JP2018017929A - 電子写真感光体用導電性支持体、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体用導電性支持体、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】画像形成を繰り返した場合に発生する画像欠陥を抑制する電子写真感光体用導電性支持体を提供する。【解決手段】金属の円筒部材からなり、感光層が配置された状態においても露出する領域の少なくとも一部において外周面の表面残留応力が−10MPa以下である、電子写真感光体用導電性支持体。【選択図】図5

Description

本発明は、電子写真感光体用導電性支持体、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置法に関する。
電子写真方式の画像形成装置が備える電子写真感光体としては、導電性支持体上に少なくとも感光層を配置した電子写真感光体が知られており、導電性支持体としては、例えば下記が知られている。
特許文献1には、アルミニウムを含み、X線回折における結晶吸収の半値幅が5mm以上30mm以下である電子写真感光体用導電性支持体が開示されている。
特許文献2には、アルミニウムを含んで構成され、ヤング率が32000MPa以上55000MPa以下である電子写真感光体用導電性支持体が開示されている。
特開2016−4124号公報 特開2014−38136号公報
本発明は、感光層が配置された状態においても露出する領域全体の表面残留応力が−10MPa超である場合に比べ、画像形成を繰り返した場合に発生する画像欠陥を抑制する電子写真感光体用導電性支持体を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。
請求項1に係る発明は、
金属の円筒部材からなり、感光層が配置された状態においても露出する領域の少なくとも一部において外周面の表面残留応力が−10MPa以下である、電子写真感光体用導電性支持体。
請求項2に係る発明は、
感光層が配置された状態においても露出する領域の少なくとも一部において周方向全体にわたって外周面の表面残留応力が−10MPa以下である、請求項1に記載の電子写真感光体用導電性支持体。
請求項3に係る発明は、
アルミニウムを含む金属からなる、請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体用導電性支持体。
請求項4に係る発明は、
金属の円筒部材からなる導電性支持体と、前記導電性支持体上に配置された感光層とを有し、
前記導電性支持体の露出部の少なくとも一部において外周面の表面残留応力が−10MPa以下である、電子写真感光体。
請求項5に係る発明は、
前記導電性支持体の露出部の少なくとも一部において周方向全体にわたって外周面の表面残留応力が−10MPa以下である、請求項4に記載の電子写真感光体。
請求項6に係る発明は、
前記導電性支持体がアルミニウムを含む金属からなる、請求項4又は請求項5に記載の電子写真感光体。
請求項7に係る発明は、
請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
請求項8に係る発明は、
請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体が有する導電性支持体の外周面の表面残留応力が−10MPa以下である領域に直接接触する接触部材と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
請求項1、2及び3に係る発明によれば、感光層が配置された状態においても露出する領域全体の外周面の表面残留応力が−10MPa超である場合に比べ、画像形成を繰り返した場合に発生する画像欠陥を抑制する電子写真感光体用導電性支持体が提供される。
請求項4、5及び6に係る発明によれば、導電性支持体の露出部全体の外周面の表面残留応力が−10MPa超である場合に比べ、画像形成を繰り返した場合に発生する画像欠陥を抑制する電子写真感光体が提供される。
請求項7及び8に係る発明によれば、電子写真感光体が有する導電性支持体の露出部全体の外周面の表面残留応力が−10MPa超である場合に比べ、画像形成を繰り返した場合に発生する画像欠陥を抑制するプロセスカートリッジ及び画像形成装置が提供される。
電子写真感光体が有する導電性支持体の外周面に接触部材が接触した状態の一例を示す概略構成図である。 導電性支持体を成形するインパクトプレス加工の一例を示す概略図である。 導電性支持体を成形するしごき加工の一例を示す概略図である。 導電性支持体に施すショットピーニング加工の一例を示す概略図である。 本実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を示す概略部分断面図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
以下に、発明の実施形態を説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
本開示において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において、「電子写真感光体用導電性支持体」を単に「導電性支持体」ともいい、「電子写真感光体」を単に「感光体」ともいう。
本開示において、「円筒部材」には、中空部材と非中空部材とが含まれる。
<電子写真感光体用導電性支持体>
本実施形態に係る導電性支持体は、金属の円筒部材からなり、感光層が配置された状態においても露出する領域の少なくとも一部において外周面の表面残留応力が−10MPa以下である。
本実施形態に係る導電性支持体について「導電性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm未満を意味する。
本実施形態に係る導電性支持体において、「感光層が配置された状態においても露出する領域」は、例えば、長手方向の両端部それぞれに存在し、各領域の長さは、導電性支持体の全長の例えば10%以上30%以下である。
本実施形態において「表面残留応力」とは、X線回折装置を用いてsinψ法により測定される残留応力である。
本実施形態に係る導電性支持体は、画像形成を繰り返した場合に発生する画像欠陥を抑制する。その理由は、以下のように推測される。
感光体が画像形成装置又はプロセスカートリッジに搭載された際、感光体が有する導電性支持体の外周面に、各種の部材が直接接触する場合がある(以下「接触部材」という。)。接触部材は、例えば、感光体と現像装置との距離を定められた範囲に保つための部材、感光体の姿勢を維持するための部材などである。図1は、導電性支持体の外周面に接触部材が直接接触した状態の一例である。図1に示す例においては、感光体7は、支持部材80を介して駆動装置(不図示)に接続されており、接触部材70は、導電性支持体4の感光層5が配置されていない外周面に接触し、感光体7と例えば現像装置(不図示)との距離を定められた範囲に保っている。接触部材70は、例えば、回転自在に構成されたリング部材であり、リング外周面が導電性支持体4の外周面に直接接触しており、感光体7の回転に伴って導電性支持体4と連れ回る。このような構成の画像形成装置で画像形成を繰り返すと、接触部材70と擦れ合う導電性支持体4の外周面に亀裂が発生し、亀裂を起点にして導電性支持体4が摩耗することがあり、その結果、感光体7と現像装置との距離が変化して画像欠陥(例えば、濃度ムラ、階調不良、細線再現性不良など)が発生することがある。
