JP2017215463A - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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剛志 嶋田
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晴彦 満田
北村 航
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航 北村
舞 村上
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Abstract

【課題】 金属酸化物粒子を含有し、膜厚が25μm以上である下引き層を有する電子写真感光体の製造方法において、厚さの均一性に優れた下引き層を形成することのできる電子写真感光体の製造方法を提供する。
【解決手段】 下引き層を形成する工程が、下引き層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、塗膜を乾燥させて硬化させる工程を複数回繰り返すことによって下引き層を形成する工程であり、下引き層用塗布液が、酸化亜鉛粒子、ポリオール、ブロック化イソシアネート化合物、特定の化合物(ベンゾフェノン系化合物)および有機溶剤を含有し、下引き層用塗布液中の有機溶剤を除く成分の占める割合が、45質量%以下である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真感光体の製造方法に関する。
電子写真感光体は、支持体および支持体上に形成された感光層を有するものが一般的であり、また、有機材料で形成された感光層を有するもの(有機電子写真感光体)が主流である。また、支持体と感光層との間に下引き層を設けたものが多く用いられている。
下引き層に求められる機能は様々であるが、支持体の表面の微小な凹凸を被覆し、感光層の形成に適した均質な面を形成することが、求められる機能の1つである。
また、電子写真感光体の表面を帯電したとき、支持体から感光層に電荷が注入して帯電不良になることを抑制するバリア層としての機能を下引き層に持たせる場合もある。
特許文献1には、かぶりのない良好な画像が得られる電子写真装置(画像形成装置)を提供することを目的として、電子写真感光体の下引き層に金属酸化物およびアントラキノン構造を有する化合物を含有させる技術が開示されている。
これらの機能を良好に発揮させるためには、下引き層が十分な厚さをもって形成されていることが好ましい。また、下引き層の厚さが電子写真感光体のどの部分でもできるだけ均一になるよう形成されていることが好ましい。
特開2006−221094号公報
しかしながら、下引き層の厚さが増すに従い、厚さの均一性の確保は難しくなる。特に、下引き層用塗布液を浸漬塗布して下引き層を形成する場合、塗膜の上端部の近傍には、厚さが薄い部分が生じやすい。一方、塗膜の下端部側は厚くなりやすい。この厚さの変化(厚さの違い)をタレという。
本発明において、例えば、支持体が円筒状である場合、円筒状の支持体の母線方向の中央部で測定した下引き層の厚さを膜厚と表記する。支持体が他の形状の場合も同様である。
浸漬塗布法を用い、乾燥および/または硬化後に25μm以上となる膜厚を有する下引き層を形成する場合、タレの影響により、塗膜の上端部の近傍では、母線方向の中央部と同じ厚さを確保することは難しくなる。特に、金属酸化物粒子を多く含有させた下引き層用塗布液を用いる場合、塗布液中の固形分に占める樹脂成分の割合が相対的に少なくなることもあって、その傾向が強くなる。
従来から、このタレの問題を解決することが望まれていた。
本発明の目的は、金属酸化物粒子を含有し、膜厚が25μm以上である下引き層を有する電子写真感光体の製造方法において、厚さの均一性に優れた下引き層を形成することのできる電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
本発明は、支持体上に膜厚が25μm以上の下引き層を形成する工程、および、該下引き層上に感光層を形成する工程を有する電子写真感光体の製造方法であって、
該下引き層を形成する工程が、下引き層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させて硬化させる工程を複数回繰り返すことによって該下引き層を形成する工程であり、
該下引き層用塗布液が、酸化亜鉛粒子、ポリオール、ブロック化イソシアネート化合物、下記式(1)で示される化合物、および、有機溶剤を含有し、
該下引き層用塗布液中の該有機溶剤を除く成分の占める割合が、45質量%以下である
ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
(式(1)中、R〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、または、アミノ基を示す。ただし、R〜R10の少なくとも1つは、アミノ基またはヒドロキシ基である。Xは、カルボニル基、または、ジカルボニル基を示す。)
本発明の電子写真感光体の製造方法によれば、金属酸化物粒子を含有し、膜厚が25μm以上である下引き層を有する電子写真感光体の製造方法において、厚さの均一性に優れた下引き層を形成することのできる電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
本発明の電子写真感光体の製造方法で製造された電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
本発明は、支持体上に膜厚が25μm以上の下引き層を形成する工程、および、該下引き層上に感光層を形成する工程を有する電子写真感光体の製造方法であって、
該下引き層を形成する工程が、下引き層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させて硬化させる工程を複数回繰り返すことによって該下引き層を形成する工程であり、
該下引き層用塗布液が、酸化亜鉛粒子、ポリオール、ブロック化イソシアネート化合物、下記式(1)で示される化合物、および、有機溶剤を含有し、
該下引き層用塗布液中の該有機溶剤を除く成分の占める割合が、45質量%以下である
ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
(式(1)中、R〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、または、アミノ基を示す。ただし、R〜R10の少なくとも1つは、アミノ基、または、ヒドロキシ基である。Xは、カルボニル基、または、ジカルボニル基を示す。)
