JP5772384B2 - 画像形成装置、及びプロセスカートリッジ - Google Patents

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本発明は、画像形成装置、及びプロセスカートリッジに関する。
電子写真方式の画像形成装置は、一般的には、次の如き構成及びプロセスを有するものである。
即ち、電子写真感光体表面を帯電手段で所定の極性及び電位に帯電させ、帯電後の電子写真感光体表面を、像露光により選択的に除電することにより静電潜像を形成させた後、現像手段で該静電潜像にトナーを付着させることにより、潜像をトナー像として現像し、トナー像を転写手段で被転写媒体に転写させることにより、画像形成物として排出させるといったものである。
電子写真感光体の表面に保護層を設けて強度を向上させることが提案されている。
保護層を形成する材料系としては、以下のものが提案されている。
即ち、例えば、特許文献1には、導電粉をフェノール樹脂に分散したものが、特許文献2には、有機−無機ハイブリッド材料によるものが、特許文献3には、アルコール可溶性電荷輸送材料とフェノール樹脂によるものが、それぞれ開示されている。
また、特許文献4には、アルキルエーテル化ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂と、電子受容性カルボン酸、或いは、電子受容性ポリカルボン酸無水物の硬化膜が、特許文献5には、ベンゾグアナミン樹脂に、ヨウ素、有機スルホン酸化合物、或いは、塩化第二鉄などをドーピングした硬化膜が、特許文献6には、特定の添加剤と、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シロキサン樹脂、或いはウレタン樹脂との硬化膜が、保護層として開示されている。
また、近年ではアクリル系材料による保護層が注目されている。例えば、特許文献7には、光硬化型アクリル系モノマーを含有する液を硬化した膜が、特許文献8には、炭素−炭素二重結合を有するモノマー、炭素−炭素二重結合を有する電荷移動材、及びバインダー樹脂の混合物を、熱或いは光のエネルギーによって前記モノマーの炭素−炭素二重結合と前記電荷移動材の炭素−炭素二重結合とを反応させることにより形成された膜が、特許文献11、12には、同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を重合した化合物からなる膜が、保護層として開示されている。また、特許文献11には、スチリル基変性した正孔輸送性化合物を重合した化合物からなる膜を用いた電子写真感光体が開示されてる。
これら連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物は、硬化条件、硬化雰囲気等の影響を強く受けることから、例えば、特許文献14には、真空中、或いは不活性ガス中で放射線照射後に加熱されることによって形成された膜が、特許文献15には、不活性ガス中で加熱硬化された膜が開示されている。
更に、例えば、特許文献8、16には、電荷輸送材料自身をアクリル変性し、架橋可能とすると共に、電荷輸送性を有さない反応性モノマーを添加し、膜強度を向上させることも開示されている。
更に、反応物、硬化膜による保護層としては以下のようなものも提案されている。
例えば、特許文献17には、電荷輸送材料自身を3官能以上の多官能に変性し、これを重合した化合物を含有する保護層が開示されている。また、特許文献18,19には、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送物質の重合物を保護層に使用する技術が開示されており、また、摩擦特性を向上させるために、潤滑剤としてフッ素原子含有化合物を保護層中に含有する技術が開示されている。加えて、特許文献20には、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送物質の濃度を最表面から内部に向かって傾斜を持たせることで、機械特性と電気特性を両立できることが開示されている。
また、中間転写ベルトを使用した画像形成装置として、以下のようなものも提案されている。
例えば、特許文献21には、電子写真感光体の中間層の膜厚が15μm以上であり、かつ、前記中間層が金属酸化物微粒子及び結着樹脂を含み、更に、中間転写体表面のダイナミック硬度が22×10N/m以上33×10N/m以下であるものが、特許文献22には、中間転写ベルト表面のダイナミック硬度が30.8×10〜36×109N/mであり、感光体表面のダイナミック硬度が7×10〜9.5×10N/mであり、下引層が金属酸化物微粒子及び結着樹脂を有し膜厚が7μm以上である画像形成装置が開示されている。
特許第3287678号公報 特開平12−019749号公報 特開2002−82469号公報 特開昭62−251757号公報 特開平7−146564号公報 特開平2006−84711号公報 特開平5−40360号公報 特開平5−216249号公報 特開平5−323630号公報 特開平11−52603号公報 特開2000−206715号公報 特開2001−166509号公報 特許第2852464号公報 特開2004−12986号公報 特開平7−72640号公報 特開2004−302450号公報 特開2000−206717号公報 特開2001−175016号公報 特開2001−166510号公報 特開2007−86522号公報 特許第4196768号公報 特許第4622393号公報
本発明の課題は、電子写真感光体や中間転写体への付着物の発生が抑制され、黒点を発生しにくく、かつ、高温高湿環境下において、繰り返し画像形成したときの画質の低下が抑制される画像形成装置を提供することにある。
上記課題は、以下の本発明によって達成される。即ち、
請求項1に係る発明は、
導電性基体と、前記導電性基体上に配置され、金属酸化物粒子及び結着樹脂を含有し、膜厚が7μm以上である下引層と、前記下引層上に配置された感光層と、を有する電子写真感光体であって、最表面層として、下記一般式(II)で表される反応性化合物から選択される少なくとも1種の反応性化合物の重合体を含む層を有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電装置と、
帯電された前記電子写真感光体の表面を露光して該表面に静電潜像を形成する露光装置と、
体積平均粒径が3μm以上5.5μm以下のトナーを含む現像剤を収容し、前記静電潜像を前記現像剤で現像してトナー像を形成する現像装置と、
表面のダイナミック硬度が29×10N/m以上38×10N/m以下である中間転写体を有し、前記トナー像を前記中間転写体に1次転写し、前記中間転写体上の1次転写像を被転写媒体に2次転写する転写装置と、
を備える画像形成装置。


(一般式(II)中、Fは、電荷輸送性骨格を示す。L’は、アルキレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を組み合わせてなる(n+1)価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。m’は、1以上6以下の整数を示す。nは、2以上3以下の整数を示す。)
請求項2に係る発明は
記一般式(II)で表される反応性化合物が、下記一般式(III)で表され、且つ下記一般式(III)中のDが下記一般式(V)で表される基を示す反応性化合物である請求項1に記載の画像形成装置。


(一般式(III)中、Ar〜Arは、それぞれ独立に、置換若しくは未置換のアリール基を示す。Arは、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示す。c1〜c5は、それぞれ独立に、0以上2以下の整数を示す。但し、全てのc1〜c5は、同時に0を示すことはない。kは、0又は1の整数を示す。)


(一般式(V)中、L’は、アルキレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を組み合わせてなる(n+1)価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。nは、2以上3以下の整数を示す。)
請求項3に係る発明は、
前記一般式(V)で表される基は、下記一般式(VIII)、又は下記一般式(IX)で表される基を示す請求項2に記載の画像形成装置。


(一般式(VIII)及び(IX)中、Y、及びY’は、2価の有機基を示す。q、及びq’は、0、又は1の整数を示す。)
請求項に係る発明は、
前記最表面層が、樹脂粒子を含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の画像形成装置。
請求項に係る発明は、
前記樹脂粒子が、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化エチレ
ンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン
樹脂、及びこれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂の粒子である請求項に記載の画像形成装置。
請求項に係る発明は、
前記中間転写体が、ポリイミド樹脂とカーボンブラックとを含んで構成されている請求項1〜のいずれか1項に記載の画像形成装置。
請求項に係る発明は、
導電性基体と、前記導電性基体上に配置され、金属酸化物粒子及び結着樹脂を含有し、膜厚が7μm以上である下引層と、前記下引層上に配置された感光層と、を有する電子写真感光体であって、最表面層として、下記一般式(II)で表される反応性化合物から選択される少なくとも1種の反応性化合物の重合体を含む層を有する電子写真感光体と、
体積平均粒径が3μm以上5.5μm以下のトナーを含む現像剤を収容し、静電潜像を前記現像剤で現像してトナー像を形成する現像装置、および、
表面のダイナミック硬度が29×10N/m以上38×10N/m以下である
中間転写体を有し、前記トナー像を前記中間転写体に1次転写し、前記中間転写体上の1次転写像を被転写媒体に2次転写する転写装置から選ばれる少なくとも1つと、
を備え、
画像形成装置に着脱し得るプロセスカートリッジ。


(一般式(II)中、Fは、電荷輸送性骨格を示す。L’は、アルキレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を組み合わせてなる(n+1)価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。m’は、1以上6以下の整数を示す。nは、2以上3以下の整数を示す。)
請求項1、2、3に係る発明によれば、金属酸化物粒子及び結着樹脂を含有し、膜厚が7μm以上である下引層を有し、且つ最表面層として、下記一般式(II)で表される反応性化合物から選択される少なくとも1種の反応性化合物の重合体を含む層を有する電子写真感光体と、体積平均粒径が3μm以上5.5μm以下のトナーを含む現像剤を収容し、前記静電潜像を前記現像剤で現像してトナー像を形成する現像装置と、表面のダイナミック硬度が29×109N/m2以上38×109N/m2以下である中間転写体と、を組み合わせない場合に比べ、電子写真感光体や中間転写体への付着物の発生が抑制され、黒点を発生しにくく、かつ、高温高湿環境下において、繰り返し画像形成したときの画質の低下が抑制される画像形成装置を提供できる。
請求項4、5に係る発明によれば、最表面層に樹脂粒子を含まない場合に比べ、高温高湿環境下において、繰り返し画像形成したときの画質の低下が抑制される画像形成装置を提供できる。
請求億に係る発明によれば、ポリイミド樹脂とカーボンブラックとの組成以外の中間転写体を適用した場合に比べ、電子写真感光体や中間転写体への付着物の発生が抑制され、黒点を発生しにくく、かつ、高温高湿環境下において、繰り返し画像形成したときの画質の低下が抑制される画像形成装置を提供できる。
請求項に係る発明によれば、金属酸化物粒子及び結着樹脂を含有し、膜厚が7μm以上である下引層を有し、且つ最表面層として、下記一般式(II)で表される反応性化合物から選択される少なくとも1種の反応性化合物の重合体を含む層を有する電子写真感光体と、体積平均粒径が3μm以上5.5μm以下のトナーを含む現像剤を収容し、前記静電潜像を前記現像剤で現像してトナー像を形成する現像装置と、または、表面のダイナミック硬度が29×109N/m2以上38×109N/m2以下である中間転写体と、を組み合わせない場合に比べ、電子写真感光体や中間転写体への付着物の発生が抑制され、黒点を発生しにくく、かつ、高温高湿環境下において、繰り返し画像形成したときの画質の低下が抑制されるプロセスカートリッジを提供できる。
本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を示す概略断面図。 本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の他の一例を示す概略部分断面図。 本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の他の一例を示す概略部分断面図。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図。 本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図。 (A)(B)(C)はそれぞれゴースト評価の基準を示す説明図。 露光ヘッドの一例を示す概略構成図 露光ヘッドにより電子写真感光体に露光を施している状態を示す模式図。
以下、本発明の一例である実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電させる帯電装置と、帯電された電子写真感光体の表面を露光して該表面に静電潜像を形成する露光装置と、静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成する現像装置と、トナー像を被転写媒体に転写する転写装置と、を備える。
そして、電子写真感光体として、導電性基体と、導電性基体上に配置され、金属酸化物粒子及び結着樹脂を含有し、膜厚が7μm以上である下引層と、下引層上に配置された感光層と、を有する電子写真感光体であって、最表面層として、下記一般式(I)及び下記(II)で表される反応性化合物から選択される少なくとも1種の反応性化合物の重合体を含む層を有する電子写真感光体を適用する。
また、現像装置として、体積平均粒径が3μm以上5.5μm以下のトナーを含む現像剤を収容し、静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成する現像装置を適用する。
また、転写装置として、表面のダイナミック硬度が29×10N/m以上38×10N/m以下である中間転写体を有し、トナー像を中間転写体に1次転写し、中間転写体上の1次転写像を被転写媒体に2次転写する転写装置を適用する。
本実施形態に係る画像形成装置では、上記構成により、電子写真感光体や中間転写体への付着物の発生が抑制され、黒点を発生しにくく、かつ、高温高湿環境下において、繰り返し画像形成したときの画質の低下が抑制される。
この理由は定かではないが、以下に示す理由によるものと推測される。
まず、特定の電子写真感光体は、下記一般式(I)及び下記(II)で表される反応性化合物から選択される少なくとも1種の反応性化合物(以下、「特定の反応基含有電荷輸送材料」と称することがある)の重合体を含む層を最表面層として有することから、最表面層が優れた電気特性と機械的強度を兼ね備え、最表面層の厚膜化(例えば10μm以上)も実現されると考えられる。
特定の電子写真感光体は、特定の反応基含有電荷輸送材料自身が電荷輸送性能に優れる上、−OH、−NH−などのキャリア輸送を妨げる極性基が少なく、また、キャリア輸送に有効なπ電子を有するスチリル基で、重合により当該材料が連結されることから、残留歪が抑制され、電荷を捕獲する構造的なトラップの形成が抑制されると考えられる。
このため、最表面層が優れた電気特性と機械的強度を兼ね備えた上で、最表面層の厚膜化(例えば10μm以上)も実現されると考えられる。
また、感光層の強度を高める目的で、特定の反応基含有電荷輸送材料に対し更に多官能のアクリルモノマーを混合して成膜する場合、通常の電荷輸送材料では両者の相溶性が低いために上記多官能のアクリルモノマーの添加量を上げるには限界がある。しかし、特定の反応基含有電荷輸送材料が多官能のアクリルモノマーと類似したエステル構造を有する場合、両者が相溶性に優れるために、多官能のアクリルモノマーと相分離を生じることなく重合(架橋)され、電気特性と機械的強度とを兼ね備えた最表面層が得られるものと推察される。
なお、最表面層の厚膜化によって、繰り返し使用後での画質の低下が抑制される。高機械的強度の最表面層を有する場合、電子写真感光体の寿命はその最表面層が摩滅した時点で決定されるため、厚膜化の実現は電子写真感光体の長寿命化に有効である。
さらに、画像を形成する際には電子写真感光体を放電によって帯電させ使用するが、その際に電気的な負荷(ストレス)や、オゾン等の放電ガスによる負荷(ストレス)等により、電子写真感光体の最表面層の材料劣化が起こり結果として放電生成物と呼ばれる硝酸アンモニウムなどのイオン性物質を吸着しやすくなる。そのために、特に高湿下(例えば28℃、85%RH環境下)で水分を吸着し、電子写真感光体の表面抵抗が低下し、形成される画像においては静電潜像にじみが生じ、結果として画像流れを生じやすい。これを抑制するためには、感光体に接触する清掃部材を設けその清掃部材との摩擦によって表面層を適度に磨耗させて、放電生成物を除去し静電潜像にじみを抑制する方法が有効である。なお、この磨耗量は、画像形成における帯電の方式、清掃の方式、用いるトナーの形状などの影響が大きく、画像形成のシステムによって大きく左右されるため、感光体の表面層の強度をそれに合わせて調整し得ることが重要となる。
これに対し、特定の電子写真感光体の最表面層において、特定の反応基含有電荷輸送材料等の重合成分(架橋成分)の割合や、特定の反応基含有電荷輸送材料等の反応性のモノマーの構造を選択することで、システムに合わせた最適な機械的強度の最表面層を形成し得る。
また、特定の反応基含有電荷輸送材料と共に併称する不飽和結合を有する化合物を、スチリル基以外の官能基を持つ多官能の電荷輸送性材料とすることで、電荷輸送成分の濃度を低下させることなく、最表面層に機械的強度を付与することも実現される。この場合には、最表面層に対して、異なる官能基によりさらに機械的強度などの物性を制御することが実現される。
一方、特定の電子写真感光体は、金属酸化物粒子及び結着樹脂を含有する下引層を有することにより、リーク防止性と電気特性との双方が高められ、接触帯電方式の帯電装置を適用した場合であっても、かぶり等の画質欠陥の発生が抑制される。
また、上記組成の下引層を7μm以上と厚膜で有することにより、導電性基材表面の欠陥の隠ぺい性に優れ、電子写真感光体表面(その最表面層)の摩耗による感光体特性の低下が低減される。特に、画像形成装置内に異物が混入し、感光体表面に異物が突き刺さった場合、この異物が導電性基体まで到達することが抑制されると共に、異物による電子写真感光体リーク(黒点)の発生が抑制される。
そして、このような特性を有する電子写真感光体と、表面のダイナミック硬度が29×10N/m以上38×10N/m以下という安定性及び強度を持つ中間転写体を備える転写装置と、を組み合わせることにより、体積平均粒径が3μm以上5.5μm以下といった、高解像度を実現する小径トナーの転写効率を向上させるために、電子写真感光体と中間転写体とを高い圧力や周速差を設けて摺擦力を付与して負荷を掛けて、繰り返し画像を形成しても、互いに磨耗し難く、且つ電子写真感光体の電気特性も維持されると考えられる。
以上から、本実施形態に係る画像形成装置では、感光体や中間転写体への付着物の発生が抑制され、黒点を発生しにくく、かつ、高温高湿環境下においても、繰り返し画像形成したときの画質の低下が抑制される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置(及びプロセスカートリッジ)について詳細に説明する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。画像形成装置100は、図4に示すように。電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を被転写体に転写する二次転写装置も有している。
図4におけるプロセスカートリッジ300は、ハウジング内に、電子写真感光体7、帯電装置8、現像装置11及びクリーニング装置13を一体に支持している。クリーニング装置13は、クリーニングブレード(クリーニング部材)を有しており、クリーニングブレード131は、電子写真感光体7の表面に接触するように配置されている。
また、潤滑材14を感光体7の表面に供給する繊維状部材132(ロール状)、クリーニングをアシストする繊維状部材133(平ブラシ状)を用いた例を示してあるが、これらは使用しても、使用しなくてもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の各構成について説明する。
[電子写真感光体]
電子写真感光体は、前述の通り、特定の反応性基含有電荷輸送材料の重合体を含有する層を最表面層として有するものであるが、当該最表面層は電子写真感光体自体の最上面を形成していればよく、保護層として機能する層、又は、電荷輸送層として機能する層として設けられる。
なお、最表面層が保護層として機能する層である場合、この保護層の下層には、電荷輸送層及び電荷発生層からなる感光層、又は単層型感光層を有することとなる。
最表面層が保護層として機能する層の場合、導電性基体上に、感光層、及び最表面層として保護層を有し、該保護層が特定の反応性基含有電荷輸送材料の重合体である形態が挙げられる。
一方、最表面層が電荷輸送層として機能する層の場合、導電性基体上に、電荷発生層、及び最表面層として特定の反応性基含有電荷輸送材料を含有する組成物、又は、その硬化物を含有する層で構成される形態が挙げられる。
なお、特定の反応性基含有電荷輸送材料と共に、不飽和結合を有する化合物、反応性を有さない電荷輸送材料(非反応性の電荷輸送材料)を併用してもよい。
以下、最表面層が保護層として機能する層の場合の、本実施形態に係る電子写真感光体について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す概略断面図である。図2乃至図3はそれぞれ本実施形態に係る電子写真感光体の他の一例を示す概略断面図である。
図1に示す電子写真感光体7Aは、いわゆる機能分離型感光体(又は積層型感光体)であり、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に電荷発生層2、電荷輸送層3、及び保護層5が順次形成された構造を有するものである。電子写真感光体7Aにおいては、電荷発生層2及び電荷輸送層3により感光層が構成される。
図2に示す電子写真感光体7Bは、図1に示す電子写真感光体7Aのごとく、電荷発生層2と電荷輸送層3とに機能が分離された機能分離型感光体である。
図2に示す電子写真感光体7Bにおいては、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に、電荷輸送層3、電荷発生層2、及び保護層5が順次形成された構造を有するものである。電子写真感光体7Bにおいては、電荷輸送層3及び電荷発生層2により感光層が構成される。
図3に示す電子写真感光体7Cは、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層(単層型感光層6)に含有するものである。図3に示す電子写真感光体7Cにおいては、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に単層型感光層6、保護層5が順次形成された構造を有するものである。
そして、図1、図2及び図3に示す電子写真感光体7A、7B及び7Cにおいて、保護層5が、導電性基体2から最も遠い側に配置される最表面層となっており、当該最表面層が、上記の構成となっている。
なお、図1、図2及び図3に示す電子写真感光体において、下引層1は設けてもよいし、設けなくてもよい。
以下、代表例として図1に示す電子写真感光体7Aに基づいて、各要素について説明する。
(保護層)
まず、電子写真感光体7Aにおける最表面層である保護層5について説明する。
保護層5は、電子写真感光体7Aにおける最表面層であり、特定の反応性基含有電荷輸送材料の重合体を含有して形成される。
つまり、保護層5は、特定の反応性基含有電荷輸送材料を含む組成物を硬化させて形成されている。
硬化方法としては、熱、光、又は放射線などによるラジカル重合が行なわれる。反応が早く進行しすぎないよう調整すると膜のムラやシワの発生が抑制されるため、ラジカル発生が比較的ゆっくりと起こる条件下で重合させることが望ましい。この点からは、重合速度を調整しやすい熱重合が好適である。
−特定の反応性基含有電荷輸送材料−
特定の反応性基含有電荷輸送材料は、下記一般式(I)及び(II)で表される反応性化合物から選択される少なくとも1種の反応性化合物である。


