JP6824731B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
近年、電子写真装置ユーザーの要求が高度化し、出力される画像には従来よりも高画質であること及び使用期間における画質の変化がないことが求められている。
感光体表面の電位変動を抑制するための技術として、特許文献1には、特定の化合物を含む組成物の重合物を下引き層に含有し、電子線を照射して連鎖重合性官能基を有する化合物を重合させて得られる重合物を表面層に含有する電子写真感光体に関する技術が開示されている。
特開2015−210447号公報
電子写真装置ユーザーの多様化に伴い、画像の品質はもちろんのこと、操作性のよさや、メンテナンスの簡便さの向上という部分についても重要な要素となる。現在では、ユーザー自身による簡便な消耗品交換が行われるようになっているが、その場合にも、サービスマンによる交換と同様の画質を得られることが当然求められる。
本発明者らの検討の結果、特許文献1の構成を用いた電子写真感光体は白色光に長時間さらされた場合に、画像ムラという課題が生じることが明らかになった。
したがって本発明の目的は、白色光のもとに長時間曝された場合にも良質な画像を得ることができる電子写真感光体を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明にかかる電子写真感光体は、支持体、及び該支持体上に形成された電荷発生層と電荷輸送層と保護層を有する電子写真感光体であって
該電子写真感光体の電荷輸送層が
(α)下記一般式(A)で示される部分構造を有する電荷輸送物質
Figure 0006824731
(式(A)中、Ph及びPhはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のフェニル基である。)
(β)ポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種
(γ)安息香酸メチルまたは安息香酸エチルから選択される少なくとも1種
を含有し、該(γ)の含有量が該電荷輸送層に対して1.0質量%以上5.0質量%以下であり、
該電子写真感光体の保護層が
(δ)下記式(H−5)で示される正孔輸送物質を含有する混合物からなる重合物、および
下記一般式(G)で示される構造を有する化合物
を含有することを特徴とするものである。
Figure 0006824731
Figure 0006824731
(式(G)中、R は、水素原子、または、メチル基である。R は、炭素数が7以上の直鎖状のアルキル基、または、炭素数が7以上の分岐状のアルキル基である。)
また、上記電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置の本体に着脱自在であるプロセスカートリッジである。
また、上記電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有する電子写真装置である。
本発明によれば、光暴露によるメモリ(以下、光メモリ、フォトメモリとも表記する)を抑制し、良質な画像を得ることができる電子写真感光体ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することができる。
本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の例を示す図である。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
本発明における電子写真感光体は、上記のとおり、支持体、該支持体上に形成された電荷発生層及び電荷輸送層を有する感光層及び保護層を有する電子写真感光体において、
該電子写真感光体の電荷輸送層が、その構成成分として、上記(α)、上記(β)、上記(γ)を含有し、保護層が上記(δ)を含有することを特徴とする電子写真感光体である。以下、上記(α)を「化合物α」、上記(β)を「樹脂β」、上記(γ)を「化合物γ」、上記(δ)を「化合物δ」とも表記する。また、電子写真感光体を単に「感光体」とも表記する。
特許文献1に開示された技術に対する本発明の特徴は、安息香酸メチルまたは安息香酸エチルから選択される少なくとも1種を特定の量、電荷輸送層に含有させていることである。
本発明者らの検討によれば、特許文献1の構成では保護層を有した場合に、電荷輸送層中に含有する(γ)の量が少ないためにフォトメモリの抑制効果が充分に得られず、場合によっては課題が発生することが分かった。上記課題を解決するために本発明者らは、電荷輸送層中の(γ)の量を検討することにより、電荷輸送層に対して1.0質量%以上5.0質量%以下含有させ、保護層が下記一般式(H)で示される正孔輸送物質を含有する混合物からなる重合物を含有すること、さらに電荷輸送層が化合物αを含有することにより、光メモリを抑制することができることを見出した。
本発明の構成により、フォトメモリを抑制することができるメカニズムを以下のように考えている。保護層を有する感光体が長時間にわたって光暴露されると、一時的に保護層と電荷輸送層の間で過剰な電荷輸送をもたらすパスが形成されると本発明者らは考えている。化合物γを特定の量電荷輸送層が含有することによって前記のパスを通る過剰な電荷の一部をトラップすることにより過剰な電荷移動が抑制され、結果としてフォトメモリが抑制されていると推測できる。
本発明の構成成分である化合物α、化合物γ、化合物δの組み合わせがパスのでき方、過剰な電荷のトラップに対して適切に作用しあうことによって本発明の効果を達成することが可能となる。
本発明によれば、従来用いられている遮光シートや遮光部材を用いない場合にもフォトメモリを低減することが可能となる。
<化合物αについて>
化合物αは電荷輸送物質の少なくとも1種の化合物を示す。本発明で用いられる電荷輸送物質としては、例えば、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、エナミン化合物が挙げられる。
