JP5672027B2 - 電子写真感光体、画像形成装置およびプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、画像形成装置およびプロセスカートリッジ Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体、画像形成装置およびプロセスカートリッジに関する。
近年、電子写真感光体、有機ELデバイス、有機トランジスター、有機太陽電池など、有機化合物を用いた電子デバイスが盛んに開発されている。
特に、耐熱性、強度の点においては、架橋構造とすることが有効であり、例えば、熱、あるいは光硬化した膜を用いた有機ELデバイス(例えば特許文献1参照)、電荷輸送性基を含有するアクリルポリマーを用いた電子写真感光体(例えば特許文献2乃至4参照)、電荷輸送性基と反応性基を含有するアクリルポリマーを、膜形成後に架橋した電子写真感光体(例えば特許文献5参照)、光硬化型アクリル系モノマーを含有する液を塗布し硬化した膜(例えば特許文献6参照)等が開示されている。また、炭素−炭素二重結合を有するモノマー、炭素−炭素二重結合を有する電荷移動材およびバインダー樹脂の混合物を熱、あるいは光のエネルギーによって前記モノマーの炭素−炭素二重結合と前記電荷移動材の炭素−炭素二重結合とを反応させることにより形成された膜が開示され、特に、単官能メタクリル変性した電荷移動材と、電荷輸送性を有さないメタクリルモノマーと、ポリカーボネート樹脂とに有機過酸化物を用いて硬化したものが開示されている(例えば特許文献7参照)。
また、同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を重合した化合物からなる膜(例えば特許文献8参照)、チオール基を有する正孔輸送性化合物をシロキサンマトリックス中にドーピングし、硬化した膜を用いた電子写真感光体(例えば特許文献9参照)、チオール基を有する正孔輸送性化合物をオキセタンマトリックス中にドーピングし、硬化した膜を用いた電子写真感光体(例えば特許文献10参照)等が開示されている。
更に、電荷輸送性構造を有する化合物と電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーと連鎖移動剤からなり、光エネルギー照射手段によって架橋膜を有する電子写真感光体も開示されている(例えば特許文献11参照)。
また、露光波長を500nm以下とし、スポット面積を2000μm以下とした画像形成装置(例えば特許文献12参照)、連鎖重合性官能基を有する輸送剤を電子線で硬化した表面層を有する感光体を380nm以上500nm以下の波長で露光すること(例えば特許文献13参照)、1μm以上10μm以下の表面保護層を有する感光体を380nm以上450nm以下の波長で、スポット径40μm以下で露光すること(例えば特許文献14参照)、感光体を380nm以上450nm以下の波長で、トナー粒子が重量平均粒径6μm以下で現像すること(例えば特許文献15参照)、アゾ顔料を電荷発生剤として用い、380nm以上500nm以下の波長で露光すること(例えば特許文献16参照)が開示されている。
国際公開第2009/733193号 特開平5−202135号公報 特開平6−256428号公報 特開平9−12630号公報 特開2005−2291号公報 特開平5−40360号公報 特開平5−216249号公報 特開2000−206715号公報 特開2000−310870号公報 特開平2006−184803号公報 特開2007−322483号公報 特開2004−21136号公報 特開2005−55818号公報 特開2005−70648号公報 特開2005−70649号公報 特開2006−126327号公報
本発明の目的は、一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料以外の電荷輸送材料を用いる場合に比べ、優れた電気特性を得ることにある。
上記課題は、以下の本発明によって達成される。
即ち、請求項1に係る発明は、
導電性基体と、該導電性基体上に、下記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の少なくとも1種、および不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種、が重合されてなる重合体を含有する感光層と、を有する電子写真感光体である。
F−[(G)a1−(X)a2−Y−SH] 一般式(I)
(式(I)中、Fは電荷輸送性化合物から誘導される有機基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Xは−CO−O−、−O−CO−および−O−から選ばれる基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を、a1およびa2は1を、bは1以上6以下の整数を表す。)
請求項2に係る発明は、
前記一般式(I)における前記Fが、正孔輸送能を有する有機基である請求項1に記載の電子写真感光体である。
請求項3に係る発明は、
前記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料が、下記一般式(II)で示されるチオール基含有電荷輸送材料である請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体である。

(式(II)中、Dは−(G)a1−(X)a2−Y−SHで表される結合基を、Ar乃至Arはそれぞれ独立に置換または未置換のアリール基を、Arは置換若しくは未置換のアリール基または置換若しくは未置換のアリーレン基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Xは−CO−O−、−O−CO−および−O−から選ばれる基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を、a1およびa2は1を表す。Ar乃至Arのうちの1個以上4個以下は−(G)a1−(X)a2−Y−SHで表される結合基と結合し得る結合手を有し、c1乃至c5はそれぞれ独立に0以上2以下の整数を、kは0または1を表す。)
請求項4に係る発明は、
前記不飽和結合を有する化合物が電荷輸送性骨格を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーである請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の電子写真感光体である。
請求項5に係る発明は、
前記不飽和結合を有する化合物が同一分子内に2つ以上の不飽和結合を有し、且つ電荷輸送性骨格を有さないモノマー、オリゴマーまたはポリマーである請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の電子写真感光体である。
請求項6に係る発明は、
前記感光層が、潤滑性粒子を含有する請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の電子写真感光体である。
請求項7に係る発明は、
導電性基体上に、下記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の少なくとも1種と、不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種と、が重合されてなる重合体を含有する感光層を有する電子写真感光体、
該電子写真感光体の表面を帯電させる帯電装置、
帯電された前記電子写真感光体の表面を露光して該表面に静電潜像を形成する露光装置、
前記静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成する現像装置、
および、前記トナー像を被転写媒体に転写する転写装置、
を備える画像形成装置である。
F−[(G)a1−(X)a2−Y−SH] 一般式(I)
(式(I)中、Fは電荷輸送性化合物から誘導される有機基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Xは−CO−O−、−O−CO−および−O−から選ばれる基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を、a1およびa2は1を、bは1以上6以下の整数を表す。)
請求項8に係る発明は、
前記電子写真感光体における感光層の総膜厚が20μm以下であり、且つ前記露光装置が非干渉性の露光光源を有する請求項7に記載の画像形成装置である。
請求項9に係る発明は、
前記非干渉性の露光光源によって露光される前記電子写真感光体表面の露光スポットの面積が1000μm以下であり、且つ前記非干渉性の露光光源の発光の中心波長が450nm以上780nm以下である請求項8に記載の画像形成装置である。
請求項10に係る発明は、
前記電子写真感光体が、電荷発生材料としてn型の有機顔料を含有する請求項7〜請求項9の何れか1項に記載の画像形成装置である。
請求項11に係る発明は、
前記n型の有機顔料が、縮合多環芳香族化合物、ペリレン化合物、およびアゾ化合物から選ばれる少なくとも1種の有機顔料である請求項10に記載の画像形成装置である。
請求項12に係る発明は、
導電性基体上に、下記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の少なくとも1種と、不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種と、が重合されてなる重合体を含有する感光層を有する電子写真感光体を備え、
且つ画像形成装置に着脱し得るプロセスカートリッジである。
F−[(G)a1−(X)a2−Y−SH] 一般式(I)
(式(I)中、Fは電荷輸送性化合物から誘導される有機基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Xは−CO−O−、−O−CO−および−O−から選ばれる基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を、a1およびa2は1を、bは1以上6以下の整数を表す。)
請求項1に係る発明によれば、一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料以外の電荷輸送材料を用いる場合に比べ、優れた電気特性が得られる。
請求項2に係る発明によれば、一般式(I)におけるFが正孔輸送能を有する有機基でない場合に比べ、優れた正孔輸送性が得られる。
請求項3に係る発明によれば、一般式(II)で示されるチオール基含有電荷輸送材料以外の電荷輸送材料を用いる場合に比べ、優れた正孔輸送性が得られる。
請求項4に係る発明によれば、不飽和結合を有する化合物が電荷輸送性骨格を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーでない場合に比べ、電気特性と機械的強度に優れた電子写真感光体が得られる。
請求項5に係る発明によれば、不飽和結合を有する化合物が同一分子内に2つ以上の不飽和結合を有さない場合および/または電荷輸送性骨格を有さないモノマー、オリゴマーもしくはポリマーでない場合に比べ、機械的強度に優れた電子写真感光体が得られる。
請求項6に係る発明によれば、潤滑性粒子を含有しない場合に比べ、電気特性の長期的安定性に優れた電子写真感光体が得られる。
請求項7に係る発明によれば、電子写真感光体において一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料以外の電荷輸送材料を用いる場合に比べ、画質に優れた画像が得られる。
請求項8に係る発明によれば、電子写真感光体における感光層の総膜厚が20μm以下の薄膜であっても、露光装置が非干渉性の露光光源を有しない場合に比べ、高精細な画像が得られる。
請求項9に係る発明によれば、非干渉性の露光光源によって露光される電子写真感光体表面の露光スポットの面積が1000μmを超えるおよび/または非干渉性の露光光源の発光の中心波長が450nm以上780nm以下の範囲にない場合に比べ、高精細な画像が得られる。
請求項10に係る発明によれば、電荷発生材料としてn型の有機顔料を含有しない場合に比べ、感光層の総膜厚が薄膜であっても、カブリ、黒ポチなどと呼ばれる画像欠陥が抑制され高精細な画像が得られる。
請求項11に係る発明によれば、n型の有機顔料が、縮合多環芳香族化合物、ペリレン化合物、およびアゾ化合物から選ばれる少なくとも1種の有機顔料でない場合に比べ、高精細な画像が得られる。
請求項12に係る発明によれば、電子写真感光体において一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料以外の電荷輸送材料を用いる場合に比べ、画質に優れた画像が得られる。
本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を示す概略部分断面図。 本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の他の一例を示す概略部分断面図。 本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の他の一例を示す概略部分断面図。 本実施形態に係るプロセスカートリッジを備えた画像形成装置の概略断面図。 本実施形態に係るタンデム型画像形成装置の概略断面図。 (A)(B)(C)はそれぞれゴースト評価の基準を示す説明図。 露光ヘッドを示す模式図 露光ヘッドにより感光体に露光を施している状態を示す模式図。 実施例にて合成したチオール基含有電荷輸送材料のIRスペクトルを示すグラフ。 実施例にて合成したチオール基含有電荷輸送材料のIRスペクトルを示すグラフ。 実施例にて合成したチオール基含有電荷輸送材料のIRスペクトルを示すグラフ。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<電子写真感光体>
本実施形態に係る電子写真感光体(以下単に「感光体」と称すことがある)は、導電性基体と、該導電性基体上に、下記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の少なくとも1種、および不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種、が重合されてなる重合体(以下単に「特定重合体」と称すことがある)を含有する感光層と、を有する。
F−[(G)a1−(X)a2−Y−SH] 一般式(I)
(式(I)中、Fは電荷輸送性化合物から誘導される有機基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Xは−CO−O−、−O−CO−および−O−から選ばれる基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を、a1およびa2はそれぞれ独立に0または1を、bは1以上6以下の整数を表す。)
尚、本実施形態では、上記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の中でも、a1およびa2が1であるものが用いられる。
一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料は、極性基として−SHを有しているが、硫黄原子の電気陰性度が小さいため、−OHや−NH−などと異なりキャリア輸送を妨げる影響が比較的少ないため、これを用いて形成された膜においても電荷を捕獲するトラップの形成が抑制され、残留電位の蓄積が抑制され、電位安定性に優れるものと推察される。
また、通常、多官能の電荷輸送材料を架橋して得た感光層では、固定化されることに伴って層中での残留歪が増大するが、一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料は、電荷輸送性成分が運動自由度の高いチオエステル基を介して架橋されるために層中での残留歪が抑制され、構造的なトラップを生じにくいため、これらによって優れた電気特性が得られるものと推察される。
そのため、優れた電気特性を得たまま、更に形成する感光層の厚さをより厚くし得る。
また、感光層の強度を高める目的で、電荷輸送材料に対し更に多官能のアクリルモノマーを混合して成膜する場合、通常の電荷輸送材料では両者の相溶性が低いために上記多官能のアクリルモノマーの添加量を上げるには限界がある。しかし、一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料は、多官能のアクリルモノマーと類似したエステル構造を有しており、両者が相溶性に優れるために、多官能のアクリルモノマーと相分離を生じることなく架橋され、電気特性と強度とを兼ね備えた感光層が得られるものと推察される。
よって、前記一般式(1)で示されるチオール基含有電荷輸送材料を用いることで、電気特性と強度とを兼ね備えた感光層が形成され、特に10μm以上の厚膜化を実現し得る。尚、一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の少なくとも1種と、不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種と、が重合されてなる重合体(特定重合体)を含有する層が、本実施形態に係る感光体における最外表面を構成する表面層である場合、上記の厚膜化によって、繰り返し使用後での画質の低下が抑制される。高強度の表面層を有する場合、感光体の寿命はその表面層が摩滅した時点で決定されるため、厚膜化の実現は感光体の長寿命化に有効である。
さらに、画像を形成する際には感光体を放電によって帯電させ使用するが、その際に電気的なストレスや、オゾン等の放電ガスによるストレス等により、感光体の表面材料の劣化が起こり結果として放電生成物と呼ばれる硝酸アンモニウムなどのイオン性物質を吸着しやすくなる。そのために、特に高湿下で水分を吸着し、感光体の表面抵抗が低下し、形成される画像においては潜像にじみが生じ、結果として画像流れを生じやすい。これを抑制するためには、感光体に接触する清掃部材を設けその清掃部材との摩擦によって表面層を適度に磨耗させて、前記放電生成物を除去し前記潜像にじみを抑制する方法が有効である。尚、この磨耗量は、画像形成における帯電の方式、清掃の方式、用いるトナーの形状などの影響が大きく、画像形成のシステムによって大きく左右されるため、感光体の表面層の強度をそれに合わせて調整し得ることが重要となる。
これに対し、本実施形態に係る電子写真感光体では、一般式(1)で示されるチオール基含有電荷輸送材料等の架橋成分の割合や、一般式(1)で示されるチオール基含有電荷輸送材料等の反応性のモノマーの構造を選択することで、システムに合わせた最適な強度の表面層を形成し得る。
尚、一般式(1)で示されるチオール基含有電荷輸送材料自身を多官能の電荷輸送性モノマーとすることで、電荷輸送成分の濃度を低下させることなく、感光層に対して強度を付与し得る。
<チオール基含有電荷輸送材料>
本実施形態の新規なチオール基含有電荷輸送材料は、下記一般式(I)で示される。
F−[(G)a1−(X)a2−Y−SH] 一般式(I)
(式(I)中、Fは電荷輸送性化合物から誘導される有機基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Xは−CO−O−、−O−CO−および−O−から選ばれる基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を、a1およびa2はそれぞれ独立に0または1を、bは1以上6以下の整数を表す。)
Gとしては、置換もしくは未置換の炭素数1以上5以下のアルキレン基(直鎖状、分枝鎖状、環状のものを含む)、置換もしくは未置換の炭素数1以上5以下のアルキレン基と−O−とを組合わせた有機基等が好ましいものとして挙げられる。これらの中でも、直鎖状且つ未置換であり炭素数1以上5以下のアルキレン基、直鎖状且つ未置換であり炭素数1以上5以下のアルキレン基と−O−とを組合わせた有機基がより好ましい。
より具体的には、−CH−、−C−、−C−、−C−、−C10−、−O−C−O−、−CH−O−C−O−等が好ましいものとして挙げられる。
Yとしては、置換もしくは未置換の炭素数1以上5以下のアルキレン基(直鎖状、分枝鎖状、環状のものを含む)等が好ましいものとして挙げられる。尚、上記置換基としては、例えば−CH、−C、−SH、等が挙げられ、これらの中でも特に−SH基が好ましい。
これらの中でも、直鎖状または分枝鎖状であり、−CH、−SH基で置換されているかまたは未置換であり、且つ炭素数1以上5以下のアルキレン基がより好ましい。
より具体的には、−CH−、−C−、−CH(CH)−CH−、−CH(CH)−、−CH−CH(SH)−CH−、−CH−CH(CH−SH)−等が好ましいものとして挙げられる。
Fは、電荷輸送性を有する構造を示し、具体的には、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、アゾベンゼン系化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物、キノン系化合物、フルオレノン系化合物、などが用いられる。
これらのうち、アリールアミン骨格を有するものが、電荷輸送性が高いため好ましく、特に一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の中でも、下記一般式(II)で表されるものが最も好ましい。