これに対して、本実施形態に係る導電性支持体は、感光層が配置された状態においても露出する領域の少なくとも一部において外周面の表面残留応力が−10MPa以下である。表面残留応力が−10MPa以下である金属表面は、表面残留応力が−10MPa超である金属表面に比べ、強度が高く、接触物と摩擦を続けても亀裂及び摩耗が発生しにくい。したがって、本実施形態に係る導電性支持体は、感光体の一部として画像形成装置に搭載され画像形成を繰り返した際において、例えば感光体と現像装置との距離が変化することで発生する画像欠陥を抑制すると考えられる。
本実施形態に係る導電性支持体は、感光層が配置された状態においても露出する領域の少なくとも一部において外周面の表面残留応力が−10MPa以下であればよい。本実施形態に係る導電性支持体は、感光層が配置された状態においても露出する領域の少なくとも一部において、周方向全体にわたって外周面の表面残留応力が−10MPa以下である形態が好ましい。
本実施形態に係る導電性支持体には、感光層が配置された状態においても露出する領域全体において外周面の表面残留応力が−10MPa以下である形態、外周面全面において表面残留応力が−10MPa以下である形態なども包含される。
本実施形態に係る導電性支持体は、感光層が配置された状態においても露出する領域の少なくとも一部において、外周面の表面残留応力が−10MPa以下であり、好ましくは−15MPa以下であり、より好ましくは−20MPa以下であり、更に好ましくは−30MPa以下である。表面残留応力が負の値であることは、表面残留応力が圧縮残留応力であることを意味し、金属表面に亀裂が発生しにくくなることを意味する。この観点からは、表面残留応力は負に大きいほど好ましいと考えられる。
一方で、本実施形態に係る導電性支持体の外周面の表面残留応力は、表面残留応力を制御する目的で行う表面改質加工による変形や表面粗さの増加を抑制する観点からは、−70MPa以上であることが好ましく、−50MPa以上であることがより好ましい。
導電性支持体を構成する金属としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅等の純金属;ステンレス鋼、アルミニウム合金等の合金;が挙げられる。導電性支持体を構成する金属としては、軽いこと及び加工性に優れる観点から、アルミニウムを含む金属が好ましく、純アルミニウム又はアルミニウム合金がより好ましい。アルミニウム合金としては、アルミニウムが主成分である合金であれば特に制限されず、アルミニウムのほかに、例えば、Si、Fe、Cu、Mn、Mg、Cr、Zn、Ti等を含むアルミニウム合金が挙げられる。ここで「主成分」とは、合金に含まれる元素の中で最も含有割合(質量基準)が高い元素をいう。導電性支持体を構成する金属としては、加工性の観点から、アルミニウム含有率(質量割合)が90.0%以上の金属が好ましく、アルミニウム含有率は95.0%以上がより好ましく、99.0%以上が更に好ましい。
導電性支持体は、円筒部材であり、中空部材であっても非中空部材であってもよい。感光体の軽量化の観点からは、導電性支持体は中空部材であることが好ましい。導電性支持体が中空部材である場合、厚さ(肉厚)は、例えば0.2mm以上0.9mm以下であり、感光体の軽量化の観点からは0.8mm未満が好ましく、0.6mm以下がより好ましく、導電性支持体の強度を確保する観点からは、0.3mm以上が好ましく、0.4mm以上がより好ましい。
本実施形態に係る導電性支持体は、例えば、抽伸加工、絞り加工、インパクトプレス加工、しごき加工、切削加工などの公知の成形加工によって金属製の円筒部材を作製し、感光層が配置された状態においても露出する領域の少なくとも一部に、焼入れ、窒化処理、バニシング加工、バレル研磨加工、ショットピーニング加工などを施して表面改質することによって製造される。導電性支持体の薄肉化の観点、表面残留応力の制御のしやすさの観点から、インパクトプレス加工としごき加工とによって成形した円筒管にショットピーニング加工を施す製造方法が好ましい。
インパクトプレス加工は、金属塊を円形の雌型に配置し、円柱状の雄型で叩いて雄型に沿った中空円筒体に成形する加工法である。インパクトプレス加工によって中空円筒体を成形した後、1回又は複数回のしごき加工によって、内径、外径、円筒度及び真円度を調整して円筒管を得る。ショットピーニング加工は、粒子(「投射材」「メディア」等と呼ばれる。)を圧縮空気で噴射して金属表面に衝突させ、金属表面を改質する加工法である。必要に応じて、円筒管の両端を切り落とし、さらに端面処理を施してもよい。
以下に、インパクトプレス加工、しごき加工、ショットピーニング加工の実施形態例を説明する。
−インパクトプレス加工−
図2は、金属塊にインパクトプレス加工を施して中空円筒体を成形する工程の一例を示している。図2(A)に示すように、ダイ(雌型)20に設けられている円形孔24に、潤滑剤を塗布した円盤状の金属塊30を置く。次いで、図2(B)に示すように、金属塊30を円柱状のパンチ(雄型)21でプレスして中空円筒体4Aに成形する。次いで、図2(C)に示すように、ストリッパー22の中央孔23を通してパンチ21を引き上げることにより、パンチ21を中空円筒体4Aから引き抜く。インパクトプレス加工においては、パンチ21でプレスされた金属塊30がパンチ21の周囲を覆うように円筒状に伸びて中空円筒体4Aを形成するので、金属塊30の表面(特に、円形孔24に置いた際の底面)が中空円筒体4Aの外周面となる。
金属塊30の素材、形状、大きさ等は、製造する導電性支持体の素材、形状、大きさ等に応じて選択すればよい。金属塊30は、加工性に優れる観点から、純アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。金属塊30のアルミニウム含有率(質量割合)は、加工性の観点から、90.0%以上が好ましく、95.0%以上がより好ましく、99.0%以上が更に好ましい。
中空円筒体4Aの厚さは、製造する導電性支持体の内径、外径及び肉厚と、後に施すしごき加工の回数などに応じて選択する。
中空円筒体4Aには、しごき加工を施す前に、焼き鈍しを施してもよい。
−しごき加工−
図3は、中空円筒体にしごき加工を施す工程の一例を示している。図3は、図3(A)に示す絞り加工を施した後、図3(B)に示すしごき加工を行う例を示している。
図3(A)に示すように、円柱状のパンチ31を中空円筒体4Aの内部に挿入し、中空円筒体4Aごとパンチ31を、中空円筒体4Aよりも径の小さいダイス32に押し込むことによって、中空円筒体4Aの径を小さくする。次いで、図3(B)に示すように、ダイス32よりも径の小さいダイス33に、中空円筒体4Aごとパンチ31を押し込んで、中空円筒体4Aよりも肉厚の薄い中空円筒体4Bを得る。なお、絞り加工を経ずにしごき加工を施してもよいし、しごき加工を複数段階に分けて行ってもよい。
しごき加工1回当たりのしごき率{(しごき加工前の肉厚−しごき加工後の肉厚)÷しごき加工前の肉厚×100}は、5%以上40%以下が好ましく、10%以上30%以下がより好ましく、15%以上25%以下が更に好ましい。
−ショットピーニング加工−