本発明において、前記電荷輸送物質は下記式(A)で示される部分構造を有する電荷輸送物質であることが好ましい。
Figure 0006824731
式(A)中、Ph及びPhはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のフェニル基である。
上記式(A)で示される部分構造を有する電荷輸送物質は、下記式(B)で示される化合物であることが好ましい。
Figure 0006824731
式(B)中のPh及びPhはそれぞれ独立に置換もしくは無置換のフェニル基、Arは置換もしくは無置換のアリール基を示す。
上記式(A)で示される部分構造を有する電荷輸送物質は下記構造式(A−1)〜(A−7)で示される化合物であることが好ましく、中でも下記構造式(A−1)、(A−2)、(A−4)で示される電荷輸送物質であることがさらに好ましい。
Figure 0006824731
<樹脂βについて>
樹脂βは結着樹脂であり、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、塩化ビニリデン、アクリロニトリル共重合体、ポリビニルベンザール樹脂が挙げられる。これらは、単独、混合または共重合体として、1種または2種以上用いることができる。
本発明において、前記ポリカーボネート樹脂は下記式(C)で示される繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂であることが好ましい。前記ポリエステル樹脂は下記式(D)で示される繰り返し構造単位を有するポリエステル樹脂であることが好ましい。
Figure 0006824731
式(C)中、R11〜R14は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を示す。Xは、単結合、シクロヘキシリデン基、または、下記式(E)で示される2価の基を示す。
式(D)中、R21〜R24は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を示す。Xは、単結合、シクロヘキシリデン基、または、下記式(E)で示される2価の基を示す。Yは、m−フェニレン基、p−フェニレン基または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。
Figure 0006824731
式(E)中、R31及びR32は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはフェニル基を示す。
以下に、式(C)で示されるポリカーボネート樹脂の繰り返し構造単位の具体例を示す。
Figure 0006824731
ポリカーボネート樹脂は上記の(C−1)〜(C−8)の構造単位のうち、1種の重合体でも、2種以上の共重合体であってもよい。これらの中でも、式(C−1)、(C−2)、(C−4)で示される繰り返し構造単位が好ましい。
以下に、式(D)で示されるポリエステル樹脂の繰り返し構造単位の具体例を示す。
Figure 0006824731
Figure 0006824731
ポリエステル樹脂は上記の(D−1)〜(D−9)の構造単位のうち、1種の重合体でも、2種以上の共重合体であってもよい。これらの中でも、式(D−1)、(D−2)、(D−3)、(D−6)、(D−7)、(D−8)で示される繰り返し構造単位が好ましい。
上記ポリカーボネート樹脂、及び上記ポリエステル樹脂は、例えば従来からのホスゲン法で合成することができる。また、エステル交換法によって合成することも可能である。
上記ポリカーボネート樹脂、及び上記ポリエステル樹脂のその共重合形態は、ブロック共重合、ランダム共重合、交互共重合などいずれの形態であってもよい。
これらのポリカーボネート樹脂、及びポリエステル樹脂の重量平均分子量としては20000以上300000以下が好ましく、50000以上250000以下がより好ましい。本発明における樹脂の重量平均分子量とは、特開2007−79555号公報に記載の方法により測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<化合物γについて>
化合物γは安息香酸メチル、安息香酸エチルから選択される少なくとも1種の化合物を示す。
本発明の効果を得るために、該電荷輸送層に対して1.0質量%以上5.0質量%以下であり、好ましくは1.5質量%以上5.0質量%以下である。さらに、該(γ)は安息香酸メチルであることが好ましい。
<化合物δについて>
化合物δは下記一般式(H)で示される構造を有する化合物を示す。式(H)中、Z、Z、及びZは置換もしくは無置換のアリール基である。置換基としてはアルキル基、ハロゲン原子、アクリル基、メタクリル基を有してもよい。中でも(H−1)〜(H−14)で示される構造を有する化合物が好ましい。電荷輸送層との電荷の授受のしやすさの観点から(H−5)、(H−9)であることが好ましく、本発明の効果をより効率的に得ることができる。
また、保護層の構成成分のうち化合物δを含有する混合物からなる重合物の量が30質量%〜100質量%であることが好ましい。
Figure 0006824731
Figure 0006824731
Figure 0006824731
<化合物γの含有量について>
上記のように、電荷輸送層の全質量に対して1.0質量%以上5.0質量%以下、好ましくは1.5質量%以上5.0質量%以下の量の(γ)を含有することで本発明の効果を得ることが可能となる。
電荷輸送層中の(γ)の前記電荷輸送層の全質量に対する含有量比は以下に示す測定方法により求めることができる。四重極型GC/MSシステムTRACE ISQ(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製)を用いて測定した。
