JP5672027B2 - 電子写真感光体、画像形成装置およびプロセスカートリッジ - Google Patents
電子写真感光体、画像形成装置およびプロセスカートリッジ Download PDFInfo
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Description
特に、耐熱性、強度の点においては、架橋構造とすることが有効であり、例えば、熱、あるいは光硬化した膜を用いた有機ELデバイス(例えば特許文献1参照)、電荷輸送性基を含有するアクリルポリマーを用いた電子写真感光体(例えば特許文献2乃至4参照)、電荷輸送性基と反応性基を含有するアクリルポリマーを、膜形成後に架橋した電子写真感光体(例えば特許文献5参照)、光硬化型アクリル系モノマーを含有する液を塗布し硬化した膜(例えば特許文献6参照)等が開示されている。また、炭素−炭素二重結合を有するモノマー、炭素−炭素二重結合を有する電荷移動材およびバインダー樹脂の混合物を熱、あるいは光のエネルギーによって前記モノマーの炭素−炭素二重結合と前記電荷移動材の炭素−炭素二重結合とを反応させることにより形成された膜が開示され、特に、単官能メタクリル変性した電荷移動材と、電荷輸送性を有さないメタクリルモノマーと、ポリカーボネート樹脂とに有機過酸化物を用いて硬化したものが開示されている(例えば特許文献7参照)。
また、露光波長を500nm以下とし、スポット面積を2000μm2以下とした画像形成装置(例えば特許文献12参照)、連鎖重合性官能基を有する輸送剤を電子線で硬化した表面層を有する感光体を380nm以上500nm以下の波長で露光すること(例えば特許文献13参照)、1μm以上10μm以下の表面保護層を有する感光体を380nm以上450nm以下の波長で、スポット径40μm以下で露光すること(例えば特許文献14参照)、感光体を380nm以上450nm以下の波長で、トナー粒子が重量平均粒径6μm以下で現像すること(例えば特許文献15参照)、アゾ顔料を電荷発生剤として用い、380nm以上500nm以下の波長で露光すること(例えば特許文献16参照)が開示されている。
即ち、請求項1に係る発明は、
導電性基体と、該導電性基体上に、下記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の少なくとも1種、および不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種、が重合されてなる重合体を含有する感光層と、を有する電子写真感光体である。
F−[(G)a1−(X)a2−Y−SH]b 一般式(I)
(式(I)中、Fは電荷輸送性化合物から誘導される有機基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Xは−CO−O−、−O−CO−および−O−から選ばれる基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を、a1およびa2は1を、bは1以上6以下の整数を表す。)
前記一般式(I)における前記Fが、正孔輸送能を有する有機基である請求項1に記載の電子写真感光体である。
前記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料が、下記一般式(II)で示されるチオール基含有電荷輸送材料である請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体である。
前記不飽和結合を有する化合物が電荷輸送性骨格を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーである請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の電子写真感光体である。
前記不飽和結合を有する化合物が同一分子内に2つ以上の不飽和結合を有し、且つ電荷輸送性骨格を有さないモノマー、オリゴマーまたはポリマーである請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の電子写真感光体である。
前記感光層が、潤滑性粒子を含有する請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の電子写真感光体である。
導電性基体上に、下記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の少なくとも1種と、不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種と、が重合されてなる重合体を含有する感光層を有する電子写真感光体、
該電子写真感光体の表面を帯電させる帯電装置、
帯電された前記電子写真感光体の表面を露光して該表面に静電潜像を形成する露光装置、
前記静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成する現像装置、
および、前記トナー像を被転写媒体に転写する転写装置、
を備える画像形成装置である。
F−[(G)a1−(X)a2−Y−SH]b 一般式(I)
(式(I)中、Fは電荷輸送性化合物から誘導される有機基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Xは−CO−O−、−O−CO−および−O−から選ばれる基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を、a1およびa2は1を、bは1以上6以下の整数を表す。)
前記電子写真感光体における感光層の総膜厚が20μm以下であり、且つ前記露光装置が非干渉性の露光光源を有する請求項7に記載の画像形成装置である。
前記非干渉性の露光光源によって露光される前記電子写真感光体表面の露光スポットの面積が1000μm2以下であり、且つ前記非干渉性の露光光源の発光の中心波長が450nm以上780nm以下である請求項8に記載の画像形成装置である。
前記電子写真感光体が、電荷発生材料としてn型の有機顔料を含有する請求項7〜請求項9の何れか1項に記載の画像形成装置である。
前記n型の有機顔料が、縮合多環芳香族化合物、ペリレン化合物、およびアゾ化合物から選ばれる少なくとも1種の有機顔料である請求項10に記載の画像形成装置である。
導電性基体上に、下記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の少なくとも1種と、不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種と、が重合されてなる重合体を含有する感光層を有する電子写真感光体を備え、
且つ画像形成装置に着脱し得るプロセスカートリッジである。
F−[(G)a1−(X)a2−Y−SH]b 一般式(I)
(式(I)中、Fは電荷輸送性化合物から誘導される有機基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Xは−CO−O−、−O−CO−および−O−から選ばれる基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を、a1およびa2は1を、bは1以上6以下の整数を表す。)
本実施形態に係る電子写真感光体(以下単に「感光体」と称すことがある)は、導電性基体と、該導電性基体上に、下記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の少なくとも1種、および不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種、が重合されてなる重合体(以下単に「特定重合体」と称すことがある)を含有する感光層と、を有する。
F−[(G)a1−(X)a2−Y−SH]b 一般式(I)
(式(I)中、Fは電荷輸送性化合物から誘導される有機基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Xは−CO−O−、−O−CO−および−O−から選ばれる基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を、a1およびa2はそれぞれ独立に0または1を、bは1以上6以下の整数を表す。)
尚、本実施形態では、上記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の中でも、a1およびa2が1であるものが用いられる。
また、通常、多官能の電荷輸送材料を架橋して得た感光層では、固定化されることに伴って層中での残留歪が増大するが、一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料は、電荷輸送性成分が運動自由度の高いチオエステル基を介して架橋されるために層中での残留歪が抑制され、構造的なトラップを生じにくいため、これらによって優れた電気特性が得られるものと推察される。
そのため、優れた電気特性を得たまま、更に形成する感光層の厚さをより厚くし得る。
これに対し、本実施形態に係る電子写真感光体では、一般式(1)で示されるチオール基含有電荷輸送材料等の架橋成分の割合や、一般式(1)で示されるチオール基含有電荷輸送材料等の反応性のモノマーの構造を選択することで、システムに合わせた最適な強度の表面層を形成し得る。
本実施形態の新規なチオール基含有電荷輸送材料は、下記一般式(I)で示される。
F−[(G)a1−(X)a2−Y−SH]b 一般式(I)
(式(I)中、Fは電荷輸送性化合物から誘導される有機基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Xは−CO−O−、−O−CO−および−O−から選ばれる基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を、a1およびa2はそれぞれ独立に0または1を、bは1以上6以下の整数を表す。)
これらの中でも、直鎖状または分枝鎖状であり、−CH3、−SH基で置換されているかまたは未置換であり、且つ炭素数1以上5以下のアルキレン基がより好ましい。
ここで、置換アリール基における置換基としては、−D(即ち−(G)a1−(X)a2−Y−SHで表される結合基)以外のものとして、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数6以上10以下のアリール基等が挙げられ、且つこれらのアルキル基、アルコキシ基、アリール基は置換、未置換の何れであってもよい。
尚、下記具体例中、(1),(38),(55)〜(56),(70)〜(74)の化合物は参考例として示すものである。
