JP7124560B2 - 電荷輸送性ポリエステル樹脂 - Google Patents

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Description

本発明は、電荷輸送性ポリエステル樹脂に関する。
近年、電子写真感光体、有機ELデバイス、有機トランジスター、有機太陽電池など、有機化合物を用いた電子デバイスが盛んに開発されている。
特に、耐熱性、強度の点においては、架橋構造とすることが有効であり、例えば、熱硬化又は光硬化した膜を用いた有機ELデバイス(例えば特許文献1参照)、電荷輸送性基を含有するアクリルポリマーを用いた電子写真感光体(例えば特許文献2乃至4参照)、電荷輸送性基と反応性基を含有するアクリルポリマーを、膜形成後に架橋した電子写真感光体(例えば特許文献5参照)、光硬化型アクリル系モノマーを含有する液を塗布し硬化した膜(例えば特許文献6参照)等が開示されている。また、炭素-炭素二重結合を有するモノマー、炭素-炭素二重結合を有する電荷移動材及びバインダー樹脂の混合物を熱又は光のエネルギーによって前記モノマーの炭素-炭素二重結合と前記電荷移動材の炭素-炭素二重結合とを反応させることにより形成された膜が開示され、特に、単官能メタクリル変性した電荷移動材と、電荷輸送性を有さないメタクリルモノマーと、ポリカーボネート樹脂と、に有機過酸化物を用いて硬化したものが開示されている(例えば特許文献7参照)。また、重合性官能基をポリマー主鎖中に有する電荷輸送性ポリエステル樹脂も開示されている(例えば特許文献8参照)。
また、電荷輸送性樹脂の末端に官能基を導入し、硬化した膜からなる有機半導体膜及び電子写真感光体(例えば特許文献9参照)等が開示されている。
さらに、主鎖及び末端の少なくとも一方に重合性不飽和結合を含有する電荷輸送性ポリエステル(特許文献10)が開示されている。
国際公開第1997/033193号 特開平5-202135号公報 特開平6-256428号公報 特開平9-12630号公報 特開2005-2291号公報 特開平5-40360号公報 特開平5-216249号公報 特開2013-73015号公報 特開2001-117252号公報 特開2000-264961号公報
本発明の課題は、新規な電荷輸送性ポリエステル樹脂を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
<1>
下記一般式(1)で表される構造を有し、重量平均分子量が2000以上50万以下である電荷輸送性ポリエステル樹脂。
Figure 0007124560000001
前記一般式(1)中、Aは電荷輸送性を有する2価の有機基を示し、Tは炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示し、Yは(n3+2)価の非電荷輸送性のジオール残基を示し、n3は1又は2を示し、Yは「*-(CHn4-L-Z」を示し、*はYとの結合位置を示し、n4は1又は2を示し、Lは炭素原子、酸素原子、及び水素原子から選択される少なくとも1種の原子で構成された2価の連結基又は単結合を示し、Zは重合性官能基を示す。
<2>
前記重合性官能基は、下記一般式(P1)で表される基、下記一般式(P2)で表される基、下記一般式(P3)で表される基、下記一般式(P4)で表される基、及び下記一般式(P5)で表される基から選ばれる少なくとも1つである<1>に記載の電荷輸送性ポリエステル樹脂。
Figure 0007124560000002
前記一般式(P1)~(P5)中、R~Rは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を示し、*は、Lとの結合位置を示す。
<3>
前記重合性官能基は、下記式(P1-1)で表される基、下記式(P1-2)で表される基、及び下記式(P3-1)で表される基から選ばれる少なくとも1つである<2>に記載の電荷輸送性ポリエステル樹脂。
Figure 0007124560000003
前記式(P1-1)、(P1-2)、及び(P3-1)中、*は、Lとの結合位置を示す。
<4>
前記一般式(1)におけるAは、正孔輸送能を有する2価の有機基を示す<1>~<3>のいずれか1つに記載の電荷輸送性ポリエステル樹脂。
<5>
前記一般式(1)におけるAは、下記一般式(2)で表される2価の有機基を示す<4>に記載の電荷輸送性ポリエステル樹脂。
Figure 0007124560000004
前記一般式(2)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又は置換若しくは未置換のアリール基を示し、Xは置換又は未置換の2価の有機基を示し、k及びmはそれぞれ独立に0又は1を示す。
<6>
前記一般式(1)におけるTは、炭素数1以上8以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示す<1>~<5>のいずれか1つに記載の電荷輸送性ポリエステル樹脂。
<7>
前記一般式(1)におけるYを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数が2以上20以下である<1>~<6>のいずれか1つに記載の電荷輸送性ポリエステル樹脂。
<8>
前記一般式(1)におけるY中の前記Lを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数が1以上10以下である<1>~<7>のいずれか1つに記載の電荷輸送性ポリエステル樹脂。
<9>
前記一般式(1)におけるYを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数と、前記一般式(1)におけるY中の前記n4の数と、前記一般式(1)におけるY中の前記Lを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数と、の合計が25以下である<1>~<8>のいずれか1つに記載の電荷輸送性ポリエステル樹脂。
<1>、<2>、<3>、<4>、<5>、又は<6>に係る発明によれば、新規な電荷輸送性ポリエステル樹脂が提供される。
<7>に係る発明によれば、一般式(1)におけるYを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数が20より多い場合に比べ、電荷輸送性の高い電荷輸送性ポリエステル樹脂が提供される。
<8>に係る発明によれば、一般式(1)におけるY中の前記Lを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数が10より多い場合に比べ、電荷輸送性の高い電荷輸送性ポリエステル樹脂が提供される。
<9>に係る発明によれば、一般式(1)におけるYを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数と、一般式(1)におけるY中のn4の数と、一般式(1)におけるY中のLを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数と、の合計が25より多い場合に比べ、電荷輸送性の高い電荷輸送性ポリエステル樹脂が提供される。
実施例にて合成した樹脂3のIRスペクトルを示すグラフ。 実施例にて合成した樹脂11のIRスペクトルを示すグラフ。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
<電荷輸送性ポリエステル樹脂>
本実施形態に係る電荷輸送性ポリエステル樹脂は、少なくとも下記一般式(1)で表される構造を有し、重量平均分子量が2000以上50万以下である。
Figure 0007124560000005
前記一般式(1)中、Aは電荷輸送性を有する2価の有機基を示し、Tは炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示し、Yは(n3+2)価の非電荷輸送性のジオール残基を示し、n3は1又は2を示し、Yは「*-(CHn4-L-Z」を示し、*はYとの結合位置を示し、n4は1又は2を示し、Lは炭素原子、酸素原子、及び水素原子から選択される少なくとも1種の原子で構成された2価の連結基又は単結合を示し、Zは重合性官能基を示す。
一般式(1)で表される構造を有し重量平均分子量が2000以上50万以下である電荷輸送性ポリエステル樹脂(以下「特定電荷輸送性樹脂」ともいう)は、高い電荷輸送性を有するとともに、可視光を吸収しにくく、形成された膜の平滑性が高い。また、特定電荷輸送性樹脂は、重合性官能基を有するため、膜を形成した後に、熱又は光等のエネルギーを与えて架橋反応させることで、製膜性に優れ、かつ、耐溶剤性及び機械的強度の高い膜が得られる。
そのため、例えば電子写真感光体の表面層の樹脂として特定電荷輸送性樹脂を用いた場合には、表面層の機械的強度が高いことにより、ブレードなどとの摺擦による膜減少に対する耐性が高く、長寿命化が図れる。また、有機EL素子(すなわち、有機電界発光素子)の各層に含まれる樹脂として特定電荷輸送性樹脂を適用する場合には、特定電荷輸送性樹脂を含む層の耐溶剤性が高いため、溶剤を含む塗布液で塗布して上層を形成することで、生産性に優れる塗布法による積層化が実現される。
なお、形成される膜の強度を高める目的で、特定電荷輸送性樹脂に対し更に多官能の重合性官能基を有するモノマーを混合して製膜することで、さらに架橋密度を高め、機械的強度、耐溶剤性がさらに高い膜が得られる。これは、特定電荷輸送性樹脂に含まれる重合性官能基が、主鎖から枝分かれした状態(すなわち、運動自由度の高い状態)で存在することで、効率的に架橋されるためと推察される。
そして、上記のように、架橋構造とすることで一層耐熱性、耐溶剤性の高い膜が得られ、その膜を用いた有機デバイス(例えば、電子写真感光体、有機EL素子等)においては、長期に渡って安定した性能が得られる。
-一般式(1)における各基の説明-
前記一般式(1)におけるAは、電荷輸送性を有する2価の有機基を示し、具体的には、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、アゾベンゼン系化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物、キノン系化合物、フルオレノン系化合物などから誘導される2価の有機基が挙げられる。
前記一般式(1)におけるAは、これらの中でも、正孔輸送能を有する有機基であることが好ましく、さらにその中でも、トリアリールアミン骨格、ベンジジン骨格、スチルベン骨格から選ばれる少なくとも1種を有する有機基であることがより好ましい。
一般式(1)におけるAは、下記一般式(2)で示される2価の有機基であることが好ましい。
Figure 0007124560000006
前記一般式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又は置換若しくは未置換のアリール基を示し、Xは置換又は未置換の2価の有機基を示し、k及びmはそれぞれ独立に0又は1を示す。
前記一般式(2)におけるXは、置換又は未置換の2価の有機基を表し、芳香環を有する基であっても有しない基であってもよい。なお、前記一般式(2)におけるXは、芳香環を有する基であることがより好ましく、この中でも、置換若しくは未置換の2価の芳香族基、置換若しくは未置換の芳香環数2以上10以下の2価の多核芳香族炭化水素基、置換若しくは未置換の芳香環数2以上10以下の2価の縮合芳香族炭化水素基、又は置換若しくは未置換の2価の芳香族複素環基であることがより好ましい。
「多核芳香族炭化水素基」とは、炭素と水素とから構成される芳香環が2個以上存在し、環同士が炭素-炭素結合によって結合している炭化水素基を表す。具体的には、芳香環を構成する炭素同士が直接炭素-炭素結合によって結合している炭化水素基や、芳香環同士が炭素数1以上18以下の炭化水素基(アルキル鎖又はアルキレン鎖)によって連結されている炭化水素基等が挙げられる。
多核芳香族炭化水素基としては、具体的には、例えば、ビフェニル、ターフェニル、スチルベン、トリフェニルエチレン等の水素原子を2つ除いた2価の基が挙げられる。
なお、上記多核芳香族炭化水素基を構成する芳香環は、後述する縮合芳香族炭化水素基であってもよく、芳香族複素環であってもよい。多核芳香族炭化水素基を構成する縮合芳香族炭化水素基及び芳香族複素環の具体例としては、例えば後述する縮合芳香族炭化水素基及び芳香族複素環の具体例の化合物と同様のものが挙げられる。
