JP7167552B2 - 電荷輸送性樹脂及び電荷輸送性樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
特に、耐熱性、強度の点においては、架橋構造とすることが有効であり、例えば、熱硬化又は光硬化した膜を用いた有機ELデバイス(例えば特許文献1参照)、電荷輸送性基を含有するアクリルポリマーを用いた電子写真感光体(例えば特許文献2乃至4参照)、電荷輸送性基と反応性基を含有するアクリルポリマーを、膜形成後に架橋した電子写真感光体(例えば特許文献5参照)、光硬化型アクリル系モノマーを含有する液を塗布し硬化した膜(例えば特許文献6参照)等が開示されている。また、炭素-炭素二重結合を有するモノマー、炭素-炭素二重結合を有する電荷移動材およびバインダー樹脂の混合物を熱又は光のエネルギーによって前記モノマーの炭素-炭素二重結合と前記電荷移動材の炭素-炭素二重結合とを反応させることにより形成された膜が開示され、特に、単官能メタクリル変性した電荷移動材と、電荷輸送性を有さないメタクリルモノマーと、ポリカーボネート樹脂と、に有機過酸化物を用いて硬化したものが開示されている(例えば特許文献7参照)。また、重合性官能基をポリマー主鎖中に有する電荷輸送性ポリエステル樹脂も開示されている(例えば特許文献8参照)。
<1>
下記一般式(1-1)で表される構造及び下記一般式(1-2)で表される構造を有し、重量平均分子量が20万以下である電荷輸送性樹脂。
<2>
電荷輸送性樹脂全体に含まれる水酸基の総数をMHとし、電荷輸送性樹脂全体に含まれる重合性官能基の総数をMPとしたとき、下記式(A1)を満たす<1>に記載の電荷輸送性樹脂。
式(A1):0≦MH/(MH+MP)≦0.9
<3>
前記MH及び前記MPは、下記式(A2)を満たす<2>に記載の電荷輸送性樹脂。
式(A2):0≦MH/(MH+MP)≦0.6
<4>
前記重合性官能基は、下記一般式(P1)で表される基、下記一般式(P2)で表される基、下記一般式(P3)で表される基、下記一般式(P4)で表される基、及び下記一般式(P5)で表される基から選ばれる少なくとも1つである<1>~<3>のいずれか1つに記載の電荷輸送性樹脂。
<5>
前記一般式(1-1)及び前記一般式(1-2)におけるA1及びA2は、正孔輸送能を有する2価の有機基を示す<1>~<4>のいずれか1つに記載の電荷輸送性樹脂。
<6>
前記一般式(1-1)及び前記一般式(1-2)におけるA1及びA2は、それぞれ独立に、下記一般式(2)で表される2価の有機基を示す<5>に記載の電荷輸送性樹脂。
<7>
重量平均分子量が2000以上50万以下である<1>~<6>のいずれか1つに記載の電荷輸送性樹脂。
<8>
重量平均分子量が3000以上20万以下である<7>に記載の電荷輸送性樹脂。
<9>
前記一般式(1-1)及び前記一般式(1-2)におけるT1及びT2は、それぞれ独立に炭素数1以上8以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示す<1>~<8>のいずれか1つに記載の電荷輸送性樹脂。
<10>
下記一般式(3)で表される化合物と、下記一般式(4)で表される化合物と、を重合させる重合工程を含む<1>~<9>のいずれか1つに記載の電荷輸送性樹脂の製造方法。
<11>
前記重合工程により得られた重合体に対して重合性官能基を有する化合物を反応させることで、前記重合体に重合性官能基を導入する導入工程をさらに有する<10>に記載の電荷輸送性樹脂の製造方法。
<2>に係る発明によれば、式(A1)を満たさない場合に比べ、機械的強度の高い電荷輸送性樹脂が提供される。
<3>に係る発明によれば、式(A2)を満たさない場合に比べ、機械的強度の高い電荷輸送性樹脂が提供される。
<10>又は<11>に係る発明によれば、新規な電荷輸送性樹脂が得られる電荷輸送性樹脂の製造方法が提供される。
本実施形態に係る電荷輸送性樹脂は、少なくとも下記一般式(1-1)で表される構造及び下記一般式(1-2)で表される構造を有し、重量平均分子量が20万以下である。
そのため、例えば電子写真感光体の表面層の樹脂として特定電荷輸送性樹脂を用いた場合には、表面層の機械的強度が高いことにより、ブレードなどとの摺擦による膜減少に対する耐性が高く、長寿命化が図れる。また、有機EL素子(すなわち、有機電界発光素子)の各層に含まれる樹脂として特定電荷輸送性樹脂を適用する場合には、特定電荷輸送性樹脂を含む層の耐溶剤性が高いため、溶剤を含む塗布液で塗布して上層を形成することで、生産性に優れる塗布法による積層化が実現される。
そして、上記のように、架橋構造とすることで一層耐熱性、耐溶剤性の高い膜が得られ、その膜を用いた有機デバイス(例えば、電子写真感光体、有機EL素子等)においては、長期に渡って安定した性能が得られる。
前記一般式(1-1)及び前記一般式(1-2)におけるA1及びA2は、それぞれ独立に電荷輸送性を有する2価の有機基を示し、具体的には、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、アゾベンゼン系化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物、キノン系化合物、フルオレノン系化合物などから誘導される2価の有機基が挙げられる。
前記一般式(1-1)及び前記一般式(1-2)におけるA1及びA2は、これらの中でも、正孔輸送能を有する有機基であることが好ましく、さらにその中でも、トリアリールアミン骨格、ベンジジン骨格、スチルベン骨格から選ばれる少なくとも1種を有する有機基であることがより好ましい。
多核芳香族炭化水素基としては、具体的には、例えば、ビフェニル、ターフェニル、スチルベン、トリフェニルエチレン等の水素原子を2つ除いた2価の基が挙げられる。
なお、上記多核芳香族炭化水素基を構成する芳香環は、後述する縮合芳香族炭化水素基であってもよく、芳香族複素環であってもよい。多核芳香族炭化水素基を構成する縮合芳香族炭化水素基及び芳香族複素環の具体例としては、例えば後述する縮合芳香族炭化水素基及び芳香族複素環の具体例の化合物と同様のものが挙げられる。
芳香族複素環の環骨格を構成する原子数(Nr)としては、例えば、Nr=5、又はNr=6等が挙げられる。また、環骨格を構成する炭素原子以外の原子(異種原子)の種類及び数は限定されない。異種原子の種類としては、例えば、硫黄原子、窒素原子、酸素原子等が挙げられる。また芳香族複素環は、環骨格中に2個以上の異種原子が含まれていてもよく、2種以上の異種原子が含まれていてもよい
アルキル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
アルコキシル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6以上20以下のものが好ましく、例えば、フェニル基、トルイル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数7以上20以下のものが好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
