JP2020170029A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 Download PDF

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栄里 國澤
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Abstract

【課題】濃度ムラが抑制された画像が形成される電子写真感光体を提供すること。【解決手段】導電性基体と、表面処理剤により表面処理された無機粒子を含有し、前記導電性基体の外周面に接触して設けられた下引層と、前記下引層上に設けられた感光層と、を有し、前記導電性基体の外周面のうち前記無機粒子が接触している領域の割合が82%以上91%以下である電子写真感光体である。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
特許文献1には、「支持体および該支持体上に設けられた感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、内部に空隙を有する中空状粒子を含有することを特徴とする電子写真感光体」が開示されている。
特許文献2には、「導電性基体上に、下引き層、電荷発生層および電荷輸送層を順次設けた電子写真用感光体において、下引き層に5V/μmの電圧を印加したときに下引き層の電子移動度が10−12cm/V・s以上であることを特徴とする電子写真用感光体」が開示されている。
特開2011−118311号公報 特開2000−321805号公報
下引層に無機粒子を含有させる場合、例えば、下引層内における無機粒子の分散性を向上させるために、表面処理された無機粒子を用いることがある。
しかし、表面処理された無機粒子を含有する下引層を導電性基体に接触させて設けると、使用するにつれて、導電性基体の外周面における導電性が部分的に低下し、得られた画像に濃度ムラが生じることがある。
本発明は、表面処理剤により表面処理された無機粒子を含有し導電性基体の外周面に接触して設けられた下引層を有し、導電性基体の外周面のうち無機粒子が接触している領域の割合が91%を超える場合に比較して、濃度ムラが抑制された画像が形成される電子写真感光体の提供を目的とする。
上記課題は、以下の手段により解決される。
<1>
導電性基体と、
表面処理剤により表面処理された無機粒子を含有し、前記導電性基体の外周面に接触して設けられた下引層と、
前記下引層上に設けられた感光層と、
を有し、
前記導電性基体の外周面のうち前記無機粒子が接触している領域の割合が82%以上91%以下である電子写真感光体。
<2>
導電性基体と、
表面処理剤により表面処理された無機粒子を含有し、前記導電性基体の外周面に接触して設けられた下引層と、
前記下引層上に設けられた感光層と、
を有し、
画像濃度50%のハーフトーン全面画像を200万枚のA4紙に連続して形成したときにおける、前記下引層から前記導電性基体に流れる電流値の低下率が20%以下である電子写真感光体。
<3>
前記下引層における前記無機粒子の含有量が75質量%以上である<1>又は<2>に記載の電子写真感光体。
<4>
前記下引層における前記無機粒子の含有量が78質量%以上である<3>に記載の電子写真感光体。
<5>
前記導電性基体の厚みが0.2mm以上1.5mm以下である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
<6>
前記導電性基体の厚みが0.4mm以上0.8mm以下である<5>に記載の電子写真感光体。
<7>
<1>〜<6>のいずれか1つに記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
<8>
<1>〜<6>のいずれか1つに記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
<1>に係る発明によれば、表面処理剤により表面処理された無機粒子を含有し導電性基体の外周面に接触して設けられた下引層を有し、導電性基体の外周面のうち無機粒子が接触している領域の割合が91%を超える場合に比較して、濃度ムラが抑制された画像が形成される電子写真感光体が提供される。
<2>に係る発明によれば、表面処理剤により表面処理された無機粒子を含有し導電性基体の外周面に接触して設けられた下引層を有し、画像濃度50%のハーフトーン全面画像を200万枚のA4紙に連続して形成したときにおける、下引層から導電性基体に流れる電流値の低下率が20%を超える場合に比較して、濃度ムラが抑制された画像が形成される電子写真感光体が提供される。
<3>に係る発明によれば、下引層における無機粒子の含有量が75質量%以上であっても、表面処理剤により表面処理された無機粒子を含有し導電性基体の外周面に接触して設けられた下引層を有し、導電性基体の外周面のうち無機粒子が接触している領域の割合が91%を超える場合に比較して、濃度ムラが抑制された画像が形成される電子写真感光体が提供される。
<4>に係る発明によれば、下引層における無機粒子の含有量が78質量%以上であっても、表面処理剤により表面処理された無機粒子を含有し導電性基体の外周面に接触して設けられた下引層を有し、導電性基体の外周面のうち無機粒子が接触している領域の割合が91%を超える場合に比較して、濃度ムラが抑制された画像が形成される電子写真感光体が提供される。
<5>に係る発明によれば、導電性基体の厚みが0.2mm以上1.5mm以下であっても、表面処理剤により表面処理された無機粒子を含有し導電性基体の外周面に接触して設けられた下引層を有し、導電性基体の外周面のうち無機粒子が接触している領域の割合が91%を超える場合に比較して、濃度ムラが抑制された画像が形成される電子写真感光体が提供される。
<6>に係る発明によれば、導電性基体の厚みが0.4mm以上0.8mm以下であっても、表面処理剤により表面処理された無機粒子を含有し導電性基体の外周面に接触して設けられた下引層を有し、導電性基体の外周面のうち無機粒子が接触している領域の割合が91%を超える場合に比較して、濃度ムラが抑制された画像が形成される電子写真感光体が提供される。
<7>又は<8>に係る発明によれば、表面処理剤により表面処理された無機粒子を含有し導電性基体の外周面に接触して設けられた下引層を有し、導電性基体の外周面のうち無機粒子が接触している領域の割合が91%を超える電子写真感光体を備える場合に比較して、濃度ムラが抑制された画像が形成されるプロセスカートリッジ又は画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。 本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の他の一例を示す模式断面図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例の概略断面図である。 本実施形態に係る画像形成装置の他の例の概略斜視図である。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。これらの説明および実施例は、実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
[電子写真感光体]
<第1の態様>
第1の態様に係る電子写真感光体(以下「感光体」ともいう)は、導電性基体と、表面処理剤により表面処理された無機粒子を含有し、前記導電性基体の外周面に接触して設けられた下引層と、前記下引層上に設けられた感光層と、を有し、前記導電性基体の外周面のうち前記無機粒子が接触している領域の割合(以下、「無機粒子接触割合」ともいう)が82%以上91%以下である。
第1の態様では、表面処理剤により表面処理された無機粒子を含有し導電性基体の外周面に接触して設けられた下引層を有し、導電性基体の外周面のうち無機粒子が接触している領域の割合が91%を超える場合に比較して、濃度ムラが抑制された画像が形成される。その理由は定かではないが、以下のように推測される。
下引層に無機粒子を含有させる場合、例えば、下引層内における無機粒子の分散性を向上させるために、表面処理された無機粒子を用いることがある。しかし、表面処理された無機粒子を含有する下引層を導電性基体に接触させて設けると、表面処理剤の影響により、使用するにつれて、導電性基体における下引層と接触している側の表面(すなわち外周面)が腐食し、前記外周面に酸化膜が形成されることがある。そして、導電性基体の外周面に酸化膜が部分的に形成されると、酸化膜が形成された領域の導電性が低下し、下引層から導電性基体に流れる電流の量が低下することにより、得られる画像の濃度が部分的に低下し、その結果、画像の濃度ムラが発生することがある。
