JP6003669B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関するものである。
電子写真方式の画像形成装置は、一般的には、次の如き構成及びプロセスを有するものである。
即ち、電子写真感光体表面を帯電手段で所定の極性及び電位に帯電させ、帯電後の電子写真感光体表面を、像露光により選択的に除電することにより静電潜像を形成させた後、現像手段で該静電潜像にトナーを付着させることにより、潜像をトナー像として現像し、トナー像を転写手段で被転写媒体に転写させることにより、画像形成物として排出させるといったものである。
近年、電子写真感光体は、高速かつ高印字品質が得られるという利点を有することから、複写機及びレーザービームプリンター等の分野においての利用が多くなってきている。
これら画像形成装置において用いられる電子写真感光体としては、従来からのセレン、セレンーテルル合金、セレンーヒ素合金、硫化カドミウム等無機光導電材料を用いた電子写真感光体(無機感光体)が知られており、近年では、安価で製造性及び廃棄性の点で優れた利点を有する有機光導電材料を用いた有機感光体(有機感光体)が主流を占めるようになってきている。
電子写真感光体の長寿命化、高信頼性化のために、電子写真感光体の表面に保護層を設けて強度を向上させることが提案されている。
保護層を形成する材料系としては、以下のものが提案されている。
即ち、例えば、特許文献1には、光硬化型アクリル系モノマーを含有する液を硬化した膜が、特許文献2には、炭素−炭素二重結合を有するモノマー、炭素−炭素二重結合を有する電荷移動材、及びバインダー樹脂の混合物を、熱或いは光のエネルギーによって前記モノマーの炭素−炭素二重結合と前記電荷移動材の炭素−炭素二重結合とを反応させることにより形成された膜が、特許文献3、4には、同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を重合した化合物からなる膜が、保護層として開示されている。また、特許文献5には、スチリル基変性した正孔輸送性化合物を重合した化合物からなる膜を用いた電子写真感光体が開示されてる。
これら連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物は、硬化条件、硬化雰囲気等の影響を強く受けることから、例えば、特許文献6には、真空中、或いは不活性ガス中で放射線照射後に加熱されることによって形成された膜が、特許文献7には、不活性ガス中で加熱硬化された膜が開示されている。
更に、例えば、特許文献2、8には、電荷輸送材料自身をアクリル変性し、架橋可能とすると共に、電荷輸送性を有さない反応性モノマーを添加し、膜強度を向上させることも開示されている。
更に、反応物、硬化膜による保護層としては以下のようなものも提案されている。
例えば、特許文献9には、電荷輸送材料自身を3官能以上の多官能に変性し、これを重合した化合物を含有する保護層が開示されている。また、特許文献10には、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送物質の重合物を保護層に使用する技術が開示されており、また、摩擦特性を向上させるために、潤滑剤としてフッ素原子含有化合物を保護層中に含有する技術が開示されている。加えて、特許文献11には、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送物質の濃度を最表面から内部に向かって傾斜を持たせることで、機械特性と電気特性を両立できることが開示されている。
また、特許文献12には、連鎖重合性官能基を1つ以上有する第1の電荷輸送性化合物と、第1の電荷輸送性化合物に対し5.0〜45.0wt%の量の連鎖重合性官能基を有さない第2の電荷輸送性化合物とを含有させることが開示されているが、本発明の特定の構造を有する化合物については記載されていない。特許文献13には、表面保護層に電荷輸送材料が含まれた感光体が開示されているが、具体的な構造については記載されていない。特許文献14には、少なくともアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する第一の電荷輸送性化合物と、水酸基を有する第二の電荷輸送性化合物とを含有させることが開示されている。特許文献15には、架橋型電荷輸送層中にさらに電荷輸送層と同じ低分子電荷輸送材料を含有させることが開示されている。
特開平5−40360号公報 特開平5−216249号公報 特開2000−206715号公報 特開2001−166509号公報 特許第2852464号公報 特開2004−12986号公報 特開平7−72640号公報 特開2004−302450号公報 特開2000−206717号公報 特開2001−175016号公報 特開2007−86522号公報 特開2005−62301号公報 特開2006−98728号公報 特開2005−62302号公報 特開2006−138956号公報
本発明の課題は、最表面層を厚膜化しても、電気特性及び機械的強度が共に高い電子写真感光体を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
請求項1に係る発明は
導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた感光層と、を有し、
最表面層が、下記一般式(II)で示される反応性化合物から選択される少なくとも1種と非反応性電荷輸送材料とを含む組成物の重合物又は架橋物で構成され、前記組成物中の前記非反応性電荷輸送材料の含有量が最表面層の質量に対して5質量%以上40質量%以下であり、最表面層中の未反応の前記反応性化合物の含有量が最表面層の質量に対して3質量%以下である電子写真感光体。
〔一般式(II)中、Fは、電荷輸送性骨格を示す。L’は、アルカン若しくはアルケンから誘導される3価又は4価の基、並びに、アルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を含む(n+1)価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。 m’は、1以上6以下の整数を示す。nは、2以上3以下の整数を示す。〕
請求項2に係る発明は、
前記一般式(II)で示される化合物のFで示される電荷輸送性骨格に連結する基が、下記一般式(IIA−a3)又は(IIA−a4)で示される基である請求項1に記載の電子写真感光体。

