JP4762789B2 - 電子写真感光体、およびそれを用いた画像形成方法、画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
電子写真方式の画像形成装置とは一般に、電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電させる帯電器と、帯電器によって帯電させられた電子写真感光体表面に静電潜像を形成する潜像形成器と、潜像形成器によって形成された静電潜像の画像部にトナーを付着させる現像器と、画像部に付着したトナーを被転写物に転写を行う転写手段とを一体に備えたものであり、転写されずに感光体表面に残留したトナーを除去するクリーニング器を必要に応じて具備させたものもある。転写後に感光体表面に残留するトナーは画質劣化の一因となるので、多くの画像形成装置でクリーニング器が採用されている。
クリーニング器としては一般にブラシ、磁気ブラシおよびブレード等が用いられている。ブラシクリーニングはポリエステル、アクリル系の繊維が使用され、ループ状や直毛状等の形状、繊維の硬度及び太さなどを変化させることにより最適化を行ったうえで使用されている。しかしながら、ブラシクリーニングは微粉トナーの除去が十分に行われず、繊維間をすり抜けるなど、十分な除去が困難である。磁気ブラシも同様であり、本手法においては電界印可で静電的に除去することも試みられているが、静電気力により飛散したトナーが再度感光体に付着するなどの現象が生じるために十分なクリーニングは難しい。従って、現在のクリーニング手段としては、残留トナーの除去性、コスト及び小径化等から弾性ブレードを用いたブレードクリーニングが主流である。ブレードクリーニングにおいては感光体表面層がクリーニングブレードおよびトナー等と当接して摺動するために、感光体表面に機械的な摩耗や傷が生じやすい。
上記のような装置構成部材の特性から、感光体の表面には物理的な外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性が要求されてきた。
特に光架橋性樹脂は硬化が非常に早いこと、場所によって光照射条件を変更することで同一平面内でも特性の異なる膜を得ることができるなど、熱硬化型樹脂と比較して汎用性が高く、ユニークな特性を発現させやすい。そのため、硬化部分的に粘着力が異なる粘着テープや微細加工に用いられるエッチングプロセスなどの工業用途でも利用されている。また、塗工液に用いるモノマーは常温で液性を有し、材料によっては粘度が非常に小さく、それのみで塗工が可能であるものが多い。所望の機能を発現させるために比較的粘度の高いモノマー・オリゴマーを用いる場合であっても、少量の溶剤により粘度調整が可能であることから、乾燥工程に要する電力・工数の削減、さらには環境負荷の低減などのメリットも得られる。しかしながら、その一方で、光架橋性樹脂の被積層体が光によって特性変化を起こすことがあり、この場合は材料・工法に工夫が必要となる。例えば、光架橋に対して有効であって、被積層体の特性変化に対して寄与が小さい波長を選択的に照射することや、低露光量で架橋が十分に進行する材料を選択することなどが挙げられる。
このような相反する特性発現傾向を使いこなすためには、少量の光露光量で表面層を硬化させることが有効と考えられるが、単純な光露光量の低減は硬化不良による表面硬度低下を引き起こしたり、それに付随して隣接層(感光体表面層に隣接する感光層、電荷輸送層、電荷発生層などを指す)からの低分子成分の移行などにより電気特性や耐摩耗性、耐傷性の低下などを引き起こす。さらに、硬化が不十分な場合は、未反応の官能基による変異原性や皮膚刺激性などの安全上の問題が生じる。また別の手段として、材料として反応性が早い光硬化型材料や開始剤の選択、もしくは、反応条件として比較的高温下で架橋させることが考えられるが、少量の光照射により光硬化性樹脂の架橋を十分に行うことができる一方で、樹脂の過剰収縮によるクラックなどの欠陥が生じやすい。このため表面層の脆性向上による摩耗耐久性の低下や電気特性の低下を引き起こすことが懸念される。
このように、光硬化型樹脂を表面層に適用する際には注意すべき事項が非常に多く、製造条件などの選定は非常に難しい。しかしながら、光硬化性樹脂の使いこなし技術については詳細に検討されていないのが現状である。
すなわち、本発明に係る電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも感光層、表面層を順に有する電子写真感光体に於いて、該表面層が少なくとも、電荷輸送性構造を有する化合物と、電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーと、1種類以上の連鎖移動剤からなり、光エネルギー照射手段によって架橋せしめてなるものを含むものであることを特徴とするものである。この本発明によれば、光照射による表面層の架橋が比較的早く進行するため、低露光量で十分な架橋状態を有する表面層を得ることが可能であり、光照射によって表面層の架橋と共に生じる感光層の特性変化を抑制することができる。さらに、架橋速度の速い材料に特徴的に見られる架橋収縮に伴うクラック発生を抑制することが可能である。これによって長期に亘って摩耗耐久性に優れ、画像品質に関わる欠陥の発生の少ない優れた電子写真感光体を提供することができる。
電子写真プロセスにおいて、感光体上のトナーをクリーニングする手段としてブレードクリーニング方式が良く用いられている。これは弾性を有するブレードを感光体に押し当てることによって機械的にトナーを除去する方法であり、構造が単純なため小型化が可能であること、またコストが安いこと等のメリットが挙げられる。しかしながら、このクリーニング方法は感光体に機械的応力を付与することから、繰り返し使用による感光体の摩耗、傷付きが発生する。そのため長期に亘って安定した出力画像を提供することが困難である場合が多い。
繰り返し使用による摩耗や傷の発生を抑えるためには感光体表面の硬度、弾性仕事率等に代表される機械的強度が大きいことが有効であり、これら特性を大きくするために種々の手法、材料が開発されている。機械的強度を上げるためには、分子が相互に結合する架橋性材料を用いることが一般的に知られている。架橋性材料は官能基構造、分子構造、官能基数等を選択することにより様々な特性を発現させることが可能であり、所望の機械的強度だけでなく、電子写真感光体として必要とされる電気特性も考慮した分子設計が可能であることから、電子写真感光体向け材料として最近注目されている。
架橋性材料を感光体の表面層に用いることによって、機械的耐久性を飛躍的に向上させることが可能であり、これによって摩耗や傷により生じる画像欠陥を大幅に低減することができる。しかしながら、架橋時に熱や光などのエネルギーを付与する必要が有り、そのために感光層を構成する材料が劣化するために、電気特性の低下や酸化性ガス耐久性の低下などを引き起こすことがある。
本発明はこれらの問題点を改善するためになされたものであり、表面層中に少なくとも1種類以上の連鎖移動剤を配合することによって、低露光量で十分な架橋膜を得ることができ、また、架橋収縮に伴うクラック発生を防止することができる。これによって優れた摩耗耐久性を有する表面層を具備すると同時に、表面層硬化に要する光による感光層への影響を抑制し、優れた電気特性を有する電子写真感光体を提供できることを見いだし、本発明に至った。