置換アミノ基の置換基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、具体例は前述の通りである。
置換アリール基、置換アラルキル基の置換基としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる
アルキル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
アルコキシル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6以上20以下のものが好ましく、例えば、フェニル基、トルイル基等が挙げられる。
置換アリール基の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
尚、R1およびR2が置換する位置としては、窒素(N)が結合する位置に対し、メタ位又はパラ位が好ましい。
以下に、T1で表される基及びT2で表される基の具体的な構造の例(炭化水素基T-1~炭化水素基T-32)を示す。但し、一般式(1-1)及び一般式(1-2)におけるA1又はA2は、下記炭化水素基のどちらの側と結合してもよく、例えば、T-5rと記すと構造T-5の右側に、T-5lと記すと構造T-5の左側に、一般式(1-1)及び一般式(1-2)におけるA1又はA2が結合していることを示す。
なお、下記表において「R1」および「R2」の欄に記載された数字は、結合の位置を表す。また、「T1又はT2」の欄に記載された番号は、上記に具体的に示した炭化水素基の構造式に付した番号(T-1)~(T-32)を意味する。尚、「T1又はT2」の欄において、たとえば「T-5r」と記す場合には構造T-5の右側に、「T-5l」と記す場合には構造T-5の左側にアリールアミン骨格(即ち、一般式(1-1)及び一般式(1-2)におけるA1又はA2)が結合していることを示すものとする。また、下記表において、「結合位置」に示される値は、前記一般式(2)におけるベンゼン環に記載されている数値の箇所に結合していることを示し、更にkが1の場合、( )内のベンゼン環も数字が記載されているベンゼン環と同様の箇所に結合していることを示す。
重合性官能基としては、例えば、炭素-炭素二重結合、エポキシ基、及びオキセタン基から選択される少なくとも1種を含む基が挙げられる。重合性官能基の具体例としては、例えば、ビニル基、ビニルエーテル基、下記一般式(P1)で表される基、下記一般式(P2)で表される基、下記一般式(P3)で表される基、下記一般式(P4)で表される基、下記一般式(P5)で表される基等が挙げられる。
重合性官能基は、これらの中でも、下記一般式(P1)で表される基、下記一般式(P2)で表される基、下記一般式(P3)で表される基、下記一般式(P4)で表される基、及び下記一般式(P5)で表される基から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
アルキル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。アルキル基としては、炭素数1以上5以下のものがより好ましく、炭素数1以上3以下のものがさらに好ましく、炭素数1以上2以上のものが特に好ましい。
アルコキシル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。アルコキシ基としては、炭素数1以上5以下のものがより好ましく、炭素数1以上3以下のものがさらに好ましく、炭素数1以上2以上のものが特に好ましい。
一般式(P3)で表される基の置換位置は、オルト位、メタ位、及びパラ位のいずれであってもよく、その中でもメタ位及びパラ位から選択される少なくとも一方が好ましく、パラ位がより好ましい。なお、特定電荷輸送性樹脂が一般式(P3)で表される基を複数有する場合、それらの置換位置は、オルト位、メタ位、及びパラ位から選択される少なくとも2種以上が混在していてもよい。
アルキル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。アルキル基としては、炭素数1以上5以下のものがより好ましく、炭素数1以上3以下のものがさらに好ましく、炭素数1以上2以上のものが特に好ましい。
アルコキシル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。アルコキシ基としては、炭素数1以上5以下のものがより好ましく、炭素数1以上3以下のものがさらに好ましく、炭素数1以上2以上のものが特に好ましい。
アリール基としては、炭素数6以上20以下のものが好ましく、例えば、フェニル基、トルイル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数7以上20以下のものが好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
置換アミノ基の置換基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、具体例は前述の通りである。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
つまり、特定電荷輸送性樹脂の分子中に、一般式(1-1)及び一般式(1-2)におけるY1及びY2として、水素原子と重合性官能基及び重合性官能基を有する基から選択される少なくとも1種の基とが混在してもよい。また、複数のY1及び複数のY2のすべてが水素原子であってもよく、複数のY1及び複数のY2のすべてが重合性官能基及び重合性官能基を有する基から選択される少なくとも1種であってもよい。
なお、複数の前記一般式(1-1)で表される構造は、隣り合っていなくてもよい。同様に、複数の前記一般式(1-2)で表される構造は、隣り合っていなくてもよい。
すなわち、前記一般式(1-3)中、A1、A2、T1、T2、Y1、Y2、p、及びqは、それぞれ、一般式(1-1)及び一般式(1-2)中のA1、A2、T1、T2、Y1、Y2、p、及びqと同じである。
特定電荷輸送性樹脂は、少なくとも一般式(1-1)で表される構造及び一般式(1-2)で表される構造を分子内に有していればよく、一般式(1-1)で表される構造及び一般式(1-2)で表される構造に加えて他の構造を分子内に有していてもよい。例えば、一般式(1-1)で表される構造の末端に1価の置換基又は1価の他の構造単位が結合した形態、一般式(1-2)で表される構造の末端に1価の置換基又は1価の他の構造単位が結合した形態等が挙げられる。また、特定電荷輸送性樹脂の主鎖中に一般式(1-1)で表される構造及び一般式(1-2)で表される構造以外の他の構造を有する形態としては、例えば、一般式(1-1)で表される構造の単位と一般式(1-2)で表される構造の単位が、他の構造を介して結合した形態が挙げられる。
