JP4445376B2 - 電子写真感光体及びそれを具備した画像形成装置、該感光体下引き層用塗工液、その製造方法 - Google Patents
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以上のことからは、熱硬化時にホルムアルデヒドを発生せず、環境依存性が少ない下引き層用の熱架橋性樹脂が求められていた。
ウレタン樹脂の硬化反応については、アクリルポリオール等の活性水素含有基含有化合物を、イソシアネート基を含有するモノマー等の硬化剤存在下において一定時間熱風乾燥処理することにより、アクリルポリオールの活性水素含有基と硬化剤のイソシアネート基との3次元網目状の架橋反応を開始して硬化膜が形成されるというものであるがイソシアネート基の反応性が非常に高いため、それを用いた塗工液では下使時間が短いという問題があり、電子写真感光体用塗工液、更にはイソシアネート系塗料においても、アルコール溶剤、水溶剤、又は活性水素含有基含有化合物存在下でも安定に存在しポットライフの長いブロックイソシアネートについて、電子写真感光体分野への応用の検討が進められている。
この反応では、加熱によるブロック剤の脱離温度が高いため、本電子写真感光体を生産するにあたって、乾燥設備を既存に比較して投資が増大し、エネルギー使用量も大きいため、二酸化炭素排出量も増大し、地球温暖化に悪影響を与える。
つまり、ブロック剤の脱離温度を低下つまり架橋温度を低下し、かつ該感光体用塗工液の可使時間を極限まで延長することが望まれていた。
図1は本発明の電子写真感光体の構成例の一つを示す断面図であり、導電性支持体(32)の上に少なくとも下引き層(33)及び感光層(34)を積層した構成をとっている。
図2は本発明の別の構成例を示す断面図であり、導電性支持体(32)の上に下引き層(33)、電荷発生層(35)、電荷輸送層(36)を積層した構成をとっている。
これらのブロックイソシアネート樹脂の例としては、ブロック剤としてε−カプロラクタムを用いたイソホロンジイソシアネートであるヒルス(HULS)社製商品名:IPDI−B1065、IPDI−B1530、あるいは内部ブロッキングされたウレトジオン結合型ブロックイソホロンジイソシアネートであるヒルス(HULS)社製商品名:IPDI−BF1540が挙げられる。また、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどをオキシムでブロックされたものが挙げられる。
オキシムの例としてはホルムアルデヒドオキシム、アセトアルドオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムが挙げられる。
オキシムでブロックされたブロックイソシアネートの例として明成化学工業社製商品名DM−60、DM−160、大日本インキ社製のバーノックB7−887−60、B3−867、DB980Kが挙げられる。
塩基性アミンは主として脂肪族アミン、芳香族アミン、脂環族アミンが挙げられ、脂肪族アミンとしては、たとえばアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリメチレンジアミン(エチレンジアミン、ジアミノブタン、ジアミノプロパン、ヘキサンジアミン、ドデカンジアミンなど)、ポリエチレンポリアミン(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなど)、ポリエーテルジアミン等が挙げられる。
上記芳香族アミンとしては、たとえば2,4−もしくは2,6−ジアミノトルエン(TDA)、粗製TDA、1,2−、1,3−もしくは1,4−フェニレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MDA)、粗製MDA、1,5−ナフチレンジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルシクロヘキサン等が挙げられる。
上記脂環族アミンとしては、たとえば4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3−アミノ−1−シクロヘキシルアミノプロパン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソフォロンジアミン、ノルボルナンジアミン、メンセンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(−5,5−)ウンデカン等が挙げられる。