図4は、導電性支持体にショットピーニング加工を施す工程の一例を示している。図4に示すように、タンク42に貯蔵されている投射材(不図示)が供給管44を経て混合部45に供給され、混合部45において、投射材と、コンプレッサー41から供給管43を経て供給される圧縮空気とが混合される。次いで、投射材が圧縮空気によってノズル46を経て噴射され、駆動装置(不図示)によって回転する導電性支持体4に衝突する。導電性支持体4は、投射材が衝突した金属表面が改質する。
投射材は特に限定されず、例えば、ステンレス、鉄、亜鉛等の金属粒子;ジルコニア、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素等のセラミックス粒子;ポリアミド、ポリカーボネート等の樹脂粒子;ガラス粒子;が挙げられる。
金属の表面残留応力は、ショットピーニング加工の投射圧力が高いほど、投射時間が長いほど、低くなる傾向がある。投射時間は、投射圧力に応じて調節することが好ましく、投射圧力が相対的に低い場合は投射時間を相対的に長くして表面残留応力を−10MPa以下に制御する。
ショットピーニング加工に用いる投射材の粒径及び投射圧力は、導電性支持体の外周面の表面残留応力を−10MPa以下に制御する観点から、下記の範囲であることが好ましい。ここでの投射圧力とは、装置が投射材を押し出す圧力を意味する。
・投射材の粒径:好ましくは30μm以上300μm以下、より好ましくは60μm以上250μm以下である。
・投射材の投射圧力:好ましくは0.1MPa以上0.5MPa以下、より好ましくは0.15MPa以上0.4MPa以下である。
本実施形態に係る導電性支持体の製造方法の一例は、下記の製造方法である。下記の製造方法において、好ましい条件は上述した通りである。
雌型に配置された金属塊を円柱状の雄型で加圧し、前記金属塊を前記雄型の外周面に塑性変形させて中空円筒体に成形するインパクトプレス工程と、
前記中空円筒体を、前記中空円筒体の外径よりも小さい内径を有する円環状の押付型の内部に通過させ、前記中空円筒体の肉厚を薄くするしごき工程と、
しごき工程を経た前記中空円筒体の外周面の少なくとも一部に投射材を衝突させ、前記投射材が衝突した領域の表面残留応力を−10MPa以下にするショットピーニング工程と、を有する製造方法。
導電性支持体の表面には、ショットピーニング加工後に、陽極酸化、酸洗、ベーマイト処理などの処理を施してもよい。
次に、本実施形態に係る電子写真感光体について説明する。
<電子写真感光体>
本実施形態に係る感光体は、本実施形態の導電性支持体と、該導電性支持体上に配置された感光層とを有する。
即ち、本実施形態に係る感光体は、金属の円筒部材からなる導電性支持体と、該導電性支持体上に配置された感光層とを有し、導電性支持体の露出部の少なくとも一部において外周面の表面残留応力が−10MPa以下である。導電性支持体の「露出部」とは、感光層及びその他の層が配置されていない部位を意味する。
図5は、本実施形態に係る感光体の一例を示す概略構成図である。図5に示す感光体7は、金属製の円筒部材である導電性支持体4と、導電性支持体4上に配置された感光層5とを備えている。導電性支持体4は、中空の円筒部材でもよく、非中空の円筒部材でもよい。感光層5の下には、下引層が設けられていてもよく、感光層5の上には、保護層が設けられていてもよい。
図5に示す感光体7において、導電性支持体4の長手方向両端部には、感光層5及びその他の層が配置されておらず、導電性支持体4の外周面が露出している領域Aが存在する。領域Aの少なくとも一部は、外周面の表面残留応力が−10MPa以下である領域Bである。感光体7が画像形成装置又はプロセスカートリッジに搭載された際、感光体7は、領域B内において、画像形成装置が備える接触部材と接触する。
図5に示す感光体7においては、領域Bは、領域Aの少なくとも一部において周方向全体にわたる領域である。領域Bは、図5に示す例に限定されず、周方向に間欠的に設けられていたり、領域A全体であったりしてもよい。
図6は、感光体7の層構成の一例を示す概略部分断面図である。図6に示す感光体7Aは、導電性支持体4上に、下引層1と電荷発生層2と電荷輸送層3とが、この順序で積層された構造を有する。電荷発生層2及び電荷輸送層3が感光層5を構成している。
感光体7は、図6に示すように電荷発生層2と電荷輸送層3とが分離した機能分離型であってもよいし、電荷発生層2と電荷輸送層3とが一体化した単層型感光層であってもよい。感光体7は、下引層1が設けられていない層構成であってもよい。感光体7は、感光層5上に、さらに保護層が設けられた層構成であってもよい。
以下、感光体の各層について詳細に説明する。符号は省略して説明する。
[下引層]
下引層は、例えば、無機粒子と結着樹脂とを含む層である。
無機粒子としては、例えば、粉体抵抗(体積抵抗率)10Ωcm以上1011Ωcm以下の無機粒子が挙げられる。無機粒子の中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子のBET法による比表面積は、例えば、10m/g以上がよい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
無機粒子の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上80質量%以下である。
無機粒子は、表面処理が施されていてもよい。無機粒子は、表面処理の異なるもの、又は、粒子径の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性剤等が挙げられる。特に、シランカップリング剤が好ましく、アミノ基を有するシランカップリング剤がより好ましい。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シランカップリング剤は、2種以上混合して使用してもよい。例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤と他のシランカップリング剤とを併用してもよい。この他のシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面処理剤による表面処理方法は、公知の方法であればいかなる方法でもよく、乾式法又は湿式法のいずれでもよい。
表面処理剤の処理量は、例えば、無機粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が好ましい。
ここで、下引層は、無機粒子と共に電子受容性化合物(アクセプター化合物)を含有することが、電気特性の長期安定性、キャリアブロック性が高まる観点からよい。
電子受容性化合物としては、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物;2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;キサントン系化合物;チオフェン化合物;3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物;等の電子輸送性物質等が挙げられる。電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
電子受容性化合物は、下引層中に無機粒子と共に分散して含まれていてもよいし、無機粒子の表面に付着した状態で含まれていてもよい。
電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着させる方法としては、例えば、乾式法又は湿式法が挙げられる。