酸化亜鉛粒子と上記式(1)で示される化合物を含有する下引き層は、ゴースト現象の抑制という点で好ましく用いることができる。ゴースト現象とは、出力画像中、前回転時に光が照射された部分のみ濃度が濃くなる、いわゆるポジゴーストや、前回転時に光が照射された部分のみ濃度が薄くなる、いわゆるネガゴーストという現象を指す。
以下に、上記式(1)で示される化合物の具体例(例示化合物)を示すが、本発明は、これらに限定されるものではない。
上記式(1)で示される化合物の中でも、上記式(1)中のR〜R10の少なくとも3つがヒドロキシ基である化合物が、酸化亜鉛粒子との相互作用の観点から好ましい。さらに、上記例示化合物の中でも、繰り返し使用時のゴースト現象の抑制の観点から、(1−1)、(1−4)、(1−12)、(1−22)、(1−25)が好ましく、(1−1)が特に好ましい。
上記式(1)で示される化合物の下引き層における含有量は、下引き層中の酸化亜鉛粒子に対して0.05質量%以上4質量%以下であることが好ましい。0.05質量%以上であれば、上記式(1)で示される化合物と酸化亜鉛粒子とが十分に相互作用し、ゴースト現象を抑制する効果に優れる。4質量%以下であれば、上記式(1)で示される化合物同士の相互作用が抑えられて、ゴースト現象を抑制する効果に優れる。
酸化亜鉛粒子は、支持体から感光層への電荷注入による黒点状の画像欠陥を抑制する観点から、シランカップリング剤などの表面処理剤で表面処理されていることが好ましい。
酸化亜鉛粒子を表面処理するためのシランカップリング剤としては、例えば、
N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、
(フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、
N−2−(アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、
N−エチルアミノイソブチルメチルジエトキシシラン、
N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、
ビニルトリメトキシシラン、
3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、
メチルトリメトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
3−クロロプロピルトリメトキシシラン、
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
などが挙げられる。
酸化亜鉛粒子は、粒径の異なるもの、表面処理の異なるものなどの2種以上を混合して用いてもよい。また、本発明の下引き層には、酸化亜鉛粒子以外の金属酸化粒子が含有されていてもよく、その例としては酸化チタン粒子、酸化スズ粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子などを挙げることができる。
本発明において、下引き層用塗布液には、酸化亜鉛粒子、および、上記式(1)で示される化合物のほか、さらに、ポリオール、および、ブロック化イソシアネート化合物が含有される。ポリオールとブロック化イソシアネート化合物との反応によって生成される硬化ウレタン樹脂が、本発明の電子写真感光体の製造方法によって製造される電子写真感光体の下引き層の結着樹脂となる。
ポリオールとしては、例えば、ポリビニルアセタール、ポリフェノール、ポリエチレンジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエーテルポリオール、ポリアクリルポリオールなどが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアセタールが好ましい。ポリビニルアセタールの中でも、ポリビニルブチラールが特に好ましい。これらのポリオールは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ブロック化イソシアネート化合物は、イソシアネート化合物のイソシアネート基にブロック剤を反応させて得られる化合物である。
ブロック化の対象となるイソシアネート化合物としては、例えば、
2,4−トリレンジイソシアネート、
2,6−トリレンジイソシアネート、
ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、
1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソフォロンジイソシアネート、IPDI)、
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、
HDI−トリメチロールプロパンアダクト体、
HDI−イソシアヌレート体、
HDI−ビウレット体
などが挙げられる。これらの中でも、ウレタン樹脂の架橋密度を高める観点および酸化亜鉛粒子への水分の吸着を抑制する観点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネートが好ましい。また、中心骨格が、イソシアヌレートであるものが好ましい。これらのイソシアネート化合物は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ブロック剤としては、例えば、
メチルエチルケトオキシム(ブタノンオキシム)、
アセトンオキシム、
アセトアルデヒドオキシム、
ブチルアルデヒドオキシム、
シクロブタノンオキシム、
シクロペンタノンオキシム、
シクロヘキサノンオキシム
などが挙げられる。これらの中でも、メチルエチルケトオキシム、アセトンオキシムが好ましい。さらには、メチルエチルケトオキシム(ブタノンオキシム)がより好ましい。
また、例えば、ジアルキルマロネート、アセト酢酸エステルなどを挙げることもできる。
ジアルキルマロネートとしては、例えば、ジメチルマロネート、ジエチルマロネート、ジ(イソプロピル)マロネート、ジ(n−プロピル)マロネート、ジ(n−ブチル)マロネート、ジ(t−ブチル)マロネート、t−ブチルエチルマロネートなどが挙げられる。
アセト酢酸エステルとしては、例えば、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸n−プロピル、アセト酢酸t−ブチルなどが挙げられる。
本発明において、下引き層に含有される酸化亜鉛粒子/硬化ウレタン樹脂の質量比は、1/1〜5/1であることが好ましい。