〔一般式(IIA−a3)又は(IIA−a4)中、Xk3は2価の連結基を示す。kq3は0又は1の整数を示す。Xk4は2価の連結基を示す。kq4は0又は1の整数を示す。〕
請求項に係る発明は、
前記一般式(II)で示される化合物が、下記一般式(II−a)で示される化合物である請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
〔一般式(II−a)中、Ark1〜Ark4は、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示す。Ark5は、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示す。Dkは、下記一般式(IIA−a)で示される基を示す。kc1〜kc5は,それぞれ独立に0以上2以下の整数を示す。kkは、0又は1を示す。但し、Dkの総数は、1以上8以下である。〕
〔一般式(IIA−a)中、Lは、アルカン若しくはアルケンから誘導される3価又は4価の基、並びに、アルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を含む(kn+1)価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。knは、2以上3以下の整数を示す。〕
請求項に係る発明は、
前記一般式(II)で示される化合物のFで示される電荷輸送性骨格に連結する基が、下記一般式(IIA−a1)又は(IIA−a2)で示される基である請求項1に記載の電子写真感光体。
〔一般式(IIA−a1)又は(IIA−a2)中、Xk1は2価の連結基を示す。kq1は0又は1の整数を示す。Xk2は2価の連結基を示す。kq2は0又は1の整数を示す。〕
請求項に係る発明は、
前記最表面層が、樹脂粒子を含有している請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
請求項に係る発明は、
前記樹脂粒子が、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化エチレ
ンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン
樹脂、及びこれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂の粒子である請求項5に記載の電子写真感光体。
請求項に係る発明は、
前記最表面層に接する下層が、非反応性電荷輸送材料、及びFeders法で算出した溶解度パラメータ11.40以上11.75以下のポリカーボネート共重合体を含んで構成されている請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
請求項に係る発明は、
前記ポリカーボネート共重合体が、Feders法で算出した溶解度パラメータ12.2以上12.4以下の繰り返し構造単位を有する請求項に記載の電子写真感光体。
請求項に係る発明は、
前記ポリカーボネート共重合体が、下記一般式(PC−1)で示される繰り返し構造単位を有するポリカーボネート共重合体である請求項又はに記載の電子写真感光体。
〔一般式(PC−1)中、Rpc1及びRpc2は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を示す。pca及びpcbは、それぞれ独立に0以上4以下の整数を示す。〕
請求項10に係る発明は、
前記一般式(PC−1)で示される繰り返し構造単位の比率が、前記ポリカーボネート共重合体に対して、20モル%以上40モル%以下である請求項9に記載の電子写真感光体。
請求項11に係る発明は、
前記ポリカーボネート共重合体が、下記一般式(PC−2)で示される繰り返し構造単位を有するポリカーボネート共重合体である請求項又はに記載の電子写真感光体
〔一般式(PC−2)中、Rpc3及びRpc4は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を示す。pcc及びpcdは、それぞれ独立に0以上4以下の整数を示す。Xpcは、−CRpc5pc6−(但し、Rpc5及びRpc6は、それぞれ独立に水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1以上6以下のアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を示す。)、炭素数5以上11以下の1,1−シクロアルキレン基、炭素数2以上10以下のα,ω−アルキレン基、−O−、−S−、−SO−、又は−SO−を示す。〕
請求項12に係る発明は、
前記一般式(PC−2)で示される繰り返し構造単位の比率が、前記ポリカーボネート共重合体に対して、35モル%以上55モル%以下である請求項11に記載の電子写真感光体。
請求項13に係る発明は、
請求項1〜12のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
請求項14に係る発明は、
請求項1〜12のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を被転写媒体に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
請求項1、2,3、又は4に係る発明によれば、上記特定の反応性化合物と非反応性電荷材料との重合物又は架橋物を含む最表面層において、非反応性電荷輸送材料の含有量が上記範囲外又は最表面層中の未反応の反応性化合物の含有量が上記範囲外の場合に比べ、最表面層を厚膜化しても、電気特性及び機械的強度が共に高い電子写真感光体が提供される。
請求項5、又は6に係る発明によれば、最表面層に樹脂粒子を含まない場合に比べ、最表面層を厚膜化しても、電気特性及び機械的強度が共に高い電子写真感光体が提供される。
請求項7、8、9,10,11,又は12に係る発明によれば、最表面層に接する下層が上記範囲の溶解度パラメータのポリカーボネート共重合体を含まない場合に比べ、最表面層を厚膜化しても、電気特性及び機械的強度が共に高い電子写真感光体が提供される。
請求項13、又は14に係る発明によれば、上記特定の反応性化合物と非反応性電荷材料との重合物又は架橋物を含む最表面層において、非反応性電荷輸送材料の含有量が上記範囲外又は最表面層中の未反応の反応性化合物の含有量が上記範囲外の電子写真感光体を備えた場合に比べ、繰り返し画像形成を行っても、画質の高い画像を維持するプロセスカートリッジ、又は画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を示す概略断面図。 本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の他の一例を示す概略部分断面図。 本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の他の一例を示す概略部分断面図。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図。 本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図。 露光ヘッドの一例を示す概略構成図 露光ヘッドにより電子写真感光体に露光を施している状態を示す模式図。 (A)(B)(C)はそれぞれゴースト評価の基準を示す説明図。 PTFE分散性の評価方法を説明する説明図。
以下、本発明の一例である本実施形態について説明する。
[電子写真感光体]
本実施形態に係る電子写真感光体は、導電性基体と、導電性基体上に設けられた感光層と、を有する。
最表面層は、一般式(I)及び(II)で示される反応性化合物(以下、「特定の反応性基含有電荷輸送材料」から選択される少なくとも1種と非反応性電荷輸送材料とを含む組成物の重合物又は架橋物で構成されている。そして、組成物中の非反応性電荷輸送材料の含有量が最表面層の質量に対して5質量%以上40質量%以下であり、最表面層中の未反応の反応性化合物の含有量が最表面層の質量に対して3質量%以下である。
ここで、最表面層は、電子写真感光体自体の最上面を形成していればよく、保護層として機能する層、又は、電荷輸送層として機能する層として設けられる。最表面層が保護層として機能する層である場合、この保護層の下層には、電荷輸送層及び電荷発生層からなる感光層、又は単層型感光層を有することとなる。
具体的には、最表面層が保護層として機能する層の場合、導電性基体上に、感光層(電荷発生層及び電荷輸送層、又は単層型感光層)、及び最表面層として保護層が順次形成された態様が挙げられる。一方、最表面層が電荷輸送層として機能する層の場合、導電性基体上に、電荷発生層、及び最表面層として電荷輸送層が順次形成された態様が挙げられる。
本実施形態に係る電子写真感光体は、上記構成により、最表面層を厚膜化しても、電気特性及び機械的強度が共に高くなる。
その理由は定かではないが、以下に示す理由によるものと考えられる。
まず、特定の反応性基含有電荷輸送材料(一般式(I)及び(II)で示される反応性化合物)から選択される少なくとも1種を含む組成物の重合物又は架橋物を最表面層に利用すると、最表面層が優れた電気特性と機械的強度を兼ね備えた上で、最表面層の厚膜化(例えば7μm以上)も実現されると考えられる。
これは、特定の反応性基含有電荷輸送材料自身が電荷輸送性能に優れる上、−OH、−NH−などのキャリア輸送を妨げる極性基が少なく、また、キャリア輸送に有効なπ電子を有するスチリル基で、重合により当該材料が連結されることから、残留歪が抑制され、電荷を捕獲する構造的なトラップの形成が抑制されるため考えられるためである。
しかしながら、特定の反応性基含有電荷輸送材料は、反応性に富み、反応の進行が速いのも特徴の一つである。このため、反応が進行すると、反応場に特定の反応性基含有電荷輸送材料が密に集まった状態となりやすいと考えられる。一方で、反応場から遠い部分から特定の反応性基含有電荷輸送材料が反応場中心へ移動していくために、特定の反応性基含有電荷輸送材料が疎となる領域が生じやすくなると考えられる。具体的には、例えば、反応に熱重合開始剤を利用した場合、熱重合開始剤から発生したラジカル種から反応が進行するため、反応場となるラジカル種に特定の反応性基含有電荷輸送材料が密に集まった状態となりやすく、ラジカル種から遠い部分に特定の反応性基含有電荷輸送材料が疎となる領域が生じ易くなると考えられる。
つまり、最表面層中で、電荷輸送性成分の疎密を生じてしまうこととなる。その結果として生じた疎な部分は電荷輸送性成分が少なく、この部分を通過するキャリアにとっては大きなエネルギー障壁を生じてしまう。特定の反応性基含有電荷輸送材料の反応が完全に進行すればするほど、疎な部分のエネルギー障壁が高くなる。そして、この疎な部分のエネルギー障壁が顕在化するのは、体積が増加する最表面層を厚膜化したときと考えられる。このため、この疎な部分のエネルギー障壁を低減すれば、さらに電気特性が高まるものと考えられる。
そこで、本実施形態に係る電子写真感光体では、最表面層に形成に、特定の反応性基含有電荷輸送材料と共に、上記範囲の量で非反応性電荷輸送材料を併用すると、非反応性電荷輸送材料は特定の反応性基含有電荷輸送材料の反応中も比較的自由に運動するため、反応場から排除されやすくなると考えられる。その結果、最表面層中において、非反応性電荷輸送材料は、反応に伴って生じる特定の反応性基含有電荷輸送材料が疎の部分に多く存在した状態となると考えらえる。このため、非反応性電荷輸送材料がエネルギー障壁を低減することに有効に作用すると考えられる。また、電荷輸送材料の偏在化が抑制されるため、機械的強度も高まると考えられる。
特に、特定の反応性基含有電荷輸送材料は、芳香環を有するため、非反応性電荷輸送材料として芳香環を有する化合物(例えば、トリアリールアミン誘導体、ベンジジン誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体等)を適用すると、互いの材料との相溶性が高まるものと考えられる。このため、最表面層中で非反応性電荷輸送材料が高濃度に分散することが実現され、より一層、電気特性と共に機械的強度が高まるものと考えられる。
一方で、非反応性電荷輸送材料を加えることにより、特定の反応性基含有電荷輸送材料の反応性基同士の接近が妨げられ、反応を阻害しやすくなり、機械的強度の低下を招いてしまうことがある。このため、非反応性電荷輸送材料の量を上記範囲とした上で、最表面層中の未反応の特定の反応性基含有電荷輸送材料の質量を最表面層の質量に対して上記範囲内に制御することで、最表面層中で特定の反応性基含有電荷輸送材料の重合(又は架橋)ネットワークが確保され、機械的強度が維持されると考えられる。
以上から、本実施形態に係る電子写真感光体は、最表面層を厚膜化しても、電気特性及び機械的強度が共に高まると考えられる。
そして、本実施形態に係る電子写真感光体を備えた画像形成装置(又はプロセスカートリッジ)は、繰り返し画像形成を行っても、画質の高い画像を維持すると考えられる。
なお、本実施形態に係る電子写真感光体は、電気特性及び機械的強度を兼ね備えた上で、最表面層を厚膜化(例えば7μm以上の厚膜化)が実現され、これにより、感光体寿命が向上する。感光体寿命は、最表面層が摩滅した時点で決定されるため、最表面層の厚膜化は長寿命化に有効である。
また、電子写真感光体は放電により帯電して使用するが、その際に電気的負荷、放電ガス(例えばオゾン)による負荷により、最表面層の構成材料の劣化が起こり、結果として放電生成物(例えば硝酸アンモニウム等のイオン性物質)を吸着しやすくなる。そのために、特に、高湿下で水分を吸着し、最表表面層の表面抵抗が低下し、潜像滲みを生じ、結果として画像の画像流れを生じやすい。これを抑制するために最表面層を適度に磨耗させ、潜像滲みを抑制する必要がある。この磨耗量は、帯電方式、クリーニング方式、トナー形状などの影響が大きく、システムによって大きく左右されるため、最表面層の強度を調整とすることが必要となる。この点、本実施形態に係る電子写真感光体では、例えば、未反応の反応性化合物の種類及び量、非反応性電荷輸送材料の種類及び量、並びに、硬化方法の選択により、最表面層の機械的強度の調整が実現される。その結果、繰り返し画像形成を行っても、画質の高い画像の維持が実現される。
本実施形態に係る電子写真感光体は、最表面層に樹脂粒子を含むことがよい。理由は定かではないが、最表面層に樹脂粒子を含むと、電気特性及び機械的強度が共に高くなり易くなる。特に、最表面層に樹脂粒子(特にフッ素系樹脂粒子)を含むと、電子写真感光体の表面の滑性、耐摩耗性及びトナーの脱着性が向上する。
本実施形態に係る電子写真感光体は、最表面層に接する下層が、非反応性電荷輸送材料、及びFeders法で算出した溶解度パラメータ11.40以上11.75以下のポリカーボネート共重合体を含んで構成されていることがよい。
ここで、最表面層は、各材料を含む塗布液を下層となる感光層(例えば電荷輸送層)上に塗布により形成する。しかしながら、塗布液作製のために使用する溶媒の種類によっては、最表面層を塗布形成する時に、塗布液の溶媒によって下層となる感光層(例えば電荷輸送層)の結着樹脂が膨潤し、最表面層と下層との成分が混合し、電気特性及び機械的強度が低下することがある。
特に、最表面層に樹脂粒子を含む場合、下層となる感光層(例えば電荷輸送層)の結着樹脂が膨潤すると、樹脂粒子が最表面層の表層側に偏在(つまり高濃度に偏析)することがある。樹脂粒子が最表面層の表層側に偏在(高濃度に偏析)すると、例えば、最表面層の表層部の樹脂成分の割合が低下し、使用初期の耐摩耗性が低下する。また、最表面層の内部(特に下層側)の樹脂粒子の濃度が低いため、電子写真感光体を長期に使用したときに、最表面層が削れて、樹脂粒子の低濃度領域に達したとき、クリーニングブレードにかかる負荷(トルク)が高まってクリーニング不良が生じ、これによって画質の悪化が起こりうる。
これに対して、最表面層と接する下層(感光層(例えば電荷輸送層))に、結着樹脂として、Feders法で算出した溶解度パラメータが11.40以上11.75以下のポリカーボネート共重合体を適用する。これにより、最表面層と下層との成分の混合が抑制され、電気特性及び機械的強度が高まり易くなる。
特に、最表面層に樹脂粒子を含む場合、最表面層の表層側への樹脂粒子の偏在が抑制される。つまり、最表面層中に、樹脂粒子が均一に分散された状態となり易くなる。
この理由は定かではないが、結着樹脂として、上記範囲の溶解度パラメータのポリカーボネート共重合体を最表面層と接する下層に含ませると、当該ポリカーボネート共重合体が最表面層を形成する際の塗布液の溶媒への溶解性が低く、当該溶媒による結着樹脂の膨潤が抑制されると考えられるためである。
以下、最表面層が保護層として機能する層の場合の、本実施形態に係る電子写真感光体について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す概略断面図である。図2乃至図3はそれぞれ本実施形態に係る電子写真感光体の他の一例を示す概略断面図である。
図1に示す電子写真感光体7Aは、いわゆる機能分離型感光体(又は積層型感光体)であり、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に電荷発生層2、電荷輸送層3、及び保護層5が順次形成された構造を有するものである。電子写真感光体7Aにおいては、電荷発生層2及び電荷輸送層3により感光層が構成される。
図2に示す電子写真感光体7Bは、図1に示す電子写真感光体7Aのごとく、電荷発生層2と電荷輸送層3とに機能が分離された機能分離型感光体である。
図2に示す電子写真感光体7Bにおいては、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に、電荷輸送層3、電荷発生層2、及び保護層5が順次形成された構造を有するものである。電子写真感光体7Bにおいては、電荷輸送層3及び電荷発生層2により感光層が構成される。
図3に示す電子写真感光体7Cは、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層(単層型感光層6)に含有するものである。図3に示す電子写真感光体7Cにおいては、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に単層型感光層6、保護層5が順次形成された構造を有するものである。
そして、図1、図2及び図3に示す電子写真感光体7A、7B及び7Cにおいて、保護層5が、導電性基体2から最も遠い側に配置される最表面層となっており、当該最表面層が、上記の構成となっている。
なお、図1、図2及び図3に示す電子写真感光体において、下引層1は設けてもよいし、設けなくてもよい。
以下、代表例として図1に示す電子写真感光体7Aに基づいて、各要素について説明する。
(保護層)
保護層5(最表面層)は、電子写真感光体7Aにおける最表面層であり、特定の反応性基含有電荷輸送材料から選択される少なくとも1種と非反応性電荷輸送材料とを含む組成物の重合物又は架橋物で構成されている。つまり、保護層5は、定の反応性基含有電荷輸送材料から選択される少なくとも1種と非反応性電荷輸送材料との重合物又は架橋物を含んで構成されている。
なお、硬化方法(重合/架橋方法)としては、熱、光、又は放射線などによるラジカル重合が行なわれる。反応が早く進行しすぎないよう調整すると膜のムラやシワの発生が抑制されるため、ラジカル発生が比較的ゆっくりと起こる条件下で重合させることが望ましい。この点からは、重合速度を調整しやすい熱重合が好適である。
そして、保護層5(最表面層)は、組成物中の非反応性電荷輸送材料の含有量が最表面層の質量に対して5質量%以上40質量%以下であり、最表面層中の未反応の反応性化合物の含有量が最表面層の質量に対して3質量%以下である。
ここで、非反応性電荷輸送材料の含有量は、保護層5(最表面層)の質量に対して5質量%以上37質量%以下であることが望ましく、より望ましくは7質量%以上35質量%以下である。
一方、保護層5(最表面層)中の未反応の反応性化合物の含有量は、保護層5の質量に対して3質量%以下であることが望ましく、より望ましくは2.5質量%以下である。なお、その下限値は、0.01質量%以上であることがよい。
この未反応の反応性化合物の含有量は、保護層5(最表面層)からテトラヒドロフラン(THF)で溶出される未反応の反応性化合物の質量を求めることにより測定される。具体的には、後述する[実施例]において示す測定方法により求められる。
なお、未反応の反応性化合物の含有量の調整は、例えば、未反応の反応性化合物の種類及び量、非反応性電荷輸送材料の種類及び量、並びに、硬化方法により行う。
−特定の反応性基含有電荷輸送材料−
特定の反応性基含有電荷輸送材料は、一般式(I)及び(II)で示される反応性化合物から選択される少なくとも1種である。
一般式(I)中、Fは、電荷輸送性骨格を示す。
Lは、アルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を含む2価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。
mは1以上8以下の整数を示す。
一般式(II)中、Fは、電荷輸送性骨格を示す。
L’は、アルカン若しくはアルケンから誘導される3価又は4価の基、並びに、アルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−、からなる群より選択される2種以上を含む(n+1)価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。なお、アルカン若しくはアルケンから誘導される3価又は4価の基とは、アルカン又はアルケンから水素原子を3つ又は4つ取り除いた基を意味する。以下、同様である。
m’は、1以上6以下の整数を示す。nは、2以上3以下の整数を示す。
一般式(I)及び(II)中、Fは、電荷輸送性骨格、つまり電荷輸送性を有する構造を示し、具体的には、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、アゾベンゼン系化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物、キノン系化合物、フルオレノン系化合物、などの電荷輸送性を有する構造が挙げられる。
一般式(I)中、Lで示される連結基としては、例えば、
アルキレン基中に−C(=O)−O−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−C(=O)−N(R)−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−C(=O)−S−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−O−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−N(R)−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−S−が介在した2価の連結基、
が挙げられる。
なお、Lで示される連結基は、アルキレン基中に、−C(=O)−O−、−C(=O)−N(R)−、−C(=O)−S−、−O−、又は−S−の基が2つ介在してもよい。
一般式(I)中、Lで示される連結基として具体的には、例えば、
*−(CH−C(=O)−O−(CH−、
*−(CH−O−C(=O)−(CH−C(=O)−O−(CH−、
*−(CH−C(=O)−N(R)−(CH−、
*−(CH−C(=O)−S−(CH−、
*−(CH−O−(CH−、
*−(CH−N(R)−(CH−、
*−(CH−S−(CH−、
*−(CH−O−(CH−O−(CH
等が挙げられる。
ここで、Lで示される連結基中、pは、0、又は1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。qは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。rは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。
なお、Lで示される連結基中、「*」は、Fと連結する部位を示している。
一方、一般式(II)中、L’で示される連結基としては、例えば、
分枝状に連結したアルキレン基中に−C(=O)−O−が介在した(n+1)価の連結基、
分枝状に連結したアルキレン基中に−C(=O)−N(R)−が介在した(n+1)価の連結基、
分枝状に連結したアルキレン基中に−C(=O)−S−が介在した(n+1)価の連結基、
分枝状に連結したアルキレン基中に−O−が介在した(n+1)価の連結基、
分枝状に連結したアルキレン基中に−N(R)−が介在した(n+1)価の連結基、
分枝状に連結したアルキレン基中に−S−が介在した(n+1)価の連結基、
が挙げられる。
なお、L’で示される連結は、分枝状に連結したアルキレン基中に、−C(=O)−O−、−C(=O)−N(R)−、−C(=O)−S−、−O−、又は−S−の基が2つ介在してもよい。
一般式(II)中、L’で示される連結基として具体的には、例えば、
*−(CH−CH[C(=O)−O−(CH−]
*−(CH−CH=C[C(=O)−O−(CH−]
*−(CH−CH[C(=O)−N(R)−(CH−]
*−(CH−CH[C(=O)−S−(CH−]
*−(CH−CH[(CH−O−(CH−]
*−(CH−CH=C[(CH−O−(CH−]
*−(CH−CH[(CH−N(R)−(CH−]
*−(CH−CH[(CH−S−(CH−]

*−(CH−O−C[(CH−O−(CH−]
*−(CH−C(=O)−O−C[(CH−O−(CH−]
等が挙げられる。
ここで、L’で示される連結基中、pは、0、又は1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。qは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。rは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。sは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。
なお、L’で示される連結基中、「*」は、Fと連結する部位を示している。
これらの中もで、一般式(II)中、L’で示される連結基としては、
*−(CH−CH[C(=O)−O−(CH−]
*−(CH−CH=C[C(=O)−O−(CH−]
*−(CH−CH[(CH−O−(CH−]
*−(CH−CH=C[(CH−O−(CH−]
がよい。
具体的には、一般式(II)で示される化合物のFで示される電荷輸送性骨格に連結する基(一般式(IIA−a)で示される基が該当)は、下記一般式(IIA−a1)、下記一般式(IIA−a2)、下記一般式(IIA−a3)、又は下記一般式(IIA−a4)で示される基であることがよい。
一般式(IIA−a1)又は(IIA−a2)中、Xk1は2価の連結基を示す。kq1は0又は1の整数を示す。Xk2は2価の連結基を示す。kq2は0又は1の整数を示す。
ここで、Xk1及びXk2で示される2価の連結基は、例えば、−(CH−(但しpは1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す))が挙げられる。当該2価の連結基としては、アルキルオキシキ基も挙げられる。
一般式(IIA−a3)又は(IIA−a4)中、Xk3は2価の連結基を示す。kq3は0又は1の整数を示す。Xk4は3価の連結基を示す。kq4は0又は1の整数を示す。
ここで、Xk3及びXk4で示される2価の連結基は、例えば、−(CH−(但しpは1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す))が挙げられる。当該2価の連結基としては、アルキルオキシキ基も挙げられる。
一般式(I)及び(II)中、L、L’で示される連結基において、「−N(R)−」のRで示されるアルキル基としては、炭素数1以上5以下(望ましくは1以上4以下)の直鎖状、分枝状のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
「−N(R)−」のRで示されるアリール基としては、炭素数6以上15以下(望ましくは6以上12以下)のアリール基が挙げられ、具体的には、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリジル基、ナフチル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数7以上15以下(望ましくは7以上14以下)のアラルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ビフェニルメチレン基等が挙げられる。
一般式(I)及び(II)中、mは、1以上6以下の整数を示すことが望ましい。
m’は、1以上6以下の整数を示すことが望ましい。
nは、2以上3以下の整数を示すことが望ましい。
次に、一般式(I)及び(II)で示される反応性化合物の好適な化合物について説明する。
一般式(I)及び(II)で示される反応性化合物としては、Fとしてトリアリールアミン系化合物に由来する電荷輸送性骨格(電荷輸送性を有する構造)を有する反応性化合物がよい。
具体的には、一般式(I)で示される反応性化合物としては、一般式(I−a)、一般式(I−b)、一般式(I−c)、及び一般式(I−d)で示される反応性化合物から選択される少なくとも1種の化合物が好適である。
一方、一般式(II)で示される反応性化合物としては、一般式(II−a)で示される反応性化合物が好適である。
・一般式(I−a)で示される反応性化合物
一般式(I−a)で示される反応性化合物について説明する。
特定の反応性基含有電荷輸送材料として一般式(I−a)で示される反応性化合物を適用すると、環境変化に起因する電気特性の劣化が抑制され易くなる。その理由は定かではないが、以下の通りと考えられる。
まず、従来用いられていた、(メタ)アクリル基を有する反応性化合物は、重合の際に電荷輸送性能を発現する骨格の部位に対して、(メタ)アクリル基の親水性が強いことから、ある種の層分離状態を形成してしまい、ホッピング伝導の妨げとなっていることが考えられる。このため、(メタ)アクリル基を有する反応性化合物の重合体又は架橋体を含む電荷輸送性膜は、電荷輸送の効率が落ち、更に、部分的な水分の吸着などにより環境安定性が低下するものと考えられる。
これ対して、一般式(I−a)で示される反応性化合物は、親水性の強くないビニル系の連鎖重合性基を有しており、更に、電荷輸送性能を発現する骨格を一分子内に複数有し、その骨格同士を芳香環や共役二重結合などの共役結合を有しない、柔軟性のある連結基で連結している。このような構造を有することから、効率的な電荷輸送性能と高強度化が図れると共に、重合の際の層分離状態の形成が抑制されるものと考えられる。その結果として、一般式(I−a)で示される反応性化合物の重合体又は架橋体を含む保護層5(最表面層)は、電荷輸送性能と機械的強度との両方に優れ、更に、電荷輸送性能の環境依存(温湿度依存)を低減しうるものと考えられる。
以上から、一般式(I−a)で示される反応性化合物を適用すると、環境変化に起因する電気特性の劣化が抑制され易くなると考えられる。
一般式(I−a)中、Ara1〜Ara4は、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示す。Ara5及びAra6は、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリーレン基を示す。Xaは、アルキレン基、−O−、−S−、及びエステル基から選ばれる基を組み合わせてなる2価の連結基を示す。Daは、下記一般式(IA−a)で示される基を示す。ac1〜ac4は、それぞれ独立に0以上2以下の整数を示す。但し、Daの総数は1又は2である。
一般式(IA−a)中、Lは、*−(CHan−O−CH−で示され、*にてAra1〜Ara4で示される基に連結する2価の連結基を示す。anは、1又は2の整数を示す。
以下、一般式(I−a)の詳細を説明する。
一般式(I−a)中、Ara1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基は、それぞれ、同一でもあってもよいし、異なっていてもよい。
ここで、置換アリール基における置換基としては、「Da」以外のものとして、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、及びハロゲン原子等が挙げられる。
一般式(I−a)中、Ara1〜Ara4としては、下記構造式(1)〜(7)のうちのいずれかであることが望ましい。
なお、下記構造式(1)〜(7)は、Ara1〜Ara4の各々に連結され得る「−(Da)ac1」〜「−(Da)ac1」を総括的に示した「−(D)」と共に示す。