(式(II)中、Dは−(G)a1−(X)a2−Y−SHで表される結合基を、Ar乃至Arはそれぞれ独立に置換または未置換のアリール基を、Arは置換若しくは未置換のアリール基または置換若しくは未置換のアリーレン基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Xは−CO−O−、−O−CO−および−O−から選ばれる基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を、a1およびa2はそれぞれ独立に0または1を表す。Ar乃至Arのうちの1個以上4個以下は−(G)a1−(X)a2−Y−SHで表される結合基と結合し得る結合手を有し、c1乃至c5はそれぞれ独立に0以上2以下の整数を、kは0または1を表す。)
一般式(II)において、Ar、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立に、置換若しくは未置換のアリール基を示し、Ar、Ar、ArおよびArは、それぞれ、同一でもあってもよいし、異なっていてもよい。
ここで、置換アリール基における置換基としては、−D(即ち−(G)a1−(X)a2−Y−SHで表される結合基)以外のものとして、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数6以上10以下のアリール基等が挙げられ、且つこれらのアルキル基、アルコキシ基、アリール基は置換、未置換の何れであってもよい。
Ar、Ar、ArおよびArとしては、下記式(1)乃至(7)のうちのいずれかであることが望ましい。なお、下記式(1)乃至(7)は、Ar、Ar、ArおよびArの各々に連結され得る「−(D)C1」乃至「−(D)C4」を総括的に示した「−(D)」と共に示す。

上記式(1)乃至(7)中、Rは、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルキル基若しくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、および炭素数7以上10以下のアラルキル基からなる群より選ばれる1種を表し、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、およびハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Arは置換または未置換のアリーレン基を表し、Dは−(G)a1−(X)a2−Y−SHで表される結合基を表し、cは0、1または2を表し、sは0または1を表し、tは0以上3以下の整数を表し、Z’は2価の有機連結基を示す。
ここで、式(7)中のArとしては、下記構造式(8)または(9)で表されるものが望ましい。

上記式(8)および(9)中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、およびハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、t’はそれぞれ0以上3以下の整数を表す。
また、前記式(7)中、Z’は、下記式(10)乃至(17)のうちのいずれかで表されるものが望ましい。また、sはそれぞれ0または1を表す。
上記式(10)乃至(17)中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基若しくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、およびハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Wは2価の基を表し、qおよびrはそれぞれ独立に1以上10以下の整数を表し、t”はそれぞれ0以上3以下の整数を表す。
前記式(16)乃至(17)中のWとしては、下記(18)乃至(26)で表される2価の基のうちのいずれかであることが望ましい。但し、式(25)中、uは0以上3以下の整数を表す。

また、一般式(II)中、Arは、kが0のときは置換若しくは未置換のアリール基であり、このアリール基としては、Ar乃至Arの説明で例示されたアリール基が挙げられる。また、kが1のとき、Arは置換若しくは未置換のアリーレン基であり、このアリーレン基としては、Ar乃至Arの説明で例示されたアリール基から水素原子を1つ除いたアリーレン基が挙げられる。
一般式(II)における−D(即ち−(G)a1−(X)a2−Y−SHで表される結合基)における、GおよびYとしては、一般式(I)の説明において例示された各基が挙げられる。
上記一般式(II)中、c1乃至c5は各々独立に0、1または2を表し、Dの総数は1以上である。得られる硬化膜の強度を高め、繰り返し使用後の画質の低下を抑える観点からは、Dの総数は2以上であることが好適であり、4以上であることが更に好適である。
ここで、一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の具体例を下記に例示するが、これに限られるものではない。尚、一般式(I)で示される化合物の例を示す以下の表では、F−(G)a1−と−(X)a2−との接続部を「*」で、−(X)a2−と−Y−SHとの接続部を「#」で表す。但し、a2=0の場合には「*」と「#」とが直接結合する。
尚、下記具体例中、(1),(38),(55)〜(56),(70)〜(74)の化合物は参考例として示すものである。











次いで、合成法について説明する。
一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料は、通常のエステル化反応で合成される。
例えば、特開平9−31039号公報などに記載されたエステル基を含有するアリールアミン化合物を含チオールアルコールとエステル交換反応を行う方法や、エステル基を含有するアリールアミン化合物を加水分解によりフリーのカルボン酸とした後に、含チオールアルコール、あるいは含チオール炭化水素の塩素化物、臭素化物またはヨウ素化物などでエステル化する方法等により合成される。また、エステル基を含有するアリールアミン化合物をリチウムアルミニウムハイドライド、水素化ホウ素ナトリウムなどで対応するアルコールに還元した後に、含チオールカルボン酸化合物と反応させることで合成される。
また、下記一般式(3)で示されるアルコールと、下記一般式(4)で示されるカルボン酸、あるいは下記一般式(5)で示されるカルボン酸と、下記一般式(6)で示されるアルコールを、硫酸、p−トルエンスルホン酸などの酸触媒を用いてエステル化することにより合成される。また、カルボン酸の代わりに対応するカルボン酸クロライドを用いてもよい。
F−[(G)a1−OH] 一般式(3)
HOOC−Y−SH 一般式(4)
F−[(G)a1−COOH] 一般式(5)
HO−Y−SH 一般式(6)
(式中、Fは電荷輸送性化合物から誘導される有機基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を示し、a1は0または1を、bは1以下6以下の整数を表わす。)
また、下記一般式(7)で示されるアルコールと、下記一般式(8)で示されるアルコールまたはハロゲン化物、あるいは下記一般式(9)で示されるアルコールまたはハロゲン化物と、下記一般式(10)で示されるアルコールからXがエーテル結合である化合物が合成される。
F−[(G)a1−OH] 一般式(7)
J−Y−SH 一般式(8)
F−[(G)a1−J] 一般式(9)
HO−Y−SH 一般式(10)
(式中、Fは電荷輸送性化合物から誘導される有機基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を示し、a1は0または1を、bは1以下6以下の整数を、Jは水酸基、または塩素、臭素もしくはヨウ素を表す。)
エステル交換は、たとえば、実験化学講座、第4版、28巻、P.217などに記載されたように、過剰量の含チオールアルコールと、チタン、スズ、亜鉛などの有機金属化合物を用いて加熱することで行われる。
含チオールアルコールは、アリールアミン化合物のエステル基に対し1当量以上、好ましくは、1.2当量以上、より好ましくは1.5当量以上加えることが好ましい。
硫酸、リン酸などの無機酸、チタンアルコキシド、カルシウム、コバルトなどの酢酸塩あるいは炭酸塩、亜鉛や鉛の酸化物を触媒として加えてもよい。触媒は、アリールアミン化合物1質量部に対して、1/10000質量部以上1質量部以下、好ましくは1/1000質量部以上1/2質量部以下で用いることが好ましい。
反応は、反応温度100℃以上300℃以下で行うことが好ましく、更に好ましくは脱離するアルコールの沸点以上で行う。
アリールアミン化合物のエステル基としては、エステル交換反応を促進するため、メタノール、エタノールなどの低沸点アルコールとのエステルが好ましい。
反応は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス中で行うことが好ましく、またp−シメン、1−クロロナフタレンなどの高沸点溶剤を用いて反応させてもよい。
アリールアミン化合物カルボン酸は、アリールアミン化合物のエステル基を、たとえば、実験化学講座、第4版、20巻、P.51などに記載されたように、NaOH、KCOなどの塩基性触媒、あるいはリン酸、硫酸などの酸性触媒を用いる加水分解により行われる。この際、溶剤としては、種々のものが使用されるが、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどのアルコール系を用いるか、これに水を混合して用いることが好ましい。さらに、溶解性が低い場合には、塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、ジメチルスルホキシド、エーテル、テトラヒドロフランなどを加えてもよい。
溶剤量に特に制限はないが、エステル基を含有するアリールアミン化合物1質量部に対して1質量部以上100質量部以下、好ましくは2質量部以上50質量部以下で用いることが好ましい。
反応温度は、室温(20℃)以上溶剤の沸点以下で設定され、反応速度の問題上、50℃以上が好ましい。
触媒の量については特に制限はないが、エステル基を含有するアリールアミン化合物1質量部に対して0.001質量部以上1質量部以下、好ましくは0.01質量部以上0.5質量部以下で用いることが好ましい。
加水分解反応後、塩基性触媒で加水分解を行った場合には、生成した塩を塩酸などの酸で中和し、遊離させる。さらに、十分に水洗した後、乾燥して使用するか、必要によっては、メタノール、エタノール、トルエン、酢酸エチル、アセトンなど、適当な溶剤により、再結晶を行った後、乾燥して使用してもよい。
アリールアミン化合物カルボン酸に対し、含チオールアルコールを1当量以上、好ましくは1.2当量以上、より好ましくは1.5当量以上加えることが好ましい。
硫酸、リン酸などの無機酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸を触媒として脱水、エステル化により合成する。触媒は、アリールアミン化合物の1質量部に対して、1/10000質量部以上1質量部以下、好ましくは1/1000質量部以上1/2質量部以下で用いることが好ましい。
反応は、重合中に生成する水を除去するために、水と共沸し得る溶剤を用いることが好ましい。トルエン、クロロベンゼン、1−クロロナフタレンなどが有効であり、アリールアミン化合物カルボン酸1質量部に対して、1質量部以上100質量部以下、好ましくは2質量部以上50質量部以下の範囲で用いることが好ましい。
反応温度は自由に設定されるが、重合中に生成する水を除去するために、溶剤の沸点で反応させることが好ましい。反応終了後、反応液を水にあけ、トルエン、ヘキサン、酢酸エチルなどの溶剤で抽出、水洗し、さらに必要により活性炭、シリカゲル、多孔質アルミナ、活性白土などの吸着剤を用いて精製を行ってもよい。
また、Cl,Br,I等のハロゲン基を有する含チオール炭化水素を、アリールアミン化合物カルボン酸の酸基に対し1等量以上5等量以下、好ましくは1.1等量以上3等量以下と、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、DBU、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基と、をN−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤などの有機溶剤中で反応させ合成する。
塩基はカルボン酸に対し、1等量以上3等量以下、好ましくは1等量以上2等量以下で使用することが好ましい。使用する非プロトン性の有機溶媒はカルボン酸誘導体に対し1質量部以上50質量部以下、好ましくは1.5質量部以上30質量部以下で用いることが好ましい。
反応温度は、0℃以上溶剤の沸点以下で自由に設定されるが、0℃以上150℃以下が好ましい。反応終了後、反応液を水にあけ、トルエン、ヘキサン、酢酸エチルなどの溶剤で抽出、水洗し、さらに必要により活性炭、シリカゲル、多孔質アルミナ、活性白土などの吸着剤を用いて精製を行ってもよい。
また、アリールアミン化合物のエステル基を、たとえば、実験化学講座、第4版、20巻、P.10などに記載されたように、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウムなどを用いて対応するアルコールに還元し、含チオールカルボン酸とエステル化して合成してもよい。
−不飽和結合を有する化合物−
ついで、不飽和結合を有する化合物について説明する。電荷輸送成分を有さないものとしては以下のようなものが挙げられる。
1官能のモノマーは、例えば、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、ヒドロキシエチルo−フェニルフェノールアクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート、スチレン、などが挙げられる。
2官能のモノマーは、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート等が挙げられる。
3官能のモノマーは、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート、トリビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
4官能のモノマーは、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
5官能以上のモノマーは、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の他、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、フォスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、反応性のポリマーとしては、例えば、特開平5−216249号公報、特開平5−323630号公報、特開平11―52603号公報、特開2000−264961号公報、特開2005−2291号公報などに開示されたものが挙げられる。
電荷輸送成分を有さない不飽和結合を有する化合物を用いる場合には、単独又は2種以上の混合物として使用される。電荷輸送成分を有さない不飽和結合を有する化合物を、電子写真感光体の最表面層の形成に用いる場合であれば、該載表面層を形成する際に用いられる組成物の全固形分に対して、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下で用い、更に好ましくは50質量%以下で使用される。
ついで、不飽和結合を有し、さらに電荷輸送性骨格を有する化合物(モノマー、オリゴマー、ポリマー)について説明する。
(I)連鎖重合性官能基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に持つ化合物
連鎖重合性官能基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に持つ化合物における連鎖重合性官能基としては、ラジカル重合しうる官能基であれば特に限定されるものではなく、例えば、少なくとも炭素二重結合を含有する基を有する官能基である。具体的には、ビニル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくも一つを含有する基等が挙げられる。なかでも、その反応性に優れることから、連鎖重合性官能基としては、ビニル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくも一つを含有する基であることが望ましい。
また(I)連鎖重合性官能基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に持つ化合物における電荷輸送性骨格としては電子写真感光体における公知の構造であれば特に限定されるものではなく、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの含窒素の正孔輸送性化合物に由来する骨格であって、窒素原子と共役している構造が挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン骨格が望ましい。
ここで、(I)連鎖重合性官能基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に持つ化合物として、電荷輸送性に優れかつ、連鎖重合性に優れるといった観点から、好ましい例として、下記一般式(A)で表される化合物が挙げられる。

一般式(A)中、Ar乃至Arは、それぞれ独立に、置換若しくは未置換のアリール基を表し、Arは置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアリーレン基を表し、Dは、炭素二重結合を持つ官能基を有する基を表し、c1乃至c5はそれぞれ独立に0、1又は2を表し、kは0又は1を表し、Dの総数は1以上(2以上がより好ましい)である。
ここで、一般式(A)で表される化合物としては、Dがアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニルフェニル基、アリル基、ビニル基、ビニルエーテル基、アリルビニルエーテル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくも一つを有する基(特に、これら基を末端に有する基)を表す化合物がよい。
また、一般式(A)で表される化合物としては、Dが−(CH−(O−CH−CH−O−CO−C(R’)=CH(但し、R’は水素原子、又はメチル基を表し、dは1以上5以下の整数、eは0又は1を表す)を表す化合物もよい。
一般式(A)において、Ar乃至Arは、それぞれ独立に、置換若しくは未置換のアリール基を表す。Ar乃至Arは、それぞれ、同一でもあってもよいし、異なっていてもよい。
ここで、置換アリール基における置換基としては、Dで表される基以外のものとして、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数6以上10以下の置換若しくは未置換のアリール基等が挙げられる。
Ar乃至Arとして具体例は、下記式(1)乃至(7)のうちのいずれか一つであることがよい。なお、下記式(1)乃至(7)は、Ar乃至Arの各々に連結され得る「−(D)C1」乃至「−(D)C4」を総括的に表した「−(D)」と共に表す。