乾式法は、例えば、無機粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接又は有機溶媒に溶解させた電子受容性化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させて、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。電子受容性化合物の滴下又は噴霧するときは、溶剤の沸点以下の温度で行うことがよい。電子受容性化合物を滴下又は噴霧した後、さらに100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に制限されない。
湿式法は、例えば、攪拌、超音波、サンドミル、アトライター、ボールミル等により、無機粒子を溶剤中に分散しつつ、電子受容性化合物を添加し、攪拌又は分散した後、溶剤を除去して、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。溶剤の除去方法は、例えば、ろ過又は蒸留により留去される。溶剤の除去後には、さらに100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に限定されない。湿式法においては、電子受容性化合物を添加する前に無機粒子の含有水分を除去してもよく、その例として、溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法が挙げられる。
電子受容性化合物の付着は、表面処理剤による表面処理を無機粒子に施す前又は後に行ってよく、電子受容性化合物の付着と表面処理剤による表面処理と同時に行ってもよい。
電子受容性化合物の含有量は、例えば、無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下がよく、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下である。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の公知の高分子化合物;ジルコニウムキレート化合物;チタニウムキレート化合物;アルミニウムキレート化合物;チタニウムアルコキシド化合物;有機チタニウム化合物;シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これらの中でも、下引層に用いる結着樹脂としては、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好適であり、特に、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と硬化剤との反応により得られる樹脂が好適である。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
下引層には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤としてさらに下引層に添加してもよい。
添加剤としてのシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ジルコニウムキレート化合物としては、例えば、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの添加剤は、単独で、又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
下引層は、ビッカース硬度が35以上であることがよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
下引層の形成は、特に制限はなく、公知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた下引層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。
下引層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、公知の有機溶剤、例えば、アルコール系溶剤、芳香族炭化水素溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、ケトン系溶剤、ケトンアルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
下引層形成用塗布液を調製するときの無機粒子の分散方法としては、例えば、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の公知の方法が挙げられる。
下引層形成用塗布液を導電性支持体上に塗布する方法としては、例えば、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
下引層の膜厚は、例えば、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上50μm以下の範囲内に設定される。
[中間層]
図示は省略するが、下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
これらの中でも、中間層は、ジルコニウム原子又はケイ素原子を含有する有機金属化合物を含む層であることが好ましい。
中間層の形成は、特に制限はなく、公知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた中間層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
中間層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上3μm以下の範囲に設定される。中間層を下引層として使用してもよい。
[電荷発生層]
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂とを含む層である。電荷発生層は、電荷発生材料の蒸着層であってもよい。電荷発生材料の蒸着層は、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro−Luminescence)イメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合に好適である。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
これらの中でも、近赤外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、金属フタロシアニン顔料、又は無金属フタロシアニン顔料を用いることが好ましい。具体的には、例えば、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン;特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン;特開平5−140472号公報、特開平5−140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン;特開平4−189873号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより好ましい。