構造式(1)〜(7)中、R11は、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルキル基若しくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、及び炭素数7以上10以下のアラルキル基からなる群より選ばれる1種を示す。R12、及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を示す。R14は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を示す。Arは、置換又は未置換のアリーレン基を示す。sは、0又は1を示す。tは、0以上3以下の整数を示す。Z’は、2価の有機連結基を示す。
ここで、式(7)中、Arとしては、下記構造式(8)又は(9)で示されるものが望ましい。

構造式(8)及び(9)中、R15及びR16は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、t1及びt2はそれぞれ0以上3以下の整数を示す。
また、式(7)中、Z’は、下記構造式(10)〜(17)のうちのいずれかで示されるものが望ましい。

構造式(10)〜(17)中、R17及びR18は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基若しくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を示す。Wは、2価の基を示す。q1及びr1は、それぞれ独立に1以上10以下の整数を示す。t3及びt4は、それぞれ0以上3以下の整数を示す。
構造式(16)〜(17)中、Wとしては、下記構造式(18)〜(26)で示される2価の基のうちのいずれかであることが望ましい。但し、式(25)中、uは、0以上3以下の整数を示す。

一般式(I−a)中、Ara5及びAra6で示される置換若しくは未置換のアリーレン基において、このアリーレン基としては、Ara1〜Ara4の説明で例示されたアリール基から目的とする位置の水素原子を1つ除いたアリーレン基が挙げられる。
また、置換アリーレン基における置換基としては、Ara1〜Ara4の説明で、置換アリール基における「Da」以外の置換基として挙げられているものと同様である。
一般式(I−a)中、Xaで示される2価の連結基は、アルキレン基、又はアルキレン基、−O−、−S−、及びエステル基から選ばれる基を組み合わせてなる2価の基であって、芳香環や共役二重結合などの共役結合を含まない連結基である。
具体的には、Xaで示す2価の連結基として、炭素数1以上10以下のアルキレン基が挙げられ、その他、炭素数1以上10以下のアルキレン基と−O−、−S−、−O−C(=O)−、及び−C(=O)−O−から選ばれる基とを組み合わせてなる2価の基も挙げられる。
なお、Xaで示される2価の連結基がアルキレン基である場合、このアルキレン基はアルキル、アルコキシ、ハロゲン等の置換基を有していてもよく、この置換基の2つが互いに結合して、構造式(16)〜(17)中のWの具体例として記載した構造式(26)で示される2価の連結基のような構造となってもよい。
・一般式(I−b)で示される反応性化合物
一般式(I−b)で示される反応性化合物について説明する。
特定の反応性基含有電荷輸送材料として一般式(I−b)で示される反応性化合物を適用すると、保護層5(最表面層)の摩耗が抑制される共に、画像の濃度ムラの発生が抑制され易くなる。その理由は定かではないが、以下の通りと考えられる。
まず、かさ高い電荷輸送骨格と重合部位(スチリル基)が構造的に近く、剛直(リジッド)であると重合部位同士が動きずらくなり、硬化反応による残留歪が残りやすく、電荷輸送骨格が歪むことによりキャリア輸送をになうHOMO(最高被占軌道)のレベルの変化が起こり、結果としてエネルギー分布が広がった状態(エネルギー的ディスオーダー:σが大きい)となりやすいと考えられる。
これに対し、メチレン基、エーテル基を介すると、分子構造に柔軟性が得られ、σが小さいものが得られやすく、さらに、メチレン基、エーテル基は、エステル基、アミド基などに比較し、双極子モーメント(ダイポールモーメント)が小さく、この効果もσを小さくすることに寄与し、電気特性が向上すると考えられる。また、分子構造に柔軟性が加わることで、反応部位(反応サイト)の動きの自由度が増し、反応率も向上することで強度の高い膜となると考えられる
これらのことから、電荷輸送骨格と重合部位との間に柔軟性に富む連結鎖を介在させる構造がよい。
このため、一般式(I−b)で示される反応性化合物は、硬化反応により分子自身の分子量が増大し、重心は移動し難くなると共に、スチリル基の自由度が高いと考えられる。の結果、一般式(I−b)で示される反応性化合物の重合体又は架橋体を含む保護層5(最表面層)は、電気特性に優れ、且つ、高い強度を有すると考えられる。
以上から、一般式(I−b)で示される反応性化合物を適用すると、保護層5(最表面層)の摩耗が抑制される共に、画像の濃度ムラの発生が抑制され易くなると考えられる。
一般式(I−b)中、Arb1〜Arb4は、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示す。Arb5は、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示す。Dbは、下記一般式(IA−b)で示される基を示す。bc1〜bc5は、それぞれ独立に0以上2以下の整数を示す。bkは、0又は1を示す。但し、Dbの総数は、1又は2である。
一般式(IA−b)中、Lは、*−(CHbn−O−で示される基を含み、*にてArb1〜Arb5で示される基に連結する2価の連結基を示す。bnは、3以上6以下の整数を示す。
以下、一般式(I−b)の詳細を説明する。
一般式(I−b)中、Arb1〜Arb4で示される置換若しくは未置換のアリール基は、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Arb5は、bkが0のとき、置換若しくは未置換のアリール基を示し、この置換若しくは未置換のアリール基としては、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Arb5は、bkが1のとき、置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、この置換若しくは未置換のアリーレン基としては、一般式(I−a)中のAra5及びAra6で示される置換若しくは未置換のアリーレン基と同様である。
次に、一般式(IA−b)の詳細を説明する。
一般式(IA−b)中、Lで示される2価の連結基としては、例えば、
*−(CHbp−O−、
*−(CHbp−O−(CHbq−O−
等が挙げられる。
ここで、Lで示される連結基中、bpは、3以上6以下(望ましくは3以上5以下)の整数を示す。bqは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。
なお、Lで示される連結基中、「*」は、Arb1〜Arb5で示される基と連結する部位を示している。
・一般式(I−c)で示される反応性化合物
一般式(I−c)で示される反応性化合物について説明する。
特定の反応性基含有電荷輸送材料として一般式(I−c)で示される反応性化合物を適用すると、繰り返し使用しても表面にキズが発生しにくく、かつ画質劣化が抑制され易くなる。その理由は定かではないが、以下の通りと考えられる。
まず、反応性基含有電荷輸送材料の重合体又は架橋体を含む最表面層を形成する際には、その重合反応又は架橋反応に伴う膜収縮や、電荷輸送構造と連鎖重合性基周辺の構造の凝集が起きると考えられる。よって、繰り返し使用で電子写真感光体表面が機械的負荷を受けると、膜自体が摩耗したり、分子中の化学構造が切断されたりして、膜収縮や凝集状態が変化し、電子写真感光体としての電気特性が変化し、画質劣化を引き起こしてしまうと考えられる。
一方、一般式(I−c)で示される反応性化合物は、連鎖重合性基としてスチレン骨格を有していることから、電荷輸送材料の主骨格であるアリール基と相溶性が良く、膜収縮や重合反応又は架橋反応による電荷輸送構造、連鎖重合性基周辺構造の凝集が抑制されると考えられる。その結果、その結果、一般式(I−c)で示される反応性化合物の重合体又は架橋体を含む保護層5(最表面層)を持つ電子写真感光体は、繰り返し使用による画質劣化が抑制されると考えられる。
加えて、一般式(I−c)で示される反応性化合物は、電荷輸送性骨格とスチレン骨格を、−C(=O)−、−N(R)−、−S−など特定の基を含む連結基を介して連結することにより、特定の基と電荷輸送性骨格中の窒素原子との間や、特定の基同士の相互作用等が生じると考えられる、その結果、一般式(I−c)で示される反応性化合物の重合体又は架橋体を含む保護層5(最表面層)は、強度がさらに向上すると考えられる。
以上から、一般式(I−c)で示される反応性化合物を適用すると、繰り返し使用しても表面にキズが発生しにくく、かつ画質劣化が抑制され易くなると考えられる。
なお、−C(=O)−、−N(R)−、−S−など特定の基は、その極性や親水性に起因し、電荷輸送性や高湿条件下における画質劣化を引き起こす要因となるが、一般式(I−c)で示される反応性化合物は、連鎖重合性基として(メタ)アクリルなどよりも疎水性の高いスチレン骨格を有してるため、電荷輸送性悪化や前サイクルの履歴による残像現象(ゴースト)等の画質劣化が生じ難いと考えられる。
一般式(I−c)中、Arc1〜Arc4は、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示す。Arc5は、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示す。Dcは、下記一般式(IA−c)で示される基を示す。cc1〜cc5は、それぞれ独立に0以上2以下の整数を示す。ckは、0又は1を示す。但し、Dcの総数は、1以上8以下である。
一般式(IA−c)中、Lは、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、又は−C(=O)−と−O−、−N(R)−、又は−S−とを組み合わせた基からなる群より選択される1つ以上の基を含む2価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。
以下、一般式(I−c)の詳細を説明する。
一般式(I−c)中、Arc1〜Arc4で示される置換若しくは未置換のアリール基は、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Arc5は、ckが0のとき、置換若しくは未置換のアリール基を示し、この置換若しくは未置換のアリール基としては、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Arc5は、ckが1のとき、置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、この置換若しくは未置換のアリーレン基としては、一般式(I−a)中のAra5及びAra6で示される置換若しくは未置換のアリーレン基と同様である。
Dcの総数は、より強度の高い保護層5(最表面層)を得る観点から、望ましくは2以上であり、更に望ましくは4以上である。一般に、一分子中の連鎖重合性基の数が多すぎると、重合(架橋)反応が進むにつれ、分子が動きにくくなり連鎖重合反応性が低下し、未反応の連鎖重合性基の割合が増えてしまうことから、Dcの総数は、望ましくは7以下、さらに望ましくは6以下である。
次に、一般式(IA−c)の詳細を説明する。
一般式(IA−c)中、Lで示される2価の連結基としては、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、又は−C(=O)−と−O−、−N(R)−、又は−S−とを組み合わせた基からなる群より選択される1つ以上の基(以下、「特定連結基」と称する)を含む2価の連結基である。
ここで、特定連結基としては、保護層5(最表面層)の強度と極性(親疎水性)のバランスの観点から、例えば、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、−C(=O)−O−、−C(=O)−N(R)−、−C(=O)−S−、−O−C(=O)−O−、−O−C(=O)−N(R)−がよく、望ましくは−N(R)−、−S−、−C(=O)−O−、−C(=O)−N(H)−、−C(=O)−O−、より望ましくは−C(=O)−O−である。
そして、Lで示される2価の連結基としては、例えば、特定連結基と、飽和炭化水素(直鎖状、分岐状、環状いずれも含む)または芳香族炭化水素の残基と、酸素原子と、を組み合わせて形成される2価の連結基が挙げられ、これらの中でも、特定連結基と、直鎖状の飽和炭化水素の残基と、酸素原子と、を組み合わせて形成される2価の連結基がよい。
で示される2価の連結基に含まれる炭素原子の総数としては、分子中のスチレン骨格の密度と連鎖重合反応性の観点から、例えば、1以上20以下がよく、望ましくは2以上10以下である。
一般式(IA−c)中、Lで示される2価の連結基として具体的には、例えば、
*−(CHcp−C(=O)−O−(CHcq−、
*−(CHcp−O−C(=O)−(CHcr−C(=O)−O−(CHcq−、
*−(CHcp−C(=O)−N(R)−(CHcq−、
*−(CHcp−C(=O)−S−(CHcq−、
*−(CHcp−N(R)−(CHcq−、
*−(CHcp−S−(CHcq−、
等が挙げられる。
ここで、Lで示される連結基中、cpは、0、又は1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。cqは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。crは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。
なお、Lで示される連結基中、「*」は、Arc1〜Arc5で示される基と連結する部位を示している。
これらの中でも、一般式(IA−c)中、Lで示される2価の連結基としては、*−(CHcp−C(=O)−O−CH−が望ましい。つまり、一般式(IA−c)で示される基は、下記一般式(IA−c1)で示される基であることが望ましい。但し、一般式(IA−c1)中、cp1は0以上4以下の整数を示す。
・一般式(I−d)で示される反応性化合物
一般式(I−d)で示される反応性化合物について説明する。
特定の反応性基含有電荷輸送材料として一般式(I−d)で示される反応性化合物を適用すると、保護層5(最表面層)の摩耗が抑制される共に、画像の濃度ムラの発生が抑制され易くなる。その理由は定かではないが、一般式(I−b)で示される反応性化合物と同様の理由によるものと考えられる。
特に、一般式(I−d)で示される反応性化合物は、一般式(I−b)に比べ、Ddの総数が3以上8以下と多いため、形成される架橋体がより高い架橋構造(架橋ネットワーク)が形成され易く、より保護層5(最表面層)の摩耗が抑制され易くなると考えられる。
一般式(I−d)中、Ard1〜Ard4は、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示す。Ard5は、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示す。Ddは、下記一般式(IA−d)で示される基を示す。dc1〜dc5は,それぞれ独立に0以上2以下の整数を示す。dkは、0又は1を示す。但し、Ddの総数は、3以上8以下である。
一般式(IA−d)中、Lは、*−(CHdn−O−で示される基を含み、*にてArd1〜Ard5で示されるに連結する2価の連結基を示す。dnは、1以上6以下の整数を示す。
以下、一般式(I−d)の詳細を説明する。
一般式(I−d)中、Ard1〜Ard4で示される置換若しくは未置換のアリール基は、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Ard5は、dkが0のとき、置換若しくは未置換のアリール基を示し、この置換若しくは未置換のアリール基としては、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Ard5は、dkが1のとき、置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、この置換若しくは未置換のアリーレン基としては、一般式(I−a)中のAra5及びAra6で示される置換若しくは未置換のアリーレン基と同様である。
Ddの総数は、より強度の高い保護層5(最表面層)を得る観点から、望ましくは4以上である。
次に、一般式(IA−d)の詳細を説明する。
一般式(IA−d)中、Lで示される2価の連結基としては、例えば、
*−(CHdp−O−、
*−(CHdp−O−(CHdq−O−
等が挙げられる。
ここで、Lで示される連結基中、dpは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。dqは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。
なお、Lで示される連結基中、「*」は、Ard1〜Ard5で示される基と連結する部位を示している。
・一般式(II−a)で示される反応性化合物
一般式(II−a)で示される反応性化合物について説明する。
特定の反応性基含有電荷輸送材料として、一般式(II)(特に一般式(II−a))で示される反応性化合物を適用すると、長期に亘り繰り返し使用しても電気特性の劣化が抑制され易くなる。その理由は定かではないが、以下の通りと考えられる。
まず、一般式(II)(特に一般式(II−a))で示される反応性化合物は、電荷輸送性骨格から、1つの連結基を介して2つ又は3つの連鎖重合性の反応性基(スチレン基)を有する化合物である。
このため、一般式(II)(特に一般式(II−a))で示される反応性化合物は、高い硬化度、架橋部位数を保ちつつも、この連結基の存在により、重合又は架橋させた際に電荷輸送性骨格に歪みを発生させ難く、高い硬化度と優れた電荷輸送性能との両立が実現され易くなると考えられる。
また、従来用いられていた、(メタ)アクリル基を有する電荷輸送性化合物は、上記のようにひずみを生じやすい上に、反応性部位は親水性が高く、電荷輸送性部位は疎水性が高いため、微視的な相分離(ミクロ相分離)しやすいのに対し、一般式(II)(特に一般式(II−a))で示される反応性化合物は、スチレン基を反応性基として有しており、更に、硬化(架橋)させた際に電荷輸送性骨格に歪みを生じさせ難い連結基を有している構造であること、反応性部位、電荷輸送性部位ともに疎水性のため相分離が起きに難くなるため、効率的な電荷輸送性能と高強度化が図れると考えられる。その結果として、一般式(II)(特に一般式(II−a))で示される反応性化合物の重合体又は架橋体を含む保護層5(最表面層)は、機械的強度に優れると共に、電荷輸送性能(電気特性)がより優れるものと考えられる。
以上から、一般式(II)(特に一般式(II−a))で示される反応性化合物を適用すると、長期に亘り繰り返し使用しても電気特性の劣化が抑制され易くなると考えられる。
一般式(II−a)中、Ark1〜Ark4は、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示す。Ark5は、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示す。Dkは、下記一般式(IIA−a)で示される基を示す。kc1〜kc5は,それぞれ独立に0以上2以下の整数を示す。kkは、0又は1を示す。但し、Dkの総数は、1以上8以下である。
一般式(IIA−a)中、Lは、アルカン若しくはアルケンから誘導される3価又は4価の基、並びに、アルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を含む(kn+1)価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。knは、2以上3以下の整数を示す。
以下、一般式(II−a)の詳細を説明する。
一般式(II−a)中、Ark1〜Ark4で示される置換若しくは未置換のアリール基は、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Ark5は、kkが0のとき、置換若しくは未置換のアリール基を示し、この置換若しくは未置換のアリール基としては、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Ark5は、kkが1のとき、置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、この置換若しくは未置換のアリーレン基としては、一般式(I−a)中のAra5及びAra6で示される置換若しくは未置換のアリーレン基と同様である。
Dkの総数は、より強度の高い保護層5(最表面層)を得る観点から、望ましくは2以上であり、更に望ましくは4以上である。一般に、一分子中の連鎖重合性基の数が多すぎると、重合(架橋)反応が進むにつれ、分子が動きにくくなり連鎖重合反応性が低下し、未反応の連鎖重合性基の割合が増えてしまうことから、Dcの総数は、望ましくは7以下、さらに望ましくは6以下である。
次に、一般式(IIA−a)の詳細を説明する。
一般式(IIA−a)中、Lで示される(kn+1)価の連結基としては、例えば、一般式(II−a)中、L’で示される(n+1)価の連結基と同様である。
以下に、特定の反応性基含有電荷輸送材料の具体的を示す。
具体的には、一般式(I)及び(II)の電荷輸送性骨格F(例えば一般式(I−a)中のDaや一般式(II−a)のDkを除く骨格に相当する部位)の具体例、電荷輸送性骨格Fに連結する官能基(例えば一般式(I−a)中のDaや一般式(II−a)のDkに相当する部位)の具体例と共に、一般式(I)及び(II)で示される反応性化合物の具体例を示すが、これらに限定されるわけではない。
なお、一般式(I)及び(II)の電荷輸送性骨格Fの具体例の「*」部分は、電荷輸送性骨格Fに連結する官能基の「*」部分が連結していることを意味する。
つまり、例えば、例示化合物(I−b)−1は、電荷輸送性骨格Fの具体例:(M1)−1、官能基の具体例:(R2)−1と示されているが、その具体的な構造は以下の構造を示す。
まず、電荷輸送性骨格Fの具体例を以下示す。

