゾキノン等の電子受容性物質等が挙げられる。
【0020】電荷輸送層を構成する結着樹脂としては、
電荷輸送物質と相溶性を有するものであれば良く、例え
ばポリカーボネート及び共重合ポリカーボネート、ポリ
アリレート、ポリビニルプチラール、ポリアミド、ポリ
エステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリケトン、
ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミ
ド、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹
脂等及びそれらの共重合樹脂が挙げられる。これらを単
独または2種以上混合して用いても良い。中でもポリス
チレン、ポリカーボネート及び共重合ポリカーボネー
ト、ポリアリレート、ポリエステル等の樹脂は体積抵抗
率が1013Ω以上であり、また成膜性及び電位特性等
にも優れている。また、これらの材料を溶解させる溶剤
は、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセト
ン、メチルエチルケトン、シクロへキサノン等のケトン
類、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、ジオキソラン等のエーテル類、クロロホルム、ジク
ロロメタン、ジクロロエタン等の脂肪族、ハロゲン炭化
水素、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン等の芳香族
類等を用いることができる。
【0021】電荷輸送層用塗布液の作成は、結着樹脂溶
液中へ電荷輸送物質を溶解して作成され、輸送材料の割
合は、30〜80重量%の範囲が好ましい。電荷輸送層
の膜厚は、10〜50μm、好ましくは15〜40μm
である。これらの感光層は前述の方法にて順次塗布形成
された後に、または各感光層毎に、熱風または遠赤外線
等の乾燥機を用いて乾燥され、感光層形成が完了され
る。乾燥は40℃乃至130℃で10分乃至2時間程度
が好ましい。また、上述の各感光層用塗布液に用いられ
る溶剤は、その範囲に限定される訳ではないが、非塩素
(ハロゲン)系有機溶剤を使用することが、地球環境や
作業者等の安全性を考慮する上で好ましい。
【0022】さらに電子写真用感光体の感光層は、感度
の向上を図り繰り返し使用時の残留電位の上昇や疲労等
を抑える目的のために、1種もしくは2種以上の電子受
容物質や色素を含有してもよい。ここで用いられる電子
受容物質としては、例えば無水コハク酸、無水マレイン
酸、無水フタル酸、4−クロルナフタル酸無水物等の酸
無水物、テトラシアノエチレン、テレフクルマロンジニ
トリル等のシアノ化合物、4−ニトロペンズアルデヒド
等のアルデヒド類、アントラキノン、1−ニトロアント
ラキノン等のアントラキノン類、2,4,7−トリニト
ロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオ
レノン等の多環もしくは複素環ニトロ化合物を化学増感
剤として用いることができる。
【0023】色素としては、例えば、キサンテン系色
素、チアジン色素、トリフェニルメタン色素、キノリン
系顔料、銅フタロシアニン等の有機光導電性化合物を光
学増感剤として用いることができる。更に感光層は、成
形性、可摸性、機械的強度を向上させるため、周知の可
塑剤を含有してもよい。可塑剤としては、二塩基酸エス
テル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エス
テル、塩素化パラフィン、エポキシ型可塑剤等が挙げら
れる。また、必要に応じて、ポリシロキサン等のゆず肌
防止レベリング剤、耐久性向上のためフェノール系化合
物、ハイドロキノン系化合物、トコフェロール系化合物
及びアミン系化合物等の酸化防止剤、紫外線吸収剤等を
含有してもよい。
【0024】〔実施例〕以下に本発明を実施例などを用
いて更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えな
い限り本実施例により何ら限定されるものではない。 〔実施例1〕下記構造を有する無金属フタロシアニン1
