JP2016178240A - 電荷輸送性膜、光電変換装置、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents
電荷輸送性膜、光電変換装置、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】一般式(I)で示される化合物から選択される少なくとも1種の反応性の電荷輸送性化合物が重合された重合体を含む電荷輸送性膜。
Fは電荷輸送性骨格、Dは一般式(II)、mは1〜8、Eは連鎖重合性官能基、R1〜R6の内少なくとも1つはF原子、またはフッ化アルキル基を表す。
【選択図】なし
Description
また、同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を重合した化合物からなる膜が開示されている(例えば特許文献4参照)。また、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物の重合物を保護層に使用する技術が開示されている(例えば特許文献5参照)。
また、連鎖重合性基としてスチレン骨格が連結されている電荷輸送性化合物の架橋体が開示されている(例えば特許文献8〜12参照)。
請求項1に係る発明は、
下記一般式(I)で示される化合物から選択される少なくとも1種の反応性の電荷輸送性化合物が重合された重合体を含む電荷輸送性膜。
一般式(II)中、Eは連鎖重合性官能基を示す。R1乃至R6はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子又は置換基を有してもよいアルキル基を示す。ただし、R1乃至R6のうち少なくとも1つはフッ素原子又は1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換されたフッ化アルキル基である。L1は単結合、又はアルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(Rn1)−、−S−、−O−、アルカンから誘導される3価若しくは4価の基、及びアルケンから誘導される3価若しくは4価の基からなる群より選択される1種以上の基を含む(n+1)価の連結基を示す。L2は単結合、又はアルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(Rn1)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される1種以上の基を含む2価の連結基を示す。Rn1は水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。nは1以上3以下の整数を示す。)
前記一般式(II)で示される基の少なくとも1つが、下記式(II−1)乃至式(II−6)のいずれかで示される基である請求項1に記載の電荷輸送性膜。
前記一般式(II)で示される基の少なくとも1つが、下記式(III−1)乃至式(III−6)及び式(IV−1)乃至式(IV−6)のいずれかで示される基である請求項2に記載の電荷輸送性膜。
前記一般式(I)で示される反応性の電荷輸送性化合物が、下記一般式(V)で示される反応性の電荷輸送性化合物である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電荷輸送性膜。
前記一般式(I)中のEの総数が3個以上6個以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電荷輸送性膜。
フッ素含有樹脂粒子を含有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電荷輸送性膜。
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電荷輸送性膜を有する光電変換装置。
導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた感光層と、を有し、
最表面層が、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電荷輸送性膜で構成される電子写真感光体。
請求項8に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
請求項8に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
本実施形態に係る電荷輸送性膜は、後述の一般式(I)で示される化合物から選択される少なくとも1種の反応性の電荷輸送性化合物が重合された重合体を含む。
この効果が奏される理由は必ずしも明確ではないが以下のように推察される。即ち、前記の通り本実施形態では、電荷輸送性膜の架橋重合のネットワーク中においてフッ素原子がムラが抑制された状態で導入されるものと考えられ、表面が良好に疎水化されると共に、電荷輸送性膜が摩耗した後においても該表面での良好な疎水化が発揮されるものと推察される。そのため、感光体の摩耗及びクリーニングブレードの摩耗が低減され、また画像部と非画像部とでの摩耗の差すなわち偏摩耗が抑制されるものと考えられ、その結果画像でのトナー筋も抑制されると思われる。
この理由は必ずしも明確ではないが、下記一般式(I)に示される電荷輸送性化合物とフッ素含有樹脂粒子との組み合わせにより、電荷輸送性膜中でのフッ素含有樹脂粒子の微視的な分散性がより向上するためと推察される。
特定の反応性電荷輸送性化合物は、一般式(I)で示される化合物から選択される少なくとも1種である。
一般式(II)中、Eは連鎖重合性官能基を示す。R1乃至R6はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子又は置換基を有してもよいアルキル基を示す。ただし、R1乃至R6のうち少なくとも1つはフッ素原子又は1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換されたフッ化アルキル基である。L1は単結合、又はアルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(Rn1)−、−S−、−O−、アルカンから誘導される3価若しくは4価の基、及びアルケンから誘導される3価若しくは4価の基からなる群より選択される1種以上の基を含む(n+1)価の連結基を示す。L2は単結合、又はアルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(Rn1)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される1種以上の基を含む2価の連結基を示す。Rn1は水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。nは1以上3以下の整数を示す。)
L1で示される(n+1)価の連結基としては、塗布液への溶解性や硬化性などの観点から、−O−、及び−C(=O)−O−からなる群より選択される1種と、アルキレン基、アルケニレン基、及びアルカン若しくはアルケンから誘導される3価若しくは4価の基からなる群より選択される1種以上と、を組み合わせた基を含む(n+1)価の連結基がよい。
なお、アルカン若しくはアルケンから誘導される3価若しくは4価の基とは、アルカン又はアルケンから水素原子を3つ又は4つ取り除いた基を意味する。以下、同様である。