以下に本発明の詳細を記載する。
本発明の感光体は、導電性支持体上に少なくとも感光層、表面層をこの順に有する積層体である。感光層としては電荷発生機能と電荷輸送機能を有していれば単層構造をとっても多層構造をとっても良い。実施態様の一例を図1〜図3を用いて説明する。
図1に示した電子写真感光体の断面図は、感光層が単層の場合の一例であり、導電性支持体(31)上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする感光層(34)および表面層(35)が設けられている。ここで記載の表面層(35)は以下に記載する架橋性表面層を示している。
図2および図3に示した電子写真感光体の断面図は、感光層自体も積層構造の場合の例であり、導電性支持体上に電荷発生機能を担う電荷発生層と、電荷輸送機能を担う電荷輸送層とを分離して積層した態様のものである。本態様をとる場合は、図示するとおり導電性支持体上への電荷発生層と電荷輸送層の積層順番は特に限定されることはなく、用途に応じて使い分けることが可能であり、感光体最表面にはさらに表面層が積層されている。
[連鎖移動剤の果たす役割]
電子写真感光体に光架橋性表面層を積層する場合、表面層の架橋に要する光による感光層の特性劣化が問題となることがある。光による感光層の特性劣化は光エネルギーの積算量、すなわち露光量に比例して生じるものと考えられることから、表面層の架橋に要する露光量は少ないほど好ましい。本発明者は、表面層中に連鎖移動剤を配合することによって、比較的少ない露光量で十分な架橋状態を得ることができ、光による感光層の特性劣化抑制に対して非常に効果的であることを見いだした。
連鎖移動剤の作用機構は明確ではないが、光照射により生成されたラジカルがモノマーの付加重合反応を誘引し、反応過程で生じる活性の低い中間体が連鎖移動剤と反応することによって、新たに活性の高いラジカルを生成するものと考えられる。つまり、連鎖移動剤の配合によって見かけ上は活性の高いラジカルの濃度上昇が生じるために速やかな連鎖重合が行われるものと考えられる。
この過程において、連鎖移動剤は低活性のラジカル種に水素を供与してラジカルを発生するか、もしくは酸化された後の脱プロトン化によってラジカルを生成するものと考えられており、連鎖移動剤と反応したモノマー・オリゴマーの官能基はそれ以上の生長反応ができなくなる。この結果、架橋密度の低下に伴う摩耗耐久性の低下が懸念されるが、架橋密度は連鎖移動剤の配合量や温度の調整によって比較的容易に制御可能であるため極端な架橋密度の低下は生じにくい。むしろ、架橋反応中に膜の粘性が極端に高くなりにくいため、反応系におけるモノマーの移動が容易となり、速やかな連鎖重合が行われやすくなるといったメリットを享受できる。また、この作用から明らかなように、反応の早い材料系の欠点の一つである架橋収縮に伴うクラックの発生についても抑制が期待できる。
上述のような連鎖移動剤の作用により、低露光量であっても十分な摩耗耐久性を有する表面層を形成できると共に、架橋表面層の硬化に要する光による感光層の劣化の少ない、優れた電気特性を有する電子写真感光体を得ることが可能であるものと考えられる。
本発明に用いる連鎖移動剤としては、従来より知られている種々の化合物が使用可能である。例えばメルカプト化合物、ジスルフィド化合物などが例示される。この中でも特に電子写真感光体の電気特性の低下を及ぼさない化合物を選択することが好ましい。例えば、連鎖移動剤自体が電子受容性あるいは電子供与性が高い場合には表面層の電荷輸送性能を低下させる恐れがある。また、表面層の架橋に要する光によって連鎖移動剤が分解、変性を起こす場合には、雰囲気中の酸素や、表面層を構成するラジカル重合性官能基を有する化合物と反応し、元は電荷輸送性能に影響を及ぼさない場合であっても、電荷輸送性能を低下させる恐れがある。このため、連鎖移動剤自体が電荷輸送性能に影響を与えないだけでなく、光吸収による分解・変質を起こさないことが望ましい。本願発明に於いては比較的短波長に吸収を有する非芳香族系の連鎖移動剤を用いることが好ましい。また、芳香族系の連鎖移動剤を用いた場合であっても300nm以上における吸光度(光路長10mm/アセトニトリル溶媒/0.015重量%)が0.05以下であることが好ましい。このような電荷輸送性能に影響を及ぼさない連鎖移動剤としてはチオール基を1つ以上有するメルカプト化合物が有効であり、なかでも非芳香族系のメルカプト化合物が好適である。以下に吸光度の測定方法の一例を示す。
《溶媒》 アセトニトリル
《濃度》 0.015重量%
(表面層5μm中に連鎖移動剤が30重量%含有されている場合に相当する濃度)
《条件》 測定モード : 吸光度測定
測定波長 : 200nm〜500nm
連鎖移動剤の官能基数については特に限定されない。但し、本願発明者の実験によると表面層中の官能基密度の増加に伴って電子写真感光体の帯電性低下や機械的強度低下が引き起こす材料も確認されているため、連鎖移動剤を多量に添加することは好ましくない。
連鎖移動剤の配合量は、ラジカル重合性化合物100重量部に対して1重量部以上50重量部以下であると良く、好ましくは2重量部以上30重量部以下である。1重量部以下の配合量では低露光量での架橋が十分に行うことができないため好ましくない。また50重量部以上の配合量では架橋密度低下による著しい摩耗耐久性低下が生じること、また感光体の帯電性低下が発現するなどのため好ましくない。
次に、本発明の表面層の連鎖移動剤以外の構成材料について説明する。
<電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーについて>
本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーとは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、且つラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば特に限定されない。
ラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基が挙げられる。
これらの置換基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
また、X2は上記式(1)のX1と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表わす。ただし、Y,X2の少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。〕
これらの置換基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
なお、これらX1,X2、Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。
本発明に記載の電荷輸送性構造を有する化合物(以下、電荷輸送性材料とも言う)としては、その構造中にラジカル重合性官能基を有していても良いし、有していなくても良いが、表面層に摩耗耐久性を付与するためにはラジカル重合性官能基を有することが好ましい。