次に、電荷輸送性骨格Fに連結する官能基の具体例を示す。

次に、一般式(I)、具体的には一般式(I−a)で示される化合物の具体例を示す。
次に、一般式(I)、具体的には一般式(I−b)で示される化合物の具体例を示す。
次に、一般式(I)、具体的には一般式(I−c)で示される化合物の具体例を示す。
次に、一般式(I)、具体的には一般式(I−d)で示される化合物の具体例を示す。
次に、一般式(II)、具体的には一般式(II−a)で示される化合物の具体例を示す。
特定の反応性基含有電荷輸送材料(特に、一般式(I)で示される反応性化合物)は、例えば、以下のようにして合成される。
即ち、特定の反応性基含有電荷輸送材料は、前駆体であるカルボン酸、又は、アルコールと、対応するクロロメチルスチレンなどでのエーテル化などにより合成される。
特定の反応性基含有電荷輸送材料の例示化合物(I−d)−22の合成経路を一例として以下に示す。
アリールアミン化合物カルボン酸は、アリールアミン化合物のエステル基を、例えば、実験化学講座、第4版、20巻、P.51などに記載されたように、塩基性触媒(NaOH、KCO等)、酸性触媒(例えばリン酸、硫酸等)を用いる加水分解により得られる。
この際、溶媒としては、種々のものが挙げられるが、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどのアルコール系を用いるか、これに水を混合して用いることがよい。
さらに、アリールアミン化合物の溶解性が低い場合には、塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、ジメチルスルホキシド、エーテル、テトラヒドロフランなどを加えてもよい。
溶媒の量は、特に制限はないが、例えば、エステル基を含有するアリールアミン化合物1質量部に対して1質量部以上100質量部以下、望ましくは2質量部以上50質量部以下で用いることがよい。
反応温度は、例えば、室温(例えば25℃)以上溶媒の沸点以下の範囲で設定され、反応速度の関係上、50度以上が望ましい。
触媒の量については、特に制限はないが、例えば、エステル基を含有するアリールアミン化合物1質量部に対して0.001質量部以上1質量部以下、望ましくは0.01質量部以上0.5質量部以下で用いることがよい。
加水分解反応後、塩基性触媒で加水分解を行った場合には、生成した塩を酸(例えば塩酸等)で中和し、遊離させる。さらに、十分に水洗した後、乾燥して使用するか、必要によっては、メタノール、エタノール、トルエン、酢酸エチル、アセトンなど、適当な溶媒により、再結晶精製を行った後、乾燥して使用してもよい。
アリールアミン化合物のアルコール体は、アリールアミン化合物のエステル基を、例えば、実験化学講座、第4版、20巻、P.10などに記載されたように、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウムなどを用いて対応するアルコールに還元して合成する。
例えば、エステル結合にて反応基を導入する場合、アリールアミン化合物カルボン酸と、ヒドロキシメチルスチレンを酸触媒にて脱水縮合させる通常のエステル化や、アリールアミン化合物カルボン酸と、ハロゲン化メチルスチレンを、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、DBU、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基を用いて縮合させる方法が使用し得るが、ハロゲン化メチルスチレンを用いる方法が副生成物が抑制されることから好適である。
アリールアミン化合物カルボン酸の酸に対し、ハロゲン化メチルスチレンを1当量以上、望ましくは、1.2当量以上、より望ましくは1.5当量以上加えることがよく、塩基はハロゲン化メチルスチレンに対し0.8当量以上2.0当量以下、望ましくは1.0等量以上1.5当量以下で用いることがよい。
溶媒としては、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、クロロベンゼン、1ークロロナフタレンなどの芳香族系溶媒などが有効であり、アリールアミン化合物カルボン酸の1質量部に対して、1質量部以上100質量部以下、望ましくは2質量部以上50質量部以下の範囲で用いられることがよい。
反応温度は特に制限はない。反応終了後、反応液を水にあけ、トルエン、ヘキサン、酢酸エチルなどの溶媒で抽出、水洗し、さらに、必要により活性炭、シリカゲル、多孔質アルミナ、活性白土などの吸着剤を用いて精製を行ってもよい。
また、エーテル結合にて導入する場合、アリールアミン化合物アルコールと、ハロゲン化メチルスチレンを、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、DBU、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基を用いて縮合させる方法が使用することがよい。
アリールアミン化合物アルコールのアルコールに対し、ハロゲン化メチルスチレンを1当量以上、望ましくは、1.2当量以上、より望ましくは1.5当量以上加えることがよく、塩基はハロゲン化メチルスチレンに対し0.8当量以上2.0当量以下、望ましくは、1.0等量以上1.5当量以下で用いることがよい。
溶媒としては、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、クロロベンゼン、1ークロロナフタレンなどの芳香族系溶媒などが有効であり、アリールアミン化合物アルコールの1質量部に対して、1質量部以上100質量部以下、望ましくは2質量部以上50質量部以下の範囲で用いることがよい。
反応温度は特に制限はない。反応終了後、反応液を水にあけ、トルエン、ヘキサン、酢酸エチルなどの溶媒で抽出、水洗し、さらに、必要により活性炭、シリカゲル、多孔質アルミナ、活性白土などの吸着剤を用いて精製を行ってもよい。
特定の反応性基含有電荷輸送材料(特に一般式(II)で示される反応性化合物)は、例えば、以下に示す一般の電荷輸送材料の合成方法(ホルミル化、エステル化、エーテル化、水素添加)を利用して、合成される。
・ホルミル化:電子供与性基を持つ芳香族化合物・複素環化合物・アルケンにホルミル基を導入するのに適した反応。DMFとオキシ三塩化リンを用いるのが一般的であり、反応温度は室温(例えば25℃)から100℃程度で行われることが多い。
・エステル化:有機酸とアルコールまたはフェノールのようなヒドロキシル基を含む化合物との縮合反応。脱水剤を共存させたり、水を系外へ除去することで平衡をエステル側へ偏らせる手法を用いることが好ましい。
・エーテル化:アルコキシドと有機ハロゲン化合物を縮合させるウィリアムソン合成法が一般的である。
・水素添加:種々の触媒を用いて不飽和結合に水素を反応させる方法。
特定の反応性基含有電荷輸送材料の含有量(組成物中の含有量)は、例えば、保護層5(最表面層)の質量に対して、60質量%以上95質量%以下がよく、望ましくは65質量%以上93質量%以下である。
−非反応性電荷輸送材料−
非反応性電荷輸送材料としては、公知の電荷輸送材料を用いてもよく、具体的には、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物や、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物が挙げられる。
これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
これら非反応性電荷材料としては、芳香環を有するものがよい。これにより、保護層5(最表面層)の電気特性及び機械的強度が高まり易くなる。
これらの中でも、保護層5(最表面層)の電気特性及び機械的強度の観点から、構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体が望ましい。
構造式(a−1)中、Ar、Ar、及びArは、各々独立に置換若しくは未置換のアリール基、−C−C(R10)=C(R11)(R12)、又は−C−CH=CH−CH=C(R13)(R14)を示す。R10、R11、R12、R13、及びR14は各々独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基を示す。
ここで、上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、又は炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基が挙げられる。
構造式(a−2)中、R15及びR15’は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、又は炭素数1以上5以下のアルコキシ基を示す。R16、R16’、R17、及びR17’は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは未置換のアリール基、−C(R18)=C(R19)(R20)、又は−CH=CH−CH=C(R21)(R22)を示し、R18、R19、R20、R21及びR22は各々独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基を表す。m及びnは各々独立に0以上2以下の整数を示す。
ここで、構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び前記構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体のうち、特に、「−C−CH=CH−CH=C(R13)(R14)」を有するトリアリールアミン誘導体、及び「−CH=CH−CH=C(R21)(R22)」を有するベンジジン誘導体が、電荷移動度、保護層5(最表面層)と接する下層との接着性、前画像の履歴が残ることで生じる残像(以下「ゴースト」と言う場合がある)などの観点で優れ望ましい。
−樹脂粒子−
樹脂粒子としては、例えば、フッ素系樹脂粒子等が挙げられる。
樹脂粒子としては、フッ素系樹脂粒子が望ましく、中でも、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂及びこれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることが望ましい。また、これらのフッ素系樹脂粒子の中でも特に、4フッ化エチレン樹脂及びフッ化ビニリデン樹脂が望ましい。
なお、樹脂粒子を塗布液に分散させるための各種分散剤を併用してもよい。
樹脂粒子の平均一次粒径は0.05μm以上1μm以下であることが望ましく、0.1μm以上0.5μm以下であることがより望ましい。
樹脂粒子の平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置LA−700(堀場製作所製)を用いて測定した値をいう。
樹脂粒子の含有量は、保護層5(最表面層)の質量に対して0.1質量%以上40質量%以下であることが望ましく、1質量%以上30質量%以下であることがより望ましい。
−その他の添加剤−
保護層5(最表面層)を構成する膜は、不飽和結合を有する化合物を併用してもよい。
不飽和結合を有する化合物としては、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよく、また、電荷輸送性骨格を有していてもよい。
不飽和結合を有する化合物として、電荷輸送性骨格を有さないものとしては以下のようなものが挙げられる。
1官能のモノマーは、例えば、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、ヒドロキシエチルo−フェニルフェノールアクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート、スチレン、などが挙げられる。
2官能のモノマーは、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート等が挙げられる。
3官能のモノマーは、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート、トリビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
4官能のモノマーは、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
5官能以上のモノマーは、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の他、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、フォスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、反応性のポリマーとしては、例えば、特開平5−216249号公報、特開平5−323630号公報、特開平11―52603号公報、特開2000−264961号公報、特開2005−2291号公報などに開示されたものが挙げられる。
電荷輸送成分を有さない不飽和結合を有する化合物を用いる場合には、単独又は2種以上の混合物として使用される。電荷輸送成分を有さない不飽和結合を有する化合物を、電子写真感光体の最表面層の形成に用いる場合であれば、該保護層5(最表面層)を形成する際に用いられる組成物の全固形分に対して、望ましくは60質量%以下、より望ましくは55質量%以下で用い、更に望ましくは50質量%以下で使用される。
一方、不飽和結合を有する化合物として、電荷輸送骨格を有するものとしては、次のものが挙げられる。
・連鎖重合性官能基(スチリル基を除く連鎖重合性官能基)及び電荷輸送性骨格を同一分子内に持つ化合物
連鎖重合性官能基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に持つ化合物における連鎖重合性官能基としては、ラジカル重合しうる官能基であれば特に限定されるものではなく、例えば、少なくとも炭素二重結合を含有する基を有する官能基である。具体的には、ビニル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくも一つを含有する基等が挙げられる。なかでも、その反応性に優れることから、連鎖重合性官能基としては、ビニル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくも一つを含有する基であることが望ましい。
また、連鎖重合性官能基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に持つ化合物における電荷輸送性骨格としては電子写真感光体における公知の構造であれば特に限定されるものではなく、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの含窒素の正孔輸送性化合物に由来する骨格であって、窒素原子と共役している構造が挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン骨格が望ましい。
連鎖重合性官能基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に持つ化合物は、特開2012−159521号公報の段落0132から段落0155に記載されたポリマーであってもよい。
保護層5(最表面層)を構成する膜は、更に成膜性、可とう性、潤滑性、接着性を調整するなどの目的から、他のカップリング剤、特にフッ素含有のカップリング剤と混合して用いてもよい。この化合物として、各種シランカップリング剤、及び市販のシリコーン系ハードコート剤が用いられる。また、ラジカル重合性基を有するケイ素含有化合物、フッ素含有化合物を用いてもよい。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、等が挙げられる。
市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−8239(以上、信越化学工業社製)、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等が挙げられる。
また、撥水性等の付与のために、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン、等の含フッ素化合物を加えてもよい。
シランカップリング剤は目的とする量で使用されるが、含フッ素化合物の量は、架橋膜の成膜性の観点から、フッ素を含まない化合物に対して質量で0.25倍以下とすることが望ましい。更に、特開2001−166510号公報などに開示されている反応性のフッ素化合物などを混合してもよい。
ラジカル重合性基を有するケイ素含有化合物、フッ素含有化合物としては、特開2007−11005号公報に記載の化合物などが挙げられる。
保護層5(最表面層)を構成する膜には、劣化防止剤を添加することが望ましい。劣化防止剤としては、ヒンダードフェノール系又はヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。
劣化防止剤の添加量としては20質量%以下が望ましく、10質量%以下がより望ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、イルガノックス1076、イルガノックス1010、イルガノックス1098、イルガノックス245、イルガノックス1330、イルガノックス3114、イルガノックス1076(以上、チバ・ジャパン社製)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシビフェニル等が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、サノールLS2626、サノールLS765、サノールLS770、サノールLS744(以上、三共ライフテック社製)、チヌビン144、チヌビン622LD(以上、チバ・ジャパン社製)、マークLA57、マークLA67、マークLA62、マークLA68、マークLA63(以上、アデカ社製)が挙げられ、チオエーテル系として、スミライザーTPS、スミライザーTP−D(以上、住友化学社製)が挙げられ、ホスファイト系として、マーク2112、マークPEP−8、マークPEP−24G、マークPEP−36、マーク329K、マークHP−10(以上、アデカ社製)等が挙げられる。
保護層5(最表面層)を構成する膜には、樹脂粒子以外に、導電性粒子や、有機、無機粒子を添加してもよい。
この粒子の一例として、ケイ素含有粒子が挙げられる。ケイ素含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリコーン粒子等が挙げられる。ケイ素含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、望ましくは平均粒径1nm以上100nm以下、より望ましくは10nm以上30nm以下のシリカを、酸性若しくはアルカリ性の水分散液、又はアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれる。該粒子としては一般に市販されているものを使用してもよい。
保護層5(最表面層)中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、保護層5の全固形分全量を基準として、0.1質量%以上50質量%以下、望ましくは0.1質量%以上30質量%以下の範囲で用いられる。
ケイ素含有粒子として用いられるシリコーン粒子は、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、シリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用してもよい。
これらのシリコーン粒子は球状で、その平均粒径は望ましくは1nm以上500nm以下、より望ましくは10nm以上100nm以下である。
表面層中のシリコーン粒子の含有量は、保護層5(最表面層)の全固形分全量を基準として、望ましくは0.1質量%以上30質量%以下、より望ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。
また、その他の粒子としては、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂で構成される粒子、ZnO−Al、SnO−Sb、In−SnO、ZnO−TiO、ZnO−TiO、MgO−Al、FeO−TiO、TiO、SnO、In、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物が挙げられる。さらに、粒子を分散させるために公知の種々の分散材を用いてもよい。
保護層5(最表面層)を構成する膜には、シリコーンオイル等のオイルを添加してもよい。
シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル;アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類;1,3,5−トリメチル−1.3.5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類;ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類;3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類;メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類;ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等が挙げられる。
保護層5(最表面層)を構成する膜には、金属、金属酸化物及びカーボンブラック等を添加してもよい。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀及びステンレス等、又はこれらの金属を樹脂の粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ及びアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等が挙げられる。
これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着での混合でもよい。導電性粒子の平均粒径は0.3μm以下、特に0.1μm以下が望ましい。
−組成物−
保護層5(最表面層)を形成するために用いる組成物は、各成分を溶媒中に溶解又は分散してなる保護層形成用塗布液として調製されることが望ましい。
この保護層形成用塗布液は、無溶媒であってもよいし、必要に応じて、トルエン、キシレンなどの芳香族、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのセロソルブ系、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール系等の溶媒などの単独又は混合溶媒を用いて調製される。
また、前述の成分を反応させて塗布液を得るときには、各成分を単純に混合、溶解させるだけでもよいが、望ましくは室温(20℃)以上100℃以下、より望ましくは30℃以上80℃以下で、望ましくは10分以上100時間以下、より望ましくは1時間以上50時間以下の条件で加温する。また、この際に超音波を照射することも望ましい。
−保護層5の作製−
保護層形成用塗布液は、被塗布面(図1に示す態様では電荷輸送層3)の上に、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法、インクジェット塗布法等の通常の方法により塗布される。
その後、得られた塗膜に対して、光、電子線又は熱を付与してラジカル重合を生起させて、該塗膜を重合、硬化させる。
硬化の方法は、熱、光、放射線などが用いられる。熱、光で重合、硬化を行う場合、重合開始剤は必ずしも必要ではないが、光硬化触媒又は熱重合開始剤を用いてもよい。この光硬化触媒及び熱重合開始剤としては、公知の光硬化触媒や熱重合開始剤が用いられる。放射線としては電子線が望ましい。
