JP6221883B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび画像形成装置 - Google Patents
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Description
請求項1に係る発明は、
導電性基体と、
下引層と、
結着樹脂を含有し、且つヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を層中において47体積%以上54体積%以下含有する電荷発生層と、
下記式(A)で表されるトリアリールアミン化合物を含有し、且つ平均膜厚が30μm以上40μm以下である電荷輸送層と、
をこの順に有する電子写真感光体である。
前記電荷輸送層の平均膜厚が34μm以上である請求項1に記載の電子写真感光体である。
請求項3に係る発明は、
前記下引層が、金属酸化物粒子および下記一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体を含有する請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体である。
前記一般式(1)におけるR 1 およびR 2 の少なくとも一方が炭素数1以上10以下のアルコキシ基を表す請求項3に記載の電子写真感光体である。
請求項5に係る発明は、
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジである。
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置である。
請求項3に記載の発明によれば、一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体以外のアクセプター化合物のみを用いる場合に比べ、画像における焼付きの発生が抑制された電子写真感光体が提供される。
本実施形態に係る電子写真感光体(以下単に「感光体」とも称す)は、導電性基体と、下引層と、電荷発生層と、電荷輸送層と、をこの順に有する。
前記電荷発生層は、結着樹脂を含有し、且つヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を電荷発生層中において47体積%以上60体積%以下含有する。
前記電荷輸送層は、下記式(A)で表されるトリアリールアミン化合物を含有し、且つ平均膜厚が30μm以上40μm以下である。
これは、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を上記下限値以上含有することによって、界面での電荷の蓄積が抑制され、その結果露光部の帯電電位の低下が抑制される為と推察される。
図1に示す感光体は、導電性基体1上に、下引層4、電荷発生層2A、電荷輸送層2Bがこの順に積層された層構成を有し、感光層2は電荷発生層2Aおよび電荷輸送層2Bの2層から構成される。図1に示す感光体においては電荷輸送層2Bが最外表面を構成する最表面層である。
尚、図1では電荷輸送層2Bが最表面層である態様を示したが、更に電荷輸送層2Bの外周面側に保護層等の他の層を設けた態様であってもよい。また、図1では導電性基体1上に下引層4を介して電荷発生層2Aを設けた態様を示したが、下引層4がない態様であってもよい。
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
下引層は、例えば、無機粒子と結着樹脂とを含む層である。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
無機粒子の中でも特に金属酸化物粒子がよい。金属酸化物粒子としては、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛等の粒子が挙げられる。
これらの中でも、金属酸化物粒子としては、残留電位の上昇抑制の観点から、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛の粒子がよい。
金属酸化物粒子の粒径が10nm以上であることにより、金属酸化物粒子の表面積が大きくなり過ぎず、分散液におけるムラの発生が抑制される。一方、金属酸化物粒子の粒径が100nm以下であることにより、2次粒子、またはそれ以上の高次粒子が1μm程度の粒径になることが効果的に抑制され、下引層内で金属酸化物粒子の存在する部分と存在しない部分、いわゆる海島構造となることが抑制され、ハーフトーン濃度のムラなどの画質欠陥の発生が抑制される。
カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、およびアルミネート系カップリング剤から選ばれる少なくとも1種であることがよい。
具体的なカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミネート系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)、イソプロピルトリ(N―アミノエチルーアミノエチル)チタネート等のチタネート系カップリング剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらのカップリング剤は2種以上を混合して使用してもよい。