式(1)乃至(7)中、Rは、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルキル基若しくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、及び炭素数7以上10以下のアラルキル基からなる群より選ばれる1種を表す。R乃至Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表す。Arは置換又は未置換のアリーレン基を表し、Dは一般式(A)におけるDと同義の基を表し、cは1又は2を表し、sは0又は1を表し、tは0以上3以下の整数を表す。
ここで、式(7)中のArとしては、下記構造式(8)又は(9)で表されるものがよい。

式(8)及び(9)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、t’は0以上3以下の整数を表す。
また、式(7)中、Z’は2価の有機連結基を表すが、下記式(10)乃至(17)のうちのいずれか一つで表されるものがよい。また、sは0又は1を表す。
式(10)乃至(17)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Wは2価の基を表し、q及びrはそれぞれ独立に1以上10以下の整数を表し、t”は0以上3以下の整数を表す。
式(16)乃至(17)中のWとしては、下記(18)乃至(26)で表される2価の基のうちのいずれか一つであることがよい。但し、式(25)中、uは0以上3以下の整数を表す。

また、一般式(A)中、Arは、kが0の時は置換若しくは未置換のアリール基であり、このアリール基としては、Ar乃至Arの説明で例示されたアリール基として列挙したものが挙げられる。また、Arは、kが1の時は置換若しくは未置換のアリーレン基であり、このアリーレン基としては、Ar乃至Arの説明で例示されたアリール基から目的とする位置の水素原子を1つ除いたアリーレン基が挙げられる。
以下、一般式(A)で表される化合物((I)の化合物)の具体例を示す。なお、一般式(A)で表される化合物は、これらにより何ら限定されるものではない。
まず、炭素二重結合を持つ反応性官能基を1つ有する化合物の具体例を示すが、これらに限られるものではない。

次に、炭素二重結合を持つ反応性官能基を2つ有する化合物の具体例を示すが、これらに限られるものではない。


次に、炭素二重結合を持つ反応性官能基を3つ有する化合物の具体例を示すが、これらに限られるものではない。
次に、炭素二重結合を持つ反応性官能基を4つから6つ有する化合物の具体例を示すが、これらに限られるものではない。

(I)の化合物は、例えば、以下のようにして合成される。
即ち、(I)の化合物は、例えば、前駆体であるアルコールを、対応するメタクリル酸、又はメタクリル酸ハロゲン化物と縮合させて合成する。特定の電荷輸送性材料は、例えば、前駆体であるアルコールがベンジルアルコール構造の場合、アルコールと、ヒドロキシエチルメタクリレート等の水酸基を有するメタクリル酸誘導体と、の脱水エーテル化などにより合成してもよい。
上記例示化合物iv−4及び例示化合物iv−17の合成経路を一例として以下に示す。
他の(I)の化合物は、例えば、上述した化合物iv−4の合成経路、及び化合物iv−17合成経路に準じて合成される。
(I)の化合物としては、前述のように、得られる膜の機械的強度が向上するといった観点から、炭素二重結合を持つ反応性官能基を4つ以上含む化合物が用いられることがよい。
また、(I)の化合物として、炭素二重結合を持つ反応性官能基を4つ以上含む化合物と、炭素二重結合を持つ反応性官能基を1つ以上3つ以下含む化合物と、を併用してもよい。この併用により、電荷輸送性能の低下を抑制しつつ、膜の強度が調整される。
(I)の化合物として、炭素二重結合を持つ反応性官能基を4つ以上含む化合物と、炭素二重結合を持つ反応性官能基を1つ以上3つ以下含む化合物と、を併用する場合、(I)の化合物の総含有量に対して、炭素二重結合を持つ反応性官能基を4つ以上含む化合物の含有量を5質量%以上とすることがよく、特に20質量%以上とすることがよい。
次に、他の(I)の化合物について説明する。
(I)の化合物としては、下記一般式(B)及び(C)によりそれぞれ表される部分構造を含むポリマーであってもよい。

一般式(B)及び(C)中、R、R、Rは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、X、Yはそれぞれ独立して炭素数1以上20以下の2価の有機基を表し、aは0又は1を表し、CTは電荷輸送性骨格を持つ有機基を表す。
ここで、一般式(B)及び(C)によりそれぞれ表される部分構造を含むポリマーの末端基としては、ラジカル重合反応による停止反応で生じた構造である。
一般式(B)中、CTが表す電子輸送性骨格を持つ有機基としては、上述した電荷輸送性骨格が挙げられるが、例えば、トリアリールアミン骨格、ベンジジン骨格、アリールアルカン骨格、アリール置換エチレン骨格、スチルベン骨格、アントラセン骨格、ヒドラゾン骨格を持つものなどが好適に挙げられるが、この中でもトリアリールアミン骨格、ベンジジン骨格、スチルベン骨格を持つものが望ましい。
一般式(B)及び(C)中、X、Yが表す2価の有機基としては、例えば、アルキレン基、−C(=O)−、−O−C(=O)−、芳香環、及びこれらを組み合わせた連結基から選択される一つを含む2価の有機基が挙げられる。なお、X、Yが表す2価の有機基は、水酸基を有さないことが望ましい。
Xが表す2価の有機基として具体的には、例えば、−C(=O)−O−(CH−(但し、nは0又は1以上10以下の整数を表す)等が挙げられる。
Yが表す2価の有機基として具体的には、−(CH)−(但し、nは1以上10以下の整数を表す)、−(CH−O−C(=O)−(但し、nは0又は1以上10以下の整数を表し、「(CH」の水素原子の一部は水酸基が置換していてもよい)、−(CH−Ar−(但し、Arは芳香環数1以上3以下のアリーレン基を表し、nは0又は1以上10以下の整数を表す)、−Ar−O−(CH−O−C(=O)−(但し、Arは芳香環数1以上3以下のアリーレン基を表し、nは0又は1以上10以下の整数を表す)等が挙げられる。
一般式(B)で表される部分構造の具体例としては、以下のものが挙げられるが、これに限られるわけではない。なお、「(X)」の欄において、「−」が示されている場合は、a=0のときを示してり、基が示されている場合は、a=1のときで、CTと共にXが表す基を示している。

