JP6123714B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、「導電性基体上に下引層、感光層からなる電子写真感光体において、該下引層が少なくともブロックイソシアネート化合物及び塩基性アミンを含有することを特徴とする電子写真感光体。」が開示されている。
請求項1に係る発明は、
円筒状の導電性基体上に、
樹脂とブロック化イソシアネートとの硬化物を含み、且つ、下記領域A及び下記領域Bにおける下記式で表される硬化度が共に1.5以下であり、
下記領域Aにおける下記式で表される硬化度と、下記領域Bにおける下記式で表される硬化度と、の差が0.5以下である下引層と、
感光層と、
をこの順に備える電子写真感光体である。
領域A:前記導電性基体の一端から中央部に向かって当該導電性基体の長さの1/8分離れた位置と、前記導電性基体の一端から中央部に向かって当該導電性基体の長さの1/5分離れた位置と、の間の領域
領域B:前記導電性基体の他端から中央部に向かって当該導電性基体の長さの1/8分離れた位置と、前記導電性基体の他端から中央部に向かって当該導電性基体の長さの1/5分離れた位置と、の間の領域
硬化度=[下引層内のブロック化イソシアネートから遊離したブロック化剤の量(g)]/下引層質量(g)×100
前記下引層が金属酸化物粒子を含有する請求項1に記載の電子写真感光体である。
前記金属酸化物粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化スズ、及び酸化ジルコニウムからなる群より選ばれる1種以上の金属酸化物を含有する粒子である請求項2に記載の電子写真感光体である。
前記金属酸化物粒子が、シランカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、及びチタンカップリング剤からなる群より選ばれる1種以上のカップリング剤で表面処理された粒子である請求項2又は請求項3に記載の電子写真感光体である。
前記下引層が電子受容性化合物を含有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子写真感光体である。
前記電子受容性化合物がジヒドロキシアントラキノン系化合物である請求項5に記載の電子写真感光体である。
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジである。
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置である。
請求項2に係る発明によれば、前記領域Aにおける前記式で表される硬化度と前記領域Bにおける前記式で表される硬化度との差が0.5を超える場合に比べ、繰り返し使用後の画像濃度の面内ムラの発生を抑制しうる電子写真感光体が提供される。
請求項3、4、5に係る発明によれば、下引層が金属酸化物粒子を含まない場合に比べ、繰り返し使用後の画像濃度の低下を抑制しうる電子写真感光体が提供される。
請求項6、7に係る発明によれば、下引層が金属酸化物粒子を含まない場合に比べ、繰り返し使用後の画像濃度の低下を抑制しうる電子写真感光体が提供される。
本実施形態に係る電子写真感光体(以下、単に「感光体」と称する場合がある)は、円筒状の導電性基体上に、樹脂とブロック化イソシアネートとの硬化物を含み、且つ、下記領域A及び下記領域Bにおける下記式で表される硬化度が共に1.5以下である下引層と、感光層と、をこの順に備える電子写真感光体である。
樹脂とブロック化イソシアネートとの硬化物を含み、且つ、下記領域A及び下記領域Bにおける下記式で表される硬化度が共に1.5以下である下引層と、
感光層と、
をこの順に備える電子写真感光体。
領域A:前記導電性基体の一端から中央部に向かって当該導電性基体の長さの1/8分離れた位置と、前記導電性基体の一端から中央部に向かって当該導電性基体の長さの1/5分離れた位置と、の間の領域
領域B:前記導電性基体の他端から中央部に向かって当該導電性基体の長さの1/8分離れた位置と、前記導電性基体の他端から中央部に向かって当該導電性基体の長さの1/5分離れた位置と、の間の領域
硬化度=[下引層内のブロック化イソシアネートから遊離したブロック化剤の量(g)]/下引層質量(g)×100
この理由は、定かではないが、以下に示す理由によると考えられる。
しかしながら、一部の電荷が樹脂膜中で捕捉されて残留すると、電子写真感光体の繰り返し使用により蓄積して残留電位が局所的に上昇し、その領域の画像濃度の低下を引き起こす一因となることがあった。
そこで、本発明者らは、電荷移動をスムーズに行える導電路を形成すること、及び、膜内の電荷のトラップを減少させることにより、下引層中での電荷の残留を抑制し、その結果として、画像濃度の低下が抑制されると考え、以下の知見を得た。
即ち、下引層の硬化度を制御することにより、残留電位の蓄積が抑制され、画像濃度の低下が起こり難くなることを見出した。
その結果、下引層の両端部(領域A及び領域B)での残留電位の蓄積が抑制され、繰り返し使用後の画像濃度の低下が抑制されたと考えられる。
また、画像濃度の低下が見られ易い下引層の両端部にて、画像濃度の低下が抑制されることで、繰り返し使用後であっても画像濃度の面内ムラの発生も抑制しうることとなる。
ここで、図1は本実施形態の感光体の層構成の一例を示す概略図である。
例えば、電荷発生層と電荷輸送層の機能を有する一体型の感光層が設けられていてもよい。また、下引層と感光層との間に中間層を有していてもよい。また、最表面層となる保護層は必ずしも設ける必要はない。
なお、符号は省略して説明する。
まず、円筒状の導電性基体について説明する。ここで、「導電性」とは、例えば、体積抵抗率が1013Ω・cm未満であることを意味する。
円筒状の導電性基体としては、従来から使用されているものであれば、如何なるものを使用してもよい。