FT−IR法、29Si固体NMR法、熱分析、XPSなどの分析法があるが、FT−IR法が最も簡便である。FT−IR法では通常のKBr錠剤法でも、ATR法でもよい。少量の処理済金属酸化物粒子をKBrと混合し、FT−IRを測定することで、カップリング剤の処理量を測定する。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
前記電子受容性化合物(アクセプター化合物)の中でも好ましい、アントラキノン誘導体(アントラキノン構造を有する化合物)は、下引層に含有される金属酸化物の表面と化学反応する材料、または金属酸化物の表面に吸着する材料であり、金属酸化物の表面に選択的に存在し得る。
アントラキノン誘導体としては、残留電位の上昇抑制の観点から、下記一般式(1)で示される化合物が望ましい。
R1およびR2が表す炭素数1以上10以下のアルコキシ基(アルコキシル基)としては、直鎖状、または分鎖状のいずれでもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、オクトキシ基等が挙げられる。炭素数1以上10以下のアルコキシ基としては、望ましくは炭素数1以上8以下のアルコキシル基、より望ましくは炭素数1以上6以下のアルコキシル基である。
R1およびR2が表す炭素数1以上10以下のアルコキシ基(アルコキシル基)としては、直鎖状、または分鎖状のいずれでもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、オクトキシ基等が挙げられる。炭素数1以上10以下のアルコキシ基としては、望ましくは炭素数1以上8以下のアルコキシル基、より望ましくは炭素数1以上6以下のアルコキシル基である。
rは、更に2以上10以下であることが好ましい。
尚、下記具体例化合物を以下においては「例示化合物」と称し、例えば下記(1−1)の化合物であれば「例示化合物(1−1)」と称す。
アントラキノン誘導体の含有量が0.1質量%以上であることにより、アクセプター物質の効果が効率的に発現される。また、アントラキノン誘導体の含有量が20質量%以下であることにより、金属酸化物粒子同士の凝集が抑制され、金属酸化物粒子の下引層内での分布のムラが抑制され、良好な導電路が形成される。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/4n(nは上層の屈折率)から1/2λまでに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
図示は省略するが、下引き層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
電荷発生層は、電荷発生材料と結着樹脂とを含む層である。尚、本実施形態では、少なくとも上記電荷発生材料としてヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を含有する。
ヒドロキガリウムシフタロシアニン顔料の含有量は、電荷発生層に対して47体積%以上60体積%以下である。
含有率が47体積%より少ない場合は、電荷の蓄積が抑制されず焼付きの抑制効果が得られない。また、電荷発生機能の低下により求められる光感度が得られない。一方、60体積%を超えると、電荷発生層内部に存在する内因電荷が増加し、電子写真感光体表面の電荷を打ち消すことにより、非画像領域に色点が発生する。
まず、電子写真感光体の感光層の内、電荷発生層より上層を溶剤などで除去することで、電荷発生層を表出させる。その後、電荷発生層をスパチュラ等の金属片により物理的に削り取り、電荷発生層単層の分析用試料を得る。得られた電荷発生層単層の分析用試料を、NMR、ガスクロマトグラフィー、液クロマトグラフィー等で分析し、結着樹脂構造を特定する。次に、特定された結着樹脂を別途用意し、この結着樹脂を溶解し得る溶剤に溶解し、得られた結着樹脂液2μLを15mgのKBr粉末に混合させ、メノウ鉢で十分にすりつぶして、粉末試料を得る。得られた粉末試料を用いて、圧縮成型を行い、FT−IR測定用サンプルを得る。得られた測定用サンプルでFT−IR分析を行い、結着樹脂に固有のピーク波数を特定する。
次に、特定された結着樹脂にヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を、それぞれ40体積%、45体積%、50体積%、55体積%、60体積%、65体積%、70体積%となるよう混合したものに、結着樹脂が溶解する溶剤を選択して分散を行う。分散方法については特に制限はなく、ペイントシェイカーやボールミル、ロールミルなどの公知の手段が用いられる。得られた各ヒドロキシガリウムフタロシアニンの樹脂分散液を、それぞれ2μLを15mgのKBr粉末に混合させ、メノウ鉢で十分にすりつぶして、各ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料含有率ごとの粉末試料を得る。得られた粉末試料を用いて、圧縮成型を行い、FT−IR測定用サンプルを得る。得られた測定用サンプルでFT−IR分析を行い、各ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料含有率ごとのFT−IR波形を得る。