一方、近紫外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;チオインジゴ系顔料;ポルフィラジン化合物;酸化亜鉛;三方晶系セレン;特開2004−78147号公報、特開2005−181992号公報に開示されたビスアゾ顔料等が好ましい。
450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED、有機ELイメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合にも、上記電荷発生材料を用いてもよいが、解像度の観点から、感光層を20μm以下の薄膜で用いるときには、感光層中の電界強度が高くなり、導電性支持体からの電荷注入による帯電低下、いわゆる黒点と呼ばれる画像欠陥を生じやすくなる。これは、三方晶系セレン、フタロシアニン顔料等のp−型半導体で暗電流を生じやすい電荷発生材料を用いたときに顕著となる。
これに対し、電荷発生材料として、縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料等のn−型半導体を用いた場合、暗電流を生じ難く、薄膜にしても黒点と呼ばれる画像欠陥を抑制し得る。n−型の電荷発生材料としては、例えば、特開2012−155282号公報の段落[0288]〜[0291]に記載された化合物(CG−1)〜(CG−27)が挙げられるがこれに限られるものではない。
n−型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn−型とする。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択してもよく、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。
結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。ここで「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが好ましい。
電荷発生層には、その他、公知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷発生層の形成は、特に制限はなく、公知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷発生層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。電荷発生層の形成は、電荷発生材料の蒸着により行ってもよい。電荷発生層の蒸着による形成は、特に、電荷発生材料として縮環芳香族顔料、ペリレン顔料を利用する場合に好適である。
電荷発生層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等が挙げられる。これら溶剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いる。
電荷発生層形成用塗布液中に粒子(例えば電荷発生材料)を分散させる方法としては、例えば、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式等が挙げられる。この分散の際、電荷発生層形成用塗布液中の電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
電荷発生層形成用塗布液を下引層上(又は中間層上)に塗布する方法としては、例えばブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上5.0μm以下、より好ましくは0.2μm以上2.0μm以下の範囲内に設定される。
[電荷輸送層]
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送材料と結着樹脂とを含む層である。電荷輸送層は、高分子電荷輸送材料を含む層であってもよい。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物;キサントン系化合物;ベンゾフェノン系化合物;シアノビニル系化合物;エチレン系化合物等の電子輸送性化合物が挙げられる。電荷輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物も挙げられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
電荷輸送材料としては、電荷移動度の観点から、下記構造式(a−1)で表されるトリアリールアミン誘導体、及び下記構造式(a−2)で表されるベンジジン誘導体が好ましい。
構造式(a−1)中、ArT1、ArT2及びArT3は各々独立に、置換若しくは無置換のアリール基、−C−C(RT4)=C(RT5)(RT6)、又は−C−CH=CH−CH=C(RT7)(RT8)を表す。RT4、RT5、RT6、RT7及びRT8は各々独立に、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基が挙げられる。
構造式(a−2)中、RT91及びRT92は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、又は炭素数1以上5以下のアルコキシ基を表す。RT101、RT102、RT111及びRT112は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは無置換のアリール基、−C(RT12)=C(RT13)(RT14)、又は−CH=CH−CH=C(RT15)(RT16)を表し、RT12、RT13、RT14、RT15及びRT16は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。Tm1、Tm2、Tn1及びTn2は各々独立に0以上2以下の整数を表す。上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基が挙げられる。
構造式(a−1)で表されるトリアリールアミン誘導体、及び構造式(a−2)で表されるベンジジン誘導体のうち、特に、「−C−CH=CH−CH=C(RT7)(RT8)」を有するトリアリールアミン誘導体、及び「−CH=CH−CH=C(RT15)(RT16)」を有するベンジジン誘導体が、電荷移動度の観点から好ましい。
高分子電荷輸送材料としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものが用いられる。特に、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報等に開示されているポリエステル系の高分子電荷輸送材が好ましい。高分子電荷輸送材料は、単独で使用してよいが、結着樹脂と併用してもよい。
電荷輸送層に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの中でも、結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好適である。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上で用いる。
電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1から1:5までが好ましい。