アルキレン基中に−C(=O)−O−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−C(=O)−N(Rn1)−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−C(=O)−S−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−O−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−N(Rn1)−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−S−が介在した2価の連結基、
が挙げられる。
なお、L1で示される連結基は、アルキレン基中に、−C(=O)−O−、−C(=O)−N(Rn1)−、−C(=O)−S−、−O−、又は−S−の基が2つ介在してもよい。
*−(CH2)p−C(=O)−O−(CH2)q−、
*−(CH2)p−O−C(=O)−(CH2)r−C(=O)−O−(CH2)q−、
*−(CH2)p−C(=O)−N(Rn1)−(CH2)q−、
*−(CH2)p−C(=O)−S−(CH2)q−、
*−(CH2)p−O−(CH2)q−、
*−(CH2)p−N(Rn1)−(CH2)q−、
*−(CH2)p−S−(CH2)q−、
*−(CH2)p−O−(CH2)r−O−(CH2)q−
等が挙げられる。
ここで、L1で示される2価の連結基中、pは0又は1以上10以下(望ましくは1以上6以下、より望ましくは1以上5以下、更に望ましくは1以上4以下)の整数を示す。qは、1以上10以下(望ましくは1以上6以下、より望ましくは1以上5以下、更に望ましくは1以上4以下)の整数を示す。rは1以上10以下(望ましくは1以上6以下、より望ましくは1以上5以下、更に望ましくは1以上4以下)の整数を示す。
なお、L1で示される2価の連結基中、「*」は、Fと連結する部位を示している。
なお、L1で示される3価又は4価の連結基は、分岐状に連結したアルキレン基中に、−C(=O)−O−、−C(=O)−N(Rn1)−、−C(=O)−S−、−O−、又は−S−の基が2つ介在してもよい。
*−(CH2)p−CH[C(=O)−O−(CH2)q−]2、
*−(CH2)p−CH=C[C(=O)−O−(CH2)q−]2、
*−(CH2)p−CH[C(=O)−N(Rn1)−(CH2)q−]2、
*−(CH2)p−CH[C(=O)−S−(CH2)q−]2、
*−(CH2)p−CH[(CH2)r−O−(CH2)q−]2、
*−(CH2)p−CH=C[(CH2)r−O−(CH2)q−]2、
*−(CH2)p−CH[(CH2)r−N(Rn1)−(CH2)q−]2、
*−(CH2)p−CH[(CH2)r−S−(CH2)q−]2、
*−(CH2)p−O−C[(CH2)r−O−(CH2)q−]3
*−(CH2)p−C(=O)−O−C[(CH2)r−O−(CH2)q−]3
等が挙げられる。
ここで、L1で示される3価又は4価の連結基中、pは0又は1以上10以下(望ましくは1以上6以下、より望ましくは1以上5以下、更に望ましくは1以上4以下)の整数を示す。qは1以上10以下(望ましくは1以上6以下、より望ましくは1以上5以下、更に望ましくは1以上4以下)の整数を示す。rは1以上10以下(望ましくは1以上6以下、より望ましくは1以上5以下、更に望ましくは1以上4以下)の整数を示す。
なお、L1で示される3価又は4価の連結基中、「*」は、Fと連結する部位を示している。
「−N(Rn1)−」のRn1で示されるアリール基としては、炭素数6以上15以下(望ましくは6以上12以下)のアリール基が挙げられ、具体的には、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。
「−N(Rn1)−」のRn1で示されるアラルキル基としては、炭素数7以上15以下(望ましくは7以上14以下)のアラルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ビフェニルメチレン基等が挙げられる。
(式(II−1)乃至式(II−6)中、m1及びm2はそれぞれ独立に0以上4以下の整数を示す。X1及びX3はそれぞれ独立にアルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(Rn1)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される1種以上の基を含む2価の連結基を示す。X2及びX4はそれぞれ独立に単結合、又はアルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(Rn1)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される1種以上の基を含む2価の連結基を示す。L2、E及びRn1は前記一般式(II)中のL2、E及びRn1と同義である。)
これら2価の連結基としては、反応性電荷輸送性化合物の塗布液への溶解性や硬化性などの観点から、アルキレン基、−C(=O)−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を含む2価の連結基がよく、具体的には、アルキレン基、アルキルオキシ基が望ましく、より望ましくは、アルキレン基(−(CH2)p−:但しpは1以上6以下(望ましくは1以上5以下、より望ましくは1以上4以下)の整数を示す)である。
なお、x1〜x10はそれぞれ独立に1以上3以下がより好ましい。
一般式(I)中、Fは、電荷輸送性骨格、つまり電荷輸送性を有する構造を示し、具体的には、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、アゾベンゼン系化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物、キノン系化合物、フルオレノン系化合物、などの電荷輸送性を有する構造が挙げられる。
ここで、置換アリール基における置換基としては、「D」以外のものとして、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、無置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、及びハロゲン原子等が挙げられる。
なお、下記構造式(1)〜(7)は、Ar1〜Ar4のそれぞれに連結され得る「−(D)c1」〜「−(D)c4」を総括的に示した「−(D)C」と共に示す。
Ar5は、kが1のとき、置換若しくは無置換のアリーレン基を示し、この置換若しくは無置換のアリーレン基としては、Ar1〜Ar4で示される置換若しくは無置換のアリール基から目的とする位置の水素原子を1つ除いたアリーレン基が挙げられる。
なお、置換アリーレン基における置換基としては、Ar1〜Ar4の説明で、置換アリール基における「D」以外の置換基として挙げられているものと同様である。
まず、式(III−1)で示される基の具体例を示す。
即ち、特定の反応性電荷輸送性化合物は、前駆体であるカルボン酸、アルコール、ハロゲン化物、スルホン酸エステル(スルホネート)と、例えばヘキサフルオロイソプロパノール基〔−C(CF3)2OH〕(以下、HFIP基と記載)と、を末端に有する連鎖重合性化合物との反応により合成される。
この際、溶媒としては、種々のものが挙げられるが、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどのアルコール系を用いるか、これに水を混合して用いることがよい。
さらに、アリールアミン化合物の溶解性が低い場合には、塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、ジメチルスルホキシド、エーテル、テトラヒドロフランなどを加えてもよい
。
溶媒の量は、特に制限はないが、例えば、エステル基を含有するアリールアミン化合物1質量部に対して1質量部以上100質量部以下、好ましくは2質量部以上50質量部以下で用いることがよい。