・電子線硬化
電子線を用いる場合、加速電圧は300KV以下が望ましく、より望ましくは150KV以下である。また、線量は望ましくは1Mrad以上100Mrad以下の範囲、より望ましくは3Mrad以上50Mrad以下の範囲である。加速電圧が300KV以下であることにより感光体特性に対する電子線照射のダメージが抑制される。また、線量が1Mrad以上であることにより架橋が行なわれ、100Mrad以下であることにより感光体の劣化が抑制される。
照射は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、酸素濃度が1000ppm、望ましくは500ppm以下で行い、さらに照射中、又は照射後に50℃以上150℃以下に加熱してもよい。
・光硬化
光源としては、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプなどが用いられ、バンドパスフィルター等のフィルターを用いて好適な波長を選択してもよい。照射時間、光強度は自由に選択されるが、例えば照度(365nm)は300mW/cm以上、1000mW/cm以下が望ましく、例えば600mW/cmのUV光を照射する場合、5秒以上360秒以下照射すればよい。
照射は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、酸素濃度が望ましくは1000ppm以下、より望ましくは500ppm以下で行い、さらに照射中、又は照射後に50℃以上150℃以下に加熱してもよい。
光硬化触媒として、分子内開裂型としては、ベンジルケタール系、アルキルフェノン系、アミノアルキルフェノン系、ホスフィンオキサイド系、チタノセン系、オキシム系などが挙げられる。
より具体的には、ベンジルケタール系として、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンが挙げられる。
また、アルキルフェノン系としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、アセトフェノン、2−フェニル−2−(p−トルエンスルフォニルオキシ)アセトフェノンが挙げられる。
アミノアルキルフェノン系としては、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モリホニル)フェニル]−1−ブタノンなどが挙げられる。
ホスフィノキサイド系としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンキサイドなどが挙げられる。
チタノセン系としては、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどが挙げられる。
オキシム系としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)などが挙げられる。
水素引抜型としては、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンジル系、ミヒラーケトン系などが挙げられる。
より具体的には、ベンゾフェノン系として、2−ベンゾイル安息香酸、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
チオキサントン系としては、2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
ベンジル系としては、ベンジル、(±)−カンファーキノン、p−アニシルなどが挙げられる。
これらの光重合開始剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用られる。
・熱硬化
熱重合開始剤としては、熱ラジカル発生剤又はその誘導体が挙げられ、具体的には、例えば、V−30、V−40、V−59、V601、V65、V−70、VF−096、VE−073、Vam−110、Vam−111(和光純薬工業製)、OTazo−15、OTazo−30、AIBN、AMBN、ADVN、ACVA(大塚化学)等のアゾ系開始剤;パーテトラA、パーヘキサHC、パーヘキサC、パーヘキサV、パーヘキサ22、パーヘキサMC、パーブチルH、パークミルH、パークミルP、パーメンタH、パーオクタH、パーブチルC、パーブチルD、パーヘキシルD、パーロイルIB、パーロイル355、パーロイルL、パーロイルSA、ナイパーBW、ナイパーBMT−K40/M、パーロイルIPP、パーロイルNPP、パーロイルTCP、パーロイルOPP、パーロイルSBP、パークミルND、パーオクタND、パーヘキシルND、パーブチルND、パーブチルNHP、パーヘキシルPV、パーブチルPV、パーヘキサ250、パーオクタO、パーヘキシルO、パーブチルO、パーブチルL、パーブチル355、パーヘキシルI、パーブチルI、パーブチルE、パーヘキサ25Z、パーブチルA、パーヘキシルZ、パーブチルZT、パーブチルZ(日油化学社製)、カヤケタールAM−C55、トリゴノックス36−C75、ラウロックス、パーカドックスL−W75、パーカドックスCH−50L、トリゴノックスTMBH、カヤクメンH、カヤブチルH−70、ペルカドックスBC−FF、カヤヘキサAD、パーカドックス14、カヤブチルC、カヤブチルD、カヤヘキサYD−E85、パーカドックス12−XL25、パーカドックス12−EB20、トリゴノックス22−N70、トリゴノックス22−70E、トリゴノックスD−T50、トリゴノックス423−C70、カヤエステルCND−C70、カヤエステルCND−W50、トリゴノックス23−C70、トリゴノックス23−W50N、トリゴノックス257−C70、カヤエステルP−70、カヤエステルTMPO−70、トリゴノックス121、カヤエステルO、カヤエステルHTP−65W、カヤエステルAN、トリゴノックス42、トリゴノックスF−C50、カヤブチルB、カヤカルボンEH−C70、カヤカルボンEH−W60、カヤカルボンI−20、カヤカルボンBIC−75、トリゴノックス117、カヤレン6−70(化薬アクゾ社製)、ルペロックス610、ルペロックス188、ルペロックス844、ルペロックス259、ルペロックス10、ルペロックス701、ルペロックス11、ルペロックス26、ルペロックス80、ルペロックス7、ルペロックス270、ルペロックスP、ルペロックス546、ルペロックス554、ルペロックス575、ルペロックスTANPO、ルペロックス555、ルペロックス570、ルペロックスTAP、ルペロックスTBIC、ルペロックスTBEC、ルペロックスJW、ルペロックスTAIC、ルペロックスTAEC、ルペロックスDC、ルペロックス101、ルペロックスF、ルペロックスDI、ルペロックス130、ルペロックス220、ルペロックス230、ルペロックス233、ルペロックス531(アルケマ吉富社製)などが挙げられる。
これらのうち、分子量250以上のアゾ系重合開始剤を用いると、低い温度でムラなく反応が進行することから、ムラの抑制された高強度の膜の形成が図られる。より好適には、アゾ系重合開始剤の分子量は、250以上であり、300以上が更に好適である。
加熱は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、酸素濃度が望ましくは1000ppm以下、より望ましくは500ppm以下で行い、望ましくは50℃以上170℃以下、より望ましくは70℃以上150℃以下で、望ましくは10分以上120分以下、より望ましくは15分以上100分以下加熱する。
光硬化触媒又は熱重合開始剤の総含有量は、層形成のための溶解液中の全固形分に対して0.1質量%以上10質量%以下が望ましく、更には0.1質量%以上8質量%以下がより望ましく、0.1質量%以上5質量%以下の範囲が特に望ましい。
なお、本実施態様では、反応が早く進行しすぎると架橋により塗膜の構造緩和ができ難くなり、膜のムラやシワを発生しやすくなるといった理由から、ラジカルの発生が比較的ゆっくりと起こる熱による硬化方法が採用される。
特に、特定の反応性基含有電荷輸送材料と熱による硬化とを組み合わせることで、塗膜の構造緩和の促進が図られ、表面性状に優れた高い保護層5が得られ易くなる。
保護層5(最表面層)の膜厚は3μm以上40μm以下程度が望ましく、5μm以上35μm以下とするのがさらに望ましい。
(導電性基体)
導電性基体4としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、及び金属ベルトが挙げられる。また、導電性基体4としては、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。
ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
電子写真感光体7Aがレーザプリンターに使用される場合、レーザ光を照射する際に生じる干渉縞を防止するために、導電性基体4の表面は、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化することが望ましい。なお、非干渉光を光源とする場合、干渉縞防止の粗面化は特に必要ない。
粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、又は回転する砥石に支持体を接触し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が望ましい。
また、他の粗面化の方法としては、導電性基体4表面を粗面化することなく、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、支持体表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も望ましく用いられる。
ここで、陽極酸化による粗面化処理は、アルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性である。そこで、陽極酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが望ましい。
陽極酸化膜の膜厚については、0.3μm以上15μm以下が望ましい。
また、導電性基体4には、酸性水溶液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。リン酸、クロム酸及びフッ酸からなる酸性処理液による処理は以下のようにして実施される。
先ず、酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲が望ましい。処理温度は42℃以上48℃以下が望ましいが、処理温度を高く保つことにより、一層速く、かつ厚い被膜が形成される。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が望ましい。
ベーマイト処理は、90℃以上100℃以下の純水中に5分以上60分以下浸漬すること、又は90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分以上60分以下接触させて行うことが望ましい。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が望ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
(下引層)
下引層1は、例えば、結着樹脂に無機粒子を含有して構成される。
無機粒子としては、粉体抵抗(体積抵抗率)10Ω・cm以上1011Ω・cm以下のものが望ましく用いられる。
上記粉体抵抗(体積抵抗率)を有する無機粒子としては、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の無機粒子を用いるのが望ましく、特に、酸化亜鉛は望ましく用いられる。
また、無機粒子は表面処理を行ったものでもよく、表面処理の異なるもの、又は、粒子径の異なるものなど2種以上混合して用いてもよい。
無機粒子のBET法による比表面積は、10m/g以上が望ましい。
無機粒子の体積平均粒径は50nm以上2000nm以下(望ましくは60nm以上1000nm以下)の範囲であることが望ましい。
更に、下引層1は、無機粒子と共にアクセプター性化合物を含有させることが望ましい。
アクセプター性化合物としては、上記特性が得られるものであれば限定されず、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送性物質などが望ましく、特にアントラキノン構造を有する化合物が望ましい。更にヒドロキシアントラキノン系化合物、アミノアントラキノン系化合物、アミノヒドロキシアントラキノン系化合物等、アントラキノン構造を有するアクセプター性化合物が望ましく用いられ、具体的にはアントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が挙げられる。
これらのアクセプター性化合物の含有量は上記特性が得られる範囲であれば限定されないが、望ましくは無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下の範囲で含有され、更に0.05質量%以上10質量%以下の範囲で添加されることが望ましい。
アクセプター化合物は、下引層形成用塗布液に添加するだけでもよいし、無機粒子表面にあらかじめ付着させておいてもよい。
無機粒子表面にアクセプター化合物を付与させる方法としては、乾式法、又は、湿式法が挙げられる。
乾式法にて表面処理を施す場合には、無機粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接又は有機溶媒に溶解させたアクセプター化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって処理される。添加又は噴霧する際には溶剤の沸点以下の温度で行われることが望ましい。添加又は噴霧した後、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けの温度、時間は目的とする範囲で実施される。
また、湿式法としては、無機粒子を溶剤中で攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミル等を用いて分散し、アクセプター化合物を添加し攪拌又は分散した後、溶剤除去することで処理される。溶剤除去方法はろ過又は蒸留により留去される。溶剤除去後には更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に限定されない。湿式法においては表面処理剤を添加する前に無機粒子含有水分を除去してもよく、その例として表面処理に用いる溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法を用いてもよい。
また、無機粒子にはアクセプター化合物を付与する前に表面処理を施してもよい。表面処理剤としては、所望の特性が得られるものであればよく、公知の材料から選択される。例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性材等が挙げられる。特に、シランカップリング剤は良好な電子写真特性を与えるため望ましく用いられる。更にアミノ基を有するシランカップリング剤が望ましく用いられる。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、電子写真感光体特性が得られればいかなるものを用いてもよく、具体的例としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、シランカップリング剤は2種以上混合して使用してもよい。アミノ基を有するシランカップリング剤と併用して用いてもよいシランカップリング剤の例としては、
ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの表面処理剤を用いた表面処理方法は公知の方法であればいかなる方法でもよく、乾式法又は湿式法が用いられる。また、アクセプター化合物の付与と、カップリング剤等の表面処理剤による表面処理と、をいっぺんに行ってもよい。
下引層1中の無機粒子に対するシランカップリング剤の量は電子写真特性が得られる量であれば限定されず、無機粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が望ましい。
下引層1に含有される結着樹脂としては、良好な膜が形成されるもので、かつ、所望の特性が得られるものであれば公知のいかなるものを使用してもよく、例えば、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の公知の高分子樹脂化合物、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が用いられる。
また、下引層1に含有される結着樹脂として、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂等を用いてもよい。
これらの中も、結着樹脂としては、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好適であり、特に、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と硬化剤との反応により得られる樹脂が好適である。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
下引層形成用塗布液中の、表面にアクセプター化合物を付与させた無機粒子(アクセプター性を付与した金属酸化物)とバインダー樹脂、又は、無機粒子とバインダー樹脂との比率は電子写真感光体特性が得られる範囲で設定される。
また、下引層1中には種々の添加物を用いてもよい。
添加物としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が用いられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層形成用塗布液に添加してもよい。
添加剤としてのシランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、ジルコニウムキレート化合物の例としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物の例としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物の例としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの化合物は単独に若しくは複数の化合物の混合物又は重縮合物として用いてもよい。
下引層形成用塗布液を調製するための溶媒としては、公知の有機溶剤、例えば、アルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等から選択される。
溶媒として、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、Iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が用いられる。
また、これらの溶剤は単独又は2種以上混合して用いてもよい。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶かし得る溶剤であれば、いかなるものでも使用される。
下引層形成用塗布液を調製する際の無機粒子の分散方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの公知の方法が用いられる。
更に、下引層1を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
このようにして得られた下引層形成用塗布液を用い、導電性基体上に下引層1が成膜される。
また、下引層1は、ビッカース硬度が35以上とされていることが望ましい。
更に、下引層1は、所望の特性が得られるのであれば、いかなる厚さに設定されてもよいが、厚さ15μm以上が望ましく、更に望ましくは15μm以上50μm以下とされていることが望ましい。
また、下引層1の表面粗さ(十点平均粗さ)は、使用される露光用レーザ波長λの1/4n(nは上層の屈折率)から1/2λまでに調整することが望ましい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂などの粒子を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が用いられる。
また、表面粗さ調整のために下引層表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が用いられる。LED,有機ELイメージアレイなどの非干渉性光源を用いる場合には平滑な表面を用いてもよい。
下引層1は、導電性基体4上に塗布した前述の下引層形成用塗布液を乾燥させることで得られるが、通常乾燥は、溶剤を気化させ製膜し得る温度で行われる。
(電荷発生層)
電荷発生層2は、電荷発生材料及び結着樹脂を含有する層である。また、結着樹脂を含有しない蒸着膜として形成してもよい。特に、LED,有機ELイメージアレイなどの非干渉性光源を用いる場合には望ましい。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料、酸化亜鉛、三方晶系セレン等が挙げられる。これらの中でも、近赤外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料として、金属フタロシアニン顔料、及び無金属フタロシアニン顔料を用いることが望ましく、特に、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−11172号公報、特開平5−11173号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報、特開平5−43823号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより望ましい。また、近紫外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料として、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、チオインジゴ系顔料、ポルフィラジン化合物、酸化亜鉛、三方晶系セレン、特開2004−78147号公報、特開2005−181992号公報に開示されたビスアゾ顔料等を用いることがより望ましい。
また、450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED,有機ELイメージアレイなどの非干渉性光源を用いる場合にも上記電荷発生材料を用いてもよいが、解像度の観点より、感光層を20μm以下の薄膜で用いる場合には、感光層中の電界強度が高くなり、基材からの電荷注入による帯電低下、いわゆる黒点と呼ばれる画像欠陥を生じやすくなる。
これは、三方晶系セレンや、フタロシアニン顔料などのp-型半導体で暗電流を生じやすい電荷発生材料を用いたときに顕著となる。
これに対し、縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料などのn-型半導体を用いた場合、暗電流を生じにくく、薄膜にしても黒点と呼ばれる画像欠陥を抑制し得る。
450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED,有機ELイメージアレイなどの非干渉性光源を用い、平滑な基材、下引層を形成し、さらにn-型の電荷発生材料を用いることで、感光層を20μm以下の薄膜にしても画像欠陥を生じず、長期に渡って高解像度の画像が得られる。
n-型の電荷発生材料としては、具体的に以下の例があげられるがこれに限られるものではない。なお、n-型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn-型とする。