00重量部とプチラール樹脂100重量部とを1,2−
ジメトキシエタンに加え、固形分濃度50%混合液を作
製し、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行っ
た。ここで得られた分散液に、1,2−ジメトキシエタ
ンを加え、最終的に固形分濃度5.0%の電荷発生層用
塗布液を作製した。
【0025】
【化1】
【0026】この様にして得られた塗布液を、20℃の
室温中にて、図1に示す様な塗布装置に投入し、チラー
ユニット12により調整された液体を、冷却槽11に還
流させ、塗布液温度が15℃になるようコントロールす
る、次いでアルミニウム製円筒状基体を、該塗布液に浸
漬速度15mm/secで浸漬し、最下点で3sec停
止した後、基体を6.0mm/secで引上げる事によ
り塗布を行い、乾燥膜厚が0.4μmの電荷発生層を設
けた。この様にして得られた電荷発生層は、塗布ムラ等
の塗布欠陥の無い良好な塗布層であった。
【0027】次にこの電荷発生層の上に、4−ジエチル
アミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾ
ンを100重量部と、返し構造単位を有するポリカーボ
ネイト樹脂(粘度平均分子量22,000)100重量
部を、テトラヒドロフランの溶媒に、溶解させた液に浸
漬塗布した後、室温で10分、125℃で60分の加熱
乾燥を行い、乾燥膜厚が25μmとなるように電荷輸送
層を設けた。この様にして得られた、感光体を実際の機
器(シャープ製:AR−335)に搭載し、画像確認と
ハーフトーン電位測定を行ったところ画像欠陥の無い良
好な画像特性が得られハーフトーン電位バラツキも8V
以内と、良好な電位特性が得られた。また、電荷発生層
用塗布液の長期使用に措いても、濃度変化が少なく安定
した生産が可能となった。
【0028】〔実施例2〕電荷発生層用塗布液の液温
を、10℃にコントロールした以外は、実施例1と同様
に塗布を行い電子写真感光体を作製した。この様にして
得られた電子写真感光休も、実施例1と同様に実際の機
器による画像確認と、ハーフトーン電位測定を行ったと
ころ、塗布欠陥、画像欠陥の無い良好な画像特性が得ら
れ、ハーフトーン電位バラツキも11V以内と、良好な
感光体特性が得られた。
【0029】〔実施例3〕電荷発生層用塗布液の液温
が、15℃にコントロールされた電荷発生層用塗布液に
円筒状基体を浸漬する際の、速度を5mm/secにし
た以外は、実施例1と同様に塗布を行い電子写真感光体
を作製した。この様にして得られた電子写真感光休も、
実施例1と同様に実際の機器による画像確認と、ハーフ
トーン電位測定を行ったところ、塗布欠陥、画像欠陥の
無い良好な画像特性が得られ、ハーフトーン電位バラツ
キも6V以内とこ良好な感光体特性が得られた。
【0030】〔実施例4〕電荷発生層用塗布液の液温
が、15℃にコントロールされた電荷発生層用塗布液に
円筒状基体を浸漬する際の、速度を30mm/secに
した以外は、実施例1と同様に塗布を行い電子写真感光
体を作製した。この様にして得られた電子写真感光体
も、実施例1と同様に実際の機器による画像確認と、ハ
ーフトーン電位測定を行ったところ、塗布欠陥、画像欠
陥の無い良好な画像特性が得られ、ハーフトーン電位バ
ラツキも13V以内と、良好な感光体特性が得られた。
【0031】〔実施例5〕電荷発生層用塗布液に円筒状
基体を浸漬し、次いで引上げる際の最下点での、基体の
停止時間を1secにさせた以外は、実施例1と同様に
塗布を行い電子写真感光体を作製した。この様にして得
られた電子写真感光休も、実施例1と同様に実際の機器
による画像確認と、ハーフトーン電位測定を行ったとこ
ろ、塗布欠陥、画像欠陥の無い良好な画像特性が得ら
れ、ハーフトーン電位バラツキも15V以内と、良好な
感光体特性が得られた。
【0032】〔実施例6〕電荷発生層用塗布液に円筒状
基体を浸漬し、次いで引上げる際の最下点での、基体の
停止時間を20secにさせた以外は、実施例1と同様
に塗布を行い電子写真感光体を作製した。この様にして
得られた電子写真感光休も、実施例1と同様に実際の機
器による画像確認と、ハーフトーン電位測定を行ったと