次に、一般式(C)で表される部分構造の具体例としては、以下のものが挙げられるが、これに限られるわけではない。

このうち、更に下記構造式(D)で表されるものが溶解性、製膜性に優れ、望ましい。
一般式(D)中、R、R、Rは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、Xは炭素数1以上20以下の2価の有機基を表し、Y’は−C(=O)−、−CH−、−(CH−を表し、a、bはそれぞれ独立して0又は1を表し、CTは電荷輸送性骨格を持つ有機基を表す。
m、nはそれぞれ5以上の整数を表し、10<m+n<2000、かつ0.2<m/(m+n)<0.95であり、強度、可とう性、電気特性の観点から、15<m+n<2000、かつ0.3<m/(m+n)<0.95が望ましく、20<m+n<2000、かつ0.4<m/(m+n)<0.95がさらに望ましい。
なお、一般式(D)中、Xが表す2価の有機基、及びCTが表す電荷輸送性骨格を持つ有機基としては、一般式(B)及び(C)中のX、CTと同義である。
一般式(B)及び(C)によりそれぞれ表される部分構造を含むポリマーは、例えば、一般式(A)で表される化合物をモノマーとして使用し、メタクリル酸、アクリル酸、グリシジル化合物およびこれらの誘導体との共重合等、公知の方法によって製造される。
また、一般式(B)及び(C)によりそれぞれ表される部分構造を含むポリマーは、一般式(B)及び(C)で示されるものに加え、溶解性、可とう性を付与するために1官能のモノマーを共重合してもよい。
1官能のモノマーとしては、例えば、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、ヒドロキシエチルo−フェニルフェノールアクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート、などのアクリレート、あるいは、メタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレンなどのスチレン誘導体などが挙げられる。
これらを共重合する際に使用される量(l)は、溶解性及び可とう性を付与する観点から、上記一般式(D)中のmに対してl/m<0.3が望ましく、l/m<0.2がより望ましい。
なお、これら(I)の化合物は、1単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
〔電子写真感光体〕
本実施形にかかる電子写真感光体は、導電性基体上に、前記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の少なくとも1種、および不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種、が重合されてなる重合体を含有する感光層を有する。
さらに、架橋性モノマー自身を多官能の電荷輸送性モノマーとすることで、電荷輸送成分の濃度を低下させることなく強度を付与してもよい。
本実施形態に係る電子写真感光体では、一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料を含有する層を最表面層として有するものが好ましく、当該最表面層は電子写真感光体自体の最上面を形成していればよく、保護層として機能する層、または電荷輸送層として機能する層として設けられる。
なお、最表面層が保護層として機能する層である場合、この保護層の下層には、電荷輸送層および電荷発生層からなる感光層、または単層型感光層を有することとなる。
最表面層が保護層として機能する層の場合、導電性基体上に、感光層、および最表面層としての保護層を有し、該保護層が前記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料を用いて形成されたポリマーを含有する組成物、あるいはその硬化物を含有する層である形態が挙げられる。
一方、最表面層が電荷輸送層として機能する層の場合、導電性基体上に、電荷発生層、および最表面層としての電荷輸送層を有し、該電荷輸送層が前記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の少なくとも1種、および不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種、が重合されてなる重合体を含有する組成物、あるいはその硬化物を含有する層である形態が挙げられる。
また、チオール基、不飽和結合などの反応性を有さない電荷輸送材料を混合してもよい。
以下、最表面層が保護層として機能する層の場合の、本実施形態に係る電子写真感光体について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図面中、同一または相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体の好適な一例を示す模式断面図である。図2乃至図3はそれぞれ他の実施形態に係る電子写真感光体を示す模式断面図である。
図1に示す電子写真感光体7Aは、いわゆる機能分離型感光体(または積層型感光体)であり、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に電荷発生層2、電荷輸送層3、および保護層5が順次形成された構造を有するものである。電子写真感光体7Aにおいては、電荷発生層2および電荷輸送層3により感光層が構成される。
図2に示す電子写真感光体7Bは、図1に示す電子写真感光体7Aのごとく、電荷発生層2と電荷輸送層3とに機能が分離された機能分離型感光体である。
図2に示す電子写真感光体7Bにおいては、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に、電荷輸送層3、電荷発生層2、および保護層5が順次形成された構造を有するものである。電子写真感光体7Bにおいては、電荷輸送層3および電荷発生層2により感光層が構成される。
図3に示す電子写真感光体7Cは、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層(単層型感光層6)に含有するものである。図3に示す電子写真感光体7Cにおいては、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に単層型感光層6、保護層5が順次形成された構造を有するものである。
そして、図1、図2および図3に示す電子写真感光体7A、7Bおよび7Cにおいて、保護層5が、導電性基体2から最も遠い側に配置される最表面層となっており、当該最表面層が、上記の構成となっている。
尚、図1、図2および図3に示す電子写真感光体において、下引層1は設けてもよいし、設けなくてもよい。
以下、代表例として図1に示す電子写真感光体7Aに基づいて、各要素について説明する。
−保護層−
まず、電子写真感光体7Aにおける最表面層である保護層5について説明する。
保護層5は、電子写真感光体7Aにおける最表面層であり、前記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の少なくとも1種、および不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種、が重合されてなる重合体を含有して形成されることが好ましい。
硬化方法としては、熱、光、または放射線などによるラジカル重合が行なわれる。反応が早く進行しすぎないよう調整すると膜のムラやシワの発生が抑制されるため、ラジカル発生が比較的ゆっくりと起こる条件下で重合させることが望ましい。この点からは、重合速度を調整しやすい熱重合が好適である。
・非反応性の電荷輸送材料
保護層(最表面層)5を構成する膜は、非反応性の電荷輸送材料を併用してもよい。非反応性の電荷輸送材料は電荷輸送を担っていない反応性基を有さないため、非反応性の電荷輸送材料を保護層(最表面層)5に用いた場合には実質的に電荷輸送成分の濃度が高まり、電気特性を更に改善するのに有効である。また、非反応性の電荷輸送材料を添加して架橋密度を減じ、強度を調整してもよい。
非反応性の電荷輸送材料としては、公知の電荷輸送材料を用いてもよく、具体的には、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等が用いられる。
中でも、モビリティー、相溶性など点から、トリフェニルアミン骨格を有するものが望ましい。
非反応性の電荷輸送材料は、層形成のための塗布液中の全固形分に対して0質量%以上30質量%以下で用いられることが望ましく、より望ましくは1質量%以上25質量%以下であり、更に望ましくは5質量%以上25質量%以下である。
・その他の添加剤
保護層(最表面層)5を構成する硬化膜は、更に成膜性、可とう性、潤滑性、接着性を調整するなどの目的から、他のカップリング剤、特にフッ素含有のカップリング剤と混合して用いてもよい。このような化合物として、各種シランカップリング剤、および市販のシリコーン系ハードコート剤が用いられる。また、ラジカル重合性基を有するシリコン化合物、フッ素含有化合物を用いてもよい。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、等が挙げられる。
市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−8239(以上、信越化学工業社製)、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等が挙げられる。
また、撥水性等の付与のために、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン、等の含フッ素化合物を加えてもよい。
シランカップリング剤は任意の量で使用されるが、含フッ素化合物の量は、架橋膜の成膜性の観点から、フッ素を含まない化合物に対して質量で0.25倍以下とすることが望ましい。更に、特開2001−166510号公報などに開示されている反応性のフッ素化合物などを混合してもよい。
ラジカル重合性基を有するシリコン化合物、フッ素含有化合物としては、特開2007−11005号公報に記載の化合物などが挙げられる。
保護層(最表面層)5を構成する硬化膜には、劣化防止剤を添加することが好ましい。劣化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。
劣化防止剤の添加量としては20質量%以下が望ましく、10質量%以下がより望ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、イルガノックス1076、イルガノックス1010、イルガノックス1098、イルガノックス245、イルガノックス1330、イルガノックス3114、イルガノックス1076、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシビフェニル等が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、サノールLS2626、サノールLS765、サノールLS770、サノールLS744、チヌビン144、チヌビン622LD、マークLA57、マークLA67、マークLA62、マークLA68、マークLA63が挙げられ、チオエーテル系として、スミライザーTPS、スミライザーTP−Dが挙げられ、ホスファイト系として、マーク2112、マークPEP−8、マークPEP−24G、マークPEP−36、マーク329K、マークHP−10等が挙げられる。
更に、保護層(最表面層)5を構成する硬化膜には導電性粒子や、有機、無機粒子を添加してもよい。
この粒子の一例として、ケイ素含有粒子が挙げられる。ケイ素含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカおよびシリコーン粒子等が挙げられる。ケイ素含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、好ましくは平均粒径1nm以上100nm以下、より好ましくは10nm以上30nm以下のシリカを、酸性若しくはアルカリ性の水分散液、あるいはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれる。該粒子としては一般に市販されているものを使用してもよい。
保護層中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、保護層5の全固形分全量を基準として、0.1質量%以上50質量%以下、好ましくは0.1質量%以上30質量%以下の範囲で用いられる。
ケイ素含有粒子として用いられるシリコーン粒子は、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、シリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用してもよい。
これらのシリコーン粒子は球状で、その平均粒径は好ましくは1nm以上500nm以下、より好ましくは10nm以上100nm以下である。
表面層中のシリコーン粒子の含有量は、保護層5の全固形分全量を基準として、好ましくは0.1質量%以上30質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。
また、その他の粒子としては、四フッ化エチレン、三フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のフッ素系粒子や“第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集、89頁”に示される、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂で構成される粒子、ZnO−Al、SnO−Sb、In−SnO、ZnO−TiO、ZnO−TiO、MgO−Al、FeO−TiO、TiO、SnO、In、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物が挙げられる。さらに、粒子を分散させるために公知の種々の分散材を用いてもよい。
また、シリコーンオイル等のオイルを添加してもよい。
シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル;アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類;1,3,5−トリメチル−1.3.5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類;ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類;3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類;メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類;ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等が挙げられる。
また、金属、金属酸化物およびカーボンブラック等を添加してもよい。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀およびステンレス等、またはこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズおよびアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等が挙げられる。
これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着での混合でもよい。導電性粒子の平均粒径は0.3μm以下、特に0.1μm以下が好ましい。
(組成物)
保護層5を形成するために用いる組成物は、一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の少なくとも1種、および不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種、が溶媒中に溶解してなる溶解液(保護層形成用塗布液)として調製されることが望ましい。
この保護層形成用塗布液は、無溶媒であってもよいし、必要に応じて、トルエン、キシレンなどの芳香族、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのセロソルブ系、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール系等の溶媒などの単独または混合溶媒を用いて調製される。
また、前述の成分を反応させて塗布液を得るときには、各成分を単純に混合、溶解させるだけでもよいが、望ましくは室温(20℃)以上100℃以下、より望ましくは30℃以上80℃以下で、望ましくは10分以上100時間以下、より望ましくは1時間以上50時間以下の条件で加温する。また、この際に超音波を照射することも望ましい。
(保護層5の作製)
保護層形成用塗布液は、被塗布面(図1に示す態様では電荷輸送層3)の上に、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法、インクジェット塗布法等の通常の方法により塗布される。
その後、得られた塗膜に対して、光、電子線または熱を付与してラジカル重合を生起させて、該塗膜を重合、硬化させる。
熱により塗膜を重合、硬化させる際、加熱条件は50℃以上であることが望ましい。特に、加熱温度としては、100℃以上180℃以下が望ましい。
光により塗膜を重合、硬化させる際、水銀灯、メタルハライドなどの公知の方法で照射して硬化膜を得る。
上記のごとき、重合、硬化反応の際には、光、電子線または熱によって発生したラジカルが失活することなく連鎖反応を行えるよう、真空または不活性ガス雰囲気下で、酸素濃度が望ましくは10%以下、より望ましくは5%以下、更に望ましくは2%以下、最も望ましくは500ppm以下の低酸素濃度で行われる。
本実施態様では、ラジカルの発生が比較的ゆっくりと起こる熱による硬化方法が特に好ましい。
保護層5の膜厚は3μm以上40μm以下が好ましく、5μm以上35μm以下とするのがさらに好ましい。
以上、図1に示される電子写真感光体7Aを参照し、機能分離型の感光層における各層の構成を説明したが、図2に示される機能分離型の電子写真感光体7Bにおける各層においてもこの構成が採用しうる。また、図3に示される電子写真感光体7Cの単層型感光層6の場合、以下の態様であることが望ましい。
即ち、単層型感光層6中の電荷発生材料の含有量は、保護層(最表面層)5を形成する際に用いられる組成物の全固形分に対して5質量%以上50質量%以下が望ましく、更には10質量%以上40質量%以下がより望ましく、15質量%以上35質量%以下が特に好ましい。
単層型感光層6の形成方法は、電荷発生層2や電荷輸送層3における形成方法を採用しうる。単層型感光層6の膜厚は5μm以上50μm以下が望ましく、10μm以上40μm以下とするのが更に望ましい。
また、上述の実施形態では、最表面層が保護層5である形態を説明したが、保護層5がない層構成の場合には、その層構成において最表面に位置する電荷輸送層が該最表面層となる。最表面層が電荷輸送層である場合、この層の厚みは、7μm以上70μm以下が望ましく、10μm以上60μm以下がより望ましい。
・非反応性のバインダー樹脂
上記チオール基含有電荷輸送材料を樹脂に相溶させる場合、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂など公知の非反応性のバインダー樹脂が挙げられる。
非反応性のバインダー樹脂の総含有量は、膜を形成する際に用いられる組成物の全固形分に対して、0質量%以上60質量%以下が望ましく、より望ましくは0質量%以上55質量%以下、更に望ましくは0質量%以上50質量%以下である。
・反応性化合物
硬化する場合、一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料に、さらに反応性化合物を含有させてもよく、特に、同一分子内に2つ以上の二重結合を含むモノマー、オリゴマー、あるいはポリマーを混合して硬化することが、強度向上に好ましい。
反応性化合物として、1官能のモノマーは、例えば、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、ヒドロキシエチルo−フェニルフェノールアクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート、スチレンなどが挙げられる。
反応性化合物として、2官能のモノマーは、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート等が挙げられる。
反応性化合物として、3官能のモノマーは、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート、トリビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
反応性化合物として、4官能のモノマーは、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
反応性化合物として、5官能以上のモノマーは、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の他、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、フォスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、反応性化合物として、反応性のポリマーは、例えば、特開平5−216249号公報、特開平5−323630号公報、特開平11―52603号公報、特開2000−264961号公報、特開2005−2291号公報などに開示されたものが挙げられる。
反応性化合物を用いる場合には、単独または2種以上の混合物として使用される。反応性化合物は、膜を形成する際に用いられる組成物の全固形分の全固形分に対して、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下で用い、更に好ましくは50質量%以下で使用される。
・重合、硬化
前記チオール基含有電荷輸送材料が溶解した溶解液を用い、該溶解液中の成分を重合することで硬化された膜を得る場合、その重合の際には熱、光、放射線などが用いられる。熱、光で重合、硬化を行う場合、重合開始剤は必ずしも必要ではないが、光硬化触媒または熱重合開始剤を用いてもよい。この光硬化触媒および熱重合開始剤としては、公知の光硬化触媒や熱重合開始剤が用いられる。放射線としては電子線が好ましい。
−電子線硬化−
電子線を用いる場合、加速電圧は300KV以下が好ましく、最適には150KV以下である。また、線量は好ましくは1Mrad以上100Mrad以下の範囲、より好ましくは3Mrad以上50Mrad以下の範囲である。加速電圧が300KV以下であることにより感光体特性に対する電子線照射のダメージが抑制される。また、線量が1Mrad以上であることにより架橋が十分に行なわれ、100Mrad以下であることにより感光体の劣化が抑制される。
照射は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、酸素濃度が1000ppm、好ましくは500ppm以下で行い、さらに照射中、あるいは照射後に50℃以上150℃以下に加熱してもよい。
−光硬化−
光源としては、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプなどが用いられ、バンドパスフィルター等のフィルターを用いて好適な波長を選択してもよい。照射時間、光強度は自由に選択されるが、例えば照度(365nm)は300mW/cm以上、1000mW/cm以下が好ましく、例えば600mW/cmのUV光を照射する場合、5秒以上360秒以下照射すればよい。
照射は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、酸素濃度が好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下で行い、さらに照射中、あるいは照射後に50℃以上150℃以下に加熱してもよい。
光硬化触媒として、分子内開裂型としては、ベンジルケタール系、アルキルフェノン系、アミノアルキルフェノン系、ホスフィンオキサイド系、チタノセン系、オキシム系などが挙げられる。
より具体的には、ベンジルケタール系として、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンが挙げられる。
また、アルキルフェノン系としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、アセトフェノン、2−フェニル−2−(p−トルエンスルフォニルオキシ)アセトフェノンが挙げられる。
アミノアルキルフェノン系としては、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モリホニル)フェニル]−1−ブタノンなどが挙げられる。
ホスフィノキサイド系としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンキサイドなどが挙げられる。
チタノセン系としては、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどが挙げられる。
オキシム系としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)などが挙げられる。
水素引抜型としては、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンジル系、ミヒラーケトン系などが挙げられる。
より具体的には、ベンゾフェノン系として、2−ベンゾイル安息香酸、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
チオキサントン系としては、2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
ベンジル系としては、ベンジル、(±)−カンファーキノン、p−アニシルなどが挙げられる。
これらの光重合開始剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて用られる。
−熱硬化−
熱重合開始剤としては、V−30、V−40、V−59、V601、V65、V−70、VF−096、VE−73、Vam−110、Vam−111(和光純薬製)、OTazo−15、OTazo−30、AIBM、AMBN、ADVN、ACVA(大塚化学)等のアゾ系開始剤;パーテトラA、パーヘキサHC、パーヘキサC、パーヘキサV、パーヘキサ22、パーヘキサMC、パーブチルH、パークミルH、パークミルP、パーメンタH、パーオクタH、パーブチルC、パーブチルD、パーヘキシルD、パーロイルIB、パーロイル355、パーロイルL、パーロイルSA、ナイパーBW、ナイパーBMT−K40/M、パーロイルIPP、パーロイルNPP、パーロイルTCP、パーロイルOPP、パーロイルSBP、パークミルND、パーオクタND、パーヘキシルND、パーブチルND、パーブチルNHP、パーヘキシルPV、パーブチルPV、パーヘキサ250、パーオクタO、パーヘキシルO、パーブチルO、パーブチルL、パーブチル355、パーヘキシルI、パーブチルI、パーブチルE、パーヘキサ25Z、パーブチルA、パーヘキシルZ、パーブチルZT、パーブチルZ(日油化学社製)、カヤケタールAM−C55、トリゴノックス36−C75、ラウロックス、パーカドックスL−W75、パーカドックスCH−50L、トリゴノックスTMBH、カヤクメンH、カヤブチルH−70、ペルカドックスBC−FF、カヤヘキサAD、パーカドックス14、カヤブチルC、カヤブチルD、カヤヘキサYD−E85、パーカドックス12−XL25、パーカドックス12−EB20、トリゴノックス22−N70、トリゴノックス22−70E、トリゴノックスD−T50、トリゴノックス423−C70、カヤエステルCND−C70、カヤエステルCND−W50、トリゴノックス23−C70、トリゴノックス23−W50N、トリゴノックス257−C70、カヤエステルP−70、カヤエステルTMPO−70、トリゴノックス121、カヤエステルO、カヤエステルHTP−65W、カヤエステルAN、トリゴノックス42、トリゴノックスF−C50、カヤブチルB、カヤカルボンEH−C70、カヤカルボンEH−W60、カヤカルボンI−20、カヤカルボンBIC−75、トリゴノックス117、カヤレン6−70(化薬アクゾ社製)、ルルペロックス610、ルペロックス188、ルペロックス844、ルペロックス259、ルペロックス10、ルペロックス701、ルペロックス11、ルペロックス26、ルペロックス80、ルペロックス7、ルペロックス270、ルペロックスP、ルペロックス546、ルペロックス554、ルペロックス575、ルペロックスTANPO、ルペロックス555、ルペロックス570、ルペロックスTAP、ルペロックスTBIC、ルペロックスTBEC、ルペロックスJW、ルペロックスTAIC、ルペロックスTAEC、ルペロックスDC、ルペロックス101、ルペロックスF、ルペロックスDI、ルペロックス130、ルペロックス220、ルペロックス230、ルペロックス233、ルペロックス531などが挙げられる。
これらのうち、分子量250以上のアゾ系重合開始剤を用いると、低い温度でムラなく反応が進行することから、ムラの抑制された高強度の膜の形成が図られる。より好適には、アゾ系重合開始剤の分子量は、250以上であり、300以上が更に好適である。
加熱は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、酸素濃度が好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下で行い、好ましくは50℃以上170℃以下、より好ましくは70℃以上150℃以下で、好ましくは10分以上120分以下、より好ましくは15分以上100分以下加熱する。
光硬化触媒または熱重合開始剤の総含有量は、層形成のための溶解液中の全固形分に対して0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、更には0.1質量%以上8質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下の範囲が特に好ましい。
−導電性基体−
導電性基体4としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属または合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、および金属ベルトが挙げられる。また、導電性基体4としては、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属または合金を塗布、蒸着またはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等も挙げられる。
ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
電子写真感光体7Aがレーザープリンターに使用される場合、レーザー光を照射する際に生じる干渉縞を防止するために、導電性基体4の表面は、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化することが望ましい。なお、非干渉光を光源に用いる場合には、干渉縞防止の粗面化は特に必要ない。
粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、または回転する砥石に支持体を接触し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が望ましい。
また、他の粗面化の方法としては、導電性基体4表面を粗面化することなく、導電性または半導電性粉体を樹脂中に分散させて、支持体表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も望ましく用いられる。
ここで、陽極酸化による粗面化処理は、アルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性である。そこで、陽極酸化膜の微細孔を加圧水蒸気または沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが望ましい。
陽極酸化膜の膜厚については、0.3μm以上15μm以下が望ましい。
また、導電性基体4には、酸性水溶液による処理またはベーマイト処理を施してもよい。リン酸、クロム酸およびフッ酸からなる酸性処理液による処理は以下のようにして実施される。
先ず、酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸およびフッ酸の配合割合は、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲が好ましい。処理温度は42℃以上48℃以下が好ましいが、処理温度を高く保つことにより、一層速く、かつ厚い被膜が形成される。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
ベーマイト処理は、90℃以上100℃以下の純水中に5分以上60分以下浸漬すること、または90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分以上60分以下接触させて行うことが好ましい。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
−下引層−
下引層1は、例えば、結着樹脂に無機粒子を含有して構成される。
無機粒子としては、粉体抵抗(体積抵抗率)10Ω・cm以上1011Ω・cm以下のものが望ましく用いられる。
なかでも上記抵抗値を有する無機粒子としては、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の無機粒子を用いるのが望ましく、特に、酸化亜鉛は望ましく用いられる。
また、無機粒子は表面処理を行ったものでもよく、表面処理の異なるもの、または、粒子径の異なるものなど2種以上混合して用いてもよい。
無機粒子のBET法による比表面積は、10m/g以上が望ましい。
無機粒子の体積平均粒径は50nm以上2000nm以下(望ましくは60nm以上1000nm以下)の範囲であることが望ましい。
更に、無機粒子と共にアクセプター性化合物を含有させることが好ましい。
アクセプター性化合物としては、上記特性が得られるものであれば限定されず、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送性物質などが望ましく、特にアントラキノン構造を有する化合物が望ましい。更にヒドロキシアントラキノン系化合物、アミノアントラキノン系化合物、アミノヒドロキシアントラキノン系化合物等、アントラキノン構造を有するアクセプター性化合物が望ましく用いられ、具体的にはアントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が挙げられる。
これらのアクセプター性化合物の含有量は上記特性が得られる範囲であれば限定されないが、望ましくは無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下の範囲で含有され、更に0.05質量%以上10質量%以下の範囲で添加されることが望ましい。
アクセプター化合物は、下引層形成用塗布液に添加するだけでもよいし、無機粒子表面にあらかじめ付着させておいてもよい。
無機粒子表面にアクセプター化合物を付与させる方法としては、乾式法、または、湿式法が挙げられる。
乾式法にて表面処理を施す場合には、無機粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接または有機溶媒に溶解させたアクセプター化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって処理される。添加または噴霧する際には溶剤の沸点以下の温度で行われることが望ましい。添加または噴霧した後、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けの温度、時間は任意の範囲で実施される。
また、湿式法としては、無機粒子を溶剤中で攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミル等を用いて分散し、アクセプター化合物を添加し攪拌または分散した後、溶剤除去することで処理される。溶剤除去方法はろ過または蒸留により留去される。溶剤除去後には更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に限定されない。湿式法においては表面処理剤を添加する前に無機粒子含有水分を除去してもよく、その例として表面処理に用いる溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法を用いてもよい。
また、無機粒子にはアクセプター化合物を付与する前に表面処理を施してもよい。表面処理剤としては、所望の特性が得られるものであればよく、公知の材料から選択される。例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性材等が挙げられる。特に、シランカップリング剤は良好な電子写真特性を与えるため望ましく用いられる。更にアミノ基を有するシランカップリング剤が望ましく用いられる。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、電子写真感光体特性が得られればいかなるものを用いてもよく、具体的例としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、シランカップリング剤は2種以上混合して使用してもよい。前記アミノ基を有するシランカップリング剤と併用して用いてもよいシランカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの表面処理剤を用いた表面処理方法は公知の方法であればいかなる方法でもよく、乾式法または湿式法が用いられる。また、アクセプター化合物の付与と、カップリング剤等の表面処理剤による表面処理と、をいっぺんに行ってもよい。
下引層1中の無機粒子に対するシランカップリング剤の量は電子写真特性が得られる量であれば限定されず、無機粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が望ましい。
また、下引層1には結着樹脂が含有されてもよい。
下引層1に含有される結着樹脂としては、良好な膜が形成されるもので、かつ、所望の特性が得られるものであれば公知のいかなるものを使用してもよく、例えば、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の公知の高分子樹脂化合物、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が用いられる。
また、下引層1に含有される結着樹脂として、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂等を用いてもよい。なかでも上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好適であり、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が好適である。これらを2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
下引層形成用塗布液中の、表面にアクセプター化合物を付与させた無機粒子(アクセプター性を付与した金属酸化物)とバインダー樹脂、または、無機粒子とバインダー樹脂との比率は電子写真感光体特性が得られる範囲で設定される。
また、下引層1中には種々の添加物を用いてもよい。
添加物としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が用いられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層形成用塗布液に添加してもよい。
添加剤としてのシランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、ジルコニウムキレート化合物の例としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物の例としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物の例としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの化合物は単独に若しくは複数の化合物の混合物または重縮合物として用いてもよい。
下引層形成用塗布液を調製するための溶媒としては、公知の有機溶剤、例えば、アルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等から任意で選択される。
溶媒として、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が用いられる。
また、これらの溶剤は単独または2種以上混合して用いてもよい。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶かし得る溶剤であれば、いかなるものでも使用される。
下引層形成用塗布液を調製する際の無機粒子の分散方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの公知の方法が用いられる。
更に、下引層1を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
このようにして得られた下引層形成用塗布液を用い、導電性基体上に下引層1が成膜される。
また、下引層1は、ビッカース硬度が35以上とされていることが望ましい。
更に、下引層1は、所望の特性が得られるのであれば、いかなる厚さに設定されてもよいが、厚さ15μm以上が望ましく、更に望ましくは15μm以上50μm以下とされていることが望ましい。
また、下引層1の表面粗さ(十点平均粗さ)は、使用される露光用レーザー波長λの1/4n(nは上層の屈折率)から1/2λまでに調整することが好ましい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂などの粒子を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が用いられる。
また、表面粗さ調整のために下引層表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が用いられる。LED,有機ELイメージアレーなどの非干渉性光源を用いる場合には平滑な表面を用いてもよい。
下引層1は、導電性基体4上に塗布した前述の下引層形成用塗布液を乾燥させることで得られるが、通常乾燥は、溶剤を蒸発させ製膜し得る温度で行われる。
−電荷発生層−
電荷発生層2は、電荷発生材料及び結着樹脂を含有する層である。また、結着樹脂を含有しない蒸着膜として形成してもよい。特に、LED,有機ELイメージアレーなどの非干渉性光源を用いる場合には好ましい。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料、酸化亜鉛、三方晶系セレン等が挙げられる。これらの中でも、近赤外域のレーザー露光に対応させるためには、電荷発生材料として、金属フタロシアニン顔料、及び無金属フタロシアニン顔料を用いることが望ましく、特に、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−11172号公報、特開平5−11173号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報、特開平5−43823号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより望ましい。また、近紫外域のレーザー露光に対応させるためには、電荷発生材料として、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、チオインジゴ系顔料、ポルフィラジン化合物、酸化亜鉛、三方晶系セレン、特開2004−78147号公報、特開2005−181992号公報に開示されたビスアゾ顔料等を用いることがより望ましい。また、450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED,有機ELイメージアレーなどの非干渉性光源を用いる場合にも上記電荷発生材料を用いてもよいが、解像度の観点より、感光層を20μm以下の薄膜で用いる場合には、感光層中の電界強度が高くなり、基材からの電荷注入による帯電低下、いわゆる黒ぽちと呼ばれる画像欠陥を生じやすくなる。これは、三方晶系セレンや、フタロシアニン顔料などのp-型半導体で暗電流を生じやすい電荷発生材料を用いた時に顕著となる。これに対し、縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料などのn-型半導体を用いた場合、暗電流を生じにくく、薄膜にしても黒ぽちと呼ばれる画像欠陥を抑制し得る。450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED,有機ELイメージアレーなどの非干渉性光源を用い、平滑な基材、下引き層を形成し、さらにn-型の電荷発生材料を用いることで、感光層を20μm以下の薄膜にしても画像欠陥を生じず、長期に渡って高解像度の画像が得られることを見出した。n-型の電荷発生材料としては、具体的に以下の例があげられるがこれに限られるものではない。なお、n-型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn-型とする。