ここで、ラジカル重合性官能基を有さない電荷輸送性材料とは、電荷輸送性能を有するがラジカル重合性官能基を含まない化合物を指し、具体的には以下に示すような正孔輸送物質と電子輸送物質とが挙げられる。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
また、ラジカル重合性官能基を有する電荷輸送性材料とは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しており、且つラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。このラジカル重合性官能基としては、先のラジカル重合性モノマーで示したものが挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。
ラジカル重合性官能基を有する電荷輸送性材料の官能基数は特に限定されないが、2官能以上の電荷輸送性材料を用いた場合、硬化時の架橋収縮により表面層にクラックが生じたり、膜内部の残留応力のために、使用中に表面層から膜が剥離しやすくなる。また静電的特性においても、2官能以上の電荷輸送性化合物を用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定されるため、電荷輸送時の中間体構造(カチオンラジカル)が安定して保てず、電荷のトラップによる感度の低下、残留電位の上昇が起こりやすくなる。これらの電気特性の劣化は、画像濃度低下、文字の細り等の画像として現れる。このようなことから、ラジカル重合性基を有する電荷輸送性材料は、1官能のラジカル重合性基を有する電荷輸送性材料を用いることが好ましく、架橋結合間にペンダント状に固定化することにより、クラックや傷の発生、及び静電的特性の安定化しやすくなる。
電荷輸送性構造としてはトリアリールアミン構造の効果が高い。また官能基数が1つであるものが好ましく、さらには下記一般式(3)又は(4)の構造で示される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の電気特性が良好に持続される。
前記一般式(3)、(4)において、R1の置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。
R1の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
該非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR2)であり、R2は前記(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C1〜C12、好ましくはC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C5〜C7の環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基を有していても良い。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表わし、アルキレンエーテル基アルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
ビニレン基は、
置換もしくは未置換のアルキレン基としは、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、前記Xのアルキレンエーテル基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル基としては、カプロラクトン変性基が挙げられる。
また、本発明の表面層は、少なくとも電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー及び電荷輸送性構造を有する化合物、連鎖移動剤からなる架橋表面層であるが、架橋反応を効率よく進行させるために架橋表面層中に重合開始剤を用いることが好ましい。
熱重合開始剤としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸などのアゾ系開始剤が挙げられる。
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、などのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、などのチオキサントン系光重合開始剤、ビス(シクロペンタジエニル)−ジ−クロロ−チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ジ−フェニル−チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,3,4,5,6ペンタフルオロフェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピロール−1−イル)フェニル)チタニウムなどのチタノセン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、が挙げられる。また、光重合促進効果を有するものを単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
これらの重合開始剤は単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性を有する化合物100重量部に対し、0.01〜40重量部、好ましくは0.1〜25重量部である。
更に、本発明の塗工液は必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上の目的)、レベリング剤などの添加剤が含有できる。これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分に対し20重量部以下、好ましくは10重量部以下に抑えると良い。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分に対し3重量部以下が適当である。
本発明の表面層用塗工液は、電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーが液体である場合、これに他の成分を分散・溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。このとき用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよい。溶媒による希釈率は組成物の溶解性、塗工法、目的とする膜厚により変わり、任意である。塗工は、浸漬塗工法やスプレ塗工、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができるが、感光層を浸食せずに表面層を形成する場合にはスプレ塗工方式が最適である。
本発明においては、かかる塗工液を塗布後、外部からエネルギーを与えることにより、表面層を硬化させる。このとき用いられる外部エネルギーとしては、光エネルギーが主に用いられる。