一般的にポリオールと呼ばれるポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオールや、オイルフリーアルキド樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられるが、本発明では、特に少なくとも水酸基を含有するオイルフリーアルキド樹脂を用いるものであり、特に優れている。
水酸基を含有するオイルフリーアルキド樹脂の好適な具体例としては、ベッコライトM−6401−50、M−6402−50、M−6003−60、M−6005−60、46−118、46−119、52−584、M−6154−50、M−6301−45、55−530、54−707、46−169−S、M−6201−40−1M、M−6205−50、54−409(大日本インキ化学工業(株)製:オイルフリーアルキド樹脂の商品名)、エスペル103、110、124、135(日立化成工業(株)製オイルフリーアルキド樹脂の商品名)などが挙げられる。
金属酸化物には酸化チタン、酸化亜鉛、鉛白、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等が挙げられ、なかでも酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンの使用が望ましい。酸化チタンは可視光及び近赤外光にほとんど吸収がなく白色であり、感光体の高感度化には望ましい。また、屈折率が比較的大きく、レーザー光のような可干渉光で画像の書き込みを行なうときに発生するモアレが効果的に防止できる。
また、本発明に使用できる酸化チタンの純度が99.4%以上であることが必要である。酸化チタンに含有される不純物は、Na2O、K2O等の吸湿性物質およびイオン性物質が主であり、酸化チタンの純度が99.4%より低い場合には、感光体特性が環境(特に湿度)および繰り返しの使用により大きく変動する原因となるので好ましくない。また、これら不純物は黒斑点等の画像欠陥の原因となりやすい。本発明に示す下引き層中の酸化チタンの純度は、JIS K5116に示される測定法により、求めることができる。
導電性支持体(32)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研磨などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体(32)として用いることができる。
結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し10〜500重量部、好ましくは25〜300重量部が適当である。
また、電荷発生層の膜厚は0.01〜5μm、好ましくは0.1〜2μmである。
電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ[1,2−b]チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
また、帯電部材が間接的に配置された帯電方式、いわゆるスコロトロン方式、コロトロン方式の他に酸性ガスの発生が抑制できる感光体に直接配置した帯電方式が提案されてきている。
上述の感光体と、帯電手段、現像手段、クリーニング手段より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジとすることができる。
例えば、図4に示すように、少なくとも感光体(12)、帯電部材(1)及び現像手段(7)を容器(20)に納めて一つのプロセスカートリッジとし、このプロセスカートリッジを装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成にしても良い。クリーニング手段(10)は容器(20)内に設けても設けなくてもよい。
実施例1
(下引き層用塗工液の作成及びその塗工方法)
酸化チタン(CREL、石原産業製)80部、オイルフリーアルキド樹脂(ベッコライトM6163−60(固形分60wt%):大日本インキ化学工業製)15重量部、ブロックイソシアネート樹脂(バーノックB3−867(固形分70wt%):大日本インキ化学工業製)20重量部、メチルエチルケトン100重量部、ジエチルアミン0.23重量部からなる混合物をボールミルで72時間分散し、下引き層用塗工液として作製し、これを用いて直径30mm、長さ340mmのアルミニウムドラム上に、3本塗布し、110℃20分、130℃20分、150℃20分乾燥して、膜厚4μmの下引き層を塗布したドラムを作製した。