反応温度は、例えば、室温(例えば25℃)以上溶媒の沸点以下の範囲で設定され、反応速度の問題上、50度以上が好ましい。
触媒の量については、特に制限はないが、例えば、エステル基を含有するアリールアミン化合物1質量部に対して0.001質量部以上1質量部以下、好ましくは0.01質量部以上0.5質量部以下で用いることがよい。
加水分解反応後、塩基性触媒で加水分解を行った場合には、生成した塩を酸(例えば塩酸等)で中和し、遊離させる。さらに、十分に水洗した後、乾燥して使用するか、必要によっては、メタノール、エタノール、トルエン、酢酸エチル、アセトンなど、適当な溶媒により、再結晶精製を行った後、乾燥して使用してもよい。
アリールアミン化合物のスルホン酸エステルもしくはハロゲン体に対し、HFIP基を含有する連鎖重合性化合物を1当量以上、好ましくは、1.2当量以上、より好ましくは1.5当量以上加えることがよく、塩基はHFIP基を含有する連鎖重合性化合物に対し0.8当量以上2.0当量以下、好ましくは、1.0当量以上1.5当量以下で用いることがよい。
溶媒としては、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;トルエン、クロロベンゼン、1ークロロナフタレンなどの芳香族系溶媒;などが有効であり、アリールアミン化合物アルコールの1質量部に対して、1質量部以上100質量部以下、好ましくは2質量部以上50質量部以下の範囲で用いることがよい。
反応温度は特に制限はない。反応終了後、反応液を水にあけ、トルエン、ヘキサン、酢酸エチルなどの溶媒で抽出、水洗し、さらに、必要により活性炭、シリカゲル、多孔質アルミナ、活性白土などの吸着剤を用いて精製を行ってもよい。
・ホルミル化:電子供与性基を持つ芳香族化合物・複素環化合物・アルケンにホルミル基を導入するのに適した反応。DMFとオキシ三塩化リンを用いるのが一般的であり、反応温度は室温(例えば25℃)から100℃程度で行われることが多い。
・エステル化:有機酸とアルコール又はフェノールのようなヒドロキシル基を含む化合物との縮合反応。脱水剤を共存させたり、水を系外へ除去することで平衡をエステル側へ偏らせる手法を用いることが好ましい。
・エーテル化:アルコキシドと有機ハロゲン化合物又はスルホン酸エステルを縮合させるウィリアムソン合成法が一般的である。
・水素添加:種々の触媒を用いて不飽和結合に水素を反応させる方法。
電荷輸送性膜は、樹脂粒子を含有してもよい。
樹脂粒子としては、例えば、ビスフェノールAタイプ又はビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂の粒子;アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン-アクリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、塩素ゴム等の絶縁性樹脂の粒子;ポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマーの粒子;等が挙げられる。
これらの樹脂粒子は、中空粒子であってもよい。また、樹脂粒子は、これらの樹脂を単独又は2種以上混合して用いてもよい。
フッ素含有樹脂粒子としては、フルオロオレフィンのホモポリマー、2種以上の共重合体であって、フルオロオレフィンの1種又は2種以上と非フッ素系のモノマーとの共重合体の粒子が挙げられる。
フッ素含有樹脂粒子の平均粒子径としては0.01μm以上100μm以下が好ましく、特に0.03μm以上5μm以下であることが好ましい。
尚、上記フッ素含有樹脂粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置LA−700(堀場製作所製)を用いて測定した値をいう。
フルエンス:50mJ/cm2/パルス以上
入射エネルギー:0.1J/cm2以上
ショット数:100以下
KrF
フルエンス:100mJ/cm2/パルス以上500mJ/cm2/パルス以下
入射エネルギー:0.2J/cm2以上2.0J/cm2以下
ショット数:1以上20以下
フルエンス:50mJ/cm2/パルス以上150mJ/cm2/パルス以下
入射エネルギー:0.1J/cm2以上1.0J/cm2以下
ショット数:1以上20以下
電荷輸送性膜を構成する膜は、フッ素含有樹脂粒子と共に、フッ素含有分散剤を含有してもよい。
フッ素含有分散剤は、フッ素含有樹脂粒子を電荷輸送性膜中に分散させるために用いられるものであるため、界面活性作用を有していることが好ましく、つまり分子内に親水基と疎水基とを持つ物質であることがよい。
また、フッ素を有さないモノマーとしては、例えば、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、ヒドロキシエチルo−フェニルフェノールアクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレートが挙げられる。また、米国特許5637142号明細書、特許第4251662号公報などに開示されたブロック又はブランチポリマーなどが挙げられる。またその他に、フッ素系界面活性剤が挙げられる。フッ素系界面活性剤の具体例としては、サーフロン(登録商標)S−611、サーフロン(登録商標)S−385(AGCセイミケミカル社製)、フタージェント730FL、フタージェント750FL(ネオス社製)、PF−636、PF−6520(北村化学社製)、メガファック(登録商標)EXP,TF−1507、メガファック(登録商標)EXP、TF−1535(DIC社製)、FC−4430、FC−4432(3M社製)などが挙げられる。
なお、特定樹脂の重量平均分子量は100以上50000以下が好ましい。
ポリオキシエチレン類の具体例としては、例えばエマルゲン707(花王社製)、ナロアクティー(登録商標)CL−70、ナロアクティー(登録商標)CL−85(三洋化成工業社製)、レオコールTD−120(ライオン社製)などが挙げられる。
電荷輸送性膜を構成する膜は、本実施形態に係る特定の反応性電荷輸送性化合物以外に、不飽和結合を有する化合物を併用してもよい。この場合、電荷輸送性膜は、特定の反応性電荷輸送性化合物と不飽和結合を有する化合物との重合体又は架橋体を含む。
不飽和結合を有する化合物としては、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。また、不飽和結合を有する化合物としては、電荷輸送性骨格を有さないものが挙げられる。
1官能のモノマーは、例えば、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、ヒドロキシエチルo−フェニルフェノールアクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート、スチレン、などが挙げられる。
3官能のモノマーは、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート、トリビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
4官能のモノマーは、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
5官能以上のモノマーは、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の他、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、フォスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