電荷輸送層には、その他、公知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷輸送層の形成は、特に制限はなく、公知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
電荷輸送層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状又は直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷輸送層の膜厚は、例えば、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下の範囲内に設定される。
[保護層]
保護層は、必要に応じて感光層上に設けられる。保護層は、例えば、帯電時の感光層の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度をさらに改善する目的で設けられる。
そのため、保護層は、硬化膜(架橋膜)で構成された層を適用することがよい。これら層としては、例えば、下記1)又は2)に示す層が挙げられる。
1)反応性基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に有する反応性基含有電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり当該反応性基含有電荷輸送材料の重合体又は架橋体を含む層)
2)非反応性の電荷輸送材料と、電荷輸送性骨格を有さず、反応性基を有する反応性基含有非電荷輸送材料と、を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり、非反応性の電荷輸送材料と、当該反応性基含有非電荷輸送材料の重合体又は架橋体と、を含む層)
反応性基含有電荷輸送材料の反応性基としては、連鎖重合性基、エポキシ基、−OH、−OR[但し、Rはアルキル基を表す。]、−NH、−SH、−COOH、−SiRQ1 3−Qn(ORQ2Qn[但し、RQ1は水素原子、アルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表し、RQ2は水素原子、アルキル基、トリアルキルシリル基を表す。Qnは1〜3の整数を表す。]等の公知の反応性基が挙げられる。
連鎖重合性基としては、ラジカル重合しうる官能基であれば特に限定されるものではなく、例えば、少なくとも炭素二重結合を含有する基を有する官能基である。具体的には、ビニル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、スチリル基(フェニルビニル基)、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくとも一つを含有する基等が挙げられる。なかでも、その反応性に優れることから、連鎖重合性基としては、ビニル基、スチリル基(フェニルビニル基)、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくとも一つを含有する基が好ましい。
反応性基含有電荷輸送材料の電荷輸送性骨格としては、感光体の技術分野における公知の構造であれば特に限定されるものではなく、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の含窒素の正孔輸送性化合物に由来する骨格であって、窒素原子と共役している構造が挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン骨格が好ましい。
これら反応性基及び電荷輸送性骨格を有する反応性基含有電荷輸送材料、非反応性の電荷輸送材料、反応性基含有非電荷輸送材料は、公知の材料から選択すればよい。
保護層には、その他、公知の添加剤が含まれていてもよい。
保護層の形成は、特に制限はなく、公知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた保護層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱等の硬化処理することで行う。
保護層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ系溶剤;イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。保護層形成用塗布液は、無溶剤の塗布液であってもよい。
保護層形成用塗布液を感光層(例えば電荷輸送層)上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
保護層の膜厚は、例えば、好ましくは1μm以上20μm以下、より好ましくは2μm以上10μm以下の範囲内に設定される。
[単層型感光層]
単層型感光層(電荷発生/電荷輸送層)は、例えば、電荷発生材料と電荷輸送材料と、必要に応じて、結着樹脂、及びその他公知の添加剤と、を含む層である。これら材料は、電荷発生層及び電荷輸送層で説明した材料と同様である。
単層型感光層中、電荷発生材料の含有量は、全固形分に対して10質量%以上85質量%以下がよく、好ましくは20質量%以上50質量%以下である。単層型感光層中、電荷輸送材料の含有量は、全固形分に対して5質量%以上50質量%以下がよい。
単層型感光層の形成方法は、電荷発生層や電荷輸送層の形成方法と同様である。
単層型感光層の膜厚は、例えば、5μm以上50μm以下がよく、好ましくは10μm以上40μm以下である。
<画像形成装置、プロセスカートリッジ>
本実施形態に係る画像形成装置は、感光体と、感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、感光体として、本実施形態に係る感光体が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段を備える装置;感光体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー像の転写後、帯電前の感光体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー像の転写後、帯電前に感光体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;感光体の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための感光体加熱部材を備える装置等の公知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、乾式現像方式の画像形成装置、湿式現像方式(液体現像剤を利用した現像方式)の画像形成装置のいずれであってもよい。