例えば、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、亜鉛、ニッケル等の金属ドラム;シート、紙、プラスチック、ガラス等の基材上に、アルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケルークロム、ステンレス鋼、銅、インジウム等の金属や、酸化インジウム、酸化錫などの導電性金属化合物を蒸着してなる円筒状の部材;上記基材に金属箔をラミネートしてなる円筒状の部材;上記基材にカーボンブラック、酸化インジウム、酸化錫、酸化アンチモン粉、金属粉、沃化銅等を結着樹脂に分散し、それを塗布することによって導電処理してなる円筒状の部材;等が用いられる。
本実施形態における下引層は、樹脂とブロック化イソシアネートとの硬化物を結着樹脂として含む層である。
まず、この硬化物について説明する。
ブロック化イソシアネートとしては、フェノール、アルコール、マロン酸ジメチル、アセト酢酸エチル、ジメチルピラゾール、MEK(メチルエチルケトン)オキシム、ε−カプロラクタム等の公知のブロック剤を付加させたイソシアネートが用いられる。
また、ブロック化剤を付加されるイソシアネートとしては、所望特性が得られる公知のものであれば、如何なるものを使用してもよい。例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、また、これらの2量体、3量体等が挙げられる。
ブロック化イソシアネートとして具体的には、スミジュール BL 3175(住友バイエルンウレタン社製)等が挙げられる。
ブロック化イソシアネートと硬化物を形成する樹脂としては、公知のいかなるものでも使用し得るが、例えば、ポリビニルブチラール樹脂等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、不飽和ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の公知の高分子樹脂化合物、また、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂等が用いられる。
中でも、上記ブロック化イソシアネートとの反応性の点から、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等が好ましい。
樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
続いて、下引層において、硬化度を求める領域A及び領域Bについて説明する。
本実施形態における「領域A及び領域B」は、以下の通りである。
領域A:導電性基体の一端から軸方向の中央部に向かって導電性基体の長さの1/8分離れた位置と、導電性基体の一端から軸方向の中央部に向かって導電性基体の長さの1/5分離れた位置と、の間の領域
領域B:導電性基体の他端から軸方向の中央部に向かって導電性基体の長さの1/8分離れた位置と、導電性基体の他端から軸方向の中央部に向かって導電性基体の長さの1/5分離れた位置と、の間の領域
領域A及び領域Bは、例えば、導電性基体の長さが340mmであれば、導電性基体の両端のそれぞれから中央部に向かって、42.5mm離れた位置と68.0mm離れた位置との間の領域を指す。
つまり、上記のように、領域A及び領域Bは、導電性基体の長さに対し中央部ではなく両端に近い位置に存在する領域であるといえる。
硬化度=[下引層内のブロック化イソシアネートから遊離したブロック化剤の量(g)]/下引層質量(g)×100
まず、領域A及び領域Bの下引層を全て導電性基体から剥がし取り、質量を測定する。
続いて、剥がし取った下引層を、熱重量分析測定装置Extra6300(株式会社日立ハイテクサイエンス社製)TG/DTA測定用アルミニウムセルに封入し、TG/DTA10℃/分昇温にて30℃から500℃まで昇温させる。この際の、30℃から230℃までに減量(g)したものを下引層内のブロック化イソシアネートから遊離したブロック化剤の量(g)とする。なお、30℃から230℃までに減量した成分が、ブロック化剤(例えば、メチルエチルケトンオキシム)であることは、GC/MS分析にて確認を行う。
よって、本実施形態における「硬化度」が1.5以下であることで、樹脂とブロック化イソシアネートとの硬化反応が十分に進み、下引層中に残存する未反応のブロック化イソシアネートが少ないということになる。
このように、領域Aと領域Bとで硬化度の差が小さいことで、繰り返し使用後の画像濃度の面内ムラが生じ難く、高品質の画像が得られることになる。
「硬化度」の値が高くなれば高くなるほど、繰り返し使用時の画像濃度の低下は抑制され、同時に感度も高くなる場合がある。
電子写真感光体の感度が高い場合、かかる電子写真感光体を適用する画像形成装置の種類によっては、例えば、画像に過剰のトナーが付着し、細線潰れやハーフトーン濃度が濃くなる現象や、画像以外の領域にトナーが付着してしまう(カブリ)等の画像の品質に関わる現象が生じることがある。
そのため、種々な画像形成装置に適用させても、画像の品質を低下させないといった点からは、上記のような下限値以上の硬化度の下引層を備えた電子写真感光体であることが好ましい。
本実施形態における下引層は、樹脂とブロック化イソシアネートとの硬化物の他、金属酸化物粒子、電子受容性化合物(アクセプター化合物)、他の添加剤等を含むことが好ましい。
本実施形態では、下引層に金属酸化物粒子を含むことが好ましい。この金属酸化物粒子を含むことで、金属酸化物粒子が形成する下引層の膜内導電路により、電荷の輸送が容易になることで、下引層における電荷の蓄積が抑制され、その結果として、画像濃度の低下も効果的に抑制される。