本発明において、下引き層用塗布液には、下引き層形成後の下引き層の表面粗さを調整する観点および下引き層のクラック(ひび割れ)の発生を抑制する観点から、有機樹脂粒子、レベリング剤などを含有させてもよい。
有機樹脂粒子としては、例えば、シリコーン粒子などの疎水性有機樹脂粒子、ポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子などの親水性有機樹脂粒子などが挙げられる。
レベリング剤としては、例えば、シリコーンオイルなどが挙げられる。
本発明において、下引き層用塗布液には、下引き層の電気特性の向上、膜形状安定性の向上、画質向上などの観点から、各種の添加物をさらに含有させてもよい。
添加物としては、例えば、
アルミニウム粒子、銅粒子などの金属粒子や、カーボンブラックなどの導電性粒子、
キノン化合物、フルオレノン化合物、オキサジアゾール系化合物、ジフェノキノン化合物、アリザリン化合物、多環縮合化合物、アゾ化合物などの電子輸送性物質、
金属キレート化合物、シランカップリング剤
などが挙げられる。
本発明において、下引き層用塗布液に含有される有機溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、脂肪族ハロゲン化炭化水素系溶剤、芳香族化合物などが挙げられる。これらの有機溶剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
下引き層用塗布液を調製する方法としては、任意の方法を用いることができ、例えば、酸化亜鉛粒子、上記式(1)で示される化合物、ポリオールおよびブロック化イソシアネートを有機溶剤とともに分散処理して下引き層用塗布液を得る方法が挙げられる。また、酸化亜鉛粒子および上記式(1)で示される化合物を有機溶剤とともに分散処理して得られる分散液に、ポリオールおよびブロック化イソシアネート化合物を溶解させた溶液を加え、さらに分散処理して下引き層用塗布液を得る方法も挙げられる。
分散処理の方法としては、例えば、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、アトライター、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
本発明においては、有機溶剤を除く成分の占める割合が45質量%以下である下引き層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、塗膜を乾燥させて硬化させる工程(塗布乾燥硬化工程)を複数回繰り返すことによって下引き層を形成する。形成される下引き層は、積層構造を有する。
下引き層用塗布液における有機溶剤を除く成分の占める割合を45質量%以下にすることで、一度の塗布工程により形成される層の厚さを薄くすることができる。特に、円筒状の支持体上に下引き層用塗布液を浸漬塗布する場合、塗膜の上端部の近傍にできるタレは塗膜を薄く形成するほど抑制される。したがって、所望の膜厚になるまで薄い層を複数回積層することにより、タレの影響が抑制された下引き層を得ることができる。
本発明において、塗布乾燥硬化工程を繰り返す回数は2回以上であるが、生産性の観点から、2回以上5回以下であることが好ましい。塗布乾燥硬化工程の繰り返しによって積層される各層の膜厚は、それぞれ、1μm以上30μm以下であることが好ましい。各層の膜厚はすべてが同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよい。また、積層によって完成した下引き層の膜厚(各層を積層した後の合計膜厚)は、25μm以上70μm以下であることが好ましく、25μm以上50μm以下であることがより好ましい。
下引き層を構成する積層された各層の組成は、すべてが同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよい。
下引き層を形成する工程が、下引き層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、塗膜を乾燥させて硬化させる工程をn回(ただし、nは2以上の整数である。)繰り返すことによって下引き層を形成する工程であって、形成されるn層の下引き層を前記支持体に近い側から順に第一の下引き層、…、第nの下引き層とする。そのとき、本発明においては、第一の下引き層から第nの下引き層のすべてが、同一の組成を有する下引き層であることが好ましい。
また、上記と同様に、各層の塗布乾燥硬化工程に用いられる下引き層用塗布液は、すべてが同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよい。例えば、含有される添加剤の種類、酸化亜鉛粒子とポリオールとブロック化イソシアネートの含有比率、有機溶剤の種類や混合比、下引き層用塗布液の固形分、下引き層用塗布液の調合条件などが異なる下引き層用塗布液を組み合わせて用いてもよい。
下引き層用塗布液を塗布した後、乾燥させて硬化させる際の乾燥温度としては、100℃以上190℃以下であることが好ましく、130℃以上155℃以下であることがより好ましい。上記範囲内であれば、下引き層のクラック(ひび割れ)が抑制され、上記ブロック化イソシアネート化合物とポリオールとの硬化反応が進みやすい。また、下引き層用塗布液の塗膜の乾燥時間(加熱時間)は、10分以上120分以下であることが好ましく、10分以上60分以下であることがより好ましい。
次に、本発明の電子写真感光体の製造方法で製造される電子写真感光体の構成を具体的に説明する。
本発明の電子写真感光体の製造方法は、支持体、支持体上の下引き層および下引き層上の感光層を有する電子写真感光体の製造に用いることができる。
感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する単一の層からなる単層型の感光層であってもよいし、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層してなる積層型の感光層であってもよい。
〔支持体〕
支持体の形状としては、例えば、円筒状、ベルト状、平板状などが挙げられる。これらの中でも、円筒状の支持体は、浸漬塗布を行いやすさの観点から、好ましい。
支持体は、導電性を有するものが好ましい。