特定電荷輸送性樹脂が他の構造を分子内に有する場合、特定電荷輸送性樹脂全体に対する一般式(1-1)で表される構造及び一般式(1-2)で表される構造の合計の割合としては、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
なお、上記一般式(1-1)で表される構造及び一般式(1-2)で表される構造の合計の割合は、NMRスペクトル又は赤外吸収スペクトルにおける各ピークの面積比などから算出される。また、重合せずに残存したモノマー(例えば、後述する一般式(3)で表される化合物及び一般式(4)で表される化合物)の量を定量することで算出してもよい。
式(A1):0≦MH/(MH+MP)≦0.9
式(A2):0≦MH/(MH+MP)≦0.6
式(A3):0≦MH/(MH+MP)≦0.3
なお、上記MH/(MH+MP)の値は、NMRスペクトル又は赤外吸収スペクトルにおける各ピークの面積比から算出される。
上記重量平均分子量の測定は、測定対象の化合物の0.1質量%THF(テトラヒドロフラン)溶液を調製し、示差屈折率検出器(RI)を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、標準サンプルとしてスチレンポリマーを用いて行う。
なお、下記表において、「A1,T1,p」及び「A2,T2,q」の欄に記載された番号は、一般式(1-1)のA1とT1とpとの組み合わせの具体例又は一般式(1-2)のA2とT2とqとの組み合わせの具体例に付した番号(2-1)~(2-102)を意味する。また、「Y1又はY2」の欄に記載された番号のうち、Hは水素原子を意味し、その他の番号は前記重合性官能基又は重合性官能基を有する基の具体的な構造の例に付した番号(Y-1)~(Y-22)を意味する。また、下記表において、「n1」は、特定電荷輸送性樹脂が有する一般式(1-1)で表される構造の数を意味し、「n2」は、特定電荷輸送性樹脂が有する一般式(1-2)で表される構造の数を意味する。
ついで合成方法について説明する。
特定電荷輸送性樹脂のうち、複数のY1及び複数のY2のすべてが水素原子である電荷輸送性樹脂(以下「第1の特定電荷輸送性樹脂」ともいう)は、例えば、下記一般式(3)で表される化合物と下記一般式(4)で表される化合物との重合により得られる(重合工程)。
具体的には、例えば、下記一般式(3)で表される化合物と下記一般式(4)で表される化合物とを当量用い、溶剤中において触媒を用いて合成を行う。
なお、前記一般式(3)及び(4)中のA1及びA2、T1及びT2、並びにp及びqは、前記一般式(1-1)及び一般式(1-2)中のA1及びA2、T1及びT2、並びにp及びqと同じである。
溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、モノクロロベンゼン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、モノクロロベンゼン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
触媒としては、例えば、4級アンモニウム塩、3級アミン、3級ホスフィン、4級ホスホニウム塩、ハロゲン化リチウム、トリフルオロホウ素錯塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
3級ホスフィンとしては、例えば、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
4級ホスホニウム塩としては、例えば、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムヨーダイド、テトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド、メチルトリオクチルホスホニウムクロライド、メチルトリオクチルホスホニウムブロマイド、エチルトリオクチルホスホニウムクロライド、エチルトリオクチルホスホニウムブロマイド、デシルトリブチルホスホニウムクロライド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライド、エチルトリオクチルホスホニウムクロライド等が挙げられる。
ハロゲン化リチウムとしては、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム等が挙げられる。
トリフルオロホウ素錯塩としては、例えば、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等が挙げられる。
溶剤の添加量としては、例えば、生成する第1の特定電荷輸送性樹脂の1質量部に対して、1質量部以上100質量部以下が挙げられ、好ましくは2質量部以上50質量部以下である。
反応温度(すなわち、一般式(3)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物との重合温度)は特に限定されるものではなく、例えば30℃以上100℃以下の範囲が挙げられる。
さらに、必要に応じて有機溶剤に溶解させ、貧溶剤中に滴下し、電荷輸送性樹脂を析出させる再沈殿処理を繰り返してもよい。再沈殿処理は、メカニカルスターラー等により撹拌しながら行うことが好ましい。再沈殿処理の際に電荷輸送性樹脂を溶解させる溶剤の添加量としては、例えば、電荷輸送性化合物3質量部に対して、1質量部以上100質量部以下の範囲が挙げられ、好ましくは2質量部以上50質量部以下である。また、貧溶剤の量としては、例えば、電荷輸送性樹脂1質量部に対して、1質量部以上1000質量部以下が挙げられ、好ましくは10質量部以上500質量部以下の範囲である。
また、一般式(3)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物との重合反応が終了した後、例えば、反応液を水にあけ、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル等の溶剤で抽出、水洗し、さらに必要に応じて活性炭、シリカゲル、多孔質アルミナ、活性白土等の吸着剤を用いて精製を行ってもよい。
このようにして、一般式(3)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物とを重合することで、一般式(1-1)で表される構造及び一般式(1-2)で表される構造を有する特定電荷輸送性樹脂の中でも、一般式(1-3)で表される構造を有する特定電荷輸送性樹脂が得られる。
このようにして、一般式(3)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物とを重合した後に重合性官能基を有する化合物と反応させることで、一般式(1-1)で表される構造及び一般式(1-2)で表される構造を有する特定電荷輸送性樹脂の中でも、一般式(1-3)で表される構造を有する特定電荷輸送性樹脂が得られる。