一般式(I)中、Fは、電荷輸送性骨格を示す。
Lは、アルキレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を組み合わせてなる2価の連結基を示す。
Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。
mは、1以上6以下の整数を示す。


一般式(II)中、Fは、電荷輸送性骨格を示す。
L’は、アルキレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を組み合わせてなる(n+1)価の連結基を示す。
Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。
m’は、1以上6以下の整数を示す。
nは、2以上3以下の整数 を示す。
一般式(I)及び(II)中、Fは、電荷輸送性骨格、つまり電荷輸送性を有する構造を示し、具体的には、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、アゾベンゼン系化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物、キノン系化合物、フルオレノン系化合物、などの電荷輸送性を有する構造が挙げられる。
一般式(I)中、Lが表す連結基としては、例えば、
アルキレン基中に−C(=O)−O−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−C(=O)−N(R)−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−C(=O)−S−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−O−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−N(R)−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−S−が介在した2価の連結基、
が挙げられる。
なお、Lが表す連結基は、アルキレ基中に、−C(=O)−O−、−C(=O)−N(R)−、−C(=O)−S−、−O−、又は−S−の基が2つ介在してもよい。
一般式(I)中、Lが表す連結基として具体的には、例えば、
*−(CH−C(=O)−O−(CH−、
*−(CH−C(=O)−N(R)−(CH−、
*−(CH−C(=O)−S−(CH−、
*−(CH−O−(CH−、
*−(CH−N(R)−(CH−、
*−(CH−S−(CH−、
*−(CH−O−(CH−O−(CH
等が挙げられる。
ここで、Lが表す連結基中、pは、0、又は1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。qは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。rは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。
なお、Lが表す連結基中、「*」は、Fと連結する部位を示している。
一方、一般式(II)中、L’が表す連結基としては、例えば、
分枝状に連結したアルキレン基中に−C(=O)−O−が介在した(n+1)価の連結基、
分枝状に連結したアルキレン基中にアルキレン基中に−C(=O)−N(R)−が介在した(n+1)価の連結基、
分枝状に連結したアルキレン基中に−C(=O)−S−が介在した(n+1)価の連結基、
分枝状に連結したアルキレン基中に−O−が介在した(n+1)価の連結基、
分枝状に連結したアルキレン基中に−N(R)−が介在した(n+1)価の連結基、
分枝状に連結したアルキレン基中に−S−が介在した(n+1)価の連結基、
が挙げられる。
なお、L’が表す連結は、分枝状に連結したアルキレ基中に、−C(=O)−O−、−C(=O)−N(R)−、−C(=O)−S−、−O−、又は−S−の基が2つ介在してもよい。
一般式(II)中、L’が表す連結基として具体的には、例えば、
*−(CH−CH[C(=O)−O−(CH−]
*−(CH−CH[C(=O)−N(R)−(CH−]
*−(CH−CH[C(=O)−S−(CH−]
*−(CH−CH[(CH−O−(CH−]
*−(CH−CH[(CH−N(R)−(CH−]
*−(CH−CH[(CH−S−(CH−]



*−(CH−O−C[(CH−O−(CH−]
*−(CH−C(=O)−O−C[(CH−O−(CH−]
等が挙げられる。
ここで、L’が表す連結基中、pは、0、又は1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。qは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。rは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。sは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。
なお、Lが表す連結基中、「*」は、Fと連結する部位を示している。
一般式(I)及び(II)中、L、L’を表す連結基において、「−N(R)−」のRが表すアルキル基としては、炭素数1以上5以下(望ましくは1以上4以下)の直鎖状、分枝状のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
「−N(R)−」のRが表すアリール基としては、炭素数6以上15以下(望ましくは6以上12以下)のアリール基が挙げられ、具体的には、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリジル基、ナフチル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数7以上15以下(望ましくは7以上14以下)のアラルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ビフェニルメチレン基等が挙げられる。
一般式(I)及び(II)中、mは、1以上6以下の整数を示すことが望ましい。
m’は、1以上6以下の整数を示すことが望ましい。
nは、2以上3以下の整数を示すことが望ましい。
特定の反応性基含有電荷輸送材料として特に望ましくは、一般式(I)及び(II)のFとして、トリアリールアミン系化合物に由来する電荷輸送性骨格(電荷輸送性を有する構造)を有するものが挙げられる。
具体的には、一般式(I)で表される反応性化合物として特に望ましくは、下記一般式(III)で表され、且つ下記一般式(III)中のDが下記一般式(IV)で表される基を示す反応性化合物である。
また、一般式(II)で表される反応性化合物として特に望ましくは、下記一般式(III)で表され、且つ下記一般式(III)中のDが下記一般式(V)で表される基を示す反応性化合物である。


一般式(III)中、Ar〜Arは、それぞれ独立に、置換若しくは未置換のアリール基を示す。
Arは、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示す。
c1〜c5は、それぞれ独立に、0以上2以下の整数を示す。但し、全てのc1〜c5は、同時に0を示すことはない。
kは、0又は1の整数を示す。


一般式(IV)中、Lは、アルキレン基、アルケニル基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、−O−、又はそれらを任意に組み合わせた基から選択される2価の連結基を示す。
Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。


一般式(V)中、L’は、アルキレン基、アルケニル基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、−O−、又はそれらを任意に組み合わせた基から選択される(n+1)価の連結基を示す。
Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。
nは、2以上3以下の整数を示す。
以下、一般式(III)で表される反応性化合物について詳細に説明する。
一般式(III)において、Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、置換若しくは未置換のアリール基を示し、Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ、同一でもあってもよいし、異なっていてもよい。
ここで、置換アリール基における置換基としては、−D以外のものとして、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数6以上10以下のアリール基等が挙げられ、且つこれらのアルキル基、アルコキシ基、アリール基は置換、未置換の何れであってもよい。
Ar、Ar、Ar及びArとしては、下記式(1)乃至(7)のうちのいずれかであることが望ましい。なお、下記式(1)乃至(7)は、Ar、Ar、Ar及びArの各々に連結され得る「−(D)C1」乃至「−(D)C4」を総括的に示した「−(D)」と共に示す。
上記式(1)乃至(7)中、Rは、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルキル基若しくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、及び炭素数7以上10以下のアラルキル基からなる群より選ばれる1種を表し、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Arは置換又は未置換のアリーレン基を表し、cは0、1又は2を表し、sは0又は1を表し、tは0以上3以下の整数を表し、Z’は2価の有機連結基を示す。
ここで、式(7)中のArとしては、下記構造式(8)又は(9)で表されるものが望ましい。


上記式(8)及び(9)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、t’はそれぞれ0以上3以下の整数を表す。
また、式(7)中、Z’は、下記式(10)乃至(17)のうちのいずれかで表されるものが望ましい。また、sはそれぞれ0又は1を表す。

上記式(10)乃至(17)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基若しくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Wは2価の基を表し、q及びrはそれぞれ独立に1以上10以下の整数を表し、t”はそれぞれ0以上3以下の整数を表す。
式(16)乃至(17)中のWとしては、下記(18)乃至(26)で表される2価の基のうちのいずれかであることが望ましい。但し、式(25)中、uは0以上3以下の整数を表す。
また、一般式(III)中、Arは、kが0のときは置換若しくは未置換のアリール基であり、このアリール基としては、Ar乃至Arの説明で例示されたアリール基が挙げられる。また、kが1のとき、Arは置換若しくは未置換のアリーレン基であり、このアリーレン基としては、Ar乃至Arの説明で例示されたアリール基から水素原子を1つ除いたアリーレン基が挙げられる。
上記一般式(III)中、c1乃至c5は各々独立に0、1又は2を表し、Dの総数は1以上である。得られる硬化膜の強度を高め、繰り返し使用後の画質の低下を抑える観点からは、Dの総数は2以上であることが好適であり、4以上であることが更に好適である。
次に、一般式(III)で表される反応性化合物における「D」について詳細に説明する。
一般式(III)において、Dは、一般式(IV)で表される基、又は一般式(V)で表される基を示す。
ここで、一般式(IV)の「L」、「R」は、一般式(I)の「L」、「R」と同義である。
一方、一般式(V)の「L’」、「R」、「n」は、一般式(II)の「L’」、「R」、「n」と同義である。
一般式(IV)で表される基のうち、特に好適には、下記一般式(VI)、又は下記一般式(VII)で表される基が挙げられる。


一般式(VI)及び(VII)中、X、及びX’は、2価の有機基を示す。
p、及びp’は、0又は1の整数を示す。
一般式(VI)及び(VII)中、X、及びX’が表す2価の有機基としては、炭素数1以上6以下のアルキレン基、オキシアルキレン基等が挙げられる。
一方、一般式(V)で表される基のうち、特に好適にには、下記一般式(VIII)、又は下記一般式(IX)で表される基が挙げられる。