製造した電子写真感光体の表面を研磨シートで研磨することにより保護層を除去した後、5mm×40mmの試料片(以下感光体試料片という)として切り出し、バイアル瓶に入れた。ヘッドスペースサンプラー(TurboMatrix HS40(Perkin Elmer(株)))の設定をOven 200℃、Loop 205℃、Transfer Line 205℃に設定した。発生したガスをガスクロマトグラフィーで測定することにより電荷輸送層中に含有する(γ)の量を検量線から求めた。保護層の除去方法は電荷輸送層に影響を及ぼさない限り自由に選択することができる。
電荷輸送層の質量は測定後にバイアル瓶から取り出した感光体試料片の質量と、電荷輸送層を剥がした試料片の質量の差分から求める。電荷輸送層の質量と上記(γ)の含有量から電荷輸送層の全質量に対する(γ)の含有量比を算出した。
電荷輸送層を剥がした試料片とは、バイアル瓶から取り出した感光体試料片をメチルエチルケトンに5分間浸漬して電荷輸送層を剥がした後、試料片を50℃で5分乾燥させたものとした。
[電子写真感光体]
本発明の電子写真感光体は、電荷発生層と、電荷輸送層と、保護層とを有することを特徴とする。
本発明の電子写真感光体を製造する方法としては、後述する各層の塗布液を調製し、所望の層の順番に塗布して、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、インクジェット塗布、ロール塗布、ダイ塗布、ブレード塗布、カーテン塗布、ワイヤーバー塗布、リング塗布などが挙げられる。これらの中でも、効率性及び生産性の観点から、浸漬塗布が好ましい。以下、各層について説明する。
<支持体>
本発明において、電子写真感光体は、支持体を有する。本発明において、支持体は導電性を有する導電性支持体であることが好ましい。また、支持体の形状としては、円筒状、ベルト状、シート状などが挙げられる。中でも、円筒状支持体であることが好ましい。また、支持体の表面に、陽極酸化などの電気化学的な処理や、ブラスト処理、切削処理などを施してもよい。
支持体の材質としては、金属、樹脂、ガラスなどが好ましい。
金属としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金、ステンレスや、これらの合金などが挙げられる。中でも、アルミニウムを用いたアルミニウム製支持体であることが好ましい。
また、樹脂やガラスには、導電性材料を混合または被覆するなどの処理によって、導電性を付与してもよい。
<導電層>
本発明において、支持体の上に、導電層を設けてもよい。導電層を設けることで、支持体表面の傷や凹凸を隠蔽することや、支持体表面における光の反射を制御することができる。
導電層は、導電性粒子と、樹脂と、を含有することが好ましい。
導電性粒子の材質としては、金属酸化物、金属、カーボンブラックなどが挙げられる。
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ビスマスなどが挙げられる。金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などが挙げられる。
これらの中でも、導電性粒子として、金属酸化物を用いることが好ましく、特に、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、金属酸化物の表面をシランカップリング剤などで処理したり、金属酸化物にリンやアルミニウムなどの元素やその酸化物をドーピングしたりしてもよい。
また、導電性粒子は、芯材粒子と、その粒子を被覆する被覆層とを有する積層構成としてもよい。芯材粒子としては、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛などが挙げられる。被覆層としては、酸化スズなどの金属酸化物が挙げられる。
また、導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、その体積平均粒子径が、1nm以上500nm以下であることが好ましく、3nm以上400nm以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
また、導電層は、シリコーンオイル、樹脂粒子、酸化チタンなどの隠蔽剤などをさらに含有してもよい。
導電層の平均膜厚は、1μm以上50μm以下であることが好ましく、3μm以上40μm以下であることが特に好ましい。
導電層は、上記の各材料及び溶剤を含有する導電層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。導電層用塗布液中で導電性粒子を分散させるための分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
<下引き層>
本発明において、支持体または導電層の上に、下引き層を設けてもよい。下引き層を設けることで、層間の接着機能が高まり、電荷注入阻止機能を付与することができる。
下引き層は、樹脂を含有することが好ましい。また、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として下引き層を形成してもよい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。
重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アルキル化メチロール基、エポキシ基、金属アルコキシド基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、カルボン酸無水物基、炭素−炭素二重結合基などが挙げられる。
また、下引き層は、電気特性を高める目的で、電子輸送物質、金属酸化物、金属、導電性高分子などをさらに含有してもよい。これらの中でも、電子輸送物質、金属酸化物を用いることが好ましい。