光エネルギーとしては、主に超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアークメタルハライドランプ等の光源を利用してもよい、好ましくは使用する電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーや電荷輸送性構造を有する化合物、さらには併用する光重合開始剤、増感色素の吸収特性を考慮して選定することが良い。使用光源の発光照度としては、保護膜形成用材料の処方等にもよるが、一般に365nmの波長を基準として50mW/cm2〜2000mW/cm2の照度で被照射体を照射すると良い。照射時間としては表面層処方によって適宜選択されるが、30秒〜240秒間照射すると良い。また、最大発光波長近傍における照度測定が可能である場合は、上記照度域で露光することがさらに好ましい。照度が小さい場合には硬化に要する時間が多くなるため、生産性の観点から好ましくない。一方、照度が大きい場合には硬化収縮が起こりやすく、表面にゆず肌状の欠陥や亀裂が生じたり、隣接層との界面で剥離が生じることがある。
UV照射時には光源からの生じる熱線などの影響により、感光体表面層の温度が上昇する。感光体表面温度が上昇しすぎると、表面層の硬化収縮が起こりやすいこと、隣接層中に含まれる低分子成分が表面層に移行するために、硬化阻害などが生じたり、電子写真感光体としての電気特性が低下するなど好ましくない。そのためUV照射時の感光体表面温度は100℃以下、好ましくは80℃以下にするとよい。冷却方法としては感光体内部への助冷剤封入、感光体内部の気体や液体による冷却などを使用することができる。
表面層の膜厚としては、感光層の保護の観点から2〜20μm以下が良く、好ましくは3〜15μmがよい。表面層が薄い場合には感光体への当接部材による機械的摩耗や帯電器などによる近接放電などから感光層を保護できなくなるだけでなく、膜形成時にレベリングされにくくなるために、膜表面がゆず肌状になることがある。また、本発明で記載しているように表面層に遮光機能を付与している場合には表面層硬化時に感光層まで透過する光が多くなるため、感光層構成材料の劣化が生じやすくなる。一方、表面層が厚い場合には感光体全層が厚くなり、電荷の拡散による画像の再現性が低下するため好ましくない。
表面層/感光層間での接着性不良による層間剥離を防ぐことを目的として、必要に応じて両層間に接着層を設けても良い。
接着層としては前記ラジカル重合性モノマーを用いても良いし、非架橋系の高分子化合物を用いても良い。非架橋系の高分子化合物としてはポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられるがこれに限定されない。また、ラジカル重合性モノマーと非架橋系高分子化合物はいずれを用いる場合についても単独で用いても良いし、2種以上の混合物として用いても良い。さらには、十分な接着性が得られるならばラジカル重合性モノマーと非架橋系高分子化合物を併用しても良い。もちろん、本明細書に記載の電荷輸送材料を用いても、併用しても良い。また、接着性を向上することを目的とすれば、適宜添加剤を用いても良い。
接着層は所定の配合に処方された化合物をテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒に溶解・分散した塗工液を浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。接着層の膜厚は、0.1〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜3μmが最も適当である。
次に感光層について説明する。前記のとおり、感光層は機能分離型積層構造であっても良いし、単層構造をとっても良い。積層構造の場合には、感光層は一般に電荷発生層と電荷輸送層から形成される。また、単層構造の場合には感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。以下、積層構造の感光層および単層構造の感光層のそれぞれについて述べる。
電荷発生機能および電荷輸送機能をそれぞれ独立した層が担うため、感光層層構成としては少なくとも導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層が積層された構成を取る。積層順については特に限定されないが、多くの電荷発生材料は化学的安定性に乏しく、電子写真作像プロセスにおける帯電器周辺での放電生成物のような酸性ガスにさらされると電荷発生効率の低下などを引き起こす。このため、電荷発生層の上に電荷輸送層を積層することが好ましい。
電荷発生層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリアリールアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。バインダー樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。バインダー樹脂の添加は、分散前あるいは分散後どちらでも構わない。
電荷発生層を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。また、後者のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
電荷輸送層は、電荷輸送機能を有する層で、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする層である。
電荷輸送物質としては、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電荷輸送物質としては、前記表面層の項で記載したように正孔輸送物質と電子輸送物質とが挙げられる。表面層に用いられる電荷輸送物質としては、前記の電荷輸送性構造を有する化合物であって、重合性官能基を有しないものを主に用いることができる。また、表面層と感光層間の接着性を向上させるなどのために重合性官能基を有する電荷輸送物質を併用しても良い。電荷輸送層に用いる電荷輸送物質は上記重合性官能基を有しない化合物を単独で用いても良いし、重合性官能基を有しない化合物または/かつ有する化合物を併用しても良い。
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。また、バインダー樹脂として、電荷輸送機能を有する高分子電荷輸送物質、例えば、アリールアミン骨格やベンジジン骨格やヒドラゾン骨格やカルバゾール骨格やスチルベン骨格やピラゾリン骨格等を有するポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン、アクリル樹脂等の高分子材料やポリシラン骨格を有する高分子材料等を用いることも可能であり、有用である。
電荷輸送物質の量はバインダー樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。但し、高分子電荷輸送物質を用いる場合は、単独で使用しても良いし、バインダー樹脂と併用してもよい。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。これらは単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。