ころ、塗布欠陥、画像欠陥の無い良好な画像特性が得ら
れ、ハーフトーン電位バラツキも4V以内と良好な感光
体特性が得られた。
【0033】〔比較例1〕電荷発生層用塗布液の液温
を、5℃にコントロールした以外は、実施例1と同様に
塗布を行い電子写真感光体を作製した。この様にして得
られた電子写真感光休も、実施例1と同様に実際の機器
による画像確認と、ハーフトーン電位測定を行ったとこ
ろ、塗布時の塗布液温度が低過ぎるため、溶剤蒸発量不
足によるドラム長手方向の膜厚ムラが発生し、長手方向
で濃度差の有る画像欠陥となつた。感光体長手方向のハ
ーフトーン電位差も50Vと大きく良好な感光体特性を
得ることができなかった。
【0034】〔比較例2〕電荷発生層用塗布液の液温
を、20℃にコントロールした以外は、実施例1と同様
に塗布を行い電子写真感光体を作製した。この様にして
得られた電子写真感光休も、実施例1と同様に実際の機
器による画像確認と、ハーフトーン電位測定を行ったと
ころ、塗布液中の顔料の2次凝集が起こり塗布ムラが発
生し、ガサツイタ画像欠陥となった。感光体全体のハー
フトーン電位バラツキも30Vと大きく、良好な感光体
特性を得ることができなかった。また、電荷発生層用塗
布液の長期使用において、溶剤蒸発量が多く塗布液の濃
度が変化したため、安定生産が困難となり、作業環境へ
の溶剤蒸気飛散量も増えて作業環境悪化も併発した。
【0035】〔比較例3〕電荷発生層用塗布液に円筒状
基体を浸漬する際の速度を、2mm/secにした以外
は、実施例1と同様に塗布を行い電子写真感光体を作製
した。この様にして得られた電子写真感光休も、実施例
1と同様に実際の機器による画像確認と、ハーフトーン
電位測定を行ったところ、基体浸漬時の塗布液のオーバ
ーフロー量不足により塗布槽開口部で塗布液の片寄った
流れが起こり、感光体表面に塗布液の流れに沿って塗布
ムラが発生し、スジ状の画像欠陥となった。感光体全体
のハーフトーン電位バラツキも35Vと大きく、良好な
感光体特性を得ることができなかった。
【0036】〔比較例4〕電荷発生層用塗布液に円筒状
基体を浸漬する際の速度を、35mm/secにした以
外は、実施例1と同様に塗布を行い電子写真感光体を作
製した。この様にして得られた電子写真感光休も、実施
例1と同様に実際の機器による画像確認と、ハーフトー
ン電位測定を行ったところ、基体浸漬時の塗布液のオー
バーフロー量増大により塗布槽内で塗布液の乱流が起こ
り、塗布ムラが発生し全体に霜ついた画像欠絶となっ
た。感光体全体のハーフトーン電位バラツキも40Vと
大きく、良好な感光体特性を得ることができなかった。
【0037】〔比較例5〕電荷発生層用塗布液に円筒状
基体を浸漬し、次いで引上げる際の最下点での基体の停
止時間を無しにした以外は、実施例1と同様に塗布を行
い電子写真感光体を作製した。この様にして得られた電
子写真感光休も、実施例1と同様に実際の機器による画
像確認と、ハーフトーン電位測定を行ったところ、基体
浸漬時のオーバーフローによる塗布液の流動が安定しな
いまま塗布を開始した為、感光体上部に塗布ムラが発生
し、上部塗布ムラの画像欠陥となった。感光体上部のハ
ーフトーン電位バラツキも25Vと大きく、良好な感光
体特性を得ることができなかった。
【0038】〔比較例6〕電荷発生層用塗布液に円筒状
基体を浸漬し、次いで引上げる際の最下点での基体の停
止時間を25secにした以外は、実施例1と同様に塗
布を行い電子写真感光体を作製した。この様にして得ら
れた電子写真感光休も、実施例1と同様に実際の機器に
よる画俊確認と、ハーフトーン電位測定を行ったとこ
ろ、基体内の蒸気圧の上昇により基体引上げ時に、基体
内部から塗布中に気泡が発生したため、感光層全体に塗
布ムラが発生し、塗布ムラに起因した画像欠陥となっ
た。感光体全体のハーフトーン電位バラツキも55Vと
大きく、良好な感光体特性を得ることができなかった。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】本発明の第1によれば、顔料分散系塗布
液を満たした塗布槽に、円筒状基体を浸漬し、次いで基
体を引き上げることにより、感光層を形成する浸漬塗布
法において、感光体用塗布液の液度を、室温−3℃乃至