電子輸送物質としては、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物、フルオレノン化合物、キサントン化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノビニル化合物、ハロゲン化アリール化合物、シロール化合物、含ホウ素化合物などが挙げられる。電子輸送物質として、重合性官能基を有する電子輸送物質を用い、上記の重合性官能基を有するモノマーと共重合させることで、硬化膜として下引き層を形成してもよい。
金属酸化物としては、酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素などが挙げられる。金属としては、金、銀、アルミなどが挙げられる。
また、下引き層は、添加剤をさらに含有してもよい。
下引き層の平均膜厚は、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.2μm以上40μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
下引き層は、上記の各材料及び溶剤を含有する下引き層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥及び/または硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
<感光層>
電子写真感光体の感光層には、積層型感光層と、単層型感光層とがある。積層型感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、を有する。また単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を共に含有する感光層を有する。本願発明の実施形態における電子写真感光体の感光層は、積層型感光層であることが好ましい。
積層型感光層の有する電荷発生層は、電荷発生物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷発生物質としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシアニン顔料、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂がより好ましい。
また、電荷発生層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤をさらに含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、などが挙げられる。
電荷発生層の平均膜厚は、0.1μm以上1μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.4μm以下であることがより好ましい。
電荷発生層は、上記の各材料及び溶剤を含有する電荷発生層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
積層型感光層の有する電荷輸送層は、電荷輸送物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷輸送物質としては、前記化合物(α)を含有する。中でも、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物が好ましい。また、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などを含有しても構わない。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して、25質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、前記のように式(C)で示されるポリカーボネート樹脂及び式(D)で示されるポリエステル樹脂を単独で、または混合して含有することが好ましい。また、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂などを含有しても構わない。
本発明の効果を効率的に得るにあたり下記式(F)で示す構造を有する樹脂を含有することが保護層と電荷輸送層間の一時的に生じる過剰な電荷移動の抑制の観点から好ましい。
Figure 0006824731
電荷輸送物質と樹脂との含有量比(質量比)は、4:10〜20:10が好ましく、5:10〜12:10がより好ましい。
また、電荷輸送層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
電荷輸送層の平均膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、8μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
電荷輸送層は、上記の各材料及び溶剤を含有する電荷輸送層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。
<保護層>
本発明において保護層は、前記式(H)で示される正孔輸送物質を含有する混合物からなる重合物を含有し、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として形成する。その際の反応としては、熱重合反応、光重合反応、放射線重合反応などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーとして、電荷輸送能を有する材料を用いてもよい。
また、導電性粒子及び/または電荷輸送物質と、樹脂とを含有してもよい。導電性粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物の粒子が挙げられる。
電荷輸送物質として、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などを含有させても構わない。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