一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料は、通常のエステル化反応で合成される。
例えば、特開平9−31039号公報などに記載されたエステル基を含有するアリールアミン化合物を含チオールアルコールとエステル交換反応を行う方法や、エステル基を含有するアリールアミン化合物を加水分解によりフリーのカルボン酸とした後に、含チオールアルコール、あるいは含チオール炭化水素の塩素化物、臭素化物またはヨウ素化物などでエステル化する方法等により合成される。また、エステル基を含有するアリールアミン化合物をリチウムアルミニウムハイドライド、水素化ホウ素ナトリウムなどで対応するアルコールに還元した後に、含チオールカルボン酸化合物と反応させることで合成される。
HOOC−Y−SH 一般式(4)
F−[(G)a1−COOH]b 一般式(5)
HO−Y−SH 一般式(6)
(式中、Fは電荷輸送性化合物から誘導される有機基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を示し、a1は0または1を、bは1以下6以下の整数を表わす。)
J−Y−SH 一般式(8)
F−[(G)a1−J]b 一般式(9)
HO−Y−SH 一般式(10)
(式中、Fは電荷輸送性化合物から誘導される有機基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を示し、a1は0または1を、bは1以下6以下の整数を、Jは水酸基、または塩素、臭素もしくはヨウ素を表す。)
硫酸、リン酸などの無機酸、チタンアルコキシド、カルシウム、コバルトなどの酢酸塩あるいは炭酸塩、亜鉛や鉛の酸化物を触媒として加えてもよい。触媒は、アリールアミン化合物1質量部に対して、1/10000質量部以上1質量部以下、好ましくは1/1000質量部以上1/2質量部以下で用いることが好ましい。
反応は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス中で行うことが好ましく、またp−シメン、1−クロロナフタレンなどの高沸点溶剤を用いて反応させてもよい。
溶剤量に特に制限はないが、エステル基を含有するアリールアミン化合物1質量部に対して1質量部以上100質量部以下、好ましくは2質量部以上50質量部以下で用いることが好ましい。
反応温度は、室温(20℃)以上溶剤の沸点以下で設定され、反応速度の問題上、50℃以上が好ましい。
触媒の量については特に制限はないが、エステル基を含有するアリールアミン化合物1質量部に対して0.001質量部以上1質量部以下、好ましくは0.01質量部以上0.5質量部以下で用いることが好ましい。
加水分解反応後、塩基性触媒で加水分解を行った場合には、生成した塩を塩酸などの酸で中和し、遊離させる。さらに、十分に水洗した後、乾燥して使用するか、必要によっては、メタノール、エタノール、トルエン、酢酸エチル、アセトンなど、適当な溶剤により、再結晶を行った後、乾燥して使用してもよい。
硫酸、リン酸などの無機酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸を触媒として脱水、エステル化により合成する。触媒は、アリールアミン化合物の1質量部に対して、1/10000質量部以上1質量部以下、好ましくは1/1000質量部以上1/2質量部以下で用いることが好ましい。
反応温度は自由に設定されるが、重合中に生成する水を除去するために、溶剤の沸点で反応させることが好ましい。反応終了後、反応液を水にあけ、トルエン、ヘキサン、酢酸エチルなどの溶剤で抽出、水洗し、さらに必要により活性炭、シリカゲル、多孔質アルミナ、活性白土などの吸着剤を用いて精製を行ってもよい。
塩基はカルボン酸に対し、1等量以上3等量以下、好ましくは1等量以上2等量以下で使用することが好ましい。使用する非プロトン性の有機溶媒はカルボン酸誘導体に対し1質量部以上50質量部以下、好ましくは1.5質量部以上30質量部以下で用いることが好ましい。
反応温度は、0℃以上溶剤の沸点以下で自由に設定されるが、0℃以上150℃以下が好ましい。反応終了後、反応液を水にあけ、トルエン、ヘキサン、酢酸エチルなどの溶剤で抽出、水洗し、さらに必要により活性炭、シリカゲル、多孔質アルミナ、活性白土などの吸着剤を用いて精製を行ってもよい。
ついで、不飽和結合を有する化合物について説明する。電荷輸送成分を有さないものとしては以下のようなものが挙げられる。
1官能のモノマーは、例えば、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、ヒドロキシエチルo−フェニルフェノールアクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート、スチレン、などが挙げられる。
3官能のモノマーは、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート、トリビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
4官能のモノマーは、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
5官能以上のモノマーは、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の他、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、フォスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(I)連鎖重合性官能基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に持つ化合物
連鎖重合性官能基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に持つ化合物における連鎖重合性官能基としては、ラジカル重合しうる官能基であれば特に限定されるものではなく、例えば、少なくとも炭素二重結合を含有する基を有する官能基である。具体的には、ビニル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくも一つを含有する基等が挙げられる。なかでも、その反応性に優れることから、連鎖重合性官能基としては、ビニル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくも一つを含有する基であることが望ましい。
また(I)連鎖重合性官能基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に持つ化合物における電荷輸送性骨格としては電子写真感光体における公知の構造であれば特に限定されるものではなく、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの含窒素の正孔輸送性化合物に由来する骨格であって、窒素原子と共役している構造が挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン骨格が望ましい。
ここで、(I)連鎖重合性官能基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に持つ化合物として、電荷輸送性に優れかつ、連鎖重合性に優れるといった観点から、好ましい例として、下記一般式(A)で表される化合物が挙げられる。
また、一般式(A)で表される化合物としては、Dが−(CH2)d−(O−CH2−CH2)e−O−CO−C(R’)=CH2(但し、R’は水素原子、又はメチル基を表し、dは1以上5以下の整数、eは0又は1を表す)を表す化合物もよい。
ここで、置換アリール基における置換基としては、Dで表される基以外のものとして、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数6以上10以下の置換若しくは未置換のアリール基等が挙げられる。
まず、炭素二重結合を持つ反応性官能基を1つ有する化合物の具体例を示すが、これらに限られるものではない。
即ち、(I)の化合物は、例えば、前駆体であるアルコールを、対応するメタクリル酸、又はメタクリル酸ハロゲン化物と縮合させて合成する。特定の電荷輸送性材料は、例えば、前駆体であるアルコールがベンジルアルコール構造の場合、アルコールと、ヒドロキシエチルメタクリレート等の水酸基を有するメタクリル酸誘導体と、の脱水エーテル化などにより合成してもよい。
また、(I)の化合物として、炭素二重結合を持つ反応性官能基を4つ以上含む化合物と、炭素二重結合を持つ反応性官能基を1つ以上3つ以下含む化合物と、を併用してもよい。この併用により、電荷輸送性能の低下を抑制しつつ、膜の強度が調整される。
(I)の化合物として、炭素二重結合を持つ反応性官能基を4つ以上含む化合物と、炭素二重結合を持つ反応性官能基を1つ以上3つ以下含む化合物と、を併用する場合、(I)の化合物の総含有量に対して、炭素二重結合を持つ反応性官能基を4つ以上含む化合物の含有量を5質量%以上とすることがよく、特に20質量%以上とすることがよい。
(I)の化合物としては、下記一般式(B)及び(C)によりそれぞれ表される部分構造を含むポリマーであってもよい。
ここで、一般式(B)及び(C)によりそれぞれ表される部分構造を含むポリマーの末端基としては、ラジカル重合反応による停止反応で生じた構造である。
Xが表す2価の有機基として具体的には、例えば、−C(=O)−O−(CH2)n−(但し、nは0又は1以上10以下の整数を表す)等が挙げられる。
Yが表す2価の有機基として具体的には、−(CH)n−(但し、nは1以上10以下の整数を表す)、−(CH2)n−O−C(=O)−(但し、nは0又は1以上10以下の整数を表し、「(CH2)n」の水素原子の一部は水酸基が置換していてもよい)、−(CH2)n−Ar−(但し、Arは芳香環数1以上3以下のアリーレン基を表し、nは0又は1以上10以下の整数を表す)、−Ar−O−(CH2)n−O−C(=O)−(但し、Arは芳香環数1以上3以下のアリーレン基を表し、nは0又は1以上10以下の整数を表す)等が挙げられる。
m、nはそれぞれ5以上の整数を表し、10<m+n<2000、かつ0.2<m/(m+n)<0.95であり、強度、可とう性、電気特性の観点から、15<m+n<2000、かつ0.3<m/(m+n)<0.95が望ましく、20<m+n<2000、かつ0.4<m/(m+n)<0.95がさらに望ましい。
なお、一般式(D)中、Xが表す2価の有機基、及びCTが表す電荷輸送性骨格を持つ有機基としては、一般式(B)及び(C)中のX、CTと同義である。