電荷発生層2に使用される結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。望ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。電荷発生材料と結着樹脂の配合比は質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが望ましい。ここで、「絶縁性」とは、ここで、「絶縁性」とは体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
電荷発生層2は、上述の電荷発生材料及び結着樹脂を定められた溶剤中に分散した電荷発生層形成用塗布液を用いて形成される。また、結着樹脂を含有しない蒸着膜として形成させてもよく、特に縮環芳香族顔料、ペリレン顔料は蒸着膜として好ましく使用し得る。
分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いる。
また、電荷発生材料及び結着樹脂を溶剤中に分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いられる。これらの分散方法により、分散による電荷発生材料の結晶型の変化が防止される。
更にこの分散の際、電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、望ましくは0.3μm以下、更に望ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
また、電荷発生層2を形成する際には、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
このようにして得られる電荷発生層2の膜厚は、望ましくは0.1μm以上5.0μm以下、更に望ましくは0.2μm以上2.0μm以下である。
−電荷輸送層−
図1に示す電荷輸送層3は、電荷輸送材料と結着樹脂を含有して、または高分子電荷輸送材を含有して形成される。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物や、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物が挙げられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独でまたは2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
電荷輸送材料としては、電荷移動度の観点から、下記構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、および下記構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体が望ましい。

(上記構造式(a−1)中、Rは、水素原子、メチル基、−C(R10)=C(R11)(R12)、または−CH=CH−CH=C(R13)(R14)を示す。lは1または2を示す。ArおよびArは各々独立に置換若しくは未置換のアリール基、−C−C(R10)=C(R11)(R12)、または−C−CH=CH−CH=C(R13)(R14)を示し、R10、R11、R12、R13およびR14は各々独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、または置換若しくは未置換のアリール基を表す。)
ここで、上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、または炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基が挙げられる。