なお、一般式(3)で表される化合物と下記一般式(4)で表される化合物とを重合する工程(重合工程)については、前記第1の特定電荷輸送性樹脂の合成方法に記載した通りである。
得られた重合体に重合性官能基を導入する工程(すなわち、導入工程)では、具体的には、例えば、得られた重合体と重合性官能基を有する化合物とを溶剤に添加し、必要に応じて触媒を用いて反応を行う。
上記溶剤の添加量としては、例えば、得られる電荷輸送性樹脂1質量部に対して、1質量部以上100質量部以下が挙げられ、好ましくは2質量部以上50質量部以下である。
また、重合性官能基を有する化合物としてカルボン酸無水物及びハロゲン化物の少なくとも1種を用いる場合、触媒として、例えば、ピリジン、ピペリジン、ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)、トリエチルアミン等の有機塩基;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基;などを用いてもよい。
触媒の添加量としては、例えば、重合性官能基を有する化合物に対し1当量以上10当量以下が挙げられ、好ましくは2当量以上5当量以下である。
反応温度(すなわち、重合体と重合性官能基を有する化合物との反応温度)は特に限定されるものではなく、例えば30℃以上100℃以下の範囲が挙げられる。
特定電荷輸送性樹脂は、例えば、電子写真感光体、有機電界発光素子等の有機電子デバイスにおける各層に含まれる樹脂として用いてもよい。特定電荷輸送性樹脂は、単独で用いてもよく、特定電荷輸送性樹脂と相溶する絶縁性ポリマーと併用してもよい。
具体的には、例えば、支持体上に特定電荷輸送性樹脂を含有する層を設けた構造のものが有機電子デバイスとして使用される。有機電子デバイスの代表的なものとしては、例えば、感光層を有する電子写真感光体が挙げられ、その中でも特に、特定電荷輸送性樹脂を該電子写真感光体の表面層に含有するものが挙げられる。また、感光層中に電荷輸送材料として、特定電荷輸送性樹脂と公知の電荷発生材料とを含有する電子写真感光体、感光層中にさらにフタロシアニン化合物結晶を含む電子写真感光体等も好ましいものとして挙げられる。
特定電荷輸送性樹脂溶解液は、前記一般式(1-1)で表される構造及び一般式(1-2で表される構造を有する電荷輸送性樹脂が溶媒中に溶解してなる。
特定電荷輸送性樹脂架橋体は、前述の特定電荷輸送性樹脂がさらに架橋したものである。具体的には、例えば、前記特定電荷輸送性樹脂溶解液に熱、光、放射線等を付与することで、特定電荷輸送性樹脂の架橋体を得る。上記架橋により、膜の強度、耐溶剤性がさらに向上する。
熱及び光の少なくとも一方により架橋を行う場合、重合開始剤は必ずしも必要ではないが、光硬化触媒及び熱重合開始剤の少なくとも一方を用いてもよい。この光硬化触媒および熱重合開始剤としては、公知の光硬化触媒や熱重合開始剤が用いられる。放射線としては電子線が好ましい。
化合物3-2として、前記一般式(3)で表され、かつ、A1とT1とpとの組み合わせが前述の具体例番号(2-2)である化合物を準備した。
500mlフラスコに、化合物3―2を80g、エピクロロヒドリン230g、水酸化ナトリウム26.8g、トリエチルアミン3gを入れ、窒素置換したのち、室温(25℃)で24時間撹拌した。反応後、希塩酸水溶液、次いで水で洗浄した。濃縮後、シリカゲルクロマトにて精製し、化合物4―2を64g得た。
なお、化合物4-2は、前記一般式(4)で表され、かつ、A2とT2とqとの組み合わせが前述の具体例番号(2-2)である。
化合物3-6として、前記一般式(3)で表され、かつ、A1とT1とpとの組み合わせが前述の具体例番号(2-6)である化合物を準備した。
1000mlフラスコに、化合物3―6を110g、エピクロロヒドリン60g、炭酸カリウム65g、N,N-ジメチルホルムアミド300mlを入れ、窒素置換したのち、90℃で10時間反応した。反応後、トルエン300mlを加え、希塩酸水溶液、次いで水で洗浄した。濃縮後、シリカゲルクロマトにて精製し、化合物4―6を50g得た。
なお、化合物4-6は、前記一般式(4)で表され、かつ、A2とT2とqとの組み合わせが前述の具体例番号(2-6)である。
化合物3-17として、前記一般式(3)で表され、かつ、A1とT1とpとの組み合わせが前述の具体例番号(2-17)である化合物を準備した。
500mlフラスコに、化合物3―17を60g、エピクロロヒドリン200g、水酸化ナトリウム17.6g、トリエチルアミン2gを入れ、窒素置換したのち、室温(25℃)で24時間撹拌した。反応後、希塩酸水溶液、次いで水で洗浄した。濃縮後、シリカゲルクロマトにて精製し、化合物4―17を74.5g得た。
なお、化合物4-17は、前記一般式(4)で表され、かつ、A2とT2とqとの組み合わせが前述の具体例番号(2-17)である。
なお、前記化合物4-5、化合物4-17、化合物4-83、化合物4-86、化合物4-98、化合物4-57、及び化合物4-44は、前記一般式(4)で表され、かつ、A2とT2とqとの組み合わせが、それぞれ、具体例番号(2-5)、具体例番号(2-17)、具体例番号(2-83)、具体例番号(2-86)、具体例番号(2-98)、具体例番号(2-57)、具体例番号(2-44)である。
なお、前記化合物4-25及び化合物4-92は、前記一般式(4)で表され、かつ、A2とT2とqとの組み合わせが、それぞれ、具体例番号(2-25)及び具体例番号(2-92)である。
化合物3-29として、前記一般式(3)で表され、かつ、A1とT1とpとの組み合わせが前述の具体例番号(2-29)である化合物を準備した。
2000mlフラスコに、化合物3-29を79.8g、テトラヒドロフランを700ml、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を1.8g入れ、窒素置換したのち、50℃に加熱した。この溶液に、テトラヒドロフラン200mlに化合物4-5を50.0g溶かした溶液を、30分かけて滴下した。滴下終了後、2時間反応させた後、10Lのメタノールに滴下してポリマーを析出させた。得られたポリマーを十分にメタノールで洗浄し、乾燥して、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-1)の樹脂である樹脂(1-1)を107.0g得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で60000であった。また、前記MH/(MH+MP)の値は1.0であった。
得られた樹脂(1-1)のIRスペクトルを図1に示す。