「縮合芳香族炭化水素基」とは、炭素と水素から構成される芳香環が2個以上存在し、これらの芳香環同士が隣接して結合する1対の炭素原子を共有している炭化水素基を表す。具体的には、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ペリレン、フルオレン等の水素原子を2つ除いた2価の基が挙げられる。
「芳香族複素環」は、炭素と水素以外の元素も含む芳香環を表す。
芳香族複素環の環骨格を構成する原子数(Nr)としては、例えば、Nr=5、又はNr=6等が挙げられる。また、環骨格を構成する炭素原子以外の原子(異種原子)の種類及び数は限定されない。異種原子の種類としては、例えば、硫黄原子、窒素原子、酸素原子等が挙げられる。また芳香族複素環は、環骨格中に2個以上の異種原子が含まれていてもよく、2種以上の異種原子が含まれていてもよい
特に、Nr=5の環骨格構造(すなわち5員環構造)を有する複素環としては、例えば、チオフェン、チオフィン、ピロール、フラン、又はこれらの3位及び4位の炭素をさらに窒素で置換した複素環等が挙げられる。またNr=6の環骨格構造(すなわち6員環構造)を有する複素環としては、例えば、ピリジン環等が挙げられる。
芳香環、多核芳香環及び縮合芳香環の置換基としては、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、置換アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
アルコキシル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6以上20以下のものが好ましく、例えば、フェニル基、トルイル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数7以上20以下のものが好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
置換アミノ基の置換基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、具体例は前述の通りである。
置換アリール基、置換アラルキル基の置換基としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる
一般式(2)におけるXとしては、好ましい例として下記式(X1)~(X7)から選択された基が挙げられる。
Figure 0007124560000007
式(X1)~(X7)中、R13は、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、置換若しくは未置換のフェニル基、又は置換若しくは未置換のアラルキル基を示し、R14~R19は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、置換若しくは未置換のフェニル基、置換若しくは未置換のアラルキル基、又はハロゲン原子を示し、aは0又は1を示し、Vは下記の式(V8)~(V17)から選択された少なくとも1つの基を示す。
Figure 0007124560000008
上記式(V8)~(V17)中、bは1以上10以下の整数を示し、cは1以上3以下の整数を示す。
なお、一般式(2)におけるXとしては、以下に示す群(A)から選択される2価の有機基が好ましく、更には以下に示す群(B)から選択される2価の有機基が特に好ましい。
Figure 0007124560000009
Figure 0007124560000010
一般式(2)におけるR及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又は置換若しくは未置換のアリール基を表す。
アルキル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
アルコキシル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6以上20以下のものが好ましく、例えば、フェニル基、トルイル基等が挙げられる。
置換アリール基の置換基としては、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記R及びRの中でも、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基が特に好ましい。
尚、R及びRが置換する位置としては、窒素(N)が結合する位置に対し、メタ位又はパラ位が好ましい。
なお、特定電荷輸送性樹脂が一般式(1)で表される構造を複数有する場合、複数のAは、全て同一でもよく、一部同一でもよく、互いに異なっていてもよいが、全体の80%以上が同一であることが好ましく、全体の90%以上が同一であることがより好ましく、全て同一であることがさらに好ましい。
一般式(1)におけるTは、炭素数1以上10以下の直鎖状又は分枝状の2価の炭化水素基を示す。一般式(1)におけるTは、炭素数1以上8以下の直鎖状又は分枝状の2価の炭化水素基であることが好ましい。なお、2価の炭化水素基が直鎖状である場合は、炭素数は1以上6以下の範囲がより好ましく、2以上6以下の範囲がさらに好ましい。また、2価の炭化水素基が分枝状である場合には、炭素数は2以上10以下の範囲がより好ましく、3以上7以下の範囲がさらに好ましい。
以下に、Tで表される基の具体的な構造の例(炭化水素基T-1~炭化水素基T-32)を示す。但し、一般式(1)におけるAは、下記炭化水素基のどちらの側と結合してもよく、例えば、T-5rと記すと構造T-5の右側に、T-5lと記すと構造T-5の左側に、一般式(1)におけるAが結合していることを示す。
Figure 0007124560000011
Figure 0007124560000012
なお、特定電荷輸送性樹脂が一般式(1)で表される構造を複数有する場合、複数のTは、全て同一でもよく、一部同一でもよく、互いに異なっていてもよいが、全体の80%以上が同一であることが好ましく、全体の90%以上が同一であることがより好ましく、全て同一であることがさらに好ましい。
以下、上記一般式(1)のAが上記一般式(2)で表される2価の有機基を示す場合における、AとTとの組み合わせ(すなわち、一般式(2)中のX、R、R、k、及びm、並びに一般式(1)中のTの組み合わせ)の具体例を示すが、これら具体例に限定されるわけではない。
なお、下記表において「R」及び「R」の欄に記載された数字は、結合の位置を表す。また、「T」の欄に記載された番号は、上記に具体的に示した炭化水素基の構造式に付した番号(T-1)~(T-32)を意味する。尚、「T」の欄において、たとえば「T-5r」と記す場合には構造T-5の右側に、「T-5l」と記す場合には構造T-5の左側にアリールアミン骨格(即ち、一般式(1)におけるA)が結合していることを示すものとする。また、下記表において、「結合位置」に示される値は、前記一般式(2)におけるベンゼン環に記載されている数値の箇所に結合していることを示し、更にkが1の場合、( )内のベンゼン環も数字が記載されているベンゼン環と同様の箇所に結合していることを示す。
Figure 0007124560000013
Figure 0007124560000014
Figure 0007124560000015
Figure 0007124560000016
Figure 0007124560000017
Figure 0007124560000018
一般式(1)におけるYは、(n3+2)価の非電荷輸送性のジオール残基を示す。ジオール残基は、酸素原子と酸素原子とを連結する連結基であり、炭素原子、酸素原子、及び水素原子から選択される少なくとも1種の原子で構成された連結基であることが好ましい。
で示される連結基は、炭化水素基、又は炭化水素基と酸素原子とを組み合わせた連結基であることが好ましく、炭化水素基、又は炭化水素基とエーテル結合とを組み合わせた連結基であることがより好ましい。上記炭化水素基は、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基のいずれでもよく、これらのうち2以上の炭化水素基を組み合わせた基でもよい。2以上の炭化水素基は、同種の炭化水素基でもよく、異種の炭化水素基でもよい。
飽和炭化水素基は、直鎖状でもよく、分岐状でもよく、環状でもよく、これらの組み合わせでもよい。飽和炭化水素基としては、例えば、炭素数1以上10以下の直鎖状アルキレン基、炭素数2以上10以下の分岐状アルキレン基、炭素数5以上8以下の環状アルキレン基、これらを組み合わせた基等が挙げられる。
不飽和炭化水素基は、直鎖状でもよく、分岐状でもよく、環状でもよく、これらの組み合わせでもよい。不飽和炭化水素基としては、例えば、炭素数2以上10以下の直鎖状アルケニル基、炭素数3以上10以下の分岐状アルケニル基、炭素数5以上8以下の環状アルケニル基、これらを組み合わせた基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基は、少なくとも芳香環を含む環状の連結基であり、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ペリレン、フルオレン等の水素原子を除いた2価の基等が挙げられる。
2以上の炭化水素基を組み合わせた基としては、例えば、2以上の芳香族炭化水素基を組み合わせた基のほか、芳香族炭化水素基に、飽和炭化水素基及び不飽和炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基が結合した基が挙げられる。
で示される連結基は、これらの中でも、飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基、飽和炭化水素基及び芳香族炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基を2以上組み合わせた炭化水素基、並びにこれらの炭化水素基と酸素原子とを組み合わせた基が好ましく、飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基、飽和炭化水素基及び芳香族炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基を2以上組み合わせた炭化水素基、並びにこれらの炭化水素基とエーテル結合とを組み合わせた基がより好ましく、飽和炭化水素基、及び飽和炭化水素基とエーテル結合とを組み合わせた基が更に好ましい。
また、Yで示される連結基が酸素原子を含む場合、Yで示される連結基は、酸素原子を介して複数の炭化水素基が連結した基でもよい。複数の炭化水素基は、同種の炭化水素基であってもよく、異種の炭化水素基であってもよい。
ただし、Yで示される連結基の主鎖の末端の原子(すなわち、Yで示される連結基を構成する原子のうち、一般式(1)中の酸素原子に直接結合する原子)は、いずれも炭素原子であることがよい。
また、Yで示される連結基を構成する原子のうち、Yで示される基に直接結合する原子は、炭素原子であることがよく、その中でもYで示される連結基の主鎖を構成する炭素原子であることがより好ましい。
で示される連結基を構成する原子のうち水素原子以外の原子の数としては、例えば2以上32以下が挙げられ、2以上22以下が好ましく、2以上20以下がより好ましく、2以上15以下がさらに好ましい。Yで示される連結基を構成する水素原子以外の原子の数が前記範囲であることにより、前記範囲より多い場合に比べて、特定電荷輸送性樹脂に対する電荷輸送性骨格の割合が多く、特定電荷輸送性樹脂の電荷特性が良好となる。また、Yで示される連結基を構成する水素原子以外の原子の数が前記範囲であることにより、前記範囲より少ない場合に比べて、特定電荷輸送性樹脂の合成時に分子量の調整がしやすくなる。
なお、上記Yで示される連結基を構成する原子のうち水素原子以外の原子の数は、連結に直接関与する原子だけでなく、連結に直接関与していない原子(例えば、分岐鎖、芳香環等)も含む数である。例えば、下記具体例Y-12を構成する原子のうち水素原子以外の原子の数は、31である。
以下に、Yで示される連結基とその両端の酸素原子を含めた構造の具体的な例(すなわち、O-Y-O)を示す。但し、下記構造中の「*」は、Yで示される基との結合位置を示す。
Figure 0007124560000019
なお、特定電荷輸送性樹脂が一般式(1)で表される構造を複数有する場合、複数のYは、全て同一でもよく、一部同一でもよく、互いに異なっていてもよいが、全体の80%以上が同一であることが好ましく、全体の90%以上が同一であることがより好ましく、全て同一であることがさらに好ましい。