1官能のモノマーとしては、例えば、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、ヒドロキシエチルo−フェニルフェノールアクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート、などのアクリレート、あるいは、メタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレンなどのスチレン誘導体などが挙げられる。
これらを共重合する際に使用される量(l)は、溶解性及び可とう性を付与する観点から、上記一般式(D)中のmに対してl/m<0.3が望ましく、l/m<0.2がより望ましい。
本実施形にかかる電子写真感光体は、導電性基体上に、前記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の少なくとも1種、および不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種、が重合されてなる重合体を含有する感光層を有する。
なお、最表面層が保護層として機能する層である場合、この保護層の下層には、電荷輸送層および電荷発生層からなる感光層、または単層型感光層を有することとなる。
一方、最表面層が電荷輸送層として機能する層の場合、導電性基体上に、電荷発生層、および最表面層としての電荷輸送層を有し、該電荷輸送層が前記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の少なくとも1種、および不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種、が重合されてなる重合体を含有する組成物、あるいはその硬化物を含有する層である形態が挙げられる。
また、チオール基、不飽和結合などの反応性を有さない電荷輸送材料を混合してもよい。
図2に示す電子写真感光体7Bにおいては、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に、電荷輸送層3、電荷発生層2、および保護層5が順次形成された構造を有するものである。電子写真感光体7Bにおいては、電荷輸送層3および電荷発生層2により感光層が構成される。
尚、図1、図2および図3に示す電子写真感光体において、下引層1は設けてもよいし、設けなくてもよい。
まず、電子写真感光体7Aにおける最表面層である保護層5について説明する。
保護層5は、電子写真感光体7Aにおける最表面層であり、前記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の少なくとも1種、および不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種、が重合されてなる重合体を含有して形成されることが好ましい。
保護層(最表面層)5を構成する膜は、非反応性の電荷輸送材料を併用してもよい。非反応性の電荷輸送材料は電荷輸送を担っていない反応性基を有さないため、非反応性の電荷輸送材料を保護層(最表面層)5に用いた場合には実質的に電荷輸送成分の濃度が高まり、電気特性を更に改善するのに有効である。また、非反応性の電荷輸送材料を添加して架橋密度を減じ、強度を調整してもよい。
中でも、モビリティー、相溶性など点から、トリフェニルアミン骨格を有するものが望ましい。
保護層(最表面層)5を構成する硬化膜は、更に成膜性、可とう性、潤滑性、接着性を調整するなどの目的から、他のカップリング剤、特にフッ素含有のカップリング剤と混合して用いてもよい。このような化合物として、各種シランカップリング剤、および市販のシリコーン系ハードコート剤が用いられる。また、ラジカル重合性基を有するシリコン化合物、フッ素含有化合物を用いてもよい。
市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−8239(以上、信越化学工業社製)、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等が挙げられる。
ラジカル重合性基を有するシリコン化合物、フッ素含有化合物としては、特開2007−11005号公報に記載の化合物などが挙げられる。
劣化防止剤の添加量としては20質量%以下が望ましく、10質量%以下がより望ましい。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、サノールLS2626、サノールLS765、サノールLS770、サノールLS744、チヌビン144、チヌビン622LD、マークLA57、マークLA67、マークLA62、マークLA68、マークLA63が挙げられ、チオエーテル系として、スミライザーTPS、スミライザーTP−Dが挙げられ、ホスファイト系として、マーク2112、マークPEP−8、マークPEP−24G、マークPEP−36、マーク329K、マークHP−10等が挙げられる。
この粒子の一例として、ケイ素含有粒子が挙げられる。ケイ素含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカおよびシリコーン粒子等が挙げられる。ケイ素含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、好ましくは平均粒径1nm以上100nm以下、より好ましくは10nm以上30nm以下のシリカを、酸性若しくはアルカリ性の水分散液、あるいはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれる。該粒子としては一般に市販されているものを使用してもよい。
これらのシリコーン粒子は球状で、その平均粒径は好ましくは1nm以上500nm以下、より好ましくは10nm以上100nm以下である。
表面層中のシリコーン粒子の含有量は、保護層5の全固形分全量を基準として、好ましくは0.1質量%以上30質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。
シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル;アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類;1,3,5−トリメチル−1.3.5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類;ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類;3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類;メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類;ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等が挙げられる。
これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着での混合でもよい。導電性粒子の平均粒径は0.3μm以下、特に0.1μm以下が好ましい。
保護層5を形成するために用いる組成物は、一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の少なくとも1種、および不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種、が溶媒中に溶解してなる溶解液(保護層形成用塗布液)として調製されることが望ましい。
この保護層形成用塗布液は、無溶媒であってもよいし、必要に応じて、トルエン、キシレンなどの芳香族、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのセロソルブ系、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール系等の溶媒などの単独または混合溶媒を用いて調製される。
保護層形成用塗布液は、被塗布面(図1に示す態様では電荷輸送層3)の上に、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法、インクジェット塗布法等の通常の方法により塗布される。
その後、得られた塗膜に対して、光、電子線または熱を付与してラジカル重合を生起させて、該塗膜を重合、硬化させる。
上記チオール基含有電荷輸送材料を樹脂に相溶させる場合、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂など公知の非反応性のバインダー樹脂が挙げられる。
硬化する場合、一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料に、さらに反応性化合物を含有させてもよく、特に、同一分子内に2つ以上の二重結合を含むモノマー、オリゴマー、あるいはポリマーを混合して硬化することが、強度向上に好ましい。
前記チオール基含有電荷輸送材料が溶解した溶解液を用い、該溶解液中の成分を重合することで硬化された膜を得る場合、その重合の際には熱、光、放射線などが用いられる。熱、光で重合、硬化を行う場合、重合開始剤は必ずしも必要ではないが、光硬化触媒または熱重合開始剤を用いてもよい。この光硬化触媒および熱重合開始剤としては、公知の光硬化触媒や熱重合開始剤が用いられる。放射線としては電子線が好ましい。
電子線を用いる場合、加速電圧は300KV以下が好ましく、最適には150KV以下である。また、線量は好ましくは1Mrad以上100Mrad以下の範囲、より好ましくは3Mrad以上50Mrad以下の範囲である。加速電圧が300KV以下であることにより感光体特性に対する電子線照射のダメージが抑制される。また、線量が1Mrad以上であることにより架橋が十分に行なわれ、100Mrad以下であることにより感光体の劣化が抑制される。
光源としては、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプなどが用いられ、バンドパスフィルター等のフィルターを用いて好適な波長を選択してもよい。照射時間、光強度は自由に選択されるが、例えば照度(365nm)は300mW/cm2以上、1000mW/cm2以下が好ましく、例えば600mW/cm2のUV光を照射する場合、5秒以上360秒以下照射すればよい。
より具体的には、ベンジルケタール系として、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンが挙げられる。
より具体的には、ベンゾフェノン系として、2−ベンゾイル安息香酸、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
