JP2000181097A - 電子写真感光体、その製造方法および画像形成装置 - Google Patents
電子写真感光体、その製造方法および画像形成装置Info
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Abstract
写真感光体およびそれを製造する方法を提供する。 【解決手段】 導電性基体上に塗布によって設けた電荷
発生層とその上に形成された電荷輸送層とよりなる積層
型電子写真感光体であって、電荷発生層の潜像形成領域
における膜厚が、塗布開始端側から塗布終端側にかけて
漸次薄くなっている。この電子写真感光体は、電荷発生
層の浸漬塗布による形成に際して、実際の電荷発生層形
成用塗布液の塗布速度が内挿値となるように、予め2条
件以上の塗布速度から、塗布速度と電荷発生層の膜厚と
の関係を求めておき、この関係を利用して、潜像形成領
域の塗布開始端の膜厚が塗布終了端の膜厚よりも薄くな
るように塗布開始端から塗布終了端までの各位置の塗布
速度を数学上の関数として設定し、その関数に従った塗
布速度になるように塗布速度を制御して電荷発生層形成
用塗布液を塗布することによって形成される。
Description
ように露光した場合、画像形成領域において電位むらの
より少なく、また、感光体構成各層での欠陥のより少な
い電子写真感光体、それを製造する方法、およびそれを
用いた画像形成装置に関する。
成からなり、2層構成の場合は、電荷注入阻止のための
処理を行った導電性基体の上に電荷発生層、その上に電
荷輸送層が設けられた構成になっており、3層構成の場
合は、導電性基体の上に電荷注入阻止のための下引き
層、その上に順次電荷発生層及び電荷輸送層が設けられ
た構成になっている。さらにその上に保護層を設けるこ
とも行われている。ところで、これら電子写真感光体に
おける積層型の感光層は、有機系光導電性材料を結着剤
樹脂と共に有機溶剤に溶解又は分散させて感光体塗布液
を調製し、この感光体塗布液を導電性基体の上に順次浸
漬塗布し、乾燥させることにより形成されるが、一般に
は、順次各機能層を積層して電荷発生層を形成した後、
最後に電荷輸送層を浸漬塗布により形成し、乾燥工程を
経て感光体ドラムが完成する。
電子写真感光体は、それをフルカラープリンターに入
れ、電子情報による画像を再現した場合、現像の関与お
よびレーザー光での書き込みの関与による影響を除いた
場合においても、画像プリント1枚の中の濃度に微妙な
差が生じる。このような濃度の微妙な差は、単色の黒の
場合は目立つことが少ないが、4色を重ねあわせたフル
カラー画像の場合、特に肌色の部分では敏感にその差が
生じ、それを検出することが可能であり、そして物理的
定量性を持たせるために、色差という指標を用いること
により定量的表示が可能になる。色差については、簡単
に後述するが、その値が電子写真感光体とプリンターの
それぞれの関与による影響を併せて3の値を超えると、
目視での相違、いわゆる色味が異なることが認められ
る。
と、感光体ドラムの上端と下端とで色味が異っており、
感光体ドラムの回転方向では殆ど差の無いことが判明し
た。これは各色の現像性に差のあることがその原因であ
ると推定されるので、中間色に相当する感光体の電位に
ついて調査したところ、この色味が異なる方向での電位
について傾きが存在することが判明した。そしてこの電
位の傾きの形成の原因として、電荷発生層の膜厚の相違
により、感度差が発生しているとの仮説を立て、電荷発
生層の膜厚を感光体長手方向で測定したところ、いずれ
の場所でも殆ど差が無いことが確認された。この事実に
より、色味が異なる方向での電位について傾きが存在す
ることは、電荷発生層の膜厚以外にその原因があると推
測することができる。そして塗布開始端(上端)で感度
が低く、塗布終了端(下端)で感度が高いという結果と
なる。
題がある。すなわち、電荷輸送層を形成する場合、ドラ
ムを一旦塗布液に沈み込ませた後、徐々に引き上げる工
程を経ることにより電荷輸送層が形成される。この場
合、上端部分では沈み込ませた直後、ほぼ数秒後には引
き上げを開始するため、上端部分での電荷発生層と電荷
輸送層との接触している時間と、下端部分での電荷発生
層と電荷輸送層との接触している時間は異なり、下端部
分ではドラム全長を引き抜き速度で割った時間、概ね数
分の間、上端部分よりも電荷輸送層液に浸漬している時
間が長いことになる。より具体的には上端部では数秒な
いし10秒程度、下端部分では3分程度となり、その差
は3分程度である。その結果、下端側が高感度になる。
造方法により作製された感光体ドラムには、ドラム表面
の各点において、明減衰性能が僅かずつ異なり、したが
って感光体ドラム全面にわたり同じ光量で露光した場
合、表面の電位は同一にはならない。特にドラムの上端
部分から下端部分に向け、実質上感度が上昇して行き、
同一露光時の電位を比較すると、上端側で高く、下端側
で低い傾向が認められた。その値は、一般的なカラー複
写機、プリンタ等で使用される−600V〜−700V
近辺での帯電電位において、露光部した後の電位が−2
00V〜−300Vの画像範囲の場合、最大電位と最小
電位の電位差が40V程度にもなり、また特に注目され
る中間部分、および500V前後の帯電電位でさえ20
V程度の電位むらがあり、この電位差がプリント画像の
むら発生に関与して、特にカラープリントでは1枚のプ
リント面内で微妙な色の相違を生じるという問題があ
る。
慮して、電荷輸送層形成用塗布液に浸漬する際の浸漬速
度を、実験室レベルよりも速くすると、結果として電荷
発生材料のブロック状(塊様)溶出と、この溶出物が感
光体下端で電荷輸送層に再付着することにより、感光体
下端部において画質欠陥を発生させるという問題も抱え
ている。
種々実験、調査した結果、上記の現象は、電荷発生層上
に電荷輸送層形成用塗布液を塗布する際における前記し
た浸漬時間の差に起因しており、また、電荷発生層から
電荷発生材料が電荷輸送層形成用塗布中に溶出し、その
後に電荷輸送材料が近接して存在するために、電荷発生
後、電荷輸送層への電荷注入が容易になり、事実上の感
度上昇が生じるものと考えられ、そして実験的には、全
体の浸漬時間を延長することによって或る程度の改善の
見込めることが判明した。
産性が犠牲となり、感光体ドラムのコスト増になるとい
う問題があった。従来公知の浸漬塗布によっては、塗布
開始端から、塗布終了端に向かい事実上の感度低下が発
生しているため、感光体ドラムの塗膜形成時において、
電荷輸送層を形成する時点において、予め塗布開始端側
で感度を高くしておく必要がある。また、このようにし
て作製された感光体ドラムの下端表面には、少数ではあ
るが、電荷輸送層中に粒状の欠陥が確認され、プリント
するとこれが画質欠陥として現れることが確認された。
その発生機構は、感光体ドラムを電荷輸送層形成用塗布