電荷輸送性骨格を有さない不飽和結合を有する化合物の含有量は、電荷輸送性膜の形成用塗布液中の全固形分に対して、例えば、好ましくは60質量%以下がよく、好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。
電荷輸送性膜は、非反応性の電荷輸送性化合物を併用してもよい。ここで、非反応性の電荷輸送性化合物とは、電荷輸送性骨格を有し、反応性基を有さない電荷輸送材料をいう。非反応性の電荷輸送性化合物を電荷輸送性膜に用いた場合には電荷輸送成分の濃度が高まり、電気特性を更に改善するのに有効である。また、非反応性の電荷輸送性化合物を添加して架橋密度を減じ、強度を調整してもよい。
中でも、電荷移動度、相溶性など点から、トリフェニルアミン骨格を有するものが好ましい。
電荷輸送性膜は、更に成膜性、可とう性、潤滑性、接着性を調整するなどの目的から、他のカップリング剤、特にフッ素含有のカップリング剤と混合して用いてもよい。この化合物として、各種シランカップリング剤、及び市販のシリコーン系ハードコート剤が用いられる。また、ラジカル重合性基を有するシリコン化合物、フッ素含有化合物を用いてもよい。
市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−8239(以上、信越化学工業社製)、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等が挙げられる。
ラジカル重合性基を有するシリコン化合物、フッ素含有化合物としては、特開2007−11005号公報に記載の化合物などが挙げられる。
劣化防止剤の添加量としては、電荷輸送性膜の全固形分全量を基準として20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、サノールLS2626、サノールLS765、サノールLS770、サノールLS744(以上、三共ライフテック社製)、チヌビン144、チヌビン622LD(以上、チバ・ジャパン社製)、マークLA57、マークLA67、マークLA62、マークLA68、マークLA63(以上、アデカ社製)が挙げられ、チオエーテル系として、スミライザーTPS、スミライザーTP−D(以上、住友化学社製)が挙げられ、ホスファイト系として、マーク2112、マークPEP−8、マークPEP−24G、マークPEP−36、マーク329K、マークHP−10(以上、アデカ社製)等が挙げられる。
この粒子の一例として、ケイ素含有粒子が挙げられる。ケイ素含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリコーン粒子等が挙げられる。ケイ素含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、好ましくは平均粒径1nm以上100nm以下、より好ましくは10nm以上30nm以下のシリカを、酸性若しくはアルカリ性の水分散液、又はアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれる。該粒子としては一般に市販されているものを使用してもよい。
これらのシリコーン粒子は球状で、その平均粒径は好ましくは1nm以上500nm以下、より好ましくは10nm以上100nm以下である。
電荷輸送性膜中のシリコーン粒子の含有量は、電荷輸送性膜の全固形分全量を基準として、好ましくは0.1質量%以上30質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。
シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル;アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル;等が挙げられる。
これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着での混合でもよい。導電性粒子の平均粒径は0.3μm以下、特に0.1μm以下が好ましい。
電荷輸送性膜を形成するために用いる組成物は、各成分を溶媒中に溶解又は分散してなる電荷輸送性膜形成用塗布液として調製されることが好ましい。
電荷輸送性膜の形成用塗布液の溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、エチルnブチルケトン、ジnプロピルケトン、メチルnアミルケトン、メチルnブチルケトン、ジエチルケトン、メチルnプロピルケトン等のケトン類;酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸エチル、酢酸nプロピル、酢酸nブチル、イソ吉草酸エチル、酢酸イソアミル、酪酸イソプロピル、プロピオン酸イソアミル、酪酸ブチル、酢酸アミル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、酢酸アリル等のエステル類等の単独溶媒又は混合溶媒が挙げられる。また、0質量%以上50質量%以下のエーテル系溶剤(例えばジエチルエーテル、ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、アルキレングリコール系溶剤(例えば1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)を混合して用いてもよい。
電荷輸送性膜形成用塗布液は、被塗布面(例えば電荷輸送層)の上に、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法、インクジェット塗布法、突上げ塗布法等の通常の方法により塗布される。
その後、得られた塗膜に対して、光、電子線又は熱を付与してラジカル重合を生起させて、該塗膜を硬化させる。
硬化方法としては、反応が早く進行しすぎないように調整することで、電荷輸送性膜の機械的強度及び電気特性が向上し、また膜のムラやシワの発生も抑制されるため、ラジカルの発生が比較的ゆっくりと起こる条件下で重合させることが好ましい。この点からは、重合速度を調整しやすい熱重合が好適である。つまり、電荷輸送性膜を構成する硬化膜を形成するための組成物には、熱ラジカル発生剤又はその誘導体を含むことがよい。
・電子線硬化
電子線を用いる場合、加速電圧は300KV以下が好ましく、最適には150KV以下である。また、線量は好ましくは1Mrad以上100Mrad以下の範囲、より好ましくは3Mrad以上50Mrad以下の範囲である。加速電圧が300KV以下であることにより感光体特性に対する電子線照射のダメージが抑制される。また、線量が1Mrad以上であることにより架橋が十分に行なわれ、100Mrad以下であることにより感光体の劣化が抑制される。
光源としては、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプなどが用いられ、バンドパスフィルター等のフィルターを用いて好適な波長を選択してもよい。照射時間、光強度は自由に選択されるが、例えば照度(365nm)は300mW/cm2以上、1000mW/cm2以下が好ましく、例えば600mW/cm2のUV光を照射する場合、5秒以上360秒以下照射すればよい。
より具体的には、ベンジルケタール系として、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンが挙げられる。
アミノアルキルフェノン系としては、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モリホニル)フェニル]−1−ブタノンなどが挙げられる。
ホスフィノキサイド系としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンキサイドなどが挙げられる。
チタノセン系としては、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどが挙げられる。