電荷発生層2に使用される結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。望ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。電荷発生材料と結着樹脂の配合比は質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが望ましい。ここで、「絶縁性」とは、ここで、「絶縁性」とは体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
電荷発生層2は、上述の電荷発生材料及び結着樹脂を定められた溶剤中に分散した電荷発生層形成用塗布液を用いて形成される。また、結着樹脂を含有しない蒸着膜として形成させてもよく、特に縮環芳香族顔料、ペリレン顔料は蒸着膜として望ましく使用し得る。
分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いる。
また、電荷発生材料及び結着樹脂を溶剤中に分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いられる。これらの分散方法により、分散による電荷発生材料の結晶型の変化が防止される。
更にこの分散の際、電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、望ましくは0.3μm以下、更に望ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
また、電荷発生層2を形成する際には、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
このようにして得られる電荷発生層2の膜厚は、望ましくは0.1μm以上5.0μm以下、更に望ましくは0.2μm以上2.0μm以下である。
(電荷輸送層)
電荷輸送層3は、電荷輸送材料と結着樹脂を含有して、又は高分子電荷輸送材を含有して形成される。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物や、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物が挙げられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
電荷輸送材料としては、電荷移動度の観点から、構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体が望ましい。
特に、構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体のうち、特に、「−C−CH=CH−CH=C(R13)(R14)」を有するトリアリールアミン誘導体、及び「−CH=CH−CH=C(R21)(R22)」を有するベンジジン誘導体が、電荷移動度、保護層5(最表面層)との接着性、前画像の履歴が残ることで生じる残像(以下「ゴースト」と言う場合がある)などの観点で優れ望ましい。
また、高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシランなどの電荷輸送性を有する公知のものが用いられる。特に、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報等に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は特に望ましいものである。高分子電荷輸送材はそれだけでも成膜し得るが、前述の結着樹脂と混合して成膜してもよい。
電荷輸送層3に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。特開平8−176293号公報及び特開平8−208820号公報に開示されているポリエステル系の高分子電荷輸送材料等を用いてもよい。これらのうち、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好適である。
これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上で用いる。
電荷輸送層3に用いる結着樹脂(つまり、保護層5(最表面層)の下層の結着樹脂)としては、Feders法で算出した溶解度パラメータ(以下、「SP値」と称することがある)が11.40以上11.75以下(望ましくは11.40以上11.70以下)のポリカーボネート共重合体(以下、「特定ポリカーボネート共重合体」と称する)が適用される。
特定ポリカーボネート共重合体のSP値を上記範囲とすると、保護層5(最表面層)の材料との混合が抑制され、保護層5の電気特性と機械的強度が高まり易くなる。
特に、保護層5(最表面層)に樹脂粒子を含む場合、特定ポリカーボネート共重合体のSP値を11.40以上とすると、保護層5の表層側への樹脂粒子の偏在が抑制される。一方、特定ポリカーボネート共重合体のSP値を11.75以下とすると、電荷輸送層3の電荷輸送材料との相溶性の悪化を抑え、電子写真感光体の電気特性の低下(特に繰り返し使用による残留電位の上昇)が抑制され易くなる。
特定ポリカーボネート共重合体は、SP値が12.2以上12.4以下の繰り返し構造単位を有することがよい。ポリカーボネート共重合体の繰り返し構造単位の少なくとも一つとして、上記範囲といった高めのSP値を持つ繰り返し構造単位を有すると、特定ポリカーボネート共重合体全体が保護層5(最表面層)の樹脂成分との相溶性が低下し易くなり電荷輸送層3の電荷輸送材料の保護層5への拡散が抑制され易くなると考えられる。このため、電子写真感光体の電気特性の低下(特に繰り返し使用による残留電位の上昇)が抑制され易くなる。
ここで、Feders法とは、溶解度パラメーター(SP値)を構造式から簡便に算出する方法である。具体的には、Feders法では、凝集エネルギー密度をΔE、モル体積をVとすると、SP値δ=(ΔE/V)1/2=(ΣΔei/ΣΔvi)1/2から算出する。なお、ei、viはそれぞれ各構造式ユニットの凝集エネルギー、モル体積であり、その一覧は例えば「コーティングの基礎と工学」(加工技術研究会)55ページ」に記載されている。
なお、溶解度パラメーター(SP値)の単位として(cal/cm1/2を採用するが、慣行に従い単位を省略し、無次元で表記する。
そして、Feders法による溶解度パラメーター(SP値)の算出方法は以下のように定義される。すなわち、共重合体を構成する繰り返し構造単位の溶解度パラメーターをδn、該繰り返し構造単位の共重合体内での存在比率(モル比)χnとしたとき、共重合体の溶解度パラメーター(SP値)δ=Σ(δn・χn)とする。繰り返し構造単位の溶解度パラメーター(SP値)を計算するとき、カーボネート基の凝集エネルギー、モル体積は、「コーティングの基礎と工学」(加工技術研究会)55ページ」の一覧で示されたΔei=4200cal/mol、Δvi=22.0cm/molの値を使用する。例えば、ビスフェノールZモノマーとビスフェノールFモノマーから重合されたポリカーボネート共重合体であり、それぞれの繰り返し単位のモル比がZユニット70%、Fユニット30%である場合、Zユニットの繰り返し単位構造は下記Zユニット(I)で、δ=((1180×5+350×1+7630×2+4200×1+250×1)/(16.1×5+(−19.2)×1+52.4×2+22.0×1+16×1))1/2=11.28、Fユニットの繰り返し単位構造は下記Fユニット(I)で、δ=((1180×1+7630×2+4200×1)/(16.1×1+52.4×2+22.0×1))1/2=12.02であり、ポリカーボネート共重合体の溶解度パラメーターδZ70F30はδZ70F30=11.28×0.7+12.02×0.3=11.50となる。
特定ポリカーボネート共重合体としては、具体的には、例えば、ビフェニルモノマー、及びビスフェノールモノマーから選択される少なくとも2種以上の2価のモノマー(以下、「2価フェノール」と称する)の共重合体が挙げられる。
特に、特定ポリカーボネート共重合体としては、保護層5(最表面層)の電気特性及び機械的強度の向上、並びに、保護層5(最表面層)の表層側への樹脂粒子の偏在を抑制する観点から、例えば、下記一般式(PC−1)で示される繰り返し構造単位を有するポリカーボネート共重合体、下記一般式(PC−2)で示される繰り返し構造単位を有するポリカーボネート共重合体が好適に挙げられる。
具体的には、特定ポリカーボネート共重合体としては、
1)構造が異なる2種以上の下記一般式(PC−1)で示される繰り返し構造単位を有するポリカーボネート共重合体、
2)構造が異なる2種以上の下記一般式(PC−2)で示される繰り返し構造単位を有するポリカーボネート共重合体
3)1種又は構造が異なる2種以上の下記一般式(PC−1)で示される繰り返し構造単位と、1種又は構造が異なる2種以上の下記一般式(PC−2)で示される繰り返し構造単位と、を有するポリカーボネート共重合体
が挙げられる。
なお、特定ポリカーボネート共重合体は、SP値が上記範囲となるように、各繰り返し構造単位(モノマー)が選択される。
一般式(PC−1)中、Rpc1及びRpc2は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を示す。
pca及びpcbは、それぞれ独立に0以上4以下の整数を示す。
一般式(PC−1)中、Rpc1及びRpc2は、それぞれ独立に、炭素数1以上6以下のアルキル基を示すことが望ましく、さらに、メチル基を示すことがより望ましい。
一般式(A)中、pca及びpcbは、それぞれ独立に0以上2の整数を示すことが望ましく、特に0であることが最も望ましい。
一般式(PC−2)中、Rpc3及びRpc4は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を示す。pcc及びpcdは、それぞれ独立に0以上4以下の整数を示す。Xpcは、−CRpc5pc6−(但し、Rpc5及びRpc6は、それぞれ独立に水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1以上6以下のアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を示す。)、炭素数5以上11以下の1,1−シクロアルキレン基、炭素数2以上10以下のα,ω−アルキレン基、−O−、−S−、−SO−、又は−SO−を示す。
一般式(PC−2)中、Rpc3及びRpc4は、それぞれ独立に、炭素数1以上6以下のアルキル基を表すことが望ましく、さらに、メチル基を表すことがより望ましい。
pcc及びpcdは、それぞれ独立に0以上2の整数を表すことが望ましい。
pcは、−CRpc5pc6−(但し、Rpc5及びRpc6は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1以上6以下のアルキル基を示す。)、炭素数5以上11以下の1,1−シクロアルキレン基を示すことが望ましい。
特定ポリカーボネート共重合体において、保護層5(最表面層)の電気特性及び機械的強度の向上、並びに、保護層5の表層側への樹脂粒子の偏在を抑制する観点から、一般式(PC−1)で示される繰り返し構造単位の比率(モル比)は、特定ポリカーボネート共重合体(全繰り返し構造単位)に対して、20モル%以上40モル%以下であることがよく、望ましくは23モル%以上37モル%以下、より望ましくはである。
また、同様の観点から、一般式(PC−2)で示される繰り返し構造単位の比率(モル比)は、ポリカーボネート共重合体(全繰り返し構造単位)に対して、35モル%以上55モル%以下であることがよく、望ましくは38モル%以上52モル%以下、より望ましくはである。
特定ポリカーボネート共重合体を構成する繰り返し単位(ユニット)の具体例を以下に示す。なお、繰り返し構造単位の具体例(ユニット)は、その繰り返し単位を形成する2価フェノールHO―(X)―OHのXの部分の構造を例示して示す。具体的には、例えば、ユニットNo,欄「(BP)−0」で示す繰り返し構造単位は、[−O−(構造欄に示す構造)−O−C(=O)−]で示される構造単位を示す。
特定ポリカーボネート共重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
特定ポリカーボネート共重合体の粘度平均分子量は、30000以上が望ましく、45000以上のものがより望ましい。特定ポリカーボネート共重合体の粘度平均分子量の上限値としては100000以下が望ましい。
ここで、粘度平均分子量は、毛細管粘度計によって測定した値である。
特定ポリカーボネート共重合は、公知の方法、例えば、2価フェノールにホスゲンや炭酸ジエステル等のカーボネート前駆物質を反応させる方法を用いることにより合成される。以下、この合成方法について基本的な方法を簡単に説明する。
例えば、カーボネート前駆物質として例えばホスゲンを使用する反応では、通常酸結合剤及び溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては、例えばピリジン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物等が用いられる。溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミン、第四級アンモニウム塩等の触媒を用いてもよい。反応温度は通常0℃以上40℃以下、反応時間は数分以上5時間以下、反応中のPHは通常10以上とすることがよい。
重合反応において、末端停止剤として通常使用される単官能フェノール類を使用してもよい。この単官能フェノール類としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。
特定ポリカーボネート共重合体は、当該特定ポリカーボネート共重合体以外の結着樹脂を併用してもよい。但し、特定ポリカーボネート共重合体の結着樹脂の含有量は、例えば、全結着樹脂に対して10質量%以下である。
特定ポリカーボネート共重合体以外の結着樹脂としては、例えば、特定ポリカーボネート共重合体以外のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、塩素ゴム等の絶縁性樹脂、及びポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマー等が挙げられる。これらの結着樹脂は、単独又は2種以上混合して用いてもよい。
なお、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で、例えば10:1乃至1:5が望ましい。
電荷輸送層3は、上記構成材料を含有する電荷輸送層形成用塗布液を用いて形成される。
電荷輸送層形成用塗布液に用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状若しくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤を単独又は2種以上混合して用いられる。また、上記各構成材料の溶解方法としては、公知の方法が使用される。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層2の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
電荷輸送層3の膜厚は、望ましくは5μm以上50μm以下、より望ましくは10μm以上30μm以下である。
以上、図1に示される電子写真感光体7Aを参照し、機能分離型の感光層における各層の構成を説明したが、図2に示される機能分離型の電子写真感光体7Bにおける各層においてもこの構成が採用しうる。また、図3に示される電子写真感光体7Cの単層型感光層6の場合、以下の態様であることが望ましい。
即ち、単層型感光層6中の電荷発生材料の含有量は、保護層5(最表面層)を形成する際に用いられる組成物の全固形分に対して5質量%以上50質量%以下が望ましく、更には10質量%以上40質量%以下がより望ましく、15質量%以上35質量%以下が特に望ましい。
単層型感光層6の形成方法は、電荷発生層2や電荷輸送層3における形成方法を採用しうる。単層型感光層6の膜厚は5μm以上50μm以下が望ましく、10μm以上40μm以下とするのが更に望ましい。
[画像形成装置(及びプロセスカートリッジ)]
以下、本実施形態に係る画像形成装置(及びプロセスカートリッジ)について詳細に説明する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図4に示すように。電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。なお、図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を被転写体(記録媒体)に転写する二次転写装置も有している。
図4におけるプロセスカートリッジ300は、ハウジング内に、電子写真感光体7、帯電装置8、現像装置11、及びクリーニング装置13を一体に支持している。クリーニング装置13は、クリーニングブレード(クリーニング部材)を有しており、クリーニングブレード131は、電子写真感光体7の表面に接触するように配置されている。
また、潤滑材14を感光体7の表面に供給する繊維状部材132(ロール状)、クリーニングをアシストする繊維状部材133(平ブラシ状)を用いた例を示してあるが、これらは使用しても、使用しなくてもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の各構成について説明する。
(帯電装置)
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
なお、図示しないが、電子写真感光体7の周囲には、電子写真感光体7の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための感光体加熱部材を設けてもよい。
(露光装置)
露光装置9としては、例えば、感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は感光体の分光感度領域にあるものが使用される。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
ここで、露光装置9の光源として、非干渉性の露光光源を適用することがよい。
非干渉性の露光光源は、インコヒーレント光を照射する光源であり、例えば、非干渉性の露光光源としては、LED,有機ELイメージアレイなどが採用される。
非干渉性の露光光源によって露光される電子写真感光体表面の露光スポットの面積は1000μm以下であり、且つ非干渉性の露光光源の発光の中心波長は450nm以上780nm以下であることがよい。
次に、露光ヘッドの一例について説明する。
図6は露光ヘッドの一例を示す図であり、図7は露光ヘッドにより感光体に露光を施している状態を示す図である。各露光ヘッドは、図6及び図7に示すように、例えば、有機EL素子アレイ(発光素子アレイ60B)と、結像部(レンズ70)と、を備えている。
発光素子アレイ60Bは、例えば、有機EL素子(発光素子60A)で構成される発光部と有機EL素子が実装される実装基板(図6の発光素子アレイ基板61に相当)とを備える。
有機EL素子アレイ(発光素子アレイ60B)と結像部(レンズ70)とは、発光部(発光素子60A)と結像部の光入射面70Aとの光学距離が結像部の作動距離となるように、離間した状態で保持部材により保持されている。
ここで、結像部の作動距離とは、結像部に用いるレンズ70の焦点から結像部の入射面70Aまでの距離である。
そして、結像部では、発光部からの発光を光の入射面70Aから入射すると共に光の出射面70Bから出射して予め定められた位置に結像させる、つまり、発光素子60Aからの発光を感光体30に結像することによって、感光体30が露光されて潜像が形成される(図7)。
ここで、有機EL素子アレイ(発光素子アレイ60B)について説明する。
有機EL素子アレイは、例えば発光部から照射される光を実装基板(発光素子アレイ基板61)側から取り出す、所謂、ボトムエミッション方式となっている。無論、トップエミッション方式であってもよい。
発光部は、例えば、単一の発光素子60Aの群で構成されている。発光素子60Aは、実装基板(発光素子アレイ基板61)の長手方向に沿って線状(直列)又は千鳥状に配置して、発光部を構成している。発光素子60Aの群で構成された発光部は、感光体30の画像形成領域以上の長さとしている。
次いで、結像部(レンズ70)について説明する。
結像部は、例えば、ロッドレンズが複数配列されたレンズアレイで構成されている。レンズアレイとして具体的には、例えば、セルフォックレンズアレイ(SLA:セルフォックは、日本板硝子(株)の登録商標)と呼ばれる屈折率分散型レンズアレイを適用することが最もよいが、シリンドリカルレンズを組み合わせても良い。さらに、個々の光源用有機EL素子上にマイクロレンズを接合しても良い。
(現像装置)
現像装置11としては、例えば、磁性若しくは非磁性の一成分系現像剤又は二成分系現像剤等を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置を用いて行ってもよい。その現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、上記一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが望ましい。
以下、現像装置11に使用される現像剤トナーについて説明する。
現像剤は、トナー単独の一成分現像剤であってもよいし、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤であってもよい。
(クリーニング装置)
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
(転写装置)
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
(中間転写体)
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等のベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
以上説明した画像形成装置100は、上述した各装置の他に、例えば、感光体7に対して光除電を行う光除電装置を備えていてもよい。
図5は、本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図5に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