これに対して、第1の態様では、無機粒子接触割合が82%以上91%以下であるため、91%を超える場合に比べ導電性基体の外周面が表面処理剤の影響を受けにくくなると考えられる。そして、導電性基体の外周面に酸化膜が形成されにくくなることにより、下引層から導電性基体に流れる電流の量の低下も抑制されるため、得られる画像の部分的な濃度低下が抑制され、その結果、画像の濃度ムラが抑制されるものと推測される。
ここで、上記「無機粒子接触割合」は、以下の測定により得られる値である。具体的には、測定対象の感光体を厚み方向に沿ってアルミ切断機で切断し、導電性基体及び下引層の断面を、走査電子顕微鏡(キーエンス社、型番:VHX−D500)により、20倍の倍率で観察し、断面画像を得る。得られた断面画像のうち導電性基体と下引層との界面を1mmの範囲にわたって解析し、下引層中の無機粒子が導電性基体の外周面に接触している領域と、下引層中の無機粒子が導電性基体の外周面に接触していない領域と、に分ける。そして、解析した1mmの界面のうち、導電性基体の外周面に接触している無機粒子が存在する領域の割合(%)を求め、「無機粒子接触割合」とする。
なお、「接触」とは、無機粒子の表面と導電性基体の外周面とが厳密に接触している状態に限定されるものではなく、上記断面画像において無機粒子が導電性基体の外周面に接触している状態とみなされる場合も含まれる。具体的には、拡大して観察すると無機粒子の表面と導電性基体の外周面との間にわずかな隙間がある場合においても、導電性基体の外周面と無機粒子の表面との最短距離が5μm以下である場合は、「接触」している状態であるとみなす。
<第2の態様>
第2の態様に係る感光体は、導電性基体と、表面処理剤により表面処理された無機粒子を含有し、前記導電性基体の外周面に接触して設けられた下引層と、前記下引層上に設けられた感光層と、を有し、画像濃度50%のハーフトーン全面画像を200万枚のA4紙に連続して形成したときにおける、前記下引層から前記導電性基体に流れる電流値の低下率が20%以下(以下「使用後電流低下率」ともいう)である。
第2の態様では、表面処理剤により表面処理された無機粒子を含有し導電性基体の外周面に接触して設けられた下引層を有し、上記使用後電流低下率が20%を超える場合に比較して、濃度ムラが抑制された画像が形成される。その理由は定かではないが、以下のように推測される
前記の通り、表面処理された無機粒子を含有する下引層を導電性基体に接触させて設けると、表面処理剤の影響により、使用するにつれて、導電性基体における下引層と接触している側の表面(すなわち外周面)が腐食し、前記外周面に酸化膜が形成されることがある。そして、導電性基体の外周面に酸化膜が部分的に形成されると、酸化膜が形成された領域の導電性が低下し、下引層から導電性基体に流れる電流の量が低下することにより、得られる画像の濃度が部分的に低下し、その結果、画像の濃度ムラが発生することがある。
これに対して、第2の態様では、上記使用電流低下率が20%以下である。つまり、使用電流低下率が20%を超える場合に比べ、画像形成を連続で行っても下引層から導電性基体に流れる電流の量が部分的に低下することが起こりにくい。そのため、得られる画像の部分的な濃度低下が抑制され、その結果、画像の濃度ムラが抑制されるものと推測される。
ここで、上記「使用電流低下率」は、以下の測定及び算出により得られる値である。
まず、測定対象の感光体の初期(すなわち使用前)において、下引層から導電性基体に流れる電流値(A)を測定し、その値を「初期電流値」とする。初期電流値の測定は、感光体の軸方向端部における感光層等をカッターナイフによって除去し、下引層を一部露出させる。そして、露出した下引層の表面と導電性基体の内周面とに電極(Ag/Ag、BAS社、型番:RE−7、接触面積:10mm)をつけ、電流計(BAS社、型番:ALS600E)により初期電流値を測定する。初期電流値の測定条件は、環境:温度25℃湿度40%、電位走印速度:0.1V/S、走印範囲:−1V〜1Vである。
次に、初期電流値を測定した感光体を画像形成装置に搭載し、温度25℃湿度40%の環境下で、画像濃度50%のハーフトーン全面画像を200万枚のA4紙に連続して形成する。画像形成条件は、帯電方式:スコロトロン、帯電電圧:−700Vである。
上記画像形成の後、感光体のうち下引層が露出していない領域について感光層等の除去を行い、下引層を一部露出させ、初期電流値の測定と同様の方法で下引層から導電性基体に流れる電流値(A)を測定し、その値を「使用後電流値」とする。
得られた初期電流値及び使用後電流値から、下記式により、使用電流低下率を求める。
式:使用電流低下率(%)=((初期電流値−使用後電流値)/初期電流値)×100
以下、第1の態様及び第2の態様の総称として、「本実施形態」という場合がある。
ただし、本発明の一例は、第1の態様及び第2の態様のいずれか一方に該当すればよい。
以下、図面を参照しつつ、本実施形態に係る電子写真感光体を詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す模式断面図である。図2は、本実施形態に係る電子写真感光体の他の一例を示す模式断面図である。
図1に示す電子写真感光体7Aは、電荷発生層2と電荷輸送層3とに機能が分離された機能分離型感光体(すなわち、積層型感光体)であり、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に電荷発生層2及び電荷輸送層3が順次形成された構造を有する。電子写真感光体7Aにおいては、電荷発生層2及び電荷輸送層3により感光層が構成されている。
図2に示す電子写真感光体7Cは、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層(単層型感光層6)に含有するものである。つまり、図2に示す電子写真感光体7Cは、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に、単層型感光層6が形成された構造を有する。
図1に示す電子写真感光体及び図2に示す電子写真感光体は、それぞれ、必要に応じてその他の層をさらに設けてもよい。その他の層としては、例えば、下引層と感光層との間に設けられる中間層、感光層上に設けられる保護層等が挙げられる。
以下、代表例として図1に示す電子写真感光体7Aに基づいて、各要素について説明する。なお、符号は省略して説明する場合がある。
(導電性基体)
導電性基体を構成する材料としては、例えば金属が挙げられ、具体的には、例えば、アルミニウム、鉄、銅等の純金属;ステンレス鋼、アルミニウム合金等の合金;が挙げられる。
導電性基体を構成する金属としては、軽いこと及び加工性に優れる観点から、アルミニウムを含む金属が好ましく、純アルミニウム又はアルミニウム合金がより好ましい。アルミニウム合金としては、アルミニウムが主成分である合金であれば特に制限されず、アルミニウムのほかに、例えば、Si、Fe、Cu、Mn、Mg、Cr、Zn、Ti等を含むアルミニウム合金が挙げられる。ここで「主成分」とは、合金に含まれる元素の中で最も含有割合(質量基準)が高い元素をいう。
特に、導電性基体の外周面(すなわち、下引層が直接設けられる面)がアルミニウム及び銅から選択される少なくとも1種を含む場合、下引層に含有される表面処理剤の影響による腐食及び酸化膜の形成が起こりやすく、下引層から導電性基体に流れる電流値の低下が起こりやすくなると考えられる。しかし、前述のように、本実施形態では上記電流値の低下が抑制されているため、電流値の部分的な低下に伴う画像の濃度ムラが抑制される。
なお、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
導電性基体の形状は、例えば筒状が挙げられる。
導電性基体の厚み(肉厚)としては、例えば0.2mm以上1.5mm以下が挙げられ、0.4mm以上1.2mm以下が好ましく、0.4mm以上0.8mm以下がより好ましい。
導電性基体が薄い場合、上記導電性基体の外周面における腐食及び酸化膜の形成が起こった場合に画像への影響が出やすいと考えられる。一方、第1の態様では、前述の通り導電性基体の外周面における腐食及び酸化膜の形成が抑制されているため、画像の濃度ムラも抑制される。また、第2の態様では、前述の通り、下引層から導電性基体に流れる電流値の低下が抑制されているため、電流値の部分的な低下に伴う画像の濃度ムラが抑制される。