本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、感光体を備える部分が、画像形成装置に対して着脱されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る感光体を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。プロセスカートリッジは、感光体以外に、例えば、帯電手段、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段からなる群から選択される少なくとも一つを備えてもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。以下、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図7は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図7に示すように、感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば紙)に転写する二次転写装置も有している。中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
図7に示すプロセスカートリッジ300は、ハウジング内に、感光体7、帯電装置8(帯電手段の一例)、現像装置11(現像手段の一例)、及びクリーニング装置13(クリーニング手段の一例)を一体に支持している。クリーニング装置13は、クリーニングブレード(クリーニング部材の一例)131を有しており、クリーニングブレード131は、感光体7の表面に接触するように配置されている。クリーニング部材は、クリーニングブレード131の態様ではなく、導電性又は絶縁性の繊維状部材であってもよく、これを単独で、又はクリーニングブレード131と併用してもよい。
図7には、画像形成装置として、潤滑材14を感光体7の表面に供給する繊維状部材132(ロール状)、及び、クリーニングを補助する繊維状部材133(平ブラシ状)を備えた例を示してあるが、これらは必要に応じて配置される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の各構成について説明する。
[帯電装置]
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
[露光装置]
露光装置9としては、例えば、感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
[現像装置]
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
現像装置11に使用される現像剤は、トナー単独の一成分系現像剤であってもよいし、トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤であってもよい。また、現像剤は、磁性であってもよいし、非磁性であってもよい。これら現像剤は、公知のものが適用される。
[クリーニング装置]
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
[転写装置]
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
[中間転写体]
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
図8は、本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図8に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの感光体が使用される構成となっている。画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
以下、実施例により発明の実施形態を詳細に説明するが、発明の実施形態は、これら実施例に限定されない。
<実施例1>
[導電性支持体の作製]
厚さ15mmの金属板(アルミニウム純度99.5%以上、JIS呼称A1050合金)を打ち抜き加工して、直径34mm、厚さ15mmの金属塊を用意した。金属塊の表面に潤滑剤を付与し、インパクトプレス加工によって外径34mm、肉厚0.5mmの円筒管に成形した。次いで、1回のしごき加工を行い、両端を切り落とし、端面処理を施して、外径30mm、長さ253mm、肉厚0.4mmの円筒管に成形した。
次いで、両端からそれぞれ5mmから15mmの間の領域(幅10mmの領域)の周方向全体にわたって、粒径60μmのジルコニアビーズを投射するショットピーニング加工を施し、導電性支持体を得た。ショットピーニング加工は、円筒管を回転させながら、表1に記載の条件で行った。表1に記載の「投射圧力」とは、投射材を押し出す圧力であり、「投射時間」とは、投射材を噴出している時間である。
[残留応力の測定]
ショットピーニング加工を施した領域の残留応力を、X線回折装置(商品名:SmartLab、リガク社製)を用いて、sinψ法により測定した。測定条件は、X線源:CuKα、管電圧:40kV、管電流:30mA、走査軸:θ/2θ、反射法、ψ角度:0、−16.71、−23.99、−29.86、−35.09、−40.0(sinψ等間隔6点)、走査範囲:132〜142deg、走査モード:連続、ステップ幅:0.01deg/step、走査速度:10.0deg/minとした。
測定箇所は、ジルコニアビーズが投射された幅10mmの中央を、導電性支持体の周方向に30°刻みで12点とした。12点の測定値から平均値を算出し、表面残留応力(MPa)とした。
[下引層の形成]
下記の材料を混合して攪拌を行い、2時間還流を行った。その後、トルエンを減圧留去し、135℃で2時間焼き付けを行い、シランカップリング剤によって表面改質された酸化亜鉛を得た。
・酸化亜鉛(商品名:MZ300、テイカ社製) 100質量部
・シランカップリング剤:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランの10質量%トルエン溶液 10質量部
・トルエン 200質量部
下記の材料Aを混合して30分間攪拌し、下記の材料Bを添加し、サンドミルにて3時間の分散を行い、下引層形成用塗布液を得た。下引層形成用塗布液を浸漬塗布法にて、導電性支持体の、ショットピーニング加工を施した領域よりも内側の外周面に塗布し、180℃で30分間の乾燥硬化を行い、膜厚30μmの下引層を形成した。
−材料A−
・表面改質した酸化亜鉛 33質量部
・ブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製) 6質量部
・下記構造式(AK−1)で表される化合物 1質量部
・メチルエチルケトン 25質量部
−材料B−
・ブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−1、積水化学工業社製) 5質量部
・シリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製) 3質量部
・レベリング剤:シリコーンオイル(商品名:SH29PA、東レ・ダウコーニング社製) 0.01質量部
[電荷発生層の形成]
下記の材料を、容量100mLのガラス瓶中に、1.0mmφガラスビーズと共に充填率50%で入れて、ペイントシェーカーを用いて2.5時間分散処理し、電荷発生層形成用塗布液を得た。電荷発生層形成用塗布液を、下引層上に浸漬塗布し、130℃で5分間の乾燥を行い、膜厚0.20μmの電荷発生層を形成した。
・電荷発生材料:ヒドロキシガリウムフタロシアニン。Cukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するV型。600nmから900nmの波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長820nm、平均粒径0.12μm、最大粒径0.2μm、BET比表面積60m/g。