オキシム系としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)などが挙げられる。
より具体的には、ベンゾフェノン系として、2−ベンゾイル安息香酸、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
チオキサントン系としては、2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
ベンジル系としては、ベンジル、(±)−カンファーキノン、p−アニシルなどが挙げられる。
熱重合開始剤としては、熱ラジカル発生剤又はその誘導体が挙げられ、具体的には、例えば、V−30、V−40、V−59、V601、V65、V−70、VF−096、VE−073、Vam−110、Vam−111(和光純薬工業製)、OTazo−15、OTazo−30、AIBN、AMBN、ADVN、ACVA(大塚化学)等のアゾ系開始剤;パーテトラA、パーヘキサHC、パーヘキサC、パーヘキサV、パーヘキサ22、パーヘキサMC、パーブチルH、パークミルH、パークミルP、パーメンタH、パーオクタH、パーブチルC、パーブチルD、パーヘキシルD、パーロイルIB、パーロイル355、パーロイルL、パーロイルSA、ナイパーBW、ナイパーBMT−K40/M、パーロイルIPP、パーロイルNPP、パーロイルTCP、パーロイルOPP、パーロイルSBP、パークミルND、パーオクタND、パーヘキシルND、パーブチルND、パーブチルNHP、パーヘキシルPV、パーブチルPV、パーヘキサ250、パーオクタO、パーヘキシルO、パーブチルO、パーブチルL、パーブチル355、パーヘキシルI、パーブチルI、パーブチルE、パーヘキサ25Z、パーブチルA、パーヘキシルZ、パーブチルZT、パーブチルZ(日油化学社製)、カヤケタールAM−C55、トリゴノックス36−C75、ラウロックス、パーカドックスL−W75、パーカドックスCH−50L、トリゴノックスTMBH、カヤクメンH、カヤブチルH−70、ペルカドックスBC−FF、カヤヘキサAD、パーカドックス14、カヤブチルC、カヤブチルD、カヤヘキサYD−E85、パーカドックス12−XL25、パーカドックス12−EB20、トリゴノックス22−N70、トリゴノックス22−70E、トリゴノックスD−T50、トリゴノックス423−C70、カヤエステルCND−C70、カヤエステルCND−W50、トリゴノックス23−C70、トリゴノックス23−W50N、トリゴノックス257−C70、カヤエステルP−70、カヤエステルTMPO−70、トリゴノックス121、カヤエステルO、カヤエステルHTP−65W、カヤエステルAN、トリゴノックス42、トリゴノックスF−C50、カヤブチルB、カヤカルボンEH−C70、カヤカルボンEH−W60、カヤカルボンI−20、カヤカルボンBIC−75、トリゴノックス117、カヤレン6−70(化薬アクゾ社製)、ルペロックス610、ルペロックス188、ルペロックス844、ルペロックス259、ルペロックス10、ルペロックス701、ルペロックス11、ルペロックス26、ルペロックス80、ルペロックス7、ルペロックス270、ルペロックスP、ルペロックス546、ルペロックス554、ルペロックス575、ルペロックスTANPO、ルペロックス555、ルペロックス570、ルペロックスTAP、ルペロックスTBIC、ルペロックスTBEC、ルペロックスJW、ルペロックスTAIC、ルペロックスTAEC、ルペロックスDC、ルペロックス101、ルペロックスF、ルペロックスDI、ルペロックス130、ルペロックス220、ルペロックス230、ルペロックス233、ルペロックス531(アルケマ吉富社製)などが挙げられる。
なお、本実施態様では、反応が早く進行しすぎると架橋により塗膜の構造緩和ができ難くなり、膜のムラやシワを発生しやすくなるといった理由から、ラジカルの発生が比較的ゆっくりと起こる熱による硬化方法が採用される。
特に、特定の反応性電荷輸送性化合物と熱による硬化とを組み合わせることで、塗膜の構造緩和の促進が図られ、表面性状に優れた高い電荷輸送性膜が得られ易くなる。
本実施形態に係る光電変換装置は、前述した本実施形態に係る電荷輸送性膜を備える。本実施形態に係る光電変換装置としては、例えば、電子写真感光体、有機EL装置、有機トランジスタ、有機太陽電池等が挙げられる。
具体的には、例えば、有機EL装置は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極と、それら電極間に挾持された一つ又は複数の有機化合物層より構成される。該有機化合物層の少なくとも一層に本実施形態の電荷輸送膜を用いることができ、その層構成は特に限定されない。具体的には発光層、正孔輸送層、正孔注入層として、前述した本実施形態に係る電荷輸送性膜を適用する。
また、例えば、有機薄膜トランジスタは、対向して設けられたソース電極及びドレイン電極の双方に接する有機半導体層と、前記ソース電極及び前記ドレイン電極の双方から離間したゲート電極及び前記有機半導体層とゲート電極間に配置される絶縁層を有するものである。前記有機半導体層に少なくとも一層に本実施形態の電荷輸送膜を用いることができ、その層構成は特に限定されない。
ここで、本実施形態に係る光電変換装置の一例として、電子写真感光体について説明する。
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す概略断面図である。図2、図3はそれぞれ本実施形態に係る電子写真感光体の他の一例を示す概略断面図である。
図2に示す電子写真感光体7Bにおいては、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に、電荷輸送層3、電荷発生層2、及び保護層5が順次形成された構造を有するものである。電子写真感光体7Bにおいては、電荷輸送層3及び電荷発生層2により感光層が構成され、保護層5に本実施形態に係る電荷輸送性膜が適用される。
なお、図1、図2及び図3に示す電子写真感光体において、下引層1は設けてもよいし、設けなくてもよい。
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
下引層は、例えば、無機粒子と結着樹脂とを含む層である。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/4n(nは上層の屈折率)から1/2λまでに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
図示は省略するが、下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂とを含む層である。また、電荷発生層は、電荷発生材料の蒸着層であってもよい。電荷発生材料の蒸着層は、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro−Luminescence)イメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合に好適である。
なお、n−型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn−型とする。
結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
なお、この分散の際、電荷発生層形成用塗布液中の電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送材料と結着樹脂とを含む層である。電荷輸送層は、高分子電荷輸送材料を含む層であってもよい。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