熱重合開始剤としては、V−30、V−40、V−59、V601、V65、V−70、VF−096、VE−73、Vam−110、Vam−111(和光純薬製)、OTazo−15、OTazo−30、AIBM、AMBN、ADVN、ACVA(大塚化学)等のアゾ系開始剤;パーテトラA、パーヘキサHC、パーヘキサC、パーヘキサV、パーヘキサ22、パーヘキサMC、パーブチルH、パークミルH、パークミルP、パーメンタH、パーオクタH、パーブチルC、パーブチルD、パーヘキシルD、パーロイルIB、パーロイル355、パーロイルL、パーロイルSA、ナイパーBW、ナイパーBMT−K40/M、パーロイルIPP、パーロイルNPP、パーロイルTCP、パーロイルOPP、パーロイルSBP、パークミルND、パーオクタND、パーヘキシルND、パーブチルND、パーブチルNHP、パーヘキシルPV、パーブチルPV、パーヘキサ250、パーオクタO、パーヘキシルO、パーブチルO、パーブチルL、パーブチル355、パーヘキシルI、パーブチルI、パーブチルE、パーヘキサ25Z、パーブチルA、パーヘキシルZ、パーブチルZT、パーブチルZ(日油化学社製)、カヤケタールAM−C55、トリゴノックス36−C75、ラウロックス、パーカドックスL−W75、パーカドックスCH−50L、トリゴノックスTMBH、カヤクメンH、カヤブチルH−70、ペルカドックスBC−FF、カヤヘキサAD、パーカドックス14、カヤブチルC、カヤブチルD、カヤヘキサYD−E85、パーカドックス12−XL25、パーカドックス12−EB20、トリゴノックス22−N70、トリゴノックス22−70E、トリゴノックスD−T50、トリゴノックス423−C70、カヤエステルCND−C70、カヤエステルCND−W50、トリゴノックス23−C70、トリゴノックス23−W50N、トリゴノックス257−C70、カヤエステルP−70、カヤエステルTMPO−70、トリゴノックス121、カヤエステルO、カヤエステルHTP−65W、カヤエステルAN、トリゴノックス42、トリゴノックスF−C50、カヤブチルB、カヤカルボンEH−C70、カヤカルボンEH−W60、カヤカルボンI−20、カヤカルボンBIC−75、トリゴノックス117、カヤレン6−70(化薬アクゾ社製)、ルルペロックス610、ルペロックス188、ルペロックス844、ルペロックス259、ルペロックス10、ルペロックス701、ルペロックス11、ルペロックス26、ルペロックス80、ルペロックス7、ルペロックス270、ルペロックスP、ルペロックス546、ルペロックス554、ルペロックス575、ルペロックスTANPO、ルペロックス555、ルペロックス570、ルペロックスTAP、ルペロックスTBIC、ルペロックスTBEC、ルペロックスJW、ルペロックスTAIC、ルペロックスTAEC、ルペロックスDC、ルペロックス101、ルペロックスF、ルペロックスDI、ルペロックス130、ルペロックス220、ルペロックス230、ルペロックス233、ルペロックス531などが挙げられる。
導電性基体4としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属または合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、および金属ベルトが挙げられる。また、導電性基体4としては、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属または合金を塗布、蒸着またはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等も挙げられる。
ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
陽極酸化膜の膜厚については、0.3μm以上15μm以下が望ましい。
先ず、酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸およびフッ酸の配合割合は、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲が好ましい。処理温度は42℃以上48℃以下が好ましいが、処理温度を高く保つことにより、一層速く、かつ厚い被膜が形成される。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
下引層1は、例えば、結着樹脂に無機粒子を含有して構成される。
無機粒子としては、粉体抵抗(体積抵抗率)102Ω・cm以上1011Ω・cm以下のものが望ましく用いられる。
無機粒子のBET法による比表面積は、10m2/g以上が望ましい。
無機粒子の体積平均粒径は50nm以上2000nm以下(望ましくは60nm以上1000nm以下)の範囲であることが望ましい。
アクセプター性化合物としては、上記特性が得られるものであれば限定されず、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送性物質などが望ましく、特にアントラキノン構造を有する化合物が望ましい。更にヒドロキシアントラキノン系化合物、アミノアントラキノン系化合物、アミノヒドロキシアントラキノン系化合物等、アントラキノン構造を有するアクセプター性化合物が望ましく用いられ、具体的にはアントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が挙げられる。
無機粒子表面にアクセプター化合物を付与させる方法としては、乾式法、または、湿式法が挙げられる。
下引層1に含有される結着樹脂としては、良好な膜が形成されるもので、かつ、所望の特性が得られるものであれば公知のいかなるものを使用してもよく、例えば、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の公知の高分子樹脂化合物、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が用いられる。
また、下引層1に含有される結着樹脂として、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂等を用いてもよい。なかでも上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好適であり、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が好適である。これらを2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
添加物としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が用いられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層形成用塗布液に添加してもよい。
また、ジルコニウムキレート化合物の例としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
溶媒として、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が用いられる。
更に、下引層1を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
更に、下引層1は、所望の特性が得られるのであれば、いかなる厚さに設定されてもよいが、厚さ15μm以上が望ましく、更に望ましくは15μm以上50μm以下とされていることが望ましい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂などの粒子を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が用いられる。
また、表面粗さ調整のために下引層表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が用いられる。LED,有機ELイメージアレーなどの非干渉性光源を用いる場合には平滑な表面を用いてもよい。
電荷発生層2は、電荷発生材料及び結着樹脂を含有する層である。また、結着樹脂を含有しない蒸着膜として形成してもよい。特に、LED,有機ELイメージアレーなどの非干渉性光源を用いる場合には好ましい。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料、酸化亜鉛、三方晶系セレン等が挙げられる。これらの中でも、近赤外域のレーザー露光に対応させるためには、電荷発生材料として、金属フタロシアニン顔料、及び無金属フタロシアニン顔料を用いることが望ましく、特に、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−11172号公報、特開平5−11173号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報、特開平5−43823号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより望ましい。また、近紫外域のレーザー露光に対応させるためには、電荷発生材料として、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、チオインジゴ系顔料、ポルフィラジン化合物、酸化亜鉛、三方晶系セレン、特開2004−78147号公報、特開2005−181992号公報に開示されたビスアゾ顔料等を用いることがより望ましい。また、450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED,有機ELイメージアレーなどの非干渉性光源を用いる場合にも上記電荷発生材料を用いてもよいが、解像度の観点より、感光層を20μm以下の薄膜で用いる場合には、感光層中の電界強度が高くなり、基材からの電荷注入による帯電低下、いわゆる黒ぽちと呼ばれる画像欠陥を生じやすくなる。これは、三方晶系セレンや、フタロシアニン顔料などのp-型半導体で暗電流を生じやすい電荷発生材料を用いた時に顕著となる。これに対し、縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料などのn-型半導体を用いた場合、暗電流を生じにくく、薄膜にしても黒ぽちと呼ばれる画像欠陥を抑制し得る。450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED,有機ELイメージアレーなどの非干渉性光源を用い、平滑な基材、下引き層を形成し、さらにn-型の電荷発生材料を用いることで、感光層を20μm以下の薄膜にしても画像欠陥を生じず、長期に渡って高解像度の画像が得られることを見出した。n-型の電荷発生材料としては、具体的に以下の例があげられるがこれに限られるものではない。なお、n-型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn-型とする。