得られた結果から、結着樹脂の固有ピークの面積と、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料固有ピーク(1454cm−1から1519cm−1)の面積を計算し、横軸にヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料含有率を、縦軸に結着樹脂固有ピークの面積とヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料固有ピークの面積の比をとったグラフを作成し、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料含有率の検量線を得る。
さらに、最初に電子写真感光体から物理的に削り取った電荷発生層粉末2μLを15mgのKBr粉末に混合させ、メノウ鉢で十分にすりつぶした後、圧縮成型を行い電荷発生層分析用試料を得る。得られた分析用試料をFT−IRで分析し、得られた結果から、結着樹脂の固有ピークの面積と、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料固有ピーク(1454cm−1から1519cm−1)の面積を計算し、さらに両者の面積比を計算し、先に作成しておいたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料含有率の検量線に当てはめて、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の含有率を確定する。
但し、電荷発生層に含まれる電荷発生材料の内、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が占める割合は、47体積%上であることが好ましく、更に48体積%以上であることがより好ましく、50体積%以上であることが更に好ましい。
これらの中でも、ポリビニルアセタール樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が好ましく用いられる。
ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。これらの結着樹脂は1種を単独あるいは2種以上を混合して用いられる。
なお、この分散の際、電荷発生層形成用塗布液中の電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
・膜厚
電荷輸送層は、平均膜厚が30μm以上40μm以下に制御される。尚、電荷輸送層の平均膜厚は、好ましくは30μm以上38μm以下であり、より好ましくは30μm以上37μm以下である。
電荷輸送層の平均膜厚が30μmより薄いと、長期に渡る使用において電荷輸送層が摩耗し、非画像領域において帯電電位を維持し得なくなり、色点が発生する。また、平均膜厚が40μmを超えると、露光による静電潜像形成時に、電荷輸送層中を電荷が移動する際に、横方向へも電荷が移動することにより潜像のぼやけが発生し、結果として出力画像においてトナーのドットがぼやけ、粒状性の悪化を引き起こす。
また、電荷輸送層には、電荷輸送材料として前述の式(A)で表されるトリアリールアミン化合物が含有される。
但し、電荷輸送層に含まれる電荷輸送材料の内、上記式(A)で表されるトリアリールアミン化合物が占める割合は、10質量%以上であることが好ましく、更に20質量%以上であることがより好ましく、23質量%以上であることが更に好ましい。
なお、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1から1:5までが好ましい。
保護層は、必要に応じて感光層上に設けられる。保護層は、例えば、帯電時の感光層の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度をさらに改善する目的で設けられる。
そのため、保護層は、硬化膜(架橋膜)で構成された層を適用することがよい。これら層としては、例えば、下記1)又は2)に示す層が挙げられる。
2)非反応性の電荷輸送材料と、電荷輸送性骨格を有さず、反応性基を有する反応性基含有非電荷輸送材料と、を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり、非反応性の電荷輸送材料と、当該反応性基含有非電荷輸送材料の重合体又は架橋体と、を含む層)
なお、保護層形成用塗布液は、無溶剤の塗布液であってもよい。
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、電子写真感光体として、上記本実施形態に係る電子写真感光体が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図2に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
図3に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
・下引層の形成
酸化亜鉛(商品名:MZ300、テイカ株式会社製)100部、シランカップリング剤としてN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランの10%のトルエン溶液を10部、トルエン200部を混合して攪拌を行い、2時間還流を行った。その後10mmHgにてトルエンを減圧留去し、135℃で2時間焼き付け表面処理を行った。