なお、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1から1:5までが好ましい。
保護層には、前述の本実施形態に係る電荷輸送性膜が適用される。
単層型感光層(電荷発生/電荷輸送層)は、例えば、電荷発生材料と電荷輸送材料と、必要に応じて、結着樹脂、及びその他周知の添加剤と、を含む層である。なお、これら材料は、電荷発生層及び電荷輸送層で説明した材料と同様である。
そして、単層型感光層中、電荷発生材料の含有量は、全固形分に対して10質量%以上85質量%以下がよく、好ましくは20質量%以上50質量%以下である。また、単層型感光層中、電荷輸送材料の含有量は、全固形分に対して5質量%以上50質量%以下がよい。
単層型感光層の形成方法は、電荷発生層や電荷輸送層の形成方法と同様である。
単層型感光層の膜厚は、例えば、5μm以上50μm以下がよく、好ましくは10μm以上40μm以下である。
保護層がない層構成の場合、図1に示される電子写真感光体では、その層構成において最表面に位置する電荷輸送層が最表面層となる。そして、当該最表面層となる電荷輸送層が、前述の本実施形態に係る電荷輸送性膜で構成される。
また、保護層がない層構成の場合、図3に示される電子写真感光体では、その層構成において最表面に位置する単層型感光層が最表面層となる。そして、当該最表面層となる単層型感光層が、前述の本実施形態に係る電荷輸送性膜で構成される。但し、上記組成物には、電荷発生材料が配合される。
これら最表面層となる電荷輸送層及び単層型感光層の膜厚は、例えば、7μm以上70μm以下がよく、好ましくは10μm以上60μm以下である。
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、電子写真感光体として、上記本実施形態に係る電子写真感光体が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図4に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
図5に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
次いで、有機電界発光装置について説明する。
図6から図8は本実施形態の有機電界発光素子の層構成を模式的に示す概略断面図であり、21は基板、22は陽極、23は正孔注入層、24は正孔輸送層、25は発光層、26は電子輸送層、27は陰極をそれぞれ表す。但し、本実施形態に係る有機EL装置の素子構成はこれにかぎるものではない。
図7及び図8に示す機能分離型素子において、正孔輸送層24の構成材料としては、正孔注入層23からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送する材料であることが必要である。そのためには、イオン化ポテンシャルが小さく、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが要求される。このような正孔輸送材料としては、例えば、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン等の3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン化合物(特開昭59−194393号公報)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族アミン(特開平5−234681号公報)、トリフェニルベンゼンの誘導体でスターバースト構造を有する芳香族トリアミン(米国特許第4,923,774号)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン等の芳香族ジアミン(米国特許第4,764,625号)、分子全体として立体的に非対称なトリフェニルアミン誘導体(特開平4−129271号公報)、ピレニル基に芳香族ジアミノ基が複数個置換した化合物(特開平4−175395号公報)、エチレン基で3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン(特開平4−264189号公報)、スチリル構造を有する芳香族ジアミン(特開平4−290851号公報)、チオフェン基で芳香族3級アミンユニットを連結したもの(特開平4−304466号公報)、スターバースト型芳香族トリアミン(特開平4−308688号公報)、ベンジルフェニル化合物(特開平4−364153号公報)、フルオレン基で3級アミンを連結したもの(特開平5−25473号公報)、トリアミン化合物(特開平5−239455号公報)、ビスジピリジルアミノビフェニル(特開平5−320634号公報)、N,N,N−トリフェニルアミン誘導体(特開平6−1972号公報)、フェノキサジン構造を有する芳香族ジアミン(特開平7−138562号公報)、ジアミノフェニルフェナントリジン誘導体(特開平7−252474号公報)、シラザン化合物(米国特許第4,950,950号公報)、シラナミン誘導体(特開平6− 49079号公報)、ホスファミン誘導体(特開平6−25659号公報)等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、必要に応じて、2種以上を混合して用いてもよい。上記の化合物以外に、正孔輸送層24の構成材料としては、ポリビニルカルバゾールやポリシラン、ポリフォスファゼン(特開平5−310949号公報)、ポリアミド(特開平5−310949号公報)、ポリビニルトリフェニルアミン(特開平7−53953号公報)、トリフェニルアミン骨格を有する高分子(特開平4−133065号公報)、芳香族アミンを含有するポリメタクリレート等の高分子材料が挙げられる。
−下引層の形成−
酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m2/g)100質量部をトルエン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学工業社製)1.3質量部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理を施した酸化亜鉛を得た。表面処理を施した酸化亜鉛110質量部を500質量部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン0.6質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、更に60℃で減圧乾燥を行い、アリザリンを付与させた酸化亜鉛を得た。
電荷発生材料としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン(CGM−1)15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部、及びn−酢酸ブチル200質量部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn−酢酸ブチル175質量部、及びメチルエチルケトン180質量部を添加し、攪拌して電荷発生層形成用塗布液を得た。この電荷発生層形成用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、常温(25℃)で乾燥して、厚さが0.2μmの電荷発生層を形成した。