更にこの分散の際、電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、望ましくは0.3μm以下、更に望ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
図1に示す電荷輸送層3は、電荷輸送材料と結着樹脂を含有して、または高分子電荷輸送材を含有して形成される。
これらの結着樹脂は1種を単独でまたは2種以上で用いる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は質量比で10:1から1:5までが望ましい。
なお、電荷輸送層3に用いる結着樹脂の粘度平均分子量の上限値としては100000以下が望ましい。
ここで、本実施形態における結着樹脂の粘度平均分子量は、毛細管粘度計によって測定した値である。
なお、最表面層が電荷輸送層である場合には、その下層中に含まれる結着樹脂の粘度平均分子量が上記の範囲であることが望ましい。
電荷輸送層形成用塗布液に用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状若しくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤を単独または2種以上混合して用いられる。また、上記各構成材料の溶解方法としては、公知の方法が使用される。
電荷輸送層として本実施形態の表面層材料を使用してもよい。
次に、本実施形態の電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジおよび画像形成装置について説明する。
本実施形態のプロセスカートリッジは、潜像保持体の表面の静電潜像を現像して得られたトナー像を記録媒体に転写して、該記録媒体上に画像を形成する画像形成装置に対して着脱自在であり、前記潜像保持体としての前述の本実施形態に係る電子写真感光体を少なくとも備えた構成である。
図7は露光ヘッドを示す図であり、図8は露光ヘッドにより感光体に露光を施している状態を示す図である。各露光ヘッドは、図7および図8に示すように、例えば、有機EL素子アレイ(発光素子アレイ60B)と、結像部(レンズ70)と、を備えている。
発光素子アレイ60Bは、例えば、有機EL素子(発光素子60A)で構成される発光部と有機EL素子が実装される実装基板(図7の発光素子アレイ基板61に相当)とを備える。
有機EL素子アレイ(発光素子アレイ60B)と結像部(レンズ70)とは、発光部(発光素子60A)と結像部の光入射面70Aとの光学距離が結像部の作動距離となるように、離間した状態で保持部材により保持されている。
そして、結像部では、発光部からの発光を光の入射面70Aから入射すると共に光の出射面70Bから出射して予め定められた位置に結像させる、つまり、発光素子60Aからの発光を感光体30に結像することによって、感光体30が露光されて潜像が形成される(図8)。
ここで、有機EL素子アレイ(発光素子アレイ60B)について説明する。
有機EL素子アレイは、例えば発光部から照射される光を実装基板(発光素子アレイ基板61)側から取り出す、所謂、ボトムエミッション方式となっている。無論、トップエミッション方式であってもよい。
発光部は、例えば、単一の発光素子60Aの群で構成されている。発光素子60Aは、実装基板(発光素子アレイ基板61)の長手方向に沿って線状(直列)又は千鳥状に配置して、発光部を構成している。発光素子60Aの群で構成された発光部は、感光体30の画像形成領域以上の長さとしている。
結像部は、例えば、ロッドレンズが複数配列されたレンズアレイで構成されている。レンズアレイとして具体的には、例えば、セルフォックレンズアレイ(SLA:セルフォックは、日本板硝子(株)の登録商標)と呼ばれる屈折率分散型レンズアレイを適用することが最もよいが、シリンドリカルレンズを組み合わせても良い。さらに、個々の光源用有機EL素子上にマイクロレンズを接合しても良い。
本実施形態の画像形成装置に用いられるトナーは、平均形状係数((ML2/A)×(π/4)×100、ここでMLは粒子の最大長を表し、Aは粒子の投影面積を表す)が100以上150以下であることが望ましく、105以上145以下であることがより望ましく、110以上140以下であることがさらに望ましい。さらに、トナーとしては、体積平均粒子径が3μm以上12μm以下であることが望ましく、3.5μm以上9μm以下であることがさらに望ましい。
上記トナーに用いられる結晶性ポリエステル樹脂や、その他すべてのポリエステル樹脂は多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、本実施形態においては、前記ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
・式(7) M=K/A
但し、式(7)中、Mはエステル濃度を、Kは結晶性ポリエステル中のエステル基数を、Aは結晶性ポリエステルの高分子鎖を構成する原子数を、それぞれ表す。
すなわち、エステル結合に関与するカルボキシル基やアルコール基に由来する炭素原子および酸素原子(1つのエステル結合中酸素原子は2個)や、高分子鎖を構成する、例えば芳香環における6つの炭素は、前記原子数の計算に含まれるが、高分子鎖を構成する、例えば芳香環やアルキル基における水素原子、その置換体の原子ないし原子群は、前記原子数の計算に含まれない。
上記トナーに使用される無定形高分子樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性結着樹脂などが挙げられ、具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体又は共重合体(スチレン系樹脂);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、及びこれらの非ビニル縮合系樹脂とビニル系モノマーとのグラフト重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂の中でもビニル系樹脂やポリエステル樹脂が特に好ましい。
フッ素元素を有する粒子としては、黒鉛やグラファイトにフッ素が結合したフッ化炭素、ポリ四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、パーフルオロアルコキシ・フッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)等が用いられ、平均粒径としては0.1μm以上4μm以下の範囲が好ましく、上記化学構造のものを粉砕して、粒径をそろえてもよい。トナーへの添加量は好ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下の範囲である。0.05質量%以上であると摩擦係数が高くなり過ぎず、ゴーストの発生が抑制され、2.0質量%以下であるとトナーの帯電特性において、逆極性トナーの生成が抑制される。
さらに、滑性粒子を添加してもよい。滑性粒子としては、グラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪族アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス、ミツロウ等の動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物が使用される。これらは、1種を単独で、又は2種以上を併用して使用される。但し、平均粒径としては0.1μm以上10μm以下の範囲が好ましく、上記化学構造のものを粉砕して、粒径をそろえてもよい。トナーへの添加量は好ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下の範囲である。
しかし、この低硬度の材料では、耐磨耗性に劣るため、長期に渡り良好なクリーニング性能を維持し得ない。
感光体表面と接触する第一層と、感光体表面と接触しない背面層と、から構成され、前記第一層の材料が、下式(1)乃至(3)を満たすことが好ましい。
・式(1) 3.92≦M≦29.42
・式(2) 0<α≦0.294
・式(3) S≧250
〔但し、式(1)乃至(3)中、Mは100%モジュラス(MPa)を表し、αは、応力−歪曲線において、歪量が100%以上200%以下における歪量変化(Δ歪量)に対する応力変化(Δ応力)の割合{Δ応力/Δ歪量=(歪量200%における応力−歪量100%における応力)/(200−100)}(MPa/%)を表し、Sは、JIS K6251(ダンベル状3号形試験片使用)に基づいて測定された破断伸び(%)を表す。〕
上記クリーニングブレードは、被クリーニング部材表面と接触する第一層の材料が、式(1)を満たすため、良好なクリーニング性を発揮しつつ、耐磨耗性にも優れる。
なお、100%モジュラスMは、5MPa以上20MPa以下の範囲内であることが好ましく、6.5MPa以上15MPa以下の範囲内であることがより好ましい。
式(2)に示されるαが0.294以下であると、第一層材料の柔軟性が得られる。それゆえ、BCOの発生に伴い、像保持体表面に埋没・固着した異物等のように、被クリーニング部材表面に存在する異物、特に表面に埋没・固着した異物が、被クリーニング部材とクリーニングブレードとの接触部を繰り返し通過することにより、クリーニングブレードの第一層先端に大きな応力が繰り返し加わった際であっても、この応力を効率的に分散するように変形し、比較的短期間の内のエッジ欠けが抑制される。従って、早期の欠けが抑制されるため、長期に渡って良好なクリーニング性が維持される。
なお、αは0.2以下であることが好ましく、0.1以下であることがより好ましく、物性上の限界下限値である0に近ければ近いほどよい。
なお、破断伸びSは300%以上であることが好ましく、350%以上であることがより好ましく、エッジ欠けに対しては大きい程好ましい反面、破断伸びSが500%以下である場合は被クリーニング部材に対する追従性(密着性)が増し過ぎず、被クリーニング部材との摩擦力の増大が抑制され、結果として第一層先端の磨耗(エッジ摩耗)が抑制される。それゆえ、エッジ磨耗の観点から破断伸びSは500%以下であることが好ましく、450%以下であることがより好ましく、400%以下であることが更に好ましい。