室温−10℃の範囲にすることにより、塗布液の溶剤蒸
発量が抑えられ塗布液の安定化が図れる。又、塗布液の
温度を下げることで、低温保管と同等の効果が得られ、
塗布液の長寿命化が可能となる。本発明の第2によれ
ば、電荷発生層用塗布液の温度を、室温−3℃乃至室温
−10℃の範囲にすることで、顔料の2次凝集に起因す
る塗布ムラの抑制及び、溶剤蒸発による塗布液の濃度変
化による、安定性の低下と、作業環境の悪化を、防止す
ることができる。
【0041】本発明の第3によれば、浸漬塗布法におい
て円筒状基体の浸漬速度を、3mm/sec乃至30m
m/secにすることで、基体浸漬時の塗布液表面付近
での塗布液の乱れに起因する塗布ムラを抑制することが
でき、均一な感光層を有する感光体を得ることが可能と
なる。本発明の第4及び5によれば、円筒状基体を浸漬
して次いで基体を引き上げる際の最下点で、基体を一時
停止させることで、基体浸漬時の塗布液のオーバーフロ
ーによる塗布液の乱れの影響を受けることなく塗布が行
えることから、均一な感光層を有する感光体を得ること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する塗布装置の概略図。
【符号の説明】
1 導電性基体(支持体) 2 昇降機 3 モーター 4 塗布層 5 塗布液 6 ポンプ 7 補助タンク(塗布液供給タンク) 8 基体(支持体)チャッキング装置 9 フィルター 10 オーバーフロー受け槽 11 冷却槽 12 チラーユニット
フロントページの続き (72)発明者 片山 聡 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 吉岡 孝司 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2H068 AA34 AA54 EA16 EA34 4D075 AB03 AB37 AB38 AB54 AB56 AB60 CA48 DA15 DA20 DC27

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 顔料分散系の塗布液を満たした塗布槽に
    円筒状基体を浸漬し、次いで基体を引き上げることによ
    り、基体上に感光層を形成する浸漬塗布法において、感
    光体用塗布液の液温を室温−3℃乃至室温−10℃の範
    囲とすることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 【請求項2】 顔料分散系の塗布液が、電荷発生層用の
    塗布液であることを特徴とする請求項1記載の電子写真
    感光体の製造方法。
  3. 【請求項3】 浸漬塗布法において、円筒状基体の浸漬
    速度を3mm/sec乃至30mm/secの範囲にす
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感
    光体の製造方法。
  4. 【請求項4】 浸漬塗布法において、円筒状基体を浸漬
    して次いで基体を引き上げる際の最下点で基体を一時停
    止させることを、特徴とする請求項1〜3のいずれかに
    記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 【請求項5】 浸漬塗布法において、円筒状基体を浸漬
    して次いで基体を引き上げる際の最下点での基体の停止
    時間を1sec乃至20secの範囲にすることを特徴
    とする請求項4に記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方
    法により製造されたことを特徴とする電子写真感光体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007225867A (ja) * 2006-02-23 2007-09-06 Ricoh Co Ltd 電子写真感光体の塗膜形成装置及び塗膜形成方法、電子写真感光体、それを用いた画像形成方法と画像形成装置及びプロセスカートリッジ

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