一般式(1)におけるYは、「*-(CHn4-L-Z」で表される基を示し、n4は1又は2を示し、Lは炭素原子、酸素原子、及び水素原子から選択される少なくとも1種の原子で構成された2価の連結基又は単結合を示し、Zは重合性官能基を示す。
まず、「*-(CHn4-L-Z」で表される基におけるLで示される連結基について説明する。
Lで示される連結基は、炭素原子、酸素原子、及び水素原子から選択される少なくとも1種の原子で構成された2価の連結基である。Lで示される連結基としては、例えば、アルキレン基、エーテル結合(すなわち「-O-」)、カルボニル基(すなわち「-C(=O)-」)、及びこれらを組み合わせた基等が挙げられる。
また、これらを組み合わせた基(すなわち、アルキレン基、エーテル結合、及びカルボニル基から選択される少なくとも2以上を組み合わせた基)としては、例えば、エーテル結合とアルキレン基との組み合わせ、エーテル結合とカルボニル基との組み合わせ(例えばエステル結合)、エーテル結合とカルボニル基とアルキレン基との組み合わせ(例えばエステル結合とアルキレン基との組み合わせ)等が挙げられる。
Lで示される連結基は、エーテル結合を少なくとも含むことが好ましい。
Lで示される基(Lで示される連結基又はLで示される単結合)を構成する原子のうち水素原子以外の原子の数としては、例えば0以上16以下が挙げられ、1以上11以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上7以下がさらに好ましい。Lで示される基を構成する水素原子以外の原子の数が前記範囲であることにより、前記範囲より多い場合に比べて、特定電荷輸送性樹脂に対する電荷輸送性骨格の割合が多く、特定電荷輸送性樹脂の電荷特性が良好となる。また、Lで示される基を構成する水素原子以外の原子の数が前記範囲であることにより、前記範囲より少ない場合に比べて、特定電荷輸送性樹脂の架橋反応が起こりやすく、耐溶剤性及び機械的強度の優れた膜が得られやすくなる。
なお、上記Lで示される基を構成する原子のうち水素原子以外の原子の数は、連結に直接関与する原子だけでなく、連結に直接関与していない原子(例えば、カルボニル基の酸素原子等)も含む数である。例えば、下記具体例L-9を構成する原子のうち水素原子以外の原子の数は、11である。
以下に、Lで表される連結基の具体的な例を示す。なお、下記構造中における2つの「*」のうち、左側に示された「*」が「-(CHn4-」との結合位置を示し、右側に示された「*」がZで示される重合性官能基との結合位置を示す。
Figure 0007124560000020
次に、「*-(CHn4-L-Z」で表される基におけるZで示される重合性官能基について説明する。
重合性官能基としては、例えば、炭素-炭素二重結合、エポキシ基、及びオキセタン基から選択される少なくとも1種を含む基が挙げられる。重合性官能基の具体例としては、例えば、ビニル基、ビニルエーテル基、下記一般式(P1)で表される基、下記一般式(P2)で表される基、下記一般式(P3)で表される基、下記一般式(P4)で表される基、下記一般式(P5)で表される基等が挙げられる。
重合性官能基は、これらの中でも、下記一般式(P1)で表される基、下記一般式(P2)で表される基、下記一般式(P3)で表される基、下記一般式(P4)で表される基、及び下記一般式(P5)で表される基から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
Figure 0007124560000021
前記一般式(P1)~(P5)中、R~Rは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を示し、*は、Lとの結合位置を示す。
アルキル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。アルキル基としては、炭素数1以上5以下のものがより好ましく、炭素数1以上3以下のものがさらに好ましく、炭素数1以上2以上のものが特に好ましい。
アルコキシル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。アルコキシ基としては、炭素数1以上5以下のものがより好ましく、炭素数1以上3以下のものがさらに好ましく、炭素数1以上2以上のものが特に好ましい。
一般式(P3)で表される基の置換位置は、オルト位、メタ位、及びパラ位のいずれであってもよく、その中でもメタ位及びパラ位から選択される少なくとも一方が好ましく、パラ位がより好ましい。なお、特定電荷輸送性樹脂が一般式(P3)で表される基を複数有する場合、それらの置換位置は、オルト位、メタ位、及びパラ位から選択される少なくとも2種以上が混在していてもよい。
以下に、Zで示される重合性官能基の具体的な構造の例を示す。なお、下記構造中、*は、Lで表される基との結合位置を示す。
Zで示される重合性官能基は、下記具体例の中でも特に、下記式(P1-1)で表される基、下記式(P1-2)で表される基、及び下記式(P3-1)で表される基が好ましい。
また、Zで示される重合性官能基が下記式(P1-1)で表される基又は下記式(P1-2)で表される基である場合、Lで表される基が連結基であり、かつ、Lで表される連結基を構成する原子のうちZで表される重合性官能基と直接結合する原子が酸素原子である(つまり、アクリル酸エステル構造又はメタクリル酸エステル構造を有する)ことが好ましい。
Figure 0007124560000022
なお、一般式(1)におけるY中のn4が2である場合、2つのYは同じであってもよく、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
また、特定電荷輸送性樹脂が一般式(1)で表される構造を複数有する場合、複数のYは、全て同一でもよく、一部同一でもよく、互いに異なっていてもよいが、全体の80%以上が同一であることが好ましく、全体の90%以上が同一であることがより好ましく、全て同一であることがさらに好ましい。
一般式(1)におけるYで示される連結基を構成する原子のうち水素原子以外の原子の数と、一般式(1)におけるY中のn4の数と、一般式(1)におけるY中のLで示される基を構成する原子のうち水素原子以外の原子の数と、の合計としては、例えば30以下が挙げられ、25以下が好ましく、15以下がより好ましい。前記合計が前記範囲であることにより、前記範囲より多い場合に比べて、特定電荷輸送性樹脂に対する電荷輸送性骨格の割合が多く、特定電荷輸送性樹脂の電荷特性が良好となる。また、前記合計が前記範囲であることにより、前記範囲より少ない場合に比べて、特定電荷輸送性樹脂の架橋反応が起こりやすく、耐溶剤性及び機械的強度の優れた膜が得られやすくなる。
以下、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ(すなわち、O-Y-O、n3、n4、L、及びZの組み合わせ)の具体例を示すが、これら具体例に限定されるわけではない。
なお、下記表において「O-Y-O」の欄における「*」は、Yで表される基との結合位置を示す。また、記載された数字は、結合の位置を表す。また、「L」の欄における2つの「*」のうち、左側に示された「*」は、Yで表される基における「-(CHn4-」との結合位置を示し、右側に示された「*」は、Zで示される重合性官能基との結合位置を示す。また、「Z」の欄における「*」は、Lで表される基との結合位置を示す。また、下記具体例においては、n3が2である例については、2つのYが同じである例を示している。
Figure 0007124560000023
Figure 0007124560000024
Figure 0007124560000025
Figure 0007124560000026
-特定電荷輸送性樹脂の説明-
特定電荷輸送性樹脂は、少なくとも一般式(1)で表される構造を分子内に有していればよく、一般式(1)で表される構造に加えて他の構造を分子内に有していてもよい。特定電荷輸送性樹脂が他の構造を分子内に有する場合、特定電荷輸送性樹脂全体に対する一般式(1)で表される構造の割合としては、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
また、特定電荷輸送性樹脂が有する一般式(1)で表される構造の数としては、例えば5以上5000以下が挙げられ、好ましくは5以上2000以下であり、さらに好ましくは10以上1000以下である。
特定電荷輸送性樹脂の重量平均分子量は、2000以上50万以下であり、3000以上20万以下が好ましく、4000以上10万以下がより好ましい。
上記重量平均分子量の測定は、測定対象の化合物の0.1質量%THF(テトラヒドロフラン)溶液を調製し、示差屈折率検出器(RI)を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、標準サンプルとしてスチレンポリマーを用いて行う。
以下、前記一般式(1)におけるAが前記一般式(2)で表される2価の有機基を示す場合における特定電荷輸送性樹脂の具体例を示すが、これら具体例に限定されるわけではない。
なお、下記表において、「組み合わせAT」及び「組み合わせY」の欄に記載された番号は、それぞれ、AとTとの組み合わせの具体例に付した番号AT-1~AT-102及びO-Y-Oとn3とYと組み合わせの具体例に付した番号Y-1~Y-60を意味する。また、「構造の数」の欄に記載された数字は、特定電荷輸送性樹脂が有する一般式(1)で表される構造の数を意味する。
Figure 0007124560000027
-合成方法(特定電荷輸送性樹脂の製造方法)-
ついで合成方法について説明する。
特定電荷輸送性樹脂は、例えば、下記一般式(3)で表される化合物(以下、「電荷輸送性モノマー」ともいう)と下記一般式(4)で表される化合物(以下、「非電荷輸送性モノマー」ともいう)との重縮合により得られる。
Figure 0007124560000028
前記一般式(3)及び(4)中のA、T、Y、n3、及びYは、前記一般式(1)中のA、T、Y、n3、及びYと同じである。
つまり、前記一般式(3)及び(4)中、Aは電荷輸送性を有する2価の有機基を示し、Tは炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示し、Yは(n3+2)価の非電荷輸送性のジオール残基を示し、n3は1又は2を示し、Yは「*-(CHn4-L-Z」を示し、*はYとの結合位置を示し、n4は1又は2を示し、Lは炭素原子、酸素原子、及び水素原子から選択される少なくとも1種の原子で構成された2価の連結基又は単結合を示し、Zは重合性官能基を示す。
また、前記一般式(3)及び(4)中、Z及びZは、互いに重縮合反応し得る組み合わせとなる基を示す。
具体的には、Zで示される基が水酸基である場合、Zで示される基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、メタンスルホン酸エステル基、トリフルオロメタンスルホン酸エステル基、p-トルエンスルホン酸エステル基等が挙げられる。
また、Zで示される基が水酸基である場合、Zで示される基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、他の有機酸との混合無水物の残基等が挙げられる。なお、上記他の有機酸としては、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸イソブチル、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等が挙げられる。
上記電荷輸送性モノマーと非電荷輸送性モノマーとの重縮合反応においては、その反応形式に応じて、公知の添加剤、触媒等(具体的には、例えば、酸触媒、縮合剤、縮合で副生する水、アルコール、酸などを捕捉する捕捉剤等)を用いてもよい。
上記電荷輸送性モノマーと非電荷輸送性モノマーとの重合方法については、第4版実験化学講座28巻等に記載された公知の種々の方法を採用してもよい。例えば、以下の様な方法が挙げられる。
(1)触媒を用いた二価のアルコールと二価のカルボン酸の重合
触媒を用いた二価のアルコールと二価のカルボン酸の重合では、二価のアルコールと二価のカルボン酸とを、ほぼ当量混合し、酸触媒を用いて重合する。