導電性基体の径及び軸方向長さは、特に限定されず、用途等によって変わる値である。導電性基体の径としては例えば20mm以上100mm以下の範囲が挙げられ、導電性基体の軸方向長さとしては例えば200mm以上500mm以下の範囲が挙げられる。
導電性基体は、例えば、抽伸加工、絞り加工、インパクトプレス加工、しごき加工、切削加工などの公知の成形加工によって製造される。導電性基体は、薄肉化及び高硬度化の観点から、インパクトプレス加工によって製造されることが好ましく、インパクトプレス加工及びその後のしごき加工によって製造されることがより好ましい。即ち、導電性基体は、インパクトプレス加工品、又は、しごき加工を施したインパクトプレス加工品であることが好ましい。
ここで、インパクトプレス加工は、金属塊を円形の雌型に配置し、円柱状の雄型で叩いて雄型に沿った中空円筒体に成形する加工法である。インパクトプレス加工によって中空円筒体を成形した後、1回又は複数回のしごき加工によって、内径、外径、円筒度及び真円度を調整して導電性基体を得る。しごき加工後に、円筒管の両端を切り落とし、さらに端面処理を施してもよい。
導電性基体の表面は、電子写真感光体がレーザプリンタに使用される場合、レーザ光を照射する際に生じる干渉縞を抑制する目的で、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化されていることが好ましい。なお、非干渉光を光源に用いる場合、干渉縞防止の粗面化は、特に必要ないが、導電性基体の表面の凹凸による欠陥の発生を抑制するため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、例えば、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、回転する砥石に導電性基体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が挙げられる。
粗面化の方法としては、導電性基体の表面を粗面化することなく、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、導電性基体の表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も挙げられる。
陽極酸化による粗面化処理は、金属製(例えばアルミニウム製)の導電性基体を陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することにより導電性基体の表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、例えば、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、多孔質陽極酸化膜に対して、酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが好ましい。
陽極酸化膜の膜厚は、例えば、0.3μm以上15μm以下が好ましい。この膜厚が上記範囲内にあると、注入に対するバリア性が発揮される傾向があり、また繰り返し使用による残留電位の上昇が抑えられる傾向にある。
導電性基体には、酸性処理液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
ベーマイト処理は、例えば90℃以上100℃以下の純水中に5分から60分間浸漬すること、又は90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分から60分間接触させて行う。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
(下引層)
下引層は、導電性基体の外周面に接触して設けられた層である。
下引層は、少なくとも、表面処理剤により表面処理された無機粒子を含有し、必要に応じてその他の成分(例えば、結着樹脂、電子受容性化合物、表面処理されていない無機粒子等)を含有してもよい。
まず、表面処理剤により表面処理された無機粒子について説明する。
無機粒子としては、例えば、粉体抵抗(体積抵抗率)10Ωcm以上1011Ωcm以下の無機粒子が挙げられる。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子の体積平均一次粒径は、例えば50nm以上2000nm以下が挙げられ、好ましくは60nm以上1000nm以下であり、より好ましくは60nm以上200nm以下であり、さらに好ましくは70nm以上150nm以下である。
また、無機粒子のBET法による比表面積は、例えば、10m/g以上が挙げられ、10m/g以上200m/g以下であることが好ましく、30m/g以上180m/g以下であることがより好ましい。
なお、無機粒子は、粒径の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
ここで、無機粒子の体積平均一次粒径の測定は、レーザ回折式粒度分布測定装置(LA−700:堀場製作所製)を用いて行う。測定法としては、分散液となっている状態の試料(すなわち、測定対象となる無機粒子)を固形分で2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、40mlにする。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、2分待ったところで測定する。得られたチャンネルごとの粒径を体積基準で小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均一次粒径とする。
また、上記無機粒子の比表面積は、以下のようにして測定を行う。具体的には、SA3100比表面積測定装置(ベックマンコールター(株)製)を用いて、3点法にて測定する。詳細には、試料(すなわち、測定対象となる無機粒子)5gをセルに入れ、60℃120分の脱気処理を行い、窒素とヘリウムの混合ガス(体積比30:70)を用いて測定する。
表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性剤等が挙げられる。特に、シランカップリング剤が好ましく、アミノ基を有するシランカップリング剤がより好ましい。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シランカップリング剤は、2種以上混合して使用してもよい。例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤と他のシランカップリング剤とを併用してもよい。この他のシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面処理剤による表面処理方法は、公知の方法であればいかなる方法でもよく、乾式法又は湿式法のいずれでもよい。
表面処理剤の処理量は、例えば、表面処理剤を除いた無機粒子の質量に対して0.5質量%以上10質量%以下が好ましい。
表面処理剤により表面処理された無機粒子の含有量は、例えば、下引層全体に対して、68質量%以上85質量%以下の範囲が挙げられ、72質量%以上83質量%以下であることが好ましく、75質量%以上82質量%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは78質量%以上80質量%以下である。
下引層は、少なくとも表面処理剤により表面処理された無機粒子を含んでいればよく、必要に応じて、表面処理剤により表面処理されていない無機粒子をさらに含んでもよい。なお、表面処理剤により表面処理された無機粒子の割合は、下引層に含まれる無機粒子全体に対し、90質量%以上であることが好ましく、92質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
下引層は、さらに結着樹脂を含有することが好ましい。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の公知の高分子化合物;ジルコニウムキレート化合物;チタニウムキレート化合物;アルミニウムキレート化合物;チタニウムアルコキシド化合物;有機チタニウム化合物;シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これらの中でも、下引層に用いる結着樹脂としては、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好適であり、特に、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と硬化剤との反応により得られる樹脂が好適である。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