実施例1で得られた樹脂(1-1)10gを300mlのフラスコに入れ、4-ヨードメチルスチレン18g、ニトロベンゼン0.1gをフラスコに入れ、テトラヒドロフランを100ml加えて溶解した。これに、t-ブトキシナトリウム5.8gを室温(25℃)で2時間かけて加えた後、50℃で3時間反応させた。反応終了後、トルエン100mlを加え、希塩酸、ついで水で洗浄した後、500mlのメタノールに滴下してポリマーを析出させた。得られたポリマーを十分にメタノールで洗浄し、乾燥して、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-2)の樹脂である樹脂(1-2)を10.1g得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で61000であった。また、前記MH/(MH+MP)の値は0であった。
得られた樹脂(1-2)のIRスペクトルを図2に示す。
4-ヨードメチルスチレンの添加量を1.0g、t-ブトキシナトリウムの添加量を0.3gとした以外は、実施例2と同様にして、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-3)の樹脂である樹脂(1-3)を9.9g得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で60000であった。また、前記MH/(MH+MP)の値は0.95であった。
4-ヨードメチルスチレンの添加量を1.8g、t-ブトキシナトリウムの添加量を0.5gとした以外は、実施例2と同様にして、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-4)の樹脂である樹脂(1-4)を9.9g得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で60000であった。また、前記MH/(MH+MP)の値は0.85であった。
4-ヨードメチルスチレンの添加量を9.0g、t-ブトキシナトリウムの添加量を2.9gとした以外は、実施例2と同様にして、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-5)の樹脂である樹脂(1-5)を9.9g得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で60000であった。また、前記MH/(MH+MP)の値は0.45であった。
化合物3-17として、前記一般式(3)で表され、かつ、A1とT1とpとの組み合わせが前述の具体例番号(2-17)である化合物を準備した。
1000mlフラスコに、化合物3-17を39.4g、テトラヒドロフランを700ml、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を1.0g入れ、窒素置換したのち、50℃に加熱した。この溶液に、テトラヒドロフラン200mlに化合物4-17を45.2g溶かした溶液を、30分かけて滴下した。滴下終了後、2時間反応させた後、10Lのメタノールに滴下してポリマーを析出させた。得られたポリマーを十分にメタノールで洗浄し、乾燥して、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-6)の樹脂である樹脂(1-6)を75.0g得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で40000であった。また、前記MH/(MH+MP)の値は1.0であった。
得られた樹脂(1-6)のIRスペクトルを図3に示す。
200mlフラスコに、実施例6で得られた樹脂(1-6)を8.0g、テトラヒドロフランを100ml、メタクリル酸クロライドを52.0g、トリエチルアミンを50.0入れ、室温(25℃)で24時間反応した。反応終了後、1Lのメタノールに滴下してポリマーを析出させた。得られたポリマーを十分にメタノールで洗浄し、乾燥して、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-7)の樹脂である樹脂(1-7)を7.1g得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で41000であった。また、前記MH/(MH+MP)の値は0であった。
得られた樹脂(1-7)のIRスペクトルを図4に示す。
500mlフラスコに、実施例6で得られた樹脂(1-6)を8.0g、テトラヒドロフランを100ml、メタクリル酸クロライドを1.0g、トリエチルアミンを1.0入れ、室温(25℃)で24時間反応した。反応終了後、1Lのメタノールに滴下してポリマーを析出させた。得られたポリマーを十分にメタノールで洗浄し、乾燥して、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-8)の樹脂である樹脂(1-8)を7.4g得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で40000であった。また、前記MH/(MH+MP)の値は0.95であった。
化合物3-29として、前記一般式(3)で表され、かつ、A1とT1とpとの組み合わせが前述の具体例番号(2-29)である化合物を準備した。
1000mlフラスコに、化合物3-29を30.0g、テトラヒドロフランを300ml、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を0.5g入れ、窒素置換したのち、50℃に加熱した。この溶液に、テトラヒドロフラン200mlに化合物4-17を37.8g溶かした溶液を、30分かけて滴下した。滴下終了後、2時間反応させた後、10Lのメタノールに滴下してポリマーを析出させた。得られたポリマーを十分にメタノールで洗浄し、乾燥して、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-9)の樹脂である樹脂(1-9)を55.0g得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で30000であった。また、前記MH/(MH+MP)の値は1.0であった。
得られた樹脂(1-9)のIRスペクトルを図5に示す。
500mlフラスコに、実施例9で得られた樹脂(1-9)を8.0g、テトラヒドロフランを100ml、メタクリル酸クロライドを52.0g、トリエチルアミンを50.0入れ、室温(25℃)で24時間反応した。反応終了後、1Lのメタノールに滴下してポリマーを析出させた。得られたポリマーを十分にメタノールで洗浄し、乾燥して、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-10)の樹脂である樹脂(1-10)を6.9g得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で31000であった。また、前記MH/(MH+MP)の値は0であった。
得られた樹脂(1-10)のIRスペクトルを図6に示す。