酸触媒としては、硫酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等、通常のエステル化反応に用いるものが使用され、モノマー1質量部に対して、1/10000~1/10質量部、好ましくは1/1000~1/50質量部の範囲で用いられる。重合中に生成する水を除去するために、水と共沸可能な溶剤を用いることが好ましく、トルエン、クロロベンゼン等が有効であり、モノマー1質量部に対して、1~100質量部、好ましくは2~50質量部の範囲で用いられる。反応温度は任意に設定されるが、重合中に生成する水を除去するために、溶剤の沸点で反応させることが好ましい。反応終了後、溶剤を用いなかった場合には、可溶な溶剤に溶解させる。溶剤を用いた場合には、反応溶液をそのまま、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のポリマーが溶解しにくい貧溶剤中に滴下し、電荷輸送性樹脂を析出させ、電荷輸送性樹脂を分離した後、水、有機溶剤等で十分洗浄し、乾燥させる。さらに、必要であれば適当な有機溶剤に溶解させ、貧溶剤中に滴下し、電荷輸送性樹脂を析出させる再沈殿処理を繰り返してもよい。再沈殿処理の際には、メカニカルスターラー等で効率よく撹拌しながら行うことが好ましい。再沈殿処理の際に電荷輸送性樹脂を溶解させる溶剤は、電荷輸送性樹脂1質量部に対して、1~100質量部、好ましくは2~50質量部の範囲で用いられる。また、貧溶剤は電荷輸送性樹脂1質量部に対して、1~1000質量部、好ましくは10~500質量部の範囲で用いられる。
また、酸性度の高い二価のアルコール類をモノマーとして用いる場合には、界面重合法を用いてもよい。すなわち、二価アルコール類を水に加え、当量の塩基を加えて溶解させた後、激しく撹拌しながら2価アルコール類と当量の電荷輸送性モノマーの溶液を加えることによって重合する。この際、水は2価アルコール類1質量部に対して、1~1000質量部、好ましくは2~500質量部の範囲で用いられる。もう一方のモノマーを溶解させる溶剤としては、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トルエン、クロロベンゼン、1-クロロナフタレン等が有効である。反応温度は任意に設定され、反応を促進するために、アンモニウム塩、スルホニウム塩等の相間移動触媒を用いることが効果的である。相間移動触媒は、モノマー1質量部に対して、0.1~10質量部、好ましくは0.2~5質量部の範囲で用いられる。
(2)縮合剤を用いた二価のアルコールと二価のカルボン酸の重合
縮合剤を用いた二価のアルコールと二価のカルボン酸の重合では、二価のアルコールと二価のカルボン酸とを、ほぼ当量混合し、縮合剤を用いて重合する。縮合剤としては公知のものが使用され、具体的には、カルボジイミド系、イミダゾール系、トリアジン系、ホスホニウム系、ウロニウム系、ハロウロニウム系、光延反応試剤(アゾジカルボン酸ジエチルとトリフェニルホスフィン)等が挙げられる。
縮合剤の添加量は、二価のアルコールと二価のカルボン酸を当量使用する場合、二価のアルコールに対して1~5モル当量、好ましくは1.05~3モル当量、最も好ましくは1.1~2モル当量である。
必要に応じ、塩基を添加してもよい。塩基としては有機塩基が好ましい。具体的には、ピリジン、トリエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、イミダゾールなどが挙げられる。これらの使用量は縮合剤に対して0.05~2モル当量、好ましくは0.1~1.5モル当量、最も好ましくは0.15~1.3モル当量である。
(3)二価のアルコールと二価のカルボン酸エステルの重合
二価のアルコールと二価のカルボン酸エステルの重合では、二価のアルコールを二価のカルボン酸エステルに加え、硫酸、リン酸等の無機酸、チタンアルコキシド、カルシウムおよびコバルト等の酢酸塩または炭酸塩、亜鉛または鉛の酸化物を触媒に用いて加熱し、エステル交換により合成する。
特に二価のカルボン酸エステルとして、沸点の高い電荷輸送性モノマーを用いる場合は、比較的沸点の低い二価のアルコールを、カルボン酸エステルに対し過剰に用いることが好ましい。二価のアルコールは、電荷輸送性モノマー1当量に対して、2~100当量、好ましくは3~50当量の範囲で用いられる。触媒は電荷輸送性モノマー1質量部に対して、1/1000~1質量部、好ましくは1/1000~1/2質量部の範囲で用いられる。反応温度200~300℃で行い、エステル交換終了後は、二価のアルコールの脱離による重合を促進するため、減圧下で反応させることが好ましい。また、二価のアルコールと共沸する1-クロロナフタレン等の高沸点溶剤を用いて、常圧下で二価のアルコールを共沸で除きながら反応させてもよい。
(4)二価のアルコール誘導体と二価のカルボン酸の重合
二価のアルコール誘導体と二価のカルボン酸の重合では、二価のアルコール誘導体として、二価のハロゲン化合物が好ましく用いられる。この場合には、二価のハロゲン化合物と二価のカルボン酸をほぼ当量になるように混合し、塩基性触媒を用いて重合すればよい。塩基性触媒としては、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピリジン、ピペリジン等の一般の有機塩基、KCO、NaCO等の無機塩基が使用され、モノマー1molに対して1~100mol、好ましくは1~10molの範囲で用いられる。反応に使用する溶剤は特に制限はないが、塩基として無機塩基を用いる場合はN,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤が特に好ましい。反応温度は特に制限はなく自由に設定されるが、0度~反応溶剤の沸点に設定することが望ましい。
前記の通り、非電荷輸送性モノマーは、重合性官能基を含有する。そのため、電荷輸送性モノマーと非電荷輸送性モノマーとの重縮合反応中に、非電荷輸送性モノマーが有する重合性官能基(すなわち、Yで示される「*-(CHn4-L-Z」中のZで示される基)が反応しないよう、重縮合反応条件を選択してもよい。具体的には、例えば、必要に応じて、公知の重合禁止剤を添加して重縮合反応を実施してもよい。
また、上記非電荷輸送性モノマーの代わりに、Zで示される重合性官能基を有さないモノマーを用いて、電荷輸送性モノマーとの重縮合反応を実施することでポリエステルを得た後に、公知の反応により前記ポリエステル(すなわち、重合性官能基を有さないポリエステル)にZで示される重合性官能基を導入してもよい。
上記Zで示される重合性官能基を有さないモノマーと電荷輸送性モノマーとの重縮合反応を実施する場合、後からZで示される重合性官能基を導入するための官能基が重縮合中に反応しないよう、該官能基を適宜保護して重縮合を行ってもよい。
後からZで示される重合性官能基を導入する方法としては、重合性官能基を有さないポリエステルと、重合性官能基を有する化合物と、を反応させる方法が挙げられる。
重合性官能基を有する化合物としては、例えば、導入する重合性官能基に脱離基(例えば、水酸基、ハロゲン原子、他のカルボン酸等)が置換したカルボン酸誘導体、導入する重合性官能基に脱離基(例えば、ハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基等)が置換して求電子剤となった化合物等が挙げられる。
電荷輸送性モノマー及び非電荷輸送性モノマーは、それぞれ、公知の方法で合成することで得られる。また、Zで示される重合性官能基を有する非電荷輸送性モノマーとして、市販品を使用してもよい。非電荷輸送性モノマーとして、重縮合の反応部位となるZで示される基が水酸基であるジオールモノマーをそのまま使用してもよく、重縮合反応条件によっては、該ジオールモノマーの水酸基を、公知の方法でハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、メタンスルホン酸エステル基、トリフルオロメタンスルホン酸エステル基、p-トルエンスルホン酸エステル基等に変換して使用してもよい。
Zで示される重合性官能基を有する非電荷輸送性モノマーのうち、Zで示される基が水酸基であるジオールモノマーを合成する方法としては、例えば、エポキシ基又はオキセタン基を含有する市販の重合性官能基含有化合物(例えば、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン誘導体等)に、水を付加させ、エポキシ基又はオキセタン基を開環させることで得る方法が挙げられる。
また、前記ジオールモノマーを合成する方法として、グリシドールに代表される、水酸基を含有するエポキシド又は水酸基を含有するオキセタンに対して、カルボキシ基又は水酸基を有する重合性官能基含有化合物(例えば、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシ置換スチレン、ヒドロキシメチル置換スチレン、ビニル安息香酸等)を付加させ、エポキシ基又はオキセタン基を開環させて得る方法も挙げられる。
その他、前記ジオールモノマーを合成する方法として、3-クロロ-1,2-プロパンジオールに代表されるハロゲン含有ジオールに対して、カルボキシ基又は水酸基を有する重合性官能基含有化合物(例えば、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシ置換スチレン、ヒドロキシメチル置換スチレン、ビニル安息香酸等)を反応させ、置換反応させることによって得る方法も挙げられる。
なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」から選ばれる少なくとも一方を意味する。また、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」から選ばれる少なくとも一方を意味する。
一分子中に2つの重合性官能基を有する非電荷輸送性のジオールモノマーについては、市販の2官能エポキシ(メタ)アクリレートに代表される、重合性官能基を2つ有する重合性官能基含有化合物をそのまま使用してもよい。
一分子中に2つの重合性官能基を有する非電荷輸送性のジオールモノマーを合成する方法としては、例えば、2官能のエポキシド又は2官能のオキセタン化合物に対して、カルボキシ基又は水酸基を有する重合性官能基含有化合物(例えば、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシ置換スチレン、ヒドロキシメチル置換スチレン、ビニル安息香酸等)を付加させ、エポキシ基又はオキセタン基を開環させて得る方法が挙げられる。
前記電荷輸送性モノマー及び非電荷輸送性モノマーを用いた特定電荷輸送性樹脂の合成は、例えば、電荷輸送性モノマーと非電荷輸送性モノマーとを当量用い、溶剤中において、公知の添加剤や触媒(例えば、酸触媒、縮合剤、縮合で副生する水、アルコール、酸などを捕捉する捕捉剤等)等を用いることで行う。
溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、モノクロロベンゼン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
触媒の添加量としては、例えば、モノマー総質量(すなわち、電荷輸送性モノマーの質量と非電荷輸送性モノマーの質量との合計)1質量部に対して、1/10000質量部以上1/10質量部以下が挙げられ、好ましくは1/1000質量部以上1/50質量部以下である。
溶剤の添加量としては、例えば、生成する特定電荷輸送性樹脂の1質量部に対して、1質量部以上100質量部以下が挙げられ、好ましくは2質量部以上50質量部以下である。
反応温度(すなわち、電荷輸送性モノマーと非電荷輸送性モノマーとの重合温度)は特に限定されるものではなく、例えば30℃以上100℃以下の範囲が挙げられる。
電荷輸送性モノマーと非電荷輸送性モノマーとの重合反応が終了した後は、例えば、得られた電荷輸送性樹脂が溶解しにくい貧溶剤(例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトンなど)に反応溶液を滴下することで、電荷輸送性樹脂を析出させ、分離した後、水、有機溶剤等により洗浄し、乾燥させる。
さらに、必要に応じて有機溶剤に溶解させ、貧溶剤中に滴下し、電荷輸送性樹脂を析出させる再沈殿処理を繰り返してもよい。再沈殿処理は、メカニカルスターラー等により撹拌しながら行うことが好ましい。再沈殿処理の際に電荷輸送性樹脂を溶解させる溶剤の添加量としては、例えば、電荷輸送性化合物3質量部に対して、1質量部以上100質量部以下の範囲が挙げられ、好ましくは2質量部以上50質量部以下である。また、貧溶剤の量としては、例えば、電荷輸送性樹脂1質量部に対して、1質量部以上1000質量部以下が挙げられ、好ましくは10質量部以上500質量部以下の範囲である。