下引層は、無機粒子と共に電子受容性化合物(アクセプター化合物)を含有することが、電気特性の長期安定性、キャリアブロック性が高まる観点からよい。
電子受容性化合物としては、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物;2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;キサントン系化合物;チオフェン化合物;3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物;等の電子輸送性物質等が挙げられる。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
電子受容性化合物は、下引層中に無機粒子と共に分散して含まれていてもよいし、無機粒子の表面に付着した状態で含まれていてもよい。
電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着させる方法としては、例えば、乾式法、又は、湿式法が挙げられる。
乾式法は、例えば、無機粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接又は有機溶媒に溶解させた電子受容性化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させて、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。電子受容性化合物の滴下又は噴霧するときは、溶剤の沸点以下の温度で行うことがよい。電子受容性化合物を滴下又は噴霧した後、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に制限されない。
湿式法は、例えば、攪拌、超音波、サンドミル、アトライター、ボールミル等により、無機粒子を溶剤中に分散しつつ、電子受容性化合物を添加し、攪拌又は分散した後、溶剤除去して、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。溶剤除去方法は、例えば、ろ過又は蒸留により留去される。溶剤除去後には、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に限定されない。湿式法においては、電子受容性化合物を添加する前に無機粒子の含有水分を除去してもよく、その例として溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法が挙げられる。
なお、電子受容性化合物の付着は、表面処理剤による表面処理を無機粒子に施す前又は後に行ってよく、電子受容性化合物の付着と表面処理剤による表面処理と同時に行ってもよい。
電子受容性化合物の含有量は、例えば、無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下がよく、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下である。
下引層には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
添加剤としてのシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ジルコニウムキレート化合物としては、例えば、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの添加剤は、単独で、又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
下引層は、ビッカース硬度が35以上であることがよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
下引層は、前述の通り、導電性基体の外周面に接触して設けられる。
第1の態様においては、導電性基体の外周面のうち、下引層に含まれる無機粒子が接触している領域の割合(すなわち、無機粒子接触割合)が82%以上91%以下であり、84%以上89%以下であることが好ましく、85%以上88%以下であることがより好ましい。また、第2の態様においては、上記無機粒子接触割合が、82%以上91%以下であることが好ましく、84%以上89%以下であることがより好ましく、85%以上88%以下であることがさらに好ましい。
無機粒子接触割合が上記範囲であることにより、上記範囲よりも大きい場合に比べ、濃度ムラが抑制された画像が得られ、上記範囲よりも小さい場合に比べ、残留電位が軽減され、寿命が長くなるという利点がある。
無機粒子接触割合を上記範囲に制御する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、後述する下引層の形成において用いられる下引層形成用塗布液のレオロジー(例えば、弾性回復量)を調整する方法等が挙げられる。
下引層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた下引層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。
下引層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、公知の有機溶剤、例えば、アルコール系溶剤、芳香族炭化水素溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、ケトン系溶剤、ケトンアルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
下引層形成用塗布液を調製するときの無機粒子の分散方法としては、例えば、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の公知の方法が挙げられる。
前記の通り、下引層形成用塗布液のレオロジー(例えば、弾性回復量)を調整することで、形成される下引層における無機粒子接触割合を制御してもよい。
下引層形成用塗布液の弾性回復量としては、例えば0.30Pa・sec以上0.90Pa・sec未満が挙げられ、0.50Pa・sec以上0.85Pa・sec以下であることが好ましく、0.55Pa・sec以上0.80Pa・sec以下であることがより好ましい。
ここで、「弾性回復量」とは、下引層形成用塗布液にせん断速度1000sec−1のせん断応力を印加した後にせん断速度0.1sec−1のせん断応力を印加した際のせん断粘度変化量であり、液体のチキソ性を評価する指標の1つである。
また、「弾性回復量」の測定は、以下のようにして行う。具体的には、粘弾性測定装置(ANTON PAAR社、型番:MCR302)に下引層形成用塗布液を2mLセットし、コーンプレート(ANTON PAAR社、型番:CP50−1(直径25mm、コーン角1.0°))によりせん断速度1000sec−1のせん断応力を印加した後にせん断速度0.1sec−1のせん断応力を印加する。その際のせん断粘度変化量を弾性回復量と定義する。
下引層形成用塗布液の弾性回復量を上記範囲に制御する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、下引層形成用塗布液に含まれる成分を混合し、一次分散工程を経た後、循環工程を経ることで、下引層形成用塗布液の弾性回復量を上記範囲に制御する方法が挙げられる。
一次分散工程における分散方法としては、例えばサンドミル等が挙げられる。一次分散工程においてサンドミルを用いる場合、サンドミル用ビーズとしては、例えば、直径0.5mm以上4mm以下のガラスビーズが挙げられる。また、一次分散工程における分散時間としては、例えば4時間以上10時間以下の範囲が挙げられ、5時間以上7時間以下の範囲が好ましい。
一次分散工程を経た下引層形成用塗布液(すなわち、一次分散液)の弾性回復量としては、例えば0.08Pa・sec以上0.30Pa・sec未満が挙げられる。
循環工程における循環方法としては、例えば、撹拌タンクと、送液ポンプと、フィルターと、それらをつなぐ循環経路と、を有する循環装置を用いる方法が挙げられる。上記循環工程では、例えば、一次分散工程を経た下引層形成用塗布液が撹拌タンク内で撹拌される。そして、撹拌タンク内の下引層形成用塗布液の一部が、送液ポンプにより循環経路に送られ、フィルターを通って、撹拌タンクに戻されることで、下引層形成用塗布液が循環される。