保護層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤、などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。本発明の効果を得るために、下記構造式(G)で示される化合物(長鎖アルキル基含有ビニルエステル化合物)を含有することがより効率的に保護層と電荷輸送層間の一時的に生じる過剰な電荷移動の抑制の観点から好ましい。式(G)中、Rは、水素原子、または、メチル基である。Rは、炭素数が7以上の直鎖状のアルキル基、または、炭素数が7以上の分岐状のアルキル基である。
Figure 0006824731
保護層の平均膜厚は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることがより好ましい。
保護層は、上記の各材料及び溶剤を含有する保護層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥及び/または硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、スルホキシド系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
[プロセスカートリッジ、電子写真装置]
本発明のプロセスカートリッジは、これまで述べてきた電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とする。
また、本発明の電子写真装置は、これまで述べてきた電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする。
図1に、電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の一例を示す。
1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1の表面は、帯電手段3により、正または負の所定電位に帯電される。なお、図においては、ローラ型帯電部材によるローラ帯電方式を示しているが、コロナ帯電方式、近接帯電方式、注入帯電方式などの帯電方式を採用してもよい。帯電された電子写真感光体1の表面には、露光手段(不図示)から露光光4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5内に収容されたトナーで現像され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により、転写材7に転写される。トナー像が転写された転写材7は、定着手段8へ搬送され、トナー像の定着処理を受け、電子写真装置の外へプリントアウトされる。電子写真装置は、転写後の電子写真感光体1の表面に残ったトナーなどの付着物を除去するための、クリーニング手段9を有していてもよい。また、クリーニング手段を別途設けず、上記付着物を現像手段などで除去する、所謂、クリーナーレスシステムを用いてもよい。電子写真装置は、電子写真感光体1の表面を、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理する除電機構を有していてもよい。また、本発明のプロセスカートリッジ11を電子写真装置本体に着脱するために、レールなどの案内手段12を設けてもよい。
本発明の電子写真感光体は、レーザービームプリンター、LEDプリンター、複写機、ファクシミリ、及び、これらの複合機などに用いることができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例の記載において、「部」および「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
・電荷輸送層用塗布液の製造例
以下に電荷輸送層が有する樹脂βとして用いた具体的な樹脂を示す。
Figure 0006824731
(電荷輸送層用塗布液1の製造例)
上記式(A−1)で示される化合物(電荷輸送物質)60部、
上記式(A−2)で示される化合物(電荷輸送物質)10部、
上記式(A−4)で示される化合物(電荷輸送物質)30部、
樹脂A1を100部、
上記式Fで示される構造を有するポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量Mv:20000)を0.2部
o−キシレン272部、
安息香酸メチル256部、及び、
ジメトキシメタン(メチラール)272部
を混合し、電荷輸送層用塗布液とした。詳細を表2に示す。
得られた電荷輸送層用塗布液を「電荷輸送層用塗布液1」とする。
(電荷輸送層用塗布液2〜電荷輸送層用塗布液4の製造例)
電荷輸送層用塗布液1の製造例において、o−キシレン、安息香酸メチル、ジメトキシメタンの量を表2に示すように変更した以外はすべて電荷輸送層用塗布液1の製造例と同様に作製した。得られた電荷輸送層用塗布液を「電荷輸送層用塗布液2〜電荷輸送層用塗布液4」とする。
(電荷輸送層用塗布液5〜電荷輸送層用塗布液8の製造例)
電荷輸送層用塗布液1の製造例において、それぞれの構成要素を表2に示すように変更した以外はすべて電荷輸送層用塗布液1の製造例と同様に作製した。得られた電荷輸送層用塗布液を「電荷輸送層用塗布液5〜電荷輸送層用塗布液8」とする。
(電荷輸送層用塗布液101)
電荷輸送層用塗布液1の製造例において、それぞれの構成要素を表2に示すように変更した以外はすべて電荷輸送層用塗布液1の製造例と同様に作製した。得られた電荷輸送層用塗布液を「電荷輸送層用塗布液101」とする。
(電荷輸送層用塗布液102)
電荷輸送層用塗布液6の製造例において、それぞれの構成要素を表2に示すように変更した以外はすべて電荷輸送層用塗布液6の製造例と同様に作製した。得られた電荷輸送層用塗布液を「電荷輸送層用塗布液102」とする。
(電荷輸送層用塗布液103)