一般式(VIII)及び(IX)中、Y、及びY’は、2価の有機基を示す。
q、及びq’は、0、又は1の整数を示す。
一般式(VIII)及び(IX)中、Y、及びY’が表す2価の有機基としては、炭素数1以上6以下のアルキレン基、オキシアルキレン基等が挙げられる。
ここで、特定の反応性基含有電荷輸送材料のうち、特に望ましくは、下記1)〜4)の反応性化合物である。
1)一般式(II)で表される反応性化合物。
2)一般式(I)で表される反応性化合物であって、Lが−L−CH−を示し、Lが−(CH−O−基を含む2価の連結基を示し、nが3以上6以下を示す反応性化合物。
3)一般式(I)で表される反応性化合物であって、Lが−L−CH−を示し、Lが−(CH−O−基を含む2価の連結基を示し、nが1以上6以下を示し、Fが複数の窒素原子を含み、それらが共役していない電荷輸輸送性骨格を示す反応性化合物。
本反応性化合物として具体的には、一般式(III)で表され、且つ一般式(III)中のDが下記一般式(IV)で表される基を示す反応性化合物であって、Lが−L−CH−を示し、Lが−(CH−O−基を含む2価の連結基を示し、nが1以上6以下を示し、kが1を示し、Arが−Ar51−Xa−Ar52−を示す反応性化合物である。
Ar51及びAr52は、置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、Arと同様である。
Xaは、アルキレン基、又はアルキレン基、−O−、−S−、及びエステルから選ばれる基を組み合わせてなる2価の基であって、芳香環や共役二重結合などの共役結合を含まない連結基である。
具体的には、Xaは、炭素数1〜4のアルキレン基であるか、炭素数1〜4のアルキレン基と−O−、−S−、−O−C(=O)−、及び−C(=O)−O−から選ばれる基とを組み合わせてなる2価の基が挙げられる。
なお、Xaがアルキレン基である場合、このアルキレン基は、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基等の置換基を有していてもよく、この置換基の2つが互いに結合して、前記Wの具体例として記載の(26)で表される2価の基のような構造となってもよい。
4)一般式(I)で表される反応性化合物であって、Lが−L−CH−を示し、Lが−(CH−O−基を除く、−(CH−(C=O)−O−基、−(CH−(C=O)−N(R)−基、−(CH−(C=O)−S−基、−(CH−N(R)−基、−(CH−S−基を含む2価の連結基を示し、nが0、又は1以上6以下の整数を示す反応性化合物。
以下に、特定の反応性基含有電荷輸送材料の具体的を示す。
具体的には、一般式(I)及び(II)の電荷輸送性骨格F(一般式(III)中のDを除く骨格)の具体例、一般式(IV)で表される基の具体例、一般式(V)で表される基の具体例と共に、一般式(I)及び(II)で示される反応性化合物の具体例を示すが、これらに限定されるわけではない。
なお、一般式(I)及び(II)の電荷輸送性骨格F(一般式(III)中のDを除く骨格)の具体例の「*」部分は、一般式(IV)で表される基の具体例、一般式(V)で表される基の具体例の「*」部分が連結していることを意味する。
例えば、例示化合物(I)−1としては、電荷輸送性骨格Fの具体例:(1)−1、一般式(IV)又は(V)で表される基の具体例:(IV)−1と示した場合、以下の構造を示す。


電荷輸送性骨格Fの具体例を以下示す。
一般式(IV)で表される基の具体例について以下示す。

一般式(V)で表される基の具体例について以下示す。
一般式(I)及び(II)で示される反応性化合物の具体例について以下に示す。
特定の反応性基含有電荷輸送材料は、例えば、以下のようにして合成される。
即ち、特定の反応性基含有電荷輸送材料は、前駆体であるカルボン酸、あるいは、アルコールと、対応するクロロメチルスチレンなどでのエーテル化などにより合成できる。
特定の反応性基含有電荷輸送材料の例示化合物(I)−172の合成経路を一例として以下に示す。
アリールアミン化合物カルボン酸は、アリールアミン化合物のエステル基を、例えば、実験化学講座、第4版、20巻、P.51などに記載されたように、塩基性触媒(NaOH、KCO等)、酸性触媒(例えばリン酸、硫酸等)を用いる加水分解により得られる。
この際、溶剤としては、種々のものが挙げられるが、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどのアルコール系を用いるか、これに水を混合して用いることがよい。
さらに、アリールアミン化合物の溶解性が低い場合には、塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、ジメチルスルホキシド、エーテル、テトラヒドロフランなどを加えてもよい。
溶剤の量は、特に制限はないが、例えば、エステル基を含有するアリールアミン化合物1質量部に対して1質量部以上100質量部以下、望ましくは2質量部以上50質量部以下で用いることがよい。
反応温度は、例えば、室温(例えば25℃)以上溶剤の沸点以下の範囲で設定され、反応速度の問題上、50度以上が望ましい。
触媒の量については、特に制限はないが、例えば、エステル基を含有するアリールアミン化合物1質量部に対して0.001質量部以上1質量部以下、望ましくは0.01質量部以上0.5質量部以下で用いることがよい。
加水分解反応後、塩基性触媒で加水分解を行った場合には、生成した塩を酸(例えば塩酸等)で中和し、遊離させる。さらに、十分に水洗した後、乾燥して使用するか、必要によっては、メタノール、エタノール、トルエン、酢酸エチル、アセトンなど、適当な溶剤により、再結晶精製を行った後、乾燥して使用してもよい。
アリールアミン化合物のアルコール体は、アリールアミン化合物のエステル基を、例えば、実験化学講座、第4版、20巻、P.10などに記載されたように、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウムなどを用いて対応するアルコールに還元して合成する。
例えば、エステル結合にて反応基を導入する場合、アリールアミン化合物カルボン酸と、ヒドロキシメチルスチレンを酸触媒にて脱水縮合させる通常のエステル化や、アリールアミン化合物カルボン酸と、ハロゲン化メチルスチレンを、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、DBU、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基を用いて縮合させる方法が使用し得るが、ハロゲン化メチルスチレンを用いる方法が副生成物が抑制されることから好適である。
アリールアミン化合物カルボン酸の酸に対し、ハロゲン化メチルスチレンを1当量以上、望ましくは、1.2当量以上、より望ましくは1.5当量以上加えることがよく、塩基はハロゲン化メチルスチレンに対し0.8当量以上2.0当量以下、望ましくは1.0等量以上1.5当量以下で用いることがよい。
溶剤としては、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤、トルエン、クロロベンゼン、1ークロロナフタレンなどの芳香族系溶剤などが有効であり、アリールアミン化合物カルボン酸の1質量部に対して、1質量部以上100質量部以下、望ましくは2質量部以上50質量部以下の範囲で用いられることがよい。
反応温度は特に制限はない。反応終了後、反応液を水にあけ、トルエン、ヘキサン、酢酸エチルなどの溶剤で抽出、水洗し、さらに、必要により活性炭、シリカゲル、多孔質アルミナ、活性白土などの吸着剤を用いて精製を行ってもよい。
また、エーテル結合にて導入する場合、アリールアミン化合物アルコールと、ハロゲン化メチルスチレンを、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、DBU、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基を用いて縮合させる方法が使用することがよい。
アリールアミン化合物アルコールのアルコールに対し、ハロゲン化メチルスチレンを1当量以上、望ましくは、1.2当量以上、より望ましくは1.5当量以上加えることがよく、塩基はハロゲン化メチルスチレンに対し0.8当量以上2.0当量以下、望ましくは、1.0等量以上1.5当量以下で用いることがよい。
溶剤としては、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤、トルエン、クロロベンゼン、1ークロロナフタレンなどの芳香族系溶剤などが有効であり、アリールアミン化合物アルコールの1質量部に対して、1質量部以上100質量部以下、望ましくは2質量部以上50質量部以下の範囲で用いることがよい。
反応温度は特に制限はない。反応終了後、反応液を水にあけ、トルエン、ヘキサン、酢酸エチルなどの溶剤で抽出、水洗し、さらに、必要により活性炭、シリカゲル、多孔質アルミナ、活性白土などの吸着剤を用いて精製を行ってもよい。
−不飽和結合を有する化合物−
保護層(最表面層)5を構成する膜は、不飽和結合を有する化合物を併用してもよい。
不飽和結合を有する化合物としては、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよく、また、電荷輸送性骨格を有していてもよい。
不飽和結合を有する化合物として、電荷輸送性骨格を有さないものとしては以下のようなものが挙げられる。
1官能のモノマーは、例えば、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、ヒドロキシエチルo−フェニルフェノールアクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート、スチレン、などが挙げられる。
2官能のモノマーは、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート等が挙げられる。
3官能のモノマーは、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート、トリビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
4官能のモノマーは、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
5官能以上のモノマーは、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の他、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、フォスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、反応性のポリマーとしては、例えば、特開平5−216249号公報、特開平5−323630号公報、特開平11―52603号公報、特開2000−264961号公報、特開2005−2291号公報などに開示されたものが挙げられる。
電荷輸送成分を有さない不飽和結合を有する化合物を用いる場合には、単独又は2種以上の混合物として使用される。電荷輸送成分を有さない不飽和結合を有する化合物を、電子写真感光体の最表面層の形成に用いる場合であれば、該載表面層を形成する際に用いられる組成物の全固形分に対して、望ましくは60質量%以下、より望ましくは55質量%以下で用い、更に望ましくは50質量%以下で使用される。
一方、不飽和結合を有する化合物として、電荷輸送骨格を有するものとしては、次のものが挙げられる。
・連鎖重合性官能基(スチリル基を除く連鎖重合性官能基)及び電荷輸送性骨格を同一分子内に持つ化合物
連鎖重合性官能基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に持つ化合物における連鎖重合性官能基としては、ラジカル重合しうる官能基であれば特に限定されるものではなく、例えば、少なくとも炭素二重結合を含有する基を有する官能基である。具体的には、ビニル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくも一つを含有する基等が挙げられる。なかでも、その反応性に優れることから、連鎖重合性官能基としては、ビニル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくも一つを含有する基であることが望ましい。
また、連鎖重合性官能基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に持つ化合物における電荷輸送性骨格としては電子写真感光体における公知の構造であれば特に限定されるものではなく、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの含窒素の正孔輸送性化合物に由来する骨格であって、窒素原子と共役している構造が挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン骨格が望ましい。
連鎖重合性官能基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に持つ化合物は、下記一般式(B)及び(C)によりそれぞれ表される部分構造を含むポリマーであってもよい。
一般式(B)及び(C)中、R、R、Rは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、X、Yはそれぞれ独立して炭素数1以上20以下の2価の有機基を表し、aは0又は1を表し、CTは電荷輸送性骨格を持つ有機基を表す。
ここで、一般式(B)及び(C)によりそれぞれ表される部分構造を含むポリマーの末端基としては、ラジカル重合反応による停止反応で生じた構造である。
一般式(B)中、CTが表す電荷輸送性骨格を持つ有機基としては、上述した電荷輸送性骨格が挙げられるが、例えば、トリアリールアミン骨格、ベンジジン骨格、アリールアルカン骨格、アリール置換エチレン骨格、スチルベン骨格、アントラセン骨格、ヒドラゾン骨格を持つものなどが好適に挙げられるが、この中でもトリアリールアミン骨格、ベンジジン骨格、スチルベン骨格を持つものが望ましい。
一般式(B)及び(C)中、X、Yが表す2価の有機基としては、例えば、アルキレン基、−C(=O)−、−O−C(=O)−、芳香環、及びこれらを組み合わせた連結基から選択される一つを含む2価の有機基が挙げられる。なお、X、Yが表す2価の有機基は、水酸基を有さないことが望ましい。
Xが表す2価の有機基として具体的には、例えば、−C(=O)−O−(CH−(但し、nは0又は1以上10以下の整数を表す)等が挙げられる。
Yが表す2価の有機基として具体的には、−(CH)−(但し、nは1以上10以下の整数を表す)、−(CH−O−C(=O)−(但し、nは0又は1以上10以下の整数を表し、「(CH」の水素原子の一部は水酸基が置換していてもよい)、−(CH−Ar−(但し、Arは芳香環数1以上3以下のアリーレン基を表し、nは0又は1以上10以下の整数を表す)、−Ar−O−(CH−O−C(=O)−(但し、Arは芳香環数1以上3以下のアリーレン基を表し、nは0又は1以上10以下の整数を表す)等が挙げられる。
一般式(B)で表される部分構造の具体例としては、以下のものが挙げられるが、これに限られるわけではない。なお、「(X)」の欄において、「−」が示されている場合は、a=0のときを示してり、基が示されている場合は、a=1のときで、CTと共にXが表す基を示している。