上記送液ポンプの送液量としては、例えば、50ml/分以上1000ml/分以下が挙げられ、100ml/分以上500ml/分以下であることが好ましく、150ml/分以上400ml/分以下であることがより好ましい。
上記フィルターの目開きとしては、例えば、0.02mm以上0.05mm以下が挙げられ、0.022mm以上0.04mm以下であることが好ましく、0.025mm以上0.03mm以下であることがより好ましい。
循環工程における循環時間は、例えば、20時間以上60時間以下が挙げられ、30時間以上58時間以下であることが好ましく、48時間以上55時間以下であることがより好ましい。
上記のように、一次分散工程及び循環工程を経た下引層形成用塗布液を用いることで、無機粒子接触割合が前記範囲の下引層が形成される理由は定かではないが、以下のように推測される。具体的には、一次分散工程及び循環工程を経た下引層形成用塗布液は、一次分散工程及び二次分散工程を経た下引層形成用塗布液に比べて、塗布液内において無機粒子がほどよく凝集している。そのため、導電性基体に接触する無機粒子の割合が少なくなり、無機粒子接触割合が前記範囲の下引層が形成されると推測される。また、一次分散工程及び循環工程を経た下引層形成用塗布液は、一次分散工程のみを経た下引層形成用塗布液に比べて、無機粒子が凝集しすぎていないため、無機粒子接触割合が前記範囲の下引層が形成されると推測される。
下引層形成用塗布液を導電性基体上に塗布する方法としては、例えば、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
下引層の膜厚は、例えば、3μm以上50μm以下の範囲が挙げられ、残留電位上昇抑制の観点から、好ましくは3μm以上30μm以下の範囲が挙げられ、より好ましくは3μm以上20μm以下の範囲が挙げられる。
なお、下引層の膜厚は、サンコー電子社製渦電流式膜厚計CTR−1500Eを用いて測定する。
また、下引層の膜厚は、導電性の観点から、導電性基体の厚みの10倍以上30倍以下であることが好ましく、12倍以上28倍以下であることがより好ましく、15倍以上25倍以下であることがさらに好ましい。
第1の態様においては、前述の使用電流低下率が20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。また、第2の態様においては、前述の使用電流低下率が20%以下であり、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
使用電流低下率が上記範囲であることにより、上記範囲よりも大きい場合に比べ、濃度ムラが抑制された画像が得られる。
使用電流低下率を上記範囲に制御する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、前述の無機粒子接触割合を前記範囲に調整する方法等が挙げられる。
(中間層)
図示は省略するが、下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
これらの中でも、中間層は、ジルコニウム原子又はケイ素原子を含有する有機金属化合物を含む層であることが好ましい。
中間層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた中間層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
中間層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上3μm以下の範囲に設定される。なお、中間層を下引層として使用してもよい。
(電荷発生層)
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂とを含む層である。また、電荷発生層は、電荷発生材料の蒸着層であってもよい。電荷発生材料の蒸着層は、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro−Luminescence)イメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合に好適である。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
これらの中でも、近赤外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、金属フタロシアニン顔料、又は無金属フタロシアニン顔料を用いることが好ましい。具体的には、例えば、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン;特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン;特開平5−140472号公報、特開平5−140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン;特開平4−189873号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより好ましい。
一方、近紫外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;チオインジゴ系顔料;ポルフィラジン化合物;酸化亜鉛;三方晶系セレン;特開2004−78147号公報、特開2005−181992号公報に開示されたビスアゾ顔料等が好ましい。
450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED,有機ELイメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合にも、上記電荷発生材料を用いてもよいが、解像度の観点より、感光層を20μm以下の薄膜で用いるときには、感光層中の電界強度が高くなり、基体からの電荷注入による帯電低下、いわゆる黒点と呼ばれる画像欠陥を生じやすくなる。これは、三方晶系セレン、フタロシアニン顔料等のp−型半導体で暗電流を生じやすい電荷発生材料を用いたときに顕著となる。
これに対し、電荷発生材料として、縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料等のn−型半導体を用いた場合、暗電流を生じ難く、薄膜にしても黒点と呼ばれる画像欠陥を抑制し得る。n−型の電荷発生材料としては、例えば、特開2012−155282号公報の段落[0288]〜[0291]に記載された化合物(CG−1)〜(CG−27)が挙げられるがこれに限られるものではない。
なお、n−型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn−型とする。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、結着樹脂としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。
結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
なお、電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが好ましい。
電荷発生層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷発生層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷発生層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。なお、電荷発生層の形成は、電荷発生材料の蒸着により行ってもよい。電荷発生層の蒸着による形成は、特に、電荷発生材料として縮環芳香族顔料、ペリレン顔料を利用する場合に好適である。
電荷発生層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等が挙げられる。これら溶剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いる。
電荷発生層形成用塗布液中に粒子(例えば電荷発生材料)を分散させる方法としては、例えば、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式等が挙げられる。
なお、この分散の際、電荷発生層形成用塗布液中の電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