(上記構造式(a−2)中、R15およびR15’は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、または炭素数1以上5以下のアルコキシ基を示す。R16、R16’、R17、およびR17’は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは未置換のアリール基、−C(R18)=C(R19)(R20)、または−CH=CH−CH=C(R21)(R22)を示し、R18、R19、R20、R21およびR22は各々独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、または置換若しくは未置換のアリール基を表す。mおよびnは各々独立に0以上2以下の整数を示す。)
ここで、前記構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、および前記構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体のうち、特に、「−C−CH=CH−CH=C(R13)(R14)」を有するトリアリールアミン誘導体、および「−CH=CH−CH=C(R21)(R22)」を有するベンジジン誘導体が、電荷移動度、保護層との接着性、前画像の履歴が残ることで生じる残像(以下「ゴースト」と言う場合がある)などの観点で優れ望ましい。
電荷輸送層3に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。特開平8−176293号公報および特開平8−208820号公報に開示されているポリエステル系の高分子電荷輸送材料等を用いてもよい。これらのうち、ポリカーボネート樹脂またはポリアリレート樹脂が好適である。
これらの結着樹脂は1種を単独でまたは2種以上で用いる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は質量比で10:1から1:5までが望ましい。
特に、電荷輸送層3上には、反応性の電荷輸送材料とポリカーボネート樹脂とを含有する組成物の硬化膜からなる保護層(最表面層)を備える場合、電荷輸送層3に用いる結着樹脂としては、粘度平均分子量50000以上のものが望ましく、55000以上のものがより望ましい。
なお、電荷輸送層3に用いる結着樹脂の粘度平均分子量の上限値としては100000以下が望ましい。
ここで、本実施形態における結着樹脂の粘度平均分子量は、毛細管粘度計によって測定した値である。
なお、最表面層が電荷輸送層である場合には、その下層中に含まれる結着樹脂の粘度平均分子量が上記の範囲であることが望ましい。
また、電荷輸送材料として高分子電荷輸送材を用いてもよい。高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシランなどの電荷輸送性を有する公知のものが用いられる。特に、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報等に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は特に望ましいものである。高分子電荷輸送材はそれだけでも成膜し得るが、前述の結着樹脂と混合して成膜してもよい。
電荷輸送層3は、上記構成材料を含有する電荷輸送層形成用塗布液を用いて形成される。
電荷輸送層形成用塗布液に用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状若しくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤を単独または2種以上混合して用いられる。また、上記各構成材料の溶解方法としては、公知の方法が使用される。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層2の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
電荷輸送層3の膜厚は、望ましくは5μm以上50μm以下、より望ましくは10μm以上30μm以下である。
電荷輸送層として本実施形態の表面層材料を使用してもよい。
<プロセスカートリッジおよび画像形成装置>
次に、本実施形態の電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジおよび画像形成装置について説明する。
本実施形態のプロセスカートリッジは、潜像保持体の表面の静電潜像を現像して得られたトナー像を記録媒体に転写して、該記録媒体上に画像を形成する画像形成装置に対して着脱自在であり、前記潜像保持体としての前述の本実施形態に係る電子写真感光体を少なくとも備えた構成である。
また、本実施形態の画像形成装置は、前述の本実施形態に係る電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、帯電された前記電子写真感光体の表面を露光して該表面に静電潜像を形成する露光装置と、前記静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、を備えた構成である。なお、本実施形態の画像形成装置は、各色のトナーに対応した感光体を複数有するいわゆるタンデム機であってもよく、この場合、全ての感光体が本実施形態の電子写真感光体であることが望ましい。また、トナー像の転写は、中間転写体を利用した中間転写方式であってもよい。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。画像形成装置100は、図4に示すように。電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9と、転写装置40と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。
図4におけるプロセスカートリッジ300は、ハウジング内に、電子写真感光体7、帯電装置8、現像装置11およびクリーニング装置13を一体に支持している。クリーニング装置13は、クリーニングブレード(クリーニング部材)を有しており、クリーニングブレード131は、電子写真感光体7の表面に接触するように配置されている。
また、潤滑材14を感光体7の表面に供給する繊維状部材132(ロール状)、クリーニングをアシストする繊維状部材133(平ブラシ状)を用いた例を示してあるが、これらは使用しても、使用しなくてもよい。
帯電装置8としては、例えば、導電性または半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
なお、図示しないが、電子写真感光体7の周囲には、電子写真感光体7の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための感光体加熱部材を設けてもよい。
露光装置9としては、例えば、感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は感光体の分光感度領域にあるものが使用される。半導体レーザーの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザーや青色レーザーとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザーも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザー光源も有効である。特に、450nm以上780nm以下に発光の中心波長がある非干渉性の露光光源が高画質をえる上で好ましい。
尚、前記電子写真感光体における感光層の総膜厚が20μm以下であって、且つ露光装置9が非干渉性の露光光源を有する態様が好ましく、更に、前記非干渉性の露光光源によって露光される電子写真感光体表面の露光スポットの面積が1000μm以下であり、且つ前記非干渉性の露光光源の発光の中心波長が450nm以上780nm以下である態様がより好ましい。
次に、露光ヘッドについて説明する。
図7は露光ヘッドを示す図であり、図8は露光ヘッドにより感光体に露光を施している状態を示す図である。各露光ヘッドは、図7および図8に示すように、例えば、有機EL素子アレイ(発光素子アレイ60B)と、結像部(レンズ70)と、を備えている。
発光素子アレイ60Bは、例えば、有機EL素子(発光素子60A)で構成される発光部と有機EL素子が実装される実装基板(図7の発光素子アレイ基板61に相当)とを備える。
有機EL素子アレイ(発光素子アレイ60B)と結像部(レンズ70)とは、発光部(発光素子60A)と結像部の光入射面70Aとの光学距離が結像部の作動距離となるように、離間した状態で保持部材により保持されている。
ここで、結像部の作動距離とは、結像部に用いるレンズ70の焦点から結像部の入射面70Aまでの距離である。
そして、結像部では、発光部からの発光を光の入射面70Aから入射すると共に光の出射面70Bから出射して予め定められた位置に結像させる、つまり、発光素子60Aからの発光を感光体30に結像することによって、感光体30が露光されて潜像が形成される(図8)。
ここで、有機EL素子アレイ(発光素子アレイ60B)について説明する。
有機EL素子アレイは、例えば発光部から照射される光を実装基板(発光素子アレイ基板61)側から取り出す、所謂、ボトムエミッション方式となっている。無論、トップエミッション方式であってもよい。
発光部は、例えば、単一の発光素子60Aの群で構成されている。発光素子60Aは、実装基板(発光素子アレイ基板61)の長手方向に沿って線状(直列)又は千鳥状に配置して、発光部を構成している。発光素子60Aの群で構成された発光部は、感光体30の画像形成領域以上の長さとしている。
次いで、結像部(レンズ70)について説明する。
結像部は、例えば、ロッドレンズが複数配列されたレンズアレイで構成されている。レンズアレイとして具体的には、例えば、セルフォックレンズアレイ(SLA:セルフォックは、日本板硝子(株)の登録商標)と呼ばれる屈折率分散型レンズアレイを適用することが最もよいが、シリンドリカルレンズを組み合わせても良い。さらに、個々の光源用有機EL素子上にマイクロレンズを接合しても良い。
現像装置11としては、例えば、磁性若しくは非磁性の一成分系現像剤または二成分系現像剤等を接触または非接触させて現像する一般的な現像装置を用いて行ってもよい。その現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、上記一成分系現像剤または二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが望ましい。
以下、現像装置11に使用されるトナーについて説明する。
本実施形態の画像形成装置に用いられるトナーは、平均形状係数((ML/A)×(π/4)×100、ここでMLは粒子の最大長を表し、Aは粒子の投影面積を表す)が100以上150以下であることが望ましく、105以上145以下であることがより望ましく、110以上140以下であることがさらに望ましい。さらに、トナーとしては、体積平均粒子径が3μm以上12μm以下であることが望ましく、3.5μm以上9μm以下であることがさらに望ましい。
トナーは、特に製造方法により限定されるものではないが、例えば、結着樹脂、着色剤および離型剤、やその他更に帯電制御剤等を加えて混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤および離型剤、その他更に帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤および離型剤、その他更に帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂と、着色剤および離型剤、その他更に帯電制御剤等の溶液とを水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により製造されるトナーが使用される。
また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法等、公知の方法が使用される。なお、トナーの製造方法としては、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が望ましく、乳化重合凝集法が特に望ましい。
トナー母粒子は、結着樹脂、着色剤および離型剤を含有することが望ましく、更にシリカや帯電制御剤を含有してもよい。
トナー母粒子に使用される結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂が好ましく、その融点から脂肪族結晶性樹脂が好ましく、この脂肪族結晶性樹脂は分子間凝集力が小さいため、より離型剤を用いた離型効果が要求される。さらに高光沢画像を出すためにコア層に含まれる結着樹脂の粘度を下げた場合も同様である。
−結着樹脂:(結晶性)ポリエステル樹脂−
上記トナーに用いられる結晶性ポリエステル樹脂や、その他すべてのポリエステル樹脂は多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、本実施形態においては、前記ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸、などが挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、酸成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていることが好ましい。前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にし得る点で有効である。また、樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、粒子を作製する際に、スルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで、乳化或いは懸濁し得る。
このようにスルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらスルホン酸基を有する2価以上のカルボン酸成分は、ポリエステルを構成する全カルボン酸成分に対して1モル%以上15モル%以下、好ましくは2モル%以上10モル%以下含有する。含有量が1モル%以上であると乳化粒子の経時安定性が得られる一方、15モル%以下であると、ポリエステル樹脂の結晶性の低下が抑制されるばかりではなく、凝集後、粒子が融合する工程において、トナー径の調整が容易に行なわれる。
さらに、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有することがより好ましい。2重結合を持つジカルボン酸は、2重結合を介して、ラジカル的に架橋結合させ得る点で定着時のホットオフセットを防ぐ為に好適に用いられる。このジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級エステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。
多価アルコール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、主鎖部分の炭素数が7以上20以下である直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。前記脂肪族ジオールが直鎖型であると、ポリエステル樹脂の結晶性の低下が抑制され、融点の降下が抑制される為、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び低温定着性がより向上する。また、炭素数が7以上であると、芳香族ジカルボン酸と縮重合させる場合、融点が高くなり過ぎず、低温定着性が得られる一方、20以下であると材料の入手が容易となる。前記炭素数としては14以下であることがより好ましい。
上記トナーに用いられる結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオール成分の含有量が80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは、90%以上である。前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%以上であると、ポリエステル樹脂の結晶性の低下が抑制され、融点の降下が抑制される為、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び、低温定着性がより向上する。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の1価の酸や、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコールも使用し得る。
また、上記トナーに用いられる結晶性ポリエステルは下式(7)で規定されるエステル濃度が、0.01以上0.12以下の範囲内であることが好ましい。
・式(7) M=K/A
但し、式(7)中、Mはエステル濃度を、Kは結晶性ポリエステル中のエステル基数を、Aは結晶性ポリエステルの高分子鎖を構成する原子数を、それぞれ表す。
結晶性ポリエステルのエステル濃度を0.01以上0.12以下に抑えることで、耐トナーブロッキング性、画像の保存性、および、低温での定着性に優れると共に、さらに帯電性も向上し得る。
結晶性ポリエステルのエステル濃度が0.01以上であると、帯電性は良好であると共に、結晶性ポリエステルの融点が高くなりすぎず、低温定着性の低下が抑制されるエステル濃度の下限としては、0.04以上であることがより好ましい。
一方、エステル濃度が0.12以下であると、帯電性の低下が抑制され、結晶性ポリエステルの融点が低くなりすぎず、定着画像の安定性や粉体ブロッキング性の低下が抑制される。エステル濃度の上限としては、0.10以下であることがより好ましい。
なお、「エステル濃度」とは、結晶性ポリエステル樹脂のポリマーにおけるエステル基の含有割合を示す一つの指標である。上記式中のKで表される「ポリマー中のエステル基数」は、言い換えればポリマー全体に含まれるエステル結合の数を指す。
上記式(7)中のAで表される「ポリマーの高分子鎖を構成する原子数」は、ポリマーの高分子鎖を構成する原子の合計であり、エステル結合に関与する原子数は全て含むが、その他の構成部位における枝分かれした部分の原子数は含まない。
すなわち、エステル結合に関与するカルボキシル基やアルコール基に由来する炭素原子および酸素原子(1つのエステル結合中酸素原子は2個)や、高分子鎖を構成する、例えば芳香環における6つの炭素は、前記原子数の計算に含まれるが、高分子鎖を構成する、例えば芳香環やアルキル基における水素原子、その置換体の原子ないし原子群は、前記原子数の計算に含まれない。
−結着樹脂:無定形高分子−
上記トナーに使用される無定形高分子樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性結着樹脂などが挙げられ、具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体又は共重合体(スチレン系樹脂);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、及びこれらの非ビニル縮合系樹脂とビニル系モノマーとのグラフト重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂の中でもビニル系樹脂やポリエステル樹脂が特に好ましい。
ビニル系樹脂の場合、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合やシード重合により樹脂粒子分散液を容易に調製し得る点で有利である。前記ビニル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸、ビニルスルフォン酸、エチレンイミン、ビニルピリジン、ビニルアミンなどのビニル系高分子酸やビニル系高分子塩基の原料となるモノマー挙げられる。
尚、前記樹脂粒子が、前記ビニル系モノマーをモノマー成分として含有していることが好ましい。これらのビニル系モノマーの中でも、ビニル系樹脂の形成反応の容易性等の点でビニル系高分子酸がより好ましく、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸などのカルボキシル基を解離基として有する解離性ビニル系モノマーが、重合度やガラス転移点の制御の点で特に好ましい。
また、着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が代表的なものとして例示される。
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロピィシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等が代表的なものとして例示される。
また、帯電制御剤としては、公知のものが使用され、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤が用いられる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用することが好ましい。また、トナーとしては、磁性材料を内包する磁性トナー及び磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
現像装置11に用いるトナーとしては、上記トナー母粒子及び上記外添剤をヘンシェルミキサー又はVブレンダー等で混合することによって製造される。また、トナー母粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添してもよい。
現像装置11に用いるトナーにはフッ素元素を有する粒子を含有させる。
フッ素元素を有する粒子としては、黒鉛やグラファイトにフッ素が結合したフッ化炭素、ポリ四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、パーフルオロアルコキシ・フッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)等が用いられ、平均粒径としては0.1μm以上4μm以下の範囲が好ましく、上記化学構造のものを粉砕して、粒径をそろえてもよい。トナーへの添加量は好ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下の範囲である。0.05質量%以上であると摩擦係数が高くなり過ぎず、ゴーストの発生が抑制され、2.0質量%以下であるとトナーの帯電特性において、逆極性トナーの生成が抑制される。
さらに、滑性粒子を添加してもよい。滑性粒子としては、グラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪族アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス、ミツロウ等の動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物が使用される。これらは、1種を単独で、又は2種以上を併用して使用される。但し、平均粒径としては0.1μm以上10μm以下の範囲が好ましく、上記化学構造のものを粉砕して、粒径をそろえてもよい。トナーへの添加量は好ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下の範囲である。
現像装置11に用いるトナーには、電子写真感光体表面の付着物、劣化物除去の目的等で、無機粒子、有機粒子、該有機粒子に無機粒子を付着させた複合粒子等を加えてもよい。
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。
また、上記無機粒子を、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等のチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等で処理を行ってもよい。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理したものも好ましく使用される。
有機粒子としては、スチレン樹脂粒子、スチレンアクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子等が挙げられる。
粒子径としては、個数平均粒子径で好ましくは5nm以上1000nm以下、より好ましくは5nm以上800nm以下、さらに好ましくは5nm以上700nm以下でのものが使用される。平均粒子径が、上記下限値以上であると、研磨能力に優れる傾向があり、他方、上記上限値以下であると、電子写真感光体表面での傷の発生が抑制される。また、上述した粒子と滑性粒子との添加量の和が0.6質量%以上であることが好ましい。
トナーに添加されるその他の無機酸化物としては、粉体流動性、帯電制御等の為、1次粒径が40nm以下の小径無機酸化物を用い、更に付着力低減や帯電制御の為、それより大径の無機酸化物を添加することが好ましい。これらの無機酸化物粒子は公知のものを使用し得るが、精密な帯電制御を行う為にはシリカと酸化チタンを併用することが好ましい。
また、小径無機粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性を上げる効果が大きくなる。さらに、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩や、ハイドロタルサイト、酸化セリウムの無機鉱物を添加することも放電精製物を除去するために好ましい。
また、電子写真用カラートナーはキャリアと混合して使用されるが、キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉又はそれ等の表面に樹脂コーティングを施したものが使用される。また、キャリアとの混合割合は、自由に設定し得る。
感光体上に残留したトナーのクリーニング方法としては、装置を小型化し得ることから、ゴムブレードを用いたクリーニングブレード方式が用いられる。
クリーニングブレードの耐磨耗性を向上させる目的で放電生成物を除去する手段を付加したり、BCOの発生に伴い像保持体表面に付着し、エッジ欠けの原因ともなる微粉キャリアを捕集する目的でキャリア捕集手段を付加してもよい。
また、クリーニングブレードの耐磨耗性を向上させるために、像保持体に接触する部分の材料として、高硬度や高モジュラスな材料を採用してもよい。この高モジュラスな材料を用いて単層のゴムブレードとしても使用し得るが、一般的には耐性は向上するが弾性が低下する場合がある。弾性が低下するとは、ゴムらしさが無くなり伸び難くなることである。伸び難くなる為、BCOの発生に伴い像保持体表面に埋没したキャリア片などの異物が、クリーニングブレードのエッジと像保持体表面との接触部を通過する際、異物がエッジを変形させる力に追従して、エッジ先端が変形しないためにブレードエッジが欠け易くなってしまう場合がある。
また、高モジュラス(高硬度)の材料は永久伸びが大きいためにへたり(永久変形)が悪化してしまうことがあり、へたりの量が大きくなると接触圧が維持されなくなり、結果としてクリーニング不良を招いてしまう場合があった。
上記のクリーニングブレードのエッジ欠けを防止するためには、クリーニングブレードのエッジと像保持体表面との接触部を異物が通過する際に、エッジ先端が変形する(伸びる)低硬度の材料で、エッジ先端部が構成されていることが有利である。また、上記のへたりを防止する観点においても、上記の低硬度の材料が有利である。
しかし、この低硬度の材料では、耐磨耗性に劣るため、長期に渡り良好なクリーニング性能を維持し得ない。
そのため、クリーニングブレードとしては、
感光体表面と接触する第一層と、感光体表面と接触しない背面層と、から構成され、前記第一層の材料が、下式(1)乃至(3)を満たすことが好ましい。
・式(1) 3.92≦M≦29.42
・式(2) 0<α≦0.294
・式(3) S≧250
〔但し、式(1)乃至(3)中、Mは100%モジュラス(MPa)を表し、αは、応力−歪曲線において、歪量が100%以上200%以下における歪量変化(Δ歪量)に対する応力変化(Δ応力)の割合{Δ応力/Δ歪量=(歪量200%における応力−歪量100%における応力)/(200−100)}(MPa/%)を表し、Sは、JIS K6251(ダンベル状3号形試験片使用)に基づいて測定された破断伸び(%)を表す。〕
ここで、上記クリーニングブレードは、被クリーニング部材表面に接触する第一層の背面に、背面層としての第二層が設けられた2層構成であってもよいし、また、第一層の背面に第二層、第三層など複数の層からなる背面層を設けた構成であってもよい。尚、以下においては、第一層と背面層としての第二層とからなる2層構成のクリーニングブレードを取り上げて、詳細に説明する。
−第一層−
上記クリーニングブレードは、被クリーニング部材表面と接触する第一層の材料が、式(1)を満たすため、良好なクリーニング性を発揮しつつ、耐磨耗性にも優れる。
100%モジュラスMが、3.92MPa(40kgf/cm)以上であると、耐磨耗性が得られ、長期に渡り良好なクリーニング性が維持される。また、29.42MPa(300kgf/cm)以下であると、第一層材料が硬過ぎず、被クリーニング部材に対する追従性が得られ、良好なクリーニング性が発揮される。加えて、被クリーニング部材表面の傷つけが抑制される。
なお、100%モジュラスMは、5MPa以上20MPa以下の範囲内であることが好ましく、6.5MPa以上15MPa以下の範囲内であることがより好ましい。
また、第一層材料が、式(2)および式(3)を満たすため、耐欠け性に優れる。
式(2)に示されるαが0.294以下であると、第一層材料の柔軟性が得られる。それゆえ、BCOの発生に伴い、像保持体表面に埋没・固着した異物等のように、被クリーニング部材表面に存在する異物、特に表面に埋没・固着した異物が、被クリーニング部材とクリーニングブレードとの接触部を繰り返し通過することにより、クリーニングブレードの第一層先端に大きな応力が繰り返し加わった際であっても、この応力を効率的に分散するように変形し、比較的短期間の内のエッジ欠けが抑制される。従って、早期の欠けが抑制されるため、長期に渡って良好なクリーニング性が維持される。
なお、αは0.2以下であることが好ましく、0.1以下であることがより好ましく、物性上の限界下限値である0に近ければ近いほどよい。
さらに、式(3)に示される破断伸びSが250%以上である場合、上述した被クリーニング部材表面の異物と第一層先端が強い力で衝突した際にも、第一層先端が追従変形するため比較的短期間の内のエッジ欠けが抑制される。従って、早期での欠けが抑制されるため、長期に渡って良好なクリーニング性が維持される。
なお、破断伸びSは300%以上であることが好ましく、350%以上であることがより好ましく、エッジ欠けに対しては大きい程好ましい反面、破断伸びSが500%以下である場合は被クリーニング部材に対する追従性(密着性)が増し過ぎず、被クリーニング部材との摩擦力の増大が抑制され、結果として第一層先端の磨耗(エッジ摩耗)が抑制される。それゆえ、エッジ磨耗の観点から破断伸びSは500%以下であることが好ましく、450%以下であることがより好ましく、400%以下であることが更に好ましい。
また、画像形成装置のクリーニングブレード周辺温度つまり使用環境温度は概ね10℃以上60℃以下の範囲である。従って、被クリーニング部材表面と接触する第一層の材料のガラス転移温度Tgが使用環境温度を超えなければゴムらしさが維持されクリーニングブレードの接触圧が安定する。それゆえ、第一層の材料のガラス転移温度Tgは使用環境温度の下限値(10℃)以下であることが好ましい。
一方、被クリーニング部材表面と接触する第一層の材料の反発弾性Rは、当該材料のガラス転移温度Tgが10℃以下である場合、低温程反発弾性は小さくなる傾向にある。そのため、反発弾性Rが10%以上であれば第一層先端のスティック&スリップ挙動が鈍くなり過ぎず、ある接触姿勢で変形した状態で摺擦する部分が発生してしまうことが抑制される。
スティック&スリップ挙動により接触姿勢が解放さることにより、第一層先端の姿勢が保たれたまま摺擦が起こることがなく、局所的な塑性変形の発生が抑制される。この局所的な塑性変形の発生が抑制されると、第一層先端と被クリーニング部材との密着性の低下が抑制され、クリーニング不良の発生が抑制される。この局所的な塑性変形を抑制する為には第一層先端は常にスティック&スリップ挙動が行われている事が好ましく、そのためには、使用環境温度の実質的な下限値である温度10℃以上の環境下において、反発弾性Rは、10%以上であることが好ましく、15%以上がより好ましく、20%以上が更に好ましい。
尚、上記反発弾性Rは、前述の通りJISK6255(1996年)に基づいて測定される。
なお、式(1)に示す100%モジュラスMは、JISK6251(1993年)に準拠して、ダンベル状3号形試験片を用い、引張速度500mm/minで計測し、100%歪み時の応力より求めた。尚、測定装置は、東洋精機(株)製、ストログラフAEエラストマを用いた。
また、式(2)に示すαは、応力−歪曲線から求められるものであるが、ここで、応力および歪量は以下に説明する手順・方法により求めたものである。すなわち、JISK6251(1993年)に準拠して、ダンベル状3号形試験片を用い、引張速度500mm/minで計測し、100%歪み時の応力と200%歪み時の応力より求めた。尚、測定装置は、東洋精機(株)製、ストログラフAEエラストマを用いた。
さらに、被クリーニング部材表面と接触する第一層の材料のガラス転移温度や、後述するソフトセグメント材料やハードセグメント材料のガラス転移温度は、粘弾性測定装置により温度分散を測定し、tanδ(損失正接)のピーク温度として求めた。
ここで、tanδ値は、以下に説明する貯蔵及び損失弾性率から導かれるものである。線形弾性体に、正弦波の歪みを定常振動的に与えたとき、応力は式(4)で表される。|E*|は複素弾性率と呼ばれる。また、レオロジー学の理論より、弾性体成分は式(5)、及び粘性体成分は式(6)で表される。ここで、E’は貯蔵弾性率、E''は損失弾性率と呼ばれる。δは応力と歪みとの位相差角を表し、“力学的損失角”と呼ばれるものである。
tanδ値は、式(7)の様にE''/E’で表され、“損失正弦”と呼ばれるものであり、その値が大きい程、その線形弾性体は、ゴム弾性を有するものとなる。
式(4) σ=|E*|γcos(ωt)
式(5) E’=|E*|cosδ
式(6) E”=|E*|sinδ
式(7) tanδ=E”/E’
tanδ値は、レオペクトラ−DVE−V4(レオロジ−(株)製)によって静止歪み5%、10Hz 正弦波引張加振を温度範囲−60℃以上100℃以下で測定した。
以上に説明したように上記クリーニングブレードに用いられる第一層用材料は、耐磨耗性および耐欠け性の双方に優れ、長期に渡り良好なクリーニング性能が維持される。
このため、BCOの発生に伴い、像保持体表面に埋没・固着した異物等のように、被クリーニング部材表面に存在する異物、特に表面に埋没・固着した異物に対応するために、従来のように画像形成装置内に別途耐磨耗性や耐欠け性を向上させるための装置を新たに設ける必要が無いため、装置の大型化・高コスト化が防止される。
加えて、クリーニングブレードの寿命が長くなるため、上記クリーニングブレードを具備したプロセスカートリッジや、クリーニング装置、画像形成装置の長寿命化や、メンテナンスコストの低減が容易である。特に、表面の耐磨耗性を向上させた像保持体および上記クリーニングブレードの双方を具備したプロセスカートリッジや、画像形成装置であれば、上述したメリットをより一層享受し得る。
式(1)乃至(3)を満たす材料は、エラストマー材料であれば特に限定されないが、ハードセグメントおよびソフトセグメントを含むエラストマー材料であることが特に好ましい。エラストマー材料が、ハードセグメントおよびソフトセグメントの双方を含むことにより、式(1)乃至(3)に示す物性を満たすことが容易となり、耐磨耗性および耐欠け性の双方を、より高いレベルで両立し得るためである。
なお、「ハードセグメント」および「ソフトセグメント」とは、エラストマー材料中で、前者を構成する材料の方が、後者を構成する材料よりも相対的に硬い材料からなり、後者を構成する材料の方が前者を構成する材料よりも相対的に柔らかい材料からなるセグメントを意味する。
ここで、ハードセグメントおよびソフトセグメントを含むエラストマー材料のガラス転移温度は、−50℃以上30℃以下の範囲内であることが好ましく、−30℃以上10℃以下の範囲内であることが好ましい。ガラス転移温度が30℃以下であると、クリーニングブレードを使用する実用温度域において脆化の発生が抑制される。また、ガラス転移温度が−50℃以上であると、実使用領域において十分な硬度、応力が得られる。
従って、上述したガラス転移温度を実現するためには、エラストマー材料のハードセグメントを構成する材料(以下、「ハードセグメント材料」と称す場合がある)のガラス転移温度は、30℃以上100℃以下の範囲内であることが好ましく、35℃以上60℃以下の範囲内であることがより好ましく、ソフトセグメントを構成する材料(以下、「ソフトセグメント材料」と称す場合がある)のガラス転移温度は、−100℃以上−50℃以下の範囲内であることが好ましく、−90℃以上−60℃以下の範囲内であることがより好ましい。
また、上述したガラス転移温度を有するハードセグメント材料およびソフトセグメント材料を用いる場合、ハードセグメント材料およびソフトセグメント材料の総量に対するハードセグメントを構成する材料の質量比(以下、「ハードセグメント材料比」と称す場合がある)が46質量%以上96質量%以下の範囲内であることが好ましく、50質量%以上90質量%以下の範囲内であることがより好ましく、60質量%以上85質量%以下の範囲内であることが更に好ましい。
ハードセグメント材料比が、46質量%以上であると、第一層先端の耐磨耗性が確保され、磨耗の発生が抑制されることにより、長期に渡って良好なクリーニング性が維持される。また、ハードセグメント材料比が96質量%以下であると、第一層先端が硬くなり過ぎず、柔軟性や伸張性が得られ、欠けの発生が抑制されることにより、長期に渡って良好なクリーニング性が維持される。
ハードセグメント材料とソフトセグメント材料との組み合わせとしては、特に限定されず、一方が他方に対して相対的に硬く、他方が一方に対して相対的に柔らかい組み合わせとなるように公知の樹脂材料から選択されるが、以下の組み合わせが好適である。
すなわち、ハードセグメント材料としては、ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。この場合のポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、1000以上4000以下の範囲内であることが好ましく、1500以上3500以下の範囲内であることがより好ましい。
重量平均分子量が1000以上の場合、クリーニングブレードが低温環境下で使用される場合にハードセグメントを構成するポリウレタン樹脂の弾性が失われないために、クリーニング不良が抑制される生。また、重量平均分子量が4000以下の場合は、ハードセグメントを構成するポリウレタン樹脂の永久歪みが大きくなり過ぎず、第一層先端が、被クリーニング部材に対して接触圧力を保持し得るため、クリーニング不良が抑制される。
なお、上述したハードセグメント材料として用いられるポリウレタン樹脂としては、例えば、ダイセル化学社製、プラクセル205やプラクセル240などが挙げられる。
また、クリーニングブレードの押し付け圧は、好ましくは1.7gf/mm以上6.5gf/mm以下、より好ましくは2.0gf/mm以上6.0gf/mm以下に設定される。該下限値以上であると高硬度ブレードを用いた場合でもトナーのクリーニング不良が抑制され、該上限値以下であると感光体との摩擦が高くなり過ぎず、トルク上昇、感光体磨耗、ブレードエッジの欠けによるスジの発生、感光体との摩擦によるゴーストの発生などが抑制される。
転写装置50としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
中間転写体としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等のベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
画像形成装置100は、上述した各装置の他に、例えば、感光体7に対して光除電を行う光除電装置を備えていてもよい。
図5は、本実施形態の電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを用いたタンデム型の画像形成装置の一実施形態を示す概略断面図である。
図5は、本実施形態の画像形成装置の他の実施形態を示す模式図である。画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
タンデム型の画像形成装置に本実施形態の電子写真感光体を用いた場合、4本の感光体の電気特性が安定することから、より長期に渡ってカラーバランスの優れた画質が得られる。
以下、実施例および比較例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。尚、以下において「部」は、特に断りのない限り質量基準である。
<化合物部の合成>
[化合物(13)の合成]
500mlフラスコに、下記構造式(A)で示される化合物20g、3−メルカプトプロピオン酸15g、パラトルエンスルホン酸0.5g、トルエン200mlを入れ、窒素置換したのち、発生する水をディーンスタークトラップで除去しながら10時間加熱還流した。反応後、炭酸カリウム水溶液で洗浄し、次いで、蒸留水で洗浄した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、23gの化合物(13)を油状物として得た。
得られた化合物(13)のIRスペクトルを図9に示す。