スティック&スリップ挙動により接触姿勢が解放さることにより、第一層先端の姿勢が保たれたまま摺擦が起こることがなく、局所的な塑性変形の発生が抑制される。この局所的な塑性変形の発生が抑制されると、第一層先端と被クリーニング部材との密着性の低下が抑制され、クリーニング不良の発生が抑制される。この局所的な塑性変形を抑制する為には第一層先端は常にスティック&スリップ挙動が行われている事が好ましく、そのためには、使用環境温度の実質的な下限値である温度10℃以上の環境下において、反発弾性Rは、10%以上であることが好ましく、15%以上がより好ましく、20%以上が更に好ましい。
尚、上記反発弾性Rは、前述の通りJISK6255(1996年)に基づいて測定される。
また、式(2)に示すαは、応力−歪曲線から求められるものであるが、ここで、応力および歪量は以下に説明する手順・方法により求めたものである。すなわち、JISK6251(1993年)に準拠して、ダンベル状3号形試験片を用い、引張速度500mm/minで計測し、100%歪み時の応力と200%歪み時の応力より求めた。尚、測定装置は、東洋精機(株)製、ストログラフAEエラストマを用いた。
tanδ値は、式(7)の様にE''/E’で表され、“損失正弦”と呼ばれるものであり、その値が大きい程、その線形弾性体は、ゴム弾性を有するものとなる。
式(4) σ=|E*|γcos(ωt)
式(5) E’=|E*|cosδ
式(6) E”=|E*|sinδ
式(7) tanδ=E”/E’
tanδ値は、レオペクトラ−DVE−V4(レオロジ−(株)製)によって静止歪み5%、10Hz 正弦波引張加振を温度範囲−60℃以上100℃以下で測定した。
このため、BCOの発生に伴い、像保持体表面に埋没・固着した異物等のように、被クリーニング部材表面に存在する異物、特に表面に埋没・固着した異物に対応するために、従来のように画像形成装置内に別途耐磨耗性や耐欠け性を向上させるための装置を新たに設ける必要が無いため、装置の大型化・高コスト化が防止される。
なお、「ハードセグメント」および「ソフトセグメント」とは、エラストマー材料中で、前者を構成する材料の方が、後者を構成する材料よりも相対的に硬い材料からなり、後者を構成する材料の方が前者を構成する材料よりも相対的に柔らかい材料からなるセグメントを意味する。
従って、上述したガラス転移温度を実現するためには、エラストマー材料のハードセグメントを構成する材料(以下、「ハードセグメント材料」と称す場合がある)のガラス転移温度は、30℃以上100℃以下の範囲内であることが好ましく、35℃以上60℃以下の範囲内であることがより好ましく、ソフトセグメントを構成する材料(以下、「ソフトセグメント材料」と称す場合がある)のガラス転移温度は、−100℃以上−50℃以下の範囲内であることが好ましく、−90℃以上−60℃以下の範囲内であることがより好ましい。
ハードセグメント材料比が、46質量%以上であると、第一層先端の耐磨耗性が確保され、磨耗の発生が抑制されることにより、長期に渡って良好なクリーニング性が維持される。また、ハードセグメント材料比が96質量%以下であると、第一層先端が硬くなり過ぎず、柔軟性や伸張性が得られ、欠けの発生が抑制されることにより、長期に渡って良好なクリーニング性が維持される。
すなわち、ハードセグメント材料としては、ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。この場合のポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、1000以上4000以下の範囲内であることが好ましく、1500以上3500以下の範囲内であることがより好ましい。
重量平均分子量が1000以上の場合、クリーニングブレードが低温環境下で使用される場合にハードセグメントを構成するポリウレタン樹脂の弾性が失われないために、クリーニング不良が抑制される生。また、重量平均分子量が4000以下の場合は、ハードセグメントを構成するポリウレタン樹脂の永久歪みが大きくなり過ぎず、第一層先端が、被クリーニング部材に対して接触圧力を保持し得るため、クリーニング不良が抑制される。
なお、上述したハードセグメント材料として用いられるポリウレタン樹脂としては、例えば、ダイセル化学社製、プラクセル205やプラクセル240などが挙げられる。
また、クリーニングブレードの押し付け圧は、好ましくは1.7gf/mm以上6.5gf/mm以下、より好ましくは2.0gf/mm以上6.0gf/mm以下に設定される。該下限値以上であると高硬度ブレードを用いた場合でもトナーのクリーニング不良が抑制され、該上限値以下であると感光体との摩擦が高くなり過ぎず、トルク上昇、感光体磨耗、ブレードエッジの欠けによるスジの発生、感光体との摩擦によるゴーストの発生などが抑制される。
図5は、本実施形態の画像形成装置の他の実施形態を示す模式図である。画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
[化合物(13)の合成]
500mlフラスコに、下記構造式(A)で示される化合物20g、3−メルカプトプロピオン酸15g、パラトルエンスルホン酸0.5g、トルエン200mlを入れ、窒素置換したのち、発生する水をディーンスタークトラップで除去しながら10時間加熱還流した。反応後、炭酸カリウム水溶液で洗浄し、次いで、蒸留水で洗浄した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、23gの化合物(13)を油状物として得た。
得られた化合物(13)のIRスペクトルを図9に示す。
500mlフラスコに、下記構造式(B)で示される化合物20g、3−メルカプトプロピオン酸15g、パラトルエンスルホン酸0.5g、トルエン200mlを入れ、窒素置換したのち、発生する水をディーンスタークトラップで除去しながら10時間加熱還流した。反応後、炭酸カリウム水溶液で洗浄し、次いで、蒸留水で洗浄した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、20gの化合物(29)を油状物として得た。
得られた化合物(29)のIRスペクトルを図10に示す。
500mlフラスコに、前記構造式(A)で示される化合物20g、2−メルカプトプロピオン酸15g、パラトルエンスルホン酸0.5g、トルエン200mlを入れ、窒素置換したのち、発生する水をディーンスタークトラップで除去しながら10時間加熱還流した。反応後、炭酸カリウム水溶液で洗浄し、次いで、蒸留水で洗浄した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、26gの化合物(14)を油状物として得た。
得られた化合物(14)のIRスペクトルを図11に示す。
続いて、感光体における各層の作製方法について説明する。
[下引層1]
酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m2/g)100部をテトラヒドロフラン500部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学工業社製)1.3部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間)焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛110部を500部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン1.0部を50部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛を濾別し、さらに60℃で減圧乾燥を行い、アリザリン付与酸化亜鉛を得た。
このアリザリン付与酸化亜鉛60部と硬化剤(ブロック化イソシアネート、スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5部とブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学社製)15部とをメチルエチルケトン85部に溶解した溶液38部と、メチルエチルケトン25部と、を混合し1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)45部を添加し、下引層用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて、直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ18μmの下引層を得た。形成された下引層の外側表面の表面粗さRaは0.3μmであった。
シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)45部を添加しなかった以外は、下引層1に記載の方法により下引層2を形成した。形成された下引層の外側表面の表面粗さRaは0.1μmであった。
直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に、有機ジルコニウム化合物(商品名:オルガチックス ZC540、松本製薬(株)製)10部、シランカップリング剤(商品名:A1110、日本ユニカー(株)製)2部、イソプロピルアルコール30部、およびn−ブタノール30部からなる塗布液を用いて浸漬塗布法にて塗布し、150℃、5分加熱乾燥し、膜厚0.1μmの下引層を形成した。形成された下引層の外側表面の表面粗さRaは0.05μmであった。
[電荷発生層1]
電荷発生物質としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10部、およびn−酢酸ブチル200部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn−酢酸ブチル175部、メチルエチルケトン180部を添加し、攪拌して電荷発生層用塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を、下引層上に浸漬塗布し、100℃で5分間乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
昇華精製したジブロムアントアントロン顔料(CG−25:クラリアント社製、n型有機顔料)45gを、容量0.25Lのメノウ製容器に20mmφのメノウボール12個と共に入れ、遊星ボールミル(Fritsch P−5)により粉砕した。粉砕条件は、ディスク回転数(公転)235rpm、ポット回転数(自転)50rpmとし、8時間粉砕した。このジブロムアントアントロン顔料10部、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)5部、およびシクロヘキサノン100部を混合し、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にシクロヘキサノン300部を添加し、攪拌して電荷発生層用塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、100℃で5分間乾燥して、膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