電荷発生層形成用塗布液を下引層上(又は中間層上)に塗布する方法としては、例えばブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上5.0μm以下、より好ましくは0.2μm以上2.0μm以下の範囲内に設定される。
(電荷輸送層)
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送材料と結着樹脂とを含む層である。電荷輸送層は、高分子電荷輸送材料を含む層であってもよい。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物;キサントン系化合物;ベンゾフェノン系化合物;シアノビニル系化合物;エチレン系化合物等の電子輸送性化合物が挙げられる。電荷輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物も挙げられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
電荷輸送材料としては、電荷移動度の観点から、下記構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び下記構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体が好ましい。
構造式(a−1)中、ArT1、ArT2、及びArT3は、各々独立に置換若しくは無置換のアリール基、−C−C(RT4)=C(RT5)(RT6)、又は−C−CH=CH−CH=C(RT7)(RT8)を示す。RT4、RT5、RT6、RT7、及びRT8は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
構造式(a−2)中、RT91及びRT92は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、又は炭素数1以上5以下のアルコキシ基を示す。RT101、RT102、RT111及びRT112は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは無置換のアリール基、−C(RT12)=C(RT13)(RT14)、又は−CH=CH−CH=C(RT15)(RT16)を示し、RT12、RT13、RT14、RT15及びRT16は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。Tm1、Tm2、Tn1及びTn2は各々独立に0以上2以下の整数を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
ここで、構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び前記構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体のうち、特に、「−C−CH=CH−CH=C(RT7)(RT8)」を有するトリアリールアミン誘導体、及び「−CH=CH−CH=C(RT15)(RT16)」を有するベンジジン誘導体が、電荷移動度の観点で好ましい。
高分子電荷輸送材料としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものが用いられる。特に、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報等に開示されているポリエステル系の高分子電荷輸送材は特に好ましい。なお、高分子電荷輸送材料は、単独で使用してよいが、結着樹脂と併用してもよい。
電荷輸送層に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの中でも、結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好適である。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上で用いる。
なお、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1から1:5までが好ましい。
電荷輸送層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷輸送層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
電荷輸送層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状又は直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷輸送層の膜厚は、例えば、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下の範囲内に設定される。
(保護層)
保護層は、必要に応じて感光層上に設けられる。保護層は、例えば、帯電時の感光層の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度をさらに改善する目的で設けられる。
そのため、保護層は、硬化膜(架橋膜)で構成された層を適用することがよい。これら層としては、例えば、下記1)又は2)に示す層が挙げられる。
1)反応性基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に有する反応性基含有電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり当該反応性基含有電荷輸送材料の重合体又は架橋体を含む層)
2)非反応性の電荷輸送材料と、電荷輸送性骨格を有さず、反応性基を有する反応性基含有非電荷輸送材料と、を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり、非反応性の電荷輸送材料と、当該反応性基含有非電荷輸送材料の重合体又は架橋体と、を含む層)
反応性基含有電荷輸送材料の反応性基としては、連鎖重合性基、エポキシ基、−OH、−OR[但し、Rはアルキル基を示す]、−NH、−SH、−COOH、−SiRQ1 3−Qn(ORQ2Qn[但し、RQ1は水素原子、アルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表し、RQ2は水素原子、アルキル基、トリアルキルシリル基を表す。Qnは1〜3の整数を表す]等の周知の反応性基が挙げられる。
連鎖重合性基としては、ラジカル重合しうる官能基であれば特に限定されるものではなく、例えば、少なくとも炭素二重結合を含有する基を有する官能基である。具体的には、ビニル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、ビニルフェニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくとも一つを含有する基等が挙げられる。なかでも、その反応性に優れることから、連鎖重合性基としては、ビニル基、ビニルフェニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくとも一つを含有する基であることが好ましい。
反応性基含有電荷輸送材料の電荷輸送性骨格としては、電子写真感光体における公知の構造であれば特に限定されるものではなく、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の含窒素の正孔輸送性化合物に由来する骨格であって、窒素原子と共役している構造が挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン骨格が好ましい。
これら反応性基及び電荷輸送性骨格を有する反応性基含有電荷輸送材料、非反応性の電荷輸送材料、反応性基含有非電荷輸送材料は、周知の材料から選択すればよい。
保護層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
保護層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた保護層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱等の硬化処理することで行う。
保護層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ系溶剤;イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
なお、保護層形成用塗布液は、無溶剤の塗布液であってもよい。