金属酸化物粒子の抵抗値が上記範囲の下限値以上であることにより十分なリーク耐性が得られ、一方上限値以下であることにより残留電位の上昇がより効率的に抑制される。
尚、上記金属酸化物粒子の比表面積は、流動式比表面積測定装置フローソーブ(株式会社島津製作所製)を用い、ガス吸着BET一点法によって測定される。
なお、上記金属酸化物粒子の粒子径は、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡などの顕微鏡観察によって測定される値である。
表面処理剤としては、シランカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤や、界面活性剤など、求められる特性が得られるものであれば公知の材料から選択される。特にシランカップリング剤が望ましく用いられる。更にアミノ基を有するシランカップリング剤が望ましく用いられる。
前記アミノ基を有するシランカップリング剤と併用してもよいシランカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロルプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
乾式法にて表面処理を施す場合には、金属酸化物粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接或いは有機溶媒に溶解させたシランカップリング剤を滴下、或いは、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって処理される。添加或いは噴霧する際には溶剤の沸点以下の温度で行われることが望ましい。金属酸化物粒子にシランカップリング剤を添加或いは噴霧した後、更に100℃以上で焼き付けが行われる。焼き付けは求められる電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施される。
湿式法においては表面処理剤を添加する前に金属酸化物粒子から含有水分を除去してもよく、その例として表面処理に用いる溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、或いは溶剤と共沸させて除去する方法が用いられる。
本実施形態において、下引層に電子受容性化合物を用いると、前記した金属酸化物粒子の表面に電子受容性化合物が付着することで、上層の電荷を引き寄せる効果が増し、繰り返し使用時の残留電荷の蓄積を抑制する性能を向上させうる。
また、下引層に電子受容性化合物を含有させることにより、下引層と上層との界面における電荷の授受が容易となり、下引層と上層との界面近傍での電荷の蓄積も効果的に抑制しうる。
なお、R1乃至R8のうち、2つ又は3つが水酸基を示すことが好ましく、2つが水酸基を示すことがより好ましく、R1が水酸基であり且つR2乃至R8のうち1つが水酸基であることが特に好ましい。
下引層には、種々の添加剤が用いられてもよい。
添加剤としては、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送性物質、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が用いられる。シランカップリング剤は酸化亜鉛の表面処理に用いられるが、添加剤として更に塗布液に添加して用いてもよい。
これらの化合物は、単独、複数の化合物の混合物、或いは重縮合物として用いられる。
下引層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、公知の有機溶剤、例えば、アルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等の有機溶剤から選択される。具体的には例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の一般的な有機溶剤が用いられる。
本実施形態においては、揮発性が高く、下引層形成における製造性に優れる点から、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。
これらの有機溶剤は単独或いは2種以上混合して用いられる。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶かす溶剤であれば、いかなるものを使用してもよい。
下引層形成用塗布液は、前記塗布溶剤に溶解するものは、攪拌溶解や加熱溶解させることで調製される。
また、金属酸化物粒子のごとき前記塗布溶剤に不溶の物質を用いる際には、分散処理することにより調製される。例えば、金属酸化物粒子を分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の公知の方法が用いられる。
下引層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法、リング塗布法、インクジェット塗布法、等の公知の方法が用いられる。
このようにして導電性基体上に下引層の塗膜が形成される。
本実施形態では、乾燥の際には、均一な膜厚を得るため、生産性を高めるために、乾燥装置内に、垂直に立てて複数の導電性基体を並べた上で、熱風乾燥を行うことが好ましい。
なお、乾燥装置内の温度ムラを低減するために、垂直に立てられた導電性基体の上方及び下方の一方もしくは両方から熱風を吹き付けることが好ましい。本実施形態では、円筒状の導電性基体を用いているため、導電性基体内部にも熱風が入り込み下引層の塗膜の乾燥が促進される。
熱風温度(乾燥温度)としては、前述した硬化度を達成するため、また、ブロック化剤を高効率で解離させる点から、160℃以上195℃以下が好ましい。
熱風の吹き付ける時間(乾燥時間)としては、15分以上60分以下が好ましく、20分以上45分以下がより好ましい。