また、電荷輸送性モノマーと非電荷輸送性モノマーとの重合反応が終了した後、例えば、反応液を水にあけ、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル等の溶剤で抽出、水洗し、さらに必要に応じて活性炭、シリカゲル、多孔質アルミナ、活性白土等の吸着剤を用いて精製を行ってもよい。
-用途-
特定電荷輸送性樹脂は、例えば、電子写真感光体、有機電界発光素子等の有機電子デバイスにおける各層に含まれる樹脂として用いてもよい。特定電荷輸送性樹脂は、単独で用いてもよく、特定電荷輸送性樹脂と相溶する絶縁性ポリマーと併用してもよい。
具体的には、例えば、支持体上に特定電荷輸送性樹脂を含有する層を設けた構造のものが有機電子デバイスとして使用される。有機電子デバイスの代表的なものとしては、例えば、感光層を有する電子写真感光体が挙げられ、その中でも特に、特定電荷輸送性樹脂を該電子写真感光体の表面層に含有するものが挙げられる。また、感光層中に電荷輸送材料として、特定電荷輸送性樹脂と公知の電荷発生材料とを含有する電子写真感光体、感光層中にさらにフタロシアニン化合物結晶を含む電子写真感光体等も好ましいものとして挙げられる。
上記電子写真感光体において、特定電荷輸送性樹脂と組み合せて使用されるフタロシアニン結晶としては、例えば、特開平5ー98181号公報に開示されているハロゲン化ガリウムフタロシアニン結晶、特開平5ー140472号公報及び特開平5ー140473号公報に開示されているハロゲン化スズフタロシアニン結晶、特開平5ー263007号公報及び特開平5ー279591号公報に開示されているヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、特開平4-189873号公報及び特開平5ー43813号公報に開示されているオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶が挙げられる。上記フタロシアニン結晶を用いることにより、特に高感度で、繰り返し安定性の優れる電子写真感光体が得られる。
-特定電荷輸送性樹脂溶解液-
特定電荷輸送性樹脂溶解液は、前記一般式(1)で表される構造を有する電荷輸送性樹脂が溶媒中に溶解してなる。
この溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのセロソルブ系、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール系等の溶媒が、単独または混合溶媒として用いられる。
尚、これらの溶媒に特定電荷輸送性樹脂を溶解する溶解方法としては、例えば、10℃から150℃、好ましくは15℃から120℃の温度で溶剤と攪拌混合(例えば超音波照射しながら攪拌混合)するなど通常の方法が挙げられる。
特定電荷輸送性樹脂溶解液は、例えば、有機電子デバイス(有機ELデバイス、電子写真感光体等)における膜の形成のほか、太陽電池、有機トランジスター等の形成にも用いられる。
-特定電荷輸送性樹脂架橋体-
特定電荷輸送性樹脂架橋体は、前述の特定電荷輸送性樹脂がさらに架橋したものである。具体的には、例えば、前記特定電荷輸送性樹脂溶解液に熱、光、放射線等を付与することで、特定電荷輸送性樹脂の架橋体を得る。上記架橋により、膜の強度、耐溶剤性がさらに向上する。
熱及び光の少なくとも一方により架橋を行う場合、重合開始剤は必ずしも必要ではないが、光硬化触媒及び熱重合開始剤の少なくとも一方を用いてもよい。この光硬化触媒及び熱重合開始剤としては、公知の光硬化触媒や熱重合開始剤が用いられる。放射線としては電子線が好ましい。
以下、実施例及び比較例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。尚、以下において「部」は、特に断りのない限り質量基準である。
<合成例1>
2Lフラスコに、4-ヒドロキシスチレン(分子量120.15)120.15g(1.0mol)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(分子量91.15)93.88g(1.03mol)、ニトロベンゼン(分子量123.06)1.23g(0.01mol)、及びN-メチルピロリドン700mlを加えて、80℃で1時間撹拌した。その後、一旦室温(25℃)まで温度を戻した後、3-クロロ-1,2-プロパンジオール(分子量110.54)110.54g(1.0mol)を添加し、80℃で5時間反応させた。反応後、トルエンを添加して水で洗浄し、濃縮後、シリカゲルクロマトにて精製し、化合物B-3(分子量194.23)147.61gを得た。
上記化合物B-3は、一般式(4)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-3の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマーである。
<合成例2>
2Lフラスコに、グリシドール(分子量74.08)74.08g(1.0mol)、4-ビニル安息香酸(分子量148.16)148.16g(1.0mol)、テトラブチルアンモニウムクロリド(分子量277.92)27.79g(0.1mol)、ニトロベンゼン(分子量123.06)1.23g(0.01mol)、及びメチルエチルケトン700mlを加えて、窒素気流下で7時間加熱還流した。反応後、水で洗浄し、濃縮後、シリカゲルクロマトにて精製し、化合物B-5(分子量222.24)184.46gを得た。
上記化合物B-5は、一般式(4)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-5の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマーである。
<合成例3>
2Lフラスコに、3-エチル-3-オキセタンメタノール(分子量116.16)116.16g(1.0mol)、メタクリル酸(分子量86.06)86.06g(1.0mol)、テトラブチルアンモニウムクロリド(分子量277.92)27.79g(0.1mol)、ニトロベンゼン(分子量123.06)1.23g(0.01mol)、及びメチルエチルケトン700mlを加えて、窒素気流下で7時間加熱還流した。反応後、水で洗浄し、濃縮後、シリカゲルクロマトにて精製し、化合物B-23(分子量214.26)143.55gを得た。
上記化合物B-23は、一般式(4)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-23の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマーである。
<合成例4>
2Lフラスコに、1,5-ヘキサジエンジエポキシド(分子量114.14)114.14g(1.0mol)、メタクリル酸(分子量86.06)172.12g(2.0mol)、テトラブチルアンモニウムクロリド(分子量277.92)27.79g(0.1mol)、ニトロベンゼン(分子量123.06)1.23g(0.01mol)、及びメチルエチルケトン700mlを加えて、窒素気流下で7時間加熱還流した。反応後、水で洗浄し、濃縮後、シリカゲルクロマトにて精製し、化合物B-30(分子量314.37)198.05gを得た。
上記化合物B-30は、一般式(4)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-30の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマーである。
<合成例5>
2Lフラスコに、1,7-オクタジエンジエポキシド(分子量142.20)142.20g(1.0mol)、β-カルボキシエチルアクリレート(分子量144.13)288.26g(2.0mol)、テトラブチルアンモニウムクロリド(分子量277.92)27.79g(0.1mol)、ニトロベンゼン(分子量123.06)1.23g(0.01mol)、及びメチルエチルケトン700mlを加えて、窒素気流下で7時間加熱還流した。反応後、水で洗浄し、濃縮後、シリカゲルクロマトにて精製し、化合物B-39(分子量430.45)361.59gを得た。
上記化合物B-39は、一般式(4)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-39の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマーである。
<合成例6>
2Lフラスコに、9,9-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)フルオレン(分子量462.55)231.28g(0.5mol)、メタクリル酸(分子量86.06)86.06g(1.0mol)、テトラブチルアンモニウムクロリド(分子量277.92)13.90g(0.05mol)、ニトロベンゼン(分子量123.06)0.62g(0.005mol)、及びメチルエチルケトン700mlを加えて、窒素気流下で7時間加熱還流した。反応後、水で洗浄し、濃縮後、シリカゲルクロマトにて精製し、化合物B-60(分子量758.85)246.63gを得た。
上記化合物B-60は、一般式(4)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-60の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマーである。
<実施例1:樹脂1の合成>
化合物A-4として、一般式(3)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-4の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-4に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
また、化合物B-2として、一般式(4)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-2の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマー(品名:ブレンマーGLM、日油製)を準備した。
フラスコに、化合物A-4(分子量417.5)8.35g(0.02mol)、化合物B-2(分子量160.17)3.20g(0.02mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.44g(0.02mol)、及びテトラヒドロフラン50mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)6.83g(0.044mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、4時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール100ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂1(特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した樹脂1)を7.85g得た。GPCで樹脂1の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は28000であった。
<実施例2:樹脂2の合成>
化合物A-4として、一般式(3)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-4の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-4に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
また、化合物B-43として、一般式(4)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-43の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマー(品名:エポキシエステル40EM、共栄社化学製)を準備した。