また、必要により可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。電荷輸送層に用いられる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。電荷輸送層に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
電荷輸送層の膜厚は解像度・応答性の点から、30μm以下とすることが好ましく、25μm以下がより好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)に異なるが、5μm以上が好ましい。
単層構造の感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。感光層は電荷発生物質および電荷輸送物質およびバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
バインダー樹脂としては先に電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂のほかに、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。バインダー樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。感光層は、電荷発生物質、バインダー樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。感光層の膜厚は、5〜25μm程度が適当である。
本発明の感光体においては、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、表面層、接着層、感光層(積層光性の場合は少なくとも電荷発生層、電荷輸送層)、下引き層、中間層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
<フェノール系化合物>
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3′−ビス(4′−ヒドロキシ−3′−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
<パラフェニレンジアミン類>
N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジメチル−N,N′−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
<ハイドロキノン類>
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
<有機硫黄化合物類>
ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3′−チオジプロピオネートなど。
<有機燐化合物類>
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して0.01〜10重量部である。
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
電子写真感光体の低表面エネルギー化によるクリーニング性向上や、電気的・機械的ハザードからの保護を目的として、電子写真感光体の表面に保護物質を塗布しても良い。
保護物質としては電子写真感光体表面に均一に塗布できるものであれば種々の材料を使うことが可能であるが、ワックス、シリコーンオイル、脂肪酸塩のような材料が有効である。脂肪酸塩は電子写真感光体の電気特性の低下を引き起こさずに感光体表面に薄層均一塗布が可能であることから特に有効である。脂肪酸としてはウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンダデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、アラキドン酸、カプリル酸、カプリン酸、カプロン酸などが挙げられ、その金属塩としては亜鉛、鉄、銅、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムなどの金属との塩が挙げられる。
さらに保護物質としてはステアリン酸亜鉛のようなラメラ結晶粉体を使用すると好適である。ラメラ結晶は両親媒性分子が自己組織化した層状構造を有しており、せん断力が加わると層間にそって結晶が割れて滑りやすい。この作用が低摩擦係数化に効果があるのであるが、放電からの感光体表面保護の観点から見た場合にも、せん断力を受けて均一に感光体表面を覆っていくラメラ結晶の特性は少量の保護物質によって効果的に感光体表面を覆うことが出来るので保護物質として望ましい。
保護物質の塗布方法については特に限定されないが、例えば、クリーニング部材など感光体に当接する部材にあらかじめ保護物質を塗布させておく方法や、専用の塗布部材をプロセスカートリッジと一体とする方法が挙げられる。専用の塗布部材を設ける場合は長期に亘って安定した量を塗布することができるため好ましい。
次に図面に基づいて本発明の画像形成装置および画像形成装置用プロセスカートリッジを詳しく説明する。
本発明の画像形成装置とは、本架橋表面層を有した感光体を用い、例えば少なくとも感光体に帯電、画像露光、現像の過程を経た後、画像保持体(転写紙)へのトナー画像の転写、定着及び感光体表面のクリーニングというプロセスよりなるものである。
場合により、静電潜像を直接転写体に転写し現像する画像形成装置では、感光体に配した上記プロセスを必ずしも有するものではない。
次に、均一に帯電された感光体(1)上に静電潜像を形成するために画像露光部(5)が用いられる。この光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
次に、感光体(1)上に形成された静電潜像を可視化するために現像ユニット(6)が用いられる。現像方式としては、乾式トナーを用いた一成分現像法、二成分現像法、湿式トナーを用いた湿式現像法がある。感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
次に、感光体上で可視化されたトナー像を転写体(9)上に転写するために転写チャージャ(10)が用いられる。また、転写をより良好に行なうために転写前チャージャ(7)を用いてもよい。これらの転写手段としては、転写チャージャ、バイアスローラーを用いる静電転写方式、粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式、磁気転写方式が利用可能である。静電転写方式としては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、転写体(9)を感光体(1)より分離する手段として分離チャージャ(11)、分離爪(12)が用いられる。その他分離手段としては、静電吸着誘導分離、側端ベルト分離、先端グリップ搬送、曲率分離等が用いられる。分離チャージャ(11)としては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、転写後感光体上に残されたトナーをクリーニングするためにファーブラシ(14)、クリーニングブレード(15)が用いられる。また、クリーニングをより効率的に行なうためにクリーニング前チャージャ(13)を用いてもよい。その他クリーニング手段としては、ウェブ方式、マグネットブラシ方式等があるが、それぞれ単独又は複数の方式を一緒に用いてもよい。