[化合物(29)の合成]
500mlフラスコに、下記構造式(B)で示される化合物20g、3−メルカプトプロピオン酸15g、パラトルエンスルホン酸0.5g、トルエン200mlを入れ、窒素置換したのち、発生する水をディーンスタークトラップで除去しながら10時間加熱還流した。反応後、炭酸カリウム水溶液で洗浄し、次いで、蒸留水で洗浄した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、20gの化合物(29)を油状物として得た。
得られた化合物(29)のIRスペクトルを図10に示す。

[化合物(14)の合成]
500mlフラスコに、前記構造式(A)で示される化合物20g、2−メルカプトプロピオン酸15g、パラトルエンスルホン酸0.5g、トルエン200mlを入れ、窒素置換したのち、発生する水をディーンスタークトラップで除去しながら10時間加熱還流した。反応後、炭酸カリウム水溶液で洗浄し、次いで、蒸留水で洗浄した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、26gの化合物(14)を油状物として得た。
得られた化合物(14)のIRスペクトルを図11に示す。
<感光体の作製>
続いて、感光体における各層の作製方法について説明する。
(下引層の作製)
[下引層1]
酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m/g)100部をテトラヒドロフラン500部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学工業社製)1.3部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間)焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛110部を500部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン1.0部を50部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛を濾別し、さらに60℃で減圧乾燥を行い、アリザリン付与酸化亜鉛を得た。
このアリザリン付与酸化亜鉛60部と硬化剤(ブロック化イソシアネート、スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5部とブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学社製)15部とをメチルエチルケトン85部に溶解した溶液38部と、メチルエチルケトン25部と、を混合し1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)45部を添加し、下引層用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて、直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ18μmの下引層を得た。形成された下引層の外側表面の表面粗さRaは0.3μmであった。
[下引層2]
シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)45部を添加しなかった以外は、下引層1に記載の方法により下引層2を形成した。形成された下引層の外側表面の表面粗さRaは0.1μmであった。
[下引層3]
直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に、有機ジルコニウム化合物(商品名:オルガチックス ZC540、松本製薬(株)製)10部、シランカップリング剤(商品名:A1110、日本ユニカー(株)製)2部、イソプロピルアルコール30部、およびn−ブタノール30部からなる塗布液を用いて浸漬塗布法にて塗布し、150℃、5分加熱乾燥し、膜厚0.1μmの下引層を形成した。形成された下引層の外側表面の表面粗さRaは0.05μmであった。
(電荷発生層の作製)
[電荷発生層1]
電荷発生物質としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10部、およびn−酢酸ブチル200部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn−酢酸ブチル175部、メチルエチルケトン180部を添加し、攪拌して電荷発生層用塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を、下引層上に浸漬塗布し、100℃で5分間乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
[電荷発生層2]
昇華精製したジブロムアントアントロン顔料(CG−25:クラリアント社製、n型有機顔料)45gを、容量0.25Lのメノウ製容器に20mmφのメノウボール12個と共に入れ、遊星ボールミル(Fritsch P−5)により粉砕した。粉砕条件は、ディスク回転数(公転)235rpm、ポット回転数(自転)50rpmとし、8時間粉砕した。このジブロムアントアントロン顔料10部、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)5部、およびシクロヘキサノン100部を混合し、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にシクロヘキサノン300部を添加し、攪拌して電荷発生層用塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、100℃で5分間乾燥して、膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
[電荷発生層3]
昇華精製したジブロムアントアントロン顔料(CG−25:クラリアント社製、n型有機顔料)を、0.1μmの膜厚となるよう、バリアン モデル(Varian Model)3117真空コーターにより蒸着させて下引層上に電荷発生層を形成した。尚、上記CG−25はタンタルボート中で350℃に加熱して、上記の真空コーターを10−3Pasに減圧した。また、基層はボートから16cmのところに置き、光励起層は6Å/秒の速さで付着させた。
[電荷発生層4]
ビスベンズイミダゾールペリレン顔料(CG−19:富士ゼロックス社製、n型有機顔料)を昇華精製した。昇華精製後のビスベンズイミダゾールペリレン顔料10gを、遊星ボールミル(メノーポット内径10mmφ、メノーボール20mmφを44個、25mmφを3個使用)を用いて27時間粉砕した。得られた微粉化ビスベンズイミダゾールペリレン顔料は、粉末X線回折図で6.2°、12.3°、27.0°に強いピークを示し、粒径は0.04μm×0.08μm−0.05μm×0.1μmであった。このビスベンズイミダゾールペリレン顔料10部、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)5部、およびシクロヘキサノン100部を混合し、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にシクロヘキサノン300部を添加し、攪拌して電荷発生層用塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、100℃で5分間乾燥して、膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
[電荷発生層5]
昇華精製したビスベンズイミダゾールペリレン顔料(CG−19:富士ゼロックス社製、n型有機顔料)を、0.1μmの膜厚となるよう、バリアン モデル(Varian Model)3117真空コーターにより蒸着させて下引層上に電荷発生層を形成した。尚、上記CG−19はタンタルボート中で350℃に加熱して、上記の真空コーターを10−3Pasに減圧した。また、基層はボートから16cmのところに置き、光励起層は4Å/秒の速さで付着させた。
[電荷発生層6]
ビスアゾ顔料(CG−4:富士ゼロックス社製、n型有機顔料)10部、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)5部、およびシクロヘキサノン100部を混合し、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にシクロヘキサノン300部を添加し、攪拌して電荷発生層用塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、100℃で5分間乾燥して、膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
[電荷発生層7]
ビスアゾ顔料(CG−8:富士ゼロックス社製、n型有機顔料)10部、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)5部、およびシクロヘキサノン100部を混合し、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にシクロヘキサノン300部を添加し、攪拌して電荷発生層用塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、100℃で5分間乾燥して、膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
[電荷発生層8]
ビスアゾ顔料(CG−11:富士ゼロックス社製、n型有機顔料)10部、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)5部、およびシクロヘキサノン100部を混合し、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にシクロヘキサノン300部を添加し、攪拌して電荷発生層用塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、100℃で5分間乾燥して、膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
(電荷輸送層の作製)
[電荷輸送層1]
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)40部、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン10部、およびビスフェノールZポリカーボネート樹脂(PC(Z):粘度平均分子量:6万)55部をクロルベンゼン800部に加えて溶解し、電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を電荷発生層上に塗布し、130℃、45分の乾燥を行って膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。
[電荷輸送層2]
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)の量を25部とし、且つ下記構造式(C)の電荷輸送材料20部を用いた以外は、電荷輸送層1に記載の方法により電荷輸送層2を形成した。