液に浸漬する時点で、下方に移動する感光体ドラムと上
方に移動する塗布液との接触作用によって、電荷発生層
表面を溶かし、電荷輸送層形成用塗布液に巻き込まれて
感光体下端部に付着し、画質欠陥が発生すると考えられ
る。
のであって、その目的は、画像形成領域において電位む
らの少ない電子写真感光体およびそれを製造する方法を
提供することにある。
題を解決するために、電荷発生層の膜厚を調整すること
を検討した結果、本発明を完成したものである。原理的
には塗布開始端から塗布終了端に向かって、電荷発生層
膜厚に勾配を持たせることによって、上記の課題を解決
することができる。電荷発生層の膜厚が厚くなると、同
じ入射光量に対して発生するキャリアが多くなり、高感
度になる。
基体上に塗布によって設けた電荷発生層とその上に形成
された電荷輸送層とよりなり、電荷発生層の潜像形成領
域における膜厚が塗布開始端側から塗布終端側にかけて
漸次薄くなっていることを特徴とする。なお、勾配につ
いては、塗布開始端から塗布終了端に向かって、必ずし
も均一に膜厚に勾配を持たせる必要はない。
位置における周方向の膜厚の平均値を一次回帰した場
合、回帰係数が負となり、且つdT/dL≦0(ここで
dT/dLは感光体ドラムの長手方向の微小区間(d
L)における電荷発生層の膜厚(dT)の傾きを示
す。)となる膜厚部分が、潜像形成領域の塗布開始端側
から塗布終了端側のいずれの位置においても存在するよ
うに電荷発生層形成用塗布液を塗布して形成すればよ
い。なお、部分的にはdT/dL>0となる場合、すな
わち、傾きが正の部分があってもよい。
造方法は、電荷発生層の浸漬塗布による形成に際して、
実際の電荷発生層形成用塗布液の塗布速度が内挿値とな
るように、予め2条件以上の塗布速度から、塗布速度と
電荷発生層の膜厚との関係を求めておき、この関係を利
用して、潜像形成領域の塗布開始端の膜厚が塗布終了端
の膜厚よりも薄くなるように塗布開始端から塗布終了端
までの各位置の塗布速度を数学上の関数として設定し、
その関数に従った塗布速度になるように塗布速度を制御
して電荷発生層形成用塗布液を塗布することを特徴とす
る。
層の形成においては、実際の電荷発生層形成用塗布液の
塗布速度が内挿値となるように、予め2条件以上の塗布
速度から、塗布速度と電荷発生層の膜厚との関係を求め
ておき、塗布開始端から塗布終了端まで一定速度で塗布
した場合の潜像形成領域の塗布開始端から塗布終了端ま
での膜厚分布と露光後電位の分布を基準として、露光後
電位が所望の分布になるように上記の関係を利用して塗
布開始端および塗布終了端の塗布速度を設定し、塗布開
始端から塗布終了端の塗布速度までの各位置における塗
布速度を数学上の関数により決定し、その関数に従った
塗布速度になるように塗布速度を制御して電荷発生層形
成用塗布液を塗布すればよい。
輸送層を浸漬塗布により形成するに際し、循環して溢流
している塗布槽中の塗布液の循環を、導電性基体下端を
浸漬させる直前に停止させ、浸漬途中ないし浸漬終了時
点で再び塗布液の循環を再開することによって行うのが
好ましい。本発明の画像形成装置は、上記の積層型電子
写真感光体と、その周囲に順次設けた帯電手段、露光手
段、現像手段および転写手段を有するものである。
浸漬塗布装置の概略の構成を示す図である。浸漬塗布装
置は、浸漬塗布槽3、塗布液貯槽5、被塗布ドラム2を
支持するドラムチャック1およびドラムチャックを上下
方向に移動させる移動軸4とを有するものであって、浸
漬塗布槽3には塗布液が満たされ、塗布液は浸漬塗布槽
と塗布液貯槽の間で循環するようになっている。すなわ
ち、塗布液貯槽の塗布液は、ポンプ10の駆動によって
配管に設けたフィルター11を通って浸漬塗布槽にその
下部から導入され、浸漬塗布槽の上端から溢流して配管
を通って塗布液貯槽5に回収される。一方、駆動軸4は
モーター7の駆動により、駆動ギヤ6を介して回転する
ようになっており、それによりドラムチャック1に支持
された被塗布ドラム2が上下方向に移動して、浸漬塗布
槽に浸漬され、引き上げられる。本発明の場合、モータ
ー7の駆動は、モーター制御装置8によって制御される
ようになっており、塗布速度を演算し、制御装置に指示
を出すコンピュータ装置9の指示によって以下に詳記す
る所定の引き上げ速度、すなわち所定の塗布速度となる
ように被塗布ドラムが引き上げられる。
を決定する方法について具体的に説明する。本発明にお
いては、まず、塗布速度と膜厚との関係を予備的に求め
ておく。そのために上記の浸漬塗布装置により、所望の
膜厚となる見込みの塗布速度を中心として、2以上の塗
布速度によって電荷発生層を形成し、その膜厚を測定す
る。電荷発生層の膜厚は薄いので、光の反射率を測定
し、それを膜厚の指標として用いる。膜厚の測定位置は
いずれのドラムでもほぼ中央である。この様にして得ら
れた測定値から、膜厚および塗布速度の1次関数として
直線回帰し、膜厚と塗布速度との関係を示す検量線を作
成する。次に、塗布開始端と塗布終了端における塗布速
度を設定するために、まず、試験的に一定塗布速度で形
成した電荷発生層について、その軸方向(長手方向)の
膜厚分布を調査しておき、それを目安として、最終的に
所望の電位分布が得られるように塗布速度を決定する。
すなわちその膜厚分布から、上記検量線を利用して、塗
布開始端と塗布終了端の塗布速度を決め、数学上の関数
を求める。その際、電荷発生層の上に塗布される電荷輸
送層の塗布条件等の影響により、下端の方が高感度の感
光体が形成されるため、実際には、塗布開始端の塗布速
度は高めに設定することが必要となる。次いで、作成さ
れた関数に従った塗布速度によって電荷発生層形成用塗
布液の浸漬塗布を行う。浸漬塗布は、コンピュータ装置
によって演算し、制御装置に指示を出すことにより、引
き上げ速度を制御することによって行われる。
例に基いて詳細に説明する。まず、上記の浸漬塗布装置
により、所望の膜厚となる見込みの塗布速度を中心とし
て、異なる塗布速度(131、155、180mm/
分)で3つの電荷発生層を形成したドラムを試験的に作
製する。作製されたドラムほぼ中央部の電荷発生層の膜
厚を測定し、その測定値から膜厚および塗布速度の1次
関数として直線回帰し、膜厚と塗布速度との関係を示す
検量線を作成する。但し、膜厚は塗布速度減に対して指
数関数的に漸増する傾向にあるため、更正のための塗布
速度決定にあたっては、所望の領域を内挿する2点間を
直線回帰して、この線と膜厚、実際には電荷発生層の反
射率との関係を求める。図2は、それによって作成した
検量線であって、反射率(膜厚)と塗布速度との関係を
示すグラフである。図2の縦軸は、塗布速度130mm
/分で塗布した時の電荷発生層の反射率を基準(0)と
した反射率差(%)を表す。なお、電荷発生層の膜厚は
0.2μm程度と薄いので、光反射率によって膜厚の指