次に、一般式(C)で表される部分構造の具体例としては、以下のものが挙げられるが、これに限られるわけではない。


このうち、更に下記構造式(D)で表されるものが溶解性、製膜性に優れ、望ましい。

一般式(D)中、R、R、Rは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、Xは炭素数1以上20以下の2価の有機基を表し、Y’は−C(=O)−、−CH−、−(CH−を表し、a、bはそれぞれ独立して0又は1を表し、CTは電荷輸送性骨格を持つ有機基を表す。
m、nはそれぞれ5以上の整数を表し、10<m+n<2000、かつ0.2<m/(m+n)<0.95であり、強度、可とう性、電気特性の観点から、15<m+n<2000、かつ0.3<m/(m+n)<0.95が望ましく、20<m+n<2000、かつ0.4<m/(m+n)<0.95がさらに望ましい。
なお、一般式(D)中、Xが表す2価の有機基、及びCTが表す電荷輸送性骨格を持つ有機基としては、一般式(B)及び(C)中のX、CTと同義である。
一般式(B)及び(C)によりそれぞれ表される部分構造を含むポリマーは、例えば、一般式(A)で表される化合物をモノマーとして使用し、メタクリル酸、アクリル酸、グリシジル化合物及びこれらの誘導体との共重合等、公知の方法によって製造される。
また、一般式(B)及び(C)によりそれぞれ表される部分構造を含むポリマーは、一般式(B)及び(C)で示されるものに加え、溶解性、可とう性を付与するために1官能のモノマーを共重合してもよい。
1官能のモノマーとしては、例えば、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、ヒドロキシエチルo−フェニルフェノールアクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート、などのアクリレート、あるいは、メタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレンなどのスチレン誘導体などが挙げられる。
これらを共重合する際に使用される量(l)は、溶解性及び可とう性を付与する観点から、上記一般式(D)中のmに対してl/m<0.3が望ましく、l/m<0.2がより望ましい。
−非反応性の電荷輸送材料−
保護層(最表面層)5を構成する膜は、非反応性の電荷輸送材料を併用してもよい。非反応性の電荷輸送材料は電荷輸送を担っていない反応性基を有さないため、非反応性の電荷輸送材料を保護層(最表面層)5に用いた場合には実質的に電荷輸送成分の濃度が高まり、電気特性を更に改善するのに有効である。また、非反応性の電荷輸送材料を添加して架橋密度を減じ、強度を調整してもよい。
非反応性の電荷輸送材料としては、公知の電荷輸送材料を用いてもよく、具体的には、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等が用いられる。
中でも、モビリティー、相溶性など点から、トリフェニルアミン骨格を有するものが望ましい。
非反応性の電荷輸送材料は、層形成のための塗布液中の全固形分に対して0質量%以上30質量%以下で用いられることが望ましく、より望ましくは1質量%以上25質量%以下であり、更に望ましくは5質量%以上25質量%以下である。
−その他の添加剤−
保護層(最表面層)5を構成する膜は、更に成膜性、可とう性、潤滑性、接着性を調整するなどの目的から、他のカップリング剤、特にフッ素含有のカップリング剤と混合して用いてもよい。このような化合物として、各種シランカップリング剤、及び市販のシリコーン系ハードコート剤が用いられる。また、ラジカル重合性基を有するシリコン化合物、フッ素含有化合物を用いてもよい。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、等が挙げられる。
市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−8239(以上、信越化学工業社製)、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等が挙げられる。
また、撥水性等の付与のために、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン、等の含フッ素化合物を加えてもよい。
シランカップリング剤は任意の量で使用されるが、含フッ素化合物の量は、架橋膜の成膜性の観点から、フッ素を含まない化合物に対して質量で0.25倍以下とすることが望ましい。更に、特開2001−166510号公報などに開示されている反応性のフッ素化合物などを混合してもよい。
ラジカル重合性基を有するシリコン化合物、フッ素含有化合物としては、特開2007−11005号公報に記載の化合物などが挙げられる。
保護層(最表面層)5を構成する膜には、劣化防止剤を添加することが望ましい。劣化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。
劣化防止剤の添加量としては20質量%以下が望ましく、10質量%以下がより望ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、イルガノックス1076、イルガノックス1010、イルガノックス1098、イルガノックス245、イルガノックス1330、イルガノックス3114、イルガノックス1076、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシビフェニル等が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、サノールLS2626、サノールLS765、サノールLS770、サノールLS744、チヌビン144、チヌビン622LD、マークLA57、マークLA67、マークLA62、マークLA68、マークLA63が挙げられ、チオエーテル系として、スミライザーTPS、スミライザーTP−Dが挙げられ、ホスファイト系として、マーク2112、マークPEP−8、マークPEP−24G、マークPEP−36、マーク329K、マークHP−10等が挙げられる。
保護層(最表面層)5を構成する膜には、樹脂粒子を含有することがよい。保護層(最表面層)5が樹脂粒子を含有していることにより、電子写真感光体7の表面の滑性、耐摩耗性及びトナーの脱着性が向上する。したがって、感光体表面と接触帯電装置との接触時や中間転写体との接触時において、電子写真感光体表面の損傷や摩耗をより抑制する。また、クリーニング手段による感光体表面の残像トナーの除去が低圧力で容易に行われ、電子写真感光体表面の損傷や摩耗が抑制されるとともに、クリーニング装置の損傷が抑制される。このため、高温高湿環境下において、繰り返し画像形成したときの画質の低下が抑制され易くなる。
樹脂粒子としては、フッ素系樹脂粒子が望ましく、中でも、上記の効果がより十分
に得られることから、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロ
ピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂及
びこれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることが望ましい。ま
た、これらのフッ素系樹脂粒子の中でも特に、4フッ化エチレン樹脂及びフッ化ビニリデ
ン樹脂が望ましい。
樹脂粒子の平均一次粒径は0.05μm以上1μm以下であることが望ましく、0.1μm以上0.5μm以下であることがより望ましい。
樹脂粒子の含有量は、保護層(最表面層)5の構成材料全量に対して0.1質量%以上40質量%以下であることが望ましく、1質量%以上30質量%以下であることがより望ましい。
保護層(最表面層)5を構成する膜には、上記樹脂粒子以外にも、導電性粒子や、有機、無機粒子を添加してもよい。
この粒子の一例として、ケイ素含有粒子が挙げられる。ケイ素含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリコーン粒子等が挙げられる。ケイ素含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、望ましくは平均粒径1nm以上100nm以下、より望ましくは10nm以上30nm以下のシリカを、酸性若しくはアルカリ性の水分散液、あるいはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれる。該粒子としては一般に市販されているものを使用してもよい。
保護層中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、保護層5の全固形分全量を基準として、0.1質量%以上50質量%以下、望ましくは0.1質量%以上30質量%以下の範囲で用いられる。
ケイ素含有粒子として用いられるシリコーン粒子は、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、シリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用してもよい。
これらのシリコーン粒子は球状で、その平均粒径は望ましくは1nm以上500nm以下、より望ましくは10nm以上100nm以下である。
表面層中のシリコーン粒子の含有量は、保護層5の全固形分全量を基準として、望ましくは0.1質量%以上30質量%以下、より望ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。
また、その他の粒子としては、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂で構成される粒子、ZnO−Al、SnO−Sb、In−SnO、ZnO−TiO、ZnO−TiO、MgO−Al、FeO−TiO、TiO、SnO、In、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物が挙げられる。さらに、粒子を分散させるために公知の種々の分散材を用いてもよい。
保護層(最表面層)5を構成する膜には、シリコーンオイル等のオイルを添加してもよい。
シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル;アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類;1,3,5−トリメチル−1.3.5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類;ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類;3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類;メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類;ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等が挙げられる。
保護層(最表面層)5を構成する膜には、金属、金属酸化物及びカーボンブラック等を添加してもよい。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀及びステンレス等、又はこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ及びアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等が挙げられる。
これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着での混合でもよい。導電性粒子の平均粒径は0.3μm以下、特に0.1μm以下が望ましい。
−組成物−
保護層5を形成するために用いる組成物は、各成分を溶媒中に溶解又は分散してなる保護層形成用塗布液として調製されることが望ましい。
この保護層形成用塗布液は、無溶媒であってもよいし、必要に応じて、トルエン、キシレンなどの芳香族、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのセロソルブ系、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール系等の溶媒などの単独又は混合溶媒を用いて調製される。
また、前述の成分を反応させて塗布液を得るときには、各成分を単純に混合、溶解させるだけでもよいが、望ましくは室温(20℃)以上100℃以下、より望ましくは30℃以上80℃以下で、望ましくは10分以上100時間以下、より望ましくは1時間以上50時間以下の条件で加温する。また、この際に超音波を照射することも望ましい。
−保護層5の作製−
保護層形成用塗布液は、被塗布面(図1に示す態様では電荷輸送層3)の上に、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法、インクジェット塗布法等の通常の方法により塗布される。
その後、得られた塗膜に対して、光、電子線又は熱を付与してラジカル重合を生起させて、該塗膜を重合、硬化させる。
重合、硬化の方法は、熱、光、放射線などが用いられる。熱、光で重合、硬化を行う場合、重合開始剤は必ずしも必要ではないが、光硬化触媒又は熱重合開始剤を用いてもよい。この光硬化触媒及び熱重合開始剤としては、公知の光硬化触媒や熱重合開始剤が用いられる。放射線としては電子線が望ましい。
・電子線硬化
電子線を用いる場合、加速電圧は300KV以下が望ましく、最適には150KV以下である。また、線量は望ましくは1Mrad以上100Mrad以下の範囲、より望ましくは3Mrad以上50Mrad以下の範囲である。加速電圧が300KV以下であることにより感光体特性に対する電子線照射のダメージが抑制される。また、線量が1Mrad以上であることにより架橋が十分に行なわれ、100Mrad以下であることにより感光体の劣化が抑制される。
照射は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、酸素濃度が1000ppm、望ましくは500ppm以下で行い、さらに照射中、あるいは照射後に50℃以上150℃以下に加熱してもよい。
・光硬化
光源としては、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプなどが用いられ、バンドパスフィルター等のフィルターを用いて好適な波長を選択してもよい。照射時間、光強度は自由に選択されるが、例えば照度(365nm)は300mW/cm以上、1000mW/cm以下が望ましく、例えば600mW/cmのUV光を照射する場合、5秒以上360秒以下照射すればよい。
照射は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、酸素濃度が望ましくは1000ppm以下、より望ましくは500ppm以下で行い、さらに照射中、あるいは照射後に50℃以上150℃以下に加熱してもよい。
光硬化触媒として、分子内開裂型としては、ベンジルケタール系、アルキルフェノン系、アミノアルキルフェノン系、ホスフィンオキサイド系、チタノセン系、オキシム系などが挙げられる。
より具体的には、ベンジルケタール系として、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンが挙げられる。
また、アルキルフェノン系としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、アセトフェノン、2−フェニル−2−(p−トルエンスルフォニルオキシ)アセトフェノンが挙げられる。
アミノアルキルフェノン系としては、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モリホニル)フェニル]−1−ブタノンなどが挙げられる。
ホスフィノキサイド系としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンキサイドなどが挙げられる。
チタノセン系としては、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどが挙げられる。
オキシム系としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)などが挙げられる。
水素引抜型としては、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンジル系、ミヒラーケトン系などが挙げられる。
より具体的には、ベンゾフェノン系として、2−ベンゾイル安息香酸、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
チオキサントン系としては、2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
ベンジル系としては、ベンジル、(±)−カンファーキノン、p−アニシルなどが挙げられる。
これらの光重合開始剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用られる。
・熱硬化
熱重合開始剤としては、V−30、V−40、V−59、V601、V65、V−70、VF−096、VE−073、Vam−110、Vam−111(和光純薬製)、OTazo−15、OTazo−30、AIBN、AMBN、ADVN、ACVA(大塚化学)等のアゾ系開始剤;パーテトラA、パーヘキサHC、パーヘキサC、パーヘキサV、パーヘキサ22、パーヘキサMC、パーブチルH、パークミルH、パークミルP、パーメンタH、パーオクタH、パーブチルC、パーブチルD、パーヘキシルD、パーロイルIB、パーロイル355、パーロイルL、パーロイルSA、ナイパーBW、ナイパーBMT−K40/M、パーロイルIPP、パーロイルNPP、パーロイルTCP、パーロイルOPP、パーロイルSBP、パークミルND、パーオクタND、パーヘキシルND、パーブチルND、パーブチルNHP、パーヘキシルPV、パーブチルPV、パーヘキサ250、パーオクタO、パーヘキシルO、パーブチルO、パーブチルL、パーブチル355、パーヘキシルI、パーブチルI、パーブチルE、パーヘキサ25Z、パーブチルA、パーヘキシルZ、パーブチルZT、パーブチルZ(日油化学社製)、カヤケタールAM−C55、トリゴノックス36−C75、ラウロックス、パーカドックスL−W75、パーカドックスCH−50L、トリゴノックスTMBH、カヤクメンH、カヤブチルH−70、ペルカドックスBC−FF、カヤヘキサAD、パーカドックス14、カヤブチルC、カヤブチルD、カヤヘキサYD−E85、パーカドックス12−XL25、パーカドックス12−EB20、トリゴノックス22−N70、トリゴノックス22−70E、トリゴノックスD−T50、トリゴノックス423−C70、カヤエステルCND−C70、カヤエステルCND−W50、トリゴノックス23−C70、トリゴノックス23−W50N、トリゴノックス257−C70、カヤエステルP−70、カヤエステルTMPO−70、トリゴノックス121、カヤエステルO、カヤエステルHTP−65W、カヤエステルAN、トリゴノックス42、トリゴノックスF−C50、カヤブチルB、カヤカルボンEH−C70、カヤカルボンEH−W60、カヤカルボンI−20、カヤカルボンBIC−75、トリゴノックス117、カヤレン6−70(化薬アクゾ社製)、ルルペロックス610、ルペロックス188、ルペロックス844、ルペロックス259、ルペロックス10、ルペロックス701、ルペロックス11、ルペロックス26、ルペロックス80、ルペロックス7、ルペロックス270、ルペロックスP、ルペロックス546、ルペロックス554、ルペロックス575、ルペロックスTANPO、ルペロックス555、ルペロックス570、ルペロックスTAP、ルペロックスTBIC、ルペロックスTBEC、ルペロックスJW、ルペロックスTAIC、ルペロックスTAEC、ルペロックスDC、ルペロックス101、ルペロックスF、ルペロックスDI、ルペロックス130、ルペロックス220、ルペロックス230、ルペロックス233、ルペロックス531などが挙げられる。
これらのうち、分子量250以上のアゾ系重合開始剤を用いると、低い温度でムラなく反応が進行することから、ムラの抑制された高強度の膜の形成が図られる。より好適には、アゾ系重合開始剤の分子量は、250以上であり、300以上が更に好適である。
加熱は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、酸素濃度が望ましくは1000ppm以下、より望ましくは500ppm以下で行い、望ましくは50℃以上170℃以下、より望ましくは70℃以上150℃以下で、望ましくは10分以上120分以下、より望ましくは15分以上100分以下加熱する。
光硬化触媒又は熱重合開始剤の総含有量は、層形成のための溶解液中の全固形分に対して0.1質量%以上10質量%以下が望ましく、更には0.1質量%以上8質量%以下がより望ましく、0.1質量%以上5質量%以下の範囲が特に望ましい。
なお、 本実施態様では、反応が早く進行しすぎると架橋により塗膜の構造緩和ができ難くなり、膜のムラやシワを発生しやすくなるといった理由から、ラジカルの発生が比較的ゆっくりと起こる熱による硬化方法が採用される。
特に、特定の反応性基含有電荷輸送材料と熱による硬化とを組み合わせることで、塗膜の構造緩和の促進が図られ、表面性状に優れた高い保護層5(最表面層)が得られ易くなる。
保護層5の膜厚は3μm以上40μm以下程度が望ましく、5μm以上35μm以下とするのがさらに望ましい。
(導電性基体)
導電性基体4としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、及び金属ベルトが挙げられる。また、導電性基体4としては、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等も挙げられる。
ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
電子写真感光体7Aがレーザープリンターに使用される場合、レーザー光を照射する際に生じる干渉縞を防止するために、導電性基体4の表面は、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化することが望ましい。なお、非干渉光を光源とする場合、干渉縞防止の粗面化は特に必要ない。
粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、又は回転する砥石に支持体を接触し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が望ましい。
また、他の粗面化の方法としては、導電性基体4表面を粗面化することなく、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、支持体表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も望ましく用いられる。
ここで、陽極酸化による粗面化処理は、アルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性である。そこで、陽極酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが望ましい。
陽極酸化膜の膜厚については、0.3μm以上15μm以下が望ましい。
また、導電性基体4には、酸性水溶液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。リン酸、クロム酸及びフッ酸からなる酸性処理液による処理は以下のようにして実施される。
先ず、酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲が望ましい。処理温度は42℃以上48℃以下が望ましいが、処理温度を高く保つことにより、一層速く、かつ厚い被膜が形成される。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が望ましい。
ベーマイト処理は、90℃以上100℃以下の純水中に5分以上60分以下浸漬すること、又は90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分以上60分以下接触させて行うことが望ましい。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が望ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
(下引層)
下引層1は、例えば、金属酸化物粒子及び結着樹脂を含有して構成され、厚さ7μm以上である。
金属酸化物粒子としては、粉体抵抗(体積抵抗率)10Ω・cm以上1011Ω・cm以下のものが望ましく用いられる。
なかでも上記抵抗値を有する金属酸化物粒子としては、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の金属酸化物粒子を用いるのが望ましく、特に、酸化亜鉛は望ましく用いられる。
また、金属酸化物粒子は表面処理を行ったものでもよく、表面処理の異なるもの、又は、粒子径の異なるものなど2種以上混合して用いてもよい。
金属酸化物粒子のBET法による比表面積は、10m/g以上が望ましい。
金属酸化物粒子の体積平均粒径は50nm以上2000nm以下(望ましくは60nm以上1000nm以下)の範囲であることが望ましい。
更に、金属酸化物粒子と共にアクセプター性化合物を含有させることが望ましい。
アクセプター性化合物としては、上記特性が得られるものであれば限定されず、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送性物質などが望ましく、特にアントラキノン構造を有する化合物が望ましい。更にヒドロキシアントラキノン系化合物、アミノアントラキノン系化合物、アミノヒドロキシアントラキノン系化合物等、アントラキノン構造を有するアクセプター性化合物が望ましく用いられ、具体的にはアントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が挙げられる。
これらのアクセプター性化合物の含有量は上記特性が得られる範囲であれば限定されないが、望ましくは金属酸化物粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下の範囲で含有され、更に0.05質量%以上10質量%以下の範囲で添加されることが望ましい。
アクセプター化合物は、下引層形成用塗布液に添加するだけでもよいし、金属酸化物粒子表面にあらかじめ付着させておいてもよい。
金属酸化物粒子表面にアクセプター化合物を付与させる方法としては、乾式法、又は、湿式法が挙げられる。
乾式法にて表面処理を施す場合には、金属酸化物粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接又は有機溶媒に溶解させたアクセプター化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって処理される。添加又は噴霧する際には溶剤の沸点以下の温度で行われることが望ましい。添加又は噴霧した後、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けの温度、時間は任意の範囲で実施される。
また、湿式法としては、金属酸化物粒子を溶剤中で攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミル等を用いて分散し、アクセプター化合物を添加し攪拌又は分散した後、溶剤除去することで処理される。溶剤除去方法はろ過又は蒸留により留去される。溶剤除去後には更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に限定されない。湿式法においては表面処理剤を添加する前に金属酸化物粒子含有水分を除去してもよく、その例として表面処理に用いる溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法を用いてもよい。
また、金属酸化物粒子にはアクセプター化合物を付与する前に表面処理を施してもよい。表面処理剤としては、所望の特性が得られるものであればよく、公知の材料から選択される。例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性材等が挙げられる。特に、シランカップリング剤は良好な電子写真特性を与えるため望ましく用いられる。更にアミノ基を有するシランカップリング剤が望ましく用いられる。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、電子写真感光体特性が得られればいかなるものを用いてもよく、具体的例としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、シランカップリング剤は2種以上混合して使用してもよい。アミノ基を有するシランカップリング剤と併用して用いてもよいシランカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの表面処理剤を用いた表面処理方法は公知の方法であればいかなる方法でもよく、乾式法又は湿式法が用いられる。また、アクセプター化合物の付与と、カップリング剤等の表面処理剤による表面処理と、をいっぺんに行ってもよい。
下引層1中の金属酸化物粒子に対するシランカップリング剤の量は電子写真特性が得られる量であれば限定されず、金属酸化物粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が望ましい。
下引層1に含有される結着樹脂としては、良好な膜が形成されるもので、かつ、所望の特性が得られるものであれば公知のいかなるものを使用してもよく、例えば、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の公知の高分子樹脂化合物、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が用いられる。
また、下引層1に含有される結着樹脂として、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂等を用いてもよい。なかでも上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好適であり、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が好適である。これらを2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
下引層形成用塗布液中の、表面にアクセプター化合物を付与させた金属酸化物粒子(アクセプター性を付与した金属酸化物粒子)と結着樹脂、又は、金属酸化物粒子と結着樹脂との比率は電子写真感光体特性が得られる範囲で設定される。
また、下引層1中には種々の添加物を用いてもよい。
添加物としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が用いられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層形成用塗布液に添加してもよい。
添加剤としてのシランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、ジルコニウムキレート化合物の例としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物の例としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物の例としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの化合物は単独に若しくは複数の化合物の混合物又は重縮合物として用いてもよい。
下引層形成用塗布液を調製するための溶媒としては、公知の有機溶剤、例えば、アルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等から任意で選択される。
溶媒として、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が用いられる。
また、これらの溶剤は単独又は2種以上混合して用いてもよい。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶かし得る溶剤であれば、いかなるものでも使用される。
下引層形成用塗布液を調製する際の金属酸化物粒子の分散方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの公知の方法が用いられる。
更に、下引層1を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
このようにして得られた下引層形成用塗布液を用い、導電性基体上に下引層1が成膜される。
下引層1は、厚さ7μm以上であるが、厚さ15μm以上が望ましく、更に望ましくは15μm以上50μm以下とされていることが望ましい。
下引層1は、ビッカース硬度が35以上とされていることが望ましい。
下引層1の表面粗さ(十点平均粗さ)は、使用される露光用レーザー波長λの1/4n(nは上層の屈折率)から1/2λまでに調整することが望ましい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂などの粒子を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が用いられる。
また、表面粗さ調整のために下引層表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が用いられる。LED,有機ELイメージアレイなどの非干渉性光源を用いる場合には平滑な表面を用いてもよい。
下引層1は、導電性基体4上に塗布した前述の下引層形成用塗布液を乾燥させることで得られるが、通常乾燥は、溶剤を蒸発させ製膜し得る温度で行われる。
(電荷発生層)
電荷発生層2は、電荷発生材料及び結着樹脂を含有する層である。また、結着樹脂を含有しない蒸着膜として形成してもよい。特に、LED,有機ELイメージアレイなどの非干渉性光源を用いる場合には望ましい。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料、酸化亜鉛、三方晶系セレン等が挙げられる。これらの中でも、近赤外域のレーザー露光に対応させるためには、電荷発生材料として、金属フタロシアニン顔料、及び無金属フタロシアニン顔料を用いることが望ましく、特に、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−11172号公報、特開平5−11173号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報、特開平5−43823号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより望ましい。また、近紫外域のレーザー露光に対応させるためには、電荷発生材料として、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、チオインジゴ系顔料、ポルフィラジン化合物、酸化亜鉛、三方晶系セレン、特開2004−78147号公報、特開2005−181992号公報に開示されたビスアゾ顔料等を用いることがより望ましい。
また、450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED,有機ELイメージアレイなどの非干渉性光源を用いる場合にも上記電荷発生材料を用いてもよいが、解像度の観点より、感光層を20μm以下の薄膜で用いる場合には、感光層中の電界強度が高くなり、基材からの電荷注入による帯電低下、いわゆる黒点と呼ばれる画像欠陥を生じやすくなる。
これは、三方晶系セレンや、フタロシアニン顔料などのp-型半導体で暗電流を生じやすい電荷発生材料を用いた時に顕著となる。
これに対し、縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料などのn-型半導体を用いた場合、暗電流を生じにくく、薄膜にしても黒点と呼ばれる画像欠陥を抑制し得る。
450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED,有機ELイメージアレイなどの非干渉性光源を用い、平滑な基材、下引層を形成し、さらにn-型の電荷発生材料を用いることで、感光層を20μm以下の薄膜にしても画像欠陥を生じず、長期に渡って高解像度の画像が得られる。
n-型の電荷発生材料としては、具体的に以下の例があげられるがこれに限られるものではない。なお、n-型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn-型とする。