支持体に使用される材質としては、例えば、鉄、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、チタン、鉛、ニッケル、スズ、アンチモン、インジウム、クロム、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属または合金などが挙げられる。また、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金などを真空蒸着することによって形成した層を有するプラスチック製支持体などを用いることもできる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子などの導電性粒子を適当な結着樹脂とともにプラスチックや紙に含浸させた支持体や、導電性結着樹脂を用いて形成したプラスチック製の支持体などを用いることもできる。
支持体の表面は、レーザー光などの散乱による干渉縞の抑制の観点から、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理などを施してもよい。
〔下引き層〕
支持体と感光層(積層型の感光層の場合は電荷発生層)との間には、上述した下引き層が設けられる。必要に応じて、本発明に係る下引き層と支持体との間や、下引き層と感光層との間に、他の下引き層(中間層)を設けてもよい。
〔感光層〕
下引き層上には、電荷発生物質および電荷輸送物質を含有する感光層が形成される。
電荷発生物質としては、例えば、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、スクワリリウム色素、チアピリリウム塩、トリフェニルメタン色素、キナクリドン顔料や、アズレニウム塩顔料、シアニン染料、アントアントロン顔料、ピラントロン顔料、キサンテン色素、キノンイミン色素、スチリル色素などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの電荷発生物質の中でも、光感度に優れるという観点から、フタロシアニン顔料、アゾ顔料が好ましく、その中でも、フタロシアニン顔料がより好ましい。
フタロシアニン顔料の中でも、電荷発生効率に優れるという観点から、オキシチタニウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンが好ましく、その中でも、ヒドロキシガリウムフタロシアニンがより好ましい。
ヒドロキシガリウムフタロシアニンの中でも、感度の観点から、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの7.4°±0.3°および28.2°±0.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶が好ましい。
積層型の感光層の場合、電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、スチレン−ブタジエンコポリマー、ブチラール樹脂、ベンザール樹脂、ポリアクリレート、ポリアセタール、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリアリルエーテル、ポリアリレート、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリビニルアセタール、ポリブタジエン、ポリプロピレン、メタクリル樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ブチラール樹脂が好ましい。これらの樹脂は、1種のみを使用してもよく、混合または共重合体として2種以上を併用してもよい。
電荷発生層は、電荷発生物質および結着樹脂を溶剤とともに分散処理して得られる電荷発生層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、塗膜を乾燥させることによって形成することができる。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着膜としてもよい。
分散処理の方法としては、例えば、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、アトライター、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
電荷発生物質と結着樹脂との割合は、結着樹脂1質量部に対して電荷発生物質が0.3質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、脂肪族ハロゲン化炭化水素系溶剤、芳香族化合物などが挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
電荷発生層用塗布液の塗膜の乾燥方法としては、自然乾燥、加熱乾燥などの方法が挙げられる。加熱乾燥の場合、乾燥温度は、50℃以上150℃以下であることが好ましく、60℃以上120℃以下であることがより好ましい。また、乾燥時間は、2分以上30分以下であることが好ましい。
電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
積層型の感光層の場合、電荷発生層上に電荷輸送層が形成される。電荷発生層と電荷輸送層の順序が反対でもよい。
電荷輸送物質としては、例えば、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ブタジエン化合物などが挙げられる。これらの電荷輸送物質は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、電荷の移動度の観点から、トリアリールアミン化合物が好ましい。
積層型の感光層の場合、電荷輸送層に用いられる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリアリルエーテル、ポリアリレート、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリプロピレン、メタクリル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂が好ましい。これらの樹脂は、1種のみを使用してもよく、混合または共重合体として2種以上を併用してもよい。
電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂を溶剤に溶解させて得られる電荷輸送層用塗布液の塗膜を形成し、塗膜を乾燥させることによって形成することができる。電荷輸送層における電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、結着樹脂1質量部に対して電荷輸送物質が0.3質量部以上10質量部以下であることが好ましい。また、乾燥温度は、60℃以上150℃以下であることが好ましく、80℃以上120℃以下であることがより好ましい。また、乾燥時間は、10分以上60分以下であることが好ましい。