(表面層の作製)
[硬化方法:熱硬化]
前記化合物(13)(チオール基含有電荷輸送材料)を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート(A−TMPT、新中村化学社製、不飽和結合を有する化合物)12部、OTazo−15(大塚化学社製、分子量354.4、重合開始剤)0.2部をシクロペンタノール30部に溶解し、突き上げコートにて電荷輸送層上に塗布した。室温(20℃)で30分風乾した後、酸素濃度200ppmの窒素下で室温(20℃)から10℃/分の速度で150℃まで昇温し、150℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚5μmの表面層を形成した。
尚、熱硬化の場合には材料の種類、比率を表1乃至表5に示す数値に変えた上で、この条件で硬化を行なった。
[硬化方法:光硬化]
前記化合物(13)(チオール基含有電荷輸送材料)を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート(A−TMPT、新中村化学社製、不飽和結合を有する化合物)12部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、重合開始剤)0.5部をシクロペンタノール30部に溶解し、突き上げコートにて電荷輸送層上に塗布した。室温(20℃)で30分風乾した後、メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:120mm、照射強度:500mW/cm、照射時間:60秒の条件で酸素濃度200ppmの窒素下で光照射を行ない、塗布膜を硬化させた。更に130℃で20分乾燥を加え、膜厚5μmの表面層を形成した。
尚、光硬化の場合には材料の種類、比率を表1に示す数値に変えた上で、この条件で硬化を行なった。
[硬化方法:電子線硬化]
前記化合物(13)(チオール基含有電荷輸送材料)を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート(A−TMPT、新中村化学社製、不飽和結合を有する化合物)12部をシクロペンタノール30部に溶解し、突き上げコートにて電荷輸送層上に塗布した。室温(20℃)で30分風乾した後、酸素濃度20ppmの窒素下で感光体を300rpmの速度で回転させながら、照射距離が30mm、電子線加速電圧が90kV、電子線ビーム電流が2mA、電子線照射時間が1.0秒の条件で電子線を照射した。照射後すぐに、酸素濃度20ppmの窒素下で150℃に加熱し、10分保持して硬化反応を完結させ、膜厚5μmの表面層を形成した。
尚、電子線硬化の場合には材料の種類、比率を表1および表2に示す数値に変えた上で、この条件で硬化を行なった。
〔感光体1乃至35の作製〕
適用する下引層、電荷発生層、および電荷輸送層を表1および表2に記載のものとし、また表面層の形成に用いる材料(チオール基含有電荷輸送材料、不飽和結合を有する化合物、添加剤、重合開始剤)の種類および比率、並びに表面層の硬化方法を表1および表2に記載のものとして、感光体1乃至35を作製した。
〔感光体36乃至57の作製〕
電荷輸送層を形成せずに、適用する下引層、および電荷発生層を表3に記載のものとし、また表面層の形成に用いる材料(チオール基含有電荷輸送材料、不飽和結合を有する化合物、添加剤、重合開始剤)の種類および比率、並びに表面層の硬化方法を表3に記載のものとして、感光体36乃至57を作製した。
尚、表面層の膜厚は18μmであった。
〔比較感光体1乃至13の作製〕
適用する下引層、電荷発生層、および電荷輸送層を表4に記載のものとし、また表面層の形成に用いる材料(不飽和結合を有する化合物、添加剤、重合開始剤)の種類および比率、並びに表面層の硬化方法を表4に記載のものとして、比較感光体1乃至13を作製した。
〔比較感光体14乃至26の作製〕
電荷輸送層を形成せずに、適用する下引層、および電荷発生層を表5に記載のものとし、また表面層の形成に用いる材料(不飽和結合を有する化合物、添加剤、重合開始剤)の種類および比率、並びに表面層の硬化方法を表5に記載のものとして、比較感光体14乃至26を作製した。
尚、上記表中において、
・A−TMPT:トリメチロールプロパントリアクリレート、新中村化学社製
・OTazo−15:大塚化学社製、分子量354.4
・イルガキュア184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製
・PTFE:ルブロンL2、ダイキン社製
<画質の評価>
上述のようにして作製した電子写真感光体を富士ゼロックス社製、ApeosPort−III C4400(オリジナルの露光装置発光波長:780nmの赤外レーザー、露光スポット:65μm×55μm、面積3600μm(ピーク値の1/eになる幅で定義))改造機に装着し、低温低湿(8℃、20%RH)および高温高湿(28℃、85%RH)において、以下の評価を連続して行なった。
[評価装置−1]
露光装置は変更せず、現像剤として平均粒子径3.8μmのトナーを用いた。
[評価装置−2]
露光装置を発光波長:780nmのLEDイメージバー、面積:30μm×50μm、1500μm(ピーク値の1/eになる幅で定義)を用い、イメージャーの解像度に合わせて駆動回路を作製した。現像剤として平均粒子径3.8μmのトナーを用いた。
[評価装置−3]
露光装置を発光波長:中心波長580nmの有機ELイメージバー、露光スポット:20μm×20μm、面積400nmを用い、イメージャーの解像度に合わせて駆動回路を作製した。現像剤として平均粒子径3.8μmのトナーを用いた。
有機ELイメージバーは、以下のようにして作製した。図7に示されるように、基板としてのガラス基板に、ITO(Indium-Tin-Oxide)を20μm幅、20μmピッチでパターニングをした陽極を形成する。次に、正孔注入層として、PEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート)をスピンコート法により10nmに塗布する。さらに、発光層して、モノクロロベンゼンにMEH−PPVを1質量%溶解し、その塗布液をスピンコート法により塗布して80nmの膜を作製した。最後に露光光源用の陽極と直交するように開口部が20μm幅のマスクを用い、陰極Ca、反射層としてのAlを順次蒸着した。これによって、基板主走査方向Xに沿って配置された複数の露光源用有機EL素子を形成した。作製した発光素子アレイのガラス基板(実施基板)側に、有機電界発光素子(発光部)とSLAの光入射面との光学距離が結像部の作動距離となるように、当該ガラス基板(実施基板)と離間して、SLA保持部材によりSLAを実装した。
これにより感光体への書き込みスポットの大きさが20μm、露光中心波長580nmの露光ヘッドを作製した。
[実施例1]
感光体−1、評価装置−1を用いて以下のプリントテストを行った。
まず低温低湿(8℃、20%RH)環境下で10000枚の画像形成テストを行い、10000枚目の画質評価(下記ゴースト、カブリ、感光体表面付着、画像流れ)を実施した。次いで、低温低湿(8℃、20%RH)環境下で24時間放置した後の最初の1枚目の画質について画質評価を行った。
その結果を表6乃至表8に示した。
この低温低湿環境下での画質評価に続いて、高温高湿(30℃、85%RH)の環境下にて10000枚の画像形成テストを行い、10000枚目の画質評価を実施した。次いで、高温高湿(30℃、85%RH)環境下で24時間放置した後の最初の1枚目の画質について画質評価を行った。
その結果を表9乃至表11に示した。
(ゴースト評価)
ゴーストは、図6(A)に示したGと画像濃度50%の灰色領域を有するパターンのチャートをプリントし、50%の灰色部分にGの文字の現れ具合を目視にて評価した。
A:図6(A)のように良好または軽微である。
B:図6(B)のようにやや目立つ。
C:図6(C)のようにはっきり確認される。
(カブリ評価)
カブリ評価は上述のゴースト評価と同じサンプルを用いて白地部のトナーの付着した度合いを目視にて観察し判断した。
A:良好。
B:うっすらとカブリあり。
C:画質上問題となるカブリあり。
(感光体表面付着評価)
感光体表面付着評価は上述のゴースト評価と同じサンプルを用いて目視にて判断した。
A:良好。
B:部分的に画像にスジの発生があり、感光体表面をイソプロパノールをしみ込ませた布で軽く拭くことで回復する。
C:画質上問題となるスジ発生があり、感光体表面をイソプロパノールをしみ込ませた布で軽く拭いても回復しない。
(画像流れ評価)
画像流れは上述のゴースト評価と同じサンプルを用いて目視にて判断した。
A:良好。
B:連続的にプリントテストしている時は問題ないが、1日(24時間)放置後に発生。
C:連続的にプリントテストしている時にも発生。
<現像電位安定性の評価>
以下の方法により、現像電位を測定し、評価を行った。
ApeosPort−III C4400の現像機を取り外し、電位計を装着して低温低湿(8℃、20%RH)プリントテスト初期の現像電位を250Vに設定した。その後、低温低湿(8℃、20%RH)、高温高湿(28℃、85%RH)でのプリントテスト終了後に、再度現像機を取り外し、電位計を装着して低温低湿(8℃、20%RH)での現像電位を測定した。
<保護層の接着性の評価>
保護層の接着性は、画像形成テスト後の感光体に2mm角で5×5個の切れ目をカッターナイフで付け、3M社製メンディングテープを貼り付け、剥離した時の残存数で評価した。
その結果を表6乃至表8に示した。
A:21個以上残存。
B:11個以上20個以下残存。
C:10個以下残存。
<磨耗量の評価>
初期の感光体膜厚と、前述した低温低湿(8℃、20%RH)環境下および高温高湿(30℃、85%RH)環境下での画像形成テストを終了した後の膜厚を渦電流測定装置(フィッシャースコープMMS)にて測定し、磨耗量を評価した。
[実施例2−59]
感光体、評価装置の組み合わせを表6乃至表8に記載のものとし、実施例1と同様に評価を行った。結果を表6乃至表11に示す。
特に評価装置−3を用いたものは、ドットサイズが小さく、非常に繊細な画質が得られた。また、干渉縞対策を施す必要がないため、感光層が薄くてもかぶりを生じにくく、安定した画像が長期に渡って得られた。
[比較例1−26]
比較感光体、評価装置の組み合わせを表12および表13に記載のものとし、実施例1と同様に評価を行った。結果を表12乃至表15に示す。
[参考例1,2]
感光体7、感光体9を用い、評価装置1と組み合わせて実施例1と同様に評価を行った。結果を表16、17に示す。尚、表16、17に示される評価項目以外に干渉縞の発生が見られた。
上記表に示すように、実施例の電子写真感光体は、長期間に渡って繰り返し使用後における画質の低下が抑えられている。
1…下引層、2…電荷発生層、3…電荷輸送層、4…導電性基体、5…保護層、6…単層型感光層、7A,7B,7C,7…電子写真感光体、8…帯電装置、9…露光装置、11…現像装置、13…クリーニング装置、14…潤滑材、30…感光体、40…転写装置、50…中間転写体、60A…発光素子、60B…発光素子アレイ、61…発光素子アレイ基板、70…レンズ、70A…入射面、70B…出射面、100…画像形成装置、120…画像形成装置、300…プロセスカートリッジ

Claims (12)

  1. 導電性基体と、該導電性基体上に、下記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の少なくとも1種、および不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種、が重合されてなる重合体を含有する感光層と、を有する電子写真感光体。
    F−[(G)a1−(X)a2−Y−SH] 一般式(I)
    (式(I)中、Fは電荷輸送性化合物から誘導される有機基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Xは−CO−O−、−O−CO−および−O−から選ばれる基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を、a1およびa2は1を、bは1以上6以下の整数を表す。)
  2. 前記一般式(I)における前記Fが、正孔輸送能を有する有機基である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料が、下記一般式(II)で示されるチオール基含有電荷輸送材料である請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体。


    (式(II)中、Dは−(G)a1−(X)a2−Y−SHで表される結合基を、Ar乃至Arはそれぞれ独立に置換または未置換のアリール基を、Arは置換若しくは未置換のアリール基または置換若しくは未置換のアリーレン基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Xは−CO−O−、−O−CO−および−O−から選ばれる基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を、a1およびa2は1を表す。Ar乃至Arのうちの1個以上4個以下は−(G)a1−(X)a2−Y−SHで表される結合基と結合し得る結合手を有し、c1乃至c5はそれぞれ独立に0以上2以下の整数を、kは0または1を表す。)
  4. 前記不飽和結合を有する化合物が電荷輸送性骨格を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーである請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記不飽和結合を有する化合物が同一分子内に2つ以上の不飽和結合を有し、且つ電荷輸送性骨格を有さないモノマー、オリゴマーまたはポリマーである請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記感光層が、潤滑性粒子を含有する請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 導電性基体上に、下記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の少なくとも1種と、不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種と、が重合されてなる重合体を含有する感光層を有する電子写真感光体、
    該電子写真感光体の表面を帯電させる帯電装置、
    帯電された前記電子写真感光体の表面を露光して該表面に静電潜像を形成する露光装置、
    前記静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成する現像装置、
    および、前記トナー像を被転写媒体に転写する転写装置、
    を備える画像形成装置。
    F−[(G)a1−(X)a2−Y−SH] 一般式(I)
    (式(I)中、Fは電荷輸送性化合物から誘導される有機基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Xは−CO−O−、−O−CO−および−O−から選ばれる基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を、a1およびa2は1を、bは1以上6以下の整数を表す。)
  8. 前記電子写真感光体における感光層の総膜厚が20μm以下であり、且つ前記露光装置が非干渉性の露光光源を有する請求項7に記載の画像形成装置。
  9. 前記非干渉性の露光光源によって露光される前記電子写真感光体表面の露光スポットの面積が1000μm以下であり、且つ前記非干渉性の露光光源の発光の中心波長が450nm以上780nm以下である請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 前記電子写真感光体が、電荷発生材料としてn型の有機顔料を含有する請求項7〜請求項9の何れか1項に記載の画像形成装置。
  11. 前記n型の有機顔料が、縮合多環芳香族化合物、ペリレン化合物、およびアゾ化合物から選ばれる少なくとも1種の有機顔料である請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 導電性基体上に、下記一般式(I)で示されるチオール基含有電荷輸送材料の少なくとも1種と、不飽和結合を有する化合物の少なくとも1種と、が重合されてなる重合体を含有する感光層を有する電子写真感光体を備え、
    且つ画像形成装置に着脱し得るプロセスカートリッジ。
    F−[(G)a1−(X)a2−Y−SH] 一般式(I)
    (式(I)中、Fは電荷輸送性化合物から誘導される有機基を、Gは炭素数1以上5以下の2価の有機基を、Xは−CO−O−、−O−CO−および−O−から選ばれる基を、Yは炭素数1以上5以下の−SHを置換基として含んでもよい2価の有機基を、a1およびa2は1を、bは1以上6以下の整数を表す。)
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