昇華精製したジブロムアントアントロン顔料(CG−25:クラリアント社製、n型有機顔料)を、0.1μmの膜厚となるよう、バリアン モデル(Varian Model)3117真空コーターにより蒸着させて下引層上に電荷発生層を形成した。尚、上記CG−25はタンタルボート中で350℃に加熱して、上記の真空コーターを10−3Pasに減圧した。また、基層はボートから16cmのところに置き、光励起層は6Å/秒の速さで付着させた。
ビスベンズイミダゾールペリレン顔料(CG−19:富士ゼロックス社製、n型有機顔料)を昇華精製した。昇華精製後のビスベンズイミダゾールペリレン顔料10gを、遊星ボールミル(メノーポット内径10mmφ、メノーボール20mmφを44個、25mmφを3個使用)を用いて27時間粉砕した。得られた微粉化ビスベンズイミダゾールペリレン顔料は、粉末X線回折図で6.2°、12.3°、27.0°に強いピークを示し、粒径は0.04μm×0.08μm−0.05μm×0.1μmであった。このビスベンズイミダゾールペリレン顔料10部、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)5部、およびシクロヘキサノン100部を混合し、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にシクロヘキサノン300部を添加し、攪拌して電荷発生層用塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、100℃で5分間乾燥して、膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
昇華精製したビスベンズイミダゾールペリレン顔料(CG−19:富士ゼロックス社製、n型有機顔料)を、0.1μmの膜厚となるよう、バリアン モデル(Varian Model)3117真空コーターにより蒸着させて下引層上に電荷発生層を形成した。尚、上記CG−19はタンタルボート中で350℃に加熱して、上記の真空コーターを10−3Pasに減圧した。また、基層はボートから16cmのところに置き、光励起層は4Å/秒の速さで付着させた。
ビスアゾ顔料(CG−4:富士ゼロックス社製、n型有機顔料)10部、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)5部、およびシクロヘキサノン100部を混合し、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にシクロヘキサノン300部を添加し、攪拌して電荷発生層用塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、100℃で5分間乾燥して、膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
ビスアゾ顔料(CG−8:富士ゼロックス社製、n型有機顔料)10部、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)5部、およびシクロヘキサノン100部を混合し、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にシクロヘキサノン300部を添加し、攪拌して電荷発生層用塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、100℃で5分間乾燥して、膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
ビスアゾ顔料(CG−11:富士ゼロックス社製、n型有機顔料)10部、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)5部、およびシクロヘキサノン100部を混合し、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にシクロヘキサノン300部を添加し、攪拌して電荷発生層用塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、100℃で5分間乾燥して、膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
[電荷輸送層1]
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)40部、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン10部、およびビスフェノールZポリカーボネート樹脂(PC(Z):粘度平均分子量:6万)55部をクロルベンゼン800部に加えて溶解し、電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を電荷発生層上に塗布し、130℃、45分の乾燥を行って膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)の量を25部とし、且つ下記構造式(C)の電荷輸送材料20部を用いた以外は、電荷輸送層1に記載の方法により電荷輸送層2を形成した。
[硬化方法:熱硬化]
前記化合物(13)(チオール基含有電荷輸送材料)を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート(A−TMPT、新中村化学社製、不飽和結合を有する化合物)12部、OTazo−15(大塚化学社製、分子量354.4、重合開始剤)0.2部をシクロペンタノール30部に溶解し、突き上げコートにて電荷輸送層上に塗布した。室温(20℃)で30分風乾した後、酸素濃度200ppmの窒素下で室温(20℃)から10℃/分の速度で150℃まで昇温し、150℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚5μmの表面層を形成した。
尚、熱硬化の場合には材料の種類、比率を表1乃至表5に示す数値に変えた上で、この条件で硬化を行なった。
前記化合物(13)(チオール基含有電荷輸送材料)を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート(A−TMPT、新中村化学社製、不飽和結合を有する化合物)12部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、重合開始剤)0.5部をシクロペンタノール30部に溶解し、突き上げコートにて電荷輸送層上に塗布した。室温(20℃)で30分風乾した後、メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:120mm、照射強度:500mW/cm2、照射時間:60秒の条件で酸素濃度200ppmの窒素下で光照射を行ない、塗布膜を硬化させた。更に130℃で20分乾燥を加え、膜厚5μmの表面層を形成した。
尚、光硬化の場合には材料の種類、比率を表1に示す数値に変えた上で、この条件で硬化を行なった。
前記化合物(13)(チオール基含有電荷輸送材料)を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート(A−TMPT、新中村化学社製、不飽和結合を有する化合物)12部をシクロペンタノール30部に溶解し、突き上げコートにて電荷輸送層上に塗布した。室温(20℃)で30分風乾した後、酸素濃度20ppmの窒素下で感光体を300rpmの速度で回転させながら、照射距離が30mm、電子線加速電圧が90kV、電子線ビーム電流が2mA、電子線照射時間が1.0秒の条件で電子線を照射した。照射後すぐに、酸素濃度20ppmの窒素下で150℃に加熱し、10分保持して硬化反応を完結させ、膜厚5μmの表面層を形成した。
尚、電子線硬化の場合には材料の種類、比率を表1および表2に示す数値に変えた上で、この条件で硬化を行なった。
適用する下引層、電荷発生層、および電荷輸送層を表1および表2に記載のものとし、また表面層の形成に用いる材料(チオール基含有電荷輸送材料、不飽和結合を有する化合物、添加剤、重合開始剤)の種類および比率、並びに表面層の硬化方法を表1および表2に記載のものとして、感光体1乃至35を作製した。
電荷輸送層を形成せずに、適用する下引層、および電荷発生層を表3に記載のものとし、また表面層の形成に用いる材料(チオール基含有電荷輸送材料、不飽和結合を有する化合物、添加剤、重合開始剤)の種類および比率、並びに表面層の硬化方法を表3に記載のものとして、感光体36乃至57を作製した。
尚、表面層の膜厚は18μmであった。
適用する下引層、電荷発生層、および電荷輸送層を表4に記載のものとし、また表面層の形成に用いる材料(不飽和結合を有する化合物、添加剤、重合開始剤)の種類および比率、並びに表面層の硬化方法を表4に記載のものとして、比較感光体1乃至13を作製した。
電荷輸送層を形成せずに、適用する下引層、および電荷発生層を表5に記載のものとし、また表面層の形成に用いる材料(不飽和結合を有する化合物、添加剤、重合開始剤)の種類および比率、並びに表面層の硬化方法を表5に記載のものとして、比較感光体14乃至26を作製した。
・A−TMPT:トリメチロールプロパントリアクリレート、新中村化学社製
・OTazo−15:大塚化学社製、分子量354.4
・イルガキュア184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製
・PTFE:ルブロンL2、ダイキン社製
上述のようにして作製した電子写真感光体を富士ゼロックス社製、ApeosPort−III C4400(オリジナルの露光装置発光波長:780nmの赤外レーザー、露光スポット:65μm×55μm、面積3600μm2(ピーク値の1/e2になる幅で定義))改造機に装着し、低温低湿(8℃、20%RH)および高温高湿(28℃、85%RH)において、以下の評価を連続して行なった。
露光装置は変更せず、現像剤として平均粒子径3.8μmのトナーを用いた。
露光装置を発光波長:780nmのLEDイメージバー、面積:30μm×50μm、1500μm2(ピーク値の1/e2になる幅で定義)を用い、イメージャーの解像度に合わせて駆動回路を作製した。現像剤として平均粒子径3.8μmのトナーを用いた。