電荷輸送層用塗布液に用いられる溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤などが挙げられる。
電荷輸送層の膜厚は、5μm以上40μm以下であることが好ましく、5μm以上30μm以下であることがより好ましい。電荷輸送層を積層構成とした場合、支持体側の電荷輸送層の膜厚は、5μm以上30μm以下であることが好ましく、表面側の電荷輸送層の膜厚は、1μm以上10μm以下であることが好ましい。
電荷輸送層には、種々の酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤などを必要に応じて添加することもできる。
〔保護層(第二の電荷輸送層)〕
感光層(電荷輸送層)の上に、該感光層の保護や、耐摩耗性あるいはクリーニング性の向上などを目的として保護層(第二の電荷輸送層)を設けてもよい。
保護層は、結着樹脂を有機溶剤に溶解させて得られる保護層用塗布液の塗膜を形成し、塗膜を乾燥させることによって形成することができる。
保護層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリル酸コポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマーなどが挙げられる。
保護層に電荷輸送能を持たせることを目的として、上記電荷輸送層に含有させるものと同様の電荷輸送物質を含有させてもよい。
また、保護層の電荷輸送能と耐摩耗性を向上させるため、電荷輸送能を有するモノマーや高分子型の電荷輸送物質を種々の架橋反応を用いて硬化させることによって保護層を形成してもよい。好ましくは、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送物質を重合および/または架橋させることによって硬化させた層を形成することである。連鎖重合性官能基としては、アクリル基、メタクリル基、アルコキシシリル基、エポキシ基などが挙げられる。連鎖重合性官能基を有する化合物を重合および/または架橋させる手段としては、例えば、ラジカル重合、イオン重合、熱重合、光重合、放射線重合(電子線重合)、プラズマCVD法、光CVD法などが挙げられる。
保護層の膜厚は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることが好ましい。
保護層には、種々の導電性粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤を必要に応じて添加することもできる。
電子写真感光体の表面層(電荷輸送層や保護層など)には、シリコーンオイル、ワックス、ポリテトラフルオロエチレン粒子などのフッ素原子含有樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素などの潤滑剤を含有させてもよい。
上記の各層の塗布液を塗布する際には、浸漬塗布法のほか、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることもできる。
〔電子写真装置〕
図1に、本発明の電子写真感光体の製造方法で製造された電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。ただし、以下に示す電子写真装置の構成は一例であり、本発明は、これに限定されるものではない。
図1において、円筒状の電子写真感光体1は、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。回転駆動される電子写真感光体1の表面は、回転過程において、コロナ帯電器や帯電ローラーなどの帯電手段3により、負の所定電位に均一に帯電される。次いで、レーザービーム走査露光やLEDアレイなどの露光手段(不図示)から出力される、目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された像露光光4を受ける。こうして電子写真感光体1の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5の現像剤に含まれるトナーで現像(正規現像または反転現像)されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体1の表面に形成されているトナー像が、転写手段6(転写ローラーなど)からの転写バイアスによって、転写材(紙など)7に順次転写されていく。ここで、転写材7は、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1の回転と同期して取り出され、電子写真感光体1と転写手段6との当接部に挟み込まれるように給送される。転写手段6には、バイアス電源(不図示)からトナーの保持電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加され、このバイアス電圧の作用により、トナー像が電子写真感光体1の表面から転写材7の表面へと転写される。
トナー像の転写を受けた転写材7は、電子写真感光体1の表面から分離されて定着手段8に搬入されてトナー像の定着処理を受けることによって画像形成物となり、電子写真装置外へと搬送される。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9(クリーニングブレードなど)によって転写残りの現像剤(転写残トナー)の除去を受けて清浄面化される。クリーナーレスシステムである場合は、転写残トナーを現像手段などで回収することもできる。
次いで、電子写真感光体1の表面は、前露光手段(不図示)から照射される前露光光(不図示)により除電処理され、繰り返し画像形成に使用される。なお、図1に示すように、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
上記の帯電手段3、現像手段5、転写手段6の具体例について、さらに詳細に述べる。
帯電手段3としては、例えば、接触帯電方式、コロナ帯電方式、近接帯電方式などの帯電手段が挙げられる。帯電手段が帯電ローラーを用いた接触帯電手段の場合、帯電ローラーに印加する電圧は直流電圧のみの電圧を用いてもよく、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を用いてもよい。また、交流電圧の波形としては、正弦波、矩形波、三角波などの波形が挙げられる。
また、現像手段5としては、例えば、乾式現像方式、湿式(液体式)現像方式の現像手段が挙げられる。
乾式現像方式としては、例えば、