標とする。すなわち、電荷発生層の反射率は、側方から
顕微鏡の光軸に傾斜した光線束を照射し、反射してくる
光量の割合で得られた値である(暗視野法)。したがっ
て反射率の値が大きいほど、電荷発生層の膜厚は薄いこ
とになる。
開始端(塗布上端)から塗布終了端(塗布下端)にかけ
ての露光後の帯電電位の状態を調査して塗布速度を決定
する。そのために、まず、ドラム上に電荷発生層形成用
塗布液を一定速度(130mm/分)で引き上げて電荷
発生層を形成する。この電荷発生層について、光反射率
(周方向50点の平均値)を測定し、その光反射率を軸
方向の距離に対応してプロットする。図5のAの曲線
は、その結果得られたものを示す。この結果から、塗布
上端から塗布下端に向けて膜厚が漸減していることが確
認できる。すなわち、塗布上端(20mm)では反射率
6.32%であり、塗布下端(320mm)では5.8
5%であり、上下兩端で0.47%の差が生じているこ
とが確認できる。なお、この電荷発生層の上に電荷輸送
層を形成して得られた感光体ドラムの露光後電位(70
0Vに帯電し、3.7mmJ/m2 で露光した時の電位
(V))(VL)は、図3に示す通りとなっている。図
3から、塗布開始端(20mm)から塗布終了端(32
0mm)に向けて、電位差約20Vが認められる。な
お、帯電電位は、各位置での周方向90点の平均値をと
ったものである。
に、塗布開始端の塗布速度の調整を行う必要があること
が分かる。そこで塗布速度に補正を加えて、上端で厚
く、下端に向かって薄くなるような電荷発生層を形成す
る。そのため、図2の検量線を利用して塗布速度を定め
る。すなわち、ドラムの上下端での反射率差0.47%
(約0.5%)は、図2の検量線から130mm/分の
塗布速度に対して、約147mm/分であることが分か
るので、塗布開始端の塗布速度を147mm/分、塗布
終了端の塗布速度を130mm/分と一応設定する。し
かしながら、実際には、電荷輸送層の浸漬時間が上端と
下端で相違するために依然として下端の方が感度が高く
なる。そこで塗布開始端の塗布速度を反射率差0.7%
に相当する155mm/分に決定する。次に、これらの
値、すなわち、塗布開始端(20mm)の塗布速度を1
55mm/分とし、塗布終了端(320mm)の塗布速
度を130mm/分とし、対数関数を求める。なお、対
数関数は、軸方向における塗布速度の分布に近似する値
を示す。
に従って浸漬塗布を行い電荷発生層を形成して感光体を
作製する。図4は、塗布開始端(20mm)の塗布速度
155mm/分と塗布終端(320mm)の塗布速度を
130mm/分の2点を対数曲線が通過するように関数
を求めたものであって、塗布速度155mm/分から、
130mm/分に対数近似できる塗布速度を求めた図で
ある。なお、縦軸は塗布速度、横軸は軸方向の距離を示
す。
結果を図5のBの曲線で示す。また、得られた感光体に
ついて、露光後電位(700Vに帯電し、3.7mmJ
/m2 で露光した時の電位(V))(VL)を図6に示
す。図6から明らかなように、塗布上端と塗布下端とで
は電位差は20Vから約7.5Vに低下していることが
分かる。
は、潜像形成範囲での電位むらが小さくなるため、特に
4色を異なる感光体ドラムで画像形成させるタンデム方
式のフルカラープリンター用の感光体ドラム表面での画
質、特に色味の差、色差が軽減される。ここで言う色味
は、CIEにより1976年に提示された、L*、
a*、b*で定義される。L*は明度を示し、a*、b
*は、或るL*の値で色空間を輪切りにしたときの平面
上(2次元)での位置を表わす。この色空間上での距離
を色差といい、ΔEで表わす。色差は2つの色の差を物
理量として表わす場合に使用するもので、下記式で表さ
れる。
準の色の色空間上の値、L* 2 は比較対象の色の明度、
a* 2 ,b* 2 は比較対象の色の色空間上の値であ
る。) ここで示されるΔEが3.0以下であることが、目視で
の色差が殆ど認められないことと対応している。
止の処理を行った基材あるいは注入阻止のための下引き
層(注入阻止層)に電荷発生層、電荷輸送層を積層した
積層型感光体が繰り返し安定性や環境変動等に対する性
能面で優れているので、主として積層型感光体を例に取
って詳述する。最上層に保護層を設けてもよい。
アルミニウム、ニッケル、鉄等の導電性金属の他に、表
面に金属を蒸着するか導電粉を分散した塗膜を形成する
等により導電化処理されたプラスチックや紙等の筒状、
ベルト状またはシート状のものを用いることができる。
基体表面は、干渉縞防止のために、エッチング、陽極酸
化、ウェットブラスティング法、サンドブラスティング
法、粗切削、センタレス研削等の方法により粗面化処理
を行うことができる。
の防止、帯電性の向上、密着性の向上等の目的で下引き
層を形成するのが好ましい。下引き層の形成に用いられ
る結着剤およびその他の材料としては、ポリビニルブチ
ラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹
脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラ
チン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリ
ル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸
ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸
樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、
フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の
高分子化合物、シランカップリング剤、ジルコニウム、
チタン、アルミニウム、マンガン等を含有する有機金属
化合物等が主として用いられる。
の混合物あるいはその縮重合物として用いることができ
る。中でも、加水分解縮重合性化合物は、高い成膜性を
有し、電荷注入阻止層としての役割を果たし、また製造
される電子写真感光体の残留電位が低く、環境による変
化が少なく、さらに繰り返し使用による電位の変化が小
さい等、性能上優れているので好ましい。
カップリング剤やジルコニウム、チタンおよびアルミニ
ウムを含有する有機金属化合物等が挙げられる。具体的
には、シランカップリング剤としては、例えば、ビニル
トリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル−ト
リス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−
エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニル
トリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメ
トキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス
(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン
等が挙げられる。中でも特に好ましく用いられるシラン
化合物は、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス
(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロ
ヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(β−アミ
ノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチル
ジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等である。
ば、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムトリエタノ
ールアミネート、アセチルアセトンジルコニウムブトキ
シド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジル
コニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジル
コニウムラクテート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテ
ン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリ
ン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、ブ
トキシジルコニウムメタクリレート、ブトキシジルコニ
ウムステアレート、ブトキシジルコニウムイソステアレ
ート等が挙げられる。
ライソプロピルチタネート、テトラn−ブチルチタネー
ト、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘ
キシル)チタネート、チタンオクチレングリコレート、
チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、
エトキシチタンラクテート、チタントリエタノールアミ
ネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げら
れる。
ば、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアル
ミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレー
ト、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピ
レート等が挙げられる。
反応に際して適量の水を必要とし、加水分解反応によ
り、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコキ
シ成分が脱離して縮重合反応が進行する。すなわち、こ
の硬化反応において、加水分解縮重合性化合物中のアル
コール成分やカルボン酸成分等の加水分解性成分が脱離
して縮重合反応が進行し、基体上に硬化膜が形成され
る。硬化反応の促進のためには、浸水処理後、加熱処理
することが望ましいが、室温でもある程度硬化反応を進
行させることができる。浸水処理に用いる水は、硬化の
程度に応じて温度や伝導度を任意に調整することができ
る。さらに必要に応じて、pH調整剤等を添加すること
ができる。浸水時間は塗膜が十分に水分を吸収し得る時
間があれば十分である。
特性の向上の目的等により、各種の有機または無機微粉
末を混合することができる。特に、酸化チタン、酸化亜
鉛、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料やアルミ
ナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料として
の無機顔料やテフロン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂
粒子、スチレン樹脂粒子等の高分子物質が有効である。
これら微粉末は、必要に応じて添加されるが、添加する
場合には、下引き層の固形分に対して重量比で10〜8
0重量%の範囲が適当であり、好ましくは30〜70重
量%である。添加微粉末の粒径は0.01〜2μmの範
囲のものが用いられる。粒径が大きすぎると、下引き層
の凹凸が激しくなり、電気的にも部分的な不均一性が大
きくなるため、画質欠陥を生じやすくなる。また、粒径
が小さすぎると、十分な光散乱効果が得られない。
添加微粉末は樹脂成分を溶解した溶液中に添加して分散
処理が行われる。添加微粉末を樹脂中に分散させる手段
としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、
アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシ
ェーカー等を用いることができる。下引き層は、膜厚を
厚くすることにより、基体の凹凸の隠蔽性が高まるた
め、画質欠陥は低減する傾向にあるが、電気的な繰り返
し安定性が悪くなるため、その膜厚は0.1〜5μmの
範囲にあることが望ましい。
る。電荷発生層は、電荷発生材料を結着樹脂および有機
溶剤中に分散した電荷発生層形成用塗布液を用い、上記
のようにして塗布することにより形成される。
晶性セレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、
その他のセレン化合物およびセレン合金、酸化亜鉛、酸
化チタン等の無機系光導電材料、無金属フタロシアニ
ン、チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、錫フ
タロシアニン、ガリウムフタロシアニン等の各種フタロ
シアニン顔料、スクアリリウム系、アントアントロン
系、ペリレン系、アゾ系、アントラキノン系、ピレン
系、ピリリウム塩、チアピリリウム塩等の各種有機顔料
および染料が用いられる。また、これらの有機顔料は一
般に数種の結晶型を有しており、特にフタロシアニン顔
料は、α、β等をはじめとして各種の結晶型が知られて
いるが、目的に応じた感度が得られる顔料ならば、如何
なる結晶型のものを用いてもよい。
止、分散性の向上、電気特性向上等の各種の目的で、シ
ランカップリング剤または有機金属アルコキシドを含有