更に、下引層の厚さは、充分な耐リーク性能を得る点から、15μm以上が望ましく、20μm以上であることがより望ましく、また、繰り返し使用時の残留電位の残存を抑制する点からは、50μm以下とされることがより望ましい。
下引層の表面粗さの調整のために下引層中に樹脂等の粒子を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型PMMA樹脂粒子等が用いられる。
また、表面粗さ調整のために下引層を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、ウエットホーニング、研削処理等が用いられる。
図示は省略するが、下引層と感光層との間に中間層を更に設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂とを含む層である。また、電荷発生層は、電荷発生材料の蒸着層であってもよい。電荷発生材料の蒸着層は、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro−Luminescence)イメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合に好適である。
なお、n−型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn−型とする。
結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ω・cm以上であることをいう。
これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
なお、この分散の際、電荷発生層形成用塗布液中の電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送材料と結着樹脂とを含む層である。電荷輸送層は、高分子電荷輸送材料を含む層であってもよい。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
なお、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1から1:5までが好ましい。
保護層は、必要に応じて感光層上に設けられる。保護層は、例えば、帯電時の感光層の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度を更に改善する目的で設けられる。
そのため、保護層は、硬化膜(架橋膜)で構成された層を適用することがよい。これら層としては、例えば、下記1)又は2)に示す層が挙げられる。
2)非反応性の電荷輸送材料と、電荷輸送性骨格を有さず、反応性基を有する反応性基含有非電荷輸送材料と、を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり、非反応性の電荷輸送材料と、当該反応性基含有非電荷輸送材料の重合体又は架橋体と、を含む層)
なお、保護層形成用塗布液は、無溶剤の塗布液であってもよい。
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、電子写真感光体として、上記本実施形態に係る電子写真感光体が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図2に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
図3に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
(下引層の形成)
導電性基体としてφ30mm、長さ340mm、厚さ1.0mmの切削アルミニウムパイプを準備した。
次に、酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m2/g)100質量部をトルエン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM603:信越化学工業社製)0.75質量部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間)焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理した酸化亜鉛顔料を得た。
次に、表面処理を施した酸化亜鉛顔料60質量部、アリザリン0.6質量部、硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール BL 3175(住友バイエルンウレタン社製))13.5質量部、及び、ブチラール樹脂(エスレック BM−1(積水化学工業社製))15質量部をメチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部と、を混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。
得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部、シリコーン樹脂粒子「トスパール145(GE東芝シリコーン社製)」4.0質量部を添加し、下引層形成用塗布液を得た。
この下引層形成用塗布液を切削アルミニウムパイプ上に浸漬塗布方法にて塗布し、180℃(乾燥装置内温度)、20分間の乾燥によって硬化させ、厚さ20μmの下引層を得た。
なお、下引層の乾燥は、乾燥装置内に、下引層形成用塗布液を塗布した切削アルミニウムパイプを、金属パレット上に垂直に立てて並べた上で、上方より熱風を吹き付ける熱風乾燥により行った。この際、領域Aは垂直に立てた切削アルミニウムパイプの上端側の領域であり、領域Bは下端側の領域である。