保護層形成用塗布液を感光層(例えば電荷輸送層)上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
保護層の膜厚は、例えば、好ましくは1μm以上20μm以下、より好ましくは2μm以上10μm以下の範囲内に設定される。
以下、図2に示す電子写真感光体7Cの単層型感光層6について説明する。なお、符号は省略して説明する場合がある。
(単層型感光層)
単層型感光層(電荷発生/電荷輸送層)は、例えば、電荷発生材料と電荷輸送材料と、必要に応じて、結着樹脂、及びその他周知の添加剤と、を含む層である。なお、これら材料は、電荷発生層及び電荷輸送層で説明した材料と同様である。
そして、単層型感光層中、電荷発生材料の含有量は、全固形分に対して0.1質量%以上10質量%以下がよく、好ましくは0.8質量%以上5質量%以下である。また、単層型感光層中、電荷輸送材料の含有量は、全固形分に対して5質量%以上50質量%以下がよい。
単層型感光層の形成方法は、電荷発生層や電荷輸送層の形成方法と同様である。
単層型感光層の膜厚は、例えば、5μm以上50μm以下がよく、好ましくは10μm以上40μm以下である。
[画像形成装置(及びプロセスカートリッジ)]
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、電子写真感光体として、上記本実施形態に係る電子写真感光体が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段を備える装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー像の転写後、帯電前の電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー像の転写後、帯電前に電子写真感光体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;電子写真感光体の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための電子写真感光体加熱部材を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、乾式現像方式の画像形成装置、湿式現像方式(液体現像剤を利用した現像方式)の画像形成装置のいずれであってもよい。
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、電子写真感光体を備える部分が、画像形成装置に対して着脱されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。なお、プロセスカートリッジには、電子写真感光体以外に、例えば、帯電手段、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段からなる群から選択される少なくとも一つを備えてもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図3に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
図3におけるプロセスカートリッジ300は、ハウジング内に、電子写真感光体7、帯電装置8(帯電手段の一例)、現像装置11(現像手段の一例)、及びクリーニング装置13(クリーニング手段の一例)を一体に支持している。クリーニング装置13は、クリーニングブレード(クリーニング部材の一例)131を有しており、クリーニングブレード131は、電子写真感光体7の表面に接触するように配置されている。なお、クリーニング部材は、クリーニングブレード131の態様ではなく、導電性又は絶縁性の繊維状部材であってもよく、これを単独で、又はクリーニングブレード131と併用してもよい。
なお、図3には、画像形成装置として、潤滑材14を電子写真感光体7の表面に供給する繊維状部材132(ロール状)、及び、クリーニングを補助する繊維状部材133(平ブラシ状)を備えた例を示してあるが、これらは必要に応じて配置される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の各構成について説明する。
−帯電装置−
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
−露光装置−
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
−現像装置−
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
現像装置11に使用される現像剤は、トナー単独の一成分系現像剤であってもよいし、トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤であってもよい。また、現像剤は、磁性であってもよいし、非磁性であってもよい。これら現像剤は、周知のものが適用される。
−クリーニング装置−
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
−転写装置−
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
−中間転写体−
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図4に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例において、特に限定のないかぎり「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
[実施例1]
(導電性基体の準備)
導電性基体として、直径30mm、長さ340mm、肉厚0.8mmの円筒状アルミニウム基体を、インパクトプレス法により作製した。
(下引層の形成)
無機粒子として酸化亜鉛(体積平均一次粒径:70nm、テイカ社製、BET比表面積:15m/g)100質量部をメタノール500質量部と攪拌混合し、表面処理剤としてシランカップリング剤(化合物名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業製、品名:KBM603)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、メタノールを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛粒子を得た。
前記シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛粒子44.6質量部と、電子受容性化合物として1−ヒドロキシアントラキノン0.45質量部と、硬化剤としてブロック化イソシアネート(スミジュール3173、住友バイエルンウレタン社製)10.2質量部と、ブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−1、積水化学工業社製)3.5質量部と、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部と、メチルエチルケトン41.3質量部と、を混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間の分散を行い(すなわち一次分散の分散時間:4時間)、一次分散液を得た(一次分散工程)。
一次分散液の弾性回復量は、0.12Pa・sであった。
次に、撹拌タンクと、送液ポンプと、フィルター(目開き:0.03mm)と、が循環経路でつながれた循環装置を準備した。
得られた一次分散液を、上記循環装置によって、送液量160ml/分の条件で48時間循環させ(すなわち、循環時間:48時間)、下引層形成用塗布液を得た(循環工程)。
得られた下引層形成用塗布液における弾性回復量を表1に示す。
この下引層形成用塗布液を用いて、浸漬塗布法にて塗布速度160mm/minで、導電性基体上に塗布し、190℃、24分の乾燥硬化を行い、厚さ19μmの下引層を得た。
得られた下引層における無機粒子の含有量は、下引層全体に対し79質量%であった。
(電荷発生層の形成)
電荷発生材料としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜、16.0゜、24.9゜、28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、株式会社NUC製)10質量部、及びn−酢酸ブチル200質量部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間攪拌して分散させ分散液を得た。