現像剤としてトナーと磁性キャリアとの混合物を用いる2成分系磁性現像方式、
現像剤として磁性キャリアを用いずに磁性または非磁性のトナーのみを用いる1成分系現像方式現像剤
などが挙げられる。
1成分系現像方式としては、例えば、
表面にトナーを担持させた弾性体ローラーを電子写真感光体の表面に接触させて現像を行う接触1成分現像方式、
表面にトナーを担持させたスリーブを電子写真感光体の表面に近接配置して現像を行う非接触1成分現像方式
などが挙げられる。
転写手段6は、図1に示す方式のほかに、中間転写体を用いた転写手段であってもよい。
中間転写体を用いた転写手段の場合、電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、一旦、中間転写体に一次転写され、次いで中間転写体から転写材に二次転写される。
電子写真感光体を複数搭載したタンデム型の電子写真装置の場合、中間転写体上に次々にトナー像が積層され、その後、二次転写手段(不図示)によって、中間転写体上に形成されたトナー像が転写材(不図示)に一括して転写される。この転写材が定着手段に送られてトナー像の定着処理を受けるプロセスについては、図1に示した電子写真装置と同様である。
中間転写体の形状としては、円筒状、ベルト状などが挙げられる。
本発明においては、電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、転写手段6、およびクリーニング手段9などの構成要素の中から複数のものを選択し、これらを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に支持して構成してもよい。そして、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置の本体に対して着脱自在に構成してもよい。
図1では、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段9とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置の本体のレールなどの案内手段12を用いて電子写真装置の本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11としている。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
また、実施例および比較例の電子写真感光体の各層の膜厚は、渦電流式膜厚計(Fischerscope、フィッシャーインスツルメント社製)、または、単位面積当たりの質量から比重換算で求めた。
〔調製例1〕
金属酸化物粒子としての酸化亜鉛粒子(比表面積:19m/g、粉体抵抗:4.7×10Ω・cm)100部をトルエン500部と撹拌混合した。これに、シランカップリング剤(化合物名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、商品名:KBM602、信越化学工業(株)製)0.8部を添加し、6時間攪拌した。その後、トルエンを減圧留去して、130℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。
次に、上記表面処理された酸化亜鉛粒子81部と、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン(東京化成工業(株)製)0.4部、硬化剤としてのブロック化イソシアネート(商品名:デュラネートTPA−B80E、不揮発分80質量%、旭化成ケミカルズ(株)製)15部、ポリオールとしてのポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM−1、積水化学工業(株)製)15部をメチルエチルケトン70部および1−ブタノール70部の混合溶剤(有機溶剤)に溶解した溶液とを混合した。これを、直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミルで23±3℃雰囲気下で3時間分散処理した。
分散処理後、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レダウコーニング(株)製)0.01部、粗し粒子としての架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(PMMA粒子)(商品名:テクポリマーSSX−103、積水化成品工業(株)製)5.6部を加えて攪拌し、溶剤を除いた不揮発分が45質量%の下引き層用塗布液1を得た。
〔調製例2〕
調製例1と同様にして得られた表面処理済みの酸化亜鉛粒子79部と、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン(東京化成工業(株)製)0.4部、硬化剤としてのブロック化イソシアネート(商品名:デュラネートTPA−B80E、不揮発分80質量%、旭化成ケミカルズ(株)製)15部、ポリオールとしてのポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM−1、積水化学工業(株)製)15部をメチルエチルケトン68部および1−ブタノール68部の混合溶剤(有機溶剤)に溶解させた溶液とを混合した。これを、直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミルで23±3℃雰囲気下で3時間分散処理した。
分散処理後、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レダウコーニング(株)製)0.01部、粗し粒子としてのPMMA粒子(商品名:テクポリマーSSX−103、積水化成品工業(株)製)5.6部を加えて攪拌し、溶剤を除いた不揮発分が45質量%の下引き層用塗布液2を得た。
〔調製例3〕
調製例1と同様にして得られた表面処理済みの酸化亜鉛粒子86.4部と、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン(東京化成工業(株)製)0.4部、硬化剤としてのブロック化イソシアネート(商品名:デュラネートTPA−B80E、不揮発分80質量%、旭化成ケミカルズ(株)製)15部、ポリオールとしてのポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM−1、積水化学工業(株)製)15部をメチルエチルケトン72.5部および1−ブタノール72.5部の混合溶剤(有機溶剤)に溶解させた溶液とを混合した。これを、直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミルで23±3℃雰囲気下で3時間分散処理した。