化合物3-29の代わりに、前記一般式(3)で表され、かつ、A1とT1とpとの組み合わせが前述の具体例番号(2-44)である化合物3-44を用い、化合物4-17の代わりに、前記一般式(4)で表され、かつ、A2とT2とqとの組み合わせが前述の具体例番号(2-83)である化合物4-83を用いた以外は、実施例9と同様にして、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-21)の樹脂である樹脂(1-21)を得た。
また、樹脂(1-9)の代わりに樹脂(1-21)を用いた以外は、実施例10と同様にして、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-11)の樹脂である樹脂(1-11)を得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で35000であった。また、前記MH/(MH+MP)の値は0であった。
化合物3-29の代わりに、前記一般式(3)で表され、かつ、A1とT1とpとの組み合わせが前述の具体例番号(2-67)である化合物3-67を用い、化合物4-17の代わりに、前記一般式(4)で表され、かつ、A2とT2とqとの組み合わせが前述の具体例番号(2-86)である化合物4-86を用いた以外は、実施例9と同様にして、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-22)の樹脂である樹脂(1-22)を得た。
また、樹脂(1-9)の代わりに樹脂(1-22)を用いた以外は、実施例10と同様にして、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-12)の樹脂である樹脂(1-12)を得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で45000であった。また、前記MH/(MH+MP)の値は0であった。
化合物3-29の代わりに、前記一般式(3)で表され、かつ、A1とT1とpとの組み合わせが前述の具体例番号(2-92)である化合物3-92を用い、化合物4-17の代わりに、前記一般式(4)で表され、かつ、A2とT2とqとの組み合わせが前述の具体例番号(2-98)である化合物4-98を用いた以外は、実施例9と同様にして、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-23)の樹脂である樹脂(1-23)を得た。
また、樹脂(1-9)の代わりに樹脂(1-23)を用いた以外は、実施例10と同様にして、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-13)の樹脂である樹脂(1-13)を得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で46000であった。また、前記MH/(MH+MP)の値は0であった。
化合物3-29の代わりに、前記一般式(3)で表され、かつ、A1とT1とpとの組み合わせが前述の具体例番号(2-44)である化合物3-44を用い、化合物4-17の代わりに、前記一般式(4)で表され、かつ、A2とT2とqとの組み合わせが前述の具体例番号(2-57)である化合物4-57を用いた以外は、実施例9と同様にして、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-24)の樹脂である樹脂(1-24)を得た。
また、樹脂(1-9)の代わりに樹脂(1-24)を用いた以外は、実施例10と同様にして、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-14)の樹脂である樹脂(1-14)を得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で28000であった。また、前記MH/(MH+MP)の値は0であった。
化合物3-29の代わりに、前記一般式(3)で表され、かつ、A1とT1とpとの組み合わせが前述の具体例番号(2-25)である化合物3-25を用い、化合物4-17の代わりに、前記一般式(4)で表され、かつ、A2とT2とqとの組み合わせが前述の具体例番号(2-44)である化合物4-44を用いた以外は、実施例9と同様にして、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-25)の樹脂である樹脂(1-25)を得た。
また、樹脂(1-9)の代わりに樹脂(1-25)を用いた以外は、実施例10と同様にして、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-15)の樹脂である樹脂(1-15)を得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で50000であった。また、前記MH/(MH+MP)の値は0であった。
化合物3-29の代わりに、前記一般式(3)で表され、かつ、A1とT1とpとの組み合わせが前述の具体例番号(2-5)である化合物3-5を用い、化合物4-17の代わりに、前記一般式(4)で表され、かつ、A2とT2とqとの組み合わせが前述の具体例番号(2-25)である化合物4-25を用いた以外は、実施例9と同様にして、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-26)の樹脂である樹脂(1-26)を得た。
また、樹脂(1-9)の代わりに樹脂(1-26)を用いた以外は、実施例10と同様にして、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-16)の樹脂である樹脂(1-16)を得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で30000であった。また、前記MH/(MH+MP)の値は0であった。
化合物3-29の代わりに、前記一般式(3)で表され、かつ、A1とT1とpとの組み合わせが前述の具体例番号(2-25)である化合物3-25を用い、化合物4-17の代わりに、前記一般式(4)で表され、かつ、A2とT2とqとの組み合わせが前述の具体例番号(2-92)である化合物4-92を用いた以外は、実施例9と同様にして、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-27)の樹脂である樹脂(1-27)を得た。
また、樹脂(1-9)の代わりに樹脂(1-27)を用いた以外は、実施例10と同様にして、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-17)の樹脂である樹脂(1-17)を得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で42000であった。また、前記MH/(MH+MP)の値は0であった。