次に、必要に応じて感光体上の潜像を取り除く目的で除電手段が用いられる。除電手段としては除電ランプ(2)、除電チャージャが用いられ、それぞれ前記露光光源、帯電手段が利用できる。
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは公知のものが使用できる。
この画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でそれら装置内に組み込まれ、着脱自在としたものであってもよい。プロセスカートリッジの一例を図5に示す。
画像形成装置用プロセスカートリッジとは、感光体(101)を内蔵し、他に帯電手段(102)、現像手段(104)、転写手段(106)、クリーニング手段(107)、除電手段(図示せず)の少なくとも一つを具備し、画像形成装置本体に着脱可能とした装置(部品)である。
図5に例示される装置による画像形成プロセスについて示すと、感光体(101)は、矢印方向に回転しながら、帯電手段(102)による帯電、露光手段(103)による露光により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成され、この静電潜像は、現像手段(104)でトナー現像され、該トナー現像は転写手段(106)により、転写体(105)に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の感光体表面は、クリーニング手段(107)によりクリーニングされ、さらに除電手段(図示せず)により除電されて、再び以上の操作を繰り返すものである。
《感光体の作製方法》
φ30mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布、乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、18μmの電荷輸送層を形成した。
〔下引き層用塗工液〕
・アルキッド樹脂 6部
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業製)
・メラミン樹脂 4部
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製)
・酸化チタン 40部
・メチルエチルケトン 50部
・下記構造式(1)のビスアゾ顔料 2.5部
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC製) 0.5部
・シクロヘキサノン 200部
・メチルエチルケトン 80部
・ビスフェノールZポリカーボネート 10部
(パンライトTS−2050、帝人化成製)
・下記構造式(2)の低分子電荷輸送物質 7部
・テトラヒドロフラン 100部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 1部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
・電荷輸送性構造を有する化合物 95重量部
n−ブチル−3−メルカプトプロピオネート
・光重合開始剤 10重量部
2-hydroxy-1-{4-[4-(2-hydroxy-2-methyl-propionyl)-benzyl]-phenyl}-2-methyl-propan-1-one
(イルガキュア−127,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・テトラヒドロフラン 1200重量部
実施例1の表面層用塗工液に用いた電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーを下記のものに変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
・電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性化合物 95重量部
実施例1の表面層用塗工液に用いた電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーを下記のものに変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
・電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性化合物 95重量部
実施例1〜3の表面層塗工液に用いた電荷輸送性構造を有する化合物を、下記のラジカル重合性化合物に変更した以外は実施例1〜3と同様にして電子写真感光体を作製した。
・電荷輸送性構造を有する化合物 95重量部
実施例4〜6の表面層塗工液に用いた連鎖移動剤を、下記の化合物に変更した以外は実施例4〜6と同様にして電子写真感光体を作製した。
・連鎖移動剤 10重量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート
実施例4〜6の表面層塗工液に用いた連鎖移動剤を、下記の化合物に変更した以外は実施例4〜6と同様にして電子写真感光体を作製した。
・連鎖移動剤 10重量部
トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)
実施例4〜6の表面層塗工液に用いた連鎖移動剤を、下記の化合物に変更した以外は実施例4〜6と同様にして電子写真感光体を作製した。
・連鎖移動剤 10重量部
ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)
実施例5の表面層塗工液に用いた連鎖移動剤の配合量を15重量部に変更した以外は実施例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例5の表面層塗工液に用いた連鎖移動剤の配合量を25重量部に変更した以外は実施例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例11の表面層塗工液に用いた連鎖移動剤の配合量を15重量部に変更した以外は実施例11と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例14の表面層塗工液に用いた連鎖移動剤の配合量を15重量部に変更した以外は実施例14と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例5の表面層塗工液に用いた連鎖移動剤の配合量を0.1重量部に変更した以外は実施例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例20の表面硬化におけるUV照射時間を150秒とした以外は実施例20と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例5の表面層塗工液に用いた連鎖移動剤の配合量を35重量部に変更した以外は実施例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例5の表面層塗工液に用いた電荷輸送性構造を有する化合物を下記のラジカル重合性化合物に変更した以外は実施例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