・結着樹脂:塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(商品名:VMCH、日本ユニカー社製)
・n−酢酸ブチル
ヒドロキシガリウムフタロシアニンと塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂の混合比を55体積%:45体積%とし、電荷発生層形成用塗布液の固形分量を6質量%とした。上記の体積割合は、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの比重を1.606g/cm、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂の比重を1.35g/cmとして計算した。
[電荷輸送層の形成]
下記の材料を混合し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。電荷輸送層形成用塗布液を、電荷発生層上に浸漬塗布し、145℃で30分間の乾燥を行い、膜厚30μmの電荷輸送層を形成した。
・結着樹脂:ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールZの単独重合型、粘度平均分子量4万) 58質量部
・ブタジエン系電荷輸送材料:下記構造式(CT1A)で表される化合物 8質量部
・ベンジジン系電荷輸送材料:下記構造式(CT2A)で表される化合物 32質量部
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤:下記構造式(HP−1)で表される化合物
2質量部
・テトラヒドロフラン 340質量部
以上の工程を経て、感光体を得た。
<実施例2〜7>
導電性支持体の作製におけるショットピーニング加工の条件を表1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
<比較例1>
導電性支持体の作製においてショットピーニング加工を実施しなかった以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
<比較例2>
押出し抽伸加工と絞り加工によって作製した、アルミニウム純度99.5%以上の金属(JIS呼称A1050合金)からなる円筒管の表面を切削し、両端を切り落とし、端面処理を施して、外径30mm、長さ253mm、肉厚0.4mmの導電性支持体を得た。この導電性支持体上に実施例1と同様にして下引層、電荷発生層及び電荷輸送層を形成し感光体を得た。
<比較例3〜6>
導電性支持体の作製においてショットピーニング加工を実施せず、代わりに表1に記載の条件で円筒管に熱処理を施した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
<評価>
各実施例及び各比較例の感光体をそれぞれ、富士ゼロックス社製DocuPrintP450psに搭載し、以下の画質評価を行った。その結果を表1に示す。本画像形成装置においては、感光体と現像装置との距離を定められた範囲に保つためのリング状の接触部材が、図1に示すように、導電性支持体の外周面に直接接触し、感光体の回転に伴って導電性支持体と連れ回る。導電性支持体は、ジルコニアビーズが投射された幅10mmの領域内において、リング状の接触部材と接触する。
[濃度ムラ]
温度23℃、相対湿度55%の環境下、A4サイズの紙に1万枚出力し、次いで、画像濃度30%の全面ハーフトーン画像を出力し、目視で観察して下記の通りに分類した。
G1:濃度ムラは認められない。
G2:濃度ムラはあるが、実用上の許容範囲である。
G3:濃度ムラがあり、実用上許容できない程度である。
[階調性]
温度23℃、相対湿度55%の環境下、A4サイズの紙に1万枚出力し、次いで、画像濃度5%、10%、20%、80%、90%、100%のハーフトーン画像及びベタ画像(いずれもブラック)が含まれている画像チャートを出力し、目視で観察して下記の通りに分類した。
G1:設定濃度と差異なし。
G2:設定濃度に対して差異はあるが、実用上の許容範囲である。
G3:設定濃度に対して差異があり、実用上許容できない程度である。
[導電性支持体の耐久性]
各実施例及び各比較例の感光体をそれぞれ、富士ゼロックス社製DocuPrintP450psに搭載し、毎分340回転の速度で80万回転させた。回転後、導電性支持体の露出部を目視で観察し手で触診して、下記の通りに分類した。その結果を表1に示す。
G1:亀裂は認められず、接触部材が接触した領域に凹みは認められない。
G2:微細な亀裂が認められるが、接触部材が接触した領域に凹みは認められない。
G3:微細な亀裂が認められ、接触部材が接触した領域に僅かに凹みが認められる。
G4:亀裂の進展が認められ、接触部材が接触した領域に僅かに凹みが認められる。
G5:亀裂の進展が認められ、接触部材が接触した領域に明らかに凹みが認められる。
4 導電性支持体、5 感光層、7 感光体、70 接触部材、80支持部材
20 ダイ、21 パンチ、22 ストリッパー、30 金属塊、31 パンチ、32,33 ダイス、4A,4B 中空円筒体、41 コンプレッサー、42 タンク、43,44 供給管、45 混合部、46 ノズル
100 画像形成装置、120 画像形成装置、300 プロセスカートリッジ、8 帯電装置、9 露光装置、11 現像装置、13 クリーニング装置、14 潤滑剤、40 転写装置、50 中間転写体、131 クリーニングブレード、132 繊維状部材、133 繊維状部材

Claims (8)

  1. 金属の円筒部材からなり、感光層が配置された状態においても露出する領域の少なくとも一部において外周面の表面残留応力が−10MPa以下である、電子写真感光体用導電性支持体。
  2. 感光層が配置された状態においても露出する領域の少なくとも一部において周方向全体にわたって外周面の表面残留応力が−10MPa以下である、請求項1に記載の電子写真感光体用導電性支持体。
  3. アルミニウムを含む金属からなる、請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体用導電性支持体。
  4. 金属の円筒部材からなる導電性支持体と、前記導電性支持体上に配置された感光層とを有し、
    前記導電性支持体の露出部の少なくとも一部において外周面の表面残留応力が−10MPa以下である、電子写真感光体。
  5. 前記導電性支持体の露出部の少なくとも一部において周方向全体にわたって外周面の表面残留応力が−10MPa以下である、請求項4に記載の電子写真感光体。
  6. 前記導電性支持体がアルミニウムを含む金属からなる、請求項4又は請求項5に記載の電子写真感光体。
  7. 請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
  8. 請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体が有する導電性支持体の外周面の表面残留応力が−10MPa以下である領域に直接接触する接触部材と、
    前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    を備える画像形成装置。
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