させることができる。さらに、電荷発生材料は、シラン
カップリング剤、またはジルコニウム、チタンまたはア
ルミニウムを含有する有機金属化合物によって予め表面
処理を行ったものであってもよい。また、これらシラン
カップリング剤および有機金属化合物は、塗布液中に添
加してもよい。これらの加水分解縮重合性化合物を用い
る場合、電荷発生層形成用塗布液を塗布した後、浸水処
理を行うことにより、加水分解硬化反応を促進させるこ
とができる。
例えば、ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZタ
イプ等のポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メ
タクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポ
リスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタ
ジエン共重合樹脂、塩化ビニリデン−アクリロニトリル
共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸
共重合樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキド樹
脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−ア
ルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール等があげ
られる。これらの結着樹脂は、単独または2種以上混合
して用いることが可能である。電荷発生材料と結着樹脂
との配合比は、重量比で10:1〜1:10の範囲が望
ましい。電荷発生材料を結着樹脂中に分散させる手段と
しては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、ア
トライター、サンドミル、コロイドミル等を用いること
ができる。また、電荷発生層の厚みは、一般には0.0
1〜5μmの範囲が適当であり、好ましくは0.05〜
2.0μmの範囲である。
よび溶剤からなる塗布液を調製した後、塗布液を電荷発
生層上に塗布することにより形成される。電荷輸送材料
としては、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノ
フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサ
ジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニルピラゾリ
ン、1−[ピリジル−(2)]−3,5−ビス(p−ジ
エチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導
体、トリフェニルアミン、トリ(p−トリル)アミン、
ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、
N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(m−トリル)
ベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(p
−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ビス(p−メト
キシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,
4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアル
デヒド2,2−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘
導体、2−フェニル−4−スチリルキナゾリン等のキナ
ゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ビス(p−メ
トキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導
体、p−(β,β−ジフェニルビニル)−N,N−ジフ
ェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘
導体、N−エチルカルバゾ−ル等のカルバゾ−ル誘導
体、ポリ−N−ビニルカルバゾ−ルおよびその誘導体等
の正孔輸送物質、クロラニル、ブロモアニル、アントラ
キノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン
系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,
4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフル
オレノン系化合物、キサントン系化合物、チオフェン系
化合物等、および上記の化合物からなる基を主鎖または
側鎖に有する重合体等が挙げられる。これらの電子輸送
材料は、1種または2種以上を組み合わせて使用するこ
とができる。
例えば、アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエス
テル樹脂、ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZ
タイプ等のポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、
アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニ
トリル−ブタジエン共重合体樹脂、ポリビニルブチラー
ル樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹
脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、塩素化
ゴム等の絶縁性樹脂およびゴム、ポリビニルカルバゾー
ル、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有
機光導電性ポリマー等が挙げられる。これらの結着樹脂
は、単独または2種以上混合して用いることができる。
電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、重量比で10:
1〜1:5の範囲が好ましい。
としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の
芳香族炭化水素類、クロロベンゼン等のハロゲン化芳香
族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケト
ン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等の
ハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジ
オキサン、エチレングリコールジエチルエーテル等の環
状または直鎖状のエーテル類等が挙げられる。これらの
有機溶剤は、単独または2種以上の混合溶剤を用いるこ
とができる。電荷輸送層の膜厚は、一般には5〜50μ
mが適当であり、好ましくは10〜40μmの範囲であ
る。
装置中で発生するオゾンや酸化性ガスあるいは光、熱に
よる感光体の劣化を防止する目的で、感光層中に酸化防
止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することが
できる。例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェ
ノール、ヒンダードアミン、p−フェニレンジアミン、
アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクマロン、
スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合
物、有機燐化合物等が挙げられる。光安定剤の例として
は、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカル
バメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体が挙げら
れる。
返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種
の電子受容性物質を含有させることができる。電子受容
性物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン
酸、ジブロモ無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブ
ロモ無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシア
ノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロ
ベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリ
ニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香
酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等を挙げることがで
きる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や塩素
原子、シアノ基、ニトロ基等の電子吸引基を置換したベ
ンゼン誘導体が特に好ましい。
塗布方法としては、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ビー
ド塗布法、ブレード塗布法、ローラー塗布法等が採用さ
れる。塗布後の乾燥は、室温での指触乾燥の後に、温度
30〜200℃で5分〜2時間にわたって加熱乾燥する
のが望ましい。
しては、感光体ドラム下端に電荷発生層に起因する欠陥
が現われるのを軽減するために、電荷輸送層を形成する
に際し、循環して溢流している塗布槽中の塗布液の循環
を、導電性基体下端を浸漬させる直前に停止させ、浸漬
途中ないし浸漬終了時点で再び塗布液の循環を再開する
のが好ましい。以下、その理由を詳記する。
ラム下端に、目視観察で直径数十μmの黒い突起状点が
欠陥として発生する場合がある。この欠陥を光学顕微
鏡、元素分析により検査した結果、電荷発生材料よりな
ることが判明した。この欠陥は、実験室レベルでの試験
塗布では確認できないが、現実の浸漬塗布においては、
電荷輸送層形成用塗布液を塗布するに際して、感光体ド
ラム下端が電荷輸送層形成用塗布液に浸漬する時点で、
電荷発生層の極表面が溶出し、電荷輸送層形成用塗布液
中にブロック状(塊様)に溶出することと、その溶出物
が感光体下端で電荷輸送層に再付着することに起因して
いる。そして、このような現象を発生させる条件とし
て、感光体ドラムが電荷輸送層形成用塗布液中に突入す
る速度が大きいことがあげられる。そこで、感光体ドラ
ム下端が電荷輸送層形成用塗布液中に突入する速度(感
光体ドラムと塗布液との相対速度差)を小さくすればよ
い。浸漬塗布槽では、電荷輸送層形成用塗布液が循環、
溢流しており、例えば、浸漬塗布槽が直径110mmで
その容量が、7リットル、循環塗布液が毎分1リットル
となっている場合、計算上下端から上端に向けて105
mm/分の塗布液の流れがあると考えられる。そこで、
感光体ドラムを電荷輸送層形成用塗布液に浸漬する際
に、浸漬開始直前に、電荷輸送層形成用塗布液の循環、
溢流を停止させることにより、相対速度差を減少させる
ことが可能になる。その結果、作製される感光体ドラム
の下端部には、上記の粒状の欠陥は認められず、したが
って複写により画質欠陥が生じなくなる。
する。図10は、本発明の画像形成装置の概略の構成図
である。図中、20は、上記の方法で作製された本発明
の感光体ドラムであり、その周囲に順次帯電手段、露光
手段、現像手段および転写手段が設けられている。具体
的には、コロナ帯電器21、露光手段22、現像器2
3、転写帯電器24が設けられており、さらにクリーナ
ー25および除電器26が設けられている。
に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定され
るものではない。なお、下記の実施例において「部」は
重量部を意味する。 実施例1 ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水
化学社製)4部を溶解した酢酸n−ブチル170部、ア
セチルアセトンジルコニウムブトキシド30部およびγ
−アミノプロピルトリメトキシシラン3部を混合攪拌
し、下引き層形成用塗布液を得た。この塗布液を84m
mφのアルミニウム基体上に塗布し、170℃で10分
間加熱乾燥して膜厚1μmの下引き層を形成した。この
下引き層を形成した基体を導電度0.54μS/cm、
水温50℃の純水中に30秒間浸水し、5分間風乾した
後、再び170℃で10分間の乾燥硬化処理を行った。
た。すなわち、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(VM
CH、ユニオンカーバイド社製)3部を予め100部に
溶解した溶液に、CuKα特性X線に対するブラッグ角
度(2θ±0.2°)の7.4°、16.6°、25.