・電荷輸送性構造を有する化合物 95重量部
実施例5の表面層塗工液に用いた連鎖移動剤を、下記の化合物に変更した以外は実施例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
・連鎖移動剤 10重量部
ジ−t−ブチルジスルフィド
実施例5の表面層塗工液に用いた連鎖移動剤を、下記の化合物に変更した以外は実施例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
・連鎖移動剤 10重量部
ベンゾチアゾール−2−チオール
実施例5の表面層塗工液に用いた連鎖移動剤を、下記の化合物に変更した以外は実施例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
・連鎖移動剤 10重量部
ジベンゾチアジルジスルフィド
実施例2の表面層塗工液を、下記配合とした以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・構造式(3)で示される電荷輸送性構造を有する化合物 95重量部
・構造式(5)で示される電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性化合物
95重量部
・光重合開始剤 10重量部
2-hydroxy-1-{4-[4-(2-hydroxy-2-methyl-propionyl)-benzyl]-phenyl}-2-methyl-propan-1-one
(イルガキュア−127,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・テトラヒドロフラン 1200重量部
比較例1の表面硬化におけるUV照射時間を150秒とした以外は比較例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
比較例1の表面硬化におけるUV照射時間を240秒とした以外は比較例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例4の表面層塗工液として、連鎖移動剤を配合しない下記処方とした以外は実施例4と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・構造式(7)で示される電荷輸送性構造を有する化合物 95重量部
・構造式(4)で示される電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性化合物
95重量部
・光重合開始剤 10重量部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュアI−184,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・テトラヒドロフラン 1200重量部
実施例5の表面層塗工液として、連鎖移動剤を配合しない下記処方とした以外は実施例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・構造式(7)で示される電荷輸送性構造を有する化合物 95重量部
・構造式(5)で示される電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性化合物
95重量部
・光重合開始剤 10重量部
2-hydroxy-1-{4-[4-(2-hydroxy-2-methyl-propionyl)-benzyl]-phenyl}-2-methyl-propan-1-one
(イルガキュア−127,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・テトラヒドロフラン 1200重量部
実施例6の表面層塗工液として、連鎖移動剤を配合しない下記処方とした以外は実施例6と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・構造式(7)で示される電荷輸送性構造を有する化合物 95重量部
・構造式(6)で示される電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性化合物
95重量部
・光重合開始剤 10重量部
2-hydroxy-1-{4-[4-(2-hydroxy-2-methyl-propionyl)-benzyl]-phenyl}-2-methyl-propan-1-one
(イルガキュア−127,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・テトラヒドロフラン 1200重量部
比較例4〜6の表面硬化におけるUV照射時間を150秒とした以外は比較例4〜6と同様にして電子写真感光体を作製した。
比較例4〜6の表面硬化におけるUV照射時間を240秒とした以外は比較例4〜6と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例23の表面層塗工液として、連鎖移動剤を配合しない下記処方とした以外は実施例23と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・構造式(8)で示される電荷輸送性構造を有する化合物 95重量部
・構造式(6)で示される電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性化合物
95重量部
・光重合開始剤 10重量部
2-hydroxy-1-{4-[4-(2-hydroxy-2-methyl-propionyl)-benzyl]-phenyl}-2-methyl-propan-1-one
(イルガキュア−127,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・テトラヒドロフラン 1200重量部
比較例13の表面硬化におけるUV照射時間を150秒とした以外は比較例13と同様にして電子写真感光体を作製した。
比較例1の表面硬化におけるUV照射時間を240秒とした以外は比較例13と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例2に記載の表面層塗工液として、電荷輸送性構造を有する化合物を配合しない下記処方とした以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・構造式(5)で示される電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性化合物
95重量部
・光重合開始剤 5重量部
[2-hydroxy-1-{4-[4-(2-hydroxy-2-methyl-propionyl)-benzyl]-phenyl}-2-methyl-propan-1-one(イルガキュア−127,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)]
・連鎖移動剤 5重量部
[n−ブチル−3−メルカプトプロピオネート]
・テトラヒドロフラン 600重量部
《硬化性試験》