化合物3-29の代わりに、前記一般式(3)で表され、かつ、A1とT1とpとの組み合わせが前述の具体例番号(2-25)である化合物3-25を用い、化合物4-17の代わりに、前記一般式(4)で表され、かつ、A2とT2とqとの組み合わせが前述の具体例番号(2-25)である化合物4-25を用いた以外は、実施例9と同様にして、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-28)の樹脂である樹脂(1-28)を得た。
また、樹脂(1-9)の代わりに樹脂(1-28)を用いた以外は、実施例10と同様にして、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-18)の樹脂である樹脂(1-18)を得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で38000であった。また、前記MH/(MH+MP)の値は0であった。
化合物3-18として、前記一般式(3)で表され、かつ、A1とT1とpとの組み合わせが前述の具体例番号(2-18)である化合物を準備した。
500mlフラスコに、化合物3-18を5.0g、化合物4-17を5.5g、トルエンを100ml、テトラブチルアンモニウムブロマイドを0.5g入れ、10時間加熱還流し、反応した。反応終了後、1Lのメタノールに滴下してポリマーを析出させた。得られたポリマーを十分にメタノールで洗浄し、乾燥して、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-19)の樹脂である樹脂(1-19)を9.1g得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で38000であった。また、前記MH/(MH+MP)の値は1.0であった。
得られた樹脂(1-19)のIRスペクトルを図7に示す。
500mlフラスコに、実施例19で得られた樹脂(1-19)を8.0g、テトラヒドロフランを100ml、メタクリル酸クロライドを52.0g、トリエチルアミンを50.0入れ、室温(25℃)で24時間反応した。反応終了後、1Lのメタノールに滴下してポリマーを析出させた。得られたポリマーを十分にメタノールで洗浄し、乾燥して、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-20)の樹脂である樹脂(1-20)を6.9g得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で38000であった。また、前記MH/(MH+MP)の値は0.2であった。
得られた樹脂(1-20)のIRスペクトルを図8に示す。
実施例19で得られた樹脂(1-19)10gを300mlのフラスコに入れ、4-ヨードメチルスチレン及び3-ヨードメチルスチレンの混合物(モル比50/50)14.8g、ニトロベンゼン0.1gをフラスコに入れ、テトラヒドロフランを100ml加えて溶解した。これに、t-ブトキシナトリウム4.6gを室温(25℃)で2時間かけて加えた後、50℃で3時間反応させた。反応終了後、トルエン100mlを加え、希塩酸、ついで水で洗浄した後、500mlのメタノールに滴下してポリマーを析出させた。得られたポリマーを十分にメタノールで洗浄し、乾燥して、特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(1-29)の樹脂である樹脂(1-29)を10.5g得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で38000であった。また、前記MH/(MH+MP)の値は0であった。
以下、参考例として、実施例で得られた樹脂を電子写真感光体に使用した場合の例を示す。
(下引層の作製)
酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m2/g)100部をテトラヒドロフラン500部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学工業社製)1.3部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間)焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛110部を500部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン1.0部を50部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛を濾別し、さらに60℃で減圧乾燥を行い、アリザリン付与酸化亜鉛を得た。
このアリザリン付与酸化亜鉛60部と硬化剤(ブロック化イソシアネート、スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5部とブチラール樹脂(エスレックBM-1、積水化学工業製)15部とをメチルエチルケトン85部に溶解した溶液38部と、メチルエチルケトン25部と、を混合し1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い、分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)45部を添加し、下引層用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて、直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ18μmの下引層を得た。
電荷発生物質としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜、16.0゜、24.9゜、28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15部と、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、株式会社NUC製)10部と、n-酢酸ブチル200部と、からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn-酢酸ブチル175部、メチルエチルケトン180部を添加し、攪拌して電荷発生層用塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を、前記下引層上に浸漬塗布し、常温(20℃)で乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
樹脂(1-1)10部をクロロベンゼン40部に加えて溶解し、電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を突き上げ塗布にて前記電荷発生層上に塗布し、常温(20℃)で30分風乾した後、150℃で1時間加熱乾燥し、膜厚18μmの電荷輸送層を形成して参考例1の電子写真感光体1を作製した。