τ型無金属フタロシアニン(TPA−891:東洋インキ社製)12重量部、下記構造式(1)のジスアゾ顔料24重量部をシクロヘキサノン330重量部中、ボールミルにて216時間分散を行なった。分散終了後ポリビニルブチラール(XYHL:UCC社製)6重量部をメチルエチルケトン850重量部、シクロヘキサノン1100重量部に溶解した樹脂液を添加し、3時間分散を行ない、電荷発生層用塗工液を作成した。これを3種類の乾燥条件で作成した下引き層ドラムに塗布し、130℃で10分間乾燥して膜厚0.2μmの電荷発生層を作成した。
下記構造式(2)で示される電荷輸送物質8重量部、ポリカーボネート(Zタイプ:粘度平均分子量5万)10重量部、シリコーンオイル(KF−50:信越化学工業社製)0.002重量部をテトラヒドロフラン100重量部に溶解し、電荷輸送層用塗工液を作成した。これを前記電荷発生層上に塗布し、130℃で20分間乾燥して膜厚30μmの電荷輸送層を形成し、実施例1の感光体を得た。
実施例1の下引き層用塗工液に添加したジエチルアミンの量を0.0023重量部に変更した以外は実施例1と同じ。
実施例1の下引き層用塗工液に添加したジエチルアミンの量を1.15重量部に変更した以外は実施例1と同じ。
実施例1の下引き層用塗工液に添加したジエチルアミンの量を1.73重量部に変更した以外は実施例1と同じ。
実施例5〜6
実施例1の下引き層用塗工液に添加したジエチルアミンの量を表1に示す量に変更した以外は実施例1と同じ。
実施例1の下引き層用塗工液に添加したジエチルアミンに変えて、トリエチルアミンに変更した以外は実施例1と同じ。
実施例2の下引き層用塗工液に添加したジエチルアミンに変えて、トリエチルアミンに変更した以外は実施例2と同じ。
実施例3の下引き層用塗工液に添加したジエチルアミンに変えて、トリエチルアミンに変更した以外は実施例3と同じ。
実施例4の下引き層用塗工液に添加したジエチルアミンに変えて、トリエチルアミンに変更した以外は実施例4と同じ。
実施例11〜12
実施例7の下引き層用塗工液に添加したトリエチルアミンの量を表1に示す量に変更した以外は実施例7と同じ。
実施例1〜6の下引き層用塗工液に添加したジエチルアミンに変えて、エチルエタノールアミンに変更した以外は実施例1〜6と同じ。
実施例1〜6の下引き層用塗工液に添加したジエチルアミンに変えて、ジエチルエタノールアミンに変更した以外は実施例1〜6と同じ。
実施例1の下引き層用塗工液を以下のように変更した。
(下引き層用塗工液の作成及びその塗工方法)
酸化チタン(CREL 石原産業製 純度99.7wt%)80部、オイルフリーアルキド樹脂(M6401−50)(固形分50wt% 水酸基価130):大日本インキ化学工業製)25重量部、ブロックイソシアネート樹脂(バーノックB7−887−50(固形分60wt%):大日本インキ化学工業製)12.5重量部、ジエチルエタノールアミン0.2重量部、メチルエチルケトン100重量部からなる混合物をボールミルで72時間分散し、下引き層用塗工液として作製し、これを用いて直径30mm、長さ340mmのアルミニウムドラム上に、3本塗布し、110℃20分、130℃20分、150℃20分乾燥して、膜厚4μmの下引き層を塗布したドラムを作製した。
実施例25の下引き層用塗工液に添加したジエチルエタノールアミンの添加量を0.002重量部に変更した以外実施例25と同じ。
実施例25の下引き層用塗工液に添加したジエチルエタノールアミンの添加量を1重量部に変更した以外実施例25と同じ。
実施例25の下引き層用塗工液に添加したジエチルエタノールアミンの添加量を1.5重量部に変更した以外実施例25と同じ。
実施例29〜30
実施例25の下引き層用塗工液に添加したジエタノールアミンの量を表1に示す量に変更した以外実施例25と同じ。
実施例25の下引き層用塗工液に添加したジエチルエタノールアミンに変えてヘキサメチレンジアミンに変更した以外実施例25と同じ。
実施例26の下引き層用塗工液に添加したジエチルエタノールアミンに変えてヘキサメチレンジアミンに変更した以外実施例26と同じ。
実施例27の下引き層用塗工液に添加したジエチルエタノールアミンに変えてヘキサメチレンジアミンに変更した以外実施例27と同じ。
実施例28の下引き層用塗工液に添加したジエチルエタノールアミンに変えてヘキサメチレンジアミンに変更した以外実施例28と同じ。
実施例35〜36
実施例31の下引き層用塗工液に添加したヘキサメチレンジアミンの量を表1に示す量に変更した以外実施例31と同じ。
実施例25の下引き層用塗工液に添加したジエチルエタノールアミンに変えてメチルエタノールアミンに変更した以外実施例25と同じ。