表面処理した酸化亜鉛:33部、ブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製):6部、前述の例示化合物(1−9):1部、メチルエチルケトン:25部を30分間混合し、その後ブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−1、積水化学社製):5部、シリコーンボール(商品名:トスパール120、東芝シリコーン社製):3部、レベリング剤としてシリコーンオイル(商品名:SH29PA、東レダウコーニングシリコーン社製):0.01部を添加し、サンドミルにて3時間の分散を行い、下引層形成用塗布液を得た。
さらに、この塗布液を浸漬塗布法にて直径40mm、長さ357mm、肉厚2mmのアルミニウム基材上に塗布し、180℃、30分の乾燥硬化を行い、厚さ25μmの下引層を得た。
次に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料、結着樹脂としての塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(商品名:VMCH、日本ユニカー社製)、およびn−酢酸ブチルからなる混合物を、容量100mLガラス瓶中に、1.0mmφガラスビーズ(充填率50%)と共に入れてペイントシェーカーを用いて2.5時間分散処理し、電荷発生層形成用塗布液を得た。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂の混合物に対して、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の含有率を47.0体積%とし、分散液の固形分は6.0%とした。尚、含有率は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の比重を1.606g/cm3、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂の比重を1.35g/cm3として計算した。
得られた電荷発生層形成用塗布液を、上記の下引層上に浸漬塗布し、100℃で5分間乾燥して、膜厚0.20μmの電荷発生層を形成した。
さらに、下記式(A)で表されるトリアリールアミン化合物2部、下記式(B)で表される化合物2部、およびビスフェノールZポリカーボネート樹脂(分子量4万)6部をテトラヒドロフラン60部に加えて溶解し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
この電荷輸送層形成用塗布液を前記の電荷発生層上に浸漬塗布し、150℃で30分の乾燥を行うことにより膜厚34μmの電荷輸送層を形成した。
得られた電子写真感光体を、電子写真式画像形成装置(富士ゼロックス社製:700 Digital Color Press)に搭載し、画質評価を行った。
画質評価は、A3サイズの用紙に格子パターンを1000枚連続して出力した後、20%濃度の全面ハーフトーン画像(Cyan)を1枚出力し、焼付きと粒状性の評価を行った。さらにその後、全面白色画像を1枚出力し、色点の評価を行った。
画質評価後、さらに20%濃度の全面ハーフトーン画像(Cyan)を1万枚連続出力した後、A3サイズの用紙に格子パターンを1000枚連続して出力し、20%濃度の全面ハーフトーン画像(Cyan)を1枚出力し、焼付きと粒状性の評価を行った。さらにその後、全面白色画像を1枚出力し、色点の評価を行った。
グレード判定はG0乃至G5をG0.5刻みで行い、Gの数値が小さい方が評価結果が良好であることを示す。また、焼付き、粒状性および色点の許容G範囲はG3.5以下である。結果を表1に示す。
実施例1において、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の含有率と電荷輸送層の膜厚を、表1に示す値とした以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価を行った。結果を表1に示す。
Claims (6)
- 導電性基体と、
下引層と、
結着樹脂を含有し、且つヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を層中において47体積%以上54体積%以下含有する電荷発生層と、
下記式(A)で表されるトリアリールアミン化合物を含有し、且つ平均膜厚が30μm以上40μm以下である電荷輸送層と、
をこの順に有する電子写真感光体。
- 前記電荷輸送層の平均膜厚が34μm以上である請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記下引層が、金属酸化物粒子および下記一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体を含有する請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体。
(一般式(1)中、n1およびn2は、各々独立に0以上3以下の整数を表す。但し、n1およびn2の少なくとも一方は、1以上3以下の整数を表す(つまり、n1およびn2が同時に0を表さない)。m1およびm2は、各々独立に0または1の整数を表す。R1およびR2は、各々独立に炭素数1以上10以下のアルキル基、または炭素数1以上10以下のアルコキシ基を表す。) - 前記一般式(1)におけるR 1 およびR 2 の少なくとも一方が炭素数1以上10以下のアルコキシ基を表す請求項3に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
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