5°および28.3°に強い回折ピークを有するクロロ
ガリウムフタロシアニン結晶3部を加え、24時間サン
ドミルで分散し、酢酸n−ブチルで希釈し、固形分濃度
4.0重量%の電荷発生層形成用塗布液を調製した。
布し、ほぼ目的とする膜厚約0.2μmが得られる塗布
速度約130mm/分、それより速い155mm/分お
よび180mm/分の場合について、電荷発生層を形成
し、膜厚の指標となる暗視野での反射率を測定し、塗布
速度約130mm/分の反射率を基準とした反射率の差
と塗布速度との関係を求めて図2の検量線を得た。図2
において、縦軸は前記した、暗視野での反射率で膜厚を
代用している。上記下引き層上に、塗布速度130mm
/分として、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
ビス(m−トリル)ベンジジン4部と分子量4万のビス
フェノ−ルZタイプポリカーボネート樹脂6部とをクロ
ロベンゼン80部に添加し、溶解した。得られた塗布液
を上記電荷発生層上に塗布し、加熱乾燥して膜厚24μ
mの電荷輸送層を形成した。以上のようにして三層構成
の電子写真感光体を製造した。
像形成領域を帯電させ、均一露光した後、軸方向の平均
電位を測定したところ、約20Vの電位差が認められ
た。図3にその結果を示す。この場合の反射率と軸方向
の関係を図5のAの曲線で示す。
を基準にして、それを改良するために、電荷発生層形成
用塗布液の塗布速度を下記のように調整して電荷発生層
を形成した。まず、塗布上端と塗布下端の間に約0.5
%の反射率の差が認められるので(図5のA)、さらに
反射率の差を多めに見積もって0.7%に設定し、図2
の検量線から、塗布下端の塗布速度130mm/分を基
準にして、塗布上端の塗布速度を155mm/分に設定
した。この両者の塗布速度値を対数回帰して図4のグラ
フを作成した。このグラフに基づく塗布速度に従って、
上記電荷発生層塗布液の浸漬塗布を行い、電荷発生層を
形成した。この電荷発生層の反射率と軸方向の距離との
関係を図5のBで示す。これから分かるように、電荷発
生層の膜厚は、塗布上端では厚く、塗布下端に近付くに
したがって薄くなっている。
にして行った。すなわち、電荷発生層が形成された基体
を、電荷輸送層形成用塗布液に浸漬する直前に、塗布槽
から溢流し循環している塗布液の循環を停止した。次い
で、循環を停止した状態で所定の位置(例えば、浸漬終
了位置)まで基体を浸漬した後、循環を再開し、次いで
基体を引き上げて塗布を完了した。
定した。すなわち、全面を700Vに帯電して、全面に
3.7mJ/m2 の露光を与えた場合の電位を、円周方
向軸方向5mm毎で軸方向90の測定点で測定した。そ
の結果を図6に示す。図6と図3との比較から分かるよ
うに、本発明の場合、最大値と最小値との電位差が7.
5V程度と小さくなっていた。
た4色タンデム方式のフルカラー現像システムベンチモ
デル機に入れて、複写を行った。ベンチモデル機では色
差に係わるROS光量の均一性、ドラムと帯電器との間
隔、ドラム回転軸の振れは最小限となるよう、調整され
ていた。肌色での色差を測定したところ、ほぼ2.3程
度であることが確認された。また、感光体表面の欠陥の
有無を確認したところ、感光体ドラム下端部には、電荷
発生材料のブロック様の塊は確認できず、また、画像の
画質上の欠陥は認められなかった。
布速度を塗りはじめ20mmの位置から、5mm毎に塗
布速度を図7に示す条件に変更した以外、条件は全て同
じものとした。図7に示す条件は、塗布開始端の塗布速
度を180mm/分、塗布終了端を130mm/分と
し、これらの値を対数回帰して得られたものである。図
7に示す対数曲線に基づき、塗布速度を制御して浸漬塗
布を行い、電荷発生層を形成した。形成された電荷発生
層の反射率を図8に示す。図8から明らかなように、電
荷発生層の膜厚は、塗布上端で厚く、塗布下端に近付く
にしたがって薄くなっている。なお、図7に示す対数曲
線に基づく実際の塗布速度は下記表1に示す通りであ
る。
0Vに帯電して、全面に3.7mJ/m2 の露光を与え
た場合の円周方向軸方向5mm毎で軸方向90測定値を
平均した電位を図9に示す。図9と図3との比較から分
かるように、本発明の場合、最大値と最小値との電位差
が、20Vから約4V程度に減少している。
デル機に入れて、複写を行った。肌色での色差を測定し
たところ、ほぼ2.0程度であることが確認された。ま
た、感光体表面の欠陥の有無を確認したところ、感光体
ドラム下端部には、電荷発生材料のブロック様の塊は確
認できず、また、画像の画質上の欠陥は認められなかっ
た。
定して塗布した。塗布完了したドラムに、全面を700
Vに帯電して、全面に3.7mJ/m2 の露光を与えた
場合の円周方向軸方向5mm毎で軸方向90測定値を平
均した電位を図3に示す。最大値と最小値との差は約2
0V程度となった。この感光体を、実施例1と同様にベ
ンチモデル機に入れて、複写を行った。肌色での色差を
測定したところ、ほぼ3.2程度となることが確認され
た。
れば、電荷発生層に塗布開始端より塗布終了端に向かっ
て膜厚が厚くなる様に勾配をつけることができるので、
得られる本発明の電子写真感光体は、画像形成領域にお
ける明減衰後の長手方向の電位勾配が大幅に軽減され、
露光後の電位むらが少なくなる。したがって、本発明の
電子写真感光体を使用すると、色差が大きく改善された
画像が得られるので、カラープリントの作製に好適であ
る。
の構成を示す図である。
の関係を示すグラフである。
る感光体ドラムの帯電電位(露光時)(VL)と軸方向