実施例26の下引き層用塗工液に添加したジエチルエタノールアミンに変えてメチルエタノールアミンに変更した以外実施例26と同じ。
実施例27の下引き層用塗工液に添加したジエチルエタノールアミンに変えてメチルエタノールアミンに変更した以外実施例27と同じ。
実施例28の下引き層用塗工液に添加したジエチルエタノールアミンに変えてメチルエタノールアミンに変更した以外実施例28と同じ。
実施例37の下引き層用塗工液に添加したメチルエタノールアミンの量を表1に示す量に変更した以外実施例37と同じ。
実施例1の下引き層用塗工液におけるジエチルアミンの添加を無くした以外は実施例1と同じ。
実施例1のジエチルアミンに変更してジブチルスズラウレート0.23重量部を添加した以外は実施例1と同じ。
実施例25の下引き層用塗工液におけるジエチルエタノールアミンの添加を無くした以外は実施例25と同じ。
実施例25の下引き層用塗工液におけるジエチルエタノールアミンに変更して、オクチルスズ0.00002重量部を添加した以外は実施例25と同じ。
下引き層用塗工液の物性についても過剰な塩基性アミンの存在のためと思われる粘度上昇が引き起こされており、添加量は0.0001〜5wt%が特に優れていることが分かる。
また比較例におけるスズ化合物では通紙枚数が経過するに従い、トリム画像において局所的な黒ポチが発生し、劣っている。
6:露光手段
7:現像手段
8:転写部材(コロナ方式)
9:記録材
10:クリーニング手段
11:助電手段
12:感光体
20:容器
21:容器
22:容器
23:転写部材
24:定着手段
32:導電性支持体
33:下引き層
34:感光層
35:電荷発生層
36:電荷輸送層
Claims (9)
- 導電性支持体上に下引き層、感光層からなる電子写真感光体において、該下引き層が少なくともブロックイソシアネート化合物及び塩基性アミンを含有し、かつ主剤として水酸基を含有するオイルフリーアルキド樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。
- 導電性支持体上に下引き層、感光層からなる電子写真感光体の製造方法において、該下引き層を、少なくともブロックイソシアネート化合物及び塩基性アミンを含有し、かつ主剤として水酸基を含有するオイルフリーアルキド樹脂を含有する塗工液を架橋反応させて形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 導電性支持体上に下引き層、感光層からなる電子写真感光体の該下引き層塗工液において、少なくともブロックイソシアネート化合物及び塩基性アミンを含有し、かつ主剤として水酸基を含有するオイルフリーアルキド樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体用下引き層塗工液。
- 導電性支持体上に下引き層、感光層からなる電子写真感光体を具備する電子写真画像形成装置において、該下引き層が少なくともブロックイソシアネート化合物及び塩基性アミンを含有し、かつ主剤として水酸基を含有するオイルフリーアルキド樹脂を含有することを特徴とする電子写真画像形成装置。
- 前記塩基性アミンの含有量がオイルフリーアルキド樹脂とブロックイソシアネートの合計に対して0.0001〜5wt%であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記塩基性アミンの含有量がオイルフリーアルキド樹脂とブロックイソシアネートの合計に対して0.0001〜5wt%であることを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記塩基性アミンの含有量がオイルフリーアルキド樹脂とブロックイソシアネートの合計に対して0.0001〜5wt%であることを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体用下引き層塗工液。
- 前記塩基性アミンの含有量がオイルフリーアルキド樹脂とブロックイソシアネートの合計に対して0.0001〜5wt%である下引き層を有する電子写真感光体を具備してなることを特徴とする請求項4に記載の電子写真画像形成装置。
- 請求項1又は5に記載の感光体と、帯電手段、現像手段、クリーニング手段より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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