スライドガラス上にドライ膜厚5μmになるように表面層塗工液を塗布し、スライドガラスが設置できるアルミ素管を準備し、塗工液塗布面を内側になるように設置し各実施例・比較例で取り決めた条件でUV照射を行った(スライドガラスの裏面からUV照射を行った)。この後、130℃の温度で30分の乾燥を行ったものを供試体とした。
本供試体の塗膜最表面は本発明における表面層/感光層の界面状態を再現していると考えられることから、本供試体表面の溶剤に対する溶解性を調べることによって本発明における表面層の内部硬化性を評価した。塗膜の溶解性は、作製した供試体の塗膜表面をTHFを含ませた綿棒で10回摺擦し、塗膜表面の変化を確認することで評価した。
作製した感光体を電子写真装置用プロセスカートリッジに装着し、画像露光光源として655nmの半導体レーザーを用いたリコー製imagio Neo 271改造機にて初期暗部電位を−750Vに設定する。その後通紙試験を開始し、初期及び3万枚、5万枚で膜厚測定を行い、A4用紙の通紙ランニングを実施する。通紙終了時の電気特性として初期暗部電位測定部分と同じ場所において暗部、露光部電位を測定する。なお感光体の膜厚は渦電流式膜厚測定装置(フィッシャーインスツルメント製)を用いて測定した。
実施例1〜26および比較例1〜16について、硬化性試験の結果を表1に示す。
次に、実施例2,4〜6,8,11,14,16〜26、比較例3,10〜12,15,16で得られた電子写真感光体を用いて耐久性試験を実施した結果を表2に示す。
一方で比較例3,10〜12に示した電子写真感光体は、摩耗量は大きくないが、初期から露光部電位が比較的高く、実施例で示した電子写真感光体と比較して画像濃度が薄くなる傾向が見られた。また、通紙に従って暗部帯電電位の低下および露光部電位の上昇が見られ、5万枚ランニング後において、暗部電位低下は50〜60V、露光部電位上昇は40〜60V確認された。これは過剰なUV露光によって感光層の劣化が生じることが主要因と思われる。比較例15に示した電子写真感光体は4万枚ランニング終了時点で電子写真感光体全域で細かいひび割れの発生を確認したため5万枚ランニングにおける評価が不可能であった。これは官能基数の多い架橋性電荷輸送性材料を用いたため、架橋収縮が大きくなり、ランニング中における感光層/表面層間の剥離および内在応力による亀裂発生が主要因と考えられる。比較例16に示した電子写真感光体は初期から露光部電位が非常に高く、数枚で露光部電位が−500Vを上回る現象がみられたため、通紙を断念した。
以上のように、本発明の実施例2,4〜6,8,11,14,16〜26の電子写真感光体は5万枚の耐久性試験において、膜厚減少量が少なく良好な電気特性を維持していることが示された。
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写体
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
31 導電性支持体
32 電荷発生層
33 電荷輸送層
34 感光層
35 表面層
101 感光体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 転写体
106 転写手段
107 クリーニング手段
Claims (11)
- 導電性支持体上に少なくとも感光層、表面層を順に有する電子写真感光体において、該表面層が少なくとも、電荷輸送性構造を有する化合物と、電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーと、1種類以上の連鎖移動剤からなり、
かつ、前記連鎖移動剤がチオール基を1個有するメルカプト化合物であり、
前記表面層中に含まれる連鎖移動剤の配合量が、前記表面層に含有される電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー100重量部に対して15.8重量部以上、36.8重量部以下であり、
光エネルギー照射手段によって架橋せしめてなるものを含むものであることを特徴とする電子写真感光体。 - 前記連鎖移動剤が、n−ブチル−3−メルカプトプロピオネートであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記表面層に用いられる電荷輸送性構造を有する化合物の電荷輸送性構造がトリアリールアミン構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 前記表面層に用いられる電荷輸送性構造を有する化合物が、ラジカル重合性官能基を有するものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の電子写真感光体。
- 前記表面層に用いられる電荷輸送性構造を有する化合物のラジカル重合性官能基が、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項4に記載の電子写真感光体。
- 前記表面層に用いられる電荷輸送性構造を有する化合物のラジカル重合性官能基の数が1つであることを特徴とする請求項4または5に記載の電子写真感光体。
- 前記表面層に用いられる電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーの官能基がアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の電子写真感光体。
- 前記表面層に用いられる電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーの官能基の数が3個以上であることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の電子写真感光体。
- 請求項1乃至8の何れかに記載の電子写真感光体を用いて、少なくとも電子写真感光体を帯電させる帯電プロセスと、帯電プロセスによって帯電させられた電子写真感光体表面に静電潜像を形成する潜像形成プロセスと、潜像形成プロセスによって形成された静電潜像にトナーを付着させる現像プロセスと、現像プロセスによって形成されたトナー像を被転写体に転写させる転写プロセスとを繰り返し行うことを特徴とする画像形成方法。
- 請求項1乃至8の何れかに記載の電子写真感光体と、少なくとも電子写真感光体を帯電させる帯電器と、帯電器によって帯電させられた電子写真感光体表面に静電潜像を形成する潜像形成器と、潜像形成器によって形成された静電潜像にトナーを付着させる現像器と、現像器によって形成されたトナー像を被転写体に転写させる転写器とを有する画像形成装置。
- 請求項1乃至8の何れかに記載の電子写真感光体と、少なくとも電子写真感光体を帯電させる帯電器と、帯電器によって帯電させられた電子写真感光体表面に静電潜像を形成する潜像形成器と、潜像形成器によって形成された静電潜像にトナーを付着させる現像器と、現像器によって形成されたトナー像を被転写体に転写させる転写器と、転写後に電子写真感光体表面に残留したトナーを電子写真感光体表面から除去するクリーニング器からなる群から選ばれた一つの手段を有するものであって、画像形成装置本体に着脱可能としたことを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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