分散処理後、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レダウコーニング(株)製)0.01部、粗し粒子としてのPMMA粒子(商品名:テクポリマーSSX−103、積水化成品工業(株)製)5.6部を加えて攪拌し、溶剤を除いた不揮発分が45質量%の下引き層用塗布液3を得た。
〔調製例4〕
調製例1において、粗し粒子を用いず、メチルエチルケトンと1−ブタノールの使用量をそれぞれ66部ずつに変更した以外は、調製例1と同様にして下引き層用塗布液4を得た。
〔調製例5〕
調製例1において、レベリング剤を用いなかった以外は、調製例1と同様にして下引き層用塗布液5を得た。
〔調製例6〕
調製例1と同様にして得られた表面処理済みの酸化亜鉛粒子81部と、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン(東京化成工業(株)製)0.4部、硬化剤としてのブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、不揮発分75質量%、住化コベストロウレタン(株)製)15部、ポリオールとしてのポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM−1、積水化学工業(株)製)15部をメチルエチルケトン69部および1−ブタノール69部の混合溶剤(有機溶剤)に溶解させた溶液とを混合した。これを、直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミルで23±3℃雰囲気下で3時間分散処理した。
分散処理後、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レダウコーニング(株)製)0.01部、粗し粒子としてのPMMA粒子(商品名:テクポリマーSSX−103、積水化成品工業(株)製)5.6部を加えて攪拌し、溶剤を除いた不揮発分が45質量%の下引き層用塗布液6を得た。
〔実施例1〕
〈下引き層評価用サンプルの作製〉
直径30mm、長さ357.5mmの円筒状アルミニウムシリンダーを支持体(円筒状の導電性支持体)とした。
次に、メチルエチルケトンと1−ブタノールとを同じ質量ずつ混合した希釈用溶剤を作製した。この希釈用溶剤を調製例1で調製した下引き層用塗布液1に加え、溶剤を除いた不揮発分が35質量%になるように下引き層用塗布液を調製した。
この下引き層用塗布液を、浸漬塗布法により上記支持体に塗布した。このとき、塗布時に上端側となる支持体の端部から測定して2mmの位置から下方が被塗布領域になるよう、下引き層用塗布液に支持体を浸漬させる長さを調節した。この下引き層用塗布液が塗布されなかった領域の支持体の母線方向の長さを、以下「上端未塗布幅」と表記する。
塗布液の塗布が終了した後、塗布時に下端側となる支持体の端部の近傍の下引き層用塗布液を拭き取って除去した。下引き層用塗布液が除去(剥離)された領域は、塗布時に下端側となる支持体の端部から支持体の母線方向に測定して4mmまでの領域であった。この領域の支持体の母線方向の長さを、以下「下端剥離幅」と表記する。
次に、下引き層用塗布液が塗布された支持体を160℃で30分間加熱乾燥させることにより、被塗布体の長手方向の中央部で測定した厚さD1が12.5μmの第一の下引き層を形成した。
続いて、上記と全く同様の工程を繰り返して第一の下引き層上に第二の下引き層を形成し、下引き層1の形成を完了して下引き層評価用サンプルを完成させた。
支持体の母線方向の中央部で測定した下引き層1の膜厚(第一の下引き層と第二の下引き層とを合わせて測定される厚さ)をDとしたとき、D=25μmであった。
また、支持体の母線方向の中央部で測定した第二の下引き層のみの厚さD2を、D2=D−D1により求めた。すなわち、この場合、D2=12.5μmであった。
〈塗膜の上端部のタレの評価〉
このようにして支持体上に形成された下引き層1について、以下の方法により、塗膜の上端部のタレの影響の評価を行った。
まず、塗布上端側のシリンダー端部から測定して20mmの位置における下引き層1の厚さdを測定したところ、d=22μmであった。次に、このdと支持体の母線方向の中央部で測定した下引き層1の膜厚D=25μmを用いて、次の計算式(A)を用いて塗膜の上端部の近傍の下引き層の層厚の維持率K(%)を求めた。
K=100×d/D(%)…(A)
結果を表1に示す。
〈電子写真感光体の製造〉
上述した下引き層評価用サンプルの作製方法と全く同様にして、支持体上に下引き層1を形成した。
次に、
ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(CuKα特性X線回折において、7.4°および28.2°(ブラッグ角2θ±0.2°))に強いピークを有するもの)20部、
下記式(A)で示されるカリックスアレーン化合物0.2部、
ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学製)10部、および、
シクロヘキサノン600部
を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、4時間分散処理し、その後、酢酸エチル700部を加えた。
さらに、シクロヘキサノン/酢酸エチルを1/2の質量比で混合した溶剤を加え、固形分が2質量%となるように調製して電荷発生層用分散液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、85℃で10分間加熱して乾燥させることにより、被塗布体の長手方向の中央部で測定した膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
次に、
下記式(2)で示される化合物(電荷輸送物質)6部、
下記式(3)で示される化合物(電荷輸送物質)3部、
下記式(4)で示される化合物(電荷輸送物質)1部、
ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ビスフェノールZ型のポリカーボネート)10部、
下記式(5)で示されるポリカーボネート(粘度平均分子量Mv:20000、括弧の右下の数字は共重合比)0.02部
を、混合キシレン30部、安息香酸メチル16部およびジメトキシメタン24部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。