の距離との関係を示すグラフである。
m/分と塗布終了端(320mm)の塗布速度を130
mm/分との2点を通過する対数関数による、塗布速度
と軸方向の距離との関係を示すグラフである。
の距離との関係を示すグラフであり、Aは一定塗布速度
で浸漬塗布した場合(実測値)、Bは図4の補正した塗
布速度にしたがって塗布した場合(実測値)を示す。
れた本発明の電子写真感光体の帯電電位(VL)と軸方
向の距離との関係を示すグラフである。
m/分と塗布終了端(320mm)の塗布速度を130
mm/分との2点を通過する対数関数による、塗布速度
と軸方向の距離との関係を示すグラフである。
れた電荷発生層の光反射率と軸方向の距離との関係を示
すグラフである。
れた本発明の電子写真感光体の帯電電位(VL)と軸方
向の距離との関係を示すグラフである。
る。
槽、4…移動軸、5…塗布液貯槽、6…駆動ギア、7…
モーター、8…モーター制御装置、9…コンピュータ装
置、10…ポンプ、11…フィルター、20…感光体ド
ラム、21…コロナ帯電器、22…露光手段、23…現
像器、24…転写帯電器、25…クリーナー、26…除
電器。
Claims (8)
- 【請求項1】 導電性基体上に塗布によって設けた電荷
発生層とその上に形成された電荷輸送層とよりなる積層
型電子写真感光体において、電荷発生層の潜像形成領域
における膜厚が、塗布開始端側から塗布終了端側にかけ
て漸次薄くなっていることを特徴とする電子写真感光
体。 - 【請求項2】 電荷発生層が、感光体ドラムの長手方向
の各位置における周方向の膜厚の平均値を一次回帰した
場合、回帰係数が負となり、且つdT/dL≦0(ここ
でdT/dLは感光体ドラムの長手方向の微小区間(d
L)における電荷発生層の膜厚(dT)の傾きを示
す。)となる膜厚部分が、潜像形成領域の塗布開始端側
から塗布終了端側のいずれの位置においても存在するよ
うに電荷発生層形成用塗布液を塗布して形成されたもの
である請求項1記載の電子写真感光体。 - 【請求項3】 前記膜厚が、露光後電位の分布が所定の
分布となるように、塗布開始端から塗布終了端にかけて
漸次薄くなっていることを特徴とする請求項1記載の電
子写真感光体。 - 【請求項4】 導電性基体上に塗布によって電荷発生層
を形成し、その上に電荷輸送層を形成する積層型電子写
真感光体の製造方法において、電荷発生層の浸漬塗布に
よる形成に際して、実際の電荷発生層形成用塗布液の塗
布速度が内挿値となるように、予め2条件以上の塗布速
度から、塗布速度と電荷発生層の膜厚との関係を求めて
おき、この関係を利用して、潜像形成領域の塗布開始端
の膜厚が塗布終了端の膜厚よりも厚くなるように塗布開
始端から塗布終了端までの各位置の塗布速度を数学上の
関数として設定し、その関数に従った塗布速度になるよ
うに塗布速度を制御して電荷発生層形成用塗布液を塗布
することを特徴とする、電荷発生層の潜像形成領域にお
ける膜厚が塗布開始端側から塗布終端側にかけて漸次薄
くなっている電子写真感光体の製造方法。 - 【請求項5】 実際の電荷発生層形成用塗布液の塗布速
度が内挿値となるように、予め2条件以上の塗布速度か
ら、塗布速度と電荷発生層の膜厚との関係を求めてお
き、塗布開始端から塗布終了端まで一定速度で塗布した
場合の潜像形成領域の塗布開始端から塗布終了端までの
膜厚分布と露光後電位の分布を基準として、露光後電位
が所望の分布になるように上記の関係を利用して塗布開
始端および塗布終了端の塗布速度を設定し、塗布開始端
から塗布終了端の塗布速度までの各位置における塗布速
度を数学上の関数により決定し、その関数に従った塗布
速度になるように塗布速度を制御して電荷発生層形成用
塗布液を塗布することを特徴とする請求項4記載の電子
写真感光体の製造方法。 - 【請求項6】 数学上の関数を、少なくとも、対数関
数、2次以上の高次の関数、指数関数または双曲線関数
により設定する請求項4に記載の電子写真感光体の製造
方法。 - 【請求項7】 電荷輸送層を形成するに際し、循環して
溢流している塗布槽中の塗布液の循環を、導電性基体下
端を浸漬させる直前に停止させ、浸漬途中ないし浸漬終
了時点で再び塗布液の循環を再開することを特徴とする
請求項4記載の電子写真感光体の製造方法。 - 【請求項8】 感光体と、その周囲に順次設けた帯電手
段、露光手段、現像手段および転写手段を有する画像形
成装置において、該感光体が請求項1ないし3のいずれ
かに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像
形成装置。
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JP2010026537A (ja) * | 2005-10-28 | 2010-02-04 | Kyocera Corp | 画像形成装置 |
JP2016031517A (ja) * | 2014-07-30 | 2016-03-07 | キヤノン株式会社 | 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 |
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- 1998-12-14 JP JP35404998A patent/JP3728952B2/ja not_active Expired - Fee Related
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