電荷発生層2に使用される結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。望ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。電荷発生材料と結着樹脂の配合比は質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが望ましい。ここで、「絶縁性」とは、ここで、「絶縁性」とは体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
電荷発生層2は、上述の電荷発生材料及び結着樹脂を定められた溶剤中に分散した電荷発生層形成用塗布液を用いて形成される。また、結着樹脂を含有しない蒸着膜として形成させてもよく、特に縮環芳香族顔料、ペリレン顔料は蒸着膜として望ましく使用し得る。
分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いる。
また、電荷発生材料及び結着樹脂を溶剤中に分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いられる。これらの分散方法により、分散による電荷発生材料の結晶型の変化が防止される。
更にこの分散の際、電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、望ましくは0.3μm以下、更に望ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
また、電荷発生層2を形成する際には、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
このようにして得られる電荷発生層2の膜厚は、望ましくは0.1μm以上5.0μm以下、更に望ましくは0.2μm以上2.0μm以下である。
(電荷輸送層)
電荷輸送層3は、電荷輸送材料と結着樹脂を含有して、又は高分子電荷輸送材を含有して形成される。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物や、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物が挙げられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
電荷輸送材料としては、電荷移動度の観点から、下記構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び下記構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体が望ましい。


上記構造式(a−1)中、Rは、水素原子、メチル基、−C(R10)=C(R11)(R12)、又は−CH=CH−CH=C(R13)(R14)を示す。lは1又は2を示す。Ar及びArは各々独立に置換若しくは未置換のアリール基、−C−C(R10)=C(R11)(R12)、又は−C−CH=CH−CH=C(R13)(R14)を示し、R10、R11、R12、R13及びR14は各々独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基を表す。
ここで、上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、又は炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基が挙げられる。
上記構造式(a−2)中、R15及びR15’は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、又は炭素数1以上5以下のアルコキシ基を示す。R16、R16’、R17、及びR17’は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは未置換のアリール基、−C(R18)=C(R19)(R20)、又は−CH=CH−CH=C(R21)(R22)を示し、R18、R19、R20、R21及びR22は各々独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基を表す。m及びnは各々独立に0以上2以下の整数を示す。
ここで、構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体のうち、特に、「−C−CH=CH−CH=C(R13)(R14)」を有するトリアリールアミン誘導体、及び「−CH=CH−CH=C(R21)(R22)」を有するベンジジン誘導体が、電荷移動度、保護層との接着性、前画像の履歴が残ることで生じる残像(以下「ゴースト」と言う場合がある)などの観点で優れ望ましい。
電荷輸送層3に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。特開平8−176293号公報及び特開平8−208820号公報に開示されているポリエステル系の高分子電荷輸送材料等を用いてもよい。これらのうち、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好適である。
これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上で用いる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は質量比で10:1から1:5までが望ましい。
特に、電荷輸送層3上には、反応性の電荷輸送材料とポリカーボネート樹脂とを含有する組成物の硬化膜からなる保護層(最表面層)を備える場合、電荷輸送層3に用いる結着樹脂としては、粘度平均分子量50000以上のものが望ましく、55000以上のものがより望ましい。
なお、電荷輸送層3に用いる結着樹脂の粘度平均分子量の上限値としては100000以下が望ましい。
ここで、本実施形態における結着樹脂の粘度平均分子量は、毛細管粘度計によって測定した値である。
なお、最表面層が電荷輸送層である場合には、その下層中に含まれる結着樹脂の粘度平均分子量が上記の範囲であることが望ましい。
また、電荷輸送材料として高分子電荷輸送材を用いてもよい。高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシランなどの電荷輸送性を有する公知のものが用いられる。特に、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報等に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は特に望ましいものである。高分子電荷輸送材はそれだけでも成膜し得るが、前述の結着樹脂と混合して成膜してもよい。
電荷輸送層3は、上記構成材料を含有する電荷輸送層形成用塗布液を用いて形成される。
電荷輸送層形成用塗布液に用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状若しくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤を単独又は2種以上混合して用いられる。また、上記各構成材料の溶解方法としては、公知の方法が使用される。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層2の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
電荷輸送層3の膜厚は、望ましくは5μm以上50μm以下、より望ましくは10μm以上30μm以下である。
以上、図1に示される電子写真感光体7Aを参照し、機能分離型の感光層における各層の構成を説明したが、図2に示される機能分離型の電子写真感光体7Bにおける各層においてもこの構成が採用しうる。また、図3に示される電子写真感光体7Cの単層型感光層6の場合、以下の態様であることが望ましい。
即ち、単層型感光層6中の電荷発生材料の含有量は、保護層(最表面層)5を形成する際に用いられる組成物の全固形分に対して5質量%以上50質量%以下が望ましく、更には10質量%以上40質量%以下がより望ましく、15質量%以上35質量%以下が特に望ましい。
単層型感光層6の形成方法は、電荷発生層2や電荷輸送層3における形成方法を採用しうる。単層型感光層6の膜厚は5μm以上50μm以下が望ましく、10μm以上40μm以下とするのが更に望ましい。
また、上述の実施形態では、最表面層が保護層5である形態を説明したが、保護層5がない層構成の場合には、その層構成において最表面に位置する電荷輸送層が該最表面層となる。最表面層が電荷輸送層である場合、この層の厚みは、7μm以上70μm以下が望ましく、10μm以上60μm以下がより望ましい。
[帯電装置]
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
なお、図示しないが、電子写真感光体7の周囲には、電子写真感光体7の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための感光体加熱部材を設けてもよい。
[露光装置]
露光装置9としては、例えば、感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は感光体の分光感度領域にあるものが使用される。半導体レーザーの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザーや青色レーザーとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザーも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザー光源も有効である。
ここで、露光装置9の光源として、非干渉性の露光光源を適用することがよい。
非干渉性の露光光源は、インコヒーレント光を照射する光源であり、例えば、非干渉性の露光光源としては、LED,有機ELイメージアレイなどが採用される。
非干渉性の露光光源によって露光される電子写真感光体表面の露光スポットの面積は1000μm以下であり、且つ非干渉性の露光光源の発光の中心波長は450nm以上780nm以下であることがよい。
次に、露光ヘッドの一例について説明する。
図7は露光ヘッドの一例を示す図であり、図8は露光ヘッドにより感光体に露光を施している状態を示す図である。各露光ヘッドは、図7及び図8に示すように、例えば、有機EL素子アレイ(発光素子アレイ60B)と、結像部(レンズ70)と、を備えている。
発光素子アレイ60Bは、例えば、有機EL素子(発光素子60A)で構成される発光部と有機EL素子が実装される実装基板(図7の発光素子アレイ基板61に相当)とを備える。
有機EL素子アレイ(発光素子アレイ60B)と結像部(レンズ70)とは、発光部(発光素子60A)と結像部の光入射面70Aとの光学距離が結像部の作動距離となるように、離間した状態で保持部材により保持されている。
ここで、結像部の作動距離とは、結像部に用いるレンズ70の焦点から結像部の入射面70Aまでの距離である。
そして、結像部では、発光部からの発光を光の入射面70Aから入射すると共に光の出射面70Bから出射して予め定められた位置に結像させる、つまり、発光素子60Aからの発光を感光体30に結像することによって、感光体30が露光されて潜像が形成される(図8)。
ここで、有機EL素子アレイ(発光素子アレイ60B)について説明する。
有機EL素子アレイは、例えば発光部から照射される光を実装基板(発光素子アレイ基板61)側から取り出す、所謂、ボトムエミッション方式となっている。無論、トップエミッション方式であってもよい。
発光部は、例えば、単一の発光素子60Aの群で構成されている。発光素子60Aは、実装基板(発光素子アレイ基板61)の長手方向に沿って線状(直列)又は千鳥状に配置して、発光部を構成している。発光素子60Aの群で構成された発光部は、感光体30の画像形成領域以上の長さとしている。
次いで、結像部(レンズ70)について説明する。
結像部は、例えば、ロッドレンズが複数配列されたレンズアレイで構成されている。レンズアレイとして具体的には、例えば、セルフォックレンズアレイ(SLA:セルフォックは、日本板硝子(株)の登録商標)と呼ばれる屈折率分散型レンズアレイを適用することが最もよいが、シリンドリカルレンズを組み合わせても良い。さらに、個々の光源用有機EL素子上にマイクロレンズを接合しても良い。
[現像装置]
現像装置11としては、例えば、磁性若しくは非磁性の一成分系現像剤又は二成分系現像剤等を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置を用いて行ってもよい。その現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、上記一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが望ましい。
以下、現像装置11に使用される現像剤トナーについて説明する。
現像剤は、トナー単独の一成分現像剤であってもよいし、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤であってもよい。
(トナー)
トナーは、高解像度の画像を得る観点から、小径トナーが適用される。
具体的には、トナー(トナー粒子)の体積平均粒径は、3μm以上5.5μm以下であり、望ましくは3.2μm以上5.3μm以下、より望ましくは3.3μm以上5.2μm以下である。
また、トナーの平均形状係数は、100以上150以下であることが望ましく、105以上145以下であることがより望ましく、110以上140以下であることがさらに望ましい。
ここで、トナー(トナー粒子)の体積平均粒径D50vの測定法は、次の通りである。
まず、分散剤として界面活性剤(望ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の5質量%水溶液2ml中に、測定試料を0.5mg以上50mg以下加え、これを電解液100ml以上150ml以下中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で約1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーII型(ベックマン−コールター社製)により、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が2.0μm以上60μm以下の範囲の粒子の粒度分布を測定する。測定する粒子数は50,000とする。
得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとする。
一方、トナー(トナー粒子)の平均形状係数SF1の測定方法は、次の通りである。
まず、スライドグラス上に散布したトナー(トナー粒子)の光学顕微鏡像(250倍に拡大した画像)を、ビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置(LUZEX III、ニレコ社製)に取り込み、100個のトナー(トナー粒子)について下記式に基づきSF1を計算し、平均値を求めることにより得られる。
・式:SF1=(ML2/A)×(π/4)×100
ここでMLは粒子の絶対最大長、Aは粒子の投影面積である。
−トナーの構成−
トナーは、トナー粒子単独で構成されていてもよいし、トナー粒子と外添剤とを含んで構成されていてもよい。
トナー粒子は、例えば、結着樹脂と、必要に応じて、着色剤、離型剤その他内添剤と、を含有して構成される。
結着樹脂としては、特に制限はないが、スチレン類(例えばスチレン、クロロスチレン等)、モノオレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等)、ビニルエステル類(例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等)、α−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等)、ビニルケトン類(例えばビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)等の単独重合体および共重合体、ジカルボン酸類とジオール類との共重合によるポリエステル樹脂等が挙げられる。
特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
また、代表的な結着樹脂としては、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等も挙げられる。
着色剤としては、磁性粉(例えばマグネタイト、フェライト等)、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が代表的なものとして挙げられる。
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
その他内添剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等が挙げられる。
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられ、該無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
外添剤の表面は、予め疎水化処理をしてもよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−トナーの製造方法−
トナーは、例えば、トナー粒子を得た後、必要に応じて外添剤と混合することにより得られる。
トナー粒子の製造方法としては、特に製造方法により限定されるものではないが、例えば、結着樹脂、必要に応じて着色剤、離型剤その他内添剤等を加えて混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、必要に応じて着色剤、離型剤その他内添剤等の分散液と、を混合し、凝集、加熱融着する乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と、必要に応じて着色剤、離型剤その他内添剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂と、必要に応じて着色剤、離型剤その他内添剤等の溶液と、を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等が挙げられる。
また、トナー粒子は、上記方法で得られたトナー粒子をコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造のトナー粒子としてもよい。
なお、トナー粒子の製造方法としては、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が望ましく、乳化重合凝集法が特に望ましい。
そして、トナーは、外添剤を含む場合、トナー粒子及び外添剤をヘンシェルミキサー又はVブレンダー等で混合することによって製造される。また、トナー粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添してもよい。
(キャリア)
キャリアとしては、例えば、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉又はそれ等の表面に樹脂コーティングを施したものが挙げられる。
なお、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、例えば、トナー:キャリア=1:100から30:100程度の範囲が挙げられる。
[クリーニング装置]
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
[転写装置]
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
[中間転写体]
中間転写体50としては、表面のダイナミック硬度が29×10N/m以上38×10N/m以下であり、望ましくは30×10N/m以上37×10N/m以下であり、より望ましくは30.5×10N/m以上36×10N/m以下である。
この中間転写体50の表面のダイナミック硬度を上記範囲とすることにより、中間転写体50と共に電子写真感光体7の表面の損傷や摩耗の増加を抑制し、小径トナーの転写効率を向上させる。このため、電子写真感光体や中間転写体への付着物の発生が抑制され、黒点を発生しにくく、かつ、高温高湿環境下においても、繰り返し画像形成したときの画質の低下が抑制される。
ここで、中間転写体50の表面のダイナミック硬度を上記範囲にする手段としては、中間転写体50の構成材料の分子構造(ポリイミド等)、導電剤含有率、焼成温度、分子量等の条件設定を変化させる方法が挙げられる。
ダイナミック硬度は以下の方法で測定されるものである。すなわち、稜間角115°、先端曲率半径0.1μm以下のダイアモンド圧子を用い、中間転写体表面を、応力速度0.05mN/secの条件で、押し込み測定により測定する。詳しくは、中間転写体ベルトを適当な大きさに切り出し、この表面を稜間角115°、先端曲率半径0.1μm以下のダイアモンド圧子を装着した微小硬度測定装置で測定する。このとき押し込み応力速度は0.05mN/secに設定する。押し込み深さは圧子の変位から、押し込み荷重は圧子につけたロードセルから読み取る。ダイナミック硬度は下記式(a)により求める。
DH=3.8584×(P/D) (a)
[式中、DHはダイナミック硬度(N/m)を示し、Pは押し込み荷重(N)を示し、Dは押し込み深さ(m)を示す。]
中間転写体50が積層体で構成されており、表面層の下の層が著しく柔らかく、ダイナミック硬度の測定が困難な場合には以下に示す方法で、最表面層のみでダイナミック硬度測定をする方法を使用する。すなわち、ガラス基板上に中間転写体或いは感光体最表面層を含浸塗布、バーコーター塗布、スプレー塗布、蒸着などで膜厚1.0〜10.0μm程度で形成し、この表面を稜間角115°、先端曲率半径0.1μm以下のダイアモンド圧子を装着した微小硬度測定装置で測定する。このとき押し込み応力速度は0.09mN/secに設定する。押し込み深さは圧子の変位から、押し込み荷重は圧子につけたロードセルから読み取る。ダイナミック硬度は上記式(a)により求める。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等のベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
特に、中間転写体50としては、ポリイミド樹脂とカーボンブラックとを含んで構成されたベルト状の中間転写体であることがよい。これにより、表面のダイナミック硬度が上記範囲を満たしつつ、抵抗値の環境依存性、機械的強度に優れ、その結果、高速で、高解像度の画像を長期に渡って得られる易くなる。
中間転写体50は、ポリイミド樹脂で構成させる場合、例えば、以下の手順で製造する。すなわち、略等モルのテトラカルボン酸二無水物或いはその誘導体とジアミンとを所定の溶媒中で重合反応させてポリアミド酸溶液を得る。このポリアミド酸溶液を円筒状金型に供給・展開して膜(層)形成を行った後、さらにイミド転化を行うことによって、ポリイミド樹脂で構成されるベルト状の中間転写体50を得る。
かかるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、下記一般式(2):