参考例1と同様にして、下引層の作製及び電荷発生層の作製を行った。
樹脂(1-2)10部と、OTazo-15(大塚化学社製、分子量354.4)0.2部と、をクロロベンゼン40部に加えて溶解し、電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を突き上げ塗布にて前記電荷発生層上に塗布し、常温(20℃)で30分風乾した後、酸素濃度200ppmの窒素下で常温(20℃)から10℃/分の速度で150℃まで昇温し、150℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚18μmの電荷輸送層を形成して参考例2の電子写真感光体2を作製した。
樹脂(1-2)の代わりに、樹脂(1-3)~樹脂(1-5)を用いた以外は、参考例2と同様にして、それぞれ参考例3~参考例5の電子写真感光体3~5を作製した。
樹脂(1-1)の代わりに、樹脂(1-6)を用いた以外は、参考例1と同様にして、参考例6の電子写真感光体6を作製した。
樹脂(1-2)の代わりに、樹脂(1-7)~樹脂(1-8)を用いた以外は、参考例2と同様にして、それぞれ参考例7~参考例8の電子写真感光体7~8を作製した。
樹脂(1-1)の代わりに、樹脂(1-9)を用いた以外は、参考例1と同様にして、参考例9の電子写真感光体9を作製した。
樹脂(1-2)の代わりに、樹脂(1-10)~樹脂(1-18)を用いた以外は、参考例2と同様にして、それぞれ参考例10~参考例18の電子写真感光体10~18を作製した。
樹脂(1-1)10部の代わりに、下記構造のCTM1を4部と、下記構造のCTB1(粘度平均分子量:40,000)を6部と、を用いた以外は参考例1と同様にして比較参考例1の感光体C1を作製した。
上述のようにして作製した電子写真感光体を富士ゼロックス社製、ApeosPort-IV C4470に装着し、8℃、20%RHにおいて、連続的に10000枚の画像形成テストを行い、10000枚目の画質評価(具体的には、下記ゴースト、カブリ、スジ、及び画像流れ)を実施した。また、上記連続的10000枚の画像形成テストを行った後に、温度8℃湿度20%RHの環境下で24時間放置後、さらに連続的に10000枚の画像形成テストを行い、放置後連続的10000枚目(合計20000枚目)の画質評価(画像流れ)を実施した。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
ゴーストは、図9(A)に示したGと画像濃度50%の灰色領域を有するパターンのチャートを形成し、50%の灰色部分にGの文字の現れ具合を目視にて評価した。
A:図9(A)のように良好または軽微である。
B:図9(B)のようにやや目立つ。
C:図9(C)のようにはっきり確認される。
カブリ評価は上述のゴースト評価と同じサンプルを用いて白地部のトナーの付着した度合いを目視にて観察し判断した。
A:良好。
B:うっすらとカブリあり。
C:画質上問題となるカブリあり。
スジ評価は上述のゴースト評価と同じサンプルを用いて目視にて判断した。
A:良好。
B:部分的にスジの発生あり。
C:画質上問題となるスジ発生。
画像流れは上述のゴースト評価と同じサンプルを用いて目視にて判断した。
A:良好。
B:放置前の連続的10000枚の画像形成テストにおける画像評価では問題ないが、1日(24時間)放置後連続的10000枚の画像形成テストにおける画像評価で画像流れが発生。
C:放置前の連続的10000枚の画像形成テストにおける画像評価で画像流れが発生。
以下の方法により、残留電位を測定し、画像形成テスト前後での残留電位の上昇分評価を行った。
具体的には、富士ゼロックス社製、ApeosPort-IV C4470改造機に電位センサーを取り付け、8℃、20%RHで画像形成テスト前の残留電位測定を行った。ついで、8℃、20%RHの下で1万枚の画像形成テストを行った直後に、電子写真感光体表面の残留電位測定を行った。初期および1万枚画像形成テスト後の残留電位との差(1万枚画像形成テスト後の残留電位-初期の残留電位)を上昇分とした。結果を表1に示す。
前記画質の評価における放置前連続的10000枚の画像形成テストを行う前の初期の感光体膜厚(すなわち、下引層、電荷発生層、及び電荷輸送層の合計膜厚)と、放置前連続的10000枚の画像形成テストを終了した後の感光体膜厚と、を渦電流測定装置(フィッシャースコープMMS)にて測定し、磨耗量を評価した。結果を表1に示す。
Claims (11)
- 下記一般式(1-1)で表される構造及び下記一般式(1-2)で表される構造を有し、重量平均分子量が20万以下である電荷輸送性樹脂。
(前記一般式(1-1)及び前記一般式(1-2)中、A1及びA2はそれぞれ独立に電荷輸送性を有する2価の有機基を示し、T1及びT2はそれぞれ独立に炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示し、Y1及びY2はそれぞれ独立に水素原子、重合性官能基、又は重合性官能基を有する基を示し、Y 1 及びY 2 の少なくとも一方が水素原子であり、p及びqはそれぞれ独立に0又は1を示す。なお、前記電荷輸送性樹脂に含まれる前記一般式(1-1)で表される構造の数は5以上であり、前記電荷輸送性樹脂に含まれる前記一般式(1-2)で表される構造の数は5以上である。) - 電荷輸送性樹脂全体に含まれる水酸基の総数をMHとし、電荷輸送性樹脂全体に含まれる重合性官能基の総数をMPとしたとき、下記式(A1)を満たす請求項1に記載の電荷輸送性樹脂。
式(A1):0<MH/(MH+MP)≦0.9 - 前記MH及び前記MPは、下記式(A2)を満たす請求項2に記載の電荷輸送性樹脂。
式(A2):0<MH/(MH+MP)≦0.6 - 前記一般式(1-1)及び前記一般式(1-2)におけるA1及びA2は、正孔輸送能を有する2価の有機基を示す請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の電荷輸送性樹脂。
- 重量平均分子量が2000以上20万以下である請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の電荷輸送性樹脂。
- 重量平均分子量が3000以上20万以下である請求項7に記載の電荷輸送性樹脂。
- 前記一般式(1-1)及び前記一般式(1-2)におけるT1及びT2は、それぞれ独立に炭素数1以上8以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示す請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の電荷輸送性樹脂。
- 前記重合工程により得られた重合体に対して重合性官能基を有する化合物を反応させることで、前記重合体に重合性官能基を導入する導入工程をさらに有する請求項10に記載の電荷輸送性樹脂の製造方法。
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