なお、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る電子写真感光体と、現像装置と、中間転写体を有する転写装置と、を備え、画像形成装置に着脱し得るプロセスカートリッジであればよい。
以下実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、「部」、「%」は、特に断りがない限り、質量基準である。
<実施例1>
(下引層の作製)
酸化亜鉛:(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m/g)100質量部をテトラヒドロフラン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学工業社製)1.3質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、テトラヒドロフランを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間)焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
表面処理を施した酸化亜鉛110質量部を500質量部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、プルプリン誘導体1.0質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてプルプリン誘導体を付与させた酸化亜鉛を濾別し、さらに60℃で減圧乾燥を行いプルプリン誘導体付与酸化亜鉛を得た。
プルプリン誘導体付与酸化亜鉛60質量部と硬化剤(ブロック化イソシアネート、スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部とブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学社製)15質量部をメチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部とメチルエチルケトン25質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)45質量部を添加し、下引層塗布用液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ18μmの下引層を得た。形成された下引層の外側表面の表面粗さRaは約0.3μmであった。
(電荷発生層の作製)
電荷発生物質としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部、n−酢酸ブチル200質量部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn−酢酸ブチル175質量部、メチルエチルケトン180質量部を添加し、攪拌して電荷発生層用の塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、100℃で5分間乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
(電荷輸送層の作製)
CTM−1: 40質量部、CTM−2: 10質量部、及び結着樹脂(1): 55質量部をクロロベンゼン800質量部に加えて溶解し,電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を電荷発生層上に塗布し、130℃、45分の乾燥を行って膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。
(保護層表面層の作製)
例示化合物(I−c)−15: 20質量部、例示化合物(II)−50: 20質量部、CTM−1: 20質量部、及びOTazo−15(大塚化学社製、分子量354.4): 0.2質量部を、THF20質量部及びシクロペンチルメチルエーテル40質量部に溶解し、保護層用塗布液を得た。この塗布液を用いて、突き上げ塗布にて電荷輸送層上に塗布した。そして、形成した塗膜に対して、室温(20℃)で30分風乾した後、酸素濃度200ppmの窒素下で室温(20℃)から10℃/分の速度で160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚約4μmの保護層を形成した。
以上の工程を経て、感光体1を作製した。
なお、同一条件で作製した感光体1の保護層を分析した結果、未反応の例示化合物(I−c)−15は0.3質量%、未反応の例示化合物(II)−50は0.1質量%であった。
<実施例2>
保護層用塗布液において、OTazo−15を1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)0.5質量部に変えた以外は、保護層用塗布液の塗布までは感光体1と同様に行った。そして、形成した塗膜に対して、室温(20℃)で30分風乾した後、メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:120mm、照射強度:500mW/cm、照射時間:60秒の条件で酸素濃度200ppmの窒素下で光照射を行ない塗膜を硬化させた。更に150℃で20分乾燥を加え膜厚約4μmの保護層を形成した。
以上の工程を経て、感光体2を作製した。
なお、同一条件で作製した感光体2の保護層を分析した結果、未反応の例示化合物(I−c)−15は0.5質量%、未反応の例示化合物(II)−50は0.2質量%であった。
<実施例3>
保護層用塗布液において、OTazo−15を加えなかった以外は、保護層用塗布液の塗布までは感光体1と同様に行った。そして、形成した塗膜に対して、室温(20℃)で30分風乾した後、酸素濃度20ppmの窒素下で感光体を300rpmの速度で回転させながら照射距離が30mm、電子線加速電圧が90kV、電子線ビーム電流が2mA、電子線照射時間が1.0秒の条件で感光体に電子線を照射した。照射後すぐに、酸素濃度20ppmの窒素下で150℃に加熱し、20分保持して硬化反応を完結させ、膜厚約4μmの保護層を形成した。
以上の工程を経て、感光体3を作製した。
なお、同一条件で作製した感光体3の保護層を分析した結果、未反応の例示化合物(I−c)−15は0.3質量%、未反応の例示化合物(II)−50は0.1質量%であった。
<比較例1>
電荷輸送層までは感光体1と同様に作製した。化合物(A): 40質量部、CTM−1: 20質量部、OTazo−15(大塚化学、分子量354.4): 0.2質量部を、THF20質量部及びシクロペンチルメチルエーテル40質量部に溶解した保護層用塗布液を用いて、突き上げコートにて電荷輸送層上に塗布した。形成した塗膜に対して、室温で30分風乾した後、酸素濃度200ppmの窒素下で室温(20℃)から10℃/分の速度で160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚約4μmの保護層を形成した。
以上の工程を経て作、比較感光体1を作製した。但し、比較感光体1は、保護層の形成において、硬化終了後、冷却した段階でCTM−1の結晶化が発生し、保護層の表面が白濁し、感光体としての評価はできなかった。
なお、同一条件で作製した比較感光体1の保護層を分析した結果、未反応の化合物(A)は0.3質量%であった。
<比較例2>
電荷輸送層までは感光体1と同様に作製した。化合物(B): 20質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(A−TMPT、新中村化学社製): 20質量部、CTM−1: 20質量部、及びOTazo−15(大塚化学、分子量354.4): 0.2質量部を、THF20質量部及びシクロペンチルメチルエーテル40質量部に溶解した保護層用塗布液を用いて、突き上げコートにて電荷輸送層上に塗布した。形成した塗膜に対して、室温(20℃)で30分風乾した後、酸素濃度200ppmの窒素下で室温(20℃)から10℃/分の速度で160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚約4μmの保護層を形成した。
以上の工程を経て作、比較感光体2を作製した。但し、比較感光体2は、保護層の形成において、硬化終了後、冷却した段階でCTM−1の結晶化が発生し、保護層の表面が白濁し、感光体としての評価はできなかった。
なお、同一条件で作製した比較感光体2の保護層を分析した結果、未反応の化合物(B)は0.5質量%であった。
<比較例3>
保護層用塗布液において、OTazo−15の変わりにV−601(和光純薬工業社製)を用いた以外は、保護層用塗布液の塗膜までは感光体1と同様に行った。そして、形成した塗膜に対して、室温(20℃)で30分風乾した後、酸素濃度200ppmの窒素下で室温(20℃)から10℃/分の速度で160℃まで昇温し、120℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚約4μmの保護層を形成した。
以上の工程を経て作、比較感光体3を作製した。
なお、同一条件で作製した比較感光体3の保護層を分析した結果、未反応の例示化合物(I−c)−15は2.6質量%、未反応の例示化合物(II)−50は0.7質量%であった。
<実施例4>
電荷輸送層までは感光体1と同様に作製した。例示化合物(I−c)−15: 20質量部、例示化合物(II)−50: 20質量部、CTM−1: 20質量部、PTFE(ルブロンL−2:ダイキン社製): 5質量部、GF400(東亜合成社製): 0.3質量部を、THF20質量部及びシクロペンチルメチルエーテル40質量部に溶解し、超音波ホモジェナイザーで分散した。分散終了後、OTazo−15(大塚化学、分子量354.4)0.2質量部を加え、保護層用塗布液を得た。この塗布液を用いて、突き上げコートにて電荷輸送層上に塗布した。形成した塗膜に対して、室温(20℃)で30分風乾した後、酸素濃度200ppmの窒素下で室温(20℃)から10℃/分の速度で160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚約4μmの保護層を形成した。
以上の工程を経て、感光体4を作製した。
なお、同一条件で作製した感光体4の保護層を分析した結果、未反応の例示化合物(I−c)−15は0.5質量%、未反応の例示化合物(II)−50は0.2質量%であった。PTFE分散性は、約95%であった。
<実施例5〜31、実施例101〜103>
電荷発生層までは感光体1と同様に作製した。この電荷発生層上に、表1〜表3に従った組成以外は感光体1と同様にして作製した塗布液を用いて、電荷輸送層及び保護層を感光体1と同様にして形成し、感光体5〜31、感光体101〜103を作製した。
<比較例4〜6>
電荷発生層までは感光体1と同様に作製した。この電荷発生層上に、表4に従った組成以外は感光体1と同様にして作製した塗布液を用いて、電荷輸送層及び保護層を感光体1と同様にして形成し、比較感光体4〜6を作製した。
<特性評価>
各例で得られた感光体について、保護層中の未反応の反応性基含有電荷輸送材料の含有量、PTFEの分散性について調べた。その結果を表1〜表4に示す。
(保護層中の未反応の反応性基含有電荷輸送材料の含有量)
保護層中の未反応の反応性基含有電荷輸送材料の含有量(表1〜表4中「未反応成分量」と表記)の定量は、下記条件に従った液体クロマトグラフー(HPLC)よって、下記操作により行った。
−条件−
・装置:東ソー(株)製8020
・カラム:ジーエルサイエンス(株)製Unisil Q
・溶剤:テトラヒドロフラン/ヘキサン混合溶剤(比率はモノマーに合わせて調整)
・流量:1ml/分
・検出波長:313nm
−操作−
(1)予め、測定対象となる反応性基含有電荷輸送材料1mgを1mlのTHFに溶解して標準試料溶液を調整する。
(2)HPLCにより、標準試料溶液のサンプリング量を振って(1μl、5μl、10μl、20μl)、反応性基含有電荷輸送材料の検量線を作成する。
(3)保護層をカッターナイフを用いて採取し、秤量する(xmg)。
(4)採取した保護層をTHF(yml)に入れ、密封して40℃で3時間撹拌しながら溶解分を抽出する。
(5)抽出液をHPLC法で分析し、予め、求めておいた検量線から、反応性基含有電荷輸送材料の溶出量を算出する(zmg)。
(6)式:D(%)=100×z/xに基づき、未反応の反応性基含有電荷輸送材料の含有量Dを算出する。
(PTFE分散性)
PTFEの分散性は、以下の操作を行って評価した。
(1)電荷輸送層まで形成した感光体の膜厚d0を予めライン干渉膜厚計(富士ゼロックス社内製)にて測定する(図8(A)参照)。
(2)保護層を形成したのち、感光体の感光層を切り出し、断面をSEMにて測定し、電荷輸送層及び保護層の全体膜厚d1とPTFEが分散されている領域の膜厚dpを測定する((図8(B)参照)。
(3)式:P(%)=100×dp/(d1−d0)(%)に基づき、PTFE分散性Pを算出する。
<画質の評価>
各例で作製した感光体を富士ゼロックス社製、ApeosPort−IV C55750に装着し、低温低湿(8℃、20%RH)及び高温高湿(28℃、85%RH)において、以下の画質評価を連続して行なった。
まず、画質評価前に、感光体の表面電位を作製した。
次に、低温低湿(8℃、20%RH)10000枚の画像形成テストを行い、10000枚目の画質評価(ゴースト、カブリ、スジ、黒点、文字解像度、画像流れ)を実施した。また、画像形成テスト中、ブレード鳴きの評価も実施した。その結果を表5に示した。
次に、低温低湿環境下での画質評価に続いて、高温高湿(28℃、85%RH)の環境下にて10000枚の画像形成テストを行なった。10000枚目の画質評価(ゴースト、カブリ、スジ、黒点、文字解像度、画像流れ)を実施した。また、画像形成テスト中、ブレード鳴きの評価も実施した。そして、画質評価終了後の感光体摩耗量を測定した。その結果を表6に示した。
(感光体の表面電位)
画像形成テストの前に、富士ゼロックス社内製電気特性評価装置を用い、初期電位を−700Vに帯電し、波長780nmで3.7mJ/m露光し、30msec後の表面電位(VL)を測定した。この値が小さいほど、光応答性が高く、高速での使用に適することを意味する。
(ゴースト評価)
ゴーストは、図9(A)に示したGと画像濃度50%の灰色領域を有するパターンのチャートをプリントし、50%の灰色部分にGの文字の現れ具合を目視にて評価した。
A:図9(A)のように良好又は軽微である。
B:図9(B)のように若干目立つ程度である
C:図9(C)のようにはっきり確認される。
(カブリ評価)
カブリ評価はゴースト評価と同じサンプルを用いて白地部のトナー付着程度を目視にて観察し判断した。
A:カブリなし。
B:うっすらとカブリあり。
C:画質上問題となるカブリあり。
(スジ評価)
スジ評価はゴースト評価と同じサンプルを用いて白地部のトナー付着程度を目視にて観察し判断した。
A:スジなし。
B:うっすらとスジあり。
C:画質上問題となるスジあり。
(黒点評価)
黒点評価はゴースト評価と同じサンプルを用いて白地部の点状の画質欠陥程度を目視にて観察し判断した。
A:黒点発生なし。
B:多少の黒点発生。
C:画質上問題となる黒点あり。
(文字解像度評価)
文字解像度評価は8ポイントサイズの文字「響」を印字し、解像度を目視にて観察し判断した。
A:文字のつぶれなし。
B:若干の文字のつぶれあり。
C:解像度が明らかに不良。
(画像流れ評価)
画像流れはゴースト評価と同じサンプルを用いて目視にて判断した。
A:画像流れなし。
B:連続的に画像形成テストしている時は問題ないが、1日(24時間)放置後に画像流れが発生。
C:連続的に画像形成テストしている時にも画像流れが発生。
(感光体表面付着評価)
感光体表面付着評価は画像形成テスト後の感光体表面を目視にて判断した。
A:付着物の付着なし。
B:部分的にスジ状に付着物の付着があり、感光体表面をイソプロパノールをしみ込ませた布で軽く拭くことで除去できる。
C:全面にスジ状に付着物の付着があり、感光体表面をイソプロパノールをしみ込ませた布で軽く拭いても除去できない。
(ブレード鳴き)
画像形成テスト中にブレード鳴き(感光体とクリーニングブレードとの摩擦により発生する音)グレードを評価した。
A:鳴きなし。
B:若干鳴きあり。
C:明らかに鳴きが聞こえる。
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、感光体の表面電位が高く、画質評価(ゴースト、カブリ、スジ、黒点、文字解像度、画像流れ)、ブレード鳴き、感光体摩耗量の各評価について良好な結果が得られたことがわかる。
また、保護層にPTFEを含む場合、本実施例では、比較例に比べ、PTFE分散性の評価について良好な結果が得られたことがわかる。
以下、各例で使用した材料、及び表中に示す各略称の詳細について示す。
(結着樹脂)
・結着樹脂(1)〜(13):下記製法により合成したもの(組成は表6参照)
〜結着樹脂の合成:ポリカーボネート共重合体の合成〜
ホスゲン吹込管、温度計及び攪拌機を備えたフラスコに窒素雰囲気下にて1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下Zと称する)106.9g(0.398モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(以下BPと称する)24.7g(0.133モル)、ハイドロサルファイト0.41g、9.1%水酸化ナトリウム水溶液825ml(水酸化ナトリウム2.018モル)、塩化メチレン500mlを仕込んで溶解し、攪拌下18〜21℃に保持し、ホスゲン76.2g(0.770モル)を75分要して吹込みホスゲン化反応させた。ホスゲン化反応終了後p−tert−ブチルフェノール1.11g(0.0075モル)および25%水酸化ナトリウム水溶液54ml(水酸化ナトリウム0.266モル)を加え撹拌し、途中トリエチルアミン0.18mL(0.0013モル)を添加し、30℃以上35℃以下の温度で2.5時間反応させた。分離した塩化メチレン相を無機塩類及びアミン類がなくなるまで酸洗浄及び水洗した後、塩化メチレンを除去して結着樹脂(1)[ポリカーボネート共重合体]を得た。この結着樹脂(1)[ポリカーボネート共重合体]は、ZとBPとの構成単位の比がモル比で75:25であった。
その他、結着樹脂(2)〜(13)は、表7に従ったユニット(繰り返し単位)を有するように、使用単量体を変えた以外は、結着樹脂(1)と同様にして合成した。
(電荷発生材料)
CTM−1〜CTM−4:下記構造式で示される電荷発生材料
(反応性基含有電荷輸送材料)
・(I−c)−7:例示化合物(I−c)−7
・(I−c)−15:例示化合物(I−c)−15
・(I−c)−43:例示化合物(I−c)−43(下記合成法参照)
・(I−c)−46:例示化合物(I−c)−46
・(I−c)−53:例示化合物(I−c)−53
・(II)−46:例示化合物(II)−46
・(II)−50:例示化合物(II)−50
・(II)−56:例示化合物(II)−56
・(II)−58:例示化合物(II)−58
・化合物(A):下記構造式で示される電荷輸送性材料
・化合物(B):下記構造式で示される電荷輸送性材料
−例示化合物(I−c)−43の合成−
500ml三口フラスコに4,4’−ビス(2−メトキシカルボニルエチル)ジフェニルアミン68.3g、4,4’−ジヨードー3,3’−ジメチルー1,1’−ビフェニル43.4g、炭酸カリウム30.4g、硫酸銅5水和物1.5g、n−トリデカン50mlを添加し、系中を窒素フローしながら220℃で加熱しながら20時間撹拌した。その後温度を室温まで下げ、トルエン200ml、水150mlを加えて分液操作を行った。トルエン層を採取し、硫酸ナトリウム10g加えて10分撹拌した後、硫酸ナトリウムをろ過した。トルエンを減圧留去した粗生成物を、トルエン/酢酸エチルを溶離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行い、(I−c)−43aを56.0g得た(収率65%)。
3L三口フラスコに(I−c)−43aを43.1g、テトラヒドロフラン350mlを添加し、そこに水酸化ナトリウム8.8gを水350mlに溶解した水溶液を添加し、60℃に加熱しながら5時間撹拌した。その後、反応液を水1L/濃塩酸40ml水溶液に滴下し、析出した固体を吸引ろ過により採取した。この固体をさらにアセトン/水混合溶剤(体積比40/60)50mlを加えて懸濁状態で撹拌した後、吸引ろ過により採取し、10時間真空乾燥した後、(I−c)−43bを36.6g得た(収率91%)。
500ml三口フラスコに(I−c)−43bを28.2g、4−クロロメチルスチレン23.5g、炭酸カリウム21.3g、ニトロベンゼン0.09g、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)175mlを添加し、系中を窒素フローして75℃に加熱しながら5時間撹拌した。その後、温度を室温まで下げ、反応溶液に酢酸エチル200ml/水200mlを加えて分液操作を行った。酢酸エチル層を採取し、硫酸ナトリウム10g加えて10分撹拌した後、硫酸ナトリウムをろ過した。酢酸エチルを減圧留去した粗生成物を、トルエン/酢酸エチルを溶離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行い、例示化合物(I−c)−43を37.8g得た(収率85%)。
なお、他の例示化合物も、上記合成に準じて合成した。
(添加剤)
A−TMPT:トリメチロールプロパントリアクリレート「A−TMPT(新中村化学社製)」
PTFE:フッ素樹脂粒子「ルブロンL2(ダイキン工業(株)社製)」
(重合開始剤)
・OTazo−15:熱重合開始剤「OTazo−15(大塚化学社製、分子量354.4)」
V−601:熱重合開始剤「V−601(和光純薬工業社製)」
イルガキュア184:光重合開始剤「イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)」
1…下引層、2…電荷発生層、3…電荷輸送層、4…導電性基体、5…保護層、6…単層型感光層、7A,7B,7C,7…電子写真感光体、8…帯電装置、9…露光装置、11…現像装置、13…クリーニング装置、14…潤滑材、30…感光体、40…転写装置、50…中間転写体、60A…発光素子、60B…発光素子アレイ、61…発光素子アレイ基板、70…レンズ、70A…入射面、70B…出射面、100…画像形成装置、120…画像形成装置、300…プロセスカートリッジ