[式中、Rは脂肪族鎖式炭化水素基、脂肪族環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基、並びにこれらの炭化水素基に置換基が結合した基からなる群より選ばれる4価の有機基を示す]
で表される化合物が挙げられる。より具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、ジアミンの具体例としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ第三ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−第三ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−β−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ベンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロボキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ピペラジン、HN(CHO(CHO(CH)NH、HN(CHS(CHNH、HN(CHN(CH(CHNH等が挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物とジアミンを重合反応させる際の溶媒としては、溶解性等の点から極性溶媒が望ましい。極性溶媒としては、N,N−ジアルキルアミド類が望ましく、中でもN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等の低分子量のものがより望ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中間転写体50の膜抵抗を調整するために、ポリイミド樹脂中にカーボンを分散させるが、カーボンの種類は特に限定されないが、カーボンブラックの酸化処理によりその表面に酸素含有官能基(カルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等)が形成された酸化処理カーボンブラックを用いることがよい。ポリイミド樹脂中に酸化処理カーボンブラックを分散すると、電圧を印加したときに酸化処理カーボンブラックに過剰な電流が流れるため、ポリイミド樹脂が繰返しの電圧印加による酸化の影響を受けにくくなる。また、酸化処理カーボンブラックはその表面に形成された酸素含有官能基によりポリイミド樹脂中への分散性が高いので、抵抗バラツキを小さくなると共に電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中が起こりにくくなる。従って、転写電圧による抵抗低下を防止し、電気抵抗の均一性を改善し、電界依存性が少なく、さらに環境による抵抗の変化の少ない、用紙走行部が白く抜けること等の画質欠陥の発生が抑制された高画質を得ることができる中間転写体を得られる。
酸化処理カーボンブラックは、カーボンブラックを高温雰囲気下で空気と接触、反応させる空気酸化法、常温下で窒素酸化物やオゾン等と反応させる方法、高温下での空気酸化後、低温下でオゾン酸化する方法などにより得られる。
酸化処理カーボンとして、三菱化学製のMA100(pH3.5、揮発分1.5%)、同,MA100R(pH3.5、揮発分1.5%)、同MA100S(pH3.5、揮発分1.5%)、同#970(pH3.5、揮発分3.0%)、同MA11(pH3.5、揮発分2.0%)、同#1000(pH3.5、揮発分3.0%)、同#2200(pH3.5,揮発分3.5%)、同MA230(pH3.0、揮発分1.5%)、同MA220(pH3.0、揮発分1.0%)、同#2650(pH3.0、揮発分8.0%)、同MA7(pH3.0、揮発分3.0%)、同MA8(pH3.0、揮発分3.0%)、同OIL7B(p
H3.0、揮発分6.0%)、同MA77(pH2.5、揮発分3.0%)、同#2350(pH2.5、揮発分7.5%)、同#2700(pH2.5、揮発分10.0%)、同#2400(pH2.5、揮発分9.0%);デグサ社製のプリンテックス150T(pH4.5、揮発分10.0%)、同スペシャルブラック350(pH3.5、揮発分2.2%)、同スペシャルブラック100(pH3.3、揮発分2.2%)、同スペシャル
ブラック250(pH3.1、揮発分2.0%)、同スペシャルブラック5(pH3.0、揮発分15.0%)、同スペシャルブラック4(pH3.0、揮発分14.0%)、同スペシャルブラック4A(pH3.0、揮発分14.0%)、同スペシャルブラック550(pH2.8、揮発分2.5%)、同スペシャルブラック6(pH2.5、揮発分18.0%)、同カラーブラックFW200(pH2.5、揮発分20.0%)、同カラーブ
ラックFW2(pH2.5、揮発分16.5%)、同カラーブラックFW2V(pH2.5、揮発分16.5%);キャボット社製MONARCH1000(pH2.5、揮発分9.5%)、同MONARCH1300(pH2.5、揮発分9.5%)、同MONARCH1400(pH2.5、揮発分9.0%)、同MOGUL−L(pH2.5、揮発分5.0%)、同REGAL400R(pH4.0、揮発分3.5%)、などの市販品を用いてもよい。
酸化処理カーボンブラックは、例えば酸化処理の度合い、DBP吸油量、窒素吸着を利用したBET法による比表面積等の物性の相違により導電性が異なるがこれらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよいが、実質的に導電性の異なるものを2種以上組み合わせて用いることがよい。このように物性の異なる2種類以上のカーボンブラックを添加する場合、例えば高い導電性を発現するカーボンブラックを優先的に添加した後、導電率の低いカーボンブラックを添加して表面抵抗率を調整すること等が実現される。
酸化処理カーボンブラックの配合量は、ポリイミド樹脂100質量部に対して10質量部以上50質量部以下であることが望く、12質量部以上30質量部以下であることがより望ましい。
2種類以上の酸化処理カーボンブラックを分散させたポリアミド酸溶液の製造方法としては、溶媒中に2種類以上の酸化処理カーボンブラックを予め分散した分散液中に酸二無水物成分及びジアミン成分を溶解・重合する方法、2種類以上の酸化処理カーボンブラックを各々溶媒中に分散させ2種類以上のカーボンブラック分散液を作製し、この分散液に酸無水物成分及びジアミン成分を溶解・重合させた後、各々のポリアミド酸溶液を混合する方法、などが挙げられる。
中間転写体50は、このようにして得られたポリアミド酸溶液を円筒状金型内面に供給・展開して被膜とし、加熱によりポリアミド酸をイミド転化させることにより得られる。かかるイミド転化の際には、所定の温度で0.5時間以上保持することによって、良好な平面度を有するベルト状の中間転写体50が得られる。
ポリアミド酸溶液を円筒状金型内面に供給する際の供給方法としては、ディスペンサーによる方法、ダイスによる方法などが挙げられる。ここで、円筒上金型としては、その内周面が鏡面仕上げされたものを用いることがよい。
また、金型に供給されたポリアミド酸溶液から被膜を形成するとしては、加熱しながら遠心成形する方法、弾丸状走行体を用いて成形する方法、回転成形する方法などが挙げられ、これらの方法により均一な膜厚の被膜が形成される。
このようにして形成された被膜をイミド転化させて中間転写体50を成形する方法としては、(i)金型ごと乾燥機中に入れ、イミド転化の反応温度まで昇温する方法、(ii)ベルトとして形状を保持できるまで溶媒の除去を行った後、金型内面から被膜を剥離して金属製シリンダ外面に差し替えた後、このシリンダごと加熱してイミド転化を行う方法、などが挙げられる。得られる中間転写体50の表面のダイナミック硬度が上記の条件を満たせば上記(i)、(ii)のいずれの方法でイミド転化を行ってもよいが、方法(ii)によりイミド転化を行うと、平面度及び外表面精度が良好な中間転写体50を効率よく且つ確実に得ることができるので望ましい。以下、方法(ii)について詳述する。
上記方法(ii)において、溶媒を除去する際の加熱条件は、溶媒を除去できれば特に制限されないが、加熱温度は80〜200℃であることが望ましく、加熱時間は0.5〜5時間であることが望ましい。このようにしてベルトとしてそれ自身形状を保持することができるようになった成形物は金型内周面から剥離されるが、かかる剥離の際に金型内周面に離型処理を施してもよい。
次いで、ベルト形状として保持できるまで加熱・硬化させた成形物を、金属製シリンダ外面に差し替え、差し替えたシリンダごと加熱することにより、ポリアミド酸のイミド転化反応を進行させる。かかる金属製シリンダとしては、線膨張係数がポリイミド樹脂よりも大きいものが望ましく、また、シリンダの外径をポリイミド成形物の内径より所定量小さくすることで、ヒートセットを行うことができ均一な膜厚でムラのない無端ベルトを得ることができる。また、金属製シリンダ外面の表面粗度(Ra)は、1.2〜2.0μmであることが望ましい。金属製シリンダ外面の表面粗度(Ra)が1.2μm未満であると、金属製シリンダ自身が平滑過ぎるため、得られる中間転写体50においてベルトの軸方向に対する収縮による滑りが発生しないため、延伸がこの工程で行われ、膜厚のバラツキや平面度の精度の低下が発生する場合がある。また、金属製シリンダ外面の表面粗度(Ra)が2.0μmを超えると、金属製シリンダ外面がベルト状中間転写体の内面に転写し、さらには外面に凹凸を発生させ、これにより画像不良が発生しやすくなる場合がある。なお、本発明でいう表面粗度とはJIS B601に準じて測定されるRaをいう。
また、イミド転化の際の加熱条件としては、ポリイミド樹脂の組成にもよるが、加熱温度が220℃以上280℃以下、加熱時間0.5時間以上2時間以下であることがよい。このような加熱条件でイミド転化を行うと、ポリイミド樹脂の収縮量がより大きくなるため、ベルトの軸方向についての収縮を緩やかに行うことにより、膜厚バラツキや平面度の精度の低下が抑制される。
このようにして、得られたポリイミド樹脂で構成されるベルト状の中間転写体50の外面の表面粗度(Ra)は、1.5μm以下であることがよい。中間転写体50の表面粗度(Ra)が1.5μmを超えるとがさつき等の画像欠陥が発生しやすくなる傾向にある。
なお、がさつきの発生は、転写の際に印加される電圧や剥離放電による電界がベルト表面の凸部に局所的に集中して凸部表面が変質することによって、新たな導電経路の発現により抵抗が低下し、その結果得られる画像の濃度低下が起こることに起因すると考えられる。
また、得られたベルト状の中間転写体50の厚さは、その使用目的に応じて決定されるが、強度や柔軟性等の機械的特性の点から、20μm以上500μm以下が望ましく、50μm以上200μm以下がより望ましい。
また、中間転写体50の表面抵抗は、その表面抵抗率(Ω/□)の常用対数値が8(logΩ/□)以上15以下(logΩ/□)であることが望ましく、11(logΩ/□)以上13(logΩ/□)以下であることがより望ましい。
なお、表面抵抗率とは、22℃、55%RH環境下で100Vの電圧を印加し、電圧印加開始時から10秒後に測定される電流値に基づいて得られる値をいう。
以上説明した画像形成装置100は、上述した各装置の他に、例えば、感光体7に対して光除電を行う光除電装置を備えていてもよい。
図5は、本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図5に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
なお、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る電子写真感光体と、現像装置と、中間転写体を有する転写装置と、を備え、画像形成装置に着脱し得るプロセスカートリッジであればよい。
以下、実施例及び比較例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」は、特に断りのない限り質量基準である。
<感光体の作製>
まず、感光体における各層の作製方法について説明する。
(下引層の作製)
[下引層1]
酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m/g)100部をテトラヒドロフラン500部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学工業社製)1.3部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間)焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
表面処理を施した酸化亜鉛110部を500部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン1.0部を50部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛を濾別し、さらに60℃で減圧乾燥を行い、アリザリン付与酸化亜鉛を得た。
このアリザリン付与酸化亜鉛60部と硬化剤(ブロック化イソシアネート、スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5部とブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学社製)15部とをメチルエチルケトン85部に溶解した溶液38部と、メチルエチルケトン25部と、を混合し1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)45部を添加し、下引層用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて、直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ18μmの下引層を得た。形成された下引層の外側表面の表面粗さRaは0.3μmであった。
[下引層2]
シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)45部を添加しなかった以外は、下引層1に記載の方法により下引層2を形成した。形成された下引層の外側表面の表面粗さRaは0.1μmであった。
(電荷発生層の作製)
[電荷発生層1]
電荷発生物質としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10部、及びn−酢酸ブチル200部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn−酢酸ブチル175部、メチルエチルケトン180部を添加し、攪拌して電荷発生層用塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を、下引層上に浸漬塗布し、100℃で5分間乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
[電荷発生層2]
昇華精製したジブロムアントアントロン顔料(CG−25:クラリアント社製、n型有機顔料)45gを、容量0.25Lのメノウ製容器に20mmφのメノウボール12個と共に入れ、遊星ボールミル(Fritsch P−5)により粉砕した。粉砕条件は、ディスク回転数(公転)235rpm、ポット回転数(自転)50rpmとし、8時間粉砕した。このジブロムアントアントロン顔料10部、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)5部、及びシクロヘキサノン100部を混合し、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にシクロヘキサノン300部を添加し、攪拌して電荷発生層用塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、100℃で5分間乾燥して、膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
[電荷発生層3]
昇華精製したジブロムアントアントロン顔料(CG−25:クラリアント社製、n型有機顔料)を、0.1μmの膜厚となるよう、バリアン モデル(Varian Model)3117真空コーターにより蒸着させて下引層上に膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
なお、上記CG−25はタンタルボート中で350℃に加熱して、上記の真空コーターを10−3Pasに減圧した。また、基層はボートから16cmのところに置き、光励起層は6Å/秒の速さで付着させた。
(電荷輸送層の作製)
[電荷輸送層1]
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)40部、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン10部、及びビスフェノールZポリカーボネート樹脂(PC(Z):粘度平均分子量:6万)55部をクロルベンゼン800部に加えて溶解し、電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を電荷発生層上に塗布し、130℃、45分の乾燥を行って膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。
[電荷輸送層2]
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)の量を25部とし、且つ下記化合物CTM−1の電荷輸送材料20部を用いた以外は、電荷輸送層1に記載の方法により電荷輸送層2を形成した。