この電荷輸送層用塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を115℃で60分間加熱して乾燥させることによって、被塗布体の長手方向の中央部で測定した膜厚が16μmの電荷輸送層を形成した。
次に、フッ素原子含有樹脂(商品名:GF−300、東亞合成(株)製)1.5部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)45部および1−プロパノール45部の混合溶剤に溶解させた。
この液に、テトラフルオロエチレン粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)30部を加え、この液を高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics社製)に通し、分散液を得た。
次に、
下記式(6)で示される正孔輸送性化合物70部、
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン30部、および、
1−プロパノール30部
を上記分散液に加え、ポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行い、保護層用塗布液を調製した。
この保護層用塗布液を上記電荷輸送層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を5分間50℃で乾燥させた。乾燥後、窒素雰囲気下にて、加速電圧70kV、吸収線量5000Gyの条件で1.6秒間電子線を塗膜に照射した。その後、窒素雰囲気下にて、塗膜の温度が120℃になる条件で1分間加熱処理を行った。なお、電子線の照射から1分間の加熱処理までの酸素濃度は20ppmであった。次に、大気中において、塗膜が110℃になる条件で1時間加熱処理を行い、被塗布体の長手方向の中央部で測定した膜厚が5μmである保護層を形成した。
このようにして、支持体上に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層および保護層を有する電子写真感光体を製造した。
〈画像評価〉
製造した電子写真感光体を用いて出力した画像の評価を以下のようにして行った。
まず、電子写真感光体の支持体の両端部の開口部に「フランジ」と呼ばれる開口部支持部材をカシメ結合により結合した。このカシメ結合は、支持体の端部を支持部材側の溝に食い込ませるようにして行った。支持体の端部を食い込ませる領域の大きさは、支持体の端部の円周方向に2.5mm、支持体の母線方向に0.5mmとした。また、支持体の端部の円周上の向かい合う2箇所において、カシメ結合を施した。
続いて、この電子写真感光体をキヤノン(株)製の複写機(商品名:imageRUNNER ADVANCE iR−ADVC5051)の改造機(帯電方式を帯電ローラーに直流電圧のみの電圧を印加する方式(DC接触帯電方式)に改造。現像方式は、2成分現像方式である。)に装着して評価を行った。
評価画像には、全面ベタ白画像を用いた。出力画像のカブリを以下の基準に従って目視評価した。ランクCは、本発明の効果が得られていないと判断した。結果を表1に示す。
A=ベタ白画像においてカブリが発生しない。
B=軽微なカブリを確認できる。
C=顕著なカブリが発生する。
〔実施例2〜30〕
実施例1において、
第一の下引き層および第二の下引き層の形成に用いた下引き層用塗布液の番号、
希釈用溶剤添加後の下引き層用塗布液の不揮発分の割合(質量%)、
上端未塗布幅および下端剥離幅、
乾燥条件、
D1(μm)、D2(μm)およびD(μm)
を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして下引き層評価用サンプルを作製し、電子写真感光体を製造し、それぞれの評価を実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
表1から、本発明の電子写真感光体の製造方法により、厚さの均一性に優れた下引き層を形成でき、画像特性が良好な電子写真感光体を製造できることがわかる。
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 像露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段

Claims (4)

  1. 支持体上に膜厚が25μm以上の下引き層を形成する工程、および、該下引き層上に感光層を形成する工程を有する電子写真感光体の製造方法であって、
    該下引き層を形成する工程が、下引き層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させて硬化させる工程を複数回繰り返すことによって該下引き層を形成する工程であり、
    該下引き層用塗布液が、酸化亜鉛粒子、ポリオール、ブロック化イソシアネート化合物、下記式(1)で示される化合物、および、有機溶剤を含有し、
    該下引き層用塗布液中の該有機溶剤を除く成分の占める割合が、45質量%以下である
    ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。

    (式(1)中、R〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、または、アミノ基を示す。ただし、R〜R10の少なくとも1つは、アミノ基、または、ヒドロキシ基である。Xは、カルボニル基、または、ジカルボニル基を示す。)
  2. 前記下引き層を形成する工程が、前記下引き層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させて硬化させる工程をn回(ただし、nは2以上の整数である。)繰り返すことによって前記下引き層を形成する工程であり、
    前記下引き層を形成する工程により形成されるn層の下引き層を前記支持体に近い側から順に第一の下引き層、…、第nの下引き層としたとき、該第一の下引き層から該第nの下引き層のすべてが、同一の組成を有する下引き層である
    請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記下引き層用塗布液を塗布する方法が、浸漬塗布法である請求項1または2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記支持体が、円筒状の支持体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
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