フラスコに、化合物A-4(分子量417.5)8.35g(0.02mol)、化合物B-43(分子量388.45)7.77g(0.02mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.44g(0.02mol)、及びテトラヒドロフラン50mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)6.83g(0.044mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、4時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール200ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂2(特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した樹脂2)を11.17g得た。GPCで樹脂2の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は27000であった。
<実施例3:樹脂3の合成>
化合物A-6として、一般式(3)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-6の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-6に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
また、化合物B-2として、一般式(4)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-2の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマー(品名:ブレンマーGLM、日油製)を準備した。
フラスコに、化合物A-6(分子量465.54)5.00g(0.0107mol)、化合物B-2(分子量160.17)1.89g(0.0118mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.69g(0.0220mol)、及びテトラヒドロフラン25mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)3.67g(0.024mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、4時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール100ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂3(特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した樹脂3)を5.85g得た。GPCで樹脂3の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は22000であった。得られた樹脂3のIRスペクトルを図1に示す。
<実施例4:樹脂4の合成>
化合物A-6として、一般式(3)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-6の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-6に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
フラスコに、化合物A-6(分子量465.54)5.00g(0.0107mol)、前記合成例で得られた化合物B-3(分子量194.23)2.29g(0.0118mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.69g(0.0220mol)、及びテトラヒドロフラン25mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)3.67g(0.024mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、4時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール100ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂4(特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した樹脂4)を6.31g得た。GPCで樹脂4の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は26000であった。
<実施例5~10:樹脂5~10の合成>
電荷輸送性モノマーとして、一般式(3)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が表1に示す番号の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、ジカルボン酸モノマー)を準備した。
また、非電荷輸送性モノマーとして、一般式(4)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が表1に示す番号の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマーを準備した。
準備した電荷輸送性モノマー及び非電荷輸送性モノマーを用いて、実施例1と同様にして、樹脂5~10を得た。GPCで樹脂5~10の分子量を測定した結果を表1に示す。
<実施例11:樹脂11の合成>
化合物A-18として、一般式(3)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-18の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-18に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
また、化合物B-2として、一般式(4)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-2の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマー(品名:ブレンマーGLM、日油製)を準備した。
フラスコに、化合物A-18(分子量784.94)6.65g(0.0085mol)、化合物B-2(分子量160.17)1.43g(0.0089mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.12g(0.0174mol)、及びテトラヒドロフラン50ml、N-メチルピロリドン15mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)2.89g(0.0186mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、7時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール100ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂11(特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した樹脂11)を5.37g得た。GPCで樹脂11の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は12000であった。得られた樹脂11のIRスペクトルを図2に示す。
<実施例12:樹脂12の合成>
電荷輸送性モノマーとして、一般式(3)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が表1に示す番号の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、ジカルボン酸モノマー)を準備した。
また、非電荷輸送性モノマーとして、一般式(4)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が表1に示す番号の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマーを準備した。
準備した電荷輸送性モノマー及び非電荷輸送性モノマーを用いて、実施例1と同様にして、樹脂12を得た。GPCで樹脂12の分子量を測定した結果を表1に示す。
<実施例13:樹脂13の合成>
化合物A-18として、一般式(3)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-18の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-18に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
フラスコに、化合物A-18(分子量784.94)6.65g(0.0085mol)、前記合成例で得られた化合物B-5(分子量222.24)1.98g(0.0089mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.12g(0.0174mol)、テトラヒドロフラン50ml、及びN-メチルピロリドン15mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)2.89g(0.0186mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、7時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール100ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂13(特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した樹脂13)を6.39g得た。GPCで樹脂13の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は16000であった。
<実施例14~19:樹脂14~19の合成>
電荷輸送性モノマーとして、一般式(3)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が表1に示す番号の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、ジカルボン酸モノマー)を準備した。
また、非電荷輸送性モノマーとして、一般式(4)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が表1に示す番号の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマーを準備した。
準備した電荷輸送性モノマー及び非電荷輸送性モノマーを用いて、実施例1と同様にして、樹脂14~19を得た。GPCで樹脂14~19の分子量を測定した結果を表1に示す。
<実施例20:樹脂20の合成>
化合物A-43として、一般式(3)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-43の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-43に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
また、化合物B-2として、一般式(4)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-2の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマー(品名:ブレンマーGLM、日油製)を準備した。
フラスコに、化合物A-43(分子量861.03)7.75g(0.009mol)、化合物B-2(分子量160.17)1.59g(0.0099mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.25g(0.0184mol)、テトラヒドロフラン50ml、及びN-メチルピロリドン15mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)3.07g(0.0198mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、7時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール100ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂20(特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した樹脂20)を7.23g得た。GPCで樹脂20の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は14000であった。