電荷輸送層用塗布液1の製造例において、安息香酸メチルを加えることはしなかった。さらに、o−キシレン、ジメトキシメタンの量を表2に示すように変更した以外は電荷輸送層用塗布液1の製造例と同様に作製した。得られた電荷輸送層用塗布液を「電荷輸送層用塗布液103」とする。
(電荷輸送層用塗布液104の製造例)
電荷輸送層用塗布液1の製造例において、
上記構造式(A−4)で示される化合物を加えず、
上記構造式(A−1)で示される化合物(電荷輸送性化合物(正孔輸送性化合物))90部、
上記構造式(A−2)で示される化合物(電荷輸送性化合物(正孔輸送性化合物))10部、
とした。さらに、上記式(F)で示される構造を有するポリカーボネート樹脂、o−キシレン、安息香酸メチル、ジメトキシメタンの量を表2に示すように変更した以外はすべて電荷輸送層用塗布液1の製造例と同様に作製した。得られた電荷輸送層用塗布液を「電荷輸送層用塗布液104」とする。
(電荷輸送層用塗布液105の製造例)
電荷輸送層用塗布液1の製造例において、
上記構造式(A−4)で示される化合物を加えず、
上記構造式(A−1)で示される化合物(電荷輸送性化合物(正孔輸送性化合物))90部、
上記構造式(A−2)で示される化合物(電荷輸送性化合物(正孔輸送性化合物))10部、
とした。さらに、上記式(F)で示される構造を有するポリカーボネート樹脂、o−キシレン、安息香酸メチル、ジメトキシメタンの量を表2に示すように変更した以外はすべて電荷輸送層用塗布液1の製造例と同様に作製した。得られた電荷輸送層用塗布液を「電荷輸送層用塗布液105」とする。
Figure 0006824731
(保護層用塗布液1)
特開2009−104145の(合成例(E−3))に記載の方法で、下記式(X)で示される化合物が主成分である生成物を得た。
Figure 0006824731
続いて、同じく特開2009−104145の(製造例(A−1))に記載の方法で、下記式(Y)で示される化合物が主成分である生成物を得た。
Figure 0006824731
次に、撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計及びガス吹込口を取り付けたガラスフラスコに、以下の各成分を導入した。
上記式(X)で示される化合物が主成分である生成物 70部
上記式(Y)で示される化合物が主成分である生成物 30部
トリフルオロトルエン 270部
AIBN 0.35部
このフラスコに窒素ガスを導入し、還流下(約100℃に加熱)で、15時間反応させた。この反応液を10倍量のメタノール中に投入、沈澱させ、濾過を行った。
得られた濾物1部を、メタノール43部及びイオン交換水17部の混合溶液中にて10℃で15分撹拌した後、ポリプロピレンフィルターにて遠心濾過を行った。得られた濾物にさらにメタノール40部を加え、10℃で40分撹拌した後、ポリプロピレンフィルターにて遠心濾過を行った。得られた濾物を8時間以上風乾した後、撹拌機付き減圧乾燥機にて、70℃、内圧260mmHG以下で3時間、減圧乾燥した。このようにして、上記式(X)の重合体(Z)を得た。なお、この重合体(Z)の重量平均分子量は、72,000であった。
前記重合体(Z)1.5部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)42部及び1−プロパノール48部の混合溶剤に溶解した。その後、四フッ化エチレン樹脂粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)30部を加えた液を、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics(株)製)にて40MPaの圧力で4回通過させて、四フッ化エチレン樹脂粒子の分散液を得た。その後、前記式(H−5)で示される正孔輸送性化合物70部、前記式(G)中、Rが水素であり、RがC1123である化合物2.8部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン30部及び1−プロパノール30部を前記分散液に加え、ポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行い、保護層用塗布液1を調製した。
(保護層用塗布液2)
前記重合体(Z)1.5部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)42部及び1−プロパノール48部の混合溶剤に溶解した。その後、四フッ化エチレン樹脂粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)30部を加えた液を、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics(株)製)にて40MPaの圧力で4回通過させて、四フッ化エチレン樹脂粒子の分散液を得た。その後、前記式(H−5)で示される正孔輸送物質70部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン30部及び1−プロパノール30部を前記分散液に加え、ポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行い、保護層用塗布液2を調製した。
・電子写真感光体の製造例
(感光体1の製造例)
直径30mm、長さ357.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)とした。