次に、電荷発生材料としてのCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜、16.0゜、24.9゜及び28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、ダウケミカル社製)10部とn−酢酸ブチル200部からなる混合物を、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。
得られた分散液にn−酢酸ブチル175部及びメチルイソブチルケトン180部を添加し、攪拌して電荷発生層形成用の塗布液を得た。
この電荷発生層形成用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、常温で乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を形成した。
次に、トルエン4.3質量部にフッ素系グラフトポリマーGF400(東亜合成株式会社製)を0.06質量部溶解させた液に、4フッ化エチレン樹脂粒子1.8質量部(平均粒径:0.2μm)を入れ、20℃の液温に保ちながら48時間攪拌混合し、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液(A液)を得た。
次に、電荷輸送物質としてN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン9.8質量部、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:40,000)13.0質量部、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.2質量部を混合してテトラヒドロフラン48.3質量部及びトルエン18.2質量部を混合溶解し、B液を得た。
このB液に前記A液を加えて攪拌混合した後、微細な流路を持つ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(吉田機械興行株式会社製)を用いて、500kgf/cm2まで昇圧しての分散処理を6回繰り返した液に、シリコーンオイル(商品名:KP340:信越化学工業製)を5ppm添加し、十分に撹拌して電荷輸送層形成用塗布液を得た。
この電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層上に塗布して115℃で40分間乾燥し、膜厚が30μmの電荷輸送層を形成した。
得られた感光体E1における下引層の領域A及び領域Bについて、硬化度を前述した方法にて測定した。結果を表1に示す。
(下引層の形成)
導電性基体として径φ40mm、長さ357mm、厚さ2.0mmの切削アルミニウムパイプを準備した。
次に、酸化亜鉛:(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m2/g)100重量部をトルエン500重量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM603:信越化学工業社製)1.00重量部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間)焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理した酸化亜鉛顔料を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛顔料60重量部、4−エトキシ−1、2−ジヒドロキシアントラキノン2.5重量部、硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール BL 3175(住友バイエルンウレタン社製))13.5重量部、及び、ブチラール樹脂(エスレック BM−1(積水化学工業社製))15重量部をメチルエチルケトン85重量部に溶解した溶液38重量部と、メチルエチルケトン25重量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005重量部、シリコーン樹脂粒子トスパール145(GE東芝シリコーン社製):3.5重量部を添加し、下引層形成用塗布液を得た。この下引層形成用塗布液を前記アルミニウム基材上に浸漬塗布方法にて塗布し、180℃(乾燥装置内温度)、25分間の乾燥によって硬化させ、厚さ25μmの下引層を得た。
なお、下引層の乾燥は、乾燥装置内に、下引層形成用塗布液を塗布した切削アルミニウムパイプを、金属パレット上に垂直に立てて並べた上で、上方より熱風を吹き付ける熱風乾燥により行った。この際、領域Aは垂直に立てた切削アルミニウムパイプの上端側の領域であり、領域Bは下端側の領域である。
得られた下引層上に、実施例1と同様にして、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、目的の感光体E2を得た。
得られた感光体E2における下引層の領域A及び領域Bについて、硬化度を前述した方法にて測定した。結果を表1に示す。
実施例1の下引層の形成において、乾燥条件を190(乾燥装置内温度)、40分間に変え、更に、乾燥装置内に、下引層形成用塗布液を塗布した切削アルミニウムパイプを吊り下げ、吊り下げ具より上方から熱風を吹き付ける熱風乾燥を採用した以外は、実施例1と同様にして下引層、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、感光体E3を得た。
得られた感光体E3における下引層の領域A及び領域Bについて、硬化度を前述した方法にて測定した。結果を表1に示す。