<実施例21:樹脂21の合成>
化合物A-43として、一般式(3)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-43の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-43に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
フラスコに、化合物A-43(分子量861.03)7.75g(0.009mol)、前記合成例で得られた化合物B-23(分子量214.26)2.12g(0.0099mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.25g(0.0184mol)、テトラヒドロフラン50ml、及びN-メチルピロリドン15mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)3.07g(0.0198mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、7時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール100ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂21(特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した樹脂21)を7.02g得た。GPCで樹脂21の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は16000であった。
<実施例22~23:樹脂22~23の合成>
電荷輸送性モノマーとして、一般式(3)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が表1に示す番号の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、ジカルボン酸モノマー)を準備した。
また、非電荷輸送性モノマーとして、一般式(4)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が表1に示す番号の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマーを準備した。
準備した電荷輸送性モノマー及び非電荷輸送性モノマーを用いて、実施例1と同様にして、樹脂22~23を得た。GPCで樹脂22~23の分子量を測定した結果を表1に示す。
<実施例24:樹脂24の合成>
化合物A-43として、一般式(3)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-43の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-43に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
フラスコに、化合物A-43(分子量861.03)7.75g(0.009mol)、前記合成例で得られた化合物B-30(分子量314.37)3.11g(0.0099mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.25g(0.0184mol)、テトラヒドロフラン50ml、及びN-メチルピロリドン15mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)3.07g(0.0198mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、7時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール100ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂24(特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した樹脂24)を7.46g得た。GPCで樹脂24の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は14000であった。
<実施例25:樹脂25の合成>
電荷輸送性モノマーとして、一般式(3)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が表1に示す番号の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、ジカルボン酸モノマー)を準備した。
また、非電荷輸送性モノマーとして、一般式(4)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が表1に示す番号の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマーを準備した。
準備した電荷輸送性モノマー及び非電荷輸送性モノマーを用いて、実施例1と同様にして、樹脂25を得た。GPCで樹脂25の分子量を測定した結果を表1に示す。
<実施例26:樹脂26の合成>
化合物A-47として、一般式(3)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-47の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-47に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
また、化合物B-41として、一般式(4)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-41の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマー(品名:エポキシエステル70PA、共栄社化学製)を準備した。
フラスコに、化合物A-47(分子量764.95)6.88g(0.009mol)、化合物B-41(分子量360.40)3.57g(0.0099mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.25g(0.0184mol)、テトラヒドロフラン50ml、及びN-メチルピロリドン15mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)3.07g(0.0198mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、10時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール200ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂26(特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した樹脂26)を8.65g得た。GPCで樹脂26の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は14000であった。
<実施例27:樹脂27の合成>
電荷輸送性モノマーとして、一般式(3)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が表1に示す番号の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、ジカルボン酸モノマー)を準備した。
また、非電荷輸送性モノマーとして、一般式(4)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が表1に示す番号の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマーを準備した。
準備した電荷輸送性モノマー及び非電荷輸送性モノマーを用いて、実施例1と同様にして、樹脂27を得た。GPCで樹脂27の分子量を測定した結果を表1に示す。
<実施例28:樹脂28の合成>
化合物A-64として、一般式(3)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-64の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-64に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
フラスコに、化合物A-64(分子量812.99)7.32g(0.009mol)、前記合成例で得られた化合物B-39(分子量430.45)4.26g(0.0099mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.25g(0.0184mol)、テトラヒドロフラン50ml、及びN-メチルピロリドン15mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)3.07g(0.0198mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、14時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール200ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂28(特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した樹脂28)を8.65g得た。GPCで樹脂28の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は29000であった。
<実施例29:樹脂29の合成>
化合物A-64として、一般式(3)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-64の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-64に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
フラスコに、化合物A-64(分子量812.99)7.32g(0.009mol)、前記合成例で得られた化合物B-60(分子量758.85)7.51g(0.0099mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.25g(0.0184mol)、テトラヒドロフラン50ml、及びN-メチルピロリドン15mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)3.07g(0.0198mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、14時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール200ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂29(特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した樹脂29)を11.34g得た。GPCで樹脂29の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は32000であった。
<実施例30:樹脂30の合成>
化合物A-67として、一般式(3)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-67の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-67に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