次に、酸化スズで被覆されている硫酸バリウム粒子(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製)60部、酸化チタン粒子(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製)15部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J−325、DIC(株)製、固形分70質量%)43部、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)0.015部、シリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)3.6部、2−メトキシ−1−プロパノール50部、及び、メタノール50部を、ボールミルに入れ、20時間分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を1時間140℃で加熱し、硬化させることによって、膜厚15μmの導電層を形成した。
次に、共重合ナイロン(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)10部及びメトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、ナガセケムテックス(株)製)30部を、メタノール400部/n−ブタノール200部の混合溶剤に溶解させることによって、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間100℃で乾燥させることによって、膜厚0.45μmの下引き層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°及び28.2°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)20部、下記構造式(1)で示されるカリックスアレーン化合物0.2部、
Figure 0006824731
ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)10部、及び、シクロヘキサノン600部を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミルに入れた。そして、4時間分散処理した後、酢酸エチル700部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を15分間80℃で乾燥させることによって、膜厚0.17μmの電荷発生層を形成した。
次に、電荷輸送層用塗布液1を電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を50分間95℃で乾燥させることによって、膜厚18μmの電荷輸送層を形成した。電荷輸送層を形成する条件の詳細を表3に示す。
次に、保護層用塗布液1を上記電荷輸送層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を5分間50℃で乾燥させた。乾燥後、窒素雰囲気下にて、加速電圧60kV、吸収線量8000Gyの条件で1.6秒間電子線を塗膜に照射した。なお、電子線の照射から1分間の加熱処理までの酸素濃度は20ppmであった。その後、窒素雰囲気下にて、25℃から110℃まで10秒かけて昇温させた。次に、大気中において、100℃の乾燥炉で10分加熱処理を行い、膜厚5μmである保護層を形成した。得られた感光体を「感光体1」とする。保護層は理研コランダム(株)製の研磨シート(GC3000)により除去し、前記の方法で電荷輸送層に含まれる安息香酸メチルの含有量を測定すると、2.45%であった。電荷輸送層及び保護層の詳細を表3に示す。
(感光体2〜感光体26の製造例)
感光体1と同様にして電荷発生層まで形成した後、表3に示す電荷輸送層用塗布液、乾燥時間、乾燥温度を用いて表3に示す膜厚の電荷輸送層を形成した。その後表3に示す保護層用塗布液を用いた以外は感光体1と同様にして保護層を形成した。得られた感光体を「感光体2〜感光体26」とする。
(感光体27の製造例)
直径30mm、長さ357.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)とした。
次に、金属酸化物として酸化亜鉛粒子(比表面積:19m/g、粉体抵抗:4.7×10Ω・cm)100部をトルエン500部と撹拌混合し、これにシランカップリング剤0.8部を添加し、6時間撹拌した。その後、トルエンを減圧留去して、130℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。シランカップリング剤としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM602、信越化学工業(株)製)を用いた。
次に、ポリオールとしてのブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学工業(株)製)15部及びブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)15部を、メチルエチルケトン73.5部及び1−ブタノール73.5部の混合溶剤に溶解させた。得られた溶液に上記表面処理された酸化亜鉛粒子80.8部及び2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン0.8部(東京化成工業(株)製)を加えた。これを直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下で3時間分散処理した。分散処理後、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング社製)0.01部及び架橋ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子(商品名:TECHPOLYMER SSX−102、積水化成品工業(株)製、平均一次粒径2.5μm)を5.6部加えて撹拌し、下引き層用塗布液を調製した。
この下引き層用塗布液を上記支持体上に浸漬塗布して塗膜を形成し、この塗膜を40分間160℃で乾燥させて、膜厚が18μmの下引き層を形成した。
次に、感光体1の製造例と同様に電荷発生層、電荷輸送層、保護層を形成した。詳細を表3に示す。得られた感光体を「感光体27」とする。