(最表面層の作製)
[硬化方法:熱硬化]
例示化合物(I)−15(特定の反応基含有電荷輸送材料)20部、トリメチロールプロパントリアクリレート(A−TMPT、新中村化学社製、不飽和結合を有する化合物)5部、OTazo−15(大塚化学社製、分子量354.4、重合開始剤)0.2部をシクロペンタノール30部及びシクロペンチルメチルエーテル20部に溶解し、突き上げコートにて電荷輸送層上に塗布した。室温(20℃)で30分風乾した後、酸素濃度200ppmの窒素下で室温(20℃)から10℃/分の速度で160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚4μmの最表面層を形成した。
なお、熱硬化の場合には材料の種類、比率を表1〜表3に示す数値に変えた上で、この条件で硬化を行なった。
[硬化方法:光硬化]
例示化合物(I)−15(特定の反応基含有電荷輸送材料)20部、トリメチロールプロパントリアクリレート(A−TMPT、新中村化学社製、不飽和結合を有する化合物)5部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、重合開始剤)0.5部をシクロペンタノール30部及びシクロペンチルメチルエーテル20部に溶解し、突き上げコートにて電荷輸送層上に塗布した。室温(20℃)で30分風乾した後、メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:120mm、照射強度:500mW/cm、照射時間:60秒の条件で酸素濃度200ppmの窒素下で光照射を行ない、塗布膜を硬化させた。更に150℃で20分乾燥を加え、膜厚4μmの最表面層を形成した。
なお、光硬化の場合には材料の種類、比率を表1〜表3に示す数値に変えた上で、この条件で硬化を行なった。
[硬化方法:電子線硬化]
例示化合物(I)−15(特定の反応基含有電荷輸送材料)10部、トリメチロールプロパントリアクリレート(A−TMPT、新中村化学社製、不飽和結合を有する化合物)5部をシクロペンタノール30部及びシクロペンチルメチルエーテル20部に溶解し、突き上げコートにて電荷輸送層上に塗布した。室温(20℃)で30分風乾した後、酸素濃度20ppmの窒素下で感光体を300rpmの速度で回転させながら、照射距離が30mm、電子線加速電圧が90kV、電子線ビーム電流が2mA、電子線照射時間が1.0秒の条件で電子線を照射した。照射後すぐに、酸素濃度20ppmの窒素下で150℃に加熱し、20分保持して硬化反応を完結させ、膜厚4μmの最表面層を形成した。
なお、電子線硬化の場合には材料の種類、比率を表1〜表3に示す数値に変えた上で、この条件で硬化を行なった。
〔感光体1〜26の作製〕
適用する下引層、電荷発生層、及び電荷輸送層を表1〜表2に記載のものとし、また最表面層(保護層)の形成に用いる材料(特定の反応基含有電荷輸送材料、不飽和結合を有する化合物、添加剤、重合開始剤)の種類及び比率、並びに最表面層(保護層)の硬化方法を表1〜表2に記載のものとして、感光体1〜26を作製した。
〔感光体27〜28の作製〕
下引層1の膜厚を8μm、12μmとした以外は、感光体6と同様にして感光体27〜28を作製した。
〔比較感光体1〜8の作製〕
適用する下引層、電荷発生層、及び電荷輸送層を表3に記載のものとし、また最表面層(保護層)の形成に用いる材料(反応基を含有する電荷輸送材料、不飽和結合を有する化合物、添加剤、重合開始剤)の種類及び比率、並びに最表面層(保護層)の硬化方法を表3に記載のものとして、比較感光体1〜8を作製した。
但し、比較感光体8は、最表面層として保護層を形成せず、電荷輸送層を20μmとした。
〔比較感光体9の作製〕
下引層1の膜厚を6μmとした以外は、感光体6と同様にして比較感光体9を作製した。
なお、上記表中の詳細は、以下の通りである。
・A−TMPT:トリメチロールプロパントリアクリレート、新中村化学社製
・OTazo−15:大塚化学社製、分子量354.4
・イルガキュア184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製
・PTFE:ルブロンL2、ダイキン社製
・化合物(A)及び(B):下記構造式参照