また、化合物B-54として、一般式(4)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-54の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマー(品名:エポキシエステル3000A、共栄社化学製)を準備した。
フラスコに、化合物A-67(分子量716.91)6.45g(0.009mol)、化合物B-54(分子量512.59)5.07g(0.0099mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.25g(0.0184mol)、テトラヒドロフラン50ml、及びN-メチルピロリドン15mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)3.07g(0.0198mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、14時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール200ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂30(特定電荷輸送性樹脂の具体例として示した樹脂30)を8.50g得た。GPCで樹脂30の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は26000であった。
<電荷輸送性樹脂溶解液の作製>
上記実施例で得られた樹脂1を10部と、熱重合開始剤OTazo-15(大塚化学社製、分子量354.4)を0.2部と、をクロロベンゼン40部に加えて溶解し、特定電荷輸送性樹脂溶解液1を得た。
上記実施例で得られた樹脂1に代えて、上記実施例で得られた樹脂2~樹脂30を用いた以外は、特定電荷輸送性樹脂溶解液1と同様にして、それぞれ、特定電荷輸送性樹脂溶解液2~特定電荷輸送性樹脂溶解液30を得た。
上記実施例で得られた樹脂1に代えて、下記化合物C-1及び下記式C-2で表される構造からなる樹脂(樹脂C-2、分子量:25000)を用いた以外は、特定電荷輸送性樹脂溶解液1と同様にして、それぞれ、比較電荷輸送性液1及び比較電荷輸送性液2を得た。
Figure 0007124560000029
Figure 0007124560000030
<電荷輸送性膜の耐溶剤性の評価>
-電荷輸送性膜の作製-
2cm角の石英基板を、中性洗剤、水、アセトン(電子工業用、関東化学製)、及びイソプロパノール(電子工業用、関東化学製)の順に、各液に浸して超音波を各5分間印加して洗浄した後、スピンコーターで乾燥させた。
上記で得た電荷輸送性液(すなわち、特定電荷輸送性樹脂溶解液又は比較電荷輸送性液)の一部をクロロベンゼンで10倍希釈した液を作製し、孔径0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。この液を前記石英基板上に載せ、スピンコータで塗布した後、酸素濃度200ppm以下のグローブボックス中で160℃、1時間加熱し、電荷輸送膜を得た。
(膜のトルエン耐性の評価)
得られた電荷輸送性膜に対して紫外-可視吸収測定を行い、長波長側で極大値を示す波長(λmax)における吸光度(トルエン静置前吸光度)を求めた。その後、電荷輸送性膜にトルエンを載せて25℃の環境下で30秒間静置した後、トルエンを除去し、再び紫外-可視吸収測定を行い、λmaxにおける吸光度(トルエン除去後吸光度)を求めた。下記式より残膜率を算出し、下記の判断基準で膜のトルエン耐性を評価した。結果を表1に示す。
式 : 残膜率=(トルエン除去後吸光度/トルエン静置前吸光度)×100(%)
A:残膜率が95%以上
B:残膜率が50%以上95%未満
C:残膜率が50%未満
<電子写真感光体の評価>
-電子写真感光体の作製-
(下引層の作製)
酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m/g)100部をテトラヒドロフラン500部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学工業社製)1.3部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間)焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛110部を500部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン1.0部を50部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛を濾別し、さらに60℃で減圧乾燥を行い、アリザリン付与酸化亜鉛を得た。
このアリザリン付与酸化亜鉛60部と硬化剤(ブロック化イソシアネート、スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5部とブチラール樹脂(エスレックBM-1、積水化学工業製)15部とをメチルエチルケトン85部に溶解した溶液38部と、メチルエチルケトン25部と、を混合し1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)45部を添加し、下引層用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて、直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ18μmの下引層を得た。
(電荷発生層の作製)
電荷発生物質としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15部と、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、株式会社NUC製)10部と、n-酢酸ブチル200部と、からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn-酢酸ブチル175部、メチルエチルケトン180部を添加し、攪拌して電荷発生層用塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を、前記下引層上に浸漬塗布し、常温(20℃)で乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
(電荷輸送層の作製)
上記で作製した電荷輸送性液(すなわち、特定電荷輸送性樹脂溶解液又は比較電荷輸送性液)を塗布液として用いて、突き上げコートにて前記電荷発生層上に塗布し、室温(20℃)で30分風乾した後、酸素濃度200ppmの窒素下で室温(20℃)から10℃/分の速度で150℃まで昇温し、150℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚18μmの電荷輸送層を形成して電子写真感光体を作製した。
なお、特定電荷輸送性樹脂溶解液を用いて電荷輸送層の作製を行った感光体は、最表層に前記特定電荷輸送性樹脂架橋体を含む電荷輸送膜を有していることになる。
-残留電位の変動-
以下の方法により、残留電位を測定し、画像形成試験前後での残留電位の上昇分について評価を行った。具体的には、富士ゼロックス社製、ApeosPort-IV C4470改造機に電位センサーを取り付け、8℃、20%RHで画像形成試験前における電子写真感光体表面の残留電位(以下「初期の残留電位」ともいう)の測定を行った。ついで、8℃、20%RHの下で1万枚の画像形成試験を行った直後に、電子写真感光体表面の残留電位(以下「画像形成後の残留電位」ともいう)の測定を行った。初期の残留電位と画像形成後の残留電位との差(画像形成後の残留電位-初期の残留電位)の絶対値を残留電位の変動として、以下の判断基準で評価した。結果を表1に示す。
A:残留電位の変動が20V未満
B:残留電位の変動が20V以上40V未満
C:残留電位の変動が40V以上
-耐摩耗性の評価-
1万枚の画像形成試験を終了した後の膜(すなわち、電子写真感光体の最表層)を目視し、以下の判断基準からキズの評価を行った。結果を表1に示す。
A:キズが見られない
B:3mm未満の小さいキズが見られる
C:3mm以上の大きなキズが見られる
Figure 0007124560000031
上記表1に示すように、実施例の特定電荷輸送性樹脂を用いた電荷輸送性膜は耐溶剤性に優れ、かつ、実施例の特定電荷輸送性樹脂を最表層に用いた電子写真感光体は、優れた電気特性及び優れた耐摩耗性を有することから、実施例における特定電荷輸送性樹脂は有用であることが分かる。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表される構造を有し、重量平均分子量が2000以上50万以下である電荷輸送性ポリエステル樹脂。
    Figure 0007124560000032


    (前記一般式(1)中、Aは電荷輸送性を有する2価の有機基を示し、Tは炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示し、Yは(n3+2)価の非電荷輸送性のジオール残基を示し、n3は1又は2を示し、Yは「*-(CHn4-L-Z」を示し、*はYとの結合位置を示し、n4は1又は2を示し、Lは炭素原子、酸素原子、及び水素原子から選択される少なくとも1種の原子で構成された2価の連結基又は単結合を示し、Zは重合性官能基を示し、前記重合性官能基は、下記一般式(P1)で表される基、下記一般式(P2)で表される基、下記一般式(P3)で表される基、下記一般式(P4)で表される基、及び下記一般式(P5)で表される基から選ばれる少なくとも1つである。)
    Figure 0007124560000033


    (前記一般式(P1)~(P5)中、R ~R は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を示し、*は、Lとの結合位置を示す。)
  2. 前記重合性官能基は、下記式(P1-1)で表される基、下記式(P1-2)で表される基、及び下記式(P3-1)で表される基から選ばれる少なくとも1つである請求項に記載の電荷輸送性ポリエステル樹脂。
    Figure 0007124560000034

    (前記式(P1-1)、(P1-2)、及び(P3-1)中、*は、Lとの結合位置を示す。)
  3. 前記一般式(1)におけるAは、正孔輸送能を有する2価の有機基を示す請求項1又は請求項2に記載の電荷輸送性ポリエステル樹脂。
  4. 前記一般式(1)におけるAは、下記一般式(2)で表される2価の有機基を示す請求項に記載の電荷輸送性ポリエステル樹脂。
    Figure 0007124560000035


    (前記一般式(2)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又は置換若しくは未置換のアリール基を示し、Xは置換又は未置換の2価の有機基を示し、k及びmはそれぞれ独立に0又は1を示す。)
  5. 前記一般式(1)におけるTは、炭素数1以上8以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示す請求項1~請求項のいずれか1項に記載の電荷輸送性ポリエステル樹脂。
  6. 前記一般式(1)におけるYを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数が2以上20以下である請求項1~請求項のいずれか1項に記載の電荷輸送性ポリエステル樹脂。
  7. 前記一般式(1)におけるY中の前記Lを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数が1以上10以下である請求項1~請求項のいずれか1項に記載の電荷輸送性ポリエステル樹脂。
  8. 前記一般式(1)におけるYを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数と、前記一般式(1)におけるY中の前記n4の数と、前記一般式(1)におけるY中の前記Lを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数と、の合計が25以下である請求項1~請求項のいずれか1項に記載の電荷輸送性ポリエステル樹脂。
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