Claims (14)

  1. 導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた感光層と、を有し、
    最表面層が、下記一般式(II)で示される反応性化合物から選択される少なくとも1種と非反応性電荷輸送材料とを含む組成物の重合物又は架橋物で構成され、前記組成物中の前記非反応性電荷輸送材料の含有量が最表面層の質量に対して5質量%以上40質量%以下であり、最表面層中の未反応の前記反応性化合物の含有量が最表面層の質量に対して3質量%以下である電子写真感光体。


    〔一般式(II)中、Fは、電荷輸送性骨格を示す。L’は、アルカン若しくはアルケンから誘導される3価又は4価の基、並びに、アルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を含む(n+1)価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。 m’は、1以上6以下の整数を示す。nは、2以上3以下の整数を示す。〕
  2. 前記一般式(II)で示される化合物のFで示される電荷輸送性骨格に連結する基が、下記一般式(IIA−a3)又は(IIA−a4)で示される基である請求項1に記載の電子写真感光体。


    〔一般式(IIA−a3)又は(IIA−a4)中、Xk3は2価の連結基を示す。kq3は0又は1の整数を示す。Xk4は2価の連結基を示す。kq4は0又は1の整数を示す。〕
  3. 前記一般式(II)で示される化合物が、下記一般式(II−a)で示される化合物である請求項1又は2に記載の電子写真感光体。


    〔一般式(II−a)中、Ark1〜Ark4は、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示す。Ark5は、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示す。Dkは、下記一般式(IIA−a)で示される基を示す。kc1〜kc5は,それぞれ独立に0以上2以下の整数を示す。kkは、0又は1を示す。但し、Dkの総数は、1以上8以下である。〕


    〔一般式(IIA−a)中、Lは、アルカン若しくはアルケンから誘導される3価又は4価の基、並びに、アルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を含む(kn+1)価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。knは、2以上3以下の整数を示す。〕
  4. 前記一般式(II)で示される化合物のFで示される電荷輸送性骨格に連結する基が、下記一般式(IIA−a1)又は(IIA−a2)で示される基である請求項1に記載の電子写真感光体。


    〔一般式(IIA−a1)又は(IIA−a2)中、Xk1は2価の連結基を示す。kq1は0又は1の整数を示す。Xk2は2価の連結基を示す。kq2は0又は1の整数を示す。〕
  5. 前記最表面層が、樹脂粒子を含有している請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記樹脂粒子が、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化エチレ
    ンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン
    樹脂、及びこれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂の粒子である請求項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記最表面層に接する下層が、非反応性電荷輸送材料、及びFeders法で算出した溶解度パラメータ11.40以上11.75以下のポリカーボネート共重合体を含んで構成されている請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  8. 前記ポリカーボネート共重合体が、Feders法で算出した溶解度パラメータ12.2以上12.4以下の繰り返し構造単位を有する請求項に記載の電子写真感光体。
  9. 前記ポリカーボネート共重合体が、下記一般式(PC−1)で示される繰り返し構造単位を有するポリカーボネート共重合体である請求項又はに記載の電子写真感光体。


    〔一般式(PC−1)中、Rpc1及びRpc2は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を示す。pca及びpcbは、それぞれ独立に0以上4以下の整数を示す。〕
  10. 前記一般式(PC−1)で示される繰り返し構造単位の比率が、前記ポリカーボネート共重合体に対して、20モル%以上40モル%以下である請求項に記載の電子写真感光体。
  11. 前記ポリカーボネート共重合体が、下記一般式(PC−2)で示される繰り返し構造単位を有するポリカーボネート共重合体である請求項又はに記載の電子写真感光体


    〔一般式(PC−2)中、Rpc3及びRpc4は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を示す。pcc及びpcdは、それぞれ独立に0以上4以下の整数を示す。Xpcは、−CRpc5pc6−(但し、Rpc5及びRpc6は、それぞれ独立に水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1以上6以下のアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を示す。)、炭素数5以上11以下の1,1−シクロアルキレン基、炭素数2以上10以下のα,ω−アルキレン基、−O−、−S−、−SO−、又は−SO−を示す。〕
  12. 前記一般式(PC−2)で示される繰り返し構造単位の比率が、前記ポリカーボネート共重合体に対して、35モル%以上55モル%以下である請求項11に記載の電子写真感光体。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
    画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
  14. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を被転写媒体に転写する転写手段と、
    を備える画像形成装置。
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