<中間転写ベルト>
[中間転写ベルト1の作製]
宇部興産(株)製の耐熱皮膜用ポリイミドUワニスS75質量部にデグサ社製のカーボンブラック(Special Black4)25質量部を加え、サンドミルで7時間分散させて分散液を作製した。この分散液を、環状塗布方法により円筒状金型外面に400μmに塗布し、6rpmで回転させながら150℃で45分間加熱した後、室温に戻し、次に焼成炉に入れ360℃で3時間焼成し、イミド転化反応を完結させた。
その後、室温に戻し、目的の中間転写ベルト1を得た。この中間転写ベルト1は、厚さが75μm、表面抵抗率が11.8(logΩ/□)、表面(外周面)のダイナミック硬度が34.6×10N/mであった。
[中間転写ベルト2の作製]
宇部興産(株)製の耐熱皮膜用ポリイミドUワニスA12質量部とポリイミドUワニスS60質量部とを混合した後にデグサ社製のカーボンブラック(Special Black4)28質量部を加え、サンドミルで8時間分散させ分散液を作製した。この分散液を、環状塗布方法により円筒状金型外面に400μmに塗布し、10rpmで回転させながら150℃で60分間加熱した後、室温に戻し、次に焼成炉に入れ330℃で2.5時間焼成し、イミド転化反応を完結させた。
その後、室温に戻し、目的の中間転写ベルト2を得た。この中間転写ベルト2は、厚さが75μm、表面抵抗率が11.6(logΩ/□)、表面(外周面)のダイナミック硬度が31.0×10N/mであった。
[中間転写ベルト3の作製]
宇部興産(株)製の耐熱皮膜用ポリイミドUワニスA75質量部にデグサ社製のカーボンブラック(Special Black4)25質量部を加え、サンドミルで7時間分散させ分散液を作製した。この分散液を、環状塗布方法により円筒状金型外面に400μmに塗布し、6rpmで回転させながら150℃で60分間加熱した後室温に戻して成形し、次に焼成炉に入れ300℃で2.5時間焼成し、イミド転化反応を完結させた。
その後、室温に戻し、目的の中間転写ベルト3を得た。この中間転写ベルト3は、厚さが75μm,表面抵抗率が12.0(logΩ/□)、表面(外周面)のダイナミック硬度が23.2×10N/mであった。
[中間転写ベルト4の作製]
宇部興産(株)製の耐熱皮膜用ポリイミドUワニスS82質量部にデグサ社製のカーボ
ンブラック(Special Black4)18質量部を加え、サンドミルで2時間分
散させて分散液を作製した。この分散液を、環状塗布方法により円筒状金型外面に400
μmに塗布し、6rpmで回転させながら150℃で60分間加熱した後室温に戻し、次
に焼成炉に入れ380℃で3時間焼成し、イミド転化反応を完結させた。
その後、室温に戻し、目的の中間転写ベルト4を得た。この中間転写ベルト4は、厚さが75μm、表面抵抗率が9.5(logΩ/□)、表面(外周面)のダイナミック硬度39.0×10N/mであった。
作製した各中間転写ベルトの特性を一覧にして表4に示す。
<現像剤の作製>
[現像剤1]
(トナー粒子1の作製)
(1)結着樹脂微粒子分散液の調製
スチレン370質量部、n−ブチルアクリレート30質量部、アクリル酸8質量部、ドデカンチオール24質量部、及び、四臭化炭素4質量部を混合して溶解した溶液Aと、非イオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成社製)6質量部及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬社製)10質量部をイオン交換水550質量部に溶解した溶液Bと、過硫酸アンモニウム4質量部をイオン交換水50質量部に溶解した溶液Cと、を準備した。次に、フラスコ中に溶液Aと溶液Bとを加え、ゆっくりと混合攪拌しながら、10分間かけて溶液Cを徐々に加えることにより乳化重合させた。
上記フラスコ内を窒素置換した後、フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。これにより、体積平均一次粒径が150nm、ガラス転移点Tgが58℃、重量平均分子量Mwが11500の結着樹脂粒子が溶液中に分散した結着樹脂微粒子分散液を得た。この結着樹脂粒子分散液の固形分濃度は40質量%であった。
(2)着色剤分散液(1)の調製
カーボンブラック(モーガルL、キャボット社製)60質量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成社製)6質量部、イオン交換水240質量部を混合して溶解させ、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理を行うことで、平均粒子径250nmの着色剤(カーボンブラック)粒子が分散された着色剤分散剤(1)を得た。
(3)着色剤分散液(2)の調製
Cyan顔料(C.I.ピグメント・ブルー15:3)60質量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成社製)5質量部、イオン交換水240質量部を混合して溶解させ、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理を行うことで、平均粒子径250nmの着色剤(Cyan顔料)粒子が分散された着色剤分散剤(2)を得た。
(4)着色剤分散液(3)の調製
Magenta顔料(C.I.ピグメント・レッド122)60質量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成社製)5質量部、イオン交換水240質量部を混合して溶解させ、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理を行うことで、平均粒子径250nmの着色剤(Magenta顔料)粒子が分散された着色剤分散剤(3)を得た。
(5)着色剤分散液(4)の調製
Yellow顔料(C.I.ピグメント・イエロー180)90質量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成社製)5質量部、イオン交換水240質量部を混合して溶解させ、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理を行うことで、平均粒子径250nmの着色剤(Yellow顔料)粒子が分散された着色剤分散剤(4)を得た。
(6)離型剤分散液の調製
パラフィンワックス(HNP0190、日本精蝋社製、融点85℃)100質量部、カチオン性界面活性剤(サニゾールB50、花王社製)5質量部、イオン交換水240質量部を、丸型ステンレス鋼製フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径550nmの離型剤粒子が分散された離型剤分散液を調整した。
(7)トナー粒子K1の作製
上記結着樹脂微粒子分散液234質量部、上記着色剤分散液(1)30質量部、上記離型剤分散液40質量部、ポリ水酸化アルミニウム(Paho2S、浅田化学社製)1.0質量部、イオン交換水600質量部を、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて混合し、分散した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら40℃まで加熱した。40℃で30分間保持した後、D50v(体積平均粒径)3.5μmの凝集粒子が生成していることを確認した。
その後、加熱用オイルバスの温度を上げて56℃で1時間保持した。この際の、D50は4.3μmであった。この凝集体粒子を含む分散液に上記結着樹脂微粒子分散液26質量部を添加した後、加熱用オイルバスの温度を50℃まで下げて30分間保持した。次に、この凝集体粒子を含む分散液に、1N水酸化ナトリウムを添加することによりpHを7.0に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁気シールを用いて攪拌を継続しながら80℃まで加熱して4時間保持した。この凝集体粒子を含む分散液を冷却した後、凝集体粒子(トナー粒子)を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥して黒色のトナー粒子K1を得た。トナー粒子K1のD50vは4.9μm、平均形状係数SF1は130であった。
(8)トナー粒子C1の作製
着色剤分散液(1)の代わりに、着色剤分散液(2)を用いた以外は上記トナー粒子K1の作製方法と同様の方法を用いて、シアン色のトナー粒子C1を得た。トナー粒子C1のD50は5.0μm、平均形状係数SF1は129であった。
(9)トナー粒子M1の作製
着色剤分散液(1)の代わりに、着色剤分散液(3)を用いた以外は上記トナー粒子K1の作製方法と同様の方法を用いて、マゼンタ色のトナー粒子M1を得た。このトナー粒子M1のD50vは5.1μm、平均形状係数SF1は133であった。
(10)トナー粒子Y1の調整
着色剤分散液(1)の代わりに、着色剤分散液(4)を用い用いた以外は上記トナー粒子K1の作製方法と同様の方法を用いて、イエロー色のトナー粒子Y1を得た。このトナー粒子Y1のD50は5.2μm、平均形状係数SF1は130であった。
(現像剤1の作製)
(1)キャリアの作製
まず、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体(成分比:15/85)2質量部、カーボンブラック(VXC72、キャボット社製)0.2質量部、トルエン14質量部をサンドミルにて10分間撹拌させ、分散処理した被覆液を調製した。次に、この被覆液とフェライト粒子(平均粒径:35μm)100質量部とを真空脱気型ニーダーに入れ、攪拌しながら、温度60℃、圧力を560mmHg(74660Pa)まで減圧し、30分間混合した。その後、さらに昇温及び減圧させ90℃、40mmHg(5330Pa)で30分間攪拌・乾燥させることによりキャリアを得た。得られたキャリアは、1000V/cmの印加電界時の体積固有抵抗値が1011Ω・cmであった。
(2)C、M、Y色トナーの作製
トナー粒子C1、トナー粒子M1、トナー粒子Y1のそれぞれ100質量部に対して、ルチル型酸化チタン(粒径:20nm、表面処理:n−デシルトリメトキシラン処理)0.55質量部、シリカ(粒径:140nm、表面処理:HMDS処理、粒子作製法:ゾルゲル法)2.0質量部、酸化セリウム(E10、粒径:0.6μm、三井金属鉱業社製)0.4質量部、及び、ステアリン酸亜鉛(ZNS−S、粒径:6μm、旭電化工業社製)0.2質量部を添加し、5Lヘンシェルミキサーで周速30m/s×15分間ブレンドを行った。その後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、表面に外添剤が外添されたC(シアン)、M(マゼンタ)及びY(イエロー)色トナーを得た。
(3)K色トナーの作製
100質量部のトナー粒子K1に対して、ルチル型酸化チタン(粒径:20nm、表面処理:n−デシルトリメトキシラン処理)1.0質量部、シリカ(粒径:140nm、表面処理:HMDS処理、粒子作製法:ゾルゲル法)2.0質量部、及び、ステアリン酸亜鉛(ZNS−S、粒径:6μm、旭電化工業社製)0.3質量部を添加し、上記C、M、Y色トナーの作製方法と同様の方法を用いて、表面に外添剤が外添されたK(ブラック)色トナーを得た。
(4)現像剤の作製
上記の表面に外添剤が外添されたC、M、Y、K色トナーのそれぞれについて、該トナー8質量部と、上記キャリア100質量部とを、V−ブレンダーで、40rpm×20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤1を得た。
[現像剤2]
(トナー粒子C2の作製)
−結晶性ポリエステル樹脂(1)の合成−
加熱乾燥した3口フラスコに、エチレングリコール124重量部、5−スルホイソフタル酸ナトリウムジメチル22.2量部、セバシン酸ジメチル213重量部、と触媒としてジブチル錫オキサイド0.3重量部を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で5時間攪拌を行った。その後、減圧下にて220℃まで徐々に昇温を行い4時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、結晶性ポリエステル樹脂(1)220重量部を合成した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量測定(ポリスチレン換算)で、得られた結晶性ポリエステル樹脂(1)の重量平均分子量(MW)は19000であり、数平均分子量(Mn)は5800であった。
また、結晶性ポリエステル樹脂(1)の融点(Tm)を、前述の測定方法により、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを有し、ピークトップの温度は70℃であった。
−樹脂分散液の調製−
結晶性ポリエステル樹脂(1)150部を蒸留水850部中に入れ、80℃に加熱しながらホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラクス)にて混合攪拌して、樹脂粒子分散液を得た。
−着色剤分散液を調製−
フタロシアニン顔料250部(大日精化(株)製:PV FAST BLUE)、アニオン界面活性剤20部(第一工業製薬(株)社製:ネオゲンRK)、イオン交換水700部を混合し、溶解させた後、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラクス)を用いて分散し、着色剤(フタロシアニン顔料)を分散させてなる着色剤分散液を調製した。
−離型剤分散液の調製−
パラフィンワックス(HNP0190、日本精蝋社製、融点85℃)100質量部、カチオン性界面活性剤(サニゾールB50、花王社製)5質量部、イオン交換水240質量部を、丸型ステンレス鋼製フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径550nmの離型剤粒子が分散された離型剤分散液を調整した。
−トナー粒子C2の作製―
樹脂粒子分散液2400部、着色剤分散液100部、離型剤分散液63部、過酸化ラウロイル10部、硫酸アルミニウム5質量部(和光純薬社製)、イオン交換水100部、を丸型ステンレス製フラスコ中に収容させ、pH2.0に調整した後、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散させた後、加熱用オイルバス中で65℃まで攪拌しながら加熱した。65℃で3時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約6.0μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。更に1時間、65℃で加熱攪拌を保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約7.8μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
この凝集粒子液のpHは2.4であった。そこで炭酸ナトリウム(和光純薬社製)を0.5重量%に希釈した水溶液を穏やかに添加し、pHを5.0に調整した後、攪拌を継続しながら75℃まで加熱し、3時間保持した。
その後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させることにより、シアン色のトナー粒子C2を得た。得られたトナー粒子C2の融点は65℃であった。
得られたトナー粒子C2について、D50v(体積平均粒径)を測定したところ、D50vは7.9μm、平均形状係数SF1は132であった。
(トナー粒子M2の作製)
トナー粒子C2の作製において、フタロシアニン顔料の代わりにキナクリドン顔料を使用した以外は同様に行ない、マゼンタ色のトナー粒子M2を得た。
(トナー粒子Y2の作製)
トナー粒子C2の作製において、フタロシアニン顔料の代わりにイエロ−アゾ顔料を使用した以外は同様に行ない、イエロー色のトナー粒子Y2を得た。
(トナー粒子K2の作製)
トナー粒子C2の作製において、フタロシアニン顔料の代わりにカーボンブラックを使用した以外は同様に行ない、黒色のトナー粒子K2を得た。
(現像剤2の作製)
得られた4色の各トナー粒子にそれぞれ外添剤として、ヘキサメチルジシラザン処理したシリカ(平均粒径40nm)0.5%、メタチタン酸にイソブチルトリメトキシシラン50%処理後焼成して得られたチタン化合物(平均粒径30nm)0.7%を加え(何れもトナーに対する質量比)、75Lヘンシェルミキサーにて10分間混合し、その後、風力篩分機ハイボルター300(新東京機械社製)にて篩分し、外添トナーを作製した。
平均粒径50μmのフェライトコア100部に対して、0.15部にあたる弗化ビニリデン、及び1.35部にあたるメチルメタアクリレートとトリフロロエチレンとの共重合体(重合比80:20)樹脂をニーダー装置を用いコーティングし、キャリアを作製した。得られたキャリアと外添トナーとを、それぞれ100部:8部の割合で2リッターのVブレンダーで混合し、現像剤2を作製した。
[現像剤3]
現像剤1の各トナー粒子の作製において、ポリ水酸化アルミニウム(Paho2S、浅田化学社製)を1.0質量部から1.5質量部、凝集体粒子(トナー粒子)を得る工程の温度を80℃から75℃に変更した以外は同様にして、各色のトナー粒子C3、M3、Y3、K3を作製し、現像剤3を得た。
[現像剤4]
現像剤2の各トナー粒子の作製において、硫酸アルミニウム5質量部(和光純薬社製)を8質量部に変更した以外は同様にして、各色のトナー粒子C4、M4、Y4、K4を作製し、現像剤4を得た。
作製した各現像剤(トナー)の特性を一覧にして表5に示す。
<評価装置>
[評価装置1]
富士ゼロックス社製、ApeosPort−III C4400(オリジナルの露光装置発光波長:780nmの赤外レーザー、露光スポット:65μm×55μm、面積3600μm(ピーク値の1/eになる幅で定義))改造機を準備した。
[評価装置2]
評価装置1において、露光装置を発光波長:中心波長580nmの有機ELイメージバー、露光スポット:20μm×20μm、面積400μmを用い、イメージャーの解像度に合わせて駆動回路を作製した。
有機ELイメージバーは、以下のようにして作製した。図7に示されるように、基板としてのガラス基板に、ITO(Indium-Tin-Oxide)を20μm幅、20μmピッチでパターニングをした陽極を形成する。次に、正孔注入層として、PEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート)をスピンコート法により10nmに塗布する。さらに、発光層して、モノクロロベンゼンにMEH−PPVを1質量%溶解し、その塗布液をスピンコート法により塗布して80nmの膜を作製した。最後に露光光源用の陽極と直交するように開口部が20μm幅のマスクを用い、陰極Ca、反射層としてのAlを順次蒸着した。これによって、基板主走査方向Xに沿って配置された複数の露光源用有機EL素子を形成した。作製した発光素子アレイのガラス基板(実施基板)側に、有機電界発光素子(発光部)とSLAの光入射面との光学距離が結像部の作動距離となるように、当該ガラス基板(実施基板)と離間して、SLA保持部材によりSLAを実装した。
これにより感光体への書き込みスポットの大きさが20μm、露光中心波長580nmの露光ヘッドを作製した。
[実施例1]
感光体1、中間転写ベルト1、現像剤1、及び評価装置1を用いて以下のプリントテストを行った。
感光体1、中間転写ベルト1、及び現像剤1を評価装置1に装着し、低温低湿(8℃、20%RH)及び高温高湿(28℃、85%RH)において、以下の評価を行なった。
具体的には、低温低湿(8℃、20%RH)環境下で10000枚の画像形成テストを行い、10000枚目の画質評価(下記ゴースト、カブリ、スジ。黒点、文字解像度、画像流れ、感光体表面付着、中間転写ベルト表面付着)を実施した。
この低温低湿環境下での画質評価に続いて、高温高湿(30℃、85%RH)の環境下にて10000枚の画像形成テストを行い、10000枚目の画質評価を実施した。
これらの結果を表9〜表11に示した。
なお、プリントテストには富士ゼロックス社製P紙(A4サイズ、短手方向送り)を用い、10000枚のプリントテストは、A4用紙の短手方向をシアン、マゼンタ、イエロー、黒に4分割した画像チャートを用いた。また、摩耗率はシアン、マゼンタ、イエロー、黒、4色の感光体の平均値とした。また、画質評価は図6(A)にさらに8ポイントサイズの文字「響」を書き込み、黒のみで評価した。
(ゴースト評価)
ゴーストは、図6(A)に示したGと画像濃度50%の黒色領域を有するパターンのチャートをプリントし、50%の黒色部分にGの文字の現れ具合を目視にて評価した。
A:図6(A)のように良好又は軽微である。
B:図6(B)のように若干目立つ程度である
C:図6(C)のようにはっきり確認される。
(カブリ評価)
カブリ評価は上述のゴースト評価と同じサンプルを用いて白地部のトナー付着程度を目視にて観察し判断した。
A:カブリの発生なし。
B:うっすらとカブリあり。
C:画質上問題となるカブリあり。
(スジ評価)
スジ評価は上述のゴースト評価と同じサンプルを用いて白地部のトナー付着程度を目視にて観察し判断した。
A:スジの発生なし。
B:うっすらとスジあり。
C:画質上問題となるスジあり。
(黒点評価)
黒点評価は上述のゴースト評価と同じサンプルを用いて白地部の点状の画質欠陥程度を目視にて観察し判断した。
A:黒点発生なし。
B:多少の黒点発生。
C:画質上問題となる黒点あり。
(文字解像度評価)
文字解像度評価は8ポイントサイズの文字「響」を印字し、解像度を目視にて観察し判断した。
A:文字のつぶれなし。
B:若干の文字のつぶれあり。
C:解像度が明らかに不良。
(画像流れ評価)
画像流れは上述のゴースト評価と同じサンプルを用いて目視にて判断した。
A:画像流れの発生なし。
B:連続的にプリントテストしている時は問題ないが、1日(24時間)放置後に発生。
C:連続的にプリントテストしている時にも発生。
(感光体表面付着評価)
感光体表面付着評価はプリントテスト後の感光体表面を目視にて判断した。
A:付着の発生なし。
B:部分的にスジ状に付着があり、感光体表面をイソプロパノールをしみ込ませた布で軽く拭くことで除去できる。
C:全面にスジ状に付着があり、感光体表面をイソプロパノールをしみ込ませた布で軽く拭いても除去できない。
(中間転写ベルト表面付着評価)
中間転写ベルト表面付着評価はプリントテスト後の中間転写ベルト表面を目視にて判断した。
A:付着の発生なし。
B:部分的にスジ状に付着があり、中間転写ベルト表面をイソプロパノールをしみ込ませた布で軽く拭くことで除去できる。
C:全面にスジ状に付着があり、中間転写ベルト表面をイソプロパノールをしみ込ませた布で軽く拭いても除去できない。
[実施例2〜28]
感光体、中間転写ベルト、現像剤、及び評価装置の組み合わせを表6に記載のものとし、実施例1と同様に評価を行った。結果を表8〜表11に示す。
[比較例1−15]
比較感光体、評価装置の組み合わせを表7に記載のものとし、実施例1と同様に評価を行った。結果を表8〜表11に示す。
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、長期間に渡って繰り返し画像形成による画質の低下が抑制されていることがわかる。
1…下引層、2…電荷発生層、3…電荷輸送層、4…導電性基体、5…保護層、6…単層型感光層、7A,7B,7C,7…電子写真感光体、8…帯電装置、9…露光装置、11…現像装置、13…クリーニング装置、14…潤滑材、30…感光体、40…転写装置、50…中間転写体、60A…発光素子、60B…発光素子アレイ、61…発光素子アレイ基板、70…レンズ、70A…入射面、70B…出射面、100…画像形成装置、120…画像形成装置、300…プロセスカートリッジ

Claims (7)

  1. 導電性基体と、前記導電性基体上に配置され、金属酸化物粒子及び結着樹脂を含有し、膜厚が7μm以上である下引層と、前記下引層上に配置された感光層と、を有する電子写真感光体であって、最表面層として、下記一般式(II)で表される反応性化合物から選択される少なくとも1種の反応性化合物の重合体を含む層を有する電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電装置と、
    帯電された前記電子写真感光体の表面を露光して該表面に静電潜像を形成する露光装置と、
    体積平均粒径が3μm以上5.5μm以下のトナーを含む現像剤を収容し、前記静電潜像を前記現像剤で現像してトナー像を形成する現像装置と、
    表面のダイナミック硬度が29×10N/m以上38×10N/m以下である中間転写体を有し、前記トナー像を前記中間転写体に1次転写し、前記中間転写体上の1次転写像を被転写媒体に2次転写する転写装置と、
    を備える画像形成装置。

    (一般式(II)中、Fは、電荷輸送性骨格を示す。L’は、アルキレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を組み合わせてなる(n+1)価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。m’は、1以上6以下の整数を示す。nは、2以上3以下の整数を示す。)
  2. 記一般式(II)で表される反応性化合物が、下記一般式(III)で表され、且つ下記一般式(III)中のDが下記一般式(V)で表される基を示す反応性化合物である請求項1に記載の画像形成装置。

    (一般式(III)中、Ar〜Arは、それぞれ独立に、置換若しくは未置換のアリール基を示す。Arは、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示す。c1〜c5は、それぞれ独立に、0以上2以下の整数を示す。但し、全てのc1〜c5は、同時に0を示すことはない。kは、0又は1の整数を示す。)

    (一般式(V)中、L’は、アルキレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を組み合わせてなる(n+1)価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。nは、2以上3以下の整数を示す。
  3. 前記一般式(V)で表される基は、下記一般式(VIII)、又は下記一般式(IX)で表される基を示す請求項2に記載の画像形成装置。

    (一般式(VIII)及び(IX)中、Y、及びY’は、2価の有機基を示す。q、及びq’は、0、又は1の整数を示す。)
  4. 前記最表面層が、樹脂粒子を含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記樹脂粒子が、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂、及びこれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂の粒子である請求項に記載の画像形成装置。
  6. 前記中間転写体が、ポリイミド樹脂とカーボンブラックとを含んで構成されている請求項1〜のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  7. 導電性基体と、前記導電性基体上に配置され、金属酸化物粒子及び結着樹脂を含有し、膜厚が7μm以上である下引層と、前記下引層上に配置された感光層と、を有する電子写真感光体であって、最表面層として、下記一般式(II)で表される反応性化合物から選択される少なくとも1種の反応性化合物の重合体を含む層を有する電子写真感光体と、
    体積平均粒径が3μm以上5.5μm以下のトナーを含む現像剤を収容し、静電潜像を前記現像剤で現像してトナー像を形成する現像装置と、
    表面のダイナミック硬度が30.8×10N/m以上36×10N/m以下である中間転写体を有し、前記トナー像を前記中間転写体に1次転写し、前記中間転写体上の1次転写像を被転写媒体に2次転写する転写装置と、
    を備え、
    画像形成装置に着脱し得るプロセスカートリッジ。

    (一般式(II)中、Fは、電荷輸送性骨格を示す。L’は、アルキレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を組み合わせてなる(n+1)価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。m’は、1以上6以下の整数を示す。nは、2以上3以下の整数を示す。)
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