次に、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)45質量部、及び結着樹脂としてビスフェノールZポリカーボネート樹脂(以下、「PCZ500」と標記、粘度平均分子量:5万):55質量部をテトラヒドロフラン(THF)/トルエン混合溶剤(質量比70/30):800質量部、に加えて溶解し、電荷輸送層用塗布液を得た。この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に塗布し、130℃、45分の乾燥を行って膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
特定の反応性電荷輸送性化合物として下記化合物A−1:98質量部をテトラヒドロフラン(THF)/トルエン混合溶剤(質量比60/40):150質量部に溶解し、更に、開始剤として、OTazo15(大塚化学社製)2質量部を溶解させた後、分散させて、保護層形成用塗布液を得た。この保護層形成用塗布液を電荷輸送層上に塗布し、酸素濃度100ppmの雰囲気下で150℃、40分加熱し、厚さ7μmの保護層を形成した。
以上の工程を経て、電子写真感光体を得た。
表1、表2に従って、電荷輸送性化合物の種類、他の連鎖重合性化合物の添加の有無、他の成分の添加の有無を変更した以外は、実施例A1と同様にして、各電子写真感光体を得た。
他の連鎖重合性化合物の添加量、他の成分の添加量は、電荷輸送性化合物に対する添加量を、表1、表2中に記載した。
<長期出力評価>
各例で得られた電子写真感光体を、富士ゼロックス社製 Docucentre−IV
C2260に装着し、A4紙に、画像濃度100%のベタ塗り画像部分、画像濃度20%のハーフトーン画像部分及び細線画像部分を有する画像を連続して300000枚出力した。その後、下記に示す評価を行った。
なお、画像形成には、富士ゼロックス製P紙(A4サイズ、横送り)を用いた。各評価結果を表1、表2に示す。
300000枚出力した後、感光体表面を目視にて観察し、以下の評価基準で評価した。A+が最も良好な特性であることを示す。
A+:顕微鏡観察でもキズが確認されない。
A :目視でキズが確認されないが、顕微鏡観察で小さなキズが確認される。
B :部分的にキズが発生。
C :全面にキズ発生。
300000枚画像形成した後、画像濃度30%のベタ画像をA4紙に1枚出力した。この出力された画像濃度30%のベタ画像について、画像部及び非画像部におけるスジの発生の有無を目視にて観察し、以下の評価基準で評価した。A+が最も良好な特性であることを示す。
A+: クリーニングブレードの欠けに起因するスジの発生なし
A : クリーニングブレードの欠けに起因する3本以下の軽微なスジが発生
B : クリーニングブレードの欠けに起因する3本以上10本以下のスジが発生
C : クリーニングブレードの欠けに起因する10本以上の明瞭なスジが発生
300000枚出力した後、更に画像濃度30%のベタ画像をA4用紙に1枚出力し、得られた画像を観察し、画質の劣化度合いを目視にて観察し、以下の評価基準で評価した。A+が最も良好な特性であることを示す。
A+: 画像流れ全くなし
A : 画質上問題となる画像流れなし
B : 若干画像流れ発生
C : 画質上問題となる画像流れ発生
[電荷輸送性化合物(A)]
・AC−1:下記構造式で示される電荷輸送性化合物
・BC−1: 下記構造式で示されるフッ素化アルキレン含有ジアクリレート
・C−1: ルブロンL−2(ダイキン製 PTFE粒子)
・C−2: GF−400(東亜合成製 フッ素含有分散剤樹脂)
500ml三口フラスコに4,4’−ビス(2−メトキシカルボニルエチル)ジフェニルアミン68.3g、4,4’−ジヨードー3,3’−ジメチルー1,1’−ビフェニル43.4g、炭酸カリウム30.4g、硫酸銅5水和物1.5g、n−トリデカン50mlを添加し、系中を窒素フローしながら220℃で加熱しながら20時間撹拌した。その後温度を室温まで下げ、トルエン200ml、水150mlを加えて分液操作を行った。トルエン層を採取し、硫酸ナトリウム10g加えて10分撹拌した後、硫酸ナトリウムをろ過した。トルエンを減圧留去した粗生成物を、トルエン/酢酸エチルを溶離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行い、A−6aを56.0g得た(収率65%)。
3L三口フラスコにA−15aを43.1g、テトラヒドロフラン350mlを添加し、そこに水酸化ナトリウム8.8gを水350mlに溶解した水溶液を添加し、60℃に加熱しながら5時間撹拌した。その後、反応液を水1L/濃塩酸40ml水溶液に滴下し、析出した固体を吸引ろ過により採取した。この固体をさらにアセトン/水混合溶剤(体積比40/60)50mlを加えて懸濁状態で撹拌した後、吸引ろ過により採取し、10時間真空乾燥した後、A−6bを36.6g得た(収率91%)。
500ml三口フラスコにA−6bを28.2g(0.035mol)、テトラヒドロフラン100mlで溶解し0℃に冷却したところに、塩化チオニル18.3g(0.154mol)、トリエチルアミン15.6g(0.154mol)を添加し、2時間かけて徐々に室温になるまで撹拌した。その後、再び0℃に冷却し、4−(ヘキサフルオロイソプロピルベンゼン)41.6g(0.154mol)、トリエチルアミン15.6g(0.154mol)を添加し、2時間かけて徐々に室温になるまで撹拌した。
その後、水30mlを加え、トルエン100mlで抽出し、さらに水50mlで2回、飽和塩化ナトリウム水溶液50mlで洗浄した。有機層に硫酸ナトリウム30gを加え脱水した後、ろ過し、溶剤を減圧留去した粗生成物を、トルエン/酢酸エチルを溶離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行い、A−6を47.0g得た(収率74%)。
−電荷輸送性膜形成用塗布液の調製−
下記組成の電荷輸送性膜形成用塗布液を調製した。
・反応性電荷輸送性化合物: 電荷輸送性化合物B−1:100質量部
・開始剤: OTazo15(大塚化学社製):2質量部
・溶剤: テトラヒドロフラン(THF)/トルエン混合溶剤(質量比40/60):150質量部
ガラス基板上にITO膜を備えるITOガラス基板を用意し、そのITO膜を2mm幅の短冊状にエッチングしてITO電極(陽極)を形成した。このITOガラス基板を、イソプロパノール(電子工業用、関東化学社製)で超音波洗浄した後、スピンコーターで乾燥させた。
上記ITOガラス基板のITO電極が形成されている面上に、上記電荷輸送性膜形成用塗布液を塗布し、酸素濃度100ppmの雰囲気下で150℃、40分加熱し、5μmの電荷輸送性膜B1を形成した。
ガラス基板上にITO膜を備えるITOガラス基板を用意し、そのITO膜を2mm幅の短冊状にエッチングしてITO電極(陽極)を形成した。このITOガラス基板を、イソプロパノール(電子工業用、関東化学社製)で超音波洗浄した後、スピンコーターで乾燥させた。
次に、ITOガラス基板のITO電極が形成されている面上に、昇華精製した銅フタロシアニンを真空蒸着することにより厚さ0.015μmの薄膜を形成した。
上記の電荷輸送性膜形成用塗布液を上記銅フタロシアニン膜上に塗布し、酸素濃度100ppmの雰囲気下で145℃、40分加熱し、0.05μmの薄膜を形成した。これにより、ITO電極上に2層構造の正孔輸送層を形成した。
次に、上記正孔輸送層上に、発光材料としてトリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq)を蒸着することにより厚さ0.060μmの発光層を形成した。更に、上記発光層上に、Mg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.13μm厚の短冊状のMg−Ag電極(陰極)を形成し、有機電界発光素子49を得た。なお、ITO電極とMg−Ag電極とは、それぞれの延在方向が直交するように形成した。得られた有機電界発光素子B1の有効面積は0.04cm2であった。