(感光体28〜感光体37の製造例)
感光体27の製造例と同様に電荷発生層まで形成したのち、表3に示す電荷輸送層用塗布液、乾燥時間、乾燥温度を用いて表3に示す膜厚の電荷輸送層を形成した。その後表3に示す保護層用塗布液を用いた以外は感光体1と同様にして保護層を形成した。得られた感光体を「感光体28〜感光体37」とする。
(感光体101〜感光体108の製造例)
感光体1の製造例と同様に電荷発生層まで形成したのち、表3に示す電荷輸送層用塗布液、乾燥時間、乾燥温度を用いて表3に示す膜厚の電荷輸送層を形成した。その後表3に示す保護層用塗布液を用いた以外は感光体1と同様にして保護層を形成した。得られた感光体を「感光体101〜感光体108」とする。
(感光体1の評価)
感光体1を2本用意し、そのうち1本を評価装置であるキヤノン社製の電子写真装置(複写機)(商品名:iR−ADV C5255)の改造機のシアンステーションに装着し、23℃/50%RH環境下で、電子写真感光体の暗部電位(Vd)が−700V、レーザー光が感光体表面で0.35μJ/cmになるように帯電装置及び画像露光装置の条件をあらかじめ調整した。
次に、準備したもう一方の感光体1の表面に、感光体の回転方向に15mm、感光体の長手方向に100mmの長方形状に穴をあけた遮光シートを巻きつけ、1500lxの昼白色光に5分間曝した。その後、上記評価装置のシアンステーションに設置してあらかじめ設定した条件で光暴露終了から5分後に感光体の表面電位の測定を行った。
遮光シートに穴をあけ、昼白色光に曝した部分と、遮光した部分との明部電位の差の絶対値をフォトメモリとした。ランクについては下記のように設定した。
A:0〜4V
B:5〜9V
C:10〜15V
D:16〜24V
E:25V以上
上記評価は感光体に遮光部材がついていない場合にどの程度メモリが生じるのかを評価するための手法として用いた。
評価結果を表3に示す。
(感光体2〜感光体37の評価)
感光体1の評価と同様にして評価を行った。結果を表3に示す。
(感光体101〜感光体108の評価)
感光体1の評価と同様にして評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 0006824731
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
9 クリーニング手段
10 前露光光

Claims (9)

  1. 支持体、及び該支持体上に形成された電荷発生層と電荷輸送層と保護層を有する電子写真感光体であって
    該電子写真感光体の電荷輸送層が
    (α)下記一般式(A)で示される部分構造を有する電荷輸送物質
    (β)ポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種
    (γ)安息香酸メチルまたは安息香酸エチルから選択される少なくとも1種
    を含有し、
    該(γ)の含有量が該電荷輸送層に対して1.0質量%以上5.0質量%以下であり、
    該電子写真感光体の保護層が
    (δ)下記式(H−5)で示される正孔輸送物質を含有する混合物からなる重合物、および
    下記一般式(G)で示される構造を有する化合物
    を含有する
    ことを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0006824731
    (式(A)中、Ph及びPhはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のフェニル基である。)
    Figure 0006824731
    Figure 0006824731
    (式(G)中、R は、水素原子、または、メチル基である。R は、炭素数が7以上の直鎖状のアルキル基、または、炭素数が7以上の分岐状のアルキル基である。)
  2. 前記(γ)の含有量が、前記電荷輸送層に対して1.5質量%以上5.0質量%以下である
    請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記電荷輸送層が下記構造(F)を有する化合物を含有する請求項1または2に記載の電子写真感光体。
    Figure 0006824731
  4. 前記γが安息香酸メチルである請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記式(A)で示される部分構造を有する電荷輸送物質が、下記式(B)で示される化合物である請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
    Figure 0006824731
    (式(B)中のPh及びPhはそれぞれ独立に置換もしくは無置換のフェニル基、Arは置換もしくは無置換のアリール基を示す。)
  6. 前記式(A)で示される部分構造を有する電荷輸送物質が、下記構造式(A−1)〜(A−7)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物である請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
    Figure 0006824731
  7. 前記式(A)で示される部分構造を有する電荷輸送物質が、前記構造式(A−1)、(A−2)、および(A−4)で示される構造を有する電荷輸送物質からなる群から選択される少なくとも一つの電荷輸送物質である請求項に記載の電子写真感光体。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置の本体に着脱自在であるプロセスカートリッジ。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有する電子写真装置。
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