実施例1の下引層の形成において、乾燥条件を150℃(乾燥装置内温度)、30分間に変えた以外は、実施例1と同様にして下引層、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、感光体C1を得た。
得られた感光体C1における下引層の領域A及び領域Bについて、硬化度を前述した方法にて測定した。結果を表1に示す。
実施例1の下引層の形成において、乾燥条件を160℃(乾燥装置内温度)、15分間に変えた以外は、実施例1と同様にして下引層、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、感光体C2を得た。
得られた感光体C2における下引層の領域A及び領域Bについて、硬化度を前述した方法にて測定した。結果を表1に示す。
実施例1の下引層の形成において、乾燥条件を150℃(乾燥装置内温度)、30分間に変え、更に、乾燥装置内に、下引層形成用塗布液を塗布した切削アルミニウムパイプを吊り下げ、吊り下げ具より上方から熱風を吹き付ける熱風乾燥を採用した以外は、実施例1と同様にして下引層、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、感光体C3を得た。
得られた感光体C3における下引層の領域A及び領域Bについて、硬化度を前述した方法にて測定した。結果を表1に示す。
(実機評価)
各例で得られた感光体をドラムカートリッジに装着した、富士ゼロックス社製フルカラープリンターDocu Centre Color f450改造機を用い、28℃/85%RH環境下にて、感光体の残留電位を測定し、画像密度20%の全面ハーフトーン画像を採取した後、画像密度60%の全面ハーフトーン画像の20万枚の連続プリントテストを行った。
その後、感光体の残留電位の上昇、及び、画像濃度の低下について評価を行った。
20万枚の連続プリントテスト後の感光体の領域A及び領域Bに相当する領域の表面電位(X)を測定し、これを初期の感光体の表面電位(Y)と比較した。
比較により求められた領域A及び領域Bに相当する領域の残留電位の上昇分[(X)−(Y)]を表1に示す。
ここで、表面電位の測定には、表面電位計(トレック社製、Model334)を使用した。
20万枚の連続プリントテスト後、続いて、上記改造機にて、画像密度20%の全面ハーフトーン画像をプリントした。このハーフトーン画像において、領域A及び領域Bに対応する領域の画像濃度(x)を測定した。
この画像濃度を、20万枚連続プリントテスト前の際のハーフトーン画像における領域A及び領域Bに対応する領域の画像濃度(y)と比較した。
比較により求められた領域A及び領域Bに対応する領域の画像濃度の低下割合[(x)/(y)×100]を表1に示す。
実施例3の感光体E3を2つ用意し、それぞれ、前述の実機評価における20万枚の連続プリントテストを行った後、富士ゼロックス社製フルカラープリンターDocu Centre Color f450改造機と、富士ゼロックス社製フルカラープリンターDocu Centre Color 2263改造機と、に装着した。
そして、それぞれの改造機にて、白紙プリントテストを行った。
その結果、Docu Centre Color f450改造機ではカブリが発生したが、Docu Centre Color 2263改造機ではカブリは未発生であった。
このように、感光体の硬化度が低い場合(例えば0.2未満の場合)には、繰り返し使用後の画像濃度の低下の点では優れるものの、装着する装置の種類や使用状況によってはカブリが生じる場合があり、汎用性の点で劣ることが分かる。
Claims (8)
- 円筒状の導電性基体上に、
樹脂とブロック化イソシアネートとの硬化物を含み、且つ、下記領域A及び下記領域Bにおける下記式で表される硬化度が共に1.5以下であり、
下記領域Aにおける下記式で表される硬化度と、下記領域Bにおける下記式で表される硬化度と、の差が0.5以下である下引層と、
感光層と、
をこの順に備える電子写真感光体。
領域A:前記導電性基体の一端から中央部に向かって当該導電性基体の長さの1/8分離れた位置と、前記導電性基体の一端から中央部に向かって当該導電性基体の長さの1/5分離れた位置と、の間の領域
領域B:前記導電性基体の他端から中央部に向かって当該導電性基体の長さの1/8分離れた位置と、前記導電性基体の他端から中央部に向かって当該導電性基体の長さの1/5分離れた位置と、の間の領域
硬化度=[下引層内のブロック化イソシアネートから遊離したブロック化剤の量(g)]/下引層質量(g)×100 - 前記下引層が金属酸化物粒子を含有する請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記金属酸化物粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化スズ、及び酸化ジルコニウムからなる群より選ばれる1種以上の金属酸化物を含有する粒子である請求項2に記載の電子写真感光体。
- 前記金属酸化物粒子が、シランカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、及びチタンカップリング剤からなる群より選ばれる1種以上のカップリング剤で表面処理された粒子である請求項2又は請求項3に記載の電子写真感光体。
- 前記下引層が電子受容性化合物を含有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記電子受容性化合物がジヒドロキシアントラキノン系化合物である請求項5に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。 - 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
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