露光装置を発光波長:中心波長580nmの有機ELイメージバー、露光スポット:20μm×20μm、面積400nm2を用い、イメージャーの解像度に合わせて駆動回路を作製した。現像剤として平均粒子径3.8μmのトナーを用いた。
有機ELイメージバーは、以下のようにして作製した。図7に示されるように、基板としてのガラス基板に、ITO(Indium-Tin-Oxide)を20μm幅、20μmピッチでパターニングをした陽極を形成する。次に、正孔注入層として、PEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート)をスピンコート法により10nmに塗布する。さらに、発光層して、モノクロロベンゼンにMEH−PPVを1質量%溶解し、その塗布液をスピンコート法により塗布して80nmの膜を作製した。最後に露光光源用の陽極と直交するように開口部が20μm幅のマスクを用い、陰極Ca、反射層としてのAlを順次蒸着した。これによって、基板主走査方向Xに沿って配置された複数の露光源用有機EL素子を形成した。作製した発光素子アレイのガラス基板(実施基板)側に、有機電界発光素子(発光部)とSLAの光入射面との光学距離が結像部の作動距離となるように、当該ガラス基板(実施基板)と離間して、SLA保持部材によりSLAを実装した。
これにより感光体への書き込みスポットの大きさが20μm、露光中心波長580nmの露光ヘッドを作製した。
感光体−1、評価装置−1を用いて以下のプリントテストを行った。
まず低温低湿(8℃、20%RH)環境下で10000枚の画像形成テストを行い、10000枚目の画質評価(下記ゴースト、カブリ、感光体表面付着、画像流れ)を実施した。次いで、低温低湿(8℃、20%RH)環境下で24時間放置した後の最初の1枚目の画質について画質評価を行った。
その結果を表6乃至表8に示した。
その結果を表9乃至表11に示した。
ゴーストは、図6(A)に示したGと画像濃度50%の灰色領域を有するパターンのチャートをプリントし、50%の灰色部分にGの文字の現れ具合を目視にて評価した。
A:図6(A)のように良好または軽微である。
B:図6(B)のようにやや目立つ。
C:図6(C)のようにはっきり確認される。
カブリ評価は上述のゴースト評価と同じサンプルを用いて白地部のトナーの付着した度合いを目視にて観察し判断した。
A:良好。
B:うっすらとカブリあり。
C:画質上問題となるカブリあり。
感光体表面付着評価は上述のゴースト評価と同じサンプルを用いて目視にて判断した。
A:良好。
B:部分的に画像にスジの発生があり、感光体表面をイソプロパノールをしみ込ませた布で軽く拭くことで回復する。
C:画質上問題となるスジ発生があり、感光体表面をイソプロパノールをしみ込ませた布で軽く拭いても回復しない。
画像流れは上述のゴースト評価と同じサンプルを用いて目視にて判断した。
A:良好。
B:連続的にプリントテストしている時は問題ないが、1日(24時間)放置後に発生。
C:連続的にプリントテストしている時にも発生。
以下の方法により、現像電位を測定し、評価を行った。
ApeosPort−III C4400の現像機を取り外し、電位計を装着して低温低湿(8℃、20%RH)プリントテスト初期の現像電位を250Vに設定した。その後、低温低湿(8℃、20%RH)、高温高湿(28℃、85%RH)でのプリントテスト終了後に、再度現像機を取り外し、電位計を装着して低温低湿(8℃、20%RH)での現像電位を測定した。
保護層の接着性は、画像形成テスト後の感光体に2mm角で5×5個の切れ目をカッターナイフで付け、3M社製メンディングテープを貼り付け、剥離した時の残存数で評価した。
その結果を表6乃至表8に示した。
A:21個以上残存。
B:11個以上20個以下残存。
C:10個以下残存。
初期の感光体膜厚と、前述した低温低湿(8℃、20%RH)環境下および高温高湿(30℃、85%RH)環境下での画像形成テストを終了した後の膜厚を渦電流測定装置(フィッシャースコープMMS)にて測定し、磨耗量を評価した。
感光体、評価装置の組み合わせを表6乃至表8に記載のものとし、実施例1と同様に評価を行った。結果を表6乃至表11に示す。
特に評価装置−3を用いたものは、ドットサイズが小さく、非常に繊細な画質が得られた。また、干渉縞対策を施す必要がないため、感光層が薄くてもかぶりを生じにくく、安定した画像が長期に渡って得られた。
比較感光体、評価装置の組み合わせを表12および表13に記載のものとし、実施例1と同様に評価を行った。結果を表12乃至表15に示す。
感光体7、感光体9を用い、評価装置1と組み合わせて実施例1と同様に評価を行った。結果を表16、17に示す。尚、表16、17に示される評価項目以外に干渉縞の発生が見られた。
Claims (12)
- 導電性基体と、該導電性基体上に、下記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の少なくとも1種、および不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種、が重合されてなる重合体を含有する感光層と、を有する電子写真感光体。
F−[(G)a1−(X)a2−Y−SH]b 一般式(I)
(式(I)中、Fは電荷輸送性化合物から誘導される有機基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Xは−CO−O−、−O−CO−および−O−から選ばれる基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を、a1およびa2は1を、bは1以上6以下の整数を表す。) - 前記一般式(I)における前記Fが、正孔輸送能を有する有機基である請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料が、下記一般式(II)で示されるチオール基含有電荷輸送材料である請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体。
(式(II)中、Dは−(G)a1−(X)a2−Y−SHで表される結合基を、Ar1乃至Ar4はそれぞれ独立に置換または未置換のアリール基を、Ar5は置換若しくは未置換のアリール基または置換若しくは未置換のアリーレン基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Xは−CO−O−、−O−CO−および−O−から選ばれる基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を、a1およびa2は1を表す。Ar1乃至Ar5のうちの1個以上4個以下は−(G)a1−(X)a2−Y−SHで表される結合基と結合し得る結合手を有し、c1乃至c5はそれぞれ独立に0以上2以下の整数を、kは0または1を表す。) - 前記不飽和結合を有する化合物が電荷輸送性骨格を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーである請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記不飽和結合を有する化合物が同一分子内に2つ以上の不飽和結合を有し、且つ電荷輸送性骨格を有さないモノマー、オリゴマーまたはポリマーである請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記感光層が、潤滑性粒子を含有する請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の電子写真感光体。
- 導電性基体上に、下記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の少なくとも1種と、不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種と、が重合されてなる重合体を含有する感光層を有する電子写真感光体、
該電子写真感光体の表面を帯電させる帯電装置、
帯電された前記電子写真感光体の表面を露光して該表面に静電潜像を形成する露光装置、
前記静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成する現像装置、
および、前記トナー像を被転写媒体に転写する転写装置、
を備える画像形成装置。
F−[(G)a1−(X)a2−Y−SH]b 一般式(I)
(式(I)中、Fは電荷輸送性化合物から誘導される有機基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Xは−CO−O−、−O−CO−および−O−から選ばれる基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を、a1およびa2は1を、bは1以上6以下の整数を表す。) - 前記電子写真感光体における感光層の総膜厚が20μm以下であり、且つ前記露光装置が非干渉性の露光光源を有する請求項7に記載の画像形成装置。
- 前記非干渉性の露光光源によって露光される前記電子写真感光体表面の露光スポットの面積が1000μm2以下であり、且つ前記非干渉性の露光光源の発光の中心波長が450nm以上780nm以下である請求項8に記載の画像形成装置。
- 前記電子写真感光体が、電荷発生材料としてn型の有機顔料を含有する請求項7〜請求項9の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記n型の有機顔料が、縮合多環芳香族化合物、ペリレン化合物、およびアゾ化合物から選ばれる少なくとも1種の有機顔料である請求項10に記載の画像形成装置。
- 導電性基体上に、下記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の少なくとも1種と、不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種と、が重合されてなる重合体を含有する感光層を有する電子写真感光体を備え、
且つ画像形成装置に着脱し得るプロセスカートリッジ。
F−[(G)a1−(X)a2−Y−SH]b 一般式(I)
(式(I)中、Fは電荷輸送性化合物から誘導される有機基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Xは−CO−O−、−O−CO−および−O−から選ばれる基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を、a1およびa2は1を、bは1以上6以下の整数を表す。)
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