得られた分散液にn−酢酸ブチル175質量部及びメチルエチルケトン180質量部を添加し、攪拌して、電荷発生層形成用塗布液を得た。
この電荷発生層形成用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、140℃、10分で乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
(電荷輸送層の形成)
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン40質量部、4−(2,2−ジフェニルフェニル)−4‘,4“−ジメチル−トリフェニルアミン8質量部、及びビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:5万)52質量部をクロロベンゼン800質量部に加えて溶解し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
この電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層上に塗布し、140℃、40分の乾燥を行って膜厚が28μmの電荷輸送層を形成した。
以上のようにして、電子写真感光体1を作製した。
得られた電子写真感光体1における、下引層の無機粒子接触割合及び使用電流低下率を、前述の方法により測定及び算出した結果を、表1に示す。
[実施例2]
下引層の形成において、循環装置におけるフィルターの目開きを0.04mm、循環工程における送液量を110ml/分、循環工程における循環時間を35時間とした以外は、実施例1の電子写真感光体1と同様にして、実施例2の電子写真感光体2を得た。
実施例2における、下引層形成用塗布液の弾性回復量、下引層の無機粒子接触割合、及び使用電流低下率を表1に示す。
なお、実施例2で得られた下引層における無機粒子の含有量は、下引層全体に対し76質量%であった。
[実施例3]
下引層の形成において、循環装置におけるフィルターの目開きを0.03mm、循環工程における送液量を190ml/分、循環工程における循環時間を50時間とした以外は、実施例1の電子写真感光体1と同様にして、実施例3の電子写真感光体3を得た。
実施例3における、下引層形成用塗布液の弾性回復量、下引層の無機粒子接触割合、及び使用電流低下率を表1に示す。
なお、実施例3で得られた下引層における無機粒子の含有量は、下引層全体に対し73質量%であった。
[実施例4]
下引層の形成において、表面処理剤としてシランカップリング剤(化合物名:ビニルトリエトキシシラン、東京化成工業製)を1.7質量部用いた以外は、実施例1の電子写真感光体1と同様にして、実施例4の電子写真感光体4を得た。
実施例4における、一次分散液の弾性回復量は、0.15Pa・sであった。
実施例4における、下引層形成用塗布液の弾性回復量、下引層の無機粒子接触割合、及び使用電流低下率を表1に示す。
なお、実施例4で得られた下引層における無機粒子の含有量は、下引層全体に対し76質量%であった。
[比較例1]
下引層の形成において、循環工程を行う代わりに、一次分散液を、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散をさらに行って得られた二次分散液を下引層形成用塗布液として用いた以外は、実施例1の電子写真感光体1と同様にして、比較例1の電子写真感光体C1を得た。
比較例1における、下引層形成用塗布液の弾性回復量、下引層の無機粒子接触割合、及び使用電流低下率を表1に示す。
なお、比較例1で得られた下引層における無機粒子の含有量は、下引層全体に対し70質量%であった。
[比較例2]
下引層の形成において、循環工程を行う代わりに、一次分散液を、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて1時間の分散をさらに行って得られた二次分散液を下引層形成用塗布液として用いた以外は、実施例1の電子写真感光体1と同様にして、比較例2の電子写真感光体C2を得た。
比較例2における、下引層形成用塗布液の弾性回復量、下引層の無機粒子接触割合、及び使用電流低下率を表1に示す。
なお、比較例2で得られた下引層における無機粒子の含有量は、下引層全体に対し71質量%であった。
[比較例3]
下引層の形成において、循環工程を行わず、一次分散液をそのまま下引層形成用塗布液として用いた以外は、実施例1の電子写真感光体1と同様にして、比較例3の電子写真感光体C3を得た。
比較例3における、下引層形成用塗布液の弾性回復量、下引層の無機粒子接触割合、及び使用電流低下率を表1に示す。
なお、比較例3で得られた下引層における無機粒子の含有量は、下引層全体に対し73質量%であった。
[比較例4]
下引層の形成において、循環工程を行う代わりに、一次分散液を、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散をさらに行って得られた二次分散液を下引層形成用塗布液として用いた以外は、実施例4の電子写真感光体4と同様にして、比較例4の電子写真感光体C4を得た。
比較例4における、下引層形成用塗布液の弾性回復量、下引層の無機粒子接触割合、及び使用電流低下率を表1に示す。
なお、比較例4で得られた下引層における無機粒子の含有量は、下引層全体に対し69質量%であった。
[評価]
(濃度ムラ評価)
得られた電子写真感光体を電子写真方式の画像形成装置(富士ゼロックス社製、型番:ApeosPort−VI C5571)に搭載し、温度25℃湿度40%の環境下で、画像濃度50%のハーフトーン全面画像を200万枚のA4紙に連続して形成した。200万枚目のハーフトーン画像を目視で観察し、下記基準で濃度ムラの評価を行った。結果を表1に示す。
−評価基準−
A:濃度ムラは全く確認されなかった
B:濃度ムラがわずかに確認されたが、許容範囲であった
C:濃度ムラが確認されたが、許容範囲であった
D:濃度ムラが顕著に確認された
上記結果から、実施例の電子写真感光体は、比較例の電子写真感光体よりも、濃度ムラが抑制されることがわかった。
1 下引層、2 電荷発生層、3 電荷輸送層、4 導電性基体、7A 電子写真感光体、7C 電子写真感光体、7 電子写真感光体、8 帯電装置、9 露光装置、11 現像装置、13 クリーニング装置、14 潤滑剤、40 転写装置、50 中間転写体、100 画像形成装置、120 画像形成装置、131 クリーニングブレード、132 繊維状部材(ロール状)、133 繊維状部材(平ブラシ状)、300 プロセスカートリッジ

Claims (8)

  1. 導電性基体と、
    表面処理剤により表面処理された無機粒子を含有し、前記導電性基体の外周面に接触して設けられた下引層と、
    前記下引層上に設けられた感光層と、
    を有し、
    前記導電性基体の外周面のうち前記無機粒子が接触している領域の割合が82%以上91%以下である電子写真感光体。
  2. 導電性基体と、
    表面処理剤により表面処理された無機粒子を含有し、前記導電性基体の外周面に接触して設けられた下引層と、
    前記下引層上に設けられた感光層と、
    を有し、
    画像濃度50%のハーフトーン全面画像を200万枚のA4紙に連続して形成したときにおける、前記下引層から前記導電性基体に流れる電流値の低下率が20%以下である電子写真感光体。
  3. 前記下引層における前記無機粒子の含有量が75質量%以上である請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記下引層における前記無機粒子の含有量が78質量%以上である請求項3に記載の電子写真感光体。
  5. 前記導電性基体の厚みが0.2mm以上1.5mm以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記導電性基体の厚みが0.4mm以上0.8mm以下である請求項5に記載の電子写真感光体。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
    画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
  8. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    を備える画像形成装置。
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