反応性電荷輸送性化合物を、比較用の反応性電荷輸送性化合物AC−2、AC−3にそれぞれ変更する以外は実施例B1と同様にして、それぞれ比較例B1、B2用の電荷輸送性膜及び比較有機電界発光素子を得た。
実施例B1において、反応性電荷輸送性化合物をB−2に記載したものに変更する以外は実施例B1と同様にして、電荷輸送性膜B2及び有機電界発光素子B2を得た。
以下の評価は、通常環境(25℃、50%RH)、高温高湿環境(28℃、80%RH)でそれぞれ単独で行った。
得られた電荷輸送性膜に対し、TOF−401(住友重機械工業製)を用いて30V/μmの電界をかけて電荷移動度を100回繰り返し測定し、下記式から電荷移動度の安定性を評価した。それらの結果を表3に示す。
・電荷移動度の安定性=|(1回目測定の電荷移動度)−(100回目測定の電荷移動度)|/(1回目測定の電荷移動度)
なお、「||」は、絶対値を指す。A++が最も良好な特性であることを示す。
A++:0.05未満
A+ :0.05以上0.08未満
A :0.08以上0.1未満
B :0.1以上0.2未満
C :0.2以上
乾燥窒素中で有機電界発光素子の発光寿命の測定を以下のようにして行った。室温(25℃)において直流駆動方式(DC駆動)で初期輝度を500cd/m2とし、比較例B1の素子の輝度(初期輝度L0:500cd/m2)が(輝度L/初期輝度L0)=0.5となった時点の駆動時間を1.0とした場合の相対時間、及び、素子の輝度が(輝度L/初期輝度L0)=0.5となった時点での電圧上昇分(=電圧/初期駆動電圧)により評価した。
なお、相対時間(L/L0=0.5)及び電圧上昇(L/L0=0.5となるとき)の評価基準は以下の通りである。
A++:1.6以上
A+:1.4以上1.6未満
A :1.2以上1.4未満
B :1.0以上1.2未満
C :1.0未満
A++:1.0以上1.1未満
A+:1.1以上1.2未満
A :1.2以上1.3未満
B :1.3以上1.4未満
C :1.4以上
[電荷輸送性化合物(B)]
・AC−2:下記構造式で示される電荷輸送性化合物
Claims (10)
- 下記一般式(I)で示される化合物から選択される少なくとも1種の反応性の電荷輸送性化合物が重合された重合体を含む電荷輸送性膜。
(一般式(I)中、Fは電荷輸送性骨格を示す。Dは前記一般式(II)で示される基を示す。mは1以上8以下の整数を示す。
一般式(II)中、Eは連鎖重合性官能基を示す。R1乃至R6はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子又は置換基を有してもよいアルキル基を示す。ただし、R1乃至R6のうち少なくとも1つはフッ素原子又は1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換されたフッ化アルキル基である。L1は単結合、又はアルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(Rn1)−、−S−、−O−、アルカンから誘導される3価若しくは4価の基、及びアルケンから誘導される3価若しくは4価の基からなる群より選択される1種以上の基を含む(n+1)価の連結基を示す。L2は単結合、又はアルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(Rn1)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される1種以上の基を含む2価の連結基を示す。Rn1は水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。nは1以上3以下の整数を示す。) - 前記一般式(II)で示される基の少なくとも1つが、下記式(II−1)乃至式(II−6)のいずれかで示される基である請求項1に記載の電荷輸送性膜。
(式(II−1)乃至式(II−6)中、m1及びm2はそれぞれ独立に0以上4以下の整数を示す。X1及びX3はそれぞれ独立にアルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(Rn1)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される1種以上の基を含む2価の連結基を示す。X2及びX4はそれぞれ独立に単結合、又はアルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(Rn1)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される1種以上の基を含む2価の連結基を示す。L2、E及びRn1は前記一般式(II)中のL2、E及びRn1と同義である。) - 前記一般式(II)で示される基の少なくとも1つが、下記式(III−1)乃至式(III−6)及び式(IV−1)乃至式(IV−6)のいずれかで示される基である請求項1又は請求項2に記載の電荷輸送性膜。
(式(III−1)乃至式(III−6)及び式(IV−1)乃至式(IV−6)中、Ra1乃至Ra4及びRb1乃至Rb16はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数3以下のアルキル基を示す。x1乃至x10はそれぞれ独立に1以上4以下の整数を示す。なお、x1乃至x10がそれぞれ2以上である場合において複数存在するRa1乃至Ra4及びRb1乃至Rb16は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。Rz1乃至Rz10はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。m1、m2、X1、X2、X3及びX4は前記式(II−1)乃至式(II−6)中のm1、m2、X1、X2、X3及びX4と同義である。) - 前記一般式(I)で示される反応性の電荷輸送性化合物が、下記一般式(V)で示される反応性の電荷輸送性化合物である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電荷輸送性膜。
(一般式(V)中、Ar1乃至Ar4はそれぞれ独立に置換若しくは無置換のアリール基を示す。Ar5は置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のアリーレン基を示す。Dは前記一般式(II)で示される基を示す。c1乃至c5はそれぞれ独立に0以上2以下の整数を示す。kは0又は1を示す。ただし、Dの総数は1個以上8個以下である。) - 前記一般式(I)中のEの総数が3個以上6個以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電荷輸送性膜。
- フッ素含有樹脂粒子を含有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電荷輸送性膜。
- 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電荷輸送性膜を有する光電変換装置。
- 導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた感光層と、を有し、
最表面層が、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電荷輸送性膜で構成される電子写真感光体。 - 請求項8に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。 - 請求項8に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
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